IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジャイナ ファーマシューティカルズ,インコーポレーテッドの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】チモキノン含有組成物の調製法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/122 20060101AFI20240208BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20240208BHJP
   A61K 9/28 20060101ALI20240208BHJP
   A61K 9/32 20060101ALI20240208BHJP
   A61K 9/36 20060101ALI20240208BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20240208BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240208BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240208BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240208BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20240208BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20240208BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20240208BHJP
   A61K 47/28 20060101ALI20240208BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20240208BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240208BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20240208BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240208BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20240208BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20240208BHJP
   A61P 11/14 20060101ALI20240208BHJP
   A61P 13/02 20060101ALI20240208BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20240208BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240208BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240208BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240208BHJP
   A61P 39/06 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
A61K31/122
A61K9/20
A61K9/28
A61K9/32
A61K9/36
A61K9/48
A61K47/02
A61K47/10
A61K47/12
A61K47/20
A61K47/22
A61K47/24
A61K47/28
A61K47/32
A61K47/38
A61P3/06
A61P3/10
A61P9/12
A61P11/06
A61P11/14
A61P13/02
A61P25/04
A61P29/00
A61P35/00
A61P35/02
A61P39/06
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020515029
(86)(22)【出願日】2018-09-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-19
(86)【国際出願番号】 US2018050728
(87)【国際公開番号】W WO2019055550
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2021-09-13
(31)【優先権主張番号】62/557,649
(32)【優先日】2017-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509103303
【氏名又は名称】ジャイナ ファーマシューティカルズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】アリ,シューカス エム.
(72)【発明者】
【氏名】シャイク,サイフッディン
(72)【発明者】
【氏名】アフマド,アティーク
(72)【発明者】
【氏名】アフマド,ムギス ユー.
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ポール
(72)【発明者】
【氏名】アフマド,イムラン
【審査官】薄井 慎矢
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-522003(JP,A)
【文献】特表2012-518618(JP,A)
【文献】国際公開第2016/005786(WO,A1)
【文献】特表2010-500306(JP,A)
【文献】特表2006-506464(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チモキノン-脂質顆粒の潤滑化混合物を含む組成物の調製法であって、
i)チモキノンとビタミンE TPGSを混合し、一緒に溶融させて、溶融チモキノンを形成すること
ii)下記の工程によって、チモキノン-脂質顆粒を用意すること:
a)脂質及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウムをふるいにかけて、次いで、ふるいにかけたものを造粒することにより、脂質顆粒を形成し;
b)a)の脂質顆粒及びi)の溶融チモキノンを含む混合物を形成し;および
c)b)で得られる混合物をふるいにかけることによって、チモキノン-脂質顆粒を形成し、
記脂質は、ホスファチジルコリン、ググルステロール、ググルステロールのググルステリル誘導体、及びコレステリル硫酸ナトリウムからなる群より選択され;
iii)メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ化結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、親水性ヒュームドシリカ;ラウリル硫酸ナトリウム、及び無水クエン酸をまとめてふるいにかけて混合物を形成すること;
iv)ポロキサマーをふるいにかけ、ii)のチモキノン-脂質顆粒及びiii)の混合物とブレンドし、第2の混合物を形成すること;ならびに
v)ステアリン酸マグネシウムをふるいにかけ、前記iv)の第2の混合物と合わせて混合し、潤滑化混合物を形成すること
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記v)の潤滑化混合物は、プレスされて錠剤になり、
a)単一錠剤中の前記チモキノンの量は、以下のいずれか1つであり:
50mg~1000mg;
少なくとも500mg;
少なくとも1000mg;または、
b)単一錠剤中の前記ホスファチジルコリンの量は、以下のいずれか1つであり:
10mg~500mg;
10mg~250mg;
10mg~100mg;または、
c)単一錠剤中の前記ググルステロールまたはググルステロールのググルステリル誘導体の量は、以下のいずれか1つであり:
10mg~1000mg;
25mg;
50mg;または、
d)単一錠剤中の前記チモキノンの量は、少なくとも50mg;および/または、
e)単一錠剤中の前記ホスファチジルコリンの量は、10mg~500mg;および/または、
f)単一錠剤中の前記ググルステロールまたはググルステロールのググルステリル誘導体の量は、10mg~1000mgである、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
単一錠剤中の前記チモキノンの量が、少なくとも500mgである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
単一錠剤中の前記チモキノンの量が、少なくとも1000mgである、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
単一錠剤中の前記ホスファチジルコリンの量が、10~250mgである、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
単一錠剤中の前記ホスファチジルコリンの量が、10~100mgである、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
単一錠剤中の前記ググルステロールまたはググルステロールのググルステリル誘導体の量が、25mg~50mgである、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記錠剤は、シールコーティングされている、請求項2~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記シールコーティングは、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、アクリル酸重合体、及びポリエチレングリコールから選択される1種または複数の重合体を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記シールコーティングされた錠剤は、腸溶コーティングを含む、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記腸溶コーティングは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタル酸エステル、酢酸フタル酸セルロース、アクリル酸重合体、及びポリ酢酸フタル酸ビニルから選択される1種または複数の重合体を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ホスファチジルコリンには、ダイズホスファチジルコリン、水素化ダイズホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、およびタマゴホスファチジルコリンのうち1種または複数種が含まれる、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記ググルステロールのググルステリル誘導体には、硫酸ググルステリル、リン酸ググルステリル、ググルステリルホスホコリン、ググルステリルホスホグリセロール、ググルステロールの脂肪酸エステル、ヘミコハク酸ググルステリル、及びググルステロールのポリエチレングリコール(PEG)ググルステリル誘導体のうち1種または複数種が含まれる、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記硫酸ググルステリルは、ナトリウム塩の形態である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ググルステロールのPEGググルステリル誘導体中のPEGの分子量は、500~2000である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記ググルステロールのググルステリル誘導体には、酢酸ググルステリル、プロピオン酸ググルステリル、酪酸ググルステリル、吉草酸ググルステリル、ヘキサン酸ググルステリル、カプリル酸ググルステリル、カプリン酸ググルステリル、ラウリン酸ググルステリル、ミリスチン酸ググルステリル、パルミチン酸ググルステリル、ステアリン酸ググルステリル、オレイン酸ググルステリル、リノール酸ググルステリル、リノレン酸ググルステリル、エイコサペンタエン酸ググルステリル、およびアラキドン酸ググルステリルのうちの1つ以上が含まれる、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記ググルステロールまたはググルステロールのググルステリル誘導体は、Z異性体である、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
対象に投与するための、請求項1~17のいずれか1項に従って調製したチモキノン-脂質顆粒の潤滑化混合物を含む組成物。
【請求項19】
薬剤として使用するため、または疾患の治療もしくは予防に使用するための、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物は、対象への経口投与のための錠剤またはカプセル剤である、請求項18または19に記載の組成物。
【請求項21】
前記対象は、ヒトである、請求項20に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本出願は、2017年9月12日出願の米国仮出願第62/557,649号の優先権を主張し、これは本明細書中参照として援用される。
【0002】
本発明は、合成チモキノンを含む製剤の作製法に関する。本発明は、さらに、ホスファチジルコリン及び/またはググルステロール及び/またはググルステロール誘導体及び/またはコレステリル硫酸ナトリウムを含む組成物の調製法に関する。実施形態によっては、本発明は、ホスファチジルコリンと、ググルステロールまたはググルステロール誘導体またはコレステリル硫酸ナトリウムとを含有する製剤の方法に関する。ある特定の実施形態において、本発明は、チモキノン及び賦形剤を錠剤またはカプセル剤あるいは外用ゲルまたは軟膏に製剤化する法にも関する。本発明は、さらに、疾患の治療または予防において、ヒト対象に製剤を投与することに関する。本発明による方法は、工業的製造規模で実施するのに適しており、例えば、連続法として実施することができる。
〔背景技術〕
Nigella sativaは、ブラッククミンシードまたはブラックキャラウェイシードと称することが多いが、これは、キンポウゲ科に属する花をつける一年草であり、南アジア及び東南アジアの在来種である。N.sativaの種子は、香辛料として利用されてきており、また、疾患の治療にも使用されてきた。そのような疾患として、喘息、高血糖症、尿閉、高血圧、炎症、咳、及び疼痛が挙げられる(例えば、Ali BH, and Bluden, G. 2003;Entok E. et al. 2014;Burtis M. and Bucar, F. 2000;Bourgou S. et al. 2010;Mariod AA et al. 2009を参照)。
【0003】
N.sativaの生物学的効果は、チモキノン、ジチモキノン、チモヒドロキノン、及びチモールをはじめとする様々な成分に起因する(Omar, A. et al. 1999)。N.sativa種子は、他の成分、例えば、炭水化物、脂肪、ビタミン、タンパク質、及び必須アミノ酸なども含有している(Bhatia, IS and Bajaj K. 1972;Chun, H. et al. 2002;Correa, AD et al. 1986)。チモキノンは、in vitro及びin vivoの両方で、抗炎症効果、抗酸化効果、及び抗悪性腫瘍効果を発揮することも示されている(Mansour, MA et al. 2002)。チモキノンは、正常細胞に対してはほとんど毒性がない一方で、ヒト膵臓腺癌、子宮肉腫、及び白血病の細胞株に対して活性を示した(Worthen, DR et al., 1998)。ストレプトゾトシン(STZ)及びニコチンアミド(NA)誘導型糖尿病ラットにチモキノンを経口投与したところ、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害と無関係の抗高血糖性効果を示した(El-Ameen, NHM et al., 2015)。
【0004】
チモキノンに関する研究の大部分は、非臨床レベルで行われたものであり、臨床レベルでその治療効果を試験する試みはほとんど行われてこなかった。N.sativa種子抽出物の有効性研究が、軽度高血圧の患者で行われ、その結果、N.sativa種子抽出物を2ヶ月間毎日使用すると、軽度高血圧の患者に血圧降下作用がある可能性が示唆された(Dehkordi FR and Kankhah, A.F. 2008)。別の報告では、高コレステロール血症患者に2ヶ月間N.sativa粉末を投与すると、全コレステロール及びトリグリセリドの低下が見られたことが示された(Bhatti, IU et al. 2009)。
【0005】
ブラッククミンシードの活性成分としてのチモキノンは、1963年に初めて抽出された(El-Dakhakhany, M. 1963)。しかしながら、N.sativa種子からチモキノンを単離することは、とても面倒な工程であり、大量の有機溶媒を必要とする。N.sativaの精油留分は、種子油のわずか1パーセントしか占めない。すなわち、チモキノンは、0.3~0.6%しか不揮発性油留分を含まず、これが、N.sativaの最も一般的に市販されている製品である(Pacioretty, LM and Babish JG, US 2010/0028468 A1)。N.sativa種子抽出物中のチモキノンのパーセンテージが低いことを考慮すると、チモキノンの臨床的有用性を特定するためには合成チモキノンの利用が必須である。
【0006】
合成チモキノン(2-イソプロピル-5-メチル-1,4-ベンゾキノン)は、エタノール、クロロホルム、DMSOなどの有機溶媒に可溶性の、黄色結晶固体である。これは、水性緩衝液には難容性(約500μg/mL)であるが、非経口経路で投与するならば、薬理効果を発揮するのに十分である可能性がある。しかしながら、チモキノンは、水溶液中で非常に不安定であり、光に対して非常に敏感である(Salmani, JMM et al. 2014)ため、非経口投与でのその利用は限られる。したがって、経口投与用のチモキノン含有安定組成物を調製する方法またはプロセスが必要とされている。
〔発明の概要〕
本明細書中提供されるのは、チモキノン、好ましくは合成チモキノンを含有する安定組成物の調製法である。実施形態によっては、組成物は、ホスファチジルコリンと、及び/またはググルステロール、ググルステロール誘導体、及び/またはコレステリル硫酸ナトリウムのうち1種または複数とを含む。実施形態によっては、組成物は、さらに、ホスファチジルコリンを含む。好適な実施形態のいくつかにおいて、組成物は、さらに、他の賦形剤を含む。ある特定の実施形態は、チモキノンを含む安定配合物の調製法及び製剤の対象への投与法を含む。ある特定の実施形態において、対象は、哺乳類である。好適な実施形態において、対象は、ヒトである。
【0007】
実施形態によっては、本明細書中提供されるのは、ヒト対象への経口送達用の、チモキノン及びググルステロールを含む組成物の調製法である。実施形態によっては、経口送達用製剤は、錠剤またはゲルカプセル剤を含むカプセル剤、丸剤、ドラジェ剤、及び坐剤の形態である。好適な実施形態において、錠剤及び/またはカプセル剤は、腸溶コーティングを含む。
【0008】
実施形態によっては、本明細書中提供されるのは、ヒト対象への経口送達用の、チモキノン及びググルステロール誘導体を含む組成物の調製法である。実施形態によっては、経口送達は、錠剤またはカプセル剤の形態である。より好適な実施形態において、錠剤及び/またはカプセル剤は、腸溶コーティングを含む。
【0009】
実施形態によっては、本明細書中提供されるのは、ヒト対象への経口送達用の、チモキノン及びコレステリル硫酸ナトリウムを含む組成物の調製法である。実施形態によっては、経口送達は、錠剤またはカプセル剤の形態である。より好適な実施形態において、錠剤及び/またはカプセル剤は、腸溶コーティングを含む。
【0010】
実施形態によっては、本明細書中提供されるのは、ヒト対象への経口送達用の、チモキノン及びホスファチジルコリンを含む組成物の調製法である。実施形態によっては、経口送達は、錠剤またはカプセル剤の形態である。より好適な実施形態において、錠剤及び/またはカプセル剤は、腸溶コーティングを含む。
【0011】
実施形態によっては、本明細書中提供されるのは、ヒト対象への外用投与用の、チモキノン、ググルステロール、及びホスファチジルコリンを含むチモキノン製剤である。実施形態によっては、外用投与用製剤は、ゲル、軟膏、またはクリームの形態である。
【0012】
実施形態によっては、本明細書中提供されるのは、ヒト対象への外用投与用の、チモキノン、ググルステロール誘導体、及びホスファチジルコリンを含むチモキノン製剤である。ある特定の好適な実施形態において、外用投与用製剤は、ゲル、軟膏、またはクリームの形態である。
【0013】
実施形態によっては、本明細書中提供されるのは、ヒト対象への外用投与用の、チモキノン、コレステリル硫酸ナトリウム、及びホスファチジルコリンを含むチモキノン製剤である。ある特定の好適な実施形態において、外用投与用製剤は、ゲル、軟膏、またはクリームの形態である。
【0014】
実施形態によっては、本発明のチモキノン製剤は、他の薬物と同時投与される。チモキノン製剤と合わせて同時投与可能な薬物として、糖尿病治療薬、例えば、メトホルミン、グリメピリド、グリピジド、グリブリド、トラザミド、ロシグリタゾン、アログリプタン、リナグリプタン、サキサグリプチン、シタグリプチン、インスリンなど;抗がん剤、例えば、ドキソルビシン、パクリタキセル、ドセタキセル、メトトレキサート、タモキシフェン、レトラゾール、フルベストラント、アロマシン、シクロホスファミド、ダウノマイシン、ブレオマイシン、イリノテカン、ベンダムスチン、ミトキサントロン、イホスファミド、BCNU、ストレプトゾトシン、シタラビン、カペシタビン、カルボプラチン、シスプラチン、エトポシド、5-フルオロウラシルなど;脂質降下薬、例えば、アトルバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチンなど;抗炎症薬、例えば、リウマチ、関節炎、乾癬の治療用;降圧薬、例えば、ジヒドロピリジン、抗鬱薬、抗アレルギー薬など;皮膚疾患治療薬、例えば、乾癬、アトピー性皮膚炎、湿疹、黒色腫、真菌症、挫瘡、蜂窩織炎、魚鱗癬、蕁麻疹用、抗真菌薬、例えば、ポリエン系抗生物質またはポリ系抗真菌薬、アゾール系抗真菌薬などが挙げられるが、これらに限定されない。ポリエン系抗生物質またはポリエン系抗真菌薬の例として、アンホテリシンB、ニスタチン、ハマイシンA&B、オーレオフンギン(aureofungin)A&B、ナタマイシン、ピマリシンなどが挙げられるが、これらに限定されない。アゾール系抗真菌薬の例として、ケトコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾールなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
本発明によるチモキノン製剤に含まれるホスファチジルコリンの量は、最終製剤または重量のどのような特定量またはパーセンテージ(重量による)にも限定されない。実施形態によっては、ホスファチジルコリンの割合は、合計重量の約1%~約90%、好ましくは合計重量の約2%~約80%、より好ましくは合計重量の約3%~約50%である。
【0016】
本発明によるチモキノン製剤に含まれるググルステロールまたはググルステロール誘導体またはコレステリル硫酸ナトリウムの量は、最終製剤または重量のどのような特定量またはパーセンテージ(重量による)にも限定されない。実施形態によっては、ググルステロールまたはググルステロール誘導体またはコレステリル硫酸塩の割合は、合計重量の約0.1%~約90%、好ましくは合計重量の約0.2%~約50%、より好ましくは合計重量の約0.2%~約25%である。
【0017】
本発明によるチモキノン製剤に含まれるチモキノンの量は、最終製剤または重量のどのような特定量またはパーセンテージ(重量による)にも限定されない。実施形態によっては、チモキノンの割合は、合計重量の約0.1%~約90%、好ましくは合計重量の約0.5%~約75%、より好ましくは合計重量の約1%~約50%である。
【0018】
実施形態によっては、以下を含むチモキノンを含む組成物の調製法が、技術的に可能である:
i)チモキノンとビタミンE TPGSを混合し、一緒に溶融させること;
ii)脂質及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウム(ノイシリンUS2)をふるいにかけて脂質顆粒を用意し、脂質顆粒及びi)の溶融チモキノンを含む混合物を形成し、得られる混合物をふるいにかけること、この脂質は、ホスファチジルコリン、ググルステロール、ググルステロール誘導体、及びコレステリル硫酸ナトリウムからなる群より選択され;
iii)メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ化結晶セルロース(SMCC HD90)、クロスカルメロースナトリウム、親水性ヒュームドシリカ;ラウリル硫酸ナトリウム、及び無水クエン酸をまとめてふるいにかけること;
iv)ポロキサマーをふるいにかけ、ii)のチモキノン-脂質顆粒及びiii)の顆粒とブレンドすること;ならびに
v)ステアリン酸マグネシウムをふるいにかけ、iv)のチモキノン-脂質顆粒と合わせて混合し、潤滑化混合物を形成すること。
【0019】
実施形態によっては、v)の潤滑化混合物をプレスして錠剤にし、ある特定の好適な実施形態において、錠剤をシールコーティングする。ある特定の実施形態において、シールコーティング剤は、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、アクリル酸重合体、オパドライ、及びポリエチレングリコールから選択される1種または複数の重合体を含む。実施形態によっては、シールコーティングされた錠剤は、重合体で腸溶コーティングされ、実施形態によっては、腸溶コーティング剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタル酸エステル、酢酸フタル酸セルロース、アクリル酸重合体、及びポリ酢酸フタル酸ビニル、オパドライエンテリック、オイドラギット、及びアクリル-EZEから選択される1種または複数の重合体を含む。
【0020】
上記の錠剤の任意の実施形態のうちある特定の実施形態において、単一錠剤中のチモキノンの量は、少なくとも50mg、好ましくは少なくとも500mg、より好ましくは少なくとも1000mgである。上記の錠剤の任意の実施形態のうちある特定の実施形態において、単一錠剤中のググルステロールまたはググルステロール誘導体は、10mg~1000mg、好ましくは25mg~50mgである。上記の錠剤の任意の実施形態のうちある特定の実施形態において、単一錠剤中のホスファチジルコリンは、10mg~500mg、好ましくは10~250mg、より好ましくは10~100mgである。
【0021】
実施形態によっては、以下を含む、チモキノン、ホスファチジルコリン、ググルステロールまたはググルステロール誘導体またはコレステリル硫酸ナトリウムを含むゲルまたは軟膏組成物の調製法が、技術的に可能である:
i)ホスファチジルコリン、ググルステロールまたはググルステロール誘導体またはコレステリル硫酸ナトリウム、及びチモキノンを、第一の有機溶媒中で混合すること;
ii)i)の混合物を、第二の有機溶媒で希釈すること;ならびに
iii)ii)の希釈混合物を、ゲル化剤と混合して、均一で粘稠なゲルまたは軟膏を形成すること。
【0022】
実施形態によっては、上記の方法で使用されるホスファチジルコリンは、ダイズホスファチジルコリン、水素化ダイズホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、タマゴホスファチジルコリンを含むホスファチジルコリンから選択される。
【0023】
上記の実施形態のいずれかにおいて、ググルステロール誘導体は、硫酸ググルステリル、リン酸ググルステリル、ググルステリルホスホコリン、ググルステリルホスホグリセロール、ググルステロールの脂肪酸エステル、及びググルステロールのポリエチレングリコール(PEG)誘導体。ある特定の実施形態において、ググルステロールを含むググルステロールの脂肪酸エステルとして、酢酸ググルステリル、プロピオン酸ググルステリル、酪酸ググルステリル、吉草酸ググルステリル、ヘキサン酸ググルステリル、カプリル酸ググルステリル、カプリン酸ググルステリル、ラウリン酸ググルステリル、ミリスチン酸ググルステリル、パルミチン酸ググルステリル、ステアリン酸ググルステリル、オレイン酸ググルステリル、リノール酸ググルステリル、リノレン酸ググルステリル、エイコサペンタエン酸ググルステリル、アラキドン酸ググルステリル、ヘミコハク酸ググルステリル、コハク酸ググルステリルが挙げられる。ある特定の実施形態において、ググルステロールのPEG誘導体中のPEGの分子量は、500~2000である。
【0024】
上記の実施形態のいずれかのうちのある特定の実施形態において、ググルステロールまたはググルステロール誘導体は、Z異性体の場合があり、及び/またはナトリウム塩形態の場合がある。
【0025】
ゲルまたは軟膏組成物の調製法の実施形態によっては、補助ゲル化剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、Simulgel INS 100、カルボマー、グアーガム、及びゼラチンから選択される。
【0026】
上記のゲルまたは軟膏組成物の調製法の実施形態のいずれかにおいて、第一の有機溶媒と第二の有機溶媒は同一であっても異なっていてもよい。ある特定の実施形態において、第一の有機溶媒及び第二の有機溶媒は、イソプロピルアルコール、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オレイン酸、オレオイルアルコール、鉱物油、及び精製水から選択される。
【0027】
上記のゲルまたは軟膏組成物の調製法の実施形態のいずれかにおいて、ゲルまたは軟膏中のチモキノンの量は、0.1重量%~10重量%、好ましくは3重量%が可能であり;ゲルまたは軟膏中のホスファチジルコリンの量は、1重量%~20重量%、好ましくは6重量%が可能であり;及び/またはゲルまたは軟膏中のググルステロールまたはググルステロール誘導体の量は、0.1重量%~10重量%、好ましくは0.5重量%が可能である。
【0028】
実施形態によっては、以下を含む、チモキノンを対象に投与する方法が、技術的に可能である:
i)上記の実施形態のいずれかに従って調製されたチモキノンを含む組成物を用意すること;及び
ii)組成物を対象に投与すること。
【0029】
実施形態によっては、組成物は、錠剤またはカプセル剤であり、投与は、経口投与を含み;一方で、実施形態によっては、組成物は、ゲルまたは軟膏を含み、投与は、外用投与を含む。好適な実施形態において、対象は、ヒトである。
〔発明を実施するための形態〕
定義
本発明を理解しやすくするため、複数の用語及び語句を、以下のとおり定義する:
本明細書中使用される場合、「組成物」、「製剤」、または「配合物」という用語は、活性作用剤(例えば、活性医薬化合物)と、キャリア(不活性もしくは活性)、賦形剤(組成物を、特に、in vitro、in vivo、またはex vivoでの診断または治療用途に適したものにする)との組み合わせを示す。
【0030】
本明細書中使用される場合、「合成チモキノン」または「チモキノン」という用語は、例えば、実験室で、市販されている出発物質から合成された(すなわち、植物抽出物から単離されたのではない)チモキノンを示す。このチモキノンの合成は、どのような合成経路によるものでもよく、含まれる合成工程の数を問わない。
【0031】
本明細書中使用される場合、「活性」という用語は、作用剤、組成物、または化合物に関して使用される場合、投与または使用に際して、有益な、所望の、または予想される結果を引き起こす作用剤であることを示す。投与は、投与、使用、または投薬が1回でも複数回でもよく、特定の配合または投与経路に限定されることを意図しない。この用語は、どのような特定レベルの活性にも限定されない。例えば、配合物中の活性作用剤が十分に活性であり、その作用剤の配合物の投与により有効量の活性作用剤を投与することができるかぎり、活性作用剤のある配合物は、活性作用剤の異なる配合剤の活性と同レベルの活性を有する必要はない。
【0032】
「作用剤」及び「化合物」という用語は、本明細書中、同義で使用され、属性となる特性を有する任意の原子、分子混合物、またはより複雑な組成物を示す。例えば、「活性作用剤」または「活性化合物」は、投与または使用に際して、有益な、所望の、または予想される結果を引き起こす任意の原子、分子、製剤混合物などを示す。
【0033】
本明細書中使用される場合、「投与」または「投与する」という用語は、薬物、または活性作用剤、または治療的処置(例えば、本発明の組成物)を、生理学的系(例えば、対象、またはin vivo、in vitro、もしくはex vivoの細胞、組織、及び臓器)に与える行為を示す。ヒト身体への投与経路の例として、口(経口)、皮膚(経皮)、目(点眼)、鼻(経鼻)、注射(非経口)などを通じたものが可能である。投与は、投与、使用、または投薬が1回でも複数回でもよく、特定の配合または投与経路に限定されることを意図しない。
【0034】
本明細書中使用される場合、「同時投与」という用語は、少なくとも2種の作用剤(複数可)(例えば、2つの別個の組成物であり、それぞれ異なる活性作用剤を含有する)または治療を対象に投与することを示す。実施形態によっては、2種以上の作用剤または治療の同時投与は、同時に行われる。他の実施形態において、第一の作用剤/治療が、第二の作用剤/治療の前に投与される。当業者には当然のことながら、使用される様々な作用剤及び治療の配合及び/または投与経路は変わる可能性がある。同時投与に適切な投薬量は、当業者により容易に決定することができる。
【0035】
本明細書中使用される場合、「賦形剤」という用語は、活性成分の製剤に添加される不活性成分(すなわち、薬学的に活性ではない)を示す。本明細書中記載される崩壊剤、付着防止剤、結合剤、可塑剤、充填剤、コーティング剤、潤滑剤、保存料、滑剤、エンハンサー、湿潤剤、乳化剤、可溶化剤、分散剤、香味剤、着色料、溶媒、甘味剤、抗酸化剤、透過促進剤、保湿剤、乳化剤、軟膏基材、酸性化及び/またはアルカリ化及び/または緩衝剤、ゲル化剤、及び保護剤は、概して「賦形剤」と称することができる。
【0036】
本明細書中使用される場合、「疾患」という用語は、生きている動物またはその臓器もしくは組織のいずれかにおける正常状態のあらゆる障害に関連した状態、兆候、及び/または症候を示し、これは、正常機能の性能を妨げるまたは改変するものであり、環境要因に反応したものである場合がある。
【0037】
本明細書中使用される場合、「治療」という用語、またはその文法的に等価な語は、疾患(例えば糖尿病)の症候の改善及び/または反転、あるいは疾患発症のリスクの低下を包含する。本発明のスクリーニング法で使用した場合に、疾患に関連したパラメーターのいずれかにおいて改善を引き起こす化合物は、それにより、治療化合物として同定することができる。「治療」という用語は、治療的処置及び予防的または防止的手段の両方を示す。例えば、本発明の組成物及び方法を用いた治療により恩恵を受けるものとして、すでに疾患及び/または障害(例えば糖尿病、または糖尿病に一致する症候もしくは病理)のあるもの、ならびに疾患及び/または障害を防止すべきもの(例えば、本発明の予防的処置を用いて)が挙げられる。
【0038】
本明細書中使用される場合、「経口」という用語は、口を通じた、本発明の組成物の使用を示す。「経口」という用語は、頬側、口唇下、舌下の投与を通じた組成物の使用も含む。
【0039】
本明細書中使用される場合、「外用」という用語は、皮膚及び粘膜の細胞及び組織の表面(例えば、歯槽、頬側、舌、咀嚼、または鼻の粘膜、及び中空器官または体腔を覆う他の組織及び細胞)に、本発明の組成物を使用することを示す。
【0040】
本明細書中使用される場合、「経皮」という用語は、皮膚を通じて血流に吸収されるような形態での、本発明の組成物の使用を示す。例えば、本発明の組成物は、パッチ(例えば、経皮パッチ)形態で貼り付けることにより、特定期間の間一定速度で活性作用剤を送達することができ、薬物の生体利用性及び有効性を一定に保つことができる。
【0041】
「ポリエチレングリコール(PEG)」という用語は、低級アルキレンオキシド重合体、詳細には、重合体分子の少なくとも一端にエステル化可能なヒドロキシル基を有するエチレンオキシド(ポリエチレングリコール)、ならびにエステル化可能なカルボキシ基を有するそのような重合体の誘導体を含む。平均分子量が200~20,000の範囲にあるポリエチレングリコールが好ましい;平均分子量が300~2000の範囲にあるものは、特に好ましい。
【0042】
「a」及び「an」及び「the」という用語及び同様な指示語の使用は、本発明を記載する文脈において(特に以下の特許請求の範囲の文脈において)、本明細書中特に記載がない限り、または文脈により明白に否定されない限り、単数及び複数の両方を包含するものと解釈されるべきである。「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」、及び「含有する(containing)」という用語は、特に記載がない限り、非限定的用語として解釈されるべきである(すなわち、「~を含むが、それらに限定されない」を意味する)。本明細書中提示されるありとあらゆる例示、または例示の言葉(例えば、「such as」)の使用は、本発明をより明白にすることを意図するにすぎず、特に請求項に記載のないかぎり、本発明の範囲に制限を課すことはない。本明細書中の言葉には、請求項に記載のない任意要素が本発明の実施に必須であることを示すと解釈されるべきものは1つもない。
【0043】
発明の詳細な説明
本発明は、チモキノンまたは合成チモキノンの配合物の調製法に関する。実施形態によっては、本発明は、例えば、疾患を治療するために、チモキノン製剤をヒト対象に投与することを含む。ある特定の実施形態において、チモキノンまたは合成チモキノンを含む組成物は、ホスファチジルコリン及び/またはググルステロールもしくはググルステロール誘導体もしくはコレステリル硫酸ナトリウムを含む。他の実施形態において、製剤は、ホスファチジルコリン及び/またはググルステロール、ググルステロール誘導体、またはコレステリル硫酸ナトリウムを含む。
【0044】
本発明の特定の実施形態を、発明の概要で説明したが、この発明の詳細な説明でも説明する。本発明は、具体的な実施形態に関連して記載されたものの、当然のことながら、特許請求されるとおりの本発明は、そのような具体的実施形態に不当に限定されるべきではない。
【0045】
本発明の方法及び製剤に使用するのに適したググルステロール誘導体の例として、硫酸ググルステリル、リン酸ググルステリル、ググルステリルホスホコリン、ググルステリルホスホグリセロール、ググルステロールの脂肪酸エステル、及びググルステロールのポリエチレングリコール(PEG)誘導体が挙げられる。ググルステロールの脂肪酸エステルの例として、酢酸ググルステリル、プロピオン酸ググルステリル、酪酸ググルステリル、吉草酸ググルステリル、ヘキサン酸ググルステリル、カプリル酸ググルステリル、カプリン酸ググルステリル、ラウリン酸ググルステリル、ミリスチン酸ググルステリル、パルミチン酸ググルステリル、ステアリン酸ググルステリル、オレイン酸ググルステリル、リノール酸ググルステリル、リノレン酸ググルステリル、エイコサペンタエン酸ググルステリル、アラキドン酸ググルステリル、ヘミコハク酸ググルステリル、コハク酸ググルステリルが挙げられるが、これらに限定されない。ググルステロールのPEG誘導体の例として、PEGの平均分子量が200~20,000の範囲にあるものが挙げられるが、これらに限定されず、一方、ある特定の好適な実施形態において、ググルステロールのPEG誘導体のPEGの平均分子量は、500~2000にある。
【0046】
本発明は、合成チモキノンを含む製剤の作製法、及びそのような製剤を対象、例えば、ヒト対象に送達する方法を提供する。所望の効果、例えば、治療効果をもたらすのに十分な任意の適切な量の合成チモキノンを使用することができる。好適な実施形態において、チモキノンの適切な量とは、本発明の錠剤、ゲルカプセル剤を含むカプセル剤、丸剤、ドラジェ剤、坐剤、ゲル、軟膏、クリームに適切に組み込むことが可能な量である。所望であれば、錠剤またはカプセル剤は、それを胃中の酸から保護するために腸溶コーティングを施すことができる。
【0047】
本発明の合成チモキノンは、市販品が得られるか、任意の既知の合成法により実験室で合成されるかのいずれかである。好適な実施形態において、チモキノン及び賦形剤を含有する錠剤またはカプセル剤中のチモキノンの量は、10mg~5000mg、例えば、10mg~4000mgまたは10mg及び10mg~3000mgである。好適な実施形態において、チモキノン及び賦形剤を含有する錠剤またはカプセル剤中のチモキノンの量は、10mg~2000mgである。
【0048】
実施形態によっては、チモキノンと、ググルステロールまたはググルステロール誘導体またはコレステリル硫酸ナトリウムと、及び賦形剤とを含有する錠剤またはカプセル剤中の、ググルステロールまたはググルステロール誘導体またはコレステリル硫酸ナトリウムの量は、10mg~5000mg、例えば、10mg~4000mgまたは10mg、10mg~3000mg、及び10mg~2000mgである。好適な実施形態において、チモキノン及び賦形剤を含有する錠剤またはカプセル剤中のチモキノンの量は、10mg~2000mgである。
【0049】
実施形態によっては、チモキノン、ホスファチジルコリン、及び賦形剤を含有する錠剤またはカプセル剤中の、ホスファチジルコリンの量は、10mg~1000mg、例えば、10mg~750mg、または10mg~500mg、及び10mg~250mgである。好適な実施形態において、チモキノン及び賦形剤を含有する錠剤またはカプセル剤中のチモキノンの量は、10mg~2000mgである。
【0050】
本発明のググルステロールまたはググルステロール誘導体は、Z異性体もしくはE異性体であるか、またはZ異性体及びE異性体の混合物である。より好適な実施形態において、ググルステロールまたはググルステロール誘導体は、Z異性体である。実施形態によっては、硫酸ググルステリルは、塩の形態である。硫酸ググルステリルの塩の例として、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。特に好適な実施形態において、塩は、ナトリウム塩である。
【0051】
実施形態によっては、チモキノン製剤は、崩壊剤を含有する。崩壊剤は、湿潤すると膨張及び溶解して、消化管中で錠剤の分解を引き起こし、活性成分が吸収されるように放出される。本発明で使用される崩壊剤の例として、架橋重合体、例えば、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(別名クロスカルメロース(cross carmellose)またはクロスカルメロース(croscarmellose))、架橋ポリビニルピロリドン(別名クロスポビドン(cross povidone)またはクロスポビドン(crospovidone));デンプン、粘土、セルロース、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(ノイシリンUS2)、改質デンプン、例えば、Primogel(登録商標)、エキスプロタブ(登録商標)、及びデンプングリコール酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
実施形態によっては、チモキノン製剤は、結合剤を含有する。結合剤は、錠剤中の成分を一体に保ち、また、顆粒を所望の硬さ及び寸法に配合することにより自由流動性を改善する。本発明で使用される結合剤の例として、セルロース、結晶セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸塩(ノイシリンUS2)、グルコース、スクロース、ラクトース、ポビドン、デンプン、ゼラチン、糖アルコール、例えば、キシリトール、ソルビトール、マルチトールなど、が挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
実施形態によっては、チモキノン製剤は、透過または吸収促進剤を含有する。促進剤は、活性成分の拡散、分配、または薬物溶解性を促進することにより、透過または吸収を上昇させる。本発明で使用される透過または吸収促進剤の例として、ビタミンE-PEG1000スクシナート(TPGS)、ケイ化結晶セルロース(SMCC HD90)、ポロキサマー、ステアリン酸、オレイン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、界面活性剤、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油が挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
実施形態によっては、チモキノン製剤は、乳化剤または可溶化剤を含有する。本発明で使用される乳化剤または可溶化剤の例として、ポロキサマー、モノステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、ラウリル硫酸ナトリウム、モノステアリン酸プロピレングリコール、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ドクサートナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
実施形態によっては、チモキノン製剤は、潤滑剤を含有する。潤滑剤は、成分が凝集してひとまとまりになること及び打錠機またはカプセル剤充填機に付着することを防ぐ。本発明で使用される潤滑剤の例として、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、界面活性剤、ポリエチレングリコール、植物油が挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
実施形態によっては、チモキノン製剤は、滑剤を含有する。滑剤は、粒子間の摩擦を減少させることにより粉末混合物の流動特性を改善するために一般的に使用される。本発明で使用される滑剤の例として、コロイド状二酸化ケイ素、例えば、Carbosil(登録商標)、Aerosil(登録商標)、ヒュームドシリカ、タルク、コーンデンプン、及び炭酸マグネシウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
実施形態によっては、チモキノン製剤は、希釈剤または充填剤を含有する。希釈剤または充填剤は、通常、薬物自身がバルクを生成するのに適していない場合に、固形単位剤形のバルクを作り上げる。本発明で使用される希釈剤または充填剤の例として、ブドウ糖、ラクトース、デンプン、ソルビトール、マンニトール、結晶セルロース、メタケイ酸アルミン酸塩(ノイシリンUS2)、リン酸カルシウム二塩基性、炭酸カルシウム、及びステアリン酸マグネシウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
実施形態によっては、チモキノン製剤は、可塑剤を含有する。可塑剤を加えることで、錠剤の場合はコーティング物質に弾力性及び柔軟性が生じ、軟ゼラチンカプセルの場合はカプセル殻の硬さが決まり、坐剤には、柔らかさ及び復元力が付与される。本発明で使用される可塑剤の例として、ジアセチル化モノグリセリド、ヒマシ油、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、クエン酸トリエチル、及びトリアセチンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
実施形態によっては、チモキノン製剤は、湿潤剤を含有する。湿潤剤を加えることで、疎水性活性成分の分散または溶解を補助する。本発明で使用される湿潤剤の例として、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート80、レシチンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
実施形態によっては、チモキノン製剤は、コーティング物質を含有する。錠剤またはカプセル剤のコーティングは、空気中に存在する水分による分解から成分を保護する。本発明で使用されるコーティング物質の例として、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HMPC)、合成高分子、多糖類、ポビドン、エチルセルロース、ゼラチン、シェラック、及びオパドライ(登録商標)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
実施形態によっては、チモキノン製剤は、さらに、腸溶コーティング物質を含有する。腸溶コーティングは、薬物放出速度を制御し、消化管のどこで薬物が放出されるかを決定する。本発明で使用される腸溶コーティング物質の例として、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタル酸エステル(HPMCP)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、ポリ(メタクリル酸-co-メタクリル酸メチル)、酢酸トリメリト酸セルロース(CAT)、ポリ酢酸フタル酸ビニル(PVAP)、アロイリット酸のエステル(シェラック)、オパドライ(登録商標)エンテリック、オイドラギット(登録商標)、及びアクリル-EZE(登録商標)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
実施形態によっては、チモキノン製剤は、酸性化またはアルカリ化または緩衝剤を含有する。本発明で使用される酸性化またはアルカリ化または緩衝剤の例として、クエン酸、リン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、塩酸、リン酸一ナトリウム、トリエタノールアミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
実施形態によっては、チモキノン製剤は、着色剤を含有する。着色することで、製品の外観及び見分けやすさが改善される。本発明で使用される着色剤の例として、FD及びC、D、及びC染料、ならびにレーキが挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
実施形態によっては、チモキノン製剤は、甘味剤を含有する。甘味剤を加えることで、配合物、特にチュアブル錠剤に、甘味を付与する。本発明で使用される甘味剤の例として、マンニトール、サッカリンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
実施形態によっては、本発明の組成物は、さらに、香味剤を含有する。香味剤を加えることで、例えば、活性成分の不快な風味をマスクする。本発明で使用される香味剤の例として、天然香味剤または人工香味剤が挙げられるが、これらに限定されない。天然香味剤の例としては、チェリー、ミント、モモ、アプリコット、ラズベリー、オレンジ、バニラ抽出物などの果物抽出物がある。
【0066】
本発明の方法で使用される医薬製剤として、錠剤、カプセル剤、丸剤、ドラジェ剤、坐剤、液剤、懸濁剤、軟膏、及びゲルが挙げられるが、これらに限定されない。経口の投与様式の場合、配合物の好適な形態として、錠剤、カプセル剤、ロゼンジ剤、及び散剤が挙げられる。外用塗布及び坐剤の場合、配合物の好適な形態には、ゲル、軟膏、クリーム、などが含まれる。
【0067】
所望であれば、チモキノンを含有する製剤、あるいはチモキノン、ホスファチジルコリン、及び/またはググルステロールまたはググルステロール誘導体またはコレステリル硫酸ナトリウム配合物を含有する製剤は、腸溶コーティング錠剤または腸溶コーティングカプセル剤に封入して、それを胃中の酸から保護することができる。「腸の(enteric)」という用語は、小腸を示し、腸溶コーティングは、医薬が小腸に到達する前に放出されることを防ぐ。大部分の腸溶コーティングは、酸性pHでは安定であるが、pHが高くなると迅速に分解する表面として存在することにより働く。
【0068】
実施形態によっては、チモキノン、ググルステロール、ググルステロール誘導体、またはコレステリル硫酸ナトリウムは、1種または複数の賦形剤、例えば、クロスカルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、結晶セルロース、及びエーロゾルと混合され、ふるいにかけられて、顆粒を形成する。実施形態によっては、顆粒は、さらに、ホスファチジルコリンを含有することができる。実施形態によっては、これらの顆粒は、ステアリン酸などの潤滑剤と混合され、圧縮されて、錠剤になる。好適な実施形態において、錠剤は、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの重合体でシールコーティングされる。特に好適な実施形態において、シールコーティングされた錠剤は、さらに、アクリル-EZE(登録商標)、またはオパドライ(登録商標)エンテリックなどの重合体で腸溶コーティングされる。
【0069】
実施形態によっては、チモキノン、ググルステロール、ググルステロール誘導体、またはコレステリル硫酸ナトリウムは、1種または複数の賦形剤、例えば、結晶セルロース、及びエーロゾルと混合され、ふるいにかけられて、顆粒を形成する。実施形態によっては、顆粒は、さらに、ホスファチジルコリンを含有する。実施形態によっては、これらの顆粒は、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ラクトース、及びポロキサマー188と混合され、圧縮されて、錠剤になる。好適な実施形態において、錠剤は、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはオパドライ(登録商標)クリアなどの重合体でシールコーティングされる。特に好適な実施形態において、シールコーティングされた錠剤は、さらに、アクリル-EZE(登録商標)、オイドラギット(登録商標)、及びオパドライ(登録商標)エンテリックなどの重合体で腸溶コーティングされる。
【0070】
実施形態によっては、本発明の方法は、チモキノン、ホスファチジルコリン、ググルステロール、及び他の賦形剤を含むゲルの調製を含む。他の実施形態において、本方法は、チモキノン、ホスファチジルコリン、ググルステロール誘導体、及び他の賦形剤を含むゲルの調製を含む。さらに他の実施形態において、本発明の方法は、チモキノン、ホスファチジルコリン、コレステリル硫酸ナトリウム、及び他の賦形剤を含むゲルの調製を含む。
【0071】
実施形態によっては、本発明の組成物は、ホスファチジルコリンを含有する。本発明で使用されるホスファチジルコリンの例として、ダイズホスファチジルコリン、水素化ダイズホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、タマゴホスファチジルコリン、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
実施形態によっては、本発明は、脂肪酸または脂肪酸塩を含む。いくつかの好適な実施形態において、本発明で使用される脂肪酸として、オレイン酸、ステアリン酸、カプロン酸、パルミチン酸、エイコサン酸、パルミトレイン酸、リノレン酸、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。脂肪酸の異なる塩として、ナトリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、カリウム塩などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
実施形態によっては、本発明の組成物は、1種または複数のゲル化剤を含有する。本発明で使用されるゲル化剤の例として、カルボマー重合体、例えば、カーボポール(登録商標)934、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ペムレン、アクリル酸ヒドロキシエチル/ナトリウムアクリロイルジメチルタウラート共重合体、ならびにイソヘキサデカン及びポリソルベート60(Simulgel(登録商標)INS100)など;アルギン酸化合物、ポロキサマー、キサンタンガムなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
実施形態によっては、本発明の組成物は、皮膚軟化剤を含有する。皮膚軟化剤は、活性成分が皮膚を透過するのを補助する。本発明で使用される皮膚軟化剤の例として、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、グリセリン、鉱物油、ココナッツ油、オリーブ油、ゴマ油、からし油、アーモンド油、ワセリンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0075】
実施形態によっては、本発明の組成物は、保存料を含有する。保存料の例として、メチルパラベン、プロピルパラベン、ベンジルアルコール、安息香酸ナトリウム、イミダゾリジニル尿素などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
実施形態によっては、本発明の組成物は、アルコールまたはアルコール混合物を含む。本発明で使用されるアルコールの例として、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、プロピレングリコール、セチルアルコール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、オレオイルアルコール、などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
実施形態によっては、本発明は、さらに、ポリエチレングリコール(PEG)を含む。実施形態によっては、PEGは、平均分子量が200~20,000の範囲にあり、一方、ある特定の好適な実施形態において、PEGの平均分子量は、300~2000である。
【0078】
実施形態によっては、本発明の組成物は、抗酸化剤を含む。抗酸化剤の例として、アルファトコフェロール、アスコルビン酸、ブチルヒドロキシルトルエン、ブチルヒドロキシルアニソールなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
実施形態によっては、本発明の組成物は、チモキノンを、合計重量の約0.1%~約90%、好ましくは合計重量の約0.5%~約75%、より好ましくは合計重量の約1%~約50%で含有する。
【0080】
実施形態によっては、単一の錠剤またはカプセル剤中のチモキノンの量は、25mg~2000mg、好ましくは25mg~1000mg、より好ましくは50mg~500mgである。
【0081】
実施形態によっては、本発明の製剤は、ホスファチジルコリンを、合計重量の約1%~約90%、好ましくは合計重量の約2%~約80%、より好ましくは合計重量の約3%~約50%で含有する。
【0082】
実施形態によっては、本発明の製剤は、ググルステロールを、合計重量の約0.1%~約90%、好ましくは合計重量の約0.2%~約75%、より好ましくは合計重量の約0.2%~約50%で含む。
【0083】
実施形態によっては、本発明の製剤は、ググルステロール誘導体を、合計重量の約0.1%~約90%、好ましくは合計重量の約0.2%~約75%、より好ましくは合計重量の約0.2%~約50%で含む。
【0084】
実施形態によっては、本発明の製剤は、コレステリル硫酸ナトリウムを、合計重量の約0.1%~約90%、好ましくは合計重量の約0.2%~約75%、より好ましくは合計重量の約0.2%~約50%で含む。
【0085】
実施形態によっては、本発明の組成物の調製法は、チモキノン(例えば、合成チモキノン)、ググルステロールまたはググルステロール誘導体またはコレステリル硫酸ナトリウム、及びホスファチジルコリンを、透明溶液が形成されるまで、第一の有機溶媒に溶解させることを含む。続いて、第二の有機溶媒及び乳化重合体(例えば、Simulgel(登録商標)INS100)を、撹拌しながら加えて、均一な粘稠ゲルを形成させる。第一の有機溶媒と第二の有機溶媒は、同一であっても異なっていてもよく、それらは、好ましくは、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、PEG400、ブチルアルコール、セチルアルコール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、オレオイルアルコールから選択される。より好適な実施形態において、第一の有機溶媒はイソプロピルアルコールであり、第二の有機溶媒はプロピレングリコールである。
【0086】
実施形態によっては、調製法は、チモキノン、ホスファチジルコリンを、透明溶液が形成されるまで、第一の有機溶媒に溶解させることを含む。続いて、第二の有機溶媒及びカーボポール(登録商標)重合体を、撹拌しながら加えて、均一な粘稠ゲルを形成させる。実施形態によっては、第一の有機溶媒と第二の有機溶媒は、同一であるか異なっており、それらは、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、PEG400、ブチルアルコール、セチルアルコール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、オレオイルアルコールから選択される。より好適な実施形態において、第一の有機溶媒はイソプロピルアルコールであり、第二の有機溶媒はプロピレングリコールである。実施形態によっては、アルファ-トコフェロールも、第一の有機溶媒に加えられる。
【0087】
実施形態によっては、チモキノン、ググルステロールまたはググルステロール誘導体またはコレステリル硫酸ナトリウム、及びダイズホスファチジルコリンを、イソプロピルアルコールに溶解させる。カーボポール(登録商標)重合体、アルファ-トコフェロール、及びプロピレングリコールを、撹拌しながら加えて、均一な粘稠ゲルを形成させる。
【0088】
実施形態によっては、チモキノンを、ポリソルベート80及びプロピレングリコールに混合して、混合物を0.9%塩化ナトリウムで希釈し、超音波処理または撹拌して、透明溶液を形成させる。
【0089】
実施形態によっては、チモキノンを、ポリソルベート80及びエタノールに混合して、混合物を0.9%塩化ナトリウムで希釈し、超音波処理または撹拌して、透明溶液を形成させる。
【0090】
実施形態によっては、チモキノンをエタノールに溶解させる。チモキノン及びコーン油を加え、透明溶液が得られるまで、撹拌または超音波処理する。
【0091】
本発明の製剤は、任意の剤形で、及びin vivoで活性化合物チモキノンを送達する任意の系を介して、投与することができる。実施形態によっては、本発明の組成物は、「経皮投与」、例えば、患者の皮膚表面から、角質層、表皮層、及び真皮層を通過して、微小循環中に薬物を送達することにより送達される。これは、一般に、濃度勾配を上から下へと拡散することにより達成される。拡散は、細胞内透過(細胞を通過)、細胞間透過(細胞と細胞の間)、経皮膚付属器(transappendageal)透過(毛包、汗腺、及び皮脂腺を通じて)、または上記の任意の組み合わせを介して起こる可能性がある。
【0092】
外用投与の場合、本発明のチモキノン含有製剤は、軟膏、ゲル、乳液、クリームの形態で送達可能である。実施形態によっては、配合物は、賦形剤添加物を含み、そのような添加物として、油類、例えば、植物油、鉱物油、オリーブ油、ゴマ油、ヒマシ油、コーン油、ビタミンE油など;炭化水素、例えば、パラフィン、ワセリン、グリセリングリコール、ポリエチレングリコール、高分子、などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0093】
実施形態によっては、本発明のチモキノン含有製剤は、経皮パッチとして送達される。パッチは、以下を含むことができる(i)溶液不透過性裏当てホイル、(ii)空隙を有する層様要素、(iii)微小孔性または半透過性膜、(iv)自己接着性層、及び(v)任意選択のリムーバブル裏当てフィルム。空隙を有する層様要素は、裏当てホイル及び膜により形成されていてもよい。あるいは、パッチは、以下を含むことができる(i)溶液不透過性裏当てホイル、(ii)リザーバーとしての、連続気泡発泡体、組織様層、または繊維ウェブ様層、(iii)自己接着性層、及び(iv)任意選択のリムーバブル裏当てフィルム。
〔実施例〕
実施例1
エタノール1mLに、Z-ググルステロール(50mg)を溶解させ、チモキノン(400mg)を加え、続いてコーン油(9mL)を加えた。透明溶液が得られるまで、懸濁液を撹拌または超音波処理した。
【0094】
実施例2
エタノール0.3mLに、Z-ググルステロール(90mg)を溶解させた。実施例1に記載のとおり、チモキノン(400mg)を加え、続いてコーン油(2.7mL)を加えた。透明溶液が得られるまで、懸濁液を撹拌または超音波処理した。
【0095】
実施例3
エタノール0.3mLに、Z-硫酸ググルステリル(90mg)を溶解させた。実施例1に記載のとおり、チモキノン(400mg)を加え、続いてコーン油(2.7mL)を加えた。透明溶液が得られるまで、懸濁液を撹拌または超音波処理した。
【0096】
実施例4
エタノール0.3mLに、コレステリル硫酸ナトリウム(90mg)を溶解させた。実施例1に記載のとおり、チモキノン(400mg)を加え、続いてコーン油(2.7mL)を加えた。透明溶液が得られるまで、懸濁液を撹拌または超音波処理した。
【0097】
実施例5
エタノール0.1mLに、Z-ググルステロール(10mg)を溶解させた。チモキノン(80mg)を加え、続いてポリソルベート80(0.4mL)を加えた。透明溶液が得られるまで、懸濁液を撹拌または超音波処理した。
【0098】
実施例6
エタノール0.1mLに、Z-硫酸ググルステリル(10mg)を溶解させた。チモキノン(80mg)を加え、続いてポリソルベート80(0.4mL)を加えた。透明溶液が得られるまで、懸濁液を撹拌または超音波処理した。
【0099】
実施例7
エタノール0.1mLに、コレステリル硫酸ナトリウム(10mg)を溶解させた。チモキノン(80mg)を加え、続いてポリソルベート80(0.4mL)を加えた。透明溶液が得られるまで、懸濁液を撹拌または超音波処理した。
【0100】
実施例8
チモキノン(120mg)を、プロピレングリコール(23.68g)及びポリソルベート80(2.64g)に混合する。0.9%塩化ナトリウム溶液(23.68g)を加え、透明溶液が得られるまで、懸濁液を撹拌または超音波処理した。
【0101】
実施例9
Z-ググルステロール(50mg)及びダイズホスファチジルコリン(600mg)をイソプロピルアルコール(3g)に加えて混合し、透明溶液が形成されるまで撹拌した。チモキノン(300mg)を加え、完全に溶解するまで撹拌を続けた。撹拌しながらプロピレングリコール(5.65g)及びSimulgel INS 100(400mg)を加え、均一な粘稠ゲルを形成させた。
【0102】
実施例10
Z-硫酸ググルステリル(50mg)及びダイズホスファチジルコリン(600mg)をイソプロピルアルコール(3g)に加えて混合し、透明溶液が形成されるまで撹拌した。チモキノン(300mg)を加え、完全に溶解するまで撹拌を続けた。撹拌しながらプロピレングリコール(5.65g)及びSimulgel INS 100(400mg)を加え、均一な粘稠ゲルを形成させた。
【0103】
実施例11
コレステリル硫酸ナトリウム(50mg)及びダイズホスファチジルコリン(600mg)をイソプロピルアルコール(3g)に加え、透明溶液が形成されるまで撹拌した。チモキノン(300mg)を加え、完全に溶解するまで撹拌を続けた。撹拌しながらプロピレングリコール(5.65g)及びSimulgel INS 100(400mg)を加え、均一な粘稠ゲルを形成させた。
【0104】
実施例12
Z-ググルステロール(65mg)及びダイズホスファチジルコリン(600mg)をイソプロピルアルコール(4.8g)とまとめて、透明溶液が形成されるまで撹拌した。チモキノン(300mg)を加え、完全に溶解するまで撹拌を続けた。撹拌しながらプロピレングリコール(3.98g)及びカーボポール重合体(250mg)及びアルファトコフェロール(5mg)を加え、均一な粘稠ゲルを形成させた。
【0105】
実施例13
Z-硫酸ググルステリル(65mg)及びダイズホスファチジルコリン(600mg)をイソプロピルアルコール(4.8g)とまとめて、透明溶液が形成されるまで撹拌した。チモキノン(300mg)を加え、完全に溶解するまで撹拌を続けた。撹拌しながらプロピレングリコール(3.98g)及びカーボポール重合体(250mg)及びアルファトコフェロール(5mg)を加え、均一な粘稠ゲルを形成させた。
【0106】
実施例14
コレステリル硫酸ナトリウム(65mg)及びダイズホスファチジルコリン(600mg)をイソプロピルアルコール(4.8g)に加えて混合し、透明溶液が形成されるまで撹拌した。チモキノン(300mg)を加え、完全に溶解するまで撹拌を続けた。撹拌しながらプロピレングリコール(3.98g)及びカーボポール重合体(250mg)及びアルファトコフェロール(5mg)を加え、均一な粘稠ゲルを形成させた。
【0107】
実施例15
Z-硫酸ググルステリル(65mg)及びダイズホスファチジルコリン(600mg)をイソプロピルアルコール(4.8g)に加えて混合し、透明溶液が形成されるまで撹拌した。チモキノン(300mg)を加え、完全に溶解するまで撹拌を続けた。撹拌しながらプロピレングリコール(3.98g)及びカーボポール重合体(250mg)及びアルファトコフェロール(5mg)を加え、均一な粘稠ゲルを形成させた。
【0108】
実施例16
コレステリル硫酸ナトリウム(65mg)及びダイズホスファチジルコリン(600mg)をイソプロピルアルコール(4.8g)とまとめて、透明溶液が形成されるまで撹拌した。チモキノン(300mg)を加え、完全に溶解するまで撹拌した。撹拌しながらプロピレングリコール(3.98g)及びカーボポール重合体(250mg)及びアルファトコフェロール(5mg)を加え、均一な粘稠ゲルを形成させた。
【0109】
実施例17
イソプロピルアルコール(4.8g)にダイズホスファチジルコリン(600mg)を加え、透明溶液が形成されるまで撹拌した。チモキノン(300mg)を加え、完全に溶解するまで撹拌を続けた。撹拌しながらプロピレングリコール(4.05g)及びカーボポール重合体(250mg)を加え、均一な粘稠ゲルを形成させた。
【0110】
実施例18
顆粒形成:硫酸ググルステリル(250g)、Aerosil 200(2.8g)、及びクロスカルメロースナトリウム(15.2g)を一緒にまとめて20#メッシュのふるいにかけ、次いで、ポリビニルピロリドン(PVP K30)(17.1g)の精製水(28.51g)溶液を用いて造粒した。次いで、得られる硫酸ググルステリル顆粒を、ケイ化結晶セルロース(SMCC HD90)(20.04g)、クロスカルメロースナトリウム(6.4g)、及び親水性ヒュームドシリカ(Aerosil 200)(2.0g)と一緒にまとめて40#メッシュのふるいにかけた。これとは別に、チモキノン(50g)及びAerosil 200(2.0g)を、一緒にまとめて40#メッシュのふるいにかけた。
【0111】
次いで、チモキノン混合物及び硫酸ググルステリル顆粒混合物を、一緒に混合した。ステアリン酸(1.05g)を40#メッシュのふるいにかけ、チモキノン-硫酸ググルステリル顆粒混合物に加え、このブレンドを、5分間潤滑化し、そして圧縮して錠剤にした。
【0112】
シールコーティング:イソプロピルアルコール(257g)にヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロースE5)(20.0g)を分散させ、次いで、ジクロロメタン(168g)を加え、30分間撹拌した。撹拌しながら、混合物に、クエン酸トリエチル(2.0g)を加えた。
【0113】
これとは別に、イソプロピルアルコール(85g)-ジクロロメタン(60g)混合物に微粉化タルク(5.0g)を分散させ、15分間、ホモジナイズした。次いで、タルク混合物をヒプロメロースE5-クエン酸トリエチル混合物に加え、内容物全体を30分間撹拌した。この混合物を用いて、自動コーターで、重量増加が最大5%となるように入口温度35℃~40℃及び床温度28℃~30℃で、錠剤のシールコーティングを行なった。錠剤を、床温度30℃~32℃で30分間乾燥させた。
【0114】
腸溶コーティング:イソプロピルアルコール:水(95:5混合物)にアクリル-EZE(登録商標)94黄色(30g)を分散させ、30分間撹拌した。この混合物を用いて、自動コーターで、重量増加が最大5%となるように入口温度35℃~40℃及び床温度28℃~30℃で、シールコーティングされた錠剤の腸溶コーティングを行なった。錠剤を、床温度30℃~32℃で30分間乾燥させた。
【0115】
実施例19
顆粒形成:コレステリル硫酸ナトリウム(250g)、Aerosil 200(2.8g)、及びクロスカルメロースナトリウム(15.2g)を一緒にまとめて20#メッシュのふるいにかけ、次いで、ポリビニルピロリドン(PVP K30)(17.1g)の精製水(28.51g)溶液を用いて造粒した。次いで、得られるコレステリル硫酸ナトリウム顆粒を、ケイ化結晶セルロース(SMCC HD90)(20.04g)、クロスカルメロースナトリウム(6.4g)、及びAerosil 200(2.0g)と一緒にまとめて40#メッシュのふるいにかけた。これとは別に、チモキノン(50g)及びAerosil 200(2.0g)を、一緒にまとめて40#メッシュのふるいにかけた。
【0116】
次いで、チモキノン混合物及びコレステリル硫酸ナトリウム顆粒混合物を、一緒に混合した。ステアリン酸(1.05g)を40#メッシュのふるいにかけ、チモキノン-コレステリル硫酸ナトリウム顆粒に加え、このブレンドを、5分間潤滑化し、そして圧縮して錠剤にした。
【0117】
シールコーティング:イソプロピルアルコール(257g)にヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロースE5)(20.0g)を分散させ、次いで、ジクロロメタン(168g)を加え、30分間撹拌した。撹拌しながら、混合物に、クエン酸トリエチル(2.0g)を加えた。
【0118】
これとは別に、イソプロピルアルコール(85g)-ジクロロメタン(60g)混合物に微粉化タルク(5.0g)を分散させ、15分間、ホモジナイズした。次いで、タルク混合物をヒプロメロースE5-クエン酸トリエチル混合物に加え、内容物全体を30分間撹拌した。この混合物を用いて、自動コーターで、重量増加が最大5%となるように入口温度35℃~40℃及び床温度28℃~30℃で、錠剤のシールコーティングを行なった。錠剤を、床温度30℃~32℃で30分間乾燥させた。
【0119】
腸溶コーティング:イソプロピルアルコール:水(95:5混合物)にアクリル-EZE(登録商標)94黄色(30g)を分散させ、30分間撹拌した。この混合物を用いて、自動コーターで、重量増加が最大5%となるように入口温度35℃~40℃及び床温度28℃~30℃で、シールコーティングされた錠剤の腸溶コーティングを行なった。錠剤を、床温度30℃~32℃で30分間乾燥させた。
【0120】
実施例20
顆粒形成:Z-ググルステロール(250g)、Aerosil 200(2.8g)、及びクロスカルメロースナトリウム(15.2g)を一緒にまとめて20#メッシュのふるいにかけ、次いで、ポリビニルピロリドン(PVP K30)(17.1g)の精製水(28.51g)溶液を用いて造粒した。得られるZ-ググルステロール顆粒を、ケイ化結晶セルロース(SMCC HD90)(20.04g)、クロスカルメロースナトリウム(6.4g)、及び親水性ヒュームドシリカ(Aerosil 200)(2.0g)と一緒にまとめて40#メッシュのふるいにかけた。これとは別に、チモキノン(50g)及びAerosil 200(2.0g)を、一緒にまとめて40#メッシュのふるいにかけた。
【0121】
次いで、チモキノン混合物及びZ-ググルステロール顆粒混合物を、一緒に混合した。ステアリン酸(1.05g)を40#メッシュのふるいにかけ、チモキノン-Z-ググルステロール顆粒に加えた。このブレンドを、5分間潤滑化し、そして圧縮して錠剤にした。
【0122】
シールコーティング:イソプロピルアルコール(257g)にヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロースE5)(20.0g)を分散させ、ジクロロメタン(168g)を加え、30分間撹拌した。撹拌しながら、混合物に、クエン酸トリエチル(2.0g)を加えた。
【0123】
これとは別に、イソプロピルアルコール(85g)-ジクロロメタン(60g)混合物に微粉化タルク(5.0g)を分散させ、15分間、ホモジナイズした。次いで、タルク混合物をヒプロメロースE5-クエン酸トリエチル混合物に加え、内容物全体を30分間撹拌した。この混合物を用いて、自動コーターで、重量増加が最大5%となるように入口温度35℃~40℃及び床温度28℃~30℃で、錠剤のシールコーティングを行なった。錠剤を、床温度30℃~32℃で30分間乾燥させた。
【0124】
腸溶コーティング:イソプロピルアルコール:水(95:5混合物)にアクリル-EZE(登録商標)94黄色(30g)を分散させ、30分間撹拌した。この混合物を用いて、自動コーターで、重量増加が最大5%となるように入口温度35℃~40℃及び床温度28℃~30℃で、シールコーティングされた錠剤の腸溶コーティングを行なった。錠剤を、床温度30℃~32℃で30分間乾燥させた。
【0125】
実施例21
顆粒形成:水素化ダイズホスファチジルコリン(HSPC)(25g)及びノイシリンUS2(33g、顆粒内)を一緒にまとめて30#メッシュのふるいにかけ、次いで、ラピッドミキサー造粒機で5分間混合した。これとは別に、容器にチモキノン(50g)及びコリフォールTPGS(10g)を投入し、水浴中46~50℃(生成物温度)で溶融させた。次いで、ラピッドミキサー造粒機中、溶融混合物をHSPC-ノイシリン混合物と混合し、撹拌翼を低速にして造粒した。固体分散体を取り出し、室温で放冷して、2~8℃で貯蔵した。固体分散体を30#メッシュのふるいにかけた。
【0126】
ポロキサマー188(5g)を60#メッシュのふるいにかけた。これとは別に、ノイシリンUS2(17.0g、顆粒外)、ケイ化結晶セルロース(SMCC HD90)(71.5g)、クロスカルメロースナトリウム(25g)、ラウリル硫酸ナトリウム(5.0g)、親水性ヒュームドシリカ(Aerosil 200)(2.5g)、及び無水クエン酸(2.0g)を、一緒に40#メッシュのふるいにかけた。次いで、得られる混合物を、チモキノン-HSPC及びポロキサマー混合物と合わせてブレンダーに移し、10分間混合した。ステアリン酸マグネシウム(4.0g)を60#メッシュのふるいにかけ、チモキノン-HSPC顆粒混合物に加え、ブレンドを5分間潤滑化し、そして圧縮して錠剤にした。
【0127】
シールコーティング:撹拌しながら、イソプロピルアルコールにオパドライ21O590002クリア(12.5g)を分散させ、ジクロロメタンを加え、45分間撹拌した。分散体を100#メッシュのふるいにかけた。この混合物を用いて、自動コーターで、重量増加のため入口温度38℃~45℃及び床温度30℃~35℃として錠剤のシールコーティングを行なった。錠剤を、床温度30℃~35℃で30分間乾燥させた。
【0128】
腸溶コーティング:イソプロピルアルコール:水(95:5混合物)にオパドライエンテリック94O520111黄色(15.7g)を分散させ、45分間撹拌し、100#メッシュのふるいにかけた。この混合物を用いて、自動コーターで、所望の重量増加のため入口温度40℃~45℃及び床温度30℃~35℃としてシールコーティングされた錠剤の腸溶コーティングを行なった。錠剤を、床温度30℃~35℃で45分間乾燥させた。
【0129】
実施例22
チモキノン(TQ)は、メトホルミン(Met)との併用で、メトホルミン単独よりも高い血糖降下活性を実証した
マウスへの実験的糖尿病の導入:オスICR(CD-1)マウス(8~9週齢)を、6時間絶食させてから、ストレプトゾトシン(STZ)を投与した。粉末STZを1mMのクエン酸緩衝液(pH4.5)に分散させることにより、新鮮なSTZ溶液を15mg/mLで調製した。マウスに、STZ溶液を150mg/kgでi.p.投与した。空腹時血糖値を、尾静脈血で測定した。血糖値が250mg/dL以上あるマウスは、糖尿病であるとみなした。読みが「HI」(>600mg/dL)である血液試料は、同量の生理食塩水で希釈してから、再測定した。
【0130】
合計20匹の糖尿病マウスを、血糖値に基づいて、無作為に2つの試験群、群A:メトホルミン(Met)処置群、及び群B:チモキノン/メトホルミン(TQ/Met)処置群、に分けた。
【0131】
各群には10匹の動物が含まれた。群Aのマウスには、Metを用量200mg/kgで毎日経口投与した。群Bのマウスには、20-Gaステンレス供給ニードルを用いて、Met+TQ(200mg/kg+50mg/kg)を毎日経口投与した。空腹時血糖値を、毎週測定した。3週間にわたり、TQ/Metを用いた処置は、血糖値の41.3%低下をもたらした。同期間でMet処置は、血糖値の32.5%低下を達成した。また、Met/TQは、Met単独よりも強力な血糖降下活性を実証した(p=0.019、ANOVA)。
【0132】
【表1】
【0133】
データは平均±SDを表す、n=10
摂水量も、24時間の期間前後で各水ボトルの重量を測定することにより推定した。消費された水体積を、消費された水重量から推定した。各ケージで消費された水体積を、体重で正規化し、mL/30gのBWで24時間あたり、として表した。
【0134】
下のグラフに示すとおり、Met単独に比べてTQ/Met群で水の有意な減少が観察された:
【0135】
【表2】
【0136】
実施例23
オスC57BL6マウスにおけるリポ多糖/D-ガラクトサミン(LPS/GaIN)誘導型急性肝不全でのチモキノン(TQ)
合計13匹のオスC57BL6マウス(5~6週齢)に、生理食塩水に溶解させたD-ガラクトサミン(GalN、Carbosynth)(800mg/kg)及びリポ多糖類(E coli 0127:B8由来LPS、Sigma-Aldrich)(10μg/kg)を腹腔内注射した。LPS/GalN注射から30分後、強制経口投与で、対照群のマウス6匹には精製水(20mL/kg)を投与し、7匹のマウスにTQを用量200mg/kgで投与した。生存を48時間モニタリングした。対照群のマウスは全て、LPS/GalNの注射から7時間後には死亡したが、TQで処置したマウス7匹のうち4匹は、最長48時間生存した。(下の図を参照)。
【0137】
【表3】
【0138】
実施例24
チモキノン(TQ)は、アムビゾーム(登録商標)との併用で、アムビゾーム(登録商標)単独よりも高い抗真菌活性を実証した
アムビゾーム(登録商標)と併用したTQのin vivo抗真菌活性を、A.fumigatus感染したオスICR(CD-1)マウスで評価した。各マウスに、2×107の真菌胞子をi.v.接種した。胞子接種から3時間後、感染したマウスの3つの群に、無処置対照として5%ブドウ糖(i.v.で4日間)、単剤治療群としてアムビゾーム(登録商標)(4mg/kg、i.v.で4日間)、または併用療法群としてTQ(20mg/kg、強制投与で4日間)及びアムビゾーム(登録商標)(4mg/kg、i.v.で4日間)、のいずれかを投与した。対照群では、5%ブドウ糖を投与されたマウス6匹中5匹が、3日目に死亡したことがわかり、1匹は、4日目に死亡したことがわかった。生存期間中央値は、3日間であった。アムビゾーム(登録商標)またはTQ+アムビゾーム(登録商標)での処置は、生存日数の有意な増加を示した。アムビゾーム(登録商標)で処置したマウスの生存期間中央値は、8日間であった。TQ+アムビゾーム(登録商標)で処置したマウスの生存期間中央値は、18日超であり、これは、アムビゾーム(登録商標)単剤治療に比べて有意な延命効果が併用療法にあることを示す。
【0139】
【表4】
【0140】
実施例25
チモキノン製剤のバイオ分析
実施例20に記載されるとおりのチモキノン製剤を、血清に添加し、誘導体形成剤としてアスコルビン酸を用いて、LC-MS/MS法でチモキノン誘導体として定量した。簡単に述べると、1Mアスコルビン酸溶液2mLを、製剤添加血清8mLと合わせて穏やかに混合した。Starta-X 33ポリマー逆相(30mg/mL)カートリッジで、血清混合物から誘導体を抽出してから、分析した。内部標準としてピオグリタゾンを用いた。この実験は、血清などの生体試料中でチモキノンをその誘導体に変換することによりチモキノンを定量する方法を実証する。
【0141】
上記の明細書中で言及された全ての刊行物及び特許は、本明細書中参照として援用される。記載された本発明の組成物及び方法について様々な修飾及び改変が、本発明の範囲及び趣旨から逸脱せずとも当業者には明らかだろう。本発明は特定の好適な実施形態に関連して記載されてきたものの、当然のことながら、本発明は、そのような特定の実施形態に不当に限定されるべきではない。実際、関連分野の当業者に明らかである、本発明を実行するため記載された様式の様々な修飾は、以下の特許請求の範囲内にあるものとする。
【0142】
参照文献
1. Ali, B.H;Blunden, G. Phytotherapy Res. 2003, 17, 299-305.
2. Bhatia, I.S.;Bajaj, K.I. Biochem. J. 1972, 128, 56.
3. Bhatti, I.U.;Rehman, F.U.;Khan, M.A.;Marwat, S.K. 2009, World Applied Sciences J. 6, 1053-1057.
4. Bourgou, S.;Pichette, A.;Marzouk, B.;Legault, J. South African J. Botany, 2010, 76, 210-216.
5. Burtis, M.;Bucar, F. Phytotherapy Res. 2000, 14, 323-328.
6. Chun, H.;Shin, D.H.;Hong, B.S.;Cho, W.D.;Cho, H.Y.;Yang, H.C. Biol. Pharm. Bulletin, 2002, 25, 1203-1208.
7. Correa, A.D.;Jokl, L.;Carlsson, R. Archivos Latinoamericanos de Nutricion 1986, 36, 466-476.
8. El-Ameen, N.M.H.;Taha, M.H.E.;Abdelwahab, S.I.;Khalid, A.;Elfatih, F.;Kamel, M.A.;Sheikh, B.Y. Pharmacognosy J. 2015, 7, 406-410.
9. El-Dakhakhany, M. Planta Medica, 1963, 11, 465-470.
10. Dehkordi, F.R.;and Kamkhah, A.F. Fundamental and Clin. Pharmcol. 2008, 22, 447-452.
11. Entok, E.;Ustuner, M.C.;Ozbayer, C.;Tekin, N.;Akyuz, F.;Yangi, B.;Kurt, H.;Degirmenci, I.;Gunes, H.V. Mol. Biol. Rep. 2014, 41, 2827-2834.
12. Khader, M.;Bresgen, N.;Eckl, P.M. J. Ethnopharmacology, 2010, 127, 319-324.
13. Mansour, M.A.;Nagi, M.N.;El-Khatib, A.S.;Al-Bekairi, A.M. Cell Biochem Func. 2002, 20, 143-151.
14. Mariod, A.A.;Ibrahim, R.M.;Ismail, M.;Ismail, N. 2009, Food Chem. 116, 306-312.
15. Omar, A.;Ghosheh, A.;Abdulghani, A.;Houdi, A.;Crookscor, P.A. J Pharm. Biomed. Anal. 1999, 19, 757-762.
16. Pacioretty, L.M.;and Babsih J.G.;US 2010/0028468 A1.
17. Salmani, J.M.;Asghar, S.;Lv, H.;Zhou, J. Molecules, 2014, 19, 5925-5939.
18. Worthen, D.R.;Ghosheh, O.A.;Crooks, P.A. Anticancer Res. 1998, 18, 1527-1532.