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特許7432503塩酸メフパリブの多形体およびその製造方法と使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】塩酸メフパリブの多形体およびその製造方法と使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 307/81 20060101AFI20240208BHJP
   A61K 31/343 20060101ALI20240208BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240208BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240208BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240208BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240208BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240208BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240208BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
C07D307/81 CSP
A61K31/343
A61P3/10
A61P9/00
A61P19/02
A61P25/28
A61P29/00
A61P29/00 101
A61P35/00
A61P37/02
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020519169
(86)(22)【出願日】2018-05-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-20
(86)【国際出願番号】 CN2018089222
(87)【国際公開番号】W WO2018228205
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2020-04-13
【審判番号】
【審判請求日】2021-11-30
(31)【優先権主張番号】201710449281.2
(32)【優先日】2017-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513299225
【氏名又は名称】上海 インスティテュート オブ マテリア メディカ、チャイニーズ アカデミー オブ サイエンシーズ
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI INSTITUTE OF MATERIA MEDICA, CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
【住所又は居所原語表記】555 Zuchongzhi Road, Zhangjiang, Pudong, Shanghai 201203 China
(73)【特許権者】
【識別番号】519448382
【氏名又は名称】フーカン(シャンハイ) ヘルス テクノロジー カンパニー、 リミテッド
【氏名又は名称原語表記】FUKANG(SHANGHAI)HEALTH TECHNOLOGY CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(74)【代理人】
【識別番号】100201972
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 綾子
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,チュンハオ
(72)【発明者】
【氏名】ミャオ,ゼホン
(72)【発明者】
【氏名】タン,チュン
(72)【発明者】
【氏名】フアン,シアフアン
(72)【発明者】
【氏名】ディン,ジィェン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,イー
【合議体】
【審判長】井上 典之
【審判官】瀬良 聡機
【審判官】齋藤 恵
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-511942(JP,A)
【文献】PHARM TECH JAPAN、2002年、Vol.18、No.10、p.1629~1644
【文献】PHARMACEUTICAL RESEARCH、1995年、Vol.12、No.7、p.945~954
【文献】日本化学会編、実験化学講座(続)2 分離と精製、丸善株式会社、1967年、p.159~194
【文献】平山令明、有機化合物結晶作製ハンドブック、2008年、p.17~23、37~40、45~51、57~65
【文献】緒方章、化学実験操作法 上巻、株式会社南江堂、1963年、p.366~399
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAPLUS STN
REGISTRY STN
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】
で表される2-[4-(メチルアミノメチル)フェニル]-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボキサミド塩酸塩の結晶形A結晶であって、
結晶形Aの結晶の粉末X線回折スペクトルは以下の2θ値:6.49±0.1°、12.625±0.1°、15.271±0.1°、20.727±0.1°、22.933±0.1°、23.913±0.1°、25.139±0.1°、25.618±0.1°、26.082±0.1°、27.084±0.1°、27.406±0.1°および28.828±0.1°を含む、
前記結晶形Aの結晶
【請求項2】
式I
【化2】
で表される2-[4-(メチルアミノメチル)フェニル]-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボキサミド塩酸塩の結晶形Cの結晶であって、
結晶形Cの結晶の粉末X線回折スペクトルは以下の2θ値:10.306±0.1°、12.666±0.1°、15.312±0.1°、17.436±0.1°、18.918±0.1°、20.748±0.1°、22.974±0.1°、24.553±0.1°、25.238±0.1°、26.241±0.1°、29.336±0.1°、32.739±0.1°、33.738±0.1°、34.118±0.1°、35.204を含む、
前記結晶形Cの結晶。
【請求項3】
請求項1に記載の2-[4-(メチルアミノメチル)フェニル]-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボキサミド塩酸塩の結晶形Aの結晶の製造方法であって、以下のとおり調製される:
遊離形態の2-[4-(メチルアミノメチル)フェニル]-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボキサミドをメタノール/ジクロロメタンに入れて懸濁系とし、0℃に冷却し、ゆっくり当量比のHCl/酢酸エチルを滴下し、懸濁系を溶解させ、滴下終了後、0℃~10℃で撹拌して固体を析出させ、固体をろ過し、乾燥し、2-[4-(メチルアミノメチル)フェニル]-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボキサミド塩酸塩の結晶形Aの結晶を得る、前記方法。
【請求項4】
請求項に記載の2-[4-(メチルアミノメチル)フェニル]-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボキサミド塩酸塩の結晶形Cの結晶の製造方法であって、
請求項3に記載の方法によって、請求項1に記載の結晶形Aの結晶を得る工程、
0℃~80℃において、2-[4-(メチルアミノメチル)フェニル]-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボキサミド塩酸塩の結晶形Aの結晶をアルコールまたはアルコール-水系に溶解させることによって、2-[4-(メチルアミノメチル)フェニル]-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボキサミド塩酸塩を含むアルコール溶液またはアルコール-水溶液を形成する工程と、
pHが酸性になるように塩酸で前記アルコール溶液またはアルコール-水溶液を調整し、室温で撹拌し、静置し、結晶を析出させる工程と、
出した結晶を分離して乾燥することによって、2-[4-(メチルアミノメチル)フェニル]-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボキサミド塩酸塩の結晶形Cの結晶を得る工程と、
を含み、ここで、前記のアルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、t-ブタノール、ブタノール、オクタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノールおよびデカノールからなる群から選ばれ、前記のアルコール-水系は、メタノール-水、エタノール-水、プロパノール-水、t-ブタノール-水、ブタノール-水、オクタノール-水、ペンタノール-水、ヘキサノール-水、ヘプタノール-水およびデカノール-水からなる群から選ばれる、前記方法。
【請求項5】
薬物有効投与量の請求項2に記載の2-[4-(メチルアミノメチル)フェニル]-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボキサミド塩酸塩の結晶形Cの結晶、薬学的に許容される賦形剤または担体とを含むことを特徴とする薬物組成物。
【請求項6】
ポリ(アデノシン二リン酸リボース)ポリメラーゼ(PARP)に関連する疾患を治療および/または予防する薬物の製造のための、請求項2に記載の2-[4-(メチルアミノメチル)フェニル]-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボキサミド塩酸塩の結晶形Cの結晶の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、具体的に、塩酸メフパリブ(Mefuparib Hydrochloride)、すなわち、2-[4-(メチルアミノメチル)フェニル]-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボキサミド塩酸塩の多形体、および多形体の塩酸メフパリブの製造方法と薬物の製造におけるその使用に関し、薬物化学の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
一つの化合物の異なる結晶形は、異なる機能、たとえば、溶解度、溶解速度、懸濁安定性、研磨中の安定性、蒸気圧、光学・機械的機能、吸湿性、結晶形のサイズ、ろ過性、乾燥、密度、融点、分解安定性、ほかの結晶形への相変換を抑える安定性、色、ひいては化学反応性などを有することがある。より重要なのは、小分子化合物の薬物は、結晶形によって、その溶解、溶出の性能、薬物動態学や生物利用能が変わることで、薬物の治療効果や安全性に影響することがあるため、小分子薬物の研究・開発の過程において全面的にその結晶多形の問題を考慮するべきであることである。そのため、結晶形の研究と制御は小分子薬物の研究・開発の過程における重要な研究内容の一つになっている。
【0003】
WO2013117120では、薬学的に価値があるPARP選択的阻害剤が公開され、中では、具体的に、当該一連の阻害剤の一つの実例(第37頁の実施例21を参照する)として、2-[4-(メチルアミノメチル)フェニル]-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボキサミド塩酸塩(以下、塩酸メフパリブと呼ぶ)が記載され、その構造は式Iで表される。
【化1】
【0004】
WO2013117120で開示された方法によって得られる当該化合物の特徴付けは1HMR分析および/または融点の測定によるものである。既存技術では、異なる結晶形態の塩酸メフパリブの観察はまだ記載されず、特定の結晶形の何らの特徴付けおよび特定の結晶形を得るための製造方法も記載されていない。塩酸メフパリブは、結晶形によって、その溶解、溶出の性能、薬物動態学や生物利用能が変わることで、薬物の治療効果や安全性に影響することがある。そのため、塩酸メフパリブの大規模製造にとって、この化合物の異なる結晶形(よく多形体とも呼ばれ、あるいは溶媒を含む場合、擬多形体と呼ばれる)が存在するか、これらをどのように得るか、およびその特徴的機能がどうか、知ることが重要である。
【発明の概要】
【0005】
発明の概要
以上の背景に鑑み、本発明は、塩酸メフパリブのいくつかの結晶形、特徴付けおよび製造方法とその使用を開示する。そのため、本発明の解決しようとする技術課題は、塩酸メフパリブの多形体を提供し、塩酸メフパリブのさらなる開発に技術の保証を提供することである。
【0006】
本発明の第一の側面では、式Iで表される塩酸メフパリブの多形体を提供する。
【化2】
【0007】
もう一つの好適な例において、前記の多形体は塩酸メフパリブの結晶形Aで、その粉末X線回折スペクトルは、6.49±0.1°、12.625±0.1°、15.271±0.1°、20.727±0.1°、22.933±0.1°、23.913±0.1°、25.139±0.1°、25.618±0.1°、26.082±0.1°、27.084±0.1°、27.406±0.1°および28.828±0.1°からなる群から選ばれる3つまたは3つ以上の2θ値を含む。
【0008】
もう一つの好適な例において、前記結晶形Aは、さらに、以下の群から選ばれる1つまたは複数の特徴を有する:
(1)前記結晶形Aが基本的に図1bに示されるDSCチャートを有すること、
(2)前記結晶形Aが基本的に図1cに示される赤外スペクトルを有すること、
(3)前記結晶形Aが基本的に図1dに示されるTGグラフを有すること、および
(4)前記結晶形Aが基本的に図1eに示されるラマンスペクトルを有すること。
【0009】
もう一つの好適な例において、前記の多形体は塩酸メフパリブの結晶形Bで、その粉末X線回折スペクトルは、6.145±0.1°、10.318±0.1°、12.459±0.1°、14.914±0.1°、20.806±0.1°、22.832±0.1°、23.295±0.1°、24.996±0.1°、25.198±0.1°、25.481±0.1°、26.787±0.1°、27.285±0.1°、28.003±0.1°および29.59±0.1°からなる群から選ばれる3つまたは3つ以上の2θ値を含む。
【0010】
もう一つの好適な例において、前記結晶形Bは、さらに、以下の群から選ばれる1つまたは複数の特徴を有する:
(1)前記結晶形Bが基本的に図2bに示されるDSCチャートを有すること、
(2)前記結晶形Bが基本的に図2cに示される赤外スペクトルを有すること、
(3)前記結晶形Bが基本的に図2dに示されるTGグラフを有すること、および
(4)前記結晶形Bが基本的に図2eに示されるラマンスペクトルを有すること。
【0011】
もう一つの好適な例において、前記の多形体は塩酸メフパリブの結晶形Cで、その粉末X線回折スペクトルは、10.306±0.1°、12.666±0.1°、15.312±0.1°、17.436±0.1°、18.918±0.1°、20.748±0.1°、22.974±0.1°、24.553±0.1°、25.238±0.1°、26.241±0.1°、29.336±0.1°、32.739±0.1°、33.738±0.1°、34.118±0.1°、35.204からなる群から選ばれる3つまたは3つ以上の2θ値を含む。
【0012】
もう一つの好適な例において、前記結晶形Cは、さらに、以下の群から選ばれる1つまたは複数の特徴を有する:
(1)前記結晶形Cが基本的に図3bに示されるDSCチャートを有すること、
(2)前記結晶形Cが基本的に図3cに示される赤外スペクトルを有すること、
(3)前記結晶形Cが基本的に図3dに示されるTGグラフを有すること、および
(4)前記結晶形Cが基本的に図3eに示されるラマンスペクトルを有すること。
【0013】
本発明の第二の側面では、本発明の第一の側面に記載の塩酸メフパリブの多形体の製造方法であって、
(i)0℃~80℃において、塩酸メフパリブの結晶形Aをアルコールに溶解させることによって、塩酸メフパリブを含むアルコール溶液を形成する工程と、
(ii)工程(i)のアルコール溶液に有機溶媒を滴下し、撹拌し、静置し、結晶を析出させる工程と、
(iii)析出した結晶を分離して乾燥することによって、塩酸メフパリブの結晶形Bを得る工程と、
を含み、ここで、前記のアルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、t-ブタノール、ブタノール、オクタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、デカノール、またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれ、前記の有機溶媒は、ブタノン、メチル-t-ブチルエーテル、酢酸イソプロピル、またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる、
方法、あるいは
【0014】
(a)0℃~80℃において、塩酸メフパリブの結晶形Aをアルコールまたはアルコール-水系に溶解させることによって、塩酸メフパリブを含むアルコールまたはアルコール/水溶液を形成する工程と、
(b)pHが酸性になるように塩酸で工程(a)のアルコールまたはアルコール-水溶液を調整し、室温で撹拌し、静置し、結晶を析出させる工程と、
(c)析出した結晶を分離して乾燥することによって、塩酸メフパリブの結晶形Cを得る工程と、
を含み、ここで、前記のアルコール-水系は、メタノール-水、エタノール-水、プロパノール-水、t-ブタノール-水、ブタノール-水、オクタノール-水、ペンタノール-水、ヘキサノール-水、ヘプタノール-水またはデカノール-水からなる群から選ばれる、
方法を提供する。
【0015】
もう一つの好適な例において、前記のアルコールはメタノールまたはエタノール、好ましくはエタノールである。
もう一つの好適な例において、前記の有機溶媒はブタノンまたはメチル-t-ブチルエーテル、好ましくはブタノンである。
もう一つの好適な例において、前記のアルコール-水系はメタノール-水またはエタノール-水、好ましくはエタノール-水である。
もう一つの好適な例において、塩酸で工程(a)のアルコールまたはアルコール-水溶液を調整する酸性の区間は、pHが1~5、好ましくはpHが2~4、より好ましくはpHが2である。
もう一つの好適な例において、25℃~100℃で析出した結晶を乾燥する。
【0016】
本発明の第三の側面では、薬物有効投与量の本発明の第一の側面に記載の塩酸メフパリブの多形体と、その薬学的に許容される賦形剤または担体とを含む薬物組成物を提供する。
【0017】
本発明の第四の側面では、本発明の第一の側面に記載の塩酸メフパリブの多形体または本発明の第三の側面に記載の組成物の使用であって、ポリ(アデノシン二リン酸リボース)ポリメラーゼ(PARP)に関連する疾患を治療および/または予防する薬物の製造のための使用を提供する。
もう一つの好適な例において、前記の疾患は、腫瘍、炎症、心血管疾患、糖尿病、関節リウマチ、エンドトキシンショックおよび卒中を含む。
もう一つの好適な例において、前記の腫瘍は、BRCA1またはBRCA2が欠失または突然変異した腫瘍である。
もう一つの好適な例において、前記の腫瘍は、卵巣癌、乳癌、前立腺癌、胃癌、膵臓癌、子宮頸癌、膠細胞腫およびユーイング肉腫を含む。
もう一つの好適な例において、前記の薬物は、抗腫瘍薬物および/または抗炎症薬物を含む。
【0018】
もちろん、本発明の範囲内において、本発明の上記の各技術特徴および下記(たとえば実施例)の具体的に記述された各技術特徴は互いに組み合わせ、新しい、または好適な技術方案を構成できることが理解される。紙数に限りがあるため、ここで逐一説明しない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図面の説明
図1a図1aは、塩酸メフパリブの結晶形Aの粉末X線回折(XRPD)スペクトルである。
図1b図1bは、塩酸メフパリブの結晶形AのDSCチャートである。
図1c図1cは、塩酸メフパリブの結晶形Aの赤外(IR)スペクトルである。
図1d図1dは、塩酸メフパリブの結晶形AのTGグラフである。
図1e図1eは、塩酸メフパリブの結晶形Aのラマン(Raman)スペクトルである。
図2a図2aは、塩酸メフパリブの結晶形Bの粉末X線回折(XRD)スペクトルである。
図2b図2bは、塩酸メフパリブの結晶形BのDSCチャートである。
図2c図2cは、塩酸メフパリブの結晶形Bの赤外(IR)スペクトルである。
図2d図2dは、塩酸メフパリブの結晶形BのTGグラフである。
図2e図2eは、塩酸メフパリブの結晶形Bのラマン(Raman)スペクトルである。
図3a図3aは、塩酸メフパリブの結晶形Cの粉末X線回折(XRPD)スペクトルである。
図3b図3bは、塩酸メフパリブの結晶形CのDSCチャートである。
図3c図3cは、塩酸メフパリブの結晶形Cの赤外(IR)スペクトルである。
図3d図3dは、塩酸メフパリブの結晶形CのTGグラフである。
図3e図3eは、塩酸メフパリブの結晶形Cのラマン(Raman)スペクトルである。
【0020】
具体的な実施形態
本発明者は幅広く深く研究したところ、意外に、塩酸メフパリブの3つの新規な多形体を見出し、かつ製造プロセスが簡単で効率的で、再現性が良く、大規模工業生産が実現することができる。これに基づき、本発明を完成させた。
【0021】
用語の説明
別途に定義しない限り、本明細書で用いられるすべての技術と科学の用語はいずれも本発明が属する分野の当業者が通常理解する意味と同様である。
【0022】
本明細書で用いられるように、具体的に例示される数値で使用される場合、用語「約」とは当該値が例示される数値から1%以内で変わってもよい。たとえば、本明細書で用いられるように、「約100」という表示は99と101およびその間の全部の値(たとえば、99.1、99.2、99.3、99.4など)を含む。
2θ角で表示される特徴的回折ピークについて、用語「約」は挙げられる値の変動が0.2°以下であることを表し、たとえば約X°の場合、X±0.2°、好ましくはX±0.1°を表す。
【0023】
本明細書で用いられるように、用語「含有」または「含む」は開放式、半閉鎖式および閉鎖式のものでもよい。言い換えれば、前記用語は「基本的に・・・で構成される」、または「・・・で構成される」も含む。
本明細書で用いられるように、用語「室温」とは、通常、4~30℃で、好ましくは20±5 °Cである。
本明細書で用いられるように、用語「薬学的に許容される」成分は、ヒトおよび/または動物に適用する場合、過度の不良な副反応(例えば毒性、刺激とアレルギー反応)がない、すなわち、合理的なベネフィット/リスク比を持つ物質である。
【0024】
本明細書で使用されるように、用語「有効量」とは、治療剤として目的の疾患や病状を治療、緩和または予防できる量、または検出できる治療・予防効果を表す量を指す。ある対象に対する正確な有効量は、その対象の体型や健康状況、病症の性質や程度、および選ばれる治療剤および/または治療剤の組み合わせにもよる。そのため、予め指定される精確な有効量は意味がない。しかしながら、ある指定された状況に対して、臨床の医師は、通常の実験で有効量を確定し、判断することができる。
【0025】
結晶
溶液を操作し、興味のある化合物の溶解度に限界を超えさせることで、生産規模の結晶を完成させることができる。多くの方法で完成させることができるが、例えば、比較的に高い温度で化合物を溶解させた後、溶液を飽和の限界以下に冷却する方法がある。あるいは、沸騰、常圧蒸発、真空乾燥または他の方法で液体の体積を減少させる方法もある。貧溶媒または化合物の溶解度が低い溶媒あるいはこのような溶媒の混合物を入れることで、興味のある化合物の溶解度を下げることもできる。もう一つの選べる方法は、pH値を調整して溶解度を下げるものである。結晶に関する詳細は、Crystallization, 第三版, J W Mullens, Butterworth-Heineman Ltd.,1993, ISBN 0750611294を参照する。
【0026】
塩の形成と結晶を同時にさせたいなら、塩の反応媒体における溶解度が原料よりも低い場合、適切な酸または塩基を入れると、所望の塩が直接結晶する。同様に、目的の形態の溶解度が反応物よりも低い媒体において、合成反応が完成すると、最終産物が直接結晶する。
結晶の最適化は、所望の形態の結晶を種晶として結晶媒体に入れることを含む。また、多くの結晶方法は、上記策略の組み合わせを使用する。一つの実施例は、高温で興味のある化合物を溶媒に溶解させた後、制御される状態で適切な体積の貧溶媒を入れることで、体系をちょうど飽和のレベル以下にする。この時、所望の形態の種晶(種晶の完全性を保ったまま)を入れ、体系を冷却して結晶を完成させることができる。
【0027】
本発明の多形体
本発明の塩酸メフパリブの多形体は、3つの結晶形、すなわち、A結晶形、B結晶形およびC結晶形を含む。
A結晶形
本発明の塩酸メフパリブのA結晶形の粉末X線回折スペクトルは、回折角(2θ)が約6.49、12.625、15.271、20.727、22.933、23.913、25.139、25.618、26.082、27.084、27.406、28.828である箇所に顕著な特徴的吸収ピークがある。
前記A結晶形の塩酸メフパリブの粉末X線回折スペクトルは、基本的に図1aと一致し、前記DSCチャート、赤外スペクトル、TGグラフおよびラマンスペクトルは、基本的に図1b、1c、1dおよび1eと一致する。
【0028】
図1bから、前記結晶形Aは約280-300 ℃の区間内に特徴的吸熱ピークがあることがわかる。
図1cから、前記結晶形Aの赤外スペクトルは、±2 cm-1の誤差範囲で、少なくとも3486 cm-1、3172 cm-1、2923 cm-1、2709 cm-1、2476 cm-1、1666 cm-1、1608 cm-1、1592 cm-1、1469 cm-1、1428 cm-1、1378 cm-1、1338 cm-1、1189 cm-1、1114 cm-1、946 cm-1、779 cm-1および470 cm-1に特徴的ピークがあることがわかる。
図1dから分析すると、前記結晶形Aの熱重量分析では、250±20 ℃から分解することがわかる。
【0029】
B結晶形
本発明の塩酸メフパリブのB結晶形の粉末X線回折スペクトルは、回折角(2θ角)が約6.145、10.318、12.459、14.914、20.806、22.832、23.295、24.996、25.198、25.481、26.787、27.285、28.003、29.59である箇所に顕著な特徴的吸収ピークがある。
前記B結晶形の塩酸メフパリブの粉末X線回折スペクトルは、基本的に図2aと一致し、前記DSCチャート、赤外スペクトル、TGグラフおよびラマンスペクトルは、基本的に図2b、2c、2dおよび2eと一致する。
【0030】
図2bから、前記結晶形Bは約280-300 ℃の区間内に特徴的吸熱ピークがあることがわかる。
図2cから、前記結晶形Bの赤外スペクトルは、±2 cm-1の誤差範囲で、少なくとも3469 cm-1、3164 cm-1、2923 cm-1、2701 cm-1、2470 cm-1、1654 cm-1、1606 cm-1、1589 cm-1、1428 cm-1、1469 cm-1、1428 cm-1、1378 cm-1、1338 cm-1、1189 cm-1、1172 cm-1、1103 cm-1および779 cm-1などに特徴的ピークがあることがわかる。
図2dから分析すると、前記結晶形Bの熱重量分析では、250±20 ℃から分解することがわかる。
【0031】
C結晶形
本発明の塩酸メフパリブのC結晶形の粉末X線回折スペクトルは、回折角(2θ角)が約10.306、12.666、15.312、17.436、18.918、20.748、22.974、24.553、25.238、26.241、29.336、32.739、33.738、34.118、35.204である箇所に顕著な特徴的吸収ピークがある。
前記C結晶形の塩酸メフパリブの粉末X線回折スペクトルは、基本的に図3aと一致し、前記DSCチャート、赤外スペクトル、TGグラフおよびラマンスペクトルは、基本的に図3b、3c、3dおよび3eと一致する。
【0032】
図3bから、前記結晶形Cは約270-300 ℃の区間内に特徴的吸熱ピークがあることがわかる。
図3cから、前記結晶形Cの赤外スペクトルは、±2 cm-1の誤差範囲で、少なくとも3485 cm-1、3227 cm-1、3170 cm-1、3047 cm-1、2747 cm-1、2709 cm-1、2475 cm-1、1665 cm-1、1609 cm-1、1468 cm-1、1428 cm-1、1377 cm-1、1338 cm-1、1190 cm-1、1173 cm-1、1114 cm-1、947 cm-1、838 cm-1および779 cm-1などに特徴的ピークがあることがわかる。
図3dから分析すると、前記結晶形Cの熱重量分析では、250±20 ℃から分解することがわかる。
上記実験結果から、本発明のA結晶形、B結晶形およびC結晶形は、結晶化度が高く、かつ優れた熱安定性を有する。
【0033】
多形体の製造方法
また、本発明は、上記塩酸メフパリブのA、BおよびCの3つの結晶の製造方法を提供するが、具体的な工程は以下の通りである。
【0034】
塩酸メフパリブのA結晶形の製造
遊離形態のメフパリブを有機溶媒に溶解させ、ゆっくり当量比のHCl/有機溶媒を滴下し、撹拌して固体が析出し、固体をろ過し、乾燥し、A結晶形の塩酸メフパリブを得るが、ここで、前記の有機溶媒は、メタノール、エタノール、ジクロロメタン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、アセトンのうちの1つまたは複数の組み合わせでもよい。
【0035】
塩酸メフパリブのB結晶形の製造
A結晶形の塩酸メフパリブをメタノールまたはエタノールに溶解させ、ゆっくり原料に対して高度に不溶性の有機溶媒を滴下し、撹拌し、静置し、溶液をろ過し、固体の部分を25度で乾燥し、B結晶形の塩酸メフパリブを得る。
ここで、前記の原料に対して高度に不溶性の有機溶媒はブタノン、メチル-t-ブチルエーテル、酢酸イソプロピルのうちの任意の1つまたは2つ以上の組み合わせ、好ましくはブタノンまたはメチル-t-ブチルエーテル、より好ましくはブタノンである。
【0036】
塩酸メフパリブのC結晶形の製造
A結晶形の塩酸メフパリブを完全にアルコールまたはアルコール-水系に溶解させ、pHが酸性になるように塩酸で調整し、室温で撹拌し、ろ過して得られる白色の固体はC結晶形の塩酸メフパリブで、ここで、前記アルコールはメタノール、エタノール、プロパノール、t-ブタノール、ブタノール、オクタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、デカノールなど、好ましくはメタノールまたはエタノール、より好ましくはエタノールである。
前記アルコール-水系は、メタノール-水、エタノール-水、プロパノール-水、t-ブタノール-水、ブタノール-水、オクタノール-水、ペンタノール-水、ヘキサノール-水、ヘプタノール-水またはデカノール-水、好ましくはメタノール-水またはエタノール-水、より好ましくはエタノール-水である。
前記pHを酸性に調整する区間は、pHが1~5、好ましくはpHが2~4、より好ましくはpHが2である。
【0037】
薬物組成物
本発明の薬物組成物は、安全有効量の範囲内にある塩酸メフパリブの多形体、すなわち、結晶形A、結晶形Bおよび結晶形C、およびその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される賦形剤または担体と含む。ここで、「安全有効量」とは、化合物の量が病状の顕著な改善に充分で、重度な副作用が生じないことを指す。
【0038】
「薬学的に許容される担体」とは、ヒトに適用でき、且つ十分な純度および充分に低い毒性を持たなければならない、一種または複数種の相溶性固体または液体フィラーまたはゲル物質を指す。「相溶性」とは、組成物における各成分が本発明の多形体と、またその同士の間で配合することができ、化合物の効果を顕著に低下させないことを指す。薬学的に許容される担体の例の一部として、セルロースおよびその誘導体(たとえばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースナトリウム、セルロースアセテートなど)、ゼラチン、タルク、固体潤滑剤(たとえばステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム)、硫酸カルシウム、植物油(たとえば大豆油、ゴマ油、落花生油、オリーブオイルなど)、多価アルコール(たとえばプロピレングリコール、グリセリン、マンニトール、ソルビトールなど)、乳化剤(たとえばツイン(登録商標))、湿潤剤(たとえばドデシル硫酸ナトリウム)、着色剤、調味剤、安定剤、酸化防止剤、防腐剤、発熱性物質除去蒸留水などがある。
【0039】
本発明の多形体は、通常、少なくとも一種の不活性賦形剤(または担体)、たとえばクエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムと混合されるが、あるいは、(a)フィラーまたは相溶剤、たとえば、でん粉、乳糖、ショ糖、グルコース、マンニトールやケイ酸、(b)バインダー、たとえば、ヒドロメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖やアラビアゴム、(c)保湿剤、たとえば、グリセリン、(d)崩壊剤、たとえば、寒天、炭酸カルシウム、馬鈴薯澱粉やタピオカ澱粉、アルギン酸、ある複合ケイ酸塩や炭酸ナトリウム、(e)溶液遅延剤、たとえばパラフィン、(f)吸収促進剤、たとえば、アンモニウム化合物、(g)湿潤剤、たとえばセタノール、グリセリンモノステアレート、(h)吸着剤、たとえば、カオリン、また(i)潤滑剤、たとえば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ドデシル硫酸ナトリウム、またはこれらの混合物、のような成分と混合される。カプセル剤、錠剤および丸剤において、剤形に緩衝剤を含んでもよい。
【0040】
好ましくは、前記の賦形剤は充填剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤のうちの1つまたは複数を含む。
好ましくは、前記の充填剤はデンプン、乳糖、微晶質セルロース、デキストリン、マンニトール、酸化酵素、硫酸カルシウムのうちの1つまたは複数を含む。
好ましくは、前記の崩壊剤はカルボキシメチルセルロースおよびその塩、クロスカルメロースおよびその塩、クロスポビドン、カルボキシメチルデンプンナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースのうちの1つまたは複数を含む。
好ましくは、前記の結合剤はポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デンプンペースト、アルファー化デンプンのうちの1つまたは複数を含む。
好ましくは、前記の潤滑剤はフマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムのうちの1つまたは複数を含む。
【0041】
応用
本発明の塩酸メフパリブの多形体は、ポリ(アデノシン二リン酸リボース)ポリメラーゼ(PARP)に関連する疾患を予防および/または治療する薬物の製造に使用されてもよく、腫瘍のを予防および/または治療する薬物の製造に使用されてもよく、抗炎症薬物の製造に使用されてもよい。
ポリ(アデノシン二リン酸リボース)ポリメラーゼ(PARP)に関連する疾患は、腫瘍、炎症および局所虚血/再灌流が併発する疾患、たとえば心血管疾患、糖尿病、関節リウマチ、エンドトキシンショック、卒中などを含む。前記腫瘍は、相同組換え修復不全の腫瘍、すなわち、BRCA1またはBRCA2が欠失または突然変異した腫瘍で、たとえば卵巣癌、乳癌、前立腺癌、胃癌、膵臓癌、子宮頸癌、膠細胞腫、ユーイング肉腫などが挙げられる。
【0042】
本発明の主な利点は以下の通りである。
既存技術と比べ、本発明の主な利点は以下の通りである。
1.本発明は、異なる結晶形の塩酸メフパリブを提供し、異なる溶媒の配合比で結晶形態はそれぞれA、B、Cの3つの結晶形に転換することができる。この3つの結晶形の製造方法は簡単で、製品の結晶形は純度が高く、安定性が良く、保存しやすい。
2.本発明の3つの多形体の製造方法は、製造プロセスが簡単で、操作しやすく、プロセス再現性が良く、得られる製品の結晶形は純度が高い。
【0043】
以下、本発明の目的、技術方案および利点がより明瞭にわかるように、図面および実施例と合わせ、本発明をさらに詳しく説明する。もちろん、ここで記述された具体的な実施例は本発明を解釈するためのものだけで、本発明を限定するものではない。以下の実施例において、具体的な条件が記載されていない実験方法は、通常、通常の条件、あるいはメーカーの薦めの条件で行われた。特に説明しない限り、百分率および部は重量百分率および重量部である。
以下、実施例で使用された実験材料および試薬は、特に説明しない限り、いずれも市販品として得られる。
【0044】
実験条件:
1)XRPD方法
装置型式:Bruker D8 advance、ターゲット:Cu-Kα (40 kV, 40 mA)、サンプルから検出器までの距離:30 cm、走査範囲:3°~40°(2θ値)、走査ステップ:0.1。説明したいのは、粉末サンプルのX線回折スペクトルにおいて、結晶化合物から得られる回折スペクトルが特定の結晶形は通常、特徴的なもので、中では、バンド(特に低角度)の相対強度は結晶条件、粒子径、混合物の相対含有量およびほかの測定条件の違いによる選択配向効果によって変わることがある。そのため、回折ピークの相対強度は相応の結晶に対して特徴的ではなく、既知の結晶形と同様か判断する場合、ピークの相対強度よりもその位置に注意するべきである。そして、結晶形が同様か判断する場合、全体の観念にするべきで、それは一本の回折曲線で一つの物質相を表すのではなく、1セットの特定の「d-1/11」データでなければ一つの物質相を表せないからである。また、混合物の同定では、含有量の低下などの要素で一部の回折曲線が欠失することがあるため、この場合、高純度の試料で観察される全部のバンドではなく、一本のバンドでも所定の結晶にとって特徴的であることもある。
【0045】
2)DSC方法 装置型式:Perkin Elmer DSC 8500、温度範囲:50-280℃、走査速度:10℃/min、窒素ガスの流速:50ml/min。
3)IR方法 米国ニコレット社のNicolet-Magna FT-IR750赤外分光装置によって室温で検出し、検出範囲は4000-500 cm-1の波数であった。
4)TGA方法 装置型式:Netzsch TG 209F3、温度範囲:30-400℃、走査速度:10K/min、吹付ガスの流速:25 mL/min、保護ガスの流速:15 mL/min。
5)ラマン方法 装置型式: Thermo ScientificのDXRラマンマイクロスコープ、;レーザー出力レベル: 150.0 mW、フィルター: 780 nm、分光器開口部: 25 スリット-25、露光時間: 1.00 sec、露光回数: 10、背景露光回数: 32。
6)DVS方法 装置型式:SMS DVS Intrinsic、0~95%RH、温度:25℃
【0046】
実施例1
結晶形Aの製造方法:
遊離のメフパリブ(59.6g、199.9mmol、純度97%超)をメタノール/ジクロロメタン(v/v=1:1、2000 mL)に入れて激しく撹拌し、固体が完全に溶解せずに懸濁系になり、0℃に冷却し、ゆっくり8N 塩酸の酢酸エチル系(250 mL)の滴下を始め、系が完全に溶解した。滴下終了後、反応系は0℃~10℃で続いて12時間撹拌し、固体が大量に析出し、ろ過してケーキを得た。ケーキを50℃~55℃で重量が変わらなくなるまで真空乾燥して結晶形Aを得た。
粉末X線回折によって測定したところ、得られたのは結晶形Aの塩酸メフパリブであったことが示され、具体的なピークの位置は表1に示すように、図1aを参照する。
【0047】
表1:A結晶形の塩酸メフパリブの粉末X線回折(XRPD)のデータ
【表1】
【0048】
得られたサンプルに対してほかの測定を行ったところ、得られたDSCチャート、赤外スペクトル、TGグラフおよびラマンスペクトルは、基本的に図1b、1c、1dおよび1eと一致した。
【0049】
実施例2
結晶形Aの製造方法:
約25 mgの実施例1における塩酸メフパリブを取り、25℃で1 mLのメタノールと撹拌して少なくとも24 h平衡化した後、それぞれ溶液をろ過し、固体の部分を空気中で10min乾燥した後、XRPDによって検出したところ、その粉末X線回折の結果のデータは表1に示された通りである。
【0050】
実施例3
結晶形Aの製造方法:
実施例2と異なるのは溶媒をエタノールに変更したことで、その粉末X線回折の結果のデータは表1に示された通りである。
【0051】
実施例4
結晶形Aの製造方法:
実施例2と異なるのは溶媒をイソプロパノールに変更したことで、その粉末X線回折の結果のデータは表1に示された通りである。
【0052】
実施例5
結晶形Aの製造方法:
実施例2と異なるのは溶媒を酢酸エチルに変更したことで、その粉末X線回折の結果のデータは表1に示された通りである。
【0053】
実施例6
結晶形Aの製造方法:
実施例2と異なるのは溶媒を体積比が1:1のメタノール-水系に変更したことで、その粉末X線回折の結果のデータは表1に示された通りである。
【0054】
実施例7
結晶形Aの製造方法:
実施例2と異なるのは温度を50℃に変更したことで、その粉末X線回折の結果のデータは表1に示された通りである。
【0055】
実施例9
結晶形Bの製造方法:
約25 mgの実施例1における塩酸メフパリブを取り、25℃で原料が完全に溶解するまでメタノール(3mL)を入れた後、ゆっくりブタノン(12mL)を滴下した。滴下終了後、同温度で12 h撹拌し、ろ過し、ケーキを50℃~55℃で重量が変わらなくなるまで真空乾燥して結晶形Bを得た。
粉末X線回折によって測定したところ、得られたのは結晶形Bの塩酸メフパリブであったことが示され、具体的なピークの位置は表2に示すように、図2aを参照する。
【0056】
表2:B結晶形の塩酸メフパリブの粉末X線回折(XRPD)のデータ
【表2-1】
【表2-2】
【0057】
得られたサンプルに対してほかの測定を行ったところ、得られたDSCチャート、赤外スペクトル、TGグラフおよびラマンスペクトルは、基本的に図2b、2c、2dおよび2eと一致した。
【0058】
実施例10
結晶形Bの製造方法:
約25 mgの実施例1における塩酸メフパリブを取り、50℃で原料が完全に溶解するまでメタノール(1.8mL)を入れた後、ゆっくりブタノン(6mL)を滴下した。滴下終了後、同温度で12 h撹拌し、ろ過し、ケーキを50℃~55℃で重量が変わらなくなるまで真空乾燥して結晶形Bを得た。その粉末X線回折結果のデータは表2に示された通りである。
【0059】
実施例11
結晶形Cの製造方法:
約100 mgの実施例1における塩酸メフパリブを取って4mLの無水エタノールに入れ、撹拌しながら50℃に昇温させた後、原料が完全に溶解するまでl純水を滴下した。同温度で30 min撹拌した後、pHが2程度になるように濃塩酸を滴下し、室温に自然冷却し、12時間程度撹拌し、ろ過し、白色の固体を取り、ケーキを無水エタノールで洗浄し、吸引乾燥し、50℃~55℃で重量が変わらなくなるまで真空乾燥して結晶形Cを得た。
粉末X線回折によって測定したところ、得られたのは結晶形Cの塩酸メフパリブであったことが示され、具体的なピークの位置は表3に示すように、図3aを参照する。
【0060】
表3:C結晶形の塩酸メフパリブの粉末X線回折(XRPD)のデータ
【表3】
【0061】
得られたサンプルに対してほかの測定を行ったところ、得られたDSCチャート、赤外スペクトル、TGグラフおよびラマンスペクトルは、基本的に図3b、3c、3dおよび3eと一致した。
【0062】
実施例12
結晶形Cの製造方法:
実施例11と異なるのは有機溶媒としてメタノールを使用したことで、その粉末X線回折のデータは表3に示された通りである。
【0063】
実施例13
結晶形Cの製造方法:
実施例11と異なるのはその反応温度が78℃であったことで、その粉末X線回折のデータは表3に示された通りである。
【0064】
各文献がそれぞれ単独に引用されるように、本発明に係るすべての文献は本出願で参考として引用する。また、本発明の上記の内容を読み終わった後、当業者が本発明を各種の変動や修正をすることができるが、それらの等価の形態のものは本発明の請求の範囲に含まれることが理解されるはずである。
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e