(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】保持機構を有するエアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20240208BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20240208BHJP
A24F 47/00 20200101ALI20240208BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/20
A24F47/00
(21)【出願番号】P 2020520789
(86)(22)【出願日】2018-10-24
(86)【国際出願番号】 EP2018079206
(87)【国際公開番号】W WO2019081602
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2021-10-14
(32)【優先日】2017-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】ドイル マイケル エリオット
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/195687(WO,A1)
【文献】特表2018-522551(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03228199(EP,A2)
【文献】英国特許出願公開第02534215(GB,A)
【文献】国際公開第2017/066377(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/207407(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F40/00-A24F47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生物品を加熱するためのエアロゾル発生装置であって、
開口部を有するハウジングと、
前記ハウジング内に配置された、かつ前記ハウジングの前記開口部を通して前記エアロゾル発生物品の少なくとも一部分を受容するように構成されたチャンバーと、
前記ハウジング内に配置されたヒーター組立品であって、かつ前記チャンバーの少なくとも一部分を加熱するように構成された発熱体を備える、ヒーター組立品と、
前記ハウジングの前記開口部に配置された、または前記開口部に近接して配置された二つの部材を備え、かつ
前記エアロゾル発生物品を前記開口部を介して前記チャンバーの中に挿入することができる開いた位置と、
前記二つの部材が前記ハウジングにおける前記開口部を完全に閉じる、閉じた位置と、の間で動くように構成された機構と、を備える、エアロゾル発生装置。
【請求項2】
前記二つの部材が前記ハウジングの壁の外表面上に配置されている、または二つの部材が前記ハウジングの壁の内部表面の下にある、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記ハウジングが各部材のためのガイドトラックを備え、各部材が前記開いた位置と前記閉じた位置の間を動く際に、このガイドトラックに沿って摺動することができる、請求項1または請求項2に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記二つの部材が複数のブレードを備え、前記ブレードの各々が、前記エアロゾル発生物品を前記開口部を介して前記チャンバーの中に挿入することができる前記開いた位置と、前記ブレードが前記開いた位置にある時の前記開口部のサイズと比べて前記開口部のサイズを低減させた他の位置とから動くように構成されている、請求項1または請求項2に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
各部材が、保持表面を提供するように配設された凹状の縁を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記チャンバーが細長く、かつ前記チャンバーの基部から前記開口部まで延びる長軸方向軸を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記チャンバーの少なくとも一つの壁が前記発熱体に熱的に連結されている、請求項1~
6のいずれか一項に記載の電気加熱式エアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記発熱体が前記チャンバーの少なくとも一つの壁の外表面の周りに配置され
ている、請求項
1~7
のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
前記機構が、前記ハウジングの外表面上に制御要素を備え、前記制御要素が各部材に連結されていて、これによって前記制御要素の作動が前記開いた位置と前記閉じた位置の間で各部材を動かす、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項10】
前記部材がセット位置に向かって動くために各部材を強いるように構成された付勢要素を前記機構が備える、請求項9に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項11】
前記機構が前記ヒーター組立品に連結されていて、かつ前記ヒーター組立品の起動に応答して各部材を前記開いた位置から前記閉じた位置に動かすように構成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置と、前記エアロゾル発生装置の前記チャンバーの中に挿入されるように構成されたエアロゾル発生物品とを備える、エアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は手持ち式の電気的に作動するエアロゾル発生システムなどのエアロゾル発生システムに関する。特に、本発明は、ある量のエアロゾル形成基体を含有する物品を加熱するように構成されたエアロゾル発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たばこなどのエアロゾル形成基体が中で燃焼されるのではなく加熱される物品は、当業界で提案されてきた。こうした物品は、物品の一部分を中に挿入することができる、ヒーターおよびチャンバーを備えるエアロゾル発生装置によって加熱される。特に、物品のエアロゾル形成基体部分はチャンバーの中に挿入され、加熱されてエアロゾルを生成する。物品の口側端部分はチャンバーの外側に留まり、消費者は物品のこの口側端部分を吸ってエアロゾルを受容することができる。チャンバーは典型的に、細長い円筒であり、チャンバーのサイズおよび形状はエアロゾル発生物品のサイズおよび形状に実質的に対応し、エアロゾル発生装置はこのエアロゾル発生物品とともに使用されることが意図されている。装置のチャンバー内で物品を適切に位置付けるために、装置は、チャンバーの基部から延びるヒーターブレードの形態のヒーターを備えてもよい。物品がチャンバーの中に挿入される時に、ヒーターブレードは物品を貫通する。一部の装置において、ヒーターブレードは、物品をチャンバーに対して定位置に保持するのに役立つ場合がある。しかしながら、ヒーターブレードは、物品がチャンバーの中に挿入されると、物品を定位置に保持するための適切な手段を常に提供するとは限らない。
【0003】
また、チャンバーの外表面の周りに延びるヒーター組立品などの他の手段によって物品を加熱することも当業界で提案されてきた。チャンバーの中に挿入された時にヒーターブレードがこのような物品を損傷するリスクがありうるため、加熱される物品が比較的スリムである場合、こうしたヒーター組立品が選ばれる場合がある。
【0004】
一部の装置において、チャンバーの中への物品の挿入およびチャンバーからの物品の抜き出しを容易にするために、装置のチャンバーはチャンバー内で加熱される物品の幅より大きい幅を有することが望ましい場合がある。特に、チャンバーの外表面の周りに延びるヒーター組立品を備える装置のチャンバーからの物品の抜き出しを容易にすることが必要である場合がある。これは、外表面からの物品の加熱が物品の構造を弱化しうるからであり(特に物品が、紙から形成された外側ラッパーを有する場合に)、これは物品がチャンバーから取り外される際に物品が裂けるリスクを増大させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の中に挿入された後にエアロゾル発生物品を保持するための改善された配設を提供することが望ましいことになる。従って、エアロゾル発生装置からの物品の抽出を容易にするために、エアロゾル発生装置からエアロゾル発生物品を放出するための改善された配設を提供することも望ましいことになる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の態様によると、エアロゾル発生物品を加熱するためのエアロゾル発生装置が提供されていて、装置は、開口部を有するハウジングと、ハウジング内に配置された、かつエアロゾル発生物品の少なくとも一部分をハウジング内の開口部を通して受容するように構成されたチャンバーと、ハウジング内に配置されたヒーター組立品であって、かつチャンバーの少なくとも一部分を加熱するように構成された発熱体を備えるヒーター組立品と、ハウジングの開口部に配置された、またはハウジングの開口部に近接して配置された、かつエアロゾル発生物品を開口部を通してチャンバーの中に挿入することができる第一の位置と、保持部材が第一の位置にある時の開口部のサイズと比べて開口部のサイズを低減させた第二の位置との間で動くように構成された少なくとも一つの保持部材を備える保持機構と、を備える。
【0007】
こうした第一の位置と第二の位置の間で動くことができる保持部材を有する装置を提供することによって、物品を装置のチャンバーの中に簡単に挿入することができ(保持部材が第一の位置にある時)、次いで前記挿入の後、物品を保持部材によって定位置にしっかりと保持することができる(保持部材が第二の位置にある時)。
【0008】
保持部材をハウジング内の開口部にて、またはその周りに提供することによって、保持部材は、物品の口側端部分などの加熱組立品からの高温に晒される可能性が低い物品の一部分と係合することができる。これは、保持部材がエアロゾル発生プロセスに影響を与える可能性が低いことを意味し、従って保持部材が物品のエアロゾル形成部分と係合するように構成されていた場合よりも、消費者に送達されるエアロゾルに影響を与える可能性が低い。口側端部分はまた、物品のエアロゾル形成部分よりも弾力性が高くてもよい。これは、保持部材が物品のエアロゾル形成部分と係合していた場合よりも、物品の口側端部分が保持部材によって損傷を受ける可能性が低いことを意味する。
【0009】
本発明の第一の態様の配設はまた、使用中に物品がチャンバー内で動く、またはチャンバーから外れる実質的なリスクを有することなく、装置がヒーターブレード配設以外のヒーター配設を利用できるようにする。
【0010】
本発明の実施形態において、保持機構はヒーター組立品から分離されているか、またはヒーター組立品と同じ構成要素ではない。すなわち、保持機構を形成する物体(複数可)は、ヒーター組立品を形成する物体(複数可)と同じではない。このようにして、ヒーター組立品の機能および性能は、少なくとも一つの保持部材がその第一の位置または第二の位置に配置されているかどうかによって影響を受けないままであり続けることができる。
【0011】
その結果、ヒーター組立品および保持機構は、エアロゾル発生物品がチャンバー内に受容されている時に、ヒーター組立品がエアロゾル発生物品の第一の部分(エアロゾル形成部分など)を加熱するよう構成されていて、かつ保持機構がエアロゾル発生物品の第二の部分(口側端部分など)を保持するように構成されているように配設される。例えばチャンバーが、ハウジングの開口部からチャンバーの中に延びる長軸方向軸を有する場合、ヒーター組立品はチャンバー内に、またはチャンバーの周りに配置されて、かつ保持機構から長軸方向に間隙を介してもよい。より具体的には、保持機構は、第一の長軸方向位置にある開口部に配置されても、または開口部に近接して配置されてもよく、またヒーター組立品は、第二の長軸方向位置においてチャンバー内に、またはチャンバーの周りに配置されてもよく、第二の長軸方向位置は第一の長軸方向位置よりさらにチャンバーの中に間隙を介している。こうした配設は、保持機構によって影響を受ける加熱の可能性を低減することができる。こうした配設はまた、保持機構がヒーター組立品からの高温に晒される可能性が低いことを意味しうる。
【0012】
保持機構は、エアロゾル発生物品がチャンバー内に受容されている時に、少なくとも一つの保持部材が、ヒーター組立品またはヒーター組立品によって加熱されるチャンバーの部分に物品が物理的に接触しない位置において、エアロゾル発生物品と係合し、かつこれを保持することができるように構成されてもよい。これは、エアロゾル発生物品のいかなる部分も過熱されないことを確実にするのに役立つ場合がある。別の言い方をすれば、これはエアロゾル発生物品がより均等に加熱されることを確実にするのに役立つ場合がある。
【0013】
一部の実施形態において、少なくとも一つの保持部材は、少なくとも一つの保持部材が第二の位置にある時に、物品の外表面とハウジングによって画定された開口部の周囲との間の開口部の部分を実質的に覆うように構成されてもよい。例えば、保持機構は、保持部材が第二の位置にある時にチャンバー内に受容された物品を実質的に取り囲むアイリス絞り形式で配設された複数の保持部材を備えてもよい。これらの実施形態において、少なくとも一つの保持部材は、少なくとも一つの保持部材が第二の位置にある時に、物品の外部表面とハウジングによって画定された開口部の周囲との間で空気がチャンバーの外に流れるのを実質的に遮断または抑止しうる。このように、少なくとも一つの保持部材は、保持部材が物品を通過しないで装置を通して引き出される空気の比率を低減しうるので、物品が装置内に受容されている時に、物品を通る気流を改善しうる。
【0014】
保持部材は、ハウジングの開口部に配置、または開口部に近接して配置されている。開口部は、ハウジング内の間隙または穴によって画定されてもよく、これを通してエアロゾル発生物品を挿入することができる。一部の実施形態において、保持部材はハウジングの壁の外表面上に配置されてもよい。これによって、ユーザーは常に保持部材の位置を知ることができる。一部の実施形態において、保持部材はハウジングの壁の内表面の下にあってもよい。例えば、保持部材全体は、保持部材が第一の位置にある時に、ハウジングの壁の内表面の下にあってもよい。この場合、保持部材はユーザーには見えない場合がある。しかしながら、保持部材が第二の位置に動かされる時に、保持部材の少なくとも一部分は、もはやハウジングの壁の下にはなく、その代わりに装置の外部に露出されるように開口部に向かって動いてもよい。この場合、開口部のサイズは、露出されている保持部材の量によって低減される。
【0015】
下記により詳細に考察される通り、保持機構は開口部にて、または開口部に近接して二つ以上の対向する保持部材を備えてもよく、各保持部材は第一の位置と第二の位置の間でチャンバーに対して動くことが可能である。対向する保持部材は、物品がチャンバー内に受容されている時に、および保持部材がその第二の位置に配置されている時に、エアロゾル発生物品上に対向する保持力を提供するように配設されてもよい。これは、必要な保持表面を提供するためにハウジング壁またはチャンバー壁の固定された部分に頼るのではなく、物品を保持機構だけによって保持できることを確実にするのに役立つ場合がある。従って、これは有利なことに、ヒーター組立品またはヒーター組立品によって加熱されるチャンバーの一部分と物理的に直接接触する必要なく、エアロゾル発生物品が装置の中に定置されうること、および装置に対して固定された位置に保持されうることを確実にすることができる。
【0016】
一部の実施形態において、保持部材は、第一の位置と第二の位置の間で摺動するように構成されてもよい。一部の実施形態において、保持部材は、第一の位置と第二の位置の間で回転するように構成されてもよい。
【0017】
ハウジングはガイドトラックを備え、保持部材が第一の位置と第二の位置の間で動く際、このガイドトラックに沿って摺動できることが好ましい。例えば、保持部材は、ハウジングの壁の外表面の上方に位置する本体と、ハウジングの前記壁に形成された下にあるガイドトラックの中に延びる突出する部分とを備えてもよい。ガイドトラックは、ハウジングに対して保持部材が有することができる動きの範囲を画定することができる。
【0018】
保持機構は旋回点を備えてもよい。保持部材は、保持部材が第一の位置と第二の位置の間で動く際に、旋回点を軸に旋回するように構成されてもよい。旋回点は、開口部に隣接して配置されてもよい。旋回点は、チャンバーの長軸方向軸に実質的に平行に延びる旋回軸を画定してもよい。
【0019】
保持機構は、開口部にてアイリス絞りを備えてもよい。アイリス絞りは、アイリス絞りが開いている時に、エアロゾル発生物品を開口部を通してチャンバーの中に挿入することができ、その後エアロゾル発生物品の口側端部分の周囲で少なくとも部分的にアイリス絞りを閉じることによって、チャンバーに対して固定して位置付けて保持することができるように、開閉するように構成されてもよい。すなわち、少なくとも一つの保持部材は、アイリス絞りの配設内に複数のブレードを備えてもよく、前記ブレードの各々は、エアロゾル発生物品を開口部経由でチャンバーの中に挿入することができる第一の位置から、および各ブレードが第一の位置にある時の開口部のサイズと比べて開口部のサイズを低減させた第二の位置から動くように構成されている。アイリス絞りのブレードは、ハウジングの壁の下側に配置されてもよい。アイリス絞りのブレードは、第一の位置にある時に、完全にハウジングの壁の下にあることが好ましい。別の言い方をすれば、アイリス絞りのブレードは、第一の位置にある時に、ハウジングの外部に露出されていないことが好ましい。
【0020】
少なくとも一つの保持部材は、保持部材が第二の位置にある時に、保持表面を提供するように配設された湾曲した縁を備えてもよい。湾曲した端は凹状の縁であることが好ましい。こうした湾曲した縁または凹状の縁を有する保持部材を提供することによって、保持部材は、それが係合するエアロゾル発生物品を相補する形状を有することができる。すなわち、エアロゾル発生物品は一般的に実質的に円筒状であり、従って保持部材の縁は、チャンバーの中に挿入されている実質的に円筒状の物品の曲面を相補するように形作られることができる。これは、保持部材とエアロゾル発生物品の間の係合を改善することに役立ちうる。これはまた、保持部材が第二の位置にある時に、保持部材がエアロゾル発生物品上に課すあらゆる保持力をより良好に配分することに役立ちうる。これは有利なことに、保持部材が装置内にある時に、エアロゾル発生物品に対して生じる可能性があるいかなる潜在的な損傷も最小化する場合がある。
【0021】
装置には、開口部を閉じるための閉鎖リッドまたはキャップが提供されてもよい。これは、装置が使用されていない時に、汚染物質またはその他の破片の侵入からチャンバーを保護するために有利である場合がある。
【0022】
一部の実施形態において、少なくとも一つの保持部材は、保持部材がハウジングの開口部を完全に閉じる第三の位置に動くように構成されている。これは有利なことに、物品が装置 の中に挿入されている時に、物品をハウジングに対して固定位置に保持するために、および装置が使用されていない時に、チャンバーを汚染物質またはその他の破片の侵入から保護するために、保持部材を使用することができることを意味する。
【0023】
保持機構は、第一の位置、第二の位置、および第三の位置のうちの一つ以上に保持部材を係止するように構成されてもよい。第三の位置の場合、これは有利なことに、チャンバーが意図せずに露出されるようになる可能性がないことを意味する。
【0024】
エアロゾル発生物品は典型的に細長い円筒である。チャンバーは細長く、かつチャンバーの基部から開口部に延びる長軸方向軸を有することが好ましい。
【0025】
保持機構は、第一の位置と第二の位置の間の少なくとも一つの保持部材の動きが、チャンバーの長軸方向軸に対して実質的に直交する、または横断方向になるように構成されてもよい。言い換えれば、保持機構がガイドトラックを備え、これに沿って保持部材が摺動することができる場合、ガイドトラックはチャンバーの長軸方向軸に対して実質的に直交して延びてもよい。言い換えれば、保持機構が旋回点を備える場合、旋回点はチャンバーの長軸方向軸と実質的に平行に延びてもよい。
【0026】
チャンバーの基部は、底部壁によって画定されてもよい。チャンバーの基部は、一つ以上の開口部を含んでもよい。チャンバーは円筒状であることが好ましい。チャンバーの壁は、金属などの熱伝導性材料で形成されてもよい。
【0027】
加熱組立品は任意の適切な数の発熱体を備えてもよい。加熱組立品は単一の発熱体を備えてもよい。加熱組立品は少なくとも一つの発熱体を備えてもよい。加熱組立品は二つの発熱体を備えてもよい。加熱組立品は複数の発熱体を備えてもよい。加熱組立品が複数の発熱体を備える場合、発熱体は、チャンバーの異なる部分を加熱するために、チャンバーでの、またはチャンバーの周りの異なる場所に配設されてもよい。チャンバーが長軸方向軸を備える場合、発熱体は長軸方向軸に沿って間隙を介してもよい。加熱組立品が複数の発熱体を備える場合、装置は異なる時点で各発熱体を起動または加熱するように構成されてもよい。装置は各発熱体を所定の順序で逐次的に加熱するように構成されてもよい。
【0028】
チャンバーの少なくとも一つの壁は、ヒーター要素に熱的に連結されてもよい。ヒーター組立品は、チャンバーの少なくとも一つの壁の外表面の周りに配置されたヒーター要素を備えてもよい。
【0029】
発熱体は任意の適切なタイプの発熱体であってもよい。発熱体は電気発熱体であってもよい。電気発熱体は抵抗発熱体であってもよい。電気発熱体は誘導発熱体であってもよい。発熱体はピンまたはブレードの形態であってもよい。ヒーター要素は、電気的に絶縁された基体上の一つ以上の導電性トラックであってもよい。導電性トラックは、電力供給源に電気的に接続されていてもよい。電気的に絶縁された基体は、ポリイミドから形成されてもよい。電気的に絶縁された基体は、チャンバーの少なくとも一つの壁の外表面の周りに延びてもよい。電気的に絶縁された基体は管の中に巻かれてもよい。ヒーター組立品が二つ以上のヒーター要素を備える場合、各発熱体は同一のタイプの発熱体であってもよく、またはヒーター組立品は異なるタイプの発熱体を備えてもよい。
【0030】
ヒーター組立品は、ヒーター要素の周りに配置された断熱性部材を備えてもよい。断熱性部材は、ヒーター要素の周りに配置されている二重壁の管であってもよい。二重壁の管は、その二つの壁の間に真空を含んでもよい。ヒーター組立品が二つ以上の発熱体を備える場合、断熱性部材は発熱体のうちの二つ以上の周りに配置されてもよい。
【0031】
保持機構は、保持部材が規定位置に向かって動くために保持部材を強いるように構成された付勢部材を備えてもよい。付勢部材は、らせん状ばねなどのばねを備えてもよい。規定位置は第二の位置であることが好ましい。この場合、装置が使用されていない時に、付勢部材は第二の位置へと保持部材を強いる場合がある。消費者が装置の使用を望む時に、消費者は付勢力を打ち負かすように第一の位置に向かって保持部材を押すことができる。例えば、消費者は保持部材を第二の位置から第一の位置に摺動または回転する場合がある。これは、開口部を通して物品を挿入することができるように、開口部のサイズを増大するように作用する。消費者は次に、物品を開口部を通して挿入することができ、これによって物品の一部分がチャンバー内に存在する。消費者は次に、保持部材を第一の位置から解放することができる。次に、付勢部材の付勢力は、保持部材を第二の位置に向かって戻させ、これによって保持部材はエアロゾル発生物品と係合して、ハウジングに対して物品を定位置に保持するのを助ける。
【0032】
一部の実施形態において、保持機構は、第二の位置に保持部材を解放可能に係止するための係止機構を備えてもよい。これらの実施形態において、保持部材が第二の位置に係止されていて、係止機構が解放された時に、保持部材が付勢部材によって第一の位置に戻るように、保持機構は保持部材が第一の位置に向かって動くために保持部材を強いるように構成された付勢部材を備えてもよい。
【0033】
一部の実施形態において、保持機構は、第一の位置に保持部材を解放可能に係止するための係止機構を備えてもよい。
【0034】
消費者は、少なくとも一つの保持部材を第一の位置と第二の位置の間で直接動かすことができる場合がある。例えば、保持部材がハウジングの壁の外表面および部分の上方に位置し、かつハウジングの前記壁に形成された下にあるガイドトラックの中に延びる本体を備える場合、消費者は自身の指で保持部材を第一の位置と第二の位置の間で動かすことができる。
【0035】
保持機構は、ハウジングの外表面上に制御部材をさらに備えてもよい。制御部材は、制御部材の作動によって保持部材が第一の位置と第二の位置の間で動くように、保持部材に連結されてもよい。一部の実施形態において、制御部材はボタンであってもよく、このボタンをユーザーが押すことによって保持部材を第一の位置から第二の位置に動かす、または第二の位置から第一の位置に動かす、またはその両方を行うことができる。一部の実施形態において、制御部材は、ユーザーが摺動して保持部材を第一の位置と第二の位置の間で動かすことができる要素であってもよい。保持部材が少なくとも部分的にハウジングの壁の下にある時に、制御部材は保持部材を動かすために消費者が相互作用するための便利な設備を提供することができるため、有利である場合がある。
【0036】
保持機構は、加熱組立品の起動に応答して、第一の位置から第二の位置に保持部材を動かすように構成されてもよい。例えば、保持機構は、温度センサーに電気的に連結されているスイッチを備えてもよい。このような場合、スイッチは、閾値温度値に達したことを示す温度センサーからの信号の受信に応答して、第一の位置から第二の位置への保持部材の動きを開始するように構成されてもよい。スイッチは、ヒーター組立品に電気的に接続されている電力供給源に電気的に接続されてもよい。このような場合、スイッチは、ヒーターに電力が供給されていることを示す信号の受信に応答して、第一の位置から第二の位置への保持部材の動きを開始するように構成されてもよい。一部の実施形態において、発熱体は温度センサーとして使用されてもよく、発熱体の電気抵抗は、発熱体の温度の表示として測定および使用されてもよい。
【0037】
保持機構は、エアロゾル発生物品の一部分がチャンバーの基部に配置されている時にそれを検出するように構成されてもよい。保持機構は、エアロゾル発生物品の一部分がチャンバーの基部に配置されていることを検出するのに応答して、第一の位置から第二の位置に保持部材を動かすようにさらに構成されてもよい。例えば、保持機構は、チャンバー内のレーザーセンサーに電気的に連結されているスイッチを備えてもよい。このような場合、スイッチは、物体がチャンバーの基部内に存在していることを示すレーザーセンサーからの信号の受信に応答して、第一の位置から第二の位置への保持部材の動きを開始するように構成されてもよい。
【0038】
一部の実施形態において、保持機構は、開口部の反対側のチャンバーの遠位端に配置された、またはこの遠位端に近接して配置された遠位保持部材をさらに備えてもよい。遠位保持部材は、エアロゾル発生物品を遠位端で、または遠位端の周辺でチャンバーの中に挿入することができる第一の位置と、遠位保持部材が第一の位置にある時のチャンバーの遠位端のサイズと比べて保持部材がチャンバーの遠位端のサイズを低減させた第二の位置との間で動くように構成されてもよい。開口部にある、または開口部に近接している保持要素が第一の位置と第二の位置の間で動く時に、遠位保持要素も第一の位置と第二の位置の間で動くように、開口部にある、または開口部に近接している保持要素は、遠位保持要素に連結されていてもよい。
【0039】
特に、開口部にある、または開口部に近接している二つ以上の対向する保持部材を保持機構が備える場合、保持機構は遠位保持部材を備えてもよい。一部の特定の実施形態において、保持機構は、開口部にある、または開口部に近接しているアイリス絞り配設内に配設された複数の保持要素と、チャンバーの遠位端にある、または遠位端に近接しているアイリス絞り配設内に配設された複数の遠位保持要素とを備えてもよい。
【0040】
有利なことに、少なくとも一つの遠位保持要素を有する保持機構を提供することは、保持要素が第二の位置にある時に、保持機構が物品をチャンバー内の定位置に保持することをさらに可能にする場合がある。有利なことに、少なくとも一つの遠位保持要素を有する保持機構を提供することは、チャンバー内でチャンバー壁から離れて物品を位置させることを容易にする場合がある。
【0041】
本明細書で使用される「導電性」は、1×10
-4
オームメートル以下の比抵抗を有する材料で形成されていることを意味する。本明細書で使用される「電気絶縁性」は1×10
4
オームメートル以上の比抵抗を有する材料で形成されていることを意味する。
【0042】
エアロゾル発生装置は、発熱体に電力を供給するように構成された電力供給源を備えることが好ましい。電力供給源は電源を備えることが好ましい。電源はリチウムイオン電池などの電池であることが好ましい。代替として、電源はコンデンサーなどの別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は再充電を必要とする場合がある。例えば、電源はおおよそ6分間、または6分の倍数の時間にわたるエアロゾルの連続的な発生を可能にするのに十分な容量を有してもよい。別の例において、電源は所定の回数の吸煙、またはヒーター組立品の不連続的な起動を可能にするのに十分な容量を有してもよい。
【0043】
電力供給源は制御電子機器を備えてもよい。制御電子回路はマイクロコントローラーを備えてもよい。マイクロコントローラーはプログラム可能なマイクロコントローラーであることが好ましい。電気回路はさらなる電子構成要素を備えてもよい。電気回路はヒーター組立品への電力の供給を調節するように構成されてもよい。電力はシステムの起動後、ヒーター組立品に連続的に供給されてもよく、または断続的に(例えば、吸煙するごとに供給)供給されてもよい。電力は、電流パルスの形態でヒーター組立品に供給されてもよい。
【0044】
エアロゾル発生システムは手持ち式システムであることが好ましい。エアロゾル発生システムは携帯型であることが好ましい。
【0045】
当然のことながら、本発明の一態様に関して上述した好ましい特徴はまた、本発明の他の態様に適用されてもよい。
【0046】
ここで、例証としてのみであるが、以下の添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1A】
図1Aは、本発明の第一の実施形態によるエアロゾル発生物品およびエアロゾル発生装置を備えるエアロゾル発生システムの斜視図を示す。
【
図1B】
図1Bは、本発明の第一の実施形態によるエアロゾル発生物品およびエアロゾル発生装置を備えるエアロゾル発生システムの斜視図を示す。
【
図2】
図2は、
図1のエアロゾル発生装置の内側の斜視図を示す。
【
図3A】
図3Aは、本発明の第二の実施形態によるエアロゾル発生装置の上面図を示す。
【
図3B】
図3Bは、本発明の第二の実施形態によるエアロゾル発生装置の上面図を示す。
【
図3C】
図3Cは、本発明の第二の実施形態によるエアロゾル発生装置の上面図を示す。
【
図4A】
図4Aは、本発明の第三の実施形態によるエアロゾル発生装置の上面図を示す。
【
図4B】
図4Bは、本発明の第三の実施形態によるエアロゾル発生装置の上面図を示す。
【
図4C】
図4Cは、本発明の第三の実施形態によるエアロゾル発生装置の上面図を示す。
【
図5A】
図5Aは、本発明の第四の実施形態によるエアロゾル発生装置の上面図を示す。
【
図5B】
図5Bは、本発明の第四の実施形態によるエアロゾル発生装置の上面図を示す。
【
図5C】
図5Cは、本発明の第四の実施形態によるエアロゾル発生装置の上面図を示す。
【
図6A】
図6Aは、本発明の第五の実施形態によるエアロゾル発生装置の上面図を示す。
【
図6B】
図6Bは、本発明の第五の実施形態によるエアロゾル発生装置の上面図を示す。
【
図6C】
図6Cは、本発明の第五の実施形態によるエアロゾル発生装置の上面図を示す。
【
図7A】
図7Aは、本発明の第六の実施形態によるエアロゾル発生装置の上面図を示す。
【
図7B】
図7Bは、本発明の第六の実施形態によるエアロゾル発生装置の上面図を示す。
【
図7C】
図7Cは、本発明の第六の実施形態によるエアロゾル発生装置の上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1A~
図1Bは、本発明の第一の実施形態による、エアロゾル発生物品10およびエアロゾル発生装置20を備えるエアロゾル発生システム1の斜視図を示す。物品10は、マウスピースの形態の口側端部分11を備える。口側端部分は、中空管またはフィルタープラグなどの一つ以上のマウスピースセグメントを備えてもよい。口側端部分11は、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル形成部分12に固定されている。エアロゾル形成基体は、たばこ含有材料のロッドを取り囲む紙ラッパーの形態であってもよい。
【0049】
エアロゾル発生物品10は、エアロゾル発生装置20の中に挿入されるように構成されている。特に、装置20は開口部40を有するハウジング30を備え、この開口部を通して物品を挿入することができる。
図2で最もよく分かる通り、装置20はハウジング30内に円筒状のチャンバー50を収容する。チャンバー50は、チャンバー50の基部54から開口部40に延びる長軸方向軸52を有する。
【0050】
チャンバー50は、エアロゾル形成物品の少なくともエアロゾル形成部分12を受容するように構成されている。特に、
図1Bに示す通り、物品12のエアロゾル形成部分がチャンバー50内に存在し、また物品10の口側端部分11の少なくとも一部が装置20の外側に延びるように、ハウジング30内の開口部40を通してエアロゾル形成物品10を装置20の中に挿入することができる。
【0051】
図2で最もよく分かる通り、チャンバー50は、装置20内に配置されているヒーター組立品70に熱的に連結されている。ヒーター組立品70は、電気的に絶縁された基体上に一つ以上の導電性トラックを備えるヒーター要素を備えてもよい。電気的に絶縁された基体は、チャンバー50の円筒状の壁を取り囲んでもよい。
【0052】
ヒーター組立品70は、電力供給源80に電気的に接続されていて、これは電池の形態の電源およびヒーター組立品70を操作するための制御電子機器を収容する。電力供給源80はまた、電力制御ボタン85に電気的に接続されていて、これは作動した時にヒーター組立品70への電力の供給を制御することができる。
【0053】
図1A~
図1Bに示す通り、装置20には、ハウジング30の上部壁31の外表面上に配置された保持部材60を備える保持機構が提供されている。保持部材60は開口部40に隣接して配置されていて、またエアロゾル発生物品10を開口部40経由でチャンバー50の中に挿入することができる第一の位置と、保持部材70が第一の位置にある時の開口部のサイズと比べて開口部のサイズを低減させた第二の位置との間で動くように構成されている。これは、
図3A~
図7Cに示す実施形態によって最も良好に図示されていて、これらは下記に詳述される。
図3A~
図7Cに示す実施形態は、
図1A~
図2に示す実施形態と実質的に同様であり、類似の特徴を指すために類似の参照符号が使用されている。
図3A~
図7Cに示す実施形態は、装置20の上部壁にある、または上部壁に近接している保持機構のために
図1A~
図2に示す実施形態とは異なる。
【0054】
図3A~
図3Cは、本発明の第二の実施形態によるエアロゾル発生装置20の上面図を図示する。
図3A~
図3Cに示す図は各々、チャンバー50の長軸方向軸52に沿って切り取られた図である。
図3Aに示す通り、保持部材360は、開口部40に隣接して、ハウジングの上部壁331上に配置されている。
図3Aでは保持部材は第一の位置にあるように示されている。この位置において、開口部40は、ハウジング30の上部壁331に形成された実質的に円形の穴の周辺部332によってのみ画定されている。この構成において、
図3Aの上面図から見た通り、周辺部332のみが開口部40の断面積を画定する。
【0055】
図3Bは、エアロゾル発生物品10が装置20のチャンバーの中に挿入されている時の第二の実施形態の上面図を図示する。物品の口側端は開口部40の外に延びる。
図3Bから分かる通り、物品10の外径はチャンバー50の直径より小さい。このように、
図3Bの上面図から見ると開口部40の断面積は、エアロゾル発生物品10の横断断面積より大きい。従ってエアロゾル発生物品10は、装置のチャンバー50内で自由に動く。物品10を装置20内の定位置に、よりしっかりと保持するために、保持部材360は、
図3Bの第一の位置から
図3Cの第二の位置に動くことが可能である。ハウジング30の上部壁31のガイドトラック365に沿って保持部材360を摺動することによって、動きを達成することができる。特に、保持部材は、上部壁31の外表面の上方に位置する本体と、ハウジング30の前記壁に形成された下にあるガイドトラック365の中に延びる突出する部分(図示せず)とを備えてもよい。ガイドトラック365は、ハウジング30に対して保持部材360が有することができる動きの範囲を画定することができる。この実施形態において、ユーザーは自身の手で保持部材の本体を把持し、保持部材360をガイドトラック365に沿って第一の位置と第二の位置の間で手動で摺動させてもよい。
【0056】
保持部材360が
図3Cに示す第二の位置に配置されている時に、開口部40のサイズは、部材が
図3Aの第一の位置にある時の開口部40のサイズと比べて低減されている。これは、保持部材の一部分がここではハウジングの上部壁31の穴の上にあり、それ故に
図3Cの上面図から見た通り、開口部40の断面積を低減させるためである。特に、開口部40の断面積は、ここではハウジング30の上部壁331の周辺部332の一部分と、保持部材360の係合部分361の外部縁との両方によって画定されている。
【0057】
従って、保持部材360が第二の位置にある時に、保持部材360の一部分は物品10の口側端部分11と係合する。特に、保持部材360が第二の位置にある時に、物品10の口側端部分11は、保持部材360の係合部分361と、ハウジング30の上部壁331によって画定された開口部40の係合縁334との間にクランプ留めされている。これらの縁は一緒に、装置20に対して物品10を定位置に保持するように作用する。保持部材360の係合部分361は、凹状の縁364を有し、これと係合するエアロゾル発生物品を相補するように形作られている。
【0058】
図3A~
図3Cに示されていないものの、保持部材360は付勢部材に連結されていてもよい。付勢部材は、らせん状のばねの形態であってもよい。付勢部材は、保持部材360が第二の位置に向かって動くために保持部材360を強いるように構成されてもよい。こうした状況において、ユーザーはまず、ばねの付勢力を打ち負かし、保持部材360を第一の位置に動かす必要がある。次に、ユーザーは、物品10を装置20の中に挿入し、保持部材360を解放することができる。次に、ばねは、保持部材360が第二の位置に向かって戻るように強いることになり、これによって保持部材は物品10の口側端部分11と係合して、保持部材360の凹状の端364と開口部340の係合縁334との間で物品10の口側端部分11をクランプ留めすることによって、物品を定位置に保持する。従って、ばねは有利なことに、物品を定位置に保持するために物品10上に十分なクランプ力があることを確実にすることができる。
【0059】
図4A~
図4Cは、本発明の第三の実施形態によるエアロゾル発生装置20の上面図を図示する。
図4A~
図4Cの配設は、
図3A~
図3Cのものと類似している。しかしながら、
図4A~
図4Cにおいて、保持部材460はここでアームの形態であり、これは第一の位置と第二の位置の間で旋回点462を軸とする回転によって動くように構成されている。
【0060】
図4Aおよび
図4Bにおいて、保持部材460は第一の位置にあり、
図4Cにおいて、保持部材は旋回点462を軸に旋回して第二の位置に動く。第二の位置において、物品10の口側端部分11は、保持部材460と、ハウジング30の上部壁431によって画定された開口部40の係合縁434との間にクランプ留めされている。旋回の動きは矢印466によって描写されている。
【0061】
図5A~
図5Cは、本発明の第四の実施形態によるエアロゾル発生装置20の上面図を図示する。
図5A~
図5Cの配設は、
図4A~
図4Cのものと類似している。しかしながら、
図5A~
図5Cにおいて、保持機構は二つの保持部材、すなわち第一の保持部材560Aおよび第二の保持部材560Bを備える。保持部材560A、560Bはそれぞれ、アームの形態であり、これは第一の位置と第二の位置の間で、それぞれの旋回点562A、562Bを軸とする回転によって動くように構成されている。
【0062】
図5Aおよび
図5Bにおいて、保持部材560A、560Bはそれぞれの第一の位置にあり、
図5Cにおいて、各保持部材はそれぞれの旋回点562A、562Bを軸に旋回してそれぞれの第二の位置に動いている。旋回の動きは、それぞれの矢印566A、566Bによって描写されている。アーム560A、560Bおよび旋回点562A、562Bは、チャンバー50の両側に等しい距離だけ間隙を介している。
【0063】
この配設において、両方の保持部材560A、560Bがそれぞれの第二の位置にある時に、物品10は装置20内の定位置に保持されているが、ハウジング30の上部壁531内に形成された実質的に円形の穴の周辺部532とは接触していない。その代わりに、ここでは物品10の口側端部分11は、二つの保持部材560A、560Bのそれぞれの係合部分の間にクランプ留めされている。本発明の第四の実施形態の配設は有利なことに、物品10がチャンバー40内で中央に保持されていて、かつチャンバー40の壁から均等に間隙を介していることを意味することができる。これは、装置20の中に挿入されている物品10によって発生されるエアロゾルの一貫性を改善する場合がある。
【0064】
図6A~
図6Cは、本発明の第四の実施形態によるエアロゾル発生装置20の上面図を図示する。第四の実施形態は第一、第二、および第三の実施形態と類似している。しかしながら、第四の実施形態において、保持機構は、ハウジング30の上部壁631の外表面上に配置されていない第一の保持部材660Aおよび第二の保持部材660Bを備える。その代わりに、第一の保持部材660Aおよび第二の保持部材660Bは、ハウジング30の上部壁631の内表面の下にある。
図6Aは、それぞれの第一の位置にある時の第一の保持部材および第二の保持部材を示す。この位置において、開口部40は、ハウジング30の上部壁631に形成された実質的に円形の穴の周辺部632によってのみ画定されている。すなわち、
図3Aの上面図から見た通り、周辺部632のみが開口部40の断面積を画定する。
【0065】
図6Aにおいて、第一の保持部材660Aおよび第二の保持部材660Bは、完全にハウジング30の上部壁631の内表面の下にあり、従ってユーザーには見えない、またはアクセス可能ではない。しかしながら、
図6Bおよび
図6Cに示す通り、第一の保持部材660Aおよび第二の保持部材660Bがそれぞれの第二の位置に動いた時に、第一の保持部材660Aおよび第二の保持部材660Bの少なくとも一部分は、完全にハウジング30の上部壁631の下にならないが、その代わりに装置20の外部に露出されるように、開口部40に向かって動く。この構成において、開口部40のサイズは、露出されている第一の保持部材660Aおよび第二の保持部材660Bの面積だけ低減されている。すなわち、開口部40は、ここでは第一の保持部材660Aおよび第二の保持部材660Bの係合縁664A、664Bによってのみ画定されている。各係合縁部664A、664Bは凹形状である。
【0066】
第四の実施形態の保持機構は、ハウジング30の上部壁631の外表面上に制御部材668をさらに備える。制御部材668の作動によって第一の保持部材660Aおよび第二の保持部材660Bが第一の位置と第二の位置の間で動くように、制御部材668は第一の保持部材660Aおよび第二の保持部材660Bに連結されている。
図6A~
図6Cの実施形態において、制御部材668は、ユーザーが摺動して第一の保持部材660Aおよび第二の保持部材660Bの各々をそのそれぞれの第一位置と第二の位置の間で動かすことができる要素である。特に、ユーザーは、
図6Aに示す第一の位置から
図6Bおよび
図6Cに示す第二の位置にガイドトラック669に沿って要素668を摺動して、第一の保持部材660Aおよび第二の保持部材660Bの各々をそのそれぞれの第一の位置からそのそれぞれの第二の位置に動かすことができる。要素668は有利なことに、保持部材660A、660Bを動かすための便利な手段をユーザーに提供する。特に、保持部材がユーザーには実質的にアクセス不可能であるように、第一の位置で実質的にまたは完全にハウジングの上部壁の下にある一つ以上の保持部材を有する実施形態において、制御部材は有利である。
【0067】
第四の実施形態の第一の保持部材660Aおよび第二の保持部材660Bは、類似した形状を有する、かつハウジング30内のトラック(図示せず)に沿って第一の位置と第二の位置の間で摺動するように配設されている、
図3A~
図3Cに示す、第二の実施形態の保持部材360と実質的に類似している。第一の保持部材660Aおよび第二の保持部材660Bは、それらの間にエアロゾル発生物品10をクランプ留めするおよび解放するための制御部材668の動きに際して反対向きに摺動するように構成されている。当然のことながら、他の実施形態において、第一の保持部材および第二の保持部材は、旋回点を軸に旋回することによるなどのその他の方法で、第一の位置と第二の位置の間で動くように配設されてもよい。
【0068】
図7A~
図7Cは、本発明の第五の実施形態によるエアロゾル発生装置20の上面図を図示する。第五の実施形態は第四の実施形態と類似している。しかしながら、第五の実施形態において、保持機構は開口部40にアイリス絞りを備える(
図7Bを参照)。特に、複数の保持部材760A、760Bは、アイリス絞り配設の複数のブレードの形態で提供されている。各ブレード760A、760Bは、エアロゾル発生物品10を開口部40経由でチャンバーの中に挿入することができる第一の位置から動くように、かつエアロゾル発生物品10の口側端部分を開口部40内でブレードの間に中央の定位置で保持することができる第二の位置から動くように構成されていて、各ブレード760A、760Bは、ブレードが第一の位置にある時の開口部40のサイズと比べて開口部40のサイズを低減させている。これは、
図7Aおよび
図7Bから最もよく理解することができる。
【0069】
図7Aにおいて、保持部材ブレード760A、760Bは第一の位置にあり、かつ完全にハウジング30の上部壁731の内表面の下にある。従って、この構成において、開口部40は、ハウジング30の上部壁731に形成された実質的に円形の穴の周辺部732によってのみ画定されている。しかしながら、
図7Bに示す通り、保持部材ブレード760A、760Bが第二の位置に動く時に、開口部40のサイズは、露出されるブレードの面積によって低減される。結果として、ここで開口部40は、アイリス絞り配設のブレードの係合縁によってのみ画定されている。ブレードの動きは、
図6A~
図6Cに関して上述したものと類似した様態で、ガイドトラック769に沿って制御部材768を摺動することによって制御されることができる。