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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   H10K 59/38 20230101AFI20240208BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20240208BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240208BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20240208BHJP
   H05B 33/04 20060101ALI20240208BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20240208BHJP
   H05B 33/14 20060101ALI20240208BHJP
   H10K 50/115 20230101ALI20240208BHJP
   H10K 50/844 20230101ALI20240208BHJP
   H10K 50/856 20230101ALI20240208BHJP
【FI】
H10K59/38
G02B5/20
G09F9/30 349A
G09F9/30 349Z
G09F9/30 365
H05B33/02
H05B33/04
H05B33/12 E
H05B33/14 Z
H10K50/115
H10K50/844
H10K50/856
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020530746
(86)(22)【出願日】2019-07-09
(86)【国際出願番号】 IB2019055820
(87)【国際公開番号】W WO2020016701
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】P 2018136888
(32)【優先日】2018-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】青山 智哉
(72)【発明者】
【氏名】楠 紘慈
(72)【発明者】
【氏名】吉住 健輔
【審査官】横川 美穂
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-218151(JP,A)
【文献】国際公開第2013/021941(WO,A1)
【文献】特開2017-181901(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0173053(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0190747(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/00-33/28
H10K 50/00-102/20
G02B 5/20
G09F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の発光素子と、保護層と、光学機能層と、波長変換層と、着色層と、を有し、
前記第1の発光素子を覆う保護層を有し、
前記光学機能層は、前記保護層上に接して設けられ、
前記波長変換層は、前記光学機能層上に接して設けられ、
前記波長変換層は、前記第1の発光素子と重なる領域を有し、
前記着色層は、前記波長変換層の上面及び側面、並びに前記光学機能層の上面に接して設けられ、
前記第1の発光素子は、第1の光を射出する機能を有し、
前記波長変換層は、前記第1の光が入射され、前記第1の光よりも波長の長い第2の光を射出する機能を有し、
前記光学機能層は、前記第1の光を透過し、且つ、前記第2の光を反射する機能を有し、
前記着色層は、前記第2の光を透過し、且つ前記第1の光を遮光する機能を有する、表示装置。
【請求項2】
第1の発光素子と、第2の発光素子と、保護層と、光学機能層と、波長変換層と、着色層と、を有し、
前記第1の発光素子を覆う保護層を有し、
前記光学機能層は、前記保護層上に接して設けられ、
前記光学機能層は、前記第1の発光素子と重なる領域、及び前記第2の発光素子と重なる領域を有し、
前記波長変換層は、前記光学機能層上に接して設けられ、
前記波長変換層は、前記第1の発光素子と重なる領域を有し、
前記着色層は、前記波長変換層の上面及び側面、並びに前記光学機能層の上面に接して設けられ、
前記第1の発光素子及び前記第2の発光素子は、第1の光を射出する機能を有し、
前記波長変換層は、前記第の発光素子が発する前記第1の光が入射され、前記第1の光よりも波長の長い第2の光を射出する機能を有し、
前記光学機能層は、前記第1の光を透過し、且つ前記第2の光を反射する機能を有する、
前記着色層は、前記第2の光を透過し、且つ前記第1の光を遮光する機能を有する、表示装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記波長変換層は、量子ドットを含む、表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
前記光学機能層は、少なくとも波長が450nmの光に対する反射率が20%以下であり、且つ、波長が600nmの光に対する反射率が80%以上である、表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
前記光学機能層は、屈折率の異なる2種類の誘電体膜が交互に積層された、誘電体多層膜である、表示装置。
【請求項6】
請求項において、
前記保護層は、無機絶縁材料を含む第1の絶縁膜と、当該第1の絶縁膜上の、有機絶縁材料を含む第2の絶縁膜と、を有し、
前記光学機能層は、前記第2の絶縁膜上に接して設けられる、表示装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項5のいずれか一において、
前記第1の発光素子上に第1の基板を有し、
前記第1の基板の、前記第1の発光素子側の面に、前記波長変換層と、平坦化層と、前記光学機能層と、が、この順で積層して設けられる、表示装置。
【請求項8】
請求項において、
前記第1の基板と、前記波長変換層との間に、着色層を有し、
前記着色層は、前記第2の光を透過し、且つ、前記第1の光を遮光する機能を有する、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、表示装置に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、電子機器、照明装置、入力装置、入出力装置、それらの駆動方法、又はそれらの製造方法、を一例として挙げることができる。半導体装置は、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指す。
【背景技術】
【0003】
近年、表示装置が組み込まれた電子機器の多様化が進んでいる。例えば、デジタルサイネージやテレビジョン装置などの大画面の機器、スマートフォンやタブレット端末などの中小型の画面を有する機器、さらには、仮想現実(VR:Virtual Reality)、または拡張現実(AR:Augmented Reality)向けの、超小型の画面を有する機器などがある。
【0004】
電子機器の多様化に伴い、これに組み込まれる表示装置もまた、多様化が進んでいる。例えば表示装置としては、液晶表示装置、有機EL(Electro Luminescence)素子や発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)等の発光素子を備える発光装置、電気泳動方式などにより表示を行う電子ペーパなどが挙げられる。
【0005】
例えば、有機EL素子の基本的な構成は、一対の電極間に発光性の有機化合物を含む層を挟持したものである。この素子に電圧を印加することにより、発光性の有機化合物から発光を得ることができる。このような有機EL素子が適用された表示装置は、液晶表示装置等で必要であったバックライトが不要なため、薄型、軽量、高コントラストで且つ低消費電力な表示装置を実現できる。例えば、有機EL素子を用いた表示装置の一例が、特許文献1に記載されている。
【0006】
また、発光素子の色変換(波長変換)材料として量子ドットを用いることが検討されている。量子ドットは、直径数nmの半導体ナノ結晶であり、サイズを変更することによって容易に発光波長を調整することができる。例えば特許文献2には、有機EL素子からの光波長変換する層に、量子ドットを含有する硬化性樹脂組成物を用いる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2002-324673号公報
【文献】国際公開WO2016/098570号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
量子ドットからの発光は指向性が低いため、量子ドットで色変換された光の多くは、発光素子側にも射出され、表示に寄与しないといった課題がある。そのため、量子ドット自体の光変換効率を向上させたとしても、表示装置の電力効率や光取り出し効率を十分に高めることが困難であった。
【0009】
本発明の一態様は、光取り出し効率の高い表示装置を提供することを課題の一とする。または、電力効率の高い表示装置を提供することを課題の一とする。または、低消費電力な表示装置を提供することを課題の一とする。または、表示品位の高い表示装置を提供することを課題の一とする。
【0010】
または、信頼性の高い表示装置を提供することを課題の一とする。または、新規な構成を有する表示装置、または電子機器等を提供することを課題の一とする。
【0011】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様は、第1の発光素子と、波長変換層と、光学機能層と、を有する表示装置である。波長変換層は、光学機能層を介して第1の発光素子と重ねて設けられる。第1の発光素子は、第1の光を射出する機能を有する。波長変換層は、第1の光が入射され、第1の光よりも波長の長い第2の光を射出する機能を有する。また、光学機能層は、第1の光を透過し、且つ、第2の光を反射する機能を有する。
【0013】
また、本発明の他の一態様は、第1の発光素子と、第2の発光素子と、波長変換層と、光学機能層と、を有する、表示装置である。光学機能層は、第1の発光素子と重なる領域、及び第2の発光素子と重なる領域を有する。第1の発光素子及び第2の発光素子は、第1の光を射出する機能を有する。波長変換層は、光学機能層を介して第1の発光素子と重ねて設けられる。波長変換層は、第2の発光素子が発する第1の光が入射され、第1の光よりも波長の長い第2の光を射出する機能を有する。また光学機能層は、第1の光を透過し、且つ第2の光を反射する機能を有する。
【0014】
また、上記において、波長変換層は、量子ドットを含むことが好ましい。
【0015】
また、上記において、光学機能層は、少なくとも波長が450nmの光に対する反射率が20%以下であり、且つ、波長が600nmの光に対する反射率が80%以上であることが好ましい。
【0016】
また、上記において、光学機能層は、屈折率の異なる2種類の誘電膜が交互に積層された、誘電体多層膜であることが好ましい。
【0017】
また、上記において、第1の発光素子を覆う保護層を有することが好ましい。このとき、光学機能層は、保護層上に接して設けられ、波長変換層は、光学機能層上に接して設けられることが好ましい。
【0018】
また、上記において、保護層は、無機絶縁材料を含む第1の絶縁膜と、当該第1の絶縁膜上の、有機絶縁材料を含む第2の絶縁膜と、を有することが好ましい。このとき、光学機能層は、第2の絶縁膜上に接して設けられることが好ましい。
【0019】
また、上記において、波長変換層上に着色層を有することが好ましい。着色層は、第2の光を透過し、且つ第1の光を遮光する機能を有する。また、着色層は、波長変換層の上面及び側面、並びに光学機能層の上面に接して設けられることが好ましい。
【0020】
また、上記において、第1の発光素子上に第1の基板を有し、第1の基板の、第1の発光素子側の面に、波長変換層と、平坦化層と、光学機能層と、が、この順で積層して設けられる構成を有することが好ましい。
【0021】
また、上記において、第1の基板と、波長変換層との間に、着色層を有することが好ましい。このとき、着色層は、第2の光を透過し、且つ、第1の光を遮光する機能を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一態様によれば、光取り出し効率の高い表示装置を提供できる。または、電力効率の高い表示装置を提供できる。または、低消費電力な表示装置を提供できる。または、表示品位の高い表示装置を提供できる。
【0023】
本発明の一態様によれば、信頼性の高い表示装置を提供できる。または、新規な構成を有する表示装置、または電子機器等を提供できる。
【0024】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1(A)は、表示装置の構成例を示す図である。図1(B)は、光学機能層の光学特性を示す図である
図2図2(A)乃至図2(C)は、光学機能層の光学特性を示す図である
図3図3(A)乃至図3(D)は、発光素子の構成例を示す図である
図4図4(A)及び図4(B)は、表示装置の構成例を示す図である
図5図5(A)及び図5(B)は、表示装置の構成例を示す図である
図6図6(A)及び図6(B)は、表示装置の構成例を示す図である
図7図7(A)及び図7(B)は、表示装置の構成例を示す図である
図8図8(A)及び図8(B)は、表示装置の構成例を示す図である
図9図9(A)乃至図9(C)は、表示装置の構成例を示す図である
図10図10は、表示装置の構成例を示す図である
図11図11は、表示装置の構成例を示す図である
図12図12は、表示装置の構成例を示す図である
図13図13(A)は、表示装置のブロック図である。図13(B)は、回路図である
図14図14(A)及び図14(C)は、表示装置の回路図である。図14(B)は、タイミングチャートである
図15図15(A)及び図15(B)は、表示モジュールの構成例を示す図である
図16図16(A)及び図16(B)は、電子機器の構成例を示す図である
図17図17(A)乃至図17(E)は、電子機器の構成例を示す図である
図18図18(A)乃至図18(G)は、電子機器の構成例を示す図である
図19図19(A)乃至図19(D)は、電子機器の構成例を示す図である
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。ただし、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0027】
なお、本明細書で説明する各図において、各構成要素の大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
【0028】
なお、本明細書等における「第1」、「第2」等の序数詞は、構成要素の混同を避けるために付すものであり、数的に限定するものではない。
【0029】
なお、以下では「上」、「下」などの向きを示す表現は、基本的には図面の向きと合わせて用いるものとする。しかしながら、説明を容易にするためなどの目的で、明細書中の「上」または「下」が意味する向きが、図面とは一致しない場合がある。一例としては、積層体等の積層順(または形成順)などを説明する場合に、図面において当該積層体が設けられる側の面(被形成面、支持面、接着面、平坦面など)が当該積層体よりも上側に位置していても、その向きを下、これとは反対の向きを上、などと表現する場合がある。
【0030】
また、本明細書等において、「膜」という用語と、「層」という用語とは、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」や「絶縁層」という用語は、「導電膜」や「絶縁膜」という用語に相互に交換することが可能な場合がある。
【0031】
なお、本明細書において、EL層とは発光素子の一対の電極間に設けられ、少なくとも発光性の物質を含む層(発光層とも呼ぶ)、または発光層を含む積層体を示すものとする。
【0032】
本明細書等において、表示装置の一態様である表示パネルは表示面に画像等を表示(出力)する機能を有するものである。したがって表示パネルは出力装置の一態様である。
【0033】
また、本明細書等では、表示パネルの基板に、例えばFPC(Flexible Printed Circuit)もしくはTCP(Tape Carrier Package)などのコネクターが取り付けられたもの、または基板にCOG(Chip On Glass)方式等によりICが実装されたものを、表示パネルモジュール、表示モジュール、または単に表示パネルなどと呼ぶ場合がある。
【0034】
なお、本明細書等において、表示装置の一態様であるタッチパネルは表示面に画像等を表示する機能と、表示面に指やスタイラスなどの被検知体が触れる、押圧する、または近づくことなどを検出するタッチセンサとしての機能と、を有する。したがってタッチパネルは入出力装置の一態様である。
【0035】
タッチパネルは、例えばタッチセンサ付き表示パネル(または表示装置)、タッチセンサ機能つき表示パネル(または表示装置)とも呼ぶことができる。タッチパネルは、表示パネルとタッチセンサパネルとを有する構成とすることもできる。または、表示パネルの内部または表面にタッチセンサとしての機能を有する構成とすることもできる。
【0036】
また、本明細書等では、タッチパネルの基板に、コネクターやICが実装されたものを、タッチパネルモジュール、表示モジュール、または単にタッチパネルなどと呼ぶ場合がある。
【0037】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置の構成例について説明する。
【0038】
本発明の一態様は、第1の画素、及び第2の画素を有する。第2の画素は、第1の光を呈する画素である。また、第1の画素は、第1の光とは異なる色の第2の光を呈する画素である。
【0039】
第1の画素は、第2の画素が呈する第1の光よりも長波長の第2の光を呈する画素である。例えば、第2の画素は青色、藍色、紫色、またはシアンの光を呈する画素である。また、第1の画素は、黄色、緑色、赤色、橙色、マゼンタ、または白色の光を呈する画素である。
【0040】
第1の画素は、第1の発光素子と、波長変換層と、光学機能層と、を有する。また、第2の画素は、第2の発光素子と、光学機能層と、を有する。
【0041】
第1の発光素子と、第2の発光素子とは、それぞれ第1の光を呈する素子である。
【0042】
波長変換層は、上記第1の光が入射されたときに、第1の光よりも長波長の第2の光を呈する機能を有する。
【0043】
光学機能層は、第1の光を透過し、且つ第2の光を反射する機能を有する。
【0044】
第2の画素は、第2の発光素子と、光学機能層とが重畳して設けられる。第2の画素は、第2の発光素子から発せられる第1の光が、光学機能層を透過して、外部に射出される。したがって、第2の画素は、第1の光を呈する画素である。
【0045】
一方、第1の画素は、第1の発光素子と、光学機能層と、波長変換層とがこの順で重ねて設けられる。第1の画素は、第1の発光素子から発せられる第1の光が、光学機能層を透過して、波長変換層に入射し、第1の光よりも長波長の第2の光が、外部に射出される。したがって、第1の画素は、第1の光よりも長波長の第2の光を呈する画素である。
【0046】
ここで、第1の画素において、波長変換層が発する第2の光のうち、光学機能層側に射出される光を、光学機能層によって反射し、外部に射出させることができる。これにより、より効率的に第2の光を外部に取り出すことができる。したがって、画素の光取り出し効率が向上するため、同じ輝度の光を取り出すための消費電力を低減することができる。
【0047】
また、第1の発光素子と第2の発光素子を、同じ構成とし、同じ材料を用いて同じ工程を経て作製することができるため、製造コストを低くできる上に、生産歩留まりを向上させることができる。
【0048】
なお、ここでは簡便のために2つの画素を有する構成について例示したが、異なる色を呈する3つ以上の画素を有する構成とすることで、フルカラーの表示を実現できる。例えば第3の画素として、第1の光を呈する第3の発光素子と、光学機能層と、第1の光を第3の光に変換する波長変換層と、を備える構成とすることができる。このとき、第1の光を青色の光、第2の光を緑色の光、第3の光を赤色の光、などとすることで、色再現性の高い表示が可能な表示装置を実現できる。
【0049】
以下では、より具体的な構成例について、図面を参照して説明する。
【0050】
[構成例1]
図1(A)は、本発明の一態様の表示装置10の断面概略図である。表示装置10は、青色の光Bを呈する画素11B、緑色の光Gを呈する画素11G、及び赤色の光Rを呈する画素11Rを有する。
【0051】
画素11B、画素11G、及び画素11Rはそれぞれ、青色の光Bを発する発光素子12Bと、発光素子12Bが発する光Bの光路上に、光学機能層13を有する。光学機能層13は、図1(A)に示すように、画素11B、画素11G、及び画素11Rに亘って設けられていてもよいし、各画素に個別に設けられていてもよい。
【0052】
また、画素11Gには、光学機能層13を透過する光Bの光路上に、波長変換層14Gを有する。波長変換層14Gは、光学機能層13を介して、発光素子12Bと重なる位置に設けられる。波長変換層14Gは、発光素子12Bから入射される青色の光Bを、緑色の光Gに変換して発光する機能を有する。
【0053】
また、画素11Rには、光学機能層13を透過する光Bの光路上に、波長変換層14Rを有する。波長変換層14Rは、光学機能層13を介して、発光素子12Bと重なる位置に設けられる。波長変換層14Rは、発光素子12Bから入射される青色の光Bを、赤色の光Rに変換して発光する機能を有する。
【0054】
光学機能層13は、発光素子12Bが発する青色の光Bを透過する機能と、波長変換層14Gが発する緑色の光G、及び波長変換層14Rが発する赤色の光Rを反射する機能と、を有する。
【0055】
画素11Bにおいて、発光素子12Bから発せられた光Bは、光学機能層13を透過して、外部に射出される。
【0056】
画素11Gにおいて、波長変換層14Gが発する光Gのうち、発光素子12B側に射出された光は、光学機能層13によって反射し、視認側に射出される。
【0057】
同様に、画素11Rにおいて、波長変換層14Rが発する光Rのうち、発光素子12B側に射出された光は、光学機能層13によって反射し、視認側に射出される。
【0058】
このように、光学機能層13によって、緑色の光を呈する画素11Gと、赤色の光を呈する画素11Rにおける光取り出し効率を極めて高くすることができる。
【0059】
〔光学機能層13〕
光学機能層13としては、あるしきい値波長を境に、反射と透過が入れ替わる光学特性を有する、ダイクロイックミラー(dichroic mirror)(誘電体多層膜ミラー、多層膜ミラーとも呼ぶ)を用いることができる。特に、あるしきい値波長を境に、これよりも短波長側の光を透過し、長波長側の光を反射する、ショートパスダイクロイックミラー(short pass dichroic mirror)を好適に用いることができる。
【0060】
または、光学機能層13として、特定の波長領域の光を透過し、それ以外の波長の光を反射する、バンドパスフィルタや、干渉フィルタ等を用いることもできる。
【0061】
光学機能層13としては、例えば誘電率の異なる2種類以上の誘電体膜を積層した積層体膜を用いることができる。例えば、誘電率の異なる2つの誘電体膜を、交互に10層以上、好ましくは20層以上、より好ましくは30層以上積層した、誘電体多層膜で構成される積層体膜を用いることが好ましい。このような積層体膜は光の吸収がほとんどないため、高い透過率と高い反射率実現されるだけでなくの吸収による劣化が生じにくい。また、光の吸収による温度の上昇もないため、熱による発光素子の劣化を助長することがなく、好ましい。
【0062】
光学機能層13に用いることのできる誘電体膜としては、酸化チタン膜(TiO、TiO等)、酸化アルミニウム膜(Al等)、酸化ハフニウム膜(HfO等)、フッ化マグネシウム膜(MgF等)、酸化シリコン膜(SiO等)などの、使用する波長領域(特に可視光領域)における吸収が極めて小さい無機絶縁膜を用いることが好ましい。なお、有機絶縁膜を用いることができる場合もある。
【0063】
光学機能層13に用いることのできる誘電体膜は、抵抗加熱蒸着法、電子線蒸着法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法、PLD(Pulsed Laser Deposition)法、IBAD(Ion Beam Assisted Deposition)法、プラズマCVD(PECVD:Plasma Enhanced CVD)法、熱CVD(TCVD:Thermal CVD)法、ALD(Atomic Layer Deposition)法、PEALD(Plasma Enhanced ALD)法、スパッタリング法などの各種成膜方法により成膜することができる。
【0064】
図1(B)に、光学機能層13の理想的な光学特性を示している。図1(B)において、縦軸は反射率(reflectance)を、横軸は波長(wavelength)を示している。ここでは、光学機能層13として、しきい値波長λthを境に短波長側の光を透過し、長波長側の光を反射する、ショートパスダイクロイックミラーを用いた場合の例を示している。
【0065】
しきい値波長λthは、青の波長領域と緑の波長領域の境界に位置する波長、または青の波長領域中の波長とすることが好ましい。例えば、しきい値波長λthは、460nm以上520nm以下、好ましくは480nm以上510nm以下の波長とすることができる。
【0066】
ここで、しきい値波長λthを、青の波長領域(例えば460nm乃至500nm)内に位置させることで、光学機能層13を、より純度の高い青色の光のみを透過させるフィルタとして機能させることができるため、表示装置の色再現性を高めることができる。
【0067】
ここで、光学機能層13は、少なくとも波長450nmの光に対する反射率が、20%以下、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下であり、且つ、波長600nmの光に対する反射率が、80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上であることが好ましい。なお、光学機能層13の光学特性が入射角に依存する場合には、少なくとも垂直入射の光に対する反射率が、上記の範囲内であることが好ましい。
【0068】
図2(A)は、光学機能層13として、しきい値波長λth1としきい値波長λth2の間の波長領域の光を透過し、それ以外の波長領域の光を反射する、バンドパスフィルタを用いた場合の、理想的な光学特性を示している。
【0069】
ここで、短波長側のしきい値波長λth1としては、可視光領域の波長とすることができる。例えばしきい値波長λth1は、350nm以上440nm以下、好ましくは360nm以上420nm以下の波長とすることができる。また、長波長側のしきい値波長λth2の好ましい値としては、図1(B)で例示したダイクロイックミラーにおけるしきい値波長λthを援用することができる。
【0070】
また、図2(B)では、近紫外領域の光(例えば350nm未満)を透過する場合の例を示している。可視光領域に加えて、近紫外領域の光を用いることで、波長変換層14Gや波長変換層14Rに入射する光の量を増やすことができ、発光効率や電力効率を高めることができる。
【0071】
このとき、短波長側のしきい値波長λth3としては、250nm以上350nm未満、好ましくは300nm以上350nm未満の波長とすることができる。また、長波長側のしきい値波長λth4の好ましい値としては、上記しきい値波長λthを援用することができる。
【0072】
なお、発光素子12Bに近紫外領域の光を射出する素子を用い、且つ、光学機能層13に、近紫外領域の光を透過する多層膜を用いた場合、青色の画素11Bには、青色の光を透過するカラーフィルタや、近紫外領域の光を吸収する絶縁膜などを設け、ユーザの目に近紫外領域の光が到達しないようにすることが好ましい。
【0073】
なお、図1(B)、図2(A)、及び図2(B)では、光学機能層13の理想的な光学特性を示したが、実際には、図2(C)に示すように、光学機能層13の反射率は波長に対して緩やかに変化する。この場合の光学機能層13のしきい値波長λthは、以下で説明する波長とすることができる。すなわち、図2(C)に示すように、透過領域側における反射率をr、反射領域側における反射率をrとしたとき、反射率がこれらの中央値((r+r)/2)となる波長を、しきい値波長λthとすることができる。ここで、透過領域及び反射領域の反射率に波長依存性があり、一義的に定まらない場合には、透過領域における反射率の最小値または平均値をr、反射領域における反射率の最大値または平均値をrとすることができる。
【0074】
〔波長変換層14G、14R〕
波長変換層14G及び波長変換層14R(以下、まとめて波長変換層14とも呼ぶ)としては、蛍光材料、または量子ドット(QD:Quantum dot)を用いることが好ましい。特に、量子ドットは、発光スペクトルのピーク幅が狭く、変換効率が高く、色純度の高い発光を得ることができる。これにより、色再現性が高く、表示品位の高い表示装置を実現できる。
【0075】
波長変換層14としては、有機樹脂中に蛍光体または量子ドットを分散させた形態とすることができる。有機樹脂としては、発光素子12Bが発する光、及び波長変換層14が発する光に対して透光性を有する、硬化性の材料を用いることができる。
【0076】
波長変換層14は、例えば、液滴吐出法(例えばインクジェット法)、塗布法、インプリント法、各種印刷法(スクリーン印刷、オフセット印刷)等を用いて形成することができる。また、有機樹脂として感光性の樹脂材料を用いることで、有機樹脂をスピンコート法等で塗布した後に、露光処理、現像処理を経て、任意の形状に加工することにより形成してもよい。
【0077】
量子ドットを構成する材料としては、特に限定は無く、例えば、第14族元素、第15族元素、第16族元素、複数の第14族元素からなる化合物、第4族から第14族に属する元素と第16族元素との化合物、第2族元素と第16族元素との化合物、第13族元素と第15族元素との化合物、第13族元素と第17族元素との化合物、第14族元素と第15族元素との化合物、第11族元素と第17族元素との化合物、酸化鉄類、酸化チタン類、カルコゲナイドスピネル類、半導体クラスターなどが挙げられる。
【0078】
具体的には、セレン化カドミウム、硫化カドミウム、テルル化カドミウム、セレン化亜鉛、酸化亜鉛、硫化亜鉛、テルル化亜鉛、硫化水銀、セレン化水銀、テルル化水銀、砒化インジウム、リン化インジウム、砒化ガリウム、リン化ガリウム、窒化インジウム、窒化ガリウム、アンチモン化インジウム、アンチモン化ガリウム、リン化アルミニウム、砒化アルミニウム、アンチモン化アルミニウム、セレン化鉛、テルル化鉛、硫化鉛、セレン化インジウム、テルル化インジウム、硫化インジウム、セレン化ガリウム、硫化砒素、セレン化砒素、テルル化砒素、硫化アンチモン、セレン化アンチモン、テルル化アンチモン、硫化ビスマス、セレン化ビスマス、テルル化ビスマス、ケイ素、炭化ケイ素、ゲルマニウム、錫、セレン、テルル、ホウ素、炭素、リン、窒化ホウ素、リン化ホウ素、砒化ホウ素、窒化アルミニウム、硫化アルミニウム、硫化バリウム、セレン化バリウム、テルル化バリウム、硫化カルシウム、セレン化カルシウム、テルル化カルシウム、硫化ベリリウム、セレン化ベリリウム、テルル化ベリリウム、硫化マグネシウム、セレン化マグネシウム、硫化ゲルマニウム、セレン化ゲルマニウム、テルル化ゲルマニウム、硫化錫、セレン化錫、テルル化錫、酸化鉛、フッ化銅、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅、酸化銅、セレン化銅、酸化ニッケル、酸化コバルト、硫化コバルト、酸化鉄、硫化鉄、酸化マンガン、硫化モリブデン、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化タンタル、酸化チタン、酸化ジルコニウム、窒化ケイ素、窒化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、セレンと亜鉛とカドミウムの化合物、インジウムと砒素とリンの化合物、カドミウムとセレンと硫黄の化合物、カドミウムとセレンとテルルの化合物、インジウムとガリウムと砒素の化合物、インジウムとガリウムとセレンの化合物、インジウムとセレンと硫黄の化合物、銅とインジウムと硫黄の化合物、及びこれらの組み合わせなどが挙げられる。また、組成が任意の比率で表される、いわゆる合金型量子ドットを用いてもよい。
【0079】
量子ドットの構造としては、コア型、コア-シェル型、コア-マルチシェル型などが挙げられる。また、量子ドットは、表面原子の割合が高いことから、反応性が高く、凝集が起こりやすい。そのため、量子ドットの凝集を防ぎ、分散媒への分散性を高めるため、量子ドットの表面には保護剤が付着している又は保護基が設けられていることが好ましい。まこれにより、反応性を低減させ、電気的安定性を向上させることもできる
【0080】
量子ドットは、サイズが小さくなるに従いバンドギャップが大きくなるため、所望の波長の光が得られるように、そのサイズを適宜調整する。結晶のサイズが小さくなるにつれて、量子ドットの発光は青色側へ、つまり、高エネルギー側へシフトするため、量子ドットのサイズを変更させることにより、紫外領域、可視領域、赤外領域のスペクトルの波長領域にわたって、その発光波長を調整することができる。量子ドットのサイズ(直径)は、例えば、0.5nm以上20nm以下、好ましくは1nm以上10nm以下である。量子ドットはそのサイズ分布が狭いほど、発光スペクトルがより狭線化し、色純度の良好な発光を得ることができる。また、量子ドットの形状は球状に限定されず、棒状、円盤状、その他の形状であってもよい。棒状の量子ドットである量子ロッドは、指向性を有する光を呈する機能を有する。
【0081】
〔発光素子12B〕
発光素子12Bは、青色の光Bを発する素子である。発光素子12Bとしては、例えば有機EL素子(OLED:Organic Light Emitting Diode)、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)、QLED(Quantum-dot Light Emitting Diode)、半導体レーザなどの自発光性の発光素子を好適に用いることができる。特に、有機EL素子を用いることが好ましい。なお、発光素子12Bとして、青色の光に加えて、またはえて、近紫外領域の光を発する発光素子を用いることもできる。
【0082】
以下では、発光素子12Bに用いることのできる構成の例について説明する。
【0083】
図3(A)に、シングル構造の発光素子の具体例を示す。図3(A)に示す発光素子は、第1の電極51及び第2の電極52の間にEL層53Bを有し、EL層53Bでは、正孔注入層61、正孔輸送層62、発光層63、電子輸送層64、及び電子注入層65が、第1の電極51側からこの順に積層されている。
【0084】
発光層63は、青色の光を呈する発光物質を少なくとも有する。発光物質としては、特に限定は無く、蛍光を発する物質(蛍光材料)、燐光を発する物質(燐光材料)、熱活性化遅延蛍光を示す物質(熱活性化遅延蛍光(Thermally activated delayed fluorescence:TADF)材料)、無機化合物(量子ドット材料など)を用いることができる。
【0085】
第1の電極51及び第2の電極52には、それぞれ透明電極、透性及び反射性を有する電極、または反射電極を用いることができる。例えば、透明電極の可視光の透過率は40%以上とし、透性及び反射性を有する電極の可視光の反射率は20%以上80%以下、好ましくは40%以上70%以下とし、反射電極の可視光の反射率は、40%以上100%以下、好ましくは70%以上100%以下とすることができる。なお、上述の透過率及び反射率は、可視光全域に対するものであってもよいが、少なくとも発光層63が発する光に対するものであればよい。
【0086】
図3(B)乃至図3(D)に、タンデム構造の発光素子の具体例を示す。3(B)乃至図3(D)に示す発光素子は、第1の電極51及び第2の電極52の間に複数の発光ユニットを有する。つの発光ユニットの間には、電荷発生層59を設けることが好ましい。各発光ユニットは、青色の光を呈する。なお、複数の発光ユニットは、同じ発光物質を有していてもよく、異なる発光物質を有していてもよい。
【0087】
例えば、図3(B)に示すEL層53Bは、発光ユニット60B(1)と発光ユニット60B(2)との間に、電荷発生層59を有する。
【0088】
電荷発生層59は、第1の電極51と第2の電極52に電圧を印加したときに、発光ユニット60B(1)及び発光ユニット60B(2)のうち、一方に電子を注入し、他方に正孔(ホール)を注入する機能を有する。従って、図3(B)において、第1の電極51に第2の電極52よりも電位が高くなるように電圧を印加すると、電荷発生層59から発光ユニット60B(1)に電子が注入され、発光ユニット60B(2)に正孔が注入されることとなる。
【0089】
なお、電荷発生層59は、光の取り出し効率の点から、可視光を透過する(具体的には、電荷発生層59の可視光の透過率が、40%以上である)ことが好ましい。また、電荷発生層59は、第1の電極51や第2の電極52よりも低い導電率であっても機能する。
【0090】
図3(C)に示すEL層53Bは、第1の発光ユニット60B(1)と第2の発光ユニット60B(2)との間に、電荷発生層59を有し、第2の発光ユニット60B(2)と第3のEL層53B(3)との間に、電荷発生層59を有する。また、図3(D)に示す発光素子は、EL層をn層(nは2以上の自然数)有し、各EL層の間には、電荷発生層59を有する。
【0091】
発光ユニット60B(m)と発光ユニット60B(m+1)の間に設けられた電荷発生層59における電子と正孔の挙動について説明する。第1の電極51と第2の電極52の間に、発光素子の閾値電圧より高い電圧を印加すると、電荷発生層59において正孔と電子が発生し、正孔は第2の電極52側に設けられた発光ユニット60B(m+1)へ移動し、電子は第1の電極51側に設けられた発光ユニット60B(m)へ移動する。発光ユニット60B(m+1)に注入された正孔は、第2の電極52側から注入された電子と再結合し、発光ユニット60B(m+1)に含まれる発光物質が発光する。また、発光ユニット60B(m)に注入された電子は、第1の電極51側から注入された正孔と再結合し、発光ユニット60B(m)に含まれる発光物質が発光する。よって、電荷発生層59において発生した正孔と電子は、それぞれ異なる発光ユニットにおいて発光に至る。
【0092】
なお、発光ユニット同士を接して設けることで、両者の間に電荷発生層と同じ構成が形成される場合は、電荷発生層を介さずに発光ユニット同士を接して設けることができる。例えば、発光ユニットの一方の面に電荷発生領域が形成されている場合、その面に接して発光ユニットを設けることができる。
【0093】
タンデム構造の発光素子は、シングル構造の発光素子に比べて、電流効率が高く、同一の輝度で光らせる場合に必要な電流が少ない。そのため、発光素子の寿命が長く、表示装置の信頼性を高めることができる。
【0094】
各発光ユニットの発光物質は、特に限定されない。信頼性を高めるため、蛍光発光の発光ユニットが複数積層されていることが好ましい。また、蛍光発光の発光ユニットと、燐光発光の発光ユニットと、がそれぞれ1つ以上積層されていてもよい。
【0095】
また、青色の光のみを強めるために、第1の電極51を、反射性を有する電極(反射電極)とし、第2の電極52を、透性及び反射性を有する電極とし、微小光共振器(マイクロキャビティ)構造としてもよい。マイクロキャビティ構造とすることにより、EL層53Bに含まれる発光層から得られる発光を両電極間で共振させ、第2の電極52を透過して射出される発光を強めることができる。
【0096】
第1の電極51と第2の電極52との間に、光学調整層として、透光性を有する導電膜(透明導電膜)を用い、当該透明導電膜の膜厚を制御することにより光学調整を行うことができる。なお、光学調整層も、発光素子の一部とみなすことができる。例えば、反射電極と光学調整層との積層構造を、第1の電極51に適用してもよい。また、EL層53Bに含まれる機能層の1つまたは複数を用いて、第1の電極51と第2の電極52との光学距離を調整してもよい。
【0097】
具体的には、発光層から得られる光の波長λに対して、第1の電極51と、第2の電極52との電極間距離がmλ/2(ただし、mは自然数)近傍となるように調整するのが好ましい。
【0098】
また、発光層から得られる所望の光(波長:λ)を増幅させるために、第1の電極51から発光層の所望の光が得られる領域(発光領域)までの光学距離と、第2の電極52から発光層の所望の光が得られる領域(発光領域)までの光学距離と、をそれぞれ(2m’+1)λ/4(ただし、m’は自然数)近傍となるように調節するのが好ましい。なお、ここでいう発光領域とは、発光層における正孔(ホール)と電子との再結合領域を示す。
【0099】
このような光学調整を行うことにより、発光層から得られる特定の単色光(本実施の形態では、青色の光)のスペクトルを狭線化させ、色純度のよい発光を得ることができる。
【0100】
但し、上記の場合、第1の電極51と第2の電極52との光学距離は、厳密には第1の電極51における反射領域から第2の電極52における反射領域までの総厚ということができる。しかし、第1の電極51や第2の電極52における反射領域を厳密に決定することは困難であるため、第1の電極51と第2の電極52の任意の位置を反射領域と仮定することで充分に上述の効果を得ることができるものとする。また、第1の電極51と、所望の光が得られる発光層との光学距離は、厳密には第1の電極51における反射領域と、所望の光が得られる発光層における発光領域との光学距離であるということができる。しかし、第1の電極51における反射領域や、所望の光が得られる発光層における発光領域を厳密に決定することは困難であるため、第1の電極51の任意の位置を反射領域、所望の光が得られる発光層の任意の位置を発光領域と仮定することで充分に上述の効果を得ることができるものとする。
【0101】
マイクロキャビティ構造を有することで、青色の光の正面方向の発光強度を強めることができ、低消費電力化を図ることができる。
【0102】
以上が構成例1についての説明である。
【0103】
[構成例2]
以下では、本発明の一態様の表示装置のより具体的な構成例について説明する。
【0104】
〔構成例2-1〕
図4(A)は、表示装置100の断面概略図である。図4(A)には、青色の画素120B、緑色の画素120G、及び赤色の画素120Rをそれぞれ示している。
【0105】
図4(A)において、基板101と基板102との間に、3つの発光素子110B、保護層140、光学機能層121、波長変換層122G、波長変換層122R等を有する。また、基板101と基板102とは、接着層131で貼り合されている。接着層131は、光学機能層121、波長変換層122G、及び波長変換層122Rを覆って設けられている。
【0106】
発光素子110Bは、各画素に設けられている。発光素子110Bは、画素電極として機能する導電層111と、共通電極として機能する導電層113と、これらの間にEL層112と、を有する。EL層112は、青色を呈する発光材料を含む。また、導電層111は可視光(少なくとも青色の光)を反射し、導電層113は可視光(少なくとも青色の光)を透過する。したがって、表示装置100が有する発光素子110Bは、上面射出型(トップエミッション型)の青色の発光素子である。
【0107】
各画素が有する導電層111の端部を覆って、絶縁層115が設けられている。EL層112及び導電層113は、各画素に亘って設けられている。このような構成とすることで、画素毎にEL層112を作り分ける必要がなく、高精細化や、高開口率化が容易となるため好ましい。
【0108】
発光素子110Bを覆って保護層140が設けられている。保護層140は、絶縁層141、絶縁層142、及び絶縁層143が順に積層された積層構造を有している。
【0109】
絶縁層141と絶縁層143には、透光性を有し、且つ水などの不純物が拡散しにくい無機絶縁膜を用いることが好ましい。例えば、酸化絶縁膜、窒化絶縁膜、または酸化窒化絶縁膜等を単層で、または積層して用いることが好ましい。代表的には、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、窒化アルミニウム膜などを用いることができる。
【0110】
また、絶縁層142としては、透光性を有する有機絶縁膜を用いることが好ましい。特に、絶縁層142が平坦化膜として機能することが好ましい。多くの場合、絶縁層141の被形成面は平坦でないため、絶縁層141にピンホールや低密度な部分が形成される場合がある。そのため、絶縁層141を平坦化膜として機能する絶縁層142で覆うことで、絶縁層143の被形成面を、滑らかで概略平坦な面とすることができるため、その上に緻密でバリア性の高い絶縁層143を形成することができる。
【0111】
光学機能層121は、保護層140上に設けられている。ここで、例えば光学機能層121の被形成面が、起伏の大きな凹凸形状を有する場合、光学機能層121の光学特性が場所によって異なってしまい、所望の光学特性が得られない場合がある。しかしながら、本構成例では、保護層140の上面の平坦性が高いため、光学機能層121を概略平坦面に形成することができ、高い精度の光学特性を有する光学機能層121を形成することができる。
【0112】
波長変換層122G及び波長変換層122Rは、それぞれ光学機能層121上に設けられている。
【0113】
〔構成例2-2〕
図4(B)に示す表示装置100Aは、拡散層124を有する点で、主に上記表示装置100と相違している。
【0114】
拡散層124は、画素120Bの光学機能層121上に設けられている。拡散層124は、発光素子110Bからの指向性の高い光を拡散する機能を有する。拡散層124により、画素120Bの輝度の視野角依存性を低減し、表示装置の視野角特性を向上させることができる。すなわち、表示面に対して斜め方向から見たときの輝度の低下や、色ずれを抑制することができる。
【0115】
拡散層124は、画素120Bから入射される青色の光の波長を変化させることなく拡散することができる。例えば、有機樹脂中に、透明の粒子が分散された形態とすることができる。透明の粒子としては、当該有機樹脂と屈折率が異なり、且つ青色の光に対して透光性の高い材料を用いることができる。例えばガラス(SiOなど)、酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化アルミニウムなどの無機材料の粒子、またはポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリル、ポリカーボネートなどの有機材料の粒子などが挙げられる。また、粒子の粒径は、1μm以上100μm以下程度とすることが好ましい。
【0116】
また、拡散層124として、多孔質の材料を用いてもよい。または、拡散層124を構成する樹脂等の中に、空気、酸素、窒素、希ガスなどの気泡が分散された材料を用いてもよいし、液晶材料、シリコンオイル、またはフッ素系不活性液体(パーフルオロカーボン等)などの、不活性な液体を含有する材料を用いてもよい。または、拡散層124として、青色の光を反射する粒子(例えば金属粒子など)が分散された構成としてもよい。
【0117】
拡散層124は、波長変換層122Gや波長変換層122Rと同様の方法で形成することができる。
【0118】
〔構成例2-3〕
図5(A)に示す表示装置100Bは、保護層140の構成が異なる点で、上記表示装置100と主に相違している。
【0119】
表示装置100において、保護層140は、絶縁層141、絶縁層142を有し、絶縁層143を有さない構成となっている。
【0120】
このとき、絶縁層142の上面に接する光学機能層121が、水などの拡散を防ぐバリア層としての機能を兼ねることができる。光学機能層121は、上述したように、無機絶縁膜の多層構造を有するため、光学機能層121は、水などの不純物に対するバリア性が極めて高いといった特徴を有する。
【0121】
このような構成とすることで、表示装置100と比較して製造工程を簡略化でき、製造コストを低減することができる。
【0122】
〔構成例2-4〕
図5(B)に示す表示装置100Cは、着色層123G及び着色層123Rを有する点で、上記表示装置100と主に相違している。
【0123】
着色層123Gは、画素120Gにおいて、波長変換層122G上に重ねて設けられている。また、着色層123Rは、画素120Rにおいて、波長変換層122R上に重ねて設けられている。
【0124】
着色層123Gは、緑色の光を透過し、それ以外の光を吸収または反射する機能を有する。また、着色層123Rは、赤色の光を透過し、それ以外の光を吸収または反射する機能を有する。
【0125】
ここで、波長変換層122Gや波長変換層122Rに入射される青色の光のうち、一部が波長変換されずに、基板102を介して外部に射出されてしまう場合がある。この時、例えば、緑色の光または赤色の光と、青色の光とが混色し、色純度が低下することで、表示装置の色再現性が低下してしまう恐れがある。そこで、波長変換層122Gまたは波長変換層122Rよりも基板102側に、それぞれ着色層123G、着色層123Rを配置することで、波長変換層122Gまたは波長変換層122Rを透過した青色の光が外部に射出されることを防ぐことができ、色再現性の低下を抑制することができる。
【0126】
着色層123G及び着色層123Rとしては、染料や顔料を含む樹脂材料を用いることができる。
【0127】
〔構成例2-5〕
図6(A)に示す表示装置100Dは、波長変換層122G、波長変換層122R、及び光学機能層121等が基板102側に設けられている点で、上記表示装置100と主に相違している。
【0128】
基板102の発光素子110B側の面には、波長変換層122G及び波長変換層122Rが設けられている。また波長変換層122G及び波長変換層122Rを覆って絶縁層135が設けられ、絶縁層135の発光素子110B側の面に光学機能層121が設けられている。
【0129】
絶縁層135は、平坦化膜として機能することが好ましい。これにより、波長変換層122G及び波長変換層122Rに起因する表面の段差の影響を無くし、光学機能層121の被形成面を平坦にすることができるため、光学機能層121の光学特性が位置によってばらつくことを防ぐことができる。
【0130】
また、基板101と基板102とを接着する接着層132が、発光素子110Bの導電層113と、光学機能層121との間に設けられている。
【0131】
ここでは、発光素子110Bを覆う保護層140を設けない場合の例を示している。上述のように、光学機能層121は水の浸入を防ぐバリア層としても機能するため、絶縁層135等に含まれる水分が発光素子110Bに拡散することを好適に防ぐことができる。なお、保護層140は必要であれば設けてもよい。
【0132】
〔構成例2-6〕
図6(B)に示す表示装置100Eは、着色層123G及び着色層123Rを有する点で、上記表示装置100Dと主に相違している。
【0133】
着色層123Gは、基板102と波長変換層122Gとの間に設けられている。また着色層123Rは、基板102と波長変換層122Rとの間に設けられている。
【0134】
〔構成例2-7〕
図7(A)に示す表示装置100Fは、発光素子110Bとして、下面射出型(ボトムエミッション型)の発光素子を用いた場合の例である。
【0135】
基板101上に、波長変換層122G及び波長変換層122Rが設けられ、これらを覆って、平坦化層として機能する絶縁層135が設けられている。また絶縁層135上に光学機能層121と、絶縁層136とが積層して設けられている。また絶縁層136上に、発光素子110B及び絶縁層115が設けられている。また、発光素子110Bと基板102との間に位置する接着層131により、基板101と基板102とが貼り合されている。
【0136】
発光素子110Bは、画素電極として機能する導電層111に、可視光(少なくとも青色の光)を透過する導電膜を用い、共通電極として機能する導電層113に、可視光(少なくとも青色の光)を反射する導電膜を用いることができる。なお、マイクロキャビティ構造とする場合には、導電層111には、可視光(少なくとも青色の光)に対して透性及び反射性を有する導電膜を用いる。
【0137】
〔構成例2-8〕
図7(B)に示す表示装置100Gは、発光素子110Bが設けられる基板と、波長変換層等が設けられる基板とが異なる点で、上記表示装置100Fと主に相違している。
【0138】
ボトムエミッション型の発光素子110Bは、基板103上に設けられている。また、基板103と基板102とが、接着層131で貼り合されている。
【0139】
基板101上には、着色層123G及び着色層123Rが設けられている。また、着色層123G上に波長変換層122Gが設けられ、着色層123R上に波長変換層122Rが設けられている。また、これらを覆って平坦化層として機能する絶縁層135が設けられ、絶縁層135上に光学機能層121が設けられている。
【0140】
基板103と光学機能層121との間に位置する接着層132によって、基板101と基板103とが貼り合されている。
【0141】
以上が、構成例2についての説明である。
【0142】
[構成例3]
以下では、発光素子としてLED素子を用いた場合の例を示す。
【0143】
〔構成例3-1〕
図8(A)に示す表示装置150は、発光素子160Bを有する。発光素子160Bは、青色の光を呈する、フェイスダウン型のLED素子である。フェイスダウン型のLEDを用いることで、遮光性のバンプや電極を発光面とは反対側に配置することができるため、有効発光面積を大きくでき、輝度や信頼性を向上させることができるため好ましい。
【0144】
発光素子160Bは、導電層161、半導体層162、導電層163、基板164等を有する。導電層161はアノードまたはカソードの一方として機能し、導電層163は他方として機能する。導電層161と導電層163の間に位置する半導体層162は、少なくともn型半導体層と、発光層と、p型半導体層とを有する。発光素子160Bは、基板164側に光を取り出すため、基板164及び導電層161には透光性を有する材料を用いることができる。基板164としては、代表的には、サファイヤ基板を用いることができる。
【0145】
発光素子160Bは、そのチップサイズが小さく、且つ配列する間隔が小さいほど、高精細な表示装置を実現できる。例えば発光素子160Bのチップサイズは、1mm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下、さらに好ましくは100μm以下、さらに好ましくは50μm以下であって、1μm以上とすることが好ましい。例えばチップサイズが100μm未満のものを、マイクロLEDと呼ぶことができる。
【0146】
半導体層162としては、例えば13族窒化物系化合物半導体を含む材料を用いることが好ましい。一例としては、InAlGa(1-x-y)N(xは0以上1以下、yは0以上1以下、x+yは0以上1以下)で表されるGaN系の材料を用いることができる。
【0147】
また、導電層161と導電層163には、それぞれ端子165が接続され、それぞれの端子165と、基板101上に設けられた端子168とが、バンプ166により接合されている。発光素子160Bは、基板101に設けられる端子から、階調に応じた電流が供給されることにより、所望の輝度で発光させることができる。
【0148】
基板101としては、トランジスタ、容量素子、及び配線等により画素回路が形成された基板を用いることが好ましい。これにより、アクティブマトリクス型の表示装置を実現することができる。また、トランジスタとしては、後述する酸化物半導体を有するトランジスタを適用することが好ましい。
【0149】
また、基板102の発光素子160B側の面には、波長変換層122G及び波長変換層122Rが設けられ、これらを覆って絶縁層135が設けられ、さらに光学機能層121が設けられている。
【0150】
基板101と基板102とは、接着層137により貼り合されている。ここでは、接着層137として、光学透明粘着テープ(OCA:Optical Clear Adhesive)を用いて、発光素子160Bの基板164の表面と、光学機能層121の表面とを貼り合せる構成を示している。
【0151】
〔構成例3-2〕
図8(B)に示す表示装置150Aは、近紫外または紫色の光を発する発光素子を用いた場合の例を示す。
【0152】
近紫外または紫色の光を発する発光素子160Uは、半導体層162Uを有する。半導体層162Uは、GaN系材料、ZnO系材料などの半導体材料を含むことが好ましい。
【0153】
光学機能層121は、近紫外または紫色の光を透過し、且つ、青色よりも長波長の光を反射するように光学設計された、多層膜を用いることができる。
【0154】
また、青色の画素120Bには、波長変換層122Bが設けられている。波長変換層122Bは、発光素子160Uから入射される近紫外または紫色の光を、青色の光に変換して発光する機能を有する。例えば、波長変換層122Bが量子ドットを含む場合、波長変換層122Gよりも粒径の小さい量子ドットを適用することができる。
【0155】
以上が、構成例3についての説明である。
【0156】
本実施の形態で例示した表示装置は、各画素に同様の構成を有する発光素子を設けることができるため、それぞれの画素で異なる発光素子を設ける場合に比べて、作製工程を簡略化でき、作製歩留りを高めることができる。また、波長変換層に量子ドットを用いた場合には、極めて色純度の高い発光を得ることができるため、色再現性に優れ、表示品位の高い表示装置を実現できる。また、発光素子として有機EL素子やLEDなどの低消費電力な発光素子を用い、波長変換層に変換効率の高い量子ドットを用いることで、極めて電力効率の高い表示装置を実現できる。特に、有機EL素子として、複数の発光層を積層したタンデム構造とすることで、低い消費電力と、高い信頼性を兼ね備えた表示装置とすることができる。
【0157】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0158】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置のより具体的な構成例について説明する。
【0159】
[構成例]
図9(A)に、表示装置700の上面図を示す。表示装置700は、シール材712により貼り合された第1の基板701と第2の基板705を有する。また第1の基板701、第2の基板705、及びシール材712で封止される領域において、第1の基板701上に画素部702、ソースドライバ回路部704、及びゲートドライバ回路部706が設けられる。また画素部702には、複数の表示素子が設けられる。
【0160】
また、第1の基板701の第2の基板705と重ならない部分に、FPC716(FPC:Flexible printed circuit)が接続されるFPC端子部708が設けられている。FPC716によって、FPC端子部708及び配線710を介して、画素部702、ソースドライバ回路部704、及びゲートドライバ回路部706のそれぞれに各種信号等が供給される。
【0161】
ゲートドライバ回路部706は、複数設けられていてもよい。また、ゲートドライバ回路部706及びソースドライバ回路部704は、それぞれ半導体基板等に別途形成され、パッケージされたICチップの形態であってもよい。当該ICチップは、第1の基板701上、またはFPC716に実装することができる。
【0162】
画素部702、ソースドライバ回路部704及びゲートドライバ回路部706が有するトランジスタに、酸化物半導体を有するトランジスタを適用することが好ましい。
【0163】
画素部702に設けられる表示素子に、本発明の一態様の発光素子等を用いることができる。発光素子としては、LED(Light Emitting Diode)、OLED(Organic LED)、QLED(Quantum-dot LED)、半導体レーザなどの、自発光性の発光素子が挙げられる
【0164】
図9(B)に示す表示装置700Aは、第1の基板701にえて、可撓性を有する樹脂層743が適用され、フレキシブルディスプレイとして用いることのできる表示装置の例である。
【0165】
表示装置700Aは、画素部702が矩形形状でなく、角部が円弧状の形状を有している。また、図9(B)中の領域P1に示すように、画素部702、及び樹脂層743の一部が切りかかれた切欠き部を有する。一対のゲートドライバ回路部706は、画素部702を挟んで両側に設けられる。またゲートドライバ回路部706は、画素部702の角部において、円弧状の輪郭に沿って設けられている。
【0166】
樹脂層743は、FPC端子部708が設けられる部分が突出した形状を有している。また樹脂層743のFPC端子部708を含む一部は、図9(B)中の領域P2で裏側に折り返すことができる。樹脂層743の一部を折り返すことで、FPC716を画素部702の裏側に重ねて配置した状態で、表示装置700Aを電子機器に実装することができ、電子機器の省スペース化を図ることができる。
【0167】
また表示装置700Aに接続されるFPC716には、IC717が実装されている。IC717は、例えばソースドライバ回路としての機能を有する。このとき、表示装置700Aにおけるソースドライバ回路部704は、保護回路、バッファ回路、デマルチプレクサ回路等の少なくとも一を含む構成とすることができる。
【0168】
図9(C)に示す表示装置700Bは、大型の画面を有する電子機器に好適に用いることのできる表示装置である。例えばテレビジョン装置、モニタ装置、パーソナルコンピュータ(ノート型またはデスクトップ型を含む)、タブレット端末、デジタルサイネージなどに好適に用いることができる。
【0169】
表示装置700Bは、複数のソースドライバIC721と、一対のゲートドライバ回路部722を有する。
【0170】
複数のソースドライバIC721は、それぞれFPC723に取り付けられている。また、複数のFPC723は、一方の端子が基板701に、他方の端子がプリント基板724にそれぞれ接続されている。FPC723を折り曲げることで、プリント基板724を画素部702の裏側に配置して、電子機器に実装することができ、電子機器の省スペース化を図ることができる。
【0171】
一方、ゲートドライバ回路部722は、基板701上に形成されている。これにより、狭額縁の電子機器を実現できる。
【0172】
このような構成とすることで、大型で且つ高解像度の表示装置を実現できる。例えば画面サイズが対角30インチ以上、40インチ以上、50インチ以上、または60インチ以上の表示装置を実現することができる。また、解像度が4K2K、または8K4Kなどといった極めて高解像度の表示装置を実現することができる。
【0173】
[断面構成例]
以下では、表示素子としてEL素子を用いる構成について、図10乃至図12を用いて説明する。なお、図10及び図11は、それぞれ図9(A)に示した表示装置700の、一点鎖線Q-Rにおける断面図である。また、図12は、図9(B)に示した表示装置700Aの、一点鎖線S-Tにおける断面図である。
【0174】
まず、図10乃至図12に示す表示装置の共通する部分について説明する。
【0175】
図10乃至図12に示す表示装置は、画素部702と、ソースドライバ回路部704と、FPC端子部708と、を有する。画素部702は、トランジスタ750及び容量素子790を有する。ソースドライバ回路部704は、トランジスタ752を有する。
【0176】
トランジスタ750及びトランジスタ752は、チャネルが形成される半導体層に、酸化物半導体を適用したトランジスタである。なお、これに限られず、半導体層に、シリコン(アモルファスシリコン、多結晶シリコン、または単結晶シリコン)を適用したトランジスタを用いることもできる。
【0177】
本実施の形態で用いるトランジスタは、高純度化し、酸素欠損の形成を抑制した酸化物半導体膜を有する。該トランジスタは、オフ電流を低くできる。よって、画像信号等の電気信号の保持時間を長くでき、画像信号等の書き込み間隔も長く設定できる。よって、リフレッシュ動作の頻度を少なくできるため、消費電力を低減する効果を奏する。
【0178】
また、本実施の形態で用いるトランジスタは、比較的高い電界効果移動度が得られるため、高速駆動が可能である。例えば、このような高速駆動が可能なトランジスタを表示装置に用いることで、画素部のスイッチングトランジスタと、駆動回路部に使用するドライバトランジスタを同一基板上に形成することができる。すなわち、シリコンウェハ等により形成された駆動回路を適用しない構成も可能であり、表示装置の部品点数を削減することができる。また、画素部においても、高速駆動が可能なトランジスタを用いることで、高画質な画像を提供することができる。
【0179】
図10乃至図12に示す容量素子790は、トランジスタ750が有する第1のゲート電極と同一の膜を加工して形成される下部電極と、半導体層と同一の金属酸化物膜を加工して形成される上部電極と、を有する。上部電極は、トランジスタ750のソース領域及びドレイン領域と同様に低抵抗化されている。また、下部電極と上部電極との間には、トランジスタ750の第1のゲート絶縁層として機能する絶縁膜の一部が設けられる。すなわち、容量素子790は、一対の電極間に誘電体膜として機能する絶縁膜が挟持された積層型の構造を有する。また、上部電極には、トランジスタ750のソース電極及びドレイン電極と同一の膜を加工して得られる配線が接続されている。
【0180】
また、トランジスタ750、トランジスタ752、及び容量素子790には、平坦化膜として機能する絶縁層770が設けられている。
【0181】
画素部702が有するトランジスタ750と、ソースドライバ回路部704が有するトランジスタ752とは、異なる構造のトランジスタを用いてもよい。例えば、いずれか一方にトップゲート型のトランジスタを適用し、他方にボトムゲート型のトランジスタを適用した構成としてもよい。なお、上記ゲートドライバ回路部706についてもソースドライバ回路部704と同様である。
【0182】
また画素部702には、配線710が設けられている。配線710は、ソース信号線、ゲート信号線、または電源線等として機能する配線である。ここでは、配線710は、トランジスタ750のソース電極及びドレイン電極と同じ導電膜で形成されている。このとき、銅元素を含む材料などの低抵抗な材料を用いると、配線抵抗に起因する信号遅延等が少なく、大画面での表示が可能となるため好ましい。
【0183】
FPC端子部708は、一部が接続電極として機能する配線760、異方性導電膜780、及びFPC716を有する。配線760は、異方性導電膜780を介してFPC716が有する端子と電気的に接続される。ここでは、配線760は、トランジスタ750等のソース電極及びドレイン電極と同じ導電膜で形成されている。
【0184】
第1の基板701及び第2の基板705としては、例えばガラス基板、またはプラスチック基板等の可撓性を有する基板を用いることができる。第1の基板701に可撓性を有する基板を用いる場合には、第1の基板701とトランジスタ750等との間に、水や水素に対するバリア性を有する絶縁層を設けることが好ましい。
【0185】
図10に示す表示装置は、発光ユニット761R、発光ユニット761B、波長変換層762R、光学機能層763、着色層736、保護層741等を有する。
【0186】
発光ユニット761Rは、発光素子782、光学機能層763、波長変換層762R、着色層736を有する。発光ユニット761Bは、発光素子782を有する。発光素子782は、青色の光を呈する素子である。
【0187】
発光素子782は、導電層772、EL層786、及び導電層788を有する。導電層772は、トランジスタ750が有するソース電極またはドレイン電極と電気的に接続される。導電層772は、平坦化膜として機能する絶縁層770上に設けられ、画素電極として機能する。また導電層772の端部を覆って絶縁層730が設けられ、絶縁層730及び導電層772上にEL層786と導電層788が積層して設けられている。
【0188】
導電層772には、可視光(少なくともEL層786が発する光)に対して反射性を有する材料を用いることができる。例えば、アルミニウム、銀等を含む材料を用いることができる。また、導電層788には、可視光(少なくともEL層786が発する光)に対して透光性を有する材料を用いることができる。例えば、インジウム、亜鉛、スズ等を含む酸化物材料を用いるとよい。そのため、発光素子782は、被形成面とは反対側(第2の基板105側)に光を射出する、トップエミッション型の発光素子である。
【0189】
EL層786は、有機化合物、または量子ドットなどの無機化合物を有する。EL層786は、電流が流れた際に青色の光を呈する発光材料を含む。
【0190】
有機化合物に用いることのできる材料としては、蛍光性材料または燐光性材料などが挙げられる。また、量子ドットに用いることのできる材料としては、コロイド状量子ドット材料、合金型量子ドット材料、コア・シェル型量子ドット材料、コア型量子ドット材料、などが挙げられる。
【0191】
光学機能層763は、発光素子782が発する青色の光を透過し、赤色及び緑色の光を反射する機能を有する。
【0192】
発光ユニット761Rにおいて、波長変換層762Rは、発光素子782からの青色の光が光学機能層763を介して入射したときに、赤色の光に変換して発光する機能を有する。また、波長変換層762Rを覆う着色層736は、赤色の光を透過し、他の色の光を遮光する機能を有する。したがって、発光ユニット761Rは、赤色の光を呈する発光ユニットである。
【0193】
一方、発光ユニット761Bには、波長変換層及び着色層が設けられていないため、光学機能層763を介して発光素子782からの光が外部に射出される。したがって、発光ユニット761Bは、青色の光を呈する発光ユニットである。
【0194】
なお、ここでは示さないが、緑色の光を呈する発光ユニットを有する構成とすることが好ましい。このほか、黄色、白色、シアン、マゼンタなどの光を呈する発光ユニットを有していてもよい。本発明の一態様では、異なる色の発光ユニット間で、発光素子の構成を同じものとすることができるため、発光ユニット761Rにおける波長変換層762Rと着色層736の材料を異ならせるだけで、他の色の発光ユニットを容易に形成することができる。
【0195】
図10に示すように、着色層736は、波長変換層762Rの上面及び側面を覆って設けられ、その一部は波長変換層762Rの端面を越えて光学機能層763と接するように設けられている。言い換えると、波長変換層762Rは、着色層736と光学機能層763に囲まれている。このような構成とすることで、隣接画素に設けられる発光素子782からの光が絶縁膜などを導波して波長変換層762Rに到達し、意図しない発光が生じてしまうことを防ぐことができる。このような意図しない発光を防ぐことで、コントラストや色再現性を向上させることができる。また、波長変換層762Rの上面及び側面を着色層736で覆うことで、波長変換層762Rの成分(例えば量子ドットや蛍光材料など)が接着層732等に分散してしまうことを防ぐこともできる。
【0196】
また、発光素子782を覆って、保護層741が設けられ、保護層741上に光学機能層763が設けられている。保護層741は、絶縁層741a、絶縁層741b、及び絶縁層741cがこの順で積層された積層構造を有している。このとき、絶縁層741aと絶縁層741cには、水などの不純物に対してバリア性の高い無機絶縁膜を、絶縁層741bには平坦化膜として機能する有機絶縁膜を、それぞれ用いることが好ましい。また、保護層741は、ソースドライバ回路部704にも延在して設けられていることが好ましい。
【0197】
また、シール材712よりも内側において、トランジスタ750やトランジスタ752等を覆う有機絶縁膜が島状に形成されることが好ましい。言い換えると、当該有機絶縁膜の端部が、シール材712の内側、またはシール材712と重なる領域に位置することが好ましい。図10では、絶縁層770、絶縁層730、及び絶縁層741bが、島状に加工されている例を示している。例えばシール材712と重なる部分では、絶縁層741c及び絶縁層741aが接して設けられている。このように、トランジスタ750やトランジスタ752を覆う有機絶縁膜の表面が、シール材712よりも外側に露出しない構成とすることで、外部から当該有機絶縁膜を介してトランジスタ750やトランジスタ752に水や水素が拡散することを好適に防ぐことができる。これにより、トランジスタの電気特性の変動が抑えられ、極めて信頼性の高い表示装置を実現できる。
【0198】
図11には、着色層736、波長変換層762R、及び光学機能層763を、基板705側に形成した場合の例を示している。
【0199】
基板705の、基板701側の面には、着色層736と、波長変換層762Rと、これらを覆う絶縁層734と、絶縁層734を覆う光学機能層763と、が設けられている。また、光学機能層763と、保護層741との間に位置する接着層732によって、基板701と基板705が貼り合されている。
【0200】
また、発光素子782と波長変換層762Rとの間に、絶縁層734及び接着層732が設けられる構成のため、図10で示した構成に比べて、発光素子782と波長変換層762Rとの距離が大きくなる。そのため、隣接画素が有する発光素子からの光が、波長変換層762Rに入射されることにより発光し、コントラストが低下してしまう恐れがある。そのため、図11に示すように、第2の基板705には、隣接画素間に位置する遮光層738を設けることが好ましい。また遮光層738により、隣接画素間の混色を防ぐ機能も有する。
【0201】
なお、光学機能層763、第2の基板705、絶縁層734、または接着層732等が、水などの不純物に対するバリア性が十分に高い場合には、保護層741を設けなくてもよい。
【0202】
図12には、フレキシブルディスプレイに好適に適用できる表示装置の構成を示している。図12は、図9(B)に示した表示装置700Aの断面図である。
【0203】
図12に示す表示装置700Aは、図10で示した基板701にえて、支持基板745、接着層742、樹脂層743、及び絶縁層744が積層された構成を有する。トランジスタ750や容量素子790等は、樹脂層743上に設けられた絶縁層744上に設けられている。
【0204】
支持基板745は、有機樹脂やガラス等を含み、可撓性を有する程度に薄い基板である。樹脂層743は、ポリイミドやアクリルなどの有機樹脂を含む層である。絶縁層744は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化シリコン等の無機絶縁膜を含む。樹脂層743と支持基板745とは、接着層742によって貼りされている。樹脂層743は、支持基板745よりも薄いことが好ましい。
【0205】
また、図12で示す表示装置700は、図10で示した基板705にえて保護層740を有する。保護層740は、接着層732と貼り合されている。保護層740としては、ガラス基板や樹脂フィルムなどを用いることができる。また、保護層740として、偏光板、散乱板などの光学部材や、タッチセンサパネルなどの入力装置、またはこれらを2つ以上積層した構成を適用してもよい。
【0206】
また、図12では、折り曲げ可能な領域P2を示している。領域P2では、支持基板745、接着層742のほか、絶縁層744等の無機絶縁膜が設けられていない部分を有する。また、領域P2において、配線760が露出することを防ぐために、有機材料を含む絶縁層770が配線760を覆う構成を有している。折り曲げ可能な領域P2に、無機絶縁膜をできるだけ設けず、且つ、金属または合金を含む導電層と、有機材料を含む層のみを積層した構成とすることで、曲げた際にクラックが生じることを防ぐことができる。また、領域P2に支持基板745を設けないことで、極めて小さい曲率半径で、表示装置700Aの一部を曲げることができる。
【0207】
なお、図10乃至図12に示す表示装置700または表示装置700Aに、入力装置を設けてもよい。当該入力装置としては、例えばタッチセンサ等が挙げられる。
【0208】
例えばセンサの方式としては、静電容量方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、光学方式、感圧方式など様々な方式を用いることができる。または、これら2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
【0209】
なお、タッチパネルの構成は、入力装置を一対の基板のに形成する、所謂インセル型のタッチパネル、入力装置を表示面側の基板上に形成する、所謂オンセル型のタッチパネル、または表示面側に貼り合わせて用いる、所謂アウトセル型のタッチパネルなどがある。
【0210】
[構成要素について]
以下では、表示装置に適用可能なトランジスタ等の構成要素について説明する。
【0211】
〔トランジスタ〕
トランジスタは、ゲート電極として機能する導電層と、半導体層と、ソース電極として機能する導電層と、ドレイン電極として機能する導電層と、ゲート絶縁層として機能する絶縁層と、を有する。
【0212】
なお、本発明の一態様の表示装置が有するトランジスタの構造は特に限定されない。例えば、プレーナ型のトランジスタとしてもよいし、スタガ型のトランジスタとしてもよいし、逆スタガ型のトランジスタとしてもよい。また、トップゲート型またはボトムゲート型のいずれのトランジスタ構造としてもよい。または、チャネルの上下にゲート電極が設けられていてもよい。
【0213】
トランジスタに用いる半導体材料の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体、単結晶半導体、または結晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導体、または一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。単結晶半導体または結晶性を有する半導体を用いると、トランジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
【0214】
以下では、特に金属酸化物膜をチャネルが形成される半導体層に用いるトランジスタについて説明する。
【0215】
トランジスタに用いる半導体材料としては、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上、より好ましくは3eV以上である金属酸化物を用いることができる。代表的には、インジウムを含む金属酸化物などであり、例えば、後述するCAC-OSなどを用いることができる。
【0216】
シリコンよりもバンドギャップが広く、且つキャリア密度の小さい金属酸化物を用いたトランジスタは、その低いオフ電流により、トランジスタと直列に接続された容量素子に蓄積した電荷を長期間に亘って保持することが可能である。
【0217】
半導体層は、例えばインジウム、亜鉛およびM(Mは、アルミニウム、チタン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、セリウム、スズ、ネオジムまたはハフニウム等の金属)を含むIn-M-Zn系酸化物で表記される膜とすることができる。
【0218】
半導体層を構成する金属酸化物がIn-M-Zn系酸化物の場合、In-M-Zn酸化物を成膜するために用いるスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、In≧M、Zn≧Mを満たすことが好ましい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=4:2:3、In:M:Zn=4:2:4.1、In:M:Zn=5:1:6、In:M:Zn=5:1:7、In:M:Zn=5:1:8等が好ましい。なお、成膜される半導体層の原子数比はそれぞれ、上記のスパッタリングターゲットに含まれる金属元素の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。
【0219】
半導体層としては、キャリア密度の低い金属酸化物膜を用いる。例えば、半導体層は、キャリア密度が1×1017/cm以下、好ましくは1×1015/cm以下、さらに好ましくは1×1013/cm以下、より好ましくは1×1011/cm以下、さらに好ましくは1×1010/cm未満であり、1×10-9/cm以上のキャリア密度の金属酸化物を用いることができる。そのような金属酸化物を、高純度真性または実質的に高純度真性な金属酸化物と呼ぶ。当該金属酸化物は不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低いため、安定な特性を有する金属酸化物であるといえる。
【0220】
なお、これらに限られず、必要とするトランジスタの半導体特性および電気特性(電界効果移動度、しきい値電圧等)に応じて適切な組成の酸化物半導体を用いればよい。また、必要とするトランジスタの半導体特性を得るために、半導体層のキャリア密度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
【0221】
半導体層を構成する金属酸化物において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、半導体層において酸素欠損が増加し、n型化してしまう。このため、半導体層におけるシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm以下、好ましくは2×1017atoms/cm以下とする。
【0222】
また、アルカリ金属およびアルカリ土類金属は、金属酸化物と結合するとキャリアを生成する場合があり、トランジスタのオフ電流が増大してしまうことがある。このため半導体層における二次イオン質量分析法により得られるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm以下、好ましくは2×1016atoms/cm以下にする。
【0223】
また、半導体層を構成する金属酸化物に窒素が含まれていると、キャリアである電子が生じ、キャリア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている金属酸化物を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため半導体層における二次イオン質量分析法により得られる窒素濃度は、5×1018atoms/cm以下にすることが好ましい。
【0224】
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、CAAC-OS(c-axis-aligned crystalline oxide semiconductor)、多結晶酸化物半導体、nc-OS(nanocrystalline oxide semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous-like oxide semiconductor)、及び非晶質酸化物半導体などがある
【0225】
なお、本発明の一態様で開示されるトランジスタの半導体層は、上述した非単結晶酸化物半導体を好適に用いることができる。また、非単結晶酸化物半導体としては、nc-OSまたはCAAC-OSを好適に用いることができる
【0226】
なお、半導体層がCAAC-OSの領域、多結晶酸化物半導体の領域、nc-OSの領域、擬似非晶質酸化物半導体の領域、及び非晶質酸化物半導体の領域のうち、二種以上を有する混合膜であってもよい。混合膜は、例えば上述した領域のうち、いずれか二種以上の領域を含む単層構造、または積層構造を有する場合がある。
【0227】
また、本発明の一態様で開示されるトランジスタの半導体層には、CAC-OS(Cloud-Aligned Composite oxide semiconductor)を用いると好ましい。CAC-OSを用いることで、トランジスタに高い電気特性または高い信頼性を付与することができる。
【0228】
<CAC-OSの構成>
以下では、本発明の一態様で開示されるトランジスタに用いることができるCAC(Cloud-Aligned Composite)-OSの構成について説明する。
【0229】
CAC-OSとは、例えば、金属酸化物を構成する元素が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上2nm以下、またはその近傍のサイズで偏在した材料の一構成である。なお、以下では、金属酸化物において、一つあるいはそれ以上の金属元素が偏在し、該金属元素を有する領域が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上2nm以下、またはその近傍のサイズで混合した状態をモザイク状、またはパッチ状ともいう。
【0230】
なお、金属酸化物は、少なくともインジウムを含むことが好ましい。特にインジウムおよび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれていてもよい。
【0231】
例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OS(CAC-OSの中でもIn-Ga-Zn酸化物を、特にCAC-IGZOと呼称してもよい。)とは、インジウム酸化物(以下、InOX1(X1は0よりも大きい実数)とする。)、またはインジウム亜鉛酸化物(以下、InX2ZnY2Z2(X2、Y2、およびZ2は0よりも大きい実数)とする。)と、ガリウム酸化物(以下、GaOX3(X3は0よりも大きい実数)とする。)、またはガリウム亜鉛酸化物(以下、GaX4ZnY4Z4(X4、Y4、およびZ4は0よりも大きい実数)とする。)などと、に材料が分離することでモザイク状となり、モザイク状のInOX1、またはInX2ZnY2Z2が、膜中に均一に分布した構成(以下、クラウド状ともいう。)である。
【0232】
つまり、CAC-OSは、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2Z2、またはInOX1が主成分である領域とが、混合している構成を有する複合金属酸化物である。なお、本明細書において、例えば、第1の領域の元素Mに対するInの原子数比が、第2の領域の元素Mに対するInの原子数比よりも大きいことを、第1の領域は、第2の領域と比較して、Inの濃度が高いとする。
【0233】
なお、IGZOは通称であり、In、Ga、Zn、およびOによる1つの化合物をいう場合がある。代表例として、InGaO(ZnO)m1(m1は自然数)、またはIn(1+x0)Ga(1-x0)(ZnO)m0(-1≦x0≦1、m0は任意数)で表される結晶性の化合物が挙げられる。
【0234】
上記結晶性の化合物は、単結晶構造、多結晶構造、またはCAAC構造を有する。なお、CAAC構造とは、複数のIGZOのナノ結晶がc軸配向を有し、かつa-b面においては配向せずに連結した結晶構造である。
【0235】
一方、CAC-OSは、金属酸化物の材料構成に関する。CAC-OSとは、In、Ga、Zn、およびOを含む材料構成において、一部にGaを主成分とするナノ粒子状に観察される領域と、一部にInを主成分とするナノ粒子状に観察される領域とが、それぞれモザイク状にランダムに分散している構成をいう。従って、CAC-OSにおいて、結晶構造は副次的な要素である。
【0236】
なお、CAC-OSは、組成の異なる二種類以上の膜の積層構造は含まないものとする。例えば、Inを主成分とする膜と、Gaを主成分とする膜との2層からなる構造は、含まない。
【0237】
なお、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2Z2、またはInOX1が主成分である領域とは、明確な境界が観察できない場合がある。
【0238】
なお、ガリウムの代わりに、アルミニウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれている場合、CAC-OSは、一部に該金属元素を主成分とするナノ粒子状に観察される領域と、一部にInを主成分とするナノ粒子状に観察される領域とが、それぞれモザイク状にランダムに分散している構成をいう。
【0239】
CAC-OSは、例えば基板を意図的に加熱しない条件で、スパッタリング法により形成することができる。また、CAC-OSをスパッタリング法で形成する場合、成膜ガスとして、不活性ガス(代表的にはアルゴン)、酸素ガス、及び窒素ガスの中から選ばれたいずれか一つまたは複数を用いればよい。また、成膜時の成膜ガスの総流量に対する酸素ガスの流量比は低いほど好ましく、例えば酸素ガスの流量比を0%以上30%未満、好ましくは0%以上10%以下とすることが好ましい。
【0240】
CAC-OSは、X線回折(XRD:X-ray diffraction)測定法のひとつであるOut-of-plane法によるθ/2θスキャンを用いて測定したときに、明確なピークが観察されないという特徴を有する。すなわち、X線回折測定から、測定領域のa-b面方向、およびc軸方向の配向は見られないことが分かる。
【0241】
またCAC-OSは、プローブ径が1nmの電子線(ナノビーム電子線ともいう。)を照射することで得られる電子線回折パターンにおいて、輝度の高いリング状の領域と、該リング状の領域に複数の輝点が観測される。従って、電子線回折パターンから、CAC-OSの結晶構造が、平面方向、および断面方向において、配向性を有さないnc(nano-crystal)構造を有することがわかる。
【0242】
また例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSでは、エネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersive X-ray spectroscopy)を用いて取得したEDXマッピングにより、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2Z2、またはInOX1が主成分である領域とが、偏在し、混合している構造を有することが確認できる。
【0243】
CAC-OSは、金属元素が均一に分布したIGZO化合物とは異なる構造であり、IGZO化合物と異なる性質を有する。つまり、CAC-OSは、GaOX3などが主成分である領域と、InX2ZnY2Z2、またはInOX1が主成分である領域と、に互いに相分離し、各元素を主成分とする領域がモザイク状である構造を有する。
【0244】
ここで、InX2ZnY2Z2、またはInOX1が主成分である領域は、GaOX3などが主成分である領域と比較して、導電性が高い領域である。つまり、InX2ZnY2Z2、またはInOX1が主成分である領域を、キャリアが流れることにより、金属酸化物としての導電性が発現する。従って、InX2ZnY2Z2、またはInOX1が主成分である領域が、金属酸化物中にクラウド状に分布することで、高い電界効果移動度(μ)が実現できる。
【0245】
一方、GaOX3などが主成分である領域は、InX2ZnY2Z2、またはInOX1が主成分である領域と比較して、絶縁性が高い領域である。つまり、GaOX3などが主成分である領域が、金属酸化物中に分布することで、リーク電流を抑制し、良好なスイッチング動作を実現できる。
【0246】
従って、CAC-OSを半導体素子に用いた場合、GaOX3などに起因する絶縁性と、InX2ZnY2Z2、またはInOX1に起因する導電性とが、相補的に作用することにより、高いオン電流(Ion)、および高い電界効果移動度(μ)を実現することができる。
【0247】
また、CAC-OSを用いた半導体素子は、信頼性が高い。従って、CAC-OSは、ディスプレイをはじめとするさまざまな半導体装置に最適である。
【0248】
また、半導体層にCAC-OSを有するトランジスタは電界効果移動度が高く、且つ駆動能力が高いため、該トランジスタを、駆動回路、代表的にはゲート信号を生成する走査線駆動回路に用いることで、額縁幅の狭い(狭額縁ともいう)表示装置を提供することができる。また、該トランジスタを、表示装置が有する信号線駆動回路(とくに、信号線駆動回路が有するシフトレジスタの出力端子に接続されるデマルチプレクサ)に用いることで、表示装置に接続される配線数が少ない表示装置を提供することができる。
【0249】
また、半導体層にCAC-OSを有するトランジスタは低温ポリシコンを用いたトランジスタのように、レーザ結晶化工程が不要である。これのため、大面積基板を用いた表示装置であっても、製造コストを低減することが可能である。さらに、ウルトラハイビジョン(「4K解像度」、「4K2K」、「4K」)、スーパーハイビジョン(「8K解像度」、「8K4K」、「8K」)のよう高解像度であり、且つ大型の表示装置において、半導体層にCAC-OSを有するトランジスタを駆動回路及び表示部に用いることで、短時間での書き込みが可能であり、表示不良を低減することが可能であり好ましい。
【0250】
または、トランジスタのチャネルが形成される半導体にシリコンを用いてもよい。シリコンとしてアモルファスシリコンを用いてもよいが、特に結晶性を有するシリコンを用いることが好ましい。例えば、微結晶シリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコンなどを用いることが好ましい。特に、多結晶シリコンは、単結晶シリコンに比べて低温で形成でき、且つアモルファスシリコンに比べて高い電界効果移動度と高い信頼性を備える。
【0251】
〔導電層〕
トランジスタのゲート、ソースおよびドレインのほか、表示装置を構成する各種配線および電極などの導電層に用いることのできる材料としては、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、またはタングステンなどの金属、またはこれを主成分とする合金などが挙げられる。またこれらの材料を含む膜を単層で、または積層構造として用いることができる。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、チタン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、タングステン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、銅-マグネシウム-アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜上に銅膜を積層する二層構造、タングステン膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜または窒化チタン膜と、その上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜または窒化チタン膜を形成する三層構造、モリブデン膜または窒化モリブデン膜と、その上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成する三層構造等がある。なお、酸化インジウム、酸化錫または酸化亜鉛等の酸化物を用いてもよい。また、マンガンを含む銅を用いると、エッチングによる形状の制御性が高まるため好ましい。
【0252】
〔絶縁層〕
各絶縁層に用いることのできる絶縁材料としては、例えば、アクリル、エポキシなどの樹脂、シロキサン結合を有する樹脂の他、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの無機絶縁材料を用いることもできる。
【0253】
また、発光素子は、一対の透水性の低い絶縁膜の間に設けられていることが好ましい。これにより、発光素子に水等の不純物が侵入することを抑制でき、装置の信頼性の低下を抑制できる。
【0254】
透水性の低い絶縁膜としては、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜等の窒素と珪素を含む膜や、窒化アルミニウム膜等の窒素とアルミニウムを含む膜等が挙げられる。また、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜等を用いてもよい。
【0255】
例えば、透水性の低い絶縁膜の水蒸気透過量は、1×10-5[g/(m・day)]以下、好ましくは1×10-6[g/(m・day)]以下、より好ましくは1×10-7[g/(m・day)]以下、さらに好ましくは1×10-8[g/(m・day)]以下とする。
【0256】
以上が、構成要素についての説明である。
【0257】
本実施の形態で例示した構成例、及びそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を他の構成例、または図面等と適宜組み合わせて実施することができる。
【0258】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0259】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置について、図13を用いて説明する。
【0260】
図13(A)に示す表示装置は、画素部502と、駆動回路部504と、保護回路506と、端子部507と、を有する。なお、保護回路506は、設けない構成としてもよい。
【0261】
画素部502は、X行Y列(X、Yはそれぞれ独立に2以上の自然数)に配置された複数の表示素子を駆動する複数の画素回路501を有する。
【0262】
駆動回路部504は、走査線GL_1乃至GL_Xに走査信号を出力するゲートドライバ504a、データ線DL_1乃至DL_Yにデータ信号を供給するソースドライバ504bなどの駆動回路を有する。ゲートドライバ504aは、少なくともシフトレジスタを有する構成とすればよい。またソースドライバ504bは、例えば複数のアナログスイッチなどを用いて構成される。また、シフトレジスタなどを用いてソースドライバ504bを構成してもよい。
【0263】
端子部507は、外部の回路から表示装置に電源、制御信号、及び画像信号等を入力するための端子が設けられた部分をいう。
【0264】
保護回路506は、自身が接続する配線に一定の範囲外の電位が与えられたときに、該配線と別の配線とを導通状態にする回路である。図13(A)に示す保護回路506は、例えば、ゲートドライバ504aと画素回路501の間の配線である走査線GL、またはソースドライバ504bと画素回路501の間の配線であるデータ線DL等の各種配線に接続される。なお図13(A)では、保護回路506と画素回路501とを区別するため、保護回路506にハッチングを付している。
【0265】
また、ゲートドライバ504aとソースドライバ504bは、それぞれ画素部502と同じ基板上に設けられていてもよいし、ゲートドライバ回路またはソースドライバ回路が別途形成された基板(例えば、単結晶半導体または多結晶半導体で形成された駆動回路基板)をCOGやTAB(Tape Automated Bonding)によって基板に実装する構成としてもよい。
【0266】
また、図13(A)に示す複数の画素回路501は、例えば、図13(B)に示す構成とすることができる
【0267】
図13(B)に示す画素回路501は、トランジスタ552トランジスタ554と、容量素子562と、発光素子572と、を有する。また画素回路501には、データ線DL_n、走査線GL_m、電位供給線VL_a、及び電源供給線VL_b等が接続されている。
【0268】
なお、電位供給線VL_a及び電位供給線VL_bの一方には、高電源電位VDDが与えられ、他方には、低電源電位VSSが与えられる。トランジスタ554のゲートに与えられる電位に応じて、発光素子572に流れる電流が制御されることにより、発光素子572からの発光輝度が制御される。
【0269】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0270】
(実施の形態4)
以下では、本発明の一態様に適用可能な画素に表示される階調を補正するためのメモリを備える画素回路と、これを有する表示装置について説明する。
【0271】
[回路構成]
図14(A)に、画素回路400の回路図を示す。画素回路400は、トランジスタM1、トランジスタM2、容量C1、及び回路401を有する。また画素回路400には、配線S1、配線S2、配線G1、及び配線G2が接続される。
【0272】
トランジスタM1は、ゲートが配線G1と、ソース及びドレインの一方が配線S1と、他方が容量C1の一方の電極と、それぞれ接続する。トランジスタM2は、ゲートが配線G2と、ソース及びドレインの一方が配線S2と、他方が容量C1の他方の電極、及び回路401と、それぞれ接続する。
【0273】
回路401は、少なくとも一の表示素子を含む回路である。表示素子としては様々な素子を用いることができるが、代表的には有機EL素子やLED素子などの発光素子を用いることができる。これ以外にも、液晶素子、またはMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子等を用いることもできる。
【0274】
トランジスタM1と容量C1とを接続するノードをN1、トランジスタM2と回路401とを接続するノードをN2とする。
【0275】
画素回路400は、トランジスタM1をオフ状態とすることで、ノードN1の電位を保持することができる。また、トランジスタM2をオフ状態とすることで、ノードN2の電位を保持することができる。また、トランジスタM2をオフ状態とした状態で、トランジスタM1を介してノードN1に所定の電位を書き込むことで、容量C1を介した容量結合により、ノードN1の電位の変位に応じてノードN2の電位を変化させることができる。
【0276】
ここで、トランジスタM1、トランジスタM2のうちの一方または両方に、酸化物半導体が適用されたトランジスタを適用することができる。そのため極めて低いオフ電流により、ノードN1及びノードN2の電位を長期間に亘って保持することができる。なお、各ノードの電位を保持する期間が短い場合(具体的には、フレーム周波数が30Hz以上である場合等)には、シリコン等の半導体を適用したトランジスタを用いてもよい。
【0277】
[駆動方法例]
続いて、図14(B)を用いて、画素回路400の動作方法の一例を説明する。図14(B)は、画素回路400の動作に係るタイミングチャートである。なおここでは説明を容易にするため、配線抵抗などの各種抵抗や、トランジスタや配線などの寄生容量、及びトランジスタのしきい値電圧などの影響は考慮しない。
【0278】
図14(B)に示す動作では、1フレーム期間を期間T1と期間T2とに分ける。期間T1はノードN2に電位を書き込む期間であり、期間T2はノードN1に電位を書き込む期間である。
【0279】
〔期間T1〕
期間T1では、配線G1と配線G2の両方に、トランジスタをオン状態にする電位を与える。また、配線S1には固定電位である電位Vrefを供給し、配線S2には第1データ電位Vを供給する。
【0280】
ノードN1には、トランジスタM1を介して配線S1から電位Vrefが与えられる。また、ノードN2には、トランジスタM2を介して第1データ電位Vが与えられる。したがって、容量C1には電位差V-Vrefが保持された状態となる。
【0281】
〔期間T2〕
続いて期間T2では、配線G1にはトランジスタM1をオン状態とする電位を与え、配線G2にはトランジスタM2をオフ状態とする電位を与える。また、配線S1には第2データ電位Vdataを供給する。配線S2には所定の定電位を与える、またはフローティング状態としてもよい。
【0282】
ノードN1には、トランジスタM1を介して第2データ電位Vdataが与えられる。このとき、容量C1による容量結合により、第2データ電位Vdataに応じてノードN2の電位が電位dVだけ変化する。すなわち、回路401には、第1データ電位Vと電位dVを足した電位が入力されることとなる。なお、図14(B)では電位dVが正の値であるように示しているが、負の値であってもよい。すなわち、第2データ電位Vdataが電位Vrefより低くてもよい。
【0283】
ここで、電位dVは、容量C1の容量値と、回路401の容量値によって概ね決定される。容量C1の容量値が回路401の容量値よりも十分に大きい場合、電位dVは第2データ電位Vdataに近い電位となる。
【0284】
このように、画素回路400は、2種類のデータ信号を組み合わせて表示素子を含む回路401に供給する電位を生成することができるため、画素回路400内で階調の補正を行うことが可能となる。
【0285】
また画素回路400は、配線S1及び配線S2に供給可能な最大電位を超える電位を生成することも可能となる。例えば発光素子を用いた場合では、ハイダイナミックレンジ(HDR)表示等を行うことができる。また、液晶素子を用いた場合では、オーバードライブ駆動等を実現できる。
【0286】
[適用例
図14(C)に示す画素回路400ELは、回路401ELを有する。回路401ELは、発光素子EL、トランジスタM3、及び容量C2を有する。
【0287】
トランジスタM3は、ゲートがノードN2及び容量C2の一方の電極と、ソース及びドレインの一方が電位VHが与えられる配線と、他方が発光素子ELの一方の電極と、それぞれ接続される。容量C2は、他方の電極が電位Vcomが与えられる配線と接続する。発光素子ELは、他方の電極が電位Vが与えられる配線と接続する。
【0288】
トランジスタM3は、発光素子ELに供給する電流を制御する機能を有する。容量C2は保持容量として機能する。容量C2は不要であれば省略することができる。
【0289】
なお、ここでは発光素子ELのアノード側がトランジスタM3と接続する構成を示しているが、カソード側にトランジスタM3を接続してもよい。そのとき、電位Vと電位Vの値を適宜変更することができる。
【0290】
画素回路400ELは、トランジスタM3のゲートに高い電位を与えることで、発光素子ELに大きな電流を流すことができるため、例えばHDR表示などを実現することができる。また、また、配線S1または配線S2に補正信号を供給することで、トランジスタM3や発光素子ELの電気特性のばらつきの補正を行うこともできる。
【0291】
なお、図14(C)で例示した回路に限られず、別途トランジスタや容量などを追加した構成としてもよい。
【0292】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0293】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様を用いて作製することができる表示モジュールについて説明する。
【0294】
図15(A)に示す表示モジュール6000は、上部カバー6001と下部カバー6002との間に、FPC6005が接続された表示装置6006、フレーム6009、プリント基板6010、及びバッテリー6011を有する。
【0295】
例えば、本発明の一態様を用いて作製された表示装置を、表示装置6006に用いることができる。表示装置6006により、極めて消費電力の低い表示モジュールを実現することができる。
【0296】
上部カバー6001及び下部カバー6002は、表示装置6006のサイズに合わせて、形状や寸法を適宜変更することができる。
【0297】
表示装置6006はタッチパネルとしての機能を有していてもよい。
【0298】
フレーム6009は、表示装置6006の保護機能、プリント基板6010の動作により発生する電磁波を遮断する機能、放熱板としての機能等を有していてもよい。
【0299】
プリント基板6010は、電源回路、ビデオ信号及びクロック信号を出力するための信号処理回路、バッテリー制御回路等を有する
【0300】
図15(B)は、光学式のタッチセンサを備える表示モジュール6000の断面概略図である。
【0301】
表示モジュール6000は、プリント基板6010に設けられた発光部6015及び受光部6016を有する。また、上部カバー6001と下部カバー6002により囲まれた領域に一対の導光部(導光部6017a、導光部6017b)を有する。
【0302】
表示装置6006は、フレーム6009を間に介してプリント基板6010やバッテリー6011と重ねて設けられている。表示装置6006とフレーム6009は、導光部6017a、導光部6017bに固定されている。
【0303】
発光部6015から発せられた光6018は、導光部6017aにより表示装置6006の上部を経由し、導光部6017bを通って受光部6016に達する。例えば指やスタイラスなどの被検知体により、光6018が遮られることにより、タッチ操作を検出することができる。
【0304】
発光部6015は、例えば表示装置6006の隣接する2辺に沿って複数設けられる。受光部6016は、発光部6015と対向する位置に複数設けられる。これにより、タッチ操作がなされた位置の情報を取得することができる。
【0305】
発光部6015は、例えばLED素子などの光源を用いることができ、特に、赤外線を発する光源を用いることが好ましい。受光部6016は、発光部6015が発する光を受光し、電気信号に変換する光電素子を用いることができる。好適には、赤外線を受光可能なフォトダイオードを用いることができる。
【0306】
光6018を透過する導光部6017a、導光部6017bにより、発光部6015と受光部6016とを表示装置6006の下側に配置することができ、外光が受光部6016に到達してタッチセンサが誤動作することを抑制できる。特に、可視光を吸収し、赤外線を透過する樹脂を用いると、タッチセンサの誤動作をより効果的に抑制できる。
【0307】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0308】
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置を適用可能な、電子機器の例について説明する。
【0309】
図16(A)に示す電子機器6500は、スマートフォンとして用いることのできる携帯情報端末機である。
【0310】
電子機器6500は、筐体6501、表示部6502、電源ボタン6503、ボタン6504、スピーカ6505、マイク6506、カメラ6507、及び光源6508等を有する。表示部6502はタッチパネル機能を備える。
【0311】
表示部6502に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0312】
図16(B)は、筐体6501のマイク6506側の端部を含む断面概略図である。
【0313】
筐体6501の表示面側には透光性を有する保護部材6510が設けられ、筐体6501と保護部材6510に囲まれた空間内に、表示パネル6511、光学部材6512、タッチセンサパネル6513、プリント基板6517、バッテリー6518等が配置されている。
【0314】
保護部材6510には、表示パネル6511、光学部材6512、及びタッチセンサパネル6513が図示しない接着層により固定されている。
【0315】
また、表示部6502よりも外側の領域において、表示パネル6511の一部が折り返されている。また、当該折り返された部分に、FPC6515が接続されている。FPC6515には、IC6516が実装されている。またFPC6515は、プリント基板6517に設けられた端子に接続されている。
【0316】
表示パネル6511には本発明の一態様のフレキシブルディスプレイパネルを適用することができる。そのため、極めて軽量な電子機器を実現できる。また、表示パネル6511が極めて薄いため、電子機器の厚さを抑えつつ、大容量のバッテリー6518を搭載することもできる。また、表示パネル6511の一部を折り返して、画素部の裏側にFPC6515との接続部を配置することにより、狭額縁の電子機器を実現できる。
【0317】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0318】
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様を用いて作製された表示装置を備える電子機器について説明する。
【0319】
以下で例示する電子機器は、表示部に本発明の一態様の表示装置を備えるものである。したがって、高い解像度が実現された電子機器である。また高い解像度と、大きな画面が両立された電子機器とすることができる。
【0320】
本発明の一態様の電子機器の表示部には、例えばフルハイビジョン、4K2K、8K4K、16K8K、またはそれ以上の解像度を有する映像を表示させることができる。
【0321】
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置、ノート型のパーソナルコンピュータ、モニタ装置、デジタルサイネージ、パチンコ機、ゲーム機などの比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、などが挙げられる。
【0322】
本発明の一態様が適用された電子機器は、家屋やビルの内壁または外壁、自動車等の内装または外装等が有する平面または曲面に沿って組み込むことができる。
【0323】
図17(A)は、ファインダー8100を取り付けた状態のカメラ8000の外観を示す図である。
【0324】
カメラ8000は、筐体8001、表示部8002、操作ボタン8003、シャッターボタン8004等を有する。またカメラ8000には、着脱可能なレンズ8006が取り付けられている。
【0325】
なおカメラ8000は、レンズ8006と筐体とが一体となっていてもよい。
【0326】
カメラ8000は、シャッターボタン8004を押す、またはタッチパネルとして機能する表示部8002をタッチすることにより撮像することができる。
【0327】
筐体8001は、電極を有するマウントを有し、ファインダー8100のほか、ストロボ装置等を接続することができる。
【0328】
ファインダー8100は、筐体8101、表示部8102、ボタン8103等を有する。
【0329】
筐体8101は、カメラ8000のマウントと係合するマウントにより、カメラ8000に取り付けられている。ファインダー8100はカメラ8000から受信した映像等を表示部8102に表示させることができる。
【0330】
ボタン8103は、電源ボタン等としての機能を有する。
【0331】
カメラ8000の表示部8002、及びファインダー8100の表示部8102に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。なお、ファインダーが内蔵されたカメラ8000であってもよい。
【0332】
図17(B)は、ヘッドマウントディスプレイ8200の外観を示す図である。
【0333】
ヘッドマウントディスプレイ8200は、装着部8201、レンズ8202、本体8203、表示部8204、ケーブル8205等を有している。また装着部8201には、バッテリー8206が内蔵されている。
【0334】
ケーブル8205は、バッテリー8206から本体8203に電力を供給する。本体8203は無線受信機等を備え、受信した映像情報を表示部8204に表示させることができる。また、本体8203はカメラを備え、使用者の眼球やまぶたの動きの情報を入力手段として用いることができる。
【0335】
また、装着部8201には、使用者に触れる位置に、使用者の眼球の動きに伴って流れる電流を検知可能な複数の電極が設けられ、視線を認識する機能を有していてもよい。また、当該電極に流れる電流により、使用者の脈拍をモニタする機能を有していてもよい。また、装着部8201には、温度センサ、圧力センサ、加速度センサ等の各種センサを有していてもよく、使用者の生体情報を表示部8204に表示する機能や、使用者の頭部の動きに合わせて表示部8204に表示する映像を変化させる機能を有していてもよい。
【0336】
表示部8204に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0337】
図17(C)図17(D)、及び図17(E)は、ヘッドマウントディスプレイ8300の外観を示す図である。ヘッドマウントディスプレイ8300は、筐体8301と、表示部8302と、バンド状の固定具8304と、一対のレンズ8305と、を有する。
【0338】
使用者は、レンズ8305を通して、表示部8302の表示を視認することができる。なお、表示部8302を湾曲して配置させると、使用者が高い臨場感を感じることができるため好ましい。また、表示部8302の異なる領域に表示された別の画像を、レンズ8305を通して視認することで、視差を用いた3次元表示等を行うこともできる。なお、表示部8302を1つ設ける構成に限られず、表示部8302を2つ設け、使用者の片方の目につき1つの表示部を配置してもよい。
【0339】
なお、表示部8302に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。本発明の一態様の半導体装置を有する表示装置は、極めて精細度が高いため、図17(E)のようにレンズ8305を用いて拡大したとしても、使用者に画素が視認されることなく、より現実感の高い映像を表示することができる。
【0340】
図18(A)乃至図18(G)に示す電子機器は、筐体9000、表示部9001、スピーカ9003、操作キー9005(電源スイッチ、又は操作スイッチを含む)、接続端子9006、センサ9007(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン9008、等を有する。
【0341】
図18(A)乃至図18(G)に示す電子機器は、様々な機能を有する。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出して処理する機能、等を有することができる。なお、電子機器の機能はこれらに限られず、様々な機能を有することができる。電子機器は、複数の表示部を有していてもよい。また、電子機器にカメラ等を設け、静止画や動画を撮影し、記録媒体(外部またはカメラに内蔵)に保存する機能、撮影した画像を表示部に表示する機能、等を有していてもよい。
【0342】
図18(A)乃至図18(G)に示す電子機器の詳細について、以下説明を行う。
【0343】
図18(A)は、テレビジョン装置9100を示す斜視図である。テレビジョン装置9100は、大画面、例えば、50インチ以上、または100インチ以上の表示部9001を組み込むことが可能である。
【0344】
図18(B)は、携帯情報端末9101を示す斜視図である。携帯情報端末9101は、例えばスマートフォンとして用いることができる。なお、携帯情報端末9101は、スピーカ9003、接続端子9006、センサ9007等を設けてもよい。また、携帯情報端末9101は、文字や画像情報をその複数の面に表示することができる。図18(B)では3つのアイコン9050を表示した例を示している。また、破線の矩形で示す情報9051を表示部9001の他の面に表示することもできる。情報9051の一例としては、電子メール、SNS、電話などの着信の通知、電子メールやSNSなどの題名、送信者名、日時、時刻、バッテリーの残量、アンテナ受信の強度などがある。または、情報9051が表示されている位置にはアイコン9050などを表示してもよい。
【0345】
図18(C)は、携帯情報端末9102を示す斜視図である。携帯情報端末9102は、表示部9001の3面以上に情報を表示する機能を有する。ここでは、情報9052、情報9053、情報9054がそれぞれ異なる面に表示されている例を示す。例えば使用者は、洋服の胸ポケットに携帯情報端末9102を収納した状態で、携帯情報端末9102の上方から観察できる位置に表示された情報9053を確認することもできる。使用者は、携帯情報端末9102をポケットから取り出すことなく表示を確認し、例えば電話を受けるか否かを判断できる。
【0346】
図18(D)は、腕時計型の携帯情報端末9200を示す斜視図である。携帯情報端末9200は、例えばスマートウォッチとして用いることができる。また、表示部9001はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、携帯情報端末9200は、例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。また、携帯情報端末9200は、接続端子9006により、他の情報端末と相互にデータ伝送を行うことや、充電を行うこともできる。なお、充電動作は無線給電により行ってもよい。
【0347】
図18(E)図18(F)、及び図18(G)は、折り畳み可能な携帯情報端末9201を示す斜視図である。また、図18(E)は携帯情報端末9201を展開した状態、図18(G)は折り畳んだ状態、図18(F)は図18(E)と図18(G)の一方から他方に変化する途中の状態の斜視図である。携帯情報端末9201は、折り畳んだ状態では可搬性に優れ、展開した状態では継ぎ目のない広い表示領域により表示の一覧性に優れる。携帯情報端末9201が有する表示部9001は、ヒンジ9055によって連結された3つの筐体9000に支持されている。例えば、表示部9001は、曲率半径1mm以上150mm以下で曲げることができる。
【0348】
図19(A)にテレビジョン装置の一例を示す。テレビジョン装置7100は、筐体7101に表示部7500が組み込まれている。ここでは、スタンド7103により筐体7101を支持した構成を示している。
【0349】
図19(A)に示すテレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機7111により行うことができる。または、表示部7500にタッチパネルを適用し、これに触れることでテレビジョン装置7100を操作してもよい。リモコン操作機7111は、操作ボタンの他に表示部を有していてもよい。
【0350】
なお、テレビジョン装置7100は、テレビ放送の受信機や、ネットワーク接続のための通信装置を有していてもよい。
【0351】
図19(B)に、ノート型パーソナルコンピュータ7200を示す。ノート型パーソナルコンピュータ7200は、筐体7211、キーボード7212、ポインティングデバイス7213、外部接続ポート7214等を有する。筐体7211に、表示部7500が組み込まれている。
【0352】
図19(C)、及び図19(D)に、デジタルサイネージ(Digital Signage:電子看板)の一例を示す。
【0353】
図19(C)に示すデジタルサイネージ7300は、筐体7301、表示部7500、及びスピーカ7303等を有する。さらに、LEDランプ、操作キー(電源スイッチ、または操作スイッチを含む)、接続端子、各種センサ、マイクロフォン等を有することができる。
【0354】
また、図19(D)は円柱状の柱7401に取り付けられたデジタルサイネージ7400である。デジタルサイネージ7400は、柱7401の曲面に沿って設けられた表示部7500を有する。
【0355】
表示部7500が広いほど、一度に提供できる情報量を増やすことができ、また人の目につきやすいため、例えば広告の宣伝効果を高める効果を奏する。
【0356】
表示部7500にタッチパネルを適用し、使用者が操作できる構成とすると好ましい。これにより、広告用途だけでなく、路線情報や交通情報、商用施設の案内情報など、使用者が求める情報を提供するための用途にも用いることができる。
【0357】
また、図19(C)、及び図19(D)に示すように、デジタルサイネージ7300またはデジタルサイネージ7400は、ユーザが所持するスマートフォン等の情報端末機7311と無線通信により連携可能であることが好ましい。例えば、表示部7500に表示される広告の情報を情報端末機7311の画面に表示させることや、情報端末機7311を操作することで、表示部7500の表示を切り替えることができる。
【0358】
また、デジタルサイネージ7300またはデジタルサイネージ7400に、情報端末機7311を操作手段(コントローラ)としたゲームを実行させることもできる。これにより、不特定多数のユーザが同時にゲームに参加し、楽しむことができる。
【0359】
図19(A)乃至図19(D)における表示部7500に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0360】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0361】
0:表示装置、11B、11G、11R:画素、12B:発光素子、13:光学機能層、14、14G、14R:波長変換層、51、52:電極、53B:EL層、59:電荷発生層、60B:発光ユニット、61:正孔注入層、62:正孔輸送層、63:発光層、64:電子輸送層、65:電子注入層、100、100A~100G:表示装置、101、102、103、105:基板、110B:発光素子、111、113:導電層、112:EL層、115:絶縁層、120B、120G、120R:画素、121:光学機能層、122B、122G、122R:波長変換層、123G、123R:着色層、124:拡散層、131、132:接着層、135、136:絶縁層、137:接着層、140:保護層、141、142、143:絶縁層、150、150A:表示装置、160B、160U:発光素子、161:導電層、162、162U:半導体層、163:導電層、164:基板、165:端子、166:バンプ、168:端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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