(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】拡張現実ディスプレイのための偏光選択的レンズスタックを含む適応レンズアセンブリ
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20240208BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
H04N5/64 511A
(21)【出願番号】P 2020543633
(86)(22)【出願日】2019-03-05
(86)【国際出願番号】 US2019020823
(87)【国際公開番号】W WO2019173390
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2022-02-22
(32)【優先日】2018-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514108838
【氏名又は名称】マジック リープ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Magic Leap,Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 W SUNRISE BLVD,PLANTATION,FL 33322 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】コマンドゥリ, ラヴィ クマール
(72)【発明者】
【氏名】オ, チュルウ
【審査官】磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-513818(JP,A)
【文献】特開2002-156603(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0139402(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01-27/02
G02F 1/13
G02F 1/139
G02C 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実世界のビューの中で複数の深度平面に仮想画像の焦点を合わせるように構成された頭部搭載型拡張現実ディスプレイデバイスの適応レンズアセンブリであって、前記適応レンズアセンブリは、前記頭部搭載型拡張現実ディスプレイデバイスによって支持されるレンズスタックを備え、前記レンズスタックは、偏光依存性屈折力を直線偏光に及ぼすように構成され、
前記レンズスタックは、複屈折レンズと等方レンズとを備え、前記複屈折レンズと等方レンズとは、互いに接触し、それらの間に形状一致界面を形成し、
前記適応レンズアセンブリは、異なる屈折力を有する複数の状態間で選択的に切り替えられることにより、実質的な歪みを伴わずに現れるように同時に前記実世界のビューの焦点を再び合わせながら前記実世界のビューの中で前記複数の
深度平面に前記仮想画像の焦点を合わせるように構成されている、適応レンズアセンブリ。
【請求項2】
前記複屈折レンズは、光学軸および複屈折性(Δn)を有し、第1の屈折力を前記光学軸と平行な偏光方向を有する光に及ぼし、第2の屈折力を前記光学軸と垂直な偏光方向を有する光に及ぼすように構成され、
前記等方レンズは、屈折率を有し、前記第1の屈折力および前記第2の屈折力と符号が反対である第3の屈折力をそれを通過する光に及ぼすように構成されている、請求項1に記載の適応レンズアセンブリ。
【請求項3】
前記Δnは、前記複屈折レンズの前記光学軸と平行な方向における異常屈折率(n
e)と前記複屈折レンズの前記光学軸と垂直な方向における通常の屈折率(n
o)との間の差異に対応し、前記等方レンズの前記屈折率は、前記複屈折レンズのn
oと実質的に同じ値を有する、請求項2に記載の適応レンズアセンブリ。
【請求項4】
前記第3の屈折力は、前記第2の屈折力と大きさが実質的に同じであり、それによって、前記レンズスタックは、前記光学軸と垂直な偏光方向を有する光に屈折力を実質的に及ぼさないように構成されている、請求項2に記載の適応レンズアセンブリ。
【請求項5】
前記レンズスタックは、前記Δnに比例した屈折力を前記光学軸と平行な偏光方向を有する光に及ぼすように構成されている、請求項2に記載の適応レンズアセンブリ。
【請求項6】
前記複屈折レンズは、フレネルレンズであり、前記フレネルレンズは、その中に形成された複数の溝を備え、前記溝のうちの隣接した溝は、前記フレネルレンズのフレネルゾーンを画定する、請求項1に記載の適応レンズアセンブリ。
【請求項7】
前記複数の溝は、同心円状に円形の溝を備えている、請求項6に記載の適応レンズアセンブリ。
【請求項8】
前記複数の溝は、前記レンズスタックの主要表面と平行な方向に延びている平行溝を備えている、請求項6に記載の適応レンズアセンブリ。
【請求項9】
前記複屈折レンズは、液晶(LC)を備えている、請求項1に記載の適応レンズアセンブリ。
【請求項10】
前記複屈折レンズのLC分子は、前記レンズスタックの主要表面と平行な側方方向に実質的に配向されている、請求項9に記載の適応レンズアセンブリ。
【請求項11】
前記レンズスタックに光学的に結合されたねじりネマチック(TN)液晶(LC)を備えている切り替え可能な半波長板をさらに備え、前記切り替え可能な半波長板は、アクティブにされたとき、それを通過する直線偏光の偏光を保持し、非アクティブにされたとき、それを通過する直線偏光の前記偏光を改変するように構成されている、請求項1-10のいずれか1項に記載の適応レンズアセンブリ。
【請求項12】
前記切り替え可能な半波長板は、前記レンズスタックの第1の側に配置され、前記適応レンズアセンブリは、前記レンズスタックの第2の側に、
前記レンズスタックに光学的に結合されたTN LCを備えた第2の切り替え可能な半波長板と、
偏光依存性屈折力を直線偏光に及ぼすように構成された第2のレンズスタックと
をさらに備え、
前記第2のレンズスタックは、第2の複屈折レンズと第2の等方レンズとを備え、前記第2の複屈折レンズと第2の等方レンズとは、互いに接触し、それらの間に形状一致界面を形成し、
前記適応レンズアセンブリは、前記切り替え可能な波長板および/または前記第2の切り替え可能な半波長板を電気的にアクティブおよび/または非アクティブにすることによって、少なくとも4つの状態間で選択的に切り替えられるように構成されている、請求項11に記載の適応レンズアセンブリ。
【請求項13】
前記複屈折レンズは、反応性メソゲンを備え、前記レンズスタックは、前記レンズスタックが、異なる屈折力状態間で電気的に切り替え可能であるように構成されるように、前記複屈折レンズを横断して電場を印加するように構成された電極を備えている、請求項1-10のいずれか1項に記載の適応レンズアセンブリ。
【請求項14】
ディスプレイデバイスであって、前記ディスプレイデバイスは、頭部搭載可能であり、かつ、実世界のビューの中で複数の深度平面に仮想画像の焦点を合わせる
ための拡張現実デバイスとして構成され
ており、前
記ディスプレイデバイスは、
光を導波管アセンブリの出力表面と平行な側方方向に誘導するように構成された導波管アセンブリであって、前記導波管アセンブリは、前記出力表面を通して前記誘導された光を外部結合するようにさらに構成されている、導波管アセンブリと、
前記導波管アセンブリの第1の側に配置された適応レンズアセンブリと
を備え、
前記適応レンズアセンブリは、前記導波管アセンブリから外部結合された光を受け取るように、かつ異なる屈折力を有する複数の状態間で選択的に切り替えられることにより、実質的な歪みを伴わずに現れるように同時に前記実世界のビューの焦点を再び合わせながら前記実世界のビューの中で前記複数の
深度平面に前記仮想画像の焦点を合わせるように配置され、
前記適応レンズアセンブリは、偏光依存性屈折力を直線偏光に及ぼすように構成されたレンズスタックを備え、前記レンズスタックは、互いに接触している複屈折レンズと等方レンズとを備え、前記複屈折レンズと前記等方レンズとの接触表面は、形状一致界面を形成している
、ディスプレイデバイス。
【請求項15】
ディスプレイデバイスであって、前記ディスプレイデバイスは、
光を導波管アセンブリの出力表面と平行な側方方向に誘導するように構成された導波管アセンブリであって、前記導波管アセンブリは、前記出力表面を通して前記誘導された光を外部結合するようにさらに構成されている、導波管アセンブリと、
前記導波管アセンブリの第1の側に配置された適応レンズアセンブリと
を備え、
前記適応レンズアセンブリは、前記導波管アセンブリから外部結合された光を受け取るように、かつ異なる屈折力を有する複数の状態間で選択的に切り替えられるように配置され、
前記適応レンズアセンブリは、偏光依存性屈折力を直線偏光に及ぼすように構成されたレンズスタックを備え、前記レンズスタックは、互いに接触している複屈折レンズと等方レンズとを備え、前記複屈折レンズと前記等方レンズとの接触表面は、形状一致界面を形成しており、
前記複屈折レンズは、光学軸および複屈折性(Δn)を有し、第1の屈折力を前記光学軸と平行な偏光方向を有する光に及ぼし、第2の屈折力を前記光学軸と垂直な偏光方向を有する光に及ぼすように構成され、
前記等方レンズは、屈折率を有し、前記第1の屈折力および前記第2の屈折力のうちの少なくとも1つと符号が反対である第3の屈折力をそれを通過する光に及ぼすように構成されている、ディスプレイデバイス。
【請求項16】
前記複屈折レンズは、フレネルレンズであり、前記フレネルレンズは、その中に形成された複数の溝を備え、前記溝のうちの隣接した溝は、フレネルゾーンを画定する、請求項15に記載のディスプレイデバイス。
【請求項17】
前記複屈折レンズは、液晶(LC)を備えている、請求項15に記載のディスプレイデバイス。
【請求項18】
前記複屈折レンズのLC分子は、前記レンズスタックの主要表面と平行な同じ方向に実質的に配向されている、請求項15に記載のディスプレイデバイス。
【請求項19】
ディスプレイデバイスであって、前記ディスプレイデバイスは、
光を導波管アセンブリの出力表面と平行な側方方向に誘導するように構成された導波管アセンブリであって、前記導波管アセンブリは、前記出力表面を通して前記誘導された光を外部結合するようにさらに構成されている、導波管アセンブリと、
前記導波管アセンブリの第1の側に配置された適応レンズアセンブリと
を備え、
前記適応レンズアセンブリは、前記導波管アセンブリから外部結合された光を受け取るように、かつ異なる屈折力を有する複数の状態間で選択的に切り替えられるように配置され、
前記適応レンズアセンブリは、偏光依存性屈折力を直線偏光に及ぼすように構成されたレンズスタックを備え、前記レンズスタックは、互いに接触している複屈折レンズと等方レンズとを備え、前記複屈折レンズと前記等方レンズとの接触表面は、形状一致界面を形成しており、
前記適応レンズアセンブリは、第1の適応レンズアセンブリであり、
前記ディスプレイデバイスは、
前記第1の側と反対の前記導波管アセンブリの第2の側に配置された第2の適応レンズアセンブリをさらに備え、前記第2の適応レンズアセンブリは、異なる屈折力を有する複数の状態間で選択的に切り替えられるように構成され、
前記第2の適応レンズアセンブリは、偏光依存性屈折力を直線偏光に及ぼすように構成された第2のレンズスタックを備え、前記第2のレンズスタックは、第2の複屈折レンズと第2の等方レンズとを備え、前記第2の複屈折レンズと第2の等方レンズとは、互いに接触し、それらの間に形状一致界面を形成している、ディスプレイデバイス。
【請求項20】
前記第1および第2の適応レンズアセンブリの各々は、前記レンズスタックまたは前記第2のレンズスタックのうちのそれぞれのものに光学的に結合されたねじりネマチック(TN)液晶(LC)を備えている切り替え可能な半波長板をさらに備え、前記切り替え可能な半波長板は、アクティブにされたとき、それを通過する直線偏光の偏光を保持し、非アクティブにされたとき、それを通過する直線偏光の前記偏光を改変するように構成されている、請求項19に記載のディスプレイデバイス。
【請求項21】
前記第2の適応レンズアセンブリによって及ぼされる前記複数の屈折力の各々は、実質的に同じ大きさを有し、かつ反対符号を有する前記適応レンズアセンブリによって及ぼされる前記複数の屈折力のうちの対応するものを有する、請求項20に記載のディスプレイデバイス。
【請求項22】
前記適応レンズアセンブリは、前記導波管アセンブリの第1の側に形成され、前記ディスプレイデバイスは、前記導波管アセンブリと適応レンズアセンブリとの間に挿入された偏光反射体をさらに備え、前記偏光反射体は、第1の偏光を有する直線偏光をそれに通し、第2の偏光を有する直線偏光を反射するように構成されている、請求項14-21のいずれか1項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項23】
前記導波管アセンブリの第2の側に、非偏光反射体と、前記非偏光反射体と前記導波管アセンブリとの間に挿入された4分の1波長板とをさらに備え、前記非偏光反射体は、それに入射する前記第1の偏光を有する直線偏光の偏光を反射するように、かつ改変するように構成されている、請求項22に記載のディスプレイデバイス。
【請求項24】
前記適応レンズアセンブリと前記導波管アセンブリとの間に挿入された偏光反射体をさらに備え、前記偏光反射体は、コレステリック液晶を備え、前記コレステリック液晶は、偏光ノッチ反射体が、第1の偏光を有する円偏光をそれに通し、第2の偏光を有する円偏光を反射するように構成されるように構成されている、請求項14-21のいずれか1項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項25】
前記導波管アセンブリの第2の側に、非偏光反射体をさらに備え、前記非偏光反射体は、前記第2の円偏光を有するそれに入射する円偏光の前記偏光を反射するように、かつ改変するように構成されている、請求項24に記載のディスプレイデバイス。
【請求項26】
前記複屈折レンズおよび前記第2の複屈折レンズの各々は、反応性メソゲンを備え、前記レンズスタックおよび前記第2のレンズスタックの各々は、異なる屈折力状態間で前記レンズスタックおよび前記第2のレンズスタックの各々を切り替えるように構成された電極を備えている、請求項19に記載のディスプレイデバイス。
【請求項27】
前記複屈折レンズは、反応性メソゲンを備え、前記レンズスタックは、少なくとも2つの屈折力状態間で前記レンズスタックを電気的に切り替えるための電極を備えている、請求項14に記載のディスプレイデバイス。
【請求項28】
前記導波管アセンブリの第1の側と反対の第2の側に、
直線偏光子と、
前記導波管アセンブリと前記直線偏光子との間に挿入された4分の1波長板と
をさらに備えている、請求項27に記載のディスプレイデバイス。
【請求項29】
前記偏光反射体は、偏光ノッチ反射体を備えている、請求項22に記載のディスプレイデバイス。
【請求項30】
前記非偏光反射体は、非偏光ノッチ反射体を備えている、請求項
23に記載のディスプレイデバイス。
【請求項31】
ユーザの頭部上に支持されるように構成されたフレームをさらに備えている、請求項14に記載のディスプレイデバイス。
【請求項32】
前記ディスプレイデバイスの少なくとも一部は、透明であり、ユーザが前記ディスプレイデバイスを装着すると、前記ユーザの眼の正面の場所に配置され、それによって、前記透明部分は、前記ユーザおよび前記ディスプレイデバイスの正面の環境の一部からの光を前記ユーザの眼に透過させ、前記ユーザおよび前記ディスプレイデバイスの正面の環境の前記一部のビューを提供する、請求項14に記載のディスプレイデバイス。
【請求項33】
前記ディスプレイデバイスは、ユーザの眼の中に光を投影し、発散およびコリメーションのうちの少なくとも1つの異なる量において仮想画像コンテンツを前記ユーザの視野に表示するように構成され、したがって、前記表示された仮想画像コンテンツは、異なる期間に異なる深度から生じるように見える、請求項14に記載のディスプレイデバイス。
【請求項34】
前記適応レンズアセンブリは、フレネルレンズを備えている、請求項14-21のいずれか1項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項35】
前記レンズスタックは、フレネルレンズを備えている、請求項1-5のいずれか1項に記載の適応レンズアセンブリ。
【請求項36】
前記溝は、前記複屈折レンズの厚さに急激な不連続性を形成している、請求項6に記載の適応レンズアセンブリ。
【請求項37】
前記溝は、直線状溝を備えている、請求項6に記載の適応レンズアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、その内容が参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる2018年3月7日に出願され、「ADAPTIVE LENS ASSEMBLIES INCLUDING POLARIZATION-SELECTIVE LENS STACKS FOR AUGMENTED REALITY DISPLAY」と題された米国仮特許出願第62/639,882号の優先権の利益を主張する。
【0002】
(参照による引用)
本願は、以下の特許出願の各々の全体を参照することによって組み込む:2014年11月27日に出願され、2015年7月23日に米国特許公開第2015/0205126号として公開された米国特許出願第14/555,585号、2015年4月18日に出願され、2015年10月22日に米国特許公開第2015/0302652号として公開された米国特許出願第14/690,401号、2014年3月14日に出願され、2016年8月16日に発行された現米国特許第9,417,452号である米国特許出願第14/212,961号、および2014年7月14日に出願され、2015年10月29日に米国特許公開第2015/0309263として公開された米国特許出願第14/331,218号。
【0003】
(分野)
本開示は、ディスプレイシステムに関し、より具体的に、拡張および仮想現実ディスプレイシステムに関する。
【背景技術】
【0004】
現代のコンピューティングおよびディスプレイ技術は、いわゆる「仮想現実」または「拡張現実」体験のためのシステムの開発を促進しており、デジタル的に再現された画像またはその一部が、現実であるように見える様式またはそのように知覚され得る様式でユーザに提示される。仮想現実、すなわち、「VR」シナリオは、典型的に、他の実際の実世界の視覚的入力に対する透過性を伴わずに、デジタルまたは仮想画像情報の提示を伴い、拡張現実、すなわち、「AR」シナリオは、典型的に、ユーザの周囲の実際の世界の可視化に対する拡張としてのデジタルまたは仮想画像情報の提示を伴う。複合現実、すなわち、「MR」シナリオは、一種のARシナリオであり、典型的に、自然世界の中に統合され、それに応答する、仮想オブジェクトを伴う。例えば、MRシナリオにおいて、AR画像コンテンツは、実世界内のオブジェクトによってブロックされるか、または、別様にそれと相互作用するものとして知覚され得る。
【0005】
図1を参照すると、拡張現実場面10が、描写され、AR技術のユーザは、人々、木々、背景における建物、コンクリートプラットフォーム30を特徴とする実世界公園のような設定20を見ている。これらのアイテムに加え、AR技術のユーザは、これらの要素40、50が実世界内に存在しないにもかかわらず、実世界プラットフォーム30上に立っているロボット像40と、マルハナバチの擬人化のように見える、飛んでいる漫画のようなアバタキャラクタ50等の「仮想コンテンツ」も「見ている」と知覚する。ヒトの視知覚系は、複雑であり、他の仮想または実世界画像要素間における仮想画像要素の快適で、自然のような感覚で、かつ豊かな提示を促進するAR技術の生成は、困難である。
【0006】
本明細書に開示されるシステムおよび方法は、ARまたはVR技術に関連する種々の課題に対処する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の側面において、適応レンズアセンブリは、偏光依存性屈折力を直線偏光に及ぼすように構成されたレンズスタックを含む。レンズスタックは、互いに接触し、それらの間に形状一致界面を形成する複屈折レンズと等方レンズとを含む。適応レンズアセンブリは、異なる屈折力を有する複数の状態間で選択的に切り替えられるように構成される。
【0008】
第2の側面において、ディスプレイデバイスは、光を導波管アセンブリの出力表面と平行な側方方向に誘導するように構成された導波管アセンブリを含む。導波管アセンブリは、出力表面を通して誘導された光を外部結合するようにさらに構成される。ディスプレイデバイスは、加えて、導波管アセンブリの第1の側に配置された適応レンズアセンブリを含む。適応レンズアセンブリは、導波管アセンブリから外部結合された光を受け取るように、かつ異なる屈折力を有する複数の状態間で選択的に切り替えられるように配置される。適応レンズアセンブリは、偏光依存性屈折力を直線偏光に及ぼすように構成されたレンズスタックを含む。レンズスタックは、互いに接触している複屈折レンズと等方レンズとを含み、複屈折レンズおよび等方レンズの接触表面は、形状一致界面を形成する。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
適応レンズアセンブリであって、前記適応レンズアセンブリは、偏光依存性屈折力を直線偏光に及ぼすように構成されたレンズスタックを備え、
前記レンズスタックは、複屈折レンズと等方レンズとを備え、前記複屈折レンズと等方レンズとは、互いに接触し、それらの間に形状一致界面を形成し、
前記適応レンズアセンブリは、異なる屈折力を有する複数の状態間で選択的に切り替えられるように構成されている、適応レンズアセンブリ。
(項目2)
前記複屈折レンズは、光学軸および複屈折性(Δn)を有し、第1の屈折力を前記光学軸と平行な偏光方向を有する光に及ぼし、第2の屈折力を前記光学軸と垂直な偏光方向を有する光に及ぼすように構成され、
前記等方レンズは、屈折率を有し、前記第1の屈折力および前記第2の屈折力と符号が反対である第3の屈折力をそれを通過する光に及ぼすように構成されている、項目1に記載の適応レンズアセンブリ。
(項目3)
前記Δnは、前記複屈折レンズの前記光学軸と平行な方向における異常屈折率(n
e
)と前記複屈折レンズの前記光学軸と垂直な方向における通常の屈折率(n
o
)との間の差異に対応し、前記等方レンズの前記屈折率は、前記複屈折レンズのn
o
と実質的に同じ値を有する、項目2に記載の適応レンズアセンブリ。
(項目4)
前記第3の屈折力は、前記第2の屈折力と大きさが実質的に同じであり、それによって、前記偏光選択的レンズスタックは、前記光学軸と垂直な偏光方向を有する光に屈折力を実質的に及ぼさないように構成されている、項目2に記載の適応レンズアセンブリ。
(項目5)
前記レンズスタックは、前記Δnに比例した屈折力を前記光学軸と平行な偏光方向を有する光に及ぼすように構成されている、項目2に記載の適応レンズアセンブリ。
(項目6)
前記複屈折レンズは、フレネルレンズであり、前記フレネルレンズは、その中に形成された複数の溝を備え、前記溝のうちの隣接した溝は、前記フレネルレンズのフレネルゾーンを画定する、項目1に記載の適応レンズアセンブリ。
(項目7)
前記複数の溝は、同心円状に円形の溝を備えている、項目6に記載の適応レンズアセンブリ。
(項目8)
前記複数の溝は、前記レンズスタックの主要表面と平行な方向に延びている平行溝を備えている、項目6に記載の適応レンズアセンブリ。
(項目9)
前記複屈折レンズは、液晶(LC)を備えている、項目1に記載の適応レンズアセンブリ。
(項目10)
前記複屈折レンズのLC分子は、前記レンズスタックの主要表面と平行な側方方向に実質的に配向されている、項目9に記載の適応レンズアセンブリ。
(項目11)
前記レンズスタックに光学的に結合されたねじりネマチック(TN)液晶(LC)を備えている切り替え可能な半波長板をさらに備え、前記切り替え可能な半波長板は、アクティブにされたとき、それを通過する直線偏光の偏光を保持し、非アクティブにされたとき、それを通過する直線偏光の前記偏光を改変するように構成されている、項目1-10のいずれか1項に記載の適応レンズアセンブリ。
(項目12)
前記切り替え可能な半波長板は、前記偏光選択的レンズスタックの第1の側に配置され、前記適応レンズアセンブリは、前記偏光選択的レンズスタックの第2の側に、
前記偏光選択的レンズスタックに光学的に結合されたTN LCを備えた第2の切り替え可能な半波長板と、
偏光依存性屈折力を直線偏光に及ぼすように構成された第2のレンズスタックと
をさらに備え、
前記第2のレンズスタックは、第2の複屈折レンズと第2の等方レンズとを備え、前記第2の複屈折レンズと第2の等方レンズとは、互いに接触し、それらの間に形状一致界面を形成し、
前記適応レンズアセンブリは、前記切り替え可能な波長板および/または前記第2の切り替え可能な半波長板を電気的にアクティブおよび/または非アクティブにすることによって、少なくとも4つの状態間で選択的に切り替えられるように構成されている、項目11に記載の適応レンズアセンブリ。
(項目13)
前記複屈折レンズは、反応性メソゲンを備え、前記レンズスタックは、前記レンズスタックが、異なる屈折力状態間で電気的に切り替え可能であるように構成されるように、前記複屈折レンズを横断して電場を印加するように構成された電極を備えている、項目1-10のいずれか1項に記載の適応レンズアセンブリ。
(項目14)
ディスプレイデバイスであって、前記ディスプレイデバイスは、
光を導波管アセンブリの出力表面と平行な側方方向に誘導するように構成された導波管アセンブリであって、前記導波管アセンブリは、前記出力表面を通して前記誘導された光を外部結合するようにさらに構成されている、導波管アセンブリと、
前記導波管アセンブリの第1の側に配置された適応レンズアセンブリと
を備え、
前記適応レンズアセンブリは、前記導波管アセンブリから外部結合された光を受け取るように、かつ異なる屈折力を有する複数の状態間で選択的に切り替えられるように配置され、
前記適応レンズアセンブリは、偏光依存性屈折力を直線偏光に及ぼすように構成されたレンズスタックを備え、前記レンズスタックは、互いに接触している複屈折レンズと等方レンズとを備え、前記複屈折レンズと前記等方レンズとの接触表面は、形状一致界面を形成している、ディスプレイデバイス。
(項目15)
前記複屈折レンズは、光学軸および複屈折性(Δn)を有し、第1の屈折力を前記光学軸と平行な偏光方向を有する光に及ぼし、第2の屈折力を前記光学軸と垂直な偏光方向を有する光に及ぼすように構成され、
前記等方レンズは、屈折率を有し、前記第1の屈折力および前記第2の屈折力のうちの少なくとも1つと符号が反対である第3の屈折力をそれを通過する光に及ぼすように構成されている、項目14に記載のディスプレイデバイス。
(項目16)
前記複屈折レンズは、フレネルレンズであり、前記フレネルレンズは、その中に形成された複数の溝を備え、前記溝のうちの隣接した溝は、フレネルゾーンを画定する、項目15に記載のディスプレイデバイス。
(項目17)
前記複屈折レンズは、液晶(LC)を備えている、項目15に記載のディスプレイデバイス。
(項目18)
前記複屈折レンズのLC分子は、前記偏光選択的レンズスタックの主要表面と平行な同じ方向に実質的に配向されている、項目15に記載のディスプレイデバイス。
(項目19)
前記第1の側と反対の前記導波管アセンブリの第2の側に配置された第2の適応レンズアセンブリをさらに備え、前記第2の適応レンズアセンブリは、異なる屈折力を有する複数の状態間で選択的に切り替えられるように構成され、
前記第2の適応レンズアセンブリは、偏光依存性屈折力を直線偏光に及ぼすように構成された第2のレンズスタックを備え、前記第2のレンズスタックは、第2の複屈折レンズと第2の等方レンズとを備え、前記第2の複屈折レンズと第2の等方レンズとは、互いに接触し、それらの間に形状一致界面を形成している、項目14に記載のディスプレイデバイス。
(項目20)
前記第1および第2の適応レンズアセンブリの各々は、前記レンズスタックまたは前記第2のレンズスタックのうちのそれぞれのものに光学的に結合されたねじりネマチック(TN)液晶(LC)を備えている切り替え可能な半波長板をさらに備え、前記切り替え可能な半波長板は、アクティブにされたとき、それを通過する直線偏光の偏光を保持し、非アクティブにされたとき、それを通過する直線偏光の前記偏光を改変するように構成されている、項目19に記載のディスプレイデバイス。
(項目21)
前記第2の適応レンズアセンブリによって及ぼされる前記複数の屈折力の各々は、実質的に同じ大きさを有し、かつ反対符号を有する前記適応レンズアセンブリによって及ぼされる前記複数の屈折力のうちの対応するものを有する、項目20に記載のディスプレイデバイス。
(項目22)
前記適応レンズアセンブリは、前記導波管アセンブリの第1の側に形成され、前記ディスプレイデバイスは、前記導波管アセンブリと適応レンズアセンブリとの間に挿入された偏光反射体をさらに備え、前記偏光反射体は、第1の偏光を有する直線偏光をそれに通し、第2の偏光を有する直線偏光を反射するように構成されている、項目14-21のいずれか1項に記載のディスプレイデバイス。
(項目23)
前記導波管アセンブリの第2の側に、非偏光反射体と、前記非偏光反射体と前記導波管アセンブリとの間に挿入された4分の1波長板とをさらに備え、前記非偏光反射体は、それに入射する前記第1の偏光を有する直線偏光の偏光を反射するように、かつ改変するように構成されている、項目22に記載のディスプレイデバイス。
(項目24)
前記適応レンズアセンブリは、前記導波管の第1の側に形成され、前記ディスプレイデバイスは、前記適応レンズアセンブリと前記導波管アセンブリとの間に挿入された偏光反射体をさらに備え、前記偏光反射体は、コレステリック液晶を備え、前記コレステリック液晶は、偏光ノッチ反射体が、第1の偏光を有する円偏光をそれに通し、第2の偏光を有する円偏光を反射するように構成されるように構成されている、項目14-21のいずれか1項に記載のディスプレイデバイス。
(項目25)
前記導波管アセンブリの第2の側に、非偏光反射体をさらに備え、前記非偏光反射体は、前記第2の円偏光を有するそれに入射する円偏光の前記偏光を反射するように、かつ改変するように構成されている、項目24に記載のディスプレイデバイス。
(項目26)
前記複屈折レンズおよび前記第2の複屈折レンズの各々は、反応性メソゲンを備え、前記レンズスタックおよび前記第2のレンズスタックの各々は、異なる屈折力状態間で前記レンズスタックおよび前記第2のレンズスタックの各々を切り替えるように構成された電極を備えている、項目19に記載のディスプレイデバイス。
(項目27)
前記複屈折レンズは、反応性メソゲンを備え、前記偏光選択的レンズスタックは、少なくとも2つの屈折力状態間で前記偏光選択的レンズスタックを電気的に切り替えるための電極を備えている、項目14に記載のディスプレイデバイス。
(項目28)
前記導波管アセンブリの第1の側と反対の第2の側に、
直線偏光子と、
前記導波管アセンブリと前記直線偏光子との間に挿入された4分の1波長板と
をさらに備えている、項目27に記載のディスプレイデバイス。
(項目29)
前記偏光反射体は、偏光ノッチ反射体を備えている、項目22に記載のディスプレイデバイス。
(項目30)
前記非偏光反射体は、非偏光ノッチ反射体を備えている、項目22に記載のディスプレイデバイス。
(項目31)
前記ディスプレイデバイスは、頭部搭載型ディスプレイに配置されている、項目14-21のいずれか1項に記載のディスプレイデバイス。
(項目32)
ユーザの頭部上に支持されるように構成されたフレームをさらに備えている、項目31に記載のディスプレイデバイス。
(項目33)
前記ディスプレイデバイスの少なくとも一部は、透明であり、前記ユーザが前記ディスプレイデバイスを装着すると、前記ユーザの眼の正面の場所に配置され、それによって、前記透明部分は、ユーザおよび前記ディスプレイデバイスの正面の環境の一部からの光を前記ユーザの眼に透過させ、前記ユーザおよび前記ディスプレイデバイスの正面の環境の前記一部のビューを提供する、項目31に記載のディスプレイデバイス。
(項目34)
前記ディスプレイデバイスは、ユーザの眼の中に光を投影し、発散およびコリメーションのうちの少なくとも1つの異なる量において仮想画像コンテンツを前記ユーザの視野に表示するように構成され、したがって、前記表示された仮想画像コンテンツは、異なる期間に異なる深度から生じるように見える、項目31に記載のディスプレイデバイス。
(項目35)
前記適応レンズアセンブリは、フレネルレンズを備えている、項目14-21のいずれか1項に記載のディスプレイデバイス。
(項目36)
前記レンズスタックは、フレネルレンズを備えている、項目1-5のいずれか1項に記載の適応レンズアセンブリ。
(項目37)
前記溝は、前記複屈折レンズの厚さに急激な不連続性を形成している、項目6および8-10のいずれか1項に記載の適応レンズアセンブリ。
(項目38)
前記溝は、直線状溝を備えている、項目6および8-10のいずれか1項に記載の適応レンズアセンブリ。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、ARデバイスを通した拡張現実(AR)のユーザのビューを図示する。
【
図2】
図2は、ユーザのための3次元画像をシミュレートするための従来のディスプレイシステムを図示する。
【
図3】
図3A-3Cは、曲率半径と焦点半径との間の関係を図示する。
【
図4A】
図4Aは、ヒト視覚系の遠近調節-両眼離反運動応答の表現を図示する。
【
図4B】
図4Bは、ユーザの一対の眼の異なる遠近調節状態および両眼離反運動状態の例を図示する。
【
図4C】
図4Cは、ディスプレイシステムを介してコンテンツを視認しているユーザの見下げ図の表現の例を図示する。
【
図4D】
図4Dは、ディスプレイシステムを介してコンテンツを視認しているユーザの見下げ図の表現の別の例を図示する。
【
図5】
図5は、波面発散を修正することによって3次元画像をシミュレートするためのアプローチの側面を図示する。
【
図6】
図6は、画像情報をユーザに出力するための導波管スタックの例を図示する。
【
図7】
図7は、導波管によって出力された出射ビームの例を図示する。
【
図8】
図8は、各深度平面が複数の異なる原色を使用して形成される画像を含むスタックされた導波管アセンブリの例を図示する。
【
図9A】
図9Aは、各々が内部結合光学要素を含むスタックされた導波管の組の例の断面側面図を図示する。
【
図9C】
図9Cは、
図9Aおよび9Bの複数のスタックされた導波管の例の見下げ平面図を図示する。
【
図9D】
図9Dは、ウェアラブルディスプレイシステムの例を図示する。
【
図10】
図10は、一対の適応レンズアセンブリを備えている、ディスプレイシステムの例を図示する。
【
図11】
図11Aは、適応レンズを使用して仮想深度平面において仮想コンテンツをユーザに表示する
図10のディスプレイシステムの例を図示する。
図11Bは、適応レンズを通して実世界コンテンツのビューをユーザに提供する
図10のディスプレイシステムの例を図示する。
【
図12】
図12Aは、複屈折レンズと等方レンズとを備えた例示的偏光選択的レンズスタックの断面図を図示する。
図12Bは、第1の偏光を有する直線偏光をそれに通す動作時の
図12Aの偏光選択的レンズスタックを図示する。
図12Cは、第2の偏光を有する直線偏光をそれに通す動作時の
図12Aの偏光選択的レンズスタックを図示する。
【
図13】
図13Aは、注釈付きパラメータを伴う
図12Aの偏光選択的レンズスタックを図示する。
図13Bは、複屈折フレネルレンズと、等方レンズとを備えている偏光選択的レンズスタックの例の断面図および見下げ図を図示する。
【
図14】
図14Aは、ねじりネマチック液晶を備えている切り替え可能な波長板と結合された偏光選択的レンズスタックを備えた例示的適応レンズアセンブリの断面図を図示する。
図14Bは、
図14Aに図示される適応レンズアセンブリのねじりネマチック液晶を備えている切り替え可能な波長板を図示する。
【
図15A】
図15Aは、ねじりネマチック液晶を備えている第1の切り替え可能な波長板と結合された第1の偏光選択的レンズスタックと、ねじりネマチック液晶を備えている第2の切り替え可能な波長板と結合された第2の偏光選択的レンズスタックとを備えた例示的適応レンズアセンブリの断面図を図示する。
【
図15B】
図15B-15Eは、異なる屈折力を及ぼすように構成された異なる構成下で動作時の
図15Aの例示的適応レンズアセンブリを図示する。
【
図15C】
図15B-15Eは、異なる屈折力を及ぼすように構成された異なる構成下で動作時の
図15Aの例示的適応レンズアセンブリを図示する。
【
図15D】
図15B-15Eは、異なる屈折力を及ぼすように構成された異なる構成下で動作時の
図15Aの例示的適応レンズアセンブリを図示する。
【
図15E】
図15B-15Eは、異なる屈折力を及ぼすように構成された異なる構成下で動作時の
図15Aの例示的適応レンズアセンブリを図示する。
【
図16】
図16は、各々が偏光選択的レンズスタックを有する第1の適応レンズアセンブリと第2の適応アセンブリとの間に挿入された導波管アセンブリを備えた例示的ディスプレイデバイスの断面図を図示する。
【
図17】
図17Aは、異なる円偏光を有する導波管アセンブリから外部結合される光を使用して画像を表示するように構成された例示的ディスプレイデバイスの断面図を図示する。
図17Bは、異なる直線偏光を有する導波管アセンブリから外部結合される光を使用して画像を表示するように構成された例示的ディスプレイデバイスの断面図を図示する。
【
図18】
図18は、複屈折フレネルレンズと等方レンズとを備えた例示的な切り替え可能な偏光選択的レンズスタックの断面図を図示する。
【
図19】
図19は、切り替え可能な各々が偏光選択的レンズスタックを有する第1の適応レンズアセンブリと第2の適応アセンブリとの間に挿入された導波管アセンブリを備えた例示的ディスプレイデバイスの断面図を図示する。
【
図20】
図20は、第1の側に直線偏光子と4分の1波長板との間に挿入された導波管アセンブリと、第2の側に切り替え可能な偏光選択的レンズスタックを有する適応アセンブリとを備えた例示的ディスプレイデバイスの断面図を図示する。
【
図21】
図21Aは、例示的1次元(1D)フレネルレンズスタックの平面図および断面図を図示する。
図21Bは、例示的2次元(2D)フレネルレンズスタックの断面図を図示する。
図21Cは、例示的2次元(2D)フレネルレンズスタックの断面図を図示する。
【
図22】
図22A-22Dは、フレネル複屈折レンズと等方レンズとを備えた例示的偏光選択的レンズスタックを製造する異なる段階における中間構造を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面全体を通して、参照番号は、参照される要素間の対応を示すために再使用され得る。図面は、本明細書に説明される例示的実施形態を図示するために提供され、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【0011】
ARシステムは、依然として、ユーザに彼らの周囲の世界が見えることを可能にしながら、仮想コンテンツをユーザまたは視認者に表示し得る。好ましくは、このコンテンツは、例えば、画像情報をユーザの眼に投影するアイウェアの一部としての頭部搭載型ディスプレイ上に表示される。加えて、ディスプレイは、周囲環境からの光をユーザの眼に透過させ、その周囲環境のビューも可能にし得る。本明細書で使用されるように、「頭部搭載型」または「頭部搭載可能」ディスプレイは、視認者またはユーザの頭部上に搭載され得るディスプレイであることを理解されたい。
【0012】
いくつかのARシステムにおいて、複数の導波管が、仮想画像を複数の仮想深度平面(単に、本明細書において、「深度平面」とも称される)に形成するように構成され得る。複数の導波管のうちの異なる導波管は、異なる屈折力を有し得、ユーザの眼から異なる距離に形成され得る。ディスプレイシステムは、屈折力を提供または加えて提供する複数のレンズも含み得る。導波管および/またはレンズの屈折力は、画像を異なる仮想深度平面に提供し得る。望ましくないことに、導波管およびレンズの各々は、ディスプレイの全体的厚さ、重量、およびコストを増加させ得る。
【0013】
有利に、本明細書に説明される種々の実施形態において、適応レンズアセンブリが、可変屈折力を提供することによって、例えば、レンズアセンブリを通して伝搬する光の波面発散を修正し、仮想深度平面をユーザから異なる知覚距離に提供するために利用され得る。適応レンズアセンブリは、互いに接触している複屈折レンズと等方レンズとを備えた偏光選択的レンズスタックを含み得、複屈折レンズおよび等方レンズの接触表面は、形状一致界面を形成する。複屈折レンズは、光学軸および複屈折性(Δn)を有し、第1の屈折力を光学軸と平行な偏光方向を有する光に及ぼすように構成される。複屈折レンズは、第2の屈折力を光学軸と垂直な偏光方向を有する光に及ぼすように構成される。等方レンズは、屈折率を有し、第1の屈折力および第2の屈折力と符号が反対である第3の屈折力をそれを通過する光に及ぼすように構成される。適応レンズアセンブリは、異なる屈折力を有する複数の状態間で選択的に切り替えられるように構成される。偏光選択的レンズスタックは、Δnに比例した屈折力を光学軸と平行な偏光方向を有する光に及ぼすように構成される。第3の屈折力は、第2の屈折力と大きさが実質的に同じであるか、または、異なり得る。第3の屈折力と第2の屈折力とが、大きさが実質的に同じであるとき、偏光選択的レンズスタックは、光学軸と垂直な偏光方向を有する光に屈折力を実質的に及ぼさないように構成される。第3の屈折力と第2の屈折力とが、大きさが実質的に異なるとき、偏光選択的レンズスタックは、例えば、光学軸と垂直な偏光方向を有する光に完全ではないが部分的に補償され得る屈折力を及ぼすように構成される。いくつかの用途において、例えば、ユーザが、度付きレンズまたは眼鏡等の矯正レンズを着用することから通常利益を得るとき、部分的補償は、偏光選択的レンズスタックが少なくとも部分的に矯正レンズとしての役割を果たすために望ましくあり得る。したがって、構成されると、偏光選択的レンズスタックは、偏光選択的である。
【0014】
適応レンズアセンブリは、異なる構成に基づいて、異なる屈折力を有する複数の状態間で選択的に切り替えられるように構成されることができる。いくつかの実施形態において、適応レンズアセンブリは、ねじりネマチック(TN)液晶(LC)を備えている切り替え可能な半波長板を偏光選択的レンズスタックに光学的に結合することによって、選択的に切り替えられることができる。いくつかの実施形態において、複屈折レンズは、反応性メソゲンを備え、偏光選択的レンズスタックは、偏光選択的レンズスタックが、少なくとも2つの屈折力状態間で電気的に切り替え可能であり得るように、複屈折レンズを横断して電場を印加するように構成された電極を備えている。
【0015】
いくつかの実施形態において、適応レンズアセンブリは、導波管アセンブリを伴うディスプレイデバイスの一部を形成し、画像を異なる仮想深度平面に形成する。種々の実施形態において、ディスプレイデバイスは、導波管アセンブリを間に挿入された一対の適応レンズアセンブリを備えている。導波管アセンブリは、光(例えば、可視光)をその中で伝搬し(例えば、全内部反射を介して)、光を外部結合するように構成された導波管を含む。例えば、光は、導波管の主要表面に対して垂直な光学軸方向に沿って外部結合され得る。一対の適応レンズアセンブリのうちの1つは、導波管アセンブリの第1の側に形成され得、可変屈折力を提供し、適応レンズアセンブリを通過する光の波面を修正し、画像を複数の仮想深度平面の各々に形成するように構成され得る。例えば、適応レンズアセンブリは、導波管アセンブリから受け取られた外部結合された光を収束または発散させ得る。適応レンズアセンブリおよび/または導波管アセンブリを通して伝搬する周囲光の収束または発散に起因する実世界ビューの修正を補償するために、一対の適応レンズアセンブリのうちの他方が、加えて、第1の側と反対の導波管アセンブリの第2の側に提供される。各適応レンズアセンブリの切り替え可能な波長板が、対応する状態をとると、適応レンズアセンブリは、反対符号を伴う屈折力を有し得、それによって、適応レンズアセンブリのうちの他方は、導波管アセンブリの第1の側の適応レンズアセンブリによって生じさせられる歪みを補正する。
【0016】
有利に、連続的に可変の光学要素を有する連続的に可変の適応レンズに対して、2つの状態間で切り替え可能である切り替え可能な波長板を利用することは、適応レンズアセンブリの駆動を簡単化し、所望の屈折力のために適応レンズアセンブリを適切にアクティブにする方法を決定するために必要とされる計算方法を低減させる。加えて、適応レンズアセンブリが導波管によって出力された光の波面発散を修正することを可能にすることによって、複数の深度平面を提供するために必要とされる導波管の数は、各導波管が特定の量の波面発散を提供する配置に対して、低減させられる。
【0017】
ここで、図面を参照するが、同様の参照番号は、全体を通して同様の部分を指す。別様に示されない限り、図面は、概略であり、必ずしも、正確な縮尺で描かれていない。
【0018】
(例示的ディスプレイシステム)
図2は、ユーザのための3次元画像をシミュレートするための従来のディスプレイシステムを図示する。ユーザの眼は、間隔を置かれており、空間内の実オブジェクトを見ているとき、各眼は、オブジェクトの若干異なるビューを有し、オブジェクトの画像を各眼の網膜上の異なる場所に形成し得ることを理解されたい。これは、両眼視差と称され得、ヒト視覚系によって、深度の知覚を提供するために利用され得る。従来のディスプレイシステムは、仮想オブジェクトが所望の深度における実オブジェクトであるように各眼によって見えるであろう仮想オブジェクトのビューに対応する(各眼210、220のために1つの)同じ仮想オブジェクトの若干異なるビューを伴う2つの異なる画像190、200を提示することによって、両眼視差をシミュレートする。これらの画像は、ユーザの視覚系が深度の知覚を導出するために解釈し得る両眼キューを提供する。
【0019】
図2を継続して参照すると、画像190、200は、z-軸上で距離230だけ眼210、220から間隔を置かれている。z-軸は、視認者の眼が視認者の直前の光学無限遠におけるオブジェクトを固視している状態の視認者の光学軸と平行である。画像190、200は、平坦であり、眼210、220から固定距離にある。眼210、220にそれぞれ提示される画像における仮想オブジェクトの若干異なるビューに基づいて、眼は、自然に回転し得、それによって、オブジェクトの画像は、眼の各々の網膜上の対応する点に来て、単一の両眼視を維持する。この回転は、眼210、220の各々の視線に仮想オブジェクトが存在するように知覚される空間内の点に収束させ得る。結果として、3次元画像の提供は、深度の知覚を提供するために、従来、ユーザの眼210、220の両眼離反運動を操作し得、ヒト視覚系が解釈する両眼キューを提供することを伴う。
【0020】
しかしながら、深度の現実的かつ快適な知覚の生成は、困難である。眼からの異なる距離におけるオブジェクトからの光は、異なる発散量を伴う波面を有することを理解されたい。
図3A-3Cは、距離と光線の発散との間の関係を図示する。オブジェクトと眼210との間の距離は、減少する距離R1、R2、およびR3の順序で表される。
図3A-3Cに示されるように、光線は、オブジェクトまでの距離が減少するにつれてより発散する。逆に言えば、距離が増加するにつれて、光線は、よりコリメートされる。換言すると、点(オブジェクトまたはオブジェクトの一部)によって生成される明視野は、点がユーザの眼から離れている距離の関数である球状波面曲率を有すると言え得る。曲率が増加すると、オブジェクトと眼210との間の距離が減少する。単眼210のみが、例証を明確にするために、
図3A-3Cおよび本明細書の他の図に図示されるが、眼210に関する議論は、視認者の両眼210および220に適用され得る。
【0021】
図3A-3Cを継続して参照すると、視認者の眼が固視しているオブジェクトからの光は、異なる波面発散度を有し得る。異なる波面発散量に起因して、光は、眼の水晶体によって異なって集束させられ得、それは、次に、水晶体に異なる形状をとり、焦点画像を眼の網膜上に形成することを要求し得る。焦点画像が、網膜上に形成されない場合、結果として生じる網膜ぼけは、焦点画像が網膜上に形成されるまで、眼の水晶体の形状に変化をもたらす遠近調節のためのキューとしての機能を果たす。例えば、遠近調節のためのキューは、眼の水晶体を包囲する毛様筋を弛緩または収縮するように誘起し、それによって、水晶体を保持する提靭帯に加えられる力を変調し、したがって、固視されているオブジェクトの網膜ぼけが排除されるか、または、最小化されるまで、眼の水晶体の形状を変化させ、それによって、固視されているオブジェクトの焦点画像を眼の網膜(例えば、中心窩)上に形成し得る。眼の水晶体が形状を変化させるプロセスは、遠近調節と称され得、固視されているオブジェクトの焦点画像を眼の網膜(例えば、中心窩)上に形成するために要求される眼の水晶体の形状は、遠近調節状態と称され得る。
【0022】
ここで
図4Aを参照すると、ヒト視覚系の遠近調節-両眼離反運動応答の表現が、図示される。オブジェクトを固視するための眼の移動は、眼にオブジェクトからの光を受け取らせ、光は、画像を眼の網膜の各々上に形成する。網膜上に形成される画像における網膜ぼけの存在は、遠近調節のためのキューを提供し得、網膜上の画像の相対的場所は、両眼離反運動のためのキューを提供し得る。遠近調節のためのキューは、遠近調節が生じることをもたらし、眼の水晶体の各々がオブジェクトの焦点画像を眼の網膜(例えば、中心窩)上に形成する特定の遠近調節状態をとることをもたらす。他方において、両眼離反運動のためのキューは、各眼の各網膜上に形成される画像が、単一の両眼視を維持する対応する網膜点にあるように、両眼離反運動移動(眼の回転)が生じることをもたらす。これらの位置において、眼は、特定の両眼離反運動状態をとっていると言え得る。
図4Aを継続して参照すると、遠近調節は、眼が特定の遠近調節状態を達成するプロセスであると理解され得、両眼離反運動は、眼が特定の両眼離反運動状態を達成するプロセスであると理解され得る。
図4Aに示されるように、眼の遠近調節および両眼離反運動状態は、ユーザが別のオブジェクトを固視する場合、変化し得る。例えば、遠近調節された状態は、ユーザがz-軸上の異なる深度における新しいオブジェクトを固視する場合、変化し得る。
【0023】
理論によって限定されるわけではないが、オブジェクトの視認者は、両眼離反運動と遠近調節との組み合わせに起因して、オブジェクトを「3次元」であると知覚し得ると考えられる。上記のように、2つの眼の互いに対する両眼離反運動移動(例えば、瞳孔が、互いに向かって、またはそれから移動し、眼の視線を収束させ、オブジェクトを固視するような眼の回転)は、眼の水晶体の遠近調節と密接に関連付けられる。通常条件下において、眼の水晶体の形状を変化させ、1つのオブジェクトから異なる距離における別のオブジェクトに焦点を変化させることは、自動的に、「遠近調節-両眼離反運動反射」として知られる関係下で、同じ距離まで両眼離反運動の一致する変化をもたらすであろう。同様に、両眼離反運動における変化は、通常条件下では水晶体形状の一致する変化を誘起するであろう。
【0024】
ここで
図4Bを参照すると、眼の異なる遠近調節および両眼離反運動状態の例が、図示される。一対の眼222aは、光学無限遠におけるオブジェクトを固視する一方、一対の眼222bは、光学無限遠より近いオブジェクト221を固視する。着目すべきこととして、各対の眼の両眼離反運動状態は、異なり、一対の眼222aは、まっすぐ向けられる一方、一対の眼222は、オブジェクト221上に収束する。各対の眼222aおよび222bを形成する眼の遠近調節状態も、水晶体210a、220aの異なる形状によって表されるように異なる。
【0025】
望ましくないことに、従来の「3-D」ディスプレイシステムの多くのユーザは、これらのディスプレイにおける遠近調節と両眼離反運動状態との間の不一致に起因して、そのような従来のシステムを不快であると見出し、または、奥行感を全く知覚しないこともある。上記のように、多くの立体視または「3-D」ディスプレイシステムは、若干異なる画像を各眼に提供することによって、場面を表示する。そのようなシステムは、それらが、とりわけ、場面の異なる提示を単に提供し、眼の両眼離反運動状態に変化をもたらすが、それらの眼の遠近調節状態に対応する変化を伴わないので、多くの視認者のために不快である。むしろ、画像は、眼が全ての画像情報を単一の遠近調節状態において視認するように、ディスプレイによって眼から固定距離に示される。そのような配置は、遠近調節状態の一致する変化を伴わずに両眼離反運動状態に変化をもたらすことによって、「遠近調節-両眼離反運動反射」に逆らう。この不一致は、視認者の不快感をもたらすと考えられる。遠近調節と両眼離反運動との間のより良好な一致を提供するディスプレイシステムは、3次元画像のより現実的かつ快適なシミュレーションを形成し得る。
【0026】
理論によって限定されるわけではないが、ヒトの眼は、典型的に、有限数の深度平面を解釈し、深度知覚を提供し得ると考えられる。その結果、知覚された深度の高度に真実味のあるシミュレーションが、眼にこれらの限定数の深度平面の各々に対応する画像の異なる提示を提供することによって達成され得る。いくつかの実施形態において、異なる提示は、両眼離反運動のためのキューおよび遠近調節するための一致するキューの両方を提供し、それによって、生理学的に正しい遠近調節-両眼離反運動整合を提供し得る。
【0027】
図4Bを継続して参照すると、眼210、220からの空間内の異なる距離に対応する2つの深度平面240が、図示される。所与の深度平面240に関して、両眼離反運動キューが、各眼210、220のために適切に異なる視点の画像を表示することによって提供され得る。加えて、所与の深度平面240に関して、各眼210、220のために提供される画像を形成する光は、その深度平面240の距離におけるある点によって生成された明視野に対応する波面発散を有し得る。
【0028】
図示される実施形態において、点221を含む深度平面240のz-軸に沿った距離は、1mである。本明細書で使用されるように、z-軸に沿った距離または深度は、ユーザの眼の射出瞳に位置するゼロ点を用いて測定され得る。したがって、1mの深度に位置する深度平面240は、眼が光学無限遠に向けられた状態でそれらの眼の光学軸上のユーザの眼の射出瞳から1m離れた距離に対応する。近似値として、z-軸に沿った深度または距離は、ユーザの眼の正面のディスプレイ(例えば、導波管の表面)から測定され、デバイスとユーザの眼の射出瞳との間の距離に関する値が加えられ得る。その値は、瞳距離と呼ばれ、ユーザの眼の射出瞳と眼の正面のユーザによって装着されるディスプレイとの間の距離に対応し得る。実践において、瞳距離に関する値は、概して、全ての視認者に関して使用される正規化された値であり得る。例えば、瞳距離は、20mmであると仮定され得、1mの深度における深度平面は、ディスプレイの正面の980mmの距離にあり得る。
【0029】
ここで
図4Cおよび4Dを参照すると、一致遠近調節-両眼離反運動距離および不一致遠近調節-両眼離反運動距離の例が、それぞれ、図示される。
図4Cに図示されるように、ディスプレイシステムは、仮想オブジェクトの画像を各眼210、220に提供し得る。画像は、眼210、220に眼が深度平面240上の点15上に収束する両眼離反運動状態をとらせ得る。加えて、画像は、その深度平面240における実オブジェクトに対応する波面曲率を有する光によって形成され得る。結果として、眼210、220は、画像がそれらの眼の網膜上に焦点が合う遠近調節状態をとる。したがって、ユーザは、仮想オブジェクトを深度平面240上の点15にあるものとして知覚し得る。
【0030】
眼210、220の遠近調節および両眼離反運動状態の各々は、z-軸上の特定の距離に関連付けられることを理解されたい。例えば、眼210、220からの特定の距離におけるオブジェクトは、オブジェクトの距離に基づいて、それらの眼に特定の遠近調節状態をとらせる。特定の遠近調節状態に関連付けられた距離は、遠近調節距離Adと称され得る。同様に、特定の両眼離反運動状態時の眼に関連付けられる特定の両眼離反運動距離Vdまたは互いに対する位置が、存在する。遠近調節距離および両眼離反運動距離が一致する場合、遠近調節と両眼離反運動との間の関係は、生理学的に正しいと言える。これは、視認者に最も快適なシナリオであると見なされる。
【0031】
しかしながら、立体視ディスプレイにおいて、遠近調節距離と両眼離反運動距離とは、必ずしも一致しないこともある。例えば、
図4Dに図示されるように、眼210、220に表示される画像は、深度平面240に対応する波面発散を伴って表示され得、眼210、220は、その深度平面上の点15a、15bに焦点が合う特定の遠近調節状態をとり得る。しかしながら、眼210、220に表示される画像は、眼210、220を深度平面240上に位置しない点15上に収束させる両眼離反運動のためのキューを提供し得る。結果として、遠近調節距離は、いくつかの実施形態において、眼210、220の射出瞳から深度平面240までの距離に対応する一方、両眼離反運動距離は、眼210、220の射出瞳から点15までのより大きい距離に対応する。遠近調節距離は、両眼離反運動距離と異なる。その結果、遠近調節-両眼離反運動不一致が存在する。そのような不一致は、望ましくないと見なされ、不快感をユーザにもたらし得る。不一致は、距離(例えば、V
d-A
d)に対応し、ジオプタを使用して特性評価され得ることを理解されたい。
【0032】
いくつかの実施形態において、眼210、220の射出瞳以外の参照点も、同じ参照点が遠近調節距離および両眼離反運動距離のために利用される限り、遠近調節-両眼離反運動不一致を決定するための距離を決定するために利用され得ることを理解されたい。例えば、距離は、角膜から深度平面まで、網膜から深度平面まで、接眼レンズ(例えば、ディスプレイデバイスの導波管)から深度平面等まで等、測定され得る。
【0033】
理論によって限定されるわけではないが、ユーザは、不一致自体が有意な不快感を生じさせずに、依然として、最大約0.25ジオプタ、最大約0.33ジオプタ、および最大約0.5ジオプタの遠近調節-両眼離反運動不一致を生理学的に正しいと知覚し得ると考えられる。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるディスプレイシステム(例えば、ディスプレイシステム250、
図6)は、約0.5ジオプタ以下の遠近調節-両眼離反運動不一致を有する画像を視認者に提示する。いくつかの他の実施形態において、ディスプレイシステムによって提供される画像の遠近調節-両眼離反運動不一致は、約0.33ジオプタ以下である。さらに他の実施形態において、ディスプレイシステムによって提供される画像の遠近調節-両眼離反運動不一致は、約0.1ジオプタ以下を含む約0.25ジオプタ以下である。
【0034】
図5は、波面発散を修正することによって3次元画像をシミュレートするためのアプローチの側面を図示する。ディスプレイシステムは、画像情報でエンコードされた光770を受け取るように、かつその光をユーザの眼210に出力するように構成された導波管270を含む。導波管270は、所望の深度平面240上のある点によって生成された明視野の波面発散に対応する定義された波面発散量を伴って光650を出力し得る。いくつかの実施形態において、同じ量の波面発散が、その深度平面上に提示される全てのオブジェクトのために提供される。加えて、ユーザの他方の眼は、類似導波管からの画像情報を提供され得ることが図示されるであろう。
【0035】
いくつかの実施形態において、単の一導波管が、単一または限定数の深度平面に対応する設定された波面発散量を伴う光を出力するように構成され得、および/または、導波管は、限定された範囲の波長の光を出力するように構成され得る。その結果、いくつかの実施形態において、複数の導波管またはそのスタックが、異なる深度平面のための異なる波面発散量を提供するために、および/または、異なる範囲の波長の光を出力するために利用され得る。本明細書で使用されるように、深度平面は、平面であり得るか、または、湾曲表面の輪郭に従い得ることを理解されたい。
【0036】
図6は、画像情報をユーザに出力するための導波管スタックの例を図示する。ディスプレイシステム250は、複数の導波管270、280、290、300、310を使用して3次元知覚を眼/脳に提供するために利用され得る導波管のスタックまたはスタックされた導波管アセンブリ260を含む。ディスプレイシステム250は、いくつかの実施形態において、明視野ディスプレイと見なされ得ることを理解されたい。加えて、導波管アセンブリ260は、接眼レンズとも称され得る。
【0037】
いくつかの実施形態において、ディスプレイシステム250は、両眼離反運動のための実質的に連続的なキューと遠近調節のための複数の別々のキューとを提供するように構成され得る。両眼離反運動のためのキューは、異なる画像をユーザの眼の各々に表示することによって提供され得、遠近調節のためのキューは、選択可能な別々の量の波面発散を伴う画像を形成する光を出力することによって提供され得る。換言すると、ディスプレイシステム250は、可変レベルの波面発散を伴う光を出力するように構成され得る。いくつかの実施形態において、各別々のレベルの波面発散は、特定の深度平面に対応し、導波管270、280、290、300、310のうちの特定の1つによって提供され得る。
【0038】
図6を継続して参照すると、導波管アセンブリ260は、複数の特徴320、330、340、350を導波管の間に含み得る。いくつかの実施形態において、特徴320、330、340、350は、1つ以上のレンズであり得る。導波管270、280、290、300、310、および/または複数のレンズ320、330、340、350は、種々のレベルの波面曲率または光線発散を伴って画像情報を眼に送信するように構成され得る。各導波管レベルは、特定の深度平面に関連付けられ得、その深度平面に対応する画像情報を出力するように構成され得る。画像投入デバイス360、370、380、390、400は、導波管のための光源として機能し得、画像情報を導波管270、280、290、300、310の中に投入するために利用され得、それぞれ、本明細書に説明されるように、眼210に向かって出力するために各それぞれの導波管にわたって入射光を分配するように構成され得る。光は、画像投入デバイス360、370、380、390、400の出力表面410、420、430、440、450から出射し、導波管270、280、290、300、310の対応する入力表面460、470、480、490、500の中に投入される。いくつかの実施形態において、入力表面460、470、480、490、500の各々は、対応する導波管の縁であり得るか、または、対応する導波管の主要表面の一部(すなわち、世界510または視認者の眼210に直接面する導波管表面のうちの1つ)であり得る。いくつかの実施形態において、単一の光のビーム(例えば、コリメートされたビーム)が、各導波管の中に投入され、特定の導波管に関連付けられる深度平面に対応する特定の角度(および発散量)において眼210の方に向けられる、クローン化されたコリメートビームの全体場を出力し得る。いくつかの実施形態において、画像投入デバイス360、370、380、390、400のうちの単一のものが、複数(例えば、3つ)の導波管270、280、290、300、310に関連付けられ、その中に光を投入し得る。
【0039】
いくつかの実施形態において、画像投入デバイス360、370、380、390、400の各々は、それぞれ対応する導波管270、280、290、300、310の中への投入のために画像情報を生成する別々のディスプレイである。いくつかの他の実施形態において、画像投入デバイス360、370、380、390、400は、例えば、画像情報を1つ以上の光学導管(光ファイバケーブル等)を介して画像投入デバイス360、370、380、390、400の各々に送り得る単一の多重化されたディスプレイの出力端である。画像投入デバイス360、370、380、390、400によって提供される画像情報は、異なる波長または色(例えば、本明細書に議論されるような異なる原色)の光を含み得ることを理解されたい。
【0040】
いくつかの実施形態において、導波管270、280、290、300、310の中に投入される光は、発光ダイオード(LED)等の光エミッタを含み得る光モジュール530を備えている光プロジェクタシステム520によって提供される。光モジュール530からの光は、ビームスプリッタ550を介して、光変調器540、例えば、空間光変調器に向けられ、それによって修正され得る。光変調器540は、導波管270、280、290、300、310の中に投入される光の知覚される強度を変化させ、光を画像情報でエンコードするように構成され得る。空間光変調器の例は、シリコン上液晶(LCOS)ディスプレイを含む液晶ディスプレイ(LCD)を含む。画像投入デバイス360、370、380、390、400は、図式的に図示され、いくつかの実施形態において、これらの画像投入デバイスは、光を導波管270、280、290、300、310の関連付けられるものの中に出力するように構成される共通の投影システムにおける異なる光経路および場所を表し得ることを理解されたい。いくつかの実施形態において、導波管アセンブリ260の導波管は、導波管の中に投入された光をユーザの眼に中継しながら、理想的レンズとして機能し得る。この概念において、オブジェクトは、空間光変調器540であり得、画像は、深度平面上の画像であり得る。
【0041】
いくつかの実施形態において、ディスプレイシステム250は、光を種々のパターン(例えば、ラスタ走査、螺旋走査、リサジューパターン等)で1つ以上の導波管270、280、290、300、310の中に、最終的に、視認者の眼210に投影するように構成される1つ以上の走査ファイバを備えている走査ファイバディスプレイであり得る。いくつかの実施形態において、図示される画像投入デバイス360、370、380、390、400は、光を1つまたは複数の導波管270、280、290、300、310の中に投入するように構成される単一の走査ファイバまたは走査ファイバの束を図式的に表し得る。いくつかの他の実施形態において、図示される画像投入デバイス360、370、380、390、400は、複数の走査ファイバまたは走査ファイバの複数の束を図式的に表し得、それらの各々は、光を導波管270、280、290、300、310のうちの関連付けられるものの中に投入するように構成される。1つ以上の光ファイバは、光を光モジュール530から1つ以上の導波管270、280、290、300、310に伝送するように構成され得ることを理解されたい。1つ以上の介在光学構造が、走査ファイバまたは複数のファイバと、1つ以上の導波管270、280、290、300、310との間に提供され、例えば、走査ファイバから出射する光を1つ以上の導波管270、280、290、300、310の中に向け直し得ることを理解されたい。
【0042】
コントローラ560は、画像投入デバイス360、370、380、390、400、光源530、および光変調器540の動作を含むスタックされた導波管アセンブリ260のうちの1つ以上のものの動作を制御する。いくつかの実施形態において、コントローラ560は、ローカルデータ処理モジュール140の一部である。コントローラ560は、例えば、本明細書に開示される種々のスキームのいずれかに従って、導波管270、280、290、300、310への画像情報のタイミングおよび提供を調整するプログラミング(例えば、非一過性媒体内の命令)を含む。いくつかの実施形態において、コントローラは、単一の一体型デバイスまたは有線または無線通信チャネルによって接続される分散型システムであり得る。コントローラ560は、いくつかの実施形態において、処理モジュール140または150(
図9D)の一部であり得る。
【0043】
図6を継続して参照すると、導波管270、280、290、300、310は、全内部反射(TIR)によって各それぞれの導波管内で光を伝搬するように構成され得る。導波管270、280、290、300、310の各々は、主要な上部および底部表面およびそれらの主要上部表面と底部表面との間に延びている縁を伴って、平面であるか、または、別の形状(例えば、湾曲)を有し得る。図示される構成において、導波管270、280、290、300、310の各々は、各それぞれの導波管内で伝搬する光を導波管から外に向け直し、画像情報を眼210に出力することによって、光を導波管から抽出するように構成された外部結合光学要素570、580、590、600、610を含み得る。抽出された光は、外部結合された光とも称され得、外部結合光学要素光は、光抽出光学要素とも称され得る。抽出された光のビームは、導波管によって、導波管内を伝搬する光が光抽出光学要素に衝打する場所において出力され得る。外部結合光学要素570、580、590、600、610は、例えば、本明細書にさらに議論されるような回折光学特徴を含む格子であり得る。説明の容易性および図面の明確性のために、導波管270、280、290、300、310の底部主要表面に配置されて図示されるが、いくつかの実施形態において、外部結合光学要素570、580、590、600、610は、本明細書にさらに議論されるように、上部および/または底部主要表面に配置され得、および/または、導波管270、280、290、300、310の容積内に直接配置され得る。いくつかの実施形態において、外部結合光学要素570、580、590、600、610は、透明基板に取り付けられ、導波管270、280、290、300、310を形成する材料の層内に形成され得る。いくつかの他の実施形態において、導波管270、280、290、300、310は、モノリシックな材料片であり得、外部結合光学要素570、580、590、600、610は、その材料片の表面上および/または内部に形成され得る。
【0044】
図6を継続して参照すると、本明細書に議論されるように、各導波管270、280、290、300、310は、光を出力し、特定の深度平面に対応する画像を形成するように構成される。例えば、眼に最も近い導波管270は、眼210にコリメートされた光(そのような導波管270の中に投入された)を送達するように構成され得る。コリメートされた光は、光学無限遠焦点面を表し得る。次の上方の導波管280は、眼210に到達し得る前、第1のレンズ350(例えば、負のレンズ)を通過するコリメートされた光を送出するように構成され得る。そのような第1のレンズ350は、眼/脳が、その次の上方の導波管280から生じる光を光学無限遠から眼210に向かって内側により近い第1の焦点面から生じるものとして解釈するように、若干の凸面波面曲率を生成するように構成され得る。同様に、第3の上方の導波管290は、眼210に到達する前、その出力光を第1の350および第2の340レンズの両方に通し、第1の350および第2の340レンズの組み合わせられた屈折力は、眼/脳が、第3の導波管290から生じる光を次の上方の導波管280からの光であった光学無限遠から人物に向かって内向きにさらに近い第2の焦点面から生じるものとして解釈するように、別の漸増量の波面曲率を生成するように構成され得る。
【0045】
他の導波管層300、310およびレンズ330、320も同様に構成され、スタック内の最高導波管310は、人物に最も近い焦点面を表す集約焦点力のために、その出力をそれと眼との間のレンズの全てを通して送出する。スタックされた導波管アセンブリ260の他側の世界510から生じる光を視認/解釈するとき、レンズ320、330、340、350のスタックを補償するために、補償レンズ層620が、スタックの上部に配置され、下方のレンズスタック320、330、340、350の集約力を補償し得る。そのような構成は、利用可能な導波管/レンズ対と同じ数の知覚される焦点面を提供する。導波管の外部結合光学要素およびレンズの集束側面の両方は、静的であり得る(すなわち、動的または電気活性ではない)。いくつかの代替実施形態において、いずれか一方または両方は、電気活性特徴を使用して動的であり得る。
【0046】
いくつかの実施形態において、導波管270、280、290、300、310のうちの2つ以上のものは、同じ関連付けられた深度平面を有し得る。例えば、複数の導波管270、280、290、300、310は、同じ深度平面に設定される画像を出力するように構成され得るか、または、導波管270、280、290、300、310の複数のサブセットは、深度平面毎に1つの組を伴って、同じ複数の深度平面に設定される画像を出力するように構成され得る。これは、それらの深度平面において拡張された視野を提供するようにタイル化された画像を形成するための利点を提供し得る。
【0047】
図6を継続して参照すると、外部結合光学要素570、580、590、600、610は、光をそれらのそれぞれの導波管から外に向け直すように、かつ導波管に関連付けられた特定の深度平面のために適切な量の発散またはコリメーションを伴ってこの光を出力するように構成され得る。結果として、異なる関連付けられた深度平面を有する導波管は、関連付けられた深度平面に応じて、異なる量の発散を伴う光を出力する外部結合光学要素570、580、590、600、610の異なる構成を有し得る。いくつかの実施形態において、光抽出光学要素570、580、590、600、610は、特定の角度で光を出力するように構成され得る体積または表面特徴であり得る。例えば、光抽出光学要素570、580、590、600、610は、体積ホログラム、表面ホログラム、および/または回折格子であり得る。いくつかの実施形態において、特徴320、330、340、350は、レンズではないこともあり、むしろ、それらは、単に、スペーサ(例えば、クラッディング層および/または空隙を形成するための構造)であり得る。
【0048】
いくつかの実施形態において、外部結合光学要素570、580、590、600、610は、回折パターンを形成する回折特徴または「回折光学要素」(本明細書において、「DOE」とも称される)である。好ましくは、DOEは、ビームの光の一部のみが、DOEの各交差とともに眼210に向かって偏向させられる一方、残りが、TIRを介して導波管を通して移動し続けるように、十分に低い回折効率を有する。画像情報を搬送する光は、したがって、様々な場所において導波管から出射するいくつかの関連出射ビームに分割され、その結果、導波管内で跳ね返るこの特定のコリメートされたビームに関して、眼210に向かって非常に均一なパターンの出射放出である。
【0049】
いくつかの実施形態において、1つ以上のDOEは、それらが能動的に回折する「オン」状態と、それらがあまり回折しない「オフ」状態との間で切り替え可能であり得る。例えば、切り替え可能なDOEは、ポリマー分散液晶の層を備え得、その中で微小液滴は、ホスト媒体中に回折パターンを備え、微小液滴の屈折率は、ホスト材料の屈折率に実質的に一致するように切り替えられ得るか(その場合、パターンは、入射光を著しく回折しない)、または、微小液滴は、ホスト媒体のものに一致しない屈折率に切り替えられ得る(その場合、パターンは、入射光を能動的に回折する)。
【0050】
いくつかの実施形態において、カメラアセンブリ630(例えば、可視光および赤外光カメラを含むデジタルカメラ)が、眼210および/または眼210の周囲の組織の画像を捕捉し、例えば、ユーザ入力を検出するために、および/または、ユーザの生理学的状態を監視するために提供され得る。本明細書で使用されるように、カメラは、任意の画像捕捉デバイスであり得る。いくつかの実施形態において、カメラアセンブリ630は、画像捕捉デバイスと、次いで、眼によって反射され、画像捕捉デバイスによって検出され得る光(例えば、赤外光)を眼に投影するための光源とを含み得る。いくつかの実施形態において、カメラアセンブリ630は、フレーム80(
図9D)に取り付けられ得、カメラアセンブリ630からの画像情報を処理し得る処理モジュール140および/または150と電気通信し得る。いくつかの実施形態において、1つのカメラアセンブリ630が、眼毎に利用され、各眼を別個に監視し得る。
【0051】
ここで
図7を参照すると、導波管によって出力された出射ビームの例が、示される。1つの導波管が図示されるが、導波管アセンブリ260(
図6)における他の導波管も同様に機能し得、導波管アセンブリ260が、複数の導波管を含むことを理解されたい。光640が、導波管270の入力表面460において導波管270の中に投入され、TIRによって導波管270内を伝搬する。光640がDOE570上に衝突する点において、光の一部は、導波管から出射ビーム650として出射する。出射ビーム650は、実質的に平行として図示されるが、本明細書に議論されるように、導波管270に関連付けられる深度平面に応じて、ある角度(例えば、発散出射ビームを形成する)において眼210に伝搬するようにも向け直され得る。実質的に平行な出射ビームが、眼210からの遠距離(例えば、光学無限遠)における深度平面に設定されるように現れる画像を形成するように光を外部結合する外部結合光学要素を伴う導波管を示し得ることを理解されたい。他の導波管または他の外部結合光学要素の組は、より発散する出射ビームパターンを出力し得、それは、眼210がより近い距離に遠近調節し、網膜に焦点を合わせることを要求し、光学無限遠より眼210に近い距離からの光として脳によって解釈されるであろう。
【0052】
いくつかの実施形態において、フルカラー画像が、原色、例えば、3つ以上の原色の各々における画像をオーバーレイすることによって、各深度平面において形成され得る。
図8は、各深度平面が、複数の異なる原色を使用して形成される画像を含むスタックされた導波管アセンブリの例を図示する。図示される実施形態は、深度平面240a-240fを示すが、より多いまたはより少ない深度も、想定される。各深度平面は、第1の色Gの第1の画像、第2の色Rの第2の画像、および第3の色Bの第3の画像を含むそれに関連付けられた3つ以上の原色画像を有し得る。異なる深度平面は、文字G、R、およびBに続くジオプタ(dpt)に関する異なる数字によって図に示される。単なる例として、これらの文字の各々に続く数字は、ジオプタ(1/m)、すなわち、視認者からの深度平面の距離の逆数を示し、図中の各ボックスは、個々の原色画像を表す。いくつかの実施形態において、異なる波長の光の眼の集束における差異を考慮するために、異なる原色に関する深度平面の正確な場所は、変動し得る。例えば、所与の深度平面に関する異なる原色画像は、ユーザからの異なる距離に対応する深度平面上に設置され得る。そのような配置は、視力およびユーザ快適性を増加させ得、および/または色収差を減少させ得る。
【0053】
いくつかの実施形態において、各原色の光は、単一の専用導波管によって出力され得、その結果、各深度平面は、それに関連付けられた複数の導波管を有し得る。そのような実施形態において、文字G、R、またはBを含む図中の各ボックスは、個々の導波管を表すと理解され得、3つの導波管は、深度平面毎に提供され得、3つの原色画像が、深度平面毎に提供される。各深度平面に関連付けられる導波管は、この図面において、説明を容易にするために互いに隣接して示されるが、物理的デバイスにおいて、導波管は全て、レベル毎に1つの導波管を伴うスタックに配置され得ることを理解されたい。いくつかの他の実施形態において、複数の原色が、同じ導波管によって出力され得、それによって、例えば、単一の導波管のみが、深度平面毎に提供され得る。
【0054】
図8を継続して参照すると、いくつかの実施形態において、Gは、緑色であり、Rは、赤色であり、Bは、青色である。いくつかの他の実施形態において、マゼンタ色およびシアン色を含む光の他の波長に関連付けられる他の色も、赤色、緑色、または青色のうちの1つ以上のものに加えて使用され得るか、または、それらに取って代わり得る。
【0055】
本開示の全体を通した所与の光の色の言及は、視認者によってその所与の色であるものとして知覚される光の波長の範囲内の1つ以上の波長の光を包含すると理解されるであろうことを理解されたい。例えば、赤色光は、約620~780nmの範囲内の1つ以上の波長の光を含み得、緑色光は、約492~577nmの範囲内の1つ以上の波長の光を含み得、青色光は、約435~493nmの範囲内の1つ以上の波長の光を含み得る。
【0056】
いくつかの実施形態において、光源530(
図6)は、視認者の視覚的知覚範囲外の1つ以上の波長、例えば、赤外線および/または紫外線波長の光を放射するように構成され得る。加えて、ディスプレイ250の導波管の内部結合、外部結合、および他の光向け直し構造は、例えば、結像および/またはユーザ刺激用途のために、この光をディスプレイからユーザの眼210の方に向けるように、および、放射するように構成され得る。
【0057】
ここで
図9Aを参照すると、いくつかの実施形態において、導波管に衝突する光は、その光を導波管の中に内部結合するために向け直される必要があり得る。内部結合光学要素が、光をその対応する導波管の中に向け直し、内部結合するために使用され得る。
図9Aは、各々が内部結合光学要素を含む複数のスタックされた導波管またはその組660の例の断面側面図を図示する。導波管の各々は、1つ以上の異なる波長または1つ以上の異なる波長範囲の光を出力するように構成され得る。画像投入デバイス360、370、380、390、400のうちの1つ以上のものからの光が、光が内部結合のために向け直されることを要求する位置から導波管の中に投入されることを除いて、スタック660は、スタック260(
図6)に対応し得、スタック660の図示される導波管は、複数の導波管270、280、290、300、310の一部に対応し得ることを理解されたい。
【0058】
スタックされた導波管の図示される組660は、導波管670、680、および690を含む。各導波管は、関連付けられた内部結合光学要素(導波管上の光入力エリアとも称され得る)を含み、例えば、内部結合光学要素700は、導波管670の主要表面(例えば、上側主要表面)上に配置され、内部結合光学要素710は、導波管680の主要表面(例えば、上側主要表面)上に配置され、内部結合光学要素720は、導波管690の主要表面(例えば、上側主要表面)上に配置される。いくつかの実施形態において、内部結合光学要素700、710、720のうちの1つ以上のものは、それぞれの導波管670、680、690の底部主要表面上に配置され得る(特に、1つ以上の内部結合光学要素は、反射型偏向光学要素である)。図示されるように、内部結合光学要素700、710、720は、それらのそれぞれの導波管670、680、690の上側主要表面(または次の下側導波管の上部)上に配置され得、特に、それらの内部結合光学要素は、透過型偏向光学要素である。いくつかの実施形態において、内部結合光学要素700、710、720は、それぞれの導波管670、680、690の本体内に配置され得る。いくつかの実施形態において、本明細書に議論されるように、内部結合光学要素700、710、720は、他の光の波長を透過させながら、1つ以上の光の波長を選択的に向け直すように、波長選択的である。それらのそれぞれの導波管670、680、690の片側または角に図示されるが、内部結合光学要素700、710、720は、いくつかの実施形態において、それらのそれぞれの導波管670、680、690の他のエリア内に配置され得ることを理解されたい。
【0059】
図示されるように、内部結合光学要素700、710、720は、互いに側方にオフセットされ得る。いくつかの実施形態において、各内部結合光学要素は、その光が別の内部結合光学要素を通過することなく、光を受け取るように、オフセットされ得る。例えば、各内部結合光学要素700、710、720は、
図6に示されるように、光を異なる画像投入デバイス360、370、380、390、および400から受け取るように構成され得、光を内部結合光学要素700、710、720の他のものから実質的に受け取らないように、他の内部結合光学要素700、710、720から分離され(例えば、側方に間隔を置かれ)得る。
【0060】
各導波管は、関連付けられた光分配要素も含み、例えば、光分配要素730は、導波管670の主要表面(例えば、上部主要表面)上に配置され、光分配要素740は、導波管680の主要表面(例えば、上部主要表面)上に配置され、光分配要素750は、導波管690の主要表面(例えば、上部主要表面)上に配置される。いくつかの他の実施形態において、光分配要素730、740、750は、それぞれ、関連付けられる導波管670、680、690の底部主要表面上に配置され得る。いくつかの他の実施形態において、光分配要素730、740、750は、それぞれ、関連付けられる導波管670、680、690の上部および底部両方の主要表面上に配置され得るか、または、光分配要素730、740、750は、それぞれ、異なる関連付けられる導波管670、680、690における上部および底部主要表面のうちの異なるもの上に配置され得る。
【0061】
導波管670、680、690は、例えば、材料のガス、液体、および/または固体層によって間隔を置かれ、分離され得る。例えば、図示されるように、層760aは、導波管670と680とを分離し得、層760bは、導波管680と690とを分離し得る。いくつかの実施形態において、層760aおよび760bは、低屈折率材料(すなわち、導波管670、680、690のうちの直近のものを形成する材料より低い屈折率を有する材料)から形成される。好ましくは、層760a、760bを形成する材料の屈折率は、導波管670、680、690を形成する材料の屈折率を0.05またはそれを上回るか、または、0.10またはそれを下回る。有利に、より低い屈折率層760a、760bは、導波管670、680、690を通した光の全内部反射(TIR)(例えば、各導波管の上部主要表面と底部主要表面との間のTIR)を促進するクラッディング層として機能し得る。いくつかの実施形態において、層760a、760bは、空気から形成される。図示されないが、導波管の図示される組660の上部および底部が、直近クラッディング層を含み得ることを理解されたい。
【0062】
好ましくは、製造および他の考慮点を容易にするために、導波管670、680、690を形成する材料は、類似または同じであり、層760a、760bを形成する材料は、類似または同じである。いくつかの実施形態において、導波管670、680、690を形成する材料は、1つ以上の導波管間で異なり得る、および/または、層760a、760bを形成する材料は、依然として、上記の種々の屈折率関係を保持しながら、異なり得る。
【0063】
図9Aを継続して参照すると、光線770、780、790が、導波管の組660に入射する。光線770、780、790は、1つ以上の画像投入デバイス360、370、380、390、400(
図6)によって導波管670、680、690の中に投入され得ることを理解されたい。
【0064】
いくつかの実施形態において、光線770、780、790は、異なる色に対応し得る異なる特性、例えば、異なる波長または異なる波長範囲を有する。内部結合光学要素700、710、720の各々は、光が、TIRによって、導波管670、680、690のうちのそれぞれの1つを通して伝搬するように、入射光を偏向させる。いくつかの実施形態において、内部結合光学要素700、710、720の各々は、他の波長を下層導波管および関連付けられた内部結合光学要素に透過させながら、1つ以上の特定の光の波長を選択的に偏向させる。
【0065】
例えば、内部結合光学要素700は、異なる第2および第3の波長または波長範囲をそれぞれ有する光線780および790を透過させながら、第1の波長または波長範囲を有する光線770を選択的に偏向させるように構成され得る。透過させられた光線780は、第2の波長または波長範囲の光を選択的に偏向させるように構成された内部結合光学要素710に衝突し、それによって偏向させられる。光線790は、第3の波長または波長範囲の光を選択的に偏向させるように構成された内部結合光学要素720によって偏向させられる。
【0066】
図9Aを継続して参照すると、偏向させられた光線770、780、790は、対応する導波管670、680、690を通して伝搬するように偏向させられる。すなわち、各導波管の内部結合光学要素700、710、720は、光をその対応する導波管670、680、690の中に偏向させ、光をその対応する導波管の中に内部結合する。光線770、780、790は、光にTIRによってそれぞれの導波管670、680、690を通して伝搬させる角度で偏向させられる。光線770、780、790は、導波管の対応する光分配要素730、740、750に衝突するまで、TIRによってそれぞれの導波管670、680、690を通して伝搬する。
【0067】
ここで
図9Bを参照すると、
図9Aの複数のスタックされた導波管の例の斜視図が、図示される。上記のように、内部結合された光線770、780、790は、それぞれ、内部結合光学要素700、710、720によって偏向させられ、次いで、それぞれ、導波管670、680、690内でTIRによって伝搬する。光線770、780、790は、次いで、それぞれ、光分配要素730、740、750に衝突する。光分配要素730、740、750は、それぞれ、外部結合光学要素800、810、820に向かって伝搬するように、光線770、780、790を偏向させる。
【0068】
いくつかの実施形態において、光分配要素730、740、750は、直交瞳エクスパンダ(OPE)である。いくつかの実施形態において、OPEは、光を外部結合光学要素800、810、820に偏向または分散し、いくつかの実施形態において、光が外部結合光学要素に伝搬するにつれて、この光のビームまたはスポットサイズも増加させ得る。いくつかの実施形態において、光分配要素730、740、750は、省略され得、内部結合光学要素700、710、720は、光を直接外部結合光学要素800、810、820に偏向させるように構成され得る。例えば、
図9Aを参照すると、光分配要素730、740、750は、それぞれ、外部結合光学要素800、810、820と置換され得る。いくつかの実施形態において、外部結合光学要素800、810、820は、光を視認者の眼210(
図7)に向ける射出瞳(EP)または射出瞳エクスパンダ(EPE)である。OPEが、少なくとも1つの軸においてアイボックスの寸法を増加させるように構成され得、EPEが、OPEの軸と交差する(例えば、直交する)軸においてアイボックスを増加させるためであり得ることを理解されたい。例えば、各OPEは、光の残りの部分が導波管に沿って伝搬し続けることを可能にしながら、OPEに衝打する光の一部を同じ導波管のEPEに向け直すように構成され得る。OPEに再び衝突すると、残りの光の別の部分は、EPEに向け直され、その部分の残りの部分は、導波管に沿ってさらに伝搬し続ける等。同様に、EPEへの衝打時、衝突光の一部は、ユーザに向かって導波管から外に向けられ、その光の残りの部分は、EPに再び衝打するまで、導波管を通して伝搬し続け、その時点で、衝突光の別の部分は、導波管から外に向けられる等。その結果、内部結合された光の単一ビームは、その光の一部がOPEまたはEPEによって向け直される度に、「複製」され、それによって、
図6に示されるように、クローン化された光のビーム野を形成し得る。いくつかの実施形態において、OPEおよび/またはEPEは、光のビームのサイズを修正するように構成され得る。
【0069】
故に、
図9Aおよび9Bを参照すると、いくつかの実施形態において、導波管の組660は、各原色のために、導波管670、680、690;内部結合光学要素700、710、720;光分配要素(例えば、OPE)730、740、750;外部結合光学要素(例えば、EP)800、810、820を含む。導波管670、680、690は、各1つの間に空隙/クラッディング層を伴ってスタックされ得る。内部結合光学要素700、710、720は、(異なる波長の光を受け取る異なる内部結合光学要素を用いて)入射光をその導波管の中に向け直し、または偏向させる。光は、次いで、それぞれの導波管670、680、690内でTIRをもたらすであろう角度で伝搬する。示される例において、光線770(例えば、青色光)は、前述の様式において、第1の内部結合光学要素700によって偏向させられ、次いで、導波管に沿って跳ね返り続け、光分配要素(例えば、OPE)730、次いで、外部結合光学要素(例えば、EP)800と相互作用する。光線780および790(例えば、それぞれ、緑色および赤色光)は、導波管670を通過し、光線780は、内部結合光学要素710に衝突し、それによって偏向させられる。光線780は、次いで、TIRを介して、導波管680に沿って跳ね返り、その光分配要素(例えば、OPE)740、次いで、外部結合光学要素(例えば、EP)810に進むであろう。最後、光線790(例えば、赤色光)は、導波管690を通過し、導波管690の光内部結合光学要素720に衝突する。光内部結合光学要素720は、光線が、TIRによって、光分配要素(例えば、OPE)750、次いで、TIRによって、外部結合光学要素(例えば、EP)820に伝搬するように、光線790を偏向させる。外部結合光学要素820は、次いで、最後、光線790を他の導波管670、680からの外部結合した光も受け取る視認者に外部結合する。
【0070】
図9Cは、
図9Aおよび9Bの複数のスタックされた導波管の例の見下げ平面図を図示する。図示されるように、導波管670、680、690は、各導波管の関連付けられた光分配要素730、740、750および関連付けられた外部結合光学要素800、810、820とともに、垂直に整列させられ得る。しかしながら、本明細書に議論されるように、内部結合光学要素700、710、720は、垂直に整列させられていない。むしろ、内部結合光学要素は、好ましくは、重複していない(例えば、見下げ図に見られるように、側方に間隔を置かれる)。本明細書にさらに議論されるように、この重複していない空間配置は、1対1ベースで異なるリソースから異なる導波管の中への光の投入を促進し、それによって、特定の光源が特定の導波管に独自に結合されることを可能にする。いくつかの実施形態において、重複していない空間的に分離された内部結合光学要素を含む配置は、シフト瞳システムと称され得、これらの配置内の内部結合光学要素は、サブ瞳に対応し得る。
【0071】
図9Dは、本明細書に開示される種々の導波管および関連システムが統合され得るウェアラブルディスプレイシステム60の例を図示する。いくつかの実施形態において、ディスプレイシステム60は、
図6のシステム250であり、
図6は、そのシステム60のいくつかの部分をより詳細に図式的に示す。例えば、
図6の導波管アセンブリ260は、ディスプレイ70の一部であり得る。
【0072】
図9Dを継続して参照すると、ディスプレイシステム60は、ディスプレイ70と、そのディスプレイ70の機能をサポートするための種々の機械的および電子的モジュールおよびシステムとを含む。ディスプレイ70は、ディスプレイシステムユーザまたは視認者90によって装着可能であり、ディスプレイ70をユーザ90の眼の正面に位置付けるように構成されるフレーム80に結合され得る。ディスプレイ70は、いくつかの実施形態において、アイウェアと見なされ得る。いくつかの実施形態において、スピーカ100が、フレーム80に結合され、ユーザ90の外耳道に隣接して位置付けられるように構成される(いくつかの実施形態において、示されていない別のスピーカも、随意に、ユーザの他方の外耳道に隣接して位置付けられ、ステレオ/成形可能音制御を提供し得る)。ディスプレイシステム60は、1つ以上のマイクロホン110または他のデバイスも含み、音を検出し得る。いくつかの実施形態において、マイクロホンは、ユーザが入力またはコマンド(例えば、音声メニューコマンドの選択、自然言語質問等)をシステム60に提供することを可能にするように構成され得、および/または、他の人物と(例えば、類似ディスプレイシステムの他のユーザと)のオーディオ通信を可能にし得る。マイクロホンは、周辺センサとしてさらに構成され、オーディオデータ(例えば、ユーザおよび/または環境からの音)を収集し得る。いくつかの実施形態において、ディスプレイシステムは、フレーム80と別個であり、ユーザ90の身体(例えば、ユーザ90の頭部、胴体、四肢等)上に取り付けられ得る周辺センサ120aも含み得る。周辺センサ120aは、いくつかの実施形態において、ユーザ90の生理学的状態を特性評価するデータを入手するように構成され得る。例えば、センサ120aは、電極であり得る。
【0073】
図9Dを継続して参照すると、ディスプレイ70は、有線導線または無線接続性によって等、通信リンク130によって、フレーム80に固定して取り付けられる構成、ユーザによって装着されるヘルメットまたは帽子に固定して取り付けられる構成、ヘッドホン内に埋設されるか、または、別様にユーザ90に除去可能に取り付けられる構成(例えば、リュック式構成において、ベルト結合式構成において)等、種々の構成で搭載され得るローカルデータ処理モジュール140に動作可能に結合される。同様に、センサ120aは、通信リンク120b、例えば、有線導線または無線接続性によって、ローカルプロセッサおよびデータモジュール140に動作可能に結合され得る。ローカル処理およびデータモジュール140は、ハードウェアプロセッサ、および不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリまたはハードディスクドライブ)等のデジタルメモリを備え得、両方は、データの処理、キャッシュ、および記憶を補助するために利用され得る。随意に、ローカルプロセッサおよびデータモジュール140は、1つ以上の中央処理ユニット(CPU)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、専用処理ハードウェア等を含み得る。データは、a)画像捕捉デバイス(カメラ等)、マイクロホン、慣性測定ユニット、加速度計、コンパス、GPSユニット、無線デバイス、ジャイロスコープ、および/または本明細書に開示される他のセンサ等の(例えば、フレーム80に動作可能に結合されるか、または、別様にユーザ90に取り付けられ得る)センサから捕捉されるデータ、および/または、b)可能性として処理または読み出し後にディスプレイ70への通過のための遠隔処理モジュール150および/または遠隔データリポジトリ160(仮想コンテンツに関連するデータを含む)を使用して入手および/または処理されるデータを含み得る。ローカル処理およびデータモジュール140は、これらの遠隔モジュール150、160が、互いに動作可能に結合され、ローカル処理およびデータモジュール140に対するリソースとして利用可能であるように、有線または無線通信リンクを介して等、通信リンク170、180によって、遠隔処理モジュール150および遠隔データリポジトリ160に動作可能に結合され得る。いくつかの実施形態において、ローカル処理およびデータモジュール140は、画像捕捉デバイス、マイクロホン、慣性測定ユニット、加速度計、コンパス、GPSユニット、無線デバイス、および/またはジャイロスコープのうちの1つ以上のものを含み得る。いくつかの他の実施形態において、これらのセンサのうちの1つ以上のものは、フレーム80に取り付けられ得るか、または、有線または無線通信経路によってローカル処理およびデータモジュール140と通信する独立構造であり得る。
【0074】
図9Dを継続して参照すると、いくつかの実施形態において、遠隔処理モジュール150は、例えば、1つ以上の中央処理ユニット(CPU)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、専用処理ハードウェア等を含むデータおよび/または画像情報を分析および処理するように構成される1つ以上のプロセッサを備え得る。いくつかの実施形態において、遠隔データリポジトリ160は、インターネットまたは「クラウド」リソース構成における他のネットワーキング構成を通して利用可能であり得るデジタルデータ記憶設備を備え得る。いくつかの実施形態において、遠隔データリポジトリ160は、情報、例えば、拡張現実コンテンツを生成するための情報をローカル処理およびデータモジュール140および/または遠隔処理モジュール150に提供する1つ以上の遠隔サーバを含み得る。いくつかの実施形態において、全てのデータが、記憶され、全ての計算が、ローカル処理およびデータモジュール内で実施され、遠隔モジュールからの完全に自律的な使用を可能にする。随意に、CPU、GPU等を含む外部システム(例えば、1つ以上のプロセッサ、1つ以上のコンピュータのシステム)が、処理(例えば、画像情報を生成するデータを処理する)の少なくとも一部を実施し、例えば、無線または有線接続を介して、情報をモジュール140、150、160に提供し、情報をそれから受信し得る。
【0075】
(適応レンズアセンブリのための液晶材料)
概して、液晶は、従来の流体と固体との間の中間であり得る物理的特性を保有する。液晶は、いくつかの側面において、流体状であるが、大部分の流体と異なり、液晶内の分子の配置は、ある構造秩序を示す。異なるタイプの液晶は、サーモトロピック、リオトロピック、およびポリマー液晶を含む。本明細書に開示されるサーモトロピック液晶は、ネマチック状態/相、スメクチック状態/相、キラルネマチック状態/相、またはキラルスメクチック状態/相を含む種々の物理的状態、例えば、相で実装されることができる。
【0076】
本明細書に説明されるように、ネマチック状態または相における液晶は、比較的にほとんど位置秩序を有しない一方、長距離方向性秩序を有し、それらの長軸が、実質的に平行であるカラミチック(ロッド形状)またはディスコチック(ディスク形状)有機分子を有することができる。したがって、有機分子は、自由に流動し得、それらの質量中心位置は、液体中におけるようにランダムに分布させられる一方、依然として、それらの長距離方向性秩序を維持する。いくつかの実装において、ネマチック相における液晶は、一軸性であり得、すなわち、液晶は、より長く、優先される1つの軸を有し、他の2つは、ほぼ同等である。いくつかの実装において、液晶分子は、それらの長軸に沿って配向する。他の実装において、液晶は、二軸性であり得、すなわち、それらの長軸を配向することに加え、液晶は、二次軸に沿っても配向され得る。
【0077】
本明細書に説明されるように、スメクチック状態または相における液晶は、互いにスライドし合い得る比較的に明確に画定された層を形成する有機分子を有することができる。いくつかの実装において、スメクチック相における液晶は、1つの方向に沿って位置的に順序付けられることができる。いくつかの実装において、分子の長軸は、液晶層の平面に対して実質的に垂直な方向に沿って配向されることができる一方、他の実装において、分子の長軸は、層の平面に対して垂直な方向に対して傾けられ得る。
【0078】
ここにおいて、かつ本開示の全体を通して、ネマチック液晶は、ロッド状分子から成り、近傍分子の長軸は、互いにほぼ整列させられる。この異方性構造を説明するために、配向子と呼ばれる無次元単位ベクトルnが、液晶分子の好ましい配向の方向を説明するために使用され得る。
【0079】
ここにおいて、かつ本開示の全体を通して、方位角または回転角度φは、層法線方向または液晶層の主要表面に対して垂直な軸の周りの液晶分子の回転角度を説明するために使用され、液晶層または基板の主要表面と平行な平面(例えば、x-y平面)において測定され、かつアラインメント方向(例えば、伸長方向または配向子の方向)と、主要表面と平行な方向(例えば、y-方向)との間で測定される。
【0080】
ここにおいて、かつ本開示の全体を通して、回転角度φ等の角度が、異なる領域間で実質的に同じまたは異なると称されるとき、平均角度は、例えば、互いの約1%、約5%、または約10%以内であり得るが、平均角度は、ある場合、より大きくあり得ることを理解されたい。
【0081】
本明細書に説明されるように、ネマチック状態またはスメクチック状態におけるいくつかの液晶は、層法線方向においてねじりを示すことができる。そのような液晶は、ねじりネマチック(TN)液晶またはねじりスメクチック(SN)液晶と称される。TNまたはSN液晶は、配向子と垂直な軸の周りの分子のねじりを示し得、分子軸は、配向子と平行である。ねじり度が、比較的に大きいとき、ねじられた液晶は、キラル相またはコレステリック相と称され得る。
【0082】
本明細書に説明されるように、TNまたはSN液晶は、ねじり角度または正味ねじり角度(φ)を有するとして説明され得、それは、例えば、規定された長さ、例えば、液晶層の厚を横切る最上液晶分子と最下液晶分子との間の相対的方位角回転を指し得る。
【0083】
本明細書に説明されるように、「重合化可能液晶」は、重合化されることができ(例えば、原位置で光重合されることができ)、それは、本明細書において、反応性メソゲン(RM)としても説明され得る液晶材料を指し得る。
【0084】
液晶分子は、いくつかの実施形態において、重合化可能であり得、重合化されると、他の液晶分子との大規模ネットワークを形成し得る。例えば、液晶分子は、化学結合によって、または化学種を他の液晶分子に連結することによって、連結され得る。一緒に接合されると、液晶分子は、一緒に連結される前と実質的に同じ配向および場所を有する液晶ドメインを形成し得る。用語「液晶分子」は、重合化前の液晶分子および重合化後のこれらの分子によって形成される液晶分子の両方を指し得る。重合化されると、重合化されたネットワークは、液晶ポリマー(LCP)と称され得る。
【0085】
いくつかの実施形態において、重合化されることに先立った、重合化されていない液晶分子または重合化可能液晶分子は、少なくとも限定された回転自由度を有し得る。これらの重合化されていない液晶分子は、例えば、電気刺激下で、回転または傾き得、それは、光学特性の改変をもたらす。例えば、電場を印加することによって、重合化されていない液晶分子を含むいくつかの液晶層は、異なる回折または偏光改変特性を有する1つ以上の状態間で切り替えられ得る。
【0086】
本発明者らは、液晶または反応性メソゲン(RM)の上で説明される特性が、有利に、本明細書に開示される切り替え可能な波長板および波長板レンズの種々のコンポーネントに適用され得ることを認識している。例えば、いくつかの重合化されていないRMにおいて、LC分子の配向は、堆積後、例えば、外部刺激、例えば、電場の印加によって、改変されることができる。この認識に基づいて、本発明者らは、本明細書において、外部刺激の印加によって複数の状態間で切り替えられ得る波長板および波長板レンズを開示する。
【0087】
加えて、本発明者らは、重合化されていないとき、いくつかのLCまたはRMの表面または界面におけるLC分子の配向が、その上にLC分子が形成される表面または界面を制御することによって、整列させられ得ることを認識している。例えば、複数のLC層のスタックが、形成されることができ、LC層の表面に最も近いLC分子の配向を制御することによって、次のLC層内の直接隣接するLCの配向が、例えば、前のLC層内の表面に最も近いLC分子と同じ配向、または隣接する層内の細長いマイクロ構造と同じ配向を有するように制御されることができる。加えて、表面または界面におけるLC分子間のLC分子は、所定量のねじりを有するように制御されることができる。複屈折、キラリティ、および複数のコーティングのための容易性を含むこれらおよび他の属性の認識に基づいて、本発明者らは、本明細書において、調整された光学特性、例えば、いくつか挙げると、回折効率、屈折力、および偏光性を伴う広帯域能力等の有用な特性を有する波長板および波長板レンズを開示する。
【0088】
(適応レンズアセンブリを有するディスプレイデバイス)
図6を参照して上で説明されるように、実施形態によるいくつかのディスプレイシステムは、画像を複数の仮想深度平面に形成するように構成された導波管アセンブリ260を含む。導波管アセンブリ260は、各々が全内部反射(TIR)によって光を伝搬するように構成された導波管270、280、290、300、310を含み、各々が光を向け直すことによって光を導波管270、280、290、300、310のそれぞれのものから外に抽出するように構成された外部結合光学要素570、580、590、600、610を含む。導波管270、280、290、300、310の各々は、光を出力し、特定の深度平面に対応する画像を形成するように構成される。導波管アセンブリ260は、随意に、画像を異なる仮想深度平面に形成するための異なる屈折力を提供するために、複数のレンズ320、330、340、350も導波管の間に含み得る。
【0089】
図6における導波管アセンブリ260の図示される実施形態において、深度平面の数は、導波管およびレンズの数に直接に比例し得る。しかしながら、本発明者らは、比例数の導波管およびレンズを有することによって、画像を複数の深度平面に表示するために構成される導波管アセンブリを実装することに関連付けられる種々の課題を認識している。例えば、多数の導波管270、280、290、300、310、および多数の対応するレンズ320、330、340、350は、望ましくないことに、導波管アセンブリ260に対する全体的厚さ、重量、コスト、および製造課題を増加させ得る。例えば、従来のレンズ材料、例えば、ガラスから形成されるとき、レンズ320、330、340、350の各々は、数ミリメートルまたは数十ミリメートルの厚さおよび対応する重量をディスプレイに追加し得る。加えて、多数の導波管およびレンズは、ユーザのために望ましくない光学効果、例えば、比較的に高い吸収損失を生成し得る。したがって、一側面において、本発明者らは、ある場合、より少ない数の導波管、より少ない数のレンズ、より薄いおよびより軽量の導波管およびレンズ、および/または、導波管あたりより少ない数のレンズを用いて、画像を複数の深度平面に生成し得るディスプレイシステムのための潜在的利点を認識している。
【0090】
本明細書で使用されるように、屈折力、集束力、または収束力とも称される屈折力(P、p、またはφ)は、レンズ、ミラー、または他の光学システムが、光を収束または発散させる程度を指す。それは、デバイスの焦点距離の逆数:P=1/fと等しい。すなわち、高屈折力は、短焦点距離に対応する。屈折力に関するSI単位は、一般に、ジオプタ(D)と呼ばれる逆メートル(m-1)である。
【0091】
本明細書に説明されるように、それを通過する光を集束させる収束レンズは、正の屈折力を有するものとして説明される一方、それを通過する光を焦点ずれさせる発散レンズは、負の屈折力を有するものとして説明される。理論によって拘束されるわけではないが、光が、互いに比較的に近接する2つ以上の薄いレンズを通過するとき、組み合わせられたレンズの屈折力は、個々のレンズの屈折力の和として近似され得る。したがって、光が、第1の屈折力P1を有する第1のレンズを通過し、第2の屈折力P2を有する第2のレンズをさらに通過するとき、光は、屈折力の和Pnet=P1+P2に従って収束または発散すると理解され得る。
【0092】
光の偏光および伝搬方向に依存する屈折率を有する媒体は、複屈折(または二重屈折)であると称される。本明細書に全体を通して説明され、関連産業において理解されるように、その偏光が複屈折媒体の光学軸と垂直である光は、通常の屈折率(no)を有するものとして説明され、その偏光が複屈折媒体の光学軸と平行である光は、異常屈折率(ne)を有するものとして説明され、複屈折媒体材料で観察される屈折率の差異ne-noは、複屈折Δnを有するものとして説明される。複屈折Δnを有する材料媒体における光の位相遅延は、異なるλにおいてГ=2πΔnd/λとして表され得、dは、媒体の厚さである。
【0093】
本明細書に説明されるように、「透過型」または「透明」構造、例えば、透明基板は、入射光の少なくとも一部、例えば、少なくとも20、30、50、70、または90%が、それを通過することを可能にし得る。故に、透明基板は、いくつかの実施形態において、ガラス、サファイア、またはポリマー基板であり得る。対照的に、「反射型」構造、例えば、反射型基板は、それから反射するように、入射光の少なくとも一部、例えば、少なくとも20、30、50、70、90%、またはそれを上回るものを反射し得る。
【0094】
図10は、1つ以上の適応レンズアセンブリを備えているディスプレイデバイス1000(例えば、ウェアラブルディスプレイデバイス)の例を図示し、1つ以上の適応レンズアセンブリは、偏光選択的レンズスタック、例えば、一対の適応レンズアセンブリ1004、1008を光学経路1016に含み、一対の適応レンズアセンブリ1004、1008間に導波管アセンブリ1012が挿入されている。上で説明されるように、導波管アセンブリは、全内部反射下で光(例えば、可視光)を伝搬するように、かつ導波管の光出力表面(例えば、導波管の主要表面)から(例えば、それに対して垂直な方向に)延びている光学軸において光を外部結合するように構成された導波管を含む。光は、いくつかの実施形態において、回折格子によって外部結合され得る。適応レンズアセンブリ1004、1008の各々は、それを通して外部結合された光を少なくとも部分的に透過させるように構成され得る。図示される実施形態において、適応レンズアセンブリの各々は、導波管アセンブリ1012から外部結合された光を受け取るように、かつ外部結合された光を光学軸方向に収束または発散させるように構成され得る。適応レンズアセンブリ1004、1008の各々は、互いに接触している複屈折レンズと等方レンズとを備えた偏光選択的レンズスタックを備え、複屈折レンズと等方レンズとの接触表面は、それらの間に形状一致界面を形成する。適応レンズアセンブリは、異なる屈折力を有する複数の状態間で選択的に切り替えられるように構成される。適応レンズアセンブリは、アクティブにされた(例えば、電気的にアクティブにされた)とき、それを通過する外部結合された光の偏光状態を改変するように構成される。
【0095】
本明細書で使用されるように、適応レンズアセンブリは、調節され得る(例えば、外部刺激を使用して、可逆的にアクティブ化および非アクティブにされ得る)少なくとも1つの光学特性を有するレンズアセンブリを指す。可逆的にアクティブ化および非アクティブにされ得る例示的光学特性は、他の特性の中でもとりわけ、屈折力(焦点距離)、位相、偏光、偏光選択性、透過率、反射率、複屈折、および回折特性を含む。種々の実施形態において、適応レンズアセンブリは、それを通過する光の屈折力および偏光状態を電気的に変動させることが可能である。
【0096】
図示される実施形態において、一対の適応レンズアセンブリ1004、1008の各々は、少なくとも2つの状態間で選択的に切り替えられるように構成され、第1の状態において、各々は、その偏光状態を改変することなく、外部結合された光をそれに通すように構成される一方、第2の状態において、各々は、それを通過する外部結合された光の偏光状態を改変するように構成される。例えば、第2の状態において、適応レンズアセンブリ1004、1008の各々は、円偏光の掌性を逆転させる一方、第1の状態において、広帯域適応レンズアセンブリ1004、1008の各々は、円偏光の掌性を保持する。
【0097】
依然として
図10を参照すると、ディスプレイデバイス1000は、一対の適応レンズアセンブリ1004、1008の間に挿入された導波管アセンブリ1012をさらに備えている。導波管アセンブリ1012は、
図6における1つ以上の導波管270、280、290、300、310に類似する1つ以上の導波管を備えている
図6に関して上で説明される導波管アセンブリ260に類似し得る。例えば、
図6および7に関して上で説明されるように、導波管は、全内部反射下で、導波管の主要表面と平行な側方方向に光を伝搬するように構成され得る。導波管は、例えば、導波管の主要表面に対して垂直な方向に光を外部結合するようにさらに構成され得る。
【0098】
依然として
図10を参照すると、一対の適応レンズアセンブリの第1の適応レンズアセンブリ1004は、導波管アセンブリ1012の第1の側、例えば、ユーザによって観察される世界510の側に配置され、一対のレンズアセンブリの第2の適応レンズアセンブリ1008は、導波管アセンブリ1012の第2の側、例えば、ユーザの眼210の側に配置される。下で説明されるように構成されるような一対の適応レンズアセンブリは、ユーザに、実世界のビューとともに、導波管アセンブリ1012からの仮想コンテンツを複数の仮想深度平面に提供する。いくつかの実施形態において、一対の適応レンズアセンブリの存在に起因して、殆どまたは全く歪みが存在しない。仮想コンテンツおよび実世界のビューは、
図11Aおよび11Bに関して下で説明されるように、第1および第2の適応レンズアセンブリ1004、1008のアクティブ化時、ユーザに提供される。
【0099】
図11Aおよび11Bは、それぞれ、適応レンズアセンブリを備え、動作時、画像情報をユーザに出力するディスプレイデバイス1100A/1100Bの例を図示する。非給電状態時のディスプレイデバイス1100Aおよび1100Bは、いくつかの実施形態において、構造的に同一である。ディスプレイデバイス1100Aは、ここで、仮想画像をユーザに出力することを説明するために使用される一方、ディスプレイデバイス1100Bは、ここで、ディスプレイデバイス1100Bを通して実世界画像をユーザに伝送することを説明するために使用される。ディスプレイデバイス1100A/1100Bは、例えば、電圧または電流の印加によって電気的にアクティブにされるように構成された一対の切り替え可能なレンズアセンブリ1004、1008を含む。いくつかの実施形態において、例えば、電圧または電流が印加されていない非アクティブ状態において、第1および第2の切り替え可能なレンズアセンブリ1004、1008の各々は、低い、例えば、約ゼロの屈折力を有する。いくつかの実施形態において、例えば、電圧または電流が印加されたアクティブ状態において、世界側の第1の適応レンズアセンブリ1004は、第1の符号、例えば、正の屈折力を有する第1の正味屈折力(Pnet1)を提供し得る。アクティブ状態にあるとき、ユーザ側の第2の適応レンズアセンブリ1008は、第2の符号、例えば、負の屈折力を有する第2の正味屈折力(Pnet2)を提供し得る。しかしながら、実施形態は、そのように限定されず、他の実施形態において、第1および第2の適応レンズアセンブリは、非アクティブ状態において屈折力を提供する一方で、アクティブにされたときに実質的にゼロの屈折力を提供し得る。
【0100】
図11Aは、いくつかの実施形態による仮想コンテンツをユーザに仮想深度平面において表示する
図10のディスプレイシステムの例を図示する。上で説明されるように、一対の適応レンズアセンブリ1004、1008の間に挿入された導波管アセンブリ1012は、仮想画像情報を含む光を受け取り、全内部反射下で光を伝搬するように構成された導波管を備えている。導波管アセンブリ1012は、光を例えば、回折格子を通して、眼210に向かって外部結合するようにさらに構成される。外部結合された光は、眼210に入射することに先立って、第2の適応レンズアセンブリ1008を通過する。アクティブにされると、第2の適応レンズアセンブリ1008は、ユーザに仮想深度平面1104において仮想画像が見えるように、負の値を有し得る第2の正味屈折力Pnet2を有する。
【0101】
いくつかの実施形態において、第2の正味屈折力Pnet2は、第2の適応レンズアセンブリ1008の第2の正味屈折力(Pnet2)を調節し、それによって、仮想深度平面1104までの距離を調節するために、電気的に調節され得る。例えば、仮想オブジェクトが、仮想3次元空間内で、眼210に対してより近くおよびより遠くに「移動」するにつれて、第2の適応レンズアセンブリ1008の第2の正味屈折力Pnet2も、仮想深度平面1104が仮想オブジェクトを追跡するように調節されるように、対応して調節され得る。したがって、ユーザは、許容閾値を超える遠近調節/両眼離反運動不一致を比較的に殆どまたは全く体験し得ない。いくつかの実施形態において、仮想深度平面1104までの距離の大きさは、別々のステップにおいて調節され得る一方、いくつかの他の実施形態において、仮想深度平面1104までの距離の大きさは、連続的に調節され得る。
【0102】
図11Bは、いくつかの実施形態による実世界コンテンツのビューをユーザに提供する
図10のディスプレイシステムの例を図示する。第2の適応レンズアセンブリ1008が、仮想コンテンツを仮想深度平面1104に表示するための第2の正味屈折力(Pnet2)を有するようにアクティブにされると、第2の適応レンズアセンブリ1008を通過する実世界からの光も、アクティブにされた第2の適応レンズアセンブリ1008のPnet2に従って、収束または発散させられ得る。したがって、実世界内のオブジェクトは、焦点がずれて、または歪まされて見え得る。そのような歪みを軽減するために、実施形態によると、アクティブにされると、第1および第2の適応レンズアセンブリ1004、1008は、反対符号を有する屈折力を有するように構成され得る。いくつかの実施形態において、第1および第2の適応レンズアセンブリ1004、1008を通過する光は、第1および第2の適応レンズアセンブリ1004、1008のそれぞれの第1および第2の正味屈折力Pnet1、Pnet2の大きさの間ほぼ差異である大きさを有する組み合わせられた屈折力に従って、収束または発散する。いくつかの実施形態において、導波管アセンブリ1012も、屈折力を有し得、適応レンズアセンブリ1008は、レンズアセンブリ1004と導波管アセンブリ1012との両方によって生じさせられる歪みを考慮するように構成され得る。例えば、適応レンズアセンブリ1008の屈折力は、レンズアセンブリ1004と導波管アセンブリ1012との屈折力の和と符号が反対であり得る。
【0103】
いくつかの実施形態において、第1の適応レンズアセンブリ1004は、反対符号を有する一方で、第2の適応レンズアセンブリ1008の第2の正味屈折力Pnet2の大きさに近いまたはそれと同じである大きさを有する第1の正味屈折力Pnet1を有するように構成される。結果として、第1および第2の適応レンズアセンブリ1004、1008の両方が、同時にアクティブにされると、実世界内のオブジェクトは、仮想コンテンツを表示するために提供される第2の適応レンズアセンブリ1008の屈折力によって比較的に影響されていないように見えるであろう。
【0104】
いくつかの実施形態において、第1の適応レンズアセンブリ1004は、アクティブにされると、第1の正味屈折力Pnet1が第2の適応レンズアセンブリ1008の第2の正味屈折力Pnet2に動的に合致するように構成され得る。例えば、第2の切り替え可能なアセンブリ1008の第2の正味屈折力Pnet1が、仮想3次元空間内で移動する仮想オブジェクトを追跡するように調節されるにつれて、第1の適応レンズアセンブリ1004の第1の正味屈折力Pnet1は、組み合わせられた屈折力の大きさP=Pnet1+Pnet2が、所定の値未満に保たれ得るように、動的に調節され得る。したがって、実施形態によると、実世界内のオブジェクトは、組み合わせられた屈折力P=Pnet1+Pnet2が、小さい、例えば、約0m-1のままであるように、負の値を有し得る第2の適応レンズアセンブリ1008の第2の正味屈折力(Pnet2)を第1の適応レンズアセンブリ1004の第1の正味屈折力(Pnet1)で補償することによって、容認できない焦点ずれであることを防止され得る。
【0105】
(適応レンズアセンブリのための複屈折レンズおよび等方レンズを備えている、偏光選択的レンズスタック)
本明細書に説明される種々の実施形態は、偏光選択的レンズスタックを含む適応レンズアセンブリを提供する。ある実装において、偏光選択的レンズスタックは、互いに接触する複屈折レンズ、例えば、フレネル複屈折レンズと等方レンズとを備えている。そのようなアセンブリは、コンパクト(例えば、低減させられた厚さを有し得る)および/または軽量であり得る。これらのアセンブリは、高い帯域幅、増加した切り替え速度、低減させられた色収差、増加した整合の容易性、および/または可変屈折力等の種々の有利な光学的機能性も潜在的に提供し得る。加えて、本明細書に説明される種々の実施形態は、そうでなければ「残影」画像につながり得る比較的に低い漏出光量を伴う適応レンズアセンブリを提供することができる。種々の実施形態によると、適応アセンブリは、本明細書に説明されるように、複屈折レンズと等方レンズとを備えた偏光選択的レンズスタックを備えている。
【0106】
図12Aを参照すると、広範囲の可視スペクトルにわたって高効率を伴って画像を複数の深度平面に提供するために、種々の実施形態による適応レンズアセンブリは、偏光依存性屈折力を直線偏光に及ぼすように構成された偏光選択的レンズスタック1200を含む。偏光選択的レンズスタック1200は、側方方向、例えば、光伝搬の方向(例えば、z-方向)と垂直なx-方向またはy-方向に延びている光学軸1202を有する複屈折レンズ1200を備えている。複屈折レンズ1204は、複屈折率(Δn)を有する。上で説明されるように、Δnは、複屈折レンズ1204の異常屈折率(n
e)と通常の屈折率(n
o)との間の差異に対応する。複屈折レンズ1204は、曲率半径(R1)を有することができ、それによって、それは、それを通過し、光学軸と平行な偏光方向を有する光に第1の屈折力(p
1)を及ぼすように、かつ、それを通過し、光学軸と垂直な偏光方向を有する光に第2の屈折力(p
2)を及ぼすように構成される。
【0107】
偏光選択的レンズスタック1200は、加えて、屈折率(nc)を有し、第2の曲率半径(R2)を有する等方レンズ1208を含み、それによって、それは、それを通過する光に第1の屈折力(p1)および第2の屈折力(p2)と符号が反対である第3の屈折力を及ぼすように構成される。
【0108】
図示される実施形態において、限定ではないが、等方レンズ1208のncは、複屈折レンズ1204のnoと実質的に同じ値を有する。しかしながら、ncは、いくつかの他の実施形態において、noと異なり得ることを理解されたい。
【0109】
図示される実施形態において、限定ではないが、第1の曲率半径(R1)と第2の曲率半径(R2)とは、大きさ(R)が実質的に同じであるが、反対符号を有する。さらに、R1とR2とが、大きさが実質的に同じであるので、複屈折レンズ1204と等方レンズ1208とは、曲率半径Rを有する界面に沿って連続的に接触する。すなわち、複屈折レンズ1204と等方レンズ1208との接触表面は、それらの間に形状一致界面を形成する。
【0110】
図12Bを参照すると、偏光選択的レンズスタック1200は、入射光1212、例えば、直線偏光が、光学軸1202の方向と平行である偏光の方向を有するときの動作時において図示される。この条件下で、複屈折レンズ1204を通過する光が、n
eに対応する屈折率経験し、等方レンズ1208を通過する光が、n
oに対応する屈折率を経験するので、レンズスタック1200は、
【数1】
として表され得る屈折力を光に及ぼし、Rは、複屈折レンズ1204および等方レンズ1208の半径の大きさを表す。
【0111】
図12Cを参照すると、偏光選択的レンズスタック1200は、入射光1216、例えば、直線偏光が、光学軸1202の方向と垂直である偏光の方向を有するときの動作時において図示される。この条件下で、複屈折レンズ1204を通過する光が、等方レンズ1208を通過する光によって経験される屈折率であるn
oと同じであるn
eに対応する屈折率を経験するので、レンズスタック1200は、
【数2】
として表され得る屈折力を光に及ぼし、Rは、複屈折レンズ1204および等方レンズ1208の半径の大きさを表す。
【0112】
依然として、
図12A-12Cを参照すると、いくつかの実施形態において、等方レンズ1208は、等方性材料、例えば、ガラス、アクリル等から形成され得る。他方において、複屈折レンズ1204は、複屈折材料、例えば、種々の実施形態による液晶から形成されるか、または、それを備え得る。例えば、複屈折レンズ1204は、光伝搬方向(例えば、z-方向)と垂直な側方方向(例えば、x-方向またはy-方向)に沿って伸びた液晶(LC)分子をその上に形成している透明基板、例えば、ガラス基板を備え得る。
【0113】
しかしながら、実施形態は、そのように限定されず、他の実施形態において、複屈折レンズ1204は、LC以外の好適な複屈折材料から形成されるか、または、それを備え得る。例えば、複屈折レンズ1204は、例えば、いくつか挙げると、BaB2O4、Be3Al2(SiO3)6、CaCO3LiNbO3TiO2SiC、トルマリン、およびZrSiO4を備え得る。
【0114】
(適応レンズアセンブリのための複屈折フレネルレンズおよび等方レンズを備えている、偏光選択的レンズスタック)
図12A-12Cに関して上で説明されるように、複屈折レンズ、例えば、LCベースの複屈折レンズと等方レンズとを備えているレンズスタックは、偏光選択的レンズ効果を提供することができる。以下において、フレネルレンズとして構成される液晶ベースの複屈折レンズを備えている偏光選択的レンズスタックが、説明される。
【0115】
フレネルレンズは、薄板タイプのレンズを備えていることができ、例えば、従来の湾曲(例えば、球面)レンズを区分の組(例えば、フレネルゾーンとして公知である同心環状区分)に分割することによって形成される分割角柱構造を備えている。フレネルゾーンは、連続屈折レンズの連続曲率をそれらの間に不連続性を有する同じ形状の表面の組と置換する。厚さの実質的な低減が、そのような分割区分を採用することによって達成されることができ、比較的に大きい開口を伴うレンズが、より少量の材料を使用して製造されることができる。
【0116】
図13Aは、焦点から複屈折レンズ1204上の所与の場所までの距離R、レンズスタック1200の中心軸(例えば、光学軸)から所与の場所までの半径方向距離A、距離RおよびAによって画定される角度θ、および複屈折レンズ1204の湾曲部分の厚さdを含む関連性がある光学的寸法で注釈を付けられた
図12A-12Cに関して上で説明されるレンズスタック1200の断面側面図を図示する。上で説明されるように、種々の実装において、複屈折レンズ1204および等方レンズ1208が、実質的に同じ曲率半径を有するので、複屈折レンズ1204と等方レンズ1208とは、曲率半径Rを有するそれらの間に形成された界面に沿って連続的に接触する。
【0117】
図13Bは、複屈折フレネルレンズ1304と、対応レンズ,例えば、等方フレネルレンズ1308とを備えているレンズスタック1300の断面側面
図1300A(上)および見下げ
図1300B(下)を図示する。フレネルレンズ1304を採用することによって、複屈折レンズ1304の湾曲部分の溝厚さd’は、実質的に低減させられることができる。実質的に低減させられた厚さd’にもかかわらず、レンズスタック1300は、
図13Aに関して図示される従来のレンズの実際の曲率半径Rに対応する有効曲率半径R等の対応する曲率を有する。故に、図示されていないが、レンズスタック1300Aは、加えて、レンズスタック1300の中心軸からの所与のフレネルゾーンまたは溝1306の半径方向距離A
kと、距離RおよびA
kによって画定される角度θとを有する。
図13Bに示されるようないくつかの実装において、フレネルゾーンを分離する溝にもかかわらず、複屈折フレネルレンズ1304と等方レンズ1308とは、有効曲率半径Rを有するそれらの間に形成された界面の全体を通して、連続的に接触する。いくつかの実施形態において、半径方向外向きの方向における連続フレネルゾーンは、異なる半径方向距離A
kと、隣接する溝1306間の異なる距離とを有することができる。例えば、図示される実施形態において、隣接するフレネルゾーン間の距離は、複屈折フレネルレンズ1304の半径方向外向きの方向により小さくなる。しかしながら、実施形態は、そのように限定されず、他の実施形態において、連続フレネルゾーンの半径方向距離A
kは、隣接するフレネルゾーン間に一定の距離を伴って直線的に増加する一方で、各ゾーン内に異なる溝厚さを有し、図示される実施形態と類似する、または同じ光学的効果を提供し得る。
【0118】
図13B(下)を参照すると、図示される複屈折フレネルレンズ1304は、実施形態による複数の同心フレネルゾーンを備えている。複屈折フレネルレンズ1304は、半径A
kによって表される中心軸からの距離にフレネルゾーン1312の境界を形成する複数の溝1316を有する。種々の実施形態によると、複屈折レンズ1304の溝厚さd’は、経路長が設計波長λの倍数(すなわち、n
ed’=mλ)であるように、設計される。この配置は、同じ波面につながる、ゾーン間に2πmの位相ジャンプを生成し得る。d’の値は、加工公差の平衡を保つように、かつ溝1316の鋭い縁から生じ得る収差を低減させるように、または最小化するように選定される(例えば、最適化される)ことができる。一例において、k番目のフレネルゾーンの半径Rは、以下の方程式によって、kd’であるように湾曲領域の厚さを設定することによって計算されることができ、
【数3】
kは、レンズの中心から計数するフレネルゾーンの数を表し、溝厚さd’は、図示される複屈折フレネルレンズ1304の表面にわたって一定である。
【0119】
いくつかの実施形態において、複屈折フレネルレンズ1304は、LCを含む。LC分子は、側方に配向されるか、または、実質的に矢印によって示される側方方向1320(例えば、y方向)に延びている伸長方向を有し得る。加えて、LC分子のアラインメント方向は、回転を受けることなく、複屈折フレネルレンズ1304の厚さの全体を通して実質的に均質であり得る。すなわち、LC分子の局所配向子nは、複屈折フレネルレンズ1304の(例えば、z方向に)エリアにわたって側方に、かつ厚さにわたって垂直に、実質的に一定であり得る。図示されるアラインメントは、例えば、直線偏光のための偏光選択性を提供するために好適であり得る。これらの実施形態において、LCアラインメントの方向と平行である偏光方向(例えば、y方向)を有する直線偏光が、neまたはnoのうちの一方を経験し得る一方、LCアラインメントの方向と垂直である偏光方向(例えば、x方向)を有する直線偏光は、neまたはnoのうちの他方を経験し得る。結果として、レンズスタック1300は、上で説明されるように、1つの直線偏光を有する光に関してΔn/Rの屈折力を及ぼす一方で、他の直線偏光を有する光に関して実質的にゼロの屈折力を及ぼす。
【0120】
本明細書における、かつ本明細書の全体を通した種々の実施形態において、複屈折フレネルレンズ1304は、0.05~0.10、0.15~0.20、0.20~0.25、0.25~0.30、0.30~0.35、0.35~0.40、0.40~0.45、0.45~0.50、0.50~0.55、0.55~0.60、0.60~0.65,0.65~0.70、または、これらの値のうちのいずれかによって定義される任意の範囲内の任意の値、例えば、0.05~0.40の平均、局所、中間、中央、最大、または最小の複屈折性(Δn)を有することができる。加えて、複屈折フレネルレンズ1304は、0.01~0.05、0.05~0.10、0.15~0.20、0.20~0.25、0.25~0.30、0.30~0.35、0.35~0.40、またはこれらの値のうちのいずれかによって定義される任意の範囲内の任意の値の層内複屈折性(Δn)範囲を有することができる。
【0121】
本明細書における、かつ本明細書の全体を通した種々の実施形態において、複屈折フレネルレンズ1304は、約0.1μm~200μm、0.1~5μm、5~50μm、50~100μm、100~150μm、150~200μm、またはこれらの値によって定義される任意の範囲内の値、例えば、5~200μmの厚さを有する。
【0122】
(切り替え可能な波長板と結合された偏光選択的レンズスタックを備えている適応レンズアセンブリ)
広範囲の可視スペクトルにわたって高効率を伴って画像を複数の深度平面に提供するために、種々の実施形態による適応レンズアセンブリは、複屈折レンズと等方レンズとを備えた偏光選択的レンズスタック(例えば、
図12A-12C内の1200、
図13B内の1300)を含む。種々の実施形態によると、適応レンズアセンブリは、異なる屈折力を伴う複数の状態間で選択的に切り替えられることができる。以下において、実施形態による適応レンズアセンブリに含まれる偏光選択的レンズに結合された切り替え可能な波長板をアクティブまたは非アクティブにすることによって、選択的切り替えが実施される適応レンズアセンブリが、開示される。
【0123】
図14Aを参照すると、いくつかの実施形態において、適応レンズアセンブリ1400Aは、複屈折フレネルレンズ1304と等方レンズ1308とを備えている上で説明される偏光選択的レンズスタック1300と同じ光学経路内にLCを備えている切り替え可能な波長板1404を採用することによって、アクティブまたは非アクティブにされるように構成される。フレネルレンズ1304は、LCまたは他の複屈折材料を使用して形成され得る。適応レンズアセンブリ1400Aは、切り替え可能な波長板1404を電気的にアクティブおよび非アクティブにすること(または、例えば、異なる電圧を印加することによって、別様に波長板の状態を変化させること)によって、異なる状態間で選択的に切り替えられ得る。切り替え可能な波長板1404の一例は、
図14Bに関して図示される。
【0124】
図14Bを参照すると、いくつかの実施形態において、切り替え可能な波長板1402は、TN LCの層1402の厚さを横断した電場の印加時、切り替えられるように構成される、重合化されていないねじりネマチック(TN)液晶(LC)またはTN LC分子を備えている反応性メソゲン(RM)の層1402を備えている半波長板または偏光回転子であり得る。TN LCの層1402は、一対の透明基板1412の間に配置される。透明基板1412の各々は、伝導性透明電極1416、1420を内側表面上に形成している。いくつかの実施形態において、透明電極1416、1420は、基板としての役割を果たし得、基板1412の一方または両方は、省略され得る。
【0125】
透明電極1416、1420および/または基板1412の表面は、上側電極1416と接触または直接隣接するTN LC分子が、それらの長軸が第1の側方方向に延びた状態で配向する傾向にある一方、下側電極1420と接触または直接隣接するTN LC分子が、第1の側方方向を横切る、例えば、第1の側方方向に対して約90度の角度を形成し得る第2の側方方向にそれらの長軸が延びている状態で配向する傾向にあるように構成され得る。故に、電極1416、1420の間のTN LC分子は、ねじりを受ける。
【0126】
依然として、
図14B(左)を参照すると、動作時、TN LC層1402を横断した電場がないと(非アクティブ状態)、TN LC分子のネマチック配向子は、TN LC層1402の厚さにわたって平滑な90度のねじりを受ける。図示されるように、第1の方向(下側電極1412に最も近いLC分子と同じ方向)に偏光された入射光1408が、TN LC層1402に入射する。TN LC層1402内のTN LC分子のねじられた配置は、光学導波管としての役割を果たし、光が上側電極1416に到達することに先立って、4分の1方向転換(90度)だけ偏光の平面を回転させる。この状態において、TN LC層1402は、それを通過する直線偏光の偏光方向を1つの直線偏光方向から別の直線偏光方向にシフトさせる役割を果たす。したがって、透過光1406Aは、第1の方向と反対の第2の方向(上側電極1416に近接するLC分子と同じ方向)に偏光される。
【0127】
他方において、TN LCの切り替え可能な波長板1404の閾値電圧(V>Vth)を超える電圧が、電極1416、1420を横断して印加される(右、アクティブ状態)と、TN LC層1402内のTN LC分子は、結果として生じる電場と整列する傾向にあり、非アクティブ状態に関して上で説明されるTN LC層1402の光学波誘導特性は、失われる。この状態において、TN LC層1406は、それを通過する光の偏光方向を保持する役割を果たす。したがって、入射光1408と透過光1406Bとは、同じ第1の方向(下側電極1420に最も近いLC分子と同じ方向)に偏光されている。電場が、オフにされると、TN LC分子は、それらのねじられた状態に戻るように緩み、アクティブ状態時のTN LC層1402のTN LC分子は、非アクティブ状態(左)時のTN LC層1402のTN LC分子の構成に戻る。
【0128】
依然として、
図14Aを参照すると、動作時、上で説明されるように、偏光選択的レンズスタック1300は、入射光1420の偏光方向を応じて、レンズ屈折力をそれを通過する入射光1420に加える。それに屈折力を加えた、または加えなかった後、入射光の相対的偏光方向に応じて、光は、切り替え可能な波長板1404に入射する。上で説明されるように、切り替え可能な波長板1404のLCは、アクティブにされた、例えば、電気的にアクティブにされたとき、それを通過する直線偏光の偏光が保持される一方、非アクティブにされた、例えば、電気的に非アクティブにされたとき、それを通過する直線偏光の偏光が改変される、例えば、反転または回転させられるように構成される。すなわち、切り替え可能な波長板1404がアクティブまたは非アクティブにされるかどうかに応じて、直線垂直偏光(LVP)光ビームが、直線水平偏光(LHP)光ビームに変換され、その逆も同様であるか、または、偏光は、保持される。
【0129】
動作時、複屈折フレネルレンズ1304のLCは、直線偏光入射光1420の偏光方向が、複屈折フレネルレンズ1304の光学軸と平行であるとき、
図12Bに関して上で説明されるように、偏光選択的レンズスタック1300が、それに屈折力を及ぼす一方、直線偏光入射光1420の偏光方向が、光学軸と垂直であるとき、
図12Cに関して上で説明されるように、偏光選択的レンズスタック1300が、それに実質的にゼロの屈折力を及ぼすように構成される。複屈折レンズスタック1300を通過した後、アクティブにされた、例えば、電気的にアクティブにされたとき、切り替え可能な波長板1404を通過する直線偏光の偏光が、保持される一方、非アクティブにされた、例えば、電気的に非アクティブにされたとき、切り替え可能な波長板1404を通過する直線偏光の偏光は、液晶分子の再配置に起因して、反転または回転させられる。
【0130】
図14A-14Bに関して、レンズ屈折力を切り替え可能に加えるための波長板(
図14A)と結合される受動偏光選択的レンズスタックを備えている適応レンズアセンブリが、説明されている。本発明者らは、複数のそのような要素を配置することによって、複数の異なるレンズ屈折力を有する適応レンズアセンブリが形成され得ることを認識している。したがって、以下において、波長板と結合される複数の受動偏光選択的レンズスタックを備えている、適応波長板レンズアセンブリの実施形態が、開示される。そのような適応レンズアセンブリは、例えば、
図11Aおよび11Bに関して説明されるディスプレイデバイスを形成するように、ユーザ側または世界側のいずれかで導波管と統合され得る。
【0131】
図15Aは、交互に配置された複数の受動偏光選択的レンズスタックと複数の波長板とを備えている適応レンズアセンブリ1500の例を図示し、適応レンズアセンブリ1500は、複数の(例えば、少なくとも4つの)可能な屈折力をそれを通過する光に及ぼす。適応レンズアセンブリ1500は、光がそれらを通過する順に、第1の切り替え可能な波長板(HWP1)1404-1、例えば、切り替え可能な半波長板と、第1の偏光選択的レンズスタック(L1)1300-1と、第2の切り替え可能な波長板(HWP2)1404-2、例えば、切り替え可能な半波長板と、第2の偏光選択的レンズスタック(L2)1300-2とを備えている。HWP1 1404-1およびHWP2 1404-2の各々は、
図14Aおよび14Bに関して上で説明されるものに類似する様式で構成される。加えて、L1 1300-1およびL2 1300-2の各々は、
図12A-12Cおよび13A-13Bに関して上で説明されるものに類似する様式で構成される。しかしながら、第1の偏光選択的レンズスタック1300-1と第2の偏光選択的レンズスタック1300-2とは、異なる光学軸、異なる曲率(例えば、有効曲率半径)、および/または異なる複屈折を有する。すなわち、L1 1300-1は、第1の光学軸(垂直またはy方向に延びている)を有し、Δn
1/R
1の第1の屈折力φ
1、または実質的にゼロの第1の屈折力φ
1を、それぞれ、それに入射する光学軸と平行な偏光方向を有する光、または垂直な偏光方向を有する光に及ぼすように構成される一方、L2 1300-2は、第2の光学軸(水平またはx-軸に延びている)を有し、n
2/R
2の屈折力φ
2、または実質的にゼロの第2の屈折力φ
2を、それぞれ、それに入射する光学軸と平行な偏光方向を有する光、または垂直な偏光方向を有する光に及ぼすように構成される。
【0132】
図15B-15Eは、非アクティブ化(オフ)/非アクティブ化(オフ)(
図15B)、アクティブ化(オン)/アクティブ化(オン)(
図15C)、オフ/オン(
図15D)、およびオン/オフ(
図15E)であるHWP1 1404-1/HWP 1404-2に対応する4つの異なる状態において、L1 1300-1の光学軸と平行な偏光を有する入射光1420に関して、動作時の適応レンズアセンブリ1500を図示する。上で説明されるように、HWP1 1404-1およびHWP2 1404-2の各々は、TN LC層を横断して電圧を除去および印加することによって、オフおよびオンにされるか、または、非アクティブおよびアクティブにされることができる。HWP1 1404-1およびHWP2 1404-2の各々は、電気的に非アクティブにされた(オフ)とき、それを通過する光の偏光状態を改変する(例えば、偏光状態を回転または反転させる)ように構成される一方で、アクティブにされた(オン)とき、それを通過する光の偏光状態を改変することなく、実質的に光を通すように構成される。HWP1 1404-1およびHWP2 1404-2の各々を切り替えるための電気信号、例えば、電流信号または電圧信号が、それに電気的に接続された切り替え回路(図示せず)によって提供され得る。例証目的のために、以下において、HWP1 1404-1およびHWP2 1404-2の両方は、
図14Bと同様、それぞれ、それらの2つの基板においてyおよびx方向に沿って光学軸を有するTN LCセルである。図示される実施形態において、入射光1420は、y方向と平行な偏光、すなわち、直線垂直偏光(LVP)を有する。しかしながら、入射光1420の偏光軸は、異なる屈折力状態を達成するために、異なる方向に偏光され得ること、すなわち、直線水平偏光(LHP)であり得ることを理解されたい。
【0133】
図15Bを参照すると、HWP1 1404-1およびHWP2 1404-2の各々は、オフ状態にあり、LVPおよびLHPのうちの一方を有する直線偏光の偏光をLVPおよびLHPのうちの他方を有する直線偏光に回転させるように構成される。したがって、LHPを有する入射光1420は、HWP1 1404-1を通過すると、LHPを有するL1 1300-1に入射する光1424に変換され、L1 1300-1は、光1424の偏光とL1 1300-1の光学軸との間の相対的直交向きに起因して、実質的にゼロの屈折力(φ
1=0)を及ぼす。その後、HWP2 1404-2に入射するLHPを有する光1428は、LVPを有する光1432に変換される。L2 1300-2は、L2 1300-2の偏光とL2 1300-2の光学軸との間の相対的直交向きに起因して、実質的にゼロの屈折力(φ
2=0)を及ぼす。要するに、適応レンズアセンブリ1500は、約ゼロに等しい正味屈折力φ
1+φ
2をLVPを有する入射光1420に及ぼし、LVPを有する光1436を出力するために、その偏光を改変しない。
【0134】
図15Cを参照すると、HWP1 1404-1およびHWP2 1404-2の各々は、オン状態にあり、それを通過する直線偏光の偏光を保持するように構成される。したがって、LVPを有する入射光1420の偏光は、HWP1 1404-1を通過すると、L1 1300-1に入射する光1424の中に保持され、L1 1300-1は、光1424の偏光とL1 1300-1の光学軸との間の相対的平行向きに起因して屈折力(φ
1)を及ぼす。その後、HWP2 1404-2に入射するLVPを有する光1428の偏光は、光1432の中に保持される。L2 1300-2は、光1432の偏光とL2 1300-2の光学軸との間の相対的直交向きに起因して、実質的にゼロの屈折力(φ
2=0)を及ぼす。要するに、適応レンズアセンブリ1500は、約φ
1に等しい正味屈折力φ
1+φ
2をLVPを有する入射光1420に及ぼし、LVPを有する光1436を出力する。
【0135】
図15Dを参照すると、HWP1 1404-1は、オフ状態にあり、LVPおよびLHPのうちの一方を有する直線偏光の偏光をLVPおよびLHPのうちの他方を有する直線偏光に回転させるように構成される一方、HWP2 1404-2は、オン状態にあり、直線偏光の偏光を保持するように構成される。したがって、LVPを有する入射光1420は、HWP1 1404-1を通過すると、LHPを有するL1 1300-1に入射する光1424に変換され、L1 1300-1は、光1424の偏光とL1 1300-1の光学軸との間の相対的直交向きに起因して、実質的にゼロの屈折力(φ
1=0)を及ぼす。その後、HWP2 1404-2を通過するLHPを有する光1428の偏光は、光1432の中に保持される。L2 1300-2に入射する光1432は、LHPを有し、L2 1300-2は、光1424の偏光とL2 1300-2の光学軸との間の相対的平行向きに起因して屈折力(φ
2)を及ぼす。要するに、適応レンズアセンブリ1500は、LVPを有する入射光1420に約φ
2に等しい正味屈折力φ
1+φ
2を及ぼし、LHPを有する光1436を出力する。
【0136】
図15Eを参照すると、HWP1 1404-1は、オン状態にあり、直線偏光の偏光を保持するように構成される一方、HWP2 1404-2は、オフ状態にあり、LVPおよびLHPのうちの一方を有する直線偏光の偏光をLVPおよびLHPのうちの他方を有する直線偏光に回転させるように構成される。したがって、LVPを有する入射光1420の偏光は、HWP1 1404-1を通過すると、LVPを有するL1 1300-1に入射する光1424の中に保持され、L1 1300-1は、光1424の偏光とL1 1300-1の光学軸との間の相対的平行向きに起因して屈折力(φ
1)を及ぼす。その後、HWP2 1404-2を通過する、LVPを有する光1428は、LHPを有する光1432に変換される。L2 1300-2は、光1432の偏光とL2 1300-2の光学軸との間の相対的平行向きに起因して、屈折力(φ
2)を及ぼす。要するに、適応レンズアセンブリ1500は、正味屈折力φ
1+φ
2をLVPを有する入射光1420に及ぼし、LHPを有する光1436を出力する。
【0137】
したがって、
図15A-15Eによって図示されるように、直線偏光を有する光に関して、4つの可能な屈折力(0、φ
1、φ
2、および
1+φ
2)が、適応レンズアセンブリ1500を通過する光に及ぼされることができる。数値的例として、設計波長のφ
1=0.75Dおよびφ
2=1.5Dに関して、0、0.75D、1.5D、および2.25Dの正味屈折力が、適応レンズアセンブリ1500を使用して取得されることができる。
【0138】
依然として、
図11A-11Bと併せて
図15A-15Eを参照すると、図示される実施形態において、入射光1420は、第1の適応レンズアセンブリ1004(世界側の
図11A-11B)または第2の適応レンズアセンブリ1008(ユーザ側の
図11A-11B)のいずれかに入射する光ビームを表し得る。いずれか一方または両方の側に適応レンズアセンブリ1500を設置することによって、例えば、
図11A-11Bに関して上で説明されるディスプレイシステムが、本明細書に説明される種々の実施形態に従って実装されることができる。
【0139】
(非偏光導波管アセンブリに結合される偏光選択的レンズスタックを有する適応レンズアセンブリを含むディスプレイデバイス)
以下の例示的実装において、複数の切り替え可能な偏光選択的レンズスタックを備えている、適応レンズアセンブリ(例えば、適応レンズアセンブリ1500、
図15A-15E)が、例えば、
図10、11A、および11Bに関して上で説明されるようなディスプレイデバイス等のディスプレイデバイスに統合されている。
【0140】
図16は、第1または前部適応レンズアセンブリ(FLA)1004と第2または後部適応レンズアセンブリ(BLA)1008との間に挿入された導波管アセンブリ1012を含む例示的ディスプレイデバイス1600を図示する。ディスプレイデバイス1600の全体的構成は、
図11A/11Bに関して上で説明されるディスプレイデバイス1100A/1100Bに類似し得る。図示される実施形態において、BLA1008は、
図15A-15Eに関して上で説明される適応レンズアセンブリ1500と同様に構成され、第1の切り替え可能な波長板(HWP1)1404-1と、第1の偏光選択的レンズスタック(L1)1300-1と、第2の切り替え可能な波長板(HWP2)1404-2と、第2の偏光選択的レンズスタック(L2)1300-2とを含む。第1および第2の偏光選択的レンズスタック1300-1、1300-2は、L1 1300-1が、光学軸と平行または垂直な偏光方向を有するそれに入射する光に関して、それぞれ、Δn
1/R
1または実質的にゼロの第1の屈折力φ
1を及ぼすように構成される一方、L2 1300-2が、光学軸と平行または垂直な偏光方向を有するそれに入射する光に関して、それぞれ、Δn
2/R
2または実質的にゼロの第2の屈折力φ
2を及ぼすように構成されるように、例えば、異なる直交光学軸、曲率(例えば、有効曲率半径)、および/または異なる複屈折を有する。
【0141】
FLA1004は、第3の切り替え可能な波長板(HWP3)1404-3と、第3の偏光選択的レンズスタック(L3)1300-3と、第4の切り替え可能な波長板(HWP4)1404-4と、第4の偏光選択的レンズスタック(L4)1300-4とを含む。第3および第4の偏光選択的レンズスタック1300-3、1300-4は、L3 1300-3が、光学軸と平行または垂直な偏光方向を有するそれに入射する光に関して、それぞれ、Δn3/R3または実質的にゼロの第3の屈折力φ3を及ぼすように構成される一方、L4 1300-4が、光学軸と平行または垂直な偏光方向を有するそれに入射する光に関して、それぞれ、Δn4/R4または実質的にゼロの第4の屈折力φ4を及ぼすように構成されるように、例えば、異なる直交光学軸、有効曲率半径、および/または異なる複屈折を有する。
【0142】
種々の実施形態において、L1 1300-1およびL2 1300-2の有効曲率半径は、φ1およびφ2が第1の符号、例えば、正の符号を有するようなものである一方、L3 1300-3およびL4 1300-4の有効曲率半径は、φ3およびφ4が第1の符号と反対の第2の符号、例えば、負の符号を有するようなものである。すなわち、FLA1004の3つの可能な正味屈折力(φ1、φ2、およびφ1+φ2)が、収束または発散効果のうちの一方(例えば、収束)を有し得るとき、BLA1008の3つの可能なゼロではない正味屈折力(φ3、φ4、およびφ3+φ4)は、収束または発散効果のうちの他方(例えば、発散)を有し得る。図示される実施形態において、FLA1004およびBLA1008は、複屈折レンズと等方レンズとの間の界面の曲率を除き、実質的に同じであるように構成される(例えば、一方が凹状であり、他方が凸状であるか、または、逆も同様である等)。特に、第1の適応レンズアセンブリ1004および第2の適応レンズアセンブリ1004は、導波管アセンブリ1012に対して鏡像を形成すると見なされることができる。したがって、構成されると、L1 1404-1とL3 1404-3とは、それぞれ、大きさが実質的に同じであるが、符号が反対である屈折力φ1およびφ3を有し、L2 1404-2とL4 1404-4とは、それぞれ、大きさが実質的に同じであるが、符号が反対である屈折力φ2およびφ4を有する。すなわち、φ1は、-φ3にほぼ等しく、φ2は、-φ4にほぼ等しい。
【0143】
依然として、
図16を参照すると、図示される実施形態において、導波管アセンブリ1012は、完全に内部反射された非偏光を外部結合するように構成される。この構成において、ディスプレイデバイス1600は、導波管アセンブリ1012とBLA1008との間の直線偏光子1604を加えて含み、BLA1008によるレンズ作用につながらない偏光状態を有する光を低減させ、または排除する(例えば、反射または吸収する)ように構成されている。例えば、導波管アセンブリ1012から外部結合される光1608、または影響を受けずにFLA1004を透過させられた光1620が直線偏光されていない場合、例えば、LVPではない場合の配置において、直線偏光子1604は、透過光を直線偏光し、BLA1008の中に入射光1420を送給する役割を果たす。
【0144】
構成されると、BLA1008は、可変屈折力(φ1、φ2、およびφ1+φ2)を提供し、眼210に向かって導波管アセンブリ1012から出射する仮想画像のために複数の深度平面に画像を形成する役割を果たす。BLA1008が、導波管アセンブリ1012から複数の深度平面に画像の焦点を合わせることによって仮想画像を提供する一方、世界画像は、BLA1008によって歪まされ得る。FLA1004は、世界画像が、実質的な歪みを伴わずに眼210に提示されるように、可変屈折力(例えば、-φ3=-φ1、φ4=-φ2、およびφ3+φ4=-(φ1+φ2))を提供することによって、BLA1008によって生じさせられる世界画像の歪みを補償する役割を果たす。
【0145】
種々の実施形態において、例えば、非アクティブにされたとき、FLA1004およびBLA1008の各々は、約±5.0ジオプタ~0ジオプタ、±4.0ジオプタ~0ジオプタ、±3.0ジオプタ~0ジオプタ、±2.0ジオプタ~0ジオプタ、±1.0ジオプタ~0ジオプタの範囲内の正味屈折力(正または負)を提供し、これらの値のうちのいずれかによって定義される任意の範囲、例えば、±1.5ジオプタを含み得る。いくつかの実施形態において、FLA1004およびBLA1008の屈折力が、世界を視認することにおいて互いに補償するように、導波管アセンブリ1012と世界との間のFLA1004が、正の屈折力を有し得る一方で、導波管アセンブリ1012とユーザとの間のBLA1008は、負の屈折力を有し得る。
【0146】
上で説明されるように、導波管アセンブリ1012によって外部結合される光によって生成される仮想オブジェクトの画像が、3D内で移動するにつれて、ユーザ側のBLA1008の正味屈折力は、仮想深度平面の変化する深度に適合するように調節される。同時に、実施形態によると、FLA1004の正味屈折力は、実世界のビューが、望ましくなく焦点ずれしないように、または歪まされないように、切り替え回路を使用して、対応して調節される。この必要性および他の必要性に対処するために、いくつかの実施形態において、ディスプレイデバイス1600は、組み合わせられた正味屈折力が、ほぼ一定、例えば、約0のままであるように、FLA1004およびBLA1008のうちの一方の正味屈折力が、電気的に調節されるとき、FLA1004およびBLA1008のうちの他方の正味屈折力が、対応して調節されるように構成されたコントローラ(図示せず)を備えている。コントローラ回路および切り替え可能な波長板は、第2の適応レンズアセンブリ1008を使用して仮想深度平面を調節し、かつ第1の適応レンズアセンブリ1004を使用して実世界ビューを補償するためにHWP1 1404-1、HWP2 1404-2、HWP3 1404-3、およびHWP4 1404-4を切り替えるための時間が、約100ミリ秒未満、約50ミリ秒未満、約10ミリ秒未満、約5ミリ秒未満、約1ミリ秒未満、またはこれらの値のうちのいずれかによって定義される範囲内の値であるように構成される。
【0147】
(改良された光学的効率のために光を再循環させるように構成される偏光選択的レンズスタックを有する適応レンズアセンブリを含むディスプレイデバイス)
上で説明されるように、適応レンズは、複数の深度平面に仮想画像の焦点を合わせるために使用されることができる。しかしながら、実施形態による適応レンズスタックは、偏光選択的レンズスタックを備えている。結果として、偏光選択的レンズスタックを有するいくつかのディスプレイデバイスは、非透過偏光を有する光の損失に起因して、輝度において50%と同程度またはさらにそれを上回るものを損失し得る。したがって、コンパクト/光効率的な可変焦点明視野ディスプレイを作製するための仮想画像偏光の効率的な変換の必要性がある。実施形態によると、ノッチ反射体と組み合わせて偏光選択的レンズスタックを採用し、非透過偏光を有する光を再循環させる改良された光学的効率を有するディスプレイデバイスが、説明される。
【0148】
本明細書に説明されるように、ノッチ反射体は、概して、実質的に改変されずに殆どの光の波長を透過させる一方で、比較的に高い効率で波長の特定の範囲内の光を反射する光反射体を指す。光が反射される波長の特定の範囲は、「ノッチ」と称される。ノッチ反射体は、複数の誘電体層(多層)、液晶、メタ材料、またはメタ構造等から形成されることができる。ノッチ反射体は、回折光学的要素、表面または体積ホログラム等を含むことができる。ノッチ反射体は、基板材料(例えば、ポリマーまたはガラス)上に積層されることができる。本明細書に説明される実装のうちのいくつかにおいて、RGB光を反射するために、反射体は、複数のノッチ反射体を備え、各反射体内のノッチは、特定のRGB色のうちの1つに調整される(例えば、R-ノッチ反射体と、G-ノッチ反射体と、B-ノッチ反射体とを備えている、反射体)。故に、各ノッチの波長範囲は、ディスプレイの中に投入される光の波長範囲に合致することができる(例えば、R-ノッチは、赤色LEDまたはレーザによって投入される赤色光の波長範囲に合致させられ、GおよびBノッチに関しても同様である)。
【0149】
本明細書に説明される種々の実施形態は、その上に形成された1つ以上の光学的層を有する透過型基板、例えば、研磨ガラスまたはポリマー基板を含むノッチ反射体を備えている。1つ以上の光学的層は、その範囲が、約620~780nmの範囲内の1つ以上の波長の光を含む赤色光、約492~577nmの範囲内の1つ以上の波長の光を含む緑色光、または約435~493nmの範囲内の1つ以上の波長の光を含む青色光に集中させられた約40nm、約70nm、約100nm、または約150nm、またはこれらの値のうちのいずれかの間の任意の範囲の波長範囲Δλを有する光をノッチ反射するように構成される。いくつかの実施形態において、波長範囲Δλは、約620~780nmの赤色光範囲、約492~577nmの緑色光範囲、または約435~493nmの青色光範囲を実質的に対象とし得る。
【0150】
本明細書に説明される種々の実施形態は、偏光ノッチ反射体として構成されるノッチ反射体を備えている。ノッチ反射範囲内で、偏光ノッチ反射体は、1つの偏光を有する光が、実質的にそれを通過することを可能にする一方で、反対偏光を有する光を実質的に反射する。例えば、ノッチ反射範囲内の左側円偏光(LHCP)および右側円偏光(RHCP)の両方を有する光が、偏光ノッチ反射体に入射するとき、ノッチ反射体は、RHCPおよびLHCPのうちの1つを有する光を実質的に反射する一方で、RHCPおよびLHCPのうちの反対のものを有する光を実質的に通すことができる。同様に、直線垂直偏光(LVP)および直線水平偏光(LHP)の両方を有する光が、偏光ノッチ反射体に入射するとき、ノッチ反射体は、LVPおよびLHPのうちの1つを有する光を実質的に反射する一方で、LVPおよびLHPのうちの反対のものを有する光を実質的に通すことができる。
【0151】
本明細書に説明される種々の実施形態は、非偏光ノッチ反射体として構成されるノッチ反射体を加えて備えている。ノッチ反射範囲内で、非偏光ノッチ反射体は、その偏光にかかわらず、それに入射する光を実質的に反射する。例えば、ノッチ反射範囲内のLHCPおよびRHCPの両方を有する光が、非偏光ノッチ反射体に入射すると、ノッチ反射体は、RHCPおよびLHCPの両方を有する光を実質的に反射することができる。同様に、LVPおよびLHPの両方を有する光が、偏光ノッチフィルタに入射すると、ノッチフィルタは、LVPおよびLHPの両方を有する光を実質的に反射することができる。
【0152】
本明細書に説明される種々の実施形態において、偏光または非偏光ノッチ反射体として構成されるノッチ反射体は、偏光変換ノッチ反射体として構成されることもできる。ノッチ反射範囲内で、偏光を有する光を反射すると、偏光変換ノッチ反射体は、反射光の偏光を反対偏光に変換する。例えば、ノッチ反射範囲内のLHCPおよびRHCPのうちの1つを有する光が、偏光変換ノッチ反射体に入射すると、ノッチ反射体は、RHCPおよびLHCPのうちの1つをRHCPおよびLHCPのうちの反対のものに変換する。同様に、LVPおよびLHPのうちの1つを有する光が、偏光変換ノッチ反射体に入射すると、ノッチ反射体は、LVPおよびLHPのうちの1つをLVPおよびLHPのうちの反対のものに変換する。
【0153】
本明細書に説明されるように、ノッチ反射範囲(Δλ)内で、1つ以上の偏光を有する光を反射するように構成されるノッチ反射体は、それに入射する1つ以上の偏光を有する光の実質的に全てを反射するように構成されることができる。例えば、ノッチ反射体が、RHCPおよびLHCPの一方または両方を有する光を反射するように構成されるとき、ノッチ反射体は、例えば、それに入射するRHCPおよびLHCPの一方または両方を有する光の80%を上回る、90%を上回る、95%を上回る、99%を上回る、99.99%を上回る、99.999%を上回る、または99.9999%を上回るものを反射し得る。他方において、ノッチ反射体が、RHCPおよびLHCPのうちの1つを有する光を反射するように構成されるとき、ノッチ反射体は、例えば、それに入射するRHCPおよびLHCPのうちの1つを有する光の80%を上回る、90%を上回る、95%を上回る、99%を上回る、99.99%を上回る、99.999%を上回る、または99.9999%を上回るものを反射し得る。逆に、ノッチ反射体は、反射されない光、例えば、ノッチ反射範囲(Δλ)外の波長を有する光、またはノッチ反射体が反射するように構成されない偏光を有する光が、実質的に完全に透過させられる、例えば、それに入射する光の80%を上回る、90%を上回る、95%を上回る、99%を上回る、99.99%を上回る、99.999%を上回る、または99.9999%を上回るものが透過させられるように構成される。
【0154】
図17Aは、実施形態による非透過偏光を有する光を再循環させるように構成された適応レンズアセンブリを備えているディスプレイデバイス1800Aを図示する。ディスプレイデバイス1800Aは、
図16に関して上で説明されるものに類似する様式で、FLA1004とBLA1008との間に挿入された導波管アセンブリ1012、例えば、非偏光導波管アセンブリを備えている。ディスプレイデバイス1800Aは、FLA1004と導波管アセンブリ1012との間に挿入された非偏光ノッチ反射体1808と、BLA1008と導波管アセンブリ1012との間に挿入された偏光ノッチ反射体1812とをさらに備えている。
【0155】
依然として、
図17Aを参照すると、実施形態による非偏光ノッチ反射体1808は、ノッチ反射範囲内で、反射体1808が、その偏光にかかわらず、それに入射する光を実質的に反射するように構成される。さらに、図示される実施形態において、非偏光反射体1808は、ノッチ反射範囲内で、偏光を有する光を反射すると、偏光変換ノッチ反射体が、反射光の偏光を反対偏光に変換するように構成された偏光変換ノッチ反射体として構成される。非偏光ノッチ反射体1808は、その上に形成された1つ以上の光学的層を有する透過型基板、例えば、研磨ガラスまたはポリマー基板を含む。本明細書に説明されるノッチ反射体のいくつかの実施形態において、基板上に形成される1つ以上の光学的層は、その組み合わせが上で説明される種々のノッチ反射特性をもたらす1つ以上の誘電体コーティングを含むことができる。
【0156】
依然として、
図17Aを参照すると、実施形態による偏光ノッチ反射体1812は、ノッチ反射範囲内で、偏光ノッチ反射体1812が、偏光選択的様式でそれに入射する光を実質的に反射するように構成される。さらに、図示される実施形態において、偏光反射体1812は、非偏光ノッチ反射体1808と異なり、ノッチ反射体1812が、反射光の偏光を反対偏光に変換しないように構成される。偏光ノッチ反射体1812は、その上に形成された1つ以上の光学的層を有する透過型基板、例えば、研磨ガラスまたはポリマー基板を含む。いくつかの実施形態において、基板上に形成される1つ以上の光学的層は、1つ以上のコレステリック液晶(CLC)層を含むことができる。
【0157】
依然として、
図17Aを参照すると、偏光ノッチ反射体1812は、複数のキラル構造として配置されたLC分子を有するCLC層を備えている。ある実装において、キラル構造の各々は、少なくとも螺旋ピッチだけ層深度方向に延び、回転方向に連続して回転させられた複数のLC分子を備えている。いずれの科学理論にも同意するわけではないが、種々の実装において、CLC層は、有利なこととして、液晶分子の回転方向に合致させられた偏光の掌性を有する楕円または円偏光を実質的にブラッグ反射するように構成される一方で、液晶分子の回転方向と反対である偏光の掌性を有する楕円または円偏光を実質的に透過させるように構成されることができる。構成されると、LHCPおよびRHCPを有する光ビームの組み合わせを有する入射光が、ブラッグ反射によって偏光ノッチ反射体1812に入射すると、円偏光掌性のうちの1つを伴う光は、偏光ノッチ反射体によって反射される一方、反対偏光掌性を伴う光は、実質的な干渉を伴わずに、それを透過させられる。ここで、かつ本開示の全体を通して説明されるように、掌性は、伝搬の方向に視認されるとして定義される。
【0158】
動作時、導波管アセンブリ1012から外部結合される光は、LHCPを有する円偏光ビーム1816-Lと、RHCPを有する1816-Rとを含む。LHCPを有する光ビーム1816-LおよびRHCPを有する1816-Rは、ビームが偏光ノッチ反射体1812に衝突するまで、例えば、正のz-方向に進行する。図示される実施形態において、キラル構造の液晶分子は、光ビーム1816-Rと同じ回転方向に連続して時計回り方向に回転させられている。結果として、偏光ノッチ反射体1812に入射するLHCPを有する光ビームが、1816-Lとしてそれから実質的に反射される一方で、RHCPを有する光ビーム1816-Rは、偏光ノッチ反射体1812を実質的に透過させられる。
【0159】
偏光ノッチ反射体1812を透過させられる1816-Rは、4分の1波長板(QWP)1824を通過し、QWP1824は、光ビーム1816-Rを眼210に入射するようにLVPを有する直線偏光1824に変換する。他方において、偏光ノッチ反射体1812によって反射される光ビーム1816-Lは、非偏光ノッチ反射体1808に向かって伝搬し、非偏光ノッチ反射体1808の偏光変換特性に起因して、それから、反対偏光掌性、すなわち、RHCPを有する光ビーム1820-Rの中に実質的に反射される。RHCPを有する結果として生じる光ビーム1820-Rは、導波管アセンブリ1012および偏光ノッチ反射体1812を実質的に透過させられ、その後、4分の1波長板(QWP)1824が続き、QWP1824は、光ビーム1820-Rを眼210に入射するようにLVPを有する直線偏光1824に変換する。
【0160】
図17Bは、いくつかの他の実施形態による非透過偏光を有する光を再循環させるように構成された適応レンズアセンブリを備えているディスプレイデバイス1800Bを図示する。
図17Aに関して上で説明されるディスプレイデバイスと同様、ディスプレイデバイス1800Bは、FLA1004とBLA1008との間に挿入された導波管アセンブリ1012、例えば、非偏光導波管アセンブリと、FLA1004と導波管アセンブリ1012との間に挿入された非偏光ノッチ反射体1808および4分の1波長板(QWP)1824とを備えている。ディスプレイデバイス1800Bは、導波管アセンブリ1012とBLA1812との間に挿入された偏光ノッチ反射体1814、例えば、直線偏光ノッチ反射体を加えて含む。
【0161】
依然として、
図17Bを参照すると、
図17Aに関して上で説明される偏光ノッチ反射体1812と同様、偏光ノッチ反射体1814は、ノッチ反射範囲内で、ノッチ反射体1814が、偏光選択的様式でそれに入射する光を実質的に反射するように構成される。さらに、非偏光ノッチ反射体1808と異なり、偏光反射体1814は、反射光の偏光を反対偏光に変換しない。
【0162】
加えて、偏光ノッチ反射体1812(
図17A)と異なり、偏光ノッチ反射体1814は、CLC層を含まない。代わりに、偏光ノッチ反射体1814は、その上に形成された1つ以上の光学的層を有する透過型基板、例えば、研磨ガラスまたはポリマー基板を含む。本明細書に説明されるノッチ反射体のいくつかの実施形態において、基板上に形成される1つ以上の光学的層は、その組み合わせが上で説明される種々のノッチ反射特性をもたらす1つ以上の誘電体コーティングを含むことができる。
【0163】
依然として、
図17Bを参照すると、動作時、導波管アセンブリ1012から外部結合された光は、LVPを有する直線偏光ビーム1816-Vと、LHPを有する1816-Hとを含む。光ビーム1816-Vおよび1816-Hは、ビームが偏光ノッチ反射体1814に衝突するまで、例えば、正のz-方向に進行する。そこで直ちに、光ビーム1816-Hが、偏光ノッチ反射体1814から実質的に反射される一方で、光ビーム1816-Vは、眼210に入射するように、それを実質的に透過させられる。
【0164】
光ビーム1816-Hは、偏光ノッチ反射体1814によって反射され、4分の1波長板1824に向かって伝搬し、それを透過させられ、非偏光ノッチ反射体1808から反射され、非偏光ノッチ反射体1808の偏光変換特性に起因して、反対偏光掌性、例えば、LVPを有する光ビーム1820-Vとして、4分の1波長板1824をさらに透過させられる。結果として生じる光ビーム1820-Vは、眼210に入射するように、偏光ノッチ反射体1814を実質的に透過させられる。
【0165】
ノッチ反射体は、ノッチフィルタが光のある偏光に関して偏光状態を選択的に改変する、上記の例において議論されているが、ノッチ反射体以外の偏光要素も使用され得る。そのような偏光要素は、例えば、広範囲の波長にわたって偏光状態を改変し得る。
【0166】
(切り替え可能な偏光選択的レンズスタックを備えている、適応レンズアセンブリ)
本明細書に開示される種々の実施形態によると、適応レンズアセンブリは、異なる屈折力を伴う複数の状態間で選択的に切り替えることによって、複数の深度平面に画像を生成することができる。上で、例えば、
図14A-14Bおよび15A-15Eに関して、偏光選択的レンズに結合された切り替え可能な波長板をアクティブまたは非アクティブにすることによって、選択的切り替えが実施される適応レンズアセンブリが、説明された。いくつかの実施形態において、偏光選択的レンズ自体が、直接切り替え可能であり、それによって、適応レンズアセンブリのさらに簡単化および/またはコンパクトな統合を可能にするように構成されることができる。以下において、実施形態によると、適応レンズアセンブリは、それに結合された切り替え可能な波長板を切り替える代わりに、切り替え可能な偏光選択的レンズスタックをアクティブまたは非アクティブにすることによって、選択的切り替えが実施される。
【0167】
上で説明されるように、いくつかのLC分子は、例えば、光学的特性の改変をもたらす電気刺激の下でそれらの配向を改変する(例えば、回転および/または傾ける)ことができる。いくつかの実施形態において、偏光選択的レンズスタックは、部分的に重合化されていないLC分子を備えている反応性メソゲン(RM)を採用することによって、切り替え可能であるように構成されることができる。
【0168】
図18は、透明電極1916、1920間に形成された偏光選択的レンズスタック1904を備えている切り替え可能な偏光選択的レンズスタック1900を図示する。偏光選択的レンズスタック1904は、複屈折フレネルレンズ1304と、等方レンズ1308とを備えている。したがって、偏光選択的レンズスタック1904は、重合化されたLCから形成された複屈折レンズを有する代わりに、偏光選択的レンズスタック1904の複屈折レンズ1304が、電場下でそれらの配向を改変し得る重合化されていないLC分子を有するRMを備えているか、またはそれから形成されることを除き、例えば、
図12A-12Cおよび13A-13Bに関して上で説明されるものに類似する。構成されると、切り替え可能な偏光選択的レンズスタック1900は、例えば、
図14Aに関して上で説明されるように、受動偏光選択的レンズスタックと切り替え可能な波長板との組み合わせに類似する機能性を実施することができる。すなわち、動作時、オフ状態で、例えば、電極1916、1920間に電圧がない場合、LC分子は、
図12A-12Cに関して上で説明されるものと同じ様式で配置され得る。この構成下で、
図14Aに関して上で説明されるものに類似する様式で、動作時、偏光選択的レンズスタック1904のLCは、それに入射する直線偏光入射光1420、例えば、LVP光の偏光方向が光学軸と平行であるとき、偏光選択的レンズスタック1904が、それに屈折力及ぼし、LVPを有する光1436を出力する一方、それに入射する直線偏光入射光の偏光方向が光学軸と垂直であるとき、偏光選択的レンズスタック1904が、それに実質的にゼロの屈折力を及ぼすように構成される。したがって、切り替え可能な偏光選択的レンズスタック1904は、上で説明されるように、受動偏光選択的レンズスタックと切り替え可能な波長板との組み合わせと類似する様式で機能する。しかしながら、オン状態において、例えば、電極1916、1920間の電圧の存在下で偏光選択的レンズスタック1904は、種々の屈折力を光学軸と平行である偏光方向を有する直線偏光に及ぼすように構成されることができる。種々の屈折力は、複屈折が、例えば、LC分子の電圧依存性傾転(すなわち、Δn=f(V))に起因して、電極1916、1920を横断して印加される電圧の関数であるように構成された偏光選択的レンズスタック1904のLCによって生じさせられ得る。他方において、光学軸と垂直である偏光方向を有する直線偏光に関して、偏光選択的レンズスタック1904は、ゼロまたはほぼゼロの屈折力を及ぼす。後者(ゼロまたはほぼゼロの屈折力)は、等方レンズ1308の屈折率を複屈折レンズ1304の屈折率と合致させることによって、遂行されることができる。このように、偏光選択的レンズスタック1904の屈折力は、例えば、
図14Aに関して上で説明されるように、受動偏光選択的レンズスタックと切り替え可能な波長板との組み合わせをスタックする代わりに、印加された電圧によって制御されることができる。しかしながら、例えば、等方レンズ1308の屈折率を複屈折レンズ1304の屈折率と合致させないことによって、他の屈折力も、可能である。そのような実装は、例えば、ユーザが、度付きレンズまたは眼鏡等の矯正レンズを通常着用することから利益を得るとき、望ましくあり得る。これらのユーザのために、部分的補償は、偏光選択的レンズスタックが少なくとも部分的に矯正レンズとしての役割を果たすために望ましくあり得る。
【0169】
(非偏光導波管アセンブリに結合される切り替え可能な偏光選択的レンズスタックを有する適応レンズアセンブリを含むディスプレイデバイス)
以下において、いくつかの実施形態によると、上で説明される切り替え可能な偏光選択的レンズスタック(例えば、偏光選択的レンズスタック1904、
図18)を備えている、適応レンズアセンブリが統合された
図10、11A、および11Bに関して上で説明される例示的ディスプレイデバイスがある。
【0170】
図19は、第1の適応レンズアセンブリ(FLA)2004と第2の適応アセンブリ(BLA)2008との間に挿入された導波管アセンブリ1012、例えば、非偏光導波管アセンブリと、直線偏光子1604とを含む
図16に関して上で説明されるディスプレイデバイスに類似する例示的ディスプレイデバイス2000を図示する。しかしながら、
図16のディスプレイデバイスのFLA1004およびBLA1008と異なり、FLA2004およびBLA2008の各々は、
図18に関して上で説明されるものに類似する切り替え可能な偏光選択的レンズスタックを有する。すなわち、切り替え可能な波長板および
図16のFLA1004およびBLA1008に含まれるレンズスタックの組み合わせは、それぞれ、第1および第2の切り替え可能な偏光選択的レンズスタック1900Aおよび1900Bと置換される。
【0171】
動作時、BLA2008は、
図18に関して上で説明されるように、オフ状態時の第1の切り替え可能な偏光選択的レンズスタック1900Aを使用して、導波管アセンブリ1012からの(例えば、LVPを有する)直線偏光1420に屈折力φを及ぼすことによって、仮想画像の焦点を合わせるように構成される。加えて、
図16に関して上で説明されるものに類似する様式で、世界画像がBLA2008の屈折力によって歪まされることを防止するために、FLA2004は、世界画像が実質的な歪みを伴わずに眼210に提示されるように、(オフ状態時の切り替え可能な偏光選択的レンズスタック1900Bを有することによって)補償屈折力-φを提供することによって補償する役割を果たす。
【0172】
図20は、導波管アセンブリと、第2の適応レンズアセンブリ(BLA)2008とを含む
図19に関して上で説明されるディスプレイデバイスに類似する例示的ディスプレイデバイス2100を図示する。しかしながら、
図19に関して上で説明されるディスプレイデバイスと異なり、ディスプレイデバイス2100は、偏光、例えば、円偏光1708-Rまたは1708-LをBLA2008の中に外部結合する偏光導波管アセンブリ1712を含む。偏光導波管アセンブリ1712は、
図18Aに関して上で説明されるように、コレステリック液晶を備えていることができる。故に、BLA2008は、偏光導波管アセンブリ1712から外部結合される光1708-R、1708-LをBLA2008に入射する直線偏光1420に変換するように構成された第1の4分の1波長板(QWP1)1704、例えば、無彩色の4分の1波長板を加えて含む。したがって、BLA1008は、
図19に関して上で説明されるものに類似する様式で動作する。
【0173】
しかしながら、
図19のディスプレイデバイス2000と異なり、ディスプレイデバイス2000は、BLA2008が、屈折力を仮想画像情報を含む偏光導波管アセンブリ1712からの光に及ぼすとき、BLA2008によって世界側の光1620に及ぼされる望ましくない屈折力を取り消すように構成される、FLA2004を有していない。代わりに、仮想画像を表示するとき、ディスプレイデバイス2100は、導波管アセンブリ1712からの光を選択的に集束させる一方で、実質的に影響を受けずに世界画像を通すように構成される。これは、FLA2004(
図19)を直線偏光子1716および第2の4分の1波長板(QWP2)1714、例えば、無彩色の4分の1波長板の組み合わせと置換することによって達成される。
【0174】
いくつかの実装において、世界画像を表示するとき、ディスプレイデバイス2100は、実質的な屈折力を及ぼさない。この構成下で、偏光されていない世界からの光1620は、例えば、直線偏光子1716によって水平直線偏光(LHP)に直線偏光され、それは、続いて、第2の4分の1波長板(QWP2)1714によって円偏光に変換される。偏光導波管アセンブリ1712に入射する円偏光は、本質的に影響を受けずにそれを通過し、QWP1 1704によって、直線偏光、例えば、LHP光に変換される。BLA1008において、切り替え可能な偏光選択的レンズスタック1900Aは、その光学軸を入射LHP光の偏光方向と直交させることによって、実質的にゼロの屈折力を及ぼし、それによって、眼210によって見られるように、本質的に影響を受けずに入射光を通すように構成される。
【0175】
依然として、
図20を参照すると、仮想画像を表示するとき、BLA2008は、切り替え可能な偏光選択的レンズスタック1900Aを使用して、導波管アセンブリ1712からのLVPを有する直線偏光1420に屈折力φを及ぼすことによって、導波管アセンブリ1712から仮想画像の焦点を合わせるように構成される。BLAスタック内に1つのみのレンズ要素が存在するので、仮想画像の偏光状態は、
図18に関して上で説明されるように、改変されておらず、LVPであり、切り替え可能なレンズの光学軸と平行なままである。したがって、世界画像が、歪まされずにユーザによって視認される一方、仮想画像は、同時に、電圧依存性屈折力φ(V)を受ける。
【0176】
(2つの1次元フレネルレンズのスタックを備えている、偏光選択的フレネルレンズスタック)
図13Bに関して上で説明されるもの等の偏光選択的フレネルレンズスタックの製作は、多くの課題を有し得る。例えば、等方レンズ内の溝が円形であるので、一様な水平方向にLC分子を配向することは、困難および/または高価であり得る。以下において、円形である代わりに線形である溝に沿ってLC分子を配向することによって、より容易に製造され得る偏光選択的フレネルレンズスタックの代替設計が、説明される。例えば、溝は、回転対称であり得る。溝は、非回転対称(例えば、円筒形)であり得る。
【0177】
図21Aは、いくつかの実施形態による1次元(1D)偏光選択的フレネルレンズスタック2200Aを備えている偏光選択的フレネルレンズスタックの簡単化された設計を図示する。
図13Bに関して上で説明されるフレネルレンズスタックと同様、1D偏光選択的フレネルレンズスタック2200Aは、複屈折レンズ2204と、等方レンズ2208とを備えている。加えて、
図13Bに関して上で説明される複屈折レンズと同様、LC分子は、フレネルゾーン2212の境界を形成する溝2216に沿って、水平方向2212、例えば、y-方向に実質的に配向されている。しかしながら、
図13A-13Bに関して上で説明される円形ゾーンまたは溝を有する偏光選択的フレネルレンズスタックと異なり、1D偏光選択的フレネルレンズスタック2200Aは、溝2212が、水平方向2212、例えば、y-方向に実質的に平行に延びている1次元(1D)偏光選択的フレネルレンズスタックとして構成される。
【0178】
図21Bは、いくつかの実施形態による2次元(2D)偏光選択的フレネルレンズスタック2200Bを備えている偏光選択的フレネルレンズスタックの簡単化された設計を図示する。偏光選択的フレネルレンズスタック2200Bは、互いに対して90度回転させられ、半波長板(HWP)2220、例えば、無彩色HWPがそれらの間に挿入された
図21Aに関して上で図示される一対の1D偏光選択的フレネルレンズスタック2200A-1、2200A-2を備えている。一対の1D偏光選択的フレネルレンズスタック2200A-1、2200A-2の各々は、それぞれ、複屈折レンズ2204-1、2204-2と、等方レンズ2208-1、2208-2とを備えている。動作時、第1の1D偏光選択的フレネルレンズスタック2200A-1は、第1の側方方向(x-方向)への第1のレンズ屈折力をその中に形成される溝2212の方向と平行な偏光方向を有する直線偏光入射光1420に及ぼす。続いて、HWP2220は、第1の1D偏光選択的フレネルレンズスタック2200A-1を透過させられた直線偏光を90度回転させ、第2のフレネルレンズスタック2200A-2の溝延在方向と偏光方向を整列させ、第2のフレネルレンズスタックは、HWP2220を透過させられ、第2のフレネルレンズスタックの中に形成された溝2212の方向と平行な偏光方向を有する直線偏光に第2の側方方向(y-方向)への第2のレンズ屈折力を及ぼす。構成されると、2次元(2D)偏光選択的フレネルレンズスタック2200Bの全体的機能は、溝の数の増加に起因する可能な追加の収差を除き、円形対称溝を有する
図13Bに関して上で説明される偏光選択的フレネルレンズスタックのそれに相当する。
【0179】
図21Cは、いくつかの実施形態による2次元(2D)偏光選択的フレネルレンズスタック2200Cを備えている切り替え可能な偏光選択的フレネルレンズスタックの簡単化された設計を図示する。偏光選択的フレネルレンズスタック2200Cは、それらの溝が互いに交差するように互いに対して90度回転させられた一対の等方レンズ2208-1、2208-2を備えている。一対の等方レンズ2208-1、2208-2は、RMまたは切り替え可能な重合化されていない液晶分子を備えている複屈折レンズ2204がそれらの間に挿入されている。複屈折レンズ2204のLC分子は、第1の等方レンズ2208-1に隣接するLC分子が、1つの側方方向、例えば、y-方向に配向される一方、第2の等方レンズ2208-1に隣接するLC分子が、他の側方方向、例えば、X-方向に配向されるように構成される。2次元(2D)偏光選択的フレネルレンズスタック2200Cは、それらの間に形成されたRMを有する等方レンズ2208-1、2208-2がそれらの間に挿入された一対の透明電極1916、1920を加えて備えている。動作時、複屈折レンズ2204のLC分子は、
図21BのHWP2220同様、レンズ効果を提供する役割を果たすとともに、半波長板としての役割も果たす。構成されると、2次元(2D)偏光選択的フレネルレンズスタック2200Cの全体的機能は、
図21Bに関して上で説明されるそれに類似する。
【0180】
(偏光選択的フレネルレンズスタックを製作する方法)
図22A-22Dは、実施形態による偏光選択的フレネルレンズスタックを製作するための例示的方法を図示する。
【0181】
図22Aは、等方材料を提供し、いくつか挙げると、例えば、鋳造、成型、またはダイヤモンド切削等のプロセスを介して、
図13Bに関して上で説明される溝をその中に形成することによって形成されるテンプレート基板2304を備えている中間構造2300Aを図示する。切り替え可能な偏光選択的フレネルレンズスタックを製作するために、ITO等の透明電極(また、金属ナノワイヤ、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等)が、テンプレート基板2304上に形状一致して堆積され得る。続いて、第1のLCアラインメント層2306が、例えば、スピン、スロット、ブレード、スプレーコーティング技法、またはそれらの組み合わせのうちのいずれかを介して、テンプレート基板2304上に形成され、次いで、余分な溶媒を除去するために、熱的に焼成される(例えば、100℃、1分)。
【0182】
図22Bは、第2の基板2308を提供し、例えば、
図22Aに関して上で説明されるそれと類似する様式で、第2のLCアラインメント層2310をその上に形成することによって形成される中間構造2300Bを図示する。
【0183】
基板2304および2308は、例えば、アクリル、二酸化ケイ素、サファイア、または任意の好適な透明材料を含む透明材料から形成されることができる。
【0184】
アラインメント層2306、2310は、光アラインメント層を含むことができ、その上にLC分子が堆積されるとき、LC分子は、例えば、光アラインメント層によってLC分子に及ぼされる定着エネルギーに起因して、優先的方向に沿って配向され得る。光アラインメント層の例は、いくつか挙げると、ポリイミド、直線偏光光重合性ポリマー(LPP)、アゾ含有ポリマー、クマリン含有ポリマー、および桂皮酸塩含有ポリマーを含む。
【0185】
アラインメント層2306、2310は、好適な溶媒内で、前駆体、例えば、モノマーを溶解させ、好適なプロセス、例えば、他の堆積プロセスの中でもとりわけ、スピンコーティング、スロットコーティング、ドクターブレードコーティング、スプレーコーティング、およびジェット(インクジェット)コーティングを使用して、基板を溶液でコーティングすることによって、形成され得る。溶媒は、その後、コーティングされた溶液から除去されることができる。アラインメント層2306、2310は、その上のLC分子の後続のアラインメントに備えて、例えば、偏光子を用いて、硬化、例えば、紫外線硬化もされ得る。
【0186】
コーティング後、アラインメント層2306、2310は、光学的にパターン化または記録されることができる。例えば、光学的パターン化は、直線偏光を使用して実施されることができる。
【0187】
図22Cは、第のLCアラインメント層2306と第2のLCアラインメント層2310とが、互いに面するように、中間構造2300A(
図22A)と2300B(
図22B)とを一緒にすることによって形成される中間構造2300Cを図示する。いくつかの実施形態において、接着剤と混合される複数のスペーサ2314が、セルギャップ2318を形成するように第のLCアラインメント層2306と第2のLCアラインメント層2310との間に配置され得る。したがって、サンドイッチ構造を備えている形成された中間構造2300Cは、基板2304および2308の両方の上に線形アラインメントパターンを同時に生成するために、直線偏光紫外線(UV)光にさらされる。代替として、アラインメントパターンは、サンドイッチ構造を生成することに先立って、ラビングされたポリイミドを使用して形成されることができる。
【0188】
図22Dは、ギャップ2318を重合化されていないLC材料または反応性メソゲン(RM)で充填することによって形成される中間構造2400Dを図示する。LC材料は、反応性メソゲン混合物(例えば、液晶モノマー、溶媒、光開始剤、および界面活性剤を含む)を含み得る。
【0189】
その後、例えば、100℃における1分の熱焼鈍が、実施され得る。切り替え可能な偏光選択的フレネルレンズスタックに関して、このプロセスは、ここで終了し得る。このように充填され得るある重合性LCが存在する(例えば、DIC Corporation Japan Ltd.からのUCL-001)。続いて、受動偏光選択的フレネルレンズスタックを形成するために、LC材料またはRMは、LC材料を重合させ、受動偏光選択的フレネルレンズスタックを形成するために、紫外線にさらされる。
【0190】
他の実施形態も、可能である。例えば、上で説明されるギャップ充填プロセスの代わりに、LCポリマー(LCP)層が、例えば、他の堆積プロセスの中でもとりわけ、スピンコーティング、スロットコーティング、ドクターブレードコーティング、スプレーコーティング、およびインクジェットコーティングを含む好適なプロセスを使用して、基板2304、2308のいずれか一方または両方の上に直接コーティングされ得る。
(追加の実施例)
(実施例1)適応レンズアセンブリであって、適応レンズアセンブリは、偏光依存性屈折力を直線偏光に及ぼすように構成されたレンズスタックを備え、
レンズスタックは、互いに接触し、それらの間に形状一致界面を形成する複屈折レンズと等方レンズとを備え、
適応レンズアセンブリは、異なる屈折力を有する複数の状態間で選択的に切り替えられるように構成されている、適応レンズアセンブリ。
(実施例2)
複屈折レンズは、光学軸および複屈折性(Δn)を有し、第1の屈折力を光学軸と平行な偏光方向を有する光に及ぼし、第2の屈折力を光学軸と垂直な偏光方向を有する光に及ぼすように構成され、
等方レンズは、屈折率を有し、第1の屈折力および第2の屈折力と符号が反対である第3の屈折力をそれを通過する光に及ぼすように構成されている、実施例1に記載の適応レンズアセンブリ。
(実施例3)Δnは、複屈折レンズの光学軸と平行な方向における異常屈折率(ne)と複屈折レンズの光学軸と垂直な方向における通常の屈折率(no)との間の差異に対応し、等方レンズの屈折率は、複屈折レンズのnoと実質的に同じ値を有する、実施例2に記載の適応レンズアセンブリ。
(実施例4)第3の屈折力は、偏光選択的レンズスタックが光学軸と垂直な偏光方向を有する光に屈折力を実質的に及ぼさないように構成されるように、第2の屈折力と大きさが実質的に同じである、前記実施例のうちのいずれか1つに記載の適応レンズアセンブリ。
(実施例5)レンズスタックは、Δnに比例した屈折力を光学軸と平行な偏光方向を有する光に及ぼすように構成されている、前記実施例のうちのいずれか1つに記載の適応レンズアセンブリ。
(実施例6)複屈折レンズは、その中に形成された複数の溝を備えているフレネルレンズであり、溝のうちの隣接した溝は、フレネルレンズのフレネルゾーンを画定する、前記実施例のうちのいずれか1つに記載の適応レンズアセンブリ。
(実施例7)複数の溝は、同心円状に円形の溝を備えている、実施例6に記載の適応レンズアセンブリ。
(実施例8)複数の溝は、レンズスタックの主要表面と平行な方向に延びている平行溝を備えている、実施例6に記載の適応レンズアセンブリ。
(実施例9)複屈折レンズは、液晶(LC)を備えている、前記実施例のうちのいずれか1つに記載の適応レンズアセンブリ。
(実施例10)複屈折レンズのLC分子は、レンズスタックの主要表面と平行な側方方向に実質的に配向されている、実施例9に記載の適応レンズアセンブリ。
(実施例11)レンズスタックに光学的に結合されたねじりネマチック(TN)液晶(LC)を備えている切り替え可能な半波長板をさらに備え、切り替え可能な半波長板は、アクティブにされたとき、それを通過する直線偏光の偏光を保持し、非アクティブにされたとき、それを通過する直線偏光の偏光を改変するように構成されている、前記実施例のうちのいずれか1つに記載の適応レンズアセンブリ。
(実施例12)切り替え可能な半波長板は、偏光選択的レンズスタックの第1の側に配置され、適応レンズアセンブリは、偏光選択的レンズスタックの第2の側に、
偏光選択的レンズスタックに光学的に結合されたTN LCを備えた第2の切り替え可能な半波長板と、
偏光依存性屈折力を直線偏光に及ぼすように構成された第2のレンズスタックであって、第2のレンズスタックは、互いに接触し、それらの間に形状一致界面を形成する第2の複屈折レンズと第2の等方レンズとを備えている、第2のレンズスタックと
をさらに備え、適応レンズアセンブリは、切り替え可能な波長板および/または第2の切り替え可能な半波長板を電気的にアクティブおよび/または非アクティブにすることによって、少なくとも4つの状態間で選択的に切り替えられるように構成されている、前記実施例のうちのいずれか1つに記載の適応レンズアセンブリ。
(実施例13)複屈折レンズは、反応性メソゲンを備え、レンズスタックは、レンズスタックが異なる屈折力状態間で電気的に切り替え可能であるように構成されるように、複屈折レンズを横断して電場を印加するように構成された電極を備えている、実施例1-10のうちのいずれか1つに記載の適応レンズアセンブリ。
(実施例14)ディスプレイデバイスであって、ディスプレイデバイスは、
光を導波管アセンブリの出力表面と平行な側方方向に誘導するように構成された導波管アセンブリであって、導波管アセンブリは、出力表面を通して誘導された光を外部結合するようにさらに構成される、導波管アセンブリと、
導波管アセンブリの第1の側に配置された適応レンズアセンブリであって、応レンズアセンブリは、導波管アセンブリから外部結合された光を受け取るように、かつ異なる屈折力を有する複数の状態間で選択的に切り替えられるように配置されている、適応レンズアセンブリと
を備え、適応レンズアセンブリは、偏光依存性屈折力を直線偏光に及ぼすように構成されたレンズスタックを備え、レンズスタックは、互いに接触している複屈折レンズと等方レンズとを備え、複屈折レンズおよび等方レンズの接触表面は、形状一致界面を形成する、ディスプレイデバイス。
(実施例15)
複屈折レンズは、光学軸および複屈折性(Δn)を有し、第1の屈折力を光学軸と平行な偏光方向を有する光に及ぼし、第2の屈折力を光学軸と垂直な偏光方向を有する光に及ぼすように構成され、
等方レンズは、屈折率を有し、第1の屈折力および第2の屈折力のうちの少なくとも1つと符号が反対である第3の屈折力をそれを通過する光に及ぼすように構成されている、実施例14に記載のディスプレイデバイス。
(実施例16)複屈折レンズは、その中に形成された複数の溝を備えているフレネルレンズであり、溝のうちの隣接した溝は、フレネルゾーンを画定する、実施例15に記載のディスプレイデバイス。
(実施例17)複屈折レンズは、液晶(LC)を備えている、実施例15に記載のディスプレイデバイス。
(実施例18)複屈折レンズのLC分子は、偏光選択的レンズスタックの主要表面と平行な同じ方向に実質的に配向されている、実施例15に記載のディスプレイデバイス。
(実施例19)
第1の側と反対の導波管アセンブリの第2の側に配置された第2の適応レンズアセンブリであって、第2の適応レンズアセンブリは、異なる屈折力を有する複数の状態間で選択的に切り替えられるように構成され、第2の適応レンズアセンブリは、
偏光依存性屈折力を直線偏光に及ぼすように構成された第2のレンズスタックであって、第2のレンズスタックは、互いに接触し、それらの間に形状一致界面を形成する第2の複屈折レンズと第2の等方レンズとを備えている、第2のレンズスタックを備えている、第2の適応レンズアセンブリをさらに備えている、実施例14に記載のディスプレイデバイス。
(実施例20)第1および第2の適応レンズアセンブリの各々は、レンズスタックまたは第2のレンズスタックのうちのそれぞれのものに光学的に結合されたねじりネマチック(TN)液晶(LC)を備えている切り替え可能な半波長板をさらに備え、切り替え可能な半波長板は、アクティブにされたとき、それを通過する直線偏光の偏光を保持し、非アクティブにされたとき、それを通過する直線偏光の偏光を改変するように構成されている、実施例19に記載のディスプレイデバイス。
(実施例21)第2の適応レンズアセンブリによって及ぼされる複数の屈折力の各々は、実質的に同じ大きさを有し、かつ反対符号を有する適応レンズアセンブリによって及ぼされる複数の屈折力のうちの対応するものを有する、実施例20に記載のディスプレイデバイス。
(実施例22)適応レンズアセンブリは、導波管アセンブリの第1の側に形成され、ディスプレイデバイスは、導波管アセンブリと適応レンズアセンブリとの間に挿入された偏光反射体をさらに備え、偏光反射体は、第1の偏光を有する直線偏光をそれに通し、第2の偏光を有する直線偏光を反射するように構成されている、実施例14-21のうちのいずれか1つに記載のディスプレイデバイス。
(実施例23)導波管アセンブリの第2の側に、非偏光反射体と、非偏光反射体と導波管アセンブリとの間に挿入された4分の1波長板とをさらに備え、非偏光反射体は、それに入射する第1の偏光を有する直線偏光の偏光を反射するように、かつ改変するように構成されている、実施例22に記載のディスプレイデバイス。
(実施例24)適応レンズアセンブリは、導波管の第1の側に形成され、ディスプレイデバイスは、適応レンズアセンブリと導波管アセンブリとの間に挿入された偏光反射体をさらに備え、偏光反射体は、偏光ノッチ反射体が、第1の偏光を有する円偏光をそれに通すように、かつ第2の偏光を有する円偏光を反射するように構成されるように構成されたコレステリック液晶を備えている、実施例14-21のうちのいずれか1つに記載のディスプレイデバイス。
(実施例25)導波管アセンブリの第2の側に、非偏光反射体をさらに備え、非偏光反射体は、第2の円偏光を有するそれに入射する円偏光の偏光を反射するように、かつ改変するように構成されている、実施例24に記載のディスプレイデバイス。
(実施例26)複屈折レンズおよび第2の複屈折レンズの各々は、反応性メソゲンを備え、レンズスタックおよび第2のレンズスタックの各々は、異なる屈折力状態間でレンズスタックおよび第2のレンズスタックの各々を切り替えるように構成される、電極を備えている、実施例19に記載のディスプレイデバイス。
(実施例27)複屈折レンズは、反応性メソゲンを備え、偏光選択的レンズスタックは、少なくとも2つの屈折力状態間で偏光選択的レンズスタックを電気的に切り替えるための電極を備えている、実施例14に記載のディスプレイデバイス。
(実施例28)導波管アセンブリの第1の側と反対の第2の側に、
直線偏光子と、
導波管アセンブリと直線偏光子との間に挿入された4分の1波長板と
をさらに備えている、実施例27に記載のディスプレイデバイス。
(実施例29)偏光反射体は、偏光ノッチ反射体を備えている、実施例22-25のうちのいずれか1つに記載のディスプレイデバイス。
(実施例30)非偏光反射体は、非偏光ノッチ反射体を備えている、実施例22-25および29のうちのいずれか1つに記載のディスプレイデバイス。
(実施例31)頭部搭載型ディスプレイに配置されている、実施例14-30のうちのいずれか1つに記載のディスプレイデバイス。
(実施例32)ユーザの頭部上に支持されるように構成されたフレームをさらに備えている、実施例14-31のうちのいずれか1つに記載のディスプレイデバイス。
(実施例33)ディスプレイデバイスの少なくとも一部は、透明であり、透明部分が、ユーザおよびディスプレイデバイスの正面の環境の一部からユーザの眼に光を透過させ、ユーザおよびディスプレイデバイスの正面の環境の一部のビューを提供するように、ユーザがディスプレイデバイスを装着すると、ユーザの眼の正面の場所に配置される、実施例14-32のうちのいずれか1つに記載のディスプレイデバイス。
(実施例34)ディスプレイデバイスは、ユーザの眼の中に光を投影し、発散およびコリメーションのうちの少なくとも1つの異なる量において仮想画像コンテンツをユーザの視野に表示するように構成され、したがって、表示された仮想画像コンテンツは、異なる期間に異なる深度から生じるように見える、実施例14-33のうちのいずれか1つに記載のディスプレイデバイス。
(実施例35)適応レンズアセンブリは、フレネルレンズを備えている、実施例14-34のうちのいずれか1つに記載のディスプレイデバイス。
(実施例36)レンズスタックは、フレネルレンズを備えている、実施例1-13のうちのいずれか1つに記載のディスプレイデバイス。
(実施例37)溝は、複屈折レンズの厚さに急激な不連続性を形成する、実施例6および8-10のうちのいずれか1つに記載のディスプレイデバイス。
(実施例38)溝は、直線状溝を備えている、実施例6、8-10、および37のうちのいずれか1つに記載のディスプレイデバイス。
【0191】
上記の実施例のうちのいずれか1つは、ウェアラブル拡張現実頭部搭載可能ディスプレイシステム、および/またはウェアラブル拡張現実頭部搭載可能ディスプレイシステムを作製または使用する方法の文脈で、組み合わせられること、または使用され得ることを理解されたい。頭部搭載可能ディスプレイは、以下、すなわち、光を出力し、画像を形成するように構成された光変調システム、頭部搭載可能フレーム、および/またはフレームに取り付けられ、光変調システムからの光を受け取るように構成された1つ以上の導波管のうちの1つ以上のものを備え得る。
【0192】
(追加の考慮点)
前述の明細書において、本発明は、その具体的実施形態を参照して説明された。しかしながら、種々の修正および変更が、本発明のより広義の精神および範囲から逸脱することなく、それに行われ得ることが明白であろう。本明細書および図面は、故に、限定的意味ではなく、例証的と見なされるべきである。
【0193】
実際、本開示のシステムおよび方法の各々が、いくつかの革新的側面を有し、そのうちのいかなるものも、本明細書に開示される望ましい属性に単独で関与しない、またはそのために要求されないことを理解されたい。上で説明される種々の特徴およびプロセスは、互いに独立して使用され得るか、または、種々の方法で組み合わせられ得る。全ての可能な組み合わせおよび副次的組み合わせは、本開示の範囲内に該当することを意図している。例えば、
図15を参照すると、1つ以上の適応レンズアセンブリ1504-1-1504-3は、導波管1012a、1012b、および/または1012cの個々のものの間に配置され得ることを理解されたい。
【0194】
別個の実施形態の文脈において本明細書に説明されるある特徴は、単一の実施形態において組み合わせても実装され得る。逆に、単一の実施形態の文脈において説明される種々の特徴も、複数の実施形態において別個に、または任意の好適な副次的組み合わせで実装され得る。さらに、特徴は、ある組み合わせで作用するものとして上で説明され、さらに、そのようなものとして最初に請求され得るが、請求される組み合わせからの1つ以上の特徴は、ある場合、組み合わせから削除され得、請求される組み合わせは、副次的組み合わせまたは副次的組み合わせの変形例を対象とし得る。いかなる単一の特徴または特徴群も、あらゆる実施形態に必要または必須ではない。
【0195】
とりわけ、「~できる(can)」、「~し得る(could)」、「~し得る(might)」、「~し得る(may)」、「例えば(e.g.)」、および同等物等、本明細書で使用される条件付き用語は、別様に具体的に記述されない限り、または使用されるような文脈内で別様に理解されない限り、概して、ある実施形態が、ある特徴、要素、および/またはステップを含む一方、他の実施形態がそれらを含まないことを伝えることを意図していることを理解されたい。したがって、そのような条件付き用語は、概して、特徴、要素、および/またはステップが、1つ以上の実施形態のためにいかようにも要求されること、または1つ以上の実施形態が、著者の入力またはプロンプトの有無を問わず、これらの特徴、要素、および/またはステップが任意の特定の実施形態において含まれるか、または実施されるものであるかどうかを決定するための論理を必然的に含むことを含意することを意図していない。用語「~を備えている(comprising)」、「~を含む(including)」、「~を有する(having)」等は、同義語であり、非限定的方式で包括的に使用され、追加の要素、特徴、行為、動作等を除外しない。用語「または」は、例えば、要素のリストを接続するために使用されると、用語「または」が、リスト内の要素のうちの1つ、いくつか、または全てを意味するように、その包括的意味で使用される(かつその排他的意味で使用されない)。加えて、本願および添付される請求項で使用されるような冠詞「a」、「an」、および「the」は、別様に規定されない限り、「1つ以上の」または「少なくとも1つ」を意味するように解釈されるものである。同様に、動作は、特定の順序で図面に描写され得るが、それは、望ましい結果を達成するために、そのような動作が、示される特定の順序で、または連続的順序で実施される必要がない、または全ての図示される動作が実施される必要はないことを認識されたい。さらに、図面は、フローチャートの形態で1つ以上の例示的プロセスを図式的に描写し得る。しかしながら、描写されていない他の動作も、図式的に図示される例示的方法およびプロセス内に組み込まれ得る。例えば、1つ以上の追加の動作が、図示される動作のいずれかの前、その後、それと同時、またはその間に実施され得る。加えて、動作は、他の実施形態において、再配置されるか、または、再順序付けられ得る。ある状況において、マルチタスクおよび並列処理が、有利であり得る。さらに、上で説明される実施形態における種々のシステムコンポーネントの分離は、全ての実施形態においてそのような分離を要求するものとして理解されるべきではなく、説明されるプログラムコンポーネントおよびシステムは、概して、単一のソフトウェア製品にともに統合されるか、または、複数のソフトウェア製品にパッケージ化され得ることを理解されたい。加えて、他の実装も、以下の請求項の範囲内である。ある場合、請求項に列挙されるアクションは、異なる順序で実施され、依然として、望ましい結果を達成し得る。
【0196】
故に、請求項は、本明細書に示される実施形態に限定されることを意図しておらず、本細書に開示される本開示、原理、および新規の特徴と一致する最も広い範囲を与えられるものである。