(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】オートサンプラーのコンテナの識別と汚染の監視
(51)【国際特許分類】
G01N 35/02 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
G01N35/02 C
G01N35/02 E
(21)【出願番号】P 2020561618
(86)(22)【出願日】2019-01-28
(86)【国際出願番号】 US2019015399
(87)【国際公開番号】W WO2019148093
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2022-01-13
(32)【優先日】2018-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516257707
【氏名又は名称】エレメンタル・サイエンティフィック・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ELEMENTAL SCIENTIFIC, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・アール・ウィーデリン
(72)【発明者】
【氏名】ジェソク・リー
(72)【発明者】
【氏名】ケビン・ハーン
(72)【発明者】
【氏名】トム・ウィーデリン
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-246267(JP,A)
【文献】特表2008-533470(JP,A)
【文献】特開2009-199353(JP,A)
【文献】特表2014-526687(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0160068(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00 - 35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動化されたサンプリングまたは分注装置の識別システム用のコンテナであって、
流体を保持するように構成されたコンテナ本体と、
コンテナ本体内またはコンテナ本体の少なくとも一方に配置された、レーザマーキングされたコンテナ識別子と、
前記コンテナ本体によって画定される開口部を覆うように構成されたキャップと、
を備え、
前記コンテナ本体は、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)で構成され、
前記コンテナ本体は、レーザマーキングされたコンテナ識別子を導入するための識別子受容領域を提供するように構成された処理済み部分を画定し、
前記処理済み部分は、前記識別子受容領域内の前記コンテナからある量の材料を除去することによって形成され、
前記キャップは、前記コンテナ本体内または前記コンテナ本体上の少なくとも一方に配置されたレーザマーキングされたコンテナ識別子とは異なる第2のレーザマーキングされたコンテナ識別子を含む、
コンテナ。
【請求項2】
前記レーザマーキングされたコンテナ識別子は、バーコードまたはQRコードの少なくとも1つを含む、
請求項1に記載のコンテナ。
【請求項3】
前記レーザマーキングされたコンテナ識別子は、紫外線レーザマーキングによって形成される、
請求項1に記載のコンテナ。
【請求項4】
自動化されたサンプリングまたは分注装置の識別システムであって、
流体を保持するように構成されたコンテナ本体と、前記コンテナ本体内または前記コンテナ本体上の少なくとも一方に配置された、レーザマーキングされたコンテナ識別子と、前記コンテナ本体によって画定される開口部を覆うように構成されたキャップと、を含む、コンテナと、
レーザマーキングされたコンテナ識別子を検出し、それに応答して、前記コンテナの固有の識別情報に対応するデータ信号を生成するように構成された少なくとも1つの識別子取得装置と、
を備え、
前記コンテナ本体は、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)で構成され、
前記コンテナは、レーザマーキングされたコンテナ識別子を導入するための識別子受容領域を提供するように構成された処理済み部分を画定し、
前記処理済み部分は、前記識別子受容領域内の前記コンテナからある量の材料を除去することによって形成され、
前記キャップは、前記コンテナ本体内または前記コンテナ本体上の少なくとも一方に配置されたレーザマーキングされたコンテナ識別子とは異なる第2のレーザマーキングされたコンテナ識別子を含む、
識別システム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの識別子取得装置は、偏光レンズを含む、
請求項4に記載の識別システム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの識別子取得装置は、撮像装置および光源を含む、
請求項4に記載の識別システム。
【請求項7】
前記レーザマーキングされたコンテナ識別子は、紫外線レーザマーキングによって形成される、
請求項4に記載の識別システム。
【請求項8】
前記レーザマーキングされたコンテナ識別子は、バーコードまたはQRコードの少なくとも1つを含む、
請求項4に記載の識別システム。
【請求項9】
流体を保持するように構成されたコンテナ本体と、前記コンテナ本体内または前記コンテナ本体上の少なくとも一方に配置された、レーザマーキングされたコンテナ識別子と、前記コンテナ本体によって画定される開口部を覆うように構成されたキャップと、を含む、コンテナと、
リンス液を前
記コンテナに導入するように構成されたリンスチャンバと、
前記リンス液の少なくとも一部を受け取り、前記リンス液の汚染レベルを測定するように構成された分析システムと、を備え、
前記分析システムは、汚染レベルを前記レーザマーキングされたコンテナ識別子に関連付けるように構成され、
前記コンテナ本体は、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)で構成され、
前記キャップは、前記コンテナ本体内または前記コンテナ本体上の少なくとも一方に配置されたレーザマーキングされたコンテナ識別子とは異なる第2のレーザマーキングされたコンテナ識別子を含み、
前記リンスチャンバは、前記キャップに起因する第2リンス液で前記キャップを個別に洗浄するように構成され、
前記分析システムは、前記第2リンス液の少なくとも一部を受け取り、前記第2リンス液中の汚染レベルを測定するように構成され、
前記分析システムは、汚染レベルを第2のレーザマーキングされたコンテナ識別子に関連付けるように構成されている、
自動洗浄システム。
【請求項10】
前記分析システムは、最初に実行された第1の微量元素分析の結果の第1セットを、2回目に実行された第2の微量元素分析の結果の第2セットと比較して、コンテナに関連する汚染レベルを経時的に追跡するように構成されている、
請求項9に記載の自動洗浄システム。
【請求項11】
前記分析システムは、汚染レベル閾値を超えたときに警告を生成するように構成されている、
請求項9に記載の自動洗浄システム。
【請求項12】
前記レーザマーキングされたコンテナ識別子は、バーコードまたはQRコードの少なくとも1つを含む、
請求項9に記載の自動洗浄システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
多くの研究室環境では、一度に多数の化学または生化学サンプルを分析する必要がよくある。このようなプロセスを効率化するために、サンプルの操作が機械化されている。このような機械化されたサンプリングは、一般的にオートサンプリングと呼ばれ、自動サンプリング装置またはオートサンプラーを用いて行われる。
【発明の概要】
【0002】
自動サンプリング装置のためのコンテナ識別システムが記載されている。コンテナの実施形態は、流体を保持するように構成されたコンテナ本体と、コンテナ本体内またはコンテナ本体上の少なくとも一方に配置された、レーザマーキングされたコンテナ識別子と、を含むが、これに限定されない。
【0003】
システムの実施形態は、流体を保持するように構成されたコンテナ本体と、コンテナ本体内またはコンテナ本体上の少なくとも一方に配置された、レーザマーキングされたコンテナ識別子と、を含む、流体コンテナと、レーザマーキングされたコンテナ識別子を検出し、それに応答して、流体コンテナの固有の識別情報に対応するデータ信号を生成するように構成された少なくとも1つの識別子取得装置と、を備えるが、これに限定されない。
【0004】
システムの実施形態は、流体を保持するように構成されたコンテナ本体と、コンテナ本体内またはコンテナ本体上の少なくとも一方に配置された、レーザマーキングされたコンテナ識別子と、を含む、流体コンテナと、リンス液を流体コンテナに導入するように構成されたリンスチャンバと、リンス液の少なくとも一部を受け取り、リンス液の汚染レベルを測定するように構成された分析システムと、を備え、分析システムは、汚染レベルをレーザマーキングされたコンテナ識別子に関連付けるように構成されているが、これに限定されない。
【0005】
この概要は、以下の「発明を実施するための形態」でさらに説明する概念の選択を簡略化した形で紹介するために提供されている。この概要は、特許請求される主題の重要な構成または本質的な構成を特定することを意図するものではなく、特許請求される主題の範囲を決定する助けとして使用されることも意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
添付の図面を参照して発明を実施するための形態を説明する。明細書および図中の異なる例における同じ参照番号の使用は、類似または同一の項目を示すことができる。
【0007】
【
図1】本開示の例示的な実施形態に係る自動サンプリングまたは分注装置を示す等角図である。
【0008】
【
図2A】本開示の例示的な実施形態に係る自動サンプリングまたは分注装置を示す部分等角図であり、支持面内にサンプルアームアセンブリを駆動アセンブリに接続できるようにする中央スロットが存在する。
【0009】
【
図2B】サンプルアームアセンブリを駆動アセンブリに取り付けるために支持面上の隆起したスロットが存在する、本開示の例示的な実施形態に係る自動サンプリングまたは分注装置を示す部分等角図である。
【0010】
【
図3】
図1に示す自動サンプリングまたは分注装置の分解図であり、装置の構成要素をさらに示している。
【0011】
【
図4A】複数のサンプリングアームアセンブリおよび駆動アセンブリが自動サンプリングまたは分注装置の支持面の上部に取り付けられた、本開示の例示的な実施形態に係る自動サンプリングまたは分注装置を示す等角図である。
【0012】
【
図4B】複数のサンプルアームアセンブリおよびリンスステーションが1つの支持面上に存在する、本開示の例示的な実施形態に係る自動サンプリングまたは分注装置を示す平面図である。
【0013】
【
図5】本開示の例示的な実施形態に係る自動サンプリングまたは分注装置を示す等角図であり、自動サンプリングまたは分注装置の支持面には2つ以上の平面が設けられている。
【0014】
【
図6】
図1に示す自動サンプリングまたは分注装置の等角図であり、駆動アセンブリがさらに示されている。
【0015】
【
図7】
図6に示す駆動アセンブリの部分等角図であり、駆動アセンブリの構成要素をさらに示している。
【0016】
【
図8】本開示の例示的な実施形態に係る自動サンプリングまたは分注装置のためのサンプルアームアセンブリを示す部分等角図である。
【0017】
【
図9A】自動化されたサンプリングまたは分注装置と共に使用するための支持面を示す平面図であり、支持面はスロットを含み、本開示の例示的な実施形態に係る設置面積(フットプリント)を有する。
【0018】
【
図9B】本開示の例示的な実施形態に係る自動サンプリングまたは分注装置で使用するための支持面を示す平面図である。
【0019】
【
図10】本開示の例示的な実施形態に係る自動サンプリングまたは分注装置を示す等角図であり、装置はシュラウドを含む。
【0020】
【
図11】本開示の例示的な実施形態に係る自動サンプリングまたは分注装置を示す等角図であり、装置はフード内に収容されている。
【0021】
【
図12】本開示の例示的な実施形態に係る自動サンプリングまたは分注エンクロージャを示す等角図であり、エンクロージャは2つの可撓性シートを含む。
【0022】
【
図13】
図12に示されたような自動サンプリングまたは分注装置エンクロージャの部分正面図であり、エンクロージャの可撓性シートのうちの1つが取られている。
【0023】
【
図14】
図12に示されたような自動サンプリングまたは分注装置エンクロージャの正面図であり、可撓性を有する側面の閉鎖部を締め付ける機構が示されている。
【0024】
【
図15】
図12に示されたような自動サンプリングまたは分注装置エンクロージャの正面図であり、可撓性シートは除去されている。
【0025】
【
図16】本開示の例示的な実施形態に係るベンチトップの自動サンプリングまたは分注装置用のエンクロージャを示す等角図であり、エンクロージャは、閉鎖位置にある可撓性シートを含む。
【0026】
【
図17】
図16に示されたようなベンチトップの自動サンプリングまたは分注装置用のエンクロージャの正面図であり、可撓性シートは開放位置にある。
【0027】
【
図18】本開示の例示的な実施形態に係る自動サンプリングまたは分注装置用エンクロージャを示す等角図であり、エンクロージャは、単一の可撓性前面シートを含む。
【0028】
【
図19】
図18に示されたような自動サンプリングまたは分注装置用エンクロージャの等角図であり、前面シートは取られ、装置へのアクセスを可能にしている。
【0029】
【
図20】本開示の例示的な実施形態に係るサンプル識別システムを有する自動サンプリングまたは分注装置の部分分解等角図である。
【0030】
【0031】
【
図21B】本開示の例示的な実施形態に係るサンプル識別システムを有する自動サンプリングまたは分注装置の等角図である。
【0032】
【
図21C】操作位置で示される
図20の自動サンプリングまたは分注装置の等角図である。
【0033】
【
図22】サンプル識別子を有するサンプル容器を有するサンプルホルダーの下の位置にある識別アームアセンブリの部分側面図である。
【0034】
【
図23A】実質的に透明な底部を含むサンプルホルダーの等角図である。
【0035】
【
図23B】サンプル容器を保持するように構成された第1組の開口部と、サンプルホルダーの底部に第2組の開口部とを含むサンプルホルダーの等角図である。
【0036】
【
図24】識別子取得装置およびサンプルプローブの部分側面図であり、識別子取得装置はサンプルプローブと位置合わせされている。
【0037】
【
図25】識別子取得装置を有する識別子アームアセンブリの等角図である。
【0038】
【
図26A】システム(例えば、
図20に示されたシステム)のための識別子取得装置に対する識別子アームアセンブリの側面図であり、識別子アームアセンブリが、アライメント軸に対して実質的に垂直に配置され、識別子取得装置は、アライメント軸に対する垂線からある角度で配置されている。
【0039】
【
図26B】システム(例えば、
図20に示されたシステム)のための識別子取得装置に対する識別子アームアセンブリの側面図であり、識別子取得装置が、アライメント軸に対して実質的に垂直に配置され、識別アームアセンブリは、アライメント軸に対する垂線からある角度で配置されている。
【0040】
【
図27】本開示の例示的な実施形態に係るサンプルホルダー識別子を含むサンプルホルダーの底部斜視図である。
【0041】
【
図28A】z軸支持体の遠位の1番~4番のスロットに配置されたサンプル容器を有する自動サンプリングまたは分注装置の等角図である。
【0042】
【
図28B】z軸支持体が通過することができる中央スロットの遠位の1番~4番のスロットに配置されたサンプル容器を検出する自動サンプリングまたは分注装置を示す概略上面図である。
【0043】
【
図29A】z軸支持体に隣接して、1番~4番のスロットに配置されたサンプル容器を有する自動サンプリングまたは分注装置の等角図である。
【0044】
【
図29B】z軸支持体が通過することができる中央スロットに隣接して、1番~4番のスロットに配置されたサンプル容器を検出する自動サンプリングまたは分注装置を示す概略上面図である。
【0045】
【
図30A】本開示の例示的な実施形態に係る自動サンプリングまたは分注装置のプローブによってアクセス可能なスロットに配置された複数の科学標準溶液容器を有する自動サンプリングまたは分注装置の等角図である。
【0046】
【
図30B】本開示の例示的な実施形態に係る関連する標準識別子を有する科学標準溶液容器の概略底面図である。
【0047】
【
図30C】本開示の例示的な実施形態に係る、1番~3番のスロットに配置された科学標準溶液容器を検出する自動サンプリングまたは分注装置を示す概略上面図である。
【0048】
【
図30D】科学標準溶液に関連する情報を示す表であり、科学標準溶液のうちの1つに関連する標準識別子が期限切れの科学標準溶液に対応する。
【0049】
【
図31】本開示の例示的な実施形態に係る密閉されたサンプルホルダーおよび加熱要素を含む自動サンプリングまたは分注装置の等角図である。
【0050】
【
図32】本開示の例示的な実施形態に係る密閉されたサンプルホルダーおよびサンプリングベースを含む自動サンプリングまたは分注装置の等角図である。
【0051】
【
図33】密閉されたサンプルホルダーのサンプリングベースの等角図であり、サンプリングベースは、支持面と嵌合するための1つ以上の突起を含む。
【0052】
【
図34】自動化されたサンプリングまたは分注装置と共に使用するための支持面を示す等角図であり、支持面は、本開示の例示的な実施形態に係るサンプリングベースと嵌合するための凹部を含む。
【0053】
【
図35】本開示の例示的な実施形態に係る、対応する識別子を有する複数のコンテナの等角図である。
【0054】
【
図36A】本開示の例示的な実施態様に係る、キャップが外された構成における、それぞれ対応する識別子を有するコンテナおよびキャップの等角図である。
【0055】
【
図36B】
図36Aのコンテナおよびキャップの上面等角図であり、キャップがコンテナの注入口に固定された状態である。
【0056】
【
図36C】
図36Aのコンテナの底面等角図であり、コンテナの底面に位置する識別子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0057】
(概要)
研究室の環境において、多くの場合、多数のサンプルが分析される。オートサンプラーは、組成をテストするサンプルを収集して導入するためによく使用される。オートサンプラーを使用すると、通常、手動の準備方法と比較して、より多くのサンプルや他の溶液を準備してテストすることができる。サンプル準備プロセス中、サンプルの準備、標準の準備(例えば、1つ以上の検量線の作成)、サンプルへの標準スパイクの導入、さまざまな試薬の保持、サンプルの保持などに複数のコンテナが使用される。サンプル中の微量元素の濃度または量の測定により、サンプルの純度、または試薬、反応性成分などとして用いるためのサンプルの許容性の指標を提供することができる。例えば、特定の製造プロセス(例えば、鉱業、冶金、半導体製造、製薬処理など)では、不純物の許容範囲が非常に厳しく、例えば、10億分の1程度である。例えば、半導体プロセスでは、ウエハ洗浄用の超純水(UPW)、ウエハ乾燥用のイソプロピルアルコール(IPA)、過酸化水素(H2O2)、アンモニア溶液(NH4OH)などを含むが、これらに限定されない、プロセス化学物質中の不純物の検出下限を非常に低くすることが必要になる場合がある。そのようなプロセス化学物質中の超低濃度の不純物を検出できないと、そのような不純物を溶液からウエハ上に沈殿させるなどして、半導体ウエハを損なう可能性がある(例えば、溶液から不純物を沈殿させたり、不純物の濃縮器表面として機能するウエハなどのように、金属不純物または他の導電性有害物をウエハに堆積させること)。
【0058】
サンプルまたは他のプロセス化学物質を保持するために使用されるコンテナは、コンテナ内に保持される液体に汚染をもたらす可能性がある。例えば、コンテナは、調製サイクルの間に洗浄またはリンスサイクルを経ることなどによって、複数のサンプル調製サイクルに使用でき、コンテナの内部または表面に未知の量の汚染物質を蓄積する可能性がある。さらに、未使用のコンテナには、研究室または現場で使用する前の製造プロセスからの一定量の汚染物質が含まれている可能性がある。さらに、コンテナに接着剤ラベルを使用すると、ラベル接着剤またはラベル基材材料がコンテナ上およびコンテナ内で溶解または浸出することにより汚染物質が導入される可能性がある。さらに、コンテナのキャップまたは他のカバーは、コンテナ自体が寄与する汚染レベルとは関係なく、コンテナ内の汚染レベルに影響を与える可能性がある。このような汚染物質が存在すると、特に汚染物質の量が不明であるか、またはコンテナの複数回の使用によって蓄積している場合、サンプルまたは他の液体中の、微量元素濃度または量の測定中にエラーを引き起こす可能性がある。
【0059】
したがって、各コンテナについて独立してコンテナ汚染レベルを監視するためのコンテナ識別子を含む自動サンプリング装置の識別システムが開示される。コンテナは、コンテナ汚染レベルから独立したキャップ汚染レベルを監視するための固有の識別子を有するキャップを含むことができる。システムは、コンテナ識別子及びキャップ識別子を検出し、それに応答してデータ信号を生成するように構成された1つまたは複数の識別子取得装置を含んでもよい。データ信号は、各コンテナおよびキャップの汚染レベルを監視するために、コンテナ内の液体の微量元素分析と共に格納するために、コンテナおよびキャップのそれぞれの識別情報に対応することができる。コンテナとキャップの識別子は、コンテナとキャップの1つまたは複数の表面に直接レーザによりマークを付けられることで、他の表面ラベルに関連する汚染物質を回避することができる。
【0060】
(例示的実施形態)
図1は、本開示の例示的実施形態に係る自動サンプリング装置100を示す。自動サンプリング装置100は、テーブルトップ102およびサンプルアームアセンブリ104を含む。さらに、複数のサンプル容器108を保持するサンプルホルダー106が、サンプル検定(アッセイ)の準備をしてテーブルトップ102上に存在する。自動サンプリング装置100は、試験条件に応じて、与えられた時間内に1から数百のサンプル(例えば、図示の例示的実施形態では1200を超えるサンプル)を検定することができることを理解されたい。分析されるべきサンプルのサンプル識別の検証は、
図20~
図29Bを参照して説明する。
【0061】
図示の実施形態では、サンプルアームアセンブリ104は、z軸支持体110と、サンプルプローブ114を支持するサンプルプローブ支持アーム112とを含む。図示されるように、z軸は、重力または鉛直軸に位置合わせされる。使用時には、サンプルプローブ114は、サンプルプローブ支持アーム112に取り付けられ、これは、三次元の空間を通って移動する、または実質的に回転運動であるy運動を有する軸の周りに、かつ少なくとも実質的に水平直線運動または並進運動であるx運動を有する軸に沿って、かつ直線運動または並進運動のために少なくとも実質的に鉛直方向であるz軸に沿って移動する。一実施形態では、サンプルプローブ支持アームの長さ(y回転軸から延在するアームの長さ)は、中央スロットの直線移動の長さの半分以下である(すなわち、x軸の直線運動の長さの半分以下である)。一実施形態では、サンプルプローブ支持アームの長さは、中央スロットの直線移動の長さの約1/2に等しい。このような構成によって、サンプルプローブはテーブルの設置面積(フットプリント)のほぼ100パーセントにアクセス可能である。設置面積は、テーブルトップの領域によって包含される領域と実質的に同等であると定義される。追加の一実施形態では、自動サンプリング装置のy回転軸は、直線移動のx軸運動のいずれかの側(すなわち、中央スロットのいずれかの側)でサンプル容器へのアクセスを可能にする。
【0062】
一実施形態では、サンプルアームアセンブリ104の構成要素は、炭素複合材料で形成される。さらに、サンプルアームアセンブリ104のすべての露出面は、不活性またはフルオロポリマー被覆材料(すなわち、テフロン(登録商標))から作製される。しかしながら、サンプルアームアセンブリは、アルミニウム、鋼、およびプラスチックなどを含む様々な材料で作製されてもよいことを理解されたい。
【0063】
さらに、サンプルアームアセンブリ104は、テーブルトップを含む様々な表面支持体に取り付けるように設計されている。このようなアセンブリは、中央スロットのいずれかの側に取り付けられてもよい。一実施形態では、テーブルトップ102は、キャスター118、ローラーなどを用いて脚部に取り付けられてもよい。このような構成は、自動化されたサンプリング装置の移動度を増加させ、それにより、分析機器とは別の場所でのサンプルの調製を促進する。さらに、この構成は、ベンチトップ自動化サンプリング装置がなくてもよいテーブルトップの下の保管室を提供する。テーブルの高さは、自己吸引式サンプリング装置が使用されるときの液体流量に対する重力の影響を補償するように調節可能である。テーブルトップの高さを調節する能力はまた、自動サンプリング装置が様々なサイズのサンプル容器に適応することを可能にする。
【0064】
図2Aおよび
図2Bは、サンプルアームアセンブリが中央スロットまたは隆起したスロットを介して駆動アセンブリにそれぞれ取り付けられた自動サンプリングまたは分注装置の追加の図である。
図2Aでは、自動サンプリング装置100は、複数の凹部124およびチャネル126を含む中央スロット120およびテーブルトップ102を通って延在するサンプルアームアセンブリ104から構成される。サンプルアームアセンブリ104は、中央スロット120を介して駆動アセンブリ(図示せず)に取り付けられる。一実施形態では、複数の凹部は、サンプルホルダーの位置を検出するためのセンサと結合される。次いで、サンプルホルダー位置情報は、アライメントシステムを提供するサンプルアームアセンブリを制御する駆動アセンブリのコントローラに転送することができる。先の構成により、サンプルアームアセンブリは、与えられた時間にテーブルトップ上のサンプル容器の位置を検出することができる。チャネル126は、テーブルトップ102の縁部に沿って走り、起こりうるサンプル流出を収集する。
【0065】
図2Aに加えて、
図2Bは、隆起したスロット129を介して駆動アセンブリ128に取り付けられたサンプルアームアセンブリ104を含む自動サンプリングまたは分注装置を示す。一実施形態では、磁石131がサンプルプローブ支持アーム112の端部に取り付けられ、磁石131がサンプルプローブ支持アーム112内に埋め込まれ、検出手段(例えば、ホール効果センサ)によって検出される空間内の三次元位置の検出を可能にする。
【0066】
ここで
図3を参照すると、自動サンプリング装置100を含む構成要素の分解図が提供される。自動サンプリング装置100は、中央スロット120を有するテーブルトップ102と、駆動アセンブリ128と、サンプルアームアセンブリ104と、ハウジング130と、コントローラ132とから構成される。サンプルアームアセンブリ104は、駆動アセンブリ128に取り付けられたz軸支持体110と、z軸支持体110に取り付けられたサンプルプローブ支持アーム112と、サンプルプローブ支持アーム112に取り付けられたサンプルプローブ114とを含む。サンプルアームアセンブリ104は、駆動アセンブリ128およびコントローラ132によって制御される。一実施形態では、駆動アセンブリ128は、サンプルアームアセンブリ104を、z軸支持体110と同軸の軸に沿って並進して中央スロット120に沿って移動させ、サンプルプローブ114をサンプル容器に挿入するためにz軸の周りに半径方向に移動させる。さらに、サンプルアームアセンブリ104は、中央スロット120の長さの直線移動の長さの半分以下である。前述のように、このような構成は、設置面積のほぼ100%がサンプルプローブ114によってアクセスされることを可能にする。また、自動サンプリング装置100は、オペレータの補助なしに、与えられた時間に何百ものサンプルを検定することができ、それによってオペレータが他の作業を実行することを可能にする。さらに、サンプルを一晩中検定するように自動サンプリング装置を構成することができ、作業生産性を向上させることができる。
【0067】
サンプル容器の高さの差異に対応するために、サンプルプローブ支持アーム112は、サンプルの検定に先立って、z軸支持体110を所望のように上下に動かすことができる。所望の位置に達すると、サンプルプローブ支持アーム112は、z軸支持体110上の固定位置に固定され、サンプルを含むサンプル容器をテーブルトップ上に載せることができる。この構成により、自動サンプリング装置を、様々なサイズのサンプル容器で使用することができる一方、静止サンプルの上に機械的な可動部分を依然として有さない。さらに、ハウジング130は、駆動アセンブリ128を囲んで、アセンブリを破片、埃、汚染物などから保護する。ハウジング130は、様々な材料(例えば、ブロー成形されたポリエチレンなど)で作られてもよい。
【0068】
図4Aおよび
図4Bは、本開示の別の例示的一実施形態に係る自動サンプリング装置200を示しており、複数のサンプリングアームアセンブリ(すなわち、サンプルアームアセンブリ206、208、および210)が自動サンプリング装置のテーブルトップに取り付けられる。自動サンプリング装置200は、一度にテーブルトップに取り付けられた複数の自動サンプリング装置を含む。レール202は、テーブルトップ204の縁部に取り付けられ、追加のサンプルアームアセンブリ(すなわち、サンプルアームアセンブリ206および212)の取り付けを可能にする。追加のサンプルアームアセンブリの利用は、複数のサンプルゾーン(すなわち、調製ゾーン、検定ゾーンなど)を構成することを可能にする。
【0069】
追加の実施形態では、自動サンプリング装置には、様々なタイプの複数のリンスまたは溶離ステーションが含まれていてもよい。例えば、キャリーオーバー・コンタミネーションの可能性を低減するように設計されたオーバーフロータイプの複数のリンスステーション(すなわち、214および216)が存在してもよい。さらに、オーバーフローリンスステーションは、サンプル分析間の汚染(例えば、界面活性剤、硝酸、フッ化水素酸、および/または脱イオン水)を低減するために一連の異なる化学リンスを含むことができる。複数の溶離ステーションの場合、自動サンプリング装置には、クロマトグラフカラムからのステップフローのためのステーションが含まれてもよい。
【0070】
ここで
図5を参照すると、本開示の別の例示的一実施形態に係る自動サンプリング装置が記載されており、2つ以上の平面を有するテーブルトップが設けられている。自動サンプリング装置300は、2つ以上の平面、第1平面304、第2平面306を有するテーブルトップ302を含む。このような構成により、テーブルトップ302は様々なサイズの容器に適合することができる。例えば、第2平面306内の容器の高さは、テーブルトップ302の第1平面304内の容器の高さよりも高くてもよい。
【0071】
図6および
図7はさらに、テーブルトップ底部に取り付けられた自動サンプリング装置100の駆動アセンブリを示す。
図6は、本開示に係る駆動アセンブリの概要を提供し、中央スロット120に平行に走り、スレッド128に接続されたリニアドライブ134を示す。
図7は、
図6に示す駆動アセンブリの拡大図である。駆動アセンブリ100は、第1モータ138、第2モータ140、第3モータ142、スレッド136、リニアドライブ134、およびコントローラ132から構成される。第1モータ138は、中央スロット120に沿ったサンプルアームアセンブリの動きの並進を制御し、テーブルトップ底部144およびリニアドライブ134に取り付けられる。様々なステッピングモータを用いて、中央スロット120に沿ったサンプルアームアセンブリの動きの並進を制御することができる。さらに、ウォームドライブを含む様々なリニアドライブを使用できることが理解される。第2モータ140は、サンプルアームアセンブリの回転角度を制御し、スレッド136に接続される。一実施形態では、第2モータ140はラジアルモータである。第3モータ142は、サンプルアームアセンブリの鉛直移動を制御し、スレッド136に取り付けられる。様々なステッピングモータを、サンプルアームアセンブリの垂直方向の動きを制御するために使用することができる。追加の一実施態様において、第3モータ142はスリップクラッチシステムを含む。さらに、本開示によれば、駆動アセンブリは、配線接続されていてもよいし、別の一実施形態では、無線通信によって制御されてもよい。したがって、ワイヤレス通信を使用して、コントローラ132を所望の分析機器(図示せず)と接続することができる。無線通信を利用することにより、コントローラコンピュータとの物理的接続を必要とせずにサンプル検定を行い、自動サンプリング装置の移動性を向上させることができる。
【0072】
図8は、本開示の第1の例示的実施形態に係る自動サンプリング装置のサンプルアームアセンブリの詳細な図を提供する。前述したように、サンプルアームアセンブリは、駆動アセンブリ(
図6および
図7参照)に取り付けられたz軸支持体110と、z軸支持体110に取り付けられたサンプルプローブ支持アーム112と、サンプルプローブ支持アーム112に取り付けられたサンプルプローブ114を含む。一実施形態では、サンプルアームアセンブリは、テーブルトップ内の中央スロットを通って延びるz軸支持体を介して駆動アセンブリに取り付けられる。そのような実施形態では、駆動アセンブリは、テーブルトップ底部に取り付けられる。しかしながら、駆動アセンブリは、本開示の範囲から逸脱することなく、テーブルトップの頂部を含む様々な位置に配置されてもよいことが理解されるべきである。
【0073】
本開示に係る追加の一実施形態では、サンプル配管146が存在し、所望のようにサンプル除去または試薬移送を可能にする。さらに、サンプル配管146の巻き付きを防止するために、サンプルプローブ114には滑り軸受が組み込まれている。サンプルを様々なタイプの科学機器(例えば、誘導結合プラズマシステム、質量分析計など)または多数の他のタイプの容器(例えば、洗浄ステップに続く廃棄物収集バケット)に移送することができると考えられる。サンプル配管は、(図示のように)可撓性のあるものでもよく、または(例えば、プラスチック、金属などから構成される)剛性のあるものでもよいと考えられる。別の一実施形態では、自動サンプリング装置は、サンプル調製、サンプル希釈、サンプルへの基準の追加、またはサンプルの酸性化のための1つ以上の独立した構成要素を備えてもよい。
【0074】
図9Aおよび
図9Bを参照すると、自動サンプリング装置と共に使用するためのテーブルが、本開示の例示的な実施形態に従って記載されている。まず、テーブル102は、テーブルの長さに沿ってサンプルアームアセンブリを並進させるために提供する長さLのスロットを含む。さらに、テーブル102は、テーブル102の使用可能領域を最大にするための設置面積を有する。
図9Aに示すように、テーブル102は、スロットLの長さと実質的に等しい幅Lを有する。さらに、テーブル102は、2Lの長さを有するスロットの2倍の長さである。さらに、(
図1、
図2、および
図3に示すような)サンプルプローブアセンブリのアーム長さは、スロットの長さの半分であり、長さL/2を有する。この構成では、テーブルの設置面積の約100%にアクセスすることができる。対照的に、
図9Bは、本開示に係る追加の実施形態を示し、これによってテーブルは半円形の形状であり、中央揃えされていないスロットシステムが採用される。
【0075】
図10を参照すると、自動サンプリングまたは分注装置500は、シュラウド502を含む。例示的な一実施形態では、シュラウド502は、駆動アセンブリ128(
図3)を実質的に包囲し、これによって駆動アセンブリを埃および破片から保護する、および/または駆動アセンブリからの埃および破片が検定中のサンプルを汚染するのを防ぐ。
【0076】
図11は、フード602内に完全に閉じ込められた自動サンプリング装置600を示す。フードの使用により、フード内部での操作を外部環境から隔離することができる。フード内の領域は、汚染物質(例えば、細菌や大気中の物質)の侵入を防ぐために換気されていてもよい。1つの具体的な実施形態では、エンクロージャ内に引き込まれた空気は、高効率微粒子空気(HEPA)フィルタを通過する。さらに、フード内に有害な化学物質を含むサンプルを処理することにより、処理中にそのような化学物質に使用者をさらにさらすことなく、そのようなサンプルを処理することができる。
【0077】
概して、
図12~
図19を参照すると、自動サンプリング/分注装置のためのエンクロージャの様々な実施形態が提供される。一般的に、エンクロージャは、少なくとも1つの支持部材を含む。支持部材は、一般的に、自動サンプリング/分注装置が取り付けられる支持面に対して垂直である。さらに、自動サンプリング/分注装置が取り付けられている支持面を覆うために、蓋が少なくとも1つの支持部材に機械的に結合されている。さらに、少なくとも1つの可撓性シートが、蓋または少なくとも1つの支持部材のうちの少なくとも1つに動作可能に結合される。少なくとも1つの支持部材は、蓋ならびに少なくとも1つの可撓性シートの両方に支持を提供することができる。少なくとも1つの支持部材、蓋、および少なくとも1つの可撓性シートは、自動サンプリング装置を取り囲む一方、少なくとも1つの可撓性シートを取ることによって装置にアクセスできるようにしている。
【0078】
ここで記載されている例示的なエンクロージャは、潜在的に危険な化学物質の汚染をそのようなエンクロージャ内に閉じこめることを可能にすることによって、閉ざされたサンプルに使用者が曝されることを最小にすることができる。さらに、少なくとも1つの可撓性パネルの使用は、可撓性のないパネル/ドアを有するエンクロージャと比較して、エンクロージャをより小さな部品に分解し、より小さな箱に入れて出荷することができるので、エンクロージャを効率的に輸送することを可能にする。さらに、少なくとも1つの可撓性パネルを使用することにより、エンクロージャが、様々な形状の自動サンプリングおよび/または分注装置およびアセンブリに適応するように成形されることが可能になる。
【0079】
図12を参照すると、自動サンプリング/分注装置用のエンクロージャ700が設けられており、エンクロージャ700は円形の支持面702に取り付けられた自動サンプリング/分注装置を包囲している。例示的一実施形態では、エンクロージャ700は、自動サンプリング/分注装置が載置されている支持面702を覆うための蓋704を含む。そのような実施形態では、蓋704は、支持面702の形状およびサイズと概ね同等であり、支持面702全体を囲み、使用者が使用できるようにする。さらに、自動サンプリング/分注装置がエンクロージャの外部の装置と接続されることを可能にする開口部が、蓋内に画定されてもよい。
図12に示すように、エンクロージャ700の蓋704内に画定された開口部によって、自動サンプリング/分注装置への供給チューブを外部実験室の分析装置に接続することができる。別の一実施形態では、エンクロージャ700は気密に設計されているため、エンクロージャ700は、サンプル調製または分析中に研究員が不必要に曝されることを要せず潜在的に危険な化学物質を含むことができる。
【0080】
図12に示すように、エンクロージャ700は、第1支持部材706および第2支持部材708を含む。第1支持部材706および第2支持部材708は、自動サンプリング/分注装置が載置される支持面702に対してほぼ垂直である。例えば、
図12に示すように、第1支持部材706および第2支持部材708は、互いに反対側に概して180度(180°)にセンタリングされる。さらに、このような支持部材は、エンクロージャ700の蓋704ならびに支持面702に機械的に結合されてもよい。例えば、締結具(例えば、ねじ、ボルト、ナットなど)を使用して、支持部材を蓋および支持面に固定することができる。一実施形態では、すべての締結具は、自動サンプリング/分注装置と共に使用される化学試薬または他の物質とのそのような締結具の相互作用を防止するために、金属を含まないかまたは不活性プラスチックコーティングで被覆される。追加の実施形態では、支持部材の一方または両方内に開口部を形成して、管およびコードなどを、エンクロージャ内に収容された自動サンプリング分注装置に、ならびに外部装置(例えば、実験室分析装置)、電源などに接続することができる。蓋704ならびに第1支持部材706および第2支持部材708は、Plexiglas(登録商標)(一般的に、Luciteまたはポリメチルメタクリレートとして知られている。)を含む不活性で軽量の材料で形成されてもよいと考えられる。
【0081】
追加の実施形態では、
図12に示すように、第1可撓性シート710および第2可撓性シート712は、蓋708または第1支持部材706または第2支持部材708のうちの少なくとも1つに動作可能に結合される。一実施形態では、第1可撓性シート710は、第1の端部および第2の端部を有する。第1可撓性シート710の第1の端部は、仕上げられた縁部を含み、一方、第1可撓性シート710の第2の端部は、第2支持部材708に固定して結合される。例えば、可撓性シート710の第1の端部は、第1可撓性シート710の第1の端部の長さに沿って実質的に延在する硬質プラスチックカバーで仕上げられている。また、少なくとも1つのガイド部材が第1可撓性シート710の第1の端部に取り付けられ、第1可撓性シートの位置を変更可能にする。
【0082】
図13および
図14に示されるように、第1可撓性シート710の第1の端部は、使用者が第1可撓性シート710を支持面702の縁部に沿ってスライドさせることを可能にする。一実施形態では、第1ガイド部材714および第2ガイド部材716は、使用者が支持面の縁部または側部に沿った複数の位置で可撓性シートを固定することを可能にする圧入ラッチである。例えば、使用者は、圧入ラッチに圧力を加えることによって可撓性シートを解放することができる。
図14に示すように、可撓性シートは、第2ガイド部材が支持面710から取り外されている間に第1ガイド部材714を蓋704の縁部に沿って案内することによって、第1の位置から第2の位置へ移動させることができる。締結具(例えば、クリップ、感圧式ネジなど)を含む追加の機構が、様々な位置で可撓性シートを案内して固定するために使用することができることが考えられる。ガイド部材をスライドして固定する領域を提供するために、支持面内にチャネルを形成できることがさらに考えられる。
【0083】
本実施形態では、第2可撓性側面712は、第1の端部および第2の端部を含む。第2可撓性シート712の第1の端部は、仕上げられた縁部を含み、一方、第2可撓性シート712の第2の端部は、第2支持部材708に固定して結合される。例えば、第2可撓性シート712の第1の端部は、第2可撓性シート712の第1の端部の長さに沿って実質的に延在する硬質プラスチック(例えば、Plexiglas(登録商標))カバーで仕上げられている。また、少なくとも1つのガイド部材が第2可撓性シート712の第1の端部に取り付けられ、第1可撓性シートの位置を変更可能にする。例えば、第2可撓性シート712の第1の端部は、使用者が第2可撓性シート712を支持面702の縁部または側部に沿って摺動させることを可能にする第1ガイド部材714および第2ガイド部材716を含むことができる。一実施形態では、第1ガイド部材714および第2ガイド部材716は、使用者が支持面の縁部または側部に沿った複数の位置で可撓性シートを固定することを可能にする圧入ラッチである。締結具(例えば、クリップ、感圧式ネジなど)を含む追加の機構が、様々な位置で可撓性シートを案内して固定するために使用することができることが考えられる。
【0084】
図15を参照すると、第1および第2可撓性シートは、支持面702へのアクセスを可能にするために除去されている。一実施形態では、第1および第2可撓性シートは取り外し可能である。このようなシートの取り外し可能な構成は、使用者が支持面702からサンプルを効率的に装填または除去することを可能にし、これによって使用者は、支持面領域へのアクセスを得るためにシートを再配置する必要がない。使用者の必要に応じて一方または両方のシートを取り除くことができることが考えられる。
【0085】
図16および
図17を参照すると、自動サンプリング/分注装置を囲むための追加の例示的なエンクロージャが設けられており、自動サンプリング/分注装置はベンチトップ自動サンプリング分注装置である。
図16および
図17に示すように、ベンチトップ自動サンプリング分注装置用のエンクロージャ800は、テーブルトップ自動サンプリング/分注装置用のエンクロージャ700と同様に構成されている。エンクロージャ800は、蓋806を支持する第1支持部材802および第2支持部材804を含む。例示的な一実施形態では、蓋806は、ベンチトップ自動サンプリング/分注装置のベース810に固定された支持面808を覆う。そのような実施形態では、蓋806は、支持面808の形状およびサイズと概ね同等であり、支持面808全体を囲み、使用者が使用できるようにする。さらに、第1支持部材802および第2支持部材804は、支持面808に対してほぼ垂直である。
【0086】
図16および
図17に示すように、第1支持部材802および第2支持部材804は、互いに反対側に概して180度(180°)にセンタリングされる。例えば、第1支持部材802は、自動サンプリング/分注装置の前面に配置される一方(前面は、使用者電源制御パネルを含む面として定義される)、第2支持部材804は、第1支持部材802とほぼ反対側に(例えば、自動サンプリング/分注装置の後側に)配置される。さらに、このような支持部材は、エンクロージャ800の蓋806ならびに支持面808に機械的に結合されてもよい。例えば、締結具(例えば、ねじ、ボルト、ナットなど)を使用して、支持部材を蓋および支持面に締め付けてもよい。一実施形態では、すべての締結具は、自動サンプリング/分注装置と共に使用される化学試薬または他の物質とのそのような締結具の相互作用を防止するために、金属を含まないか、または不活性プラスチックコーティングで被覆される。
【0087】
蓋806ならびに第1支持部材802および第2支持部材804は、Plexiglas(登録商標)を含む不活性で軽量の材料で形成されてもよいと考えられる。エンクロージャ800は、自動サンプリング/分注装置がエンクロージャの外部の装置に接続されることを可能にする、蓋または少なくとも1つの支持部材内の開口部を含むことができることがさらに考えられる。例えば、自動サンプリング/分注装置への供給チューブを外部実験室の分析装置に接続することができるように、蓋内に開口部を画定することができる。別の一実施形態では、エンクロージャ800は気密性を有するように設計されており、サンプルの調製または分析中に実験室の要員に不必要な曝露を必要とせずにエンクロージャが潜在的に有害な化学物質を含むことを可能にする。
【0088】
追加の例示的な実施形態では、
図17に示すように、第1可撓性シート812および第2可撓性シート814は、蓋806または第1支持部材802または第2支持部材804の少なくとも1つに結合される。一実施形態では、各可撓性シートは、第1の端部および第2の端部を含む。各可撓性シートの第1の端部は、仕上げられた縁部を含み、一方、各可撓性シートの第2の端部は、第2支持部材804に固定して結合されている。例えば、可撓性シート812の第1の端部は、第1可撓性シート812の第1の端部の長さに実質的に沿って延在する硬質プラスチックカバー(例えば、Plexiglas(登録商標))を含む。
【0089】
さらなる例示的な実施形態では、各可撓性シートの位置を変えることを可能にするために、少なくとも1つのガイド部材が、各可撓性シートの第1の端部に取り付けられている。
図17に示すように、各可撓性シートの第1の端部は、使用者が各シートを蓋806または支持面808の縁部に沿ってスライドさせることを可能にする第1ガイド部材816および第2ガイド部材818を含む。一実施形態では、第1ガイド部材816および第2ガイド部材818は、使用者が蓋または支持面の縁部または側部に沿った複数の位置で可撓性シートを固定できる圧入ラッチである。例えば、使用者は圧入ラッチに圧力を加えることによって可撓性シートを解放することができる。
図17に示すように、第2ガイド部材818が支持面808から取り外されている間に、第1ガイド部材816を蓋806の縁部に沿って案内することによって、可撓性シートを第1の位置から第2の位置に移動させることができる。締結具(例えば、クリップ、感圧式ネジなど)を含む追加の機構が、様々な位置で可撓性シートを案内して固定するために使用することができることが考えられる。ガイド部材をスライドして固定する領域を提供するために、支持面内にチャネルを形成することができることがさらに考えられる。
【0090】
第1および第2可撓性シートは、取り外し可能であり得ることが考えられる。このような取り外し可能な構成は、使用者が支持面808からサンプルを効率的に装填または除去することを可能にし、これによって使用者は、支持面領域へのアクセスを得るためにシートを再配置する必要がない。使用者の必要に応じて一方または両方のシートを取り除くことができることが考えられる。
【0091】
図18および
図19を参照すると、エンクロージャ900が単一の可撓性シートまたはパネル902を含む自動サンプリング/分注装置を囲むためのさらなる例示的なエンクロージャ900が示されている。
図18および
図19に示すように、エンクロージャ900は、複数の支持壁と、支持面904に取り付けられた自動サンプリング/分注装置を囲むための単一の可撓性シート902とを含む。例えば、エンクロージャ900は、3つの支持壁および単一の可撓性シート902を含むことができる。このような例では、第1側部支持壁および第2側部支持壁は、後部支持壁に支持部を提供し、後部支持壁は、第1側部支持壁の縁部および第2側部支持壁の縁部に固定される。後部支持壁は、エンクロージャの前面のものと概ね反対側にある(例えば、エンクロージャの前面は、可撓性シートを含み、自動サンプリング/分注装置へのアクセスを得るために使用される)。第1および第2側部支持壁は、可撓性シートが第1側部支持壁の外縁および第2側部支持壁の外縁に沿って転がることを可能にするように構成される。密閉した装置が外部装置または電源に接続されることを可能にするために、複数の壁のうちの少なくとも1つの内部に開口が画定されてもよいことが考えられる。
【0092】
引き続いて、
図18および
図19を参照すると、単一の可撓性シート902は、第1および第2の縁部を含む。可撓性シート902の第1の端部は、仕上げられた縁部を含み、可撓性シート902の第2の端部は、後部支持壁に固定して結合される。例えば、可撓性シート902の第1の端部は、可撓性シート902の第1の端部の長さに実質的に沿って延在する硬化プラスチックカバーで仕上げられている。エンクロージャ900の内部にアクセスするために、単一の可撓性シート902は、単一の可撓性シート902の第1の縁部の第1の端部を第1側部支持壁の外縁に固定し、第1の縁部の第2の端部を第2側部支持壁の外縁に固定して、取ることができる。可撓性シート902の第1の縁部を、圧入ラッチ、クリップ、ねじなどを含む側部支持縁部に固定するために、様々な機構を採用することができると考えられる。また、エンクロージャ900は、エンクロージャを、装置を支持する支持領域に固定することによって、そのような装置を囲むようにエンクロージャを配置することができる実験室分析機器用の自動サンプリング/分注装置に取り付けることができる。さらに、単一の可撓性シートは取り外し可能であり、使用者が支持面領域全体ならびにオーバーヘッド支持面領域にアクセス可能にしてもよい。
【0093】
現在説明されているエンクロージャは、このようなエンクロージャを自動サンプリング/分注装置で使用することに焦点を当てているが、このようなエンクロージャは、本開示に従って様々な実験機器と共に使用することができることが考えられる。汚染物質(例えば、細菌または空気中の物質)が外部環境に侵入するのを防ぐために、例示的なエンクロージャは換気することができるとさらに考えられる。例えば、エンクロージャ内に引き込まれた空気は、HEPAフィルタを通過することができる。
【0094】
ここで
図20を参照すると、自動サンプリングまたは分注装置のためのサンプル識別システム1000が、本開示の例示的な一実施形態に従って示されている。サンプル識別システム1000は、自動サンプリングまたは分注装置によるサンプリングおよび/または分注の前、最中、および/または後のサンプル識別を確認するように構成される。図示されるように、サンプル識別システム1000は、サンプル識別子1002および識別子取得装置1004を含む。サンプル識別子1002は、サンプル(例えば、オートサンプラーテーブルトップ(例えば、テーブルトップ102)に対して特定の位置に配置されたサンプル)の標識を提供するように構成される。サンプル識別子1002は、オートサンプラーテーブルトップ上に、サンプルホルダー(例えば、サンプルホルダー106)上に、サンプル容器(例えば、サンプル容器108)上に、または識別子取得装置1004により読み取るための別の場所に配置するように構成することができる。一実施形態では、サンプル容器の下の位置からサンプル識別子1002の処理/イメージングのために、識別子取得装置1004がサンプル識別子1002にアクセスすることができるように、サンプル識別子1002は、サンプル容器(例えば、サンプル容器108)のベースまたは底部(例えば、試験管の底部)に配置される。一実施形態では、サンプル識別子1002は、光学読取装置(例えば、バーコードリーダ)による認識のために構成されたバーコードを含み、バーコードは、テストラック内の位置、テーブルトップに対する位置、サンプル容器の所定のサンプリング順序に対応する特定の識別番号などを含むがこれらに限定されない1つ以上の識別子に従った特定のサンプルを表すように構成される。バーコードは、データマトリクス二次元(2D)バーコード(例えば、12×12マトリクス、13×13マトリクス、14×14マトリクス、または任意の他の適切なマトリクス)を含むことができる。正方形マトリクスが例示的なデータマトリクスバーコードとして提供されているが、長方形マトリクスも利用できることが考えられる。サンプル識別子1002は、光学カメラまたはセンサによる認識のために構成された文字および/またはパターン、タッチセンサ、光センサなどによる認識のための隆起した表面、特定の色(または波長)、光のパターンなどを生成するように構成された照明源、識別子取得装置1004による認識のために構成された他の識別標識などを含むがこれらに限定されない他の識別標識を含むことができる。
【0095】
例示的な一実施形態では、サンプル識別システム1000は、(z軸支持体110とは別個であるか、またはz軸支持体110を含むことができる)z軸支持体によって支持される(サンプルアームアセンブリ104とは別個であるか、またはサンプルアームアセンブリ104を含むことができる)識別子アームアセンブリ1006を含む。一実施形態では、識別子アームアセンブリ1006は、(
図20の110として示される)z軸支持体に対して鉛直に動くように構成される。
図1に示すように、z軸は重力または鉛直軸と位置が合わせられている。識別子アームアセンブリ1006は、識別子取得装置1004が、オートサンプラーテーブルトップ102、サンプルホルダー(例えば、サンプルホルダー106)、または他の支持面によって支持される様々なサンプルのサンプル識別子1002を取得/撮像するように動くことができるように、識別子アームアセンブリ1006に取り付けられた識別子取得装置1004を含むことができる。使用時には、識別子アームアセンブリ1006は、三次元で空間を通って動くか、または実質的に回転運動であるy運動を有する軸の周りで動き、かつ少なくとも実質的に水平な直線運動または並進であるx運動を有する軸に沿って動き、かつ少なくとも実質的に鉛直の直線運動または並進であるz軸に沿って動くように構成される。このように、識別子アームアセンブリ1006は、R-θ軌道範囲、x-y軌道範囲などを通る(例えば、休止位置と、サンプル識別子1002を含むサンプル容器を撮像するように構成された動作位置との間の)移動のために構成されてもよい。一実施形態では、識別子アームアセンブリ1006は、サンプルアームアセンブリ104から独立して動くように構成される。
【0096】
一実施形態では、
図20に示すように、オートサンプラーは、オートサンプラーテーブルトップ102によって支持されるように構成された隆起面1008を含む。隆起面1008は、サンプルプローブ114によるアクセスのために、サンプルホルダーおよびサンプル容器を支持することができる。識別子アームアセンブリ1006および識別子取得装置1004がサンプル容器(例えば、サンプル容器108)および関連するサンプル識別子1002の下側にアクセスするために入ることができる間隙1010を隆起面1008およびテーブルトップ102が画定するように、隆起面1008をテーブルトップ102に対して配置することができる。例えば、実施形態において、隆起面1008は、底面に配置されたサンプル識別子1002を有するサンプル容器108が位置する表面内に間隙1012を画定する。このようにして、サンプル容器108のベースまたは底部のサンプル識別子1002は、(例えば、
図22に示される)間隙1010内の隆起面1008の下に配置されたとき、識別子取得装置1004にアクセス可能である。隆起面1008はまた、隆起面1008および(例えば、
図21A~
図21Cに示される)テーブルトップ102の対応する部分を横切るサンプルアームアセンブリ104の動きを可能にするために、テーブルトップ102の中央スロット120の少なくとも一部に対応する中央スロット1014を画定することができる。
【0097】
例示的な実施形態では、オートサンプラーは、識別子取得装置1004がサンプル識別子1002を読み取ることを可能にするように構成されたサンプルホルダー(例えば、サンプルラック106)を含む。例えば、サンプルホルダー106のベースは、実質的に透明な、光透過性の、または透明な材料から構成することができる。他の実施形態では、サンプルホルダー106は、開放底部を有するように構成することができる。透光性または透明な材料の使用は、識別子取得装置1004を、サンプル容器108内のサンプル流体との不注意な接触から保護することができる。一実施形態では、サンプルホルダーは、識別子取得装置1004を利用するときに光に関連するグレアを減少させるかまたは排除するように構成された材料で形成されるか、またはそのような材料と結合される。代替的または追加的に、識別子取得装置1004は、識別子取得装置1004をサンプル流体との不注意な接触から保護するための保護コーティングまたは被覆を含むことができる。そのようなコーティングまたは被覆は、識別子取得装置1004を利用するときに光に関連するグレアを減少させるかまたは排除するように構成することができる。(例えば、
図23Aに示される)一実施形態では、サンプルホルダー106は、実質的に透明な底部1120を含み、それを貫通して画像取得装置1004は、サンプルホルダー106によって支持されるサンプル容器108のベース上のサンプル識別子1002を認識することができる。(例えば、
図22および
図23Bに示される)一実施形態では、サンプルホルダー106は、サンプル容器108が通過することができる第1組の開口部1016と、サンプル容器108の少なくとも一部が完全に通過するのを阻止する第2組の開口部1018とを画定する。例えば、第1組の開口部1016は、第2組の開口部1018よりも大きな断面積(例えば、より大きい円形の断面積を有するより大きい直径)を有することができ、第2組の開口部1018は、サンプル容器108の断面積よりも小さい断面積を有する(例えば、第2組の開口部1018の直径は、サンプル容器108の一部の直径よりも小さい)。このような開口部の構成は、サンプル識別子1002が識別子取得装置1004に対して遮られないように、サンプル容器108の露出した底部を提供することができる。例示的な一実施形態では、サンプルホルダー106は、ホルダー106内のサンプル容器108が、サンプルホルダー106のベースとオートサンプラーテーブルトップ102との間に間隙を有してオートサンプラーテーブルトップ102上に配置される。このような構成により、識別子取得装置1004は、サンプルホルダーの下にアクセスして、サンプル識別子1002を読み取ることが可能となり得る。サンプルホルダー106を含むサイズ、形状、および材料は、サンプル識別システム1000において使用される識別子取得装置1004のタイプ、サイズ、および形状、および分析されるサンプルのタイプ(例えば、腐食性、不活性など)に依存して変わる可能性があることが考えられる。
【0098】
オートサンプラーは、識別子取得装置1004をサンプルプローブ114と位置合わせするように構成することができる。例えば、
図24に示すように、識別子取得装置1004は、識別子取得装置1004のサンプルプローブ114との位置合わせの視覚的表示を提供するために、サンプルプローブに向かって光(例えば、光線)を投影するように構成されたアライメント光源1022を含む。一実施形態では、隆起面1008は、開口部1024を画定し、それを通ってアライメント光源1022は、サンプルプローブ114に向かって光を投影することができる。識別子取得装置1004に対するサンプルプローブ114の位置合わせが揃っていない場合、サンプルアームアセンブリ104および識別子アームアセンブリ1006のうちの1つ以上は、位置合わせが満足できるまで再位置決めすることができる。再位置決めは、(例えば、駆動アセンブリ100の制御による)サンプルアームアセンブリ104および識別子アームアセンブリ1006の自動のモータ駆動、または手動手段を介して達成することができる。例えば、サンプルアームアセンブリ104および識別子アームアセンブリ1006のうちの1つ以上は、固定ねじ、圧入、摩擦クランプなどで固定することができる。位置合わせは、識別子取得装置1004によって撮像されたサンプル識別子1002と、サンプル容器108からサンプルプローブ114によって引き出された実際のサンプルとの間の対応の正確さを促進することができる。
【0099】
識別子取得装置1004は、サンプル識別子1002を取得、撮像、または他の方法で認識するように構成される。したがって、(例えば、
図25に示された)一実施形態では、識別子取得装置1004は、撮像装置1026と、光源1028(例えば、フラッシュ源)と、アライメント光源1022を含む。撮像装置1026は、撮像装置1026が、(例えば、ライブまたは連続ベースで)取得された画像を表示するためのディスプレイと関連することができるように、サンプル識別子1002および周囲領域のビデオ画像を取得することができる。一実施形態では、撮像装置は、ターゲットの静止画像を提供するように構成される。光源1028は、サンプル識別子1002を撮像するために、サンプル識別子1002が撮像装置1026への視認性を高めるように、サンプル容器108の底部を照らすように構成することができる。一実施形態では、識別子取得装置1004は、光源1028に加えて、または光源1028の代わりに照明を提供するために、外部光源1030によって補助される。例えば、外部光源1030は、識別子アームアセンブリ1006に取り付けることができる。
【0100】
実施形態では、識別子取得装置1004は、識別子アームアセンブリ1006に対して角度が付けられ、これによって撮像装置1026は、サンプル容器108のベース上のサンプル識別子1002を、水平方向からある角度で、またはオートサンプラーのテーブルトップの向きに対してある角度で見る。例えば、
図26Aに示すように、識別子取得装置1004および識別子アームアセンブリ1006は、互いに対してアルファ(α)(例えば、15度)の角度で配向されており、識別子アームアセンブリ1006の上面がアライメント軸に対して実質的に垂直(例えば、テーブルトップの表面に実質的に平行)である。
図26Bでは、識別子取得装置1004および識別子アームアセンブリ1006は、互いに対してアルファ(α)(例えば、15度)の角度で配向されており、識別子取得装置1004の上面がアライメント軸に対して実質的に垂直(例えば、テーブルトップの表面に実質的に平行)である。角度の様々な構成が考えられ、使用される角度は、識別子取得装置1004内で使用される特定の撮像装置1026に依存してもよい。
【0101】
サンプル識別システム1000は、サンプル識別子1002に関連するデータと、それに対応して、サンプル識別子1002と一意に関連するサンプルとを、オートサンプラーサンプリングプローブ(例えば、サンプルプローブ114)によるサンプルのサンプリングの前、中、または後に検証するように構成される。サンプル識別システム1000は、サンプル識別子1002に関連するデータを収集して処理することができ、データは、サンプルの位置(例えば、オートサンプラーテーブルトップ102上の位置、サンプルラック106内の位置、特定のサンプル容器108など)、サンプルが(例えば、サンプルプローブ114によって)採取されるときのタイムスタンプ、サンプルの存在または非存在、サンプルに実行される分析のタイプまたは程度、および希釈係数などを含むことができるが、これに限定されない。一実施形態では、サンプル識別子1002は、シリアル番号への変換のために識別子取得装置1004によって読み取られ、シリアル番号に関連付けられたデータは、サンプル識別子1002を含む特定のサンプル容器に関連付けられる。このようにして、サンプル識別子1002は、サンプルの位置、サンプルが採取されたときのタイムスタンプ、サンプルの存在または非存在、サンプルに対して実行される分析のタイプまたは程度、希釈係数などを含むがこれらに限定されないデータを、容器内の特定のサンプルと関連付けることができ、データは、サンプル識別子1002によって記憶されたシリアル番号と相関されるデータシステムのメモリ装置に格納することができる。一実施形態では、サンプル識別システム1000は、サンプルの希釈因子制御のために構成することができる。例えば、特定のサンプル識別子1002に関連するデータは、サンプルのオフラインまたはオンライン希釈のための希釈係数を含むことができる。一実施形態では、サンプル識別システム1000は、サンプル識別子1002に基づいて、サンプル識別子1002と、特定のサンプルの分析装置(例えば、質量分析計、ガスクロマトグラフ、液体クロマトグラフなど)によるサンプル分析の結果とに基づいて(例えば、標準データをデータテーブルに自動的に埋め込むことによって)調製されたサンプルのデータを追加するように構成される。
【0102】
サンプル識別子1002は、サンプルバイアル識別番号、宛先バイアル識別番号、希釈因子(DF)、最終体積、サンプル体積、希釈剤体積、および希釈剤の位置などを含むがこれらに限定されない情報と関連付けられ得る、および/または、そのような情報を含み得る。例えば、第1バーコードは、サンプルバイアル上に配置され、所望の希釈因子および所望の最終体積に関連付けられる。宛先バイアルは、第1バーコードに関連付けられた第2バーコードを含む。システム1000は、第1バーコードから得られた情報を使用して、サンプルバイアルに含まれるサンプルの一部を希釈する。例えば、システム1000は、第2バーコードを使用して、宛先バイアルを識別し、サンプルの一部分を宛先バイアルに入れる。システム1000はまた、第1バーコードによって特定されるDFおよび最終体積を提供するのに十分な量の希釈剤を入れる。
【0103】
別の一実施形態では、第1バーコードは、サンプルバイアル識別番号を表し、サンプル識別番号は、所望の希釈係数および所望の最終体積に関連付けられる。いくつかの実施形態では、通信インターフェースを介してサンプル識別システム1000と動作可能に結合された情報処理システム装置と共に含まれるユーザインターフェース(例えば、グラフィカルユーザインターフェース)を使用して、第1バーコードを所望の希釈係数および所望の最終体積に結び付ける。例えば、所望の希釈係数および所望の最終体積は、第1バーコードを有する電子データベースに保存することができる。宛先バイアルは、(例えば、電子データベースを介して)第1バーコードに関連付けられた第2バーコードを含む。システム1000は、サンプルバイアルに含まれるサンプルの一部を希釈するために、電子データベース内の第1バーコードに関連する情報を使用する。例えば、システム1000は、第2のバーコードとの関連付けを使用して宛先バイアルを識別し、そしてサンプルの一部を宛先バイアルに入れる。システム1000はまた、電子データベース内で指定されたDFおよび最終体積を提供するのに十分な量の希釈剤を入れる。
【0104】
しかしながら、これらのオフラインの実施形態は、単なる例示として提供され、本開示を限定することを意味しない。他の実施形態では、サンプルの希釈はオンラインで行うことができる。例えば、システム1000は、バーコードから得られた情報を使用して、第1のバーコードによって特定されたり、電子データベース内の第1バーコードに関連付けられたりするような、所望のDFおよび所望の最終体積を提供するのに十分な量の希釈剤とサンプルの部分を混合することによって、サンプルバイアルに含まれるサンプルの一部を希釈する。
【0105】
サンプル識別システム1000によって収集されたデータは、同一性検証のために別のシステムに転送されてもよい。例示的一実施形態では、サンプル識別システム1000によって収集されたデータは、測定されたサンプルの同一性を検証するために、実験室情報管理システム(LIMS)および/または実験機器に転送される。識別子取得装置1004は、サンプル識別システム1000とLIMS、実験機器、または他の装置との間の有線または無線のデータ転送のために構成することができる。例示的な一実施形態では、識別子取得装置1004は、光ファイバデータ転送用に構成される。識別子取得装置1004は、有線または無線の制御機構を介してサンプル識別システム1000によって制御するように構成されてもよい。
【0106】
サンプル識別システム1000は、その構成要素の一部または全部を含み、コンピュータ制御下で動作することができる。例えば、プロセッサは、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア(例えば、固定論理回路)、手動処理、またはそれらの組み合わせを使用して、本明細書に記載のシステム1000の構成要素および機能を制御するために、サンプル識別システム1000と共に、またはサンプル識別システム1000内に含めることができる。本明細書で使用する「コントローラ」、「機能」、「サービス」および「ロジック」という用語は、一般的に、システム1000の制御に関連して、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、またはソフトウェア、ファームウェア、またはハードウェアの組み合わせを表す。ソフトウェア実装の場合、モジュール、機能、またはロジックは、プロセッサ(例えば、中央処理装置(CPU)または複数のCPU)上で実行されるときに特定のタスクを実行するプログラムコードを表す。プログラムコードは、1つ以上のコンピュータ可読メモリ装置(例えば、内部メモリおよび/または1つ以上の有形の媒体)などに格納することができる。本明細書で説明される構造、機能、アプローチ、および技術は、様々なプロセッサを有する様々な商業コンピューティングプラットフォーム上で実施することができる。
【0107】
プロセッサは、システム1000に処理機能を提供し、任意の数のプロセッサ、マイクロコントローラ、または他の処理システム、およびシステム1000によってアクセスまたは生成されるデータおよび他の情報を格納するための常駐または外部メモリを含むことができる。プロセッサは、本明細書に記載の技術を実施する1つ以上のソフトウェアプログラムを実行することができる。プロセッサは、形成される材料またはその中で使用される処理機構によって制限されず、したがって、半導体および/またはトランジスタ(例えば、電子集積回路(IC)部品)などを使用して実装することができる。
【0108】
システム1000は、メモリも含む。メモリは、システム1000の動作に関連する様々なデータ(例えば、ソフトウェアプログラムおよび/またはコードセグメント)、またはプロセッサおよび可能性のあるシステム1000の他の構成要素に対して本明細書に記載された機能を実行するように指示するための他のデータを格納する記憶機能を提供する有形のコンピュータ可読記憶媒体の一例である。したがって、メモリは、データ(例えば、システム1000(その構成要素を含む)などを動作させるための命令のプログラム)を格納することができる。単一のメモリが記載されているが、多種多様なタイプおよび組み合わせのメモリ(例えば、有形の非一時的メモリ)を用いることができることに留意されたい。メモリは、プロセッサと一体化することができ、スタンドアロンメモリを含むことができ、または両方の組み合わせとすることができる。メモリは、リムーバブルおよび非リムーバブルメモリコンポーネント(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、フラッシュメモリ(例えば、セキュアデジタル(SD)メモリカード、ミニSDメモリカード、および/またはマイクロSDメモリカード)、磁気メモリ、光メモリ、ユニバーサルシリアルバス(USB)メモリデバイス、ハードディスクメモリ、外部メモリなど)を含むことができるが、これらに限定されない。実施形態において、システム1000および/またはメモリは、リムーバブル集積回路カード(ICC)メモリ(例えば、加入者識別モジュール(SIM)カード、ユニバーサル加入者識別モジュール(USIM)カード、汎用集積回路カード(UICC)などによって提供されるメモリ)を含むことができる。
【0109】
システム1000は、通信インターフェースを含む。通信インターフェースは、システム1000の構成要素と通信するように動作可能に構成される。例えば、通信インターフェースは、システム1000内の記憶のためにデータを送信し、システム1000内の記憶装置からデータを読み出すなどするように構成することができる。通信インターフェースはまた、プロセッサと通信可能に結合され、システム1000の構成要素と(例えば、システム1000と通信可能に結合された装置から受信されたプロセッサへの入力を通信し、および/またはシステム1000と通信可能に結合された装置への出力を通信するための)プロセッサとの間のデータ転送を促進する。通信インターフェースは、システム1000の構成要素として説明されているが、通信インターフェースの1つ以上の構成要素は、有線および/または無線接続を介してシステム1000に通信可能に結合された外部構成要素として実装することができる。システム1000はまた、ディスプレイ、マウスなどを含むが、必ずしもこれらに限定されない1つ以上の入出力(I/O)デバイスを含む、および/または(例えば、通信インターフェースを介して)1つ以上の入出力(I/O)デバイスに接続することができる。
【0110】
通信インターフェースおよび/またはプロセッサは、広域セルラー電話ネットワーク(例えば、3Gセルラーネットワーク、4Gセルラーネットワーク、またはGSM(登録商標)(global system for mobile communications)ネットワーク)、無線コンピュータ通信ネットワーク(例えば、WiFiネットワーク(例えば、IEEE802.11ネットワーク規格を使用して動作する無線ローカルエリアネットワーク(WLAN))、インターネット、インターネット、ワイドエリアネットワーク(WAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、パーソナルエリアネットワーク(PAN)(例えば、IEEE802.15ネットワーク規格を使用して動作する無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN))、公衆電話網、エクストラネット、イントラネットなどを含むが、これに限定されない様々な異なるネットワークと通信するように構成することができる。しかしながら、このリストは単なる例として提供され、本開示を限定することを意味しない。さらに、通信インターフェースは、単一のネットワークまたは異なるアクセスポイントにわたる複数のネットワークと通信するように構成することができる。
【0111】
一実施形態では、
図27に示すように、サンプルホルダー106は、サンプルホルダー106の底部404上に配置されたサンプルホルダー識別子402を含む。底部404は、(例えば、サンプルプローブ114によるアクセスのためにサンプル容器を直立状態に保持するための)第1組の開口部1016を介してサンプル容器108を受け入れるサンプルホルダー106の反対側または遠位側にあるサンプルホルダー106の面に対応することができる。例えば、底部104は、第2組の開口部1018を画定することができ、底部は、透明な底部1120などを含むことができる。サンプルホルダー識別子402は、識別子取得装置(例えば、サンプル識別システム1000の識別子取得装置1004)によって識別可能である。サンプルホルダー識別子402は、サンプルホルダー106の固有の識別を提供し、このような固有の識別は、サンプルのアイデンティティー(正体)、サンプルホルダー106内のサンプル容器108に保持されたサンプルに関連する分析方法、サンプルホルダー106内のサンプル容器108に保持されたサンプルに関連する元素/種、サンプルホルダー106内のサンプル容器108に保持されたサンプルに関連する希釈因子、サンプルホルダー106内のサンプル容器108に保持されたサンプルに関連する重量、および、サンプルホルダー106内のサンプル容器108に保持されたサンプルに関連する最終体積などを含むが、これらに限定されない識別情報に対応することができる。このような対応する識別情報は、自動サンプリング装置の1つ以上の構成要素またはそれに結合された関連する科学機器によってアクセス可能なメモリデバイスに格納することができる。例えば、サンプルホルダー識別子402は、サンプルホルダー106の固有の識別に関連付けられたバーコードまたはQRコード(登録商標)のうちの1つ以上を含むことができる。実施形態において、サンプルホルダー識別子402は、正方形マトリクス形式(例えば、12×12マトリクス、13×13マトリクス、14×14マトリクス、144×144マトリクスなど)のデータマトリクス二次元バーコードを含む。正方形マトリクスは、例示的なデータマトリクスバーコードとして提供されるが、長方形マトリクス(例えば、8×18マトリクス、16×48マトリクスなど)、または任意の他の適切なマトリクスも利用することができると考えられる。サンプルホルダー識別子402は、光学カメラまたはセンサによる認識のために構成された文字および/またはパターン、タッチセンサ、光センサなどによる認識のための隆起面、特定の色(または波長)、光のパターンなどを生成するように構成された照明源、識別子取得装置1004による認識のために構成された他の識別標識などを含むが、これらに限定されない他の識別標識を含むことができる。
【0112】
サンプルホルダー識別子402が
図27内のサンプルホルダー106の底部404に示されているが、識別子取得装置が、サンプルホルダー識別子402を認識することができるように、頂部、側部、支持ポスト部などに配置されるサンプルホルダー識別子402を含むが、これらに限定されない、サンプルホルダー106に対するサンプルホルダー識別子402の他の構成を利用することができる。例えば、サンプルホルダー識別子402は、サンプルアームアセンブリ104、z軸支持体110、サンプルプローブ114、またはテーブルトップ102の上方の他のパースペクティブに関連する識別子取得装置によるアクセスのために、(例えば、第1組の開口部1016に近接して)サンプルホルダー106の頂部に配置される。
【0113】
一実施形態では、サンプルホルダー識別子402は、複数のサンプルホルダー識別子を含む(例えば、
図27は、402aおよび402bとラベル付けされた2つのサンプルホルダー識別子を示す)。ここで、各サンプルホルダー識別子は、サンプルホルダー106の異なる向きに対応する。例えば、サンプルホルダー識別子402aは、サンプルホルダー106の上面、前面、または側面の向きに対応する識別情報を含むことができ、一方、サンプルホルダー識別子402bは、サンプルホルダー106の底面、背面、または異なる面の向きに対応する識別情報を含むことができる。本明細書で使用されるように、サンプルホルダー106の向きは、サンプルを処理するためにオートサンプラーまたはサンプル識別装置の表面上にサンプルホルダー106を整列させるために使用される配置方位を指すことができる(例えば、隆起面1008上、テーブルトップ102上など)。例えば、配置方向は、中央スロット1014、サンプルアームアセンブリ104、z軸支持体110、サンプルプローブ114、または他の構成要素または自動サンプリング装置100の部分に対するサンプルホルダー106の向きおよび/または位置を特定することができる。
【0114】
一実施形態では、
図28Aおよび
図28Bに示されるように、サンプル容器108は、自動サンプリングまたは分注装置のz軸支持体110から遠位の1~4番のスロット406(または開口部)に配置され、スロットは、サンプル容器108を保持するように構成されたサンプルホルダー106内の位置に対応する。サンプルホルダー106は、サンプル容器をスロット406内に配置する順番付けを行うために、使用者に特定のスロット406を識別させるためのラベルを含むことができる。例えば、サンプルホルダー106は、
図28Bに図式的に示されたものに対応する番号で、スロット406を識別するためのラベルを含むことができる。一実施形態では、サンプルホルダー識別子402bは、サンプルホルダー106が逆方向または反転された向きに置かれたときに、サンプルホルダー識別子402bおよび位置1でラベル付けされたスロット406を有するサンプルホルダー106の側面の各々が、(例えば、
図29Aに示されるように)中央スロット120に隣接するように、位置1でラベル付けされたスロット406と、サンプルホルダー106の同じ側に配置される。例えば、サンプルホルダー識別子402aは、位置1(例えば、一連の第1の指定、例えば、一連の番号付けされたスロット406)でラベル付けされたスロット406として(例えば、サンプルホルダー106の底部上に)サンプルホルダー106の反対側に配置することができ、これによってサンプルホルダー106が標準的な向きに置かれたときに、サンプルホルダー識別子402aが中央スロット120に隣接し、位置1でラベル付けされたスロット406を有するサンプルホルダー106の側部は、(例えば、
図28Aに示すように)中央スロット120の遠位にある。サンプルホルダー106は、独自のラック識別(ID)、サンプルホルダー106の位置、サンプルホルダー106の向き(例えば、標準的な向き、逆向きまたは反転された向きなど)、サンプルホルダー106のアライメントなどを含むがこれらに限定されない、サンプルホルダー106と関連する動的データを提供するように構成されたサンプルホルダー識別子402を含むことができる。例えば、サンプルホルダー識別子402は、メモリに記憶された動的データに対応することができ、それによってデータコントローラ、システムプロセッサなどは、例えば、ユーザ入力に応答して、またはシステム100による自動実行に応答してなどによって、動的データを割り当ておよび/または更新することができる。一実施形態では、システム1000は、サンプルホルダー106がテーブルトップ102上、隆起面1008上、またはさもなければサンプルプローブ114によってサンプル容器108へのアクセスを可能にするために配置されるとき、識別子取得装置1004をサンプルホルダー識別子402の下の位置に対応する(
図27および
図28Aにおいて408として示される)サンプルホルダー読み取り位置に配置することによって、サンプルホルダー106の向き(例えば、
図28A、
図28Bに示される標準的な向き、
図29A、
図29Bに示される逆向きまたは反転された向き)を決定する。一般的に、サンプルホルダー読み取り位置は、サンプルホルダー識別子402を読み取るための識別子取得装置1004の位置決めに対応する。システム1000は、複数のサンプルホルダー106が、テーブルトップ102上、隆起面1008上などに存在する場合に、複数のサンプルホルダー読み取り位置を含むことができる。一実施形態では、使用者は、個々のサンプルホルダー106の位置および数を含むサンプルホルダー106の配置に関連する情報を入力することができ、それにより、システム1000は、関連するサンプルホルダー読み取り位置のみを自動的にスキャンして、(例えば、サンプルホルダー106が存在しない場所でのサンプルホルダー読み取り位置を無視することによって)存在するサンプルホルダー106の向きを識別することができる。
【0115】
次いで、サンプルホルダー識別子402は、サンプルホルダー106が標準的な向きであるか、または逆向きまたは反転された向きであるかについて、システム1000に知らせることができる。システム1000は、サンプルホルダー106の検出された向きに基づいて、サンプルプローブ114の動作上の位置決めを操作することができる。例えば、サンプルホルダー106が標準的な向きにあると判定された場合(例えば、識別子取得装置1004が、サンプルホルダー読み取り位置でサンプルホルダー識別子402Aを検出した場合)、システム1000は、標準配向プロトコルに従って操作することができる。標準配向プロトコルは、例えば、
図28Bに示すスロット406の位置1にサンプル容器108を測定するようにサンプルプローブ114を最初に位置決めすることを含むことができ、位置1は中央スロット120に対して遠位であり、スロット番号(例えば、スロット2、3、4に続く)に基づいて残りのサンプル容器108を連続的に測定するようにサンプルプローブ114を位置決めすることに進む。サンプルホルダー106が逆向きまたは反転された向きであると判定された場合(例えば、識別子取得装置1004がサンプルホルダー読み取り位置でサンプルホルダー識別子402Bを検出する場合)、システム1000は逆方向プロトコルに従って操作することができる。逆方向プロトコルは、例えば、
図29Bに示すスロット406の位置1でサンプル容器108を測定するためにサンプルプローブ114を最初に位置決めすることを含むことができ、位置1は中央スロット120に隣接しており、スロット番号(例えば、スロット2、3、4に続く)に基づいて残りのサンプル容器108を順次測定するようにサンプルプローブ114の位置決めを進める。実施形態においては、システム1000は、サンプルホルダー106の特定の向きの検出に基づいて(例えば、ディスプレイ装置を介して)警告を提供することができる。例えば、サンプルホルダー106の逆向きが検出されると、システム1000は、サンプルホルダー106が逆の向きであることを知らせる操作に対する警告を表示することができる。システム1000は、(例えば、逆向きのプロトコルを実行することによって)逆方向でサンプルホルダー106を用いて操作を継続するためのユーザ入力を受信することができ、あるいはまた、操作を遅らせる(例えば、サンプルホルダー106および/またはサンプル容器108の再配置を可能にする)ためのユーザ入力を受信することができる。ユーザ入力が操作を遅らせるために受信されると、システム1000は、サンプルホルダー読み取り位置で任意のサンプルホルダー識別子402を走査することができ、および/または、操作を再開する際に、サンプルホルダー内に存在する任意のサンプル容器108のサンプル識別子1002をスキャンすることができ、これによって使用者がサンプルホルダー106を標準的な向きに配置したか、逆の向きに配置したか、サンプルホルダー106内でサンプル容器108の順序を変えたか、サンプルホルダー106内のサンプル容器108の数を変えたかどうかなどを判定する。
【0116】
実施形態では、
図28Aに示すサンプル容器の位置は、
図28Bに示すような自動サンプリングまたは分注装置100に動作可能に結合された通信インターフェース上に示されるサンプルホルダー106内のサンプル容器位置のグラフ表示で対応する。通信インターフェースはまた、特定のサンプルスロット406内のサンプル容器108の存在(410として示す)または不在(412として示す)を示すことができ、それによって、特定のスロット406内のサンプル容器108の検出が、通信インターフェースを介してサンプル容器108の存在410として自動的に示される。例えば、(例えば、識別子取得装置1004を介して)自動サンプリングまたは分注装置は、サンプル識別子1002を介してスロット406内に配置されたサンプル容器108を検出することができ、通信インターフェースは、(例えば、サンプルホルダー識別子402の情報の検出を介して)サンプルホルダー106の向きに対するサンプル容器108の存在の(例えば、
図28Bに示されるような)グラフ表示を提供することができ、これによってサンプル容器108は、適切な順序/構成で中央スロット120に示される。スロット406内の特定のサンプル容器108の存在およびサンプルホルダー106の向きは、その操作プロトコル中にサンプルプローブ114が上に位置すべきスロット406に関する情報をシステム1000に提供する。通信インターフェースは、サンプルホルダー106に配置されたサンプル容器108に関連するサンプル識別子1002に基づいて、また、サンプルホルダー106上に配置されたサンプルホルダー識別子402に基づいて、サンプルリストを生成することができる。そのようなサンプルリストは、サンプル識別子1002およびサンプルホルダー識別子402をスキャンした後に生成させることができ、一度完了したサンプルの分析に関連するデータ、または個々のサンプル容器の基準に基づいてデータを取り込むことができる。
【0117】
一実施形態では、
図29Aに示されるように、自動サンプリングまたは分注装置が示されており、サンプル容器108は、z軸支持体110に隣接して1番から4番のスロット406に配置されている。例えば、サンプルラックは、逆向きまたは反転された向きにあり、サンプル容器108は、
図28Aおよび
図28Bの位置決めと比較して逆向きまたは反転された向きに位置決めされる。1つ以上のサンプルホルダー識別子402を含めることにより、自動サンプリングまたは分注装置は、サンプルの逆向きまたは反転された向きを検出し、サンプルの正確な説明およびサンプルの分析を維持することができる。例えば、通信インターフェースは、サンプル容器108が適切な順序/構成で中央スロット120に隣接して示されているように、サンプルホルダー識別子402の情報に対して、スロット内のサンプル容器108の存在の(例えば、
図29Bに示すような)グラフィカル表示を提供することができる。
【0118】
サンプルホルダー識別子402およびサンプル識別子1002が本明細書に記載されているが、自動サンプリングまたは分注装置の他の態様または構成要素は、識別子取得装置1004によって検出用に構成されたラベルを含むことができることに留意されたい。例えば、希釈剤、希釈剤ホルダー、標準、標準ホルダー、溶解剤、溶離剤ホルダー、バッファー、バッファーホルダー、廃棄物容器などは、それぞれのアイテムの位置決めを追跡するための識別子(例えば、データマトリクス二次元バーコード)を含むことができる。
【0119】
一実施形態では、
図30Aに示されるように、複数の科学標準溶液容器1032が自動サンプリングまたは分注装置(例えば、サンプル識別システム1000)に対して配置され、そこに含まれる科学標準溶液容器1032および任意の科学標準溶液は、サンプルプローブ(例えば、サンプルプローブ114)によってアクセス可能となる。科学標準溶液容器1032はそれぞれ、科学標準溶液容器1032上に配置された1つ以上の標準識別子1034を含む。例えば、標準識別子は、識別子取得装置1004によるアクセスのための科学標準溶液容器1032の部分(例えば、底部、頂部、側部など)上に配置することができる。
図30Bは、科学標準溶液容器1032の底部に位置する標準識別子1034を示す。標準識別子1034は、バーコードまたはQRコードのうちの1つ以上を含むことができるが、これに限定されない。一実施形態では、標準識別子1034は、正方形マトリクス形式(例えば、12×12マトリクス、13×13マトリクス、14×14マトリクス、144×144マトリクスなど)のデータマトリクス二次元バーコードを含む。正方形マトリクスは、例示的なデータマトリクスバーコードとして提供されるが、長方形マトリクス(例えば、8×18マトリクス、16×48マトリクスなど)、または任意の他の適切なマトリクスも利用することができると考えられる。標準識別子1034は、光学カメラまたはセンサによる認識のために構成された文字および/またはパターン、タッチセンサ、光センサなどによる認識のための隆起面、特定の色(または波長)、光のパターンなどを生成するように構成された照明源、識別子取得装置1004による認識のために構成された他の識別標識などを含むが、これらに限定されない他の識別標識を含むことができる。標準識別子1034は、識別子取得装置(例えば、サンプル識別システム1000の識別子取得装置1004)によって識別可能である。標準識別子1034は、科学標準溶液容器1032および/または中に含まれる科学標準溶液の特有の識別を提供することができ、そのような特有の識別は、標準的な同一性、標準に関連する有効期限ステータス、標準に関連する分析方法、標準に関連するマトリクス、標準に関連する元素/種、標準の濃度などを含むが、これらに限定されない識別情報に対応することができる。このような対応する識別情報は、自動サンプリング装置の1つ以上の構成要素またはそれに結合された関連する科学機器によってアクセス可能なメモリデバイス内に格納することができる。一実施形態では、標準識別子1034は、標準識別子1034が配置される科学標準溶液容器1032内に位置する科学標準溶液に関連する有効期限ステータスに関連付けられる。有効期限ステータスには、有効期限、科学標準溶液が期限切れであるという表示、科学標準溶液が期限切れになるという表示(現在の日付は有効期限の閾値期間(例えば、1日、1週間、1ヶ月など))内にある、初回調製日などが含まれるが、これらに限定されない。
【0120】
一実施形態では、識別子取得装置1004によって標準識別子1034が走査および/または観察されるとき、識別子取得装置1004は、特定の科学標準溶液容器1032内に含まれる科学標準溶液の有効期限ステータスに関連する標準識別子1034に関連する1つ以上のデータ信号を生成することができる。例えば、システム1000は、標準識別子プロトコルを開始することができ、それによって、識別子取得装置1004は、科学標準溶液容器1032の下を逐次的に通過して(例えば、
図30Cに示される位置1で開始し、位置2に続いて、その後、位置3に続いて、その後、位置4に続いて、その後、位置5に続くなどして)、特定の標準位置内の科学標準溶液容器1032の(
図30Cの1036として示される)存在、または(
図30Cの1038として示される)不在を検出する。例えば、識別子取得装置1004が科学標準溶液容器1032に関連する標準識別子1034を認識すると、科学標準溶液容器1032の位置は、
図30Cに示すように、通信インターフェースを介して示すことができる。さらに、標準識別子1034によって提供される科学標準溶液容器1032に含まれる科学標準溶液に関連するデータは、(例えば、
図30Dに示される)通信インターフェースを介して(例えば、表形式に)表示することができる。通信インターフェースは、個々の科学標準溶液の有効期限ステータスを提供することができ、科学標準溶液容器1032の位置に対して表示することができる。例えば、
図30Dは、(例えば、有効期限と現在の日付を比較することなどによって)位置またはバイアル3に関連する科学標準溶液が期限切れになったという指標を通信インターフェースが提供する、識別子取得装置1004によって識別された3つの科学標準溶液のそれぞれの有効期限または有効期限ステータス1040を含む。一実施形態では、システム1000は、標準識別子1034を介して科学標準溶液容器1032内に存在する期限切れの科学標準溶液の検出に基づいて(例えば、表示装置を介して)警告を提供することができる(例えば、有効期限ステータスは、期限切れの科学標準溶液を示す)。システム1000は、期限切れの科学標準溶液を検出した際にサンプルプローブ114の動作を自動的に停止して、サンプル容器108のいずれかへの期限切れの科学標準溶液の添加を防止することができる。システム1000は、操作を遅らせる(例えば、期限切れの科学標準溶液が占める位置に新しい科学標準溶液容器1032を配置することを可能にする)ための使用者入力を受信することができる。操作を遅らせるために使用者入力が受信されると、システム1000は、使用者が科学標準溶液容器1032の順序を変更したかどうかを判定する、または科学標準溶液容器1032、新しい標準識別子1034を有する導入された新たな科学標準溶液容器1032の数を変更するなどをするように、再開操作時に存在する任意の科学標準溶液容器1032の標準識別子1034を走査することができる。
【0121】
一実施形態では、
図31~
図34に示すように、オートサンプラー/分注装置は、密閉されたサンプルホルダー1102を含む。例えば、密閉されたサンプルホルダー1102は、ブロックを形成する中実の側部を有することができる。密閉されたサンプルホルダー1102は、アルミニウム、タングステン、ニッケル、チタン、グラファイト、耐熱性プラスチックなどを含むが、必ずしもこれらに限定されない耐熱性および/または熱保持性材料から構成することができる。密閉されたサンプルホルダー1102は、サンプル容器108全体に熱を分散させることによってサンプルを加熱するように構成することができる。例えば、密閉されたサンプルホルダー1102は、(例えば、
図31に示される)加熱要素1104に取り外し可能に結合することができる。いくつかの実施形態では、加熱要素1104は、密閉されたサンプルホルダー1102を受け入れるように構成された(例えば、密閉されたサンプルホルダー1102の底部がプラットフォーム上に載置される)比較的平坦なプラットフォームを含む。しかしながら、他のタイプの加熱要素を利用することもできる。(例えば、自動サンプリングまたは分注装置の精度を改善し、粘性サンプルの分析機器および/またはサンプル調製システムへの搬送を促進するなどのために)サンプル容器108を加熱することにより、サンプルの粘度を低下させることができる。あるいはまた、密閉されたサンプルホルダー1102を利用して、高感度サンプル(例えば、感光性サンプル)の露光量を低減させることができる。いくつかの実施形態では、密閉されたサンプルホルダー1102は、上述のように、サンプル容器108が通過することができる第1組の開口部1016と、サンプル容器108の少なくとも一部が完全に通過することを禁止する第2組の開口部1018とを画定する。(例えば、
図31~
図33に示すような)一実施形態では、密閉されたサンプルホルダー1102は、サンプリングベース1106を含む。サンプリングベース1106は、密閉されたサンプルホルダー1102に取り外し可能に結合され、これによって密閉されたサンプルホルダーの底部は、サンプリングベース1106内に位置する。例えば、サンプリングベースは、密閉されたサンプルホルダー1102を保持するように構成された1つ以上のリム部1108を含むことができる。いくつかの実施形態では、サンプリングベース1106は、第2組の開口部1018に対応する第3組の開口部1110を含むことができる(例えば、第3組の開口部1110の直径は、第2組の開口部1018の直径とほぼ等しい)。このような開口部の構成は、サンプル容器108のベース上に配置されたサンプル識別子1002が識別子取得装置1004に対して妨げられないように、サンプル容器108の露出した底部を提供してもよい。あるいはまた、密閉されたサンプルホルダー1102の底部および/またはサンプリングベース1106は、サンプル容器108の底部を露出させるために、実質的に透明な、光透過性の、または透明な材料から構成されてもよい。密閉されたサンプルホルダー1102および/またはサンプリングベース1106を含むサイズ、形状、および材料は、自動サンプリング/分注装置に使用される識別子取得装置1004の種類、大きさ、および形状、および分析されるべきサンプルの種類(例えば、腐食性、不活性など)に応じて変えることができると考えられる。
【0122】
例示的な実施形態では、自動サンプリング/分注装置の支持面(例えば、テーブルトップ102)は、(例えば、
図33および
図34に示される)サンプルホルダー1102と嵌合するように構成することができる。例えば、サンプリングベース1106は、1つ以上の突起1112(例えば、足)を含むことができる。テーブルトップ102は、突起1112と嵌合するように構成された対応する凹部1114と合うことができる。あるいはまた、突起1112は、密閉されたサンプルホルダー1102の底部に配置することができる。サンプリングベース1106および/または密閉されたサンプルホルダー1102と嵌合するようにテーブルトップ102を構成することによってサンプリングベース1106および/またはサンプルホルダー1102は、サンプルアームアセンブリ104および/または識別子取得装置1004による検出のために適切に配向される。例えば、サンプルホルダー1102の前部または上部は、サンプルアームアセンブリ104および/または識別子取得装置1004に対して方向付けられている。
【0123】
いくつかの実施形態では、密閉されたサンプルホルダー1102は、上記のように、独自のラック識別(ID)、密閉されたサンプルホルダー1102の位置、密閉されたサンプルホルダー1102の向き、(例えば、標準的な向き、逆向きまたは反転された向きなど)、密閉されたサンプルホルダー1102のアライメントなどを含むが、これらに限定されない密閉されたサンプルホルダー1102と関連する動的データを提供するように構成されたサンプルホルダー識別子402を含むことができる。いくつかの実施形態では、サンプルホルダー識別子402は、サンプリングベース1106の上に配置することができる。あるいはまた、サンプルホルダー識別子402は、密閉されたサンプルホルダー1102の上部、下部、側部、支持ポスト部などに配置することができ、これによって識別子取得装置1004はサンプルホルダー識別子402を認識することができる。例えば、サンプリングベース1106は、密閉されたサンプルホルダー102の底部に配置されたサンプルホルダー識別子402を露出させるように構成された開口部を含むことができる。いくつかの実施形態では、密閉されたサンプルホルダー1102は、特定の向きでサンプリングベース1106内に適合するように方向を合わせることができる。密閉されたサンプルホルダー1102を合わせることによって、自動サンプリングまたは分注装置は、サンプリングベース1106上に配置されたサンプルホルダー識別子402から、密閉されたサンプルホルダー1102の向きおよび/またはサンプル容器108の適切な順序/構成を検出することができる。例えば、密閉されたサンプルホルダー102の正面の向きに対応する識別情報を含むサンプルホルダー識別子402aは、密閉されたサンプルホルダー1102とサンプリングベース1106の両方の向きに対応する。
【0124】
いくつかの実施形態では、識別子取得装置1004は、上述したように、テーブルトップ102の下に配置することができる。例えば、オートサンプラーは、(例えば、
図21A~
図21Cに示される)オートサンプラーテーブルトップ102によって支持されるように構成された隆起面1008を含むことができる。例えば、実施形態において、隆起面1008は、底面に配置されたサンプルホルダー識別子402およびサンプル識別子1002をそれぞれ有する密閉されたサンプルホルダー1102および/またはサンプル容器108が載置された表面内に間隙1012を画定する。このようにして、サンプル容器108のベースまたは底部のサンプルホルダー識別子402および/またはサンプル識別子1002は、(例えば、
図22に示される)間隙1010内の隆起面1008の下に配置されたときに識別子取得装置1004にアクセス可能である。あるいはまた、テーブルトップ102またはその一部は、サンプル容器108の底部および/または密閉されたサンプルホルダー102の底部を露出させるために、実質的に透明な、光透過性の、または透明な材料から構成されてもよい。他の実施形態では、識別子取得装置1004は、テーブルトップ102の上方に(例えば、サンプルアームアセンブリ104に取り付けられて)配置することができる。あるいはまた、密閉されたサンプルホルダー1102は、テーブルトップ102に結合されるセンサによって検出することができる。
【0125】
図35を参照する。各コンテナ1200の表面に配置された1つまたは複数のコンテナ識別子1202を有する複数のコンテナ1200が示されている。コンテナ1200は、ボトル、バイアル、キャップ、または流体を保持するための他のコンテナを含み、これらに限定されない。実施形態では、各コンテナの識別をサンプル識別システム1000によるコンテナの使用と関連付けることや、各コンテナの識別をコンテナ内の流体(例えば、サンプル流体、標準流体、リンス液または洗浄液など)の微量元素分析と関連づけることなどにより、コンテナ識別子1202は、各コンテナ1200の使用状況の監視、各コンテナ1200に関連する汚染レベルの監視などを容易にする。コンテナ識別子1202は、本明細書に記載されるサンプル識別子1002に対応することができ、または、希釈剤、希釈剤ホルダー、標準、標準ホルダー、溶離剤、溶離剤ホルダー、緩衝液、緩衝液ホルダー、廃棄物容器など、またはそれらの組み合わせを含む、これらに限定されない別のコンテナまたは流体の識別子に対応することができる。実施形態において、コンテナ1200は、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、または酸性流体を保持または輸送するのに適した他の材料から形成される。コンテナ識別子1202は、各コンテナ1200を一意に識別するために、それぞれのコンテナ1200の一意の識別に関連する1つ以上のバーコードまたはQRコードを含んでもよい。実施の形態では、コンテナ識別子1202は、正方形マトリクス形式(例えば、12×12マトリクス、13×13マトリクス、14×14マトリクス、144×144マトリクスなど)のデータマトリクス二次元バーコードを含む。正方形マトリクスがデータマトリクスバーコードの例として示されているが、長方形マトリクス(例えば、8×18マトリクス、16×48マトリクスなど)、または他の任意の適切なマトリクスも利用できると考えられる。実施形態では、コンテナ識別子1202は、1次元バーコードを含む。コンテナ識別子1202は、光学カメラまたはセンサによる認識のために構成された文字および/またはパターン;タッチセンサ、光学センサなどによる認識のための隆起面;特定の色(または波長)、光のパターンなどを生成するように構成された照明源;識別子取得装置1004による認識のために構成された他の識別マークなど、を含むがこれらに限定されない他の識別標識を含むことができる。
【0126】
実施形態では、コンテナ1200は、複数のコンテナ識別子1202を含むことができ、コンテナ識別子1202は互いに対して同じまたは異なるタイプでもよい。例えば、
図36Aを参照すると、コンテナ1200は、第1コンテナ識別子1202aおよび第2コンテナ識別子1202bとともに示され、キャップ1204は、第3コンテナ識別子1202cを有する。第1コンテナ識別子1202aは、データマトリクスの2次元バーコードとして示されているが、第2コンテナ識別子1202bは、1次元バーコードとして示されている。第1コンテナ識別子1202aおよび第2コンテナ識別子1202bのそれぞれは、コンテナ1200を一意に識別することができ、複数の走査装置がコンテナ1200を識別することを可能にする。例えば、第1コンテナ識別子l202aは、本明細書に記載されている識別子取得装置1004にアクセス可能であり、それによって識別される。また、第2コンテナ識別子1202bは、研究室または現場で利用可能な手持ち式走査装置または他のスキャナにアクセス可能であり、それらによって識別される。キャップ1204上の第3コンテナ識別子l202cは、他のコンテナ1200に対してキャップ1204を一意に識別することができる。したがって、コンテナ1200の汚染レベルは、第1コンテナ識別子1202a、第2コンテナ識別子1202b、またはそれらの組み合わせによって追跡され、キャップ1204の汚染レベルは、キャップを配置することができる(例えば、
図36Bに示される)コンテナ1200の汚染レベルとは独立して、第3コンテナ識別子l202cを介して追跡することができる。
【0127】
実施形態において、システム1000は、同じまたは異なるコンテナ1200上で、複数のコンテナ識別子1202を測定するために、少なくとも2つの識別子取得装置1004を含む。例えば、サンプルアームアセンブリ104またはz軸支持体110は、キャップ1204上の第3コンテナ識別子1202cを走査するために第1の識別子取得装置1004を支持することができ、第2の識別子取得装置1004は、識別子アームアセンブリ1006によって支持されて、コンテナ1200の底面上の第1コンテナ識別子1202aを走査することができる。代替的または追加的に、識別子取得装置1004の1つは、コンテナ1200の側面で第2コンテナ識別子1202cを走査することができる。実施形態において、1つまたは複数の識別子取得装置1004は、コンテナがペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)から形成される場合など、コンテナ1200を走査するときの信号強度を支援する偏光レンズを含んでもよい。2つ以上の識別子取得装置1004が利用される場合、システム1000は、キャップ1204上の第3コンテナ識別子1202cと、第1コンテナ識別子1202aまたは第2コンテナ識別子1202bのうちの1つ以上とを走査して、(例えば、キャップ104とコンテナ1200との間の関係を確認するために)キャップ104の固有の識別情報をコンテナ1200の固有の識別情報に関連付けることができる。このような走査は、コンテナ1200上のコンテナ識別子1202に関連付けられた情報が時間的に互いに関連付けられるように、実質的に同時に発生する可能性がある。代替的または追加的に、そのような走査は、走査間の既知の時間差を提供するために、走査間の所定の遅延期間などの異なる時間に発生する可能性がある。
【0128】
実施形態において、コンテナ識別子1202は、コンテナ1200を形成する材料にレーザでマークが付される。そのようなレーザマーキングは、コンテナ識別子1202がコンテナ1200またはその中に保持されている流体に浸出するリスクなしに、コンテナ識別子1202を提供することができる。例えば、コンテナ識別子1202は、(例えば、各固有のコンテナ識別子1202をマークするためのソフトウェア制御下で)紫外波長レーザの動作によってPFAコンテナ1200の壁にレーザマーキングすることができる。実施形態において、コンテナ1200の一部は、レーザマーキングプロセスのために、コンテナ1200からある量の材料を除去することにより準備される。例えば、
図36Aおよび36Cに示されるように、コンテナ1200の底面1208の処理された部分1206は、コンテナ1200からある量の材料を除去することによって作成され、第1コンテナ識別子1202aのレーザマーキングのためにレーザを導入する識別子受容領域を提供する。材料の量は、所望の処理済み部分1206を達成するために必要に応じて、物理的プロセス(例えば、旋盤のビット)、化学的プロセス(例えば、化学的エッチング剤)、またはそれらの組み合わせを通じて、識別子受容領域内のコンテナ1200から取り除くことができる。処理済み部分1206はコンテナの底面1208に示されているが、コンテナ1200またはキャップ1204の側壁、キャップの上面などを含むがこれらに限定されない、コンテナ1200またはキャップ1204の他の処理済み部分は、レーザマーキングプロセスのために同様に準備されてもよい(例えば、1つ以上の処理済み部分1206が存在してもよい)。一実施形態では、処理済み部分1206は、例えば、コンテナ1200またはキャップ1204内に(例えば、そのような処理済み部分1206を形成するために材料が除去されると)凹んでいてもよい。
【0129】
実施形態において、システム1000は、コンテナ1200およびキャップ1204をリンスまたはそうでなければ洗浄するための自動洗浄システムを含む。例えば、自動洗浄システムは、コンテナ1200およびキャップ1204(例えば、個別に、互いに密閉されている等)を受容するリンスチャンバを含んでもよい。リンス溶液がコンテナ1200またはキャップ1204に加えられ、加えられたリンス溶液は自動洗浄システムによって(例えば、排出ラインまたはポートを介して)収集される。次に、リンス溶液を、微量元素の濃度または量について(例えば、ICPMSを介して)分析することができ、これにより、システム1000は、固有のコンテナ識別子1202に関連付けられた各コンテナ1200またはキャップ1204の微量元素の濃度または量に関連する情報を格納する。システム1000によって収集されたリンス溶液または他の流体(および対応する汚染レベル)が、洗浄されている特定のコンテナ1200またはキャップ1204に起因するように、各コンテナ1200またはキャップ1204を別々に洗浄することができる。各微量元素分析は、システムメモリに保存される。システム1000は、最初に実行された第1の微量元素分析の結果を2回目に実行された第2の微量元素分析の結果と比較して、特定のコンテナ1200またはキャップ1204に関連する汚染レベルを経時的に追跡し、例えば、汚染レベルが増加しているか減少しているかの判定、または、特定のコンテナ1200またはキャップ1204が所定の汚染レベル閾値を超える汚染レベルを含むかどうかの判定などをする。実施形態において、システム1000は、特定のコンテナ1200またはキャップ1204が所定の汚染レベル閾値を超える汚染レベルを含むことを示すために(例えば、表示装置を介して)警報を生成する。次に、分析、洗浄、廃棄などをさらに汚染するので、コンテナ1200またはキャップ1204をシステム1000から取り除く。したがって、システム1000は、洗浄プロセス後にコンテナ1200またはキャップ1204の清浄度を検証して、適切なレベルの汚染物質(または汚染物質の欠如)が各サンプル分析に存在することを保証することができる。さらに、システムは、コンテナ1200およびコンテナ1200に配置された対応するキャップ1204のそれぞれの清浄度を検証することができ、たとえば、キャップ1204もコンテナ1200も、そこに収容された流体に対して汚染の実質的なリスクをもたらさないことを保証することができる。
【0130】
本発明の特定の実施形態が例示されているが、前述の開示の範囲および主旨から逸脱することなく、本発明の様々な変更および実施形態が当業者によってなされることができることは明らかである。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
【0131】
主題は、構造的構成および/またはプロセス操作に特有の言語で記載されているが、添付の特許請求の範囲に定義された主題は、必ずしも上記の特定の構成または操作に限定されないことを理解されたい。むしろ、上記の特定の構成および操作は、請求項を実施する例示的な形態として開示される。