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特許7432528垂直なクランク軸とカム軸駆動の燃料ポンプを備えた駆動システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】垂直なクランク軸とカム軸駆動の燃料ポンプを備えた駆動システム
(51)【国際特許分類】
   F02M 37/04 20060101AFI20240208BHJP
   B63H 20/00 20060101ALI20240208BHJP
   F02B 67/00 20060101ALI20240208BHJP
   F02B 67/04 20060101ALI20240208BHJP
   F02M 39/02 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
F02M37/04 A
B63H20/00 510
F02B67/00 R
F02B67/04 A
F02B67/04 G
F02M39/02 A
F02M39/02 C
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2020564057
(86)(22)【出願日】2019-05-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-09
(86)【国際出願番号】 GB2019051312
(87)【国際公開番号】W WO2019224520
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-03-11
(31)【優先権主張番号】1807931.9
(32)【優先日】2018-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519042375
【氏名又は名称】コックス パワートレイン リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ジョージ チャイルド
【審査官】楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-110686(JP,A)
【文献】特開平11-062770(JP,A)
【文献】特開2006-002741(JP,A)
【文献】国際公開第2002/038924(WO,A1)
【文献】特開2000-018115(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 37/00~71/04
B63H 20/00
F02B 67/00~67/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船外機用の駆動システムにおいて、前記駆動システムは、推進装置に接続される内燃機関を備え、前記内燃機関は、前記推進装置を駆動するためのクランク軸を備え、使用時には、前記クランク軸は、垂直なクランク軸の軸線を中心として回転するように配置されており、前記内燃機関は、前記内燃機関の1つ又は複数のシリンダバルブを作動させるカム軸をさらに備え、前記カム軸は、前記クランク軸の軸線に平行に配置されたカム軸の軸線を中心として回転するように配置されており、前記駆動システムは、前記内燃機関を作動させるために使用される燃料を加圧するための燃料ポンプをさらに備え、前記燃料ポンプは、前記カム軸によって駆動されるように構成されており、前記燃料ポンプは、入力軸の軸線を中心として回転するように配置された入力軸を備え、前記入力軸の軸線は、前記カム軸の軸線に対して30度~150度の間の角度で配置されており、
前記内燃機関は、第1のシリンダバンク及び第2のシリンダバンクを備え、前記第1のシリンダバンク及び前記第2のシリンダバンクは、前記第1のシリンダバンクを通して延びる第1の平面と前記第2のシリンダバンクを通して延びる第2の平面との間に画定された谷部を有するV字型エンジンブロックの形態で配置されており、前記燃料ポンプは前記谷部内に配置されており、前記V字型エンジンブロックの前記谷部は、反対側の第2の端部よりも前記推進装置に近接して配置された第1の端部を備え、前記燃料ポンプは前記谷部の前記第1の端部に配置されている、船外機用の駆動システム。
【請求項2】
前記入力軸の軸線は、前記カム軸の軸線に対して80度~100度の間の角度で配置されている、請求項1に記載の駆動システム。
【請求項3】
前記入力軸の軸線は、前記カム軸の軸線に対して垂直に配置されている、請求項2に記載の駆動システム。
【請求項4】
前記入力軸の軸線は、使用時に、水平方向に配置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の駆動システム。
【請求項5】
前記カム軸は、中空の軸である、請求項1~4のいずれか一項に記載の駆動システム。
【請求項6】
前記燃料ポンプは高圧燃料ポンプである、請求項1~5のいずれか一項に記載の駆動システム。
【請求項7】
前記燃料ポンプは歯車ポンプである、請求項1~6のいずれか一項に記載の駆動システム。
【請求項8】
前記駆動システムは、前記カム軸を前記燃料ポンプの前記入力軸に接続させるよう構成された伝達アセンブリを備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の駆動システム。
【請求項9】
前記カム軸は、第1の端部において複数のスプラインを備え、前記カム軸が前記伝達アセンブリに対して前記カム軸の軸線に沿って移動可能であるように前記複数のスプラインが前記伝達アセンブリの対応するスプライン付き部品に接続されている、請求項8に記載の駆動システム。
【請求項10】
前記カム軸は、第1の端部に複数のスプラインを備える、請求項9に記載の駆動システム。
【請求項11】
前記伝達アセンブリは、前記燃料ポンプのハウジングに取り外し可能に接続されたケーシングを備える、請求項8~10のいずれか一項に記載の駆動システム。
【請求項12】
前記ケーシングは、潤滑剤を受け入れるように構成された内部空洞を形成する、請求項11に記載の駆動システム。
【請求項13】
前記ケーシングは、前記内燃機関のオイルポンプに接続された入口ポートを備える、請求項12に記載の駆動システム。
【請求項14】
前記伝達アセンブリは、第1のかさ歯車及び第2のかさ歯車を備える、請求項8~13のいずれか一項に記載の駆動システム。
【請求項15】
前記第1のかさ歯車及び第2のかさ歯車は、直線歯又は螺旋歯を有する、請求項14に記載の駆動システム。
【請求項16】
前記第1のかさ歯車及び第2のかさ歯車は整数の歯車比を有する、請求項14又は15に記載の駆動システム。
【請求項17】
前記第1のかさ歯車及び第2のかさ歯車は、非整数の歯車比を有する、請求項14又は15に記載の駆動システム。
【請求項18】
前記伝達アセンブリは、等速ジョイントを備える、請求項8~13のいずれか一項に記載の駆動システム。
【請求項19】
前記伝達アセンブリは、ユニバーサルジョイントを備える、請求項8~13のいずれか一項に記載の駆動システム。
【請求項20】
前記駆動システムは、前記内燃機関及び前記燃料ポンプを包囲するカウリングを備える、請求項1~19のいずれか一項に記載の駆動システム。
【請求項21】
前記駆動システムは、前記カウリング内に受け入れられ、かつ、前記燃料ポンプの出口に流体的に接続された、燃料レールを備える、請求項2に記載の駆動システム。
【請求項22】
前記推進装置は、プロペラ軸線を中心として回転するように構成されたプロペラを備え、前記プロペラ軸線は、前記クランク軸の軸線に対して垂直である、請求項1~2のいずれか一項に記載の駆動システム。
【請求項23】
請求項1~2のいずれか一項に記載の駆動システムを備える船舶用の船外機。
【請求項24】
請求項2に記載の船外機を備える船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動システムに関し、特に専らではないが、船舶の船外機用の垂直な軸線の駆動システムに関する。本発明の他の態様は、垂直なクランク軸の駆動システムを有する船外機と、船外機を装備している船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、船外機の市場は、小型船舶用、すなわちレジャー市場向けに主に設計されたガソリンエンジンが主流である。ガソリンエンジンは一般にディーゼル均等物より軽量であるだけでなく、船外機用の従来のディーゼルエンジンは、近代的な排出基準を満たさないことが多い。しかし、より低い揮発性によるより重いディーゼル燃料の安全性の向上と、母船との燃料適合性のために、軍事操作者からスーパーヨットの所有者まで、様々な利用者がディーゼル船外機を好み始めている。さらに、ディーゼルは、より容易にアクセス可能なインフラストラクチャを備えた、より経済的な燃料源である。
【0003】
以上のことから、ディーゼル船外機は、船外機市場の変革を目指し、海洋研究活動の焦点となっている。
【0004】
現在の排出基準を満たすために、今日、ディーゼル内燃機関は、より高度なチャージシステムを有している。新型エンジンは、出力と排ガスの両面でより良い性能を発揮する。従来、チャージパフォーマーは、マニホールド噴射を介してエンジンの燃焼シリンダに燃料を供給するために気化器を利用していたが、現代のディーゼルエンジンは、性能特性を改善するために直接シリンダ噴射を使用している。加圧された燃料を燃焼室に直接的に噴射することにより、より良いエンジン経済性と排出制御をもたらすより良い空気燃料混合物を達成することが可能である。
【0005】
特に、船外機などの垂直駆動システムでは、直接シリンダ噴射を利用するには、高圧ポンプを使用する必要がある。通常、この目的のために容積型ポンプが採用される。公知の駆動システムの中には、エンジンのクランク軸から直接的に駆動される高圧容積型ポンプを有するものがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、クランク軸から燃料ポンプを駆動することには、多くの問題がある。第1に、限られた実装空間に起因して、クランク軸の端部に高圧燃料ポンプを直接的に取り付けることで嵩張る配置となることは一般に望ましくない。その結果、既存の空間的な範囲内に高圧ポンプを配置するために、複雑な伝達構成が採用されることが多い。従来技術の上記の欠点を考慮して、従来の解決策に関連する課題を克服し、既存の実装空間の使用を最適化し、ポンプの有効性を増す、新規な船外機用の駆動システムを提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、船外機用の駆動システムにおいて、駆動システムは、推進装置に接続される内燃機関を備え、内燃機関は、推進装置を駆動するためのクランク軸を備え、使用時には、クランク軸は、実質的に垂直なクランク軸の軸線を中心として回転するように配置されており、内燃機関は、内燃機関の1つ又は複数のシリンダバルブを作動させるカム軸をさらに備え、カム軸は、クランク軸の軸線に実質的に平行に配置されたカム軸の軸線を中心として回転するように配置されている、船外機用の駆動システムが提供される。駆動システムは、内燃機関を作動させるために使用される燃料を加圧するための燃料ポンプをさらに備え、燃料ポンプは、カム軸によって駆動されるように構成されている。燃料ポンプは、入力軸の軸線を中心として回転するように配置された入力軸を備え、入力軸の軸線は、カム軸の軸線に対して30度~150度の間の角度で配置されている。
【0008】
船外機用の駆動システムは、通常、垂直なクランク軸を備えているので、回転軸線が垂直なクランク軸と平行である、標準的な向きに向いていれば、燃料ポンプの向きに問題が生じる可能性がある。特に、燃料ポンプは、それが作動される向きに敏感である。すなわち、高圧燃料ポンプは、ポンプ軸が垂直に配置されている、すなわち、クランク軸と一直線に配置されている場合のように、ポンプ回転軸に沿ったかなりのスラスト荷重を担持するようには設計されていない。本発明の駆動システムは、以下の明細書を完全に読み取ることから明らかなように、これらの欠点及び他の欠点に対処しようとするものである。
【0009】
本明細書において、「カム軸によって駆動される」燃料ポンプは、燃料ポンプの流体圧の出力がカム軸の回転速度に直接的に依存するように、燃料ポンプがカム軸に接続されることを意味する。この特定の配置は、既存の実装空間を最も効果的に使用できるという利点を有する。カム軸を使用してポンプを駆動することで、内燃機関の外部により容易にアクセスできるようにポンプを配置できるので、駆動システムのメンテナンスも容易になる。従来、燃料ポンプがエンジンのクランク軸から直接的に駆動される場合があったが、本発明では、駆動力が最終的にクランク軸から導出されるが(本明細書に記載されるタイプの内燃エンジンで生成される全ての回転動力と同様に)、本発明では、カム軸はクランク軸と燃料ポンプとの間の駆動系内に存在する。
【0010】
本明細書において、「垂直」という用語は、本明細書に記載される燃焼エンジン又は軸に適用される場合、エンジンの通常の使用中に関連する軸の向きを反映することを意図している。したがって、当業者は、例えば、垂直なクランク軸又はカム軸の軸線が、エンジンの使用中に実質的に垂直方向に向いているものであることを理解するであろう。船外機において、これは、関連の軸線が、発動機から船外機の下側部分へ延びる軸線に対して実質的に平行であること、又は、あるいは船外機の脚と実質的に一直線にあることを意味すると理解されるであろう。垂直は、通常の方法、すなわち、エンジンの通常の使用中において重力方向によって定義される方法で理解される。
【0011】
燃料ポンプは、入力軸の軸線を中心として回転するように配置された入力軸を備え、入力軸の軸線は、カム軸の軸線に対して30度~150度の間の角度で配置されている。入力軸の軸線は、カム軸の軸線に対して80度~100度の間の角度で配置されていることが好ましい。一実施形態では、入力軸の軸線は、カム軸の軸線に対して実質的に垂直に配置されうる。本発明の駆動システムでは、クランク軸及びカム軸は垂直方向に配置されている。したがって、ポンプの入力軸の軸線をカム軸の軸線に対して垂直に配置することによって、ポンプを実質的に水平方向に配置することができる。これにより、ポンプはポンプの回転軸線に沿ったかなりのスラスト荷重を担持する必要がないので、高圧燃料ポンプがより効果的に作動するようになる。
【0012】
別の実施形態では、カム軸は、実質的に中空の軸である。これにより、駆動システムの重量が軽減され、以下でより詳細に説明する伝達アセンブリのためのアクセスポイントが提供されるであろう。
【0013】
燃料ポンプは、高圧燃料ポンプとしうる。このように、燃料ポンプは、燃焼シリンダに噴射するために100MPa(1000bar)~300MPa(3000bar)の圧力で加圧燃料を供給するために使用することができる。燃料ポンプは、歯車ポンプとしうる。燃料ポンプとして歯車ポンプを実装することは、カム軸からの回転エネルギーをポンプの回転入力軸に直接的に適用できるという利点がある。
【0014】
さらに別の実施形態によれば、駆動システムは、カム軸を燃料ポンプの入力軸に接続させるように構成された伝達アセンブリを備える。前述のように、燃料ポンプの入力軸の軸線がカム軸の軸線に対して角度をなして配置されている場合、伝達アセンブリは、カム軸と入力軸との間の角度接続及び力伝達を確立するために使用されうる。伝達アセンブリは、燃料ポンプの一体的な部分としうる。あるいは、伝達アセンブリは、カム軸と燃料ポンプとの間に取り外し可能に接続された別個の部品としうる。伝達アセンブリは、カム軸の回転エネルギーを、燃料ポンプの入力軸に対して必要な入力速度及びトルクに変換するための歯車を備えうる。
【0015】
カム軸は、カム軸が伝達アセンブリに対してカム軸の軸線に沿って移動可能であるように伝達アセンブリに接続されうる。本駆動システムの垂直配置では、本実施形態のカム軸は、その垂直なカム軸の軸線に沿って上下方向に移動可能でありつつ、伝達アセンブリを介して燃料ポンプへの接続を維持する。この配置によって、トルクをカム軸から燃料ポンプへ移送可能としつつ、カム軸の回転軸線に沿った運動が可能となる。言い換えれば、カム軸は、伝達アセンブリに流動的に接続されている。一実施形態では、従って、カム軸は、第1の端部において複数のスプラインを備えうる。第1の端部は、燃料ポンプに接続され、好ましくは、カム軸の下端に配置されている。スプラインは、カム軸の内面又は外面に配置され、伝達アセンブリの対応するスプライン付き部品と接続するようにしうる。
【0016】
伝達アセンブリは、燃料ポンプのハウジングに取り外し可能に接続されたケーシングを備えうる。そのため、伝達アセンブリは、メンテナンス目的のために燃料ポンプから容易に取り外し可能である。ケーシングは、また、潤滑剤を受け入れるように構成された内部空洞を形成しうる。ケーシングは、内燃機関のオイルポンプに接続された入口ポートを備えうる。したがって、伝達アセンブリには、既存の潤滑システムによって潤滑剤を供給することができ、追加のオイルリザーバを設ける必要はない。
【0017】
別の実施形態では、伝達アセンブリは、第1のかさ歯車及び第2のかさ歯車を備える。第1のかさ歯車及び第2のかさ歯車は、ケーシングの内部空洞の内部に配置されており、ケーシングの内部空洞は、ケーシングの潤滑チャンバとしても同時に作用する。第1のかさ歯車及び第2のかさ歯車は、カム軸と燃料ポンプの入力軸とを所望の角度、例えば90度で連結するようになっている。第1のかさ歯車及び第2のかさ歯車は、カム軸の回転エネルギーを燃料ポンプの入力軸に伝達するために噛み合い係合している、直線歯又は螺旋歯を有しうる。
【0018】
第1のかさ歯車及び第2のかさ歯車は、整数の歯車比を有しうる。あるいは、第1のかさ歯車及び第2のかさ歯車は、非整数の歯車比を有しうる。
【0019】
別の実施形態では、伝達アセンブリは、等速ジョイントを備えうる。さらに別の実施形態では、伝達アセンブリは、ユニバーサルジョイントを備えうる。
【0020】
内燃機関は、第1のシリンダバンク及び第2のシリンダバンクを備え、第1のシリンダバンク及び第2のシリンダバンクは、第1のシリンダバンクを通して延びる第1の平面と第2のシリンダバンクを通して延びる第2の平面との間に画定された谷部を有するV字型エンジンブロック内に配置されており、燃料ポンプは谷部内に配置されている。燃料ポンプを谷の中において、少なくとも第1のシリンダバンクの平面と第2のシリンダバンクの平面の間において、選択的にこれらシリンダバンク自体の間に配置することにより、船外機のカウリング内の利用可能な実装空間の使用を最適化する。
【0021】
V字型エンジンブロックの谷部は、V字型エンジンブロックの谷部は、反対側の第2の端部よりも推進装置に近接して配置された第1の端部を備え、燃料ポンプは谷部の第1の端部において又は当該端部に向けて配置されうる。換言すれば、燃料ポンプは、谷部の下端において又はに向けて配置されうる。この構成によって、カム軸は、その下端において、その対応するバルブブロックから単純に突出しうるので、伝達アセンブリを介して、カム軸と燃料ポンプの入力軸との間の接続を補助する。
【0022】
さらに別の実施形態によれば、駆動システムは、内燃機関及び燃料ポンプを包囲するカウリングを備える。燃料レールは、カウリング内に受け入れられ、燃料ポンプの出口ポートに流体的に接続されうる。燃料ポンプと同様に、噴射器レールは、V字形エンジンブロックの谷部の中に、又は、少なくとも第1のシリンダバンクの平面と第2のシリンダバンクの平面の間に配置することができる。
【0023】
別の実施形態では、推進装置は、プロペラ軸線を中心として回転するように配置されたプロペラを備えることができ、プロペラ軸線は、クランク軸の軸線に対して実質的に垂直である。
【0024】
本発明の別の態様では、前述した駆動システムを備える船舶用の船外機が提供される。
【0025】
本発明のさらに別の態様では、船外機を備える船舶が提供される。
【0026】
本出願の範囲内において、先の段落、特許請求の範囲、及び/又は、以下の説明及び図面に示された種々の態様、実施態様、実施例及び代替案、特にその個々の特徴は、独立して又は任意の組合せで理解されうることが明確に意図されている。すなわち、全ての実施例、及び/又は、任意の実施例の特徴は、そのような特徴が互換性を有していない限り、任意の方法及び/又は組合せで組み合わせることができる。出願人は、最初に特許請求されていない場合であっても、任意の他の請求項に従属するように、かつ/又は、任意の他の請求項の任意の特徴を組み込むように、最初に提出された請求項を補正する権利を留保する。
【0027】
以下の詳細な説明では、添付図面を参照しつつ、単なる例として、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、船外機を備える小型船舶の概略側面図である。
図2a図2aは、その傾斜位置における船外機の模式図である。
図2b図2bは、船外機の種々の位置調整された位置及び水域内の船舶の対応する方向を示す。
図2c図2cは、船外機の種々の位置調整された位置及び水域内の船舶の対応する方向を示す。
図2d図2dは、船外機の種々の位置調整された位置及び水域内の船舶の対応する方向を示す。
図3図3は、本発明の一実施形態による駆動システムを有する船外機の概略断面図を示す.
図4図4は、排気経路に沿った図3に示す船外機の別の断面を示す。
図5図5は、本発明に係る駆動システムの一実施形態の一部断面斜視図を示す。
図6a図6aは、1つの変形例に係る伝達アセンブリの概略断面図を示す図である。
図6b図6bは、背景の関心のみのために含まれる伝達アセンブリの概略的な断面を示す。
図7a図7aは、接続状態の高圧ポンプ及び伝達アセンブリの斜視図を示す図である。
図7b図7bは、図7aの伝達アセンブリの斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1を参照すると、船外機2を備えた船舶1の概略側面図が示されている。船舶1は、テンダーやスキューバダイビングボートなどの船外機と共に使用するのに適した任意の種類の船舶とすることができる。この詳細な説明は、船舶用の船外機に具現化された発明の駆動システムを指すが、本発明の駆動システムは、代替的に、種々の他のエンジンの用途、具体的には、エンジンが垂直に作動されるもの、すなわち、クランク軸が垂直に延びる軸線に沿って配向されている場合に使用されうることが理解されよう。そのような代替実施形態は、ヘリコプタ駆動システム、船内機の船舶用エンジン、発電モジュール、飛行船等を含む。
【0030】
図1に示す船外機2に戻ると、船外機2は、船舶1の船尾部に取り付けられている。船外機2は、通常、船舶1の船体内に受け入れられている燃料タンク3に接続されている。リザーバ又はタンク3からの燃料は、燃料ライン4を介して船外機2に供給される。燃料ライン4は、燃料タンク3と船外機2との間に配置された、一括して配置された、1つ又は複数のフィルタと低圧ポンプと蒸発器タンクを表しうる。
【0031】
以下の図3を参照してより詳細に説明するように、船外機2は、概して、3つの部分、すなわち、上側部分21と中間部分22と下側部分23に分割される。これら3つの部分21、22及び23は、カウリング6によって一括して包囲されている。プロペラ8は、船外機のギアボックスとしても知られる下側部分に回転可能に配置されている。当然、作動中、プロペラ8は、少なくとも部分的に水中に沈められ、船舶1を推進させるために、様々な回転速度で作動させることができる。
【0032】
典型的には、船外機2は、ピボットピンによって船舶1の船尾部に回動可能に接続されている。このピボットピンの回りの回動によって、操作者が、公知の方法で、水平軸の周りに船外機を傾斜させて位置調整することを可能にする。
【0033】
傾斜動作とは、船外機2の下側部分を、プロペラを水面まで上昇させるか又は完全に水面から出るまで上昇させる動きである。船外機の傾斜動作は、通常、船外機の電源を切った状態又は中立状態で行う。前述したように、適切に作動させるためには、船外機2の下側部分及びプロペラが水中に延びている必要がある。しかし、極端に浅い海域では、あるいは、トレーラーからボートを進水させる際に、船外機の下側が下方に傾斜した位置にある場合、船外機の下側部分が海底で引きずられたり、ボートが傾斜したりすることがある。船外機を傾斜させて図2aに示す位置のように上方に傾斜した位置に傾けると、下側部分やプロペラの損傷を防ぐことができる。
【0034】
対照的に、位置調整は、図2b~図2dの3つの例に示すように、完全に下降した位置から数度上向きに、比較的小さな範囲にわたって船外機を移動させる機構である。位置調整は、対応する船舶の加速及び高速動作の最良の組合せを提供する方向にプロペラの推力を導くのに役立つであろう。
【0035】
ボートが平面上にある場合、すなわち、船舶の重量が、静水揚力ではなく、流体力学的揚力によって主に支持されている場合、船首上げ構成は、抗力が比較的少なく、比較的大きな安定性及び効率をもたらす。これは、例えば図2bに示すように、ボート又は船舶1の中心線が約3度~5度で上向き傾斜した場合に一般的に当てはまる。
【0036】
傾斜が多すぎると、図2cに示す位置などのように、水中でボートの船首が高すぎる状態になる。この形態では、ボートの船体が水を押しており、その結果、より多くの空気抵抗が生じるので、性能と経済性は減少する。上方への傾斜が多すぎると、プロペラが通気し、性能がさらに低下することもある。さらに厳しい場合には、ボートが水中で跳び、操作者と乗客がボード外に投げてしまう可能性がある。
【0037】
下方に傾斜すると、ボートの船首が下がり、立ち上がりからの加速に役立つ。図2dに示すように、下方への傾斜が多すぎると、ボートが水中を「かきわけ(plough)」、燃費が落ちて速度が上がりにくくなる。高速では、下方への傾斜により船舶が不安定になることさえある。
【0038】
図3を参照すると、本発明の一実施形態による駆動システムを有する船外機2の概略断面が示されている。船外機2は、前述した傾斜及び位置調整動作を行う傾斜及び位置調整機構7を備えている。この実施形態では、傾斜及び位置調整機構7は、電気制御システムを介して船外機2を傾斜させ位置調整するように作動させることができる流体圧アクチュエータ71を有する。あるいは、図3に示す流体圧アクチュエータを使用するのではなく、操作者が手で船外機を回動させる、手動の傾斜及びトリム機構を提供することも実現可能である。
【0039】
前述したように、船外機2は、概ね3つの部分に分割されている。発動機としても知られる上側部分21は、燃焼エンジン30を有し、これについては以下により詳細に説明する。発動機の上側部分21に隣接して下方に延びている、排気ハウジングとも知られる中間部分22が設けられている。中間部分22又は排気ハウジングは、上側部分21を下側部分23に接続し、燃焼エンジン30のクランク軸31に接続された駆動軸41を収容している。同時に、中間部分22は、通常、燃焼室の出口から下側部分23に向けて排気ガスを輸送する排気経路を規定している。下側部分23は、中間部分22に隣接して下方に延在している。表面空気がプロペラ8の負圧側に吸い込まれるのを防止する通気防止プレート51が、中間部分22を下側部分23から分離している。
【0040】
船外機2の発動機又は上側部分21に設けられた燃焼エンジン30に戻って参照すると、4ストロークV6ディーゼルエンジンの片側の模式図が示されている。図5に示すV8の実施形態のようなV字形シリンダバンクには、任意の他の量のシリンダを使用することができることが理解されよう。当業者は、また、直列配置などの他の任意の配置を代替的に利用することもできることを理解するであろう。最後に、図3及び図5は4ストローク型エンジンを図示しているが、本発明の駆動システムは等価的に2ストローク型燃焼エンジンとして構成することができる。
【0041】
図3に概略的に示す燃焼エンジン30は、種々の燃焼室/シリンダ33a、33b、33cを有する。燃焼シリンダ33a、33b、33cの各々は、移動可能なピストン35a、35b、35cを備えている。ピストン35a~35cの各々は、その後端において、当技術分野でよく知られているように、クランク軸31に接続されている。ピストン35a~35cは、クランク軸31をシリンダ33a~33cの燃焼区間から、すなわち、対応する入口弁37a、37b、37c及び出口弁38a、38b及び38cによって制御される入口ポート及び出口ポートから分離する。
【0042】
クランク軸31は、その下端において、フローティングコネクタ53(例えば、スプライン接続)を介して駆動軸41に接続され、これにより、駆動軸及びクランク軸31は、クランク軸31の垂直な軸線に沿って互いに移動することができる。駆動軸41の下端には、駆動軸41の回転エネルギーを水平方向にプロペラ8に供給するギアボックス/変速機(伝達装置)が設けられている。より詳細には、駆動軸41の底端は、プロペラ8の水平な入力軸83に回転可能に接続された一対のかさ歯車に接続されたかさ歯車を有しうる。
【0043】
図3はまた、燃焼エンジン故障時のフェイルセーフ対策として、駆動軸41を入力軸83から切り離すために使用され得る切り離し機構45を概略的に示す。
【0044】
クランク軸31には、その上端において、フライホイール39が設けられている。図3に詳細には示されていないが、フライホイールは、クランク軸に接続されたプーリを有する。クランク軸プーリは、タイミングベルト81を介してカム軸61の駆動プーリ63に連結されている。
【0045】
カム軸61は、クランク軸31と平行に、即ち、図3の実質的に垂直な軸線に沿って延びている。一般に知られているように、カム軸61は、入口弁37a、37b、37c及び出口弁38a、38b及び38cを正確にタイミングを合わせて作動させるための様々なカムを有している。クランク軸とカム軸との間の回転速度比は、従来、プーリ及びそれらに対応するタイミングベルトによって設定されている。
【0046】
カム軸61の下端部、すなわち、駆動プーリ63と反対側の端部には、高圧燃料ポンプ91が設けられている。一例では、高圧燃料ポンプは容積型ポンプとしうる。好ましくは、高圧燃料ポンプ91は回転歯車ポンプとしうる。回転力の入力は、カム軸61によって直接的に供給される。
【0047】
高圧燃料ポンプ91は、燃料タンク3を船外機2と接続させる燃料供給ライン4に含まれる前述の低圧燃料ポンプ(図示せず)に接続される入口ポート(図示せず)を備える。高圧ポンプ91に供給された燃料は、流体導管93に沿って燃料レール95に向けて高流量でポンプ91の出口ポートを介して噴射される。燃料導管93内で高流量の燃料によって、燃料レール95内に高圧が存在することとなり、燃料レール95に接続された対応する噴射器によって同期された方法で燃焼室33a~33cに噴射されることになる。燃料レール95に存在する圧力は、例えば、200MPa(2000bar)と高くしうる。
【0048】
前述したように、高圧燃料ポンプ91をカム軸61から直接的に駆動し、駆動システム内、特に本実施形態の船外機の発動機内で利用可能な限定された実装空間の使用を最適化する。
【0049】
図4を参照すると、船外機2の横方向の概略断面が示されている。この断面は、6つの燃焼シリンダ33a、33b、33c、33d、33e、33fの出口ポート36a、36b、36c、36d、36e、36fを模式的に示している。出口ポート36a~36fは、船外機2の中間部分22及び下側部分23を通って延びる共通の排気経路47内に通じている。したがって、燃焼シリンダ33a~33fから噴出された排気ガスは、プロペラ8の排気開口87を通して通気される。排気開口87は排気経路47に接続される。
【0050】
図4には示されていないが、中間部分22の下端部又は下側部分23は、燃焼エンジン30を冷却するために海水が船外機のハウジング構造に入り込むことができる冷却入口を有しうる。
【0051】
図5を参照すると、本発明による別の実施形態の駆動システムが示されている。図5の実施形態では、燃焼エンジン130は、V8エンジンによって表される。特に、図5のV8燃焼エンジン130は、第1のシリンダバンク132及び第2のシリンダバンク134を有する。第1のシリンダバンク132及び第2のシリンダバンク134は、V字形状に配置されている。したがって、谷部155が、第1のシリンダバンク132と第2のシリンダバンク134の間に形成される。より詳細には、第1のシリンダバンク132は、第1のシリンダバンク132の燃焼シリンダと交差する第1の平面を画定する。第2のシリンダバンク134は、第2のシリンダバンク134の燃焼シリンダと交差する平面を画定する。谷部155は、第1のシリンダバンク132と第2のシリンダバンク134によって画定される2つの平面の間に位置する。高圧燃料ポンプ191が、2つのシリンダバンク132、134の間の谷部155内に配置されている。特に、高圧燃料ポンプ191は、谷部155の下端において又は下端に向けて接続され、これにより、燃料ポンプ191とカム軸161との間の機械的接続が容易になる。
【0052】
高圧燃料ポンプ191は、対応する燃料レール195a、195bに接続される。燃料レール195a及び195bの両方は、第1のシリンダバンクと第2のシリンダバンクの間の谷部155内に配置されている。第1の燃料レール195aは、第1のシリンダバンク132の燃焼シリンダに加圧燃料を供給するようになっている。第2の燃料レール195bは、第2のシリンダバンク134のシリンダに加圧燃料を供給するようになっている。
【0053】
断面の第1のシリンダバンク132にのみ示されているが、シリンダバンク132、134の各々は、それぞれの垂直な軸線に沿って互いに平行に延びる2つの平行なカム軸を有しうる。第1のシリンダバンク132の第1のカム軸161aは、対応する駆動プーリ及びタイミングベルト181を介して燃焼エンジン130のクランク軸131に接続される。図示の任意の構成では、第2のカム軸161bは、その上端で、噛み合い歯車165a、165bを介して第1のカム軸161aに連結されているが、各カム軸上に位置し、各々タイミングベルト181に係合する従来のプーリ車輪を使用することができる。図示の第2のカム軸161bは、従って、第1のカム軸161aと同じ速度で、逆方向に回転することになる。噛み合い歯車165a、165bは、それらの対応するカム軸の上端に配置されている。第1のカム軸161a及び第2のカム軸161bは、駆動システムの軽量化のために中空軸としうる。
【0054】
第1のシリンダバンク132の第1のカム軸161aの反対側の底端では、高圧ポンプ191は、第1のカム軸161aと接続される。詳細には、本実施形態の駆動システムは、第1のカム軸161aの下端部を高圧ポンプ191の入力軸と接続させる伝達アセンブリ200を有する。
【0055】
第2のシリンダバンク134の構成は、第1のシリンダバンク132の構成と実質的に同一であることが理解されるであろう。特に、第2のシリンダバンク134の第1のカム軸161cは、タイミングベルト181と、第1のカム軸161cの上端に接続された対応する駆動プーリとによっても駆動される。しかしながら、第1のシリンダバンク132及び第2のシリンダバンク134の両方に高圧燃料を供給する単一の高圧ポンプ191を設けることが好ましい。したがって、第2のシリンダバンク134の第1のカム軸161cの回転運動は、好ましくは、高圧ポンプ191を駆動するために必要とされない。
【0056】
例示的実施形態の図5に示された伝達アセンブリ200は、図6aに概略的に示されている。
【0057】
図6aの実施形態では、かさ歯車201が第1のカム軸161aの端部に配置されている。かさ歯車201は、高圧ポンプ191の入力軸207上に位置する対応する、1つ又は複数の、選択的に一対の、かさ歯車203、205と噛み合う。したがって、実質的に垂直な軸線を中心としたカム軸161aの回転は、実質的に水平な方向に入力軸207の回転に伝達されることができる。これにより、水平設置での高圧ポンプの動作が可能になる。
【0058】
図6bの伝達アセンブリの例では、追加のカム211がカム軸161aの底端部に設けられている。参照番号213で概略的に参照される従動子は、従来のシリンダバルブと同様に、連続的にカム211の外面に押し付けられ、カム従動子として作用する。従動子213は、高圧ポンプの入力軸217を往復的に駆動する。入力軸は、従来公知のピストンポンプを駆動するように構成することができる。
【0059】
図6a及び図6bの両方の実施形態における第1のカム軸161aの下端は、伝達アセンブリ200の入力かさ歯車201又は入力カム211と流体的に接続されうる。特に、第1のカム軸161aの垂直な軸線に沿った伝達アセンブリ200に対する第1のカム軸161aの移動を可能にしつつ、トルクの伝達を可能にする、フローティングコネクタを設けることができる。フローティングコネクタは、カム軸161aの下端と入力かさ歯車201又は入力カム211の対応する上端との間のスプライン接続としてそれぞれ形成することができる。
【0060】
図6a及び図6bに示す伝達アセンブリの部品の全てが、伝達アセンブリケーシング220の内側に受け入れられていることが理解されよう。これについては、図7a及び図7bを参照してより詳細に説明する。図7aは、高圧燃料ポンプ191に接続された伝達アセンブリ200を示す。伝達アセンブリのケーシング220は、高圧燃料ポンプ191のハウジング構造に取り外し可能に接続可能であることが好ましい。この目的のために、伝達アセンブリ200のケーシング220は、高圧ポンプ191の対応するフランジ部分に取り付けられかつ、複数の締結ボルト(図示せず)によって高圧ポンプ191に取り付けられることができる、フランジ部分221を有する。伝達アセンブリ200のケーシング220は、潤滑剤のための容器として、例えば、その中に収容された機械部品を潤滑するためのオイルパンとして構成される。好ましくは、燃焼エンジンのオイルポンプからの潤滑剤は、潤滑剤供給ダクト223を介してケーシング220の内部に供給されうる。潤滑剤供給ダクト223は、燃焼エンジン130のオイル通路に直接的に接続することができる。ケーシング220の内部に供給される潤滑剤は、例えば、一対のかさ歯車203、205によってケーシング内に分布されうる。
また、本開示は以下の発明を含む。
第1の態様は、
船外機用の駆動システムにおいて、前記駆動システムは、推進装置に接続される内燃機関を備え、前記内燃機関は、前記推進装置を駆動するためのクランク軸を備え、使用時には、前記クランク軸は、実質的に垂直なクランク軸の軸線を中心として回転するように配置されており、前記内燃機関は、前記内燃機関の1つ又は複数のシリンダバルブを作動させるカム軸をさらに備え、前記カム軸は、前記クランク軸の軸線に実質的に平行に配置されたカム軸の軸線を中心として回転するように配置されており、前記駆動システムは、前記内燃機関を作動させるために使用される燃料を加圧するための燃料ポンプをさらに備え、前記燃料ポンプは、前記カム軸によって駆動されるように構成されており、前記燃料ポンプは、入力軸の軸線を中心として回転するように配置された入力軸を備え、前記入力軸の軸線は、前記カム軸の軸線に対して30度~150度の間の角度で配置されている、船外機用の駆動システムである。
第2の態様は、
前記入力軸の軸線は、前記カム軸の軸線に対して80度~100度の間の角度で配置されている、第1の態様における駆動システムである。
第3の態様は、
前記入力軸の軸線は、前記カム軸の軸線に対して実質的に垂直に配置されている、第2の態様における駆動システムである。
第4の態様は、
前記入力軸の軸線は、使用時に、実質的に水平方向に配置されている、第1の態様~第3の態様のいずれか1つにおける駆動システムである。
第5の態様は、
前記カム軸は、実質的に中空の軸である、第1の態様~第4の態様のいずれか1つにおける駆動システムである。
第6の態様は、
前記燃料ポンプは高圧燃料ポンプである、第1の態様~第5の態様のいずれか1つにおける駆動システムである。
第7の態様は、
前記燃料ポンプは歯車ポンプである、第1の態様~第6の態様のいずれか1つにおける駆動システムである。
第8の態様は、
前記駆動システムは、前記カム軸を前記燃料ポンプの前記入力軸に接続させるよう構成された伝達アセンブリを備える、第1の態様~第7の態様のいずれか1つにおける駆動システムである。
第9の態様は、
前記カム軸は、前記カム軸が前記伝達アセンブリに対して前記カム軸の軸線に沿って移動可能であるように前記伝達アセンブリに接続されている、第8の態様における駆動システムである。
第10の態様は、
前記カム軸は、第1の端部に複数のスプラインを備える、第9の態様における駆動システムである。
第11の態様は、
前記伝達アセンブリは、前記燃料ポンプのハウジングに取り外し可能に接続されたケーシングを備える、第8の態様~第10の態様のいずれか1つにおける駆動システムである。
第12の態様は、
前記ケーシングは、潤滑剤を受け入れるように構成された内部空洞を形成する、第11の態様における駆動システムである。
第13の態様は、
前記ケーシングは、前記内燃機関のオイルポンプに接続された入口ポートを備える、第12の態様における駆動システムである。
第14の態様は、
前記伝達アセンブリは、第1のかさ歯車及び第2のかさ歯車を備える、第8の態様~第13の態様のいずれか1つにおける駆動システムである。
第15の態様は、
前記第1のかさ歯車及び第2のかさ歯車は、直線歯又は螺旋歯を有する、第14の態様における駆動システムである。
第16の態様は、
前記第1のかさ歯車及び第2のかさ歯車は整数の歯車比を有する、第14の態様又は第15の態様における駆動システムである。
第17の態様は、
前記第1のかさ歯車及び第2のかさ歯車は、非整数の歯車比を有する、第14の態様又は第15の態様における駆動システムである。
第18の態様は、
前記伝達アセンブリは、等速ジョイントを備える、第8の態様~第13の態様のいずれか1つにおける駆動システムである。
第19の態様は、
前記伝達アセンブリは、ユニバーサルジョイントを備える、第8の態様~第13の態様のいずれか1つにおける駆動システムである。
第20の態様は、
前記内燃機関は、第1のシリンダバンク及び第2のシリンダバンクを備え、前記第1のシリンダバンク及び前記第2のシリンダバンクは、前記第1のシリンダバンクを通して延びる第1の平面と前記第2のシリンダバンクを通して延びる第2の平面との間に画定された谷部を有するV字型エンジンブロック内に配置されており、前記燃料ポンプは前記谷部内に配置されている、第1の態様~第19の態様のいずれか1つにおける駆動システムである。
第21の態様は、
前記V字型エンジンブロックの前記谷部は、反対側の第2の端部よりも前記推進装置に近接して配置された第1の端部を備え、前記燃料ポンプは前記谷部の前記第1の端部に配置されている、第20の態様における駆動システムである。
第22の態様は、
前記駆動システムは、前記内燃機関及び前記燃料ポンプを包囲するカウリングを備える、第1の態様~第21の態様のいずれか1つにおける駆動システムである。
第23の態様は、
前記駆動システムは、前記カウリング内に受け入れられ、かつ、前記燃料ポンプの出口に流体的に接続された、燃料レールを備える、第22の態様における駆動システムである。
第24の態様は、
前記推進装置は、プロペラ軸線を中心として回転するように構成されたプロペラを備え、前記プロペラ軸線は、前記クランク軸の軸線に対して実質的に垂直である、第1の態様~第23の態様のいずれか1つにおける駆動システムである。
第25の態様は、
第1の態様~第24の態様のいずれか1つにおける駆動システムを備える船舶用の船外機である。
第26の態様は、
第25の態様における船外機を備える船舶である。
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7a
図7b