(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】フィルタアセンブリと、それを含む体液を収集するための容器
(51)【国際特許分類】
A61M 1/36 20060101AFI20240208BHJP
A61M 1/02 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
A61M1/36 119
A61M1/02 100
(21)【出願番号】P 2020570708
(86)(22)【出願日】2019-06-19
(86)【国際出願番号】 EP2019066239
(87)【国際公開番号】W WO2019243439
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-05-17
(32)【優先日】2018-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519173967
【氏名又は名称】フレセニウス ヘモケア イタリア ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】100124648
【氏名又は名称】赤岡 和夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154450
【氏名又は名称】吉岡 亜紀子
(72)【発明者】
【氏名】ザンビアンキ,ラウラ
(72)【発明者】
【氏名】マトセル,ティモ
(72)【発明者】
【氏名】ムラス,ジュゼッペ,アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェッリ,パオロ
【審査官】大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-155012(JP,U)
【文献】特表2015-506241(JP,A)
【文献】国際公開第2016/196584(WO,A1)
【文献】特開2003-265605(JP,A)
【文献】特開平2-271868(JP,A)
【文献】特表2010-531167(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/36
A61M 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前置フィルタ支持層(84)と、前記前置フィルタ支持層(84)の下流に配置された第1のメッシュフィルタ層(85)を含むフィルタアセンブリであって、前記前置フィルタ支持層(84)は繊維の不織布を含み、前記不織布はある細孔サイズを有し、前記第1のメッシュフィルタ層(85)は第1のメッシュサイズを有し、前記前置フィルタ層(84)の前記細孔サイズは前記第1のメッシュフィルタ
層(85)の前記第1のメッシュサイズ以上であり、
前記フィルタアセンブリ(6)は、前記第1のメッシュフィルタ層(85)の下流に配置されたフィルタ保持部(7)を備え、前記フィルタ保持部(7)は、前記前置フィルタ支持層(84)と前記第1のメッシュフィルタ層(85)の両方に接触して安定化するように構成されて
おり、
前記第1のメッシュフィルタ層(85)は、前記前置フィルタ支持層(84)の前記フィルタ保持部(7)に面する側に配置されている、フィルタアセンブリ。
【請求項2】
前記フィルタ保持部はプラスチック製であり、前記前置フィルタ支持層(84)の一部および前記第1のメッシュフィルタ層(85)の一部の上にオーバーモールドされている、請求項1に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項3】
前記前置フィルタ支持層(84)の上流に配置された第2のメッシュフィルタ層(86)を備え、前記第2のメッシュフィルタ層(86)は第2のメッシュサイズを有し、前記第2のメッシュフィルタ層(86)の前記第2のメッシュサイズは、前記前置フィルタ支持層(84)の細孔サイズ以上である、請求項1または請求項2に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項4】
前記前置フィルタ支持層(84)はスパンボンド不織布を含む、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項5】
前記前置フィルタ支持層(84)の繊維の少なくとも一部がそれぞれ、それぞれの繊維の長手方向に延びる少なくとも1つの溝を含む、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項6】
前記繊維の少なくとも一部が葉状断面、特に、三葉断面を有する、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項7】
前記前置フィルタ支持層(84)と前記第1のメッシュフィルタ層(85)と前記第2のメッシュフィルタ層(86)は、少なくとも2つ、
または、少なくとも3つの異なる細孔サイズまたは異なるメッシュサイズのろ過能力の異なる区域を有する、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項8】
前記前置フィルタ支持層(84)、前記第1のメッシュフィルタ層(85)、および、任意で前記第2のメッシュフィルタ層(86)が、垂直方向の伸長方向にわたって、および、水平方向の伸長方向にわたって延び、
前記垂直方向の伸長方向は前記フィルタアセンブリの通常の操作の間、垂直に配列され、前記水平方向の伸長方向は前記フィルタアセンブリの通常の操作の間、水平に配列され、
前記前置フィルタ(84)の前記不織布、前記第1のメッシュフィルタ層、および、前記第2のメッシュフィルタ層の少なくとも1つは、前記垂直方向の伸長方向において第1の高さに第1の区域(87)と、前記垂直方向の伸長方向において第2の高さに第2の区域(88)とを有し、前記第1の区域(87)と前記第2の区域(88)は異なるメッシュサイズを有し、異なるろ過能力を有する、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項9】
前記第1の区域(87)および/または前記第2の区域(88)は、水平方向の伸長方向全体に沿って延びる、請求項8に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項10】
消泡剤を含まない、請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項11】
体液をインビトロでろ過するための請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載のフィルタアセンブリの使用。
【請求項12】
前記体液は血液である、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載のフィルタアセンブリの製造方法であって、前記フィルタアセンブリ(6)は、フィルタ保持部(7)、第1のメッシュフィルタ層(85)、および、前置フィルタ支持層(84)を備え、
前記前置フィルタ支持層(84)は、繊維の不織布を含み、前記不織布は第1のメッシュサイズを有し、前記フィルタ保持部(7)は前記第1のメッシュフィルタ層(85)の下流に配置され、前記第1のメッシュフィルタ層(85)は、前記前置フィルタ支持層(84)の下流に配置され、前記第1のメッシュフィルタ層(85)は第2のメッシュサイズを有し、前記第1のメッシュサイズは前記第2のメッシュサイズ以上であり、
前記フィルタ保持部(7)は、前記前置フィルタ層(84)と前記第1のメッシュフィルタ層(85)の両方に接触してそれらを安定化させるように、前記前置フィルタ支持層(84)の一部と前記第1のメッシュフィルタ層(85)の一部の上にオーバーモールドされている、方法。
【請求項14】
前記第1のメッシュフィルタ層(85)と前記前置フィルタ支持層(84)は、後にフィルタアセンブリ(6)の所望の形状にされる平らなリボン(80)の形態で製造され、前記所望の形状は、前記前置フィルタ支持層(84)と前記第1のメッシュフィルタ層(85)を前記フィルタ保持部(7)で部分的にオーバーモールドすることによって固定される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
体液を収集するための容器であって、体液が容器ハウジング(2)の入口セクション(5)に入ることができる体液入口(4)を備えた容器ハウジング(2)、体液収集セクション(9)、前記入口セクション(5)および前記体液収集セクション(9)に低圧を加えるために前記容器ハウジング(2)に真空源を接続するための真空連結部(10)、および、前記入口セクション(5)と前記体液収集セクション(9)との間に配置されるフィルタモジュール(6)とを備え、
前記フィルタモジュール(6)は生側と清浄側を有し、前記生側は前記入口セクション(5)に面し、前記清浄側は前記体液収集セクション(9)に面し、
前記フィルタモジュール(6)は、請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載のフィルタアセンブリである、容器。
【請求項16】
前記容器ハウジング(2)は、容器の目的とされた使用中に前記体液収集セクション(9)から真空源によって引き出される空気の流れ方向において、前記体液収集セクション(9)と真空連結部(10)との間に配置された疎水性フィルタ(11)をさらに備える、請求項15に記載の容器。
【請求項17】
前記フィルタ保持部(7)および前記容器ハウジング(2)の上部カバー(3)が一体的に形成されている、請求項15または請求項16に記載の容器。
【請求項18】
前記フィルタ保持部(7)は前記メッシュフィルタ(8)を安定化させるためのバーを備え、前記メッシュフィルタ(8)は前記フィルタ保持部(7)の内部空間において前記バーによって取り囲まれている、請求項15から請求項17までのいずれか1項に記載の容器。
【請求項19】
前記フィルタアセンブリ(6)の入口区域(15)は漏斗状である、請求項15から請求項18までのいずれか1項に記載の容器。
【請求項20】
前記フィルタアセンブリ(6)の底部(13)は、前記フィルタアセンブリ(6)の内部空間に向かうくぼみを含む、請求項15から請求項19までのいずれか1項に記載の容器。
【請求項21】
前記疎水性フィルタ(11)は、前記容器ハウジング(2)の上部カバー(3)に一体化されている、請求項
16に記載の容器。
【請求項22】
前記疎水性フィルタ(11)は、プリーツフィルタ材料を含む、請求項
16に記載の容器。
【請求項23】
前記プリーツフィルタ材料は、前記疎水性フィルタ(11)を収容するフィルタ要素の表面積の少なくとも3倍高いフィルタ表面積を有する、請求項22に記載の容器。
【請求項24】
前記容器(1)の容器ハウジング(2)の上部カバー(3)と前記容器(1)フィルタ保持部(7)とが一体として製造されるように共成形されている、請求項15から請求項23までのいずれか1項に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタアセンブリ、そのフィルタアセンブリの適切な使用、そのフィルタアセンブリを含む体液を収集するための容器、および、そのフィルタアセンブリを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術から知られているフィルタアセンブリは、様々なタイプの流体、例えば体液に使用され、体液から凝集体、粒子、または、特定の細胞をろ過するために使用される。フィルタアセンブリの特に適切な用途は、血液のろ過である。全血は、3つの主要な細胞成分、すなわち、赤血球、白血球、血小板で構成されている。血液の主要な非細胞成分は血漿である。
【0003】
全血または血液成分は、さまざまな用途、特に輸血製品としての使用のために分離され、さらに処理され得る。
【0004】
フィルタアセンブリは、手術手順中の自己輸血工程、つまり、患者の血液が手術中に回収され、患者に再注入される工程でも使用される。これは、術中回収式自己血輸血、または自己血輸血またはセルサルベージとしても知られている。同種(別個のドナー)輸血に関連する危険がより広く知られるようになり、より十分に理解されるようになるにつれて、それは長年使用され、時間とともにより大きな注目を集めてきた。周術期の設定で患者自身の血液を回収するのを支援するために、いくつかの医療機器が開発されてきた。この手順は、血液使用量が伝統的に高い心臓胸部および血管外科で頻繁に使用される。
【0005】
全血は手術中に回収されるが、手術や空気などにさらされると、同種異系輸血の目的でドナーから血液銀行に集められた血液とは異なる特性を持つ。たとえば、血液の回収には、血栓、手術中に使用される薬物や体液などの非細胞性物質、骨片、手術ごみの除去が必要である。
【0006】
血液ろ過のための、および、全血または血液成分からの白血球および/または血小板の減少のための市販のフィルタは、膜技術、繊維技術、または、それらの組み合わせを使用して製造される。国際公開公報第WO2013/110694A1号は、繊維の長手方向に延びる少なくとも1つの溝を有する第1の繊維を含む血液フィルタを記載している。
【0007】
血流をろ過すると、通常、ろ過された血液に泡が形成される。血流中の泡の形成を回避するための1つのアプローチは、自己輸血または体外循環のための血流が収集される貯留部で消泡剤を使用することである。過去には、ポリジメチルシロキサン(PDMS)-疎水化シリカが消泡剤として広く使用されていた。ただし、PDMSは血液中に浸出され、そこで乳化する。その大部分は洗浄後の老廃物に含まれていると推定されるが、その一部が患者に自己輸血された赤血球濃縮物に含まれていることを排除することはできない。PDMS-疎水化シリカは無毒であるが、特にシリカは毛細血管の閉塞による塞栓と術後の死亡の原因となる可能性があり、消泡剤としてはもはや使用されていない。したがって、今日では、シリカを含まないPDMSのみが使用されている。消泡の原理はPDMSでも同じであるが、物理的な作用方法で気泡を「破壊」するシリカ粒子は、医療機器には適用されなくなったが、非医療消泡には引き続き使用されている。
【発明の概要】
【0008】
しかしながら、代替の消泡の着想が依然として必要である。
【0009】
本発明の第1の目的は、ろ過された体液(例えば血流)における泡形成の低減を可能にし、同時にろ過された体液への化学物質の浸出の危険を低減する材料を提供することである。
【0010】
例えば上記のようなフィルタアセンブリは、典型的には、特定の体液収集容器、特に血液収集容器で使用される。
【0011】
これらの容器は、患者の外科的介入中に採血するのに役立つ。その後、血液の不要な成分を除去し、血液中の赤血球の濃度を高めるために、血液が処理(洗浄)される。血液を処理した後、患者に献血を提供する必要性を回避するために、それを患者に自己輸血することができる。
【0012】
従来技術の血液収集容器は、容器の上部カバーに手動で結び付けられるフィルタソケットを含む。現在、この工程の自動化は不可能であるため、このような容器の全体的な製造コストが増加する。フィルタ材料は、血液中の泡の形成の危険を減らす消泡剤で処理される。しかしながら、これらの消泡剤は、フィルタから血液に浸出し、したがって、(上記のように)血液を患者に自己輸血するときに患者に投与される。
【0013】
さらに、場合によってはステープル繊維によって得られる不織布のいくつかの層を含む特定のフィルタの特定の設計によって、個々の層の緩い繊維、または、繊維を絡ませて不織布構造を作製するために使用される化学結合剤または潤滑油が浸出する可能性があり、したがって、収集された血液を汚染する可能性がある。
【0014】
従来技術から知られている血液収集容器は、典型的には、血液収集容器の望ましくない過剰充填を保護する装置に接続されている。このようなオーバーフロー保護装置(トラップ)は、機器全体の唯一の再利用不可能な要素である。その使用は必須である。オーバーフロー保護装置は、病院で洗浄および滅菌された後、使用前に操作者が手動で真空回路に組み立てる必要がある。典型的な過充填防止装置は、入力カニューレと出力カニューレを備えた100mLのガラスであり、浮動要素が出力カニューレに拘束されている。血液収集容器に接続された真空ラインに血液収集容器から血液が溢れると、血液はガラスに引き込まれる。ガラス中の血液の液位が上がると、浮動要素(スイマー)が高くて出力カニューレが遮られるまで上昇する。そうすることで、血液収集容器に血液を引き込むために使用される真空が中断される。このような場合、手術を中断し、採血装置、過充填防止装置、および、接続する真空ラインを交換する必要がある。オーバーフロー保護装置は、さらなる使用のために洗浄および滅菌する必要がある。これには数分かかる場合がある。血液収集容器の容量は通常少なくとも3リットルであるため、このような過充填の事象は大量出血の場合にのみ発生する。そうなると、患者の危機的な状況により、医療スタッフはすでにストレスを感じている可能性がある。そのような状況で追加の作業が必要な場合、スタッフは、後の自己輸血のために術中の流血の収集を中断し、必要に応じて同種異系間の輸血に依存することを決定する場合がある。
【0015】
手術中に患者から血液を収集する場合、通常、容器内、したがって患者から血液を採取するためのカニューレ内に真空を作り出すために使用される真空ラインに煙フィルタが設けられる。この煙フィルタは、外科的煙をろ過し、この煙が抗菌フィルタを詰まらせるのを防ぎ、真空ポンプを外科的空気汚染から保護する。従来技術から知られている煙フィルタは、患者から採血するのに役立つ器具の真空ラインに手動で統合される、単独の複数回使用または単回使用の使い捨て医療機器または付属品である。
【0016】
最後に、抗菌または抗ウイルスフィルタが真空ラインに接続され、外科的空気汚染からポンプを保護するために使用される。それは使い捨てであり、単回または複数回使用することができる。単回使用フィルタは典型的には真空ラインに組み込まれている。
【0017】
本発明の第2の目的は、従来技術から知られている体液収集容器よりも容易かつ安価に製造することができる体液収集容器、特に血液収集容器を提供することである。さらに、体液収集容器の使用は、先行技術から知られている体液収集容器の使用よりも容易にされなければならない。
【0018】
第1の目的および第2の目的は、以下に説明する特徴を有する体液を収集するためのフィルタアセンブリおよび容器によって達成される。
【0019】
本発明の第1の態様によれば、前置フィルタ支持層を含むフィルタアセンブリが提供される。次に、前置フィルタ支持層は、繊維の不織布を含むか、または本質的にそれからなる。繊維は、繊維間に隙間が形成されるように配置される。その結果、不織布の平均細孔サイズ(深層ろ過用)が得られる。
【0020】
第1の(織られた)メッシュフィルタ層(表面ろ過用)は、前置フィルタ支持層の下流に配置され、第1のメッシュフィルタ層は第1のメッシュサイズを有し、前置フィルタ支持層の細孔サイズは、第1のメッシュフィルタの第1のメッシュサイズ以上である。
【0021】
「下流」および「上流」という用語は、フィルタアセンブリによってろ過される流体の流れの方向を指す。このような配置により、前置フィルタ支持層は、第1のメッシュフィルタ層のろ過特性を変更または制限しないが、主に、第1のメッシュフィルタ層を安定化し、第1のメッシュフィルタ層を所定の位置に維持するのに役立つ。第1のメッシュフィルタ層によってろ過されたであろう粒子のいくつかは、前置フィルタ支持層によって既にろ過されているので、第1のメッシュフィルタ層のろ過負荷は低減される。したがって、前置フィルタ支持層は、第1のメッシュフィルタ層を安定化するだけでなく、第1のメッシュフィルタ層の早すぎる目詰まりを回避するのにも役立つ。
【0022】
フィルタアセンブリは、メッシュフィルタ層の下流に配置されたフィルタ保持部をさらに含む。このフィルタ保持部は、前置フィルタ支持層と第1のメッシュフィルタ層の両方に接触する。そうすることで、前置フィルタ支持層と第1のメッシュフィルタ層も安定する。したがって、フィルタ保持部は、前置フィルタ支持層と第1のメッシュフィルタ層を所定の位置に保持するのに役立つ。それは構造的な支持体として機能する。フィルタアセンブリは、単独(スタンドアロン)のフィルタアセンブリ(自立型フィルタアセンブリ)であるか、複数のフィルタ層を備えた1つのパーツ(オーバーモールド)にすることができる。
【0023】
驚くべきことに、そのようなフィルタアセンブリは、血液および他の体液をろ過するために十分に使用できることが見出された。このようなフィルタアセンブリを使用すると、血液や他の体液での泡の形成が効果的に防止される。消泡剤が不要になり、ろ過された体液に化学物質が浸出する危険が完全に回避される。
【0024】
通常の(繊維、泡状物質、または膜のみでできている)フィルタの代わりに、前置フィルタ支持層とメッシュフィルタ層を含むフィルタアセンブリを使用すると、非常に再現性の高いフィルタ条件を満たせる効果が得られる。通常のフィルタの平均孔径は、平均孔径よりも大きい、または、小さい多くの孔があるが、メッシュフィルタのメッシュサイズは明確に規定されており、本質的に変化しない。特に、より小さなメッシュサイズの薄いメッシュを処理するためには、別の目の粗いメッシュまたはスパンボンドなどの連続フィラメントの不織布材料であることができる支持体が必要である。
【0025】
1つの実施形態では、フィルタ保持部はプラスチック製であり、前置フィルタ支持層の一部および第1のメッシュフィルタ層の一部の上にオーバーモールドされている。そして、それは両方の層をしっかりと接続し、特に簡単に両方の層を安定させることができる。
【0026】
1つの実施形態では、前置フィルタ支持層および第1のメッシュ層は別個の構成要素ではなく、むしろ一体的に形成され、したがって構造的複合体を構築する。「構造的複合体」とは、前置フィルタ支持層と第1のメッシュフィルタ層を同じ材料で作ることができるが、異なる構造を有することを意味する(前置フィルタ支持層は不織布であり、第1のメッシュフィルタ層はメッシュまたはネットである)。
【0027】
1つの実施形態では、第1のメッシュ層は、スクリーンまたはグリッドまたはネットを形成する複数の相互接続する糸からなる。垂直に配置された糸と水平に配置された糸は、グリッドを形成するように接続点で互いに接続されている。
【0028】
1つの実施形態では、フィルタアセンブリは、第2のメッシュフィルタ層を含む。第2のメッシュフィルタ層は、第2のメッシュサイズを有し、第2のメッシュサイズは、前置フィルタ支持層の細孔サイズ以上である。前置フィルタ支持層は、第1のメッシュフィルタ層と第2のメッシュフィルタ層との間に配置される。したがって、第1のメッシュフィルタ層、前置フィルタ支持層、および、第2のメッシュフィルタ層は、サンドイッチ状に配置され、前置フィルタ支持層は、第1のメッシュフィルタ層および第2のメッシュフィルタ層によって包含される。つまり、下流の配置は、第2のメッシュフィルタ-フィルタ支持層-第1のメッシュフィルタの順序になる。このような配置は、メッシュ層の特に安定した配置、したがって特に安定なフィルタアセンブリに役立つ。
【0029】
1つの実施形態では、フィルタ保持部はまた、第2のメッシュ層の一部の上にオーバーモールドされて、この層を他の2つの層にもしっかりと接続する。
【0030】
前置フィルタ支持層
上記のように、前置フィルタ支持層は、連続フィラメントのスパンボンド不織布を含むか、または本質的にそれからなる。前記布は、原料のチップまたはペレットを押し出し始める連続フィラメント不織布工程(メルトブローおよびスパンボンディング)で得られる。フィラメントの長さは理論的には無限であるため、(針状フェルト不織布で観察されるように)繊維が浸出する危険を下げることは、針状フェルト材料よりも本質的に低くなる。1つの実施形態では、前置フィルタ支持布の個々の繊維は、円形、楕円形の長方形、四角形または三角形の断面など、任意の所望の断面を有し得る。異なる断面を有する繊維の混合も可能である。
【0031】
前置フィルタ支持層の繊維もまた、一般に任意の形状を有することができる。しかしながら、繊維、または繊維の少なくとも一部が、それぞれの繊維の長手方向に延びる少なくとも1つの溝を含む場合、特に良好なろ過を達成できることが判明した。一例を挙げれば、繊維は、それぞれが繊維の長手方向に延びる3つの溝を含み得る。そうすることで、凝集体、脂肪および/または血小板は、フィルタアセンブリを通って流れる血液または別の体液から特によくろ過することができる。
【0032】
1つの実施形態では、繊維の少なくとも一部は、葉状の断面を有する。このような葉状断面は、1つの実施形態では、繊維に長手方向において溝を形成することによって達成することができる。三葉断面は、葉状構造の特に適した例である。そのような三葉状の繊維は、例えば、WO2013/110694A1から一般に知られており、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0033】
前置フィルタ支持層の不織布を構成する繊維は、1つの実施形態では、スパンボンド繊維またはメルトブロー繊維であり得る。スパンボンド繊維は、典型的には、少なくとも20μm以上の繊維径を持っているが、メルトブロー繊維は20μm未満のより小さな直径を有し得る。
【0034】
繊維は、「海島型」繊維を含む、1成分、2成分、または多成分繊維であり得る。繊維は、1つの高分子または高分子のブレンドからなり得る。繊維に適した材料は、例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(ブチレンテレフタレート-コ-ポリアルキレングリコールテレフタレート)、ナイロン6,6、ナイロン6,9、ナイロン6/12、ナイロン11、ナイロン12、酢酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、または、それらの組み合わせである。それによって、非疎水性または親水性の材料が繊維を製造するのに特に適切である。繊維を製造するために使用される材料の親水性を高めること、またはすでに製造された繊維の親水性を高めることも可能である。それにより、物理的処理は、化学物質の堆積よりも適切である。なぜなら、そのような化学物質は、フィルタアセンブリの使用中に繊維またはそこから生成される布から浸出する可能性があるからである。
【0035】
1つの実施形態では、前置フィルタ支持層の細孔サイズは、20と150μmの間、特に30と140μmの間、特に40と130μmの間、特に50と120μmの間、特に60と110μmの間、特に70と100μmの間、特に80と90μmの間の範囲にある。100から130μm、105から125μm、70から90μm、75から85μm、30から45μm、および、35から40μmの範囲が特に適切である。
【0036】
第1のメッシュフィルタと第2のメッシュフィルタ
1つの実施形態では、第1のメッシュフィルタ層は、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(ブチレンテレフタレート-コ-ポリアルキレングリコールテレフタレート)、ナイロン6,6、ナイロン6,9、ナイロン6/12、ナイロン11、ナイロン12、酢酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、または、それらの組み合わせなどの高分子を含むか、または、そのような高分子から完全に作製することができる。それにより、非疎水性または親水性材料は、メッシュフィルタ層を製造するのに特に適切である。メッシュフィルタ層を製造するために使用される材料の親水性を高めること、またはすでに製造されたフィルタの親水性を高めることも可能である。そのため、化学物質の堆積よりも物理的処理の方が適切である。これは、容器の使用中に化学物質がメッシュフィルタから浸出する可能性があるためである。メッシュフィルタ層の適切な表面積は、300から1000cm2、特に400から900cm2、特に500から800cm2、特に600から700cm2の範囲である。
【0037】
1つの実施形態では、メッシュフィルタ層は、前置フィルタ支持層と同じ材料から作られる。
【0038】
別の実施形態では、第2のメッシュフィルタ層は、そのメッシュサイズに加えて、第1のメッシュフィルタ層と構造的に同一である。このような場合、第1のメッシュフィルタ層と第2のメッシュフィルタ層は構造的に非常に類似している。これにより、フィルタリングアセンブリの製造が容易になる。
【0039】
1つの実施形態では、第1のメッシュフィルタ層および/または第2のメッシュフィルタ層の糸またはフィラメントは、円形の断面を有する。ただし、楕円形、長方形、四角形、または三角形の断面など、他の断面も可能である。同様に、異なる断面を有する糸またはフィラメントの混合も可能である。
【0040】
1つの実施形態では、第1のメッシュフィルタ層の第1のメッシュサイズおよび/または第2のメッシュフィルタ層の第2のメッシュサイズは、20と150μmの間、特に30と140μmの間、特に40と130μmの間、特に50と120μmの間、特に60と110μmの間、特に70と100μmの間、特に80と90μmの間の範囲である。100から130μm、105から125μm、70から90μm、75から85μm、30から45μm、および、35から40μmの範囲、たとえば、115μm、120μm、または、40μmが特に適切である。
【0041】
1つの実施形態では、前置フィルタ支持層の不織布は、細孔サイズが異なる区域を有する。これにより、前置フィルタ支持層は、異なるろ過能力を持つ少なくとも2つの領域を有することができる。例を挙げると、前置フィルタ支持層の第1の領域は、20μmから60μm、特に25μmから55μm、特に30μmから50μm、特に35μmから45μm、特に38μmから42μm、つまり、約40μmの範囲の細孔サイズを有し得る。1つの実施形態では、第1の区域の細孔サイズは40μmである。第2の区域の細孔サイズは第1の区域とは異なる。第2の区域の細孔サイズは、1つの実施形態では、60μmから120μm、特に65μmから95μm、特に70μmから90μm、特に75μmから85μm、特に78μmから82μmの範囲にあり、つまり約80μmである。1つの実施形態では、第2の領域の細孔サイズは80μmである。
【0042】
別の実施形態では、前置フィルタ支持層は、不織布の異なる細孔サイズによる異なるろ過能力の3つの領域または区域を有する。
【0043】
したがって、1つの実施形態では、前の実施形態に関して説明した第1の区域および第2の区域は、第1の区域および第2の区域の細孔サイズとは異なる細孔サイズを有する第3の区域と組み合わせることができる。この実施形態では、第3の区域の細孔サイズは、100μmから140μm、特に105μmから135μm、特に110μmから130μm、特に115μmから125μm、特に118μmから122μmの範囲、つまり、約120μmである。1つの実施形態では、第3の区域の細孔サイズは120μmである。
【0044】
前置フィルタ支持層における少なくとも3つの異なる細孔サイズの区域の配置は、細孔サイズの勾配を提供する。一例では、勾配は、第1の区域で40μmの細孔サイズで始まり、第2の区域で80μmの細孔サイズおよび第3の区域で120μmの細孔サイズが続く。この場合、細孔サイズの勾配は、細孔サイズの段階的な勾配である。このような段階的な勾配での細孔サイズの任意の組み合わせが考えられる。
【0045】
第1のメッシュフィルタ層、および/または、第2のメッシュフィルタ層は、同様に、メッシュサイズの異なる区域、例えば、前置フィルタ支持層に関して上で説明された区域を有し得る。
【0046】
1つの実施形態では、異なるメッシュサイズの区域(または勾配)は、前置フィルタ支持層の不織布内、または、第1のメッシュフィルタ層および/または第2のメッシュフィルタ層のメッシュ内のそれぞれのメッシュサイズの勾配を確立することによって形成される。
【0047】
1つの実施形態では、前置フィルタ支持層、第1のメッシュフィルタ層、および任意で第2のメッシュフィルタ層は、垂直方向の伸長方向および水平方向の伸長方向にわたって延びる。フィルタアセンブリの通常の操作中に、垂直方向の伸長方向が垂直方向に整列する。同様に、水平方向の伸長方向は、フィルタアセンブリの通常の操作中に水平方向に整列する。前置フィルタ支持層の不織布および/または第1のメッシュフィルタ層および/または第2のメッシュフィルタ層(存在する場合)は、垂直伸長方向の第1の高さに第1の区域を有し、垂直伸長方向の第2の高さに第2の区域を有する。第2の高さは第1の高さとは異なる。第1の区域と第2の区域はメッシュサイズが異なり、ろ過能力が異なる。その結果、フィルタアセンブリはろ過能力の垂直勾配を有する。最も低い区域は典型的には最低のろ過能力(最小の流量を可能にする)を有するが、最高のろ過性能(最小の粒子をろ過する)を有する。同様に、最上部の区域は、典型的には最高のろ過能力を有するが、最低のろ過性能を有する。中間の区域は、典型的には、中間のろ過能力とろ過性能を備えている。
【0048】
上に示した例示的な細孔サイズおよびメッシュサイズは、前に説明した実施形態にとって明示的に適切である。
【0049】
1つの実施形態では、フィルタアセンブリは、消泡剤を含まない。このような消泡剤の使用を回避することにより、フィルタアセンブリを流れる流体に消泡剤が浸出する危険が完全に防止される。これにより、フィルタアセンブリによってろ過される流体の品質が向上する。
【0050】
本発明は、1つの態様では、インビトロで体液をろ過するために上で説明した特徴を有するフィルタアセンブリの使用に関する。体液は、血液、尿、胆汁、組織液、精子、リンパ液、唾液または脳脊髄液であり得る。血液は、ろ過するのに特に適切な体液である。
【0051】
1つの態様では、本発明は、前述の説明に従って、体液をフィルタアセンブリに流すことによって体液をろ過する方法に関する。体液の流れは、重力によって、または、低圧などの外力を体液またはろ過された体液が引き込まれる容器に加えることによって達成することができる。この方法は、インビトロまたは生体外で行うことができ、一方、ろ過される体液を提供する患者は、体液がろ過されるフィルタ器具に接続される。1つの実施形態では、この方法は、それを必要とする患者から術中セルサルベージ(ICS)を引き出すための医学的方法である。ICSは、典型的には、手術または侵襲的処置を受けている患者に使用され、それらの患者に血液または血液成分の自己輸血を提供することを目的としている。このような方法の詳細については、以降で説明する。
【0052】
1つの態様では、本発明は、体液を収集するための容器に関する。そのような容器は、体液が容器ハウジングの入口セクションに入ることを可能にする体液入口を備えた容器ハウジングを備える。容器ハウジングはさらに、体液収集セクションと、真空源を容器ハウジングに接続するための真空連結部とを備える。そうすることで、負圧を入口セクションおよび体液収集セクションに加えることができる。真空源は、典型的には、真空ラインを介して容器ハウジングの真空連結部に接続される。
【0053】
さらに、容器ハウジングは、入口セクションを体液収集セクションから分離するフィルタモジュールを含む。より具体的には、フィルタモジュールは、入口セクションと体液収集セクションとの間に配置され、体液は入口セクションから体液収集セクションに流れるためにフィルタを通過する必要がある。言い換えれば、フィルタモジュールには生側と清浄側がある。生側は入口セクションに面し、清浄側は体液収集セクションに面している。
【0054】
フィルタモジュールは、前述の説明によるフィルタアセンブリをさらに備える。フィルタアセンブリはフィルタ保持部内に配置される。したがって、フィルタ保持部は、フィルタアセンブリの下流側でフィルタアセンブリを支持するのに役立つ。このような配置は、(メッシュフィルタ層が前置フィルタ支持層によって安定化される)上流側および(メッシュフィルタ層がフィルタ保持部によって安定化される)下流側の両方からフィルタアセンブリのメッシュフィルタを安定化するのに特に適切である。さらに、血液などの体液の泡のないろ過を達成するために特に適切である。
【0055】
1つの実施形態では、容器ハウジングは、体液収集セクションと真空連結部との間に配置された疎水性フィルタを含む。「間」という用語は、容器の意図された動作中に、真空源によって容器(または容器ハウジングの体液収集セクション)から引き出される空気の流れ方向に関する。つまり、容器ハウジングの内部から引き出される流体(特に空気と煙)は、真空連結部に接続された真空ラインに入る前に、疎水性フィルタを通過する必要がある。したがって、疎水性フィルタは、真空が真空ポンプによって生成されるときに、容器ハウジングの真空連結部に接続されている真空ラインの保護要素として機能する。
【0056】
新規のフィルタモジュールと疎水性フィルタは相乗的に作用するため、この組み合わせにより、以下に説明する効果が得られる。フィルタ保持部と、前置フィルタ支持層およびメッシュフィルタ層を含むフィルタアセンブリを備えたフィルタモジュールを構築することにより、従来技術のようにプレハブフィルタソケットを使用する場合よりもはるかに多くの柔軟性がフィルタ保持部の設計に与えられる。さらに、フィルタ保持部をフィルタアセンブリと一緒に単一の製造工程で製造することが可能であり、共成形されたフィルタアセンブリ要素の容器への接続は容易に自動化できる。これにより、製造コストが大幅に削減され、製造工程の信頼性と再現性が向上するため、容器のパフォーマンスが向上する。使用者が手動で接続する必要のある回路を合理化することで安全性をさらに向上させ、使用ミスを防ぐ。(IEC62366-1:2015および医療機器へのヒューマンファクターとユーザビリティエンジニアリングの適用に関するFDAガイダンス、産業および食品医薬品局スタッフのためのガイダンス、発行日:2016年2月3日)。
【0057】
流れ方向において真空連結部の前に配置された疎水性フィルタは、煙フィルタと過充填防止の両方の役割を果たす。したがって、それは、従来技術に従って個々の構成要素の形で使用されるこれらの要素の特性を単一の要素に組み合わせる。これにより、この単一の要素が容器ハウジングに含まれる。したがって、別の真空ラインに接続する必要はない。疎水性フィルタを洗浄および/または滅菌する必要はない。むしろ、容器全体と一緒に廃棄される使い捨てとして設計することができる。これにより、容器の使用がさらに容易になる。
【0058】
1つの実施形態では、容器ハウジングの上部カバーまたは入口セクションおよびフィルタ保持部は、一体として製造される、すなわち、それらは一体的に形成される。これにより、容器ハウジングにフィルタを手動で取り付ける必要がなくなるため、製造工程が大幅に容易になる。例を挙げると、フィルタ保持部と容器ハウジング(少なくともその一部)は、単一の射出成形工程で同時成形することができる。そうすることで、容器ハウジングの入口セクションの出口は、フィルタ保持部の内部の入口に一体的に変わる。次に、入口セクションに入る体液は、容器ハウジングの入口セクションからフィルタ保持部の内部空間に向かって流れるか、または引き出される。それは次に、体液収集セクションに到達するために、フィルタアセンブリを通過する必要がある。
【0059】
1つの実施形態では、フィルタ保持部およびフィルタアセンブリは、消泡剤を含まない。通常のフィルタの場合、血液の望ましくない泡立ちを避けるために特定の消泡剤が必要であるが、フィルタ要素を通る血流の設計は、血液中に泡の形成をごくわずかしか誘発しない傾向がある。消泡剤を使用しない場合、そのような薬剤を体液に浸出させ得ないため、対応する体液の汚染を恐れる必要はない。
【0060】
1つの実施形態では、フィルタ保持部は、フィルタ保持部の内部に配置されたフィルタ材料を安定させるバーまたは支柱を含む。このようなバーは、例えばフィルタ材料上に直接射出成形することによって容易に製造することができる。それらはフィルタ材料が崩壊したり、濡れたままになるのを防ぐ。さらに、フィルタ要素の下部にパントを作製するために射出成形中に溶融プラスチックを担持するために用いられ得る。
【0061】
1つの実施形態では、フィルタモジュールの入口区域は漏斗状である。このような漏斗の形状は、体液中の泡形成の危険を低減する。したがって、入口区域の漏斗形状は、1つの実施形態では、フィルタモジュールに適用される「設計による消泡」の概念の一部と見なすこともできる。典型的には、フィルタ保持部はこの特定の漏斗状の入口領域を有するが、フィルタアセンブリは(フィルタ保持部に適合する限り)特定の設計を有する必要はない。
【0062】
1つの実施形態では、フィルタモジュールの底部は完全に平坦ではなく、むしろフィルタモジュールの内部空間に向かうくぼみを含む。このくぼみは、1つの実施形態では、実質的に、フィルタモジュールの底部(特にフィルタ保持部)の全領域に及ぶ。フィルタモジュールの底部は、フィルタモジュールの外側から見ると凹状であり、フィルタモジュールの内側から見ると凸状である。フィルタモジュールの底部のそのような設計は、1つの実施形態で採用される「設計による消泡」アプローチにおいても役割を果たす。フィルタモジュールの底のくぼみは、シャンパンの瓶のパントのような形として説明することもできる。この形状は、フィルタモジュールを通過する体液の噴出を防ぎ、フィルタモジュールを通過する体液の落下高さを低減する。落下高さが低いほど、体液に泡が発生する危険が低くなる。
【0063】
1つの実施形態では、疎水性フィルタは、容器ハウジングの上部カバーに組み込まれている。そして、体液との接触の危険を大幅に低減するように、容器の上部に配置されている。さらに、容器の上部カバーへのこのような一体化により、容器全体のコンパクトな設計が可能になる。
【0064】
疎水性フィルタは、1つの実施形態では、フィルタハウジングと、フィルタハウジング内に配置されたフィルタ材料とを含む。疎水性フィルタを交換可能な要素として設計することは一般に可能であるが、1つの実施形態では、疎水性フィルタは、体液収集容器全体と一緒に廃棄される使い捨て要素であることが意図されている。疎水性フィルタの寿命は、一般に、体液収集容器の寿命よりも長いので、体液収集容器の意図された操作中に疎水性フィルタを交換する必要は一般にない。
【0065】
疎水性フィルタはまた、メッシュフィルタであり得る。ここで、メッシュサイズは、1から20μm、特に3から19μm、特に4から18μm、特に5から17μm、特に6から16μm、特に7から15μm、特に8から14μm、特に9から13μm、特に10から12μmが適切である。
【0066】
疎水性フィルタは、体液を収集するために、またはより正確には、この容器の体液収集セクションから、真空源によって引き出された空気をろ過することを目的としている。疎水性フィルタは、煙(特に外科的煙)、粒子(骨や組織の断片など)、および血液から真空源を保護し、ポンプに関連付けられて疎水性フィルタから下流に配置される疎水性抗菌フィルタの汚染の負荷を軽減する。
【0067】
1つの実施形態では、疎水性フィルタは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、特に延伸PTFE(ePTFE)などの疎水性高分子を含むか、またはそれからなるフィルタ材料を含む。
【0068】
1つの実施形態では、疎水性フィルタは、疎水性高分子、特に疎水性PETメッシュで処理されたポリエステル(PETなど)などの非疎水性高分子を含むか、またはそれからなるフィルタ材料を含む。この要素の血液との接触は時折あり、時間(噴出)が非常に限られており、位置(上部カバー)によって、疎水性処理が血液に浸出する危険は最小限に抑えられる。ただし、疎水性処理は生体適合性でなければならない。
【0069】
1つの実施形態では、疎水性フィルタは、プリーツフィルタ材料を含む。フィルタ材料にプリーツを付けることにより、疎水性フィルタに必要な全体的なスペースを増やさずに、有効なフィルタ表面を増やすことができる。
【0070】
1つの実施形態では、プリーツフィルタ材料は、疎水性フィルタを収納するフィルタ要素の表面積の少なくとも3倍、特に少なくとも4倍、特に少なくとも5倍、特に少なくとも6倍、特に少なくとも7倍、特に少なくとも8倍のフィルタ表面積を有する。フィルタの表面積は、疎水性フィルタを収容するフィルタ要素の表面積の3から8倍、特に4から7倍、特に5から6倍であり得る。たとえば、フィルタ要素の表面積が5から20cm2の場合、フィルタの総表面積は15から160cm2の範囲になる。したがって、そのような配置によって、非常に低い空間要件しかないフィルタ要素に非常に大きなフィルタ表面積を組み込むことが可能である。これは、従来技術から知られている上部カバーと比較して上部カバーの寸法を増加させずに、疎水性フィルタを容器ハウジングの上部カバーに組み込むことを容易にする。
【0071】
1つの実施形態では、容器は、体液として血液を受容するように特に適合されている。すなわち、本説明で言及される体液は、この実施形態では、血液である。
【0072】
収集された体液中の泡の形成が少ないほど、集合的な体液のより良い品質またはより高い収量が達成される。体液としての血液の場合、泡の形成が少ないと溶血が少なくなり、血小板の活性化が低くなり、その結果、個々の流血処理工程からの血液回収率が高くなり、品質が向上する。赤血球の機械的ストレスは溶血の1つの理由である。泡の形成は、生物学的ストレスの指標となる可能性がある。
【0073】
1つの態様では、本発明は、前述の説明による、真空源および容器を含む体液収集装置に関する。真空源は真空ラインを介して容器の真空連結部に直接接続される。真空源と容器の間に真空ライン以外の構成部品はない。
【0074】
従来技術から知られている体液収集装置は、以下の一般的な設定を有する:体液収集容器-真空ライン-過充填保護-煙連結部-煙フィルタ-真空ライン-真空ポンプ。したがって、合計6つの接続点を確立する必要がある。本発明の現在議論されている態様のように真空源が連結部に直接接続されている場合、体液収集容器-真空ライン-真空源の2つの接続点のみを確立する必要がある。したがって、疎水性フィルタを体液収集容器の容器ハウジングに統合することにより、別個の過充填保護、別個の煙連結部、および別個の煙フィルタが不要になる。本発明のこの態様に依拠する場合、それぞれが2つの接続点を有する3つの別個の部品を完全に省略することができる。これにより、すぐに使用できる体液収集装置を準備する医療スタッフの作業負荷が大幅に軽減される。
【0075】
容器ハウジングの体液収集セクションが大量に溢れた場合、収集した体液が疎水性フィルタを通過することがある。その場合、体液が容器ハウジングの真空連結部に接続されている真空ラインに入る可能性がある。1つの実施形態では、真空ラインは、ポンプを保護するための非常に疎水性の抗菌フィルタを含む。そうすれば、そのような少量の体液のオーバーフローは何の影響も及ぼさない。むしろ、一部の疎水性真空ラインは、汚染物質や液体が蓄積している場合でも機能し続けることができる。指針となる原則は、真空ラインの組み立ての複雑さを軽減して、使いやすさを向上させることである。
【0076】
1つの実施形態では、真空ラインは、一体的に形成された抗菌フィルタを含む。したがって、この抗菌フィルタは追加の構成部品を表すのではなく、真空ラインの一体的な部分である。
【0077】
1つの実施形態では、抗菌フィルタは疎水性フィルタである。そうすることで、それはまた、例えば、容器ハウジングの体液収集セクションの過充填のために真空ラインに入った液体が、抗菌フィルタの下流に配置されたポンプに入るのを効果的に防ぐために使用することができる。そのような抗菌フィルタに、フィルタの汚染に対応するための追加のチャンバーを装備することが可能である。そのようにすることで、このようなチャンバーは、過充填のために真空ラインを通して引き出された過剰な体液を受け取るのにも役立つことができる。
【0078】
1つの実施形態では、抗菌フィルタは、真空ラインを通って引き出された流体(特に空気)からウイルスをろ過するのに十分に小さい細孔サイズまたはメッシュサイズを有する。このような場合、抗菌フィルタには抗ウイルス作用もある。そして、それは抗ウイルスフィルタとして表すことができる。
【0079】
1つの態様では、本発明は、前述の説明に従って容器を製造するための方法に関する。容器の容器ハウジングの上部カバーと容器のフィルタ保持部は共成形される。すなわち、それらは1つの部品として製造され、言い換えれば、それらは一体的に形成されるか、または一体的に成形される。そのような製造工程は、従来技術から知られている製造工程よりも著しく容易である。これは、容器ハウジングを製造し、続いてフィルタを容器ハウジングに取り付けるという以前の方法の工程を単一の製造工程、すなわち共成形工程として組み合わせる。それは、例えば、射出成形によって達成することができる。
【0080】
フィルタアセンブリをフィルタ保持部と一緒に共成形することも可能であるが、製造方法の1つの実施形態では他のアプローチがとられる。より正確には、この実施形態では、フィルタアセンブリは、フィルタ保持部が製造された後、フィルタ保持部に(例えば、成形によって)適用される。フィルタ保持部自体を容器ハウジングの上部カバーと共成形することができる。そうすることで、容器ハウジングのフィルタモジュールに適用される様々なメッシュサイズのために様々な型を製造する必要がない。むしろ、この実施形態では、一体的に形成されたフィルタ保持部を備えた多数の容器ハウジング上部カバーを製造するために単一の型のみが必要であり、その後、様々なフィルタアセンブリのフィルタをフィルタ保持部に適用することができ、したがって、さまざまなフィルタ作用(特にフィルタアセンブリの様々なメッシュサイズ)を提供する容器ハウジング上部カバーが得られる。
【0081】
1つの態様では、本発明は、自己血輸血(ICS)を必要とする患者から引き出すための医学的方法に関する。ICSは典型的には、手術または侵襲的処置を受けている患者に使用され、それらの患者に血液または血液成分の自己輸血を提供することを目的としている。この方法は、以下に説明する工程を含む。まず、採血用の容器の血液入口に血液吸引ラインを接続する。さらに、真空ラインは、この容器の真空連結部と真空ポンプなどの真空源に接続されている。そうすることで、真空源が作動したときに、容器の内部に低圧を加えることができる。容器は、前述の説明による容器である。したがって、それは、血液が容器ハウジングの入口セクションに入ることを可能にする血液入口を備えた容器ハウジングを含む。容器ハウジングはさらに、血液収集セクションを含む。真空源は、典型的には、真空ラインを介して容器ハウジングの真空連結部に接続される。
【0082】
さらに、容器ハウジングは、血液収集セクションから入口セクションを分離するフィルタモジュールを含む。より具体的には、フィルタモジュールは、入口セクションと血液収集セクションとの間に配置され、患者から引き出された血液が入口セクションから血液収集セクションに流れるためにフィルタを通過する必要があるようにする。言い換えれば、フィルタモジュールには生側と清浄側がある。生側は入口セクションに面し、清浄側は血液収集セクションに面している。
【0083】
すべての要素が組み立てられると、真空源が作動される。そうすることで、血液は、患者から(例えば、外科的介入中に)血液吸引ラインを通って、血液収集キャニスターの受容セクションに引き込まれる。その後、フィルタを通過して血液収集セクションに到達する。その後、それはさらに処理され、および/または、患者に自己輸血されるために、血液収集容器から引き出され得る。
【0084】
1つの態様では、本発明は、前述の説明に従ってフィルタアセンブリを製造するための方法に関する。すでに述べたように、そのようなフィルタアセンブリは、フィルタ保持部、メッシュフィルタ層、および前置フィルタ支持層を含む。前置フィルタ支持層は、繊維の不織布を含む。不織布は第1のメッシュサイズを有する。フィルタ保持部は、第1のメッシュフィルタ層の下流に配置されている。次に、第1のメッシュフィルタ層は、前置フィルタ支持層の下流に配置される。第1のメッシュフィルタ層は、第2のメッシュサイズを有し、第1のメッシュサイズは、第2のメッシュサイズ以上である。
【0085】
この方法は、フィルタ保持部(プラスチック製)が前置フィルタ支持層の一部と第1のメッシュフィルタ層の一部の上にオーバーモールドされ、前置フィルタ支持層と第1のメッシュフィルタ層の両方に接触してそれらを安定することを特徴とする。したがって、フィルタ保持部はその場で製造されるため、フィルタ材料の2つの層の周りにフィルタ保持部を配置するために必要な製造工程は1つだけである。これは、従来技術から知られているろ過装置と比較して、フィルタアセンブリの製造を著しく容易にする。フィルタ保持部は、フィルタアセンブリの接地領域を形成することもできる。したがって、それはフィルタアセンブリの基部を形成し、同時に、フィルタ材料層を固定するために基部の近くにフィルタ材料層を埋め込むことができる。
【0086】
1つの実施形態では、第1のメッシュフィルタ層および前置フィルタ支持層は、最初に平らなリボンを形成する。次に、この平らなリボンをフィルタアセンブリの所望の形状にする。この所望の形状は、例えば、シリンダーが円形の接地領域、楕円形の接地領域、長方形の接地領域、または四角形の接地領域を有するシリンダージャケットの形状であり得る。次に、成形されたリボンの自由端が互いに接続される。1つの実施形態では、成形されたリボンの自由端の接続は、溶接工程によって達成することができる。あるいは、接続は非溶接の接合部として形成することもできる。所定の形状は、前置フィルタ支持層と第1のメッシュフィルタ層をフィルタ保持部で部分的にオーバーモールドすることによって固定される。本発明の1つの態様によるフィルタアセンブリのこの製造方法は、従来技術に従って適用される製造技術よりも著しく容易である。より正確には、従来技術では、通常、2つの溶接リボンで作製された管状フィルタの配置を切断する必要がある。このような製造工程は、2つの管状リボンを溶接および切断すると粒子が生成され、フィルタを通過する流体に浸出する可能性があるため、非常に難しく、粒子汚染の危険が高まる。
【0087】
記載されたフィルタアセンブリのすべての実施形態は、任意の所望の方法で組み合わせることができ、記載された用途、体液を収集するための記載された容器および記載された方法に移すことができ、それぞれの場合にその逆も可能である。
【0088】
本発明の態様のさらなる詳細は、例示的な実施形態および付随する図に関して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【
図1】血液収集キャニスターの1つの実施形態の斜視図である。
【
図2】
図1のキャニスターの広い側の側面図である。
【
図3】キャニスターの狭い側から見た
図1のキャニスターの上部の詳細図である。
【
図4A】フィルタアセンブリの1つの実施形態の製造工程の概略図である。
【
図4B】囲まれ、文字AAで印付けされた
図4Aの領域の拡大詳細図である。
【
図5A】フィルタアセンブリの別の実施形態の部分的に切り取られた描写である。
【
図5B】囲まれ、文字Tで印付けされた領域
図5Aの拡大詳細図である。
【
図6】1つの実施形態のフィルタアセンブリの前置フィルタ支持層およびメッシュフィルタ層の微細構造の概略図である。
【
図7】フィルタアセンブリの別の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0090】
図1は、体液を収集するための容器として機能する血液収集キャニスター1の斜視図である。血液収集キャニスター1は、上部カバー3を有するキャニスターハウジング2を備える。3つの異なる血液入口4が上部カバー3に配置されている。典型的には、これらの血液入口4のうちの1つのみが、患者からキャニスターハウジング2の内部に血液を引き込むために、血液吸引ラインを血液収集キャニスター1に接続するために使用される。最も右側の血液入口4は、3/8インチの接続として設計されている。中央の血液入口4は、ルアー入口として設計されており、最も左側の血液入口4は、典型的な血液吸引ラインを収容するためのサイズの吸引ライン連結部として設計されている。
【0091】
血液入口4のそれぞれは、上部カバー3の内側に配置された血液受容セクション5と流体的に接続されている。この血液受容セクション5は、フィルタ保持部として機能する骨格構造7を含むフィルタモジュール6(フィルタアセンブリとして機能する)の内部と流体連通している。骨格構造7の内部には、2層のフィルタ材料8が配置されている。フィルタ材料8は、前置フィルタ支持層と、医療グレードのメッシュで作られたメッシュフィルタ層とを含む。血液は、血液入口4を通って血液収集キャニスター1の受容セクション5に入ると、フィルタモジュール6の内部に流れ、または、引き込まれる。その後、フィルタ材料8を通過し、キャニスターハウジング2の血液収集セクション9に到達する。
【0092】
血液収集キャニスター1は、キャニスターハウジング2の上部セクション3に、真空ラインに接続され、真空ラインを介して、真空源として機能する真空ポンプに接続される真空連結部10を備える。真空連結部10を通って接続された真空ラインに引き込まれる、血液収集セクション9に存在する空気または他の気体は、血液収集セクション9と真空連結部10との間に配置された疎水性フィルタ11を通過する必要がある。
【0093】
血液収集キャニスター1は、キャニスターハウジング2の内部内で達成することができる負圧の量を制限する安全弁12をさらに備える。したがって、安全弁12は、キャニスターハウジング2の内部における望ましくない低い陰圧のために血液収集キャニスター1が内破する危険を低減するのに役立つ。
【0094】
外側から見ると、フィルタモジュール6の底部13は凹状の形状を有し、すなわち、フィルタモジュール6の内部に向かうくぼみを備える。
【0095】
血液入口4を通ってキャニスターハウジング2に入り、フィルタ材料8を通過した血液は、血液収集セクション9に収集される。次に、血液収集キャニスター1から血液出口14を通って引き出されて、さらに処理され、および/または、患者に自己輸血される。
【0096】
図2は、
図1の血液収集キャニスター1を、血液収集キャニスター1の広い側の側面図で示している。同じ要素に対して同じ参照符号が使用される。
図1に関して与えられた説明が参照される。
図2では、フィルタモジュール6とキャニスターハウジング2の血液受容セクション5との間の接続が見られる。
図2から明らかなように、血液は、血液受容セクション5からフィルタモジュール6の内部にのみ入ることができ、次に、キャニスターハウジング2の血液収集セクション9に到達するためにフィルタ材料8を通過する必要がある。したがって、フィルタモジュール6は、血液受容セクション5を血液収集セクション9から分離する。
【0097】
図3は、
図1の血液収集キャニスター1の狭い側から見た部分的に切り取った図を示している。同じ要素に対して同じ参照符号が再び使用される。上記の説明をもう一度参照する。
【0098】
図3の描写では、漏斗状の入口15がフィルタ要素の入口区域に配置されていることがわかる。血液受容セクション5からフィルタモジュール6に入る血液は、この漏斗形の入口15を通過する必要がある。漏斗形状の入口15は、フィルタ材料8およびフィルタモジュール6の凹状の底部13と共に、フィルタモジュール6を通過する血液中の泡の形成を低減するのに役立つ。このような泡の形成の減少は、泡立った血液よりも良好な品質の血液をもたらし、溶血速度が低いために収集収率が高くなる。
【0099】
さらに、
図3の描写において、疎水性フィルタ11がプリーツされたフィルタ材料を含むことが分かる。このフィルタ材料の折り畳みにより、フィルタの有効表面積が大幅に増加する。例を挙げると、疎水性フィルタ11のフィルタ材料は、約60cm
2の全体的なフィルタ表面積を有する。疎水性フィルタ自体は、キャニスターハウジング2の上部カバー3において約10cm
2のスペースしかとらない。したがって、フィルタ材料を折り畳むことにより、有効なフィルタ表面積は、疎水性フィルタ要素11が必要とする表面積の6倍の大きさにされる。
【0100】
図4Aは、
図1に示される血液収集キャニスター用のフィルタモジュールとして使用することができるフィルタモジュール6の例示的な製造工程を示す。最初に、共成形されたスパンボンド前置フィルタ(前置フィルタ支持層として機能する)およびメッシュフィルタ(メッシュフィルタ層として機能する)の平らなリボン80が与えられる。この平らなリボン80は、後続の製造工程100,101,102,103で所望の形状に成形される。平らなリボン80は、この実施形態では、楕円形の接地領域を有するシリンダージャケットの形状を有する成形されたフィルタ材料8となる。製造工程102でまだ接続されていないリボンの自由端81,82が互いに接続されて、製造工程103で接続線83を形成する。接続線83は、溶接シームのようなシームの形態で、またはシームレスジョイント、すなわち非溶接ジョイントの形態で実現することができる。
【0101】
一般的に言えば、このフィルタ材料8は、次に、裸のフィルタモジュール6の骨格構造7に挿入されて、フィルタ材料8を含む完全なフィルタモジュール6を形成することができる。しかしながら、1つの実施形態では、骨格構造7は、例えば、射出成形によって、成形されたフィルタ材料上にオーバーモールドされる。これは(特に、楕円形の地面領域に向けられたそれらの底部で)成形されたフィルタ材料の個々の層を部分的に埋め込み、それらをしっかりと接続するのに役立つ。骨格構造はまた、成形フィルタ材料8の自由端間のシームレス接合部をオーバーモールドして、その自由端間で(すなわち、組み立てられたフィルタモジュール6の通常の操作中に垂直に整列された垂直伸長方向に沿って)成形フィルタ材料8の緊密な接続に役立つことができる。
【0102】
図4Bは、
図4Aの工程101において、囲まれ、文字AAで印付けされたリボン80の領域の拡大詳細図を示している。この拡大図は、リボン80が前置フィルタ支持層84およびメッシュフィルタ層85から構成されていることを示している。これらの2つの層84,85の構造もまた、
図4Bに概略的に示されている。前置フィルタ支持層84は三葉断面を有する不織布繊維からなるが、メッシュフィルタ層85は規則的に形成された医療グレードのメッシュからなる。
【0103】
図5Aは、
図1に示される血液収集キャニスターに関連して使用することができるフィルタモジュール6の別の実施形態を示す。説明のみを目的として、フィルタモジュール6のこの実施形態のフィルタ材料8は部分的に切断されている。囲まれ、文字Tで印付けされている領域が
図5Bの拡大詳細図に示されている。この詳細図において、フィルタ材料8は、三葉断面を有する不織布繊維からなる前置フィルタ支持層84と、フィルタモジュール6の骨格構造7に面する前置フィルタ支持層84の側面に配置された第1のメッシュフィルタ層85とを含むことが分かる。さらに、この実施形態のフィルタ材料8は、前置フィルタ支持層84において第1のメッシュフィルタ層85の反対側に配置された第2のメッシュフィルタ層86を含む。したがって、前置フィルタ支持層84は、第1のメッシュフィルタ層85と第2のメッシュフィルタ層86との間に包含され、したがって、第1のメッシュフィルタ層85および第2のメッシュフィルタ層86と共にサンドイッチ様構造を形成する。
【0104】
図6は、前置フィルタ支持層84を構成する個々の繊維の電子顕微鏡写真に基づくフィルタ材料8の微細構造の描写を示す。前置フィルタ支持層84を構成する個々の繊維の不織布で典型的には無秩序な構造とは対照的に、メッシュフィルタ層85を構成する個々のグリッド要素は高度に秩序化され、秩序化されたグリッドを形成するように水平および垂直に配置される。そうすることで、メッシュフィルタ層85の非常に反復的で再現性のある構造が生じる。
【0105】
図7は、
図1に示される血液収集キャニスターのフィルタモジュールとして使用することができるフィルタモジュール6の別の実施形態を示す。上記の図に示されるフィルタモジュールの他の実施形態として、
図7のフィルタモジュール6は、骨格構造7およびフィルタ材料8を備える。このフィルタ材料8は、ろ過能力の異なる3つの領域を含み、これらは、フィルタモジュール6が通常の動作中に垂直に整列されるフィルタモジュールの垂直伸長方向において上下に配置される。最も低い領域87は、40μm未満のサイズの粒子のみが通過できるように、40μmのメッシュサイズを有する。中間領域88は、80μmのメッシュサイズを有し、最も低い領域87よりも幾分低いろ過能力を有するが、第1の領域87よりも同時により多くの体積を通過させることができる。3つの領域はすべて、フィルタモジュール6の全周に沿って、すなわち、フィルタモジュール6の通常の動作中に水平に整列される水平方向に全周に沿って延びる。
【0106】
最上部の領域89は120μmのメッシュサイズを有し、フィルタ材料8内の血液の液位が、血液が最上部の領域89を通って流れることができるほど高い場合、中間領域88よりもさらに高い血流がフィルタ材料8を通って流れることを可能にする。したがって、この実施形態では、フィルタ材料8は、フィルタモジュールの内部に存在する血液の液位または量に応じてより大量の血液がフィルタ材料8を通過することを可能にするので、フィルタモジュール6のオーバーフローを効率的に防止するメッシュサイズの垂直勾配を有する。最上部の領域89はまた、大量の血液流入の場合でさえ、フィルタモジュール6の適切な機能を可能にする安全領域として見ることができる。副作用として、最上部の領域89のろ過能力が最下部の領域87のろ過能力よりも著しく低いので、フィルタモジュール6へのそのような高い血液流入の場合、ろ過効果は減少する。
【0107】
図7の実施形態では、フィルタ材料8の個々の領域87,88,89の異なるろ過能力は、異なるメッシュサイズを有するメッシュを1つの同じ前置フィルタ支持層上に結合することによって達成される。これは、フィルタ材料8の製造を著しく容易にし、前置フィルタ支持層を構成する不織布繊維の構造の調整を必要としない(これは、
図7の図では見えない)。