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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】物品検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/85 20060101AFI20240208BHJP
   A61J 3/06 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
G01N21/85 A
A61J3/06 R
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021034525
(22)【出願日】2021-03-04
(65)【公開番号】P2022134981
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2022-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】新井 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】谷口 英治
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴志
【審査官】谷垣 圭二
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-159971(JP,A)
【文献】特開平11-271236(JP,A)
【文献】特開2002-199310(JP,A)
【文献】特開2020-060536(JP,A)
【文献】特開2010-230602(JP,A)
【文献】特開2015-219090(JP,A)
【文献】特開2000-199743(JP,A)
【文献】特開平04-216444(JP,A)
【文献】特開平01-138448(JP,A)
【文献】米国特許第06563579(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
G01N 21/00 - G01N 21/61
G01B 11/00 - G01B 11/30
A61J 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象である物品(W)の側面を吸引保持して搬送する搬送部(2)と、
前記物品に対して光(21)を照射して前記物品を検査する検査部(4)と、
前記検査部の光照射部(19)と前記物品との間および前記検査部の光検出部(20)と前記物品との間の少なくとも一方に配置され、前記物品の外径よりもやや小径の貫通孔(25)を有して前記物品の外周から前記光検出部へ入射する光を遮る遮光板(3)と、
を具備し、
前記搬送部が円板状に形成されてその外周縁(9)で前記物品を保持し、
前記遮光板が円板状に形成されてその外周縁(10)に等間隔で穿設された前記貫通孔を有し、
前記搬送部と前記遮光板とが異なる回転軸(22,23)で同期して回転されることを特徴とする物品検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の物品検査装置であって、
前記遮光板に対して対向配置され、前記遮光板とで前記物品を挟む板部材(24)が前記搬送部に設けられていることを特徴とする物品検査装置。
【請求項3】
請求項2記載の物品検査装置であって、
前記板部材が透明板で形成されていることを特徴とする物品検査装置。
【請求項4】
請求項1~のいずれか1つに記載の物品検査装置であって、
前記遮光板が前記物品に対して密着するばね性を備えることを特徴とする物品検査装置。
【請求項5】
請求項に記載の物品検査装置であって、
前記遮光板が円板状に形成されて外周縁に沿う方向で離間した複数の前記貫通孔を有し、それぞれの前記貫通孔の間には遮光板の外周縁から半径方向内側に切り込まれた放射方向のスリット(27)が形成されていることを特徴とする物品検査装置。
【請求項6】
検査対象である物品(W)の側面を吸引保持して搬送する搬送部(2)と、
前記物品に対して光(21)を照射して前記物品を検査する検査部(4)と、
前記検査部の光照射部(19)と前記物品との間および前記検査部の光検出部(20)と前記物品との間の少なくとも一方に配置され、前記物品の外径よりもやや小径の貫通孔(25)を有して前記物品の外周から前記光検出部へ入射する光を遮る遮光板(3)と、
を具備し、
前記遮光板が、前記物品に対して密着するばね性を備えるとともに、円板状に形成されて外周縁に沿う方向で離間した複数の前記貫通孔を有し、それぞれの前記貫通孔の間には遮光板の外周縁から半径方向内側に切り込まれた放射方向のスリット(27)が形成されていることを特徴とする物品検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光学センサを用いて、個々の錠剤の正確な物性を連続的に測定し得る錠剤測定装置が知られている(例えば特許文献1参照)。この錠剤測定装置は、錠剤コーティング装置から取り出された錠剤の物性を測定する錠剤測定装置であって、錠剤が導入される錠剤受け入れ部と、錠剤を搬送しつつ、この錠剤の物性を測定する測定部と、錠剤受け入れ部に導入された錠剤を測定部に供給する錠剤供給部と、物性が測定された錠剤を錠剤コーティング装置に戻す回収部と、を備え、測定部は、錠剤の物性を非接触状態にて測定可能な光学センサを有することを特徴とする。
【0003】
この種の検査装置は、錠剤等の成型品に光を照射し、その反射光を測定することで、検査を行うことができる。検査装置は、光を照射することによる検査を高速で行うため、吸引機構を持った搬送ディスクに成形品を吸着させ、搬送や検査を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-95236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、検査装置は、反射光による検査の場合、成型品内部までの検査はできず異物混入などを見逃す可能性がある。そこで、成型品に光を透過させ、その内部まで検査する手法の採られることがあるが、成形品を透過した光(透過光)は照射光に比べ非常に微弱であるため、透過光の測定系に照射光が入り込まないよう、照射光の遮光対策が必要となる。
【0006】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、物品の高速搬送と遮光対策とを同時に実現でき、検査精度を向上させることを可能とする物品検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載の物品検査装置1は、検査対象である物品Wの側面を吸引保持して搬送する搬送部2と、
前記物品Wに対して光21を照射して前記物品Wを検査する検査部4と、
前記検査部4の光照射部19と前記物品Wとの間および前記検査部4の光検出部20と前記物品Wとの間の少なくとも一方に配置され、前記物品Wの外径よりもやや小径の貫通孔25を有して前記物品Wの外周から前記光検出部20へ入射する光21を遮る遮光板3と、
を具備し、
前記搬送部2が円板状に形成されてその外周縁9で前記物品Wを保持し、
前記遮光板3が円板状に形成されてその外周縁10に等間隔で穿設された前記貫通孔25を有し、
前記搬送部2と前記遮光板3とが異なる回転軸22,23で同期して回転されることを特徴とする。
【0008】
この物品検査装置1では、物品Wが、搬送部2により側面を吸着保持されて搬送される。搬送部2により搬送される物品Wは、搬送されながら、搬送路となる搬送部2の搬送軌道上に設けられている検査部4により光21が照射されて検査が行われる。検査部4は、光照射部19と光検出部20とを有する。検査部4は、この光照射部19と光検出部20との間に、物品Wが位置するとき、透過光により、光照射部19から照射された光21が物品Wを透過した後、光検出部20に入射することによって、検査を行う。
この際、検査部4の光照射部19と物品Wとの間および検査部4の光検出部20と物品Wとの間の少なくとも一方に、遮光板3が配置される。遮光板3は、物品Wの外径よりもやや小径の貫通孔25を有する。遮光板3は、この貫通孔25が物品Wの輪郭よりも内側で物品Wに重なることにより、物品Wの外周から光検出部20へ入射する光21を遮る。物品Wは、搬送部2により高速で移動される。遮光板3は、光照射部19からの光照射タイミングに合わせて貫通孔25が物品Wに重なる位置に配置されることにより、物品Wの外周より外側から光検出部20に入ろうとする光21を遮り、物品Wを透過した光21のみを光検出部20へ入射させることが可能となる。
また、この物品検査装置31では、物品Wの側面が、円板状となった搬送部2の外周縁9で吸着保持される。物品Wは、搬送部2が回転されることにより、円周方向の一部分が搬送路となって搬送される。円板状に形成された遮光板3は、この搬送部2における搬送路に一部分が重なるように配置が可能となる。すなわち、大径円で形成した搬送部2を平面投影したときの投影面積の内側に、小径円で形成した遮光板3を配置することが可能となる。円周方向の搬送路の一部に重なった遮光板3は、搬送部2の外周縁9に吸着保持された物品Wに貫通孔25を嵌め合わせることにより、物品Wの位置を補正することが可能となる。また、搬送部2と遮光板3とは、それぞれが異なる回転軸22,23で回転されるので、搬送路を挟む両側に駆動源を配置する簡素なレイアウトが可能となる。これにより、装置を肥大化させずに、遮光板3と搬送部2とを配置することができる。
【0009】
本発明の請求項2記載の物品検査装置1は、請求項1に記載の物品検査装置1であって、
前記遮光板3に対して対向配置され、前記遮光板3とで前記物品Wを挟む板部材24が前記搬送部2に設けられていることを特徴とする。
【0010】
この物品検査装置1では、遮光板3とで物品Wを挟む板部材24が、搬送部2に設けられる。物品Wは、貫通孔25の穿設された遮光板3に、板部材24により軽く押さえられることで、物品Wの外径より小さい貫通孔25に一部分が嵌って位置決めされる。これにより、遮光板3と物品Wは、密着することになり、物品Wとの間に漏れ光の生じる隙間が生じにくくなる。物品Wは、搬送部2により高速で移動される。遮光板3は、板部材24からの押圧により、貫通孔25に物品Wを嵌めて物品Wの位置を補正するので、高速搬送される物品Wを、光照射部19からの光照射タイミングに合わせて高精度に貫通孔25に位置あわせできる。
【0011】
本発明の請求項3記載の物品検査装置31は、請求項2に記載の物品検査装置31であって、
前記板部材24が透明板で形成されていることを特徴とする。
【0012】
この物品検査装置31では、板部材24を例えばガラス等の透明板で構成することで、貫通孔26を穿設せずに構成できる。
【0013】
本発明の請求項4記載の物品検査装置1は、請求項1~3のいずれか1つに記載の物品検査装置1であって、
前記遮光板3が前記物品Wに対して密着するばね性を備えることを特徴とする。
【0014】
この物品検査装置1では、遮光板3がばね性を有する。物品Wは、ばね性を有する遮光板3に軽く押さえられることで、物品Wの外径より小さい貫通孔25に一部分が嵌って位置決めされる。これにより、遮光板3と物品Wは、密着することになり、物品Wとの間に漏れ光の生じる隙間が生じにくくなる。物品Wは、搬送部2により高速で移動される。遮光板3は、ばね性により、貫通孔25に物品Wを嵌めて物品Wの位置を補正するので、高速搬送される物品Wを、光照射部19からの光照射タイミングに合わせて高精度に貫通孔25にて位置あわせできる。
【0015】
本発明の請求項5記載の物品検査装置1は、請求項に記載の物品検査装置1であって、
前記遮光板3が円板状に形成されて外周縁10に沿う方向で離間した複数の前記貫通孔25を有し、それぞれの前記貫通孔25の間には遮光板3の外周縁10から半径方向内側に切り込まれた放射方向のスリット27が形成されていることを特徴とする。
【0016】
この物品検査装置1では、遮光板3が、スリット27を備える。遮光板3は、円板状に形成され、円板状の外周縁10に沿って等間隔で穿設された貫通孔25同士の間に、遮光板3の回転中心から放射状に形成されたスリット27が配置される。したがって、それぞれの貫通孔25は、スリット27に挟まれた遮光板3の片持ち遮光片28が柔軟に変位することにより、遮光板3が物品Wを挟む構成の場合、貫通孔25をそれぞれの物品Wに対応させて高精度に嵌めることができる。
これにより、遮光板3と物品Wは、確実に密着することになり、物品Wとの間に漏れ光の生じる隙間が生じにくくなる。物品Wは、搬送部2により高速で移動される。遮光板3は、ばね性により、貫通孔25に物品Wを嵌めて物品Wの位置を補正するので、高速搬送される物品Wを、光照射部19からの光照射タイミングに合わせて高精度に貫通孔25にて位置あわせできる。
【0017】
本発明の請求項6記載の物品検査装置1は、検査対象である物品Wの側面を吸引保持して搬送する搬送部2と、
前記物品Wに対して光21を照射して前記物品Wを検査する検査部4と、
前記検査部4の光照射部19と前記物品Wとの間および前記検査部4の光検出部20と前記物品Wとの間の少なくとも一方に配置され、前記物品Wの外径よりもやや小径の貫通孔25を有して前記物品Wの外周から前記光検出部20へ入射する光21を遮る遮光板3と、
を具備し、
前記遮光板3が、前記物品Wに対して密着するばね性を備えるとともに、円板状に形成されて外周縁10に沿う方向で離間した複数の前記貫通孔25を有し、それぞれの前記貫通孔25の間には遮光板3の外周縁10から半径方向内側に切り込まれた放射方向のスリット27が形成されていることを特徴とする。
【0018】
この物品検査装置1では、物品Wが、搬送部2により側面を吸着保持されて搬送される。搬送部2により搬送される物品Wは、搬送されながら、搬送路となる搬送部2の搬送軌道上に設けられている検査部4により光21が照射されて検査が行われる。検査部4は、光照射部19と光検出部20とを有する。検査部4は、この光照射部19と光検出部20との間に、物品Wが位置するとき、透過光により、光照射部19から照射された光21が物品Wを透過した後、光検出部20に入射することによって、検査を行う。
この際、検査部4の光照射部19と物品Wとの間および検査部4の光検出部20と物品Wとの間の少なくとも一方に、遮光板3が配置される。遮光板3は、物品Wの外径よりもやや小径の貫通孔25を有する。遮光板3は、この貫通孔25が物品Wの輪郭よりも内側で物品Wに重なることにより、物品Wの外周から光検出部20へ入射する光21を遮る。物品Wは、搬送部2により高速で移動される。遮光板3は、光照射部19からの光照射タイミングに合わせて貫通孔25が物品Wに重なる位置に配置されることにより、物品Wの外周より外側から光検出部20に入ろうとする光21を遮り、物品Wを透過した光21のみを光検出部20へ入射させることが可能となる。
また、この物品検査装置1では、遮光板3がばね性を有する。物品Wは、ばね性を有する遮光板3に軽く押さえられることで、物品Wの外径より小さい貫通孔25に一部分が嵌って位置決めされる。これにより、遮光板3と物品Wは、密着することになり、物品Wとの間に漏れ光の生じる隙間が生じにくくなる。物品Wは、搬送部2により高速で移動される。遮光板3は、ばね性により、貫通孔25に物品Wを嵌めて物品Wの位置を補正するので、高速搬送される物品Wを、光照射部19からの光照射タイミングに合わせて高精度に貫通孔25にて位置あわせできる。
さらに、この物品検査装置1では、遮光板3が、スリット27を備える。遮光板3は、円板状に形成され、円板状の外周縁10に沿って等間隔で穿設された貫通孔25同士の間に、遮光板3の回転中心から放射状に形成されたスリット27が配置される。したがって、それぞれの貫通孔25は、スリット27に挟まれた遮光板3の片持ち遮光片28が柔軟に変位することにより、遮光板3が物品Wを挟む構成の場合、貫通孔25をそれぞれの物品Wに対応させて高精度に嵌めることができる。
これにより、遮光板3と物品Wは、確実に密着することになり、物品Wとの間に漏れ光の生じる隙間が生じにくくなる。物品Wは、搬送部2により高速で移動される。遮光板3は、ばね性により、貫通孔25に物品Wを嵌めて物品Wの位置を補正するので、高速搬送される物品Wを、光照射部19からの光照射タイミングに合わせて高精度に貫通孔25にて位置あわせできる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る請求項1記載の物品検査装置によれば、物品の高速搬送と遮光対策とを同時に実現できる。遮光板によって漏れ光を防ぐことができ、検査精度を向上させることができる。
また、この物品検査装置によれば、円板状の搬送部の内周側に、円板状の遮光板の外周縁における一部分を接触させて配置できるので、少ない配置スペースで遮光板を設けることができ、物品検査装置をコンパクトにできる。
【0020】
本発明に係る請求項2記載の物品検査装置によれば、遮光板と板部材とで物品を挟むことでより、確実に貫通孔と物品とを位置決めできる。これにより、物品と貫通孔との間の漏れ光をより抑制できる。また、貫通孔に倣って物品が姿勢補正されるので、物品の位置決め精度を向上させ検査精度も向上させることができる。
【0021】
本発明に係る請求項3記載の物品検査装置によれば、板部材を透明板で形成することで、貫通孔を穿設せずに構成することができる。
【0022】
本発明に係る請求項4記載の物品検査装置によれば、より確実に物品と貫通孔とを密着させて隙間を防ぐことができる。また、貫通孔に倣って物品が姿勢補正されるので、物品の位置決め精度を向上させることができ、検査精度も向上することができる。
【0023】
本発明に係る請求項5記載の物品検査装置によれば、スリットが各貫通孔の両側に位置して、各貫通孔が独立して変位可能となり、貫通孔の物品への押し当てが確実となる。また、遮光板が物品を挟む構成の場合、物品の多少のバラツキを吸収して、物品の向きが整えられるので、検査精度を向上させることができる。
【0024】
本発明に係る請求項6記載の物品検査装置によれば、物品の高速搬送と遮光対策とを同時に実現できる。遮光板によって漏れ光を防ぐことができ、検査精度を向上させることができる。
また、この物品検査装置によれば、より確実に物品と貫通孔とを密着させて隙間を防ぐことができる。また、貫通孔に倣って物品が姿勢補正されるので、物品の位置決め精度を向上させることができ、検査精度も向上することができる。
さらに、この物品検査装置によれば、スリットが各貫通孔の両側に位置して、各貫通孔が独立して変位可能となり、貫通孔の物品への押し当てが確実となる。また、遮光板が物品を挟む構成の場合、物品の多少のバラツキを吸収して、物品の向きが整えられるので、検査精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1実施形態に係る物品検査装置の平面図である。
図2図1に示した物品検査装置の要部側断面図である。
図3】(a)は図2に示した遮光板の平面図、(b)は(a)のA-A断面図である。
図4図2の要部拡大図である。
図5】(a)は第2実施形態に係る物品検査装置の斜視図、(b)は(a)の物品検査装置を異なる方向から見た斜視図である。
図6図5に示した物品検査装置の一部分を省略した平面図である。
図7図6の要部側断面図である。
図8図7の要部拡大図である。
図9】第3実施形態に係る物品検査装置の要部側断面図である。
図10】第3実施形態の変形例に係る要部側断面図である。
図11】第4実施形態に係る物品検査装置の平面図である。
図12図11の要部側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る物品検査装置1の平面図である。
第1実施形態に係る物品検査装置1は、検査対象の物品Wを整列して単品搬送させながら所定の検査位置で光を照射し、この光の照射に伴って物品Wを透過した光の分光特性に基づいて物品Wの品質を検査するものである。
【0027】
なお、検査対象である物品Wは、光の照射領域が検査対象の物品Wに光を照射する照射口の径に比較的近い小径の物品であり、非包装で単品搬送が可能な外径φ:数mm~数十mmの物品、一口サイズの物品の他、既存の製造設備や検査機能を持たない製造設備で製造された所定形状の物品や成形品、特に搬送過程で形が変化しない物品を含む。該当する物品Wとしては、例えば錠剤、カプセル剤、トローチ剤、ドロップ剤などの製剤、飴、チョコレートなどがある。以下、検査対象の物品Wとして、平面視で円形とされ、その直径に比して高さ(厚さ)の小さい側面視が略円柱状或いは略楕円形状の錠剤を例にとって説明する。
【0028】
第1実施形態に係る物品検査装置1は、搬送部2と、遮光板3と、検査部4とを主要な構成として有する。これに加えて、物品検査装置1は、搬送部2の搬送方向上流側に供給部5が備えられてもよい。
【0029】
供給部5は、例えば既存の製造設備や検査機能を持たない製造設備で製造された成形品の物品である錠剤Wが投入されると、この投入された錠剤Wを蓄積するとともに、蓄積された錠剤Wを搬出口から一つずつ搬出して搬送部2に供給する。
【0030】
供給部5には、回転フィーダ6が配置される。回転フィーダ6には、コーティング装置(図示略)等から取り出された錠剤Wが、錠剤投入口7を介して供給される。回転フィーダ6に供給された錠剤Wは、搬送部2の搬送ディスク8に供給される。搬送ディスク8は、外周縁9にて錠剤Wを吸着搬送する。搬送中の錠剤Wは、検査部4によって、例えばコーティング被膜の膜厚や有効成分の含量等の物性が測定される。測定されたデータは、コンピュータ(図示略)に送られる。測定済みの錠剤Wの内、検査規格を外れたNG品は検査部4の後段に配置された搬送部2のNG品排出口11から排出される。検査規格内とされるOK品は、NG品排出口11の後段に配置された搬送部2のOK品排出口12から排出される。
【0031】
回転フィーダ6は、無振動タイプの回転式パーツフィーダであり、円筒状の筐体13に回転円板14と環状回転板16とを回転中心を変え、回転円板14をやや偏芯させ外周縁を環状回転板16の内側で斜めに接するよう三日月状視の斜面15を介して配置している(後述する図5及び図12における回転フィーダ6を参照)。錠剤Wは、錠剤投入口7から回転する回転円板14に供給され、回転円板14の回転に伴って周方向に移動し、回転円板14の傾斜頂部の近傍にて環状回転板16に移動する。環状回転板16の錠剤Wは、環状回転板16の回転に伴って周方向に整列しながら移動し、錠剤取得部17に送られる。錠剤取得部17は、供給部5から搬送部2へ錠剤Wを受け渡す部位であり、この錠剤取得部17に送られた錠剤Wは、搬送部2において回転する搬送ディスク8に吸着される。
【0032】
図2は、図1に示した物品検査装置1の要部側断面図である。
搬送ディスク8の外周縁9には、真空ポンプ等の吸引装置(図示略)と接続された吸着孔18(図4参照)が所定間隔で形成されている。錠剤Wは、その側面を吸着孔18に負圧によって吸着されて、搬送ディスク8の外周縁9に保持される。錠剤Wは、円柱状の軸線が鉛直線に沿う姿勢、すなわち、上面と下面とが水平面に沿う水平姿勢で搬送ディスク8に保持され、その姿勢のまま搬送ディスク8の回転とともに、周方向に搬送される。
【0033】
遮光板3は、検査部4の光照射部19と錠剤Wとの間および検査部4の光検出部20と錠剤Wとの間の少なくとも一方の間に配置される。光照射部19から出射した光21は、錠剤Wを透過した後、光検出部20に入射する。第1実施形態において、遮光板3は、錠剤Wと光検出部20との間に配置される。つまり、遮光板3は、搬送ディスク8の下側に配置される。遮光板3は、円板状に形成され、外周縁10が軸線に沿う方向の一方側(円板表裏面の一方側)に傾斜した略傘状となる。遮光板3は、搬送ディスク8よりも小さい外径で形成される。遮光板3と搬送ディスク8とは、異なる回転軸22,23で、それぞれにモータ等の駆動源が接続されて同期して回転駆動される。
【0034】
搬送ディスク8の外周縁9には、環状の板部材24が固定される。板部材24は、搬送ディスク8の外周縁9を挟んで、遮光板3に対向配置される。板部材24は、遮光板3とで錠剤Wを上下から挟んで保持する。遮光板3は、ばね性を有することにより、錠剤Wに対して密着する。板部材24は、錠剤Wの外径よりもやや小径の貫通孔26(図4参照)を有する。板部材24は、この貫通孔26を有することにより、光照射部19と錠剤Wとの間で、錠剤Wの外周から光検出部20へ入射する光21を遮る。
【0035】
遮光板3には、貫通孔25が設けられる。遮光板3に設けられる貫通孔25(図4参照)も、同様に、錠剤Wの外径よりもやや小径で穿設される。板部材24と遮光板3とに設けられるそれぞれの貫通孔26,25は、錠剤Wを挟む位置で同軸に配置される。遮光板3に穿設された貫通孔25は、錠剤Wと光検出部20との間で、錠剤Wの外周から光検出部20へ入射する光21を遮る。
【0036】
図3(a)は、図2に示した遮光板3の平面図、(b)は、(a)のA-A断面図である。
遮光板3は、円板状に形成されて外周縁10に沿う方向で所定間隔毎に離間した複数の貫通孔25を有している。遮光板3は、それぞれの貫通孔25の間に、遮光板3の外周縁10から半径方向内側に切り込まれた放射方向のスリット27が形成される。遮光板3は、それぞれの貫通孔25の穿設された部分が、その両脇に位置する一対のスリット27により半径方向内側の基端部28aを除いて切り離されることで、先端28b側が弾性変位可能な自由端となり、スリット27に挟まれた片持ち遮光片28を構成する。
【0037】
図4は、図2の要部拡大図である。
搬送ディスク8に吸着されて保持された錠剤Wは、搬送ディスク8の回転に伴い検査部4の位置に運ばれる。この検査部4の位置では、板部材24と遮光板3とに上下を挟まれ、錠剤Wは水平姿勢となる。検査部4は、錠剤Wが搬送ディスク8の検査位置に到達して分光特性の測定を行う測定タイミングを検知する。搬送部2は、例えばロータリエンコーダ等を用いることにより、切欠等の数に応じた回転角の角度だけ搬送ディスク8が回転するごとにパルス信号を出力する。検査部4は、このパルス信号の立ち上がりまたは立ち下がりを検知して測定タイミングとする。
【0038】
検査部4は、錠剤Wに対して光21を照射して錠剤Wを検査する。検査部4は、光照射部19と光検出部20とを備える。光照射部19は、図示しないが、光源、ライトガイド、集光レンズ等を備えて構成される。光源は、錠剤Wに広帯域の光21を照射するため、例えばハロゲンランプに代表される広帯域光源で構成される。ライトガイドは、ガラス光ファイバを多数束ねて構成され、光源からの光21を集光する集光レンズに導く。集光レンズは、ライトガイドからの光21を検査位置の錠剤Wの上面に集光する。
【0039】
光照射部19は、光源からの広帯域の光21を、ライトガイドを介して集光レンズに出射し、集光レンズにより検査位置の錠剤Wの上面全てをカバーするように集光レンズの倍率を調整し、光源からの光21を効率よく検査位置の錠剤Wに照射する。
【0040】
光検出部20は、図示しないが、光ファイバと分光器等を備えて一体的に組み立てられる。光検出部20では、検査位置の錠剤Wを透過した光21が光ファイバの受光部としての入射開口部から入光し、分光器に到達する。分光器は、例えば、光21の波長による回折角度の差を利用したグレーティング(回折格子)による分光を行う。具体的に、分光器に入った光21は、グレーティングに照射され、各波長成分に分光される。そして、各波長成分に分光された光21は、1列に並んだ光検出素子により波長成分ごとに検出される。その後、波長成分ごとの光強度を測定して分光特性が得られる。検査部4は、光検出部20で得られた分光特性を信号処理し、信号処理した結果から錠剤Wの品質、規格範囲内か否か等の良否(OK/NG)判定を行う。
【0041】
次に、上記した構成の作用を説明する。
【0042】
第1実施形態に係る物品検査装置1では、錠剤Wが、搬送部2により側面を吸着保持されて搬送される。搬送部2により搬送される錠剤Wは、所定間隔毎となって搬送されながら、搬送路(搬送部2の搬送軌道上)に設けられている検査部4により光21が照射されて検査が行われる。検査部4は、光照射部19と光検出部20とを有する。検査部4は、この光照射部19と光検出部20との間に、錠剤Wが位置するとき、透過光により、光照射部19から照射された光21が錠剤Wを透過した後、光検出部20に入射することによって、検査を行う。
【0043】
この際、検査部4の光照射部19と錠剤Wとの間および検査部4の光検出部20と錠剤Wとの間の少なくとも一方の間には、遮光板3が配置されている。遮光板3は、錠剤Wの外径よりもやや小径の貫通孔25を有する。遮光板3は、この貫通孔25が錠剤Wの輪郭よりも内側で錠剤Wに重なることにより、錠剤Wの外周から光検出部20へ入射する光21を遮る。錠剤Wは、搬送部2により高速で移動される。遮光板3は、光照射部19からの光照射タイミングに合わせて貫通孔25が錠剤Wに重なる位置に配置されることにより、錠剤Wの外周より外側から光検出部20に入ろうとする光21を遮り、錠剤Wを透過した光21のみを光検出部20へ入射させることが可能となる。別言すると、光検出部20は、錠剤Wの外周より外側からの光21を受光することなく、錠剤Wを透過した光21のみを受光して検査が行える。
【0044】
また、この物品検査装置1では、遮光板3とで錠剤Wを挟む板部材24が、搬送部2に設けられる。錠剤Wは、貫通孔25の穿設された遮光板3にて、板部材24へ押しつけることとなって、錠剤Wの外径より小さい貫通孔26に一部分が嵌って位置決めされる(板部材24は、ガラス等の透明板であれば、貫通孔26が穿設されていなくてもよい)。これにより、遮光板3と錠剤Wは、より確実に密着することになり、且つ、遮光板3の貫通孔25と板部材24の貫通孔26との両方に嵌まることとなって、錠剤Wとの間に漏れ光の生じる隙間がより生じにくくなる。
【0045】
また、錠剤Wは、搬送部2により高速で移動される。検査位置にて錠剤Wが遮光板3と板部材24とで挟まれることにより、上下から貫通孔25,26に錠剤Wを嵌めて錠剤Wの位置を補正するので、高速搬送されて検査位置に到着した錠剤Wを、光照射部19からの光照射タイミングに合わせて高精度に検出位置に位置あわせできる。その結果、遮光板3と板部材24とで錠剤Wを挟むことでより、確実に上下の貫通孔25,26と錠剤Wとを位置決めできる。これにより、錠剤Wと貫通孔25,26との間の漏れ光をより抑制できるとともに、貫通孔25,26に倣って錠剤Wが姿勢補正されるので、錠剤Wの位置決め精度も向上させることができる。従って、物品検査装置1は、外観検査などと構成しても錠剤Wをより正しい位置に保持できるようになる。
【0046】
また、この物品検査装置1では、遮光板3がばね性を有する。錠剤Wは、ばね性を有する遮光板3に確り、しかしながら押圧する程ではなく軽く押さえられることで、錠剤Wの外径より小さい貫通孔25に一部分が嵌って位置決めされる。錠剤Wは、搬送ディスク8の吸着口18にて吸着状態を維持されながら、この錠剤Wと遮光板3とは、ばね性にて密着することになり、錠剤Wとの間に漏れ光の生じる隙間が生じにくくなる。錠剤Wは、搬送部2により高速で移動される。遮光板3は、ばね性により、貫通孔25に錠剤Wを嵌めて錠剤Wの位置を補正するので、高速搬送されてくる錠剤Wを、光照射部19からの光照射タイミングに合わせて高精度に検出位置に位置あわせできる。その結果、より確実に錠剤Wと貫通孔25とを密着させて隙間を防ぐことができるとともに、貫通孔25に倣って錠剤Wが姿勢補正されるので、錠剤Wの位置決め精度も向上させることができる。
【0047】
さらに、この物品検査装置1では、遮光板3が、スリット27を備える。遮光板3は、円板状に形成され、円板状の外周縁10に沿って等間隔で穿設された貫通孔25同士の間に、遮光板3の回転中心から放射状に形成されて配置される。したがって、それぞれの貫通孔25は、スリット27に挟まれた片持ち遮光片28が柔軟に変位するので、遮光板3が錠剤Wを挟む構成の場合、貫通孔25をそれぞれの錠剤Wに対応させて嵌めあわせることができる。
【0048】
このようにして、物品検査装置1では、スリット27が各貫通孔25の両側に位置して、各貫通孔25が独立して変位可能となり、貫通孔25の押し当てが確実となる。これにより、錠剤Wに対し遮光板3が確実に密着することとなり、錠剤Wとの間に漏れ光の生じる隙間が生じにくくなる。錠剤Wは、搬送部2により高速で移動される。遮光板3は、ばね性により、貫通孔25に錠剤Wを嵌めて錠剤Wの位置を補正するので、高速搬送されてくる錠剤Wを、光照射部19からの光照射タイミングに合わせて高精度に検出位置に位置あわせできる。また、遮光板3と板部材24とが錠剤Wを挟む構成の場合、錠剤Wの吸着保持状態の多少のバラツキを吸収して、錠剤Wの向きが整えられるので、検査精度をより向上させることができる。
【0049】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態を説明する。
図5(a)は、第2実施形態に係る物品検査装置31の斜視図、(b)は、(a)の物品検査装置31を異なる方向から見た斜視図である。なお、第2実施形態において、第1実施形態で示した部材・部位と同等の部材・部位には同一の符号を付し重複する説明は省略する。
第2実施形態に係る物品検査装置31は、遮光板3が、検査部4の光照射部19と錠剤Wとの間に配置される。すなわち、遮光板3は、搬送ディスク8の上側に配置される。また、搬送ディスク8には、第1実施形態で述べた板部材24が設けられていない。他の構成は、第1実施形態の物品検査装置1と同じである。
【0050】
図6は、図5に示した物品検査装置31の一部分を省略した平面図である。
物品検査装置31は、搬送部2が円板状に形成されて、板部材24を有さずに外周縁9で錠剤Wを保持する。物品検査装置31は、遮光板3が円板状に形成されて、外周縁10に等間隔で穿設された貫通孔25を有する。搬送部2と遮光板3とは、異なる回転軸22,23で同期して回転される。この物品検査装置31においても、遮光板3には複数のスリット27が放射状に設けられている。すなわち、それぞれの貫通孔25は、遮光板3の外周縁10において、一対のスリット27の間に配置されている。
【0051】
図7は、図6の要部側断面図である。
従って、この物品検査装置31では、搬送ディスク8の外周縁9に、上方から回転軸22の傾斜した遮光板3の片持ち遮光片28(図3参照)が配置される。つまり、片持ち遮光片28は、上述した板部材24の変わりとなって、搬送ディスク8の外周縁9に吸着された錠剤Wの上面に添えられる。この場合、遮光板3は、遮光機能と位置決め機能の双方を有することになる。すなわち、搬送ディスク8により所定の姿勢からずれて吸着保持された錠剤Wは、遮光板3の片持ち遮光片28に当たることにより正規の保持姿勢に補正されることになる。
【0052】
図8は、図7の要部拡大図である。
第2実施形態に係る物品検査装置31では、錠剤Wの側面が、円板状となった搬送部2の外周縁9で吸着保持される。錠剤Wは、搬送部2が回転されることにより、円周方向の一部分が搬送路となって搬送される。円板状に形成された遮光板3は、この搬送部2における搬送路に一部分が上方から重なるように配置される。すなわち、大径円で形成した搬送部2を平面投影したときの投影面積の内側に、小径円で形成した遮光板3を配置することが可能となる。
【0053】
また、搬送部2と遮光板3とは、それぞれが異なる回転軸22,23で回転されるので、搬送路を挟む両側に駆動源を配置する容易なレイアウトが可能となる。物品検査装置31は、円板状の搬送部2の内周側に、円板状の遮光板3の外周縁10における一部分を接触させて配置できるので、少ない配置スペースで遮光板3を設けることができ、物品検査装置31をコンパクトにできる。
【0054】
また、物品検査装置31では、搬送ディスク8の外周縁9に吸着保持された錠剤Wが、上方から遮光板3の片持ち遮光片28に当接して位置決めされるので、上述の板部材24を省略することができる。そのため、錠剤Wの保持構造および遮光構造を簡素にすることができ、物品検査装置31を肥大化させずに、コンパクトにできる。
【0055】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態を説明する。
図9は、第3実施形態に係る物品検査装置41の要部側断面図である。なお、第3実施形態において、第1実施形態で示した部材・部位と同等の部材・部位には同一の符号を付し重複する説明は省略する。
第3実施形態に係る物品検査装置41は、遮光板3が、検査部4の光照射部19と錠剤Wとの間、および錠剤Wと光検出部20との間の双方に配置される。すなわち、遮光板3は、搬送ディスク8の外周縁9を挟んで上下一対のものが配置される。上下一対の遮光板3は、それぞれが異なる回転軸22A,22Bで搬送ディスク8と同期して回転される。また、搬送ディスク8には、第1実施形態で述べた板部材24が設けられていない。他の構成は、第1実施形態の物品検査装置1と同じである。
【0056】
この第3実施形態に係る物品検査装置41では、上下一対の遮光板3と、搬送ディスク8とを同期させて回転することにより、搬送ディスク8の外周縁9に吸着保持された錠剤Wを、検査部4の検査位置において、上下の片持ち遮光片28で挟むことができる。これにより、物品検査装置41によれば、錠剤Wを上下の片持ち遮光片28の貫通孔25で嵌めあわせて、遮光と位置あわせとの双方をより確実に、さらには錠剤Wの姿勢補正を行うことができる。
【0057】
図10は、第3実施形態の変形例に係る要部側断面図である。
なお、錠剤Wを上下から挟む構成としては、異なる回転軸22で回転される一対の遮光板3に変えて、搬送ディスク8の各吸着孔18に応じて上下一対の挟持板42を外周縁9に沿って複数対設けてもよい。上下の挟持板42のそれぞれは、搬送ディスク8の半径方向に沿う方向に長い帯板状に形成され、長手方向中央部が支持板43により揺動自在に搬送ディスク8の板面に支持される。挟持板42の揺動先端には、遮光板3と同様の貫通孔25が穿設される。挟持板42は、例えば搬送ディスク8の回転力を利用したカム・カムフォロワ機構や、搬送ディスク8に設けた揺動アクチュエータ等により揺動させることにより、錠剤Wを上下から挟持及び挟持解除させることができる。
【0058】
この変形例による錠剤Wの挟持機構によれば、搬送ディスク8のみに駆動部を設けることが可能となり、装置をよりコンパクト化することが可能となる。
【0059】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態を説明する。
図11は、第4実施形態に係る物品検査装置51の平面図である。なお、第4実施形態において、第1実施形態で示した部材・部位と同等の部材・部位には同一の符号を付し重複する説明は省略する。
第4実施形態に係る物品検査装置51は、環状回転板52を有する。環状回転板52は、アクリル樹脂やガラス等の透明材料により形成され、筐体13の開口から外側にフランジ状に張り出して固定される。環状回転板52は、筐体13と一体に回転する。
【0060】
環状回転板52の上面には、錠剤Wが遮光板3により押さえられる。この際、環状回転板52は、錠剤Wへの反力・衝撃が緩和されるように、可撓性を有する構造としてもよい。可撓性を有する構造としては、例えば環状回転板52自体の素材に柔軟性や可撓性を有するものや、環状回転板52を薄厚に形成し、放射方向に多数のスリットを入れる等の構成が挙げられる。
【0061】
環状回転板52の外側には、この環状回転板52を内側に配置し、環状回転板52の円周方向の一部分とその上側で重なる環状の吸引リング53が配置される。吸引リング53は、図示しない回転機構によりリング中心を回転中心に回転される。吸引リング53の内周縁54は略垂直面とされ、この面には、吸着孔18が内周方向に等間隔で設けられる。つまり、この吸引リング53と環状回転板52とが重なる位置は、錠剤取得部17となっている。錠剤取得部17では、環状回転板52に乗り整列して移動する錠剤Wの側面が吸引リング53の吸着孔18によって吸着される。
【0062】
図12は、図11の要部側断面図である。
錠剤取得部17よりも若干搬送方向下流側に離れた位置には、上述と同様の検査部4が配置される。吸引リング53の内側上方には、鉛直軸に対して傾斜した回転軸22で回転される遮光板3が配置される。遮光板3は、検査部4の位置で、環状回転板52とで錠剤Wを上下から挟むように、貫通孔25の穿設された外周縁10の一部が、環状回転板52の一部と重なる。
【0063】
錠剤Wは、上述と同様に、錠剤投入口から回転する回転円板14に供給され、回転円板14の回転に伴って周方向に移動し、回転円板14の傾斜頂部の近傍にて環状回転板16に移動する。環状回転板16の錠剤Wは、環状回転板16の回転に伴って周方向外側へ移動し、錠剤取得部17に送られる。錠剤取得部17に送られた錠剤Wは、搬送部2において回転する吸引リング53の内周側に開口する吸着孔18に吸着される。なお、本実施形態においては回転円板14が円錐状となっているが、第2実施形態(図5)と同じく平板状でもよい。
【0064】
この物品検査装置51では、錠剤Wが、水平姿勢で吸引リング53に保持され、その姿勢のまま吸引リング53の回転とともに、周方向に搬送される。搬送された錠剤Wは、検査部4に到達すると、上面が遮光板3により環状回転板52に押さえられる。遮光板3の片持ち遮光片28に押さえられた錠剤Wは、片持ち遮光片28の貫通孔25に嵌ることで、検査部4における所定の検査位置に高精度に位置決めされる。同時に、片持ち遮光片28が錠剤Wに適宜なばね性で密着するので、錠剤Wと遮光板3との間に隙間が生じにくくなる。
【0065】
この物品検査装置51では、光照射部19からの光照射タイミングに合わせて貫通孔25が錠剤Wに重なる位置に配置されることにより、錠剤Wの外周より外側から光検出部20に入ろうとする光21を遮り、錠剤Wを透過した光21のみを光検出部20へ入射させることが可能となる。また、遮光板3は、ばね性により、貫通孔25に錠剤Wを嵌めて錠剤Wの位置を補正するので、高速搬送される錠剤Wを、光照射部19からの光照射タイミングに合わせて高精度に検出位置に位置あわせできる。
【0066】
これに加え、物品検査装置51では、吸引リング53を平面投影したときの投影面積の内側に、供給部5および遮光板3をレイアウトできるので、装置の設置面積をコンパクトに構成することができる。また、錠剤Wの形状等が変わっても、環状回転板52は同一のものを使用したままで遮光板3のみの変更により対応が可能となる。
【0067】
従って、本実施形態に係る物品検査装置1,31,41,51によれば、錠剤Wの高速搬送と遮光対策とを同時に実現できる。遮光板3によって漏れ光を防ぐことができ、そして、検査精度を向上させることができる。
【0068】
なお、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば、前述の実施形態では、回転フィーダ6を用い、供給部5を構成する例を示したが、この供給部はその他の構成でも良く、搬送部2への物品Wの供給が行える構成であれば振動フィーダ等その他の構造としても良く、好ましくは物品Wを整列状態で受け渡せることとすれば良い。また、搬送部2についても、円形の搬送ディスク8により物品Wを搬送させる機構等にて構成されるものではなく、直線的に搬送させるような機構でも良い。いずれも搬送される物品Wに対して、遮光板3にて物品Wの外周から光検出部20へ入射する光を遮ることが可能であれば、上述した効果を得られるものである。
【符号の説明】
【0069】
1,31,41,51…物品検査装置
2…搬送部
3…遮光板
4…検査部
9,10…外周縁
19…光照射部
20…光検出部
22…回転軸
24…板部材
25…貫通孔
27…スリット
W…物品(錠剤)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12