(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】使い捨ておむつ
(51)【国際特許分類】
A61F 13/56 20060101AFI20240208BHJP
A61F 13/493 20060101ALI20240208BHJP
A61F 13/51 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
A61F13/56 211
A61F13/493
A61F13/51
(21)【出願番号】P 2021148996
(22)【出願日】2021-09-13
【審査請求日】2023-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大島 彩
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-172814(JP,A)
【文献】国際公開第2019/230331(WO,A1)
【文献】特開2017-063942(JP,A)
【文献】特開2014-111042(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
A61L15/16-15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面シートと裏面シートとこれらの間に配置された吸収体とを有し、背側部から腹側部まで延びたおむつ本体と、
前記背側部の両側部に設けられて、前記吸収体よりも前記おむつ本体の幅方向の外側に延びたサイドフラップ部と、
前記サイドフラップ部に設けられて、前記おむつ本体の使用時に前記腹側部に留められるファスニングテープと、を備え、
前記ファスニングテープは、前記サイドフラップ部に固定され
ると共に、平面視で矩形状を呈して前記おむつ本体の延在方向に沿って延びた固定部と、前記固定部
の前記幅方向の外側の側縁の一部から前記幅方向の外側に延びた突出片と、を有し、
前記突出片よりも着用者の足側に設定された前記固定部の下部領域に
は、
前記突出片の下端から連続する位置であって、前記突出片の下端と前記固定部の下端縁との間の途中位置に、前記幅方向の外側の側縁から前記幅方向の内側に向かってへこんだ切欠部が形成され
、
前記固定部は、前記サイドフラップ部に固定されない非固定領域を有し、
前記非固定領域は、前記切欠部から前記固定部の前記幅方向の内側の側縁までにわたり、前記下部領域を通り斜め下方に向かって延びている
ことを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項2】
請求項1に記載された使い捨ておむつにおいて、
前記突出片は、前記幅方向の外側縁部に、前記おむつ本体の装着時に把持させる目印部を有し、
前記切欠部は、前記突出片を挟んで前記目印部と対向する位置に配置されている
ことを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項3】
請求項1
又は請求項2に記載された使い捨ておむつにおいて、
前記サイドフラップ部は、前記表面シートと前記裏面シートとが積層されて形成されると共に、前記表面シートと前記裏面シートとを接着しない非接着領域を有し、
前記非接着領域は、前記切欠部が重複する位置から前記固定部の前記下部領域を通る方向に延びている
ことを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項4】
請求項1から
請求項3のいずれか一項に記載された使い捨ておむつにおいて、
前記固定部は、前記切欠部の周縁部に、前記ファスニングテープの剛性を抑制する脆弱構造が設けられている
ことを特徴とする使い捨ておむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつに関するものである。
【背景技術】
【0002】
装着時におむつ本体の背側部と腹側部とを綴じ合わせるファスニングテープを備えた使い捨ておむつが知られている(例えば、特許文献1から特許文献3参照)。ここで、従来の使い捨ておむつでは、おむつ本体が背側部の両側にサイドフラップ部を有し、ファスニングテープがサイドフラップ部に固定された固定部と、固定部からおむつ本体の幅方向の外側に延びた突出片と、を有している。そして、特許文献1及び特許文献2は、固定部に、おむつ本体の幅方向の内側の端縁から幅方向の外側に向かってへこんだ切欠部が形成された構成を開示している。また、特許文献3は、固定部が突出片よりも下方(着用者の足側)に延びた構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-136788号
【文献】特開2012-120663号
【文献】特開2021-074077号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1及び特許文献2に開示されたファスニングテープの固定部は、突出片の下方(着用者の足側)には延びていない。そのため、背側部と腹側部とを綴じ合わせる際、サイドフラップ部の下部に作用する力が弱くなり、おむつ本体の足回りのフィット性が低下するという課題がある。
【0005】
また、特許文献3に開示されたファスニングテープは、固定部が突出片よりも下方(着用者の足側)に延びているが、サイドフラップ部は、固定部が延びていることで、突出片よりも下側の剛性が増している。そのため、背側部と腹側部とを綴じ合わせる際、サイドフラップ部の下部が適切に変形せず、おむつ本体の足回りのフィット性が低くなるという課題がある。
【0006】
そこで、本発明は、おむつ本体の足回りのフィット性を向上させることができる使い捨ておむつを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の使い捨ておむつは、表面シートと裏面シートとこれらの間に配置された吸収体とを有し、背側部から腹側部まで延びたおむつ本体と、前記背側部の両側部に設けられて、前記吸収体よりも前記おむつ本体の幅方向の外側に延びたサイドフラップ部と、前記サイドフラップ部に設けられて、前記おむつ本体の使用時に前記腹側部に留められるファスニングテープと、を備え、前記ファスニングテープは、前記サイドフラップ部に固定されると共に、平面視で矩形状を呈して前記おむつ本体の延在方向に沿って延びた固定部と、前記固定部の前記幅方向の外側の側縁の一部から前記幅方向の外側に延びた突出片と、を有し、前記突出片よりも着用者の足側に設定された前記固定部の下部領域には、前記突出片の下端から連続する位置であって、前記突出片の下端と前記固定部の下端縁との間の途中位置に、前記幅方向の外側の側縁から前記幅方向の内側に向かってへこんだ切欠部が形成され、前記固定部は、前記サイドフラップ部に固定されない非固定領域を有し、前記非固定領域は、前記切欠部から前記固定部の幅方向の内側の側縁までにわたり、前記下部領域を通り斜め下方に向かって延びていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このように構成された本発明の使い捨ておむつは、おむつ本体の足回りのフィット性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1の使い捨ておむつの使用状態を示す外観斜視図である。
【
図2】実施例1の使い捨ておむつを示す平面図である。
【
図5】実施例1の使い捨ておむつの使用時に生じるシワを示す説明図である。
【
図6】実施例2の使い捨ておむつの要部を示す拡大図である。
【
図7】実施例2の使い捨ておむつの変形例を示す要部拡大図である。
【
図8】第1変形例の使い捨ておむつを示す要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明による使い捨ておむつを実施するための形態を、図面に示す実施例1及び実施例2に基づいて説明する。
【0011】
(実施例1)
実施例1の使い捨ておむつ1は、介助者によって着用者Pに装着されるおむつである。着用者Pは、使い捨ておむつ1の使用時、
図1に示すように、背中から股を介し腹部にわたっておむつ本体10により覆われる。使い捨ておむつ1は、
図2に示すように、背側部10Xと、股部10Yと、腹側部10Zとを有するおむつ本体10と、おむつ本体10に設けられたファスニングテープ20と、を備える。ここで、背側部10Xと、腹側部10Zと、背側部10Xと腹側部10Zとの間の股部10Yとは、一体に連なって形成されている。なお、背側部10Xと股部10Yの間や、腹側部10Zと股部10Yの間には、境界や構造的な差異があるわけではない。そして、使い捨ておむつ1は、背側部10Xの両側部に設けられたサイドフラップ部17がファスニングテープ20を介して腹側部10Zに綴じ合わされる。使い捨ておむつ1は、内側にインナーパッドをセットして使用されてもよい。
【0012】
以下の説明では、背側部10Xと腹側部10Zを結ぶ方向を「延在方向D」とし、延在方向Dに直交する方向を「幅方向E」とする。また、以下の説明では、着用者Pを基準として「上下」「左右」「前後」等の用語を用いる。すなわち、延在方向Dは、おむつ本体10の前後方向になり、前側が着用者Pの腹側に対応し、後側が着用者Pの背中側に対応する。
【0013】
おむつ本体10は、
図2に示すように、トップシート11(表面シート)と、バックシート12(裏面シート)と、吸収体13と、一対のギャザーシート14と、を備えている。
【0014】
トップシート11は、おむつ本体10の身体側(内側)に配置され、吸収体13の表を被覆するシートである。トップシート11は、液体を透過する特性である液透過性を有しており、例えば、液透過性の不織布等で形成されている。トップシート11は、吸収体13に向けて体液を速やかに通過させる。
【0015】
バックシート12は、おむつ本体10の衣類側(外側)に配置され、吸収体13の裏を被覆するシートである。バックシート12は、液体を透過させない特性である液不透過性を有しており、例えば、樹脂フィルムで形成されている。バックシート12は、吸収体13が保持している体液の通過を阻止して、衣類等を濡らさないようにする。
【0016】
吸収体13は、トップシート11とバックシート12との間に配置され、トップシート11を透過した液体(体液)を吸収して保持する。吸収体13は、シート状に形成された吸収性ポリマー粒子とパルプ繊維を含んで構成され、クレープ紙や不織布等からなる図示しないコアラップシートによって包まれている。なお、吸収体13は、必ずしもコアラップシートに包まれていなくてもよい。吸収体13は、おむつ本体10の延在方向Dに延びる帯形状を呈し、トップシート11及びバックシート12よりも小さい外形に設定されている。吸収体13は、単層であっても複層であってもよい。
【0017】
トップシート11とバックシート12とは、吸収体13を挟んだ状態で重ね合わされ、吸収体13に重複する領域以外の部分が、ホットメルト等の接着剤等によって接着される。
【0018】
ギャザーシート14は、例えば、撥水性又は液不透過性の不織布を用いることができる。ギャザーシート14は、延在方向Dに長い帯形状を呈し、おむつ本体10の幅方向Eの中心を挟んで一対設けられている。ギャザーシート14の幅方向Eの一端は、例えばホットメルト等の接着剤や溶着等によってトップシート11に固定されている。ギャザーシート14の幅方向Eの他端には、延在方向Dに延びた細長状の二本の弾性伸縮部材14a(
図2参照)が所定の伸張状態で設けられている。弾性伸縮部材14aは、例えば、糸状又は帯状の合成ゴム等を使用することができる。弾性伸縮部材14aは、背側部10Xから腹側部10Zまで延在している。弾性伸縮部材14aの収縮力によって、ギャザーシート14の幅方向Eの他端にギャザーが形成され、トップシート11から立ち上がる。そして、ギャザーシート14が立ち上がることで立体ギャザー15が形成される。立体ギャザー15は、着用者Pの体型に合わせて変形可能であり、着用者Pの排泄物の横漏れを防止する。
【0019】
また、おむつ本体10は、着用者Pの鼠径部に沿う部分に、延在方向Dに延びた複数の弾性伸縮部材16aが所定の伸張状態で設けられている。弾性伸縮部材16aは、細長状を呈し、例えば、糸状又は帯状の合成ゴム等を使用することができる。弾性伸縮部材16aの収縮力によって、おむつ本体10の鼠径部に沿う部分に平面ギャザー16が形成される。
【0020】
平面ギャザー16は、股部10Yを中心にしておむつ本体10の延在方向Dに沿って延びる。平面ギャザー16は、
図2に示すように、立体ギャザー15よりも幅方向Eの外側に設けられている。平面ギャザー16は、着用者Pの体型に合わせて変形可能である。おむつ本体10は、平面ギャザー16が変形することで、着用者Pの鼠径部におけるフィット感を向上させる。
【0021】
さらに、おむつ本体10は、背側部10Xの幅方向Eの両側部に、サイドフラップ部17がそれぞれ形成されている。サイドフラップ部17は、吸収体13の幅方向Eの側縁13aよりも側方(幅方向Eの外側)に延びたトップシート11及びバックシート12によって構成されている。なお、サイドフラップ部17では、トップシート11の全面がバックシート12に接着されている。そして、
図2に示すように、背側部10Xの両側の各サイドフラップ部17には、ファスニングテープ20が一つずつ設けられている。
【0022】
ファスニングテープ20は、例えば、不織布、プラスチックフィルム、ポリエチレンの薄膜で表面を覆ったポリラミ不織布、紙、これらの複合素材からなるシート材によって形成されている。ファスニングテープ20は、介助者が使い捨ておむつ1を着用者Pに装着させるときにサイドフラップ部17を引っ張るために使用される。ファスニングテープ20は、使用中の不要な破れや伸びを防止するため、トップシート11やバックシート12等よりも高目付の素材が用いられる。そして、ファスニングテープ20は、固定部21と、単独の突出片22と、を有している。
【0023】
固定部21は、サイドフラップ部17の側端部17aに固定されている。なお、ここでは、固定部21の全面がサイドフラップ部17に固定されている。しかし、固定部21は、側端部17aから一部が突出した状態でサイドフラップ部17に固定されてもよい。また、固定部21は、ここではサイドフラップ部17の外側(衣類側)、つまりバックシート12に固定されている。なお、固定部21は、サイドフラップ部17の表裏両面に固定され、サイドフラップ部17を挟んでもよいし、サイドフラップ部17の内側(身体側)、つまりトップシート11に固定されてもよい。固定部21は、ホットメルト等の接着剤や溶着によってサイドフラップ部17に固定される。また、固定部21は、平面視で矩形状を呈しており、おむつ本体10の延在方向Dに沿って延びている。
【0024】
突出片22は、固定部21の外側の側縁21a(
図3参照)の一部を幅方向Eの外側に向かって延在させることで形成されている。つまり、突出片22は、固定部21の外側の側縁21aからおむつ本体10の幅方向Eの外側に延びている。なお、「固定部21の外側の側縁21a」は、固定部21の幅方向Eの外側端縁である。そして、突出片22は、サイドフラップ部17よりもおむつ本体10の側方、つまり幅方向Eの外側に突出している。
【0025】
また、突出片22は、固定部21に一つだけ(単独)設けられている。突出片22は、平面視で固定部21よりも小さいほぼ矩形状を呈している。そして、突出片22は、使い捨ておむつ1を着用者Pに装着する際、介助者によって把持される。
【0026】
また、突出片22の内側面(身体側の面)には、係止部材23が設けられている。係止部材23は、おむつ本体10の腹側部10Zの外側(衣服側)に設けられたターゲットテープ24に着脱可能に係止される。
【0027】
なお、係止部材23は、面ファスナーのフック材や、粘着テープが用いられる。係止部材23は、ターゲットテープ24に対し、係止と剥離を繰り返すことが可能であれば材質や形状等は問わない。また、ターゲットテープ24は、例えば、係止部材23が面ファスナーのフック材の場合、表面にフック材が絡まるようなループ糸が多数設けられたシートを用いることができる。ターゲットテープ24は、例えば、係止部材23が粘着テープの場合、表面に剥離処理を施した平滑なシートを用いることができる。さらに、係止部材23をフック材によって構成し、バックシート12の外側(衣類側)の表面が不織布からなる場合には、ターゲットテープ24を省略してもよい。この場合、係止部材23は、バックシート12の繊維に絡まって留められる。
【0028】
そして、実施例1の使い捨ておむつ1は、ファスニングテープ20の固定部21に切欠部30が形成されている。また、ファスニングテープ20の突出片22には、目印部25が形成されている。
【0029】
目印部25は、使い捨ておむつ1の装着時、介助者に把持させる突出片22の位置を示す部分である。目印部25は、突出片22の幅方向Eの外側縁部22aに形成されている。実施例1の目印部25は、突出片22の外側縁部22aの上部(突出片22の上側の隅角部分)を、幅方向Eの外側に向かって半円状に突出させることで形成されている。
【0030】
なお、係止部材23は、突出片22の幅方向Eの中間部に配置され、目印部25と干渉しない位置に設けられている。このため、目印部25は、ターゲットテープ24に係止されず、ファスニングテープ20を剥がすときに摘まみやすくなっている。
【0031】
切欠部30は、固定部21の幅方向Eの外側の側縁21aに設けられ、側縁21aから幅方向Eの内側に向かってへこんだ部分である。すなわち、切欠部30は、固定部21の外側の側縁21aが幅方向Eの内側に向かって円弧状に切り取られることで形成される。切欠部30は、固定部21の下部領域α(
図4において一点鎖線で囲む領域)に形成され、ここでは、突出片22の下端22bから連続する位置に形成されている。つまり、突出片22と切欠部30は、平面視において一体的に連続する湾曲状に形成されている。ここで、「下部領域α」は、固定部21のうち、突出片22が突出した位置、つまり突出片22の下端22bよりも下側(股部10Y側、着用者Pの足側)の領域である。
【0032】
そして、突出片22の上側の隅角部に目印部25が形成され、固定部21の幅方向Eの外側の側縁21aに突出片22の下端22bから連続して切欠部30が形成されたことで、目印部25と切欠部30とは、突出片22を挟んで対向する。つまり、目印部25が形成された位置と切欠部30が形成された位置とは、突出片22の同一の対角線上にほぼ配置されている。
【0033】
さらに、実施例1の使い捨ておむつ1では、固定部21が非固定領域R1(
図4において破線で囲まれた領域)を有し、サイドフラップ部17が非接着領域R2(
図3において二点鎖線で囲まれた領域)を有している。
【0034】
非固定領域R1は、固定部21のうち、サイドフラップ部17に固定されない領域である。非固定領域R1は、切欠部30から固定部21の幅方向Eの内側の側縁21bまでにわたり、下部領域αを通り斜め下方に向かって延在している。なお、非固定領域R1の延在方向は、
図3に示す方向に限らず、固定部21の下部領域αを通る方向であれば、任意の方向に設定することができる。
【0035】
非接着領域R2は、トップシート11とバックシート12とを重ね合わせて形成されたサイドフラップ部17のうち、トップシート11とバックシート12とが接着されていない領域である。非接着領域R2は、切欠部30に重複した位置から、ギャザーシート14が設けられた位置までにわたり、非固定領域R1と同じ方向(下部領域αを通り斜め下方に向かう方向)に延在している。このため、非固定領域R1と非接着領域R2とは、重複している。
【0036】
なお、非接着領域R2は、非固定領域R1の延在方向と異なる方向に延びてもよく、
図3に示す方向に限らず、固定部21の下部領域αを通る方向であれば、任意の方向に設定することができる。さらに、非接着領域R2は、サイドフラップ部17の側端部17aから、サイドフラップ部17の中間位置(ギャザーシート14の手前の位置)まで延在するものであってもよい。
【0037】
以下、実施例1の使い捨ておむつ1の作用を説明する。
【0038】
実施例1の使い捨ておむつ1を着用者Pに装着するには、介助者は、まず、使い捨ておむつ1のおむつ本体10を展開し、仰臥位状態の着用者Pの身体にあてがう。このとき、介助者は、おむつ本体10の背側部10Xを着用者Pの背中に対向させる。次に、介助者は、おむつ本体10の腹側部10Zで着用者Pの腹部を覆う。続いて、介助者は、突出片22を把持し、ファスニングテープ20を介してサイドフラップ部17を引っ張り、背側部10Xを着用者Pの身体にフィットさせる。そして、介助者は、サイドフラップ部17を引っ張った状態で突出片22に設けられた係止部材23をターゲットテープ24に留める。これにより、サイドフラップ部17は腹側部10Zに綴じ合わされ、使い捨ておむつ1は着用者Pに装着される。
【0039】
ここで、実施例1の使い捨ておむつ1のファスニングテープ20は、突出片22よりも着用者Pの足側に位置する固定部21の下部領域αに切欠部30が形成されている。そのため、サイドフラップ部17の側端部17aのうち、切欠部30が重複する部分は、ファスニングテープ20が重なっていない。つまり、固定部21の下部領域αには、剛性が低下した部分が生じている。これにより、サイドフラップ部17は、引っ張られた際、突出片22の下側(着用者Pの足側)の切欠部30が重複した部分が適宜変形する。この結果、使い捨ておむつ1は、
図5に示すように、使用時、サイドフラップ部17の切欠部30が重複している部分が折れ曲がり、切欠部30を中心にしてシワSを生じさせることができる。そして、サイドフラップ部17の下部の弛みや浮きを抑制して着用者Pの身体に沿わせることができ、おむつ本体10の足回りのフィット性を向上させることができる。
【0040】
また、実施例1の使い捨ておむつ1では、突出片22の幅方向Eの外側縁部22aに目印部25が形成されている。これにより、使い捨ておむつ1は、介助者が突出片22を把持する際、目印部25が形成された位置、ここでは突出片22の外側縁部22aの上部(突出片22の上側の隅角部分)を把持させることができる。また、介助者は、目印部25が形成された位置を持ってファスニングテープ20を引っ張ることで、サイドフラップ部17を幅方向Eよりも斜め下方に向けて容易に引っ張ることができる。すなわち、使い捨ておむつ1は、突出片22の幅方向Eの外側縁部22aに目印部25を形成したことで、幅方向Eよりも斜め下方に向けてサイドフラップ部17を引っ張るように介助者を誘導でき、おむつ本体10の腰回りのフィット性を高めることができる。
【0041】
そして、これに対し、実施例1の使い捨ておむつ1では、固定部21に形成された切欠部30が、突出片22を挟んで目印部25に対向する位置に配置されている。そのため、サイドフラップ部17が斜め下方に引っ張られ、サイドフラップ部17の上部に斜め下方に向かう第1の力F1が作用する場合、サイドフラップ部17の下部には、切欠部30に向かう斜め上方向の第2の力F2が作用する。つまり、サイドフラップ部17には、ファスニングテープ20の下側(足側)が上方に引っ張られる力(第2の力F2)がかかる。
【0042】
これにより、切欠部30を中心に生じるシワSは、切欠部30から斜め下方に延びる。そして、サイドフラップ部17に切欠部30から斜め下方に延びるシワSが生じることにより、サイドフラップ部17の下部の弛みや浮きが抑制され、おむつ本体10の足回りのフィット性を向上させることができる。
【0043】
また、実施例1の使い捨ておむつ1は、ファスニングテープ20の固定部21が、サイドフラップ部17に固定されない非固定領域R1を有している。ここで、非固定領域R1では、固定部21とサイドフラップ部17とが離れており、サイドフラップ部17は、固定部21が固定された部分よりも非固定領域R1の剛性が低下している。このため、サイドフラップ部17は、非固定領域R1において容易に変形することができる。
【0044】
しかも、非固定領域R1が切欠部30から固定部21の下部領域αを通る斜め下方に延びていることで、サイドフラップ部17に作用する第1の力F1と第2の力F2を切欠部30に向かって集中させることができる。この結果、サイドフラップ部17の下部に切欠部30に向かう斜め上方向のシワSを容易に生じさせ、足回りのフィット性を向上させることができる。
【0045】
さらに、実施例1の使い捨ておむつ1では、サイドフラップ部17が、トップシート11とバックシート12とを積層して形成されており、バックシート12にトップシート11が接着されている。そして、このようなサイドフラップ部17が、トップシート11とバックシート12とを接着しない非接着領域R2を有している。
【0046】
非接着領域R2では、トップシート11とバックシート12とが離れており、サイドフラップ部17は、トップシート11とバックシート12とを接着された部分よりも非接着領域R2の剛性が低下している。このため、サイドフラップ部17は、非接着領域R2において、容易に変形することができる。また、非接着領域R2が切欠部30に重複する位置から固定部21の下部領域αを通る斜め下方に延びている。これにより、サイドフラップ部17に生じる切欠部30に向かう斜め上方向のシワSを、背側部10Xの幅方向Eの中心に向かって展開することができる。この結果、おむつ本体10の足回りのフィット性をさらに向上させることができる。
【0047】
(実施例2)
実施例2の使い捨ておむつ1Aでは、
図6に示すように、ファスニングテープ20Aの固定部21に切欠部30が形成されると共に、切欠部30の周縁部に、ファスニングテープ20Aの剛性を抑制する脆弱構造40が形成されている。なお、実施例2の使い捨ておむつ1Aにおけるファスニングテープ20A以外の構成は、実施例1の使い捨ておむつ1とほぼ同様である。そのため、詳細な説明は省略する。
【0048】
実施例2の使い捨ておむつ1Aでは、ファスニングテープ20Aに形成された脆弱構造40が、固定部21に形成された複数(ここでは3本)のミシン目41によって構成されている。ミシン目41は、固定部21を貫通するカット部と、固定部21を貫通しないアンカット部とが、固定部21の下部領域αを通る任意の方向に沿って交互に並ぶことで形成されている。また、脆弱構造40を構成する複数のミシン目41は、所定の間隔をあけて延在方向Dに並んでいる。
【0049】
ファスニングテープ20Aの固定部21は、複数のミシン目41による脆弱構造40が形成されたことで、脆弱構造40が形成された部分の剛性が、脆弱構造40が形成されていない部分よりも剛性が低減する。つまり、ファスニングテープ20Aの固定部21は、切欠部30の周縁部の剛性が抑制される。
【0050】
以下、実施例2の使い捨ておむつ1Aの作用を説明する。
【0051】
実施例2の使い捨ておむつ1Aにおいても、介助者がサイドフラップ部17を斜め下方に引っ張ることで、サイドフラップ部17の上部に斜め下方に向かう第1の力F1が作用する。また、サイドフラップ部17の下部には、切欠部30に向かう斜め上方向の第2の力F2が作用する。そして、ファスニングテープ20の固定部21に、切欠部30が形成されているため、サイドフラップ部17に、切欠部30から斜め下方に延びるシワSを生じさせることができる。この結果、実施例2の使い捨ておむつ1Aは、サイドフラップ部17の下部の弛みや浮きが抑制され、おむつ本体10の足回りのフィット性を向上させることができる。
【0052】
また、実施例2の使い捨ておむつ1Aは、固定部21に形成された切欠部30の周縁部に脆弱構造40が形成されている。脆弱構造40は、固定部21の剛性を抑制する。このため、固定部21のうち、脆弱構造40が形成された部分は、脆弱構造40が形成されていない部分よりも容易に変形可能である。そのため、サイドフラップ部17が引っ張られ、サイドフラップ部17に切欠部30を中心にしてシワSが生じた際、固定部21の脆弱構造40が形成された部分、つまり固定部21の下部領域αを容易に変形させることができる。この結果、切欠部30の周縁部を着用者Pの身体に沿うように変形させ、おむつ本体10の装着感を向上させることができる。
【0053】
なお、固定部21に形成され、切欠部30の周縁部の剛性を抑制する脆弱構造40は、複数のミシン目41によって構成されるものに限らない。脆弱構造40は、切欠部30の周縁部の固定部21の剛性を抑制する構成であればよい。すなわち、例えば、
図7に示す第1変形例の脆弱構造40Aのように、切欠部30が形成された位置と、目印部25が形成された位置とをつなぐ直線Lよりも下側(股部10Y側、着用者Pの足側)の部分に固定部21を設けないことで脆弱構造40Aを構成してもよい。
【0054】
固定部21は、
図7に示す第1変形例の脆弱構造40Aを有することで、例えばミシン目41によって脆弱構造40を構成する場合と比べて、固定部21の面積を少なくすることができる。このため、固定部21によって剛性が高まるサイドフラップ部17の面積を小さくし、サイドフラップ部17を容易に変形させることができる。これにより、切欠部30の周縁部を着用者Pの身体に沿うように変形させ、おむつ本体10の装着感を向上させることができる。
【0055】
以上、本発明の使い捨ておむつを実施例1及び実施例2に基づき説明してきた。しかし、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や、各実施例の組み合わせや、追加等は許容される。
【0056】
例えば、
図8に示す第1変形例の切欠部30Aのように、固定部21の幅方向Eの外側の側縁21aから、幅方向Eの内側に向かうへこみ長さW1を、実施例1の切欠部30よりも長く設定してもよい。この場合、実施例1の切欠部30が形成された場合よりも、ファスニングテープ20の固定部21の面積を小さくすることができる。これにより、切欠部30の周縁部の剛性を抑制する第1変形例の脆弱構造40Aを設けた場合と同様に、固定部21によって剛性が高まったサイドフラップ部17の面積を小さくできる。このため、サイドフラップ部17を容易に変形させることができ、切欠部30Aの周縁部を着用者Pの身体に沿うように変形させて、おむつ本体10の装着感を向上させることができる。
【0057】
また、実施例1の使い捨ておむつ1では、突出片22に設けた目印部25が、突出片22の外側縁部22aを、幅方向Eの外側に向かって突出させて形成された例が示された。しかしながら、目印部25は、当該目印部25が形成された位置を介助者に把持させるように誘導可能であればよい。そのため、目印部25は、例えば突出片22の外側縁部22aの上部に着色を施すことで形成されてもよい。
【0058】
また、目印部25が形成される位置は、突出片22の外側縁部22aの上部(突出片22の上側の隅角部分)に限らず、介助者が把持することが望ましい位置であれば任意の位置に形成することが可能である。
【0059】
また、実施例1の使い捨ておむつ1では、サイドフラップ部17がトップシート11とバックシート12とを積層して形成され、トップシート11を表面シートとし、バックシート12を裏面シートとする例が示された。しかしながら、サイドフラップ部17の構成はこれに限らない。例えば、表面シートが、トップシート11と、トップシート11の両側に配置されたギャザーシート14で構成され、ギャザーシート14とバックシート12とが積層されてサイドフラップ部17が形成されてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 使い捨ておむつ
10 おむつ本体
10X 背側部
10Y 股部
10Z 腹側部
11 トップシート(表面シート)
12 バックシート(裏面シート)
13 吸収体
17 サイドフラップ部
20 ファスニングテープ
21 固定部
21a 側縁
α 下部領域
22 突出片
23 係止部材
24 ターゲットテープ
25 目印部
30 切欠部
40 脆弱構造
R1 非固定領域
R2 非接着領域
D 延在方向
E 幅方向