(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】ディスクフィルタ及びディスクフィルタの動作方法
(51)【国際特許分類】
B01D 33/21 20060101AFI20240208BHJP
D21D 5/00 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
B01D33/26
D21D5/00
(21)【出願番号】P 2021505212
(86)(22)【出願日】2019-08-09
(86)【国際出願番号】 US2019045943
(87)【国際公開番号】W WO2020033854
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2022-05-16
(32)【優先日】2018-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521038290
【氏名又は名称】カダント ブラック クローソン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】KADANT BLACK CLAWSON LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ディオンヌ,ユーグ
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/007417(WO,A1)
【文献】国際公開第98/016292(WO,A2)
【文献】特開平09-049181(JP,A)
【文献】特表平04-506843(JP,A)
【文献】特表平03-503788(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 23/00-35/04,35/08-37/08
D21B 1/00-1/38
D21C 1/00-11/14
D21D 1/00-99/00
D21F 1/00-13/12
D21G 1/00-9/00
D21H 11/00-27/42
D21J 1/00-7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維懸濁液を脱水するためのディスクフィルタにおいて、該ディスクフィルタが、
容器の壁に位置づけられた入口を含む容器であって、前記入口が繊維懸濁液を前記容器に導入する、容器;
シャフト平面に位置づけられたシャフト回転軸を含むロータシャフトであって、前記シャフト平面が水平面である、ロータシャフト;及び
少なくとも1つのフィルタ要素が前記シャフト回転軸を中心に前記ロータシャフトとともに回転するように前記ロータシャフトに結合された少なくとも1つのフィルタ要素;及び
前記容器の前記壁に位置づけられた少なくとも1つのインジェクタであって、液体の二次流れを前記容器に導入
し、
流体の前記二次流れの少なくとも一部が前記ロータシャフトに接触する、少なくとも1つのインジェクタ
を備えており、
前記少なくとも1つのインジェクタが、前記シャフト平面に対して-44度超かつ+22度以下のインジェクタ仰角α
Iで前記容器の前記壁に位置し
、前記少なくとも1つのインジェクタの前記インジェクタ仰角は、前記シャフト平面に対する前記容器の前記壁に沿った前記少なくとも1つのインジェクタの位置を指しており;かつ
前記少なくとも1つのインジェクタ
の出口からの
流体の前記二次流れの一次流れベクトルが、前記シャフト回転軸に直交している、
ディスクフィルタ。
【請求項2】
前記少なくとも1つのディスクフィルタ要素の角速度ベクトルωの主成分が、前記少なくとも1つのインジェクタに近接した正の垂直方向にあり;かつ
前記少なくとも1つのディスクフィルタ要素の前記角速度ベクトルωの前記主成分が、前記入口に近接した負の垂直方向にある、
請求項1に記載のディスクフィルタ。
【請求項3】
前記インジェクタ仰角α
Iが、前記シャフト平面に対して0度である、請求項1に記載のディスクフィルタ。
【請求項4】
前記インジェクタ仰角α
Iが、前記シャフト平面に対して0度未満かつ-44度以上であるか、又は、前記シャフト平面に対して0度超かつ+22度以下である、請求項1に記載のディスクフィルタ。
【請求項5】
前記インジェクタ仰角α
Iが、前記シャフト平面に対して-15度以上かつ+15度以下である、請求項1に記載のディスクフィルタ。
【請求項6】
前記インジェクタ仰角α
Iが、前記シャフト平面に対して-10度以上かつ+10度以下である、請求項1に記載のディスクフィルタ。
【請求項7】
前記少なくとも1つのインジェクタの前記一次流れベクトルが、前記シャフト回転軸と交差する、請求項1に記載のディスクフィルタ。
【請求項8】
前記少なくとも1つのインジェクタからの前記液体の二次流れが、前記一次流れベクトルに沿って垂直に分散する、請求項1に記載のディスクフィルタ。
【請求項9】
前記少なくとも1つのインジェクタの
前記出口が主軸及び非主軸を備えており、前記主軸の長さが前記非主軸の長さより長い、請求項1に記載のディスクフィルタ。
【請求項10】
前記出口の幅が前記主軸に沿って変化する、請求項9に記載のディスクフィルタ。
【請求項11】
前記出口がドッグボーン状断面を有する、請求項9に記載のディスクフィルタ。
【請求項12】
前記少なくとも1つのインジェクタの
前記出口が、前記少なくとも1つのフィルタ要素の外径と前記容器の前記壁との間に配置される、請求項1に記載のディスクフィルタ。
【請求項13】
前記少なくとも1つのインジェクタの
前記出口が、前記少なくとも1つのフィルタ要素の外径と前記ロータシャフトとの間に配置される、請求項1に記載のディスクフィルタ。
【請求項14】
前記少なくとも1つのフィルタ要素が、一対の隣接したフィルタ要素を含み、前記少なくとも1つのインジェクタが、前記一対の隣接したフィルタ要素間の空間に位置づけられる、請求項1に記載のディスクフィルタ。
【請求項15】
前記少なくとも1つのインジェクタが、前記容器内の前記繊維懸濁液の充填レベルより下に位置づけられる、請求項1に記載のディスクフィルタ。
【請求項16】
前記少なくとも1つのインジェクタが、インジェクタバルブを介して供給マニホルドに結合される、請求項1に記載のディスクフィルタ。
【請求項17】
前記インジェクタバルブが、制御システムに通信可能に結合される、請求項16に記載のディスクフィルタ。
【請求項18】
前記少なくとも1つのインジェクタが、流量計を介して前記インジェクタバルブに結合される、請求項16に記載のディスクフィルタ。
【請求項19】
前記流量計及び前記インジェクタバルブが、制御システムに通信可能に結合される、請求項18に記載のディスクフィルタ。
【請求項20】
前記少なくとも1つのインジェクタが、流量計を介して供給マニホルドに結合される、請求項1に記載のディスクフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、その全体がここに参照することによって本願に援用される、「ディスクフィルタ及びディスクフィルタの動作方法(Disc Filters and Methods of Operating Disc Filters)」と題された2018年8月10日出願の米国仮特許出願第62/717,126号の利益を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本明細書は、概して、繊維懸濁液からセルロース繊維を分離するためのディスクフィルタに関し、より詳細には、濾過動作中に懸濁液を攪拌するためのインジェクタを備えたディスクフィルタに関する。
【背景技術】
【0003】
セルロース繊維懸濁液を脱水するためにパルプ製紙業界で用いられる典型的なディスクフィルタは、概して、フィルタ要素が容器内のロータシャフトと一緒に回転するように、回転可能なシャフトに取り付けられた多数のディスクの形状をしたフィルタ要素を含む。ディスクの形状をしたフィルタ要素は、容器内に含まれるセルロース繊維懸濁液に部分的に浸漬される。各フィルタ要素は、回転可能なシャフトの周りに分散された幾つかのフィルタセクタを含むことができる。各フィルタセクタには、スクリーンなどの外部フィルタライニングと、回転可能なシャフト内の濾液チャネルと連通する内部流路とが設けられている。
【0004】
フィルタ要素が回転可能なシャフトとともに回転すると、フィルタセクタは容器内の懸濁液を通って移動する。フィルタセクタが懸濁液を通って移動すると、水は、懸濁液からフィルタセクタ上の濾過用ライニングを通ってフィルタセクタ内の流路に吸い込まれ、一方、繊維材料は濾過用ライニングの外面に繊維マットとして堆積される。次に、前記水を含む濾液は、フィルタセクタの流路からロータシャフトの濾液チャネルへと流れ、濾液出口を通って容器から排出される。フィルタ要素が回転し続けると、フィルタセクタは懸濁液の外へと移動し、噴霧ノズルを通過し、該噴霧ノズルは、流体の噴流を繊維マットの方に向け、それによって繊維マットを濾過用ライニングから緩める。濾過用ライニングから緩められた繊維材料は、フィルタセクタが懸濁液を通って移動した後に懸濁液の外へと回転される容器の一部のそれぞれのフィルタ要素の各側部にある、すなわち、フィルタ要素の回転中にフィルタセクタが上向きに移動するロータシャフトの側部にある、濾過用ライニングに並行して位置するレシーバシュートへと落下する。レシーバシュートの底部では、繊維材料がコンベヤによってピックアップされ、さらなる処理のために受け渡される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、懸濁液からセルロース繊維を分離するための代替的なディスクフィルタが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様(1)によれば、繊維懸濁液を脱水するためのディスクフィルタは、容器の壁に位置づけられた入口を含む容器を備えており、該入口は、繊維懸濁液を容器に導入する。ディスクフィルタは、シャフト平面に位置づけられたシャフト回転軸を含むロータシャフトをさらに備えており、該シャフト平面は水平面である。少なくとも1つのフィルタ要素は、該少なくとも1つのフィルタ要素が、シャフト回転軸を中心にロータシャフトとともに回転するように、ロータシャフトに結合されうる。少なくとも1つのインジェクタは、容器の壁に位置づけることができ、該少なくとも1つのインジェクタは、液体の二次流れを容器に導入する。該液体は、例えば、水又は繊維懸濁液でありうる。少なくとも1つのインジェクタは、シャフト平面に対して-44度超かつ+22度以下のインジェクタ仰角αIで容器の壁に位置しうる。少なくとも1つのインジェクタの一次流れベクトルは、シャフト回転軸に直交しうる。
【0007】
第2の態様(2)は、少なくとも1つのディスクフィルタ要素の角速度ベクトルωの主成分が、少なくとも1つのインジェクタに近接した正の垂直方向にあり;かつ、少なくとも1つのディスクフィルタ要素の角速度ベクトルωの主成分が、入口に近接した負の垂直方向にある、第1の態様に記載のディスクフィルタを含む。
【0008】
第3の態様(3)は、インジェクタ仰角αIが、シャフト平面に対して0度である、第1の態様(1)又は第2の態様(2)に記載のディスクフィルタを含む。
【0009】
第4の態様(4)は、インジェクタ仰角αIが、シャフト平面に対して0度未満かつ-44度以上、又はシャフト平面に対して0度超かつ+22度以下である、第1の態様(1)又は第2の態様(2)に記載のディスクフィルタを含む。
【0010】
第5の態様(5)は、インジェクタ仰角αIが、シャフト平面に対して-15度以上かつ+15度以下である、第1の態様(1)又は第2の態様(2)に記載のディスクフィルタを含む。
【0011】
第6の態様(6)は、インジェクタ仰角αIが、シャフト平面に対して-10度以上かつ+10度以下である、第1の態様(1)又は第2の態様(2)に記載のディスクフィルタを含む。
【0012】
第7の態様(7)は、少なくとも1つのインジェクタの一次流れベクトルが、シャフト回転軸と交差する、第1の態様(1)から第6の態様(6)のいずれかに記載のディスクフィルタを含む。
【0013】
第8の態様(8)は、少なくとも1つのインジェクタからの液体の二次流れが、一次流れベクトルに沿って垂直に分散する、第1の態様(1)から第7の態様(7)のいずれかに記載のディスクフィルタを含む。
【0014】
第9の態様(9)は、少なくとも1つのインジェクタの出口が、主軸及び非主軸を備えており、該主軸の長さが非主軸の長さより長い、第1の態様(1)から第8の態様(8)のいずれかに記載のディスクフィルタを含む。
【0015】
第10の態様(10)は、出口の幅が主軸に沿って変化する、第1の態様(1)から第9の態様(9)のいずれかに記載のディスクフィルタを含む。
【0016】
第11の態様(11)は、出口がドッグボーン状断面を有する、第1の態様(1)から第10の態様(10)のいずれかに記載のディスクフィルタを含む。
【0017】
第12の態様(12)は、少なくとも1つのインジェクタの出口が、少なくとも1つのフィルタ要素の外径と容器の壁との間に配置される、第1の態様(1)から第11の態様(11)のいずれかに記載のディスクフィルタを含む。
【0018】
第13の態様(13)は、少なくとも1つのインジェクタの出口が、少なくとも1つのフィルタ要素の外径とロータシャフトとの間に配置される、第1の態様(1)から第11の態様(11)のいずれかに記載のディスクフィルタを含む。
【0019】
第14の態様(14)は、少なくとも1つのフィルタ要素が、一対の隣接したフィルタ要素を含み、少なくとも1つのインジェクタが、一対の隣接したフィルタ要素間の空間に位置づけられる、第1の態様(1)から第13の態様(13)のいずれかに記載のディスクフィルタを含む。
【0020】
第15の態様(15)は、少なくとも1つのインジェクタが、容器内の繊維懸濁液の充填レベルより下に位置づけられる、第1の態様(1)から第14の態様(14)のいずれかに記載のディスクフィルタを含む。
【0021】
第16の態様(16)は、少なくとも1つのインジェクタが、インジェクタバルブを介して供給マニホルドに結合される、第1の態様(1)から第15の態様(15)のいずれかに記載のディスクフィルタを含む。
【0022】
第17の態様(17)は、インジェクタバルブが、制御システムに通信可能に結合される、第16の態様(16)に記載のディスクフィルタを含む。
【0023】
第18の態様(18)は、少なくとも1つのインジェクタが、流量計を介してインジェクタバルブに結合される、第16の態様(16)又は第17の態様(17)に記載のディスクフィルタを含む。
【0024】
第19の態様(19)は、流量計及びインジェクタバルブが、制御システムに通信可能に結合される、第18の態様(18)に記載のディスクフィルタを含む。
【0025】
第20の態様(20)は、少なくとも1つのインジェクタが、流量計を介して供給マニホルドに結合される、第1の態様(1)から第17の態様(17)のいずれかに記載のディスクフィルタを含む。
【0026】
第21の態様(21)は、少なくとも1つのインジェクタからの液体の二次流れが、ロータシャフトに接触する、第1の態様(1)から第20の態様(20)のいずれかに記載のディスクフィルタを含む。
【0027】
第22の態様(22)は、少なくとも1つのインジェクタからの液体の二次流れが、少なくとも1つのフィルタ要素の表面に接触しない、第1の態様(1)から第21の態様(21)のいずれかに記載のディスクフィルタを含む。
【0028】
第23の態様(23)は、本明細書に示され、説明される、少なくとも1つのインジェクタを備えたディスクフィルタを含む。
【0029】
第24の態様(24)は、本明細書に示され、説明される、ディスクフィルタを操作する方法を含む。
【0030】
本明細書に記載されるディスクフィルタのさらなる特徴及び利点は、以下の詳細な説明に記載されており、一部には、その説明から当業者には容易に明らかになり、あるいは、以下の詳細な説明、特許請求の範囲、並びに添付の図面を含む、本明細書に記載される実施形態を実施することによって認識される。
【0031】
前述の概要及び以下の詳細な説明はいずれも、さまざまな実施形態を説明しており、特許請求される主題の性質及び特徴を理解するための概観又は枠組みを提供することを意図していることが理解されるべきである。添付の図面は、さまざまな実施形態のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれて、その一部を構成する。図面は、本明細書に記載されるさまざまな実施形態を例証しており、その説明とともに、特許請求の範囲の主題の原理及び動作を説明する役割を担う。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本明細書に図示され説明される1つ以上の実施形態による、ディスクフィルタの軸方向断面の概略図
【
図2】本明細書に図示され説明される1つ以上の実施形態による、インジェクタを含む、線A-Aに沿った
図1のディスクフィルタの断面図
【
図3】本明細書に図示され説明される1つ以上の実施形態による、フィルタ要素及び受入シュートの一部の概略図
【
図4】本明細書に図示され説明される1つ以上の実施形態による、ディスクフィルタのレシーバシュート及び隣接した入口チャネルの概略的な斜視図
【
図5】本明細書に図示され説明される1つ以上の実施形態による、複数のインジェクタを備えたディスクフィルタの概略的な上面図
【
図6】本明細書に図示され説明される1つ以上の実施形態による、フィルタ要素及び水平面に対するインジェクタの位置決めを示す、
図5のディスクフィルタの概略的な断面図
【
図7】本明細書に図示され説明される1つ以上の実施形態による、容器の壁に沿って位置づけられたインジェクタの概略図
【
図8】本明細書に図示され説明される1つ以上の実施形態による、容器の壁に沿って位置づけられたインジェクタの概略図
【
図9】インジェクタの一次流れベクトルに対するインジェクタのフローコーンの概略図
【発明を実施するための形態】
【0033】
これより、その例が添付の図面に示されている、明細書に記載されるディスクフィルタの実施形態について、詳細に説明する。可能な場合はいつでも、同一又は類似した部分についての言及には、図面全体を通して同じ参照番号が用いられる。ディスクフィルタの一実施形態が
図1に概略的に示されており、概して、容器の壁に位置づけられた入口を含む容器を備えており、該入口は繊維懸濁液を容器に導入する。ディスクフィルタは、シャフト平面に位置づけられたシャフト回転軸を含むロータシャフトをさらに備えており、該シャフト平面は水平面である。少なくとも1つのフィルタ要素は、該少なくとも1つのフィルタ要素が、シャフト回転軸を中心にロータシャフトとともに回転するように、ロータシャフトに結合されうる。少なくとも1つのインジェクタは、容器の壁に位置づけることができ、該少なくとも1つのインジェクタは、液体の二次流れを容器に導入する。少なくとも1つのインジェクタは、シャフト平面に対して-44度超かつ+22度以下のインジェクタ仰角α
Iで容器の壁に位置しうる。少なくとも1つのインジェクタの一次流れベクトルは、シャフト回転軸に直交しうる。ディスクフィルタのさまざまな実施形態及びその操作方法が、添付の図面を特に参照して本明細書で説明される。
【0034】
本明細書では、範囲は、「約」1つの特定の値から、及び/又は「約」別の特定の値までとして表現することができる。このような範囲が表現される場合、別の実施形態は、その1つの特定の値から及び/又は他方の特定の値までを含む。同様に、例えば先行詞「約」の使用によって、値が近似値として表される場合、その特定の値は別の実施形態を形成することが理解されよう。さらには、範囲の各々の端点は、他の端点に関連して、及び他の端点とは独立してのいずれにおいても重要であることが理解されよう。
【0035】
本明細書で使用される方向用語(例えば、上、下、右、左、前、後、上部、底部)は、描かれた図を参照してのみ作られており、絶対的な方向を意味することは意図していない。
【0036】
特に明記しない限り、本明細書に記載されるいずれの方法も、その工程が特定の順序で実行されることを必要とする、若しくは、装置には特定の向きが必要であると解釈されることは、決して意図していない。したがって、方法クレームが、その工程が従うべき順序を実際に記載していない場合、若しくは装置クレームが個々の構成要素に対する順序又は向きを実際に記載していない場合、あるいは、工程が特定の順序に限定されるべきであることが特許請求の範囲又は明細書に別段に明確に述べられていない場合、若しくは装置の構成要素に対する特定の順序又は向きが記載されていない場合には、いかなる意味においても、順序又は方向が推測されることは決して意図していない。これには、次のような解釈のためのあらゆる非明示的根拠が当てはまる:工程の配置、動作フロー、構成要素の順序、又は構成要素の方向に関する論理的事項;文法上の編成又は句読点から派生した平明な意味;及び、明細書に記載される実施形態の数又はタイプ。
【0037】
本明細書で用いられる場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数の指示対象を含む。よって、例えば、「ある1つの(a)」構成要素への言及は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、そのような構成要素を2つ以上有する態様を含む。
【0038】
本明細書で用いられる「濾水」及び「濾水性」という用語は、懸濁液がその固体画分及びその液体画分へと容易に分離される傾向を指す。例えば、セルロース繊維は、「低濾水性」の懸濁液と比較して、「高濾水性」の懸濁液からより容易に分離される。
【0039】
ディスクフィルタは、水などの流体中の繊維の懸濁液からセルロース繊維を分離するために用いられる。ディスクフィルタの例は、次の文献に開示されている:「ディスクフィルタ(Disc Filter)」と題され、Kadant Black Clawson Inc.に譲渡された米国特許第9,238,188号明細書;「ディスクフィルタによって繊維状物質を濾過する方法、並びに該方法を実施するためのディスクフィルタ(Method for filtering a fibrous material by means of a disc filter as well as a disc filter for performing the method)」と題され、Rauma-Rapola Oyに譲渡された米国特許第4,136,028号明細書;及び、「流れる物質を濾過するための回転可能なフィルタシステム(Rotatable filter system for filtration of a flowing substance)」と題され、Kvaerner Pulping ABに譲渡された米国特許第6,258,282号明細書。このようなフィルタは、比較的高い濾水性を有するセルロース懸濁液から濾液を除去するのに効果的である。しかしながら、このようなディスクフィルタの効率は、懸濁液の濾水性が増すにつれて低下する可能性があることが見出された。具体的には、比較的高い濾水性を有する繊維懸濁液中の濾液から繊維を分離する場合に、フィルタ要素上に蓄積する繊維マットは、フィルタ要素が懸濁液から外へと回転するときに繊維懸濁液中へと戻る可能性があることが見出された。
【0040】
繊維マットが繊維懸濁液に戻るように互いに協調して作用する幾つかの要因があると判断された。具体的には、懸濁液の比較的高い濾水性により、繊維が懸濁液から除去される速度よりも速い速度で濾液が繊維懸濁液から除去される。これにより、懸濁液が増粘する。増粘した懸濁液は、フィルタ要素が懸濁液中を回転するときに、フィルタ要素に対する機械的な掻き取りとして作用する。増粘した懸濁液の機械的掻き取り作用は、フィルタ要素の表面の繊維マットを損傷させる。マットに生じた損傷は、空気がマットを透過し、マットをフィルタ要素に保持するための真空度を低下させるような局所的な薄化として現れる可能性がある。繊維よりも多くの濾液を懸濁液から除去する際に懸濁液が増粘し続けると、この増粘した懸濁液は、フィルタ要素が懸濁液から浮かび上がるときに、フィルタ要素の表面から実際に繊維マットを引っ張る可能性がある。この作用は、ディスクフィルタの効率を低下させる。
【0041】
加えて、懸濁液からの濾液の急速な除去は、繊維マットをフィルタ要素に付着させて保持するための真空度の低下を引き起こす。具体的には、濾液が繊維よりもはるかに速い速度で懸濁液から除去される場合、増粘した懸濁液の機械的掻き取り作用に起因して、マットを透過する空気を補償するのに十分な濾液が懸濁液中に残らない。真空度の低下又は喪失により、増粘した懸濁液の機械的掻き取りに起因して繊維マットがフィルタ要素からより容易かつ時期尚早に除去される。したがって、真空度の低下は、ディスクフィルタの効率をさらに低下させる。
【0042】
本質的に、問題は循環的である。繊維懸濁液の高い濾水性は、濾液が繊維よりも速い速度で懸濁液から除去されることにつながり、これが、次に、懸濁液を増粘させる。増粘した懸濁液は、フィルタ要素の繊維マットに対する機械的掻き取りを生じさせ、繊維マットを局所的に薄化(又は除去)し、空気がマットを通過できるようにさせる。マットが薄化すると、より多くの濾液がマットを通過して懸濁液から除去され、懸濁液がさらに増粘し、フィルタ要素の真空度が低下する。懸濁液の増粘及びフィルタ要素の真空度の低下により、機械的掻き取りによるマットの薄化及び時期尚早な除去が加速される。その結果、ディスクフィルタの効率が全体的に低下する。
【0043】
液体の二次流れをディスクフィルタに導入するためのインジェクタを備えており、それによって前述の影響を緩和する、ディスクフィルタの実施形態が、本明細書に開示される。液体には、例えば、限定はしないが、繊維懸濁液、水などの希釈剤、又はこれらの組合せが含まれうる。
【0044】
特に
図1及び2を参照すると、ディスクフィルタ1の一実施形態が概略的に示されている。この実施形態では、ディスクフィルタ1は、概して、セルロース繊維懸濁液を容器に導入するための入口3を有する容器2を備えている。入口3は、導管4に接続されており、そこを通じて懸濁液が(
図5に示される一次ポンプ180などによって)入口3に供給される。容器2は、下部2aと、該下部に接続された上部2bとを備えている。下部2aは、概してU字形の構成を有しており、かつ上部2bによって上部が閉じられており、該上部2bは、下部の上にフードを形成している。上部2a及び下部2bは一緒に、概して、容器の内部空間を画成する。図示される態様では、容器の上部2bのハッチ5を通じて、容器の内部空間にアクセス可能である。
【0045】
ディスクフィルタは、容器2の内部空間に位置するロータユニット6をさらに備えている。ロータユニット6は、容器2に回転可能に取り付けられ、容器の内部空間を横切って延びる、ロータシャフト7を備えている。図示される例では、ロータシャフト7は、該ロータシャフトの第1の端部に配置された第1の軸受8aとロータシャフトの他方の端部に配置された第2の軸受8bとを介して、容器の下部2aに回転可能に取り付けられている。ロータシャフト7は、容器2の切妻壁9a、9bの密封された開口部を通って延在し、例えば、ロータシャフト7に接続された駆動モータの形態をした駆動デバイス10によって回転される。
【0046】
ロータユニット6はまた、容器2に受け入れられた懸濁液に部分的に浸漬されつつ、ロータシャフトとともに回転するために、ロータシャフト7に担持された幾つかのディスクの形状をしたフィルタ要素11を備えている。図示される例では、ロータユニット6には、このようなフィルタ要素11が4つ備わっている。しかしながら、ディスクフィルタ1は、4つより少ないフィルタ要素、あるいは4つより多いフィルタ要素を含んでもよいものと理解されたい。各フィルタ要素11は、ロータシャフト7の長手方向軸に対してある角度で、好ましくは垂直に延びる。本明細書に記載される実施形態では、長手方向軸は、ロータユニット6の回転軸と一致する。さらには、各フィルタ要素11は、ロータシャフト7の周りに環状構成で延在し、ロータシャフトの周りに分散された幾つかのフィルタセクタ12へと分割されている。個々のフィルタ要素11のフィルタセクタ12は、フィルタ要素の相対する側面の間に延びる放射状に配向された仕切りによって相互に分離されている。示されるように、フィルタセクタは、放射状に配向された仕切りによって分離されている。しかしながら、仕切りは、コスト的要因及び他の望ましい構造的に同等の方向に応じて、放射状以外のさまざまな位置に配置することができるものと理解されたい。示されるように、各フィルタ要素11は、その相対する側面及び内部流路(図示せず)上に外部濾過用ライニング13(
図2にスクリーンパターンで示されている)を備えており、これらは、濾過用ライニング13を通過する濾液を前記濾液チャネル14へと運ぶために、ロータシャフト7の濾液チャネル14と連通している。
【0047】
図面に示されている外部配置に加えて、さまざまな同等の濾過用ライニングの配置を使用することができることに留意されたい。
【0048】
図2に示されるように、個々のフィルタセクタ12は、導管セクション15と濾液チャネル14との間のロータシャフトの包絡面に設けられた開口部を通して、濾液、すなわち容器2内の懸濁液から濾過された水を、当該フィルタセクタ12からロータシャフト7の関連する濾液チャネル14へと移送するための導管セクション15を備えている。
【0049】
濾液チャネル14は、ロータシャフト7の軸方向に延びる。これらの濾液チャネル14は、ロータシャフト7に沿って延びる放射状に配向された隔壁によって相互に分離された扇形の空間として形成されうる。濾液チャネル14は、ロータシャフト7の管状コア17によって半径方向内側に区切られている。管状コア17は、
図1に示されるように、ロータシャフト7の長さに沿って変化する直径を有することができ、ロータシャフト7の該端部に位置している管状コアの端部において最小直径を有しており、そこを濾液がロータシャフト7の外へとその軸方向に通過する。図示される例では、濾液用に2つの出口20、21が設けられている。第1の出口20は、前濾液(濁った濾液)を対象とし、他方の出口21は、透明な濾液を対象としている。少なくとも透明な濾液出口21、場合によっては前濾液出口20も、吸引ヘッド22内に真空を確立することを意図した下降管24に接続することができる。この吸引ヘッド22は、濾液バルブ23を介してロータシャフト7の濾液チャネル14と連通している。ロータシャフト7が濾液バルブ23及び吸引ヘッド22に対して回転すると、濾液バルブ23は、ロータシャフト7の支配的な回転位置に応じて、それぞれの濾液チャネル14を前濾液出口20又は透明な濾液出口21と連通させる。
【0050】
図2に示されるように、ディスクフィルタ1は、容器2の壁を通じて延びる少なくとも1つのインジェクタ110をさらに備えている。本明細書にさらに詳細に説明されるように、少なくとも1つのインジェクタ110は、容器2に液体の二次流れを導入して、容器内の繊維懸濁液の希釈、攪拌、及び混合を促進し、それによって繊維懸濁液の増粘を低減し、ディスクフィルタ1の効率を改善する。実施形態では、液体の二次流れは、水、繊維懸濁液などを含みうる。
【0051】
図2をさらに参照すると、ディスクフィルタ1はまた、容器2内の懸濁液の外へと濾過されて、それぞれのフィルタ要素11の濾過用ライニング13上に繊維マットとして堆積された繊維材料を緩めるための弛緩部材25を備えることができる。図示される例では、これらの弛緩部材25は噴霧ノズルからなり、該噴霧ノズルは、フィルタ要素のフィルタセクタが、フィルタ要素11の両側に配置された弛緩部材25を通過して回転し、これらの弛緩部材25から放出される水又は他の適切な流体の噴流の到達範囲内に入るときに、それぞれのフィルタ要素11の濾過用ライニング上に堆積した繊維材料を1つのフィルタセクタ12から連続して緩めるように構成される。
【0052】
ディスクフィルタ1はまた、洗浄部材から放出される洗浄液でそれぞれのフィルタ要素11の濾過用ライニング13を洗浄するための洗浄部材26も備えている。洗浄部材26は、例えば、噴霧ノズルからなり、これは、それぞれのフィルタ要素11の両側に配置され、それぞれのフィルタ要素の両側にある濾過用ライニング13に向かって水又は他の適切な洗浄液の噴流を放出するように構成されている。洗浄部材26は、ロータユニット6の回転中に洗浄部材26がそれぞれのフィルタ要素11の濾過用ライニング13上を掃引できるようにするために、前後に旋回するように構成された旋回可能なキャリア27に適切に取り付けられる。キャリア27は、例えば駆動モータの形態をした、駆動デバイス29によって旋回される。図示される例では、弛緩部材25は、該弛緩部材25を洗浄部材26とともに旋回させるために、キャリア27に接続されている。しかしながら、弛緩部材25は、代替的に静止していてもよい。洗浄部材26は、フィルタ要素11の回転方向から見て、弛緩部材25の後に位置している。したがって、フィルタ要素11のそれぞれのフィルタセクタ12は、弛緩部材25を通過して回転し、その後、フィルタ要素の回転中に、洗浄部材26を通過する。
【0053】
ディスクフィルタ1は、隣接したフィルタ要素11の濾過用ライニング13から緩められた繊維マットを受け入れるために各々上端に入口開口部が設けられた複数のレシーバシュート30を備えている。各フィルタ要素11は、フィルタ要素の第1の側の濾過用ライニング13の一部の横に位置する第1のレシーバシュート30と、フィルタ要素の反対側の濾過用ライニング13の一部の横に位置する別のレシーバシュート30とを有する。1つのレシーバシュート30は、隣接するフィルタ要素11の各対の間の空間、並びに、ロータシャフト7上のそれぞれの最も外側のフィルタ要素11と容器2の隣接した切妻壁9a、9bとの間の空間に位置する。
図1~3に示される実施形態では、レシーバシュート30は、ロータユニット6の回転中に、フィルタセクタ12が懸濁液の上の位置から懸濁液内へと下向きに回転する容器2の部分、すなわち、繊維材料から解放され、洗浄部材26によって洗浄された後、フィルタセクタ12が下向きに回転するロータシャフト7の側部に位置している。すなわち、レシーバシュートは、フィルタ要素の角速度の主成分が下向きの垂直方向にある、容器2の側部に位置している。しかしながら、代替的な実施形態では(図示せず)、レシーバシュート30は、フィルタセクタ12がロータユニット6の回転中に懸濁液の下の位置から懸濁液の外へと回転する容器2の部分、すなわち、フィルタセクタ12が上向きに回転するロータシャフト7の側部に位置している。すなわち、代替的な実施形態では、レシーバシュートは、フィルタ要素の角速度の主成分が上向きの垂直方向にある、容器2の側部に位置している。各レシーバシュート30の上端の入口開口部は、ロータシャフト7の長手方向軸を通って延びる水平面の上に位置し、前記入口開口部の横方向縁部は、これらのフィルタ要素のフィルタセクタ12から緩められた繊維マットを効率的に捕捉するために、隣接したフィルタ要素11の濾過用ライニング13に接近して延びる。各レシーバシュート30の側壁は、
図1に示されるように、レシーバシュートの入口開口部に近いレシーバシュートの上部で逸れている。さらには、各レシーバシュート30は、レシーバシュートの入口開口部がこの領域に延びることができるように、
図2に示されるように、その上端がロータシャフト7の上の領域へと内側に湾曲した部分31を備えている。
【0054】
弛緩部材25及び洗浄部材26は、フィルタセクタ12は容器2内の懸濁液の表面に向かって下向きに回転する、ロータシャフト7の側部にあるレシーバシュート30の上に位置している。洗浄部材26は、弛緩部材25によって緩められた繊維マットを、洗浄部材から放出される洗浄液によってレシーバシュート30へと洗い流すように構成される。レシーバシュート30は、洗浄部材26から洗浄液とともに前記繊維マットを受け取るように構成されており、それによって、この洗浄液によって繊維マットをレシーバシュート30内で所望の乾燥含有量へと希釈することができる。下端32では、各レシーバシュート30は、コンベヤ33に接続されており、該コンベヤ33は、レシーバシュートを通って落下する繊維マットをピックアップし、この繊維マットを出口34へと移送し、そこからさらなる処理のために繊維マットを受け渡すように構成されている。図示される例では、前記コンベヤ33は、ロータシャフト7と平行に延在し、例えば駆動モータの形態をした駆動デバイス35によって回転される、スクリューコンベヤである。
【0055】
フィルタ要素11が回転すると、フィルタセクタ12は、レシーバシュート30間の空間36において容器2内の懸濁液に沈漬され、次いで、懸濁液を通ってロータシャフト7の反対側に移動し、そこでフィルタセクタ12は懸濁液の外へと上向きに回転する。フィルタセクタ12が懸濁液を通って移動すると、水は懸濁液からフィルタセクタ12上の濾過用ライニング13を通ってフィルタセクタ内の流路へと吸い込まれ、一方、繊維は前記濾過用ライニングの外面に繊維マットとして堆積される。次に、水を含む濾液は、流路からロータシャフト7の濾液チャネル14へと導管セクション15を通って流れ、容器2から吸引ヘッド22及び濾液出口20、21の一方を通って排出される。フィルタセクタ12が懸濁液の外へと上向きに回転されたときに、ロータシャフト7の濾液チャネル14及びフィルタセクタの流路を介した継続的な吸引は、フィルタセクタの濾過用ライニング13上に堆積された繊維材料を通り、さらには流路を通って濾液チャネル14に入る気流を生み出す。濾過用ライニング13上に堆積した繊維材料は、この気流によって乾燥される。フィルタセクタ12が垂直上方に配向される角度位置を通過して回転した後、フィルタセクタ12は、弛緩部材25を通過して連続的に回転し、これが、それぞれのフィルタセクタ12の相対する側面に向けられた流体の噴流によって、フィルタセクタ12の濾過用ライニング13から繊維マットを緩める。ロータユニット6の回転が続くと、フィルタセクタ12は、洗浄部材26を通過して回転し、これが、それぞれのフィルタセクタ12の相対する側面に向かって噴霧される洗浄液によって、フィルタセクタ12の濾過用ライニング13を洗浄する。フィルタセクタの濾過用ライニング13から緩められた繊維マットは、洗浄部材26からの洗浄液と一緒にレシーバシュート30へと落下する。レシーバシュート30の底部では、繊維マットがコンベヤ33によってピックアップされ、さらなる処理のために受け渡される。洗浄部材26及びレシーバシュート30の上端を通過して回転した後、フィルタセクタ12は、新しい濾過サイクルのために再び懸濁液中へと下方に回転する。
【0056】
容器2の入口3は、好ましくは、容器2の部分に位置した幾つかの入口開口部を備えており(
図1及び2には示されていない)、そこで、フィルタセクタ12は、ロータユニット6の回転中に、懸濁液の上の位置から容器内の懸濁液中へと下方に回転され、入口開口部は、懸濁液をレシーバシュート30間の空間36内へと導入するように構成される。前記入口3及びその入口開口部は、懸濁液がフィルタ要素11の回転方向に一致する方向で容器2に流れ込むように構成される。
【0057】
図3に示される実施形態では、容器2の入口3は、幾つかの入口チャネル40を備えており、これらは、フィルタセクタ12が、ロータユニット6の回転中に、懸濁液の上の位置から懸濁液中へと下方に回転される容器の部分における、容器2内に位置している。各入口チャネル40は、ディスクフィルタのレシーバシュート30の1つに沿って垂直に延在し、該入口チャネル40は、レシーバシュートと容器2の周壁18の隣接した部分との間に位置している。それぞれの入口チャネル40は、隔壁44によって隣接したレシーバシュート30から分離される。それぞれのレシーバシュート30の側壁37は、関連する入口チャネル40の側壁42と同一平面上にある。入口チャネル40は、導管4に接続されており、そこを通じて、懸濁液が入口チャネル40に供給される。入口開口部41は、入口チャネル40の上部に位置しており、懸濁液が入口チャネルからこれらの入口開口部41を通ってレシーバシュート30間の空間へと流れることを可能にする。これらの入口開口部41は、容器内の懸濁液の表面の上のそれぞれの入口チャネルの相対する側壁42に設けられている。各入口チャネル40の上端は、洗浄部材からの洗浄液及び緩んだ繊維マットが入口チャネルへと落下するのを防ぐために、傾斜した屋根43によって覆われている。
【0058】
各レシーバシュート30は、隣接したフィルタ要素11の濾過用ライニングから緩められた繊維マットを、レシーバシュートの上に位置した洗浄部材からの洗浄液と一緒に受け入れるための入口開口部38を提供するために、
図4に示されるように、上部が開いている。
図3及び4に示される実施形態では、各レシーバシュート30は、該レシーバシュートの入口開口部38がこの領域内に延びることができるように、その上端がロータシャフト7の上の領域内へと内側に湾曲した部分31を備えている。しかしながら、他の構成のレシーバシュートが企図されており、可能であるものと理解されたい。
【0059】
次に
図5及び6を参照すると、本明細書に記載されるように、本明細書に記載されるディスクフィルタ1の実施形態は、少なくとも1つのインジェクタ110をさらに備える。例えば、ディスクフィルタ1は、隣接するフィルタ要素11の各対の間の空間、並びに、それぞれの最も外側のフィルタ要素11と容器2の隣接した切妻壁9a、9bとの間の空間に各フィルタ要素11の各側部に隣接して位置した複数のインジェクタ110を備えることができる。したがって、
図5に示される実施形態では、ディスクフィルタ1は、5つのインジェクタ110を備えている。しかしながら、インジェクタ110の数は、ディスクフィルタ1のフィルタ要素11の数に応じて、5つより多くても少なくてもよいものと理解されたい。
【0060】
概して、インジェクタ110は、水、繊維懸濁液などの液体の二次流れを容器に導くように位置づけられる。実施形態では、液体の流れをロータシャフト7に向けることができる。実施形態では、インジェクタ110は、液体の二次流れとフィルタ要素11の表面との接触を最小化又は軽減するように形作られ、位置づけられうる。実施形態では、インジェクタ110は、流れの少なくとも一部がロータシャフト7に接触するのに十分な圧力で液体の二次流れを提供するように形作られ、位置づけられうる。これらの実施形態では、各インジェクタの一次流れベクトル130は、ロータシャフト7のシャフト回転軸131に直交する。より具体的には、実施形態では、ロータシャフト7は、水平面(すなわち、図面に示される座標軸のX-Y面に平行な平面)であるシャフト平面144内にあるシャフト回転軸131を含む。各インジェクタ110の一次流れベクトル130は、概して、シャフト軸に直交する。幾つかの実施形態では、各インジェクタ110の一次流れベクトル130は、任意選択的に、シャフト平面144に概ね平行(又はそれと同一平面上)でありうる。他の幾つかの実施形態では、インジェクタ110は、該インジェクタ110の一次流れベクトル130がシャフト平面144に対して非ゼロの角度になるように、容器2の壁に配向されている。幾つかの実施形態では、インジェクタ110の少なくとも幾つかの一次流れベクトル130は、シャフト回転軸131と交差する。他の幾つかの実施形態では、インジェクタ110の少なくとも幾つかの一次流れベクトル130は、シャフト回転軸から正又は負の垂直方向(すなわち、図面に示される座標軸の正のZ方向又は負のZ方向)に離間している。実施形態では、インジェクタ110は、フィルタ要素11に近接した位置で容器2の壁に、及び入口3とは反対側の容器2の側部に位置づけられる。
図5及び6に示される実施形態では、インジェクタ110は、フィルタ要素11に近接した位置で容器2の壁に位置づけられており、フィルタ要素11の角速度ベクトルωの主成分(矢印/記号140及び142で示されている)は、正の垂直方向にあり、一方、入口3は、フィルタ要素11に近接した位置で容器2の壁に位置づけられており、フィルタ要素11の角速度ベクトルωの主成分は、負の垂直方向(すなわち、図面に示される座標軸の負のZ方向)にある。しかしながら、他の実施形態が企図されており、可能であるものと理解されたい。例えば、代替的な実施形態(図示せず)では、インジェクタ110は、フィルタ要素11に近接した位置で容器2の壁に位置づけられ、ここで、フィルタ要素11の角速度ベクトルωの主成分は負の垂直方向にあり、一方、入口3は、フィルタ要素11に近接した位置で容器2の壁に位置しており、ここで、フィルタ要素11の角速度ベクトルωの主成分は正の垂直方向にある。
【0061】
本明細書に記載される実施形態では、インジェクタ110は、シャフト回転軸131の上に(すなわち、図面に示される座標軸の正のZ方向に)ある、シャフト回転軸131の下に(すなわち、図面に示される座標軸の負のZ方向に)ある、又はシャフト回転軸131と同じ垂直高度にある、垂直高度で容器2の壁に位置している。垂直高度は、本明細書では、
図6に示されるシャフト平面144に対するインジェクタ仰角α
Iによって画成される。本明細書で用いられる場合、インジェクタ110のインジェクタ仰角α
Iとは、シャフト平面144に対する容器2の壁に沿ったインジェクタ110の位置のことを指し、特定の軸の周りのインジェクタ110の角度方向ではないことに留意されたい。本明細書に記載される実施形態では、インジェクタ仰角α
Iは、シャフト平面144に対して-44度超かつ+22度以下である。幾つかの実施形態では、インジェクタ仰角α
Iは、シャフト平面144に対して-22度超かつ+22度以下である。幾つかの実施形態では、インジェクタ仰角α
Iは、シャフト平面144に対して-15度超かつ+15度以下である。幾つかの実施形態では、インジェクタ仰角α
Iは、シャフト平面144に対して-10度超かつ+10度以下である。これらの実施形態の幾つかでは、インジェクタ仰角α
Iは、シャフト平面144に対して非ゼロの角度である。例えば、幾つかの実施形態では、インジェクタ仰角α
Iは、シャフト平面144に対して0度超かつ+22度以下、若しくは0度未満かつ-44度以上である。幾つかの実施形態では、インジェクタ仰角α
Iは、シャフト平面144に対して0度超かつ+22度以下、若しくは0度未満かつ-22度以上である。他の幾つかの実施形態では、インジェクタ仰角α
Iは、シャフト平面144に対して0度である。これらの実施形態では、インジェクタの一次流れベクトル130は、シャフト平面144内にあるか、あるいは、シャフト平面144に平行な平面内にありうる。本明細書に記載される実施形態では、インジェクタ110は、概して、
図6に示されるように、容器2内の繊維懸濁液の充填レベル146より下の容器2の壁に沿って位置する。
【0062】
実施形態では、インジェクタ110の出口は、
図5及び6に示されるように、フィルタ要素11の外径と容器2の壁との間に配置される。他の幾つかの実施形態では、インジェクタ110の出口は、
図7及び8に示されるように、フィルタ要素11の外径とロータシャフト7との間に配置される。
【0063】
次に
図5及び9を参照すると、幾つかの実施形態では、インジェクタ110、特にインジェクタ110の出口111は、インジェクタ110からの液体の二次流れとフィルタ要素11の表面との間の接触を最小化又は軽減するように形作られており、一方、任意選択的に、流れがロータシャフト7に接触するように十分な圧力で液体の二次流れも提供する。特定の実施形態では、インジェクタ110の出口111は、インジェクタからの液体の流れ(
図9のフローコーン132によって示されている)が、一次流れベクトル130からの二次流れの横方向の分散(すなわち、図面に示される座標軸の±Y方向の分散)を最小限に抑えつつ、インジェクタ110の一次流れベクトル130から主として±垂直方向に分散するように形作られる。すなわち、インジェクタの出口111は、隣接したフィルタ要素11間に向けられる、及び、幾つかの実施形態では、フィルタ要素11の表面との接触を最小限に抑えてロータシャフト7上に向けられる、液体の垂直ファンを作り出すように形作られる。この構成を有するフローインジェクタは、洗浄部材26で繊維マットを除去する前に、フィルタ要素11の表面における繊維マットの破壊を最小限に抑えるのに役立つ。
【0064】
次に
図10を参照すると、実施形態では、主軸150の長さが非主軸152の長さより長くなるように、±垂直方向(すなわち、図面に示される座標軸の±Z方向に平行な方向)に主軸150、及び横方向(すなわち、図面に示される座標軸の±Y方向に平行な方向)に非主軸152を備えたインジェクタ110の出口111を構築することによって、液体の垂直ファンが創出されている。インジェクタの出口111に適した幾何学形状には、限定はしないが、長円、長方形、楕円、卵形などが含まれる。
【0065】
次に
図11を参照すると、幾つかの実施形態では、出口111の幅(すなわち、±Y方向の出口寸法)は、主軸150に沿って変化している。例えば、1つの特定の実施形態では、出口111の幅は、
図11に示されるように、出口111が「ドッグボーン」状の断面を有するように、主軸に沿って変化している。主軸に沿って幅が変化する出口111を有するインジェクタ110の特定の実施形態が、
図12に示されている。
【0066】
インジェクタの出口111は、主軸150の長さが非主軸の長さより長い、主軸150及び非主軸152を有するように本明細書に記載されているが、他の実施形態が企図されており、可能であるものと理解されたい。例えば、代替的な実施形態(図示せず)では、出口は、円形、正方形、八角形などでありうる。これらの構成を有する出口を使用して、フィルタ要素11上に堆積した繊維マットを破壊することなく、ロータシャフトに接触するのに十分な圧力を有する液体の二次流れを作り出すこともできるものと理解されたい。
【0067】
再び
図5及び6を参照すると、本明細書に記載されるディスクフィルタ1の実施形態では、記載された位置にインジェクタ110を組み込むことは、容器2の最も増粘しやすい領域での繊維懸濁液の増粘を緩和するのに役立つ。特に、液体の二次流れの導入は、タンク内の繊維懸濁液を希釈し(すなわち、薄めて)、それによって増粘を低減するのに役立つ。さらには、予期せぬことに、二次流れがロータシャフト7に接触するように容器2に液体の二次流れを提供することにより、入口3とは反対側の容器内で十分な攪拌及び混合を生じ、容器内の繊維懸濁液の増粘をさらに低減又は軽減することが見出された。特に、液体の二次流れ(
図6に一次流れベクトル130で示されている)がロータシャフト7に接触すると、二次流れは、
図6の散乱ベクトル136で示されるように、方向転換され、複数の方向(すなわち、垂直方向及び垂直と水平との間の方向)に散乱される。ロータシャフト7よる二次流れのこの方向転換及び散乱は、容器2に存在する繊維懸濁液の攪拌及び混合を生み出し、これは、容器内にある懸濁液を希釈すること、及び濾液と繊維とのより均質な混合を生み出すことの両方に役立ち、それによって、増粘と、フィルタ要素11上に堆積された繊維マットに対する機械的掻き取りの結果として生じる影響とを低減又は軽減さえする。有利なことに、ロータシャフトに向けられた液体の二次流れに起因する攪拌及び混合は、フィルタ要素への繊維マットの堆積を妨害しないことが見出された。
【0068】
図5及び6をさらに参照すると、ディスクフィルタ1は、入口3とインジェクタ110との間に液体の特定の流量比をもたらすように構成することができる。これらの実施形態では、液体は、例えば、繊維懸濁液でありうる。これは、流量制御構成要素(例えば、ポンプ、バルブ、流量計など)のさまざまな組合せによって達成することができる。例えば、幾つかの実施形態では、各インジェクタ110は、供給マニホルド108に流体的に結合されており、これが次に、液体源200(例えば、貯蔵タンクなど)からの液体の流れを供給マニホルド108に供給するポンプ120に結合される。実施形態では、液体源200はまた、液体の流れを入口3に供給する一次ポンプ180に結合されていてもよい。この実施例では、液体は繊維懸濁液であり、液体源200は懸濁液源である。しかしながら、代替的な実施形態では、一次ポンプ180は、異なる液体源に結合されてもよいものと理解されたい。例えば、幾つかの実施形態では(図示せず)、ポンプ120は、二次液体源(二次懸濁液源、二次水源など)に結合されてよく、一次ポンプ180は、二次液体源とは別の一次懸濁液源に結合されうる。さらに他の実施形態(図示せず)では、単一のポンプ(ポンプ120又は一次ポンプ180など)は、単一の懸濁液源を供給マニホルド108と入口103の両方に結合するために用いられる。このような実施形態では、1つ以上のバルブを使用して、供給マニホルド108及び入口103への繊維懸濁液の流れ及び圧力を調節することができる。
【0069】
実施形態では、二次供給バルブ116は、
図5に示されるように、供給マニホルド108への液体の流れ及び圧力を調節するために、ポンプ120と供給マニホルド108との間に配置することができる。しかしながら、二次供給バルブ116は任意選択的であり、幾つかの実施形態では含まれないものと理解されたい。
【0070】
同様に、幾つかの実施形態では、一次供給バルブ119は、
図5に示されるように、入口3への液体の流れ及び圧力を調節するために、一次ポンプ180と入口3との間に配置することができる。しかしながら、一次供給バルブ119は任意選択的であり、幾つかの実施形態では含まれないものと理解されたい。
【0071】
実施形態では、ディスクフィルタ1は、ポンプ120と供給マニホルド108との間に配置された二次供給流量計122を備えることができる。二次供給流量計122を使用して、ポンプ120によって供給マニホルド108に供給される液体の流量及び/又は圧力を監視することができる。しかしながら、二次供給流量計122は任意選択的であり、幾つかの実施形態では、ディスクフィルタ1は二次供給流量計122なしで構築されるものと理解されたい。
【0072】
実施形態では、ディスクフィルタ1は、一次ポンプ180と入口3との間に配置された一次供給流量計123を備えることができる。一次供給流量計123を使用して、一次ポンプ180によって入口3に供給される液体の流量及び/又は圧力を監視することができる。しかしながら、一次供給流量計123は任意選択的であり、幾つかの実施形態では、ディスクフィルタ1は一次供給流量計123なしで構築されるものと理解されたい。
【0073】
二次供給バルブ116及び/又は一次供給バルブ119を備えたディスクフィルタ1の実施形態では、供給バルブは手動で操作することができるが、他の実施形態では、供給バルブ116、119は、該供給バルブに通信可能に結合された制御システム(図示せず)などによって供給バルブを遠隔で作動させることができるように、電気的又は空気圧的に操作される。このような実施形態では、ポンプ120及び一次ポンプ180はまた、供給マニホルド108及び入口3を通る液体の流量及び圧力を遠隔で制御及び/又は調節することができるように、制御システムに通信可能に結合することができる。ディスクフィルタ1が制御システムを含む実施形態では、二次供給流量計122及び一次供給流量計123は、制御システムに通信可能に結合することができ、それによって、供給マニホルド108及び入口3を通る液体の流れ及び/又は圧力の自動的な監視を可能にする。二次及び一次供給流量計122、123並びに二次及び一次供給バルブ116、119の両方を含む実施形態など、これらの実施形態の幾つかでは、制御システムは、供給バルブ116、119及び/又はポンプ120、180と併せて供給流量計122、123を使用して、供給マニホルド108及び入口3を通る液体の流れのフィードバック制御を容易にすることができる。
【0074】
図5及び6をさらに参照すると、幾つかの実施形態では、インジェクタ110の各々は、任意選択的に、インジェクタバルブ114を介して供給マニホルド108に結合される。インジェクタバルブ114は、含まれる場合には、供給マニホルド108からインジェクタの各々を通る液体の流れ及び圧力を調節及び調整するために使用することができる。例えば、インジェクタバルブ114を使用して、インジェクタ110の各々を通る液体の流量及び圧力を個別に調節することができる。したがって、幾つかの実施形態では、インジェクタ110の各々を通る液体の流れ及び/又は圧力は、個別に調節することができるものと理解されたい。幾つかの実施形態では、インジェクタバルブ114は手動で操作することができるが、他の実施形態では、インジェクタバルブ114は、該インジェクタバルブ114に通信可能に結合された制御システム(図示せず)などによって遠隔で作動させることができるように、電気的又は空気圧的に操作される。このような実施形態では、ポンプ120及び一次ポンプ180はまた、インジェクタ110を通る液体の流量及び圧力を遠隔で制御及び/又は調節することができるように、制御システム通信可能に結合することができる。
【0075】
図5は、インジェクタバルブ114を有する供給マニホルド108に結合されるものとして、インジェクタ110を概略的に示しているが、インジェクタバルブ114は任意選択的であり、幾つかの実施形態では、インジェクタ110は、インジェクタバルブ114を有していない供給マニホルド108に結合されるものと理解されたい。
【0076】
幾つかの実施形態では、インジェクタ110の各々は、任意選択的に、流量計112を有する供給マニホルド108に結合される。インジェクタ110がインジェクタバルブ114を有する供給マニホルド108に結合される実施形態では、流量計112は、
図5に示されるように、インジェクタバルブ114とインジェクタ110との間に位置づけられる。流量計112を使用して、供給マニホルド108からインジェクタ110への液体の流れ及び/又は圧力を監視することができる。ディスクフィルタ1が制御システムを含む実施形態では、流量計112は、制御システムと通信可能に結合することができ、それによって、インジェクタ110を通る液体の流れ及び/又は圧力の自動的な監視を可能にする。流量計112及び/又はインジェクタバルブ114の両方を含む実施形態など、これらの実施形態の幾つかでは、制御システムは、流量計112を、インジェクタバルブ114及び/又はポンプ120又は一次ポンプ180と併せて使用して、インジェクタ110を通る液体の流れ及び圧力のフィードバック制御を容易にすることができる。
【0077】
図5は、流量計112を介して供給マニホルド108に結合されるものとして、インジェクタ110を概略的に示しているが、流量計112は任意選択的であり、幾つかの実施形態では、インジェクタ110は流量計112を有していない供給マニホルド108に結合されるものと理解されたい。
【0078】
特許請求の範囲に記載される主題の精神及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される実施形態にさまざまな修正及び変更を加えることができることは、当業者にとって明らかであろう。したがって、本明細書は、このような修正及び変更が添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲内に入る限り、本明細書に記載されるさまざまな実施形態の修正及び変更に及ぶことが意図されている。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
実施形態1
繊維懸濁液を脱水するためのディスクフィルタにおいて、該ディスクフィルタが、
容器の壁に位置づけられた入口を含む容器であって、前記入口が繊維懸濁液を前記容器に導入する、容器;
シャフト平面に位置づけられたシャフト回転軸を含むロータシャフトであって、前記シャフト平面が水平面である、ロータシャフト;及び
少なくとも1つのフィルタ要素が前記シャフト回転軸を中心に前記ロータシャフトとともに回転するように前記ロータシャフトに結合された少なくとも1つのフィルタ要素;及び
前記容器の前記壁に位置づけられた少なくとも1つのインジェクタであって、液体の二次流れを前記容器に導入する、少なくとも1つのインジェクタ
を備えており、
前記少なくとも1つのインジェクタが、前記シャフト平面に対して-44度超かつ+22度以下のインジェクタ仰角α
I
で前記容器の前記壁に位置しており;かつ
前記少なくとも1つのインジェクタの一次流れベクトルが、前記シャフト回転軸に直交している、
ディスクフィルタ。
実施形態2
前記少なくとも1つのディスクフィルタ要素の角速度ベクトルωの主成分が、前記少なくとも1つのインジェクタに近接した正の垂直方向にあり;かつ
前記少なくとも1つのディスクフィルタ要素の前記角速度ベクトルωの前記主成分が、前記入口に近接した負の垂直方向にある、
実施形態1に記載のディスクフィルタ。
実施形態3
前記インジェクタ仰角α
I
が、前記シャフト平面に対して0度である、実施形態1に記載のディスクフィルタ。
実施形態4
前記インジェクタ仰角α
I
が、前記シャフト平面に対して0度未満かつ-44度以上であるか、又は、前記シャフト平面に対して0度超かつ+22度以下である、実施形態1に記載のディスクフィルタ。
実施形態5
前記インジェクタ仰角α
I
が、前記シャフト平面に対して-15度以上かつ+15度以下である、実施形態1に記載のディスクフィルタ。
実施形態6
前記インジェクタ仰角α
I
が、前記シャフト平面に対して-10度以上かつ+10度以下である、実施形態1に記載のディスクフィルタ。
実施形態7
前記少なくとも1つのインジェクタの前記一次流れベクトルが、前記シャフト回転軸と交差する、実施形態1に記載のディスクフィルタ。
実施形態8
前記少なくとも1つのインジェクタからの前記液体の二次流れが、前記一次流れベクトルに沿って垂直に分散する、実施形態1に記載のディスクフィルタ。
実施形態9
前記少なくとも1つのインジェクタの出口が主軸及び非主軸を備えており、前記主軸の長さが前記非主軸の長さより長い、実施形態1に記載のディスクフィルタ。
実施形態10
前記出口の幅が前記主軸に沿って変化する、実施形態9に記載のディスクフィルタ。
実施形態11
前記出口がドッグボーン状断面を有する、実施形態9に記載のディスクフィルタ。
実施形態12
前記少なくとも1つのインジェクタの出口が、前記少なくとも1つのフィルタ要素の外径と前記容器の前記壁との間に配置される、実施形態1に記載のディスクフィルタ。
実施形態13
前記少なくとも1つのインジェクタの出口が、前記少なくとも1つのフィルタ要素の外径と前記ロータシャフトとの間に配置される、実施形態1に記載のディスクフィルタ。
実施形態14
前記少なくとも1つのフィルタ要素が、一対の隣接したフィルタ要素を含み、前記少なくとも1つのインジェクタが、前記一対の隣接したフィルタ要素間の空間に位置づけられる、実施形態1に記載のディスクフィルタ。
実施形態15
前記少なくとも1つのインジェクタが、前記容器内の前記繊維懸濁液の充填レベルより下に位置づけられる、実施形態1に記載のディスクフィルタ。
実施形態16
前記少なくとも1つのインジェクタが、インジェクタバルブを介して供給マニホルドに結合される、実施形態1に記載のディスクフィルタ。
実施形態17
前記インジェクタバルブが、制御システムに通信可能に結合される、実施形態16に記載のディスクフィルタ。
実施形態18
前記少なくとも1つのインジェクタが、流量計を介して前記インジェクタバルブに結合される、実施形態16に記載のディスクフィルタ。
実施形態19
前記流量計及び前記インジェクタバルブが、制御システムに通信可能に結合される、実施形態18に記載のディスクフィルタ。
実施形態20
前記少なくとも1つのインジェクタが、流量計を介して供給マニホルドに結合される、実施形態1に記載のディスクフィルタ。
実施形態21
前記少なくとも1つのインジェクタからの前記液体の二次流れが、前記ロータシャフトに接触する、実施形態1に記載のディスクフィルタ。
実施形態22
前記少なくとも1つのインジェクタからの前記液体の二次流れが、前記少なくとも1つのフィルタ要素の表面に接触しない、実施形態1に記載のディスクフィルタ。
【符号の説明】
【0079】
1 ディスクフィルタ
2 容器
3,103 入口
4 導管
5 ハッチ
6 ロータユニット
7 ロータシャフト
8a 第1の軸受
8b 第2の軸受
9a,9b 切妻壁
10 駆動デバイス
11 フィルタ要素
12 フィルタセクタ
13 濾過用ライニング
14 濾液チャネル
15 導管セクション
17 管状コア
20,21,111 出口
22 吸引ヘッド
23 濾液バルブ
24 下降管
25 弛緩部材
26 洗浄部材
27 キャリア
29 駆動デバイス
30 レシーバシュート
33 コンベヤ
36 空間
37,42 側壁
38,41 入口開口部
40 入口チャネル
44 隔壁
108 供給マニホルド
110 インジェクタ
112 流量計
114 インジェクタバルブ
116 二次供給バルブ
119 一次供給バルブ
120 ポンプ
122 二次供給流量計
123 一次供給流量計
130 一次流れベクトル
131 シャフト回転軸
136 散乱ベクトル
144 シャフト平面
146 充填レベル
150 主軸
152 非主軸
180 一次ポンプ