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特許7432580ナノケージ封じ込め触媒、その製造方法および使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】ナノケージ封じ込め触媒、その製造方法および使用
(51)【国際特許分類】
   B01J 31/22 20060101AFI20240208BHJP
   B01J 35/60 20240101ALI20240208BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20240208BHJP
   B01J 37/04 20060101ALI20240208BHJP
   C07C 29/10 20060101ALI20240208BHJP
   C07C 31/20 20060101ALI20240208BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240208BHJP
【FI】
B01J31/22 Z
B01J35/60 Z
B01J37/02 101Z
B01J37/04 102
C07C29/10
C07C31/20 A
C07C31/20 Z
C07B61/00 300
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021505279
(86)(22)【出願日】2019-07-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 CN2019098304
(87)【国際公開番号】W WO2020024923
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-01-31
(31)【優先権主張番号】201810854835.1
(32)【優先日】2018-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201811251064.3
(32)【優先日】2018-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201811251045.0
(32)【優先日】2018-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】509128052
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司上海石油化工研究院
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI RESEARCH INSTITUTE OF PETROCHEMICAL TECHNOLOGY SINOPEC
【住所又は居所原語表記】NO.1658 PUDONG BEI ROAD,PUDONG NEW AREA,SHANGHAI 201208,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】陶桂菊
(72)【発明者】
【氏名】楊為民
(72)【発明者】
【氏名】何文軍
(72)【発明者】
【氏名】兪峰萍
(72)【発明者】
【氏名】金少青
【審査官】佐藤 慶明
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-534117(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102688776(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109675627(CN,A)
【文献】特開2006-342136(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105749973(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107519936(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102728407(CN,A)
【文献】BANIA, K. K. et al.,Inorganic Chemistry,2013年07月02日,Vol.52,pp.8017-8029,<DOI:10.1021/ic400599c>
【文献】SHARMA, M. et al.,The Journal of Physical Chemistry C,2016年06月08日,Vol.120,pp.13563-13573,<DOI:10.1021/acs.jpcc.6b03457>
【文献】LI, B. et al.,Angewante Chemie International Edition,2012年10月12日,Vol.51,pp.11517-11521,<DOI:10.1002/anie.201203774>
【文献】ZHONG, M. et al.,Journal of Catalysis,2016年,Vol.338,pp.184-191,<DOI:10.1016/j.jcat.2016.03.006>
【文献】CHOI, S. -D. et al.,Catalysis Letters,2004年,Vol.92,pp.35-40,<DOI:10.1023/B:CATL.0000011083.91015.a6>
【文献】GUPTA, K. C. et al.,Coordination Chemistry Reviews,2007年09月14日,Vol.252,pp.1420-1450,<DOI:10.1016/j.ccr.2007.09.005>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 - 38/74
C07C 29/10
C07C 31/20
C07B 61/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I-1)および/または式(I-2)の活性中心を有することを特徴とし、アルキレンオキシドの水和によるグリコールの生成のためのナノケージ封じ込め触媒:
M(サレン1)X (I-1)
M’(サレン2) (I-2)
前記ナノケージ封じ込め触媒は、式(I-4)もしくは(II-1)を有するか、
NC-[M’(サレン2)] (I-4)
NC-[M(サレン1)X]-[M(サレン1)X] (II-1)
または、
前記ナノケージ封じ込め触媒は、以下の式を有し:NC-[Fe(サレン1)OTs]、NC-[Ga(サレン1)OAc]、NC-[Al(サレン1)OAc]、NC-[Cr(サレン1)OAc]、NC-[Fe(サレン1)PF ]、NC-[Ga(サレン1)PF ]、NC-[Al(サレン1)PF ]、NC-[Cr(サレン1)PF ]、もしくは、NC-[Co(サレン1)BF ];
式中、NCはナノケージ構造を有する物質であり、
前記式(II-1)において、Mの各存在は、Coイオン、Feイオン、Gaイオン、Alイオン、Crイオン、およびそれらの混合物からなる群から独立して選択され、それぞれのサレン1は同一または異なっており、Xの一方の存在がSbF であり、Xの他方の存在がF 、Cl 、Br またはI であり、
前記式(I-4)において、M’の各存在はCuイオンまたはNiイオンから独立して選択され
レン1およびサレン2の各存在は、独立してシッフ塩基誘導体であり、前記シッフ塩基誘導体が、N,N’-ジサリチリデン-1,2-シクロヘキサンジアミンまたは置換N,N’-ジサリチリデン-1,2-シクロヘキサンジアミンである。
【請求項2】
式(II-1)においてM(サレン1)Xの各存在が異なることを特徴とする、請求項1に記載のナノケージ封じ込め触媒。
【請求項3】
NCがナノケージ構造を有するメソポーラスシリカナノ粒子またはナノケージ構造を有する有機ハイブリッドメソポーラスシリカナノ粒子であることを特徴とする、請求項1に記載のナノケージ封じ込め触媒。
【請求項4】
NCが、SBA-6、SBA-16、FDU-1、FDU-12、KIT-5、およびAMS-8から選択されることを特徴とする、請求項1に記載のナノケージ封じ込め触媒。
【請求項5】
式(II-3)を有することを特徴とする、請求項1からのいずれか1項に記載のナノケージ封じ込めナノケージ封じ込め触媒:
NC-[Co(サレン1)SbF-M(サレン1)X] (II-3)
NCおよびサレン1は、それぞれ独立であり、Xは、F、Cl、Br、およびIから選択され、Mは、Co3+、Fe3+、Ga3+、Al3+およびCr3+から選択される。
【請求項6】
式(II-4)を有することを特徴とする、請求項1からのいずれか1項に記載のナノケージ封じ込め触媒:
NC-[M(サレン1)SbF-Co(サレン1)X] (II-4)
NCおよびサレン1は、それぞれ独立であり、Xは、F、Cl、Br、およびIから選択され、Mは、Co3+、Fe3+、Ga3+、Al3+およびCr3+から選択される。
【請求項7】
式(III-1)または(III-2)を有することを特徴とする、請求項1からのいずれか1項に記載のナノケージ封じ込め触媒:
NC-[Co(サレン1)PF] (III-1)、または
NC-[Co(サレン1)BF] (III-2)
NCおよびサレン1は、それぞれ独立である。
【請求項8】
活性中心M(サレン1)XまたはM’(サレン2)およびナノケージ物質NCを溶媒に添加し、撹拌する工程と、前記溶媒を除去する工程と、ナノケージ封じ込め触媒を得るためのカプセル化を行う工程とを含み、
MはFe3+、Ga3+、Al3+、およびCr3+を含み、
M’はCu2+およびNiを含み、
サレン1およびサレン2はそれぞれN,N’-ジサリチリデン-1,2-シクロヘキサンジアミンまたは置換N,N’-ジサリチリデン-1,2-シクロヘキサンジアミンであるシッフ塩基誘導体であり、
Xはアキシアルアニオンであり、Xは、酢酸アニオン、ベンゼンスルホン酸アニオン、安息香酸アニオン、、Cl、Br、I、SbF 、PF またはBF から選択され
前記ナノケージ封じ込め触媒は、請求項1からのいずれか1項に記載のナノケージ封じ込め触媒である、ナノケージ封じ込め触媒の製造方法。
【請求項9】
前記溶媒が、ジクロロメタン、エタノール、およびメタノールのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項に記載のナノケージ封じ込め触媒の製造方法。
【請求項10】
アルキレンオキシドの水和によるグリコールの生成のための反応における、請求項またはに記載のナノケージ封じ込め触媒の製造方法により得られるナノケージ封じ込め触媒の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノケージ封じ込め触媒、その製造方法および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
エチレングリコールは、有機化学工業の重要な原料および中間体として使用されている。エチレングリコールは主に、ポリエステル繊維、ボトル樹脂、フィルム、エンジニアリングプラスチック、不凍液および冷却剤を製造するために使用される。エチレングリコールは、可塑剤、乾燥剤、潤滑剤などの多数の化学製品を製造するための原料としても使用され、非常に広く使用されている(広東化学工業、2011年、38巻:242頁)。2015年まで、エチレングリコールの世界的な年間需要は2,800万トン(http://www.shell.com/business-customers/chemicals/products-speeds-and-adhesives/products/mono-ethylene-glycol.html)と高かった。現在、エチレングリコールは主に工業的に酸化エチレンの直接水和法によって製造されている。ジエチレングリコールおよびトリエチレングリコールなどの副生成物の含有量を減少させるために、この技術は、190~200℃、1.9MPaを超える圧力、および酸化エチレンに対する水の供給モル比(水分比率と呼ばれる)22~25:1で反応を実施することを必要とする。その結果、生成物中の水分含量は85重量%までである。このような多量の水を除去するためには、多重効果蒸発システムが必要とされ、多量の水蒸気が消費される(例えば、水分比率が20:1である場合、1トンのエチレングリコールを製造するために5.5トンの水蒸気が消費される)。その水蒸気は最終的に、大きなエネルギー消費、複雑な装置、長い工程、およびエチレングリコールの全調製プロセスのための高い製造コストをもたらす(Industrial Catalysis, 2002, 10:3; petrochemical, 2010, 39: 562; Chemical Intermediate, 2009: 59参照)。そのため、低い水分比率の酸化エチレン触媒水和技術の開発は省エネルギーおよび低消費電力化の実現が期待され、触媒の開発が中核となっている。
【0003】
これまで、アニオン/カチオン交換樹脂(CN102372815B; Journal of Applied Polymer Science, 2010, 115: 2946; RSC Advances, 2015, 5: 2550)のような種々の触媒が開発されている。これらは、担持金属酸化物(CN100413579C; Journal of Catalysis, 2006, 241: 173)、Snゼオライト(CN104437607B; ACS Catalysis, 2016, 6: 2955)などである。しかしながら、これらの触媒は良好な触媒性能のために、高い水分比率(≧8:1)または長い反応時間(≧24時間)を依然として必要とする。大連化学物理学研究所が開発したナノケージ触媒FDU-12-[Co(サレン)X](X=OAc/OTs)は、水分比率2:1で98%以上のエチレングリコールを得ることができた。(CN201110070058X;Angewandte Chemie International Edition, 2012, 51: 11517;Journal of Catalysis, 2016, 338: 184)。しかし、FDU-12-[Co(サレン)X](X=OAc/OTs)は安定性が低く、良好なリサイクル特性のために活性化される必要があり、工業用途を厳しく制限する。したがって、低い水分比率および短い反応時間でアルキレンオキシドの水和によるグリコールを生成するための高い活性を有し、活性化を行わずに良好なリサイクル性を有する触媒を開発することが当技術分野で強く必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
従来技術における、アルキレンオキシドの水和によるグリコール生成用触媒は、高い水分比率を必要とし、活性化後にのみ良好なリサイクル性能を有することができる。したがって、本発明の目的は、活性化を行わずに、高い水分比率および低い水分比率の両方においてならびに短い反応時間の下でアルキレンオキシドを水和することによりグリコールを生成するための、高い活性および良好なリサイクル性能を有する触媒およびその製造方法を提供することである。本発明により提供される触媒は、高い水分比率および低い水分比率の両方において、ならびに短い反応時間の下で、アルキレンオキシドを水和することによりグリコールを生成するための高い活性を有する。また、活性化を行わずに良好なリサイクル性能を有する。本発明によって提供される製造方法は簡便および実行可能であり、他のナノケージ封じ込め触媒の合成のための基準を提供することができる。
【0005】
本発明の第1態様は、以下の式を有するナノケージ封じ込め触媒を提供する:
NC-m[M(サレン1)X]-n[M’(サレン2)] (I)
式中、NCはナノケージ構造を有する物質であり、
部分式(I-1) M(サレン1)X、および、
部分式(I-2) M’(サレン2)
はそれぞれ活性中心であり、Mの各存在は、Coイオン、Feイオン、Gaイオン、Alイオン、Crイオンおよびそれらの混合物からなる群から独立して選択され;M’の各存在は、Cuイオン、Niイオンおよびそれらの混合物からなる群から独立して選択され;mは0~100の整数であり、nは0~100の整数であり、但し、mおよびnの少なくとも一方は0ではなく;サレン1およびサレン1およびサレン2の各存在は独立して、シッフ塩基誘導体であり;Xはアキシアルアニオンであり、Xの各存在は、置換または非置換の酢酸塩、置換または非置換のベンゼンスルホン酸塩、置換または非置換の安息香酸塩、ハロゲン化物アニオン(例えば、F、Cl、Br、I、SbF 、PF 、BF ,およびそれらの混合物)からなる群から独立して選択される。
【0006】
本発明の一実施形態では、Mの各存在は、Fe3+、Ga3+、Al3+、Cr3+およびそれらの混合物から独立して選択される。
【0007】
本発明の一実施形態では、M’の各存在は、Cu2+、Ni2+、およびそれらの混合物から独立して選択される。
【0008】
本発明によれば、mおよびnは整数であり、触媒の部分式(I-1)および(I-2)における活性中心のカテゴリーの数を示す。例えば、一実施形態において、触媒がNC-2[M(サレン1)X]-1[M’(サレン2)]であり得る。この式は、NC-1[Fe(サレン1)OAc]-1[Ga(サレン1)OTs]-1[Cu(サレン2)]のように、式(I-2)の活性中心の1つのカテゴリーと組み合わされた、2つの異なったカテゴリーの式(I-1)の活性中心から触媒が形成されることを意味する。このことは、[Fe(サレン1)OAc]、[Ga(サレン1)OTs]、および[Cu(サレン2)]の構造をそれぞれ有する3つのカテゴリーの活性中心が一緒に使用されることを示す。本発明の他の実施形態では、触媒がNC-1[Ga(サレン1)SbF]-1[Al(サレン1)Cl]-0[Cu(サレン2)]であってもよい。これは[Ga(サレン1)SbF]と[Al(サレン1)Cl]を併用することを示しており、その結果、触媒はNC-[Ga(サレン1)SbF]-[Al(サレン1)Cl]と総称することができる。
【0009】
本発明によれば、式(I)の触媒における、部分式(I-2)の活性中心の量に対する部分式(I-1)の活性中心の量の比率は、特に限定されない。本発明の一実施形態では、部分式(I-1)と(I-2)との活性中心のモル比が0.001~1000、例えば0.01~100、または0.1~10、または0.5~5の範囲である。
【0010】
本発明の一実施形態では、mは0~20、好ましくは0~10、または好ましくは0~5、例えば0~2である。
【0011】
本発明の一実施形態では、nは0~10、好ましくは0~5、または好ましくは0~3、例えば0~1である。
【0012】
本発明の一実施形態では、mは0~2であり、nは0~1である。本発明の好ましい実施形態では、mは2、nは0~1であり、M(サレン1)Xの各存在は同一または異なる。本発明の好ましい実施形態では、mは2、nは0であり、M(サレン1)Xの各存在は同一または異なっている。
【0013】
前記実施形態において、mが2以上である場合、(I-1)の各存在におけるM(サレン1)Xは、独立して同一または異なる。
【0014】
前記実施形態において、nが2以上である場合、(I-2)の各存在におけるM’(サレン2)は、独立して同一または異なる。
【0015】
本発明の一実施形態では、mは1であり、nは0であり、MはCoではなく、Xはハロゲンではない。また、mが2であるとき、少なくとも1つのXはSbF であり、好ましくは他方のXはF、Cl、BrまたはIである。
【0016】
本発明の一実施形態では、好ましくはNCが、ナノケージ構造を有するメソポーラスシリカナノ粒子、またはナノケージ構造を有する有機ハイブリッドメソポーラスシリカナノ粒子を表す。
【0017】
本発明の一実施形態では、好ましくはNCが、SBA-6、SBA-16、FDU-1、FDU-12、KIT-5、AMS-8などを含む。
【0018】
本発明の一実施形態では、好ましくは、シッフ塩基誘導体がN,N’-ジサリチリデン-1,2-シクロヘキサンジアミンまたは置換N,N’-ジサリチリデン-1,2-シクロヘキサンジアミンである。例えば、シッフ塩基誘導体は、(1R,2R)-N,N’-ジサリチリデン-1,2-シクロヘキサンジアミンまたは置換(1R,2R)-N,N’-ジサリチリデン-1,2-シクロヘキサンジアミンである。
【0019】
本発明の第1の態様によれば、ナノケージ封じ込め触媒の第1の変形例では、触媒は以下の式(I-3)または(I-4)を有していてもよい:
NC-[M(サレン1)X] (I-3)、または、
NC-[M’(サレン2)] (I-4);
式中、M(サレン1)XおよびM’(サレン2)はそれぞれ活性中心である。MとM’は金属イオンである。MはFe3+、Ga3+、Al3+およびCr3+を含み、M’はCu2+とNi2+を含み、Xはアキシアルアニオンである。また、サレン1およびサレン2は第1の態様におけるサレン1およびサレン2と同じ定義を有する。すなわち、シッフ塩基誘導体である。
【0020】
前記の第1の変形例の一実施形態では、好ましくは、Xは酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、置換酢酸塩、置換ベンゼンスルホン酸塩、および置換安息香酸塩を含む。
【0021】
本発明の第1の態様によれば、ナノケージ封じ込め触媒の第2の変形例では、触媒は以下の式(II-2)を有してもよい:
NC-[M(サレン1)SbF-M(サレン1)X] (II-2);
式中、M(サレン1)SbF-M(サレン1)Xは活性中心であり、Mは金属イオンであり、サレン1はシッフ塩基誘導体であり、Xはアキシアルアニオンであり、Xはハロゲン化物アニオンである。
【0022】
前記の第2の変形例の一実施形態では、好ましくは、MはCo3+、Fe3+、Ga3+、Al3+、Cr3+を含む。
【0023】
前記の第2の変形例の一実施形態では、好ましくは、ハロゲン化物アニオンはF、Cl、BrまたはIである。
【0024】
本発明の第1の態様によれば、ナノケージ封じ込め触媒の第3の変形例では、触媒が以下の式(III)を有してもよい:
NC-[M(サレン1)X] (III)
式中、M(サレン1)Xは活性中心であり、Mは金属イオンであり、MはCo3+、Fe3+、Ga3+、Al3+、およびCr3+を含み、サレンはシッフ塩基誘導体であり、Xはアキシアルアニオンであり、XはPF またはBF である。
【0025】
前記の第3の変形例の一実施形態では、サレン1は、第1の態様で説明したサレン1またはサレン2と同じ定義を有する。
【0026】
本発明の第1の態様によれば、ナノケージ封じ込め触媒の第4の変形例では、触媒が以下の式(II-3)を有していてもよい:
NC-[Co(サレン1)SbF-M(サレン1)X] (II-3)、
式(II-3)において、Mは金属イオンであり、NCおよびサレン1は、前記第1の態様および第1~第3の変形例のいずれかの実施形態における同じ定義をそれぞれ独立して有し、Xは、ハロゲン化物アニオンである。
【0027】
前記の第4の変形例の一実施形態では、好ましくは、MはCo3+、Fe3+、Ga3+、Al3+、およびCr3+を含む。
【0028】
前記の第4の変形例の一実施形態では、好ましくは、ハロゲン化物アニオンはF、Cl、BrまたはIである。
【0029】
本発明の第1の態様によれば、ナノケージ封じ込め触媒の第5の変形例では、触媒は以下の式(II-4)を有していてもよい:
NC-[M(サレン1)SbF-Co(サレン1)X] (II-4)、
式(II-4)において、Mは金属イオンであり、NCおよびサレン1は、前記第1の態様および第1~第4の変形例のいずれかの実施形態における同じ定義をそれぞれ独立して有し、Xは、ハロゲン化物アニオンである。
【0030】
前記の第5の変形例の一実施形態では、好ましくは、MはCo3+、Fe3+、Ga3+、Al3+、およびCr3+を含む。
【0031】
前記の第5の変形例の一実施形態では、好ましくは、ハロゲン化物アニオンがF、Cl、BrまたはIである。
【0032】
本発明の第1の態様によれば、ナノケージ封じ込め触媒の第6の変形例では、本発明のナノケージ封じ込め触媒は、式(III-1)または(III-2)を有していてもよい:
NC-[Co(サレン1)PF] (III-1)、または、
NC-[Co(サレン1)BF] (III-2)、
式中、NCおよびサレン1は、それぞれ独立して、前記の第1の態様およびその変形例のそれぞれの実施形態の1つにおける同じ定義をそれぞれ独立して有する。
【0033】
前記の本発明の第1の態様によれば、変形例のそれぞれにおいて、活性中心、NC、M、サレン1、サレン2、X、m、nおよびその他関与するものは、各変形例において別段の指定がない限り、第1の態様において定義されるのと同じ意味を有する。
【0034】
本発明の第2の態様はまた、ナノケージ封じ込め触媒を製造する方法を提供する。当該方法は、活性中心、M(サレン1)XまたはM’(サレン2)、およびナノケージ物質NCを溶媒に添加し、撹拌する工程と、溶媒を除去する工程と、ナノケージ封じ込め触媒を得るためのカプセル化を行う工程、とを含む。式中、M、M’、サレン1またはサレン2、XおよびNCは、前記の第1の態様およびその変形例のそれぞれの実施形態の1つにおける同じ定義をそれぞれ独立して有する。
【0035】
本発明の一実施形態では、本発明の第2の態様の製造方法を使用して、本発明の第1の態様およびその変形例のそれぞれのナノケージ封じ込め触媒を製造してもよい。
【0036】
前記技術的解決法において、好ましくは、溶媒は、ジクロロメタン、エタノールおよびメタノールのうちの少なくとも1つを含む。
【0037】
前記技術的解決法において、溶媒の撹拌および除去は、好ましくは-96℃~61℃、より好ましくは20℃~50℃で行われる。実施形態の一例において、撹拌時間は30分以上である。実施形態の一例において、周囲環境に暴露しながら撹拌し、溶媒を揮発させることによって溶媒を除去する。
【0038】
前記の技術的解決法において、好ましくは、カプセル化剤を用いてカプセル化を行う。一実施形態において、特に、前加水分解させた(prehydrolyzed)オルトケイ酸メチルまたは前加水分解させたオルトケイ酸エチルまたはシランカップリング剤を用いて、活性中心のカプセル化が達成される。
【0039】
本発明の第3の態様はさらに、アルキレンオキシドの水和によりグリコールを生成する反応における、前記の触媒または前記の製造方法により製造された触媒の使用を提供する。
【0040】
使用条件は、≧2:1の水分比率、10分~24時間の反応時間、および第1スルーのために触媒される酸化エチレンまたは酸化プロピレンの水和反応によって得られるエチレングリコールまたはプロピレングリコールの収率が≧91%、好ましくは≧93%であることを含む。前記触媒の活性化再生を行わずに1回ダイレクトリサイクルして得られるエチレングリコールまたはプロピレングリコールの収率は、≧75%、好ましくは≧90%である。また、前記触媒の活性化再生を行わずに2回ダイレクトリサイクルして得られるエチレングリコールまたはプロピレングリコールの収率は、≧64%、好ましくは≧83%、さらに好ましくは≧84%である。
【0041】
本発明の触媒は、ナノケージ構造と、ナノケージに封じ込められたM(サレン1)XまたはM’(サレン2)の活性中心とを含む基質材料を含む。MはCo3+、Fe3+、Ga3+、Al3+、またはCr3+であり、M’はCu2+またはNi2+であり、サレン1およびサレン2はシッフ塩基誘導体であり、Xはアキシアルアニオンである。本発明によって提供される方法は簡便および実行可能であり、他のナノケージ封じ込め触媒の合成のための基準を提供する。この触媒は、活性化を行わずに、高い水分比率および低い水分比率の両方において、ならびに短い反応時間の下でアルキレンオキシドを水和することによって、グリコールを生成するための高い活性および良好なリサイクル性能、ならびに良好な安定性を有する。それらは予想外の効果を示す。本発明によって提供される製造方法は簡便および実行可能であり、他のナノケージ封じ込め触媒の合成のための基準を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1図1は、実施例I-1で得られた触媒のTEM写真である。
図2図2は、実施例II-1で得られた触媒のTEM写真である。
図3図3は、実施例III-1で得られた触媒のTEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明の具体的な実施形態を以下に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの具体的な実施形態によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって定義されることに留意するべきである。
【0044】
本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、当業者によって従来から理解されている意味を有する。矛盾する場合には、本明細書の定義が優先するものとする。
【0045】
本明細書に含まれる全ての範囲は、特に指定のない限り、それらの端点を包含する。さらに、ある範囲、1つ以上の好ましい範囲、または複数の好ましい上限および下限が、量、濃度、または他の値もしくはパラメータについて与えられる場合、任意の上限値またはその好ましい値の任意の対および任意の下限値または好ましい値から形成されるすべての範囲は、そのような値の対が個々に開示されるかどうかにかかわらず、本明細書で具体的に開示されていると見なされるべきである。
【0046】
本明細書において言及される全てのパーセンテージ、部、比率などは特に指定のない限り重量を基準とするものであり、または重量基準では当業者の従来の知識を満たさない場合、当業者によるこの従来の知識が優先する。
【0047】
本明細書に開示される「範囲」は上限値、例えば、1つ以上の下限および1つ以上の上限で与えられる。所与の範囲は、所与の範囲の境界を定義する下限および上限を選択することによって定義することができる。このように定義された全ての温度範囲は包括的かつ組み合わせ可能であり、すなわち、任意の下限を任意の上限値と組み合わせて範囲を形成することができる。例えば、60~110および80~120の範囲は、特定のパラメータについて列挙され、60~120および80~110の範囲もまた意図されることを意味する。さらに、列挙される下限が1および2であり、列挙される上限値が3、4および5である場合、以下の範囲がすべて意図される:1~3、1~4、1~5、2~3、2~4、および2~5。
【0048】
本明細書の文脈において、特に指定のない限り、数値範囲「a-b」はaとbの間の実数の任意の組み合わせの略語を表し、ここで、aとbは両方とも実数であり、例えば、「0~5」の数値範囲は「0~5」の間のすべての実数が本明細書に列挙されていることを示し、「0~5」は、単にこれらの数の組み合わせの略語表現である。
【0049】
本明細書の文脈において、特に指定のない限り、組成物の個々の成分の含有量の範囲およびそれらの好ましい範囲を互いに組み合わせて、新しい技術的解決法を形成することができる。
【0050】
本明細書で使用されるように、特に指定のない限り、全ての組成物についての百分率での各成分の総量は、合計で100%になる。
【0051】
本明細書で言及されるすべての実施形態および好ましい実施形態は特に指定のない限り、互いに組み合わせて、新しい技術的解決法を形成することができる。
【0052】
本明細書で言及される全ての技術的特徴、ならびに好ましい特徴は特に指定のない限り、互いに組み合わせて、新しい技術的解決法を形成することができる。
【0053】
本明細書の文脈において、本明細書で言及されるすべての工程が連続的に、またはランダムに実行されてもよい。しかしながら、これらの工程は特に指定のない限り、好ましくは連続的である。例えば、方法が工程(a)および(b)を含むというのは、当該方法が工程(a)および(b)を連続して実行してもよいし、または、工程(b)および(a)を連続して含んでもよいことを意味する。例えば、工程(c)をさらに含む方法は、任意の順番で工程(c)を追加してもよいことを意味する。また、当該方法は、例えば、工程(a)、(b)および(c)を含んでもよく、工程(a)、(c)および(b)を含んでもよく、工程(c)、(a)および(b)を含んでもよい。
【0054】
本明細書において、特に指定のない限り、用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含む(contain)」、「有する(having)」および類似の用語は、オープンエンド(開放型)として解釈されるべきであるが、当該用語は例えば、クローズドエンドである状況がすべて明示的に示されている場合は、クローズドエンドとして解釈されるべきである。例えば、「含む(comprising)」は、列挙されていない他の要素を含み得る場合を意味し、列挙されている要素のみを含む場合も意味する。さらに、本明細書で使用されるように、「含む(including/comprising)」は、記載される特徴、整数、工程または構成要素の存在を特定するが、他の特徴、整数、工程、構成要素またはその群の1つ以上の存在または追加を排除しない。さらに、用語「含む(comprising)」は、用語「~から本質的になる(consisting essentially of ...)」および「~からなる(consisting of ...)」によって包含される実施形態を含むことを意図している。同様に、用語「~から本質的になる(consisting essentially of ...)」は、用語「~からなる(consisting of ...)」によって包含される実施形態を含むことを意図している。
【0055】
本明細書の文脈において、特に指定のない限り、実施例において言及される特定のステップ、特定の値、および特定の物質は、本明細書の他の部分における他の特徴と組み合わせることができる。例えば、本明細書の「概要」または「実施形態」の項では反応温度を10~100℃とし、実施例では反応温度を20℃とする。10~20℃の範囲または20~100℃の範囲は本明細書で具体的に開示されており、本明細書の他の部の他の特徴と組み合わせて、新しい実施形態を形成することができることを理解されたい。
【0056】
本発明によれば、例えば、以下の実施形態の一例が提供される。
【0057】
(1.1)触媒が、式:NC-[M(サレン)X]またはNC-[M’(サレン)]によって表される、ナノケージ封じ込め触媒。式中、NCはナノケージ構造を有する物質であり、M(サレン)XおよびM’(サレン)は活性中心である。MおよびM’は金属イオンである。MはFe3+、Ga3+、Al3+およびCr3+を含む。M’はCu2+およびNi2+を含む。サレンはシッフ塩基誘導体である。Xはアキシアルアニオンである。
【0058】
(1.2)Xが、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、置換酢酸塩、置換ベンゼンスルホン酸塩、および置換安息香酸塩を含む、実施形態(1.1)の触媒。
【0059】
(1.3)NCが、ナノケージ構造を有するメソポーラスシリカナノ粒子またはナノケージ構造を有する有機ハイブリッドメソポーラスシリカナノ粒子である、実施形態(1.1)の触媒。
【0060】
(1.4)NCが、SBA-6、SBA-16、FDU-1、FDU-12、KIT-5、およびAMS-8を含む、実施形態(1.1)の触媒。
【0061】
(1.5)シッフ塩基誘導体が、N,N’-ジサリチリデン-1,2-シクロヘキサンジアミンまたは置換N,N’-ジサリチリデン-1,2-シクロヘキサンジアミンである、実施形態(1.1)の触媒。
【0062】
(1.6)ナノケージ封じ込め触媒の製造方法であって、活性中心M(サレン)XまたはM’(サレン)およびナノケージ物質NCを溶媒に添加し、撹拌する工程と、溶媒を除去する工程と、ナノケージ封じ込め触媒を得るためのカプセル化を行う工程と、を含む、方法。
【0063】
(1.7)Mが、Fe3+、Ga3+、Al3+、およびCr3+を含み、M’はCu2+およびNiを含み、サレンはシッフ塩基誘導体であり、Xはアキシアルアニオンであり、Xは酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、置換酢酸塩、置換ベンゼンスルホン酸塩および置換安息香酸塩を含む、実施形態(1.6)の方法。
【0064】
(1.8)溶媒が、ジクロロメタン、エタノール、およびメタノールのうちの少なくとも1つを含む、実施形態(1.6)の方法。
【0065】
(1.9)溶媒の撹拌および除去を-96℃~61℃の温度で行う、実施形態(1.6)の方法。
【0066】
(1.10)アルキレンオキシドの水和によるグリコールを生成する反応における、実施形態(1.1)~(1.5)のいずれかの触媒、または、実施形態(1.6)~(1.9)の何れかの方法により得られる触媒。
【0067】
(2.1)式:NC-[M(サレン)SbF]・M(サレン)X]を有する、高性能ナノケージ封じ込め触媒。式中、NCはナノケージ構造を有する物質であり、M(サレン)SbF・M(サレン)Xは活性中心である。Mは金属イオンであり、サレンはシッフ塩基誘導体であり、Xはアキシアルアニオンであり、Xはハロゲン化物アニオンである。
【0068】
(2.2)Mが独立して、Co3+、Fe3+、Ga3+、Al3+およびCr3+を含む、実施形態(2.1)の触媒。
【0069】
(2.3)NCが、ナノケージ構造を有するメソポーラスシリカナノ粒子またはナノケージ構造を有する有機ハイブリッドメソポーラスシリカナノ粒子であり、好ましくは、NCがSBA-6、SBA-16、FDU-1、FDU-12、KIT-5、およびAMS-8を含む、実施形態(2.1)の触媒。
【0070】
(2.4)シッフ塩基誘導体が、N,N’-ジサリチリデン-1,2-シクロヘキサンジアミンまたは置換N,N’-ジサリチリデン-1,2-シクロヘキサンジアミンである、実施形態(2.1)の触媒。
【0071】
(2.5)ハロゲン化物アニオンがF、Cl、BrまたはIである、実施形態(2.1)の触媒。
【0072】
(2.6)ナノケージ封じ込め触媒を製造する方法であって、活性中心M(サレン)SbFおよびM(サレン)X、ならびにナノケージ物質NCを溶媒に添加し、撹拌する工程と、溶媒を除去する工程と、ナノケージ封じ込め触媒を得るためにカプセル化を行う工程と、を含む、方法。
【0073】
(2.7)溶媒が、ジクロロメタン、エタノール、およびメタノールのうちの少なくとも1つを含む、実施形態(2.6)の方法。
【0074】
(2.8)溶媒の撹拌および除去を-96℃~61℃の温度で行う、実施形態(2.6)の方法。
【0075】
(2.9)Mが金属イオンであり、MがCo3+、Fe3+、Ga3+、Al3+、Cr3+を含み、サレンがシッフ塩基誘導体であり、Xがアキシアルアニオンであり、Xがハロゲン化物アニオンである、実施形態(2.6)の方法。
【0076】
(2.10)アルキレンオキシドの水和によるグリコールを生成するための反応における、実施形態(2.1)~(2.5)のいずれかの触媒、または、実施形態(2.6)~(2.9)の何れかの方法により得られる触媒。
【0077】
(3.1)アルキレンオキシドの水和によりグリコールを生成するための触媒であって、触媒は式:NC-[M(サレン)X]を有するナノケージ封じ込め触媒である。式中、M(サレン)XはNCに封じ込まれ、NCはナノケージ構造を有する物質であり、M(サレン)Xは活性中心である。Mは金属イオンであり、MはCo3+、Fe3+、Ga3+、Al3+およびCr3+を含み、サレンはシッフ塩基誘導体であり、Xはアキシアルアニオンであり、XはPF またはBF である。
【0078】
(3.2)NCが、ナノケージ構造を有するメソポーラスシリカナノ粒子またはナノケージ構造を有する有機ハイブリッドメソポーラスシリカナノ粒子である、実施形態(3.1)の触媒。
【0079】
(3.3)NCが、SBA-6、SBA-16、FDU-1、FDU-12、KIT-5、およびAMS-8を含む、実施形態(3.1)の触媒。
【0080】
(3.4)シッフ塩基誘導体が、N,N’-ジサリチリデン-1,2-シクロヘキサンジアミンまたは置換N,N’-ジサリチリデン-1,2-シクロヘキサンジアミンである、実施形態(3.1)の触媒。
【0081】
(3.5)アルキレンオキシドの水和によりグリコールを生成するための触媒を製造する方法であって、活性中心M(サレン)Xおよびナノケージ物質NCを溶媒に分散させ、撹拌する工程と、溶媒を除去する工程と、カプセル化剤を添加してカプセル化を行い、ナノケージ封じ込め触媒を得る工程と、を含む、方法。
【0082】
(3.6)溶媒が、ジクロロメタン、エタノール、およびメタノールのうちの少なくとも1つを含む、実施形態(3.5)の方法。
【0083】
(3.7)溶媒の撹拌および除去を-96℃~61℃の温度で行う、実施形態(3.5)の方法。
【0084】
(3.8)Mが金属イオンであり、MがCo3+、Fe3+、Ga3+、Al3+およびCr3+を含み、サレンがシッフ塩基誘導体であり、Xがアキシアルアニオンであり、XがPF およびBF を含む、実施形態(3.5)の方法。
【0085】
(3.9)周囲環境に暴露しながら撹拌して溶媒を揮発させることによって溶媒を除去する、実施形態(3.5)の方法。
【0086】
(3.10)アルキレンオキシドを水和させることによってグリコールを製造する反応における、実施形態(3.1)~(3.4)のいずれかの触媒、または、実施形態(3.5)~(3.9)の何れかの方法により得られる触媒の使用。
【実施例
【0087】
〔実施例I-1〕
0.50gのF127、0.6gのメシチレンおよび2.5gのKClを秤量し、16℃の温度で30mLの2M HCl水溶液に溶解し、2時間撹拌した。次に、2.08gのTEOSを添加し、撹拌を16℃で24時間続けた。次いで、水熱処理を100℃のオーブンにおいて24時間行った。その後、取り出して、洗浄および乾燥後、550℃で6時間焼成し、ナノケージ基質材料FDU-12を得た。0.2gのp-トルエンスルホン酸一水和物および0.490gのFe(N,N’-ジサリチリデン-1,2-シクロヘキサンジアミン)を秤量した。得られた化合物を20mLのジクロロメタンに溶解し、室温で12時間、周囲環境に暴露しながら撹拌した。次いで、溶媒をスピニングによって除去し、n-ヘキサンで完全に洗浄し、乾燥させて、活性中心Fe(N,N’-ジサリチリデン-1,2-シクロヘキサンジアミン)OTsを得た。1.0gのFDU-12を秤量し、100mgのFe(N,N’-ジサリチリデン-1,2-シクロヘキサンジアミン)OTsを含む4mLのジクロロメタン溶液に入れた。溶液を密封し、20℃で2時間撹拌した。次いで、溶媒が蒸発するまで、20℃で周囲環境に暴露しながら撹拌した。前加水分解させたオルトケイ酸メチルを添加し、40分間撹拌した。エタノールを添加し、遠心分離し、完全に洗浄し、乾燥させて、触媒I-Aを得た。
【0088】
〔実施例I-2〕
1.0gのSBA-6を秤量し、300mgのGa(N,N’-ビス(3,5-ジ-tert-ブチルサリチリデン)-1,2-シクロヘキサンジアミン)OAcを含む、エタノールとジクロロメタンとの混合溶液4mLに入れた。溶液を密封し、20℃で3時間撹拌した。次いで、溶媒が蒸発するまで、40℃で周囲環境に暴露しながら撹拌した。前加水分解させたオルトケイ酸メチルを添加し、60分間撹拌した。エタノールを添加し、遠心分離し、完全に洗浄し、乾燥させて、触媒I-Bを得た。
【0089】
〔実施例I-3〕
1.0gのSBA-16を秤量し、400mgのAl(N,N’-ジサリチリデン-1,2-シクロヘキサンジアミン)OAcを含む6mLのメタノール溶液に入れた。溶液を密封し、20℃で4時間撹拌し、次いで、溶媒が蒸発するまで、30℃で周囲環境に暴露しながら撹拌した。前加水分解させたオルトケイ酸メチルを添加し、60分間撹拌した。エタノールを添加し、遠心分離し、完全に洗浄し、乾燥させて、触媒I-Cを得た。
【0090】
〔実施例I-4〕
1.0gのFDU-1を秤量し、500mgのCr(N,N’-ビス(3-ジ-tert-ブチルサリチリデン)-1,2-シクロヘキサンジアミン)OAcを含む、メタノールとエタノールとの混合溶液6mLに入れた。溶液を密封し、30℃で4時間撹拌した。次いで、溶媒が蒸発するまで、40℃で周囲環境に暴露しながら撹拌した。2mLのトルエン、2mgのp-トルエンスルホン酸および20mmolのトリメトキシプロピルシランを添加し、一晩還流し、遠心分離し、完全に洗浄し、乾燥させて、触媒I-Dを得た。
【0091】
〔実施例I-5〕
1.0gのKIT-5を秤量し、600mgのCu(N,N’-ビス(3-tert-ブチルサリチリデン)-1,2-サイクリセチレンジアミン(cyclicethylenediamine))を含む8mLのエタノール溶液に入れた。溶液を密封し、30℃で3時間撹拌した。次いで、溶媒が蒸発するまで、50℃で周囲環境に暴露しながら撹拌した。2mLのトルエン、2mgのp-トルエンスルホン酸および20mmolのトリメトキシプロピルシランを添加し、一晩還流し、遠心分離し、完全に洗浄し、乾燥させて、触媒I-Eを得た。
【0092】
〔実施例I-6〕
1.0gのAMS-8を秤量し、700mgのNi(N,N’-ビス(5-tert-ブチルサリチリデン)-1,2-シクロヘキサンジアミン)を含む10mLのエタノール溶液に入れた。溶液を密封し、30℃で3時間撹拌した。次いで、溶媒が蒸発するまで、50℃で周囲環境に暴露しながら撹拌した。2mLのトルエン、2mgのp-トルエンスルホン酸および20mmolのトリメトキシプロピルシランを添加し、一晩還流し、遠心分離し、完全に洗浄し、乾燥させて、触媒I-Fを得た。
【0093】
〔比較例I-1〕
1.0gのSBA-16を秤量し、400mgのCo(N,N’-ジサリチリデン-1,2-シクロヘキサンジアミン)OTsを含む6mLのメタノール溶液に入れた。溶液を密封し、20℃で4時間撹拌した。次いで、溶媒が蒸発するまで、30℃で周囲環境に暴露しながら撹拌した。前加水分解させたオルトケイ酸メチルを添加し、60分間撹拌した。エタノールを添加し、遠心分離し、完全に洗浄し、乾燥させて、触媒I-Gを得た。
【0094】
〔実施例I-7〕
1.32gの酸化エチレンを秤量した。また、触媒I-Aの性能を、温度20℃、圧力1.0MPa、水分比率2:1、酸化エチレンに対する触媒の重量比1:1000、反応時間7時間の条件で評価した。結果を表I-1に示した。
【0095】
〔実施例I-8〕
一度使用した触媒を実施例I-7から回収し、活性化再生を行わずに、実施例I-7と同じ触媒条件下でその触媒性能を評価した。結果を表I-1に示した。
【0096】
〔実施例I-9〕
2回使用した触媒を実施例I-8から回収し、活性化再生を行わずに、実施例I-7およびI-8と同じ触媒条件下でその触媒性能を評価した。結果を表I-1に示した。
【0097】
〔実施例I-10〕
1.32gの酸化エチレンを秤量した。また、触媒I-Bの性能を、温度20℃、圧力1.0MPa、水分比率2:1、酸化エチレンに対する触媒のモル比1:1000、反応時間7時間の条件で評価した。結果を表I-1に示した。
【0098】
〔実施例I-11〕
一度使用した触媒を実施例I-10から回収し、活性化再生を行わずに、実施例I-10と同じ触媒条件下でその触媒性能を評価した。結果を表I-1に示した。
【0099】
〔実施例I-12〕
2回使用した触媒を実施例I-11から回収し、活性化再生を行わずに、実施例I-10およびI-11と同じ触媒条件下でその触媒性能を評価した。結果を表I-1に示した。
【0100】
〔実施例I-13〕
1.32gの酸化エチレンを秤量した。また、触媒I-Cの性能を、温度20℃、圧力1.0MPa、水分比率2:1、酸化エチレンに対する触媒のモル比1:1000、反応時間7時間の条件で評価した。結果を表I-1に示した。
【0101】
〔実施例I-14〕
一度使用した触媒を実施例I-13から回収し、活性化再生を行わずに、実施例I-13と同じ触媒条件下でその触媒性能を評価した。結果を表I-1に示した。
【0102】
〔実施例I-15〕
2回使用した触媒を実施例I-14から回収し、活性化再生を行わずに、実施例I-13およびI-14と同じ触媒条件下でその触媒性能について評価した。結果を表I-1に示した。
【0103】
【表1】
【0104】
〔実施例I-16〕
1.32gの酸化エチレンを秤量した。また、触媒I-Dの性能を、温度40℃、圧力1.0MPa、水分比率6:1、酸化エチレンに対する触媒のモル比1:500、反応時間4時間の条件で評価した。結果を表I-2に示した。
【0105】
〔実施例I-17〕
一度使用した触媒を実施例I-16から回収し、活性化再生を行わずに、実施例I-16と同じ触媒条件下でその触媒性能を評価した。結果を表I-2に示した。
【0106】
〔実施例I-18〕
2回使用した触媒を実施例I-17から回収し、活性化再生を行わずに、実施例I-16およびI-17と同じ触媒条件下でその触媒性能を評価した。結果を表I-2に示した。
【0107】
〔実施例I-19〕
1.32gの酸化エチレンを秤量した。また、触媒I-Eの性能を、温度40℃、圧力1.0MPa、水分比率6:1、酸化エチレンに対する触媒のモル比1:500、反応時間4時間の条件で評価した。結果を表I-2に示した。
【0108】
〔実施例I-20〕
一度使用した触媒を実施例I-19から回収し、活性化再生を行わずに、実施例I-19と同じ触媒条件下でその触媒性能を評価した。結果を表I-2に示した。
【0109】
〔実施例I-21〕
2回使用した触媒を実施例I-20から回収し、実施例I-19およびI-20と同じ触媒条件下でその触媒性能を評価した。結果を表I-2に示した。
【0110】
〔実施例I-22〕
1.32gの酸化エチレンを秤量した。また、触媒I-Fの性能を、温度40℃、圧力1.0MPa、水分比率6:1、酸化エチレンに対する触媒のモル比1:500、反応時間4時間の条件で評価した。結果を表I-2に示した。
【0111】
〔実施例I-23〕
一度使用した触媒を実施例I-22から回収し、活性化再生を行わずに、実施例I-22と同じ触媒条件下でその触媒性能を評価した。結果を表I-2に示した。
【0112】
〔実施例I-24〕
2回使用した触媒を実施例I-23から回収し、活性化再生を行わずに、実施例I-22および23と同じ触媒条件下でその触媒性能を評価した。結果を表I-2に示した。
【0113】
【表2】
【0114】
〔実施例I-25〕
1.74gの酸化プロピレンを秤量した。また、触媒I-Dの性能を、温度40℃、圧力1.0MPa、水分比率2:1、酸化プロピレンに対する触媒のモル比1:1000、反応時間7時間の条件で評価した。結果を表I-3に示した。
【0115】
〔実施例I-26〕
一度使用した触媒を実施例I-25から回収し、活性化再生を行わずに、実施例I-25と同じ触媒条件下でその触媒性能を評価した。結果を表I-3に示した。
【0116】
〔実施例I-27〕
2回使用した触媒を実施例I-26から回収し、活性化再生を行わずに、実施例I-25およびI-26と同じ触媒条件下でその触媒性能を評価した。結果を表I-3に示した。
【0117】
〔実施例I-28〕
1.74gの酸化プロピレンを秤量した。また、触媒I-Eの性能を、温度40℃、圧力1.0MPa、水分比率2:1、酸化プロピレンに対する触媒のモル比1:1000、反応時間7時間の条件で評価した。結果を表I-3に示した。
【0118】
〔実施例I-29〕
一度使用した触媒を実施例I-28から回収し、活性化再生を行わずに、実施例I-28と同じ触媒条件下でその触媒性能を評価した。結果を表I-3に示した。
【0119】
〔実施例I-30〕
2回使用した触媒を実施例I-29から回収し、活性化再生を行わずに、実施例I-28およびI-29と同じ触媒条件下でその触媒性能を評価した。結果を表I-3に示した。
【0120】
〔実施例I-31〕
1.74gの酸化プロピレンを秤量した。また、触媒I-Fの性能を、温度40℃、圧力1.0MPa、水分比率2:1、酸化プロピレンに対する触媒のモル比1:1000、反応時間7時間の条件で評価した。結果を表I-3に示した。
【0121】
〔実施例I-32〕
一度使用した触媒を実施例I-31から回収し、活性化再生を行わずに、実施例I-31と同じ触媒条件下でその触媒性能を評価した。結果を表I-3に示した。
【0122】
〔実施例I-33〕
2回使用した触媒を実施例I-32から回収し、活性化再生を行わずに、実施例I-31およびI-32と同じ触媒条件下でその触媒性能を評価した。結果を表I-3に示した。
【0123】
【表3】
【0124】
〔実施例I-34〕
1.74gの酸化プロピレンを秤量した。また、触媒I-Aの性能を、温度40℃、圧力1.0MPa、水分比率8:1、酸化プロピレンに対する触媒のモル比1:500、反応時間4時間の条件で評価した。結果を表I-4に示した。
【0125】
〔実施例I-35〕
一度使用した触媒を実施例I-34から回収し、活性化再生を行わずに、実施例I-34と同じ触媒条件下でその触媒性能を評価した。結果を表I-4に示した。
【0126】
〔実施例I-36〕
2回使用した触媒を実施例I-35から回収し、実施例I-34およびI-35と同じ触媒条件下でその触媒性能を評価した。結果を表I-4に示した。
【0127】
〔実施例I-37〕
1.74gの酸化プロピレンを秤量した。また、触媒I-Bの性能を、温度40℃、圧力1.0MPa、水分比率8:1、酸化プロピレンに対する触媒のモル比1:500、反応時間4時間の条件で評価した。結果を表I-4に示した。
【0128】
〔実施例I-38〕
一度使用した触媒を実施例I-37から回収し、活性化再生を行わずに、実施例I-37と同じ触媒条件下でその触媒性能を評価した。結果を表I-4に示した。
【0129】
〔実施例I-39〕
2回使用した触媒を実施例I-38から回収し、活性化再生を行わずに、実施例I-37およびI-38と同じ触媒条件下でその触媒性能を評価した。結果を表I-4に示した。
【0130】
〔実施例I-40〕
1.74gの酸化プロピレンを秤量した。また、触媒I-Cの性能を、温度40℃、圧力1.0MPa、水分比率8:1、酸化プロピレンに対する触媒のモル比1:500、反応時間4時間の条件で評価した。結果を表I-4に示した。
【0131】
〔実施例I-41〕
一度使用した触媒を実施例I-40から回収し、活性化再生を行わずに、実施例I-40と同じ触媒条件下で活性化再生なしにその触媒性能を評価した。結果を表I-4に示した。
【0132】
〔実施例I-42〕
2回使用した触媒を実施例I-41から回収し、活性化再生を行わずに、実施例I-40およびI-41と同じ触媒条件下でその触媒性能を評価した。結果を表I-4に示した。
【0133】
【表4】
【0134】
〔比較例I-2〕
1.32gの酸化エチレンを秤量した。また、触媒I-Gの性能を、温度20℃、圧力1.0MPa、水分比率2:1、酸化エチレンに対する触媒のモル比1:1000、反応時間7時間の条件で評価した。結果を表I-5に示した。
【0135】
〔比較例I-3〕
一度使用した触媒を比較例I-2から回収した。そして、活性化再生を行わずに、比較例I-2と同じ触媒条件下でその触媒性能を評価した。結果を表I-5に示した。
【0136】
【表5】
【0137】
〔実施例II-1〕
0.50gのF127、0.6gのメシチレンおよび2.5gのKClを秤量し、16℃の温度で30mLの2M HCl水溶液に溶解し、2時間撹拌した。次に、2.08gのTEOSを添加し、撹拌を16℃で24時間続けた。次いで、水熱処理を100℃のオーブンにおいて24時間行った。その後、取り出して、洗浄および乾燥後、550℃で6時間焼成して、ナノケージ基質材料FDU-12を得た。0.344gのヘキサフルオロアンチモン酸銀および0.492gのCo(N,N’-ジサリチリデン-1,2-シクロヘキサンジアミン)を秤量した。得られた化合物を40mLのジクロロメタンに溶解し、室温で12時間、暗所において周囲環境に暴露しながら撹拌した。珪藻土を使用して吸引ろ過を繰り返してろ液を採取し、スピニングによって乾燥させ、活性中心Co(N,N’-ジサリチリデン-1,2-シクロヘキサンジアミン)SbFを得た。1.0gのCo(N,N’-ジサリチリデン-1,2-シクロヘキサンジアミン)OTsを40mLの塩化メチレンに溶解し、分液漏斗に入れ、40mLの飽和塩化ナトリウムで3回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させて溶媒を除去した。得られた固体をペンタンに懸濁し、ろ過して活性中心Co(N,N’-ジサリチリデン-1,2-シクロヘキサンジアミン)Clを得た。1.0gのFDU-12を秤量し、40mgのCo(N,N’-ジサリチリデン-1,2-シクロヘキサンジアミン)SbFおよび60mgのCo(N,N’-ジサリチリデン-1,2-シクロヘキサンジアミン)Clを含む、4mLのジクロロメタン溶液に入れた。溶液を密封し、20℃で2時間撹拌した。次いで、溶媒が蒸発するまで、20℃で周囲に暴露しながら撹拌した。前加水分解させたオルトケイ酸メチルを添加し、40分間撹拌した。エタノールを添加し、遠心分離し、完全に洗浄し、乾燥させて、触媒II-Aを得た。
【0138】
〔実施例II-2〕
1.0gのSBA-6を秤量し、100mgのCo(N,N’-ビス(3,5-ジ-t-ブチルサリチリデン)-1,2-シクロヘキサンジアミン)SbFおよび200mgのFe(N、N’-ジサリチリデン-1,3-シクロヘキサンジアミン)Fを含む、エタノールとジクロロメタンとの混合溶液4mLに入れた。溶液を密封し、20℃で3時間撹拌した。次いで、溶媒が蒸発するまで、40℃で周囲環境に暴露しながら撹拌した。前加水分解させたオルトケイ酸エチルを添加し、60分間撹拌した。エタノールを添加し、遠心分離し、完全に洗浄し、乾燥させて、触媒II-Bを得た。
【0139】
〔実施例II-3〕
1.0gのSBA-16を秤量し、300mgのGa(N,N’-ジサリチリデン-1,2-シクロエチレンジアミン)SbFおよび100mgのAl(N,N’-ビス(3-t-ブチルサリチリデン)-1,2-シクロエチレンジアミン)Brを含む6mLのメタノール溶液に入れた。溶液を密封し、20℃で4時間撹拌し、次いで、溶媒が蒸発するまで、30℃で周囲環境に暴露しながら撹拌した。前加水分解させたオルトケイ酸エチルを添加し、60分間撹拌した。エタノールを添加し、遠心分離し、完全に洗浄し、乾燥させて、触媒II-Cを得た。
【0140】
〔実施例II-4〕
1.0gのFDU-1を秤量し、300mgのFe(N,N’-ジサリチリデン-1,2-シクロエチレンジアミン)SbFおよび200mgのCr(N,N’-ビス(5-t-ブチルサリチリデン)-1,2-シクロエチレンジアミン)Iを含む、メタノールとエタノールとの混合溶液8mLに入れた。溶液を密封し、30℃で4時間撹拌した。次いで溶媒が蒸発するまで、40℃で周囲環境に暴露しながら撹拌した。2mLのトルエン、2mgのパラ-トルエンスルホン酸および20mmolのトリメトキシプロピルシランを添加し、一晩還流し、遠心分離し、完全に洗浄し、乾燥させて、触媒II-Dを得た。
【0141】
〔比較例II-1〕
1.0gのFDU-12を秤量し、100mgのCo(N,N’-ジサリチリデン-1,2-シクロヘキサンジアミン)SbFを含む4mLのジクロロメタン溶液に入れた。溶液を密封し、20℃で2時間撹拌した。次いで、溶媒が蒸発するまで、20℃で周囲環境に暴露しながら撹拌した。前加水分解させたオルトケイ酸メチルを添加し、40分間撹拌した。エタノールを添加し、遠心分離し、完全に洗浄し、乾燥させて、触媒II-Eを得た。
【0142】
〔比較例II-2〕
1.0gのFDU-12を秤量し、100mgのCo(N,N’-ジサリチリデン-1,2-シクロエチレンジアミン)Clを含む4mLのジクロロメタン溶液に入れた。溶液を密封し、20℃で2時間撹拌した。次いで、溶媒が蒸発するまで、20℃で周囲環境に暴露しながら撹拌した。前加水分解させたオルトケイ酸メチルを添加し、40分間撹拌した。エタノールを添加し、遠心分離し、完全に洗浄し、乾燥させて、触媒II-Fを得た。
【0143】
〔実施例II-5〕
1.32gの酸化エチレンを秤量した。また、触媒II-Aの性能を、温度20℃、圧力1.0MPa、水分比率2:1、酸化エチレンに対する触媒のモル比1:1000、反応時間7時間の条件で評価した。結果を表II-1に示した。
【0144】
〔実施例II-6〕
一度使用した触媒を実施例II-5から回収し、活性化再生を行わずに、実施例II-5と同じ触媒条件下でその触媒性能を評価した。結果を表II-1に示した。
【0145】
〔実施例II-7〕
2回使用した触媒を実施例II-6から回収し、活性化再生を行わずに、実施例II-5およびII-6と同じ触媒条件下でその触媒性能を評価した。結果を表II-1に示した。
【0146】
〔実施例II-8〕
1.32gの酸化エチレンを秤量した。また、触媒II-Bの性能を、温度20℃、圧力1.0MPa、水分比率2:1、酸化エチレンに対する触媒のモル比1:1000、反応時間7時間の条件で評価した。結果を表II-1に示した。
【0147】
〔実施例II-9〕
一度使用した触媒を実施例II-8から回収し、活性化再生を行わずに、実施例II-8と同じ触媒条件下でその触媒性能を評価した。結果を表II-1に示した。
【0148】
〔実施例II-10〕
2回使用した触媒を実施例II-8から回収し、活性化再生を行わずに、実施例II-8およびII-9と同じ触媒条件下でその触媒性能を評価した。結果を表II-1に示した。
【0149】
【表6】
【0150】
〔実施例II-11〕
1.32gの酸化エチレンを秤量した。また、触媒II-Cの性能を、温度40℃、圧力1.0MPa、水分比率6:1、酸化エチレンに対する触媒のモル比1:500、反応時間4時間の条件で評価した。結果を表II-2に示した。
【0151】
〔実施例II-12〕
一度使用した触媒を実施例II-11から回収し、活性化再生を行わずに、実施例II-11と同じ触媒条件下でその触媒性能を評価した。結果を表II-2に示した。
【0152】
〔実施例II-13〕
2回使用した触媒を実施例II-12から回収し、活性化再生を行わずに、実施例II-11およびII-12と同じ触媒条件下でその触媒性能を評価した。結果を表II-2に示した。
【0153】
〔実施例II-14〕
1.32gの酸化エチレンを秤量した。また、触媒II-Dの性能を、温度40℃、圧力1.0MPa、水分比率6:1、酸化エチレンに対する触媒のモル比1:500、反応時間4時間の条件で評価した。結果を表II-2に示した。
【0154】
〔実施例II-15〕
一度使用した触媒を実施例II-14から回収し、活性化再生を行わずに、実施例II-14と同じ触媒条件下でその触媒性能を評価した。結果を表II-2に示した。
【0155】
〔実施例II-16〕
2回使用した触媒を実施例II-15から回収し、活性化再生を行わずに、実施例II-14およびII-15と同じ触媒条件下でその触媒性能を評価した。結果を表II-2に示した。
【0156】
【表7】
【0157】
〔実施例II-17〕
1.74gの酸化プロピレンを秤量した。また、触媒II-Cの性能を、温度40℃、圧力1.0MPa、水分比率2:1、酸化プロピレンに対する触媒のモル比1:1000、反応時間7時間の条件で評価した。結果を表II-3に示した。
【0158】
〔実施例II-18〕
一度使用した触媒を実施例II-17から回収し、活性化再生を行わずに、実施例II-17と同じ触媒条件下でその触媒性能を評価した。結果を表II-3に示した。
【0159】
〔実施例II-19〕
2回使用した触媒を実施例II-18から回収し、活性化再生を行わずに、実施例II-17およびII-18と同じ触媒条件下でその触媒性能を評価した。結果を表II-3に示した。
【0160】
〔実施例II-20〕
1.74gの酸化プロピレンを秤量した。また、触媒II-Dの性能を、温度40℃、圧力1.0MPa、水分比率2:1、酸化プロピレンに対する触媒のモル比1:1000、反応時間7時間の条件で評価した。結果を表II-3に示した。
【0161】
〔実施例II-21〕
一度使用した触媒を実施例II-20から回収し、活性化再生を行わずに、実施例II-20と同じ触媒条件下でその触媒性能を評価した。結果を表II-3に示した。
【0162】
〔実施例II-22〕
2回使用した触媒を実施例II-21から回収し、活性化再生を行わずに、実施例II-21およびII-22と同じ触媒条件下で、その触媒性能を評価した。結果を表II-3に示した。
【0163】
【表8】
【0164】
〔実施例II-23〕
1.74gの酸化プロピレンを秤量した。また、触媒II-Aの性能を、温度40℃、圧力1.0MPa、水分比率8:1、酸化プロピレンに対する触媒のモル比1:500、反応時間4時間の条件で評価した。結果を表II-4に示した。
【0165】
〔実施例II-24〕
一度使用した触媒を実施例II-23から回収し、活性化再生を行わずに、実施例II-23と同じ触媒条件下でその触媒性能を評価した。結果を表II-4に示した。
【0166】
〔実施例II-25〕
2回使用した触媒を実施例II-24から回収し、活性化再生を行わずに、実施例II-23およびII-24と同じ触媒条件下でその触媒性能を評価した。結果を表II-4に示した。
【0167】
〔実施例II-26〕
1.74gの酸化プロピレンを秤量した。また、触媒II-Bの性能を、温度40℃、圧力1.0MPa、水分比率8:1、酸化プロピレンに対する触媒のモル比1:500、反応時間4時間の条件で評価した。結果を表II-4に示した。
【0168】
〔実施例II-27〕
一度使用した触媒を実施例II-26から回収し、活性化再生を行わずに、実施例II-26と同じ触媒条件下でその触媒性能を評価した。結果を表II-4に示した。
【0169】
〔実施例II-28〕
2回使用した触媒を実施例II-27から回収し、活性化再生を行わずに、実施例II-26およびII-27と同じ触媒条件下でその触媒性能を評価した。結果を表II-4に示した。
【0170】
【表9】
【0171】
〔比較例II-3〕
1.32gの酸化エチレンを秤量した。また、触媒II-Eの性能を、温度20℃、圧力1.0MPa、水分比率2:1、酸化エチレンに対する触媒のモル比1:1000、反応時間7時間の条件で評価した。結果を表II-5に示した。
【0172】
〔比較例II-4〕
1.32gの酸化エチレンを秤量した。また、触媒II-Fの性能を、温度20℃、圧力1.0MPa、水分比率2:1、酸化エチレンに対する触媒のモル比1:1000、反応時間7時間の条件で評価した。結果を表II-5に示した。
【0173】
【表10】
【0174】
〔実施例III-1〕
0.50gのF127、0.6gのメシチレンおよび2.5gのKClを秤量し、16℃の温度で、30mLの2M HCl水溶液に溶解し、2時間撹拌した。次に、2.08gのTEOSを加え、撹拌を16℃で24時間続けた。次いで、水熱処理を100℃のオーブンで24時間行った。その後、取り出して、洗浄および乾燥後、550℃で6時間焼成して、ナノケージ基質材料FDU-12を得た。0.331gのフェロセンヘキサフルオロホスフェートおよび0.492gのCo(N,N’-ジサリチリデン-1,2-ヘキサナフテンジアミン)を秤量した。得られた化合物を15mLのジクロロメタンと15mLのアセトニトリルとの混合液に溶解し、室温で12時間、周囲環境に暴露しながら撹拌した。次いで、溶媒をスピニングによって除去し、N-ヘキサンで完全に洗浄し、乾燥させて、活性中心Co(N,N’-ジサリチリデン-1,2-ヘキサナフテンジアミン)PFを得た。1.0gのFDU-12を秤量し、FDU-12を100mgのCo(N,N’-ジサリチリデン-1,2-シクロヘキサンジアミン)PFを含む6mLのジクロロメタン溶液に入れた。溶液を密封し、20℃で2時間撹拌した。次いで、溶媒が蒸発するまで、20℃で周囲環境に暴露しながら撹拌した。前加水分解させたオルトケイ酸メチルを添加し、40分間撹拌した。エタノールを添加し、遠心分離し、完全に洗浄し、乾燥させて、触媒III-Aを得た。
【0175】
〔実施例III-2〕
1.0gのSBA-6を秤量し、100mgのFe(N,N’-ビス(3,5-ジ-t-ブチルサリチリデン)-1,2-シクロエチレンジアミン)PFを含む6mLのジクロロメタン溶液に入れた。溶液を密封し、20℃で2時間撹拌した。次いで、溶媒が蒸発するまで、20℃で周囲環境に暴露しながら撹拌した。前加水分解させたオルトケイ酸メチルを添加し、40分間撹拌した。エタノールを添加し、遠心分離し、完全に洗浄し、乾燥させて、触媒III-Bを得た。
【0176】
〔実施例III-3〕
1.0gのSBA-16を秤量し、100mgのGa(N,N’-ジサリチリデン-1,2-シクロヘキサンジアミン)PFを含む6mLのジクロロメタン溶液に入れた。溶液を密封し、20℃で2時間撹拌した。次いで、溶媒が蒸発するまで、20℃で周囲環境に暴露しながら撹拌した。前加水分解させたオルトケイ酸メチルを添加し、40分間撹拌した。エタノールを添加し、遠心分離し、完全に洗浄し、乾燥させて、触媒III-Cを得た。
【0177】
〔実施例III-4〕
1.0gのFDU-1を秤量し、100mgのAl(N,N’-ビス(3-t-ブチルサリチリデン)-1,2-シクロエチレンジアミン)PFを含む6mLのジクロロメタン溶液に入れた。溶液を密封し、20℃で2時間撹拌した。次いで、溶媒が蒸発するまで、20℃で周囲環境に暴露しながら撹拌した。前加水分解させたオルトケイ酸メチルを添加し、40分間撹拌した。エタノールを添加し、遠心分離し、完全に洗浄し、乾燥させて、触媒III-Dを得た。
【0178】
〔実施例III-5〕
1.0gのKIT-5を秤量し、100mgのCr(N,N’-ビス(5-t-ブチルサリチリデン)-1,2-シクロヘキサンジアミン)PFを含む6mLのジクロロメタン溶液に入れた。溶液を密封し、20℃で2時間撹拌した。次いで、溶媒が蒸発するまで20℃で周囲環境に暴露しながら撹拌した。前加水分解させたオルトケイ酸メチルを添加し、40分間撹拌した。エタノールを添加し、遠心分離し、完全に洗浄し、乾燥させて、触媒III-Eを得た。
【0179】
〔実施例III-6〕
1.0gのSBA-16を秤量し、100mgのCo(N,N’-ジサリチリデン-1,2-シクロヘキサンジアミン)BFを含む6mLのジクロロメタン溶液に入れた。溶液を密封し、20℃で2時間撹拌した。次いで、溶媒が蒸発するまで、20℃で周囲環境に暴露しながら撹拌した。前加水分解させたオルトケイ酸メチルを添加し、40分間撹拌した。エタノールを添加し、遠心分離し、完全に洗浄し、乾燥させて、触媒III-Fを得た。
【0180】
〔比較例III-1〕
1.0gのSBA-16を秤量し、100mgのCo(N,N’-ジサリチリデン-1,2-シクロヘキサンジアミン)OTsを含む6mLのジクロロメタン溶液に入れた。溶液を密封し、20℃で2時間撹拌した。次いで、溶媒が蒸発するまで、20℃で周囲環境に暴露しながら撹拌した。前加水分解させたオルトケイ酸メチルを添加し、40分間撹拌した。エタノールを添加し、遠心分離し、完全に洗浄し、乾燥させて、触媒III-Gを得た。
【0181】
〔実施例III-7~15〕
1.32gの酸化エチレンを秤量した。また、触媒III-A、III-BおよびIII-Cの性能を、温度20℃、圧力1.0MPa、水分比率2:1、酸化エチレンに対する触媒のモル比1:1000、反応時間7時間の条件で評価した。使用した触媒III-A、III-BおよびIII-Cを回収し、活性化再生を行わずに、同じ触媒条件下で、以下の触媒反応に使用した(2回リサイクルした)。結果を表III-1に示した。
【0182】
【表11】
【0183】
〔実施例III-16~24〕
1.32gの酸化エチレンを秤量した。また、触媒III-D、III-EおよびIII-Fの性能を、温度40℃、圧力1.0MPa、水分比率6:1、酸化エチレンに対する触媒のモル比1:500、反応時間4時間の条件で評価した。使用した触媒III-D、III-EおよびIII-Fを回収し、活性化再生を行わずに、同じ触媒条件下で、以下の触媒反応に使用した(2回リサイクルした)。結果を表III-2に示した。
【0184】
【表12】
【0185】
〔実施例III-25~33〕
1.74gの酸化プロピレンを秤量した。また、触媒III-D、III-EおよびIII-Fの性能を、温度40℃、圧力1.0MPa、水分比率2:1、酸化プロピレンに対する触媒のモル比1:1000、反応時間7時間の条件で評価した。使用した触媒III-D、III-EおよびIII-Fを回収し、活性化再生を行わずに、同じ触媒条件下で、以下の触媒反応に使用した(2回リサイクルした)。結果を表III-3に示した。
【0186】
【表13】
【0187】
〔実施例III-34~42〕
1.74gの酸化プロピレンを秤量した。また、触媒III-A、III-BおよびIII-Cの性能を、温度60℃、圧力1.0MPa、水分比率8:1、酸化プロピレンに対する触媒のモル比1:500、反応時間4時間の条件で評価した。使用した触媒III-A、III-BおよびIII-Cを遠心分離により回収し、活性化再生を行わずに、同じ触媒条件下で、それぞれ以下の触媒反応に使用した(2回リサイクルした)。結果を表III-4に示した。
【0188】
【表14】
【0189】
〔比較例III-2~3〕
1.32gの酸化エチレンを秤量した。また、使用した活性中心Co(N,N’-ジサリチリデン-1,2-シクロヘキサンジアミン)PFおよびCo(N,N’-ジサリチリデン-1,2-シクロヘキサンジアミン)OTsの性能を、温度20℃、圧力1.0MPa、水分比率2:1、酸化エチレンに対する触媒のモル比1:1000、反応時間7時間の条件で行った。結果を表III-5に示した。
【0190】
【表15】
【0191】
〔比較例III-4〕
1.32gの酸化エチレンを秤量した。また、触媒III-Gの性能を、温度20℃、圧力1.0MPa、水分比率2:1、酸化エチレンに対する触媒のモル比1:1000、反応時間7時間の条件で評価した。使用した触媒III-Gを遠心分離により回収し、活性化再生を行わずに、同じ触媒条件下で、以下の触媒反応に使用した(2回リサイクルした)。結果を表III-4に示した。
【0192】
【表16】


図1
図2
図3