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特許7432583貯蔵ホッパの再充填中のバルク材料用計量分配ユニットの重量式制御方法及び前記方法を実行する計量分配ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】貯蔵ホッパの再充填中のバルク材料用計量分配ユニットの重量式制御方法及び前記方法を実行する計量分配ユニット
(51)【国際特許分類】
   G01G 13/20 20060101AFI20240208BHJP
   B65G 65/32 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
G01G13/20
B65G65/32 C
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2021512736
(86)(22)【出願日】2019-09-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-23
(86)【国際出願番号】 IB2019057521
(87)【国際公開番号】W WO2020049513
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2022-05-30
(31)【優先権主張番号】1064/18
(32)【優先日】2018-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(31)【優先権主張番号】1566/18
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(31)【優先権主張番号】1612/18
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】518330545
【氏名又は名称】ケイ-トロン テクノロジーズ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】K-TRON TECHNOLOGIES, INC.
【住所又は居所原語表記】590 Woodbury Glassboro Rd.,Sewell,NJ 08080 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100194113
【弁理士】
【氏名又は名称】八木田 智
(72)【発明者】
【氏名】ヘルフェンシュタイン,ウルス
(72)【発明者】
【氏名】ルデシャー,シュテファン
【審査官】續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-301560(JP,A)
【文献】特開平10-279957(JP,A)
【文献】特開2005-327118(JP,A)
【文献】米国特許第03164217(US,A)
【文献】特開昭63-065322(JP,A)
【文献】特開2010-107472(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1665079(KR,B1)
【文献】特開2014-088528(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 13/20
B65G 65/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵ホッパ(4)及びそれに接続される再充填コンテナ(3)を有する再充填ステーション(2)を備えたバルク材料の計量分配ユニット(1)の質量流量決定方法であって、
計量分配ユニット(1)が、出力コンベアを介して重量式計量排出するための重量式ロードセル(11)を備え、再充填コンテナ(3)が、貯蔵ホッパ(4)にバルク材料を低充填レベルから充填状態まで定期的に補充し、かつ、排出される再充填量のパラメータのためのセンサを備え、
出力コンベアが、再充填中に体積制御モデルで作動される
質量流量決定方法において、
再充填中に貯蔵ホッパ(4)に加えられるバルク材料の重量が、最充填ステーションから出力される再充填量用センサからのデータに基づいて計算され、貯蔵ホッパ(4)の再充填によって生じる貯蔵ホッパ(4)におけるバルク材料の重量が決定され、
再充填中に排出される実際のバルク材料流量が、これらの重量の差から計算され、
さらに、目標バルク材料流量と実際のバルク材料流量から体積制御モデル用の補正係数を生成し、その質量流量を調整するために、前記体積制御モデルに適用する
ことを特徴とするバルク材料の計量分配ユニットの質量流量決定方法。
【請求項2】
再充填中、実際のバルク材料流量を決定し、及び/又は補正係数を少なくとも一回生成し、
その都度決定された補正係数を、リアルタイムで体積制御モデルに適用する
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも一つの重量式ロードセル(11)によって登録された貯蔵ホッパ(4)内のバルク材料の重量の増加及び再充填コンテナ(3)の重量の減少としての再充填されたバルク材料の重量が、実際のバルク材料流量を計算するために、同時に、又は時間オフセットを伴って処理され
ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項4】
再充填中の貯蔵ホッパ(4)内のバルク材料の重量の増加が、外乱を考慮して調整されたバルク材料重量に基づいて計算される
ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項5】
調整されたバルク材料の重量が、貯蔵ホッパ(4)内の現在の圧力を用いて計算される
ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項6】
調整されたバルク材料重量が、排出出口(9)の現在の圧力を用いて計算される
ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項7】
調整されたバルク材料重量が、再充填中に、落下するバルク材料の運動量を介して貯蔵ホッパ(4)に及ぼされる力を使用して計算される
ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項8】
調整されるバルク材料重量が、少なくとも一つの重量測定用ロードセル(11)の振動特性を用いて計算される
ことを特徴とする請求項4又は7に記載の方法。
【請求項9】
実際のバルク材料流量及び/又は補正係数が決定され、再充填後の次の再充填のために、次の再充填の前に体積制御モデルに適用され
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
体積制御モデルが、目標質量流量に対する所定の値を介して、出力コンベアによって生成される質量流量を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
また、体積制御モデルが、貯蔵ホッパ(4)が空にされている間のバルク材料の圧縮に関するデータを用いて出力コンベアによって生成される質量流量を制御する
ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項12】
計量された量で分配されるバルク材料用の貯蔵ホッパ(4)と、
それに接続され、貯蔵ホッパ(4)に再充填量のバルク材料を補充するように設計され、かつ、再充填量のパラメータのためのセンサを備え、貯蔵ホッパ(4)に機能的に接続された少なくとも一つの重量式ロードセル(11)を有する再補充ステーション(2)と、
バルク材料を重量式計量分配するためのバルク材料用出力コンベアと、
再充填段階中に体積制御モデルに従って前記コンベアを作動するよう設計された出力コンベア用コントローラ(10)と
を備えたバルク材料用重量式計量分配ユニットであって、
前記コントローラが、さらに、
再充填量に関連するセンサの信号に基づいて、再充填中に、再充填ステーション(2)から排出されるバルク材料の重量を決定し、
少なくとも一つの重量式ロードセル(11)の重量信号に基づいて、貯蔵ホッパ(4)に現在存在するバルク材料の重量の値を決定し、かつ、
こららの値に基づいて、再充填操作中に計量分配ユニットから排出される実際のバルク材料流量を決定する
ように設計され、
前記コントローラが、さらに、目標バルク材料流量と実際のバルク材料流量との間の差に基づいて体積制御モデルの補正係数を決定し、それを体積制御モデルに適用するよう設計されている
ことを特徴とするバルク材料用重量式計量分配ユニット。
【請求項13】
再充填量のパラメータ用センサが、重力センサ(14)として具現化されえる
ことを特徴とする請求項12に記載の重量式計量分配ユニット。
【請求項14】
貯蔵ホッパ(4)及び/又は出力コンベアの後ろに配置されたバルク材料用の排出出口(9)が、圧力センサ(20,21)を備え、
前記センサ(20,21)が、貯蔵ホッパ(4)の再充填中に圧力変動の信号を生成するよう設計され、
コントローラ(10)が、さらに、圧力変動の信号及び少なくとも一つの重量式ロードセル(11)の信号に基づいて、圧力変動によって調整された、貯蔵ホッパ(4)内に現在存在するバルク材料の重量の値を決めるように設計されている
ことを特徴とする請求項12に記載の重量式計量分配ユニット。
【請求項15】
コントローラ(10)が、貯蔵ホッパ内に落下するバルク材料の運動量によって調整された、貯蔵ホッパ(4)内のバルク材料重量を決定するよう設計されている
ことを特徴とする請求項12に記載の重量式計量分配ユニット。
【請求項16】
コントローラ(10)が、貯蔵ホッパ(4)内に落下するバルク材料の運動量の下で振動する少なくとも一つの重量式ロードセル(11)の動的挙動からの仮想力によって調整された、貯蔵ホッパ(4)内のバルク材料重量を決定する
ことを特徴とする請求項12に記載の重量式計量分配ユニット。
【請求項17】
コントローラ(10)が、さらに、再充填中に複数回、実際のバルク材料流量及び/又は補正係数を決定し、
決定した補正係数を、その値を再充填中に目標バルク材料流量に適用するように、リアルタイムで体積制御モデルに適用する
よう設計されている
ことを特徴とする請求項12に記載の重量式計量分配ユニット。
【請求項18】
コントローラ(10)が、排出される再充填量に関するパラメータ用センサの信号に基づいて、再充填操作中に再充填バルク材料の総重量の値を決定し、
再充填操作に続いて貯蔵ホッパが空にされている間に、少なくとも一つの重量式ロードセル(11)の重量信号から実際のバルク材料流量及び/又は補正係数を決定し、決定した補正係数を次の再充填操作のために体積制御モデルに適用する
ように設計されている
ことを特徴とする請求項12に記載の重量式計量分配ユニット。
【請求項19】
再充填中に周期的に、実際のバルク材料流量を決定し、及び/又は補正係数を少なくとも一回生成する
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項20】
前記時間オフセットが、バルク材料が再充填コンテナ(3)から貯蔵ホッパ(4)内に落下するのにかかる時間に、少なくともほぼ等しい
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項21】
補正係数が、先行する補正係数に基づいて、幾つかの再充填操作の過程に亘って再度決定される
ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に従ったバルク材料用計量分配ユニットの質量流量の制御方法に関し、かつ、請求項12の前文に従った前記方法を実行する計量分配ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
重量式計量分配ユニットは、重量検出式ロードセルとしても公知であり、かつ、重力式計量分配ユニットを多くの材料が通過し得る限り、全ての利用可能な流動性材料、即ち、バルク材料に広く利用され、かつ、多くの業界で使用されている。自由流動性材料は、貯蔵ホッパに注がれた後、出力コンベアを介して計量された量で前記貯蔵ホッパから排出される。重力式計量分配ユニットは、ロードセル上に配置されるため、ロードセルによって記録される重量は、総重量、即ち、計量分配ユニットの構成要素の既知の一定重量(本体重量)に、貯蔵ホッパに現在存在するバルク材料の可変重量(正味重量)を加えた重量である。
【0003】
この方法では、ロードセルは、計量分配ユニットが作動している間、計量分配ユニット全体の減少を連続的に記録し、計量分配ユニットの重量が一定であるため貯蔵ホッパにおける重量の減少も記録する。その結果、計量分配ユニットの制御装置は、重量減少に基づいて、自由流動性材料の実際の排出質量流量を決定し得、かつ、実際の質量流量と目標質量流量との間の差を最小限に抑えるために、所定の目標質量流量と比較して出力コンベアを適切に制御し得る。
【0004】
同時に、例えば、製薬分野では、又は、工業生産において着色顔料を混合する時には、排出される質量流量を非常に正確に制御する必要がある場合がある。さらに、例えば、前述の着色顔料の場合や、医薬品の製造の場合には、目標質量流量は非常に小さい場合があり、また、例えば、プラスチックの製造や採掘の場合のように目標質量流量が大きい場合もある。
【0005】
計量分配ユニットから排出される質量流量が、中断することなく継続する場合は、測定式分配操作の実行中に、貯槽ホッパを定期的に再充填する必要がある。次に、再充填ステーションは、重量分析によって、即ち、貯蔵ホッパにおける重量の減少を介して、ホッパ内で所定の低充填レベルが検知されると直ぐに、貯蔵ホッパにバルク材料を充填し、貯蔵ホッパがその充填重量に達するか、又は、計量された量が貯蔵ホッパに排出され、再充填コンテナの充填レベルによって示されると直ぐに充填を停止する。再充填ステーションは、典型的には、貯蔵ホッパの上に配置され、貯蔵ホッパと充填ステーションとの間のラインにあるスライダ又は他の構造のバルブが再充填のために開閉され得るようにされている。
【0006】
再充填中、ロードセルは、実際の排出質量流量に対応する重量の減少を記録しなくなり、代わりに、重大な外乱によって特徴付けられる重量増加を記録するので、重量分析制御装置はブラインドされる。使用するロードセルの動的挙動に依存して、これらの外乱は、充填操作の終了後、より短い期間又はより長い期間持続し、その結果、重量測定式分配は、再充填捜査が終了した後にロードセルが休止状態に戻った時のみ再開され得る。ブラインド期間は、バルク材料の性質、目標質量流量、並びに使用される計量分配ユニット及び再充填ステーションに依存して、約5秒から最大5分まで続く場合がある。
【0007】
関連技術では、再充填の間、重力分析での計量された量の分配は不可能であるため、容積測定式制御装置が使用され、即ち、搬送するバルク材料の体積を介して出力コンベアが制御されるが、その性質上、バルク材料の密度や圧縮は考慮されない。広く使用されているスクリューコンベアを例にとると、スクリュー速度の制御は、目標流量質量の体積に応じて、即ち、スクリューの巻線間の体積(体積搬送)に応じて調整され、従って、もはや貯蔵ホッパの重量の低減(重量分析)によっては制御されない。
【0008】
体積搬送の欠点は、重量式制御とは異なり、再充填及び計量分配によって置き換えられるバルク材料の流体力学的挙動を捕らえることができないことにあり、即ち、バルク材料の体積制御された質量流量は、スクリューコンベア速度又は出力コンベアの作動速度の単純な制御を除いて、基本的に制御できないことにある。しかし、シフトされるバルク材料の動きは、体積的に作成された質量流量に決定的な影響を及ぼす。例えば、上述したように、様々なものが圧力下で大きく圧縮されるので、その結果、それらの単位体積当たりの質量は、貯蔵ホッパの充填レベルに依存することになり、それにより、体積搬送においては、充填レベルに応じて質量流量が異なることになる。
【0009】
2009年発行のパンフレット「K-Tronスマート再充填技術(K-Tron Smart Refill Technology)」の第2頁の図3「再充填操作のダイナミックス」には、材料カラムの高さ、即ち、貯蔵ホッパの充填レベルに由来するスクリューコンベアのボトム領域におけるバルク材料の圧縮を考慮した出力コンベアの堆積制御モデルが示されている。重量分析搬送中、重量分析コントローラは、高い充填レベル(即ち、バルク材料が圧縮されている時)に、スクリュー速度を下げ、次に、充填レベルが下がるに従って(即ち、圧縮が下がるに従って)速度を再び上げる。この方法では、貯蔵ホッパが空になっている間、スクリュー速度は、各充填レベルに割り当てられ得る。再充填については、再充填ステーションが大量の粉末を貯蔵ホッパに急速に排出する場合、充填レベルの上昇に適した曲線(典型的には直線)が想定され、貯蔵ホッパが空になる時に検出される各スクリュー速度が、この充填レベル曲線に割り当てられ、その結果、スクリュー速度は、貯蔵ホッパが充填されるまで再充填中は、それに応じて低下する。体積搬送中のエラーは、一定のスクリュー速度に関連して、それに応じて減少されるが、再充填中の貯蔵ホッパにおける実際の状態が未だ分からないので、完全には除去されない。
【0010】
同じパンフレットの第4頁の図4「再充填頻度」では、再充填頻度を一時間当たり60回まで増やすことを提案している。これの効果は、個々の再充填時間を短くすることにあり、即ち、体積制御モデルでの操作中の計量分配エラーがそれほど大きくなることがないことにある。一時間当たりの合計再充填時間が、再充填頻度に関係なく一定に維持されると想定できる。しかし、実際には、長時間の再充填操作では、目標量と実際の量との差が徐々に大きくなり、その結果、計量分配エラーが徐々に深刻になる。殆どのアプリケーションでは、より頻繁ではあるが、小さな計量分配エラーは、それらが使用の範囲内に留まるため許容されるが、頻度は少ないが大きな計量分配エラーは、使用の範囲内に収まらず、従って、許容できない値になる。前の貯蔵ホッパの排出サイクルからのデータに基づく圧縮を、高い再充填頻度と組み合わせて考慮する体積制御モデルは、特定の用途のための再充填の間、比較的良好な計量された量の分配を可能にする。しかし、圧縮を考慮に入れる制御モデルの欠点は、再充填中に依然として重大な計量分配エラーが発生すること、即ち、重量分析搬送中に発生するエラーよりも大きな計量分配エラーが発生することにある。この状況における特定の欠点は、計量分配エラー自体がまだ不明であることであるが、エラーの大きさは、より高い再充填頻度の体積制御モデルを使用することで減少され得る。定量化されていない計量分配エラーが存在するだけで、たとえ分配エラー自体は許容され得る場合でも、例えば、医薬品において、又は、色を混合する時に(上記説明を参照)品質の問題が発生する可能性がある。
【0011】
国際特許公開WO2013/182869号の第7頁には、再充填中にデータを保存し、各再充填操作中に同じ量の粉末を貯蔵ホッパに排出し、かつ、前の再充填操作中に保存されたデータに基づいて出力コンベアを動作させることが提案されている。この条件では、同じ再充填条件のために、計量分配ユニットの出口でデータを収集することが可能になり、かつ、それに応じて出力コンベアの速度制御をすることが可能になることが報告されている。しかし、そのようなデータが何であるかについての示唆がなく、そもそも計量分配ユニットの出口でデータを収集し得る方法についての説明もない。さらに、重量分析計量分配の原理は、排出されるバルク材料の流れにおけるスループット率をkg/hで測定することが相当難しいという問題を正確に克服し、このことは、計量分配ユニットの後ろに付加的な測定ステーションを設ける必要があることも意味している。さらにまた、計量分配ユニットの出口でデータを収集することが実際に可能である場合に、その後の再充填に対する制御モデルをどのように設計する必要があるかが未だ不明である。
【0012】
従って、本発明は、再充填中の計量分配エラーの検出を可能にするバルク材料用計量分配ユニットを提供することを目的としている。
【0013】
この目的は、請求項1の特徴部分を有する方法又は請求項14の特徴部分を有する計量分配ユニットによって達成される。
【0014】
貯蔵ホッパの再充填中に排出されたバルク材料の重量は、再充填ステーションで捕捉されるので、再充填中に計量分配ユニットにおいて発生する外乱とは無関係に測定することができる。再充填中の貯蔵ホッパにおけるバルク材料の重量の増加が測定されるので、再充填するバルク材料の重量との差から出力コンベアを通過したバルク材料の重量の実際の質量流量を計算することが可能になる。これは、貯蔵ホッパにおけるバルク材料の重量の増加の測定を必要とするだけなので、再充填中に発生するこの測定に関連する実質的な外乱に対して、以下に説明する適切な補償を行うことを可能にする。
【0015】
請求項2及び15による本発明の別の実施例では、対象物の限界を超えて、ホッパを再充填している間の実際の排出質量流量の制御をさらに可能にするバルク材料用計量分配ユニットが提供される。従って、計量分配ユニットには、再充填段階の間でさえ排出されるバルク材料の量を制御するコントローラが設けられ、選択的に、(コントローラによって最小限に抑えられる)計量分配エラーも制御と同様に出力され得る。
【0016】
さらに、好ましい実施形態は、従属項の特徴部分を含む。
【0017】
以下の説明において、本発明は、図面を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る計量分配ユニットの概略図である。
図2a】再充填中に図1の計量分配ユニットから排出される質量流量における分配エラーを測定するためのフローチャートである。
図2b】再充填中に図1の計量分配ユニットから排出される質量流量を制御するためのフローチャートである。
図3図1の計量分配ユニットの貯蔵ホッパにおけるバルク材料の調整済重量を計算するためのフローチャートである。
図4図1の計量分配ユニットの貯蔵ホッパで増加した重量の時間オフセットを測定するための図を示している。
図5図1の計量分配ユニットから再充填中に排出される質量流量の制御の別の実施例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、再充填ステーション2を備えた本発明による計量分配ユニット1の概略図を示している。再充填ステーション2は、計量された量で移送及び分配されるべきバルク材料用の再充填コンテナ3を含む。計量分配ユニット1は、バルク材料用の貯蔵ホッパ4と、バルク材料用出力コンベア(この実施例ではスクリューコンベア)とを有する。前記コンベアは、図1では断面図で示されており、そのためコンベアスクリュー6が見えている。ディスクコンベアや振動コンベアのような他の出力コンベアも本発明の範囲内にあることは留意されるべきである。
【0020】
バルク材料は、再充填コンテナ3と貯蔵ホッパ4との間の接続ダクト7を介して再充填され、次いで、モータ8によって駆動されるスクリューコンベア6によって排出出口9を介して均一に計量された質量流量で排出され得る。この目的のために、モータ8は、コントローラ10を用いて制御される。このコントローラ10は、必ずしも、計量分配ユニット1に配置する必要はなく、生産ラインの何処に配置してもよく、例えば、ラインコントローラと一緒に配置してもよい。コントローラと計量分配ユニット1及び再充填ステーション2の関連部品との間を通る、コントローラの動作に必要なデータラインは、図中から不必要な詳細部分を削除するために省略されている。
【0021】
計量分配ユニット1は、生産ラインのフレーム13における支持ビーム12に沿って配置された複数の重量測定式(即ち、重量測定による計量分配のために設計された)ロードセル11(但し、一つの重量測定式ロードセルのみを設けることも可能である)に基づいている。ここで示した実施形態では、本発明によれば、再充填コンテナ3は、フレーム13に配置された再充填用ロードセル14に基づいている。図示実施形態では、接続ダクト7は、貯蔵ホッパ4を再充填するために開くことができ、かつ、ホッパが空にされる間は閉じたままであるスライダ15を備えている。ロータリバルブのような他の閉鎖要素を設けてもよい。また、ベローズ16が設けられており、該ベローズ16は、貯蔵ホッパ4(及びそれに伴って計量分配ユニット1)を、再充填ステーション2から機械的に切り離し、それにより、重量測定式ロードセル11が計量分配ユニット1の重量のみを検出するようになっている。このようなベローズ16は、均一に分配されるバルク材料の質量流量を先に運ぶライン9の前にも設けられている。
【0022】
上述したこの配置構造は、当業者には原理的に公知であり、それが機能する二つの動作モードも同様である。第一の重力測定動作モードでは、貯蔵ホッパが空にされ、(計量分配ユニット1自体の重量は一定であるため)計量分配ユニット1による重量損失が、バルク材料の実際の質量流量に対応しており、コントローラ10における重量測定制御モデルが、目標質量流量に関してスクリューコンベア6の送出出力を調整する。次いで、体積測定式動作モードでは、重量測定式制御ブラインドで貯蔵ホッパが再充填される。その後、体積測定式制御モデルが、閉ループ制御を引き継ぎ、これは、上述したように、好ましくは、重力測定式動作中のフィードバック制御データに基づいているが、前述したように、制御不可能な実際の質量流量は、重力測定モードの場合よりも、充填中に目標質量流量からより大きな偏差を示すことになる。
【0023】
図1には、さらに、貯蔵ホッパ4の内部圧力を測定するための圧力センサ20が示されている。多かれ少なかれ一度に行われる貯蔵ホッパの再充填中、それに応じて内部の気圧が上昇することになる。再充填後に重力測定操作を再開する場合、貯蔵ホッパ4が外部環境に開放されていない閉システムでは、圧力が一時的に上昇したままになる。これは、貯蔵ホッパ4と再充填コンテナ3との間に過圧流路が設けられている場合に、このような通路(又は通路の上流側のライン)が、しばしば膨張容器の機能を果たすことができないので、よく見られる現象である。これは、体積測定モードから重量測定モードに切り替わる時に、重量測定式ロードセル11によって登録された重量が、貯蔵ホッパ4に存在するバルク材料に対応する値より依然として大きいことを意味する。この理由は、再充填ステーション2のスライダ15が、再充填コンテナ3の上方のフレーム13に(必然的に)吊り下げられているためであり、その結果、接続ダクト7の断面積と現在優勢な過圧との積が、重量式ロードセル11に付加的な歪み力を返すことになる。当業者は、重力測定モードの開始時に、圧力センサ20を介して、貯蔵ホッパ4内の上昇した空気圧を検出しなければならず、これにより、誤った重量測定投薬を回避することができることを認識している。
【0024】
また、排出口22には圧力センサ21が示されており、これにより、排出口の圧力変動が捕捉され、貯蔵ホッパ4内の圧力変動と同様の方法でコントローラ10によって処理され得る。
【0025】
出願人は、貯蔵ホッパ4における圧力変動に加えて、再充填中にさらなる外乱が発生し、それらが再充填中に排出される質量流量に悪影響を与えることを知見した。
【0026】
これらの更なる外乱には、例えば、再充填コンテナ3の高さから貯蔵ホッパ4の底部に落下するバルク材料の運動量が含まれ、この外乱には、様々な種類がある。第一に、前記運動量により、貯蔵ホッパ4に、重力測定ロードセルによって重量として検知され得る力が生じ(運動量による重量)、その結果、コントローラ10は、貯蔵ホッパ4内の不正確なバルク材料の質量を検知することになる。第二に、落下したバルク材料の下に位置するバルク材料が、前記運動量によってさらに圧縮され、即ち、充填レベルに対応する圧縮よりも大きく圧縮されることになる(運動量による圧縮)。第三に、前記運動量によって、バルク材料は回転スクリュー(又は、異なる構造の出力コンベア)を介して、搬送方向により高い速度で動かされることがある(運動量による搬送速度の増加)。逆に、バルク材料が貯蔵ホッパ4に落下する際に乱流を発生させ、それによって運動量が変化し、貯蔵ホッパ4内のバルク材料が流動化することも起こり得る(流動化による送出速度の低下)。最後に、バルク材料の短時間のブリッジ形成は、貯蔵ホッパ4と再充填コンテナ3との両方で、再充填操作がまだ進行中である間に発生する可能性があり、それによって、最初にブリッジが形成され、次にブリッジが崩壊するときに、再充填量に影響を与えることになる(不正確な材料の流れによる送出率の変化)。
【0027】
材料にもよるが、これらの外乱はすべて再充填段階で、即ち、再充填期間全体を通して発生し、それらは、同じ強さの場合も異なる強さの場合もあり、単独で発生する場合も、組み合わせて発生する場合もあり、その場合、これらの外乱は断続的に強め合ったり、部分的に打ち消し合ったりし得る。周囲の環境は、これらの外乱、例えば温度、気圧、大気湿度に影響を与える可能性があり、その結果、例えば一日のうちの異なる時間帯にバルク材の計測された質量流量のさらなるドリフトが発生することがある。
【0028】
本明細書においては、図1における本発明の実施形態は、ロードセル14として具現化された、再充填ステーション2の排出される再充填質量に対するパラメータのためのセンサを備えていることが示されている。再充填コンテナ3は、再充填用ロードセル14上に支持されている。これらのロードセル14は、再充填動作のために貯蔵ホッパ4に排出されるバルク材料の総重量を測定することを可能にするだけでなく、再充填動作自体の間のバルク材料の質量流量を測定するようにも機能する。出願人は、本明細書で後に詳細に説明するように、再充填動作中に、貯蔵ホッパ4内に排出されるバルク材料重量ではなく、再充填コンテナ3から排出されるバルク材料重量を捕捉することで、再充填中に貯蔵ホッパ4において生じる外乱を捕捉し、それを除去するか又は、計算的に大幅に削減することができることを見出した。
【0029】
その結果、本発明による重力測定式計量分配ユニットは、
計量された量で分配されるべきバルク材料用の貯蔵ホッパと、
それに接続され、貯蔵ホッパを再び満たす再充填量でバルク材料を再充填するように設計され、かつ、再充填量のパラメータのためのセンサを備え、前記センサが、少なくとも一つのロードセルを有し、前記ロードセルが、貯蔵ホッパに機能的に接続された再充填ステーションと、
バルク材料を重量測定計量分配するためのバルク材料用出力コンベアとを有し、
かつ、再充填段階の間、体積制御モデルに従って前記コンベアを作動させるよう設計された出力コンベア用コントローラを備えた
重力測定式計量分配ユニットであって、
前記コントローラが、さらに、
再充填量に関連するセンサの信号に基づいて、再充填中に再充填ステーションから排出されるバルク材料の重力を決定し、
少なくとも一つの重量測定ロードセルからの重量信号に基づいて貯蔵ホッパに現在存在するバルク材料の重量の値を決定し、かつ、
そこからの実際のバルク材料流量を計算する
よう設計されている。
【0030】
本発明によるさらに別の実施形態では、コントローラは、目標バルク材料流量と実際のバルク材料流量との間の差から体積制御モデルの補正係数を決定し、その計数を制御モデルに適用するように設計されている。
【0031】
図2aは、本発明に従って、貯蔵ホッパ4に再充填している間に、計量分配ユニット1(図1)から排出される質量流量における分配エラーを決定するためのフローチャートである。
【0032】
ステップ30では、例えば、ロードセル11からの重量信号が、貯蔵ホッパ4のより低い充填レベルに対応する時に、コントローラ10によって再充填が開示される。これにより、ステップ31において、コントローラ10は、コントローラに記憶されている前述した体積制御モデルに切り替え、この実施例ではスライダ15として具現化された補充ダクト7を開き、補充質量流量のバルク材料を充填コンテナに流入させる。充填ロードセル14は、これに対応して、充填コンテナ3の重量の減少を登録し、そこからステップ32において、コントローラ10は、貯蔵ホッパ4に排出されたバルク材料の質量を決定する。
【0033】
本発明によれば、コントローラ10は、その後、重量式ロードセル11の受領信号をさらに処理するが、これらの信号は、充填中に発生する外乱のために著しく歪んでおり、即ち、これらの信号は、貯蔵ホッパ4内に存在するバルク材料をもはや正確には反映していない。従って、ステップ33では、外乱を補正した後に、貯蔵ホッパ4内に存在するバルク材料の質量を決定しなければならない(この点については、図3の説明も参照)。
【0034】
(真の又はほぼ真の)貯蔵ホッパ4に存在するバルク材料の重量及び再充填バルク材料の重量を、(ロードセル11及び14から)何時でも既知であれば、(先の時点でこれらの重量を比較した)これらの重量の差は、出力コンベアを介して排出されるバルク材料の重量に対応する。ステップ34では、経時的な排出が、再補充質量流量、貯蔵ホッパ4内のバルク材料の質量流量の変化、及び計量分配ユニット1によって排出されるバルク材料の実際の質量流量を返す。
【0035】
バルク材料の実際の質量流量のデータは、コントローラのデータメモリに記憶されてもよく、又は、ラインコントローラ若しくは進行中の計量分配用データをさらに処理する別の要素に、リアルタイムで出力されてもよい。このデータは、先に説明したように、特にデリケートな生産(医薬品やその他の応用物等)において非常に重要な意味を持ち、再充填中に「死角」のない計量分配の切れ目ないトレイサビリティを保証する。
【0036】
この時点で、最も単純な構造では、体積制御モデルが、目標質量流量の所定の値と、モータ8(及び様々な構造の出力コンベア用駆動ユニット)のため単純で一定の調整変数を含んでいるだけであり、それにより、目標質量流量の所定の値を用いて出力コンベアによって生成される質量を制御することに留意すべきである。しかし、それはまた、例えば、先に説明したように、例えば、先行する重力測定の空にする動作の間(又は、別の適切な原理に従って空にする動作の間)、再充填期間にわたって所定の方法で変化する調整変数を含むこともできる。そして、それはまた、貯蔵ホッパが空にされている間のバルク材料の圧縮に関するデータに基づいて、出力コンベアによって生成される質量流量も制御する。
【0037】
次いで、ステップ36では、コントローラ10は、実際の質量流量が目標質量流量に少なくとも近似するか又は実質的に等しくなるように、実際の質量流量を使用して、体積モデルのための現在の補正係数を生成すると共に、従って、調整変数のための現在の補正係数も生成する。
【0038】
ステップ36では、コントローラ10は、例えば、再充填バルク材料の質量(ロードセル14)又は外乱を補償するために調整されたバルク材料重量(ロードセル11)を使用して、貯蔵ホッパに目標再充填量のバルク材料が含まれているか否かを確認し、その結果が真であれば、ステップ37において再充填動作を終了し、即ち、重量測定モードに切り替え、また、その結果が真でなければ、ステップ31に戻り再充填動作を継続する。
【0039】
本発明によれば、計量分配ユニットからの再充填中に排出される質量流量を重量測定するシステムであって、
前記計量分配ユニットが、貯蔵ホッパ及びそれに接続され、出力コンベアを介して重量測定式計量分配をするよう設計された再充填ステーションを備え、再充填コンテナが、貯蔵ホッパにバルク材料を低い充填レベル状態から充填状態へ定期的に補充し、排出される再充填量に関連付けられたパラメータ用のセンサを備え、出力コンベアが、再充填中に体積制御モデルによって動作され、
その再充填中に貯蔵ホッパに加えられるバルク材料の重量が、再充填ステーションから排出される再充填量用のセンサのデータに基づいて決定され、貯蔵ホッパの再充填中に発生する貯蔵ホッパにおけるバルク材料重量の増加を決定し、再充填中に排出されるバルク材料の実際の流量を、前記二つの重量の差から算出するように構成されたシステムが提供される。
【0040】
図2bは、再充填中に図1の計量分配ユニットから排出される質量流量を調整するための、本発明による別の実施形態のフローチャートを示しており、この調整は、図2aのフローチャートによる実際のバルク材料流量の決定に基づいて行われる。
【0041】
その後、ステップ35において、コントローラ10は、ステップ34による実際の質量流量(この点に関しては図2aも参照)に基づいて体積制御モデル用の現在の補正係数を追加的に生成し、従って、実際の質量流量が目標質量流量と実質的に等しくない場合に、実際の質量流量を少なくとも目標質量流量のの値に近づけるような方法で調整変数用の現在の補正係数も生成する。
【0042】
この方法では、好ましくは、体積制御モデルの補正係数は、目標バルク材料流量と、実際のバルク材料流量との間の差から生成され、補正係数は、質量流量をさらに調整するために体積制御モデルに適用される。この状況においては、勿論、再充填中の分配のトレイサビリティを可能にするために、実際のバルク材料の質量又は実際の質量流量のためのデータが残っており、同時に、再充填中に(定量化及びトレイサビリティが可能な)計量分配エラー自体が最小限化されることが特に有利である。
【0043】
図2a又は図2bによるフローチャートは、好ましくは、再充填中に少なくとも一回、好ましくは複数回繰り返され、その結果、実際のバルク材料流量は、繰り返し決定され、及び/又は補正係数が繰り返し生成され、かつ、その後、リアルタイムで体積制御モデルに適用され得る。当業者は、特定のアプリケーションに応じてこのパスのサイクルタイムを決定することができ、従って、再充填中の制御の制度を微調整することができ、他の可能な応用の中でも、分配すべき材料の特性に適合させることができる。従って、重力測定式計量分配ユニットは、好ましくは、実際のバルク材料流量(図2aによるフローチャート)及び/又は補正係数(図2bによるフローチャート)を繰り返し決定するよう設計され、補正係数は、その都度計算され、その値が再充填の進行に伴って目標バルク材料流量に適合されるように、再充填中にリアルタイムで体積制御モデルに適用される。勿論、前述したように、バルク材料流量が再充填中に調整される場合でも、計量分配エラーを定量的に把握して、同時に出力することができる。
【0044】
図3は、外乱を考慮して貯蔵ホッパにおけるバルク材料重量を決定するためのフローチャートであり、即ち、図2におけるステップ33に相当するものである。これにより、体積制御モデルの調整変数である補正係数を用いて、計量分配ユニットから排出される質量流量に対する上記外乱の影響を少なくとも低減又は実質的に排除することができる。
【0045】
その結果、外乱が除去されたバルク材料重量を用いて、再充填中に貯蔵ホッパにおけるバルク材料重量の増加が計算される。
【0046】
図3は、特定の外乱によって歪んでいるが、重量測定式ロードセル11(図1)によって検出された貯蔵ホッパ4に存在するバルク材料の重量の調整を、計量式ディスペンサ1(図1)のコントローラ10が、各場合に他のブランチ40~42とは独立して、実行する三つのブランチ40~42を示している。
【0047】
各ブランチ40~42は、コントローラ10が再充填動作を開始すると直ぐにステップ30で始まり、貯蔵ホッパ4が満杯になると直ぐにステップ38で終了する。各ブランチでは、ステップ43に従って、重量測定式ロードセル11の重量信号が、再充填中にコントローラ10によって収集され、外乱が除去された重量を決定するために使用される。
【0048】
ブランチ40では、重量式ロードセル11によって重量として検出され、再充填するバルク材料の運動量によって生じ、貯蔵ホッパに作用する力を、ステップ45において決定する。この目的のために、再充填ダクト7及び貯蔵ホッパ4の形状、並びにバルク材料の落下高さがコントローラ10に記憶され得る。コントローラ10は、再充填コンテナ3の重量の減少を決定し得、かつ、それに基づいて、再充填ロードセル14の信号から貯蔵ホッパ4内に落ちるバルク材料の質量流量を決定し得る。落下高さ及び質量流量は、運動量(又は運動量流)を決め、かつ、それから時間の経過と共に前記運動量に起因して重量式ロードセル11に作用する力を決めるために使用され得、前記力は、重量式ロードセルによって検出される重量の必要な成分を生成する。ステップ46では、この力が、検知された重量から差し引かれ、コントローラに、運動量の要因が取り除かれた重量として保存される。その結果、バルク材料重量は、好ましくは、再充填中に落下するバルク材料の運動量によって調整された貯蔵ホッパに及ぼされる力から計算され、重量式計量分配ユニットのコントローラは、好ましくは、貯蔵ホッパに落下するバルク材料の運動量によって調整される貯蔵ホッパにおけるバルク材料重量を決定するよう設計される。再充填ロードセル14からの信号は、例えば、再充填スクリューコンベアによって引き起こされる僅かな脈動を示し得ることに留意すべきである。この脈動は、添加される粉末の自由落下によって平滑化される。その後、対応する均等化(おそらく、実験的に計算されたもの)が、コントローラ10でリアルタイムに想定され得、その結果、貯蔵ホッパに実際に供給されるバルク材料の量が非常に正確に把握される。
【0049】
ブランチ41では、貯蔵ホッパ4における現在の過圧が捕捉され、これにより、ステップ47において、コントローラ10は、貯蔵ホッパ4及びそこに格納された再充填ダクト7の形状を使用して、ロードセル11が過圧によって晒される力を決定する。ステップ48では、この力が、検出された重量から差し引かれ、加圧の要因が除去された重量としてコントローラに記憶される。これは、好ましくは、出力ラインにおいて過圧が除去された重量に対しても同様に行われる。その結果、調整されたバルク材料重量は、貯蔵ホッパ内に現在存在する圧力を用いて計算されることになる。
【0050】
これにより、好ましくは、貯蔵ホッパ及び/又は出力コンベアの後ろに配置されたバルク材料用排出出口に、貯蔵ホッパを再充填している間、圧力変動信号を生成するように設計された圧力センサが設けられ、コントローラが、さらに、圧力変動の信号及びロードセルからの信号に基づいて圧力変動を考慮して調整された貯蔵ホッパ内に現在存在するバルク材料の重量の値を決定するように設計されている重量測定式計量分配ユニットが形成される。
【0051】
ブランチ42では、ステップにおいて、重量式ロードセル11の動的挙動が、それらのロードセルによって検知された重量に関して把握される。再充填される材料によって発生する運動量が、ロードセル11(計量分配ユニット1の構造に応じて、単一又は複数の重量式ロードセルが関与する場合がある)のばね剛性、計量システムの衝撃吸収性及び総計量質量(ロードセルの計量部、計量分配ユニット、バルク材料及び運動量によってロードセルに及ぼされる力の総計量質量)によって振動させられるので、振動するロードセルの動的挙動から仮想敵な力が発生し、これがさらなる外乱となって、貯蔵ホッパ4内のバルク材料の検出重量を歪ませる。
【0052】
運動量によって生じる力は、ブランチ40におけるステップ45に従って計算され得る。ロードセル11の計量部の質量、計量システムの減衰及びそのばね剛性は、ロードセル11が既知であるか、若しくは、これらのパラメータが校正機能を使用して決定され得るので、又は、ロードセルの挙動を単に再充填に基づいて実験的に決定することができるので、当業者がそれぞれの特定のケースについて決定することができるパラメータである。これらのパラメータを用いて、当業者は、再充填中のロードセルの振動と、その結果として生じる仮想力を計算し、コントローラ10に記憶させることができる。次いで、現在の重量信号が、仮想力を排除するように調整され、ステップ50に従って仮想セルの動的挙動を補償するように調整がされた重量としてコントローラ10に記憶される。従って、調整済バルク材料重量は、少なくとも一つの重量式ロードセルの振動特性を利用して計算される。ここで、重量式計量分配ユニットのコントローラは、より好ましくは、貯蔵ホッパ内に落下するバルク材料の運動量に起因して振動する少なくとも一つの重量式ロードセルの動的挙動による仮想力を除去するように調整がされた貯蔵ホッパ内のバルク材料重量を決定するよう設計される。
【0053】
ロードセルの動的挙動の影響は主としてそのばね剛性に依存するものであり、補充材料の特性と、重量式ロードセルの共振周波数に応じて、当業者は、例えば、高い共振周波数を有する非常に剛性の高いロードセルを使用し、再充填中に材料が旋回して、低衝撃の運動量を発生させる場合等の特定の場合には、動的挙動を排除するために調整された重量を決定する必要がないことに留意すべきである。
【0054】
この時点で、勿論、ブランチ40及び41において説明した外乱と、ブランチ40~42の全てによる外乱とは、同時に捕捉され得、貯蔵ホッパ内のバルク材料の調整された重量は、ステップ45,47、選択的にステップ49の結果から直接計算され得ることが指摘される。
【0055】
図4は、再充填中の再充填コンテナ3と貯蔵ホッパ4との間のバルク材料の分布を示すグラフ55を示している。横軸に時間がプロットされ、グラフ中、tは再充填動作の開始を、tは再充填動作の終了を示している。バルク材料の質量Mは、縦軸にプロットされている。
【0056】
曲線Mは、再充填コンテナ3内のバルク材料の質量を表しており、これは、再充填ロードセル14によって検知された重量に対応している。曲線Mは、貯蔵ホッパ4内のバルク材料の質量を表しており、これは、その真の重量に対応している。
【0057】
時間Tで再充填が開始されると、バルク材料が接続ダクト7を通って落下するため再充填コンテナの質量は直ちに減少する。しかし、貯蔵ホッパにおける質量は、バルク材料が落下する時間は変動せず、それは、時間Tb+Fallまで、即ち、落下するバルク材料が貯蔵ホッパの下側の充填レベルに達するまで、増加し始めない。その後、貯蔵ホッパ内の質量は、時間tで再充填動作が終了した後に短時間、具体的には、時間Te+Fallまで増加し続ける。この説明では、第二の時間間隔T=t-te+Fallは、第一の時間間隔T=t-tb+Fallよりも小さい。これは、上側充填レベルまでの落下高さが、再充填操作後は小さくなっているからである。
【0058】
曲線Dは、再充填コンテナ3内の質量と貯蔵ホッパ4内の質量との間の差、即ち、M-Mを示している。これは、これらの容器間の質量の単純な交換であるため、この差は、実質的に一定であり、値Dを有するべきである。従って、第一時間間隔Tにおける曲線Dの、値Dより大きな値へのジャンプは、セクションT及び時間間隔Tにおけるジャンプの間と同様に、バルク材料の質量が自由落下していることを示している。
【0059】
図2のステップ34では、コントローラ10は、再充填コンテナ3から排出されたバルク材料の重量と、重量式ロードセル11によって検知される重量に基づいて貯蔵ホッパ3における外乱を除去するように調整されたバルク材料の重量との差を発生させることで、再充填中に計量分配ユニットによって排出された実際の質量流量を決めている。グラフ55によれば、時間間隔T+T+T=Te+Fall-tにおいて決定された実際の質量流量は、系統誤差F=D-Dを含んでいる。これにより、時間に応じて推算された誤った質量流量Fによって大きすぎる実際の質量流量が計算され、それに応じて誤った補正係数が返される。このエラーは、特定の場合を考慮することができるが、好ましくは、当業者は、再充填コンテナ3によって排出される質量の値(曲線M)が、時間間隔Tbにおいて時間Trだけ右にシフトするように(曲線MNr参照)図2のステップ34のアルゴリズムを修正し、その結果、統計的エラーFを低減又は消去させることができる。時間Tは、再充填ロードセル14の検知重量p及び(運動量により重量が急激に増加する)重量式ロードセル11の検知重量から得られるか、又は、所定の場合に使用される形状に応じて落下高さから推測される。時間Tについても同様である。
【0060】
その結果、少なくとも一つの重量式ロードセルによって登録された、貯蔵ホッパ内のバルク材料の重量の増加及び再充填コンテナ内の重量の減少としての再充填バルク材料の重量は、実際のバルク材料流量の計算のために、同時に又は時間的オフセットを伴って処理され、ここで、時間的オフセットは、好ましくは、再充填コンテかから貯蔵ホッパ内へのバルク材料の落下時間にほぼ対応する。
【0061】
図5は、本発明の別の実施形態のフローチャートを示している。第一セクションAでは、計量分配ユニット1(図1)は、第一再充填処理のための体積制御モデルに従って従来通りに動作し(ステップ30)、次いで、体積制御モデルの第一補正係数が決められる。セクションBでは、その再充填特性が良好に再現できる材料の場合には、再充填中に排出される実際の質量流量の平均が、目標質量流量に近似又は実質的に等しくなるまで、先行する再充填処理に基づいて、補正係数は段階的に改善される。
【0062】
ステップ30(セクションA)では、第一再充填処理が開始され、ステップ60に従って、体積制御モデルのみで進行する。しかし、ステップ61では、本発明によれば、再充填バルク材料の質量は、再充填ロードセル14を用いて決められ、コントローラ10に保存される。再充填後、コントローラ10は、計量分配ユニット1を重量測定モードに切り替える(ステップ62参照)。
【0063】
ロードセルが安定した状態になると直ぐに、再充填中に排出された平均値が、ステップ63に従って決められ、排出された実際の重量質量流量が、貯蔵ホッパ4内のバルク材料の真の現在の重量と同様に、重量測定モードで確実に決められ得る。再充填中に排出されたバルク材料の真の質量は、充填時間と、再充填されたバルク材料と、重量測定モードの開始時の真の質量との差に基づいて、再充填中の実際の再充填質量流量の平均値に追従する。重量測定処理モード中の条件は既知(実際の質量流量)であるので、実際の再充填質量流量の平均は、次の充填処理の前に、コントローラ10によって計算され得る。その結果、再充填中に排出される実際の質量流量は、本発明によれば、再充填中の平均としてのみ明確に利用可能であるが、定量的な値として利用可能であり、これは、所定の状況では、生産ラインの品質保証要件を満たすのに十分であり得る。
【0064】
ステップ64では、コントローラは、目標質量流量と平均再充填質量流量との間の差から体積式制御モデル用の補正係数を計算する。
【0065】
セクションBでは、このサイクルが繰り返されるが、ステップ65によれば、補正係数で補正された体積制御モデルが、再充填中に適用されるという違いがある。計量分配ユニット1が再び重量測定モードで動作された後(ステップ67)、システムは、動作を継続すべきか否かを問合せ(ステップ68)、応答がNOであれば、ステップ69で停止され、応答がYESであれば、実際の再充填質量流量がステップ70で再び決められる。
【0066】
従って、実際のバルク材料流量及び/又は補正係数は、一回の再充填処理の後、次の再充填処理の前に、体積制御モデルに適用される補正係数の場合、及び次の再充填処理のために決められ、ここで、補正係数は、好ましくは、複数の再充填処理の過程で先行する補正係数に基づいて再計算され、重量測定式計量分配ユニットのコントローラは、さらに好ましくは、貯蔵ホッパが、それが再充填された後に空にされている間に、再充填処理中に再充填されたバルク材料全体の重量の値を、再充填量用のセンサの信号から決定し、かつ、実際のバルク材料流量及び/又は補正係数を少なくとも一つの重量式ロードセルの重量信号から決定し、決定された補正係数の場合には、次の再充填処理のために、体積測定制御モデルにこれを適用するように設計される。
【0067】
本発明によれば、運動量に起因する貯蔵ホッパ内のバルク材料の付加的な圧縮又は流動化のような別の外乱が検出され、それが補償され得る。付加的な圧縮が発生した場合、実際の質量流量は、大きくなりすぎ、流動化が発生した場合、実際の質量流量は小さくなりすぎる。両方のケースは、図2のステップ34において検出され、質量流量は、ステップ35に従ってリアルタイムで適切に調整される。同様のことが、図5のステップ63,64及び70に従って、平均的な実際の排出質量流量に関しても適用される。
【0068】
これは、実際の質量流量が、短時間の望ましくないスパイクを示すことになる、運動量によってバルク材料が出力コンベアを介して駆動される場合にも同様に適用される。当業者は、コントローラが顕著なスパイクを認識し、リアルタイムに、又はそれに対応して平均的に質量流量を調整し、かつ、スパイクの時間と大きさを捕捉して保存するよう指示することができる。体積制御モデルは、補正係数の他に、予め設定された時点で、実際の質量流量を所定の量だけ下方に調整する初期設定の変更を含み得る。本発明によれば、架橋現象による外乱もまた、架橋が形成されている間だけでなく、架橋が崩壊している間も、捕捉及び修正される。架橋の崩壊は、再充填された材料からの運動量と同様の運動量を生じさせることになる。
【0069】
図1では、再充填中に再充填コンテナ3から貯蔵ホッパ4に排出されたバルク材料の質量は、一つ又は複数の再充填ロードセル14によって検出され、ここで、再充填ロードセル14は、排出された再充填量のパラメータ用のセンサとして機能する。また、再充填コンテナ3の充填レベルは、再充填ロードセル14の代わりに、この目的を果たすことができ、例えば、実験から、再充填コンテナ内のバルク材料の圧縮を既知として、充填レベルセンサを用いて捕捉され得る。また、当業者は、バルク材料の貯蔵ホッパへの迅速だがなお計量された排出を達成するために、スライダ15(図1)の代わりにロータリバルブを設けることもできる。最後に、計量分配ユニットのカスケードを提供することも考えられ、この場合、再充填計量分配ユニットは、図1に表されているように、正確に構成され得るが、比較的大きな変位容量も有する。ロータリバルブ又は再充填分配ユニット等の供給出力は、排出される再充填量のパラメータを表し、再充填ロードセル14からの重量信号と同様の方法でコントローラによって処理され得る。
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5