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特許7432589エネルギー供給システムの技術的サイジングパラメータを提供するコンピュータ実施方法、そのような技術的サイジングパラメータを提供するためのコンピュータプログラム製品、及びそのようなエネルギー供給システムを提供するためのコンピュータシステム
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  • 特許-エネルギー供給システムの技術的サイジングパラメータを提供するコンピュータ実施方法、そのような技術的サイジングパラメータを提供するためのコンピュータプログラム製品、及びそのようなエネルギー供給システムを提供するためのコンピュータシステム 図1
  • 特許-エネルギー供給システムの技術的サイジングパラメータを提供するコンピュータ実施方法、そのような技術的サイジングパラメータを提供するためのコンピュータプログラム製品、及びそのようなエネルギー供給システムを提供するためのコンピュータシステム 図2
  • 特許-エネルギー供給システムの技術的サイジングパラメータを提供するコンピュータ実施方法、そのような技術的サイジングパラメータを提供するためのコンピュータプログラム製品、及びそのようなエネルギー供給システムを提供するためのコンピュータシステム 図3
  • 特許-エネルギー供給システムの技術的サイジングパラメータを提供するコンピュータ実施方法、そのような技術的サイジングパラメータを提供するためのコンピュータプログラム製品、及びそのようなエネルギー供給システムを提供するためのコンピュータシステム 図4A
  • 特許-エネルギー供給システムの技術的サイジングパラメータを提供するコンピュータ実施方法、そのような技術的サイジングパラメータを提供するためのコンピュータプログラム製品、及びそのようなエネルギー供給システムを提供するためのコンピュータシステム 図4B
  • 特許-エネルギー供給システムの技術的サイジングパラメータを提供するコンピュータ実施方法、そのような技術的サイジングパラメータを提供するためのコンピュータプログラム製品、及びそのようなエネルギー供給システムを提供するためのコンピュータシステム 図5A
  • 特許-エネルギー供給システムの技術的サイジングパラメータを提供するコンピュータ実施方法、そのような技術的サイジングパラメータを提供するためのコンピュータプログラム製品、及びそのようなエネルギー供給システムを提供するためのコンピュータシステム 図5B
  • 特許-エネルギー供給システムの技術的サイジングパラメータを提供するコンピュータ実施方法、そのような技術的サイジングパラメータを提供するためのコンピュータプログラム製品、及びそのようなエネルギー供給システムを提供するためのコンピュータシステム 図5C
  • 特許-エネルギー供給システムの技術的サイジングパラメータを提供するコンピュータ実施方法、そのような技術的サイジングパラメータを提供するためのコンピュータプログラム製品、及びそのようなエネルギー供給システムを提供するためのコンピュータシステム 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】エネルギー供給システムの技術的サイジングパラメータを提供するコンピュータ実施方法、そのような技術的サイジングパラメータを提供するためのコンピュータプログラム製品、及びそのようなエネルギー供給システムを提供するためのコンピュータシステム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/00 20060101AFI20240208BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20240208BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20240208BHJP
   H02J 3/46 20060101ALI20240208BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
H02J3/00 170
H02J3/38 130
H02J3/38 110
H02J3/32
H02J3/46
H02J13/00 301A
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2021519590
(86)(22)【出願日】2019-11-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(86)【国際出願番号】 EP2019081555
(87)【国際公開番号】W WO2020104338
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2022-10-25
(31)【優先権主張番号】18306557.2
(32)【優先日】2018-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521143262
【氏名又は名称】トタル ソーラー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】カサーニュ,ヴァレリック
(72)【発明者】
【氏名】デ メデイロス,アナ-リタ
(72)【発明者】
【氏名】クライス,エルベ
【審査官】佐藤 卓馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-027210(JP,A)
【文献】特開2014-124059(JP,A)
【文献】特開2016-005347(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00
H02J 3/38
H02J 3/32
H02J 3/46
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光起電モジュール(102)を設置するための所定の利用可能な表面を有する既存の支持構造(3)上のエネルギー供給システム(100)の技術的サイジングパラメータを提供するコンピュータ実施方法(1)であって、前記エネルギー供給システム(100)は少なくとも、
少なくとも1つの光起電モジュール(102)を有する太陽光発電ユニット(101)と、
エネルギー貯蔵ユニット(103)と、
少なくとも1つの熱機関駆動発電ユニット(105)と、を備え、前記エネルギー供給システム(100)は、少なくとも1つの消費者ユニット(7)を有し、かつ停電を被る可能性がある公共グリッドに接続されている設備(5)に電気エネルギーを供給するように構成されており、前記コンピュータ実施方法(1)は、
ユーザインターフェース手段(51)を介して、データベース(53)に前記設備(5)の電力消費時系列を所定の期間にわたって入力するステップ(S1)と、
特定の場所の光起電モジュール(102)の年間生産曲線を入力するステップ(S3)と、
光起電モジュール(102)のタイプ及び前記光起電モジュールの技術的パラメータを入力するステップ(S5)と、
前記設備(5)の既存の条件を説明するための特定の機器境界条件を入力するステップ(S7)と、
光起電生産能力限界及びエネルギー貯蔵ユニット容量限界を入力するステップ(S9)と、
起電生産能力及びエネルギー貯蔵ユニット容量のいくつかの値に基づいて、自給(10)もしくは自己消費(20)、又は内部収益率(30)の比を推定するステップ(S11)であって、前記値は、前記光起電生産能力限界及びエネルギー貯蔵ユニット容量限界を入力するステップ(S9)において規定される前記限界の間に含まれる、推定するステップ(S11)と、
前記ユーザインターフェース手段(51)上に複数のエネルギー供給システム構成を表示するステップ(S13)であって、前記複数のエネルギー供給システム構成は、
前のステップにおいて取得されている前記技術的サイジングパラメータ、
各エネルギー供給システム構成のコスト、及び
各エネルギー供給システム構成の経年減価に基づく、表示するステップ(S13)と、を含み、
各構成は、前記エネルギー供給システムのエネルギー生産信頼性及び前記公共グリッドのグリッド信頼性に基づく感度パラメータに関連付けられ、前記感度パラメータは、前記公共グリッドの前記信頼性に関して前記エネルギー供給システム(100)の最適化された技術的サイジングパラメータを決定することを可能にする、方法(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの熱機関駆動発電ユニットの技術的パラメータを入力するステップ(S8)をさらに含み、前記ステップ(S8)は、前記特定の機器境界条件を入力するステップ(S7)の直後に実行されることを特徴とする、請求項1に記載の方法(1)。
【請求項3】
前記感度パラメータは、熱エネルギー駆動発電ユニット(105)の燃料の推移コストをさらに考慮に入れる、請求項2に記載の方法(1)。
【請求項4】
前記方法(1)は、前記エネルギー貯蔵ユニットの技術的パラメータを入力するステップ(S8’)をさらに含み、前記ステップ(S8’)は、前記生産能力限界及びエネルギー貯蔵容量限界を入力するステップ(S9)の前に実行される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法(1)。
【請求項5】
前記方法(1)は、前記エネルギー貯蔵ユニット(103)のサイクル数を計算して、前記エネルギー貯蔵ユニット(103)の劣化を決定する、請求項4に記載の方法(1)。
【請求項6】
前記データベース(53)は、前記入力パラメータに基づいて前記エネルギー供給システム(100)の前記技術的サイジングパラメータを推定することが可能であるサイジングモデル(55)と通信する、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法(1)。
【請求項7】
前記方法(1)は、コストモデルを計算するステップ(S12)をさらに含み、前記コストモデルを計算するステップ(S12)は、最適なエネルギー供給システム設計を保証するために複数のエネルギー供給システム構成を表示するステップ(S13)の直前に実行され、前記コストモデルは、選択されている前記エネルギー供給システム構成、前記光起電生産能力限界、前記エネルギー貯蔵ユニット容量限界、及び前記エネルギー供給システム構成の前記経年減価を考慮に入れる、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法(1)。
【請求項8】
前記コストモデルを計算するステップ(S12)は、前記データベース(53)に統合されたコストモジュールによって実施される、請求項7に記載の方法(1)。
【請求項9】
前記方法(1)は、さらなる設備のために、計算されたデータを前記データベース(53)に格納するステップ(S14)をさらに含み、前記計算されたデータを格納するステップ(S14)は、前記複数のエネルギー供給システム構成を表示するステップ(S13)の後に実行される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法(1)。
【請求項10】
前記感度パラメータはさらに、前記エネルギー供給システム(100)の設備投資額に基づく、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法(1)。
【請求項11】
前記感度パラメータはさらに、前記公共グリッド電力のコストを考慮に入れる、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法(1)。
【請求項12】
前記方法(1)は、前記太陽光発電ユニット(101)の電力を計算し、前記ユーザインターフェース手段(51)上に表示する、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法(1)。
【請求項13】
前記方法(1)はさらに、前記エネルギー貯蔵ユニット(103)を構成するモジュールのサイズを計算し、前記ユーザインターフェース手段(51)上に表示する、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法(1)。
【請求項14】
光起電モジュール(102)を設置するための所定の利用可能な表面を有する既存の支持構造(3)上のエネルギー供給システム(100)の技術的サイジングパラメータを提供するコンピュータプログラムであって、前記エネルギー供給システム(100)は少なくとも、
少なくとも1つの光起電モジュール(102)を有する太陽光発電ユニット(101)と、
エネルギー貯蔵ユニット(103)と、
少なくとも1つの熱機関駆動発電ユニット(105)と、を備え、前記エネルギー供給システム(100)は、少なくとも1つの消費者ユニット(7)を有し、かつ停電を被る可能性がある公共グリッドに接続されている設備(5)に電気エネルギーを供給するように構成されており、前記コンピュータプログラムは
ユーザインターフェース手段(51)を介して、データベース(53)に前記設備(5)の電力消費時系列を所定の期間にわたって入力するステップ(S1)と、
特定の場所の光起電モジュール(102)の年間生産曲線を入力するステップ(S3)と、
光起電モジュール(102)のタイプ及び前記光起電モジュールの技術的パラメータを入力するステップ(S5)と、
前記設備(5)の既存の条件を説明するための特定の機器境界条件を入力するステップ(S7)と、
光起電生産能力限界及びエネルギー貯蔵ユニット容量限界を入力するステップ(S9)と、において得られるデータを計算するための手段を備え、これらのデータに基づいて、前記コンピュータプログラムは
起電生産能力及びエネルギー貯蔵ユニット容量のいくつかの値に基づいて、自給、又は自己消費、又は内部収益率の比を計算することであって、前記値は、入力されている前記限界の間に含まれる、計算することと、
前記ユーザインターフェース手段(51)上に複数のエネルギー供給システム構成を表示することあって、前記複数のエネルギー供給システム構成は、
前記技術的サイジングパラメータ、
各エネルギー供給システム構成のコスト、及び
各エネルギー供給システム構成の経年減価に基づく、表示することと、を行い、
前記コンピュータプログラムは、各構成について、前記エネルギー供給システムのエネルギー生産信頼性及び前記公共グリッドのグリッド信頼性に基づいて感度パラメータを計算し、前記感度パラメータは、前記グリッドの信頼性に関して前記エネルギー供給システムの前記最適化された技術的サイジングパラメータを決定することを可能にする、コンピュータプログラム。
【請求項15】
前記データベース(53)と通信するように構成されているサイジングモジュールをさらに備え、前記サイジングモジュールは、前記入力パラメータに基づいて前記エネルギー供給システム(100)の前記技術的サイジングパラメータを推定することが可能であることを特徴とする、請求項14に記載のコンピュータプログラム。
【請求項16】
前記コンピュータプログラムは、最適なエネルギー供給システム設計を保証するために、選択されている前記エネルギー供給システム構成、前記光起電生産能力限界、前記エネルギー貯蔵ユニット容量限界、及び前記エネルギー供給システム構成の経年減価を考慮してコストモデルを計算するために前記データベース(53)と通信するように構成されているコストモジュールをさらに備える、請求項14又は15に記載のコンピュータプログラム。
【請求項17】
前記感度パラメータを計算するために、前記エネルギー供給システム構成の設備投資額をさらに考慮に入れる、請求項14~16のいずれか1項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項18】
前記感度パラメータを計算するために、前記公共グリッドの電力のコストをさらに考慮に入れる、請求項14~17のいずれか1項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項19】
前記感度パラメータを計算するために、前記熱機関駆動発電ユニット(105)の燃料のコストをさらに考慮に入れる、請求項14~18のいずれか1項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項20】
光起電モジュール(102)を設置するための所定の利用可能な表面を有する既存の支持構造(3)上のエネルギー供給システム(100)の技術的サイジングパラメータを提供するコンピュータシステム(50)であって、前記エネルギー供給システム(100)は少なくとも、
少なくとも1つの光起電モジュール(102)を有する太陽光発電ユニット(101)と、
エネルギー貯蔵ユニット(103)と、
少なくとも1つの熱機関駆動発電ユニット(105)と、を備え前記エネルギー供給システム(100)は、少なくとも1つの消費者ユニット(7)を有し、かつ停電を被る可能性がある公共グリッドに接続されている設備(5)に電気エネルギーを供給するように構成されており、前記コンピュータシステム(50)は、
前記設備(5)の所定の期間にわたる電力消費時系列、特定の場所の光起電モジュール(102)の年間生産曲線に対応するデータを入力するためのユーザインターフェース手段(51)であって、前記ユーザインターフェース手段(51)は、複数のエネルギー供給システム構成を表示するようにさらに構成されている、ユーザインターフェース手段(51)と、
前記ユーザインターフェース手段(51)を介して入力される前記データを格納することができるデータベース(53)と、を備え、
前記コンピュータシステム(50)は、請求項1~13のいずれか1項に記載のコンピュータ実施方法(1)を実施するための、請求項14~19のいずれか1項に記載のコンピュータプログラムを実行して、前記エネルギー供給システム(100)の最適な技術的サイジングパラメータを決定するための手段をさらに備えることを特徴とする、コンピュータシステム(50)。
【請求項21】
前記ユーザインターフェース手段(51)は、前記太陽光発電ユニット(101)及び前記エネルギー貯蔵ユニット(103)のいくつかの構成に基づいて、自給(10)、又は自己消費(20)、又は内部収益率(30)の比を表示し、前記比は、前記コンピュータプログラムによって計算される、請求項20に記載のコンピュータシステム(50)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、個人宅、建造物、工業用地、又はサービスステーションなどの設備に設置することを
目的としたエネルギー供給システムを設計するための、例えば、光起電源などの再生可能エネルギー源を備えるエネルギー供給システムのサイジングの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
化石エネルギー資源の減少及びそのような化石エネルギーの消費によって生じる汚染の増加により、再生可能エネルギー源はますます人気を集めており、エネルギー消費はますます環境に配慮した論理に向けられている。このような潮流は、太陽エネルギー、より具体的には光起電エネルギーに焦点を当てる傾向にある。
【0003】
さらに、電力消費の核部分を減らすために、ますます多くの建造物が、例えば、太陽光発電ユニットなどの再生可能発電ユニットを設置している。これらの設備の多くは半自律設備であり、すなわち、これらの半自律設備は、再生可能発電ユニットがこの半自律設備のエネルギーのニーズを満たすのに十分な電気エネルギーを生成することができない場合に、この半自律設備に電力を供給することを目的とした公共グリッドに接続されている。
【0004】
したがって、エネルギー供給システムがより効率的でより安価になるように、最適化されたエネルギー供給システムを設計する必要がある。この最適化されたエネルギー供給システムを設計するには、例えば、設備の所定の期間にわたる電力消費時系列、又はそのような設備の特定の場所などの何らかの情報を決定する必要がある。このような情報により、設備のニーズ及び光起電モジュールの年間生産曲線に関して効率的なエネルギー供給システムを得るために、種々の構成の種々の技術的サイジングパラメータを決定することが可能になる。
【0005】
さらに、一部の国では、公共グリッドが停電を被る可能性がある。そのような場合、エネルギー供給ユニットの設計は、そのような停電を考慮に入れるように適合されなければならない。
【0006】
いくつかの従来技術文献は、エネルギー供給システムのいくつかの技術的サイジングパラメータを決定することを可能にするコンピュータ実施方法を開示している。
【0007】
例えば、OkoらのInternational Journal of Renewable Energy Development 1 (3),2012,pp.65-73の論文「Design and economic analysis of a photovoltaic system: a case study」は、スタンドアロン設備の電力需要を満たすための太陽電池アレイ及び電池貯蔵の最適なサイズを決定するためのMicrosoft Excel(登録商標)ベースのソフトウェアを実施している。種々の技術的サイジングパラメータを計算するには、ユーザは、施設の電力定格、継続的な曇りの日、設備の物理的なサイズ寸法などのパラメータをコンピュータプログラムに入力する必要がある。このようなコンピュータプログラムは、過去の条件に基づくエネルギー供給システムの信頼性を考慮に入れる。ただし、気候変動のため、このような決定は、この設備の電力需要の必要性を保証するには不十分である可能性がある。そのため、この文献に開示されているエネルギー供給システムは、発電を目的としたディーゼル発電機をさらに備えている。しかし、そのようなコンピュータ実施方法は、公共グリッドの信頼性がない地域向けの設備の技術的サイジングパラメータを決定するのには適していない。
【0008】
時系列データの使用の欠点を克服するために、HongらのIEEE Transactions on Power Delivery,vol.27,issue 2, April 2012, pp.640-647の論文「Optimal sizing of hybrid wind/photovoltaic/diesel generation in a stand-alone power system using Markov-based genetic algorithm」から、マルコフモデルを使用して、さらなる放射、したがってシステム負荷の推移を予測することが知られている。ただし、この文献は依然としてスタンドアロン設備に言及しており、設備が接続されている公共グリッドの信頼性は考慮されていない。
【0009】
種々の従来技術文献は、設備の技術的サイジングパラメータを計算するために、エネルギー供給システム及び公共グリッドの信頼性を考慮していない。信頼性の欠如は、例えば、再生可能エネルギー源にとっての気象条件、及び、例えば、公共グリッドの停電によって引き起こされる可能性がある。したがって、少なくとも再生可能エネルギー源及び公共グリッドの信頼性を考慮して、エネルギー供給システムをサイジングする方法を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的は、少なくとも1つの消費者ユニットを有し、公共グリッドに接続されている設備の既存の支持構造上に設置されることを目的とした太陽光発電ユニットを備えるエネルギー供給システムの技術的サイジングパラメータを決定することを可能にするコンピュータ実施方法を提案することによって、上で論じた従来技術の欠点を少なくとも部分的に解決することである。
【0011】
少なくとも部分的にこの目標を達成するために、本発明は、光起電モジュールを設置するための所定の利用可能な表面を有する既存の支持構造上のエネルギー供給システムの技術的サイジングパラメータを提供するコンピュータ実施方法に関し、上記エネルギー供給システムは少なくとも、
少なくとも1つの光起電モジュールを有する太陽光発電ユニットと、
エネルギー貯蔵ユニットと、
少なくとも1つの熱機関駆動発電ユニットと、を備え、エネルギー供給システムは、少なくとも1つの消費者ユニットを有し、かつ停電を被る可能性がある公共グリッドに接続されている設備に電気エネルギーを供給するように構成されている。コンピュータ実施方法は、
ユーザインターフェース手段を介して、データベースに上記設備の電力消費時系列を所定の期間にわたって入力するステップと、
特定の場所の光起電モジュールの年間生産曲線を入力するステップと、
光起電モジュールのタイプ及び光起電モジュールの技術的パラメータの少なくとも一部を入力するステップと、
設備の既存の条件を説明するための特定の機器境界条件を入力するステップと、
光起電生産能力限界及びエネルギー貯蔵ユニット容量限界を入力するステップと、
光起電生産能力及びエネルギー貯蔵ユニット容量のいくつかの値に基づいて、自給もしくは自己消費、又は内部収益率の比を推定するステップであって、上記値は、光起電生産能力限界及びエネルギー貯蔵ユニット容量限界を入力するステップにおいて規定される限界の間に含まれる、推定するステップと、
ユーザインターフェース手段上に複数のエネルギー供給システム構成を表示するステップであって、上記複数のエネルギー供給システム構成は、
前のステップにおいて取得された上記技術的サイジングパラメータ、
各エネルギー供給システム構成のコスト、及び
各エネルギー供給システム構成の経年減価に基づく、表示するステップと、を含み、
各構成は、上記エネルギー供給システムのエネルギー生産信頼性及び上記公共グリッドのグリッド信頼性に基づく感度パラメータに関連付けられ、上記感度パラメータは、公共グリッドの信頼性に関してエネルギー供給システムの最適化された技術的サイジングパラメータを決定することを可能にする。
【0012】
このコンピュータ実施方法は、そのような設備の電気エネルギーのニーズを確保するための最適な生成エネルギーを取得するためのエネルギー供給システムの設計を可能にし、この方法は、この設備におけるエネルギー障害を防ぐために、少なくともこのエネルギー供給システムのエネルギー生成信頼性及びグリッド信頼性を考慮した感度パラメータに従って、エネルギー供給システムのいくつかの構成を決定する。
【0013】
本発明によるコンピュータ実施方法は、以下の特徴のうちの1つ以上を単独で又は組み合わせて取り入れてもよい。
【0014】
この方法は、少なくとも1つの熱機関駆動発電ユニットの技術的パラメータを入力するステップをさらに含んでもよく、上記ステップは、特定の機器境界条件を入力するステップの直後に実行される。
【0015】
特定の実施形態によれば、このステップは、各熱機関駆動発電ユニットに対して実行されてもよい。
【0016】
感度パラメータは、熱エネルギー駆動発電ユニットの燃料の推移コストをさらに考慮に入れることができる。
【0017】
この方法は、少なくとも1つの熱エネルギー駆動発電ユニットによって生成されるエネルギーを計算することができる。
【0018】
少なくとも1つの熱機関駆動発電ユニットは、燃料発電機又はディーゼル発電機の中から選択することができる。
【0019】
別の特定の実施形態によれば、この方法は、エネルギー貯蔵ユニットの技術的パラメータを入力するステップをさらに含んでもよく、上記ステップは、生産能力限界及びエネルギー貯蔵容量限界を入力するステップの前に実行される。
【0020】
エネルギー貯蔵ユニットは、1つ以上のモジュールを含むことができる。
【0021】
エネルギー貯蔵ユニットは、開放型もしくは密閉型の鉛電池、ニッケル水素電池などのニッケル電池、又はリチウムイオン電池、リチウム金属電池、もしくはリチウムポリマー電池の中から選択することができる。
【0022】
この他の特定の実施形態によれば、この方法は、エネルギー貯蔵ユニットのサイクル数を計算して、エネルギー貯蔵ユニットの劣化を決定することができる。
【0023】
データベースは、入力パラメータに基づいてエネルギー供給システムの技術的サイジングパラメータを推定することが可能なサイジングモデルと通信することができる。
【0024】
データベースとサイジングモデルとの間の通信は、インターネット通信チャネルとすることができる。
【0025】
一態様によれば、この方法は、コストモデルを計算するステップをさらに含んでもよく、上記コストモデルを計算するステップは、最適なエネルギー供給システム設計を保証するために複数のエネルギー供給システム構成を表示するステップの直前に実行され、上記コストモデルは、選択されているエネルギー供給システム構成、光起電生産能力限界、エネルギー貯蔵ユニット容量限界、及びエネルギー供給システム構成の経年減価を考慮に入れる。
【0026】
この態様によれば、コストモデルを計算するステップは、データベースに統合されたコストモジュールによって実施することができる。
【0027】
別の態様によれば、この方法は、さらなる設備のために、計算されたデータをデータベースに格納するステップをさらに含んでもよく、計算されたデータを格納する上記ステップは、複数のエネルギー供給システム構成を表示するステップの後に実行される。
【0028】
コストモデルは、エネルギー貯蔵ユニットのサイズを考慮に入れることができる。
【0029】
変形として、又は加えて、コストモデルは、太陽光発電ユニットの電力を考慮に入れることができる。
【0030】
別の変形として、又は加えて、コストモデルは、熱機関駆動発電ユニットの電力を考慮に入れることができる。
【0031】
特定の実施形態によれば、感度パラメータはさらに、上記エネルギー供給システムの設備投資額に基づくことができる。
【0032】
変形として、又は加えて、感度パラメータは、公共グリッド電力のコストをさらに考慮に入れることができる。
【0033】
別の変形として、又は加えて、感度パラメータは、維持費及び/又は劣化費用をさらに考慮に入れることができる。
【0034】
この方法は、太陽光発電ユニットの電力を計算し、ユーザインターフェース手段上に表示することができる。
【0035】
変形として、又は加えて、この方法はさらに、エネルギー貯蔵ユニットを構成するモジュールのサイズを計算し、ユーザインターフェース手段上に表示することができる。
【0036】
本発明はさらに、光起電モジュールを設置するための所定の利用可能な表面を有する既存の支持構造上のエネルギー供給システムの技術的サイジングパラメータを提供するためのコンピュータプログラム製品に関する。エネルギー供給システムは、少なくとも、
少なくとも1つの光起電モジュールを有する太陽光発電ユニットと、
エネルギー貯蔵ユニットと、
少なくとも1つの熱機関駆動発電ユニットと、を備えエネルギー供給システムは、少なくとも1つの消費者ユニットを有し、かつ停電を被る可能性がある公共グリッドに接続されている設備に電気エネルギーを供給するように構成されており、上記コンピュータプログラム製品は、
ユーザインターフェース手段を介して、データベースに上記設備の電力消費時系列を所定の期間にわたって入力するステップと、
特定の場所の光起電モジュールの年間生産曲線を入力するステップと、
光起電モジュールのタイプ及び光起電モジュールの技術的パラメータを入力するステップと、
設備の既存の条件を説明するための特定の機器境界条件を入力するステップと、
光起電生産能力限界及びエネルギー貯蔵ユニット容量限界を入力するステップと、において得られるデータを計算するための手段を備え、これらのデータに基づいて、コンピュータプログラム製品は、
光起電生産能力及びエネルギー貯蔵ユニット容量のいくつかの値に基づいて、自給、又は自己消費、又は内部収益率の比を計算することであって、上記値は、入力されている限界の間に含まれる、計算することと、
ユーザインターフェース手段上に複数のエネルギー供給システム構成を表示することであって、上記複数のエネルギー供給システム構成は、
上記技術的サイジングパラメータ、
各エネルギー供給システム構成のコスト、及び
各エネルギー供給システム構成の経年減価に基づく、表示することとを行い、
コンピュータプログラム製品は、各構成について、上記エネルギー供給システムのエネルギー生産信頼性及び上記公共グリッドのグリッド信頼性に基づいて感度パラメータを計算し、上記感度パラメータは、グリッドの信頼性に関してエネルギー供給システムの最適化された技術的サイジングパラメータを決定することを可能にする。
【0037】
本発明によるコンピュータプログラム製品は、以下の特徴のうちの1つ以上を単独で又は組み合わせて取り込んでもよい。
【0038】
コンピュータプログラム製品は、データベースと通信するように構成されているサイジングモジュールをさらに備えることができ、上記サイジングモジュールは、入力パラメータに基づいてエネルギー供給システムの技術的サイジングパラメータを推定することが可能である。
【0039】
特定の実施形態によれば、サイジングモデルは、インターネット通信チャネルを介してデータベースと通信することができる。
【0040】
コンピュータプログラム製品は、最適なエネルギー供給システム設計を保証するために、選択されているエネルギー供給システム構成、光起電生産能力限界、エネルギー貯蔵ユニット容量限界、及びエネルギー供給システム構成の経年減価を考慮してコストモデルを計算するためにデータベースと通信するように構成されているコストモジュールをさらに備えることができる。
【0041】
変形として、又は加えて、コンピュータプログラム製品は、感度パラメータを計算するために、上記エネルギー供給システム構成の設備投資額をさらに考慮に入れることができる。
【0042】
変形として、又は加えて、コンピュータプログラム製品は、感度パラメータを計算するために、公共グリッドの電力のコストをさらに考慮に入れることができる。
【0043】
別の変形として、又は加えて、コンピュータプログラム製品は、感度パラメータを計算するために、熱機関駆動発電ユニットの燃料のコストをさらに考慮に入れることができる。
【0044】
本発明はさらに、光起電モジュールを設置するための所定の利用可能な表面を有する既存の支持構造上のエネルギー供給システムの技術的サイジングパラメータを提供するためのコンピュータシステムに関する。エネルギー供給システムは、少なくとも、
少なくとも1つの光起電モジュールを有する太陽光発電ユニットと、
エネルギー貯蔵ユニットと、
少なくとも1つの熱機関駆動発電ユニットと、を備え、エネルギー供給システムは、少なくとも1つの消費者ユニットを有し、かつ停電を被る可能性がある公共グリッドに接続されている設備に電気エネルギーを供給するように構成されている。コンピュータシステムは、
上記設備の所定の期間にわたる電力消費時系列、特定の場所の光起電モジュールの年間生産曲線に対応するデータを入力するためのユーザインターフェース手段であって、上記ユーザインターフェース手段は、複数のエネルギー供給システム構成を表示するようにさらに構成されている、ユーザインターフェース手段と、
ユーザインターフェース手段を介して入力されるデータを格納することを可能にするデータベースと、を備え、コンピュータシステムは、上記エネルギー供給システムの最適な技術的サイジングパラメータを決定するための以前に開示されたコンピュータ実施方法を実施するために前述したようなコンピュータプログラム製品を実行するための手段をさらに備える。
【0045】
ユーザインターフェース手段は、太陽光発電ユニット及びエネルギー貯蔵ユニットのいくつかの構成に基づいて、自給、又は自己消費、又は内部収益率の比を表示することができ、上記比は、コンピュータプログラム製品によって計算される。
【0046】
本発明のさらなる態様及び利点は、限定としてではなく例示として与えられた以下の説明を読むことによって、かつ添付の図面によって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】エネルギー供給システムが設置された特定の設備の概略図を示す。
図2図1の設備の技術的サイジングパラメータを提供するためのコンピュータ実施方法を実施するように構成されたコンピュータシステムの概略図を示す。
図3】コンピュータ実施方法によって実施される種々のステップの概略図を示す。
図4A】特定の設備の内部収益率の感度分析の概略図を示す。
図4B図4Aの特定の設備の回収期間の感度分析の概略図を示す。
図5A】特定の設備の消費のエネルギー起源の概略図を示す。
図5B】特定の設備の消費のエネルギー起源の概略図を示す。
図5C】特定の設備の消費のエネルギー起源の概略図を示す。
図6】特定の設備のエネルギー供給システムの可能な構成を表す概略図表を示す。
【0048】
図面では、同じ要素は同じ参照符号を有する。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下の実施形態は例である。本明細書が1つ以上の実施形態に言及している場合でも、これは、各言及が同じ実施形態に関係すること、又は技術的特徴が唯一無二の実施形態にのみ適用され得ることを必ずしも意味しない。他の実施形態を得るために、異なる実施形態の単純な技術的特徴を組み合わせるか、又は、交換することができる。
【0050】
以下の明細書では、例えば、第1の要素及び第2の要素に言及している。これは、異なる同一の要素を区別して名前を付けるための単純なインデックス付けである。このインデックス付けは、他の要素に関する要素の優先順位を意味するものではなく、当業者は、本発明の範囲から外れることなく、そのような指定を容易に交換することができる。
【0051】
以下の開示では、「コスト」という用語は、単なる経済用語としてではなく、広義に解釈されなければならない。実際、「コスト」という用語は、以下の開示において、エネルギー供給システムの経済的コストとして解釈されなければならないが、エネルギー貯蔵ユニット、光起電モジュール、及び熱機関駆動発電ユニットの劣化としても解釈されなければならず、それらの劣化は技術的特徴に対応する。
【0052】
設備:
図1を参照すると、光起電モジュール102を設置するための所定の利用可能な表面を有する既存の支持構造3を有する設備5が表されている。この設備5は、少なくとも1つの消費者ユニット7を有する。消費者ユニット7という用語は、本開示の意味においては、照明要素、空調ユニット、電気エンジン、燃料ポンプなど、限定なしに電気エネルギーを消費する要素に対応する。設備5は、停電を被る可能性がある公共グリッド(ここには表されていない)に接続されている。
【0053】
光起電モジュール102は、エネルギー供給システム100の一部であり、この設備5が少なくとも公共グリッドからの電力消費を削減することを可能にするか、又はグリッドが停電を被った場合でもこの設備5が電力を有することを可能にする。実際、一部の国では、公共グリッドが1日に又は夜間に数回停電を被る場合がある。ただし、このような停電は、例えば、作業期間中、又は、食品のコールドチェーンを維持するために発生したときに無効にすることができる。したがって、この設備5がそのようなグリッド停電中にその電力要件を満たすことを可能にするエネルギー供給システム100を開発する必要がある。
【0054】
エネルギー供給システム100は少なくとも、少なくとも1つの光起電モジュール102を有する太陽光発電ユニット101、エネルギー貯蔵ユニット103、及び少なくとも1つの熱機関駆動発電ユニット105を備える。したがって、エネルギー供給システム100は、設備5に電気エネルギーを供給するように構成される。
【0055】
まだよく知られているように、光起電力モジュール102は、それらの光起電性パネル102を形成する化合物の光起電力効果に起因して、太陽放射を電気に変換することを目的としている。図1の特定の実施形態によれば、設備5は、光起電モジュール102がその屋根上に配設されているガソリンスタンドである。しかしながら、ここに表されていない別の実施形態によれば、設備5は、例えば、店舗又は工場などの別の種類の建造物であってもよく、光起電モジュール102は、例えば、地上又はこの設備5のカーポートなど、この設備5の他の場所に配設されてもよい。この特定の実施形態によれば、光起電モジュール102は、シリコンベースのモジュールであってもよい。しかしながら、有機ベースのモジュール、カドミウムテルルベースのモジュール、又はセレン及びインジウム銅合金ベースのモジュールなど、光起電モジュール102の他の技術が本開示において使用されてもよい。
【0056】
さらに、エネルギー貯蔵ユニット103は、光起電力エネルギーが消費者ユニット7によって使用されていないときに光起電力エネルギーを貯蔵することを目的としている。このエネルギー貯蔵ユニット103は、太陽光発電ユニット101が電力を生成しない場合、又は、例えば、夜間に消費者ユニット7の電力需要を満たすのに十分な電力がない場合に放電することができる。エネルギー貯蔵ユニット103は、電気エネルギーを貯蔵することができる1つ又は複数のモジュールを備えることができる。エネルギー貯蔵ユニット103は、例えば、鉛ベースの電池、ニッケルベースの電池、又はリチウムベースの電池の中から選択することができる。より具体的には、鉛ベースの電池は、希硫酸の電解質を含む開放型鉛電池、又はゲル化電解質を含む密閉型鉛電池の中から選択することができ、ニッケルベースの電池は、ニッケル水素電池であってもよく、リチウムベースの電池は、リチウムイオン電池、リチウム金属電池、又はリチウムポリマー電池の中から選択することができる。図1の特定の実施形態によれば、エネルギー貯蔵ユニット103は、太陽光発電ユニット101の近くに埋め込まれている。しかしながら、ここに表されていない他の実施形態によれば、このエネルギー貯蔵ユニット103の他の実装が想定され得る。
【0057】
さらに、熱機関駆動発電ユニット105は、グリッド停電の場合、又は太陽光発電ユニット101が機能しない場合、エネルギー貯蔵ユニット103が電気エネルギーを供給できない場合でも、エネルギー供給システム100が電力ニーズを満たすことを可能にする。少なくとも1つの熱機関駆動発電ユニット105は、例えば、燃料発電機又はディーゼル発電機の中から選択することができる。本開示によれば、いくつかの種類の発電機、特にいくつかのサイズの発電機を使用することができる。これらの発電機は、サイズが小さく、15kVA未満を生成できる発電機から、最大1000kVAを生成できる重い発電機まで選択することができる。さらに、必要に応じて2つの異なる種類の発電機を結合することができる。
【0058】
設備5及び異なる消費者ユニット7のエネルギー需要に従って、この設備5のエネルギー需要に関して最も効率的なシステムを有するようにエネルギー供給システム100を設計する必要がある。実際、この設備5は、電力需要が一日の他の時間よりも高くなり得る種々の時間を有し得る。さらに、設備5の既存の支持構造3は、例えば、光起電モジュール102の実装に対する制限になり得る。したがって、最適化されたエネルギー供給システム100を設計するための手段を提供する必要がある。
【0059】
エネルギー供給システムの技術的サイジングを可能にするためのコンピュータシステム、コンピュータプログラム製品、及びコンピュータ実施方法:
ここで図2を参照すると、図1の設備5のエネルギー供給システム100に技術的サイジングパラメータを提供するためのコンピュータシステム50が表されている。コンピュータシステム50は、ユーザインターフェース手段51と、ユーザインターフェース手段51を介して入力されるデータを格納することができるデータベース53とを備える。
【0060】
ユーザインターフェース手段51は、上記設備5の所定の期間にわたる電力消費時系列、特定の場所の光起電モジュール102の年間生産曲線に対応するデータを入力するように構成されている。ユーザインターフェース手段51は、例えば、この設備5のエネルギー要件に従って、複数のエネルギー供給システム構成を表示するようにさらに構成される。
【0061】
コンピュータプログラム製品は、サイジングモジュール55をさらに備える。データベース53は、入力パラメータに基づいてエネルギー供給システム100の技術的サイジングパラメータを推定することが可能であるサイジングモジュール55と通信する。図2の特定の実施形態によれば、データベース53とサイジングモデル55との間の通信は、インターネット通信チャネル57とすることができる。しかしながら、ここに表されていない別の実施形態によれば、この通信チャネル57は、例えば、VPNチャネルなどの別のタイプの通信チャネルであってもよい。
【0062】
コンピュータシステム50は、コンピュータ実施方法1(図3に表される)を実施するためのコンピュータプログラム製品を実行して、上記エネルギー供給システム100の最適な技術的サイジングパラメータを決定するための手段をさらに備える。
【0063】
図3を参照すると、エネルギー供給システム100の技術的サイジングパラメータを提供するコンピュータ実施方法1が表されている。コンピュータ実施方法は、いくつかのステップを含む。
【0064】
方法1は、ユーザインターフェース手段51を介して、データベース53に上記設備5の電力消費時系列を所定の期間にわたって入力するステップS1を含む。実際、エネルギー供給システム100によってエネルギー需要を満たすために、この設備5のエネルギーのニーズを決定する必要がある。
【0065】
次いで、方法1は、特定の場所の光起電モジュール102の年間生産曲線を入力するステップS3を実施する。実際、設備5の場所に応じて、光起電モジュール102の予測される生産は異なることがあり、設備5の消費者ユニット7の需要を満たすようにこのエネルギー供給システム100のサイジングパラメータを決定するために、このパラメータを考慮に入れなければならない。
【0066】
次いで、方法1は、光起電モジュール102のタイプ及び光起電モジュールの技術的パラメータを入力するステップS5を実施する。今日、異なる発電電力及び異なるコストのいくつかの種類の光起電モジュール102が存在する。より具体的には、光起電力モジュール102のタイプは、そのサイズ、光電池の性質(例えば、シリコンベース、有機ベース、カドミウムテルルベース、又はセレン及びインジウム銅合金ベース)、異なるセルの接続(直列又はバイパス)を含み得る。したがって、このステップにおいてユーザは、設備5に設置されることを目的としたエネルギー供給システム100の光起電モジュール102を選択することができる。
【0067】
方法1は、設備5の既存の条件をよく説明するための特定の機器境界条件を入力するステップS7をさらに実施する。
【0068】
さらに、コンピュータシステム50の計算ステップを限定するために、方法1は、光起電生産能力限界及びエネルギー貯蔵ユニット容量限界を入力するステップS9をさらに実施する。したがって、コンピュータシステム50の応答時間を短縮するために、所定の限界の間でのみ技術的サイジングパラメータを計算することが可能である。
【0069】
次いで、方法1は、光起電生産能力及びエネルギー貯蔵ユニット容量のいくつかの値に基づいて、自給10(図6参照)もしくは自己消費20(図6参照)、又は内部収益率30(図6参照)の比を推定するステップS11を実施し、上記値は、光起電生産能力限界及びエネルギー貯蔵ユニット容量限界を入力するステップS9において規定される限界の間に含まれる。これらのパラメータについては、図6に基づく以下の説明でより詳しく説明する。実際、設備5のニーズに従って、太陽光発電ユニット101及びエネルギー貯蔵ユニット103の異なる容量を選択することができ、方法1は、ユーザインターフェース手段51上に複数のエネルギー供給システム構成を表示するステップS13中にそれらの異なる構成を表示することができる。この複数のエネルギー供給システム構成は、前のステップで得られる技術的サイジングパラメータ、各エネルギー供給システム構成のコスト、及び各エネルギー供給システム構成の経年減価に基づく。本方法1は、各構成を、上記エネルギー供給システムのエネルギー生産信頼性及び上記公共グリッドのグリッド信頼性に基づく感度パラメータに関連付け、上記感度パラメータは、公共グリッドの信頼性に関してエネルギー供給システム100の最適化された技術的サイジングパラメータを決定することを可能にする。感度パラメータはさらに、上記エネルギー供給システム100の設備投資額又は公共グリッド電力のコストに基づくことができる。
【0070】
したがって、この表示するステップS13中に、方法1は、コンピュータプログラム製品を用いて、太陽光発電ユニット101の電力及びエネルギー貯蔵ユニット103を構成するモジュールのサイズを計算し、これらをユーザインターフェース手段51上に表示し、それらはいくつかの構成を提供するために組み合わされると、以下にさらに詳細に説明されるように、この表示するステップS13において同じくユーザインターフェース手段51に表示される、自給10、自己消費20、及び/又は内部収益率30の比を取得することを可能にする。
【0071】
エネルギー供給システム100が少なくとも1つの熱機関駆動発電ユニット105を含む場合、方法1は、少なくとも1つの熱機関駆動発電ユニットの技術的パラメータを入力するステップS8をさらに含む。少なくとも1つの熱機関駆動発電ユニットの技術的パラメータを入力するこのステップS8は、特定の機器境界条件を入力するステップS7の直後に実施される。さらに、エネルギー供給システム100が2つ以上の熱機関駆動発電ユニット105を含む場合、このステップS8は、各熱機関駆動発電ユニット105について実施される。方法1は、少なくとも1つの熱エネルギー駆動発電ユニット105によって生成されるエネルギーを計算する。
【0072】
この特定の実施形態によれば、感度パラメータは、熱エネルギー駆動発電ユニット105の燃料の推移コストをさらに考慮に入れることができる。
【0073】
変形として、又は加えて、方法1は、エネルギー貯蔵ユニットの技術的パラメータを入力するステップS8’をさらに含んでもよく、上記ステップS8’は、生産能力限界及びエネルギー貯蔵容量限界を入力するステップS9の前に実行される。エネルギー貯蔵ユニットの技術的パラメータを入力するこのステップS8’に従って、方法1は、エネルギー貯蔵ユニット103のサイクル数を計算して、このエネルギー貯蔵ユニット103の劣化を決定する。
【0074】
別の変形として、又は加えて、方法1は、コストモデルを計算するステップS12をさらに含むことができる。コストモデルを計算するこのステップS12は、最適なエネルギー供給システム設計を保証するために複数のエネルギー供給システム構成を表示するステップS13の直前に実行される。コストモデルは、選択されているエネルギー供給システム構成、光起電生産能力限界、エネルギー貯蔵ユニット容量限界、及びエネルギー供給システム構成の経年減価を考慮に入れる。コストモデルを計算するステップS12は、サイジングモジュール55に統合されたコストモジュールによって実施される。
【0075】
コストモデルは、エネルギー貯蔵ユニット103のサイズ、太陽光発電ユニット101の電力、又は熱機関駆動発電ユニット105の電力などのエネルギー供給システム100のコストを決定するために種々の要素を考慮に入れることができる。実際、これらの種々の要素のサイズ、初期コスト、寿命、及び保守コストに従って、それらの生産能力は同じではない。
【0076】
さらに、特定の実施形態によれば、方法1は、さらなる設備のために、計算されたデータをデータベース53に格納するステップS14をさらに含んでもよい。計算されたデータを格納するこのステップS14は、複数のエネルギー供給システム構成を表示するステップS13の後に実行される。
【0077】
図3に示される特定の実施形態によれば、方法1は、サイクルを形成することができ、すなわち、方法1は、計算されたデータを格納するステップS14の後に、所定の期間にわたって電力消費時系列を入力するステップS1に戻ることができる。したがって、この方法1を繰り返すことができるが、これは必須ではなく、計算されたデータを格納するステップS14の後に停止することができる。
【0078】
したがって、コンピュータプログラム製品は、上記で開示した、設備5の電力消費時系列を所定の期間にわたって入力するステップS1、特定の場所の光起電モジュール102の年間生産曲線を入力するステップS3、光起電モジュール102のタイプ及び光起電モジュールの技術的パラメータを入力するステップS5、設備5の既存の条件をよく説明するための特定の機器境界条件を入力するステップS7、ならびに、光起電生産能力限界及びエネルギー貯蔵ユニット容量限界を入力するステップS9において得られたデータを計算するための手段を備える。これらのデータに基づいて、コンピュータプログラム製品は、光起電生産能力及びエネルギー貯蔵ユニット容量のいくつかの値に基づいて、自給10、又は自己消費20、又は内部収益率30の比を計算し、上記値は、入力されている限界の間に含まれる。次いで、コンピュータプログラム製品は、技術的サイジングパラメータ、各エネルギー供給システム構成のコスト、及び各エネルギー供給システム構成の経年減価に基づく複数のエネルギー供給システム構成をユーザインターフェース手段51上に表示する。
【0079】
コンピュータプログラム製品はさらに、各構成について、上記エネルギー供給システムのエネルギー生産信頼性及び上記公共グリッドのグリッド信頼性に基づいて感度パラメータを計算し、上記感度パラメータは、グリッドの信頼性に関してエネルギー供給システムの最適化された技術的サイジングパラメータを決定することを可能にする。
【0080】
加えて又は変形として、コンピュータプログラム製品は、最適なエネルギー供給システム設計を保証するために、選択されているエネルギー供給システム構成、光起電生産能力限界、エネルギー貯蔵ユニット容量限界、及びエネルギー供給システム構成の経年減価を考慮してコストモデルを計算するためにデータベース53と通信するように構成されているコストモジュールをさらに備えることができる。
【0081】
コンピュータプログラム製品は、感度パラメータを計算するために、上記エネルギー供給システム構成の設備投資額、及び/又は公共グリッドの電力のコスト、及び/又は熱機関駆動発電ユニット105の燃料のコストをさらに考慮に入れることができる。したがって、このコンピュータプログラム製品は、いくつかのパラメータを考慮に入れ、かつ組み合わせて、太陽光発電ユニット容量及びエネルギー貯蔵ユニット容量の電力のいくつかの構成の感度パラメータを決定して、設備5のニーズに関して最も効率的な構成を提案することができる。
【0082】
上記で開示された方法1を実施するために、コンピュータシステム50は、例えば、インターネット通信チャネル57を介してサイジングモジュール55に接続されなければならない。しかしながら、オフライン構成においてコンピュータプログラム製品に種々のデータを入力することは可能であり、計算は、コンピュータシステム50がサイジングモジュール55に接続されると実行される。実際、インターネット接続を見つけるのが難しい場合がある。オフラインで作業できることによって、インターネット接続のない現場で計算に必要なすべてのデータを直接入力し、後でそれらのデータを計算することが可能である。さらに、別の変形によれば、方法1は、セミオフラインモードにおいて実施されてもよい。この他の変形によれば、コンピュータシステム50は、サイジングモジュール55に接続することができ、計算のみが必要であり、方法1の種々のステップにおいてデータが入力されたときにオフラインで作業することができる。
【0083】
特定の実施形態
ここで、図4A図6を参照すると、ナイジェリアの特定のガソリンスタンドに対して、この特定のガソリンスタンドのエネルギー供給システム100の最良の構成を決定するために行われた計算を表すいくつかの曲線及び表が表されている。
【0084】
ガソリンスタンドは、図1の設備5に対応している。このガソリンスタンドは、例えば、光起電モジュールで覆われることを目的とした所定の表面を有する。さらに、ナイジェリアでは、グリッドは停電の可能性を被りやすく、一日中、すなわち、営業時間中及び閉店時間中にこのガソリンスタンドのニーズを満たすのに十分な方法でエネルギーを生成できるエネルギー供給システム100を提供する必要がある。
【0085】
光起電モジュールによって覆われることを目的とした特定の場所及び表面などの種々のパラメータが、ユーザインターフェース手段51(図2に表されている)を介してコンピュータプログラム製品に入力されている。ガソリンスタンドは、太陽光発電ユニット101、少なくとも1つのエネルギー貯蔵ユニット103、及び少なくとも1つの熱機関駆動発電ユニット105を設置することを目的としている(これらの要素はすべて図1に示されている)。
【0086】
図4A及び図4Bによれば、この実施形態の特定のガソリンスタンドのいくつかのパラメータの感度を示すチャートが表されている。より具体的には、この特定の実施形態によれば、曲線41はグリッドの利用可能性を示し、曲線43は太陽光発電量を示し、曲線45はグリッドの電力価格を示し、曲線47は熱機関駆動発電ユニットの燃料の価格を示し、曲線49は総支出コストを示している。
【0087】
図4Aの特定の実施形態によれば、このチャートの縦座標は内部収益率を示し、図4Aの表の値は、考慮される線に対応するパラメータの所定の推移と比較した、この内部収益率の変化を示す。ただし、このパラメータは、例えば、自給などの別のパラメータを示すために変更することができる。さらに、このチャートの下に表されている表は、曲線41~49に対応する種々のパラメータの感度を示している。より詳細には、各パラメータの感度は、中央値を中心に-20%から+20%の間で計算される。したがって、感度パラメータは、考慮されるパラメータの予測推移と比較した推移の差に対応する。実際、パラメータの感度が変化するほど、エネルギー供給システムが設備の要件を満たすために、このパラメータを注意深く検討する必要がある。
【0088】
図4Bの特定の実施形態によれば、このチャートの縦座標は、回収期間の変動に対応する。図4Aの表と同様に、図4Bの表は、特定のパラメータの推移に関する回収期間の変動を示している。
【0089】
たとえば、燃料の価格が12%上昇すると(両方のチャートの線47)、内部収益率が10,85%から12,85%になり(図4A)、2年間の回収期間が低減し、この回収期間は10年から8年になる(図8B)。
【0090】
図5A図5Cによれば、一年の異なる日による、設備5によって消費されるエネルギーの分布を示すいくつかのチャートが表されている。より詳細には、ボックス61は日の数に対応し、ボックス62は月に対応する。したがって、図5Aは1月13日のエネルギー消費の分布を示し、図5Bは6月13日のエネルギー消費の分布を示し、図5Cは3月13日のエネルギー消費の分布を示している。これらの異なる分布は、コンピュータプログラム製品に入力されている種々のパラメータに関する推定に対応する。さらに、これらすべてのチャート上で、横座標軸は、これらのエネルギー消費を非常に精密に追跡し、設備5のエネルギー需要を満たすために、いずれの種類又はエネルギーを使用するかを容易に決定するために、1日のうちの時間hを表す。
【0091】
さらに、これらの図5A図5Cによれば、バー63は、使用されるエネルギー貯蔵ユニット103の電力を示し、バー64は、熱機関駆動発電ユニット105の電力を示し、バー65は、使用される公共グリッドの電力を示し、バー66は、エネルギー供給システム100の光起電モジュール102によって使用される光起電生成エネルギーの電力を示す。さらに、曲線67は、エネルギー貯蔵ユニット103の電荷推移の状態を示している。この曲線67は、エネルギー貯蔵ユニット103が充電状態にあるか又は放電状態にあるか、及びこのエネルギー貯蔵ユニット103がいずれの種類のエネルギーによって充電されるかを決定することを可能にする。この特定の例の特定の実施形態によれば、そこで使用されるエネルギー貯蔵ユニット103は電池である。一般的に、電池の寿命を延ばすには、この電池の充電状態を常に50%までにする必要があり、100%は完全に充電された電池に対応し、0%は低充電の電池に対応する。一般的に、この電池は、この電池の充電状態が高すぎる場合に発生する可能性のある劣化を防ぐために、95%の最大充電状態に充電される。さらに、曲線68は、一日の異なる時間の間に設備5によって必要とされる負荷を示し、曲線69は、太陽光発電ユニット101によって行われる光起電生産を示している。
【0092】
さらに、これらのチャートにおいて、縦座標軸68は、設備5に必要な負荷をキロワット(kW)単位で示し、縦座標軸67は、エネルギー貯蔵ユニット103の充電状態(パーセント)を示している。
【0093】
図5Aによって表される特定の日付によると、設備5の需要を満たすためにグリッドエネルギーは必要ない。熱機関駆動発電ユニット105は、設備5の電力需要を満たすために夜間に使用されたエネルギー貯蔵ユニット103を充電するために、一日の初めにのみ始動される。さらに、このエネルギー貯蔵ユニット103は、その後、その日の残りの時間に、光起電モジュール102によって生成される光起電力エネルギーによって充電され、エネルギー供給システム100によって生成されるこの光起電力エネルギーはまた、日中の設備5の消費者ユニット7の電力需要を満たすためにも使用される。図5Aの曲線67はこれを示している。実際、熱機関駆動発電ユニット105が始動されると、エネルギー貯蔵ユニット103の充電状態が増加する。これは、熱機関駆動発電ユニット105がエネルギー貯蔵ユニット103を充電するために使用されていることを示している。さらに、この熱機関駆動発電ユニット105はまた、設備5の消費者ユニット7の電力ニーズを満たすためにも使用される。実際、午前8時のバー64は、設備5に必要な負荷を示す曲線68の下にある。さらに、午前8時に、エネルギー供給システム100はバックアップを実施し、設備5のエネルギー需要を満たすために、熱機関駆動発電ユニット105が使用される。したがって、熱機関駆動発電ユニット105によって生成されるエネルギーの一部は、設備5の電力需要を満たすために使用され、このエネルギーの別の部分は、エネルギー貯蔵ユニット103を充電するために使用される。実際、図5Aは、ナイジェリアでの1月の日付の予測チャートを示している。しかし、1月はナイジェリアにおいて乾季であり、日中の日照は高い。
【0094】
図5Bの特定の実施形態によれば、設備5の電力需要を満たすためにグリッドエネルギーが必要である。実際、この図は3月の日付を示している。ただし、ナイジェリアの3月は雨期に相当する。このチャートに表されているように、グリッド電力が使用され、場合によっては生成される光起電力エネルギーと組み合わされ、この場合に、かつこのグリッドに障害が発生した場合、(曲線69によって示されるように)光起電力が太陽光発電ユニット101によって生成される場合でも、熱機関駆動発電ユニット105が使用される。実際、グリッドが停電すると、熱機関駆動発電ユニット105が始動する。ここに示される特定の実施形態によれば、熱機関駆動発電ユニット105は、接続するのに5分を必要とし、エネルギー供給システム100が、停電を防ぐためにこの時間を補償する必要がある。この補償は、エネルギー貯蔵ユニット103の存在により可能である。しかしながら、発電ユニット101の損傷を防ぐために、光起電モジュール102によって生成される光起電力エネルギーは使用されない。この特定の日付によれば、エネルギー貯蔵ユニット103の充電状態は、このエネルギー貯蔵ユニット103の損傷又は早期劣化を防ぐために50%にとどまる。
【0095】
次に、図5Cによれば、設備5のエネルギー需要を満たすためにすべての種類のエネルギーが使用される。この特定の実施形態によれば、グリッドエネルギーは、設備5の閉店期間中にのみ使用される。実際、営業時間中、熱機関駆動発電ユニット105、太陽光発電ユニット101、及びエネルギー貯蔵ユニット103が、設備5の消費者ユニット7の電力需要を満たすために使用される。図5Cに示されるように、グリッドは夜間に停電を受け、熱機関駆動発電ユニット105がグリッドの不足分を補うために始動される。さらに、曲線69によって表されるように、光起電生産が減少することがあり、結果として、エネルギー貯蔵ユニット103の充電速度が低下することになり、これは生成されている光起電力エネルギーが、最初に設備5の電力需要を満たすために使用され、2回目にエネルギー貯蔵ユニット103を充電するために使用されるためである。さらに、エネルギー貯蔵ユニット103の充電状態は100%に達せず、これは、設備5の電力需要を満たすためにこのエネルギー貯蔵ユニット103を最短時間使用したことを説明している。
【0096】
次に、図6によれば、いくつかのサイジングパラメータについてコンピュータプログラム製品によって実行される種々の計算が表されている。より詳細には、計算は、設備5の自給10、設備5の自己消費20、及びこの設備5の内部収益率30について行われた。上記で開示された方法1の光起電生産能力限界及びエネルギー貯蔵容量限界を入力するステップE9において、それらの限界は10から100の間で選択された。より正確には、エネルギー貯蔵限界13は、10から100キロワット毎時(kWh)の間で選択され、光起電生産能力限界11は、10から100キロワットピーク(kwc)の間で選択された。コンピュータプログラム製品は、図6の種々のチャートに表されているように、エネルギー貯蔵容量限界及び光起電生産能力限界の種々の構成について計算する。
【0097】
例えば、35.7kWcの光起電生産能力11及び70kWhのエネルギー貯蔵容量13について、設備の自給10は93.70%になり、設備の自己消費20は72.60%になり、内部収益率30は8.9%になる。
【0098】
これらの異なるチャートは、複数のエネルギー供給システム100の構成を表示するステップE13中に、ユーザインターフェース手段51(図2に表される)上に表示される結果に対応する。次に、得られた結果に従って、ユーザは、設備5の電力需要を確実に満たすために、いずれの構成が最適であるかを決定することができる。
【0099】
本明細書に開示される特定の実施形態は、例示的なものに過ぎず、本開示を限定的に解釈することを意図するものではない。
【0100】
したがって、上記で開示されたコンピュータ実施方法1及びコンピュータプログラム製品によって、エネルギー供給システム100の技術的サイジングパラメータを容易に決定することが可能である。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6