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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】眼科製品用の液体組成物
(51)【国際特許分類】
   G02C 13/00 20060101AFI20240208BHJP
   G02C 7/04 20060101ALI20240208BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240208BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240208BHJP
   A61K 33/30 20060101ALI20240208BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240208BHJP
   A61K 31/07 20060101ALI20240208BHJP
   A61K 31/455 20060101ALI20240208BHJP
   A61K 31/4415 20060101ALI20240208BHJP
   A61K 31/714 20060101ALI20240208BHJP
   A61K 31/375 20060101ALI20240208BHJP
   A61K 31/355 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
G02C13/00
G02C7/04
A61P27/02
A61K9/08
A61K33/30
A61K47/02
A61K31/07
A61K31/455
A61K31/4415
A61K31/714
A61K31/375
A61K31/355
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022055450
(22)【出願日】2022-03-30
(65)【公開番号】P2023013931
(43)【公開日】2023-01-26
【審査請求日】2022-03-30
(31)【優先権主張番号】110126330
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】512020327
【氏名又は名称】ペガヴィジョン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】PEGAVISION CORPORATION
【住所又は居所原語表記】2F-1,No.5,SHING YEH ST.,GUISHAN DIST.,TAOYUAN CITY 333,TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン,フン-ジュ
(72)【発明者】
【氏名】ティン,ウェイ-ジア
(72)【発明者】
【氏名】フアン,チ ハオ
(72)【発明者】
【氏名】ウー,シン-イ
【審査官】吉川 陽吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-075145(JP,A)
【文献】国際公開第2017/203550(WO,A1)
【文献】特許第4987170(JP,B1)
【文献】特開2018-005209(JP,A)
【文献】特開2016-133594(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0151734(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第101691479(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 13/00
G02C 7/04
A61P 27/02
A61K 9/08
A61K 33/30
A61K 47/02
A61K 31/07
A61K 31/455
A61K 31/4415
A61K 31/714
A61K 31/375
A61K 31/355
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンタクトレンズの保存用の液体組成物であって、
緩衝溶液;
前記緩衝溶液に溶解した亜鉛塩、ここで、前記液体組成物における前記亜鉛塩の重量パーセント濃度は、1×10-5%~3%である
水性物質、ここで、親水性物質は、平均分子量が400のポリエチレングリコールまたは平均分子量が400のポリエチレングリコールとヒアルロン酸との組み合わせをここで、前記液体組成物における前記親水性物質の重量パーセント濃度は1×10 -3 %~3%である;および
界面活性剤、ここで、界面活性剤はポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを含み、前記液体組成物における前記親水性物質の重量パーセント濃度は1×10 -3 %~2%である、
を含む、前記液体組成物。
【請求項2】
前記亜鉛塩が、硫酸亜鉛、硫酸亜鉛水和物、グルコン酸亜鉛、乳酸亜鉛、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、キレート化亜鉛、酢酸亜鉛、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の液体組成物。
【請求項3】
前記緩衝溶液が、ホウ酸塩、リン酸塩、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1~2の何れか一項に記載の液体組成物。
【請求項4】
タミンを更に含む、請求項1~3の何れか一項に記載の液体組成物。
【請求項5】
前記ビタミンが、ビタミンA、ビタミンA誘導体、ビタミンB3、ビタミンB3誘導体、ビタミンB6、ビタミンB6誘導体、ビタミンB12、ビタミンB12誘導体、ビタミンC、ビタミンC誘導体、ビタミンE、ビタミンE誘導体、又はそれらの組み合わせを含む、請求項4に記載の液体組成物。
【請求項6】
前記液体組成物における前記ビタミンの重量パーセント濃度が、1×10-5%~5%である、請求項4~5の何れか一項に記載の液体組成物。
【請求項7】
コンタクトレンズの保存用の液体組成物であって、
緩衝溶液;
前記緩衝溶液に溶解した第1のビタミン、ここで、前記液体組成物における前記第1のビタミンの重量パーセント濃度が、1×10-5%~1%であり、第1のビタミンは、ビタミンB2、ビタミンB2誘導体、又はそれらの組み合わせを含む
水性物質、ここで親水性物質は、平均分子量が400のポリエチレングリコールまたは平均分子量が400のポリエチレングリコールとヒアルロン酸との組み合わせをみ、ここで、前記液体組成物における前記親水性物質の重量パーセント濃度が、1×10 -3 %~3%である;および
界面活性剤、ここで、界面活性剤はポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを含み、前記液体組成物における前記親水性物質の重量パーセント濃度は1×10 -3 %~2%である、
を含む、前記液体組成物。
【請求項8】
前記第1のビタミンが、リボフラビン、フラビンモノヌクレオチド及びその塩、フラビンアデニンジヌクレオチド及びその塩、又はそれらの組み合わせを含む、請求項に記載の液体組成物。
【請求項9】
前記緩衝溶液が、ホウ酸塩及びリン酸塩を含む、請求項の何れか一項に記載の液体組成物。
【請求項10】
2のビタミンを更に含む、請求項の何れか一項に記載の液体組成物。
【請求項11】
前記第2のビタミンが、ビタミンA、ビタミンA誘導体、ビタミンB3、ビタミンB3誘導体、ビタミンB6、ビタミンB6誘導体、ビタミンB12、ビタミンB12誘導体、ビタミンC、ビタミンC誘導体、ビタミンE、ビタミンE誘導体、又はそれらの組み合わせを含む、請求項10に記載の液体組成物。
【請求項12】
前記液体組成物における前記第2のビタミンの重量パーセント濃度が、1×10-5%~5%である、請求項1011の何れか一項に記載の液体組成物。
【請求項13】
コンタクトレンズの保存用の液体組成物であって、
緩衝溶液;
前記緩衝溶液に溶解した亜鉛塩、ここで、前記液体組成物における前記亜鉛塩の重量パーセント濃度は、1×10-5%~3%である;
前記緩衝溶液に溶解した第1のビタミン、ここで、前記液体組成物における前記第1のビタミンの重量パーセント濃度は、1×10-5%~1%であり、第1のビタミンは、ビタミンB2、ビタミンB2誘導体、又はそれらの組み合わせを含む
水性物質、ここで、親水性物質は、平均分子量が400のポリビニルアルコール、または平均分子量が400のポリビニルアルコールとヒアルロン酸との組み合わせをみ、ここで、前記液体組成物における前記親水性物質の重量パーセント濃度が、1×10 -3 %~3%である;および
界面活性剤、ここで、界面活性剤はポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを含み、前記液体組成物における前記親水性物質の重量パーセント濃度は1×10 -3 %~2%である、
を含む、前記液体組成物。
【請求項14】
前記亜鉛塩が、硫酸亜鉛、硫酸亜鉛水和物、グルコン酸亜鉛、乳酸亜鉛、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、キレート化亜鉛、酢酸亜鉛、又はそれらの組み合わせを含む、請求項13に記載の液体組成物。
【請求項15】
前記第1のビタミンが、リボフラビン、フラビンモノヌクレオチド及びその塩、フラビンアデニンジヌクレオチド及びその塩、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1314の何れか一項に記載の液体組成物。
【請求項16】
前記緩衝溶液が、ホウ酸塩、リン酸塩、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1315の何れか一項に記載の液体組成物。
【請求項17】
2のビタミンを更に含む、請求項1316の何れか一項に記載の液体組成物。
【請求項18】
前記第2のビタミンが、ビタミンA、ビタミンA誘導体、ビタミンB3、ビタミンB3誘導体、ビタミンB6、ビタミンB6誘導体、ビタミンB12、ビタミンB12誘導体、ビタミンC、ビタミンC誘導体、ビタミンE、ビタミンE誘導体、又はそれらの組み合わせを含む、請求項17に記載の液体組成物。
【請求項19】
前記液体組成物における前記第2のビタミンの重量パーセント濃度が、1×10-5%~5%である、請求項1718の何れか一項に記載の液体組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、眼科製品用の液体組成物に関する。この液体組成物は、使用者がコンタクトレンズを着用する時の快適感を向上させるとともに、目の角膜の健康状態を保持することができる。
【背景技術】
【0002】
情報化社会の到来につれて、スマートフォンやコンピュータ等の3C製品が頻繁に使われるため、近視に罹患する人々の割合が高まりつつあり、近視が発症する年齢層も徐々に下がる傾向にある。美観性と利便性を考慮すると、コンタクトレンズの着用は、徐々に人気になっている。
【0003】
視力の弱い人の多くは、コンタクトレンズを長時間着用する習慣があるため、コンタクトレンズを着用する時の快適感が非常に重要になる。コンタクトレンズを着用する時、レンズの酸素透過率、保湿力及び潤滑度等の何れもは、快適さを決定する重要な指標である。
【0004】
コンタクトレンズの材質が絶えず改良されてから、レンズの酸素透過率、保湿力及び潤滑度等の特性が全て改善されるが、使用環境及び着用者の目の健康状態によって、着用者の目は、コンタクトレンズの着用時間の増加に伴い、特に空調室に長時間いると、酸素や水の不足によって不快感を覚えやすく、ひいては角膜の創傷や病変が引き起こされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、コンタクトレンズ保存液にグリセリン等の保湿剤が添加されるが、これは、コンタクトレンズを着用する時の不快感を軽減するしかできない。従って、現在、コンタクトレンズを着用する時の快適感を向上させるとともに、目の角膜の健康状態を保持するために、コンタクトレンズと組み合わせて使用される新規な眼科用配合物が早急に必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、眼科製品用の液体組成物を提供する。本開示の複数の実施形態において、液体組成物は、コンタクトレンズの保存液とすることができ、即ち、使用者がコンタクトレンズを着用していない場合、コンタクトレンズをこの液体組成物に入れて保存することができる。液体組成物は、緩衝溶液と、緩衝溶液に溶解した亜鉛塩と、を含み、液体組成物における亜鉛塩の重量パーセント濃度は、1×10-5%~3%である。
【0007】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、亜鉛塩は、硫酸亜鉛、硫酸亜鉛水和物、グルコン酸亜鉛、乳酸亜鉛、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、キレート化亜鉛、酢酸亜鉛、又はそれらの組み合わせを含む。
【0008】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、緩衝溶液は、ホウ酸塩、リン酸塩、又はそれらの組み合わせを含む。
【0009】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、液体組成物は、親水性物質、界面活性剤、ビタミン、又はそれらの組み合わせを更に含む。
【0010】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、ビタミンは、ビタミンA、ビタミンA誘導体、ビタミンB3、ビタミンB3誘導体、ビタミンB6、ビタミンB6誘導体、ビタミンB12、ビタミンB12誘導体、ビタミンC、ビタミンC誘導体、ビタミンE、ビタミンE誘導体、又はそれらの組み合わせを含む。
【0011】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、液体組成物におけるビタミンの重量パーセント濃度は、1×10-5%~5%である。
【0012】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、液体組成物における親水性物質の重量パーセント濃度は、1×10-3%~3%である。
【0013】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、液体組成物における界面活性剤の重量パーセント濃度は、1×10-3%~2%である。
【0014】
本開示の別の態様は、眼科製品用の液体組成物であって、緩衝溶液と、緩衝溶液に溶解した第1のビタミンと、を含み、液体組成物における第1のビタミンの重量パーセント濃度は、1×10-5%~1%であり、第1のビタミンは、ビタミンB2、ビタミンB2誘導体、又はそれらの組み合わせを含む眼科製品用の液体組成物を提供する。
【0015】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、第1のビタミンは、リボフラビン、フラビンモノヌクレオチド及びその塩、フラビンアデニンジヌクレオチド及びその塩、又はそれらの組み合わせを含む。
【0016】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、緩衝溶液は、ホウ酸塩及びリン酸塩を含む。
【0017】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、液体組成物は、親水性物質、界面活性剤、第2のビタミン、又はそれらの組み合わせを更に含む。
【0018】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、第2のビタミンは、ビタミンA、ビタミンA誘導体、ビタミンB3、ビタミンB3誘導体、ビタミンB6、ビタミンB6誘導体、ビタミンB12、ビタミンB12誘導体、ビタミンC、ビタミンC誘導体、ビタミンE、ビタミンE誘導体、又はそれらの組み合わせを含む。
【0019】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、液体組成物における第2のビタミンの重量パーセント濃度は、1×10-5%~5%である。
【0020】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、液体組成物における親水性物質の重量パーセント濃度は、1×10-3%~3%である。
【0021】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、液体組成物における界面活性剤の重量パーセント濃度は、1×10-3%~2%である。
【0022】
本開示の更に別の態様は、眼科製品用の液体組成物であって、緩衝溶液と、緩衝溶液に溶解した亜鉛塩及び第1のビタミンと、を含み、液体組成物における亜鉛塩の重量パーセント濃度は、1×10-5%~3%であり、液体組成物における第1のビタミンの重量パーセント濃度は、1×10-5%~1%であり、第1のビタミンは、ビタミンB2、ビタミンB2誘導体、又はそれらの組み合わせを含む眼科製品用の液体組成物を提供する。
【0023】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、亜鉛塩は、硫酸亜鉛、硫酸亜鉛水和物、グルコン酸亜鉛、乳酸亜鉛、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、キレート化亜鉛、酢酸亜鉛、又はそれらの組み合わせを含む。
【0024】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、第1のビタミンは、リボフラビン、フラビンモノヌクレオチド及びその塩、フラビンアデニンジヌクレオチド及びその塩、又はそれらの組み合わせを含む。
【0025】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、緩衝溶液は、ホウ酸塩、リン酸塩、又はそれらの組み合わせを含む。
【0026】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、液体組成物は、親水性物質、界面活性剤、第2のビタミン、又はそれらの組み合わせを更に含む。
【0027】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、第2のビタミンは、ビタミンA、ビタミンA誘導体、ビタミンB3、ビタミンB3誘導体、ビタミンB6、ビタミンB6誘導体、ビタミンB12、ビタミンB12誘導体、ビタミンC、ビタミンC誘導体、ビタミンE、ビタミンE誘導体、又はそれらの組み合わせを含む。
【0028】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、液体組成物における第2のビタミンの重量パーセント濃度は、1×10-5%~5%である。
【0029】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、液体組成物における親水性物質の重量パーセント濃度は、1×10-3%~3%である。
【0030】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、液体組成物における界面活性剤の重量パーセント濃度は、1×10-3%~2%である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本開示内容の記述をより詳細化して完備にさせるためには、以下、本開示の実施態様と具体的な実施例を説明的に記述するが、これは、本開示の具体的な実施例を実施又は適用する唯一の形式ではない。以下に開示される各実施例は、更なる記載又は説明を必要せずに、有益な場合に互いに組み合わせたり又は置換したりしてもよいし、一実施例に他の実施例を追加してもよい。以下の叙述において、読者が以下の実施例を十分に理解できるように多くの特定の細部を詳しく記述する。しかしながら、これらの特定の細部なしで、本発明の実施例を実践することができる。
【0032】
文脈で特に説明されていない限り、本明細書及び特許請求の範囲の全体において、「含む」という用語は、開放的用語、即ち「含むが、これに限定されない」として理解されるべきである。なお、特に定義されていない限り、ここで使用される用語の意味は、当業者が理解する意味と同じである。
【0033】
本開示の一態様は、眼科製品用の液体組成物を提供する。本開示の複数の実施形態において、液体組成物は、コンタクトレンズの保存液とすることができ、即ち、使用者がコンタクトレンズを着用していない場合、コンタクトレンズをこの液体組成物に入れて保存することができる。
【0034】
液体組成物は、緩衝溶液と、亜鉛塩と、を含む。本開示の1つ又は複数の実施形態において、緩衝溶液は、ホウ酸塩及びリン酸塩を含む。ホウ酸塩は、例えば四ホウ酸ナトリウムであってよいが、これに限定されない。リン酸塩は、例えばリン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウムであってよいが、これらに限定されない。本開示の1つ又は複数の実施形態において、緩衝溶液は、ホウ酸、塩化ナトリウム、又はそれらの組み合わせを更に含むが、これらに限定されない。
【0035】
亜鉛塩は、緩衝溶液に溶解し、且つ緩衝溶液において亜鉛イオンを放出することができる。本開示の1つ又は複数の実施形態において、亜鉛塩は、硫酸亜鉛、硫酸亜鉛水和物、グルコン酸亜鉛、乳酸亜鉛、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、キレート化亜鉛、酢酸亜鉛、又はそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。液体組成物における亜鉛塩の重量パーセント濃度は、1×10-5%~3%であり、好ましくは5×10-5%~2%であり、例えば5×10-4%、1×10-4%、5×10-3%、1×10-3%、0.05%、0.01%、0.5%又は0.1%である。注意すべきこととして、液体組成物における亜鉛塩の重量パーセント濃度が上記範囲又は数値である場合、予期できない技術的効果がもたらされ、後で詳細に説明する。
【0036】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、液体組成物は、親水性物質、界面活性剤、ビタミン、又はそれらの組み合わせを更に含む。本開示の1つ又は複数の実施形態において、親水性物質は、ポリビニルアルコール、セルロース、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ヒアルロン酸、ポリグルタミン酸、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、ホスホリルコリン基重合体、ポリエチレングリコール、又はそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。本開示の1つ又は複数の実施形態において、液体組成物における親水性物質の重量パーセント濃度は、1×10-3%~3%であり、好ましくは5×10-3%~2.5%であり、例えば0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、1.5%又は2%である。
【0037】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(polyoxyethylene(20)sorbitan monolaurate;TWEEN(R) 20)、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(polyoxyethylene sorbitan monostearate;TWEEN(R) 60)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(polyoxyethylene sorbitan monooleate;TWEEN(R) 80)、ラウロイル乳酸ナトリウム(sodium lauroyl lactylate)、ポリオキシプロピレングリコール(polyoxypropylene glycol)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(polyoxyethylene hardened castor oil)、ドデシル硫酸ナトリウム(sodium dodecyl sulfate)、アルキルスルホサクシネート(GEROPON(R) SBFA-30)又はそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。本開示の1つ又は複数の実施形態において、液体組成物における界面活性剤の重量パーセント濃度は、1×10-3%~2%であり、好ましくは5×10-3%~1%であり、例えば0.01%、0.05%又は0.5%である。
【0038】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、ビタミンは、ビタミンA、ビタミンA誘導体、ビタミンB3、ビタミンB3誘導体、ビタミンB6、ビタミンB6誘導体、ビタミンB12、ビタミンB12誘導体、ビタミンC、ビタミンC誘導体、ビタミンE、ビタミンE誘導体、又はそれらの組み合わせを含む。本開示の1つ又は複数の実施形態において、液体組成物におけるビタミンの重量パーセント濃度は、1×10-5%~5%であり、好ましくは5×10-5%~3%であり、例えば1×10-4%、5×10-4%、1×10-3%、5×10-3%、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%又は2%である。注意すべきこととして、液体組成物における上記ビタミンの重量パーセント濃度が上記範囲又は数値である場合、予期できない技術的効果がもたらされ、後で詳細に説明する。
【0039】
本開示の別の態様は、緩衝溶液と、緩衝溶液に溶解した第1のビタミンと、を含む眼科製品用の液体組成物を提供する。本開示の1つ又は複数の実施形態において、緩衝溶液は、ホウ酸塩、リン酸塩、又はそれらの組み合わせを含む。ホウ酸塩及びリン酸塩の材料は、以上のように提供され、ここで繰り返して説明しない。本開示の1つ又は複数の実施形態において、緩衝溶液は、ホウ酸、塩化ナトリウム、又はそれらの組み合わせを更に含むが、これらに限定されない。
【0040】
第1のビタミンは、ビタミンB2、ビタミンB2誘導体、又はそれらの組み合わせを含む。ビタミンB2誘導体の構造は、式(I)で表されてよい。
【化1】

ここで、Rは、ヒドロキシ基、リン酸基及びリン酸基含有関連誘導体である。ビタミンB2誘導体は、例えばフラビンモノヌクレオチド、フラビンアデニンジヌクレオチドであってよいが、これらに限定されない。本開示の1つ又は複数の実施形態において、第1のビタミンは、リボフラビン、フラビンモノヌクレオチド及びその塩、フラビンアデニンジヌクレオチド及びその塩、又はそれらの組み合わせを含む。液体組成物における第1のビタミンの重量パーセント濃度は、1×10-5%~1%であり、好ましくは5×10-5%~0.5%であり、例えば1×10-4%、5×10-4%、1×10-3%、5×10-3%、0.01%、0.05%又は0.1%である。注意すべきこととして、液体組成物における第1のビタミンの重量パーセント濃度が上記範囲又は数値である場合、予期できない技術的効果がもたらされ、後で詳細に説明する。
【0041】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、液体組成物は、親水性物質、界面活性剤、第2のビタミン、又はそれらの組み合わせを更に含む。親水性物質及び界面活性剤の材料、並びに液体組成物におけるそれらのそれぞれの重量パーセント濃度は、以上のように提供され、ここで繰り返して説明しない。
【0042】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、第2のビタミンは、ビタミンA、ビタミンA誘導体、ビタミンB3、ビタミンB3誘導体、ビタミンB6、ビタミンB6誘導体、ビタミンB12、ビタミンB12誘導体、ビタミンC、ビタミンC誘導体、ビタミンE、ビタミンE誘導体、又はそれらの組み合わせを含む。本開示の1つ又は複数の実施形態において、液体組成物における第2のビタミンの重量パーセント濃度は、1×10-5%~5%であり、好ましくは5×10-5%~3%であり、例えば1×10-4%、5×10-4%、1×10-3%、5×10-3%、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%又は2%である。注意すべきこととして、液体組成物における第2のビタミンの重量パーセント濃度が上記範囲又は数値である場合、予期できない技術的効果がもたらされ、後で詳細に説明する。
【0043】
本開示の更に別の態様は、緩衝溶液と、緩衝溶液に溶解した亜鉛塩及び第1のビタミンと、を含む眼科製品用の液体組成物を提供する。本開示の1つ又は複数の実施形態において、緩衝溶液は、ホウ酸塩、リン酸塩、又はそれらの組み合わせを含む。ホウ酸塩及びリン酸塩の材料は、以上のように提供され、ここで繰り返して説明しない。本開示の1つ又は複数の実施形態において、緩衝溶液は、ホウ酸、塩化ナトリウム、又はそれらの組み合わせを更に含むが、これらに限定されない。
【0044】
亜鉛塩は、緩衝溶液に溶解し、且つ緩衝溶液において亜鉛イオンを放出することができる。本開示の1つ又は複数の実施形態において、亜鉛塩の材料及び液体組成物におけるその重量パーセント濃度は、以上のように提供され、ここで繰り返して説明しない。注意すべきこととして、液体組成物における亜鉛塩の重量パーセント濃度が上記範囲又は数値である場合、予期できない技術的効果がもたらされ、後で詳細に説明する。
【0045】
第1のビタミンは、ビタミンB2、ビタミンB2誘導体、又はそれらの組み合わせを含む。ビタミンB2及びビタミンB2誘導体の構造及び液体組成物におけるそれらの重量パーセント濃度は、以上のように提供され、ここで繰り返して説明しない。注意すべきこととして、液体組成物における第1のビタミンの重量パーセント濃度が上記範囲又は数値である場合、予期できない技術的効果がもたらされ、後で詳細に説明する。
【0046】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、液体組成物は、親水性物質、界面活性剤、第2のビタミン、又はそれらの組み合わせを更に含む。親水性物質、界面活性剤及び第2のビタミンの材料、並びに液体組成物におけるそれらのそれぞれの重量パーセント濃度は、以上のように提供され、ここで繰り返して説明しない。
【0047】
以下、3組の実施例及び1組の比較例を提供する。実施例は、本開示の特定の態様を詳細に説明し、当業者が本開示を実施できるようにするために提供され、本開示を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0048】
実施例及び比較例において、被験者は、同じコンタクトレンズを着用する。実施例と比較例の主な違いは、実施例のコンタクトレンズが本開示の液体組成物に予め保存されるが、比較例のコンタクトレンズが他の液体組成物に予め保存されることである。注意すべきこととして、本開示の液体組成物には、亜鉛塩、ビタミンB2及びビタミンB2誘導体の何れか1つ又はその組み合わせが含まれるが、比較例におけるコンタクトレンズを予め保存するための液体組成物には、亜鉛塩、ビタミンB2及びビタミンB2誘導体の何れか1つが含まれない。
【0049】
第1組の実施例は、実施例A1~実施例A12を含む。表1には、実施例A1~実施例A12の具体的な成分及び液体組成物におけるそれらの重量パーセント濃度(単位が%)が記載され、その中に以下の成分を含んでよい。
1.緩衝溶液:緩衝溶液に四ホウ酸ナトリウム、ホウ酸及び塩化ナトリウムが同時に含有される。
2.親水性物質:ヒアルロン酸(Hyaluronic acid)及び平均分子量が400のポリビニルアルコール(PEG 400)。
3.界面活性剤:液体組成物における重量パーセント濃度が0.08%のポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(TWEEN(R) 80)。
4.亜鉛塩:硫酸亜鉛、乳酸亜鉛。
5.ビタミン:ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンE。
【0050】
実施例A1~実施例A3において、液体組成物には、硫酸亜鉛又は乳酸亜鉛の何れか1つが含まれ、且つ液体組成物における硫酸亜鉛又は乳酸亜鉛の重量パーセント濃度は、0.001%である。更に、実施例A1においては、ヒアルロン酸、PEG 400及びTWEEN(R) 80が含まれないが、実施例A2~実施例A3においては、ヒアルロン酸、PEG 400及びTWEEN(R) 80が同時に含有される。
【0051】
実施例A4~実施例A6の組成及びその重量パーセント濃度は、実施例A2にほぼ類似し、違いは、実施例A4~実施例A6において硫酸亜鉛及び乳酸亜鉛が同時に含有されることである。実施例A4~実施例A6において、液体組成物における硫酸亜鉛及び乳酸亜鉛のそれぞれの重量パーセント濃度は、それぞれ0.001%、0.25%及び1%である。
【0052】
実施例A7~実施例A8の組成及びその重量パーセント濃度は、実施例A5にほぼ類似し、違いは、実施例A7においてビタミンB6及びビタミンB12が更に含まれ、実施例A8においてビタミンB6、ビタミンB12及びビタミンEが更に含まれることである。
【0053】
実施例A9の組成及びその重量パーセント濃度は、実施例A6にほぼ類似し、違いは、実施例A9においてビタミンB6、ビタミンB12及びビタミンEが更に含まれることである。
【0054】
実施例A10~実施例A12の組成及びその重量パーセント濃度は、実施例A8にほぼ類似し、違いは、実施例A10においてヒアルロン酸が含まれず、実施例A11においてヒアルロン酸及びPEG 400が含まれず、実施例A12においてヒアルロン酸、PEG 400及びTWEEN(R) 80が含まれないことである。
【0055】
比較例は、比較例B1~比較例B3を含む。比較例B1、比較例B2及び比較例B3の組成及びその重量パーセント濃度は、それぞれ実施例A1、実施例A2及び実施例A8にほぼ類似し、違いは、比較例B1~比較例B3が硫酸亜鉛及び乳酸亜鉛の何れか1つを全く含まないことである。表2には、比較例B1~比較例B3の具体的な成分及び液体組成物におけるそれらの重量パーセント濃度(単位が%)が記載されている。
【表1】

【表2】
【0056】
以下、当分野で一般的に使用される視覚アナログ尺度(Visual Analogue Scale;VAS)により、5人の被験者が表1(実施例A1~実施例A12)及び表2(比較例B1~比較例B3)に示す液体組成物に保存されたコンタクトレンズを着用した後の自覚的症状を評価する。評価項目は、快適さ、湿潤度、明視度及び異物感のなさを含み、各評価項目は、被験者がコンタクトレンズを着用した直後、コンタクトレンズを1時間着用した後、4時間着用した後及び8時間着用した後の評価に更に細分化することができる。自覚的症状の評価点数は、1~10であり、数値が大きいほど、自覚的症状が良くなることを示し、数値が低いほど、自覚的症状が悪くなることを示す。表3には、被験者がコンタクトレンズを着用した後の自覚的症状の評価結果が示される。
【表3】
【0057】
表3から、比較例B1と比べ、実施例A1は、快適さ、湿潤度、明視度及び異物感のなさについての自覚的症状の評価点数がより高いことが分かる。表3から、被験者がコンタクトレンズを着用した直後、コンタクトレンズを1時間着用した後、4時間着用した後及び8時間着用した後の何れにおいても、上記した自覚的症状の評価点数について、実施例A1は、依然として比較例B1より高いことも分かる。同様に、実施例A2及び実施例A8の上記した自覚的症状の評価点数もそれぞれ比較例B2及び比較例B3より高い。
【0058】
注意すべきこととして、実施例A1~実施例A3(硫酸亜鉛又は乳酸亜鉛の何れか1つを含有する)、実施例A4~実施例A6(硫酸亜鉛及び乳酸亜鉛を同時に含有する)、実施例A7(硫酸亜鉛及び乳酸亜鉛を同時に含有することに加え、ビタミンB6及びビタミンB12をも含有する)、又は実施例A8(硫酸亜鉛及び乳酸亜鉛を同時に含有することに加え、ビタミンB6、ビタミンB12及びビタミンEをも含有する)の何れにおいても、快適さ、湿潤度、明視度及び異物感のなさについての被験者の自覚的症状の評価が比較例B1~比較例B3よりも明らかに優れている。
【0059】
これにより、本開示は、特定の含有量の亜鉛塩を加え、いくつかの種類のビタミンを選択可能に加えることで、被験者がコンタクトレンズを着用する時により好ましい快適さ、湿潤度、明視度及び異物感のなさを得ることができる、コンタクトレンズを保存するための新規な液体組成物を提供したことが分かる。
【0060】
更に注意すべきこととして、ヒアルロン酸、PEG 400及び/又はTWEEN(R) 80を含まない場合(実施例A10~実施例A12を参照)でも、被験者の自覚的症状の評価が比較例B1~比較例B3よりも明らかに優れている。これにより、親水性物質及び/又は界面活性剤を含まない場合でも、本開示のコンタクトレンズを保存するための新規な液体組成物によれば、被験者がコンタクトレンズを着用する時により好ましい快適さ、湿潤度、明視度及び異物感のなさを得ることができることが分かる。
【0061】
第2組の実施例は、実施例C1~実施例C12を含む。実施例C1~実施例C12の具体的な成分は、それぞれ実施例A1~実施例A12にほぼ類似し、違いは、実施例C1~実施例C12において硫酸亜鉛及び/又は乳酸亜鉛を含まないが、フラビンモノヌクレオチド及び/又はフラビンアデニンジヌクレオチドが加えられ、液体組成物におけるフラビンモノヌクレオチド及び/又はフラビンアデニンジヌクレオチドのそれぞれの重量パーセント濃度を変化させたことである。当業者は、フラビンモノヌクレオチド及びフラビンアデニンジヌクレオチドがビタミンB2誘導体のうちのいくつかの例であることを理解できるはずである。表4には、実施例C1~実施例C12の具体的な成分及び液体組成物におけるそれらの重量パーセント濃度(単位が%)が記載されている。
【0062】
同様に、当分野で一般的に使用される視覚アナログ尺度(Visual Analogue Scale)により、5人の被験者が表4に示す液体組成物に保存されたコンタクトレンズを着用した後の自覚的症状を評価する。評価項目の具体的な内容は、上記のように記載され、ここで繰り返して説明しない。表5には、被験者がコンタクトレンズを着用した後の自覚的症状の評価結果が示される。
【0063】
表5から、比較例B1と比べ、実施例C1は、快適さ、湿潤度、明視度及び異物感のなさについての自覚的症状の評価点数がより高いことが分かる。表5から、被験者がコンタクトレンズを着用した直後、コンタクトレンズを1時間着用した後、4時間着用した後及び8時間着用した後の何れにおいても、上記した自覚的症状の評価点数について、実施例C1は、依然として比較例B1より高いことも分かる。同様に、実施例C2及び実施例C8の上記した自覚的症状の評価点数もそれぞれ比較例B2及び比較例B3より高い。
【0064】
注意すべきこととして、実施例C1~実施例C3(フラビンモノヌクレオチド及び/又はフラビンアデニンジヌクレオチドの何れか1つを含有する)、実施例C4~実施例C6(フラビンモノヌクレオチド及び/又はフラビンアデニンジヌクレオチドを同時に含有する)、実施例C7(フラビンモノヌクレオチド及び/又はフラビンアデニンジヌクレオチドを同時に含有することに加え、ビタミンB6及びビタミンB12をも含有する)、又は実施例C8(フラビンモノヌクレオチド及び/又はフラビンアデニンジヌクレオチドを同時に含有することに加え、ビタミンB6、ビタミンB12及びビタミンEをも含有する)の何れにおいても、快適さ、湿潤度、明視度及び異物感のなさについての被験者の自覚的症状の評価が比較例B1~比較例B3よりも明らかに優れている。これにより、本開示は、特定の含有量のフラビンモノヌクレオチド及び/又はフラビンアデニンジヌクレオチドを加え、いくつかの他の種類のビタミンを選択可能に加えることで、被験者がコンタクトレンズを着用する時により好ましい快適さ、湿潤度、明視度及び異物感のなさを得ることができる、コンタクトレンズを保存するための新規な液体組成物を提供したことが分かる。
【0065】
更に、ヒアルロン酸、PEG 400及び/又はTWEEN(R) 80を含まない場合(実施例C10~実施例C12を参照)でも、被験者の自覚的症状の評価が比較例B1~比較例B3よりも明らかに優れている。これにより、親水性物質及び/又は界面活性剤を含まない場合でも、本開示のコンタクトレンズを保存するための新規な液体組成物によれば、被験者がコンタクトレンズを着用する時により好ましい快適さ、湿潤度、明視度及び異物感のなさを得ることができることが分かる。
【表4】

【表5】
【0066】
第3組の実施例は、実施例D1~実施例D4を含む。表6には、実施例D1~実施例D4の具体的な成分及び液体組成物におけるそれらの重量パーセント濃度(単位が%)が記載されている。表6に示すように、実施例D1~実施例D4のそれぞれにおいては、0.20%の硫酸亜鉛、0.05%の乳酸亜鉛及び0.05%のフラビンモノヌクレオチドを同時に含有するが、比較例B1~比較例B3においては、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛及びフラビンモノヌクレオチドの何れか1つを全く含有しない。
【0067】
同様に、当分野で一般的に使用される視覚アナログ尺度(Visual Analogue Scale)により、5人の被験者が表6に示す液体組成物に保存されたコンタクトレンズを着用した後の自覚的症状を評価する。評価項目の具体的な内容は、上記のように記載され、ここで繰り返して説明しない。表7には、被験者がコンタクトレンズを着用した後の自覚的症状の評価結果が示される。
【0068】
表7から、比較例B1~比較例B3と比べ、実施例D1~実施例D4は、快適さ、湿潤度、明視度及び異物感のなさについての自覚的症状の評価点数がより高いことが分かる。換言すれば、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、フラビンモノヌクレオチドを同時に含有し、いくつかの他の種類のビタミンを選択可能に加える場合、本開示のコンタクトレンズを保存するための新規な液体組成物によれば、被験者がコンタクトレンズを着用する時により好ましい快適さ、湿潤度、明視度及び異物感のなさを得ることができる。更に、実施例D1によれば、ヒアルロン酸及びPEG 400を含まない場合でも、被験者の自覚的症状の評価が比較例B1~比較例B3よりも優れていることを示した。
【表6】

【表7】
【0069】
以上を纏めると、本開示は、眼科製品用の液体組成物、例えば、コンタクトレンズを保存するための液体組成物を提供する。この液体組成物は、特定の添加量の亜鉛塩、ビタミンB2及び/又はビタミンB2誘導体を含む。上記亜鉛塩は、液体組成物の緩衝溶液において亜鉛イオンを放出することができる。複数回の実験により、被験者が本開示の液体組成物に予め保存されたコンタクトレンズを着用する時、被験者がより好ましい快適さ、湿潤度、明視度及び異物感のなさを得ることができ、且つ、被験者がコンタクトレンズを着用した直後、コンタクトレンズを1時間着用した後、4時間着用した後及び8時間着用した後に依然として良好な快適さ、湿潤度、明視度及び異物感のなさを感じることができることが証明された。換言すれば、本開示は、コンタクトレンズを保存するための新規な液体組成物を提供することで、被験者がコンタクトレンズを着用する感覚を効果的に向上させることができ、被験者の目の角膜の健康状態を保持することに寄与する。
【0070】
上記は、当業者が本開示の態様を良く理解できるように、いくつかの実施例又は実例の特徴を概説した。当業者は、本文に説明された実施形態と同じ目的を実行するか及び/又は同じ利点を達成するための他のプロセス及び構造を設計又は修正する基礎として、本開示を容易に使用できることを理解すべきである。当業者は、これらの等価構造が本開示の精神及び範囲から逸脱しておらず、且つ本開示の精神及び範囲から逸脱しない限り本文において各種の変化、置換や変更を行うことができることを同時に意識すべきである。