特許 7432656 空圧機装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2024-02-07

(45)【発行日】2024-02-16

(54)【発明の名称】空圧機装置

(51)【国際特許分類】

   F04B 41/00 20060101AFI20240208BHJP

【ＦＩ】

F04B41/00 A

【請求項の数】 2

(21)【出願番号】P 2022081274

(22)【出願日】2022-05-18

(65)【公開番号】P2022179411

(43)【公開日】2022-12-02

【審査請求日】2022-05-18

(31)【優先権主張番号】110118147

(32)【優先日】2021-05-19

(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW

(73)【特許権者】

【識別番号】501164676

【氏名又は名称】周 文三

(73)【特許権者】

【識別番号】519443952

【氏名又は名称】周 承賢

(74)【代理人】

【識別番号】100107766

【弁理士】

【氏名又は名称】伊東 忠重

(74)【代理人】

【識別番号】100070150

【弁理士】

【氏名又は名称】伊東 忠彦

(74)【代理人】

【識別番号】100135079

【弁理士】

【氏名又は名称】宮崎 修

(72)【発明者】

【氏名】周 文三

(72)【発明者】

【氏名】周 承賢

【審査官】田谷 宗隆

(56)【参考文献】

【文献】登録実用新案第３２３８３１０（ＪＰ，Ｕ）

【文献】特開２０２０－０９７９３６（ＪＰ，Ａ）

【文献】登録実用新案第３２０４４１９（ＪＰ，Ｕ）

【文献】実開昭５５－１４４８７１（ＪＰ，Ｕ）

【文献】米国特許第１００４７７３７（ＵＳ，Ｂ２）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｆ０４Ｂ ４１／００

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

空圧機と、前記空圧機を中に収容する筐体とを備えた、空圧機装置であって、
前記空圧機は、フレーム、シリンダー、モータ及び伝動機構を有し、
前記フレームは、複数の位置決め孔を有し、前記位置決め孔は、第１の位置決め孔及び第２の位置決め孔を含み、
前記シリンダーは、前記フレームに結合されるとともに、空気貯蔵ユニットに連通され、
前記モータは、前記フレームと組み合わされ、前記フレームの前記第１の位置決め孔には、前記モータの芯端に設けた小歯車が挿入され、前記モータの内軸受座が前記第１の位置決め孔内に収容され、
前記伝動機構は、前記シリンダー内でピストン本体を往復運動させて圧縮空気を発生させ、
前記モータは、始端部に延設された少なくとも１つの位置決め部を介して前記フレームと係合され、
前記モータのハウジングの始端部には、複数の位置決め部が延設され、
前記位置決め部の末端部には、フック部が設けられ、
前記フレームは、前記位置決め部に対応するように、上下に貫通されて形成された透孔を有し、前記フレームの前記第１の位置決め孔に近い外周には、リング状位置決め溝が環状に凹設され、
複数の前記位置決め部を前記フレーム上の前記透孔に挿通して前記モータを回すと、前記位置決め部の末端の前記フック部がリング状位置決め溝に係合されるため、前記モータはねじを使用しなくても前記フレームと組み合わされて確実に固設されることを特徴とする空圧機装置。

【請求項2】

前記モータのハウジングの円柱形周面上には、放熱口が設けられ、
前記放熱口は、前記モータのハウジング内部と、前記モータのハウジング外部とに気体を流通させることを特徴とする請求項１に記載の空圧機装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、空圧機装置に関し、特に、ねじを使用せずにモータをフレームに確実に固設することができるとともに、空圧機を筐体内に収容することができる、空圧機装置に関する。

【背景技術】

【0002】

従来の空圧機は、フレームと、前記フレームに結合されたシリンダーと、フレームに取付けられたモータと、モータにより駆動されシリンダー内で往復運動するピストン本体と、を含み、モータによりシリンダー内でピストン本体を往復運動させることにより、ガス（気体）の吸入・圧縮を行い、加圧ガスを排出させ、空圧機全体を筐体内に配設する。

【0003】

一般に、従来の空圧機のモータの大部分は、ねじによりフレーム上にねじ止めされていたが、空圧機を長期間使用すると、ねじが外れたり緩んだりして使用寿命が短くなることがあった。また、ねじはフレーム本体に挿通し、モータのハウジングのねじ孔に螺着しなければならなかったが、空間により制限され、ねじを締め付ける工具をフレーム本体及びその周辺部品に挿通させることが出来ないことがある。しかし、その場合ねじを使用してモータをフレーム上にスムーズにねじ止めすることが困難となることがあった。本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、本発明者は、長年にわたり空圧機の研究・開発に力を注ぎ、空圧機装置を発明した。

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

本発明の主な課題は、空圧機と、前記空圧機を中に収容する筐体とを備える空圧機装置を提供することにある。空圧機は、フレーム、シリンダー、モータ及び伝動機構を有する。フレームは、複数の位置決め孔を有し、位置決め孔は、第１の位置決め孔及び第２の位置決め孔を含む。シリンダーは、前記フレームに結合されるとともに、空気貯蔵ユニットに連通される。モータは、フレームと組み合わされ、フレームの第１の位置決め孔には、モータの芯端に設けた小歯車が挿入され、モータの内軸受座が第１の位置決め孔内に収容される。伝動機構は、シリンダー内でピストン本体を往復運動させて圧縮空気を発生させる。空圧機内のモータは、始端部に延設された少なくとも１つの位置決め部を介してフレームと係合される。モータのハウジングの始端部には、複数の位置決め部が延設される。位置決め部の末端部には、フック部が設けられる。フレームは、前記位置決め部に対応するように、上下に貫通されて形成された透孔を有し、前記フレームの前記第１の位置決め孔に近い外周には、リング状位置決め溝が環状に凹設される。複数の位置決め部をフレーム上の透孔に挿通してモータを回すと、位置決め部の末端のフック部がリング状位置決め溝に係合されるため、モータはねじを使用しなくてもフレームと組み合わされて確実に固設される。

【0005】

本発明のもう一つの課題は、上記の空圧機装置で、モータのハウジングの円柱形周面上に形成された放熱口が設けられる。放熱口は、モータのハウジング内部と、モータのハウジング外部とに気体を流通させる。

【図面の簡単な説明】

【0006】

【図1】図１は、本発明の一実施形態に係る空圧機装置の一部の部材を示す分解斜視図である。

【図2】図２は、本発明の一実施形態に係る空圧機装置を示す組立動作図である。

【図3】図３は、本発明の一実施形態に係る空圧機装置のフレーム及びモータの動作状態の説明図である。

【図4】図４は、本発明の一実施形態に係る空圧機装置のフレーム及びモータの一部を示す断面斜視図である。

【図5】図５は、本発明の一実施形態に係る空圧機が筐体内に設置された状態を示す断面斜視図である。

【図6】図６は、図５の半断面図である。

【発明を実施するための形態】

【0007】

以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、これによって本発明が限定されるものではない。

【0008】

図１～図４を参照する。図１～図４に示すように、本実施形態に係る空圧機１０は、フレーム１と、フレーム１に結合されたシリンダー２と、フレーム１と組み合わせたモータ４と、モータ４により駆動されてシリンダー２内で往復運動するピストン本体５と、を含む。

【0009】

フレーム１は、複数の位置決め孔を有する。複数の位置決め孔は、第１の位置決め孔１１及び第２の位置決め孔１２を含む。第１の位置決め孔１１には、モータ４の芯端に設けた小歯車６１が挿入され、モータ４の内軸受座４１が第１の位置決め孔１１内に収容される。第２の位置決め孔１２内には、軸受１２１が設けられる。前述したモータ４のハウジングの円柱形周面上には、完全に貫通されて形成された２つの放熱口４３が対称に設けられ、放熱口４３は、モータ４のハウジング内部と、モータ４のハウジング外部とに気体を流通させることができる。

【0010】

シリンダー２は、フレーム１に一体成形される。シリンダー２は、空気貯蔵ユニット３と連通する。空気貯蔵ユニット３には、気体を出力するホース３１と、圧力計３２とが取り付けられる少なくとも１つのマニホールド３０が設けられる。

【0011】

伝動機構６は、カウンターウェイトブロックを有する大歯車６２を含む。大歯車６２は、前述した小歯車６１に噛合される。大歯車６２は、軸杆を介して前述した軸受１２１と接続される（これは従来技術であるため図示しない）。伝動機構６は、前述したシリンダー２内でピストン本体５を往復運動させて圧縮空気を発生させる。

【0012】

図１～図６を参照する。図１～図６に示すように、本発明の特徴は、モータ４のハウジングの始端部４２に、複数の位置決め部４５が延設され、位置決め部４５の末端部には、フック部４５１が設けられ、フレーム１は、複数の位置決め部４５に対応するように、上下に貫通されて形成された透孔１３を有し、フレーム１の第１の位置決め孔１１に近い外周には、リング状位置決め溝１４が環状に凹設されている。前述した複数の位置決め部４５をフレーム１上の透孔１３に挿通してモータ４を回すと、位置決め部４５末端のフック部４５１がリング状位置決め溝１４に係合されるため、モータ４はねじを使用しなくてもフレーム１と組み合わされて確実に固設することができる。

【0013】

図５及び図６は、空圧機１０が筐体７内に設置された状態を示す部分断面図である。図５及び図６に示すように、筐体７の上ハウジング及び下ハウジングの内側壁が、前述したモータ４のハウジングの円柱形周面上に形成された放熱口４３に対応した箇所には、複数の凸柱７１が設けられ、空圧機１０を筐体７内に設置すると、筐体７の内側に設けられた凸柱７１が、モータ４の円柱形周面上に形成された放熱口４３に嵌入されているため、空圧機１０を使用する際、又は外力を受けて反転した際、モータ４とフレーム１との係合状態が解除されることを防ぐことができる。

【0014】

上述したことから分かるように、本発明に係る空圧機装置は、モータ４の始端部４２に延設された位置決め部４５と、空圧機１０のフレーム１とを係合させることができるため、モータ４はねじを使用しなくてもフレーム１と組み合わされて確実に固設することができる。空圧機１０は、筐体７内に収容され、モータ４の円柱形ハウジングに形成された放熱口４３が、筐体７の上ハウジング及び下ハウジングの凸柱７１により位置拘束されるため、外力を受けて反転した際、モータ４とフレーム１との係合状態が解除されることを防ぐことができる。

【符号の説明】

【0015】

１：フレーム
２：シリンダー
３：空気貯蔵ユニット
４：モータ
５：ピストン本体
６：伝動機構
７：筐体
１０：空圧機
１１：第１の位置決め孔
１２：第２の位置決め孔
１３：透孔
１４：リング状位置決め溝
３０：マニホールド
３１：ホース
３２：圧力計
４１：内軸受座
４２：始端部
４３：放熱口
４５：位置決め部
６１：小歯車
６２：大歯車
７１：凸柱
１２１：軸受
４５１：フック部

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】