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特許7432672アスコルビン酸とリポソーム化したトコフェロール、メナジオン、リノール酸、及びレチニルパルミテートを含有する固形状剤型の化粧料組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】アスコルビン酸とリポソーム化したトコフェロール、メナジオン、リノール酸、及びレチニルパルミテートを含有する固形状剤型の化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/67 20060101AFI20240208BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20240208BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20240208BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20240208BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20240208BHJP
   A61K 8/55 20060101ALI20240208BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20240208BHJP
   A61Q 1/12 20060101ALI20240208BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20240208BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
A61K8/67
A61K8/92
A61K8/37
A61K8/49
A61K8/34
A61K8/55
A61K8/36
A61Q1/12
A61Q1/00
A61Q19/08
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022140843
(22)【出願日】2022-09-05
(65)【公開番号】P2024018826
(43)【公開日】2024-02-08
【審査請求日】2022-09-05
(31)【優先権主張番号】10-2022-0094197
(32)【優先日】2022-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522352627
【氏名又は名称】エコメント カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ECOMENT CO., LTD
【住所又は居所原語表記】63-5 Sandan-ro, Pyeongtaek-si, Gyeonggi-do, 17744, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】シン,ジェ ホン
(72)【発明者】
【氏名】シム,ヘ ジン
(72)【発明者】
【氏名】ユ,ウン ジュ
(72)【発明者】
【氏名】シン,チャン ヨプ
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-015340(JP,A)
【文献】特表2008-502635(JP,A)
【文献】特開2011-195510(JP,A)
【文献】特開平08-020529(JP,A)
【文献】特開2006-137684(JP,A)
【文献】国際公開第2019/240290(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/208473(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料組成物の全体量に対して、純粋アスコルビン酸分散物40.0~60.0%(w/v)、リポソーム組成物1.0~10.0%(w/v)、ビーズワックス1.0~10.0%(w/v)、シアバター1.0~10.0%(w/v)、植物性オイル10.0~20.0%(w/v)、及び残量のカプリル酸/カプリン酸トリグリセリドを混合して製造したものであって、
前記アスコルビン酸分散物は、アスコルビン酸分散物の全体量に対して、純粋アスコルビン酸粉末50.0~80.0%(w/v)、セチルエチルヘキサノエート10.0~30.0%(w/v)、トコフェリルアセテート0.1~5.0%(w/v)、ソルビタンセスキオレエート0.1~5.0%(w/v)、及び残量のヘキシルデシルエチルヘキサノエートを含むものであって、
前記リポソーム組成物は、リポソーム組成物の全体量に対して、グリセリン10.0~30.0%(w/v)、1,2-ヘキサンジオール1.0~5.0%(w/v)、及び残量の精製水を含む水相成分;ハイドロジェネイティドレシチン1.0~15.0%(w/v)を含む乳化剤;及びトコフェロール0.05~10.0%(w/v)、メナジオン0.05~10.0%(w/v)、リノール酸0.05~10.0%(w/v)、及びレチニルパルミテート0.05~10.0%(w/v)を含む油相成分;を含むものである、皮膚老化改善用化粧料組成物。
【請求項2】
前記化粧料組成物は、
ビーズワックス、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、シアバター及び植物性オイルを加温して溶解した後で分散し、
アスコルビン酸分散物とリポソーム組成物を添加して混合したことを特徴とする、請求項1に記載の皮膚老化改善用化粧料組成物。
【請求項3】
前記化粧料組成物は、
固形状剤型を有することを特徴とする、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項4】
前記化粧料組成物は、
固形タイプのファウンデーション、ボディーバーム、スティックバーム、ブラッシャー、アイベース、アイシャドウ、アイブロウ、ツインケーキ、マルチバーム、プライマー、リップバーム、リップスティック及びメーキャップベースからなる固形状の製品群から選ばれたいずれか一つ以上であることを特徴とする、請求項3に記載の化粧料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスコルビン酸とリポソーム化したトコフェロール、メナジオン、リノール酸、及びレチニルパルミテートを含有する固形状剤型の化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品は、人体を清潔にしたり美化する製品であって、最近の経済発展と伴って消費水準が高くなりながら、化粧品に対する関心が高まっている。最近は、従来の保湿、美白効果などの基本的な機能を超えて、抗酸化、免疫機能強化、コラーゲン生成などの多様な機能を有する化粧料組成物に対する需要が多い状況にある。
【0003】
アスコルビン酸(ascorbic acid)の場合、人体の免疫機能の上昇、コラーゲンの生成促進、しわの防止、傷ついた皮膚組織の再生を促進する作用をし、皮膚、血液及び組織での強力な生体抗酸化剤として作用するものとして知られている。
【0004】
ただし、アスコルビン酸(ascorbic acid)は、非常に不安定であり、空気、特に酸素、熱及び光などの外部環境に敏感に反応し、容易に分解される傾向を有する。アスコルビン酸、すなわち、ビタミンCの特性上、水溶液内には多くの量が溶解され得るが、速い酸化作用によって十分な量のビタミンCが安定化できないので、医薬、食品、化粧品などでは、活性物質(active ingredient)として少量のみが作用可能であると報告されている。
【0005】
そこで、アスコルビン酸を高含量で含有しながらも安定を維持し、長時間保管したときにも析出されないようにする化粧料組成物に関する研究が必要な状況にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】韓国公開特許第10-2022-0091666号(2022.07.01)
【文献】韓国登録特許第10-1636386号(2016.06.29)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一つの目的は、化粧料組成物の全体量に対して、アスコルビン酸分散物40.0~60.0%(w/v)、リポソーム組成物1.0~10.0%(w/v)、ビーズワックス1.0~10.0%(w/v)、シアバター1.0~10.0%(w/v)、植物性オイル10.0~20.0%(w/v)、及び残量のカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(Caprylic/Capric Triglyceride)を混合して製造した皮膚老化改善用化粧料組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、化粧料組成物の全体量に対して、アスコルビン酸分散物40.0~60.0%(w/v)、リポソーム組成物1.0~10.0%(w/v)、ビーズワックス1.0~10.0%(w/v)、シアバター1.0~10.0%(w/v)、植物性オイル10.0~20.0%(w/v)、及び残量のカプリル酸/カプリン酸トリグリセリドを混合して製造したものであって、
前記アスコルビン酸分散物は、アスコルビン酸分散物の全体量に対して、アスコルビン酸粉末50.0~80.0%(w/v)、セチルエチルヘキサノエート10.0~30.0%(w/v)、トコフェリルアセテート0.1~5.0%(w/v)、ソルビタンセスキオレエート0.1~5.0%(w/v)、及び残量のヘキシルデシルエチルヘキサノエートを含むものであって、
前記リポソーム組成物は、リポソーム組成物の全体量に対して、グリセリン10.0~30.0%(w/v)、1,2-ヘキサンジオール1.0~5.0%(w/v)、及び残量の精製水を含む水相成分;ハイドロジェネイティドレシチン1.0~15.0%(w/v)を含む乳化剤;及びトコフェロール0.05~10.0%(w/v)、メナジオン0.05~10.0%(w/v)、リノール酸0.05~10.0%(w/v)、及びレチニルパルミテート0.05~10.0%(w/v)を含む油相成分;を含むものである、皮膚老化改善用化粧料組成物を提供する。
【0009】
本発明の化粧料組成物において、前記混合は、好ましくは、ビーズワックス、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、シアバター及び植物性オイルを加温して溶解した後で分散し、アスコルビン酸分散物とリポソーム組成物を添加して混合すると良い。
【0010】
本発明の前記化粧料組成物は、固形状のバームタイプの剤型を有する。好ましくは、本発明の前記化粧料組成物は、固形タイプのファウンデーション、ボディーバーム、スティックバーム、ブラッシャー、アイベース、アイシャドウ、アイブロウ、ツインケーキ、マルチバーム、プライマー、リップバーム、リップスティック及びメーキャップベースからなる固形状の製品群から選ばれたいずれか一つ以上であり得る。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る化粧料組成物は、リポソームにアスコルビン酸を安定的に分散させ、高含量のアスコルビン酸を長期間保存することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1-1】本発明の実施例3-3の化粧料組成物を製造した後、3ヶ月経過したアスコルビン酸の含有量を確認した試験検査成績書である。
図1-2】図1-1に示す試験検査成績書の日本語訳である。
図2】本発明の実施例3-3の化粧料組成物の剤型を確認した図である。
図3-1】本発明の実施例3-3の化粧料組成物の安定性試験記録書である。
図3-2】図3-1に示す安定性試験記録書の日本語訳である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
これを具体的に説明すると、次の通りである。一方、本発明で開示されたそれぞれの説明及び実施形態は、それぞれの他の説明及び実施形態にも適用され得る。すなわち、本発明で開示された多様な要素の全ての組み合わせが本発明の範疇に属する。また、下記で記述した具体的な叙述によって本発明の範疇が制限されると見なすことはできない。
【0014】
アスコルビン酸(Ascorbic Acid)は、人体の免疫機能を高め、皮膚に塗布する場合、軟骨、毛細血管、筋肉などの構成要素であるコラーゲンの生成を促進し、紫外線が皮膚に浸透して生じる化学物質を破壊し、皮膚の損傷を防止する役割をする。また、アスコルビン酸(Ascorbic Acid)は、抗酸化剤として活性酸素の作用を抑制し、しわを防止し、皮膚を健康に維持させ、傷ついた皮膚組織の治療、アレルギー反応の抑制などに効能を有するものとして知られている。
【0015】
しかし、アスコルビン酸(Ascorbic Acid)は、水溶液相の不安定性に影響を与える外部環境に敏感に反応し、化粧料組成物の品質適性を毀損させるという問題を誘発する。
【0016】
そこで、本発明は、化粧料組成物の全体量に対して、アスコルビン酸分散物40.0~60.0%(w/v)、リポソーム組成物1.0~10.0%(w/v)、ビーズワックス1.0~10.0%(w/v)、シアバター1.0~10.0%(w/v)、植物性オイル10.0~20.0%(w/v)、及び残量のカプリル酸/カプリン酸トリグリセリドを混合して製造したものであって、
前記アスコルビン酸分散物は、アスコルビン酸分散物の全体量に対して、アスコルビン酸粉末50.0~80.0%(w/v)、セチルエチルヘキサノエート10.0~30.0%(w/v)、トコフェリルアセテート0.1~5.0%(w/v)、ソルビタンセスキオレエート0.1~5.0%(w/v)、及び残量のヘキシルデシルエチルヘキサノエートを含むものであって、
前記リポソーム組成物は、リポソーム組成物の全体量に対して、グリセリン10.0~30.0%(w/v)、1,2-ヘキサンジオール1.0~5.0%(w/v)、及び残量の精製水を含む水相成分;ハイドロジェネイティドレシチン1.0~15.0%(w/v)を含む乳化剤;及びトコフェロール0.05~10.0%(w/v)、メナジオン0.05~10.0%(w/v)、リノール酸0.05~10.0%(w/v)、及びレチニルパルミテート0.05~10.0%(w/v)を含む油相成分;を含むものである、皮膚老化改善用化粧料組成物を提供する。
【0017】
このとき、前記化粧料組成物は、さらに好ましくは、化粧料組成物の全体量に対して、アスコルビン酸分散物45.0~55.0%(w/v)、リポソーム組成物1.0~5.0%(w/v)、ビーズワックス3.0~7.0%(w/v)、シアバター5.0~10.0%(w/v)、植物性オイル10.0~20.0%(w/v)、及び残量のカプリル酸/カプリン酸トリグリセリドを混合して製造することができる。
【0018】
このとき、前記植物性オイルは、一例として、オリーブ油、アーモンド油、ヤシ油、小麦胚芽油、ヒマシ油、アボカド油、コーン油、大豆油、菜の花油、椿油、綿実油、月見草油、ホホバオイル、パームオイル、ココナッツオイル、ローズヒップオイル、シアバター又はマカダミアオイルなどを挙げることができるが、これに限定されるのではない。
【0019】
このとき、前記アスコルビン酸分散物は、さらに好ましくは、アスコルビン酸分散物の全体量に対して、アスコルビン酸粉末55.0~70.0%(w/v)、セチルエチルヘキサノエート15.0~25.0%(w/v)、トコフェリルアセテート0.5~3.0%(w/v)、ソルビタンセスキオレエート0.5~3.0%(w/v)、及び残量のヘキシルデシルエチルヘキサノエートを含むことができる。これによって、化粧料組成物の分散力、使用感及び安定度をさらに効果的に増進させることができる。
【0020】
このとき、ヘキシルデシルエチルヘキサノエート(Hexyldecyl Ethylhexanoate)は、ヘキシルデカノールと2-エチルヘキサン酸のエステル化合物であって、皮膚柔軟化剤及び水分蒸発遮断剤として使用される。
【0021】
セチルエチルヘキサノエート(Cetyl Ethylhexanoate)は、セチルアルコール(Cetyl Alcohol)と2-エチルヘキサン酸(2-ethylhexanoic acid;actanoic acid)のエステル化合物であって、潤滑作用によって損傷部分を柔軟に示し、機能性成分を溶解し、該当の成分の経皮吸収を増加させることを促進し、皮膚のきめを柔軟且つ滑らかにする役割をするものとして知られている。
【0022】
トコフェリルアセテート(Tocopheryl Acetate)は、脂溶性化合物であって、ビタミンEアセテート(Vitamin E acetate)とも呼ばれ、純粋トコフェロールの代替物質として使用されている。また、トコフェリルアセテート(Tocopheryl Acetate)は、有害酸素から皮膚を保護し、細胞膜を構成する不飽和脂肪酸の酸化を抑制する役割を有するものとして知られている。
【0023】
ソルビタンセスキオレエート(Sorbitan Sesquioleate)は、ヘキシトールアンハイドリドとオレイン酸のモノ及びジエステルの混合物であって、主に、化粧品で互いに混じらない各成分の乳化安定を促進する原料として知られている。
【0024】
このとき、前記リポソーム組成物は、さらに好ましくは、リポソーム組成物の全体量に対して、グリセリン15.0~25.0%(w/v)、1,2-ヘキサンジオール1.0~3.0%(w/v)、及び残量の精製水を含む水相成分;ハイドロジェネイティドレシチン4.0~10.0%(w/v)を含む乳化剤;及びトコフェロール0.1~5.0%(w/v)、メナジオン0.1~5.0%(w/v)、リノール酸0.1~5.0%(w/v)、及びレチニルパルミテート0.1~5.0%(w/v)を含む油相成分;を含むことができる。これによって、油相部分にトコフェロール、メナジオン、リノール酸及びレチニルパルミテートを含む脂溶性ビタミンを効果的に捕集することができる。
【0025】
グリセリンは、皮膚に毒性がなく、高い保湿効果及び皮膚炎改善効果を有する化粧品成分として広く知られている。グリセリンは、水分を引き込む性質を有するので、皮膚への塗布時、皮膚を柔軟且つ滑らかにすると同時に、鎮静効果を示す。グリセリンは、上記のような含有量を有することによって、高温放置又は長期保管時に安定性を付与することができる。
【0026】
1,2-ヘキサンジオールは、皮膚保湿及び抗菌効果を示し、酸化防止効果を有するので、化粧品の酸化を防止する安定化機能を行うことができ、保湿剤及び防腐剤としても使用され得る。1,2-ヘキサンジオールは、上記のような含有量を有することによって、皮膚刺激を誘発することなく、効能を最適に発揮することができる。
【0027】
乳化剤は、本発明に係る水相成分と油相成分を混合する機能を担う。前記乳化剤は、上記の含量未満で添加されると、水相成分と油相成分との間の混合が十分に起こらずに分離現象が発生し得るので、有用成分の捕集を妨害するため好ましくなく、上記の含量を超えて添加されると、化粧料組成物自体の硬度を増加させ、使用感が低下し、経済的でないため好ましくない。特に、乳化剤が過量で添加される場合は、乳化剤が凝集したり、塊として析出され得るので、有用成分が皮膚に吸収されることを低下させ得ると共に、塗布性を低下させ得る。
【0028】
一方、トコフェロール(Tocopherol)は、ビタミンEと呼ばれ、主に、スキンクリームなどの皮膚関連製品の原料として使用される。また、トコフェロール(Tocopherol)は、純粋物質であって、有害酸素から皮膚を保護し、細胞膜を構成する不飽和脂肪酸の酸化を抑制する役割をするものとして知られている。
【0029】
リノール酸(Linoleic Acid)は、ビタミンFと呼ばれ、炭素数が18個、不飽和結合が2個からなっている。また、リノール酸(Linoleic Acid)は、各角質細胞の間に位置し、皮膚保湿及び障壁の機能をする細胞間脂質を構成する成分として知られている。
【0030】
メナジオン(Menadione)は、ビタミンKと呼ばれ、皮膚にコンディショニングを付与し、活力のある皮膚管理を促進するものとして知られている。
【0031】
レチニルパルミテート(Retinyl Palmitate)は、ビタミンAと呼ばれ、上皮層皮膚の厚さを増加させ、線維芽細胞の活性化を促進し、しわの改善に効果的なものとして知られている。
【0032】
前記4つの成分(トコフェロール、メナジオン、リノール酸及びレチニルパルミテート)とアスコルビン酸を分散すると、長時間安全に保管できることが本発明を通じて確認された。特に、水溶液相でもアスコルビン酸を水分と完璧に隔離し、アスコルビン酸が分解されたり、他の成分と反応して変更されることを防止できた。このような最適な効果は、上記の4つの成分の含量によって決定される。
【0033】
一方、本発明の化粧料組成物において、前記混合は、好ましくは、ビーズワックス、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、シアバター及び植物性オイルを加温して溶解した後で分散し、アスコルビン酸分散物とリポソーム組成物を添加して混合すると良い。これによって、リポソームの水相部分にアスコルビン酸を効果的に捕集することができる。
【0034】
このとき、前記混合は、さらに好ましくは、60℃~85℃までオイル成分を加温して溶解し、1,500rpm~2,000rpmで分散した後、50℃~75℃でアスコルビン酸分散物とリポソーム組成物を添加し、1,500rpm~2,000rpmで5分~30分間混合することができる。
【0035】
一方、本発明に係るリポソーム組成物は、前記説示したように、アスコルビン酸を高容量で含有することができる。これによって、本発明の化粧料組成物は、抗酸化効能を有し、皮膚老化、その中でも皮膚しわに特に効果的である。
【0036】
また、本発明の化粧料組成物は、皮膚美容に効果的なビタミンとして知られているトコフェロール、メナジオン、リノール酸及びレチニルパルミテートを含むので、皮膚美白にも改善された効能を有することができる。
【0037】
このとき、本発明の前記化粧料組成物は、固形状のバームタイプの剤型を有する。好ましくは、本発明の前記化粧料組成物は、固形タイプのファウンデーション、ボディーバーム、スティックバーム、ブラッシャー、アイベース、アイシャドウ、アイブロウ、ツインケーキ、マルチバーム、プライマー、リップバーム、リップスティック及びメーキャップベースからなる固形状の製品群から選ばれたいずれか一つ以上であり得るが、これに制限しない。
【0038】
好ましくは、スティックタイプの固形状製品を利用可能であるが、スティックタイプの化粧料組成物は、一般に内容物がスティックの形態で製造され、容器本体の回転によって内容物が突出し、これを用いて化粧できるようにするという原理を有する。
【0039】
また、バームタイプの化粧料組成物は、オイル及び保湿成分を濃縮させて固めておいた堅固な剤型であって、手の温もりで溶かしながら使用できるという原理を有する。
【0040】
スティック及びバームタイプの化粧料組成物は、手軽に携帯できるように小容量であり、いつでも使用できるという利点を有する。スティック又はバームタイプの化粧料組成物は、ワックスとオイルの含量差で硬度及び使用感を差別化することもできる。
【0041】
一方、本発明の化粧料組成物は、本発明以外の他の化粧料組成物と重複して使用することができる。また、本発明に係る化粧料組成物は、通常の使用方法によって使用可能であり、ユーザーの皮膚状態又は趣向によってその使用回数を異ならせることができる。
【0042】
一方、本発明の化粧料組成物に含まれる成分は、有効成分として本発明のアスコルビン酸分散物以外に、化粧料組成物に通常用いられる各成分を含むことができ、例えば、抗酸化剤、安定化剤、溶解化剤、ビタミン、顔料及び香料などの通常の補助剤、そして、担体を含む。
【0043】
以下、本発明に対して下記の実施例及び実験例でさらに詳細に説明する。ただし、本発明の権利範囲が下記の実施例及び実験例にのみ限定されるのではなく、これと等価の技術的思想の変形までの全てを含む。
【0044】
[実施例1:アスコルビン酸分散物の製造]
【0045】
アスコルビン酸分散物の製造のために、80~120メッシュサイズのアスコルビン酸粉末、ヘキシルデシルエチルヘキサノエート、セチルエチルヘキサノエート、トコフェリルアセテート及びソルビタンセスキオレエートを、アジミキサーを使用して1,500rpmの条件で50℃で15分間分散して均質化した。分散物の具体的な組成を下記の表1に示した。
【0046】
【表1】
【0047】
前記実施例1-1乃至実施例1-3の分散物に対する安定性を評価した結果、アスコルビン酸を70.0重量%投入した実施例1-3の分散物の剤型が最も安定したものとして示された。
【0048】
[実施例2:リポソームの製造]
【0049】
リポソームの製造のために、精製水、グリセリン、1,2-ヘキサンジオール、ハイドロジェネイティドレシチン、トコフェロール、メナジオン、リノール酸及びレチニルパルミテートを配合した。その後、ホモジナイザー(homogenizer)を用いて3,000rpm~4,000rpmで2分~4分間1次乳化させた。その後、2,000rpm~3,000rpmで3分~5分間2次乳化した。リポソームの製造のための組成物の具体的な組成を下記の表2に示した。
【0050】
【表2】
【0051】
前記実施例2-1乃至実施例2-3のリポソームに対する安定性を評価した結果、ハイドロジェネイティドレシチン4.0重量%、油相成分(トコフェロール、メナジオン、リノール酸、レチニルパルミテート)各0.1重量%を投入した実施例2-1のリポソームの剤型が最も安定したものとして示された。特に、実施例2-1のリポソームは、温度及び光条件でも最も安定した剤型を維持した。
【0052】
[実施例3:アスコルビン酸分散物及びリポソームを含む化粧料組成物の製造]
【0053】
前記実施例1-3のアスコルビン酸分散物及び実施例2-1のリポソームを用いて化粧料組成物を製造した。
【0054】
具体的には、ビーズワックス、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、シアバター及びホホバオイルを70℃まで加温して溶解した後、これをアジミキサーを用いて1,700rpmで分散した。その後、60℃でアスコルビン酸分散物及びリポソームを添加し、これをアジミキサーを用いて1,700rpmで10分間混合した。化粧料組成物の製造のための具体的な組成を下記の表3に示した。
【0055】
【表3】
【0056】
[実験例1:実施例3で製造した化粧料組成物の性状及び物理的特性の評価]
【0057】
前記実施例3-1乃至3-4で製造した化粧料組成物の剤型安定性、性状及び物理的特性を評価し、これらを下記の表4に示した。
【0058】
【表4】
【0059】
実験の結果、実施例3-1の化粧料組成物のように、アスコルビン酸分散物を用いることなく、リポソームのみを用いる場合、活性成分の効果を期待することができなく、オイルが固まらないので、常温で固形状にならなかった。
【0060】
また、実施例3-2の化粧料組成物のように、アスコルビン酸分散物を単独で使用する場合は、温度安定度で安定化を期待しにくく、実施例3-4の化粧料組成物のように、リポソーム化した原料の含量が高い場合は、固形化は可能であるが、使用感の面では良好でないという問題が生じた。
【0061】
一方、実施例3-3の化粧料組成物に含まれた有用性活性成分(アスコルビン酸分散物)は安定化され、常温で溶けない固形のバームタイプの性状を維持した。
【0062】
最適な効能を示した実施例3-3の化粧料組成物に対する活性成分の含有量、剤型及び安定性試験を行った結果を代表的に図1-1乃至図3-2に示した。図1-1及び図1-2は、本発明の実施例3-3の化粧料組成物を製造した後、3ヶ月経過したアスコルビン酸の含有量を確認した試験検査成績書で、図2は、本発明の実施例3-3の化粧料組成物の剤型を確認した図で、図3-1及び図3-2は、本発明の実施例3-3の化粧料組成物の安定性試験記録書である。
【0063】
[実験例2:実施例3-3で製造した化粧料組成物の皮膚しわ改善効果測定]
【0064】
前記実施例3-3の化粧料組成物の皮膚しわ改善効果を確認するために、下記のような実験を行った。
【0065】
具体的には、CCD-986sk細胞を5×10Cell/mlの密度で12ウェルプレート(Corning、USA)に培地と共に入れた後、37℃、5%CO培養器で24時間培養した。その後、実施例3-3の化粧料組成物を1μg/mlの濃度で加えるものを実験群とし、蒸留水のみを処理したものを対照群とした。
【0066】
これを、24時間後、抗-PIP抗体がコーティングされた(anti-PIP antibody coated)96ウェルプレートに、抗体-PODコンジュゲート溶液(antibody-POD conjugate solution)100μlを入れた後、培地中に遊離されたサンプルと標準液20μlを添加した。その後、これをアルミニウムホイルで遮光させた後、3時間にわたって37℃で培養した。
【0067】
その後、培養液をPBSでの4回洗浄後にきれいに除去し、基質溶液100μlを添加し、これを室温で15分間放置し、HSO 100μlを添加しながら軽く振った後、450nmでの吸光度を測定した。
【0068】
実験の結果、第1型プロコラーゲン(type I procollagen)生合成に対して、実施例3-3の化粧料組成物の場合、対照群に比べて134.2%高いコラーゲン合成率を示したことを確認した。
【0069】
前記結果により、実施例3-3の化粧料組成物は、コラーゲン合成を増加させ、皮膚しわ改善効能を有するものになると判断される。
図1-1】
図1-2】
図2
図3-1】
図3-2】