(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】プリント回路基板自動レイアップシステム
(51)【国際特許分類】
B25J 13/00 20060101AFI20240208BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
B25J13/00 Z
H05K3/46 Y
(21)【出願番号】P 2022526126
(86)(22)【出願日】2020-11-02
(86)【国際出願番号】 US2020058540
(87)【国際公開番号】W WO2021091825
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2022-05-06
(32)【優先日】2019-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ペヴスナー,ミハイル
(72)【発明者】
【氏名】ベネディクト,ジェームズ,イー.
(72)【発明者】
【氏名】サウスワース,アンドリュー,アール.
(72)【発明者】
【氏名】シュワンダ,ウェイド,エー.
【審査官】神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-104740(JP,A)
【文献】特開2006-167864(JP,A)
【文献】特開平06-246730(JP,A)
【文献】特開2012-040812(JP,A)
【文献】特開平09-029918(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント回路基板の層を固定具上に自動的に配置する装置であって、
ロボットデバイスを備え、前記ロボットデバイスは、
前記ロボットデバイスが載置されるテーブルの頂部表面に固定された基部と、
前記基部から上方に延びる直立柱と、
前記直立柱に回転可能に結合された可動アームと
、
前記可動アームによって支持されたエンドエフェクタと、
を含み、前記可動アームは、前記直立柱によって画定された垂直軸を中心に回転するように構成され、さらに、ラミネートシートを取り上げるため前記可動アームがラミネートシート固定具上に配置される位置から、前記ラミネートシートを基板レイアップ固定具内に置くために前記可動アームが前記基板レイアップ固定具上に配置される位置まで、および、接着フィルムを取り上げるために前記可動アームが接着フィルム固定具上に配置される位置から、前記接着フィルムを前記基板レイアップ固定具内に置くために前記可動アームが前記基板レイアップ固定具上に配置される位置まで回転するように構成されており、
前記ロボットデバイスの前記可動アームは、x軸方向およびy軸方向に移動するように構成されており、
前記可動アームは、円弧の半径を変化させ、前記垂直軸を中心に移動するように構成されており、前記可動アームによって支持されたエンドエフェクタをz軸方向に昇降させるように構成されており、
前記可動アームは、前記エンドエフェクタを受容してその上に前記エンドエフェクタを取り付けるように構成されたユーザフランジを含み、
前記エンドエフェクタは、
水平面上に配置された固定プレートと、前記固定プレートに支持された真空ツールと、前記ユーザフランジおよび
前記固定プレートに固定されたアクチュエータ
と、を含み、前記
アクチュエータは、
前記エンドエフェクタを衝突から保護するために前記固定プレートを前記z軸方向に垂直に移動させるように構成されており、
前記
真空ツールは、
上部浮動プレートと、前記上部浮動プレートに固定された底部浮動プレートとを有
し、前記上部浮動プレートおよび前記底部浮動プレートは、前記固定プレートに対して前記x軸方向およびy軸方向に移動するように構成されて
おり、
前記上部浮動プレートと前記底部浮動プレートとは前記固定プレートを介して重なり合っている、
装置。
【請求項2】
前記ロボットデバイスは、選択的コンプライアンスアセンブリロボットアームである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記エンドエフェクタは、前記ラミネートシート固定具から前記ラミネートシートを取り上げて前記ラミネートシートを前記基板レイアップ固定具上に配置し、前記接着フィルム固定具から前記接着フィルム
を取り上げて前記接着フィルムを前記基板レイアップ固定具上に配置するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記上部浮動プレートは、空気源に接続された複数のポートを含み、前記ポートは、前記底部浮動プレートを前記ラミネートシート、接着フィルム、および基板レイアップ固定具のうちの1つと位置合わせするときに、前記上部浮動プレートおよび前記底部浮動プレートと前記固定プレートとの間の少量の移動を容易にするために、前記上部浮動プレートと前記固定プレートとの間にエアクッションを提供する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記底部浮動プレートは、前記ラミネートシートを前記底部浮動プレートに解放可能に固定するように構成された複数の吸着カップを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
各吸着カップは真空源に固定され、前記吸着カップに真空を適用することによって、前記底部浮動プレートが前記ラミネートシートを前記底部浮動プレートに解放可能に固定し、前記吸着カップへの真空を終了することによって、前記底部浮動プレートが前記ラミネートシートを前記底部浮動プレートから解放する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記吸着カップは、前記底部浮動プレートの底面の周囲に配置される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記底部浮動プレートは、前記接着フィルムを前記底部浮動プレートに解放可能に固定するように構成された複数の真空ポートを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
各真空ポートは真空源に固定され、前記真空ポートに真空を適用することによって、前記底部浮動プレートが前記接着フィルムを前記底部浮動プレートに解放可能に固定し、前記真空ポートへの真空を終了することによって、前記底部浮動プレートが前記接着フィルムを前記底部浮動プレートから解放する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記真空ポートは、前記底部浮動プレートの底面に均一に配置される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記ロボットデバイスを支持するように構成されたテーブルをさらに備え、前記ロボットデバイスの前記基部は前記テーブルに固定される、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
プリント回路基板の層を固定具上に自動的に配置する装置であって、
ロボットデバイスを備え、前記ロボットデバイスは、
前記ロボットデバイスが載置されるテーブルの頂部表面に固定された基部と、
前記基部から上方に延びる直立柱と、
前記直立柱に回転可能に結合された可動アームと
、
前記可動アームによって支持されたエンドエフェクタと、
を含み、前記可動アームは、前記直立柱によって画定された垂直軸を中心に回転するように構成され、さらに、ラミネートシートを取り上げるため前記可動アームがラミネートシート固定具上に配置される位置から、前記ラミネートシートを基板レイアップ固定具内に置くために前記可動アームが前記基板レイアップ固定具上に配置される位置まで、および、接着フィルムを取り上げるために前記可動アームが接着フィルム固定具上に配置される位置から、前記接着フィルムを前記基板レイアップ固定具内に置くために前記可動アームが前記基板レイアップ固定具上に配置される位置まで回転するように構成されており、
前記可動アームは、前記エンドエフェクタを受容してその上に前記エンドエフェクタを取り付けるように構成されたユーザフランジを含み、
前記エンドエフェクタは、
水平面上に配置された固定プレートと、前記固定プレートに支持された真空ツールと、前記ユーザフランジおよび
前記固定プレートに固定されたアクチュエータ
と、を含み、前記
アクチュエータは、
前記エンドエフェクタを衝突から保護するために前記固定プレートをz軸方向に垂直に移動させるように構成されており、
前記
真空ツールは、上部浮動プレートと、前記上部浮動プレートに固定された底部浮動プレートとを有
し、前記上部浮動プレートおよび前記底部浮動プレートは、前記固定プレートに対してx軸方向およびy軸方向に移動するように構成されて
おり、前記上部浮動プレートと前記底部浮動プレートとは前記固定プレートを介して重なり合っている、
装置。
【請求項13】
前記上部浮動プレートは、空気源に接続された複数のポートを含み、前記ポートは、前記底部浮動プレートを前記ラミネートシート、接着フィルム、および基板レイアップ固定具のうちの1つと位置合わせするときに、前記上部浮動プレートおよび前記底部浮動プレートと前記固定プレートとの間の少量の移動を容易にするために、前記上部浮動プレートと前記固定プレートとの間にエアクッションを提供する、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記底部浮動プレートは、前記ラミネートシートを前記底部浮動プレートに解放可能に固定するように構成された複数の吸着カップを含む、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
各吸着カップは真空源に固定され、前記吸着カップに真空を適用することによって、前記底部浮動プレートが前記ラミネートシートを前記底部浮動プレートに解放可能に固定し、前記吸着カップへの真空を終了することによって、前記底部浮動プレートが前記ラミネートシートを前記底部浮動プレートから解放する、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記吸着カップは、前記底部浮動プレートの底面の周囲に配置される、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記底部浮動プレートは、前記接着フィルムを前記底部浮動プレートに解放可能に固定するように構成された複数の真空ポートを含む、請求項12に記載の装置。
【請求項18】
各真空ポートは真空源に固定され、前記真空ポートに真空を適用することによって、前記底部浮動プレートが前記接着フィルムを前記底部浮動プレートに解放可能に固定し、前記真空ポートへの真空を終了することによって、前記底部浮動プレートが前記接着フィルムを前記底部浮動プレートから解放する、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記真空ポートは、前記底部浮動プレートの底面に均一に配置される、請求項18に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、本願と同日に出願されたMikhail Pevzner、Andrew R.Southworth、James E.BenedictおよびGregory G.Beninatiによる「METHOD FOR FORMING CHANNELS IN PRINTED CIRCUIT BOARDS BY STACKING SLOTTED LAYERS」と題する米国特許出願第16/678,188号(代理人整理番号R2034-703419(19-12455))に関し、これはすべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
[政府の権利]
該当なし。
【背景技術】
【0002】
無線周波数(RF)および電磁回路は、従来のプリント回路基板(PCB)プロセスを使用して製造され得る。従来のPCB製造プロセスは、ラミネート、電気めっき、マスキング、エッチング、および他の複雑なプロセスステップを含み得、複数のステップ、高価なおよび/または危険な材料、複数回の反復、大規模な労働などを必要とし得、すべてがより高いコストおよびより遅いターンアラウンドタイムにつながる。
【0003】
今日、標準的なPCB製造プロセスでは、PCB製造業者は、ラミネートラミネートシートおよび接着フィルムを固定具または何らかの他のデバイス上に手で置くことによって、基板レイアップ作業を手動で行い、その後、積み重ねられたシートおよびフィルムをラミネートする。
図1は、ラミネートラミネートシートおよび接着フィルムを受容するために固定具10を使用する、そのような手動の基板レイアップ作業を示す。ピックアンドプレース機械などの他のPCB製造プロセスでは自動化が存在するが、これらのタイプのプロセスで使用される機器は、基板レイアップ作業に関連する問題に対処していない。そのような問題には、静電放電、異物侵入、高公差基準の達成、および材料の損傷があるが、それらに限定されない。
【0004】
シート材料を取り上げることができる機械の実装形態は複数存在するが、そのいずれも、公差の大きい位置合わせピンを有する固定具上へのシートの正確な配置に対処していないか、またはPCB製造にとって重要な考慮事項である静電放電および表面損傷の懸念に対処していない。シート材料のための既存のピックおよび/またはプレース解決策には、静電放電および表面汚染を引き起こし得る電気接着ロボットグリッパがあるが、それに限定されない。別の解決策としては、シートメタルを取り上げるために使用される吸着カップ機構があるが、これは、PCB表面を損傷する可能性があり、適切なラミネート接合グリッパを可能にするためには無傷のままであることが必要とされる。この機構は、シート材料の取扱いには実用的でない。
【発明の概要】
【0005】
本開示の一態様は、プリント回路基板の層を固定具上に自動的に配置する装置を対象とする。一実施形態では、装置は、表面に固定された基部と、基部から上方に延びる直立柱と、直立柱に回転可能に結合された可動アームとを含むロボットデバイスを備える。可動アームは、直立柱によって画定された垂直軸を中心に回転するように構成され、ラミネートラミネートシートを取り上げるために可動アームがラミネートラミネートシート固定具上に配置される位置から、ラミネートラミネートシートを基板レイアップ固定具内に置くために可動アームが基板レイアップ固定具上に配置される位置まで、および、接着フィルムを取り上げるために可動アームが接着フィルム固定具上に配置される位置から、接着フィルムを基板レイアップ固定具内に置くために可動アームが基板レイアップ固定具上に配置される位置まで回転するように構成される。
【0006】
装置の実施形態は、ロボットデバイスの可動アームを、x軸およびy軸方向には移動するがz軸方向には剛性であるように構成することをさらに含み得る。可動アームは、円弧の半径を変化させ、垂直軸を中心に移動するように構成され、可動アームによって支持されたエンドエフェクタをz軸方向に昇降させるように構成され得る。ロボットデバイスは、選択的コンプライアンスアセンブリロボットアームであり得る。可動アームは、エンドエフェクタを受容してその上にエンドエフェクタを取り付けるように構成されたユーザフランジを含み得る。エンドエフェクタは、ラミネートシート固定具からラミネートシートを取り上げてラミネートシートを基板レイアップ固定具上に配置し、接着フィルム固定具から接着フィルムを取り上げて接着フィルムを基板レイアップ固定具上に配置するように構成され得る。エンドエフェクタは、ユーザフランジおよび固定プレートに固定されたアクチュエータを含み得、可動アームは、固定プレートをz軸方向に垂直に移動させるように構成される。固定プレートは、水平面上に配置され得、上部浮動プレートと、上部浮動プレートに固定された底部浮動プレートとを有する真空ツールを支持する。上部浮動プレートおよび底部浮動プレートは、固定プレートに対してx軸方向およびy軸方向に移動するように構成される。上部浮動プレートは、空気源に接続された複数のポートを含み得る。ポートは、底部浮動プレートをラミネートシート、接着フィルム、および基板レイアップ固定具のうちの1つと位置合わせするときに、上部浮動プレートおよび底部浮動プレートと固定プレートとの間の少量の移動を容易にするために、上部浮動プレートと固定プレートとの間にエアクッションを提供する。底部浮動プレートは、ラミネートシートを底部浮動プレートに解放可能に固定するように構成された複数の吸着カップを含み得る。各吸着カップは真空源に固定され得、吸着カップに真空を適用することによって、底部浮動プレートがラミネートシートを底部浮動プレートに解放可能に固定し、吸着カップへの真空を終了することによって、底部浮動プレートがラミネートシートを底部浮動プレートから解放する。吸着カップは、底部浮動プレートの底面の周囲に配置され得る。底部浮動プレートは、接着フィルムを底部浮動プレートに解放可能に固定するように構成された複数の真空ポートを含み得る。各真空ポートは真空源に固定され得、真空ポートに真空を適用することによって、底部浮動プレートが接着フィルムを底部浮動プレートに解放可能に固定し、真空ポートへの真空を終了することによって、底部浮動プレートが接着フィルムを底部浮動プレートから解放する。真空ポートは、底部浮動プレートの底面に均一に配置され得る。ラミネートシート固定具、接着フィルム固定具、および基板レイアップ固定具の各々は、ロボットデバイスのエンドエフェクタを固定具に移動させるときに固定具に対して底部浮動プレートを最初に位置決めするために設けられた少なくとも1つの位置合わせピンを有する平坦プレートを含む。少なくとも1つの位置合わせピンは、底部浮動プレートに設けられた開口部内に受容され得る。各固定具は、ラミネートシートに設けられたスロットを用いてラミネートシートを精密に位置決定するための複数の追加のピンをさらに含み得る。装置は、ロボットデバイスを支持するように構成されたテーブルをさらに含み得、ロボットデバイスの基部はテーブルに固定され、テーブルはロボットデバイスの相補的な構成要素を支持するように構成される。装置は、ロボットデバイスの動作を制御するためのコントローラをさらに含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
少なくとも1つの実施形態の様々な態様が、一定の縮尺で描かれることを意図しない添付の図を参照して以下に説明される。これらの図は、様々な態様および実施形態の例示およびさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成するが、本開示の限定の定義として意図されるものではない。これらの図では、様々な図に示される各同一またはほぼ同一の構成要素は、同様の数字によって表され得る。明確にするために、すべての構成要素がすべての図においてラベル付けされているわけではない。図は以下の通りである。
【
図1】手動プリント回路基板(PCB)レイアッププロセスの図である。
【
図6】装置のエンドエフェクタおよび固定具の斜視図である。
【
図7】ラミネートシートを解放可能に固定するように構成されたエンドエフェクタの拡大図である。
【
図8A】エンドエフェクタの固定プレートと真空ツールとの間に設けられたエアクッションの拡大図である。
【
図8B】エンドエフェクタの吸着カップの拡大図である。
【
図9】接着フィルムを解放可能に固定するように構成されたエンドエフェクタの底面斜視図である。
【
図11】固定具の位置合わせピンの拡大斜視図である。
【
図12】装置のシートまたはフィルム固定具から離間したエンドエフェクタの断面側面図である。
【
図13】シートまたはフィルム固定具に向かって移動したエンドエフェクタの断面側面図である。
【
図13A】エンドエフェクタとシートまたはフィルム固定具とを位置合わせするために使用されるシートまたはフィルム固定具のピンの拡大断面図であり、ここでは、ピンはエンドエフェクタの開口部に部分的に受容されている。
【
図14】シートまたはフィルム固定具にあるシートまたはフィルムを取り上げるためにシートまたはフィルム固定具に向かって完全に移動したエンドエフェクタの断面側面図である。
【
図14A】エンドエフェクタとシートまたはフィルム固定具とを位置合わせするために使用されるシートまたはフィルム固定具のピンの拡大断面図であり、ここでは、ピンはエンドエフェクタの開口部に完全に受容されている。
【
図15】シートまたはフィルム固定具から離れたエンドエフェクタの断面側面図である。
【
図16】基板レイアップ固定具に向かって移動したエンドエフェクタの断面側面図である。
【
図16A】エンドエフェクタと基板レイアップ固定具とを位置合わせするために使用される基板レイアップ固定具のピンの拡大断面図であり、ここでは、ピンはエンドエフェクタの開口部に部分的に受容されている。
【
図17】基板レイアップ固定具に向かって移動したエンドエフェクタを示している、直交する側から見たエンドエフェクタの断面側面図である。
【
図17A】エンドエフェクタと基板レイアップ固定具とを位置合わせするために使用される基板レイアップ固定具の他のピンの拡大断面図であり、ここでは、ピンはラミネートシートの開口部に部分的に受容されている。
【
図18】ラミネートシートを基板レイアップ固定具内に配置するために、基板レイアップ固定具に向かって完全に移動したエンドエフェクタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
様々な態様および実施形態は、プリント回路基板(PCB)、およびその改善された製造方法を対象とする。より具体的には、本開示の実施形態は、無線周波数(RF)回路カードアセンブリを製造することを対象とする。標準的なPCB製造プロセスでは、PCB製造業者は、基板レイアップ作業を手動で行う。基板レイアップ作業は、所望の構造が得られるまで、固定具10などの固定具上にラミネートシートおよび接着フィルム(ならびに他のタイプのシート)を交互に配置することを含む。積み重ねられた後、ラミネートシートおよび接着フィルムは、圧力および温度下で硬化されて、均一な厚さを有する一体的な最終製品が形成される。本明細書に開示される装置の実施形態は、基板レイアップ作業を達成するための自動化手段を提供する。
【0009】
さらに他の態様、例、および利点については以下で詳細に説明する。本明細書に開示される実施形態は、本明細書に開示される原理のうちの少なくとも1つと一致する任意の方法で、他の実施形態と組み合わされ得、「実施形態」、「いくつかの実施形態」、「代替的な実施形態」、「様々な実施形態」、「一実施形態」などへの言及は、必ずしも相互排他的ではなく、説明される特定の特徴、構造、または特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれ得ることを示すことが意図される。本明細書におけるそのような用語の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すわけではない。本明細書で説明される様々な態様および実施形態は、説明される方法または機能のいずれかを実行するための手段を含み得る。
【0010】
本明細書で説明される方法および装置の実施形態は、以下の説明に記載されるかまたは添付の図面に示される構成要素の構造および配置の詳細に用途が限定されないことを理解されたい。方法および装置は、他の実施形態で実装することができ、様々な方法で実践または実行されることができる。特定の実装形態の例は、例示的な目的のためにのみ本明細書で提供されており、限定することは意図されない。また、本明細書で使用される表現法および専門用語は、説明を目的とするものであり、限定と見なされるべきではない。本明細書における「含む(including)」、「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「伴う(involving)」およびそれらの変形の使用は、その後に列挙される項目およびそれらの同等物ならびに追加の項目を包含することを意味する。「または/もしくは(or)」への言及は、「または/もしくは」を使用して説明される任意の用語が、説明される用語のうちの1つ、2つ以上、およびすべてのうちのいずれかを示し得るように、包括的であると解釈され得る。前および後、左および右、頂部および底部、上部および下部、端、側方、垂直および水平などへ言及は、説明の便宜上のものであり、本システムおよび方法またはそれらの構成要素を任意の1つの位置的または空間的な位置付け(orientation)に限定するものではない。
【0011】
ラミネートおよび接着フィルムの層またはシートが、公差の大きい位置合わせピンを有するプラテンまたは固定具上に配置されるPCBレイアップ製造のためのプロセスは、上で説明したように高度に手動のプロセスである。したがって、ラミネートおよび接着フィルム層のサイズおよび形状が、PCB製造プロセスが完全に自動化されることを妨げる。さらに、標準的な真空源吸着カップを使用して可撓性接着フィルム層を取り上げると、層の変形が生じ、これにより、層を基板レイアップ固定具に正確に配置することができなくなる。本明細書に開示される接着フィルムピックツールは、これを克服するように設計されたものである。本明細書に開示される装置の実施形態は、様々な形状およびサイズを有するラミネートシートおよび接着フィルム(および他のタイプのシート材料)を、そのようなラミネートシートおよび接着フィルムを受容するように設計された固定具上に配置するように構成される。
【0012】
本開示の実施形態の装置は、PCBレイアップ作業を実行するための自動化手法を提供し、これは、位置合わせピンを有する固定具上へのシート材料の配置を伴う。いくつかの実施形態では、装置は、薄いシートPCBラミネートおよび薄い可撓性接着フィルムを取り上げて、位置合わせピンを有するラミネーションプレスプラテン/固定具上にラミネートおよびフィルムを正確に位置決定して配置することができるツーリングおよび固定具を有するロボットシステムを具現化する。本明細書に開示される装置の実施形態は、PCB製造を自動化する。
【0013】
本開示の装置の実施形態は、ラミネートシートを解放可能に固定するために固定プレートと真空ツールとの間にエアクッションを生成し、固定具のピック/プレースピン機構への正確な位置合わせを可能にすることができる低摩擦X-Yエンドエフェクタで構成されたピックツーリングデバイスを含む。一実施形態では、ピックツーリングデバイスは、ラミネートシートの敏感な中央領域をそのままの状態で残してマージン内でラミネートシートに接触する直径8mmの真空カップのアレイを含む。任意のサイズの直径の真空カップを使用することができる。固定具は、ラミネートシートを正確に配置するためにピックツーリングデバイスに設けられた開口部内に受容される位置合わせピンを含む。別の実施形態では、ピックツーリングデバイスは、接着フィルムなどの薄い可撓性ラミネートおよびフィルムを解放可能に固定するためのピンホール真空グリッパを含む。真空は、ピックツーリングデバイスのバックプレートの穴のアレイを通してプルされる。
【0014】
図面、より具体的には
図2を参照すると、PCB自動レイアップ装置が全体を20で示されている。装置20は、ロボットシステムを用いて、PCBレイアップ作業を実行するための自動化手法を提供し、これは現在、標準的な製造プロセスにおいてPCB製造業者によって実行される手動プロセスである位置合わせピンを有する固定具上へのシート材料の配置を伴う。ロボットシステムの実施形態は、薄いシートPCBラミネートおよび薄い可撓性フィルムを取り上げ、位置合わせピンを有するラミネーションプレスプラテン/固定具上にラミネートおよびフィルムを正確に位置決定して配置することができるツーリングおよび固定具を含む。上述のように、大きな位置合わせ公差を考慮すると、これは困難なタスクである。
【0015】
図示のように、装置20は、全体を22で示すロボットデバイスと、全体を24で示す基部またはテーブルとを含み、基部またはテーブルは、ロボットデバイス22およびロボットデバイス22の構成要素を支持するように構成される。一実施形態では、テーブル24は、各々が28で示される4つの脚によって支持された平坦な水平頂部26を含む。図示のように、各脚28は、水平頂部26が水平面に対して水平であることを保証するために脚の底部に設けられたレベラーを含む。テーブル24は、テーブル24上に設けられたロボットデバイス22を動作させるために使用される機器を支持するために、水平頂部26の下に設けられた内部支持体を含む。例えば、テーブル24は、弁バンク30および空気弁32を支持するが、テーブル24は、装置20に関連する任意の数の構成要素を支持するように構成され得る。テーブル24は、ステンレス鋼のような構造的に強い材料から製造され得る。テーブル24は、ロボットデバイス22およびロボットデバイス22の構成要素を支持することができる任意の適切な構造、例えばベンチまたは可動カート、を具現化することができることに留意されたい。
【0016】
追加的に
図3~
図5を参照すると、ロボットデバイス22は、テーブル24の縁部に隣接するテーブル24の水平頂部26上に位置決めされる。図示の実施形態では、ロボットデバイス22の位置決めにより、ロボットデバイス22の前方および側方に空間が提供される。ロボットデバイス22の一方側には、各々が36で示されるラミネートシートのスタックを含むラミネートシートピックネスト固定具34が位置している。ロボットデバイス22の他方側には、各々が40で示される接着フィルムのスタックを含む接着フィルムピックネスト固定具38が位置している。ロボットデバイス22の前方には、基板レイアップ固定具42が位置しており、これは、例えば、ラミネートシート36と接着フィルム40との交互の層を受容するように構成される。ラミネートシート固定具34、接着フィルム固定具38および基板レイアップ固定具42の構造は、装置20の説明が進むにつれてより詳細に説明される。
【0017】
一実施形態では、ロボットデバイス22は、テーブル24の水平頂部26に固定された基部44と、基部44から上方に延びる直立柱46と、直立柱46に回転可能に結合された全体を48で示す可動アームとを含む。一実施形態では、ロボットデバイス22の基部44は、ロボットデバイス22をテーブル26上にしっかりと固定するために、ボルトによって水平頂部26に固定される。可動アーム48は、直立柱46によって画定される垂直軸Aを中心に回転するように構成される。図示の実施形態では、可動アーム48は、可動アーム48がラミネートシート固定具34上に配置される位置から、可動アーム48が接着フィルム固定具38上に配置される位置まで回転することができる。その移動中、可動アーム48は、基板レイアップ固定具42上にも位置決めされ得る。
【0018】
一実施形態では、ロボットデバイス22は、選択的コンプライアンスアセンブリ(または関節式)ロボットアームまたはSCARAなどの、商業ベンダーから購入することができるロボットであり、これは、x軸およびy軸方向に移動可能な可動アームを含み、アームの端部にz軸およびシータ運動を含む。ロボットデバイス22は、1つの場所から別の場所へ部品を移送するのに、また部品を積み降ろしするのに特に適している。ロボットデバイス22の可動アーム48は、円弧の半径を変化させ、垂直軸Aを中心に移動することができ、可動アーム48によって支持されたエンドエフェクタをz軸方向に昇降させることができる。
【0019】
ロボットデバイス22の可動アーム48は、全体を52で示すエンドエフェクタを受容してその上にエンドエフェクタを取り付けるように構成されたユーザフランジ50を含む。1つはラミネートシート36を取り上げて解放するためのものであり、1つは接着フィルム40を取り上げて解放するためのものである2つのエンドエフェクタが設けられている。一実施形態では、エンドエフェクタ52は、ラミネートシート固定具34からラミネートシート36を取り上げ、ラミネートシート36を基板レイアップ固定具42上に配置するように構成される。別の実施形態では、以下でより詳細に説明するエンドエフェクタ52aは、接着フィルム固定具38から接着フィルム40を取り上げ、接着フィルム40を基板レイアップ固定具42上に配置するように構成される。このプロセスは、完全なラミネートが基板レイアップ固定具42上に積み重ねられるまで繰り返される。層36、40の積み重ねが完了すると、ラミネート製品は、熱および圧力による硬化などのさらなる処理ステップに供される。
【0020】
図6を参照すると、一実施形態では、エンドエフェクタ52は、固定プレート56に固定された、本明細書では誘導空気圧アクチュエータ54と呼ばれる誘導空気圧シリンダを含む。図示のように、誘導空気圧アクチュエータ54は、ユーザフランジ50に固定される。可動アーム48は、ユーザフランジ50および誘導空気圧アクチュエータ54をz軸方向に移動させるためにz軸運動を提供するように構成されたz軸アクチュエータを含む。誘導空気圧アクチュエータ54は、エンドエフェクタ52への調整された空気供給によって空気ばねコンプライアンスを提供し、エンドエフェクタとピックまたはプレース固定具のいずれかとの間に大きな位置ずれがある場合に「衝突保護」を提供する。シリンダは、可動アーム48およびエンドエフェクタ52を損傷から保護するために圧縮するように構成される。
【0021】
固定プレート56は、水平面上に配置され、上部浮動プレート58と、上部浮動プレート58に固定された底部浮動プレート60とを有する真空ツールを支持する。この配置は、上部浮動プレート58および底部浮動プレート60が固定プレート56に対してx軸およびy軸方向に移動するように構成されるようになっている。図示のように、各々が62で示されるいくつかの締結具が、上部浮動プレート58を底部浮動プレート60に固定する。
図7に示すように、締結具62は、固定プレート56に形成されている開口部64を通って延びる。固定プレート56に対する上部浮動プレート58および底部浮動プレート60の移動の限界は、固定プレート56の開口部64のサイズおよび締結具62と開口部64との間の遊びの量によって決定される。一実施形態では、上部浮動プレート58および底部浮動プレート60と固定プレート56の間の移動または遊びの量は、水平面において約1~2mmである。この制限された動きの重要性は、エンドエフェクタ52およびエンドエフェクタ52aならびに固定具34、38、42の説明が進むにつれて明らかになるであろう。
【0022】
エンドエフェクタ52を示す
図7および
図8Aを参照すると、上部浮動プレート58は、空気源、例えば空気弁32に接続された、各々が66で示される複数のポートを含む。動作の間、ポート66は、上部浮動プレート58と固定プレート56との間にエアクッションを提供し、底部浮動プレート60を固定具34、38、42のうちの1つと位置合わせするときに上部浮動プレート58および底部浮動プレート60と固定プレート56との間の少量の移動を容易にする。この少量の移動は、以下に説明する方法でエンドエフェクタ52を固定具34、38、または42と位置合わせするときに特に重要である。空気源は、空気バルブ32と流体連通し、テーブル24の支持体に固定された空気タンクから引き出され、エンドエフェクタ52に圧縮空気を提供することができる。
【0023】
図7および
図8Bを参照すると、エンドエフェクタ52の底部浮動プレート60は、ラミネートシート36または接着フィルム40を底部浮動プレート60に解放可能に固定するように構成された、68で示される複数の吸着カップを含む。各吸着カップ68は、エンドエフェクタ52に真空を提供するためにテーブル24の支持体に固定され得る、
図19に示される真空エジェクタ88などの真空源に固定される。吸着カップ68は、ラミネートシート36の上面に設けられた回路パターンに悪影響を及ぼさないように、底部浮動プレート60の底面の周囲に配置される。吸着カップ68に真空を適用することによって、底部浮動プレート60は、ラミネートシート36を底部浮動プレート60に解放可能に固定する。そして、吸着カップ68への真空を終了することによって、底部浮動プレート60は、ラミネートシート36または接着フィルム40を底部浮動プレート60から解放する。したがって、エンドエフェクタ52は、ラミネートシート材料を取り上げて所望の位置に配置することができる。
【0024】
接着フィルム40を取り上げるように構成されたエンドエフェクタ52aを示す
図9を参照すると、底部浮動プレート60は、接着フィルムを底部浮動プレート60に解放可能に固定するように構成された、各々が69で示される複数の真空ポートをさらに含む。各真空ポート69は、エンドエフェクタ52aに真空を提供するためにテーブル24の支持体に固定され得る、
図19に示される真空エジェクタ88などの真空源に固定される。ポート69は、ラミネートシート36の上面に設けられた回路パターンに悪影響を及ぼさないように、底部浮動プレート60の底面に一連の行および列で均一に配置される。ポート69に真空を適用することによって、底部浮動プレート60は、接着フィルム40を底部浮動プレート60に解放可能に固定する。そして、ポート69への真空を終了することによって、底部浮動プレート60は、接着フィルム40を底部浮動プレート60から解放する。したがって、エンドエフェクタ52aは、ピックアップアンドプレースプロセス中に接着フィルムに対する変形を制限しながら、接着フィルムを取り上げて所望の位置に配置することができる。
【0025】
動作の間、エンドエフェクタ52および52aは、それぞれ、ラミネートシート36および接着フィルム40を配置するときに、可動アーム48のユーザフランジに交互に固定される。
【0026】
図10を参照すると、基板レイアップ固定具42が示されている。ラミネートシート固定具34および接着フィルム固定具38は、基板レイアップ固定具42と同一ではないにしても同様に構造化され得ることに留意されたい。図示のように、基板レイアップ固定具42は、エンドエフェクタ52または52aを基板レイアップ固定具42に移動させるときに、基板レイアップ固定具42に対して底部浮動プレート60を最初に位置決めするために設けられた、各々が74で示される2つの位置合わせピンを有する平坦プレート70を含む。この配置は、エンドエフェクタ52または52aを基板レイアップ固定具42上に配置するときに、位置合わせピン74が、底部浮動プレート60の長手方向の端部において底部浮動プレート60に設けられた、76で示される開口部内に受容されるようになっている。2つの位置合わせピン74がそれぞれの開口部76に入ると、位置合わせピン74は、エンドエフェクタ52または52aが比較的大まかに基板レイアップ固定具42に対して中心に置かれることを可能にし、一方で、基板レイアップ固定具42の、各々が78で示される4つの追加のピンは、ラミネートシート36に設けられた4つの位置合わせされたスロット80(
図17A)を用いてラミネートシート36を精密に位置付ける。
図11は、厚さ0.0015インチの接着フィルム40の開口部を通って延びるピン78の1つを示す。ラミネートシート固定具34および接着フィルム固定具38の各々について、平坦プレート上に配置されているラミネートシート36および/または接着フィルム40の周囲を画定するために複数の直立ピンが配置される。一実施形態では、2つのピンが平坦プレートの各角部に設けられる。平坦プレート上に配置された製品、例えばラミネートシートおよび/または接着フィルムは、ピンによって0.008インチの公差内で正確に位置付けられ得る。
【0027】
図12~
図18は、エンドエフェクタ52が薄いシート、例えばラミネートシート36を固定具、例えばラミネートシート固定具34から取り上げて、ラミネートシート36を移動させ、ラミネートシート36を基板レイアップ固定具42に配置する一連の動作を示す。
図12は、ラミネートシート固定具34上に配置されたエンドエフェクタ52を示す。エンドエフェクタ52は、ラミネートシート固定具34の上方で可動アーム48を移動させることによって、ラミネートシート固定具34の上方に位置決めされる。
図13および
図13Aは、エンドエフェクタ52をラミネートシート固定具34と大まかに位置合わせするために位置合わせピン74がそれぞれの開口部76に受容されている状態で、ラミネートシート固定具34上で下方に移動したエンドエフェクタ52を示している。エンドエフェクタ52の下方への移動を実現させるために、可動アーム48を操作してエンドエフェクタ52をz軸方向下方に移動させる。この時点で、空気源はポート66に加圧空気を送るように制御され、それによって、上部浮動プレート58と固定プレート56との間にエアクッションを提供する。上部浮動プレート58と固定プレート56との間のエアクッションは、底部浮動プレート60を基板レイアップ固定具42と位置合わせするときに、上部浮動プレート58および底部浮動プレート60と固定プレート56との間の少量の移動を容易にする。
【0028】
図14および14Aは、ラミネートシート固定具34と完全に係合したエンドエフェクタ52を示す。図示のように、位置合わせピン74は、それぞれの開口部76内に完全に受容される。この時点で、真空は、底部浮動プレート60の底面の周囲に配置された吸着カップ68に真空を提供するように動作される。適用されると、吸着カップ68によって作られる真空により、底部浮動プレート60は、ラミネートシート36を底部浮動プレート60に解放可能に固定することができる。一旦固定されると、可動アーム48を操作してエンドエフェクタ52をz軸方向に上方に移動させることによって、エンドエフェクタ52が上昇される。
図15は、エンドエフェクタ52の底部浮動プレート60に固定されたラミネートシート36を有するラミネートシート固定具34の上方に上昇されたエンドエフェクタ52を示す。図示のように、ラミネートシート固定具34は、固定具上でラミネートシートを中心に置くために、ラミネートシート36の角部に配置されたピン72を含む。
【0029】
エンドエフェクタ52を上昇させている間、またはエンドエフェクタ52を上昇させた後、可動アーム48を移動させて、エンドエフェクタ52を基板レイアップ固定具42の上方に位置決めし、ラミネートシート36を基板レイアップ固定具42上に置く。
図16および
図16Aは、エンドエフェクタ52を基板レイアップ固定具42と大まかに位置合わせするために位置合わせピン74がそれぞれの開口部76に受容されている状態で、基板レイアップ固定具42上で下方に移動したエンドエフェクタ52を示している。エンドエフェクタ52の下方への移動を実現させるために、可動アーム48を操作してエンドエフェクタ52をz軸方向下方に移動させる。この時点で、空気源はポート66に加圧空気を送るように制御され、それによって、上部浮動プレート58と固定プレート56との間にエアクッションを提供する。これは、底部浮動プレート60を基板レイアップ固定具42と位置合わせするときに、上部浮動プレート58および底部浮動プレート60と固定プレート56との間の少量の移動を容易にする。
【0030】
図17および
図17Aは、基板レイアップ固定具42と完全に係合したエンドエフェクタ52を示す。位置合わせピン74は、それぞれの開口部76内に完全に受容される。加えて、
図17Aに示すように、ピン78は、ラミネートシート36のそれぞれのスロット80内に受容されて、ラミネートシート36が基板レイアップ固定具42によって受容されることを可能にする。この時点で、
図18に示されるように、吸着カップ68への真空を無効にするために真空が遮断され、ラミネートシート36を底部浮動プレート60から解放する。
【0031】
一実施形態では、エンドエフェクタ52は、ラミネートシート36が基板レイアップ固定具42内に平坦に配置されることを任意選択で使用することができる4つのタ保証するためにンピングシリンダ(
図7に示す)を含むように構成され得る。これらのシリンダは、ラミネート層エンドエフェクタ52にのみ存在し、接着フィルムエンドエフェクタ52aには存在しない。
【0032】
前述のプロセスは、例えば、エンドエフェクタ52aを用いて接着フィルム固定具38から接着フィルム40を除去し、基板レイアップ固定具42上に接着フィルム40を配置することと、エンドエフェクタ52を用いてラミネートシート固定具34からラミネートシート36を除去し、基板レイアップ固定具42にラミネートシート36を配置することとによって、完成積層製品が製造されるまで交互に繰り返され得る。完成積層製品は、基板レイアップ固定具42上に残り、自動化セルから取り出される。基板レイアップ固定具42を交換し、ラミネートシート36および接着フィルム40を新しい基板レイアップ固定具に配置するプロセスを繰り返すことによって、追加の積層製品が組み立てられ得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、接着フィルムエンドエフェクタ52aにおける唯一の全体的なx軸およびy軸コンプライアンスは、固定具内のピン74に位置する同じ穴76を含む。接着フィルムエンドエフェクタ52aは、接着フィルムを基板レイアップ固定具の4つのピン78に精密に位置決めするために、接着フィルムに切り込まれたスロットを利用しない。むしろ、接着フィルムスロットは、それらが配置されるときにこれらのピン78の周りで変形することが許容される(これは、接着フィルムの位置付け(location)には、ラミネートシートの位置付けよりも精度を必要とせず、そのためいくらかの変形が許容されるためである)。さらに、接着フィルムスロットがピン78の周りでわずかに変形する能力のために、接着フィルムエンドエフェクタ52aは、ラミネート層エンドエフェクタ52によって使用されるエアクッションに依存しないように構成され得る。
【0034】
図19を参照すると、装置20の機能図が提供されている。図示のように、装置20は、可動アーム48の動作を制御するためのコントローラ82を含む。コントローラ82は、ロボットアーム48の動きを制御することに特化していることに留意されたい。
図19のプログラマブル論理コントローラ83は、エンドエフェクタ52または52aおよび誘導空気圧アクチュエータ54を制御する。論理コントローラ83は、エンドエフェクタ52または52aへの空気および真空のための弁を制御し、取り上げ動作および配置動作のための全体的なプログラムを提供する。コントローラ82は、プログラマブル論理コントローラ83によって指示されると、ロボットアーム48の動きを制御する。装置20への電力は、イーサネットスイッチが機械上の様々なデバイス間で送られる信号を制御する電源84によって提供される。プログラマブル論理コントローラ83および電源84は、弁バンク30、空気弁32、および吸着カップ68に真空を提供するように構成された真空エジェクタ88の動作を制御するように動作する。
【0035】
ラミネートシートおよび接着フィルムから製造されたPCBを組み立てるプロセスは、ラミネートシート固定具にラミネートシートを提供することと、接着フィルムネスト固定具に接着フィルムを提供することとを含む。各ラミネートシートは、銅の層がシートにラミネートされている誘電材料の平坦なシートから製造され得る。任意の適切な誘電体材料を選択することができる。銅層をエッチングまたはミリングして、所望の電気パターンを形成することができる。各接着フィルムは、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)などの熱可塑性材料から製造され得る。
【0036】
プロセスは、ロボットデバイスを用いて、基板レイアップ固定具内にラミネートシートおよび接着フィルムを交互に配置することをさらに含む。具体的には、ロボットデバイスの可動アームは、エンドエフェクタが固定具の真上に配置されるように、ラミネートシート固定具上に配置される。ロボットデバイスは、単一のラミネートシートを解放可能に固定し、基板レイアップ固定具上でラミネートシートを移動させ、ラミネートシートを基板レイアップ固定具内に置くように動作される。次に、エンドエフェクタが固定具の真上に配置されるように、ロボットデバイスの可動アームを接着フィルム固定具上に配置される。ロボットデバイスは、単一の接着フィルムを解放可能に固定し、基板レイアップ固定具上で接着フィルムを移動させ、基板レイアップ固定具内に接着フィルムを置くように動作される。このプロセスは、積層製品全体が完成するまで続けられる。ラミネートシートおよび接着フィルムは、圧力および温度下で硬化されて、一体的な最終製品が形成される。
【0037】
いくつかの実施形態では、装置は、従来のPCB製造における接触時間短縮のためのイネーブラであり、RF回路カードアセンブリを製造するための完全に自動化された「ドライ」AMT手法のためのイネーブラである。
【0038】
いくつかの実施形態では、ピックツールは低摩擦X-Yコンプライアンスを有し、固定プレートと真空ツールとの間のプラテンエアクッションを利用して、ピン機構をピック/プレースするための正確な位置合わせを可能にする。ピックツールは、敏感な中央領域をそのままの状態で残して3/4インチのマージン内でラミネート層に接触する直径8mmの真空または吸着カップのアレイを含む。ピックネスト固定具は、ピックツールがネストから取り上げるときにピックツールを中心に置く2つのピンを含む。ピックツールを用いてラミネートシートをプレースネストに配置すると、プレースネスト内の位置合わせピンによりピックツーリングが大まかに位置決定され、基板レイアップ固定具内の4つのピンをラミネート層内の4つのスロットに精密に位置決定することができるように十分にツールを拘束する。
【0039】
装置の実施形態は、薄い可撓性フィルムが、フィルム内の4つのスロットに対応する4つの位置決定ピン上で接着フィルム固定具に装填されることを可能にする。ピックネスト固定具は、ピックツーリングがネストから取り上げるときにピックツーリングを中心に置く2つのピンを含む。ピックツーリングも、同じピンによって配置ネストに位置決定される。
【0040】
装置の実施形態は、薄い可撓性フィルムのためのピンホール真空グリッパを提供する。真空は、プレート内の穴のアレイを通してプルされる。
【0041】
装置の実施形態は、スロットによって製品の位置決定を開始する固定ピンを提供する。エアプラテンは摩擦を低減して製品のスロットへの損傷を防ぐ。
【0042】
装置の実施形態は、AMTプロセスがより大規模にかつはるかに迅速に実行されることを可能にする。
【0043】
このように少なくとも1つの実施形態のいくつかの態様を説明してきたが、様々な変更、修正、および改善が当業者に容易に想起されることを理解されたい。そのような変更、修正、および改善は、本開示の一部であることが意図され、本開示の範囲内にあることが意図される。したがって、前述の説明および図面は単なる例である。