IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スクロナ アクチェンゲゼルシャフトの特許一覧

特許7432719横方向のインク偏向用の分割シールド電極を備えた電気流体力学的印刷ヘッド
<>
  • 特許-横方向のインク偏向用の分割シールド電極を備えた電気流体力学的印刷ヘッド 図1
  • 特許-横方向のインク偏向用の分割シールド電極を備えた電気流体力学的印刷ヘッド 図2
  • 特許-横方向のインク偏向用の分割シールド電極を備えた電気流体力学的印刷ヘッド 図3
  • 特許-横方向のインク偏向用の分割シールド電極を備えた電気流体力学的印刷ヘッド 図4
  • 特許-横方向のインク偏向用の分割シールド電極を備えた電気流体力学的印刷ヘッド 図5
  • 特許-横方向のインク偏向用の分割シールド電極を備えた電気流体力学的印刷ヘッド 図6
  • 特許-横方向のインク偏向用の分割シールド電極を備えた電気流体力学的印刷ヘッド 図7
  • 特許-横方向のインク偏向用の分割シールド電極を備えた電気流体力学的印刷ヘッド 図8
  • 特許-横方向のインク偏向用の分割シールド電極を備えた電気流体力学的印刷ヘッド 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】横方向のインク偏向用の分割シールド電極を備えた電気流体力学的印刷ヘッド
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/06 20060101AFI20240208BHJP
   B41J 2/14 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
B41J2/06
B41J2/14 611
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022526358
(86)(22)【出願日】2019-11-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-04
(86)【国際出願番号】 EP2019080849
(87)【国際公開番号】W WO2021093929
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】522019524
【氏名又は名称】スクロナ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100148253
【弁理士】
【氏名又は名称】今枝 弘充
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ガリカー
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-50636(JP,A)
【文献】実開昭47-21637(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0104947(US,A1)
【文献】特表2018-505074(JP,A)
【文献】特開2006-43936(JP,A)
【文献】特開2000-25233(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気流体力学的印刷ヘッドが、
複数のウェル(14)内に配置された複数のノズル(12)と、
前記複数のノズルより下で前記複数のウェル(14)の周囲に設置された複数の引出し電極(16)と、
前記引出し電極(16)より下で前記ウェル(14)の周囲に設置された複数のシールド電極(18a-18h)と、を備え、
各ウェル(14)に、前記ウェル(14)に隣接した異なる角度位置に設置された数個の前記シールド電極(18a-18h)が存在する、電気流体力学的印刷ヘッド。
【請求項2】
前記シールド電極(18a-18h)が前記各ウェル(14)の周囲の少なくとも90%を覆っている、請求項1に記載の印刷ヘッド。
【請求項3】
前記シールド電極(18a-18h)の数個のサブセットを有し、
各サブセットは、異なる複数のウェル(14)に設置された数個の電気的に相互接続されたシールド電極(18a-18h)を含む、請求項1又は2に記載の印刷ヘッド。
【請求項4】
複数のシールド電極(18a-18h)の少なくとも第1のサブセットタイプを有し、
前記第1のサブセットタイプの各セットの前記複数のシールド電極(18a-18h)は、前記複数のシールド電極(18a-18h)の垂直のレベルに設置された相互接続線(40a、40b)によって接続されている、請求項3に記載の印刷ヘッド。
【請求項5】
前記第1のサブセットタイプの少なくとも2つのサブセットを有し、
前記複数のウェル(14)の列が前記2つのサブセットの前記シールド電極(18a-18h)の間に配置されている、請求項4に記載の印刷ヘッド。
【請求項6】
複数のシールド電極の少なくとも第2のサブセットタイプを有し、前記第2のサブセットタイプの各セットの前記複数のシールド電極(18a-18h)は、シールド電極(18a-18h)の垂直のレベルの上方に設置された相互接続線(44a、44b)に複数のビア手段(42a、42b)によって接続されており、特に、前記複数の引出し電極(16)が前記相互接続線(44a、44b)と同じ垂直のレベルに設置されている、請求項3~5のいずれか1項に記載の印刷ヘッド。
【請求項7】
2のサブセットタイプの少なくとも2つのサブセットを有し、
前記複数のウェル(14)の列が前記2つのサブセットの前記シールド電極(18a-18h)の間に配置されている、請求項5又は6に記載の印刷ヘッド。
【請求項8】
前記複数のウェル(14)の少なくとも一部は、前記ウェル(14)に隣接して設置された正確に2つのシールド電極(18a-18h)を有し、及び/又は、
前記複数のウェル(14)の少なくとも一部は、前記ウェル(14)に隣接して設置された正確に3つのシールド電極(18a-18h)を有し、特に、前記3つのシールド電極(18a-18h)の一つが前記ウェル(14)の180度±20度の角度(α1)の周囲に広がる参照電極であり、他の2つの電極が前記ウェル(14)の90度±20度の角度(α2とα3)の周囲にそれぞれ広がる対電極であり、及び/又は、
前記複数のウェル(14)の少なくとも一部が前記ウェル(14)に隣接して設置された正確に4つのシールド電極(18a-18h)を有する、請求項1~のいずれか1項に記載の印刷ヘッド。
【請求項9】
複数の吹き出し口(50a)と複数の吸い込み口(50b)とを含む複数の通気口(50a、50b)を備える、請求項1~8のいずれか1項に記載の印刷ヘッド。
【請求項10】
複数のノズル(12)と複数の通気口(50a、50b)の規則的なマトリックスを有し、前記マトリックス内で、各ノズル(12)が2つの吸い込み口(50b)と2つの吹き出し口(50a)の中央に配置され、各通気口(50a、50b)が4つのノズル(12)の中央に配置されている、請求項9に記載の印刷ヘッド。
【請求項11】
前記シールド電極(18a-18h)の数個のサブセットを有し、各サブセットは、異なる複数のウェル(14)に設置された数個の電気的に相互接続されたシールド電極(18a-18h)を含み、
複数のシールド電極の少なくとも1つのサブセットA(18e、18f)と複数のシールド電極のサブセットB(18g、18h)が存在し、前記複数のウェル(14)から所定の角度の位置で、複数のノズルの列に沿って、前記サブセットA(18e、18f)の前記複数のシールド電極(18a-18h)と、前記サブセットB(18g、18h)の前記複数のシールド電極が交互に現れる、請求項9又は0に記載の印刷ヘッド。
【請求項12】
各シールド電極(18a-18h)は前記ウェル(14)の周囲の少なくとも80度の角度の範囲を覆っている、請求項1~11のいずれか1項に記載の印刷ヘッド。
【請求項13】
ターゲット(4)上に印刷する請求項1~12のいずれか1項に記載の印刷ヘッド(2)を操作するための方法であって、前記方法は、前記ウェル(14)の前記ノズル(12)からインクが吐出されている間、同一の前記ウェル(14)に隣接し異なる角度位置に設置された、少なくとも数個の前記シールド電極(18a-18h)に対し電位差を加えるステップを備える、方法。
【請求項14】
前記ターゲットに対し方向Aに沿って前記印刷ヘッド(2)の下方に、前記印刷ヘッド(2)を機械的に移動し、
方向Bにおいて前記シールド電極(18a-18h)を用いてインクを偏向させる、
ステップを含み、
前記方向Bが前記方向Aに対し横方向、特に垂直に延びている、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記印刷ヘッド()は、所定の方向(D)において、隣接する複数のノズル(12)の間に間隔Sを有し、前記ターゲット(4)上の前記所定の方向(D)に沿って間隔S’を有する規則的な構造を印刷するため、前記間隔S’は、前記間隔Sと等しくなく、又はその整数倍ではなく、前記方法は、
前記ターゲット(4)上の前記インクの衝突位置の間隔を間隔S’と一致させるために、前記複数のシールド電極(18a-18h)によって生成された電界の横方向成分を、前記所定の方向(D)に沿って空間的に変化させるステップを備える、請求項13又は14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電機流体力学的印刷ヘッドとそのような印刷ヘッドを操作するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(国際公開第2016/120381号)は、複数のウェルに設置された複数のノズルを有する電機流体力学的印刷ヘッドについて記述している。引出し電極は、前記ノズルの下のレベルでウェルの周囲に設置されている。それらは、ノズルからインクを抽出するために使用される。さらに、連続シールド電極(シールド層)が引出し電極の下のレベルでウェルの周囲に設置され得る。シールド電極は、ノズル間のクロストークを低減し、印刷ヘッドとターゲット間の電界を均一に維持する。一実施形態では、引出し電極は、2つまたは3つのセグメントに分割され、インクを横方向に偏向させるためにわずかに異なる電圧で操作される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2016/120381号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明によって解決されるべき課題は、良好な横方向のインク偏向用の印刷ヘッド、及びそのような印刷ヘッドを操作するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、印刷ヘッドと独立クレームの方法によって解決される。
【0006】
特に、電気流体力学的印刷ヘッドは、少なくとも以下の要素を含む。
-複数のノズル:これらのノズルは、印刷ヘッドの複数のウェルに配置されている。それらは、ターゲット上に堆積させるためにインクを運搬し得る。
-前記ノズルの下のレベルでウェルの周囲に設置された引出し電極:引出し電極は、インクに対して適切な電圧を印加することにより、ノズルからインクを引き出すために使用される。
-引出し電極の下のレベルでウェルの周囲に設置されたシールド電極:従来技術とは対照的に、各ウェルに、ウェルに隣接する異なる角度位置に設置された数個のシールド電極が存在する。これにより、引出し電極の手段によって引出されたインクの横方向の偏向を生成することができる。
【0007】
「ウェルの周囲の異なる角度位置に設置されている」という表現は、ウェルの中心軸から見て第1の水平角度方向に設置された少なくとも1つのシールド電極と、別の水平角度方向に設置された別のシールド電極があることを意味する。2つのシールド電極は、インクを横方向に偏向させるために電位差を生じさせることができる、すなわち、それらは、好ましくは互いに電気的に絶縁されている。
【0008】
「各ウェルに」という表現は、特許請求の範囲が言及するウェルおよびノズルが、インクの横方向の偏向のための数個のシールド電極を有するウェルおよびノズルであることを示す。印刷ヘッド上に、それらの周囲に設置された数個のそのようなシールド電極のない、印刷ヘッド上の他のウェルおよびノズル、すなわち、横方向の偏向機能を有しないノズル及びウェルが存在してよい。クレームは、横方向の偏向機能を備えたノズルに加えて、この機能を備えていない他のノズルが印刷ヘッド上に存在する可能性があることを除外するものではない。
【0009】
本発明は、引出し電極をセグメント化する従来技術の解決策が様々な問題を引き起こすという理解に基づいている。1つは、各ノズルにそれぞれの電圧を供給する必要があり、ノズルが個別に操作されるため、各ノズルで少なくとも3つの独立した電位を生成するには、印刷ヘッド内に複雑な配線が必要とされる。これとは対照的に、横方向のインクの偏向がインクの引出しから分離されている場合、多くの場合、偏向は多数のノズルで同じになり得るため、配線が簡単になり得る。
【0010】
さらに、シールド電極を偏向に使用することは、基本的にシールド電極とターゲットの間の領域で、少なくとも2つのノズル間の距離に相当する距離内で、大容量の電界を形成するため、より効率的である。これとは対照的に、引出し電極の到達範囲は基本的にウェルの小さな容量に制限される。
【0011】
最後に、特許文献1では、偏向のアパーチャは、ウェルの直径と深さの比率によって制限される。さらに、インクを引出すために使用される電界の横方向の非対称性は、ノズルのメニスカスの形状に強く影響し、横方向の液滴の引出しにつながる可能性があり、インクがウェルの壁に衝突する可能性がさらに高くなり、ウェルがインクであふれることにつながる可能性がある。
【0012】
好ましくは、シールド電極は、各ウェルの周囲の少なくとも90%を覆っている、すなわち、それらは、引出し電極の場をシールドするために、ウェルの周囲のすべてまたは大部分を覆っている。
【0013】
一実施形態では、印刷ヘッドは、シールド電極の数個のサブセットを有し、各サブセットは、異なる複数のウェルに設置された数個の電気的に相互接続されたシールド電極を含む。つまり、サブセットのシールド電極は、印刷ヘッドの配線を簡単にする、単一の電圧を供給することができる。
【0014】
特に、少なくとも第1のサブセットタイプのシールド電極があり得る。第1のサブセットタイプの各セットのシールド電極は、シールド電極の垂直のレベルに設置された相互接続線によって互いに相互接続されている。すなわち、このサブセットタイプの電極は、シールド電極層上で直接相互接続されている。
【0015】
第1のサブセットタイプの少なくとも2つのサブセットがあり得、前記ウェルの列が2つのサブセットのシールド電極の間に配置されている。
【0016】
少なくとも1つの第2のサブセットタイプのシールド電極があり得、第2のサブセットタイプの各セットのシールド電極は、シールド電極の上の垂直のレベルに設置された相互接続線にビアによって互いに相互接続されている。この場合、シールド電極間の相互接続は、シールド電極のレベルから空間的に分離され、これにより、シールド電極を形成する層の設計が単純化される。これは、2つのサブセットタイプの配線を空間的に分離できるため、前述のように第1のサブセットと組み合わせると特に有利である。
【0017】
第2のサブセットタイプの少なくとも2つのサブセットがあり得、前記ウェルの列が2つのサブセットのシールド電極の間に配置されている。
【0018】
印刷ヘッドは、吹き出し口と吸い込み口を含む複数の通気口をさらに含み得る。それらは、シールド電極の下の空間にガスを吹き込み、前記空間からガスを吸引するように適合されており、それにより、改善されたインク乾燥のために空間を換気する。
【0019】
その場合、シールド電極を使用して、吹き出し口と吸い込み口の間に発生する横方向の気体流を相殺することができる。
【0020】
一実施形態では、印刷ヘッドは、ノズルおよび通気口の規則的なマトリックスを有し得る。
【0021】
このマトリックス内で、各ノズルは2つの吸い込み口と2つの吹き出し口の中央に配置され、各通気口は4つのノズルの中央に配置される。この場合、隣接する2つのノズルの周囲の気体流は互いに逆になる。つまり、気体流の交互パターンが存在する。
【0022】
気体流のそのようなまたは類似の交互パターンを相殺するために、相互接続されたシールド電極のサブセットAおよび相互接続されたシールド電極のサブセットBが少なくとも存在し得る。ノズルの列に沿って、そしてこの列のウェルからの所定の角度位置の下に、サブセットAのシールド電極はサブセットBのシールド電極と交互に現れる。これにより、電位差を交互のノズルに生じさせ、静電偏向を交流パターンに合せることができる。
【0023】
印刷ヘッドを操作する方法は、インクが前記ウェルのノズルから放出されている間に、同じウェルに隣接する異なる角度位置に設置されたシールド電極の少なくともいくつかに異なる電位を印加するステップを含む。これは、インクの横方向の偏向を発生する。
【0024】
一実施形態では、この方法は、以下のステップを含み得る。
-方向Aに沿って、その下のターゲットに対して印刷ヘッドを機械的に移動する。
-シールド電極を使用してインクを方向Bに偏向させる:この方向Bは、方向Aに対して横方向に、特に垂直に延びる。
【0025】
これは、静電偏向の手段によって他の方向をスキャンしながら、印刷ヘッド(またはターゲット)が一方向に沿って機械的に移動することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0026】
以下の詳細な説明を考慮すると、本発明はよりよく理解され、上記以外の目的が明らかになるであろう。そのような説明は、添付の図面を参照している。
図1図1は、図2のI-I線に沿った印刷ヘッドの断面図を示している。
図2図2は、図1のII-II線に沿った図を示している。
図3図3は、図1のIII-III線に沿った図を示している。
図4図4は、プリンタの構成要素を示している。
図5図5は、図2の図に対応するシールド電極の第2の実施形態を示している。
図6図6は、図2の図に対応するシールド電極の第3の実施形態を示している。
図7図7は、交互換気を相殺するための設計を示している。
図8図8は、偏向技術の第1の適用例を示している。
図9図9は、偏向技術の第2の適用例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
定義:
「上」、「下」、「上部」、「下部」などの用語は、ノズルが引出し電極の上のレベルに配置され、シールド電極が抽出電極の下のレベルに配置されるように理解されるべきである。好ましくは、ノズルの軸方向は、垂直方向を規定すると考えられる。
「水平方向」と「横方向」は、垂直方向に直角な方向を示す。
誘電体は、電気伝導率が10-6S/m以下の材料である。
【0028】
印刷ヘッドのデザイン:
図1~4は、ターゲット4にインクを印刷するための印刷ヘッド2の第1の実施形態を示している。
【0029】
それは、複数の構造化された層を備えた本体6を含む。特に、本体6は、ノズル層8および供給層10を含み、ノズル層8は、定義により、供給層10の下に配置されている。
【0030】
ノズル層8は、複数のノズル12を形成する。各ノズル12は、ウェル14、すなわちウェル14の上端に配置されている。
【0031】
放出電極16は、ノズル12の垂直のレベルの下で各ノズル12に設けられている。ノズル12から電気流体力学的にインクを抽出し、下のターゲット4に向かってインクを加速するように構成されている。
【0032】
放出電極16は、少なくとも部分的に、ウェル14の周囲に配置されるのが好ましく、図3に示されるように、特に環状であり得る。
【0033】
複数のシールド電極18a~18dは、放出電極16の垂直のレベルの下でノズル層8の下部に配置されている。これらのシールド電極は、ノズル12間のクロストークを低減するために使用されるが、インクが印刷ヘッド2とターゲット4との間の空間22を通過するときにインクを横方向に偏向させるようにも設計されている。これらについては、次節で詳しく説明する。
【0034】
ノズル層8は、複数の副層を含む。現在の実施形態では、これらには以下が含まれる。
-ウェル14の下部を形成する第1の副層8a。
-第1の副層8aの上に設置され、ウェル14の中間セクションを形成する第2の副層8b。
-第2の副層8bの上に設置され、ウェル14の上部セクションおよびノズル12の壁を形成する第3の副層8c。
-第3の副層8cの上に配置され、それぞれのウェル14の中心にノズル12を支持するプレートを形成する第4の副層8d。
【0035】
副層8a~8dは、好ましくは、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素などの無機材料の層、またはSU8またはBCB(ベンゾシクロブテン)などの有機材料の層などの誘電体層である。
【0036】
各ノズル12は、ノズルの底面開口部と供給層10との間に延びるチャネル23を形成する。
【0037】
ノズル層8は、すべてのノズル12の大部分で、またはむしろそれらのすべてで、同じ構造を有し得る。例:既知の異方性エッチングおよび半導体パターニング技術を使用して、半導体ファウンドリで大量生産され得る。
【0038】
供給層10は、例えば半導体製造から知られているインターポーザー層として設計されており、ノズル12にインクを供給するためにそれを通って延びる複数のインクダクト24a、24bを含む。
【0039】
示される実施形態では、インクダクトは、ビア部分24aを含み、各ビア部分は、ノズル12から供給層10まで上方に延在し、そこで相互接続部分24bに接続される。相互接続部分24bは、水平方向に延在し、数個のビア部分24aを相互接続し、次に、それらは、任意選択でさらに垂直ビア部分および/または水平相互接続部分を介して、印刷ヘッド2の1つまたは複数のインク端子26(図4)に接続される。インク端子26において、インクダクトは、直接または追加のダクトによって、1つまたは複数のインク容器28に接続されている。
【0040】
図3から分かるように、放出電極16は、導電路によって、1つまたは複数の電気ビア30に接続され得、ここで、供給層10(図1には示されていない)に上方に延びる。それらは、放出電極端子32に適切に配線されている(図4)。
【0041】
図4に示す制御ユニット34は、ノズル12からインクを放出するために、電圧パルス、すなわち、放出電極16とノズル12内のインクとの間に電圧パルスを生成するために設けられている。好ましくは、個々のノズル12の電圧は、個別にまたは小グループ(各グループは、例えば、すべてのノズル12の1/100以下を含む)で制御することができる。
【0042】
図1は、好ましくは、誘電体層であり、インクダクトのビア部分24aを形成する、副層10aを含む供給層10を示している。供給層6は、例えば以下の実施形態のいくつかについて説明するように、さらなるインクダクト部分および/または導電路および/または通気ダクトを形成するため、さらなる副層、例えば、図1の層10b-10g、を含んでもよい。
【0043】
供給層10は、例えば、それらのいくつかを無効にするため、例えばそれらのいくつかへのインクダクト、および/またはそれらの放出電極16への電気的接続を遮断または相互接続することによって、ノズル12の機能をカスタマイズするために使用できる。
【0044】
第1の実施形態、シールド電極:
シールド電極18a~18dの設計は、図1と2に最もよく見られる。
【0045】
示される実施形態では、各ウェル14の周囲および下の異なる角度位置に設置された4つのシールド電極18a~18dがあり、シールド電極18a~18dのそれぞれは、シールド電極の異なるサブセットに属する。
【0046】
各ウェル14について、ウェルから角度位置-Xに設置されたシールド電極18a、ウェルから角度位置+Xに設置されたシールド電極18b、ウェルから角度位置-Yに設置されたシールド電極18c、およびウェルから角度位置+Yに設置されたシールド電極18dが存在する。
【0047】
シールド電極18aは、電気的に相互接続されたシールド電極のサブセットを形成する。同様に、シールド電極18b、18c、および18dは、それら自身のサブセットを形成し、個々のサブセットは相互に絶縁されている。
【0048】
シールド電極18aによって形成されるサブセットは、「第1のサブセットタイプ」のサブセットである。この第1のサブセットタイプのサブセットでは、シールド電極18aは、それらが接続しているシールド電極18aの垂直のレベル、すなわち第1の副層8aの下側に設置された相互接続線40aによって接続されている。
【0049】
同様に、シールド電極18bによって形成されるサブセットは、電極18bと同じレベルに設置された相互接続線40bによって相互接続されているため、この第1のサブセットタイプのサブセットである。
【0050】
シールド電極18cによって形成されるサブセットは、「第2のサブセットタイプ」のサブセットである。この第2のサブセットタイプのセットでは、シールド電極18cは、ビア42aによって、シールド電極18cの上の垂直のレベルに設置された相互接続線44aに接続されている(図3参照)。
【0051】
同様に、シールド電極18dによって形成されるサブセットは、これらがビア42bによってシールド電極18dの上の垂直のレベルに設置された相互接続線44bに相互接続されるため、この第2のサブセットタイプのサブセットである。
【0052】
図3に示されるように、相互接続線4a、4bは、好ましくは、このレベルの空間および構造化金属層を使用して、放出電極16の垂直のレベルに設置される。このレベルは、例えば、第1の副層8aの上部に設置される。
【0053】
相互接続された電極にシールド電極18a~18dを組み立てることは、同じ電圧で複数のシールド電極を制御することを可能にし、供給層10における必要な配線を簡素化する。
【0054】
第1および第2のサブセットタイプのサブセットにシールド電極18a~18dを組み立てることは、所定のサブセットのシールド電極を相互接続するための水平配線を簡素化する。
【0055】
図2に見られるように、ウェル14およびノズル12の列は、シールド電極18a、18bのサブセットの間に設置されている。したがって、これらの2つのサブセットの電極18a、18bの間に電圧差を生成することにより、方向Xに沿って、これらすべてのノズルで同じ方法で噴射されたインクを横方向に偏向させることができる。
【0056】
同様に、ウェル14およびノズル12の列は、シールド電極18c、18dのサブセットの間に設置されている。したがって、これらの2つのサブセットの電極18c、18dの間に電圧差を生成することにより、方向Yに沿って、同じ方法でこれらすべてのノズルに放出されたインクを横方向に偏向させることができる。
【0057】
シールド電極の各サブセットは、印刷ヘッドの少なくとも数個の層を通って延びる導電路によって、偏向端子に接続され、その1つは、図4の参照番号46で示されている。様々なサブセットの偏向端子46は、それらの電圧を制御するために制御ユニット34に接続されている。
【0058】
同様に、制御ユニット34は、印刷ヘッド2とターゲット4との間の空間22内の電界を制御するために、ターゲット4またはターゲット4の基板48に接続されている(参照図4)。
【0059】
図2の実施形態では、正確に4つのシールド電極18a~18dが、各ウェル14およびノズル12に隣接して設置されている。
【0060】
より一般的に言えば、ウェル14の少なくとも一部は、ウェル14に隣接して設置された正確に4つのシールド電極18a~18dを有し得る。
【0061】
第2の実施形態、シールド電極:
各ウェル14およびノズル12に隣接して4つのシールド電極18a~18dを有することは厳密には必要ではない。図5の実施形態では、各ウェル14およびノズル12に対して、3つのシールド電極18a、18b、18dのみが存在する。
【0062】
したがって、この実施形態では、ウェル14の少なくとも一部は、ウェル14に隣接して設置された正確に3つのシールド電極18a、18b、18dを有する。
【0063】
図5図2を比較すると、隣接する2つのシールド電極(つまり、図2の電極18a、18c)は、1つのシールド電極(つまり、図2の電極18a)に組み立てられていることがわかる。この実施形態は、インクを方向X(シールド電極18a、18bの両端に電圧降下を有することによる)ならびに方向Y(シールド電極18a、18dの両端に電圧降下を有することによる)に偏向させることを可能にする。
【0064】
示される実施形態では、シールド電極18aは、第1のサブセットタイプのサブセットを形成し、シールド電極18bも同様に形成する。すなわち、これらのサブセットは両方とも、シールド電極18a、18b自身と同じ垂直のレベルで相互接続線40a、40bによって相互接続される。他方、シールド電極18dは、第2のサブセットタイプのサブセットを形成する、すなわち、それらは、シールド電極18dの垂直のレベルの上の相互接続線(図3の4aの相互接続線と同様)に接続されたビア42によって相互接続される。
【0065】
好ましくは、ウェル14およびノズル12ごとに3つのシールド電極のみが存在する場合、シールド電極の1つ、すなわち、図示の実施形態におけるシールド電極18aは、参照電極を形成し、最大の電極であり、他の2つのシールド電極、すなわち、図示されている実施形態における電極18bおよび18dは、対電極を形成し、より小さい。
【0066】
特に、参照電極はウェル14とノズル12の180°+/-20°の周囲に広がり(図5の角度α1を参照)、対電極はそれぞれウェル14およびノズル12の90°+/-20°の周囲に広がっている(図5の角度α2およびα3を参照)。
【0067】
このように、3つの電極すべての間に発生する電界は、個々に、参照電極18aと電極18bの間に印加される電圧、および参照電極18aと電極18dの間に印可される電圧に起因するx偏向電界とy偏向電界の重ね合わせと見なすことができる。しかしながら、他の電極形状を形成することは、もちろん可能である。すなわち、同じ大きさの3つの電極がウェルの周囲に配置され、好ましくは、各電極がウェル14およびノズル12の120°+/-20°の周囲に広がっている。ただし、この場合、異なる電極に印加された電圧から特定のx-y偏向値を評価することはより困難になる可能性がある。
【0068】
第3の実施形態、シールド電極:
図6は、各ウェル14およびノズル12に設置された3つのシールド電極18a、18e、18fのみを備えたさらに別の実施形態を示している。
【0069】
しかしながら、第2の実施形態とは対照的に、第2のサブセットタイプの2つのサブセットがあり、これらのサブセットの1つはシールド電極18eによって形成され、これらのサブセットの他方はシールド電極18fによって形成される。
【0070】
他方、シールド電極18aのみが第1のサブセットタイプのサブセットに属する(たとえそれらが第2のサブセットタイプのサブセットにも属するとしても)。
【0071】
通気口:
印刷ヘッド2は、複数の通気口50a、50bを備えてもよい。これらには、吹き出し口50aおよび吸い込み口50bが含まれる。
【0072】
吹き出し口50aは、気体を空間22に吹き込むように適合され、吸い込み口50bは、空間22から気体を吸引するように適合され、それによって、改善されたインク乾燥のために空間22を換気する。
【0073】
図1に示すように、通気口50a、50bは、印刷ヘッド2の通気ダクト52a、52b、54a、54bに接続されており、これらは、次に、通気源56aおよび通気シンク56bに接続されている(図4参照)。
【0074】
通気源56aは、気体を通気ダクト52a、54aを通して吹き出し口50aに吹き込むように適合されている。通気シンク56bは、吸い込み口50bから通気ダクト52b、54bを介して気体を吸引するように適合されている。
【0075】
一実施形態では、すべての吹き出し口50aは同じ通気源56aに接続され、すべての吸い込み口50bは同じ通気シンク56bに接続される。
【0076】
コンパクトな実施形態では、ノズル12および通気口50a、50bの少なくともいくつかが、規則的な2次元マトリックス状に配置されている。例えば図2に示すように、ノズルは規則的に広がっており、それぞれ方向XおよびYに沿って、各ノズル12は、2つの吹き出し口50aおよび2つの吸い込み口50bの中心に配置され、各通気口50a、50bは、4つのノズル12の中心に配置される。
【0077】
その場合、図7の矢印58a、58b、60a、60bによって示されるような交互の流れパターンが形成される。すなわち、流れパターンは、隣接するノズル12の間で交互になる。
【0078】
流れの方向に関係なく、ノズル軸での速度はゼロになる。これは、積極的に偏向されていない液滴の軌道が交互の流れパターンの影響を受けないことを意味する。ただし、シールド電極を使用してインクを偏向させると、液滴はゼロ以外の流れ場に入り、飛行軌道に非対称性が生じ、相殺する必要が生じる場合がある。
【0079】
例えば、図7の実施形態では、すべてのノズル12から同じ量だけ方向Yではなく、方向Xに沿ってインクを偏向させたいと仮定する。これを達成するには、方向Xに沿ってノズルに電圧V1を印加する必要がある。そうすると、ノズル12aから放出された液滴は、方向-Yに沿った矢印60bに対応する気流から抗力を受ける。ノズル12bからのインクは、方向+Yに沿った矢印60aに対応する反対方向の気流から抗力を受けるであろう。
【0080】
それを相殺するために、交互の補助電圧V2および-V2が、ウェル14を挟んで方向Yに沿って印加され得る。
【0081】
そのような交互の補助電圧V2および-V2を印加できるようにするために、少なくともシールド電極18fのサブセットAおよびシールド電極18hのサブセットBが存在しなければならない。ノズルの列(つまり、図7の方向Yに沿って延びる列)に沿って、ウェル14から見た角度位置Yを見ると、2つのサブセットAとBのシールド電極18fと18hが交互になっている。
【0082】
言い換えると、図7では、各ウェルから角度位置Yにあるシールド電極を見ると、これらのシールド電極はシールド電極18fおよび18h交互に存在する。
【0083】
インクを方向Xだけでなく方向Yにも偏向させたい場合、方向Xに沿って互いに交互になっている2つのサブセット18eと18gがあることによって示されるように、図7のウェル14の右側にあるシールド電極(つまり、角度位置+Xにあるもの)を2つのサブセットAとBの間で同様に交互に配置する必要がある。
【0084】
操作方法:
水平方向Xおよび/またはYに沿ってインクを偏向させるために、いくつかまたはすべてのウェルに隣接する異なる角度位置に設置されたシールド電極に異なる電位を印加することができる。
【0085】
様々な電極に印加される典型的な電圧は、例えば、次の1つ以上の組み合わせである:
【0086】
-ノズル内のインクと放出電極の間に印加される電圧は、放出のために、例えば、100Vから500Vの範囲である。
【0087】
-ノズル内のインクとシールド電極の間に印加される電圧は、通常、放出電極に印加される電圧と同じ範囲であるが、放出電極に印加される電圧よりも高い場合と低い場合があり得る。
【0088】
-ノズルの反対側のシールド電極に印加される絶対電圧は、最大の偏向のために、通常10Vから100Vの間である。
【0089】
高速偏向;
【0090】
重要な適用例の1つが図8に示されている。ここで、印刷ヘッド(単一のノズル12とその周囲のシールド電極18a~18dによって示される)は、インクを放出しながら、ターゲットに対して水平方向Aに沿って機械的に動かされる。
【0091】
同時に、インクは、シールド電極によって、方向Aに垂直(または横方向)である方向Bに偏向される。
【0092】
したがって、ノズル12の真下以外の位置で印刷することが可能になる。
【0093】
好ましくは、静電偏向による方向Bでのターゲット上のインク位置の横方向変位速度は、特に少なくとも機械的変位による方向Aでのターゲット上のインク位置の横方向変位よりも、少なくとも10倍速い。これにより、高速の機械的変位なしに、両方向に沿って高解像度の印刷を生成できる。
【0094】
この手法により、衝突位置が方向Bに沿って振動している間、Aに沿って加速せずに(または大きな加速なしに)印刷ヘッド2を動かすことができる。
【0095】
印刷ヘッド2が方向Aに沿って着実に移動し、図7に示すように、方向Bに正確に沿って、つまりAに正確に直角な方向に一連のドットを生成することが望ましい場合、方向Bに沿ってノズルを挟んで配置されたシールド電極(すなわち、示されている例の電極18a、18b)は、方向Bに沿った横方向の偏向に使用でき、一方、方向Aに沿ってノズルを挟んで配置されたシールド電極(すなわち、示されている例の電極18cおよび18d)を、方向Aに沿った印刷ヘッド2の連続的な前進を相殺するために使用することができる。
【0096】
好ましくは、方向AおよびBに沿った電圧は鋸歯状の電圧であり、すなわち、それらのそれぞれは、第1の時間間隔T1の間に、特に連続的に、第1の電圧から第2の電圧に変化し、次いで、第2の時間間隔T2、T1≧T2、特にT1>10・T2において第1の電圧に戻る。
【0097】
図8の技術を実施するために、図6のもののような3つのシールド電極のみを備えた印刷ヘッドも使用できることに留意されたい。
【0098】
位置合わせの修正:
特定の状況では、印刷ヘッド上のすべてのノズルが個別に制御可能であるとは限らないが、代わりに、数個のノズルの放出電極16が相互接続され、その結果、常に同時に液滴を排出していることが有益である可能性がある。通常の構造64を印刷する場合は、このような特性を備えた印刷ヘッドを使用することができる。この場合、印刷ヘッド上の相互接続されたノズル12は、印刷する必要のある通常の構造64を参照して配置することができる。印刷を開始するとき、相互接続されたノズル12の数は、同時に印刷される通常の構造64の数を規定する。しかしながら、そうするとき、隣接するノズル12間の基準間隔Sは、規則的な構造64を定義する間隔S’と正確に同じであることを意味する。さまざまな理由により、これらの距離は異なる場合があり、そのため、シールド電極による別の偏向の適用例を図9に示す。この偏向は、ノズル12と通常の構造64の間の位置合わせの不一致を修正するために使用される。
【0099】
例えば、印刷ヘッド2は、Dに対し直角な水平前方向、すなわち図9の平面に垂直な方向に移動しながら、方向Dに沿って間隔S’で、基板4上に含まれる通常の構造64に向けて印刷することになる。しかしながら、構造64の間隔S’は、間隔Sの整数倍ではない。
【0100】
すなわち、従来の印刷ヘッドでは、すべての構造64に正確に印刷するために、印刷ヘッドをその前方向だけでなく方向Dに沿って横方向にも変位させる必要がある。これは、追加の機械的な移動を必要とするだけでなく、印刷速度を大幅に低下させるであろう。
【0101】
しかしながら、シールド電極がインクを横方向に偏向させるために使用される場合(すなわち、方向Dに沿って)、これは、方向Dに沿って印刷ヘッド2を横方向に変位させることなく達成することができる。
【0102】
構造64を印刷するために、方向Dに沿った電界の成分は、ターゲット4上のインクの衝突位置の間隔を間隔S’と一致させるために、方向Dに沿って静的に変化させられる。
【0103】
図9の例では、間隔S’は間隔Sよりいくらか大きい。したがって、インクを左端のノズル12からわずかに左に、そして右端のノズル12からわずかに右に偏向させることによって、インクをDに沿って広げる必要がある。
【0104】
これは、印刷ヘッドが方向Dに沿って大きく拡張している場合に特に重要である。印刷ヘッド2とターゲット4の異なる熱膨張と、印刷ヘッド2とターゲット4で異なる温度と、を組み合わせることは、間隔SとS’に異なる影響を与える可能性がある。したがって、1組の温度で、間隔SとS’が完全に一致したとしても、温度の変化は不一致につながる。
【0105】
例えば、印刷ヘッド2の中心のノズル12は、構造64上に適切に位置合わせされ得る。その場合、最も外側のノズル12のインクは、横方向の修正が必要になる。
【0106】
したがって、方向Dに沿って、好ましくは、中心のノズルと中心からさらに離れた(方向Dに沿った)ノズルに異なる電圧差を印加することが可能な、シールド電極の数個の異なるサブセットがあり、これにより、偏向を方向Dに沿って適合させる。
【0107】
場合によっては、たとえば、10mmの範囲内の全ての電極は、同じ電圧差を使用することで十分になり得る。印刷ヘッドが、Dに沿って、たとえば30mmの拡張を有する場合、異なるサブセットの3つの領域で十分な場合があり得る。
【0108】
図9に示されている修正は、両方の水平方向、つまり方向Dに垂直な水平方向に沿って使用することもできる。
【0109】
注記:
上記の実施形態では、第1のサブセットタイプのシールド電極の少なくとも1つのサブセットが存在する、すなわち、それらは、シールド電極自体と同じ垂直のレベルに設置された相互接続線によって接続されている。あるいは、しかしながら、第2のサブセットタイプのシールド電極のサブセットのみが存在し得る。すなわち、シールド電極18a~18fのレベルに相互接続線40a、40bが存在しない。むしろ、すべてのシールド電極18a~18fは、シールド電極18a~18fの上の垂直のレベルで、ビア(ビア42a、42bなど)および相互接続線(図3の線44a、44bなど)に接続されている。これにより、対称性の高いシールド電極パターンを生成できる。
【0110】
上記の実施形態では、各ノズル12およびウェル14に3つまたは4つのシールド電極が存在する。一方向に沿った偏向のみが望まれ(図9の適用例の方向Dなど)、図7に示されているタイプの通気が望まれない場合は、上記したように2つのシールド電極のみを隣接して設置するだけで十分な場合があり得る。
【0111】
すでに述べたように、シールド電極は、放出電極16の場をシールドし、隣接するノズル12間のクロストークを防ぐために、各ウェル14の周囲の領域の大部分、例えば、周囲の少なくとも90%、を覆う必要がある。
【0112】
上記のように、所定のサブセットのシールド電極は、電極の垂直のレベルで、または放出電極の垂直のレベルで相互接続することができる。ただし、特にサブセットが図7に示すようなより複雑な形状を有している場合は、例えば、第1の副層8aを2つのサブ副層に分割し、2つのサブ副層の間に相互接続線の少なくともいくつかを設置することによって(それらをシールド電極に接続するビアを用いて)さらに相互接続層を導入できる。
【0113】
本発明の現在好ましい実施形態が示され、説明されているが、本発明はそれに限定されないが、他の方法で以下の特許請求の範囲内で様々に実施および実施され得ることが明確に理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9