(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】シート要素デッキ用の方法および積み重ね装置
(51)【国際特許分類】
B65H 5/24 20060101AFI20240208BHJP
B65H 31/28 20060101ALI20240208BHJP
B65G 57/30 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
B65H5/24
B65H31/28
B65G57/30
(21)【出願番号】P 2022533617
(86)(22)【出願日】2020-12-10
(86)【国際出願番号】 EP2020085546
(87)【国際公開番号】W WO2021116294
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-06-03
(32)【優先日】2019-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512159605
【氏名又は名称】ボブスト メックス ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Bobst Mex SA
【住所又は居所原語表記】Route de Faraz 3,CH-1031 MEX(VD),Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】ロバデイ ピエール
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-328250(JP,A)
【文献】特表平09-502153(JP,A)
【文献】特開平05-193805(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0133385(US,A1)
【文献】米国特許第06293544(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/24
B65G 57/30
B65H 31/00- 31/40
B65H 5/02
B65H 29/54- 29/70
B65H 5/06
B65H 5/22
B65H 29/12- 29/24
B65H 29/32
B65H 31/00- 31/40
B65G 15/00- 15/28
B65G 15/60- 15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート要素(18)のデッキ(54)を生じさせる方法であって、
1組の数多くのシート要素(18)を次々に運搬装置(30)の運搬表面上に位置決めして前記シート要素(18)が該シート要素の隣のシート要素(18)と部分的にオーバーラップするようにするステップを含み、
前記運搬装置(30)は、運搬方向(T)を有し、前記運搬方向(T)における前記組のうちの最後のシート要素(28)は、前記組の最も下に位置するシート要素(28)であるよう位置決めされ、他のシート要素(18)は、該シート要素の後側端部(34)が逆運搬方向に見て隣に位置するシート要素(18)の前側端部(36)上に載るよう位置決めされ、それにより互いにオーバーラップしたシート要素(18)のロウ(R)が形成され、
前記互いにオーバーラップしたシート要素(18)のロウ(R)を前記運搬方向(T)に動かすステップを含み、
前記互いにオーバーラップしたシート要素(18)を動かして停止部材(44)に当てるステップを含み、前記停止部材は、最も上に位置するシート要素(26)と最初に接触し、ついには、最も下に位置するシート要素(28)が隣のシート要素(32)の下に完全にずらされ、前記停止部材(44)は、前記運搬表面の速度よりも低い速度で前記運搬方向(T)に動かされ
、
前記互いにオーバーラップしているシート要素(18)の組のロウ(R)は、互いに平行に配列され、各ロウの前記シート要素(18)は、積み重ねられ、
前記デッキ(54)は、部分的デッキであり、前記デッキ(54)は、共通のデッキ(66)を形成するよう積み重ねられた後に前記運搬方向(T)に対して横方向にまたは垂直にずらされる、方法。
【請求項2】
隣り合うシート要素(18)は、前記停止部材(44)が前記最も上に位置するシート要素(26)と接触する前に互いにオーバーラップする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1本の無端ベルト(40)が前記運搬装置(30)のために用いられる、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記シート要素(18)は、互いにオーバーラップすることなく入口ステーション(10)の運搬装置(20)上に互いに前後して位置決めされ、前記シート要素(18)は、シート要素(18)を次々に減速することによって部分的にオーバーラップするよう再位置決めされる、請求項1~3のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項5】
シート要素デッキ(54)を生じさせる積み重ね装置であって、前記積み重ね装置は、
運搬装置(30)を備えた第1の積み重ねステーション(12)を有し、前記運搬装置(30)は、シート要素(18)が載置される上側運搬表面を備えた少なくとも1本の無端ベルト(40)を有し、
前記無端ベルト(40)は、前記シート要素(18)を運搬方向(T)に動かすことができ、
前記運搬方向(T)に動くよう構成された停止部材(44)を有し、前記停止部材(44)は、前記運搬表面に隣接して配置され、前記停止部材は、前記運搬表面上に載置されたシート要素(18)と接触するよう配置され、前記無端ベルト(40)は、前記停止部材(44)よりも速く駆動されるよう構成され
、
シート要素(18)のための幾つかの運搬装置部品が互いに平行に配置され、特に、停止部材(44)が隣合う運搬装置部品相互間に配置され、
前記積み重ね装置は、隣合うデッキ(54)を互いに向かってかつ互いの上にずらして共通のデッキ(66)を形成するよう前記運搬方向(T)に対して横手方向に動くことができる少なくとも1つのスライダ(64)を有する、積み重ね装置。
【請求項6】
前記停止部材(44)は、前記運搬表面によって定められた平面の下から上方に突き出ている、請求項
5記載の積み重ね装置。
【請求項7】
前記停止部材(44)は、前記平面の下に配置された無端ベルト(42)に取り付けられている、請求項
6記載の積み重ね装置。
【請求項8】
前記シート要素(18)のための運搬装置部品用の1つの共通の駆動装置および/または前記停止部材(44)用の1つの共通駆動装置が設けられている、請求項
5記載の積み重ね装置。
【請求項9】
前記積み重ね装置は、積み重ねステーション(12)の前に配置された入口ステーション(10)および前記積み重ねステーション(12)まで運搬される互いにオーバーラップしているシート要素(18)のロウを配置するために前記シート要素(18)の上面に接触する減速要素(22)を有する、請求項
5~
8のうちいずれか一に記載の積み重ね装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート要素のデッキを生じさせる方法および積み重ね装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シート要素デッキは、印刷されまたは積層された紙、厚紙(段ボールを含む)またはプラスチックから作られる場合がある。通常、かかるシート要素は、シート要素をコンバート加工(converting)機械でダイカットする元となるブランクを用いることによって印刷されまたは積層される。シート要素は、ロウ(横列)をなして次々と運搬されてその後にデッキの状態に積み重ねられる。
【0003】
積み重ね方法および積み重ね装置に関し、シート要素がデッキ内に所与の順序で配列されること、ならびに運搬および積み重ね中にシート要素のつかえが回避されることが決定的に重要である。一定の順序の積み重ねが必要とされる典型的な例は、トランプカード(トランプ札)のデッキ(パックともいう)である。多くの場合、各カードは、1つのデッキ内において他のカードとは異なっている。トランプカードは、所定の続きものの状態に配列される必要があり、例えば、1色のトランプカードが次々に配置されることが必要である。
【0004】
日本国特開平05‐193805号公報および同第09‐328250号公報は、シート要素を停止部の後に積み重ねるとともに堆積させる積み重ねる装置の例を開示している。所望数のシート要素が積み重ねられると、停止部材は、遠ざかって形成されたスタックを放す。
【0005】
米国特許第7556247号明細書は、不定数のシートページを含むドキュメントセットを印刷するためのプリンタ‐レーン型包装方法を開示している。シートを所要のドキュメントセットが作られるように最初に隔離するのが良く、次に積み重ねて包装するのが良い。
【0006】
ベルギー国特許第1019776号明細書は、カードのデッキを作る装置を開示している。この装置は、シート要素を第1の選別装置中に送り込むよう配置されたコンベヤベルトを有し、第1の選別装置は、切り抜かれたシート要素を互いに頂部上にオーバーラップさせる。追加の切断装置がさらに下流側に配置され、この追加の切断装置は、シート要素を別々のカードの状態に切断しながらカードを漏斗形の積み重ね装置中に送り込むよう構成されており、その結果、カードがデッキを形成するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】日本国特開平05‐193805号公報および
【文献】日本国特開平09‐328250号公報
【文献】米国特許第7556247号明細書
【文献】ベルギー国特許第1019776号明細書
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、シート要素のデッキを生じさせる方法および積み重ね装置を提供することにあり、この場合、シート要素を互いに完全に整列させ、運搬および積み重ね中シート要素のつかえを回避する。
【0009】
この目的は、シート要素のデッキを生じさせる方法によって達成され、この方法は、
・1組の数多くのシート要素を次々に運搬装置の運搬表面上に位置決めしてシート要素がこれらシート要素の隣のシート要素と部分的にオーバーラップするようにするステップを含み、
運搬装置は、運搬方向を有し、運搬方向における組のうちの最後のシート要素は、組の最も下に位置するシート要素であるよう位置決めされ、他のシート要素は、これらシート要素の後側端部が逆運搬方向に見て隣に位置するシート要素の前側端部上に載るよう位置決めされ、それにより互いにオーバーラップしたシート要素のロウが形成され、
・互いにオーバーラップしたシート要素のロウを運搬方向に動かすステップを含み、
・互いにオーバーラップしたシート要素を動かして停止部材に当てるステップを含み、停止部材は、最も上に位置するシート要素と最初に接触し、ついには、最も下に位置するシート要素が隣のシート要素の下に完全にずらされ、ついには、最も下に位置するシート要素が隣のシート要素の下に完全にずらされ、停止部材は、運搬表面の速度よりも低い速度で運搬方向に動かされることを特徴とする方法によって達成される。
【0010】
「~の下に完全にずらされ」という表現は、最も下に位置するシートが最も上に位置するシート要素の下に完全に収まることを意味する。かかる位置では、最も上のシート要素と最も下のシート要素は、これらの周囲縁部が互いに整列する。
【0011】
運搬表面、すなわち動いている表面上に位置するシート要素は、互いにオーバーラップしているシート要素のロウ中の最後のシート要素が運搬表面に対する広い接触領域を有するために最も下に位置する場合にしか、互いの下に完全に滑り込めない。デッキは、その最も上のシート要素から始まって作られ、停止部材に達した下に位置するシート要素がデッキの形成中、下にずらされる。本発明では、シート要素を互いの上にずらすためにプレートが互いに近づく必要がなく、しかも個々のシート要素を積み重ねるために個々のシート要素に係合する吸引装置が不要である。
【0012】
移動停止部材により、シート要素の流れおよびデッキの流れを維持することが可能である。かくして、先導する停止部材は、運搬方向における運搬表面上のシート要素のロウの動きを抑制する。
【0013】
好ましくは、シート要素は、隣合うシート要素が互いに対して動かされる前に互いにオーバーラップするよう位置決めされる。
【0014】
シート要素は、図示のように丸形コーナー部を備えた長方形であるのが良いが、種々の形状、例えば広げた箱の形、正方形または丸形のコーナー部を備えていない長方形を有することもでき、ただし、シート要素の前側端部が停止部材によって効果的に止められて明確に規定された向きに維持できることを条件とする。
【0015】
一実施形態では、少なくとも1本の無端ベルトが運搬装置のために用いられる。ベルトの上側部分、より厳密にいえば、その上面は、運搬装置を構成する。
【0016】
シート要素は、互いにオーバーラップすることなく、入口ステーションの運搬装置上に互いに前後して位置決めされるのが良い。入口ステーションにおいてまたはその端部のところにおいて、シート要素は、シート要素を次々に減速させることによって部分的にオーバーラップするよう再位置決めされる。かくして、その後に到着したシート要素は、これらの前のシート要素の下に部分的に滑り込む。
【0017】
一実施形態では、1組の互いにオーバーラップシート要素のロウが互いに平行に配列され、各ロウのシート要素が積み重ねられる。ロウは、これらの長手方向延長が運搬方向と一致するよう配列される。
【0018】
かくして、各ロウは、部分的デッキのシート要素から成り、各ロウからの部分的デッキは、一緒にされて最終の大きなデッキを形成する。完全なデッキを生じさせるため、互いに平行なロウによって形成された部分デッキを積み重ねられた後に運搬方向に対して横方向にまたはこれに垂直にずらして共通の大きなデッキを形成する。
【0019】
本発明はまた、積み重ね装置を提供する。積み重ね装置は、シート要素デッキを生じさせるよう構成され、この積み重ね装置は、
運搬装置を備えた第1の積み重ねステーションを有し、運搬装置は、シート要素が載置される上側運搬表面を備えた少なくとも1本の無端ベルトを有し、
無端ベルトは、シート要素を運搬方向に動かすことができ、
運搬方向に動くよう構成された停止部材を有し、停止部材は、運搬表面に隣接して配置され、停止部材は、運搬表面上に載置されたシート要素と接触するよう配置され、無端ベルトは、停止部材よりも速く駆動されるよう構成されている。
【0020】
「無端ベルト」という用語は、ベルトならびに同一の機能を実行する無端チェーンまたは任意の既知の装置を含む。
【0021】
停止部材は、運搬表面によって定められた平面の下から上方に突き出るのが良い。これにより、積み重ね装置をコンパクトに設計することができる。
【0022】
停止部材は、上述の平面の下に配置された無端ベルトに取り付けられるのが良い。この無端ベルトは、互いに距離を置いて位置した数個の停止部材を有するのが良く、その結果、無端ベルトの1回の旋回中、シート要素の幾つかのデッキが作られるようになっている。
【0023】
好ましくは、運搬装置は、無端ベルトによって構成され、隣合う無端ベルト相互間に停止部材が配置される。
【0024】
停止部材は、別個に無端ベルトに固定されている。
【0025】
運搬装置の各無端ベルトには2つの停止部材が割り当てられ、1つの停止部材は、関連の無端ベルトの各長手方向縁部に設けられている。各シート要素は、好ましくは、運搬装置の1本の無端ベルトによって運搬されて2つの停止部材によって止められるが、この逆もまた可能であり、各シートは、運搬装置の2本の無端ベルトによって運搬されて単一の停止部材によって止められても良く、この場合、2本の無端ベルトは、各停止部材に割り当てられる。第1の代替手段は、シート要素の安定性が良好なので好ましく、かくして、第1の積み重ねステーションの調節は、それほど重要というわけではない。
【0026】
運搬装置および停止部材の無端ベルトは、運搬方向にオフセットした状態で配置され、特に、停止部材の無端ベルトは、運搬方向に見て運搬装置の端部の後に運搬装置の無端ベルトからのデッキを引き受ける。
【0027】
さらに、シート要素のための幾つかの運搬装置部品が互いに平行に配置されるのが良く、特に、停止部材がシート要素の隣合う運搬装置部品相互間に整列状態で配置される。1つの停止部材がシート要素の2つの隣合うロウに割り当てられるのが良い。
【0028】
一実施形態では、シート要素のための運搬装置部品用の1つの共通の駆動装置および/または停止部材用の1つの共通駆動装置が設けられる。これにより部品数が少なくなり、それにより積み重ね装置は、費用効果が良いと考えることができる。この特徴を発揮する一例は、数本の無端ベルトを巻き付ける1つの共通の駆動ローラが設けられることである。
【0029】
一実施形態では、積み重ね装置は、隣合う部分的デッキを互いに向かってかつ互いの上にずらして共通のデッキを形成するよう運搬方向に対して横手方向に動くことができる少なくとも1つのスライダを有する。スライダは、シート要素のロウが互いに押し合わされて互いに並んで位置する部分的デッキを形成した直後に配置されるステーションまたはモジュールの一部であるのが良い。
【0030】
一実施形態では、積み重ね装置は、積み重ねステーションの前に配置された入口ステーションおよび積み重ねステーションまで運搬される互いにオーバーラップしているシート要素のロウを配置するためにシート要素の上面に接触する減速要素を有する。互いにオーバーラップしたシート要素のロウは、積み重ねステーションに運搬される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明に係る方法を実施する本発明に係る積み重ね装置をこの方法の第1段階で示す斜視図である。
【
図2】本方法の第2の段階にある
図1に記載された積み重ね装置を示す図である。
【
図3】本方法の第3の段階にある
図1に記載された積み重ね装置を示す図である。
【
図4】第2の段階にある
図1に記載された積み重ね装置の拡大斜視図である。
【
図5】第3の段階にある
図1に示された積み重ね装置の拡大斜視図である。
【
図6】最終の第4の段階にある
図1に記載された積み重ね装置の拡大斜視図である。
【
図7】本方法の第1の段階と第2の段階との間に逆さまにされたシート要素のこけら状の流れを作るための
図1に記載された積み重ね装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1には、印刷済みおよび/または積層された状態の紙、厚紙またはプラスチックで作られたシート要素のデッキを生じさせる積み重ね装置が示されている。この装置は、4つのステーションまたはモジュール、すなわち、入口ステーション10、第1の積み重ねステーション12、第2の積み重ねステーション14およびその後の出口ステーション16を有する。しかしながら、積み重ね装置は、第2の積み重ねステーション14なしで第1の積み重ね装置ステーション12を有しても良い。
【0033】
図示の実施例では、シート要素18は、ロウ(横列)Rおよびコラム(縦列)Cの状態で互いに接触することなく互いに隣接して位置決めされた印刷済みトランプカード(トランプ札)である。シート要素18の1組が1つのロウRの全てのシート要素18によって構成される。
【0034】
全てのステーション10~16は、シート要素18を共通の運搬方向Tに沿って動く運搬手段を備えている。運搬方向Tは、ロウRの方向と一致し、この方向は、長手方向ともいう。
【0035】
入口ステーション10は、ベルト20付きの無端ベルト駆動装置を備えている。駆動および偏向ローラは、図面を分かりやすくするためにこの図には示されていない。
【0036】
シート要素18は、ベルト20の上側部分上に配置されている。ベルト20の上側部分は、運搬テーブルを形成している。具体的に説明すると、シート要素18は、印刷プレスおよびその次のダイカット機械から受け取られる。
【0037】
入口ステーション10およびベルト20の端部のところに、減速要素22が設けられている。減速要素22は、エラストマー表面を備えたローラまたはシリンダであるのが良い。
【0038】
第1の積み重ねステーション12の運搬装置30は、数本の互いに平行で共通に駆動される無端ベルト40によって定められた
図4に示されている運搬表面を備えている運搬テーブルとして設計され、無端ベルト40は、運搬装置部品を構成している。
【0039】
図7に示されているように、減速要素22の下には、深くなったまたは下側の部分24が設けられている。
【0040】
図示の実施形態に示されているように、下側部分は、ベルト40の上面をベルト20の上面よりも垂直方向に低い高さ位置のところに配置することによって達成される。
【0041】
減速要素22の接線速度とベルト40の速度は、等しい。減速要素22およびベルト40は、ベルト20よりも遅く移動する。下側部分24により、先行するシート要素29の後側縁部は、減速要素22とベルト40との間に受け入れられたときに持ち上げられる。先行するシート要素29は、後続のシート28よりも遅く移動し、後続のシート28は、ベルト20上に位置し、その前側側部は、シート要素29の持ち上げられた後側側部の下にずらされる。これにより、逆さまにされた要素のこけら状の流れを生じさせることができる。シート要素の後と前は、運搬方向に関して定められている。
【0042】
減速要素22と下側部分24は、各ロウRのシート要素18を
図4に示されているように部分的に互いの頂部上に位置した状態で互いにオーバーラップした仕方で配置するよう協働するこれら互いにオーバーラップした隣合うシート要素は、第1の積み重ねステーションの入口のところおよび第1の積み重ねステーションによってさらに積み重ねる前に、所与のオーバーラップ距離Oだけオーバーラップする。オーバーラップ距離Oは、シート要素の形状および材料に応じて様々であって良い。例えば、オーバーラップ距離Oは、運搬方向Tで見て、すなわち、長方形のシート要素18に関して、シート要素18の長さの10%~25%までの百分率に一致するのが良い。かかるオーバーラップ距離Oにより、シート要素18は、積み重ねステーション12内において漸次かつ連続オーバーラップを行うようになる。これにより、シート要素18の急激な減速が回避され、かくして、生産速度の低下が阻止される。百分率は、何回かの試行錯誤を行うことによって調節段階で設定されるのが良い。
【0043】
それゆえ、シート要素28,29を逆さまにされた状態でオーバーラップさせるためには、先行するシート要素29を後続のシート要素28に対して減速させることと組み合わせて入口ステーション10のベルト20と下流側に配置されたベルト40との間に高さの差を設けることが必要である。これにより、逆さまにされた要素18のこけら状の流れが作られる。
【0044】
したがって、図示していない変形実施形態では、ベルト20の上面は、ベルト40の上面よりも垂直方向に低い高さ位置のところに配置されるのが良い。この場合、ベルト40は、ベルト20からかかる高さ距離および水平方向距離のところに配置され、その結果、シート要素18の先導前縁部が把持されて上方に案内され、それにより運搬方向Tにおいてベルト40によって駆動されるようになる。
【0045】
積み重ねステーション12の後側端部のところに位置するシート要素18の特定の配列状態が
図4に示されている。各ロウRの第1(前側)のシート要素26は、ロウRの最も上に位置するシート要素を構成し、最後(後側)のシート要素28は、ロウRの最も下に位置するシート要素を構成する。より詳細に説明すると、最後のシート要素28は、その全体が運搬装置30の下側に配置された状態で位置する。すぐ隣の(この場合、中間の)シート要素32は、シート要素28の前側端部36の上側部上に位置した後側端部34を有する。運搬方向Tで見てシート要素32の隣に位置するシート要素、この場合、第1のシート要素26は、その後側端部34がシート要素34の前側端部36の上側部上に配置された状態で位置する。かくして、第1のシート要素26は、最も上に位置するシート要素であり、最後のシート要素28は、最も下に位置するシート要素である。シート要素のこの配置状態を逆さまにされたシート要素のこけら状の流れと呼ぶ。後および前は、運搬方向に関して定められており、シート要素は、後から前に運搬される。
【0046】
第1の積み重ねステーション12の運搬装置30は、数本の互いに平行な共通して駆動される無端ベルト40によって定められた
図4に示されている運搬表面を備えている運搬テーブルとして設計され、無端ベルト40は、運搬装置部品を構成する。ベルト40は、共通の駆動および偏向ローラを有する。第1の駆動または偏向ローラ(図示せず)が減速要素22に近接した状態でこの下に配置されている。
【0047】
隣合う無端ベルト40相互間において、かつ好ましくは最も外側の無端ベルト40の外側縁部に沿って(運搬方向Tで見て)無端ベルトの形態をした駆動要素42が無端ベルト40に平行に配置されている。無端ベルト40の上側部分の上側部によって構成される運搬表面は、駆動要素42の上側部分の上側部によって定められた平面の上方に配置され、その結果、シート要素18は、駆動要素42の上側部に接触せず、ベルト40の上側部にのみ接するようになっている。
【0048】
図4および
図5から理解できるように、無端ベルト40および駆動要素42によって構成されたループは、運搬方向Tにおいて、換言すると、運搬方向に沿って動いているときにオフセットされ、駆動要素42によって構成されたループは、無端ベルト40によって構成されたループの前で始まり、そしてその前で終わる。
【0049】
複数の駆動要素42は、同一速度で動くよう共通の駆動および偏向ローラをさらに有するのが良い。
【0050】
1つ以上の停止部材44が各無端駆動要素42に取り付けられた状態で
図4で見て上方に(駆動要素42の無端ベルトのそれぞれの部分が上側区分を構成している場合)突き出ている。各停止部材44は、板状であり、そして好ましくは駆動要素42の幅全体に沿って運搬方向Tに対して横方向に延びている。停止部材44は、無端ベルト40の上面によって構成された運搬表面の上方に延びるとともに突き出ている。停止部材44の高さは、各ロウR中の各部分的デッキの高さに一致するのが良くまたはこれよりも高いのが良い。
【0051】
第1の積み重ねステーション12は、各単一のロウRのシート要素のデッキを形成するよう構成されている。
【0052】
シート要素18を運搬装置30の前側端部のところで整列させてこれらが互いにオーバーラップすると、シート要素は、無端ベルト40によって前方に動かされる。駆動要素42は、無端ベルト40の速度よりも低い速度で駆動される。かくして、第1のシート要素26は、運搬方向Tにおいて無端ベルト40によって運搬されているときにこれよりもゆっくりと動く停止部材44に到達してこれに接触する。
図4は、第1のシート要素26の前側端部と停止部材44の最初の接触状態を示している。
【0053】
図4から理解できるように、中間の停止部材44は、隣合うロウの第1のシート要素26と接触する。かくして、各シート要素26は、運搬方向Tで見て2つの停止部材44によってこれらの左側および右側縁部のところで減速される。
【0054】
第1のシート要素26の減速に起因して、中間のシート要素32および最後のシート要素28は、依然として無端ベルト40によって前方に動かされ、そしてこれらの関連のロウの第1のシート要素26の下に滑り込む。かくして、無端ベルト40の運搬軌道の終わりに、シート要素18の各ロウRのデッキ54が形成される。
【0055】
無端ベルト40のループが駆動要素42のループの前に運搬方向Tにおいて終わっているとき(
図5参照)、デッキ54は、駆動要素42によって引き受けられる。第1の積み重ねステーション12内における第1のコラムCに属する第1のシート要素26の速度は、かくして、第1のシート要素26が停止部材44に当接しているときに駆動要素42によって定められる。それゆえ、シート要素18全ての速度は、第1の積み重ねステーション12の出口端部のところでベルト40の速度から駆動要素42の速度まで減じられる。板状垂直スライダ50が駆動要素42のループの端部と第2の積み重ねステーション14の次の無端ベルトまたは幾つかの隣合う無端ベルト52との間の隙間を橋渡ししている。かくして、駆動要素42は、デッキ54を無端ベルト52に送り出している。オプションとして、シート要素が無端ベルト52に向かって摺動する(下方に)のを助けるようスライダ50には勾配がつけられるのが良い。オプションとして、変形例として、シート要素(突出部材付き)を第1の積み重ねステーション12と第2の積み重ねステーション14との間の移行ゾーンに押し出すために突出部材を備えた無端ベルトの追加の組がシート要素の上方にかつ板状垂直スライダ50の上方に配置されても良い。
【0056】
第2の積み重ねステーション14は、部分シート要素スタックを運搬方向Tに対して横方向に積み重ねる。無端ベルト52は、数個の軌道56~62を有し、軌道56~62の各々は、ロウRに割り当てられている。スタックは、上流側の軌道56から下流側の軌道62に運搬される。各軌道は、上流側の軌道側部82を有し、この上流側軌道側部は、上流側軌道の近くに位置する長手方向側部である。各軌道は、下流側軌道側部84をさらに有し、この下流側軌道側部は、下流側ロウの近くに位置する長手方向側部である。「上流側」および「下流側」は、運搬方向に関して、すなわち、シート要素の平面で見て運搬方向に垂直な方向に関して定められ、スタックは、第2の積み重ねステーション14上で、上流側から下流側に形成される。
【0057】
シート要素スタックの適正な積み重ねを保証するためには、上流側軌道上のスタックは、隣の下流側の軌道上のスタックの上方に摺動しなければならない。かくして、上流側軌道の下流側軌道側部84は、隣の下流側軌道の上流側軌道側部82の上方に位置しなければならず、その結果、階段状の輪郭形状が得られる。この輪郭形状中の2つの階段相互間の高さの差は、第2の積み重ねステーションに入るシート要素のスタックの厚さと少なくとも同じほど大きくなければならない。
【0058】
スライダ64は、デッキ54を互いの上にずらして共通の大きなデッキを形成する。これは、上流側軌道56上のデッキ54が下流側軌道58~62上のデッキの下に位置決めされた隣のデッキ54上に動かされることによって達成される。
【0059】
スライダ64は、デッキ54をずらして1つの共通のデッキ66(
図6参照)を構成し、最後には、共通のデッキ66を出口ステーション16の無端ベルト68上にずらす。
【0060】
本発明の積み重ね装置により、不定量のシート要素18から成る順番づけられたデッキ66を作ることができる。かかる積み重ね装置は、かかるデッキが異なる枚数のカード18を有することができるのでトランプカードの製造に適している。
【0061】
本発明の積み重ね装置と一緒に使用可能なコンバート加工機械では、個々のシート要素またはカード18は、枚葉紙または巻取紙の形態をした基材を印刷して加工することによって作られる。印刷は、例えば、フレキソ印刷組立体で実施されるのが良い。ダイカッタ型ツールが印刷組立体の下流側に用いられるのが良く、このダイカッタ型ツールは、個々のシートまたはカード18を切り抜くために用いられる。
【0062】
ダイカッタ型ツールは、シート要素18をロウRおよびコラムCの状態に形成するよう切り抜きを生じさせるようになった既定の切断装置を備えている。ロウRおよびコラムCの配列は、完全なデッキ66に含まれるカードの枚数に応じて変更可能である。
【0063】
したがって、積み重ねステーション12は、動作中に不定本数のベルト40,42を含むよう構成可能である。積み重ねステーション12は、用いられるべきロウRの最大量について寸法決めされた多くのベルト40,42を備えることができる。積み重ねステーション12は、運搬方向に対して横方向または垂直の方向に摺動可能であるように構成されるのが良い。このようにすると、ベルト40,42をシート要素18のロウRに整列させることができる。これにより、ベルト40,42の位置を横方向にずらして1本または数本の外部から配置されるベルト40,42を非動作状態にする(例えば、動いているがシート18を何ら受け取らずまたは空回りする)ことができる。これにより、積み重ねステーション12は、異なる数のロウRを含む職務明細書に適合することができる。
【0064】
停止部材44の高さは、各ロウRに含まれる各部分的デッキの高さに一致しまたはこれよりも高い。したがって、第2のステップとして、第2の積み重ねステーション14を用いて部分的デッキを完全なスタック66の状態にまとめることが有利である。