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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】内部保持クリップを含む流体コネクタ
(51)【国際特許分類】
   F16L 37/088 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
F16L37/088
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2022537519
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-24
(86)【国際出願番号】 US2019067399
(87)【国際公開番号】W WO2021126205
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-08-15
(73)【特許権者】
【識別番号】519147290
【氏名又は名称】オエティカ エヌワイ インク
【氏名又は名称原語表記】Oetiker NY, Inc.
【住所又は居所原語表記】4437 Walden Avenue, Lancaster, New York, U.S.A
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】弁理士法人ドライト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ノウィッキ,エリック
(72)【発明者】
【氏名】ハーゲン,クリスチャン ジェームズ
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0052237(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 37/088
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の貫通ボアと、
第1の軸向表面と、
第2の軸向表面と、
フランジと、を含むコネクタ本体と、
前記第1の軸向表面と係合可能に構成され保持クリップと、
前記第1の貫通ボアに挿入されるように構成された保持プレートであって、
前記第2の軸向表面と係合するように構成された遠位表面と、
近位表面と、
第2の貫通ボアと、を含む保持プレートと、を備え、
前記フランジは、前記保持プレートの周りで半径方向内側に圧着可能に構成される、
流体コネクタ。
【請求項2】
前記フランジは、第1のセクションと第2のセクションとを備え、前記第2のセクションは、半径方向内向きに圧着されて、前記保持プレートを前記コネクタ本体に固定し接続状態を形成可能に構成される、
請求項1に記載の流体コネクタ。
【請求項3】
非接続状態では、前記第2のセクションは、前記第1のセクションと実質的に位置合わせされ、
前記接続状態では、前記第2のセクションは、前記第1のセクションに対して実質的に垂直であり、前記近位表面と係合する、
請求項2に記載の流体コネクタ。
【請求項4】
前記接続状態において、前記保持プレートは、前記コネクタ本体に回転不能に接続される、
請求項2に記載の流体コネクタ。
【請求項5】
前記保持プレートは、前記遠位表面から延びる少なくとも1つの突起をさらに備え、前記少なくとも1つの突起は、前記保持クリップと係合可能に構成される、
請求項1に記載の流体コネクタ。
【請求項6】
接続状態において、前記保持プレートおよび前記保持クリップは、前記コネクタ本体に回転不能に接続される、
請求項5に記載の流体コネクタ。
【請求項7】
前記保持クリップは、前記第1の軸向表面と前記第2の軸向表面との間で軸方向に配置される、
請求項1に記載の流体コネクタ。
【請求項8】
チューブ端形成部をさらに備え、前記チューブ端形成部は、前記コネクタ本体に固定可能である、
請求項1に記載の流体コネクタ。
【請求項9】
前記チューブ端形成部は、外面と、前記外面から半径方向外側に延びる肩と、を備え、
前記保持クリップは、前記肩に係合して前記チューブ端形成部を前記コネクタ本体に固定可能に構成される、
請求項8に記載の流体コネクタ。
【請求項10】
前記コネクタ本体は、前記チューブ端形成部の肩と係合可能に構成された突起をさらに備える、
請求項8に記載の流体コネクタ。
【請求項11】
第1の貫通ボアと、
第1の表面と、
第2の表面と、
フランジと、を含むコネクタ本体と、
前記第1の表面と係合可能に構成された保持クリップと、
前記保持クリップを前記コネクタ本体に固定可能に構成された保持プレートであって、
前記第2の表面と係合するように構成された遠位表面と、
近位表面と、
第2の貫通ボアと、
前記保持クリップと係合して前記コネクタ本体内での前記保持クリップの回転を防止可能に構成された突起と、を含む保持プレートと、を備え、
前記フランジは、前記保持プレートの周りで半径方向内側に圧着可能に構成される、
流体コネクタ。
【請求項12】
前記フランジは、第1のセクションと第2のセクションとを備え、前記第2のセクションは、半径方向内側に圧着されて、前記保持プレートを前記コネクタ本体に固定し接続状態を形成可能に構成される、
請求項11に記載の流体コネクタ。
【請求項13】
非接続状態では、前記第2のセクションは、前記第1のセクションと実質的に位置合わせされており、
前記接続状態では、前記第2のセクションは、前記第1のセクションに対して実質的に垂直であり、前記近位表面と係合する、
請求項12に記載の流体コネクタ。
【請求項14】
前記保持クリップは、前記コネクタ本体内で半径方向に拡張可能である、
請求項11に記載の流体コネクタ。
【請求項15】
前記保持クリップは、前記第1の表面と前記第2の表面との間で軸方向に配置される、
請求項11に記載の流体コネクタ。
【請求項16】
チューブ端形成部をさらに備え、前記チューブ端形成部は、前記コネクタ本体に固定可能である、
請求項11に記載の流体コネクタ。
【請求項17】
前記保持クリップは、前記チューブ端形成部を前記コネクタ本体に固定可能に構成される、
請求項16に記載の流体コネクタ。
【請求項18】
前記コネクタ本体は、前記チューブ端形成部の肩と係合可能に構成された突起をさらに備える、
請求項16に記載の流体コネクタ。
【請求項19】
前記保持クリップの少なくとも一部は、非拡張状態において、前記第2の貫通ボア内に半径方向に配置される、
請求項11に記載の流体コネクタ。
【請求項20】
第1の貫通ボアと、
第1の軸向表面と、
第2の軸向表面と、
フランジと、を含むコネクタ本体と、
前記第1の軸向表面と前記第2の軸向表面との間に軸方向に配置され、前記第1の軸向表面と係合可能に構成された保持クリップと、
前記保持クリップを前記コネクタ本体に固定可能に構成された保持プレートと、を備え、
前記保持プレートは、
前記第2の軸向表面と係合するように構成された遠位表面と、
近位表面と、
第2の貫通ボアと、を含み、
前記フランジは、半径方向内側に圧着されて、前記保持プレートを前記コネクタ本体に固定可能に構成されている、
流体コネクタ。
【請求項21】
前記第1の軸向表面および前記第2の軸向表面は、互いに平行に配置されている、
請求項1に記載の流体コネクタ。
【請求項22】
前記保持クリップは、第1の突起と第2の突起とを備え、
非拡張状態において、前記第1の突起および前記第2の突起は、前記第2の貫通ボア内に延びる、
請求項1に記載の流体コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流体コネクタに関し、より具体的には、コネクタ本体の後処理機械加工の必要性を排除し、保持クリップが常に格納されることを保証する内部保持クリップを含む流体コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
流体コネクタは、多くの用途、特に自動車用途にとって不可欠な構成要素である。自動車システムは、ラジエーター、トランスミッション、エンジンなどのさまざまな構成要素で構成されているため、流体は各構成要素内だけでなく、構成要素間を移動できる必要がある。構成要素間を移動する流体の例は、トランスミッション流体の温度を下げるためにトランスミッションからトランスミッションオイルクーラーに移動するトランスミッション流体である。流体は主に、流体コネクタによって各構成要素に接続する柔軟なまたは硬いホースを介して構成要素間を移動する。そのような流体コネクタは、通常、チューブ端形成部がコネクタ本体に完全に挿入されたときにチューブ端形成部の隆起した肩の後ろにスナップするように適合された、コネクタ本体に搭載された保持クリップ、保持リングクリップ、またはスナップリングを含む。ただし、流体コネクタが適切に機能するためには、コネクタ本体にスロットまたは開口を機械加工して、保持クリップがそこを通じて突き出てチューブ端形成部に係合できるようにする必要があり、これには、追加の後処理製造加工が必要になる。加えて、組立工程中に、コネクタ本体への保持クリップの取付けは困難であり、保持クリップを適切に取付けないと、保持クリップの構造的完全性が危険にさらされる可能性がある。さらに、保持クリップは非常に薄くて小さいため、落としたり置き忘れたりすると紛失しやすくなる。
【0003】
したがって、後工程の機械加工の必要性を排除し、保持クリップを格納し、かつ流体コネクタを組み立てるのに必要な挿入力を低減する内部保持クリップを含む流体コネクタが長い間必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に示される態様によれば、第1の貫通ボアと、第1の表面と、第2の表面と、フランジと、を含むコネクタ本体と、第1の表面と係合可能に構成され、コネクタ本体内で半径方向に拡張可能な保持クリップと、第1の貫通ボアに挿入されるように構成された保持プレートであって、第2の表面と係合するように構成された遠位表面と、近位表面と、第2の貫通ボアと、を含む保持プレートと、を備え、フランジは、保持プレートの周りで半径方向内側に圧着可能に構成される、流体コネクタが提供される。
【0005】
本明細書に示される態様によれば、第1の貫通ボアと、第1の表面と、第2の表面と、フランジと、を含むコネクタ本体と、第1の表面と係合可能に構成された保持クリップと、保持クリップをコネクタ本体に固定可能に構成された保持プレートであって、第2の表面と係合するように構成された遠位表面と、近位表面と、第2の貫通ボアと、保持クリップと係合してコネクタ本体内での保持クリップの回転を防止可能に構成された突起と、を含む保持プレートと、を備え、フランジは、保持プレートの周りで半径方向内側に圧着可能に構成される、流体コネクタが提供される。
【0006】
本明細書に示される態様によれば、第1の貫通ボアと、第1の軸向表面と、第2の軸向表面と、フランジと、を含むコネクタ本体と、第1の軸向表面と第2の軸向表面との間に動作可能に配置される保持クリップと、保持クリップをコネクタ本体に固定可能に構成された第2の貫通ボアを含み、フランジが半径方向内側に圧着されて、保持プレートをコネクタ本体に固定可能に構成された、保持プレートと、保持クリップを介してコネクタ本体に流体接続可能に構成されたチューブ端形成部と、を備える、流体コネクタが提供される。
【0007】
本明細書に示される態様によれば、保持クリップ、保持プレート、およびチューブ端形成部を含むコネクタ本体を含み、コネクタ本体の全長を短縮すると共にチューブ端形成部をコネクタ本体に組み込むのに必要な挿入力を低減する流体コネクタが提供される。コネクタ本体内の内部クリップの配置は、すべての組立て位置からの組立てを容易にするため、組立工場での人間工学的な懸念に対処する。内部保持クリップを備えたコネクタ本体の設計は、パッケージスペースの縮小により、よりコンパクトなコネクタ本体の要求にも対応する。さらに、流体コネクタは、保持クリップを引き伸ばしたり半径方向に拡張したりする必要なく、またコネクタ本体の後処理機械加工を必要とせずに、コネクタ本体内に保持クリップを組込むことを可能にし、それによって残屑を減らす。コネクタ本体のフランジは、保持プレート上に圧着され、それによって保持クリップの固定を保証する。
【0008】
いくつかの実施形態では、保持クリップは、コネクタ本体のスロット内の第1のランド部に配置される。次に、保持プレートは、コネクタ本体のスロット内の第2のランド部に配置され、それによってスロット内に保持クリップを封入する。次に、コネクタ本体のフランジを半径方向内側に圧着、スエージ加工、または折り曲げて、保持プレートおよび保持クリップをコネクタ本体内に固定する。いくつかの実施形態では、保持プレートは、保持クリップと係合して保持クリップの回転を防止する1つまたは複数の突起を備える。これにより、流体コネクタを簡単に分解できる(つまり、切断ツールを使用して、コネクタ本体から保持クリップを簡単に取り外すことができる)。
【0009】
本開示のこれらおよび他の目的、特徴、および利点は、図面および添付の特許請求の範囲を考慮して、本開示の以下の詳細な説明を検討することで容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
対応の参照符号が対応の部品を指す添付の概略図を参照して、様々な実施形態が例としてのみ開示される。
図1】非固定状態での流体コネクタの正面斜視図である。
図2図1に示す流体コネクタの固定状態での正面斜視図である。
図3図1に示す流体コネクタの正面分解斜視図である。
図4図1の線4-4に概ね沿う流体コネクタの断面図である。
図5図2の線5-5に概ね沿う流体コネクタの断面図である。
図6】保持プレート上に組付けられた保持クリップの後方斜視図である。
図7図6に示す保持クリップおよび保持プレートの後方分解斜視図である。
図8】保持プレート上に組付けられた保持クリップの後方斜視図である。
図9図8に示す保持クリップおよび保持プレートの後方分解斜視図である。
図10図8に示す保持プレート上に組付けられた保持クリップの背面図である。
図11図8に示す保持プレート上に組付けられた保持クリップの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
初めに、異なる図面での同様の図面番号は同一または機能的に類似の構造要素を特定することを認識されたい。特許請求の範囲は、開示された態様に限定されないことを理解されたい。
【0012】
さらに、本開示は、記載された特定の方法、材料、および変形に限定されず、そのため当然ながら変化しうることを理解されたい。ここで使用される用語は、特定の態様を記述することのみを目的とし、特許請求の範囲を限定する意図がないことも理解されたい。
【0013】
他に定義されなければ、ここに使用される技術的および科学的な語すべては、この開示が関連する技術分野の当業者に一般的に理解されるものと同じ意味を有する。ここに記載されるものと類似または同等の方法、装置、または材料が実施形態例の実施または試験に使用されうることを理解されたい。
【0014】
「実質的に」の語は、「近く」、「非常に近く」、「約」、「およそ」、「だいたい」、「近似する」、「近い」、「本質的に」、「近隣に」、「近傍に」等のような語と同義語であって、このような語は、明細書および特許請求の範囲に出現する際に互換的に使用されうることを認識されたい。「近接の」の語は、「近くに」、「近い」、「隣接の」、「近隣の」、「直近の」、「隣の」等のような語と同義語であって、このような語は、明細書および特許請求の範囲に出現する際に互換的に使用されうることを認識されたい。「およそ」の語は、指定値の10パーセント以内の値を意味することが意図されている。
【0015】
本出願における「または」の使用は、特に明記しない限り、「非排他的」な取り合わせに関するものであることを理解されたい。例えば、「アイテムxはAまたはBである」という場合、これは次の(1)、(2)のいずれかを意味することが理解される。(1)アイテムxはAおよびBの一方または他方のみである。(2)アイテムxはAとBの両方である。言い換えれば、「または」という言葉は、「排他的なまたは」の取り合わせを定義するためには使用されない。例えば、「アイテムxはAまたはBである」という記載についての「排他的なまたは」の取り合わせは、xがAおよびBのいずれか1つのみであることが必要とされる。更に、ここで使用される「および/または」は、列挙された要素または条件の1つまたは複数が含まれるか、または発生する可能性があることを示すために使用される文法上の接続詞を意味することを意図している。例えば、第1の要素、第2の要素および/または第3の要素を備える装置は、以下の構造的取り合わせのいずれか1つとして解釈されることを意図する。すなわち、第1の要素を備える装置、第2の要素を備える装置、第3の要素を備える装置、第1の要素および第2の要素を備える装置、第1の要素および第3の要素を備える装置、第1の要素、第2の要素、および第3の要素を備える装置、または、第2の要素および第3の要素を備える装置。
【0016】
更に、本明細書で使用される場合、システムまたは要素と組み合わせた「の少なくとも1つを備える」及び「の少なくとも1つを備えている」という表現は、システムまたは要素が、その表現の後に挙げられた要素の1つまたは複数を含むことを意味することを意図している。例えば、第1の要素、第2の要素および第3の要素の少なくとも1つの要素を備える装置、は、以下の構造的取り合わせのいずれか1つとして解釈されることを意図している。すなわち、第1の要素を備える装置、第2の要素を備える装置、第3の要素を備える装置、第1の要素および第2の要素を備える装置、第1の要素および第3の要素を備える装置、第1の要素、第2の要素および第3の要素を備える装置、または、第2の要素および第3の要素を備える装置。同様の解釈は、「の少なくとも1つで使用される」という表現が本明細書で使用されている場合にも意図されている。更に、本明細書で使用される場合、「および/または」は、列挙された要素または条件の1つまたは複数が含まれるかまたは発生する可能性があることを示すために使用される文法上の接続詞を意味することを意図している。例えば、第1の要素、第2の要素および/または第3の要素を備える装置、は、以下の構造的取り合わせのいずれか1つとして解釈されることを意図する。すなわち、第1の要素を備える装置、第2の要素を備える装置、第3の要素を備える装置、第1の要素および第2の要素を備える装置、第1の要素および第3の要素を備える装置、第1の要素、第2の要素、および第3の要素を備える装置、または、第2の要素および第3の要素を備える装置。
【0017】
「回転不能に接続された」要素とは、要素の1つが回転すると、すべての要素が回転するように要素が接続されており、要素間の相対的な回転は不可能であることを意味する。互いに対して回転不能に接続された要素の半径方向および/または軸方向の移動は、可能であるが、必須ではない。
【0018】
ここで図面を参照すると、図1は、非固定状態での流体コネクタ10の正面斜視図である。図2は、固定状態での流体コネクタ10の正面斜視図である。図3は、流体コネクタ10の正面分解斜視図である。図4は、図1の線4-4に概ね沿う流体コネクタ10の断面図である。図5は、図2の線5-5に概ね沿う流体コネクタ10の断面図である。流体コネクタ10は、概して、保持プレート20、コネクタ本体40、およびチューブ端形成部80を備える。本開示の目的のために、「非固定状態」は、コネクタ本体40のフランジ52が、保持プレート20(または保持クリップ70、170)上にまだ圧着されていないことを意味することを意図する。「固定状態」は、フランジ52のセクション56が保持プレート20上に圧着され、それによって保持プレート20および保持クリップ70(または170)をコネクタ本体40内に固定することを意味することを意図している。以下の説明は、図1~5と照らし合わせて解釈されたい。
【0019】
コネクタ本体40は、端部42から端部44まで延びる貫通ボア41と、半径方向内向表面46と、半径方向内向表面48と、突起47と、溝50と、フランジ52と、ヘッド58と、半径方向外向表面60と、を備える。コネクタ本体40は、流体で満たされる構成要素に接続されるように構成される。例えば、コネクタ本体40は、半径方向外向表面60を介してトランスミッションに接続されてもよく、これは、雄ねじ切りを備えていてもよい。コネクタ本体40は、ヘッド58を介して(例えば、レンチを使用して)トランスミッションのねじ穴にねじ込まれてもよく、次に、トランスミッション流体で満たされる。いくつかの実施形態では、ヘッド58は、六角形である。しかしながら、ヘッド58は、コネクタ本体40にトルクを加えるのに適した任意の形状(例えば、正方形、三角形、八角形など)を備えていてもよいことを認識されたい。流体コネクタ10、特にコネクタ本体40が取り付けられてもよい別の構成要素は、エンジンブロックである。流体コネクタ10は、流体接続が望まれる他の様々な構成要素、アセンブリ、およびサブアセンブリで使用してもよいことを認識されたい。半径方向外向表面60は、溝64をさらに備えていてもよい。シールまたはOリング64を溝64に配置して、コネクタ本体40とそれが接続される構成要素との間に流体密シールを作成してもよい。シール62は、コネクタ本体40に配置されている。具体的には、シール62は、溝50に配置されている。いくつかの実施形態では、シール62は、Oリングである。いくつかの実施形態では、コネクタ本体40は、シール62を溝50内に封入し、半径方向内向表面47を形成する突起49をさらに備える。半径方向内向表面47は、半径方向内向表面46と半径方向内向表面48との間に延び、それらに接続される。表面47は、チューブ端形成部80と係合可能に構成される。具体的には、突起49は、肩87と係合して、軸方向AD1へのチューブ端形成部80の変位を防止する。コネクタ本体40は、表面45および表面43をさらに備える。表面45は、半径方向内向表面46および表面43に接続され、それらから延びる。表面45は、以下でより詳細に説明するように、保持プレート20とともに、保持クリップ70、170が封入される空間を形成する。表面43は、フランジ52に接続され、フランジ52から延びる。表面43は、保持プレート20の表面22と係合するように構成される。いくつかの実施形態では、複数の表面43および45は、軸向表面であり、互いに実質的に平行である(例えば、複数の表面43および45の両方が軸方向AD2に向いている)。フランジ52は、ヘッド58および表面43から軸方向AD2に延びる。フランジ52は、セクション54とセクション56を備え、これらは、図では折り線L1によって分離されているように示されている。折り線L1は、本明細書においてフランジ52の折り畳み動作を説明する目的のみに使用される仮想線であることを認識されたい。いくつかの実施形態では、コネクタ本体40は、金属である。いくつかの実施形態では、コネクタ本体40は、適切な展性材料であるフランジ52を備えたポリマーである。いくつかの実施形態では、コネクタ本体40は、適切な展性材料であるフランジ52を備えたセラミックである。
【0020】
チューブ端形成部80は、端部82、セクション83、肩87、セクション89、端部94、および貫通ボア96を備える。貫通ボア96は、端部82から端部94までチューブ端形成部80を通って延びる。セクション83は、端部82と肩87との間に配置され、半径方向外向表面84を備える。半径方向外向表面84は、実質的に一定の直径を含む。いくつかの実施形態では、半径方向外向表面84は、端部82に近接する円錐台状のテーパーを備える(図4~5を参照)。肩87は、セクション83とセクション89との間に配置され、半径方向外向表面86、半径方向外向表面90、および表面88を備える。図示されるように、半径方向外向表面86は、軸方向AD2において直径が増加する。いくつかの実施形態では、半径方向外向表面86は、軸方向AD1に少なくとも部分的に向く軸面である。半径方向外向表面90は、半径方向外向表面86から肩面88まで延在する。いくつかの実施形態では、半径方向外向表面90は、一定の直径を含む。いくつかの実施形態では、半径方向外向表面90は、可変直径を備える。肩面88は、少なくとも部分的に軸方向AD2に向く軸面である。セクション89は、肩87と端部94との間に配置され、半径方向外向表面92を備える。半径方向外向表面92は、実質的に一定の直径を含む。チューブ端形成部80は、具体的には端部82を先頭にして、コネクタ本体40および保持プレート20に挿入されるように構成される。チューブ端形成部80は、保持クリップ70が肩87上でスナップするまで、コネクタ本体40および保持プレート20に挿入される。肩面88と突起72A~Bの係合は、チューブ端形成部80をコネクタ本体40内に固定する。チューブ端形成部80は、ビード、半径方向外向きに延びる突起またはフランジ、またはランプ輪郭を備える任意の従来のチューブ端形成部であってもよいことを認識されたく、これは、チューブ端形成部の外面上で半径方向外向きおよび軸方向に延び、コネクタ本体(およびカートリッジ)内の保持リング、スナップリング、またはワイヤクリップを変位させて、コネクタ本体内にチューブ端形成部を固定する。いくつかの実施形態では、チューブ端形成部80は、金属である。いくつかの実施形態では、チューブ端形成部80は、ポリマーである。いくつかの実施形態では、チューブ端形成部80は、セラミックである。
【0021】
図6は、保持プレート20上に組付けられた保持クリップ70の後方斜視図である。図7は、図6に示される保持クリップ70および保持プレート20の後方分解図である。以下の説明は、図1~7と照らし合わせて解釈されたい。
【0022】
保持クリップ(または保持リングまたはスナップクリップ/リング)70は、表面45に近接してコネクタ本体40内に配置される。表面45は、軸方向AD1への保持クリップ70の変位を防止する。保持クリップ70は、概して、半径方向内側に延びる1つまたは複数の突起を含む保持リングである。図示の実施形態では、保持クリップ70は、突起72A~Bを備える。突起72A~Bは、肩87、具体的には肩面88と係合して、チューブ端形成部80をコネクタ本体40内に固定するように構成される。保持クリップ70は、弾性的に変形して元の形状に戻ることができる任意の材料(例えば、金属、ポリマーなど)であってもよい。
【0023】
保持プレート20は、コネクタ本体40内に保持クリップ70を封入可能に構成される。保持プレート20は、端部22、半径方向外向表面24、端部26、および貫通ボア30を備える。貫通ボア30は、半径方向内向表面32を形成する。表面22は、コネクタ本体40の表面43と係合または当接するように構成され、半径方向外向表面24に近接する。半径方向外向表面24は、フランジ52と係合または近接して配置される。保持プレート20は、表面22を先頭にして、コネクタ本体の端部44の貫通ボア41に挿入され固定可能に構成される。保持プレート20がコネクタ本体40内に適切に配置されると、フランジ52は、セクション56が表面26に近接して配置されるか、または表面26に当接するように半径方向内側に圧着または曲げられ、それによって保持プレート20をコネクタ本体40に固定する(図5に示すように)。いくつかの実施形態では、保持プレート20は、表面22から延びる1つまたは複数の突起(例えば、突起28)をさらに備える。保持プレート20がコネクタ本体40に組付けられると、突起28は、軸方向AD1に延び、保持クリップ70と係合して、コネクタ本体40内での保持クリップ70の回転を防止する(図6に示される保持クリップ70と保持プレート20の係合を参照)。例えば、突起28は、突起72Aと72Bとの間に円周方向に配置された保持クリップ70のセクションと係合してもよい。貫通ボア30は、直径D1を有する。非拡張状態では、保持クリップ70の突起72Aおよび72Bは、直径D1より小さい距離D2だけ離れている。したがって、保持クリップ70が保持プレート20と係合すると、突起72Aおよび72Bは、半径方向内向表面32から半径方向内側に延び、したがって貫通ボア30内に延びる。このような構成により、突起72A~Bがチューブ端形成部80の肩87と係合することが可能になる。いくつかの実施形態では、カートリッジ20は、金属である。いくつかの実施形態では、カートリッジ20は、ポリマーである。いくつかの実施形態では、カートリッジ20は、セラミックである。
【0024】
流体コネクタ10を組立てるためには、保持クリップ70がコネクタ本体40に挿入される。図4~5に示されるように、保持クリップ70は、表面45と表面47との間に軸方向に形成されたキャビティ内に配置される。次に、保持プレート20がコネクタ本体40内に挿入される。保持プレート20の表面22は、コネクタ本体40の表面43と係合し、それによってコネクタ本体40内に保持クリップ70を封入する。いくつかの実施形態では、突起28は、前述のように保持クリップ70と係合する。半径方向外向表面24は、フランジ52に近接して配置されるか、フランジ52と係合する。次に、フランジ52は、図5に示されるように、半径方向内側に圧着され、コネクタ本体40内に保持プレート20を固定する。具体的には、セクション56が保持クリップ20の端部26に近接して配置されるか、または当接するまで、曲げ線L1の周りで半径方向内側に圧着されるか、または曲げられる。図5に示されるように固定状態では、保持クリップ20は、表面43によって軸方向AD1に、そして圧着セクション56によって軸方向AD2に変位するのが防止される。したがって、保持クリップ70は、表面45によって軸方向AD1に、そして表面22によって軸方向AD2に変位するのが防止される。いくつかの実施形態では、フランジ52が保持プレート20上に圧着されると、保持プレート20は、コネクタ本体40に回転不能に接続される。いくつかの実施形態では、フランジ52が保持プレート20上に圧着されると、保持プレート20は、コネクタ本体40に回転可能に接続される。フランジ52が圧着され、保持プレート20および保持クリップ70がコネクタ本体40に固定されるまで、チューブ端形成部80は、保持プレート20およびコネクタ本体40に挿入されないことを認識されたい。図4は、保持プレート20およびコネクタ本体40に挿入されたチューブ端形成部80を接続されていない状態で示し、構成要素の相互作用および向きをさらに説明するためだけのものである。しかしながら、保持プレート20、保持クリップ70、およびコネクタ本体40の組立中には、チューブ端形成部80は存在しない。
【0025】
図8は、保持プレート20に組付けられた保持クリップ170の後方斜視図である。図9は、保持クリップ170および保持プレート20の後方分解斜視図である。図10は、保持プレート20に組付けられた保持クリップ170の後方立面図である。図11は、保持プレート20に組付けられた保持クリップ170の正面図である。以下の説明は、図1~5および図8~11と照らし合わせて解釈されたい。
【0026】
保持クリップ(または保持リングまたはスナップクリップ/リング)170は、表面45に近接してコネクタ本体40内に配置される。表面45は、軸方向AD1への保持クリップ170の変位を防止する。保持クリップ170は、概して、外周から半径方向内側に延びる1つまたは複数のアームを含む保持リングである。図示の実施形態では、保持クリップ170は、アーム172A~Bを備える。アーム172A~Bは、肩87、具体的には肩面88と係合して、チューブ端形成部80をコネクタ本体40内に固定するように構成される。保持クリップ170は、弾性的に変形して元の形状に戻ることができる任意の材料(例えば、金属、ポリマーなど)であってもよい。
【0027】
保持プレート20は、コネクタ本体40内に保持クリップ170を封入可能に構成される。保持プレート20は、端部22、半径方向外向表面24、端部26、および貫通ボア30を備える。貫通ボア30は、半径方向内向表面32を形成する。表面22は、コネクタ本体40の表面43と係合または当接するように構成され、半径方向外向表面24に近接する。半径方向外向表面24は、フランジ52と係合または近接して配置される。保持プレート20は、表面22を先頭にして、コネクタ本体の端部44の貫通ボア41に挿入され固定可能に構成される。保持プレート20がコネクタ本体40内に適切に配置されると、フランジ52は、セクション56が表面26に近接して配置されるか、または表面26に当接するように半径方向内側に圧着または曲げられ、それによって保持プレート20をコネクタ本体40に固定する(図5に示すように)。いくつかの実施形態では、保持プレート20は、表面22から延びる1つまたは複数の突起(例えば、突起28)をさらに備える。保持プレート20がコネクタ本体40に組付けられると、突起28は、軸方向AD1に延び、保持クリップ170と係合して、コネクタ本体40内での保持クリップ170の回転を防止する(図8及び図10に示される保持クリップ170と保持プレート20の係合を参照)。例えば、突起28は、アーム172Aと172Bとの間に円周方向に配置された保持クリップ170のセクションと係合してもよい。貫通ボア30は、直径D1を有する。非拡張状態では、保持クリップ170のアーム172Aおよび172Bは、直径D1より小さい距離D3だけ離れている。したがって、保持クリップ170が保持プレート20と係合すると、アーム172Aおよび172Bは、半径方向内向表面32から半径方向内側に延び、したがって貫通ボア30内に延びる。このような構成により、突起72A~Bがチューブ端形成部80の肩87と係合することが可能になる。
【0028】
流体コネクタ10を組立てるためには、保持クリップ170がコネクタ本体40に挿入される。保持クリップ170は、表面45と表面47との間に軸方向に形成されたキャビティ内に配置される。次に、保持プレート20がコネクタ本体40内に挿入される。保持プレート20の表面22は、コネクタ本体40の表面43と係合し、それによってコネクタ本体40内に保持クリップ170を封入する。いくつかの実施形態では、突起28は、前述のように保持クリップ170と係合する。半径方向外向表面24は、フランジ52に近接して配置されるか、フランジ52と係合する。次に、フランジ52は、図5に示されるように、半径方向内側に圧着され、コネクタ本体40内に保持プレート20を固定する。具体的には、セクション56が保持クリップ20の端部26に近接して配置されるか、または当接するまで、曲げ線L1の周りで半径方向内側に圧着されるか、または曲げられる。図5に示されるように固定状態では、保持クリップ20は、表面43によって軸方向AD1に、そして圧着セクション56によって軸方向AD2に変位するのが防止される。したがって、保持クリップ170は、表面45によって軸方向AD1に、そして表面22によって軸方向AD2に変位するのが防止される。
【0029】
上記の開示の様々な態様、ならびに他の特徴および機能、あるいはそれらの代替物は、望ましくは、他の多くの異なるシステムまたは用途に組み合わせることができることが認識されよう。その中の様々な現在予期しないまたは予期しない代替、変形、変更、または改善は、当業者によって今後行われることがあり、これらも以下の特許請求の範囲に含まれることも意図される。
【符号の説明】
【0030】
10 流体コネクタ
20 保持プレート
22 表面
24 半径方向外向表面
26 表面
28 突起
30 貫通ボア
32 半径方向内向表面
40 コネクタ本体
41 貫通ボア
42 端部
43 表面
44 端部
45 表面
46 半径方向内向表面
47 半径方向内向表面
48 半径方向内向表面
49 突起
50 溝
52 フランジ
54 セクション
56 セクション
58 ヘッド
60 半径方向外向表面
62 シール
64 溝
66 シール
70 保持クリップ
72A 突起
72B 突起
80 チューブ端形成部
82 端部
83 セクション
84 半径方向外向表面
86 半径方向外向表面
87 肩
88 表面
89 セクション
90 半径方向外向表面
92 半径方向外向表面
94 端部
96 貫通ボア
170 保持クリップ
172A アーム
172B アーム
L1 ライン
D1 直径
D2 直径
D3 直径
AD1 軸方向
AD2 軸方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11