(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】脳神経を刺激するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
A61N1/36
(21)【出願番号】P 2022542496
(86)(22)【出願日】2021-01-08
(86)【国際出願番号】 US2021012723
(87)【国際公開番号】W WO2021142278
(87)【国際公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-08-30
(32)【優先日】2020-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522276677
【氏名又は名称】ニューエクセル2 エル.エル.シー.
【氏名又は名称原語表記】NUXCEL2,L.L.C.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】エリオット、リン
(72)【発明者】
【氏名】マッソン ジュニア、スティーブン シー.
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-503722(JP,A)
【文献】特表2012-504467(JP,A)
【文献】国際公開第2018/132412(WO,A1)
【文献】特表2011-500143(JP,A)
【文献】特表2010-512843(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脳神経の神経調節用の植込み型システムであって、
患者の前頸部領域内に、患者の下顎骨に又はその下側に植込まれるように構成された第1のハウジングと、
前記第1のハウジングに結合された第1の電極リード線であって、
前記第1の電極リード線は、患者の体内の第1の脳神経標的に又はその近くに配置されるように構成された少なくとも1つの電極を含
み、前記第1の脳神経標的は、患者の舌下神経の本体又は患者の舌下神経の枝を含む、第1の電極リード線と、
前記第1のハウジングに結合された第2の電極リード線であって、前記第2の電極リード線は、患者の体内の第2の脳神経標的に又はその近くに配置されるように構成された少なくとも1つの電極を含み、前記第2の脳神経標的は、患者の三叉神経の枝、患者の顔面神経の枝、及び、患者の舌咽神経の神経節又は枝、のうちの少なくとも1つを含む、第2の電極リード線と、
前記第1のハウジング内に設けられ、且つ前記第1
及び第2の電極リード線の
前記電極を使用して、
前記第1及び第2の脳神経標的に届け
るためのそれぞれの神経調節信号を発生させるように構成された信号発生回路と、を備え、
前記神経調節信号は、患者の呼吸障害又は睡眠障害を治療するように構成される、システム。
【請求項2】
前記信号発生回路によって発生された前記神経調節信号は、閉塞性睡眠時無呼吸を治療するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記信号発生回路は、前記第1及び第2の電極リード線の
前記電極に同時に前記神経調節信号をもたらすように構成される、請求項
1に記載のシステム。
【請求項4】
前記神経調節信号のうちの第1の信号に応答して生じる電気刺激ベクトルが、前記神経調節信号のうちの第2の信号に応答して生じる、異なる電気刺激ベクトルを修正するように構成される、請求項
3に記載のシステム。
【請求項5】
前記信号発生回路は、前記神経調節信号を前記第1及び第2の電極リード線のそれぞれの
前記電極に時分割式に提供するように構成される、請求項
1に記載のシステム。
【請求項6】
前記信号発生回路は、前記神経調節信号を、少なくとも部分的に時間的に重なっている電気信号パルスとして提供するように構成される、請求項
5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1の脳神経標的は、患者の舌筋、顎舌骨筋、茎突舌骨筋、顎二腹筋、又は茎突咽頭筋のうちの1つ以上の活動に影響を及ぼす神経経路を含み、電気的な前記神経調節信号は、患者の閉塞性睡眠時無呼吸を治療するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
患者の体内の前記第1の脳神経標的は、患者の舌下神経の前枝又は後枝を含み、第1の電極は、患者の舌下神経の前枝又は後枝に又はその近くに植込まれるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1の電極リード線の長さ部分に沿って異なる位置に配置された第1及び第2の電極をさらに備え、
患者の体内の前記第1の脳神経標的は、患者の舌下神経の前枝及び後枝を含み、
前記第1及び第2の電極は、前記神経調節信号を舌下神経の前枝及び後枝にそれぞれ提供するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1及び第2の脳神経標的は、患者の矢状正中線の両側にある、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1のハウジングは、互いに電気的に結合される第1の密閉容器及び異なる第2の密閉容器を含む、請求項
10に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1及び第2の電極リード線は、前記第1の密閉容器及び前記異なる第2の密閉容器にそれぞれ結合される、請求項
11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の密閉容器は電力貯蔵デバイスを含み、前記第2の密閉容器は前記信号発生回路を含み、前記第1及び第2の電極リード線は前記第2の密閉容器に結合される、請求項
11に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1の密閉容器及び前記異なる第2の密閉容器は、患者の矢状正中線の両側に植込まれる、請求項
11に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1及び第2の密閉容器は、それぞれ異なる前三角領域内に植込まれるように構成される、請求項
11に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1の密閉容器は患者の顎下三角領域内に植込まれ、前記第2の密閉容器は患者の筋三角領域内に植込まれ、
前記顎下三角領域は、患者の下顎骨体によって、並びに顎二腹筋の前部及び後部によって境界がつけられ、
患者の筋三角領域は、患者の舌骨、矢状正中線、肩甲舌骨筋、及び胸鎖乳突筋の下部によって境界がつけられる、請求項
15に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1の密閉容器は頸動脈三角領域内に植込まれるように構成され、前記第2の密閉容器は患者の顎下三角領域及びおとがい下三角領域の一方内に植込まれるように構成される、請求項
15に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1のハウジング内の電力管理回路に結合された無線通信コイルをさらに備え、前記無線通信コイルは患者の前頸部領域内に配置されるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記第1のハウジング内の電力管理回路に結合された無線通信コイルをさらに備え、前記無線通信コイルは患者の下顎骨上に配置されるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1のハウジング、及び前記第1のハウジング内の回路に結合される無線通信コイルは、患者のそれぞれ異なる前三角領域内に植込まれるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記無線通信コイル用の支持部材をさらに備え、前記支持部材は、患者の顎二腹筋の前部及び後部に結合されるように構成される、請求項
20に記載のシステム。
【請求項22】
前記無線通信コイル用の支持部材をさらに備え、前記支持部材は、患者の顎舌骨筋に結合されるように構成される、請求項
20に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
神経機能は、例えば、心血管障害、運動障害、及び振戦、癲癇、鬱病、呼吸器疾患(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD:chronic obstructive pulmonary disease)、胸水)、睡眠障害(例えば、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA:obstructive sleep apnea))、肥満、口内乾燥、及び顔面痛障害などの様々な障害に影響を及ぼし得る。これらの障害は、数百万人の患者に影響を及ぼし、且つ患者の生活の質及び寿命に影響を及ぼす。例えば、閉塞性睡眠時無呼吸は、よく見られる睡眠障害である。OSAを患っている個人は、睡眠中、中断した呼吸パターンを経験している。慢性の重度の睡眠時無呼吸は、断眠及び他の睡眠関連の合併症を予防するために、治療を要し得る。閉塞性睡眠時無呼吸は、心血管疾患のある患者によく見られ、高血圧の原因であり、並びに脳卒中、心不全、心房細動、及び冠状動脈性心疾患の発症率の増加に関連付けられる。重度のOSAは、原因を問わない及び心血管の死亡率の増加に関連付けられる。
【0002】
ある例では、外部の又は植込み型の筋肉刺激デバイス又は神経刺激デバイスが、例えば睡眠時無呼吸を治療するのを助けるために、又は無呼吸事象及び呼吸低下事象を抑止するために、気道内の又はその近くにある組織構造を活性化させるために提供され得る。
【0003】
ある例では、神経刺激は、OSA以外の様々な障害を治療するために使用され得る。例えば、神経刺激は、癲癇、鬱病、心不全、肥満、疼痛、片頭痛、COPD、又は他の障害を治療するために使用され得る。
【発明の概要】
【0004】
脳神経の神経調節は、様々な疾患及び障害、例えば睡眠障害又は呼吸障害を治療するために使用され得る。神経調節システムは、患者の前頸部領域内に、例えば患者の下顎骨に又はその下側に、例えば少なくとも部分的に、おとがい下三角、顎下三角、及び頚動脈三角のうちの1つ以上内に植込まれるように構成されたハウジングを含み得る。システムは、ハウジングに結合された電極リード線を含み得、及び電極リード線は、患者の体内の脳神経標的に又はその近くに配置されるように構成された電極を含み得る。システムは、電極を使用して脳神経標的に届けるための電気的な神経調節信号を発生させるように構成され得る。ある例では、脳神経標的は、特に、舌下神経、舌咽神経、三叉神経、顔面神経、又は迷走神経のうちの1つ以上を含み得る。
【0005】
神経調節療法を実施又は調整(titration)するための植込み型システムは、任意選択的に、患者の前頸部領域の異なる部分内に植込まれ得るような、複数のハウジングを含み得る。例えば、電気刺激回路を含む第1のハウジングが、前頸部のおとがい下三角、顎下三角、又は頚動脈三角内に植込まれ得る。例えばバッテリー又は他の回路を含む第2のハウジングが、おとがい下三角、顎下三角、又は頚動脈三角のうちの異なる1つ内に植込まれ得る。異なる頸部位置にシステムの異なる部分を植込むことによって、回路を様々な神経標的の近くに置くことができ、且ついくつかある利益の中で特に、患者の快適さを維持するのに役立ち得る。
【0006】
この概要は、本特許出願の主題の要旨を提供することを意図する。本発明の排他的又は徹底的な説明を提供することは意図していない。詳細な説明は、本特許出願のさらなる情報を提供するために含まれる。
【0007】
任意の特定の要素又は動作の説明を簡単に特定するために、参照符号の1つ又は複数の最上位桁は、要素が最初に紹介される図面番号を指す。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】全体的に、ヒトの前頸部領域の前面図の第1の解剖学的な例を示す。
【
図2】全体的に、前頸三角の一部分を含む第2の解剖学的な例を示す。
【
図3】全体的に、前頸三角の部分的な側面図を含む第3の解剖学的な例を示す。
【
図4】全体的に、前頸三角の部分的な側面図を含む第4の解剖学的な例を示す。
【
図5】全体的に、神経調節療法を施すように構成され得るシステムの例を示す。
【
図6】全体的に、患者の顎下三角内に植込まれる第1の植込み型デバイスを示す。
【
図7】全体的に、患者の顎下三角内に植込まれる第2の植込み型デバイスを示す。
【
図8】全体的に、患者のおとがい下三角内に植込まれるおとがい下植込み型デバイスを含む例を示す。
【
図9】全体的に、患者の頚動脈三角内に植込まれる第3の植込み型デバイスの例を示す。
【
図10】全体的に、第1のセグメント化植込み型デバイスの例を示す。
【
図11】全体的に、顎下植込み型デバイスの例を示す。
【
図12】全体的に、患者の顎下三角領域内に植込まれるデバイスの例を示す。
【
図13】全体的に、患者の顎下三角領域内に植込まれるデバイスの例を示す。
【
図14】神経調節システムを使用して、患者の障害を治療するための方法を示す。
【
図15】全体的に、テーパ付きハウジングを含む植込み型デバイスの例を示す。
【
図16】全体的に、カプセル形ハウジングを含む植込み型デバイスの例を示す。
【
図17】全体的に、コンピュータシステムの形をした機械の例を示し、コンピュータシステムでは、例示的な実施形態に従って、機械に、本明細書で説明する技法のうちの任意の1つ以上を実行させるための命令の組が実行され得る。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書で説明するシステム、デバイス、及び方法は、脳神経の電気刺激用に構成され得る。本明細書で説明する例は、1つ以上の標的脳神経に神経調節療法を実施するために、又は患者に関する生理学的情報を感知する、例えば疾患状態を監視する、又は神経調節療法若しくは他の療法を制御するために、神経調節システムを植込むための方法、又は植込まれたシステムを使用するための方法を含み得る。ある例では、本明細書で説明するシステム又はデバイスの特徴は、脳神経組織上又はその近くでのデバイス、リード線、センサー、電気刺激ハードウェア、又は他の治療手段の植込みを容易にし得る。ある例では、本主題は、首の前三角(例えば、内側面(medial aspect)に位置する)内で下顎骨(mandible)(すなわち、下顎体又は下顎枝(ramus of the mandible)、すなわち下顎骨(jaw bone))の下縁の近く若しくはその下方に、又は首の後三角(例えば、外側面(lateral aspect)に位置する)内、又は首の複数の領域内に、神経調節デバイスを植込むためのシステム及び方法を含む。
【0010】
本発明人らは、解決すべき問題が、患者の頸部領域内又はその近くの神経標的に信号を提供し得る低侵襲神経調節療法又は治療システムを提供することを含み得ると認識した。問題は、特に、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)、心不全、高血圧、癲癇、鬱病、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、頭蓋顔面疼痛症候群、顔面神経麻痺、片頭痛、口内乾燥、心房細動、脳卒中、自閉、炎症性腸疾患、慢性炎症、慢性疼痛、耳鳴、関節リウマチ、又は線維筋痛の治療を含み得る。問題は、システムが、動く傾向のある体の部位、例えば患者の首又は頸部領域に設置されるときに、位置の移動又は位置のずれに抵抗性を示す植込み型システムを提供することを含み得る。問題は、さらに、効果的な治療法を提供するために、複数の異なる脳神経標的を同時に又は協調して刺激することを含み得る。
【0011】
本発明人らは、特に、上述の問題の解決法は、患者の前頸部領域内に、例えば患者の下顎骨に又はその下側に植込まれ得る神経調節システムを含み得ると認識した。ある例では、システムは、いくつかある箇所の中で特に、前三角内の又はその近くにある組織に、例えば顎二腹筋若しくは腱組織に、顎舌骨筋組織に、舌骨に、又は下顎骨に結合され得るハウジングを含み得る。本発明人らは、解決法が、外部電源又はプログラマーと、例えば、患者の前頸部領域内にあるハウジングに又はその近くに植込まれた通信デバイスと無線通信するように構成されたデバイスを含み得ると認識した。本発明人らは、解決法が、ハウジングから複数の異なる方向に延在するような複数の電極リード線を備えて、複数の異なる脳神経とインターフェースを取り得る、植込み型デバイスを含み得ると認識した。本発明人らは、解決法が、さらに、神経調節システムによって患者に提供される治療法の1つ以上の特性を更新するために、植込まれた若しくは外部のセンサー又は患者入力を使用して、患者から感知され得るような生理学的情報を含み得るか又は使用し得ると認識した。
【0012】
本発明人らは、いくつかある障害又は疾患の中でも特に、本明細書で説明する神経調節システム及び方法が、OSAを治療するために使用され得ると認識した。ある例では、OSA治療は、おとがい下三角及び顎下三角の1つ以上内に植込まれる神経調節デバイスと、舌下神経、迷走神経、舌咽神経、又は三叉神経(例えば、三叉神経の下顎枝における)にある1つ以上の標的に又はその近くに配置されるように構成されている電極を備える電極リード線とを使用し得る。ある例では、解決法は、脳神経標的に、例えば舌下神経の前枝及び後枝に協調した両側刺激療法を実施するために、複数の電極又は電極リード線を使用することを含み得る。治療法は、患者の舌筋、顎舌骨筋、茎突舌骨筋、顎二腹筋、又は茎突咽頭筋のうちの1つ以上の活動に影響を与える神経経路を選択的に刺激、又は遮断し、それにより、OSAを治療するように構成され得る。
【0013】
以下の説明は、本主題の例示的な実施形態を示す、システム、方法、技術、命令シーケンス、及び計算機プログラム製品を説明している。以下の説明では、説明目的で、本主題の様々な実施形態の理解をもたらすために、多数の具体的な例及び態様を明記する。しかしながら、当業者には、本主題の実施形態は、様々な組み合わせで実施され得ることが明らかである。特に明記しない限り、構造(例えば、構造構成要素、例えばモジュール又は機能ブロック)は、任意選択であり、且つ組み合わせられたり又は細分されたりしてもよく、及びオペレーション(例えば、処置、アルゴリズム、治療、治療法、又は他の機能における)は、順番が異なり得るか、又は組み合わせられたり若しくは分割されたりできる。
【0014】
ある例では、本明細書で説明する植込み型神経調節システム及びデバイスは、電力及び/又はデータを共有するために通信式に結合され得る1つ以上のハウジング内に配置され得るような、制御システム、信号若しくはパルス発生器、又は他の治療信号発生器を含み得る。ハウジングは、その内部にある回路又は他の構成要素を保護するために、1つ以上の密閉容器を含み得る。ある例では、ハウジングは、1つ以上のヘッダーを含み得る、例えば、ハウジング、又はハウジング内にある回路や構成要素を、リード線と、又はハウジング外にある他のデバイスや構成要素と接続するために、堅牢な又は柔軟なインターフェースを含み得る。ある例では、ヘッダーは、ハウジング内にある信号発生回路を、ハウジング外にある電極又はセンサーと結合するために使用され得る。ある例では、ヘッダーは、ハウジング内にある回路を、フレキシブル基板又はフレキシブル回路上に配置され得るか又はそれを含み得るような、テレメトリアンテナ、無線電力通信デバイス(例えば、近距離通信すなわちNFC(near-field communication)用に構成されたコイル)、又は他のデバイスと結合するために、使用され得る。このシステム形態は、ハウジング、リード線、及びフレキシブル回路を、異なる解剖学的位置、例えば患者の首又は頸部領域内に植込むことができるようにする。ある例では、様々なシステム構成要素は、頸部領域にある解剖学的な三角形の領域又は腔(space)のうちの1つ以上内に植込まれ得、及び回路ハウジングの外部にあるリード線又は他のデバイスは、様々な脳神経標的においてを含め、他の箇所までトンネル内を通され(tunneled)得る。それゆえ、様々な治療用要素が、標的脳神経上に又はその近くに植込まれ得、及び感知素子が、同じ若しくは他の脳神経上に若しくはその近くに、又は同じ若しくは異なる箇所にある他の解剖学的構造に、植込まれ得る。いくつかの構成要素は、異なる解剖学的位置に、例えばハウジングによって占有されるものとは異なる頸部領域に位置し得る。例えば、テレメトリアンテナ又はNFCコイルは、皮膚の表面に又はその近くに提供され得るが、神経調節療法又は電力信号管理と協調する回路を備えるハウジングは、他の場所に、例えば首の前三角の腔のうちの1つ内のより深部に植込まれ得る。
【0015】
ある例では、複数の異なるハウジングは、神経調節システムを含み得、及び異なるハウジングは、異なる制御回路、電源、センサー、又は他の構成要素を含み得る。異なるハウジング及びその内部の構成要素は、例えば無線で、又は例えば連続的に接続された、デイジー・チェーン形態で若しくは星のような形態で、無線で、又はリード線若しくは他のフレキシブル回路を使用して、繋がれ得るか又は接続され得る。そのようなシステム形態は、治療法を神経標的に向けながら、或いは異なる領域から生理学的状態情報又は患者の活動レベル若しくは姿勢を感知しながら、1つの頸部領域へシステムの一部分を植込むのを容易にし得る。ある例では、複数の異なる領域に分配されるシステムは、柔軟性及び反復移動からの張力緩和をもたらすのを助け得る。
【0016】
頸部領域に植込まれた神経調節システム用の様々なハウジングは、様々なサイズ、形状、及び特徴を有し得る。例えば、ハウジングは、患者の体内の頸部領域の三角形(例えば、1つ以上の次元において)の輪郭に、全体的に対応し得る表面輪郭を含み得る。例えば、いくつかの頸腔(cervical space)は、一部分において、1つ以上の全体的に三角形又はピラミッド状の腔によって表され得るか又は画成され得るような、前方に及び内側に狭くなり得るような、1つ以上の三次元領域又はポケットを含み得る。それに応じて、植込み型デバイスハウジングは、例えばその面の少なくとも1つにおいて又はそれに沿って、斜角柱又は切頭角柱形状を有し得、そのようなポケット又は腔に位置決めするのを容易にし得る。ある例では、ハウジングは、全体的にシリンダー状、角柱状、ピラミッド状、錐台、又は球形の形態を有し得、例えば、平行する側面のある又はない、角柱状の変形例を含み得る。例えば、首の前方領域、例えば顎下三角又はおとがい下三角内に植込まれるように構成されたハウジングは、下顎底に対して平行な幅広の側面を備える直角プリズムの形状にされたハウジングを有し得、厚さを最小限にし、患者の不快感を少なくし、及び顎下腺を避ける。この例では、1つ又は複数のリード線が、ハウジングのヘッダーから1つ以上の脳神経、例えば顎下三角にある舌下神経まで延在し得る。他の脳神経及び植込み部位が、例えば同様の又は異なる形状にされたハウジングを使用することによって、同様に使用され得る。
【0017】
以下の説明では、頸部又は首の領域内にある様々な三角領域を含む、様々な解剖学的構造を解説する。解剖学的構造の解説に続いて、説明では、例えば様々な障害、疾患、又は症状を治療するために、いくつかある標的の中で特に、脳神経標的に神経調節をもたらすように構成され得る様々なデバイス及びその特徴を解説する。
【0018】
図1は、全体的に、ヒトの前頸部領域の前面図の第1の解剖学的な例100を示す。この領域は、全体的に、鎖骨108と下顎骨116との間に延在し、且つ様々な追加的な領域又は小領域に分割され得る。ある例では、前頸部領域は、矢状正中線102の両側に一対の前三角を含み、例えば図示のような前三角104を含む。本明細書で使用される用語「正中線」は、人の頸部又は首の領域内の左右相称線又は面を指す。ある例では、正中線は、矢状面に対応する、すなわち、体の前後(AP:anteroposterior)面である。
【0019】
前三角104は、正中線102、下顎骨116、及び胸鎖乳突筋(sternocleidomastoid muscle)すなわちSCM106によって境界がつけられている領域を含み得る。舌骨110が、正中線102を横切って、対の前三角間に延在し得る。前三角104は、特に、顎二腹筋112(例えば、顎二腹筋112の前部及び後部を含む)、顎舌骨筋114、並びに様々な他の筋肉、骨、神経、及び他の生体組織を含み得る。
【0020】
図2は、全体的に、
図1の例からの前三角104の一部分を含む第2の解剖学的な例200を示す。
図2は、例えば、前三角104が、顎下三角206、及びおとがい下三角202を含む様々な領域に分割され得ることを示す。ある例では、前三角104は、さらに、下記で
図3の例で説明するように、頚動脈三角を含み得る。首の後三角(図示せず)は、後頭三角及び肩甲鎖骨三角を含む、様々な領域に分割され得る。
【0021】
おとがい下三角202は、一般的に、正中線102、舌骨110、及び顎二腹筋前腹204によって境界がつけられている領域を含むと理解されている。顎下三角206は、一般的に、顎二腹筋前腹204、顎二腹筋後腹208、及び下顎骨116によって境界がつけられている領域を含むと理解されている。
【0022】
図3は、全体的に、前三角104の部分的な側面図を含む第3の解剖学的な例300を示す。
図3の例は、さらに、例えば顎二腹筋前腹204及び下顎骨116との関連で、顎下三角206の位置を示す。
図3の例は、例えば、頸部領域内にある前三角104の一部分を含み得る頚動脈三角302を示す。頚動脈三角302は、一般的に、SCM106、肩甲舌骨筋306、及び顎二腹筋後腹208によって境界がつけられている領域を含むと理解されている。
【0023】
ある例では、植込み型神経調節デバイスは、例えば本明細書で説明するシステム及び方法を使用して、前三角104又は後三角内に植込まれ得る。さらなる例では、植込み型神経調節デバイスは、おとがい下三角202及び顎下三角206の1つ以上内に植込まれ得る。植込み型神経調節デバイスは、例えば前三角104若しくは後三角内にある若しくはその近くにあるとし得る1つ又は複数の神経標的に、又は前三角104若しくは後三角内に配置されたハウジングから延在する、トンネル内を通されたリード線によってアクセスされ得る神経標的に、刺激療法を施すように構成され得る。換言すると、前頸三角及び後頸三角内の様々な領域は、特に、舌下神経(CN XII)、副神経(CN XI)、迷走神経(CN X)、舌咽神経(CN IX)、顔面神経(CN VII)、及び三叉神経(CN V)を含む様々な脳神経の本体、又は枝へのアクセスをもたらし得る。
【0024】
本発明人らは、前頸三角及び後頸三角が、神経調節システム又はその構成要素の植込みに好適な解剖学的位置であることに気付いた。本発明人らは、さらに、位置が、神経調節システム又はその構成要素を結合し、それゆえ安定化させるのに好適な様々な解剖学的構造を含むことに気付いた。例えば、本発明人らは、そのような結合構造が、舌骨110、舌骨110の結合組織のスリング(sling)、下顎骨116、二腹筋腱、顎二腹筋112の前部若しくは後部、茎突舌骨筋304、顎舌骨筋114、肩甲舌骨筋、又はSCM106を含み得ることを認識した。
【0025】
図4は、全体的に、前三角104を含む部分的な側面図を含む第4の解剖学的な例400を示す。第4の解剖学的な例400は、前三角104の上部、及び例えば側頭骨424に又はその下方にある上頸部の一部分を示す。舌406、及び頸静脈404の一部分の表示が、さらなる背景及び参照のために含まれている。
【0026】
第4の解剖学的な例400は、様々な神経及び血管を示している。図示の神経は、本明細書で説明する神経調節システム、デバイス、及び方法を使用して標的とされ得る脳神経の、全てではないが、いくつかを含む。例えば、第4の解剖学的な例400における神経標的は、特に、顔面神経402、頸静脈404、舌咽神経412、迷走神経の咽頭枝414、迷走神経416、舌下神経418、及び三叉神経の下顎枝428を含む。
【0027】
図4の例は、植込み型治療デバイス426の例を含む。植込み型治療デバイス426は、患者の頸部領域の前三角104の上部において、患者の体内に植込まれ得る。例えば、植込み型治療デバイス426は、おとがい下三角202及び顎下三角206の1つ以上内に植込まれ得る。
図4の例では、植込み型治療デバイス426は、様々な解剖学的構造、例えば茎突舌骨筋410、舌骨408、又は上頸部内の他の腱若しくは構造に結合され得る。
【0028】
図4の例は、植込み型治療デバイス426に結合された複数のリード線を含む。例えば、植込み型治療デバイス426は、下方電極リード線420、前方電極リード線422、及び上方電極リード線430に結合され得る。下方電極リード線420は、迷走神経416上の、例えば、頚動脈三角302内の又はそれに隣接する神経標的に又はその近くに植込まれ得る。ある例では、下方電極リード線420は、SCM106に、又は迷走神経416にある若しくはその近くの他の構造に、結合され得る。上方電極リード線430は、特に、顔面神経402、三叉神経の下顎枝428、又は舌咽神経412に若しくはその近くに、植込まれ得る。ある例では、前方電極リード線422は、舌下神経418上の神経標的に又はその近くに植込まれ得る。植込み型治療デバイス426及びその関連のリード線の様々な詳細について、
図5の例を含め、本明細書で説明する。
【0029】
ある例では、本明細書で説明する様々な植込み型デバイス及びその構成要素は、例えばデバイス又は構成要素を特定の位置に安定化させるか又は維持し、且つ患者が患者の日常活動を行うときのデバイスの動きすなわち移動に抵抗するために、様々な解剖学的構造又は患者の体内の組織に結合され得る。ある例では、デバイス又は構成要素を組織に結合することは、結合特徴を使用して、組織にデバイス又は構成要素をアンカリングする、付着する、取り付ける、又は他の方法で固定することを含み得る。結合特徴は、例えば組織(例えば、筋肉、腱、軟骨、骨、又は他の組織)に縫合するために、限定するものではないが、フラップ又はフランジを含み得る。
【0030】
ある例では、結合特徴は、組織又は骨にねじ込まれ得るか又は取り付けられ得る、様々なハードウェア、例えばスクリュー又はらせん形部材を含み得る。ある例では、結合特徴は、カフ、スリーブ、接着剤、又は他の構成要素を含み得る。ある例では、1つ又は複数の異なる結合特徴は、同じ神経調節システムの異なる部分に使用され得る。例えば、縫合糸は、デバイスハウジングを組織部位に結合するために使用され得、及びハウジングに結合されるようなリード線は、リード線を神経標的に又はその近くに固定するために先端カフを含み得る。
【0031】
図5は、全体的に、神経調節療法を提供又は制御するように構成され得るシステム500の例を示す。システム500は、植込み型システム502及び外部システム520を含み得る。植込み型システム502及び外部システム520は、無線結合528を使用して通信式に結合され得る。ある例では、無線結合528は、電力信号通信(例えば、外部システム520から植込み型システム502まで一方向に)を可能にできるか、又はデータ信号通信(例えば、植込み型システム502と外部システム520との間で双方向に)を可能にできる。ある例では、植込み型システム502又は外部システム520は、同じ患者の体内にあるような1つ以上の他のデバイス、例えば他の植込み型の又は植込まれたデバイスとの電力又はデータ通信のために無線結合され得る。
【0032】
図5の例では、植込み型システム502は、いくつかある構成要素又はモジュール中で特に、アンテナ504、1つ以上の生理学的センサーを含むようなセンサー506、刺激リード線508、プロセッサ回路510、超音波トランスデューサ512、電力貯蔵回路514、刺激信号発生回路516、及びメモリ回路518を含み得る。
【0033】
ある例では、アンテナ504は、例えば植込み型システム502と外部システム520との間のデータ通信用に構成されたテレメトリアンテナを含み得る。ある例では、アンテナ504は、植込み型システム502と外部システム520又は他の外部電源との間の無線電力通信用に構成される、アンテナ、例えばNFCコイルを含み得る。
【0034】
プロセッサ回路510は、汎用又は専用のプロセッサを含み得る。メモリ回路518は、治療法又はシステム500の生理学的な監視活動を実施するためにプロセッサ回路510によって実行可能である命令などを含み得る、長期又は短期メモリ回路を含み得る。ある例では、植込み型システム502のプロセッサ回路510は、例えばアンテナ504又は他の通信回路を使用して、外部システム520とのテレメトリ又はデータ信号通信を管理するように構成されている。
【0035】
ある例では、刺激信号発生回路516は、オシレータ、パルス発生器、又は患者の体に電気刺激信号をもたらし得る電気信号を発生させるように、若しくは様々なセンサー(例えば、センサー506を含む)やトランスデューサ(例えば、超音波トランスデューサ512を含む)に給電するように構成された他の回路を含む。ある例では、刺激信号発生回路516は、例えば同時に又は時分割式に、マルチポーラ電気刺激治療法を複数の神経標的に施すために、複数の電気信号を発生させるように構成され得る。刺激信号発生回路516は、例えば異なるパルス振幅、パルス持続時間、波形、刺激周波数、又はバーストパターン特性を有し得る、異なる神経刺激信号を使用又は提供するように構成され得る。
【0036】
刺激信号発生回路516は、複数の異なる標的に同時に治療信号を発生させるために使用され得る。例えば、刺激信号発生回路516からの信号は、1つの脳神経標的を刺激して、遠心性効果を、及び異なる神経又は枝を刺激して、求心性反応を引き出すために使用され得る。別の例では、1つの脳神経は遮断され得るが、別の神経は刺激される。他の組み合わせが同様に使用され得る。
【0037】
ある例では、刺激リード線508は、植込み型システム502のハウジング又はヘッダーに結合されるか又はそれと一体化している1つ以上のリード線を含み得る。刺激リード線508は、交換又は修理を容易にするために、ハウジングから取り外し自在とし得る。
【0038】
ある例では、刺激リード線508は、電気刺激ハードウェア、例えばカフ電極、平面電極、経皮電極、又は神経若しくは神経体や神経枝の電気刺激に好適な他の形態を含め、様々な形態を有する電極を含み得る。ある例では、それに加えて又はその代わりに、刺激リード線508は、神経活動を調節するように構成され得るような、他の神経調節療法ハードウェア、例えば超音波トランスデューサ512、薬品送達手段、又は機械的なアクチュエータを含み得る。
【0039】
本明細書で説明するリード線及び/又は電極は、1つ以上の神経標的での配置、及びその刺激を容易にし得る様々な特徴を有し得る。リード線は、神経刺激、神経遮断、又は神経感知のために使用され得る1つ以上の電極を有し得る。電極は、特定の機能に対して最適にするために、様々な表面積及び間隔(例えば、他の電極、センサー、標的などからの間隔)を有し得る。ある例では、電極は、植込み型システム内で使用するために、様々な材料、例えば、低酸化金属又は金属合金(例えば、プラチナ、プラチナイリジウムなど)を含み得る。ある例では、電極は、例えば治癒を促す又は組織への電荷移動を促進するために、別の材料によって処理又はコーティングされ得る。
【0040】
ある例では、電極リード線は、同じ又は異なる電極特性を有し得るなどの1つ又は複数の電極を含み得る。リード線は、例えば、スパイラル電極又はカフ電極を含み得る。そのような例では、1つ以上の導電面が、リード線本体の一部分を含み得るような、湾曲した又はスパイラル状のカフアセンブリ内面で露出され得る。ある例では、スパイラル状のカフアセンブリ(それゆえ、電極)は、神経体の周囲にぴったりと巻き付くように設計され得、且つ自動的にサイズ決定し得る。ある例では、カフ電極は、特定の標的を取り囲み、それにより、隣接する組織から電極を絶縁している間などに、複数の異なる方向から同時に刺激エネルギーを標的へ方向付けるように構成され得る。
【0041】
ある例では、表面電極又は電極アレイが使用され得る。この例では、1つ以上の電極は、リード線本体の平らな又は丸いセクションの一方の側に露出され得る。様々な形状、サイズ、又は他の特性の電極のアレイが、神経調節療法の実施を空間的に制御するように設けられ得る。ある例では、電極表面は、例えば1つ又は複数の電極によってもたらされる電界を集中させるために、標的神経又は他の構造の方へ向けられ得る。表面電極リード線は、標的解剖学的構造を露出することによって、外科的に配置され得るか、又は例えば、先端の外科的なアクセス点から、カテーテルベースの送達システムを使用して操舵され得る。
【0042】
ある例では、経皮法を使用して血管(又は神経標的の近傍にある他の伝達組織)へ挿入されるリード線に露出した1つ以上の電極を含むような経皮電極が、使用され得る。経皮リード線は、臨床医によって、脈管構造内を又はそこを通して、脈管構造にごく接近している標的神経又は神経構造の方へ向かって、ナビゲートされ得る。ある例では、経皮リード線上の電極は、リード線本体上に直接あり得るか、又は経皮構造、例えばステント様のフレーム若しくは足場を含み得、それにより、電極は、標的の方へ向かい、且つ血管中の血液から離れた向きにされ得る。
【0043】
ある例では、分岐リード線が、ヘッダーへの単一の接続を使用しながら、複数の異なる及び離間した解剖学的標的に電極を提供するために使用され得る。ある例では、モジュール式リード線は、例えば患者の解剖学的構造又は標的構造に適合するようにリード線を伸長させる又は合わせるために、使用され得る。
【0044】
ある例では、刺激リード線508は、ハウジングから離間しているような、リード線の先端部に設けられ得る若しくはそこでまとめられ得る1つ以上の電極を含み得るか、又は電極は、リード線の長さ部分に沿って分配され得る。ある例では、リード線は、リード線の長さ部分に沿って異なる位置に設けられた1つ以上の電極の複数の異なる電極群を含み得る。さらに、本明細書で説明する様々なデバイスのハウジングは、電気刺激の送達に使用されるように構成された1つ以上の電極を含み得る。植込み型システム502内で又はそれに結合された電極のそれぞれは、1つ又は複数の標的に、協調した治療法を実施するための神経調節療法制御又は協調回路によって、別々にアドレス可能とし得る。
【0045】
様々な刺激形態は、本明細書で説明する電極又はリード線のタイプのいずれかと一緒に使用され得る。ある例では、異なる形態は、刺激電界を提供又は修正し、それにより、神経興奮の程度及び方法に影響を及ぼすために使用され得る。形態は、例えば、ユニポーラ、バイポーラ、及び様々な組み合わせのマルチポーラ形態を含み得る。バイポーラ又はマルチポーラ形態では、ガード電極は、興奮を誘導するか又は神経活動を阻止するのを助けるために使用され得る。ある例では、電極形態は、例えば特定の治療法を通じて、例えばプログラミング変更によって、又は特定の治療を達成するためのオペレーション中に、動的に変更され得る。
【0046】
ある例では、センサー506は、特に、心電図(ECG:electrocardiogram)、インピーダンス、選択した筋肉の筋電図(EMG:electromyogram)、及び/又は標的脳神経及び枝の神経電図(ENG:electroneurogram)を使用してなど、電気活動を感知するための電極を含み得る。センサー506は、圧力センサー、光電式容積脈波測定(PPG:photoplethysmography)センサー、化学センサー(例えば、pH、乳酸、グルコースなど)、又は心臓、呼吸、若しくは他の生理活動を生理学的に感知するために使用され得る他のセンサーを含み得る。ある例では、センサー506は、例えば患者又はデバイスの動き、振動、位置、又は向きの情報を測定するように構成され得る、加速度計、ジャイロスコープ又は地磁気センサーを含み得る。センサー506の他の例は、本明細書の他の箇所で、例えば、機械1700及び様々なI/O構成要素1742、例えばバイオメトリック構成要素1732、運動構成要素1734、及び環境構成要素1736などの説明において説明される。ある例では、センサー506からの情報は、プロセッサ回路510によって受信され、且つ神経調節療法を更新又は調整(titrate)するために使用され得る。
【0047】
ある例では、植込み型システム502は、少なくとも一部において、患者の生理学的状態情報(例えば、呼吸、心拍、血圧、神経若しくは筋肉の活性化、又は他の情報)に基づいている、閉ループ神経調節療法を施すために使用され得るような、1つ以上のセンサー506を含み得る。ある例では、センサー506は、診断情報を受信するか、又は患者の動き又は体位に関する情報を受信するために使用され得る。
【0048】
ある例では、OSAを治療するためなどの舌下神経刺激は、少なくとも一部において、例えば呼吸に関する圧力センサーからの情報と一緒に、患者の呼吸、患者の活動性、及び体の向きや体位を決定するための加速度計又はジャイロスコープからの情報に基づいて、制御され得る。換言すると、加速度計及び圧力センサーなどを含むセンサー506からの情報を使用して、植込み型システム502は、例えば呼吸サイクル内の特定の時間中の刺激を含み得る、舌下神経に施される神経調節療法を制御でき、及び例えば患者の睡眠時に、治療を自動的に可能にするために、体位情報を使用し得る。
【0049】
図5の例では、外部システム520は、ユニタリーの外部デバイスとして一緒に設けられ得る様々な構成要素を含み得るか、又は患者の治療法を管理し、植込み型システム502などのデバイスを管理するか、若しくは植込み型システム502に関連する他の機能を実施するために協調するように構成された複数のデバイスを含み得る。外部システム520は、いくつかある構成要素又はモジュールの中で特に、アンテナ522、プロセッサ回路524、及びインターフェース526を含み得る。
【0050】
アンテナ522は、例えば、植込み型システム502のアンテナ504、異なる植込み型デバイス若しくはシステム、又は他の外部デバイスとの近距離又は遠距離通信用に構成され得るような、1つ又は複数のアンテナを含み得る。ある例では、アンテナ522及びアンテナ504は、植込み型システム502と外部システム520との間で電力又はデータを交換するために使用され得る。例えば、処方された治療法に関する情報が、外部システム520から植込み型システム502へアップロードされ得るか、又はセンサー506によって測定されるような生理学的状態に関する情報が、植込み型システム502から外部システム520へダウンロードされ得る。
【0051】
プロセッサ回路524は、外部システム520で、又は植込み型システム502と協調して、様々な活動を実施するように構成された汎用又は専用プロセッサを含み得る。ある例では、外部システム520のプロセッサ回路524は、例えばアンテナ522又は他の通信回路を使用して、植込み型システム502とのテレメトリ又はデータ信号通信を管理するように構成されている。
【0052】
インターフェース526は、例えばデバイス情報を報告するために、又は植込み型システム502によって実施するための命令若しくは治療パラメータを受信するために、患者又は臨床医インターフェースを含み得る。ある例では、インターフェース526は、502又は外部システム520と患者管理システム又は他の診療記録システムとの間の通信を容易にするために、インターフェース又はゲートウェイを含み得る。植込み型システム502及び外部システム520の他の特徴、モジュール、及び構成要素は、システム500内に含まれて、様々な神経調節療法を投与するのを助け得る。
【0053】
ある例では、少なくともシステム500の植込み型システム502及び外部システム520を含む、本明細書で説明するシステム、デバイス、及び構成要素は、患者の体内の神経標的に神経調節療法を施して、例えば1種以上の障害又は疾患を治療するために、使用され得る。ある例では、システム500又はその構成要素は、協調して、例えば同時に、又は時分割シーケンスで、複数の神経標的に神経調節療法を施すように構成され得る。ある例では、神経調節療法は、神経刺激及び遮断信号の1つ以上、又はそれらの組み合わせを含み得、例えば異なる反応をトリガするために、求心性又は遠心性の神経構造又は標的に向けられ得る。治療法は、任意選択的に、特定の神経又は神経領域を標的とするためにベクトルベースの刺激形態を使用することを含み得るか、又は比較的標的とされた若しくは分離された神経線維を含み得る。ある例では、協調した神経調節療法は、第1の神経標的を遮断する一方で第2の神経標的を刺激するか、又は複数の異なる神経標的を同時に(又は時間系列で)刺激することを含み得る。
【0054】
ある例では、患者の特定の障害又は疾患は、神経調節療法によって調節する特定の神経標的を指示し得る。例えば、システム500を使用して閉塞性睡眠時無呼吸を治療するために、例えば三叉神経(例えば、三叉神経のV3下顎枝428)、舌下神経418(例えば、その1つ以上の枝を含む)、舌咽神経412、迷走神経416、又は顔面神経402(例えば、その様々な頭蓋外枝を含む)を含む様々な脳神経が、個別に又は一緒に標的にされ得る。
【0055】
ある例では、システム500は、三叉神経の下顎枝428及び舌下神経418に又はそれらを含めて、神経調節療法を施すことによって、OSAを治療するために使用され得る。この例では、三叉神経の下顎枝428の神経調節は、顎舌骨筋114又は顎二腹筋前腹204の運動制御に影響を及ぼし得、及び舌下神経418の神経調節は、舌406の筋肉の運動制御に影響を及ぼし得る。
【0056】
ある例では、システム500は、顔面神経402に又はそれを含めて、及び舌下神経418に神経調節療法を施すことによって、OSAを治療するために使用され得る。この例では、顔面神経402の神経調節は、茎突舌骨筋304又は顎二腹筋後腹208の運動制御に影響を及ぼし得、及び舌下神経418の神経調節は、舌406の筋肉の運動制御に影響を及ぼし得る。
【0057】
ある例では、システム500は、舌咽神経412及び舌下神経418に又はそれらを含めて神経調節療法を施すことによって、OSAを治療するために使用され得る。この例では、舌咽神経412の神経調節は、茎突咽頭筋の運動制御に影響を及ぼし得、及び舌下神経418の神経調節は、舌406の筋肉の運動制御に影響を及ぼし得る。
【0058】
ある例では、システム500は、患者の正中線102の両側にある枝を標的とするために両側形態を含んで又は使用して、前枝、後枝、又は同時に複数の枝を含め、舌下神経418の様々な枝に又はそれらを含めて、神経調節療法を施すことによって、OSAを治療するために使用され得る。舌下神経418の神経調節は、舌406の様々な筋肉の運動制御に影響を及ぼし得る。ある例では、舌下神経418を刺激又は遮断することを含む神経調節療法は、特に、三叉神経の下顎枝428(例えば、顎舌骨筋114又は顎二腹筋前腹204の運動制御に影響を及ぼすために)、顔面神経402(例えば、茎突舌骨筋304又は顎二腹筋後腹208の運動制御に影響を及ぼすために)、又は舌咽神経412(例えば、茎突咽頭筋の運動制御に影響を及ぼすために)のうちの1つ以上を標的とする治療法と、組み合わせられ得る。
【0059】
舌下神経418のうちのいずれか1つ以上の枝は、植込み型システム502からの神経調節療法を受け得る。例えば、舌下神経418の後枝のいずれかの1つ以上は、例えば頸神経ワナの上根とも呼ばれる下行枝、甲状舌骨筋枝、又はおとがい舌骨筋枝(geniohyoid branch)などの、舌下神経鞘からの「枝」分かれを含めて、神経調節を受け得る。舌下神経418の前枝のうちのいずれか1つ以上は、例えば、筋枝(B6)とも呼ばれる、舌下神経418の本幹が舌の筋肉に分岐する箇所を含めて、又は筋枝自体を含めて、神経調節を受け得る。筋枝は、舌の特定の筋肉の神経を支配する小枝(sub-branch)又は神経線維を含み得る。
【0060】
ある例では、システム500は、例えば迷走神経416に又はそれを含めて神経調節療法を施すことによって、OSA、又は他の障害若しくは疾患、特に、心不全、高血圧、心房細動、癲癇、鬱病、脳卒中、自閉、炎症性腸疾患、慢性炎症、慢性疼痛(例えば、頸部領域、腰、又は他の箇所における)、耳鳴、又は関節リウマチなどを治療するために使用され得る。迷走神経416の神経調節は、副交感神経緊張に影響を及ぼし、それにより、特に述べた様々な疾患又は障害に関連する症状を治療又は軽減し得る。ある例では、迷走神経416の刺激を含む治療法は、舌下神経418の1つ以上の枝、三叉神経の下顎枝428、顔面神経402、又は舌咽神経412に施される治療法を含み得る。ある例では、迷走神経416の一部分を刺激又は遮断することを含む神経調節療法は、舌咽神経412(例えば、副交感神経緊張にさらに影響を及ぼすために)、頚動脈洞(例えば、圧受容器の反応を刺激するために)、又は上頚神経節若しくはその枝(例えば、交感神経緊張に影響を及ぼすために)のうちの1つ以上を標的とする治療法と組み合わせられ得る。
【0061】
ある例では、心不全、高血圧、及び/又は心房細動の治療のための神経調節療法は、舌咽神経412(例えば、迷走神経416とのやりとりなどによって、副交感神経緊張に影響を及ぼすために)、上頚神経節(例えば、交感神経緊張に影響を及ぼすために)、又は頚動脈洞(例えば、圧受容器の反応を刺激するために)の1つ以上を含むか又はそれらに施される治療法を含み得る。
【0062】
ある例では、システム500は、舌咽神経412に又はそれを含めて神経調節療法を施すことによって、心不全、高血圧、片頭痛、口内乾燥、又は他の疾患若しくは障害を治療するように構成され得る。舌咽神経412の刺激又は遮断は、例えば、副交感神経緊張に影響を及ぼし得るか、又は茎突咽頭筋の運動活動に影響を与え得る。
【0063】
ある例では、システム500は、例えば三叉神経の下顎枝428に又はそれを含めて神経調節療法を施すことによって、いくつかある疾患及び障害の中で特に、薬物難治性癲癇、鬱病、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、片頭痛、注意欠陥多動性障害(ADHD)、頭蓋顔面疼痛症候群を治療するように構成され得る。
【0064】
ある例では、システム500は、例えば顔面神経402に又はそれを含めて、例えば様々な頭蓋外枝又はその根を含めて、神経調節療法を施すことによって、特に、頭蓋顔面疼痛症候群、又は顔面神経麻痺を治療するように構成され得る。ある例では、システム500は、例えば線維筋痛の潜在的なトリガ点であると理解されている僧帽筋を標的とするために、例えば脊髄副神経に又はそれを含めて神経調節療法を施すことによって、線維筋痛を治療するように構成され得る。ある例では、システム500は、例えば患者の頸部領域内に植込まれた電極を使用してアクセスされ得るような大後頭神経に又はそれを含めて神経調節療法を施すことによって、片頭痛又は耳鳴を治療するように構成され得る。
【0065】
それゆえ、神経調節療法は、様々な異なる疾患又は障害を治療するために、システム500を使用して、又はその構成要素を使用して、施され得る。治療法は、本明細書で説明する位置のうちの1つ(特に)での標的単一位置刺激又は遮断(例えば、電気パルス、超音波信号、又は他のエネルギーを使用する)療法を含み得るか、又は、複数の異なる位置にわたる又はそれらを使用する協調刺激又は遮断を含み得る。以下の記載では、異なる植込み位置及び神経標的のいくつかの例を説明するが、上記で具体的に述べられているようなものを含む他の位置が同様に使用され得る。
【0066】
ある例では、植込み型システム502は、頸部領域内を含む、体の様々な異なる部位内に植込まれ得る様々なデバイスを含み得る。
図3、及び
図6~
図13の例は、全体的に、例えば様々な異なる頸部位置内に植込まれている、植込み型システム502の異なる例を示す。
【0067】
図6は、全体的に、患者の顎下三角206内に植込まれた第1の植込み型デバイス608を含む第1の例600を示す。第1の例600では、第1の植込み型デバイス608は、例えば縫合糸、アンカー、又は他の付着手段を使用して、顎下三角206にある解剖学的構造に結合され得る。ある例では、第1の植込み型デバイス608は、下顎骨116、顎二腹筋前腹204、顎二腹筋後腹208、顎舌骨筋114、二腹筋腱602、又は顎下三角206内にある若しくはそれに隣接する、他の骨、腱、筋肉、若しくは他の構造のうちの1つ以上に結合され得る。
図6の例では、第1の植込み型デバイス608は、患者の顎下腺604の近くであるが、それから離間して、提供され得る。
【0068】
図6の例では、第1の植込み型デバイス608は第1のヘッダー610を含む。第1のヘッダー610は、1つ又は複数の電極リード線、センサーリード線、又は他のデバイスを第1の植込み型デバイス608に結合するために使用され得る。例えば、第1のヘッダー610は、第1の植込み型デバイス608を第1の電極リード線606に結合するために使用され得、及び第1の電極リード線606は、脳神経標的までトンネル内を通されている。神経標的へ電気刺激信号を届けるように構成された電極は、標的に又はそれに隣接して置かれ得る。ある例では、第1の電極リード線606は、患者の前頸部領域内又はその近くの舌下神経までトンネル内を通され得る。
【0069】
図6の例では、第1の植込み型デバイス608は、1つのヘッダーを備えて示されている。第1の植込み型デバイス608は、任意選択的に、第1の植込み型デバイス608と1つ又は複数の他のリード線、例えば電極リード線、センサーリード線、通信コイル、又は他のデバイスとのインターフェースを取るために複数のヘッダーを含み得る。再度
図4を参照して説明すると、例えば、植込み型治療デバイス426は、植込み型治療デバイス426を挟んで体の両側に延在するそれぞれの異なるリード線に結合されるような複数のヘッダーを含み得る。
【0070】
図7は、全体的に、患者の顎下三角206内に植込まれた第2の植込み型デバイス702を含む第2の例700を示す。第2の例700では、第2の植込み型デバイス702は、例えば縫合糸、アンカー、又は他の付着手段を使用して、顎下三角206内の解剖学的構造に結合され得る。ある例では、第2の植込み型デバイス702は、下顎骨116、顎二腹筋前腹204、顎二腹筋後腹208、顎舌骨筋114、又は顎下三角206内にある若しくはそれに隣接する、他の骨、腱、筋肉、若しくは他の構造のうちの1つ以上に結合され得る。
【0071】
第2の植込み型デバイス702の例は、デバイスの両側にそれぞれのヘッダーを備える長尺状のハウジング構造を含む。例えば、第2の植込み型デバイス702は、第1の脳神経標的までトンネル内を通され得るような第1の電極リード線606に結合された第1のヘッダー704を含む。第2の植込み型デバイス702は、第2の電極リード線712と、第1のデータ及び電力通信リード線714とに結合された第2のヘッダー706を含み得る。第2の電極リード線712は、第2の脳神経標的に結合され得る。
【0072】
ある例では、第1のデータ及び電力通信リード線714は、第2の植込み型デバイス702を無線通信コイル710に結合し得る。無線通信コイル710は、例えば患者の体外にある、無線外部デバイスとのデータ又は電力信号通信を容易にするように構成され得る。ある例では、無線通信コイル710は、外部システム520と通信するために使用され得るアンテナ504を含む。無線通信コイル710を使用して受信した電力又はデータ信号は、第2の植込み型デバイス702へ通信されて、記憶・貯蔵又は使用され得る。
【0073】
図7の例では、無線通信コイル710は、第1のコイル支持体708に結合され得るか又は取り付けられ得る。第1のコイル支持体708及び無線通信コイル710は、皮膚の下側にあり且つ筋肉、骨、又は他の組織に隣接しているなど、患者の組織界面に又はその近くに位置決めされ得る、可撓性構造を含み得る。例えば、第1のコイル支持体708は、顎二腹筋前腹204の表面に又はそれに隣接して、及び患者の体から見て外方に向いて提供され得る。別の例では、第1のコイル支持体708は、
図7の図では、顎二腹筋前腹204の内部に、又は顎二腹筋前腹204の後ろに、提供され得る。第1のコイル支持体708は、そうでなければ、患者の前三角104のどこか他の箇所に向けられ得、及び第1のデータ及び電力通信リード線714をトンネル中に通すことによって、第2の植込み型デバイス702に結合され得る。例えば、第1のコイル支持体708は、顎領域の下側に、例えば舌骨110から離れて、患者のおとがい下三角202の先端に又はその近くに提供され得る。
【0074】
図8は、全体的に、患者のおとがい下三角202内に植込まれたおとがい下植込み型デバイス802を含む第3の例800を示す。第3の例800では、おとがい下植込み型デバイス802は、例えば縫合糸、アンカー、又は他の付着手段を使用して、おとがい下三角202内の解剖学的構造に結合され得る。ある例では、おとがい下植込み型デバイス802は、顎舌骨筋114、顎二腹筋前腹204、舌骨110、又はおとがい下三角202内にある若しくはそれに隣接する他の骨、腱、筋肉、若しくは他の構造のうちの1つ以上に結合され得る。おとがい下植込み型デバイス802は、顎二腹筋前腹204と下層の顎舌骨筋114との間など、顎二腹筋前腹204に隣接して、又は少なくとも部分的にその下側に、設置され得る。
【0075】
おとがい下植込み型デバイス802の例は、デバイスの第1の側端部に少なくとも1つのヘッダーを備える長尺状のハウジング構造を含む。
図8の例では、おとがい下植込み型デバイス802は、第1の脳神経標的までトンネル内を通され得る電極リード線806に結合される。おとがい下植込み型デバイス802は、例えば第2のデータ及び電力通信リード線808を使用して、顎下通信コイル804に結合され得る。
【0076】
図8の例では、顎下通信コイル804は、第2のコイル支持体810に結合され得るか又は取り付けられ得る。第2のコイル支持体810及び顎下通信コイル804は、皮膚の下側にあり且つ筋肉、骨、又は他の組織に隣接しているなど、患者の組織界面に又はその近くに位置決めされ得る、可撓性構造を含み得る。例えば、第2のコイル支持体810は、顎二腹筋後腹208及び顎二腹筋前腹204の少なくとも一方の表面に又はそれに隣接して提供され得、且つ顎下通信コイル804が患者の体から見て外方に向けられるようにされ得る。別の例では、第1のコイル支持体708は、例えば顎舌骨筋114に隣接して、顎二腹筋の内部に提供され得る。
【0077】
図9は、全体的に、患者の頚動脈三角302内に植込まれた第3の植込み型デバイス902を含む第4の例900を示す。第4の例900では、第3の植込み型デバイス902は、例えば縫合糸、アンカー、又は他の付着手段を使用して、頚動脈三角302内の解剖学的構造に結合され得る。ある例では、第3の植込み型デバイス902は、SCM106、肩甲舌骨筋306、舌骨110、又は頚動脈三角302内にある若しくはそれに隣接する、他の骨、腱、筋肉、若しくは他の構造のうちの1つ以上に結合され得る。
【0078】
第3の植込み型デバイス902の例は、デバイスの第1の側端部に少なくとも1つのヘッダーを備える長尺状のハウジング構造を含む。
図9の例では、第3の植込み型デバイス902は、脳神経標的までトンネル内を通され得るマルチポーラ電極リード線904に結合されている。例えば、マルチポーラ電極リード線904の電極アレイ906は、頚動脈三角302の外側にある神経標的(又は複数の標的)に又はその近くに配置され得、及びマルチポーラ電極リード線904は、頚動脈三角302までトンネル内を通されて、第3の植込み型デバイス902と結合し得る。ある例では、電極アレイ906は、例えば顎下三角206内又はその近くなど、患者の舌下神経418に又はその近くに提供され得る。
【0079】
図10は、全体的に、第1のセグメント化デバイス1000の例を示す。第1のセグメント化デバイス1000は、患者の前頸部領域に又はその内部に植込まれるように構成される植込み型デバイスとし得る。例えば、第1のセグメント化デバイス1000は、下記でさらに説明するように、頸部領域の1つ又は複数の異なる三角内に植込まれるように構成され得る。すなわち、第1のセグメント化デバイス1000の異なるセグメント又は部分は、患者の頸部領域にあるそれぞれの異なる三角内に植込まれ得る。ある例では、第1のセグメント化デバイス1000は、
図5の例からの植込み型システム502を含む。
【0080】
第1のセグメント化デバイス1000は、第1のハウジング1004と、撓みハウジング継手1014を使用して結合され得る第2のハウジング1006とを含む。第1のセグメント化デバイス1000は、電極リード線1010を使用して第1のハウジング1004に結合されている第1のカフ電極1002(例えば、1つ又は複数の電極を含む)を含み得る。第1のセグメント化デバイス1000は、さらに、電力及びデータリード線1016を使用して第2のハウジング1006に電気的に結合され得るような通信コイル1008を含み得る。
【0081】
通信コイル1008は、コイルを、外部送信機との無線通信に好適な形態に維持するのに役立ち得る支持部材1012に結合され得る。ある例では、支持部材1012は、支持部材1012、それゆえ通信コイル1008を、患者の体内の解剖学的構造に結合するために、1つ以上の取付特徴1018を含み得る。例えば、取付特徴1018は、支持部材1012内に1つ以上の貫通孔を含み得、これらが、支持部材1012を組織部位に縫合するために使用され得る。ある例では、支持部材1012は、植込み、及び特定の構造、例えば顎下腺、又は顎舌骨への神経の回避用に構成された可撓性の不規則な形状のフラップを含み得る。フラップは、支持部材1012を上方に結合するのに役立ち得る。
【0082】
ある例では、第2のハウジング1006は電力貯蔵回路を含み、例えば、
図5の例からの電力貯蔵回路514を含み得る。電力貯蔵回路は、バッテリー、コンデンサーバンク、又は通信コイル1008を使用して無線で受信され得るような電力を貯蔵するための他の手段を含み得る。
【0083】
ある例では、第1のセグメント化デバイス1000を含む様々なリード線及び継手は、1つ以上の導電体を含み得る。電力信号、電気刺激信号、又は他の信号は、導電体を使用して、第1のセグメント化デバイス1000の異なる部分の間で通信され得る。例えば、ハウジング継手1014は電源導体を含み得、第2のハウジング1006内のバッテリーが、第1のハウジング1004内の電気刺激制御回路を給電するために使用され得るようにする。
【0084】
ある例では、第1のセグメント化デバイス1000は、例えば植込みを最適にするか又は特定の患者の解剖学的構造に最良に適合するようにデバイスを構成するために、様々な異なる形態にまとめられ得る構成要素部分を含み得る。すなわち、デバイスは、異なる患者間の解剖学的な多様性に適応するように構成され得る。例えば、異なるリード線長さが選択され得るか、又は信号チェーンに沿って、異なる構成要素の向き若しくは位置が調整され得る。
【0085】
ある例では、第1のハウジング1004又は第2のハウジング1006は、様々なリード線と接続するためにヘッダーを使用し得るか、又は第1のハウジング1004及び第2のハウジング1006は、それらそれぞれのリード線と一体化され得る(例えば、植込み時ではなく、製造時点で取り付けられる)。モジュール的手法を使用することによって、構成要素部分は、外科的に更新又はアップグレードされ得る。
【0086】
ある例では、第1のセグメント化デバイス1000のそれぞれの部分は、患者の顎下三角206及びおとがい下三角202への植込み用に構成され得る。すなわち、第1のセグメント化デバイス1000は、三角領域間を、例えば顎二腹筋の一部分を横切って、延在するように構成され得る。頸部領域の異なる三角に第1のセグメント化デバイス1000の複数の部分を提供することによって、第1のセグメント化デバイス1000と、例えば顎二腹筋の活動に起因する患者の動きとの間の干渉を最小限にするのを助け得る。ある例では、第1のハウジング1004及び第2のハウジング1006は、異なるサイズにされ得、2つのハウジングの大きい方が、より大きい腔を提供する特定の三角領域内に配置され得る。頸部領域内の筋肉は、頭、首、口、舌、及び他の領域の複雑な動きに使用され得るため、第1のセグメント化デバイス1000の構成要素のそのような分散配置構成又は植込みは、患者の快適さを維持するのに役立ち得る。
【0087】
図11は、全体的に、顎下植込み型デバイス1100の例を示す。顎下植込み型デバイス1100は、患者の前頸部領域に又はその内部に植込まれるように構成される植込み型デバイスとし得る。例えば、顎下植込み型デバイス1100は、下記でさらに説明するように、頸部領域の1つ又は複数の異なる三角内に植込まれるように構成され得る。すなわち、顎下植込み型デバイス1100の異なるセグメント又は部分は、同じ三角領域内に、又は患者の頸部領域にあるそれぞれの異なる三角領域内に植込まれ得る。
【0088】
顎下植込み型デバイス1100は、特に、電力貯蔵回路、電気刺激生成回路、及び制御回路を含み得る、植込み型デバイスハウジング1102を含む。植込み型デバイスハウジング1102内の回路は、電力、データ、及び治療信号リード線1118を使用して電極アセンブリ1116に結合され得、及び電極アセンブリ1116は、患者の体内の頸神経標的に神経調節信号を提供するために使用され得る。ある例では、植込み型デバイスハウジング1102内の回路は、デバイスヘッダー1110を介して電極アセンブリ1116に結合され得る。
【0089】
ある例では、植込み型デバイスハウジング1102は、電力、データ、及び治療信号リード線1118内の1つ以上の導体を使用して通信コイル1106に結合され得る。通信コイルは、電力通信コイル及び/又はテレメトリアンテナを含み得る。ある例では、通信コイル1106は、支持部材1114に結合され得る。支持部材1114は、支持部材1114を組織に結合するための1つ以上の支持取付特徴1108を含み得る。ある例では、支持部材1114は、植込み型デバイスハウジング1102を受け入れる又はそれと結合するように構成されているハウジングマウント1104を含み得る。すなわち、支持部材1114は、支持部材1114と一緒に植込み型デバイスハウジング1102を固定又は保持するように構成され得る取付構造又は特徴を含み得る。ある例では、植込み型デバイスハウジング1102は、ハウジングマウント1104と対となる(mate)又はそれと一緒に使用されるように構成されている様々な特徴を含み得る。例えば、ハウジングマウント1104は縫合孔を含み得、及びデバイス取付特徴1112は、縫合糸を受け入れるように構成されている貫通孔又は溝を含み得る。そのため、縫合糸は、ハウジングマウント1104を使用して、植込み型デバイスハウジング1102を支持部材1114に接合するために使用され得る。ある例では、支持部材1114は、患者のおとがい下三角202又は顎下三角206内又はその近くなどで、顎舌骨筋114に結合又は他の方法で付着されるように構成され得る。
【0090】
ある例では、デバイス取付特徴1112は、1つ以上の縫合糸、バンド、又はフラップを受け入れるように構成され得、これらは、二腹筋腱又は舌骨又は他の結合組織のような構造の周りでループ状になって、それ自体に付着し得、それにより、植込み型デバイスハウジング1102を解剖学的構造の安定した部分に結合するように構成されている。
【0091】
図12は、全体的に、
図11の例からの顎下植込み型デバイス1100を含み得るか又は使用し得る第1の顎下三角の例1200を示す。例では、顎下植込み型デバイス1100の複数の部分は、顎二腹筋前腹204と顎二腹筋後腹208との間など、首の顎下三角領域内に植込まれ得る。
【0092】
図12の例では、顎下植込み型デバイス1100の支持部材1114は、顎下三角内の解剖学的構造のうちの1つ以上に結合され得る。例えば、支持部材1114は、前方縫合糸1206を使用して顎二腹筋前腹204に、又は後方縫合糸1202を使用して顎二腹筋後腹208に、又は1つ以上の他の縫合糸などを使用して顎舌骨筋114に結合され得る。
【0093】
植込み型デバイスハウジング1102は、支持部材1114と同じ二腹筋構造に結合され得るか、又は顎下三角にある他の解剖学的構造に結合され得る。例えば、植込み型デバイスハウジング1102は、例えばハウジング-組織アンカー1204を使用して、顎舌骨筋114に結合され得る。ある例では、ハウジング-組織アンカー1204は、植込み型デバイスハウジング1102の一部分及び筋肉組織に巻き付き得るか又はそれらを通り得る1つ以上の縫合糸を含み得、それによりハウジング-組織アンカー1204を顎下三角内の組織に付着する。
【0094】
図13は、全体的に、
図11の例からの顎下植込み型デバイス1100を含み得るか又は使用し得る第2の顎下三角の例1300を示す。例では、植込み型デバイスハウジング1102は、例えばハウジングマウント1104を使用して支持部材1114に結合され得る。支持部材1114及び植込み型デバイスハウジング1102を含むアセンブリは、顎二腹筋前腹204と顎二腹筋後腹208との間など、首の顎下三角領域内に植込まれ得る。ある例では、支持部材1114の支持取付特徴1108は、アセンブリのそれぞれの側縁部を顎二腹筋前腹204及び顎二腹筋後腹208に結合するために使用され得る。
【0095】
図13の例は、支持部材1114の外向きの第1の面に結合された植込み型デバイスハウジング1102を示す。すなわち、
図13は、皮膚の方に向く又は他の内側の頸部構造から見て外方に向く植込み型デバイスハウジング1102を示す。ある例では、植込み型デバイスハウジング1102は、顎舌骨筋114及び他の内側の頸部構造の方に内側に向いているような、支持部材1114の対向する第2の面に結合され得る。植込み型デバイスハウジング1102は、例えば、縫合糸、クリップ、カフ、又は支持部材1114の可撓性の支持基板を構造的なハウジングに結合するための他の手段を含み得るようなハウジング-支持体アンカー1302を使用して、支持部材1114に結合され得る。
【0096】
図12及び
図13の例は、全体的に、顎下三角から舌下神経標的まで延在する電力、データ、及び治療信号リード線1118を備える顎下植込み型デバイス1100を示す。1つ以上の他の神経標的は、同様に、例えば同じ支持部材1114並びに植込み型デバイスハウジング1102及びその内部の回路を使用して、1つ以上の他のリード線を使用してアクセスされ得る。
【0097】
図14は、全体的に、複数の脳神経に神経調節療法を施すことを含み得る方法1400の例を示す。方法1400は、任意選択的に、システム500、又は神経刺激若しくは遮断療法を調節するように構成された他のシステムを含み得るか又は使用し得る。
【0098】
ブロック1402において、方法1400は、患者の前頸部領域内に植込み型神経調節デバイスを提供することを含み得る。例えば、ブロック1402は、患者の首の前方部分にある、おとがい下三角202、顎下三角206、又は頚動脈三角302のうちの1つ以上に、植込み型システム502(又は1つ以上のその構成要素)を植込むことを含み得る。ある例では、ブロック1402は、システム500の複数の部分を含む複数の異なるハウジングを、患者の首の前方部分内の様々な三角領域内にあるか又はそれと接する様々な解剖学的構造に植込む又は結合することを含み得る。
【0099】
ブロック1404において、方法1400は、患者の体内の第1の脳神経標的に又はその近くに、第1のリード線、例えば電極リード線(例えば、刺激リード線508の第1の例)を提供することを含み得る。ブロック1404は、電極リード線を、ブロック1402において神経調節デバイスと一緒に植込まれたようなハウジング内の信号発生回路に結合することを含み得る。ある例では、ブロック1404は、複数の電極を備えるリード線を植込むことを含み得、これら電極が、舌下神経418、舌咽神経412、顔面神経402、三叉神経の下顎枝428、迷走神経416、又は患者の頭若しくは首内若しくはその近くの他の場所のうちの1つ以上に又はその近くに配置されている。ある例では、方法1400は、ブロック1406において、患者の体内の第2の脳神経標的に又はその近くに、第2のリード線、例えば電極リード線(例えば、刺激リード線508の第2の例)を提供することを含み得る。ブロック1406は、電極リード線を、ブロック1402において植込まれたようなハウジング内の信号発生回路に結合することを含み得る。ある例では、ブロック1406は、複数の電極を備えるリード線を植込むことを含み得、これら電極が、舌下神経418、舌咽神経412、顔面神経402、三叉神経の下顎枝428、迷走神経416、又は患者の頭若しくは首内若しくはその近くの他の場所のうちの1つ以上に又はその近くに配置されている。
【0100】
ブロック1408において、方法1400は、例えば信号発生回路からの第1の電気信号を使用し(例えば、刺激信号発生回路516を使用する)、及び第1の電極リード線の電極を使用して、第1の脳神経標的に第1の神経調節療法を行うことを含み得る。ある例では、治療法は、例えば、特に、OSA、心不全、高血圧、又は本明細書で説明するような1つ以上の他の障害のうちの1つ以上を含み得る患者の特定の障害を治療するように構成されている電気信号を含み得る。
【0101】
ブロック1410において、方法1400は、例えば信号発生回路からの第2の電気信号を使用し(例えば、刺激信号発生回路516を使用する)、及び第2の電極リード線の電極を使用して、第2の脳神経標的に第2の神経調節療法を行うことを含み得る。ある例では、ブロック1408において第1の神経調節療法を行うこと、及びブロック1410において第2の神経調節療法を行うことは、同じ障害又は複数の障害を治療するように構成されている、一般的な治療法の複数の部分を含み得る。
【0102】
頸部植込み用の植込み型デバイスハウジングのいくつかの例が、全体的に、長尺状、角柱状又はシリンダー状の構造として本明細書で表される。ハウジングは、人体の内部環境からエレクトロニクス、回路、又は他の内容物を保護するために密封され得る容器を含み得る。ハウジングは、例えば、特に、患者の快適さを高めるために、又は植込んでいる最中の感染又は合併症のリスクを低くするために、最小体積を占めるようなサイズにされ且つそのように構成され得る。
【0103】
ある例では、ハウジングは、植込みの目的地の1つ以上の特性に従って構成され得る(例えば、サイズ、形状、向きにされる)。例えば、ハウジングの形状は、任意選択的に、患者の頸部領域にある三角の特性に基づき得る。例えば、異なる形状のハウジングは、おとがい下三角202及び顎下三角206において使用するために構成され得る。ある例では、三角領域において使用するためのハウジングは、ハウジングが植込まれたとき、ハウジング輪郭が全体的に頸部領域の対応する解剖学的輪郭に適合する又はなぞるようにする、テーパ付き構造を含み得る。
【0104】
例えば、
図15は、全体的に、患者の三角形状の頸部領域内又はその近くに植込まれるべきデバイス用のテーパ付きハウジング1500を示す。テーパ付きハウジング1500は、テーパ付き構造、例えば四角錐台を含み得る。テーパ付きハウジング1500の図示の例は、ベース面1510及び対向する上面1508を含む。テーパ付きハウジング1500は、ベース面1510と上面1508との間に延在し得る台形部分を含み得るようなテーパ付き側壁1502を含み得る。ある例では、上面1508の表面積は、ベース面1510の表面積よりも小さいとし得る。1つ以上のヘッダーは、例えば、側面、ベース面1510、及び上面1508のうちのいずれか1つ以上において又はそれに沿って、テーパ付きハウジング1500に結合され得るか又はそれと一体化され得る。
【0105】
ある例では、テーパ付きハウジング1500は、患者の前三角104の少なくとも一部分内への植込み用に構成され得る。ある例では、ベース面1510は、顎舌骨筋114の一部分に又はそれに隣接して植込まれるように構成され得、ハウジング構造のテーパ付き部分が顎舌骨筋114から離れて延在するようにする。
【0106】
ある例では、テーパ付きハウジング1500は、長尺状のテーパ付き側壁1502を含み得、及び側壁のうちの少なくとも1つの表面特性が、顎下三角206、おとがい下三角202、又は頚動脈三角302内などの、首の三角領域の輪郭に対応する、又は部分的若しくは全体的に適合するサイズ又はその構成にされ得る。例えば、
図6の例からの第1の植込み型デバイス608は、ベース部分と側壁とを備えるテーパ付きハウジングを含み得、そのベース部分は、顎二腹筋後腹208に隣接して設けられ、及びその側壁は、下顎骨116及び顎二腹筋前腹204が近接する(proximal)又は実質的に隣接する領域の方へ向かって延在しており、デバイスが顎下三角206を占有し得るようにしている。換言すると、デバイスは、顎二腹筋後腹208(例えば、下顎骨116と舌骨110との間)の長さ又は幅特性に対応又は適合するサイズ及び構成にされるベース部分を含み得る。デバイスは、顎二腹筋前腹204(例えば、舌骨110と下顎骨116との間)の長さ又は幅特性に対応又は適合するように構成される側壁を含み得るか、又はデバイスは、下顎骨116の下縁部分(例えば、顎二腹筋後腹208と顎二腹筋前腹204との間)の長さ又は幅特性に対応又は適合するように構成されている側壁を含み得る。
【0107】
ある例では、
図9の例からの第3の植込み型デバイス902は、ベース部分と側壁とを備えるテーパ付きハウジングを含み得、そのベース部分は、例えば、肩甲舌骨筋306に隣接して設けられ、及びその側壁は、SCM106及び顎二腹筋後腹208が近接する又は実質的にそれに隣接している領域の方へ向かって延在している。換言すると、デバイスは、肩甲舌骨筋306の部分(例えば、頚動脈三角302内にある肩甲舌骨筋306の部分)の長さ又は幅特性に対応又は適合するサイズ及び構成にされるベース部分を含み得る。デバイスは、SCM106(例えば、頚動脈三角302内にあるSCM106の部分)の長さ又は幅特性に対応又は適合するように構成されている側壁を含み得るか、又はデバイスは、顎二腹筋後腹208(例えば、頚動脈三角302の境界を示す、例えば舌骨110とSCM106との間にある顎二腹筋後腹208の部分)の長さ又は幅特性に対応又は適合するように構成されている側壁を含み得る。それに応じて、第3の植込み型デバイス902は、頚動脈三角302を占有するハウジングを備えて、構成され得る。
【0108】
他の例では、テーパ付きハウジング1500は、様々な他の筋肉、腱、骨、又は組織に又はそれに隣接して、例えば顎二腹筋112、SCM106、肩甲舌骨筋306、又は他の組織の一部分に又はそれに隣接して、植込まれるように構成され得る。そのようなデバイス又はハウジングは、首の三角領域、例えば、特に、顎下三角206、おとがい下三角202、又は頚動脈三角302内で利用可能な腔の全て又は実質的に全てを占有するように構成され得る。
【0109】
図15の例は、様々な急激な稜又は頂点を含むとして、テーパ付きハウジング1500を示す。稜又は頂点、又は隣接する面の1つ以上は、任意選択的に、面取りされるか又は丸みを付けられることができる。ある例では、テーパ付きハウジング1500は、少なくとも部分的に丸みを付けられているベース面又は上面を含み得、ハウジング構造が、少なくとも部分的に(又は全体的に)円錐台となるようにしている。ある例では、上面1508又はベース面1510は、非平面とし得、並びに上面1508及びベース面1510は、少なくとも部分的に非平行とし得る。
【0110】
ある例では、テーパ付きハウジング1500は、ハウジングの表面又はフェースの1つ以上に様々なヘッダーを含み得る。
図15の例では、テーパ付きハウジング1500は、第1のヘッダー1504及び第2のヘッダー1506を含む。ヘッダーは、テーパ付きハウジング1500内の回路、センサー、又は他の構成要素を、テーパ付きハウジング1500外のリード線又は他のデバイスと結合するように構成され得る。
図15の例では、第1のヘッダー1504及び第2のヘッダー1506は、ハウジングの隣接する側面に設けられる;ヘッダーの他の位置が同様に使用され得る。ある例では、ヘッダーの1つ以上の位置が、植込み位置又は神経標的位置による影響を受け得るか又は決定され得る。
【0111】
図16は、全体的に、患者の三角形状の頸部領域内又はその近くに植込まれるデバイス用の、シリンダー状ハウジング1600の例を示す。シリンダー状ハウジング1600は、カプセル形の構造、例えば長手方向軸に沿って延在し且つ丸みを帯びた端部又はキャップを含むシリンダーなどを含み得る。シリンダー状ハウジング1600は、信号発生回路1606を取り囲み得、且つ信号発生回路1606と様々なリード線とのインターフェースを取るために、複数のヘッダー、例えば第1のヘッダー1602及び第2のヘッダー1604を有し得る。第1のヘッダー1602及び第2のヘッダー1604は、デバイスの対向端部に配置され得るか、又は複数のヘッダーは、一方の端部に設けられ得る。
【0112】
ある例では、シリンダー状ハウジング1600は、解剖学的標的の一部分に沿った植込み用に構成され得る。例えば、シリンダー状ハウジング1600は、三角領域内の組織標的に結合されるように構成され得る。例えば、シリンダー状ハウジング1600は、顎二腹筋前腹204に、又は顎二腹筋後腹208に、又はSCM106に結合されるように構成され得る。ある例では、シリンダー状ハウジング1600は、頚動脈三角302内のSCM106に結合されるように構成され得、及びシリンダー状ハウジング1600は、例えば
図9の例で上述したものと同様に、頚動脈三角302外に延在するリード線に結合され得る。
【0113】
図17は、機械1700の図式表示であり、機械内部で、機械1700に、本明細書で説明する技法のいずれか1つ以上を実行させる命令1708(例えば、ソフトウェア、プログラム、アプリケーション、アプレット、アプリ、又は他の実行可能コード)が実行され得る。機械1700は、任意選択的に、植込み型システム502、外部システム520、又はそれらの構成要素若しくは部分、又は植込み型システム502及び外部システム520の少なくとも一方に結合され得る構成要素若しくはデバイスを含み得る。
【0114】
ある例では、命令1708は、機械1700に、方法、制御、治療法アルゴリズム、信号発生ルーティン、又は本明細書で説明する他のプロセスのうちのいずれか1つ以上を実行させ得る。命令1708は、汎用のプログラムされていない機械1700を、説明した方法で説明及び図示した機能を実行するようにプログラムされた特定の機械1700へ変える。機械1700は、スタンドアロンデバイスとして動作し得るか、又は他の機械と結合され得る(例えば、ネットワーク化される)。ネットワーク化された展開例では、機械1700は、サーバ-クライアントネットワーク環境にあるサーバ機械又はクライアント機械の性能で、又はピアツーピア(又は分散型)ネットワーク環境内のピア機械として、動作し得る。機械1700は、限定するものではないが、植込み型システム502又は外部システム520と通信し得る様々なシステム又はデバイスを含み得、これらには、例えば、サーバコンピュータ、クライアントコンピュータ、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ノートブック、セットトップボックス(STB:set-top box)、PDA、娯楽メディアシステム、セル式携帯電話、スマートフォン、モバイルデバイス、ウェアラブルデバイス(例えば、スマートウォッチ)、スマートホームデバイス(例えば、スマートアプライアンス)、他のスマートデバイス、ウェブアプライアンス、ネットワークルータ、ネットワークスイッチ、ネットワークブリッジ、又は命令1708を、連続的に若しくは機械1700によって取られるべき動作を規定する他の方法で実行できる任意の機械を含み得る。さらに、単一の機械1700のみを説明するが、用語「機械」はまた、本明細書で説明する技法のうちのいずれか1つ以上を実行するために、命令1708を個別に又は一緒に実行する機械の一群を含むと取られる。
【0115】
機械1700は、プロセッサ1702、メモリ1704、及びI/O構成要素1742を含み得、これは、バス1744によって互いに通信するように構成され得る。ある例示的な実施形態では、プロセッサ1702(例えば、中央処理装置(CPU)、縮小命令セットコンピューティング(RISC:Reduced Instruction Set Computing)プロセッサ、複合命令セットコンピューティング(CISC:Complex Instruction Set Computing)プロセッサ、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU:Graphics Processing Unit)、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC、無線周波数集積回路(RFIC:Radio-Frequency Integrated Circuit)、別のプロセッサ、又はそれらの任意の好適な組み合わせ)は、例えば、命令1708を実行するプロセッサ1706及びプロセッサ1710を含み得る。用語「プロセッサ」は、任意選択的に、複数の命令を同時に実行し得る2つ以上の独立プロセッサ(「コア」とも呼ぶことがある)を含み得るマルチコアプロセッサを含むことを意図する。
図17は複数のプロセッサ1702を示すが、機械1700は、シングルコアのシングルプロセッサ、マルチコアのシングルプロセッサ(例えば、マルチコアプロセッサ)、シングルコアの複数のプロセッサ、マルチコアの複数のプロセッサ、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0116】
メモリ1704は、メインメモリ1712、スタティックメモリ1714、及び記憶装置1716を含み、全て、バス1744によってプロセッサ1702にアクセスできる。メインメモリ1704、スタティックメモリ1714、及び記憶装置1716は、本明細書で説明する技法又は機能のうちの任意の1つ以上を実施する命令1708を記憶する。命令1708はまた、機械1700によるその実行中、完全に又は部分的に、メインメモリ1712内に、スタティックメモリ1714内に、記憶装置1716内の機械可読媒体1718内に、プロセッサ1702のうちの少なくとも1つ(例えば、プロセッサのキャッシュメモリ)内に、又はそれらの任意の好適な組み合わせに存在し得る。
【0117】
I/O構成要素1742は、入力を受信し、出力を提供し、出力を生成し、情報を送信し、情報を交換し、測定値を得るなどのために、様々な構成要素を含み得る。特定の機械に含まれる特定のI/O構成要素1742は、機械のタイプに依存する。例えば、デバイスプログラマー又は携帯電話などのポータブル機は、タッチ入力デバイス又は他のそのような入力機構を含み得るが、ヘッドレスサーバ機械は、そのようなタッチ入力デバイスを含んでいないであろう。I/O構成要素1742は、
図17に図示していない他の構成要素を含み得ることが認識されるであろう。様々な例示的な実施形態では、I/O構成要素1742は、出力構成要素1728及び入力構成要素1730を含み得る。出力構成要素1728は、視覚構成要素(例えば、プラズマディスプレイパネル(PDP:plasma display panel)、発光ダイオード(LED:light emitting diode)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD:liquid crystal display)、プロジェクタ、又は陰極線管(CRT:cathode ray tube)などのディスプレイ)、音響構成要素(例えば、スピーカ)、触覚(haptic)構成要素(例えば、振動モータ、抵抗機構)、他の信号発生器などを含み得る。入力構成要素1730は、英数字入力構成要素(例えば、キーボード、英数字入力を受信するように構成されたタッチスクリーン、フォト-オプティカルキーボード、又は他の英数字入力構成要素)、ポイントベースの入力構成要素(例えば、マウス、タッチパッド、トラックボール、ジョイスティック、運動センサー、又は別のポインティング器械)、触知(tactile)入力構成要素(例えば、物理的なボタン、タッチ若しくはタッチジェスチャーの位置及び/又は力を提供するタッチスクリーン、又は他の触知入力構成要素)、オーディオ入力構成要素(例えば、マイクロホン)、生理学的センサー構成要素などを含み得る。
【0118】
さらに例示的な実施形態では、I/O構成要素1742は、特に、バイオメトリック構成要素1732、運動構成要素1734、環境構成要素1736、又は位置構成要素1738を含み得る。例えば、バイオメトリック構成要素1732は、表現(例えば、手の表現、顔の表情、発声による表現、身ぶり、又は眼の動き)を検出し、生体信号(例えば、血圧、心拍、体温、発汗、又は脳波)を測定し、人(例えば、音声識別、網膜識別、顔識別、指紋識別、又は脳波図ベースの識別)を特定する構成要素などを含み得る。運動構成要素1734は、加速度センサー(例えば、加速度計)、重力センサー構成要素、回転センサー構成要素(例えば、ジャイロスコープ)、又は同様のものを含み得る。環境構成要素1736は、例えば、照明センサー構成要素(例えば、光度計)、温度センサー構成要素(例えば、大気温度を検出する1つ以上の温度計)、湿度センサー構成要素、圧力センサー構成要素(例えば、圧力計)、音響センサー構成要素(例えば、背景雑音を検出する1つ以上のマイクロホン)、近接センサー構成要素(例えば、近くの物体を検出する赤外線センサー)、ガスセンサー(例えば、安全性のために有害ガスの濃度を検出する、又は大気中の汚染物質を測定するための、ガス検出センサー)、又は周囲の物理的環境に対応する示度、測定値、若しくは信号を提供し得る他の構成要素を含み得る。位置構成要素1738は、ロケーションセンサー構成要素(例えば、GPS受信機構成要素)、高度センサー構成要素(例えば、高度が導き出され得る空気圧を検出する、高度計又は圧力計)、向きセンサー構成要素(例えば、磁気計)などを含み得る。
【0119】
通信は、多種多様な技術を使用して、実施され得る。I/O構成要素1742は、さらに、結合部1724及び結合部1726をそれぞれ介して、機械1700をネットワーク1720又は他のデバイス1722に結合するように動作可能な通信構成要素1740を含む。例えば、通信構成要素1740は、ネットワークインターフェース構成要素、又はネットワーク1720とインターフェースを取る別の好適なデバイスを含み得る。さらなる例では、通信構成要素1740は、特に、有線通信構成要素、無線通信構成要素、セルラー通信構成要素、近距離通信(NFC)構成要素、ブルートゥース(Bluetooth)(登録票票)構成要素、又はワイファイ(Wi-Fi)構成要素を含み得る。デバイス1722は、別の機械、又は例えば他の植込み型若しくは外部デバイスを含み得る多種多様な周辺機器のいずれかであり得る。
【0120】
様々なメモリ(例えば、メモリ1704、メインメモリ1712、スタティックメモリ1714、及び/又はプロセッサ1702のメモリ)及び/又は記憶装置1716は、本明細書で説明する技法又は機能のうちのいずれか1つ以上を実施する又はそれによって使用される1組以上の命令及びデータ構造(例えば、ソフトウェア)を記憶し得る。これらの命令(例えば、命令1708)は、プロセッサ1702による実行時、様々なオペレーションに、様々な神経調節若しくは神経刺激療法又はそれを支援する機能を含む、開示の実施形態を実施させる。
【0121】
以下の態様は、本明細書で説明する神経調節システム、方法、及びデバイスの非限定的な概要を提供する。
態様1は、主題(例えば、装置、方法、アクションを行うための手段、又は機械による実行時に、機械にアクションを実行させ得る命令を含む機械可読媒体)を含むか又は使用するように、以下の態様のうちの1つ又はいずれかの組み合わせの主題を含み得るか、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、例えば、脳神経の神経調節用の植込み型システムを含み得るか又は使用し得、このシステムは、患者の前頸部領域内に、患者の下顎骨に又はその下側に植込まれるように構成された第1のハウジングと、第1のハウジングに結合された第1の電極リード線であって、患者の体内の第1の脳神経標的に又はその近くに配置されるように構成された少なくとも1つの電極を含む第1の電極リード線と、第1のハウジング内に設けられ、且つ第1の電極リード線の少なくとも1つの電極を使用して、脳神経標的に届けられるような電気的な神経調節信号を発生させるように構成された信号発生回路とを含む。神経調節信号は、脳神経又は他の神経に行われる神経調節療法を使用して治療され得るように、いくつかある障害の中で特に、患者の呼吸障害又は睡眠障害を治療するように構成され得る。
【0122】
態様2は、態様1の主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、閉塞性睡眠時無呼吸を治療するように構成された信号発生回路によって発生された神経調節信号を含む。
【0123】
態様3は、態様2の主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、患者の舌下神経の本体又は患者の舌下神経の枝を含む第1の脳神経標的を含む。
【0124】
態様4は、態様3の主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、第1のハウジングに結合された第2の電極リード線を含むか又は使用し、第2の電極リード線は、患者の体内の第2の脳神経標的に又はその近くに配置されるように構成された少なくとも1つの電極を含み、信号発生回路は、第1及び第2の電極リード線上の電極を使用して、第1及び第2の脳神経標的へ届けるためのそれぞれの神経調節信号を発生させるように構成され得、閉塞性睡眠時無呼吸又は1つ以上の他の疾患若しくは障害を治療する。
【0125】
態様5は、態様4の主題を含み得るか使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、患者の三叉神経の枝を含む第2の脳神経標的を含む。
態様6は、態様4又は5の一方又はそれらの組み合わせの主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、患者の顔面神経の枝を含む第2の脳神経標的を含む。
【0126】
態様7は、態様4~6のいずれか1つ又は任意の組み合わせの主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、患者の舌咽神経の神経節又は枝を含む第2の脳神経標的を含む。
【0127】
態様8は、態様4~7のいずれか1つ又は任意の組み合わせの主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、第1及び第2の電極リード線の電極に同時に神経調節信号をもたらすように構成された信号発生回路を含む。
【0128】
態様9は、態様8の主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、神経調節信号のうちの第1の信号に応答して生じ得るような電気刺激ベクトルを含むか又は使用する。ベクトルは、神経調節信号のうちの第2の信号に応答して生じ得るような、異なる電気刺激ベクトルを修正するように構成され得る。
【0129】
態様10は、態様4~9のいずれか1つ又は任意の組み合わせの主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、神経調節信号を第1及び第2の電極リード線のそれぞれの電極に時分割式に提供するように構成された信号発生回路を含むか又は使用する。
【0130】
態様11は、態様10の主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、神経調節信号を、少なくとも部分的に時間的に重なっている電気信号パルスとして提供するように構成された信号発生回路を含むか又は使用する。
【0131】
態様12は、態様1~11のいずれか1つ又は任意の組み合わせの主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、患者の舌筋、顎舌骨筋、茎突舌骨筋、顎二腹筋、又は茎突咽頭筋のうちの1つ以上の活動に影響を及ぼす神経経路を含む第1の脳神経標的を含む。態様12の例では、電気的な神経調節信号は、閉塞性睡眠時無呼吸又は患者の別の障害を治療するように構成され得る。
【0132】
態様13は、態様1~12のいずれか1つ又は任意の組み合わせの主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、患者の舌下神経の前枝又は後枝を含む、患者の体内の第1の脳神経標的を含む。態様13では、第1の電極は、患者の舌下神経の前枝又は後枝に又はその近くに植込まれるように構成され得る。
【0133】
態様14は、態様1~13のいずれか1つ又は任意の組み合わせの主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、第1の電極リード線の長さ部分に沿って異なる位置に配置された第1及び第2の電極を含むか又は使用する。態様14の例では、患者の体内の第1の脳神経標的は、患者の舌下神経の前枝及び/又は後枝を含み得、且つ第1及び第2の電極は、神経調節信号を舌下神経の前枝及び/又は後枝に提供するように構成され得る。
【0134】
態様15は、態様1~14のいずれか1つ又は任意の組み合わせの主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、第1のハウジングに結合された第2の電極リード線を含むか又は使用し、及び第2の電極リード線は、患者の体内の第2の脳神経標的に又はその近くに配置されるように構成された少なくとも1つの電極を含み得る。態様15では、第1及び第2の脳神経標的は、患者の矢状正中線の両側にあるとし得る。
【0135】
態様16は、態様15の主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、電気的に結合される第1の密閉容器及び異なる第2の密閉容器を含む第1のハウジングを含むか又は使用する。
【0136】
態様17は、態様16の主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、第1の密閉容器及び異なる第2の密閉容器にそれぞれ結合された、第1及び第2の電極リード線を含むか又は使用する。
【0137】
態様18は、態様16又は17の一方又はそれらの組み合わせの主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、電力貯蔵デバイスを含む第1の密閉容器、及び信号発生器を含む第2の密閉容器を含むか又は使用し、且つ第1及び第2の電極リード線は第2の密閉容器に結合される。
【0138】
態様19は、態様16~18のいずれか1つ又は任意の組み合わせの主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、患者の矢状正中線の両側に植込まれる第1の密閉容器及び異なる第2の密閉容器を含むか又は使用する。
【0139】
態様20は、態様16~19のいずれか1つ又は任意の組み合わせの主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、それぞれ異なる前三角領域内に植込まれるように構成された第1及び第2の密閉容器を含むか又は使用する。
【0140】
態様21は、態様20の主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、患者の顎下三角領域内に植込まれる第1の密閉容器、及び患者の筋三角領域内に植込まれる第2の密閉容器を含む。態様21の例では、顎下三角領域は、患者の下顎骨体によって、並びに顎二腹筋の前部及び後部によって境界がつけられ得、且つ患者の筋三角領域は、患者の舌骨、矢状正中線、肩甲舌骨筋、及び胸鎖乳突筋の下部によって境界がつけられ得る。
【0141】
態様22は、態様20又は21の一方又はそれらの組み合わせの主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、頸動脈三角領域内に植込まれるように構成された第1の密閉容器と、患者の顎下三角領域及びおとがい下三角領域の一方内に植込まれるように構成され得る第2の密閉容器とを含むか又は使用する。
【0142】
態様23は、態様1~22のいずれか1つ又は任意の組み合わせの主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、第1のハウジング内の電力管理回路に結合された無線通信コイルを含むか又は使用し、及び無線通信コイルは、患者の前頸部領域内に又は患者の前頸部領域外に配置されるように構成され得る。
【0143】
態様24は、態様1~22のいずれか1つ又は任意の組み合わせの主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、第1のハウジング内の電力管理回路に結合された無線通信コイルを含むか又は使用し、及び無線通信コイルは、患者の下顎骨上に配置されるように構成され得る。
【0144】
態様25は、態様1~22のいずれか1つ又は任意の組み合わせの主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、第1のハウジング及び無線通信コイルを含むか又は使用し、例えば、コイルは、第1のハウジング内の回路に結合され、且つ患者のそれぞれ異なる前三角領域内に植込まれるように構成されている。
【0145】
態様26は、態様25の主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、無線通信コイル用の支持部材を含むか又は使用し、及び支持部材は、患者の顎二腹筋の前部及び後部に結合されるように構成され得る。
【0146】
態様27は、態様25又は26の一方又はそれらの組み合わせの主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、無線通信コイル用の支持部材を含むか又は使用し、及び支持部材は、患者の顎舌骨筋に結合されるように構成され得る。
【0147】
態様28は、主題(例えば装置、方法、アクションを行うための手段、又は機械による実行時に、機械にアクションを実行させ得る命令を含む機械可読媒体)を含むか又は使用するように、本明細書の他の態様のうちの1つ又は任意の組み合わせの主題を含み得るか、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、例えば、植込み型神経調節システムを含み得るか又は使用し得、このシステムは、患者の前頸部領域内に植込まれるように構成された長尺状の第1のハウジング、及び第1のハウジングに結合され且つ顎下領域内に配置されるように構成された第1の電極リード線を含む。態様28では、第1の電極リード線の少なくとも1つの電極は、患者の舌下神経の第1の枝に又はその近くに配置されるように構成され得、並びに第1のハウジング内に配置された電気刺激生成及び制御回路は、第1の電極リード線を使用して、電気刺激信号を患者に提供するように構成され得る。電気刺激信号は、いくつかある障害の中で特に、患者の睡眠障害又は呼吸障害を治療するように構成され得る。
【0148】
態様29は、態様28の主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、患者の前頸部領域のおとがい下三角内に植込まれるように構成された第1のハウジングを含むか又は使用する。
【0149】
態様30は、態様29の主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、第1のハウジングに結合され且つ顎下領域内に配置されるように構成された第2の電極リード線を含むか又は使用する。態様30では、第2の電極リード線上の少なくとも1つの電極は、患者の舌下神経の第2の枝に又はその近くに配置されるように構成され得る。
【0150】
態様31は、態様30の主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、舌下神経の前枝及び/又は後枝の異なる位置に又はその近くに配置されるように構成された第1及び第2の電極リード線の電極を含むか又は使用する。
【0151】
態様32は、態様30又は31の一方又はそれらの組み合わせの主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、患者の矢状正中線のそれぞれ異なる側に配置されるように構成された第1及び第2の電極リード線の電極を含むか又は使用し、且つ電気刺激生成及び制御回路は、舌下神経の枝に両側電気刺激治療法を施すように構成され得る。
【0152】
態様33は、態様28~32のいずれか1つ又は任意の組み合わせの主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、長手方向軸を有するシリンダー状ハウジング構造を含む第1のハウジングを含むか又は使用し、及び第1のハウジングは、患者の下顎骨に又はそれに隣接して植込まれるように構成され得る。
【0153】
態様34は、態様28~33のいずれか1つ又は任意の組み合わせの主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、顎下領域内で後方に向けられるように構成されたベース面、及び顎下領域内で前方に向けられるように構成された上面を含む四角錐台構造を含む第1のハウジングを含むか又は使用し、及びベース面の面積は上面の面積を上回り得る。
【0154】
態様35は、態様28~33のいずれか1つ又は任意の組み合わせの主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、顎下領域にある解剖学的な三角形の輪郭に対応する輪郭にされる側壁を含む第1のハウジングを含むか又は使用する。
【0155】
態様36は、態様28~35のいずれか1つ又は任意の組み合わせの主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、第1のハウジングのベース部分を下顎骨に物理的に及び機械的に結合するように構成されたアンカーを含むか又は使用する。
【0156】
態様37は、態様28~33のいずれか1つ又は任意の組み合わせの主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、患者の顎二腹筋の表面、顎舌骨筋の表面、又は下顎骨のうちの少なくとも1つに隣接する向きにされるように構成され得るベース部分を含む切頭角柱構造を含む第1のハウジングを含むか又は使用する。
【0157】
態様38は、態様37の主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、第1のハウジングを患者の舌骨に結合するように構成されたアンカーを含むか又は使用する。
【0158】
態様39は、態様37の主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、第1のハウジングを、患者の肩甲舌骨筋、顎二腹筋、又は二腹筋腱のうちの少なくとも1つに結合するためにアンカーを含むか又は使用する。
【0159】
態様40は、態様28~39のいずれか1つ又は任意の組み合わせの主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、植込まれるように構成された第1のハウジングを含み、ハウジングの長手方向軸が患者の胸鎖乳突筋に対して実質的に平行にもたらされ得るようにする。
【0160】
態様41は、態様28~40のいずれか1つ又は任意の組み合わせの主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、患者の前頸部領域内に植込まれるように構成された第2のハウジングを含むか又は使用する。第2のハウジングは、第1のハウジング及び第1の電極リード線の少なくとも一方に電気的に結合され得る。
【0161】
態様42は、態様41の主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、患者の矢状正中線のそれぞれ異なる側に植込まれるように構成された第1及び第2のハウジングを含む。
【0162】
態様43は、主題(例えば、装置、方法、アクションを行うための手段、又は機械による実行時に、機械にアクションを実行させ得る命令を含む機械可読媒体)を含むか又は使用するように、本明細書の他の態様のうちの1つ又はそれらの任意の組み合わせの主題を含み得るか、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、例えば、患者の睡眠障害又は呼吸障害を治療するための方法を含み得るか又は使用し得、この方法は、患者の前頸部領域内に植込み型神経調節デバイスを提供することと、患者の体内の第1の脳神経標的に又はその近くに、デバイス内の信号発生回路に結合された第1の電極リード線を提供することと、信号発生回路からの第1の電気信号を使用し、及び第1の電極リード線の電極を使用して、第1の脳神経標的に第1の神経調節信号を印加することとを含む。態様43では、第1の電気信号は、患者の睡眠障害又は呼吸障害を治療するように構成され得る。
【0163】
態様44は、態様43の主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、閉塞性睡眠時無呼吸を治療するために、患者の舌下神経に第1の神経調節信号を印加することを含む。
【0164】
態様45は、態様43又は44の一方又はそれらの組み合わせの主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、患者の舌下神経、三叉神経、迷走神経、舌咽神経、及び顔面神経の1つ以上に神経調節療法を行うことを含む。
【0165】
態様46は、態様43~45のいずれか1つ又は任意の組み合わせの主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、ハウジング及び電極リード線を患者の前頸部領域内の組織に結合することを含む。
【0166】
態様47は、態様46の主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、ハウジングを患者の体内の顎二腹筋又は二腹筋腱に結合することを含む。
【0167】
態様48は、態様46又は47の一方又はそれらの組み合わせの主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、ハウジングを患者の顎舌骨筋に結合することを含む。
【0168】
態様49は、態様43~48のいずれか1つ又は任意の組み合わせの主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、患者の体内の第2の脳神経標的に又はその近くに、デバイスハウジング内の信号発生回路に結合された第2の電極リード線を提供することと、信号発生回路からの第2の電気信号を使用し、及び第2の電極リード線の電極を使用して、第2の脳神経標的に第2の神経調節信号を印加することとを含む。態様49では、第2の電気信号は、心不全、高血圧、及び心房細動のうちの1つ以上を治療するように構成され得る。
【0169】
態様50は、態様49の主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、舌下神経に第1の神経調節信号を印加することと、迷走神経、顔面神経、及び舌咽神経の少なくとも1つに第2の神経調節信号を印加することとを含む。
【0170】
態様51は、態様49又は50の一方又はそれらの組み合わせの主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、第1及び第2の脳神経標的に第1及び第2の神経調節信号を同時に印加することを含む。
【0171】
態様52は、態様49~51のいずれか1つ又は任意の組み合わせの主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、第1及び第2の脳神経標的に神経調節信号を時分割式に印加することを含む。
【0172】
態様53は、態様49~52のいずれか1つ又は任意の組み合わせの主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、それぞれのパルス信号を標的に印加することを含み、及びパルスが少なくとも部分的に時間的に重なり得る。
【0173】
態様54は、主題(例えば、装置、方法、アクションを行うための手段、又は機械による実行時に、機械にアクションを実行させ得る命令を含む機械可読媒体)を含むか又は使用するように、本明細書の他の態様のうちの1つ又はそれらの任意の組み合わせの主題を含み得るか、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、例えば、植込み型神経調節システムを含み得るか又は使用し得、このシステムは、患者の第1の頸三角領域内に配置された第1のハウジング、患者の異なる第2の頸三角領域内に配置された第2のハウジング、及び第1のハウジング内の第1の回路と第2のハウジング内の第2の回路とを結合するインターフェースを含む。態様54では、第1の回路は、いくつかある障害の中で特に、患者の呼吸障害又は睡眠障害を治療するために、神経調節信号を発生させるように構成された信号発生回路を含み得、及び第2の回路は、電力貯蔵デバイスを含み得る。
【0174】
態様55は、態様54の主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、患者の顎二腹筋の一部分によって分離されている第1及び第2の頸三角領域を含む。
【0175】
態様56は、態様54又は55の一方又はそれらの組み合わせの主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、患者の体外にある源から電力信号を無線で受信するように構成された回路を含むか又は使用する。
【0176】
態様57は、態様54~56のいずれか1つ又は任意の組み合わせの主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、患者の顎下三角及びおとがい下三角の一方内に植込まれるように構成された第1のハウジングと、患者の顎下三角及びおとがい下三角の他方内に植込まれるように構成された第2のハウジングとを含み、並びに第1及び第2のハウジングは、異なるサイズ及び形状にされ得る。
【0177】
態様58は、態様54~57のいずれか1つ又は任意の組み合わせの主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、第1のハウジングよりも体積(volumetrically)が大きい第2のハウジングを含む。
【0178】
態様59は、態様54~58のいずれか1つ又は任意の組み合わせの主題を含み得るか又は使用し得る、又は任意選択的に、それと組み合わせられ得、任意選択的に、第1及び第2のハウジングの一方内に配置される又はそれに結合される1つ以上の生理学的状態センサーを含むか又は使用する。態様59では、1つ以上の生理学的状態センサーは、患者の呼吸、心拍、血圧、交感神経緊張、副交感神経緊張、姿勢、活動レベル、生体インピーダンス、又は電気的活動に関する情報を測定するように構成され得る。態様59では、信号発生回路は、生理学的状態センサーからの情報に基づいて、閉塞性睡眠時無呼吸又は他の障害を治療するために、神経調節信号を発生するように構成され得る。
【0179】
これらの非限定的な態様のそれぞれは、自立し得るか、又は様々な変形例において、又は本明細書で説明する他の態様及び例の1つ以上との組み合わせにおいて、組み合わせられ得る。
【0180】
上述の記載は、添付図面への言及を含み、図面は、詳細な記載の一部をなす。図面は、実例として、本発明が実施され得る具体的な実施形態を示す。これらの実施形態はまた、本明細書では、「例」と呼ばれ得る。そのような例は、図示又は説明したものに加えて、複数の要素を含み得る。しかしながら、本発明人らはまた、図示又は説明した要素のみが提供される例を考慮する。さらに、本発明人らはまた、特定の例(又は、その1つ以上の態様)に関して、又は本明細書で図示又は説明した他の例(又は、その1つ以上の態様)に関してのいずれかで、図示又は説明した要素の任意の組み合わせ又は変形例(又は、その1つ以上の態様)を使用する例を考慮する。
【0181】
本文書では、用語「a」又は「an」は、特許文献において一般的であるように、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」の任意の他の例又は使用法とは無関係に、1つ又は2つ以上を含むために使用される。本文書では、用語「又は、若しくは(or)」は、非排他に言及するために使用される、すなわち、例えば「A又はB」は、別段の指示がない限り、「BではなくA」、「AではなくB」、及び「A及びB」を含む。本文書では、用語「含む(including)」及び「in which」は、それぞれの用語「含む(comprising)」及び「wherein」の分かりやすい英語の等価物として使用される。また、以下の特許請求の範囲では、用語「含む(including)」及び「含む(comprising)」は、制約がない、すなわち、特許請求の範囲においてそのような用語の前にリストされる要素に加えて、複数の要素を含む、システム、デバイス、物品、組成物、配合物、又はプロセスが、依然として特許請求の範囲内に入るとみなされる。さらに、以下の特許請求の範囲では、用語「第1」、「第2」、及び「第3」などは、単にラベルとして使用されており、それらの対象物に数字的な条件を課すことを意図しない。
【0182】
本明細書で説明する方法の例は、少なくとも一部において、植込み型システム502、外部システム520、機械1700を使用して、又は本明細書で説明する他のシステム、デバイス、若しくは構成要素などを使用して、機械又はコンピュータで実施され得る。いくつかの例は、方法、例えば1種以上の疾患又は障害を治療するために、例えば上述の例で説明したような神経調節療法制御方法を実行するように電子デバイスを構成するように動作可能な命令がエンコードされた、コンピュータ可読媒体又は機械可読媒体を含み得る。ある例では、命令は、1つ以上の生理学的センサーからセンサーデータを受信し、且つセンサーデータに基づいて、治療法を調整(titrate)するための命令を含み得る。そのような方法の実装例は、コード、例えばマイクロコード、アセンブリ言語コード、より高水準の言語コードなどを含み得る。そのようなコードは、様々な方法を実行するためのコンピュータ可読命令を含み得る。コードは、コンピュータプログラム製品の複数の部分を形成し得る。さらに、ある例では、コードは、例えば実行中又は他の時に、1つ以上の揮発性の非一時的な(non-transitory)、又は不揮発性の有形的(tangible)コンピュータ可読媒体に有形的に記憶され得る。これらの有形的コンピュータ可読媒体の例は、限定されるものではないが、ハードディスク、リムーバブルの磁気ディスク、リムーバブルの光ディスク(例えば、コンパクトディスク及びデジタルビデオディスク)、磁気カセット、メモリカード又はスティック、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)などを含み得る。
【0183】
上記の記載は、限定ではなく、説明を意図している。例えば、上述の例(又は、その1つ以上の態様)は、互いに組み合わせて使用されてもよい。他の実施形態は、例えば当業者によって、上記の記載を検討する際に、使用され得る。要約書は、読者が迅速に本技術開示の性質を確かめることができるようにするために、提供される。特許請求の範囲又は意義を解釈又は限定するために使用されないことを理解して、提出される。また、上述の詳細な説明では、様々な特徴が、本開示を合理化するためにまとめられ得る。これは、特許請求されていない開示の特徴が、いずれかの特許請求項に必須であることを意図すると解釈されるべきではない。むしろ、発明の主題は、特定の開示した実施形態の全ての特徴にはない場合がある。それゆえ、以下の特許請求の範囲は、例又は実施形態として詳細な説明に援用され、各特許請求項は、別個の実施形態として自立しており、及びそのような実施形態が、様々な組み合わせ又は変形例において互いに組み合わせられ得ることが考慮される。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を、そのような特許請求の範囲が権利を得る等価物の全範囲と共に参照して決定されるべきである。