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特許7432739アザインドール誘導体の結晶形及びその応用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】アザインドール誘導体の結晶形及びその応用
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20240208BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20240208BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240208BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
C07D471/04 104Z
C07D471/04 CSP
A61K31/437
A61P35/00
A61P43/00 111
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2022543651
(86)(22)【出願日】2021-01-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-15
(86)【国際出願番号】 CN2021072247
(87)【国際公開番号】W WO2021143875
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2022-09-05
(31)【優先権主張番号】202010042713.X
(32)【優先日】2020-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521564272
【氏名又は名称】无錫▲りん▼方生物医薬科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Wuxi Life Fountain Biotech Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】Room504, Building C1, No.201 Linghu Avenue, Xinwu District, Wuxi, Jiangsu, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 正霞
(72)【発明者】
【氏名】戴 美碧
(72)【発明者】
【氏名】張 楊
【審査官】長谷川 莉慧霞
(56)【参考文献】
【文献】特許第7317938(JP,B2)
【文献】国際公開第2020/015744(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/059771(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/124850(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第101641351(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104710417(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)の化合物のA結晶形の結晶であって、粉末X線回折パターンが、2θ角度5.40°±0.20°、11.99°±0.20°、14.77°±0.20°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とするA結晶形の結晶
【化1】
【請求項2】
粉末X線回折パターンが、2θ角度5.40±0.20°、10.77±0.20°、11.99±0.20°、14.77±0.20°、21.55±0.20°、23.25±0.20°、24.14±0.20°、27.69±0.20°において特徴的な回折ピークを有する請求項1に記載のA結晶形の結晶
【請求項3】
粉末X線回折パターンが、2θ角度5.402°、8.949°、10.766°、11.989°、13.186°、14.766°、16.090°、16.779°、19.721°、21.554°、23.251°、23.685°、24.138°、25.224°、27.690°、28.670°、29.287°、31.378°、33.941°、38.046°において特徴的な回折を有する請求項2に記載のA結晶形の結晶
【請求項4】
XRPDパターンの解析データ次の表1に示す通りである請求項3に記載のA結晶形の結晶
【表1】
【請求項5】
示差走査熱量測定曲線が、220.0±3.0℃に吸熱ピークの始点を1つ有している請求項1~4のいずれか1項に記載のA結晶形の結晶
【請求項6】
熱重量分析曲線は、150.0℃±3.0℃時点における重量減が1.04%に達する請求項1~4のいずれか1項に記載のA結晶形の結晶
【請求項7】
式(III)の化合物のG結晶形の結晶であって、粉末X線回折パターンが、2θ角度6.86°±0.20°、7.53°±0.20°、15.46°±0.20°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とするG結晶形の結晶
【化2】
【請求項8】
粉末X線回折パターンが、2θ角度6.86±0.20°、7.53±0.20°、9.21±0.20°、9.80±0.20°、10.70±0.20°、13.06±0.20°、15.46±0.20°、20.53±0.20°において特徴的な回折ピークを有する請求項に記載のG結晶形の結晶
【請求項9】
粉末X線回折パターンが、2θ角度6.859°、7.532°、9.211°、9.799°、10.704°、13.057°、13.525°、14.847°、15.029°、15.461°、17.473°、18.656°、19.382°、19.585°、20.235°、20.528°、20.805°、21.158°、21.420°、22.109°、22.604°、23.368°、23.663°、24.058°、24.356°、25.203°、26.822°、27.157°、27.571°、28.601°、28.970°、29.583°、30.223°、32.483°、34.552°、34.748°、35.268°において特徴的な回折を有する請求項に記載のG結晶形の結晶
【請求項10】
XRPDパターンの解析データ次の表7に示す通りである請求項に記載のG結晶形
結晶
【表2】
【請求項11】
示差走査熱量測定曲線は、47.3±3.0℃、86.8±3.0℃及び145.2±3.0℃に吸熱ピークの始点を1つずつ有する請求項10のいずれか1項に記載のG結晶形の結晶
【請求項12】
熱重量分析曲線は、120.0℃±3.0℃時点における重量減が3.30%に達する請求項10のいずれか1項に記載のG結晶形の結晶
【請求項13】
式(IV)の化合物のJ結晶形の結晶であって、粉末X線回折パターンが、2θ角度4.59°±0.20°、7.02°±0.20°、18.05°±0.20°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とするJ結晶形の結晶
【化3】
【請求項14】
粉末X線回折パターンが、2θ角度4.59±0.20°、7.02±0.20°、10.13±0.20°、14.06±0.20°、18.05±0.20°、19.82±0.20°、22.56±0.20°、27.04±0.20°において特徴的な回折ピークを有する請求項13に記載のJ結晶形の結晶
【請求項15】
粉末X線回折パターンが、2θ角度4.592°、6.094°、7.018°、9.383°、10.132°、11.535°、12.241°、14.059°、18.046°、19.819°、21.435°、22.561°、23.764°、24.117°、26.489°、27.035°、28.732°、36.524°において特徴的な回折を有する請求項14に記載のJ結晶形の結晶
【請求項16】
XRPDパターンの解析データ次の表10に示す通りである請求項15に記載のJ結晶形の結晶
【表3】
【請求項17】
熱重量分析曲線は、120.0℃±3.0℃時点における重量減が4.97%に達する請求項1316のいずれか1項に記載のJ結晶形の結晶
【請求項18】
式(I)の化合物のN結晶形の結晶であって、粉末X線回折パターンが、2θ角度12.64°±0.20°、17.10°±0.20°、20.92°±0.20°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とするN結晶形の結晶
【化4】
【請求項19】
粉末X線回折パターンが、2θ角度11.02±0.20°、12.64±0.20°、17.10±0.20°、18.22±0.20°、20.92±0.20°、21.73±0.20°、24.63±0.20°、26.65±0.20において特徴的な回折ピークを有する請求項18に記載のN結晶形の結晶
【請求項20】
粉末X線回折パターンが、2θ角度9.111°,11.022°,12.642°,13.289°,15.934°,16.626°,17.096°,18.221°,18.753°,19.876°,20.234°,20.922°,21.733°,22.659°,22.972°,24.631°,25.416°,25.776°,26.646°,27.454°,28.103°,28.360°,28.835°,29.561°,32.683°,34.041°,35.459°,36.959°,3
7.886°において特徴的な回折を有する請求項19に記載のN結晶形の結晶
【請求項21】
XRPDパターンの解析データ次の表14示す通りである請求項20に記載のN結晶形の結晶
【表4】
【請求項22】
請求項1~のいずれか1項に記載のA結晶形の結晶、或いは請求項12のいずれか1項に記載のG結晶形の結晶、或いは請求項1317のいずれか1項に記載のJ結晶形の結晶、或いは請求項1821のいずれか1項に記載のN結晶形の結晶の、線維芽細胞増殖因子受容体及び肝細胞成長因子受容体に関連する疾患を治療する薬物の製造における使用
【請求項23】
前記薬物は、固形腫瘍を治療するための薬物であることを特徴とする請求項22に記載の使用
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、出願番号:CN202010042713.X、出願日:2020年1月15日の優先権を主張する。
本発明は、アザインドール誘導体の結晶形及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
FGFRは、生体信号の伝達、細胞の成長調節、組織修復への関与といった機能を有する生物活性物質である。近年は、複数のFGFRファミリーのメンバーが腫瘍の発生や進行過程において重要な役割を果たすことが発見されている。線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)は、線維芽細胞増殖因子(FGF)に特異的に結合可能な受容体タンパク質である。FGFRsファミリーには、タイプとして、FGFR1b、FGFR1c、FGFR2b、FGFR2c、FGFR3b、FGFR3c、FGFR4が含まれる。FGFRは、サブタイプによって結合するFGFが異なっている。FGFsがFGFRsと結合することで細胞内の複数のチロシン残基は自己リン酸化し、リン酸化したFGFRsは、MEK/MAPK、PLCy/PKC、PI3K/AKT、STATS等を含む下流のシグナル経路を活性化させる。例えば、肝臓癌、膀胱癌、肺癌、乳癌、子宮内膜癌、大脳膠腫症、前立腺癌等の腫瘍において、FGFRの活性化突然変異又はリガンド/受容体の過剰発現は、構成的活性化を持続させ、腫瘍の発生、進行、予後不良等に密接に関わるだけでなく、腫瘍新生血管の生成、腫瘍の浸潤及び移転等の過程においても重要な役割を果たす。そのため、FGFRは抗腫瘍における重要なターゲットと考えられている。
【0003】
c-Metタンパク質(肝細胞成長因子(HGF)受容体とも称する)は、チロシンキナーゼ活性を有する膜貫通190kDaヘテロダイマーであり、c-Met癌遺伝子コードを有している。c-METは、現在唯一知られている肝細胞成長因子HGF受容体である。HGFがc-METと結合すると、下流のシグナルカスケードが活性化し、まず細胞質チロシンキナーゼがリン酸化されたあと、METが自己リン酸化する。これにより、GRB2、GAB1、PLC及びSOSを含む各種細胞質エフェクタータンパク質がリクルート及びリン酸化される。GAB1が活性化すると、下流のタンパク質(PI3K等)のために結合部位が形成される。そして、RAS-MAPK及びPI3K-AKTシグナル経路を通じて細胞核に進入し、遺伝子発現や細胞周期の進行に影響を及ぼす。HGF/c-Metシグナル経路は、有糸分裂促進活性、増殖活性、形態形成活性及び血管新生活性を含む各種細胞反応を証明することが明らかとなっている。また、肝臓癌、胃癌、非小細胞肺癌、膀胱癌、乳癌、結腸・直腸癌、頭頸部扁平上皮癌、下咽頭癌、卵巣癌等の腫瘍患者のうち約5~10%にc-Met異常が存在する。臨床では、HGF/c-Met経路の阻害剤が癌治療において顕著な潜在力を有することが実証されている。また、特許文献1が、c-Met活性を有する小分子阻害剤について報告している。
【0004】
FGFRとc-Metはいずれも受容体型チロシンキナーゼ(RTK)ファミリーのメンバーに属しており、双方に共通で調節されるシグナル経路には、PI3K-AKT-mTORやRAS-RAF-MEK-ERK等がある。多くの研究で、FGFR標的とc-Met標的の間には腫瘍の逃避が出現することが証明されている。
【0005】
分子の作用メカニズムから見た場合、c-MetとFGFRはいずれも受容体型チロシンキナーゼ(RTK)ファミリーのメンバーに属しており、双方に共通で調節されるシグナル経路には、PI3K-AKT-mTORやRAS-RAF-MEK-ERK等がある。FGFR標的とc-Met標的は連携及び相補可能なため、一方が抑制された場合には、FGFRの突然変異及びc-Metの突然変異が容易にシグナル代償作用を発揮し、腫瘍
細胞が単一の阻害剤に対し薬剤耐性を持つようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2010059771A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1は、Met及びRONの阻害剤(比較例1a及び1b)を開示しているが、現在のところ、FGFRとc-Metの双方に対し高い活性を有する二重標的小分子阻害剤は発見されていない。
【化1】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、式(II)の化合物を提供する。
【化2】
【0009】
本発明は、更に、式(II)の化合物のA結晶形を提供する。当該A結晶形は、粉末X線回折パターンが、2θ角度5.40°±0.20°、11.99°±0.20°、14.77°±0.20°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする。
【0010】
本発明のいくつかの方案において、前記A結晶形の粉末X線回折パターンは、2θ角度5.40±0.20°、10.77±0.20°、11.99±0.20°、14.77±0.20°、21.55±0.20°、23.25±0.20°、24.14±0.20°、27.69±0.20°において特徴的な回折ピークを有する。
【0011】
本発明のいくつかの方案において、前記A結晶形の粉末X線回折パターンは、2θ角度5.402°、8.949°、10.766°、11.989°、13.186°、14.766°、16.090°、16.779°、19.721°、21.554°、23.251°、23.685°、24.138°、25.224°、27.690°、28.670°、29.287°、31.378°、33.941°、38.046°において特徴的な回折を有する。
【0012】
本発明のいくつかの方案において、前記A結晶形のXRPDパターンは図1に示す通りである。
【0013】
本発明のいくつかの方案において、前記A結晶形のXRPDパターンの解析データは表1に示す通りである。
【0014】
【表1】
【0015】
本発明のいくつかの方案において、前記A結晶形の示差走査熱量測定曲線は、220.0±3.0℃に吸熱ピークの始点を1つ有している。
【0016】
本発明のいくつかの方案において、前記A結晶形のDSCパターンは図2に示す通りである。
【0017】
本発明のいくつかの方案において、前記A結晶形の熱重量分析曲線は、150.0℃±3.0℃時点における重量減が1.04%に達する。
【0018】
本発明のいくつかの方案において、前記A結晶形のTGAパターンは図3に示す通りである。
【0019】
本発明は、更に、式(II)の化合物のB結晶形を提供する。当該B結晶形は、粉末X線回折パターンが、2θ角度14.89°±0.20°、21.00°±0.20°、26.74°±0.20°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする。
【0020】
本発明のいくつかの方案において、前記B結晶形の粉末X線回折パターンは、2θ角度12.07±0.20°、14.89±0.20°、21.00±0.20°、21.70±0.20°、24.34±0.20°、26.74±0.20°、27.59±0.20°、28.10±0.20°において特徴的な回折ピークを有する。
【0021】
本発明のいくつかの方案において、前記B結晶形の粉末X線回折パターンは、2θ角度5.462°、10.806°、11.042°、12.067°、12.700°、13.328°、14.890°、16.010°、17.194°、18.300°、18.887°、19.933°、21.000°、21.695°、24.336°、24.632°、26.742°、27.589°、28.104°、28.931°、29.639°、34.213°、35.560°において特徴的な回折を有する。
【0022】
本発明のいくつかの方案において、前記B結晶形のXRPDパターンは図4に示す通りである。
【0023】
本発明のいくつかの方案において、前記B結晶形のXRPDパターンの解析データは表2に示す通りである。
【0024】
【表2】
【0025】
本発明は、更に、式(II)の化合物のC結晶形を提供する。当該C結晶形は、粉末X線回折パターンが、2θ角度23.21°±0.20°、24.30°±0.20°、27.71°±0.20°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする。
【0026】
本発明のいくつかの方案において、前記C結晶形の粉末X線回折パターンは、2θ角度5.16±0.20°、10.25±0.20°、13.76±0.20°、15.42±0.20°、23.21±0.20°、24.30±0.20°、26.43±0.20°、27.71±0.20°において特徴的な回折ピークを有する。
【0027】
本発明のいくつかの方案において、前記C結晶形の粉末X線回折パターンは、2θ角度5.161°、10.250°、13.765°、15.420°、15.619°、22.423°、23.214°、24.296°、26.430°、27.711°、28.381°、29.997°、31.376°において特徴的な回折を有する。
【0028】
本発明のいくつかの方案において、前記C結晶形のXRPDパターンは図5に示す通りである。
【0029】
本発明のいくつかの方案において、前記C結晶形のXRPDパターンの解析データは表3に示す通りである。
【0030】
【表3】
【0031】
本発明は、更に、式(II)の化合物のD結晶形を提供する。当該D結晶形は、粉末X線回折パターンが、2θ角度12.17°±0.20°、26.12°±0.20°、28.59°±0.20°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする。
【0032】
本発明のいくつかの方案において、前記D結晶形の粉末X線回折パターンは、2θ角度6.05±0.20°、12.17±0.20°、13.35±0.20°、19.65±0.20°、26.12±0.20°、27.50±0.20°、28.59±0.20°、30.08±0.20°において特徴的な回折ピークを有する。
【0033】
本発明のいくつかの方案において、前記D結晶形の粉末X線回折パターンは、2θ角度6.05°、10.86°、12.17°、13.35°、13.76°、14.90°、15.70°、16.90°、17.70°、18.30°、18.91°、19.65°、20.14°、20.68°、21.37°、21.67°、22.08°、23.17°、23.67°、23.90°、25.25°、25.80°、26.12°、26.70°、26.90°、27.50°、27.79°、28.59°、29.02°、30.08°、30.51°、30.78°、30.87°、31.89°、32.28°、32.49°、33.30°、34.77°、35.44°、35.85°、36.49°、37.36°、37.93°、38.96°において特徴的な回折を有する。
【0034】
本発明のいくつかの方案において、前記D結晶形のXRPDパターンは図6に示す通りである。
【0035】
本発明のいくつかの方案において、前記D結晶形のXRPDパターンの解析データは表4に示す通りである。
【0036】
【表4】
【0037】
本発明は、更に、式(II)の化合物のE結晶形を提供する。当該E結晶形は、粉末X線回折パターンが、2θ角度13.10°±0.20°、14.50°±0.20°、24.87°±0.20°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする。
【0038】
本発明のいくつかの方案において、前記E結晶形の粉末X線回折パターンは、2θ角度10.64±0.20°、13.10±0.20°、14.50±0.20°、15.77±0.20°、17.47±0.20°、21.57±0.20°、24.87±0.20°、27.42±0.20°において特徴的な回折ピークを有する。
【0039】
本発明のいくつかの方案において、前記E結晶形の粉末X線回折パターンは、2θ角度10.64°、13.10°、14.50°、15.77°、17.47°、20.17°、21.57°、22.28°、23.87°、24.87°、26.02°、27.42°、28.67°、30.18°、31.52°において特徴的な回折を有する。
【0040】
本発明のいくつかの方案において、前記E結晶形のXRPDパターンは図7に示す通りである。
【0041】
本発明のいくつかの方案において、前記E結晶形のXRPDパターンの解析データは表5に示す通りである。
【0042】
【表5】
【0043】
本発明は、更に、式(II)の化合物のF結晶形を提供する。当該F結晶形は、粉末X線回折パターンが、2θ角度5.44°±0.20°、14.06°±0.20°、14.92°±0.20°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする。
【0044】
本発明のいくつかの方案において、前記F結晶形の粉末X線回折パターンは、2θ角度5.44±0.20°、5.95±0.20°、10.80±0.20°、13.50±0.20°、14.06±0.20°、14.92±0.20°、19.38±0.20°、27.57±0.20°において特徴的な回折ピークを有する。
【0045】
本発明のいくつかの方案において、前記F結晶形の粉末X線回折パターンは、2θ角度5.44°、5.95°、8.94°、9.34°、10.80°、11.25°、11.91°、13.50°、14.06°、14.92°、16.60°、19.38°、23.97°、24.90°、26.21°、27.57°において特徴的な回折を有する。
【0046】
本発明のいくつかの方案において、前記F結晶形のXRPDパターンは図8に示す通りである。
【0047】
本発明のいくつかの方案において、前記F結晶形のXRPDパターンの解析データは表6に示す通りである。
【0048】
【表6】
【0049】
本発明は、式(III)の化合物を提供する。
【化3】
【0050】
本発明は、更に、式(III)の化合物のG結晶形を提供する。当該G結晶形は、粉末X線回折パターンが、2θ角度6.86°±0.20°、7.53°±0.20°、15.46°±0.20°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする。
【0051】
本発明のいくつかの方案において、前記G結晶形の粉末X線回折パターンは、2θ角度6.86±0.20°、7.53±0.20°、9.21±0.20°、9.80±0.20°、10.70±0.20°、13.06±0.20°、15.46±0.20°、20.53±0.20°において特徴的な回折ピークを有する。
【0052】
本発明のいくつかの方案において、前記G結晶形の粉末X線回折パターンは、2θ角度6.859°、7.532°、9.211°、9.799°、10.704°、13.057°、13.525°、14.847°、15.029°、15.461°、17.473°、18.656°、19.382°、19.585°、20.235°、20.528°、20.805°、21.158°、21.420°、22.109°、22.604°、23.368°、23.663°、24.058°、24.356°、25.203°、26.822°、27.157°、27.571°、28.601°、28.970°、29.583°、30.223°、32.483°、34.552°、34.748°、35.268°において特徴的な回折を有する。
【0053】
本発明のいくつかの方案において、前記G結晶形のXRPDパターンは図9に示す通りである。
【0054】
本発明のいくつかの方案において、前記G結晶形のXRPDパターンの解析データは表7に示す通りである。
【0055】
【表7】
【0056】
本発明のいくつかの方案において、前記G結晶形の示差走査熱量測定曲線は、47.3±3.0℃、86.8±3.0℃及び145.2±3.0℃に吸熱ピークの始点を1つずつ有する。
【0057】
本発明のいくつかの方案において、前記G結晶形のDSCパターンは図10に示す通りである。
【0058】
本発明のいくつかの方案において、前記G結晶形の熱重量分析曲線は、120.0℃±3.0℃時点における重量減が3.30%に達する。
【0059】
本発明のいくつかの方案において、前記G結晶形のTGAパターンは図11に示す通りである。
【0060】
本発明は、更に、式(III)の化合物のH結晶形を提供する。当該H結晶形は、粉末X線回折パターンが、2θ角度7.49°±0.20°、15.24°±0.20°、22.03°±0.20°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする。
【0061】
本発明のいくつかの方案において、前記H結晶形の粉末X線回折パターンは、2θ角度6.76±0.20°、7.49±0.20°、9.16±0.20°、10.73±0.20°、13.09±0.20°、15.24±0.20°、20.17±0.20°、22.03±0.20°において特徴的な回折ピークを有する。
【0062】
本発明のいくつかの方案において、前記H結晶形の粉末X線回折パターンは、2θ角度6.76±0.20°、7.49±0.20°、9.18±0.20°、10.73±0.20°、13.09±0.20°、15.24±0.20°、20.17±0.20°、22.03±0.20°において特徴的な回折ピークを有する。
【0063】
本発明のいくつかの方案において、前記H結晶形の粉末X線回折パターンは、2θ角度6.761°、7.493°、9.165°、9.917°、10.728°、12.701°、13.092°、13.405°、15.243°、18.264°、19.600°、20.173°、20.489°、22.030°、24.280°、27.037°、29.843°、35.438°において特徴的な回折を有する。
【0064】
本発明のいくつかの方案において、前記H結晶形のXRPDパターンは図12に示す通りである。
【0065】
本発明のいくつかの方案において、前記H結晶形のXRPDパターンの解析データは表8に示す通りである。
【0066】
【表8】
【0067】
本発明は、更に、式(III)の化合物のI結晶形を提供する。当該I結晶形は、粉末X線回折パターンが、2θ角度6.85°±0.20°、7.49°±0.20°、15.42°±0.20°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする。
【0068】
本発明のいくつかの方案において、前記I結晶形の粉末X線回折パターンは、2θ角度6.85±0.20°、7.49±0.20°、9.80±0.20°、10.69±0.20°、13.06±0.20°、15.42±0.20°、20.53±0.20°、22.64±0.20°において特徴的な回折ピークを有する。
【0069】
本発明のいくつかの方案において、前記I結晶形の粉末X線回折パターンは、2θ角度6.854°、7.494°、9.171°、9.797°、10.688°、13.055°、14.810°、15.422°、18.676°、19.383°、19.620°、20.527°、20.881°、22.105°、22.640°、23.389°、24.094°、24.356°、25.185°、26.802°、27.432°、28.633°、29.561°、32.466°において特徴的な回折を有する。
【0070】
本発明のいくつかの方案において、前記I結晶形のXRPDパターンは図13に示す通りである。
【0071】
本発明のいくつかの方案において、前記I結晶形のXRPDパターンの解析データは表9に示す通りである。
【0072】
【表9】
【0073】
本発明は、式(IV)の化合物を提供する。
【化4】
【0074】
本発明は、更に、式(IV)の化合物のJ結晶形を提供する。当該J結晶形は、粉末X線回折パターンが、2θ角度4.59°±0.20°、7.02°±0.20°、18.05°±0.20°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする。
【0075】
本発明のいくつかの方案において、前記J結晶形の粉末X線回折パターンは、2θ角度4.59±0.20°、7.02±0.20°、10.13±0.20°、14.06±0.20°、18.05±0.20°、19.82±0.20°、22.56±0.20°、27.04±0.20°において特徴的な回折ピークを有する。
【0076】
本発明のいくつかの方案において、前記J結晶形の粉末X線回折パターンは、2θ角度4.592°、6.094°、7.018°、9.383°、10.132°、11.535°、12.241°、14.059°、18.046°、19.819°、21.435°、22.561°、23.764°、24.117°、26.489°、27.035°、28.732°、36.524°において特徴的な回折を有する。
【0077】
本発明のいくつかの方案において、前記J結晶形のXRPDパターンは図14に示す通りである。
【0078】
本発明のいくつかの方案において、前記J結晶形のXRPDパターンの解析データは表10に示す通りである。
【0079】
【表10】
【0080】
本発明のいくつかの方案において、前記J結晶形の熱重量分析曲線は、120.0℃±3.0℃時点における重量減が4.97%に達する。
【0081】
本発明のいくつかの方案において、前記J結晶形のTGAパターンは図15に示す通りである。
【0082】
本発明は、更に、式(IV)の化合物のK結晶形を提供する。当該K結晶形は、粉末X線回折パターンが、2θ角度4.57°±0.20°、18.02°±0.20°、19.76°±0.20°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする。
【0083】
本発明のいくつかの方案において、前記K結晶形の粉末X線回折パターンは、2θ角度4.57±0.20°、6.98±0.20°、12.68±0.20°、13.98±0.20°、18.02±0.20°、19.76±0.20°、22.56±0.20°、26.96±0.20°において特徴的な回折ピークを有する。
【0084】
本発明のいくつかの方案において、前記K結晶形の粉末X線回折パターンは、2θ角度4.570°、6.111°、6.980°、9.069°、10.173°、11.023°、11.591°、12.680°、13.980°、15.953°、17.119°、18.024°、19.760°、20.213°、20.942°、21.419°、22.560°、24.081°、24.611°、26.960°、28.121°、28.575°、29.640°、31.733°、36.329°において特徴的な回折を有する。
【0085】
本発明のいくつかの方案において、前記K結晶形のXRPDパターンは図16に示す通りである。
【0086】
本発明のいくつかの方案において、前記K結晶形のXRPDパターンの解析データは表11に示す通りである。
【0087】
【表11】
【0088】
本発明は、更に、式(IV)の化合物のL結晶形を提供する。当該L結晶形は、粉末X線回折パターンが、2θ角度4.61°±0.20°、7.02°±0.20°、18.28°±0.20°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする。
【0089】
本発明のいくつかの方案において、前記L結晶形の粉末X線回折パターンは、2θ角度4.61±0.20°、7.02±0.20°、11.83±0.20°、18.28±0.20°、20.27±0.20°、21.50±0.20°、22.58±0.20°、26.96±0.20°において特徴的な回折ピークを有する。
【0090】
本発明のいくつかの方案において、前記L結晶形の粉末X線回折パターンは、2θ角度4.611°、5.006°、7.018°、9.129°、11.829°、12.246°、14.016°、18.279°、18.733°、20.272°、20.904°、21.495°、22.578°、24.554°、25.517°、26.959°、28.990°、29.603°において特徴的な回折を有する。
【0091】
本発明のいくつかの方案において、前記L結晶形のXRPDパターンは図17に示す通りである。
【0092】
本発明のいくつかの方案において、前記L結晶形のXRPDパターンの解析データは表12に示す通りである。
【0093】
【表12】
【0094】
本発明は、更に、式(I)の化合物のM結晶形を提供する。当該M結晶形は、粉末X線回折パターンが、2θ角度5.77°±0.20°、12.63°±0.20°、15.40°±0.20°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする。
【化5】
【0095】
本発明のいくつかの方案において、前記M結晶形の粉末X線回折パターンは、2θ角度5.77±0.20°、11.59±0.20°、12.63±0.20°、15.40±0.20°、16.42±0.20°、20.77±0.20°、22.62±0.20°、23.36±0.20°において特徴的な回折ピークを有する。
【0096】
本発明のいくつかの方案において、前記M結晶形の粉末X線回折パターンは、2θ角度5.77°、5.95°、10.52°、11.59°、12.63°、13.12°、15.40°、16.42°、16.94°、18.05°、20.03°、20.77°、21.44°、22.62°、22.98°、23.36°、24.46°、25.82°、26.54°、27.31°、27.96°、29.70°、31.17°、32.04°、33.16°、35.45°において特徴的な回折を有する。
【0097】
本発明のいくつかの方案において、前記M結晶形のXRPDパターンは図18に示す通りである。
【0098】
本発明のいくつかの方案において、前記M結晶形のXRPDパターンの解析データは表13に示す通りである。
【0099】
【表13】
【0100】
本発明のいくつかの方案において、前記M結晶形の示差走査熱量測定曲線は、74.4±3.0℃に吸熱ピークの始点を1つ有しており、214.3±3.0℃にもう1つの吸熱ピークの始点を有している。
【0101】
本発明のいくつかの方案において、前記M結晶形のDSCパターンは図19に示す通りである。
【0102】
本発明のいくつかの方案において、前記M結晶形の熱重量分析曲線は、120.0℃±3.0℃時点における重量減が7.54%に達する。
【0103】
本発明のいくつかの方案において、前記M結晶形のTGAパターンは図20に示す通りである。
【0104】
本発明は、更に、式(I)の化合物のN結晶形を提供する。当該N結晶形は、粉末X線回折パターンが、2θ角度12.64°±0.20°、17.10°±0.20°、20.92°±0.20°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする。
【0105】
本発明のいくつかの方案において、前記N結晶形の粉末X線回折パターンは、2θ角度11.02±0.20°、12.64±0.20°、17.10±0.20°、18.22±0.20°、20.92±0.20°、21.73±0.20°、24.63±0.20°、26.65±0.20°において特徴的な回折ピークを有する。
【0106】
本発明のいくつかの方案において、前記N結晶形の粉末X線回折パターンは、2θ角度9.111°、11.022°、12.642°、13.289°、15.934°、16.626°、17.096°、18.221°、18.753°、19.876°、20.234°、20.922°、21.733°、22.659°、22.972°、24.631°、25.416°、25.776°、26.646°、27.454°、28.103°、28.360°、28.835°、29.561°、32.683°、34.041°、35.459°、36.959°、37.886°において特徴的な回折を有する。
【0107】
本発明のいくつかの方案において、前記N結晶形のXRPDパターンは図21に示す通り
である。
【0108】
本発明のいくつかの方案において、前記N結晶形のXRPDパターンの解析データは表14に示す通りである。
【0109】
【表14】
【0110】
本発明は、更に、式(I)の化合物のO結晶形を提供する。当該O結晶形は、粉末X線回折パターンが、2θ角度6.70°±0.20°、10.41°±0.20°、13.74°±0.20°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする。
【0111】
本発明のいくつかの方案において、前記O結晶形の粉末X線回折パターンは、2θ角度4.63±0.20°、6.70±0.20°、9.80±0.20°、10.41±0.20°、13.74±0.20°、14.16±0.20°、16.57±0.20°、18.97±0.20°において特徴的な回折ピークを有する。
【0112】
本発明のいくつかの方案において、前記O結晶形の粉末X線回折パターンは、2θ角度4.633°、5.227°、6.701°、8.278°、9.800°、10.407°、12.267°、13.743°、14.156°、14.432°、15.519°、16.566°、18.970°、20.395°、24.479°において特徴的な回折を有する。
【0113】
本発明のいくつかの方案において、前記O結晶形のXRPDパターンは図22に示す通りである。
【0114】
本発明のいくつかの方案において、前記O結晶形のXRPDパターンの解析データは表15に示す通りである。
【0115】
【表15】
【0116】
本発明は、更に、上記の化合物、上記のA結晶形、B結晶形、C結晶形、D結晶形、E結晶形、F結晶形、G結晶形、H結晶形、I結晶形、J結晶形、K結晶形、L結晶形、M結晶形、N結晶形又はO結晶形の、FGFR及びc-Metに関連する疾患を治療する薬物の製造における応用を提供する。
【0117】
本発明のいくつかの方案において、上記の応用は、前記薬物が固形腫瘍を治療するための薬物であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0118】
本発明の化合物は各結晶形が安定しており、光や熱、湿度の影響を受けにくく、且つ良好な生体投与効果を有しているため、製剤としての将来性に優れている。比較例と比べて、式(II)の化合物のA結晶形は、FGFR1及びFGFR4における活性がいずれも大幅に向上し、且つ優れたc-Met活性も維持したままだった。これは予想外の現象であった。本発明の化合物は、c-Met及びFGFRのダブルキナーゼタンパク質構造に基づいて分析したものであり、c-Met及びFGFRを同時に抑制する高活性の小分子核が発見された。この二重標的阻害剤については、FGFR標的とc-Met標的は連携及び相補可能なため、一方が抑制された場合には、FGFRの突然変異及びc-Metの突然変異が容易にシグナル代償作用を発揮し、腫瘍細胞が単一の阻害剤に対し薬剤耐性を持つようになる。しかし、上記のような二重標的阻害によれば、腫瘍細胞の依存的逃避を減少させて、腫瘍治療効果を極めて大きく向上させる可能性がある。静脈投与の場合、式(II)の化合物のA結晶形は、中程度よりも低いクリアランス、高い分布容積、中程度の半減期、高い薬物暴露量を示した。また、経口投与の場合、式(II)の化合物のA結晶形は、急速に最高血中濃度に達し、高い経口暴露量を示した。且つ、暴露量は式(III)の化合物のG結晶形、式(III)の化合物のJ結晶形よりも高かった。式(II)の化合物のA結晶形は、腫瘍モデルSNU-16において優れた腫瘍抑制効果を示した。
【0119】
定義と説明
別途説明する場合を除き、本文中で使用する下記の用語及びフレーズは、次の意味を含むことを意図している。即ち、特に定義していない場合、特定のフレーズ又は用語は通常の意味に従って解釈すべきであり、不確定又は不明瞭とみなすべきではない。また、本文中に商品名が登場する場合には、これに対応する商品又はその活性成分を意味することを意図している。
【0120】
本発明における中間体化合物は、当業者が熟知する複数の合成方法(以下で列挙する具体的実施形態、当該具体的実施形態にその他の化学合成方法を組み合わせて形成される実施形態、及び当業者が熟知する同等の代替方式を含む)で調製可能である。なお、好ましい実施形態には本発明の実施例が含まれるがこれに限らない。
【0121】
本発明の具体的実施形態における化学反応は適切な溶媒内で完了する。前記溶媒は、本発明の化学変化及びそれに必要な試薬及び材料に適合していることを必須とする。本発明の化合物を取得するために、場合によって、当業者は、既存の実施形態をベースに、合成ステップ又は反応フローを修正或いは選択する必要がある。
【0122】
本発明の化合物は、当業者が熟知する一般的な方法で構造を確認可能である。また、本発明が化合物の絶対配置に関与する場合、当該絶対配置は、当該分野における一般的な技術手段により確実に証明可能である。例えば、単結晶X線回折法(SXRD)の場合には、培養した単結晶について、ブルカー社(Bruker)製D8 venture回折計を用いて回折強度データを収集する。光源はCuKα放射とし、走査方式をφ/ωとして走査する。そして、関連データの収集後、更に直接法(Shelxs97)を用いて結晶構造を解析することで、絶対配置を確実に証明可能である。
【0123】
以下では、実施例を用いて本発明につき具体的に記載するが、これらの実施例は本発明に何らかの制約を加えることを意味しない。
【0124】
本発明で使用する全ての溶媒は市販のものであり、それ以上精製しなくても使用可能である。
【0125】
本発明で使用する溶媒は市販のものから取得可能である。また、本発明では次の略語を使用する。EtOHはエタノールを意味する。MeOHはメタノールを意味する。TFAはトリフルオロ酢酸を意味する。TsOHはp-トルエンスルホン酸を意味する。mpは融点を意味する。THFはテトラヒドロフランを意味する。EtOAcは酢酸エチルを意味する。Pd(dppf)Cl2は、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウムを意味する。
【0126】
化合物は、当該分野における一般的な命名原則又はChemDraw(登録商標)ソフトウェアにより命名する。また、市販の化合物についてはサプライヤカタログの名称を採用する。
【0127】
本発明の粉末X線回折(X-ray powder diffractometer,XRPD)方法

計器型番:PANalytical(パナリティカル)社製のX’Pertシリーズ粉末X線回折計
テスト方法:約10mgのサンプルをXRPD測定に使用した。
【0128】
XRPDパラメータの詳細は以下の通りであった。
光線源:Cu、kα(Kα1=1.540598Å、Kα2=1.544426Å、Kα2/Kα1の強度比率:0.5)
X線管電圧:45kV、X線管電流:40mA
発散スリット:1/8degに固定
第1ソーラースリット:0.04rad、第2ソーラースリット:0.04rad
受光スリット:無し。散乱防止スリット:7.5mm
測定時間:5min
走査角度範囲:3~40deg
ステップサイズ(Step SIZE):0.0263deg
ステップ幅(Step length):46.665秒
サンプルトレイ回転速度:15rpm
【0129】
本発明における示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimeter,DSC)方法

計器型番:TA5500示差走査熱量測定計
テスト方法:サンプル(約1~5mg)を取ってDSCアルミパン内に載置し、テストを実施した。窒素ガス50mL/minの条件下において、昇温速度10℃/minでサンプルを25℃(室温)からサンプル分解まで加熱した。
【0130】
本発明における熱重量分析(Thermal Gravimetric Analyzer,TGA)方法

計器型番:TA2500熱重量分析計
テスト方法:サンプル(約1~5mg)を取ってTGAアルミパン内に載置し、テストを実施した。窒素ガス10mL/minの条件下において、昇温速度10℃/minでサンプルを室温から350℃まで加熱した。
【0131】
本発明における動的水蒸気吸着測定(Dynamic Vapor Sorption,DVS)方法

計器型番:SMS社製 DVS Intrinsic 動的水蒸気吸着測定装置
測定条件:サンプル(10~30mg)を取ってDVSサンプルトレイ内に載置し、テストを実施した。
【0132】
詳細なDVSパラメータは以下の通りであった。
温度:25℃
バランス:dm/dt=0.002%/min(最短:10min、最長:180min)
RH(%)テストレベル:10(0~90%)、5(90~95%)
RH(%)テストレベル範囲:0~95~0
【0133】
吸湿性の評価分類は下記の通りとした。

【0134】
本発明における高速液体クロマトグラフィー(High Performance Liquid Chromatograph,HPLC)方法

【図面の簡単な説明】
【0135】
図1図1は、式(II)の化合物のA結晶形についてのCu-Kα放射のXRPDスペクトル図である。
図2図2は、式(II)の化合物のA結晶形についてのDSCスペクトル図である。
図3図3は、式(II)の化合物のA結晶形についてのTGAスペクトル図である。
図4図4は、式(II)の化合物のB結晶形についてのCu-Kα放射のXRPDスペクトル図である。
図5図5は、式(II)の化合物のC結晶形についてのCu-Kα放射のXRPDスペクトル図である。
図6図6は、式(II)の化合物のD結晶形についてのCu-Kα放射のXRPDスペクトル図である。
図7図7は、式(II)の化合物のE結晶形についてのCu-Kα放射のXRPDスペクトル図である。
図8図8は、式(II)の化合物のF結晶形についてのCu-Kα放射のXRPDスペクトル図である。
図9図9は、式(III)の化合物のG結晶形についてのCu-Kα放射のXRPDスペクトル図である。
図10図10は、式(III)の化合物のG結晶形についてのDSCスペクトル図である。
図11図11は、式(III)の化合物のG結晶形についてのTGAスペクトル図である。
図12図12は、式(III)の化合物のH結晶形についてのCu-Kα放射のXRPDスペクトル図である。
図13図13は、式(III)の化合物のI結晶形についてのCu-Kα放射のXRPDスペクトル図である。
図14図14は、式(IV)の化合物のJ結晶形についてのCu-Kα放射のXRPDスペクトル図である。
図15図15は、式(IV)の化合物のJ結晶形についてのTGAスペクトル図である。
図16図16は、式(IV)の化合物のK結晶形についてのCu-Kα放射のXRPDスペクトル図である。
図17図17は、式(IV)の化合物のL結晶形についてのCu-Kα放射のXRPDスペクトル図である。
図18図18は、式(I)の化合物のM結晶形についてのCu-Kα放射のXRPDスペクトル図である。
図19図19は、式(I)の化合物のM結晶形についてのDSCスペクトル図である。
図20図20は、式(I)の化合物のM結晶形についてのTGAスペクトル図である。
図21図21は、式(I)の化合物のN結晶形についてのCu-Kα放射のXRPDスペクトル図である。
図22図22は、式(I)の化合物のO結晶形についてのCu-Kα放射のXRPDスペクトル図である。
図23図23は、式(II)の化合物のA結晶形についてのDVSスペクトル図である。
図24図24は、式(III)の化合物のG結晶形についてのDVSスペクトル図である。
図25図25は、式(II)の化合物のJ結晶形についてのDVSスペクトル図である。
【発明を実施するための形態】
【0136】
本発明の内容がよりよく理解されるよう、以下に、具体的実施例を組み合わせて更に説明するが、具体的実施形態は本発明の内容を制約するものではない。
【実施例
【0137】
実施例1
式(II)の化合物のA結晶形の調製
【化6】
合成経路:
【化7】
【化8】
【0138】
ステップ1:化合物I-Aの合成
0℃条件下で、3,4-ジヒドロピラン(500.00g、5.94mol、543.48mL)、濃塩酸(1.02g、10.35mmol、1.00mL)をブロモエタノール(500g、4.00mol、284.09mL)に加え、19℃で1時間攪拌した。反応完了後、100gの炭酸水素ナトリウムを加えて30分間攪拌し、不溶物を濾過により除去して粗生成物を取得した。そして、濾液を0.09MPaで減圧蒸留し、80℃の留分を収集することで化合物I-Aを取得した。
【0139】
H NMR(400MHz,CDCl)δ4.66-4.60(m,1H),4.00-3.76(m,3H),3.50-3.47(m,1H),1.83-1.50(m,6H)。
【0140】
ステップ2:化合物I-Bの合成
化合物I-A(600.78g、2.87mol、435.35mL)、4-ホウ酸エステル-1H-ピラゾール(280g、1.44mol)をN,N-ジメチルホルムアミド(1120mL)に溶解し、炭酸カリウム(397.12g、2.87mol)を加えて60℃で48時間攪拌した。このとき、TLCは原料が完全に反応したことを示した。次に、不溶物を濾過により除去し、酢酸エチルでケーキを洗浄して濾液と合わせ、溶媒を遠心除去して粗生成物を取得した。そして、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン:酢酸エチル=8:1)に通して精製し、化合物I-Bを取得した。
【0141】
H NMR(400MHz,CDCl)δ7.84-7.78(m,1H),4.52-4.51(m,1H),4.35-4.32(m,2H),4.05-4.04(m,1H),3.79-3.45(m,3H),1.79-1.47(m,6H),1.32(s,12H)。
【0142】
ステップ3:化合物I-Dの合成
化合物I-C(250g、1.50mol)と、1-クロロメチル-4-フルオロ-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンビス(テトラフルオロボラート)(1.33kg、3.76mol)をアセトニトリル(3750mL)に加え、20~30℃で48時間反応させた。次に、反応液に19Lの水をゆっくりと加え、濾過し、ケーキを水(50mL*2)で洗浄して粗生成物を取得した。粗生成物は、カラムクロマトグラフィー(
PE/DCM/EA=3/1/0~3/1/0.2)で精製し、取得した産生物(470g)をn-ヘプタン(2L)に加えて10~20℃で30分間攪拌した。反応系では均一に攪拌を行った。そして、これを濾過し、ケーキをn-ヘプタン(50mL)で洗浄して化合物I-Dを取得した。
【0143】
H NMR(400MHz,CDCl)δ10.34-10.18(m,1H),6.90-6.73(m,1H),3.84(s,6H)。
【0144】
ステップ4:化合物I-Fの合成
化合物I-D(460g、2.28mol)及び化合物I-E(407.58g、2.07mol)をメタノール(1.8L)に加え、反応させつつ40℃まで加熱した。次に、水酸化カリウム(232.12g、4.14mol)のメタノール(1.8L)溶液を反応フラスコに滴下し、40℃で反応させて10分間攪拌した。反応液が溶解して透明になったあと、反応温度を10~20℃まで低下させ、当該温度で16時間攪拌した。そして、反応液を減圧濾過し、ケーキをメタノール(50mL)で洗浄した。このケーキを40~50℃で減圧及び遠心脱水することで、化合物I-Fを取得した。
【0145】
LCMS(ESI)m/z:398.6[M+1],400.6[M+1]
H NMR(400MHz,CDCl)δ8.24(s,1H),8.00(s,1H),7.30(s,1H),6.94(t,J=8.0Hz,1H),3.84(s,6H)。
【0146】
ステップ5:化合物I-Gの合成
10~25℃でアセトニトリル2.90Lを5L反応フラスコに加えた。そして、攪拌を開始し、10~25℃で化合物I-F(290.00g)を一度に反応フラスコに加え、10~25℃でトリエチルシラン(232mL)及びトリフルオロ酢酸(161mL)をそれぞれ反応フラスコに順次滴下した。反応させつつ内部温度55~60℃まで加熱し、この温度範囲で攪拌及び反応を4時間継続した。反応液は室温10~25℃まで冷却し、一晩静置した。次に、減圧濾過を行い、アセトニトリル(100mL*2)でケーキを洗浄した。そして、留分が滴下しなくなるまでケーキをオイルポンプで減圧濃縮した。温度は40~50℃、真空度≦-0.08MPaとした。これにより、化合物I-Gを取得した。
【0147】
LCMS(ESI)m/z:382.6[M+1],384.6[M+1]
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ11.75(s,1H),8.25(s,1H),8.09(s,1H),7.25(s,1H),6.88(t,J=8.0Hz,1H),4.02(s,2H),3.84(s,6H)。
【0148】
ステップ6:化合物I-Hの合成
10~25℃でテトラヒドロフラン2.6L及び蒸留水0.52Lを5L反応フラスコに加え、攪拌を開始した。次に、窒素ガスで3回置換して、系内を終始窒素ガスで保護しつつ、炭酸カリウム(105.51g)を反応フラスコに加えた。そして、10~25℃、窒素ガス保護下において、化合物I-G(130.00g)、化合物I-B(100.91g)及びPd(dppf)Cl(5.64g)を反応フラスコに加え、反応させつつ
内部温度65~70℃まで加熱して、この温度範囲で攪拌及び反応を8~10時間継続した。反応液は室温(10~25℃)まで冷却した。続いて、トリチオシアヌル酸三ナトリウム塩(130.00g)を一度に加え、10~25℃で16~20時間攪拌した。これを200~300gの珪藻土で濾過したあと、テトラヒドロフラン(120mL*2)でケーキを洗浄した。そして、濾液にトリチオシアヌル酸三ナトリウム塩(130.00g)を一度に加え、10~25℃で16~20時間攪拌した。また、これを200~300gの珪藻土で濾過し、テトラヒドロフラン(120mL*2)でケーキを洗浄した。次に、濾液に1.2Lの精製水を加え、酢酸エチル(3.6L*2)で抽出した。そして、結合した有機相を飽和塩化ナトリウム(1.2L*2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム(500g)で1~2時間乾燥させてから濾過した。続いて、留分が滴下しなくなるまで濾液を減圧濃縮し、粗生成物を取得した。そして、粗生成物をカラムクロマトグラフィーに通して精製し、粗産物を取得した。次に、粗産物を1.6Lの酢酸エチルで溶解し、45~50℃まで加熱して、溶解により透明になってから、10~25℃まで冷却した。そして、攪拌しながら4.8Lのn-ヘプタンを滴下し、0.5~1時間で滴下を完了した。続いて、固体の析出後、引き続き10~25℃で1時間攪拌し、濾過して、ケーキをn-ヘプタン(250mL*2)で洗浄した。ケーキは、留分が滴下しなくなるまでオイルポンプで減圧濃縮し、粗生成物を取得した。次に、10~25℃で、粗生成物を1.6Lのテトラヒドロフランで溶解した。その後、高分子樹脂PSB-22Yを約250g加え、55~60℃まで昇温させてから、当該温度で16~20時間攪拌した(回転数300~305r/min)。そして、液体を200~300gの珪藻土で熱濾過し、テトラヒドロフラン(150mL*2)で洗浄したあと、濾液にPSB-22Yを約250g加えた。また、これを55~60℃まで昇温させ、16~20時間攪拌した(回転数300~305r/min)。続いて、液体を200~300gの珪藻土で熱濾過し、テトラヒドロフラン(150mL*2)で洗浄した。濾液は、留分が滴下しなくなるまでウォーターポンプで減圧濃縮した。温度は40~50℃、真空度≦-0.08MPaとした。これにより、化合物I-Hを取得した。
【0149】
LCMS(ESI)m/z:499.5[M+1]
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ11.75(s,1H),8.45(s,1H),8.15(s,1H),8.05(s,1H),7.87(s,1H),7.12(s,1H),6.88(t,J=8.0Hz,1H),4.57(s,1H),4.38-4.32(m,2H),4.06(s,2H),3.97-3.92(m,1H),3.84(s,6H),3.79-3.78(m,1H),3.58-3.37(m,2H),1.76-1.36(m,6H)。
【0150】
ステップ7:式(II)の化合物のA結晶形の合成
-25℃でエタノール2.78Lを5Lの三つ口フラスコに加えた。これを20~30℃まで加熱し、攪拌しつつ化合物I-H(139.00g)を加えた。次に、懸濁液を20~30℃で約30分間攪拌し、20~30℃に制御しつつ、塩酸/酢酸エチル(137mL、4M)を滴下した。滴下は20分で完了した。そして、20~30℃下で16~20時間機械攪拌した。また、これを10~25℃まで降温させて、反応液を減圧濾過し、ケーキをエタノール(200mL*2)で洗浄した。ケーキは、留分が滴下しなくなるまで減圧濃縮した。温度は40~50℃、真空度≦-0.08MPaとした。これにより、式(II)の化合物のA結晶形を取得した。
【0151】
LCMS(ESI)m/z:415.0[M+1]
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ11.98(s,1H),8.58(
s,1H),8.40(s,1H),8.24(s,1H),7.96(s,1H),7.19(s,1H),6.88(t,J=8.0Hz,1H),4.57(s,1H),4.25-4.10(m,4H),3.85(s,6H),3.84-3.80(m,2H)。
【0152】
塩化数についての研究
分子式:C2120・HClからClイオンの理論上の含有量を算出すると7.87%となり、7.04%に非常に近い。これより、式(I)の化合物における塩酸塩の塩化数が1であることが得られた。
【0153】
実施例2
式(I)の化合物のM結晶形の調製
式(II)の化合物のA結晶形を50mg計量して水中に溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で解離させて、15℃で1時間攪拌した。これを濾過し、ケーキを減圧及び遠心脱水することで、式(I)の化合物のM結晶形を取得した。
【0154】
式(II)の化合物のA結晶形の調製
式(I)の化合物のM結晶形100mgをガラスバイアル内に計量し、4.0mLのエタノールを加えた。次に、塩化水素/酢酸エチル(4M、60μL)をゆっくりと加え、反応液を15℃で48時間攪拌した。そして、反応液を濾過し、ケーキを減圧乾燥させて(40℃)、式(II)の化合物のA結晶形を取得した。
【0155】
式(I)の化合物のM結晶形350mgをガラスバイアル内に計量し、10mLのメタノールを加えた。次に、0.21mLの塩化水素/酢酸エチル(4M)をゆっくりと加えて懸濁液を取得した。続いて、懸濁液をマグネチックスターラーに載置し、15℃で24時間攪拌した(遮光)。そして、反応液を濾過し、ケーキを真空乾燥オーブンで乾燥させて(40℃)、式(II)の化合物のA結晶形を取得した。
【0156】
式(II)の化合物のB結晶形の調製
式(I)の化合物のM結晶形100mgをガラスバイアル内に計量し、4.0mLのアセトンを加えた。次に、塩化水素/酢酸エチル(4M、60μL)をゆっくりと加え、反応液を15℃で48時間攪拌した。そして、反応液を濾過し、ケーキを減圧乾燥させて(40℃)、式(II)の化合物のB結晶形を取得した。
【0157】
式(II)の化合物のC結晶形の調製
式(I)の化合物のM結晶形50mgをガラスバイアル内に計量し、4.0mLの酢酸エチルを加えた。次に、塩化水素/酢酸エチル(4M、30μL)をゆっくりと加え、反応液を15℃で48時間攪拌した。そして、反応液を濾過し、ケーキを減圧乾燥させて(40℃)、式(II)の化合物のC結晶形を取得した。
【0158】
式(II)の化合物のD結晶形の調製
式(I)の化合物のM結晶形350mgをガラスバイアル内に計量し、10mLのアセトンを加えた。次に、0.21mLの塩化水素/酢酸エチル(4M)をゆっくりと加えて懸濁液を取得した。続いて、懸濁液をマグネチックスターラーに載置し、15℃で24時間攪拌した(遮光)。そして、反応液を濾過し、ケーキを真空乾燥オーブンで乾燥させて(40℃)、式(II)の化合物のD結晶形を取得した。
【0159】
式(I)の化合物のM結晶形350mgをガラスバイアル内に計量し、10mLの酢酸エチルを加えた。次に、0.21mLの塩化水素/酢酸エチル(4M)をゆっくりと加えて懸濁液を取得した。続いて、懸濁液をマグネチックスターラーに載置し、15℃で24時間攪拌した(遮光)。そして、反応液を濾過し、ケーキを真空乾燥オーブンで乾燥させて(40℃)、式(II)の化合物のD結晶形を取得した。
【0160】
式(I)の化合物のM結晶形350mgをガラスバイアル内に計量し、10mLのテトラヒドロフランを加えた。次に、0.21mLの塩化水素/酢酸エチル(4M)をゆっくりと加えて懸濁液を取得した。続いて、懸濁液をマグネチックスターラーに載置し、15℃で24時間攪拌した(遮光)。そして、反応液を濾過し、ケーキを真空乾燥オーブンで乾燥させて(40℃)、式(II)の化合物のD結晶形を取得した。
【0161】
式(I)の化合物のM結晶形350mgをガラスバイアル内に計量し、10mLのアセトン/水(v/v,1/1)を加えた。次に、0.21mLの塩化水素/酢酸エチル(4M)をゆっくりと加えて懸濁液を取得した。続いて、懸濁液をマグネチックスターラーに載置し、15℃で24時間攪拌した(遮光)。そして、反応液を濾過し、ケーキを真空乾燥オーブンで乾燥させて(40℃)、式(II)の化合物のD結晶形を取得した。
【0162】
式(II)の化合物のE結晶形の調製
式(I)の化合物のM結晶形350mgをガラスバイアル内に計量し、10mLのテトラヒドロフラン/水(v/v,1/1)を加えた。次に、0.21mLの塩化水素/酢酸エチル(4M)をゆっくりと加えて懸濁液を取得した。続いて、懸濁液をマグネチックスターラーに載置し、15℃で24時間攪拌した(遮光)。そして、反応液を濾過し、ケーキを真空乾燥オーブンで乾燥させて(40℃)、式(II)の化合物のE結晶形を取得した。
【0163】
式(II)の化合物のF結晶形の調製
式(I)の化合物のM結晶形350mgをガラスバイアル内に計量し、10mLのエタノール/水(v/v,1/1)を加えた。次に、0.21mLの塩化水素/酢酸エチル(4M)をゆっくりと加えて懸濁液を取得した。続いて、懸濁液をマグネチックスターラーに載置し、15℃で24時間攪拌した(遮光)。そして、反応液を濾過し、ケーキを真空乾燥オーブンで乾燥させて(40℃)、式(II)の化合物のF結晶形を取得した。
【0164】
式(III)の化合物のG結晶形の調製
【化9】
【0165】
式(I)の化合物のM結晶形100mgをガラスバイアル内に計量し、4.0mLのエタノールを加えた。次に、メタンスルホン酸(26mg、1.1eq)をゆっくりと加え、反応液を15℃で48時間攪拌した。そして、反応液を濾過し、ケーキを減圧乾燥させて(40℃)、式(III)の化合物のG結晶形を取得した。
【0166】
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ11.66(s,1H),8.51(s,1H),8.20(s,2H),7.90(s,1H),7.15(s,1H),6.90(t,J=8.0Hz,1H),4.08-4.21(m,4H),3.84(s,6H),3.76-3.78(m,2H),2.33(s,3H)。
【0167】
式(III)の化合物のH結晶形の調製
式(I)の化合物のM結晶形100mgをガラスバイアル内に計量し、4.0mLのアセトンを加えた。次に、メタンスルホン酸(26mg、1.1eq)をゆっくりと加え、反応液を15℃で48時間攪拌した。そして、反応液を濾過し、ケーキを減圧乾燥させて(40℃)、式(III)の化合物のH結晶形を取得した。
【0168】
式(III)の化合物のI結晶形の調製
式(I)の化合物のM結晶形50mgをガラスバイアル内に計量し、4.0mLの酢酸エチルを加えた。次に、メタンスルホン酸(13mg、1.1eq)をゆっくりと加え、反応液を15℃で48時間攪拌した。そして、反応液を濾過し、ケーキを減圧乾燥させて(40℃)、式(III)の化合物のI結晶形を取得した。
【0169】
式(IV)の化合物のJ結晶形の調製
【化10】
【0170】
式(I)の化合物のM結晶形100mgをガラスバイアル内に計量し、4.0mLのエタノールを加えた。次に、p-トルエンスルホン酸(50mg、1.1eq)をゆっくりと加え、反応液を15℃で48時間攪拌した。そして、反応液を濾過し、ケーキを減圧乾燥させて(40℃)、式(IV)の化合物のJ結晶形を取得した。
【0171】
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ11.91(s,1H),8.57(s,1H),8.40(s,1H),8.24(s,1H),7.95(s,1H),7.49-7.47(m,2H),7.21(s,1H),7.13-7.11(m,1H),6.90(t,J=8.0Hz,1H),4.22-4.11(m,4H),3.85(s,6H),3.81-3.78(m,2H),2.29(s,3H)。
【0172】
式(IV)の化合物のK結晶形の調製
式(I)の化合物のM結晶形100mgをガラスバイアル内に計量し、4.0mLのアセトンを加えた。次に、p-トルエンスルホン酸(50mg、1.1eq)をゆっくりと加え、反応液を15℃で48時間攪拌した。そして、反応液を濾過し、ケーキを減圧乾燥させて(40℃)、式(IV)の化合物のK結晶形を取得した。
【0173】
式(IV)の化合物のL結晶形の調製
式(I)の化合物のM結晶形50mgをガラスバイアル内に計量し、4.0mLの酢酸エチルを加えた。次に、p-トルエンスルホン酸(25mg、1.1eq)をゆっくりと加え、反応液を15℃で48時間攪拌した。そして、反応液を濾過し、ケーキを減圧乾燥させて(40℃)、式(IV)の化合物のL結晶形を取得した。
【0174】
式(I)の化合物のN結晶形の調製
式(I)の化合物のM結晶形50mgをガラスバイアル内に計量し、2.0mLのアセトンを加えて懸濁液を取得した。次に、懸濁液をマグネチックスターラーに載置して(15℃)、16時間攪拌した。そして、反応液を濾過し、ケーキを減圧乾燥させて(40℃)、式(I)の化合物のN結晶形を取得した。
【0175】
式(I)の化合物のM結晶形50mgをガラスバイアル内に計量し、2.0mLのテトラヒドロフランを加えて懸濁液を取得した。次に、懸濁液をマグネチックスターラーに載置して(15℃)、16時間攪拌した。そして、反応液を濾過し、ケーキを減圧乾燥させて(40℃)、式(I)の化合物のN結晶形を取得した。
【0176】
式(I)の化合物のM結晶形50mgをガラスバイアル内に計量し、2.0mLのエタノールを加えて懸濁液を取得した。次に、懸濁液をマグネチックスターラーに載置して(15℃)、16時間攪拌した。そして、反応液を濾過し、ケーキを減圧乾燥させて(40℃)、式(I)の化合物のN結晶形を取得した。
【0177】
式(I)の化合物のM結晶形50mgをガラスバイアル内に計量し、2.0mLの酢酸エチルを加えて懸濁液を取得した。次に、懸濁液をマグネチックスターラーに載置して(15℃)、16時間攪拌した。そして、反応液を濾過し、ケーキを減圧乾燥させて(40℃)、式(I)の化合物のN結晶形を取得した。
【0178】
式(I)の化合物のM結晶形50mgをガラスバイアル内に計量し、2.0mLのエタノール/水(v/v,1/1)を加えて懸濁液を取得した。次に、懸濁液をマグネチックスターラーに載置して(15℃)、16時間攪拌した。そして、反応液を濾過し、ケーキを減圧乾燥させて(40℃)、式(I)の化合物のN結晶形を取得した。
【0179】
式(I)の化合物のM結晶形50mgをガラスバイアル内に計量し、2.0mLのアセトン/水(v/v,1/1)を加えて懸濁液を取得した。次に、懸濁液をマグネチックスタ
ーラーに載置して(15℃)、16時間攪拌した。そして、反応液を濾過し、ケーキを減圧乾燥させて(40℃)、式(I)の化合物のN結晶形を取得した。
【0180】
式(I)の化合物のO結晶形の調製
式(I)の化合物のM結晶形50mgをガラスバイアル内に計量し、2.0mLのテトラヒドロフラン/水(v/v,1/1)を加えて懸濁液を取得した。次に、懸濁液をマグネチックスターラーに載置して(15℃)、16時間攪拌した。そして、反応液を濾過し、ケーキを減圧乾燥させて(40℃)、式(I)の化合物のO結晶形を取得した。
【0181】
実施例3
式(II)の化合物のA結晶形における吸湿性の研究
実験材料:
SMS社製 DVS Intrinsic 動的水蒸気吸着測定装置
実験方法:
式(II)の化合物のA結晶形10~30mgを取ってDVSサンプルトレイ内に載置し、テストを実施した。
【0182】
実験結果:
式(II)の化合物のA結晶形は、DVSスペクトル図が図23のようになり、ΔW=0.3710%であった。
【0183】
実験の結論:
式(II)の化合物のA結晶形は、25℃、80%RH下における吸湿による重量増が0.3710%であり、やや吸湿性を有していた。
【0184】
式(III)の化合物のG結晶形における吸湿性の研究
実験材料:
SMS社製 DVS Intrinsic 動的水蒸気吸着測定装置
実験方法:
式(III)の化合物のG結晶形10~30mgを取ってDVSサンプルトレイ内に載置し、テストを実施した。
【0185】
実験結果:
式(III)の化合物のG結晶形は、DVSスペクトル図が図24のようになり、ΔW=3.928%であった。
【0186】
実験の結論:
式(III)の化合物のG結晶形は、25℃、80%RH下における吸湿による重量増が3.928%であり、吸湿性を有していた。
【0187】
式(IV)の化合物のJ結晶形における吸湿性の研究
実験材料:
SMS社製 DVS Intrinsic 動的水蒸気吸着測定装置
実験方法:式(IV)の化合物のJ結晶形10~30mgを取ってDVSサンプルトレイ内に載置し、テストを実施した。
【0188】
実験結果:
式(IV)の化合物のJ結晶形は、DVSスペクトル図が図25のようになり、ΔW=6.077%であった。
【0189】
実験の結論:
式(IV)の化合物のJ結晶形は、25℃、80%RH下における吸湿による重量増が6.077%であり、吸湿性を有していた。
【0190】
総合すると、DVSデータより、塩酸塩の吸湿性が最小であることが示された。
【0191】
実施例4
異なるpHにおける式(II)の化合物のA結晶形の溶解度実験
4つの異なるpH媒体における式(II)の化合物のA結晶形の溶解度をテストした。約10mgの式(II)の化合物のA結晶形を計量し、5.0mLの異なる媒体(水、SGF、FaSSIF、FeSSIF)にそれぞれ加え、均一に混合して懸濁液とした。上記の懸濁液に磁石を加え、マグネチックスターラーに載置して攪拌した。そして、攪拌から2時間後及び4時間後にサンプルを抽出し、遠心分離にかけて、上層のサンプルについてHPLCで濃度を測定するとともに、pH値を測定した。試験の結果は表16に示す通りであった。
【0192】
【表16】
【0193】
・FaSSIF:1.水酸化ナトリウムを0.042g、リン酸二水素ナトリウムを0.3438g及び塩化ナトリウムを0.6186g計量し、90mLの精製水に加えて均一に混合したあと、1N塩酸又は1N水酸化ナトリウムを用いてpH=6.5に調整し、精製水で100mLまで定容した。2.上記緩衝液を50mL取り、FaSSIF/FeSSIF/FaSSGFの市販粉末0.224gを加えて、溶解するまで攪拌したあと、精製水で100mLまで定容した。そして、準備した緩衝液を室温で放置し、2時間静置したあと、緩衝液が軽微な乳白色になったことが観察されれば使用可能とした(人体の食事前の腸液を模倣)。
【0194】
・FeSSIF:1.水酸化ナトリウムを0.404g、氷酢酸を0.865g及び塩化ナトリウムを1.1874g計量し、90mLの精製水に加えて均一に混合したあと、1N塩酸又は1N水酸化ナトリウムを用いてpH=5.0に調整し、精製水で100mLまで定容した。2.上記緩衝液を50mL取り、FaSSIF/FeSSIF/FaSSGFの市販粉末1.12gを加えて、溶解するまで攪拌したあと、精製水で100mLまで定容した。そして、準備した緩衝液を室温で放置し、2時間静置したあと、緩衝液が透明な液体になったことが観察されれば使用可能とした(人体の食事後の小腸内腸液を模倣)
【0195】
・FaSSGF(SGF):1.塩化ナトリウムを0.2g計量して90mLの精製水に加え、均一に混合したあと、1N塩酸でpH=1.8に調整し、精製水で100mLまで定容してから室温で静置した(人体の食事前の胃液を模倣)。
【0196】
結論:生体媒体に対する溶解度データより、式(II)の化合物のA結晶形は水相中に溶解しにくいことが分かった。また、人体の食事後の小腸内腸液を模倣した場合と、人体の食事前の胃液を模倣した場合の溶解度はいずれも良好であったが、食事前の腸液に対しては溶解しにくかった。
【0197】
実施例5
式(II)の化合物のA結晶形についての固体安定性試験
実験方法:式(II)の化合物のA結晶形サンプル12部(各部約1g)を平行して計量した。各サンプルはそれぞれ2層のLDPEバッグに装填し、各LDPEバッグをそれぞれバックルで密封した。次に、LDPEバッグをアルミバッグに投入してから、60℃/75%RH、92.5%RH及び40℃/75%RH条件にそれぞれ配置して、長期性及び加速性を考察した。また、光安定性試験については、光照射サンプルを可視光及び紫外線下にそれぞれ置いて照射するという中国薬局方及びICH Q1Bの要求を遵守した。
【0198】
試験の結果は表17に示す通りであった。
【0199】
【表17】
【0200】
結論:加速条件及び影響要因の条件下で、式(II)の化合物のA結晶形は非常に安定しており、明らかな未知の不純物の生成は見られなかった。
【0201】
実施例6
式(II)の化合物のA結晶形及びB結晶形の安定性試験
式(II)の化合物のB結晶形を35g計量し、エタノールに加えて16時間攪拌したところ、XRPDより、式(II)の化合物のB結晶形は式(II)の化合物のA結晶形に転換可能なことが示された。従って、式(II)の化合物のA結晶形は式(II)の化合物のB結晶形よりも安定的であった。
【0202】
実験例1:本発明の化合物のインビトロ酵素活性試験
33P同位体標識キナーゼ活性アッセイ(リアクションバイオロジー社)を用いてIC50値を測定し、被検化合物によるヒトFGFR1、FGFR4、c-Metの抑制能力を測定した。
【0203】
緩衝液条件:20mM Hepes(pH 7.5)、10mM MgCl、1mM EGTA、0.02%Brij35、0.02mg/ml BSA、0.1mM NaVO、2mM DTT、1%DMSO。
【0204】
試験の手順:室温下で被検化合物をDMSOに溶解し、10mM溶液を調製した。次に、新たに調製した緩衝液に基質を溶解し、これに測定対象のキナーゼを加えて均一に混合した。そして、音響技術(Echo550)を利用して、被検化合物が溶解しているDMSO溶液を上記の均一に混合した反応液に加えた。反応液中の化合物の濃度は、1μM、0.25μM、0.156μM、3.91nM、0.977nM、0.244nM、0.061nM、0.0153nM、0.00381nM、或いは、10μM、2.50μM、0.62μM、0.156μM、39.1nM、9.8nM、2.4nM、0.61nM、0.15nM、0.038nMとした。これを15分間インキュベーションしてから、33P-ATP(活性度0.01μCi/μL、対応濃度は表18に示す)を加えて反応を開始させた。なお、FGFR1、FGFR4、c-Met及びその基質のサプライヤ製品番号、ロット番号及び反応液中の濃度情報は表18に示した。室温で120分間反応させたあと、反応液をP81イオン交換濾紙(ワットマン#3698-915)上に滴下した。そして、0.75%のリン酸溶液で濾紙を繰り返し洗浄したあと、濾紙上に残留したリン酸化基質の放射性を測定した。キナーゼ活性データは、被検化合物を含有する群のキナーゼ活性とブランク群(DMSOのみを含有)のキナーゼ活性との対比で示した。また、Prism4ソフトウェア(GraphPad)でカーブフィッティングを行い、IC50値を取得した。実験結果は表19に示す通りとなった。
【0205】
【表18】
【0206】
【表19】
【0207】
結論:比較例と比べて、式(II)の化合物のA結晶形は、FGFR1及びFGFR4における活性がいずれも大幅に向上し、且つ、優れたc-Met活性も維持したままだった。これは予想外の現象であった。本発明の化合物は、c-Met及びFGFRのダブルキナーゼタンパク質構造に基づいて分析したものであり、c-Met及びFGFRを同時に抑制する高活性の小分子核が発見された。この二重標的阻害剤については、FGFR標的とc-Met標的は連携及び相補可能なため、一方が抑制された場合には、FGFRの突然変異及びc-Metの突然変異が容易にシグナル代償作用を発揮し、腫瘍細胞が単一の阻害剤に対し薬剤耐性を持つようになる。しかし、上記のような二重標的阻害によれば、腫瘍細胞の依存的逃避を減少させて、腫瘍治療効果を極めて大きく向上させる可能性がある。
【0208】
実験例2:本発明の化合物の薬物動態評価
実験プロセス:
静脈注射する製剤には、溶媒として30%(v/v)のPEG400精製水溶液を使用した。ガラス瓶に適量の化合物を正確に計量し、攪拌しながら最終体積の30%のPEG400をゆっくりと容器に加えた。そして、残り70%の純水を加えて終体積まで定容し、澄んだ溶液となるまで攪拌を継続した。これを0.22μMの濾過膜で濾過し、室温で保管した。静脈注射する製剤は投薬当日に調製し、尾静脈からオスのSDラット体内に注射した(投薬前は一晩絶食)。投与量は0.5mg/kgであった。そして、静脈投与から0.0833h、0.25h、0.5h、1.0h、2.0h、4.0h、8.0h及び24h後に、頸静脈又は尾静脈から約0.18mL採血した。また、対応溶媒中の被検化合物をオスのSDラットに胃内投与した(投薬前は一晩絶食)。投与量は5mg/kgとした。実験条件の詳細については表20の通りであった。そして、経口投与から0.0833h、0.25h、0.5h、1.0h、2.0h、4.0h、6.0h、8.0h及び24h後に、頸静脈又は尾静脈から採血した。これらをEDTA-K2を加えた抗凝固チューブに投入し、血漿を遠心分離した。そして、LC-MS/MS法で血中薬物濃度を
測定し、薬物動態解析ソフト WinNonlin(登録商標)Version 6.3(Pharsight社、マウンテンビュー、カリフォルニア州)を使用して、非コンパートメントモデルの線形対数台形法で関連の薬物動態パラメータを算出した。
【0209】
【表20】
【0210】
【表21】
【0211】
結論:静脈投与の場合、式(II)の化合物のA結晶形は、中程度よりも低いクリアランス、高い分布容積、中程度の半減期、高い薬物暴露量を示した。また、経口投与の場合、式(II)の化合物のA結晶形は、急速に最高血中濃度に達し、高い経口暴露量を示した。且つ、暴露量は式(III)の化合物のG結晶形、式(III)の化合物のJ結晶形よりも高かった。
【0212】
実験例3:本発明の化合物の生体内薬効評価
対数増殖期のSNU-16細胞を採取し、細胞をカウントしたあと、50%PBS(pH7.4、0.01M)及び50%マトリゲル(Matrigel)に懸濁し、細胞濃度を4×10細胞/mLに調整した。次に、細胞をアイスボックスに投入し、1mL注射器で細胞懸濁液を吸引してから、ヌードマウスの前右側の脇皮下に注射した。これにより、各動物に200μL(8×10細胞/匹)を移植して、SNU-16移植腫瘍モデルを作成した。そして、動物の状態を定期的に観察し、デジタルノギスを使用して腫瘍径を測定した。データはExcelの表に入力し、腫瘍体積を計算した。こうして、腫瘍の成長状況をモニタリングした。続いて、腫瘍体積が100~300mmに達してから、健康状況が良好で腫瘍体積の近い担癌マウスを35匹選別し(腫瘍体積は112~182mmであった)、ランダム群分け法により5群(n=7)に分けた。各群の平均腫瘍体積は約150mmであった。実験の開始後は、週に2回腫瘍径を測定し、腫瘍体積を計算した。また、動物の体重を量って記録した。
【0213】
腫瘍増殖阻害(TGI)分析は、腫瘍の進行・成長度合いを腫瘍体積と時間の関係から評価するものである。皮下腫瘍の長軸(L)及び短軸(W)をノギスで週に2回測定し、腫瘍の体積(TV)を式((L×W)/2)から計算した。TGIは、溶媒群マウスの腫瘍体積の中央値と薬物群マウスの腫瘍体積の中央値の差を計算し、溶媒対照群の腫瘍体積の中央値に対するパーセンテージで示した。
【0214】
下記の式で計算した。
%TGI=((中間腫瘍体積(対照群)-中間腫瘍体積(投与群))/中間腫瘍体積(対照群))×100%
【0215】
試験データは、SPSS 19.0を用いて計算し、関連の統計学的処理を行った。特に説明している場合を除き、データはいずれも平均±標準誤差(Mean±SE)で示し、2群の比較時にはT検定を用いて分析を行った。なお、P<0.05の場合に有意差があるとした。また、溶媒単独の30%PEG400(70%の脱イオン水、v/vを含む)を陰性対照とした。試験の結果は表22に示す通りであった。
【0216】
【表22】
【0217】
結論:式(II)の化合物のA結晶形は、腫瘍モデルSNU-16において優れた腫瘍抑制効果を示した。
図1
図2
図3
図4
図5
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