(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】信号コネクタシステムおよび複数の交流信号を提供するための方法
(51)【国際特許分類】
H01R 13/523 20060101AFI20240208BHJP
H01R 13/28 20060101ALI20240208BHJP
H01R 13/622 20060101ALI20240208BHJP
H01R 43/26 20060101ALI20240208BHJP
H01R 13/03 20060101ALI20240208BHJP
H01R 13/6464 20110101ALN20240208BHJP
【FI】
H01R13/523
H01R13/28
H01R13/622
H01R43/26
H01R13/03 D
H01R13/6464
(21)【出願番号】P 2022548016
(86)(22)【出願日】2021-02-02
(86)【国際出願番号】 US2021016236
(87)【国際公開番号】W WO2021178089
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-08-05
(32)【優先日】2020-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520128820
【氏名又は名称】ノースロップ グラマン システムズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ハック、ハーヴィー ポール
(72)【発明者】
【氏名】ヴィントガッセン、ジェームズ リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンス、キース ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ウィーラー、キャリー エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】パターソン、ティモシー ジェラード
(72)【発明者】
【氏名】チェズ、ロバート アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】チェズ、アンソニー エス
(72)【発明者】
【氏名】ターク、ジョセフ フランク
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0011107(US,A1)
【文献】特公昭46-012017(JP,B1)
【文献】特開昭55-037787(JP,A)
【文献】特開2001-203030(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R13/00-13/08
H01R13/15-13/35
H01R13/40-13/533
H01R13/56-13/72
H01R43/027-43/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号コネクタシステムであって:
第1のハウジングと、自己不動態化遷移金属から形成された複数の第1のコンタクトと
、複数の第1の可撓性絶縁体支持体であって、同複数の第1の可撓性絶縁体支持体の第1の長手方向面に沿って前記複数の第1のコンタクトの対応する1つにそれぞれが結合されている複数の第1の可撓性絶縁体支持体と、を含
み、前記
複数の第1のコンタクトのそれぞれは、交流(AC)信号を伝導するように構成される第1のコネクタと;
第2のハウジングと、自己不動態化遷移金属から形成された複数の第2のコンタクトと
、複数の第2の可撓性絶縁体支持体であって、同複数の第2の可撓性絶縁体支持体の第1の長手方向面に沿って前記複数の第2のコンタクトの対応する1つにそれぞれが結合されている複数の第2の可撓性絶縁体支持体と、を含
み、前記
複数の第2のコンタクトのそれぞれは、前記第1のコンタクトの対応する1つに電気的に接続してAC信号を伝導するように構成される第2のコネクタと、
を備え、
前記複数の第1の可撓性絶縁体支持体のそれぞれの前記第1の長手方向面に対向する第2の長手方向面および前記複数の第2の可撓性絶縁体支持体のそれぞれの前記第1の長手方向面に対向する第2の長手方向面は、少なくとも1つの流体充填されたチャネルの少なくとも一部を定義し、前記第1のハウジングおよび前記第2のハウジングは、
それぞれ対応する前記
第1のコネクタ
および前記第2のコネクタを実質的に囲み、かつ、
それぞれ流体に浸漬されている間に前記第1のコネクタおよび前記第2のコネクタを締結するのに応答して、電気的に接続された第1および第2のコンタクト対のそれぞれの間に
前記少なくとも1つの流体充填されたチャネルを形成し、前記電気的に接続された第1および第2のコンタクト対のそれぞれの間に信号分離を提供するために前記少なくとも1つの流体充填されたチャネルに抵抗経路を形成するべく連結されるように構成されている、信号コネクタシステム。
【請求項2】
前記第1の可撓性絶縁体支持体および
前記第2の可撓性絶縁体支持体のそれぞれが、前記対応する第1のコンタクトおよび前記対応する第2のコンタクト間に接触圧力を提供して対応する前記第1のコンタクトおよび前記第2のコンタクト間の電気接続を確立するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の可撓性絶縁体支持体および前記第2の可撓性絶縁体支持体のそれぞれは、前記第1のコンタクトおよび前記第2のコンタクト間のかじりを実質的に軽減するのに十分な所定の弾性を有する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1のコンタクトのそれぞれはテーパ接触面であって、前記第2のコンタクトの対応する1つの相補的なテーパ接触面との電気接続を提供するように配置されているテーパ接触面を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1のコンタクトおよび前記第2のコンタクトのうちの一方のそれぞれは、対応するテーパ接触面から延びる突起であって、前記第1のコンタクトおよび前記第2のコンタクトの対応する他方のテーパ面との電気接続を提供する突起を備える、請求項
4に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1のコンタクトおよび前記第2のコンタクトは、対応する第1のコネクタおよび第2のコネクタの周りに極性配列にて配置され、それにより、前記少なくとも1つの流体充填されたチャネルが、前記極性配列の周りで、電気的に接続された第1および第2のコンタクト対のそれぞれの間に配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1のハウジングは雄ねじパターンを含み、前記第2のハウジングは雌ねじパターンを含み、それにより前記第1のコンタクトおよび前記第2のコンタクトの電気的に接続された各組は、前記第1のコネクタおよび前記第2のコネクタが前記信号コネクタシステムを形成するために一緒に連結されるとほぼ等しい接触圧力を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの流体充填されたチャネルのそれぞれは、関連する流体で満たされたときに約100Ω以上の対応する抵抗経路の抵抗を提供するように設計された幾何学的配置を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
信号コネクタシステムを横切る複数の導体に沿ってそれぞれ対応する複数の交流(AC)信号を提供するための方法であって、前記方法は:
第1のコネクタおよび第2のコネクタを流体に浸漬することであって、前記第1のコネクタは、第1のハウジング
と、自己不動態化遷移金属から形成された複数の第1のコンタクト
と、複数の第1の可撓性絶縁体支持体であって、同複数の第1の可撓性絶縁体支持体の第1の長手方向面に沿って前記複数の第1のコンタクトの対応する1つにそれぞれが結合されている複数の第1の可撓性絶縁体支持体と、を含み、前記第2のコネクタは、第2のハウジング
と、前記自己不動態化遷移金属から形成された対応する複数の第2のコンタクト
と、複数の第2の可撓性絶縁体支持体であって、同複数の第2の可撓性絶縁体支持体の第1の長手方向面に沿って前記複数の第2のコンタクトの対応する1つにそれぞれが結合されている複数の第2の可撓性絶縁体支持体と、を含み、それにより前記流体への浸漬に応答して前記第1のコンタクトおよび前記第2のコンタクト上に誘電体膜が形成される、前記浸漬することと;
それぞれの電気的に接続された第1および第2のコンタクト対の間にAC信号の対応する1つを伝導するために、前記第1のコンタクトのそれぞれと前記第2のコンタクトの対応する1つとの間に電気接続を提供し、かつ前記電気的に接続された第1および第2のコンタクト対の間に少なくとも1つの流体充填されたチャネルを形成するために、前記第1のコネクタおよび前記第2のコネクタを取り付けることであって、
前記複数の第1の可撓性絶縁体支持体のそれぞれの前記第1の長手方向面に対向する第2の長手方向面および前記複数の第2の可撓性絶縁体支持体のそれぞれの前記第1の長手方向面に対向する第2の長手方向面は、前記少なくとも1つの流体充填されたチャネルの少なくとも一部を定義し、前記少なくとも1つの流体充填されたチャネルのそれぞれが前記電気的に接続された第1および第2のコンタクト対の間に抵抗経路を形成する、前記取り付けることと;
前記信号コネクタシステムを形成するために、前記第1のコネクタに関連する第1のファスナおよび前記第2のコネク
タに関連する第2のファスナを介して前記第1のコネクタおよび前記第2のコネクタを締結することと;
を含む、方法。
【請求項10】
前記第1の可撓性絶縁体支持体および前記第2の可撓性絶縁体支持体のそれぞれが、前記対応する第1のコンタクトおよび前記対応する第2のコンタクト間に所定の接触圧力を提供して前記対応する第1のコンタクトおよび前記対応する第2のコンタクト間の電気接続を確立するように構成される所定の弾性を有する、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のコンタクトのそれぞれはテーパ接触面であって、前記第2のコンタクトの対応する1つの相補的なテーパ接触面との電気接続を提供するように配置されているテーパ接触面を備える、請求項
9に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のファスナは雄ねじパターンとして配置され、前記第2のファスナは雌ねじパターンとして配置され、それにより前記第1のコネクタおよび前記第2のコネクタを締結することは、前記電気的に接続された第1および第2のコンタクトの対に対してほぼ等しい接触圧力を提供するべく、前記雄ねじパターンおよび前記雌ねじパターンを締結することを含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの流体充填されたチャネルのそれぞれは、関連する流体で満たされたときに約100Ω以上の対応する抵抗経路の抵抗を提供するように設計された幾何学的配置を有する、請求項
9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に通信、特に信号コネクタシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一対のワイヤ間の電気的接続を提供する信号コネクタは、ほぼすべての有線通信環境において必要である。信号コネクタの使用を容易にするなど、長距離にわたってワイヤの接続を確実にすることから生じる多くの環境上の課題がある。そのような環境上の課題の1つには、周囲条件で電気伝導を提供できる環境での信号コネクタの使用が含まれる。例えば、電気的接続は、水(例えば、海水)等の流体中のような環境において必要とされる場合があり、この場合、別々の信号導体が互いに対して伝導を経験しないことを保証する上で課題が生じる可能性がある。このような伝導は、伝送されるそれぞれの信号におけるノイズおよび/またはクロストークにつながる可能性がある。このような環境で実装することができるいくつかのコネクタは、従来とは異なる導電性材料で形成することができる。しかしながら、そのような材料は、潜在的にいくつかの環境課題を解決する一方で、そのような環境に新たな課題をもたらす可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一例は、信号コネクタシステムを含む。同システムは、第1のハウジングを含む第1のコネクタを含み、自己不動態化(self-passivating)遷移金属から形成された第1のコンタクトを含む。第1のコンタクトのそれぞれは、AC信号を伝導するように構成され得る。システムはまた、第2のハウジングと、自己不動態化遷移金属から形成された第2のコンタクトと、を含む第2のコネクタを含む。第2のコンタクトのそれぞれは、第1のコンタクトの対応する1つに電気的に接続してAC信号を伝導するように構成され得る。第1および第2のハウジングは、信号コネクタを囲み、かつ対応する流体中に浸漬されている間に第1のコネクタおよび第2のコネクタを締結することに応答して電気的に接続された第1および第2のコンタクト対のそれぞれの間に少なくとも1つの流体充填されたチャネルを形成して、同電気的に接続された第1および第2のコンタクト対のそれぞれの間に信号分離(signal isolation)を提供するために前記少なくとも1つの流体充填されたチャネルに抵抗経路を提供するべく、連結される。
【0004】
別の例は、信号コネクタシステムを横切る(across)複数の導体に沿ってそれぞれ対応する複数のAC信号を提供する方法を含む。この方法は、第1のコネクタおよび第2のコネクタを流体に浸漬することを含む。第1のコネクタは、第1のハウジングと、自己不動態化遷移金属から形成された複数の第1のコンタクトとを含む。第2のコネクタは、第2のハウジングと、自己不動態化遷移金属から形成された対応する(respective)複数の第2のコンタクトとを含み、それにより、流体中へ浸漬されることに応答して、第1および第2のコンタクトの表面上に誘電体膜が形成されるようにする。同方法はまた、それぞれの電気的に接続された第1および第2のコンタクト対の間にAC信号の対応する1つを伝導するために、第1のコンタクトのそれぞれと第2のコンタクトの対応する1つとの間に電気接続(electrical connection)を提供し、かつそれぞれの電気的に接続された第1および第2のコンタクト対の間に少なくとも一つの流体充填されたチャネルを形成するために第1および第2のコネクタを取り付けることを含む。流体充填された1つまたは複数のチャネルのそれぞれは、電気的に接続された第1および第2のコンタクト対の間に抵抗経路を形成する。同方法は、信号コネクタシステムを形成するために、第1のコネクタに関連する第1のファスナ(fastener)および第2のコネクタ部に関連する第2のファスナを介して第1のコネクタおよび第2のコネクタを締結することをさらに含む。
【0005】
別の例は、信号コネクタシステムを含む。同システムは、第1のコネクタを含む。第1のコネクタは、自己不動態化遷移金属から形成された複数の第1のコンタクトを含む。複数の第1のコンタクトのそれぞれは、AC信号を伝導するように構成される。第1のコネクタはまた、第1のコンタクトの対応する1つにそれぞれ結合される複数の第1の可撓性絶縁体支持体と、複数の第1のコンタクトおよび可撓性絶縁体支持体を実質的に囲むように構成され、第1のファスナを含む第1のハウジングと、を含む。同システムはまた、第2のコネクタを含む。第2のコネクタはまた、自己不動態化遷移金属から形成された複数の第2のコンタクトと、第2のコンタクトの対応する1つにそれぞれ結合される複数の第2の可撓性絶縁体支持体と、複数の第2のコンタクトおよび可撓性絶縁体支持体を実質的に囲むように構成され、第2のファスナを備える第2のハウジングと、を含む。第1および第2のハウジングは、対応する第1および第2のファスナを介して結合されて、信号コネクタを実質的に囲み、所定の圧力で第1のコンタクトのそれぞれと第2のコンタクトの対応する1つとの間に電気接続を提供して、第1のコンタクトのそれぞれと第2のコンタクトの対応する1つとの間に対応するAC信号を伝導するように構成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】信号コネクタシステムの別の例示的な断面図を示す。
【
図3】信号コネクタシステムの別の例示的な断面図を示す。
【
図9】信号コネクタシステムを横切る対応する複数の導体に沿って複数のAC信号を提供するための方法の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示は、一般に通信、特に信号コネクタシステムに関する。信号コネクタシステムは、それぞれが交流(AC)通信信号(以下、「AC信号(複数可)」)を伝搬することができる導体(例えば、ワイヤ)の接続点を提供するために、様々な用途のいずれかに実装され得る。本明細書で説明されるように、AC信号という用語は、任意の可変振幅信号を指すことができ、周期的または高速通信信号(例えば、無線周波数(RF)信号)に限定されるものではない。信号コネクタシステムは、第1のコネクタと第2のコネクタとを含む。一例として、信号コネクタシステムは、流体中など、従来のコネクタを採用できない環境でも実装することができる。例えば、信号コネクタシステムは、流体(例えば、水)中に浸漬されるなど、そのような従来の接続環境ではない環境において、第1のコネクタおよび第2のコネクタが互いに接続されて信号コネクタシステムを形成することができる環境で実装することができる。一例として、第1および第2のコネクタは、それぞれ別々に流体中に浸漬させてから結合させることができる。本明細書に記載されるように、信号コネクタシステムは、ノイズおよび/または別々のそれぞれの導体間のクロストークを経験することなく、流体中の別々の導体上の別々の対応するAC信号の伝搬を促進するように製造および配置することが可能である。
【0008】
第1のコネクタは、第1のハウジングを含み、また、自己不動態化遷移金属から形成された複数の第1のコンタクトを含む。第1のコンタクトのそれぞれは、AC信号のうちの1つを伝導するように構成され得る。同様に、第2のコネクタは、第2のハウジングと、自己不動態化遷移金属から形成された複数の第2のコンタクトとを含む。例えば、自己不動態化遷移金属は、ニオブ、タンタル、チタン、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、ハフニウム、タングステン、レニウム、オスミウム、およびイリジウムのいずれかであり得る。第2のコンタクトのそれぞれは、第1のコンタクトの対応する1つに電気的に結合して、AC信号を伝導するように構成され得る。流体(例えば水)に浸漬されると、コンタクトは誘電体膜を形成し、同誘電体膜は、自己不動態化遷移金属と流体の間で高容量コンデンサとして作用する。
【0009】
直流(DC)信号の場合は、誘電体膜の高いDC抵抗により、流体中の別々のコンタクト(separate contacts)間が絶縁される。しかしながら、AC信号の場合、誘電体膜の静電容量は低いACリアクタンスを示し、ハイパスフィルタとして機能するため、別々のコンタクト間で多少の伝導が生じ、それぞれの別々のAC信号でクロストークおよび/またはノイズが発生する可能性がある。したがって、第1および第2のハウジングが信号コネクタを実質的に囲むように結合されるとき、第1および第2のハウジングは、電気的に接続された第1および第2のコンタクト対のそれぞれの間に流体を収容する少なくとも一つのチャネルを提供し、同電気的に接続された第1および第2のコンタクト対の間に、静電容量を備えた直列に現れる抵抗経路を提供することができる。したがって、抵抗経路は、別個の電気的に接続された第1および第2のコンタクト対の間のAC信号の伝導を実質的に軽減する信号分離をAC信号間に提供し、AC信号に関連するクロストークおよび/またはノイズを実質的に軽減することができる。
【0010】
図1は、信号コネクタシステム10の一例を示す。信号コネクタシステム10は、それぞれが交流(AC)信号を伝搬することができる導体(例えば、ワイヤ)の接続点を提供するために、様々な用途の任意のものに実装することができる。本明細書で説明されるように、信号コネクタシステム10は、水(例えば、海水)中のような信号コネクタシステム10の浸漬を必要とし得る環境において実装することができる。
【0011】
信号コネクタシステム10は、第1のコネクタ(「コネクタ1(CONNECTOR 1)」)12と、第2のコネクタ(「コネクタ2(CONNECTOR 2)」)14とを含む。第1のコネクタ12は、自己不動態化遷移金属から形成された複数のコンタクト(「コンタクト(CONTACTS)」)16を含み、第2のコネクタ14は、自己不動態化遷移金属から形成された複数のコンタクト(「コンタクト(CONTACTS)」)18を含んでいる。一例として、自己不動態化遷移金属は、ニオブ、または様々な遷移金属(例えば、タンタル、チタン、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、ハフニウム、タングステン、レニウム、オスミウム、およびイリジウム)の任意の他のものであってもよい。さらに、第1のコネクタ12および第2のコネクタ14の締結(fastening)時に、少なくとも1つの流体チャネル(「流体チャネル(FLUID CHANNEL(S))」)20を、電気的に接続された一組のコンタクト16および18の間など、信号コネクタシステム10内に形成することが可能である。
図1の例では、コネクタ12および14は、点線22によって示されるように、信号コネクタシステム10を形成するために、ファスナ(図示せず)などによって一緒に締結されるものとして示されている。コンタクト16および18の各組は、
図1の例では信号AC_SIGとして示されるAC信号を伝搬するように構成された導体(例えば、ワイヤ)24および26の各組にそれぞれ結合されているものとして示されている。したがって、コネクタ12および14が一緒に締結されるとき、コンタクト16のそれぞれは、コンタクト18の対応する1つに結合されて、コンタクト16および18の間の電気接続を提供する。その結果、AC信号AC_SIGは、電気的に接続されたコンタクト対16および18のそれぞれの組を介して、導体24および26の組の間を伝搬することができる。
【0012】
流体(例えば、水)中に浸漬されると、自己不動態化遷移金属コンタクト16および18は、対応するコンタクト16および18と関連する流体との間で高容量コンデンサとして機能する誘電体膜を形成する。直流(DC)信号の場合、誘電体膜の高いDC抵抗は、このように、流体中の別々のコンタクト16および18の間の絶縁を提供する。しかしながら、AC信号の場合、誘電体膜の静電容量は低いACリアクタンスを示し、ハイパスフィルタとして機能するため、別々のコンタクト間で多少の伝導が生じ、それぞれの別々のAC信号でクロストークおよび/またはノイズが発生する可能性がある。したがって、
図1の例では、第1および第2のコネクタ12および14が信号コネクタシステム10を実質的に囲むように(例えば、本明細書でより詳細に説明するように、それぞれのハウジングを介して)結合されると、第1および第2のコネクタ12および14の締結は、電気的に結合した第1および第2のコンタクト対16および18のそれぞれの間に流体を収容するためのチャネル(複数可)20を形成し、同電気的に結合した第1および第2のコンタクト対16および18の間に抵抗経路を提供することができる。例えば、抵抗経路は、AC信号AC_SIG間の静電容量にもかかわらず、AC信号AC_SIG間の信号分離を提供するのに十分な抵抗の大きさを有することができ、したがって、別々のAC信号AC_SIG間のクロストークおよび/またはノイズを軽減することができる。一例として、抵抗の大きさは、約100Ω以上とすることができる。本明細書に記載されるように、チャネル(複数可)20は、チャネル(複数可)20を満たす流体の特性に基づいて所望の抵抗の大きさを提供するように寸法決めされてもよい。
【0013】
一例として、コンタクト16および18はそれぞれ、テーパ接触面(tapered contact surface)であって、コンタクト16および18の対応する他方の1つの相補的なテーパ接触面との電気接続を提供するように配置されるテーパ接触面を含むように作製することができる。さらに、第1および第2のコネクタ12および14は、対応するコンタクト16および18のそれぞれに結合させることができる可撓性絶縁体支持体を含むこともできる。可撓性絶縁体支持体は、第1および第2のコンタクト16および18の間に電気接続を確立するのに十分な圧力を提供するように、第1および第2のコンタクト16および18の間に所定の接触圧力を提供することができる。例えば、接触圧力は、自己不動態化遷移金属が流体中に浸漬されたときにその上に発生する絶縁膜を削って除去し、それぞれのコンタクト16および18の間に直接の金属-金属接触を提供するのに十分なものとすることができる。可撓性絶縁体支持体はまた、コンタクト16および18の接触面のかじり(galling)を実質的に軽減するように、接触圧力の量を制限することができる。さらに、本明細書でより詳細に説明するように、可撓性絶縁体支持体は、コンタクト16および18のそれぞれの電気的に接続された対の間にチャネル(複数可)20を少なくとも部分的に確立するようにさらに構成されることが可能である。
【0014】
図2は、信号コネクタシステム50の別の例の断面図である。信号コネクタシステム50は、
図1の実施例における信号コネクタシステム10の概略部分に対応することができる。したがって、
図2の実施例の以下の説明では、
図1の実施例を参照することとする。
【0015】
信号コネクタシステム50は、第1のコンタクト52および第2のコンタクト54を含む。同様に、信号コネクタシステム50は、第3のコンタクト56と第4のコンタクト58とを含む。一例として、コンタクト52、54、56、および58は、先に説明したように、自己不動態化遷移金属から形成することができる。第1および第2のコンタクト52および54は、60で示されるそれぞれのテーパ接触面で電気接続されるものとして示され、第3および第4のコンタクト56および58は、62で示されるそれぞれのテーパ接触面で電気接続されるものとして示される。一例として、第1および第3のコンタクト52および56は、第1のコネクタ12の一部として作製することができ、第2および第4のコンタクト54および58は、第2のコネクタ部14の一部として作製することができる。
【0016】
さらに、信号コネクタシステム50は、第1のコンタクト52に結合される第1の可撓性絶縁体支持体64、第2のコンタクト54に結合される第2の可撓性絶縁体支持体66、第3のコンタクト56に結合される第3の可撓性絶縁体支持体68、および第4のコンタクト58に結合される第4の可撓性絶縁体支持体70を含む。可撓性絶縁体支持体64、66、68、および70のそれぞれは、同様に、対応するコンタクト52、54、56、および58のテーパ接触面の反対側にある対応するコンタクト52、54、56、および58の長手方向表面に沿って結合されるようにテーパ付きである。前述したように、可撓性絶縁体支持体64および66は、第1および第2のコンタクト52および54の間に電気的接続を確立するのに十分な圧力を提供するように、第1および第2のコンタクト52および54の間に所定の接触圧力を提供することが可能である。同様に、可撓性絶縁体支持体68および70は、第3および第4のコンタクト56および58の間に電気的接続を確立するのに十分な圧力を提供するように、第3および第4のコンタクト56および58の間に所定の接触圧力を提供することができる。例えば、接触圧力は、それぞれのコンタクト52および54とコンタクト56および58との間の直接的な金属間接触を提供するために、流体中に浸漬されたときに自己不動態化遷移金属材料上に生ずる絶縁膜を削って除去するのに十分であることができる。また、先に説明したように、可撓性絶縁体支持体64、66、68、および70は、対応するコンタクト52、54、56、および58の接触面のかじりを実質的に軽減するように、接触圧力の量を制限することも可能である。
【0017】
さらに、前述したように、可撓性絶縁体支持体64、66、68、および70は、さらに、コンタクトの対応する電気的に接続された対の間にチャネル(複数可)を形成するように構成することができる。
図2の例では、可撓性絶縁体支持体64および68は、可撓性絶縁体支持体66および70の延長部に対して長手方向の重なりがあるように延在することが可能である。可撓性絶縁体支持体64、66、68、および70の延長部の長手方向の重なりは、したがって、コンタクト52および54とコンタクト56および58との対応する組の接触面の間に対応する流体充填チャネルを形成することができる。
図2の例では、可撓性絶縁体支持体66および可撓性絶縁体支持体68は、それぞれの可撓性絶縁体支持体66および68の延長部の長手方向の重複を占める、概して72で示される流体充填チャネルを形成するものとして示されている。
【0018】
したがって、流体充填チャネル72は、
図3の実施例で示されるように、電気的に接続されたコンタクト対52および54と電気的に接続されたコンタクト対56および58との間に抵抗経路を形成することができる。
図3は、信号コネクタシステム50の別の例の断面
図100を示す。したがって、
図3の実施例では、
図2の実施例で使用したのと同様の参照番号が使用されている。
【0019】
先に説明したように、流体(例えば、水)中に浸漬されると、自己不動態化遷移金属コンタクト52、54、56、および58は、対応するコンタクト52、54、56、および58と関連する流体の間で高容量コンデンサとして作用する誘電体膜を発達させる。
図3の例では、誘電体膜によって生じる高容量コンデンサは、コンタクト52および54に関連する誘電体膜に対応するコンデンサC
N1およびコンタクト56および58に関連する誘電体膜に対応するコンデンサC
N2によって示されている。コンデンサC
N1およびC
N2は、AC信号AC_SIGのハイパスフィルタとして動作するため、AC信号AC_SIGは、コンタクト52、54とコンタクト56、58とのそれぞれの対の間で自由に伝導することになる。しかしながら、コンタクト52、54とコンタクト56、58とのそれぞれの対の間に流体充填チャンネル72を形成することにより、流体充填チャンネル72は、コンデンサC
N1とC
N2の間に抵抗経路を提供し、抵抗経路は、
図3の例では抵抗R
CHとして示される。
【0020】
例えば、流体充填チャネル72によって形成される抵抗経路の抵抗RCHは、AC信号AC_SIG間の信号分離を提供するために、したがって、別々のAC信号AC_SIG間のクロストークおよび/またはノイズを軽減するために十分な抵抗の大きさを有することが可能である。一例として、抵抗RCHの抵抗の大きさは、約100Ω以上であり得、流体充填チャネル72およびそこに配置された流体の設計寸法に基づいて、少なくとも1桁大きくすることが可能である。例えば、流体充填チャネル72の設計寸法および関連する流体の抵抗率ρは、抵抗経路の抵抗値を決定することができる。したがって、流体充填チャネル72の寸法(例えば、長さおよび幅)は、流体充填チャネル72によって形成される抵抗経路の所定の抵抗を提供するように設計することができる。したがって、コンタクト52および54とコンタクト56および58とのそれぞれの対の間に抵抗経路を提供するための流体充填チャネル72を含むことに基づいて、信号コネクタシステム10は、浸漬した水中環境などのAC信号伝搬を通常はサポートできない環境において無線周波数(RF)通信信号などのAC信号を伝搬するために実装することが可能である。
【0021】
流体充填チャネル72は、
図2および
図3の例では、それぞれの可撓性絶縁体支持体66および68の延長部の長手方向の重なりを占めるように示されているが、流体充填チャネル72は、コンタクト52および54とコンタクト56および58とのそれぞれの対の間に抵抗経路を提供するために複数の流体充填チャネルの1つであり得ることが理解されよう。例えば、本明細書でより詳細に説明するように、コネクタ12および14は、コネクタ12および14が一緒に締結されることに応答して、複数のコンタクト16および18によってそれぞれ実質的に外接されるかまたは実質的に取り囲む内輪および/または外輪の流体充填チャネルを形成することもできる。
【0022】
図4は、コネクタ150の一例を示している。コネクタ150は、
図1の実施例におけるコネクタ12および14のうちの1つに対応することができる。したがって、
図4の実施例の以下の説明では、
図1~3の実施例を参照することになる。
【0023】
コネクタ150は、コネクタの内部レンダリング(interior rendering)として示されている。したがって、
図4の実施例は、コネクタ150を実質的に包囲する関連するハウジングを示していない。コネクタ150は、コネクタ150を通って延びる自己不動態化遷移金属から形成された複数のコンタクト152を含む。コンタクト152は、一端に
図2および
図3の例で示されたものと同様のテーパ接触面154を含み、反対側の端に一組の導体接続部156を含む。導体接続部156は、
図1の実施例における導体24および26の組のうちの1つに結合され得る。コネクタ150はまた、コンタクト152の対応する1つにそれぞれ結合される複数の可撓性絶縁体支持体158を含む。従って、可撓性絶縁体支持体158は、同様に、コネクタ150を通って長手方向に延び、コンタクト152はそれぞれ、可撓性絶縁体支持体158の対応する1つの長手方向の表面に沿って結合される。一例として、可撓性絶縁体支持体158のそれぞれは、可撓性絶縁体支持体158の対応する1つの周縁表面の少なくとも一部分においてハウジング(図示せず)に結合されることが可能である。
【0024】
図4の例では、コンタクト152および対応する可撓性絶縁体支持体158は、コネクタ150の中心軸を中心とする極性配列(polar array)で配置されている。
図4の例では、コンタクト152および対応する可撓性絶縁体支持体158は、コネクタ150、ひいては結果として得られる信号コネクタシステム10が8つの異なるAC信号AC_SIGの伝搬をサポートできるように、8の量を有するものとして示されている。コネクタ150はまた、相手側コネクタのコンタクトとのコンタクト152の電気的接続のための単一のソリューションを提供するために、コネクタ150の接続キーイング(keying)を提供することができる中央ハブ160を含む。一例として、相手側コネクタは、コネクタ150と実質的に同一に配置することができる。
【0025】
図5は、信号コネクタシステム200の一例を示す図である。信号コネクタシステム200は、
図1の例における信号コネクタシステム10に対応することができ、
図4の例における2つの実質的に同一のコネクタ150の締結に基づいて配置することができる。したがって、
図5の実施例に関する以下の説明では、
図1~4の実施例を参照することとする。
【0026】
信号コネクタシステム200は、それぞれのハウジング部分の締結に基づくなどして、一緒に結合された第1のコネクタ202および第2のコネクタ204を含む。信号コネクタシステム200は、信号コネクタシステムの内部レンダリングとして示されている。したがって、
図5の例は、コネクタ202および204のそれぞれ、ひいては信号コネクタシステム200を実質的に包囲する関連するハウジングを示していない。
図5の例では、第1のコネクタ202は、自己不動態化遷移金属から形成されたコンタクト206を含み、第2のコネクタ204は、自己不動態化遷移金属から形成されたコンタクト208を含んでいる。第1のコネクタ202はまた、可撓性絶縁体支持体210を含み、第2のコネクタ204はまた、可撓性絶縁体支持体212を含む。先に説明したように、可撓性絶縁体支持体210および212は、コンタクト206および208の間に所定の接触圧力を提供することができ、例えば、かじりなしにコンタクト206および208の間に電気接続を確立するのに十分な圧力を提供することができる。
【0027】
第1のコネクタ202のコンタクト206は、このように、一般に214で示されるそれぞれのテーパ接触面で第2のコネクタ204のコンタクト208に電気的に接続されるものとして示される。先に説明したのと同様に、可撓性絶縁体支持体210および212は、
図5の例では216で示されるチャネルを、コンタクト206および208の対応する電気的に接続された対の間に形成するように協働することができる。
図2および
図3の実施例で示されたものと同様に、可撓性絶縁体支持体210および212は、対応するチャネルを形成するために可撓性絶縁体支持体210および212の延長部に関して長手方向の重なりがあるように延びることが可能である。したがって、コネクタ202および204のそれぞれは、コネクタ202および204を(例えば、関連するハウジングを介して)締結する前に流体(例えば、水)中に浸漬させ、チャネル216を流体で満たすことが可能である。従って、チャネル216は、コンタクト206および208の電気的に接続された対の間に抵抗経路を提供することができる。さらに、第1および第2のコネクタ202および204の締結は、中央ハブ160とコネクタ202および204のそれぞれの対応するコンタクト206および208と対応する可撓性絶縁体支持体210および212との間のリング内、またはコネクタ202および204のそれぞれの対応するコンタクト206および208と対応する可撓性絶縁体支持体210および212とハウジングの間などに追加のチャネルをもたらすことができる。
【0028】
先に説明したように、コンタクト206および208の間の電気的接続を提供するためのコンタクト206および208の結合は、流体中に浸漬されたときに自己不動態化遷移金属コンタクト206および208上に形成する誘電体膜の削り取り(scraping)を含むことが可能である。コンタクト206および208上の堆積物または砂利の蓄積を促進し得る環境または流体におけるように、誘電体膜のそのような削り取りをより良く達成するために、コンタクト206および208の組の1つは、テーパ接触面から延びる突起を含むことが可能である。
【0029】
図6は、コンタクト252の例示的な
図250を示す。一例として、コンタクト252は、自己不動態化遷移金属から形成される。コンタクト252は、直交座標系で示されるように、第1の
図254と、第1の
図252と直交する第2の
図256とで示される。コンタクト252は、先に説明したものと同様に、可撓性絶縁体支持体258に結合されるものとして示されている。
図6の例では、コンタクト252は、コンタクト252のテーパ接触面から延びる突起260を含む。突起260は、関連する相手側コネクタの相手側テーパ接触部との非常に小さな接触面積を提供するように、テーパ接触面の面積よりも小さい面積を占めるものとして示される。したがって、コネクタ(例えば、コネクタ252および254のうちの1つ)が相手側コネクタに締結されるとき、突起260は、関連する相手側コネクタの相手側コンタクトのテーパ接触面(例えば、平坦なテーパ接触面を有する)に沿って削り取り、電気接続を提供することが可能である。その結果、突起260は、コンタクト252と相手側コンタクトのテーパ接触面の間に介在する可能性のある堆積物や砂利の残留物にもかかわらず、電気的接続を確保すると同時に、コンタクト252と相手側コンタクトの誘電体膜をより効果的に削り取ることができる。
【0030】
図7および
図8はそれぞれ、コネクタの例を示している。
図7の例は、コネクタ300の例を示しており、
図8の例は、コネクタ350の例を示している。コネクタ300および350は、それぞれ、
図1の例における各コネクタ12および14、または
図5の例における各コネクタ202および204に対応し得る。したがって、以下の
図7および
図8の実施例の説明では、
図1~
図6の実施例を参照することとする。
【0031】
コネクタ300および350は、それぞれ、コネクタのレンダリングとして示される。一例として、コネクタ300および350はそれぞれ、
図4の実施例におけるコネクタ150のより完全なレンダリングに対応することができる。コネクタ300は、その中のコンタクトおよび可撓性絶縁体支持体を実質的に取り囲む外部ハウジング302を含むものとして示されている。同様に、コネクタ350は、その中のコンタクトおよび可撓性絶縁体支持体を実質的に取り囲む外部ハウジング352を含むものとして示されている。
図7および
図8の例では、ハウジング302および352はそれぞれ、コネクタ300および350を嵌合対として一緒に締結して信号コネクタシステム(例えば、
図5の例における信号コネクタシステム200)を形成するのを容易にするためのファスナ(fastener)を含む。
【0032】
図7の例では、ファスナは、雌(例えば、内側)ねじパターン304として示され、
図8の例では、ファスナは、雄(例えば、外側)ねじパターン354として示される。したがって、コネクタ300および350は、その中のそれぞれのコンタクトの電気的接続を提供し、チャネルを形成するために(例えば、その中のそれぞれの可撓性絶縁体支持体の対向面間に)ねじパターン304および354を介して一緒に螺合されることが可能である。ねじパターン304および354に基づき、かつ、その中に配置されたコンタクトの極性配列配置にそれぞれ基づいて、コネクタ300および350の締結は、コネクタ300のコンタクトのコネクタ350のコンタクトへの電気接続の実質的に均一な接触圧力を提供することができる。
【0033】
図7および
図8の例は、ねじパターン350および354としてファスナを示しているが、本明細書で説明する信号コネクタシステム10は、それぞれのコネクタ12および14を締結するためのネジ式接続に限定されないことが理解されよう。例えば、コネクタは、コネクタ12および14の接合状態を提供するように設計された様々なタイプのファスナ(例えば、スナップフィット)を含むことができる。さらに、コネクタ12および14は、コンタクトおよび/または可撓性絶縁体支持体の様々な幾何学的形状のうちのいずれかを含むことができる。したがって、信号コネクタシステム10は、本明細書に記載されるように限定されるものではない。
【0034】
上述した構造的および機能的特徴を考慮すると、例示的な方法は、
図9を参照するとよりよく理解されるであろう。説明を簡単にするために、本方法は連続して実行されるものとして示され、説明されているが、本方法の一部は、本明細書に示され、説明されているものとは異なる順序で、および/または同時に起こり得るので、本方法は図示された順序によって制限されないことを理解し分かることであろう。
【0035】
図9は、信号コネクタシステム(例えば、信号コネクタシステム10)を横断する(across)それぞれの複数の導体に沿って複数のAC信号(例えば、AC信号AC_SIG)を提供するための方法400の方法の一例を示す図である。402において、第1のコネクタ(例えば、第1のコネクタ12)および第2のコネクタ(例えば、第2のコネクタ14)は、それぞれ流体(例えば、水)中に浸漬される。第1のコネクタは、第1のハウジング(例えば、ハウジング302)および複数の第1のコンタクト(例えば、第1のコンタクト16)を含むことができる。第2のコネクタは、第2のハウジング(例えば、ハウジング352)と、対応する複数の第2のコンタクト(例えば、第2のコンタクト18)とを含むことができる。このようにして、誘電体膜は、流体への浸漬に応答して、第1および第2の自己不動態化遷移金属コンタクト上に形成される。404において、第1および第2のコネクタは、それぞれの電気的に接続された第1および第2のコンタクト対の間でAC信号の対応する1つを伝導するために、第1のコンタクトのそれぞれと第2のコンタクトの対応する1つとの間に電気接続を提供し、それぞれの電気的に接続された第1および第2のコンタクト対の間に少なくとも一つの流体充填されたチャネル(例えばチャネル(複数可))20を形成するために取り付けられる。流体充填されたチャネル(複数可)のそれぞれは、電気的に接続された第1および第2のコンタクト対の間に抵抗経路を形成することができる。406において、第1および第2のコネクタは、第1のコネクタに関連する第1のファスナ(例えば、ねじ部304)および第2の接続部分に関連する第2のファスナ(例えば、ねじ部354)を介して締結され、信号コネクタシステムが形成される。
【0036】
上記で説明したものは一例である。無論、構成要素または方法論の考え得る全ての組み合わせを説明することは不可能であるが、当業者であれば、多くのさらなる組み合わせおよび順列が可能であることを認識するであろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲を含む本願の範囲内に入るすべてのそのような変更、修正、および変形を包含することが意図される。本明細書で使用される場合、用語「含む(includes)」は、「含む(including)」がそれらに限定されないことを意味する。「に基づいて(based on)」という用語は、少なくとも部分的に基づくことを意味する。さらに、本開示または請求項が「1つの(a)」、「1つの(an)」、「第1の(a first)」、または「別の(another)」要素、またはその同等物を記載する場合、1つまたは複数のそのような要素を含むと解釈されるべきで、2つ以上のそのような要素を要求も除外もしない。
以下に、上記実施形態から把握できる技術思想を付記として記載する。
[付記1]信号コネクタシステムであって:
第1のハウジングと、自己不動態化遷移金属から形成された複数の第1のコンタクトとを含む第1のコネクタであって、前記第1のコンタクトのそれぞれは、交流(AC)信号を伝導するように構成される第1のコネクタと;
第2のハウジングと、自己不動態化遷移金属から形成された複数の第2のコンタクトとを含む第2のコネクタであって、前記第2のコンタクトのそれぞれは、前記第1のコンタクトの対応する1つに電気的に接続してAC信号を伝導するように構成される第2のコネクタと、
を備え、前記第1のハウジングおよび前記第2のハウジングは、前記信号コネクタを実質的に囲み、かつ、流体に浸漬されている間に前記第1のコネクタおよび前記第2のコネクタを締結するのに応答して、電気的に接続された第1および第2のコンタクト対のそれぞれの間に少なくとも1つの流体充填されたチャネルを形成し、前記電気的に接続された第1および第2のコンタクト対のそれぞれの間に信号分離を提供するために前記少なくとも1つの流体充填されたチャネルに抵抗経路を形成するべく連結されるように構成されている、信号コネクタシステム。
[付記2]前記第1のコネクタは、前記第1のコンタクトの対応する1つに結合された複数の第1の可撓性絶縁体支持体をさらに備え、前記第2のコネクタは、前記複数の第2のコンタクトの対応する1つにそれぞれ結合される複数の第2の可撓性絶縁体支持体をさらに備え、前記第1の可撓性絶縁体支持体および第2の可撓性絶縁体支持体のそれぞれが、前記対応する第1のコンタクトおよび前記対応する第2のコンタクト間に接触圧力を提供して対応する前記第1のコンタクトおよび前記第2のコンタクト間の電気接続を確立するように構成されている、付記1に記載のシステム。
[付記3]前記第1の可撓性絶縁体支持体および前記第2の可撓性絶縁体支持体は、第1の長手方向面に沿って対応する第1のコンタクトおよび対応する第2のコンタクトに結合され、前記第1の可撓性絶縁体支持体および前記第2の可撓性絶縁体支持体のそれぞれは、前記第1の面に対向する第2の長手方向面を備え、前記第1の可撓性絶縁体支持体のそれぞれの前記第2の長手方向面および前記第2の可撓性絶縁体支持体のそれぞれの前記第2の長手方向面は、前記少なくとも1つの流体充填されたチャネルの対応する1つの少なくとも一部を定義する、付記2に記載のシステム。
[付記4]前記第1の可撓性絶縁体支持体および前記第2の可撓性絶縁体支持体のそれぞれは、前記第1のコンタクトおよび前記第2のコンタクト間のかじりを実質的に軽減するのに十分な所定の弾性を有する、付記2に記載のシステム。
[付記5]前記第1のコンタクトのそれぞれはテーパ接触面であって、前記第2のコンタクトの対応する1つの相補的なテーパ接触面との電気接続を提供するように配置されているテーパ接触面を備える、付記1に記載のシステム。
[付記6]前記第1のコンタクトおよび前記第2のコンタクトのうちの一方のそれぞれは、対応するテーパ接触面から延びる突起であって、前記第1のコンタクトおよび前記第2のコンタクトの対応する他方のテーパ面との電気接続を提供する突起を備える、付記5に記載のシステム。
[付記7]前記第1のコンタクトおよび前記第2のコンタクトは、対応する第1のコネクタおよび第2のコネクタの周りに極性配列にて配置され、それにより、前記少なくとも1つの流体充填されたチャネルが、前記極性配列の周りで、電気的に接続された第1および第2のコンタクト対のそれぞれの間に配置される、付記1に記載のシステム。
[付記8]前記第1のハウジングは雄ねじパターンを含み、前記第2のハウジングは雌ねじパターンを含み、それにより前記第1のコンタクトおよび前記第2のコンタクトの電気的に接続された各組は、前記第1のコネクタおよび前記第2のコネクタが前記信号コネクタシステムを形成するために一緒に連結されるとほぼ等しい接触圧力を有する、付記1に記載のシステム。
[付記9]前記少なくとも1つの流体充填されたチャネルのそれぞれは、関連する流体で満たされたときに約100Ω以上の対応する抵抗経路の抵抗を提供するように設計された幾何学的配置を有する、付記1に記載のシステム。
[付記10]信号コネクタシステムを横切る複数の導体に沿ってそれぞれ対応する複数の交流(AC)信号を提供するための方法であって、前記方法は:
第1のコネクタおよび第2のコネクタを流体に浸漬することであって、前記第1のコネクタは、第1のハウジングおよび自己不動態化遷移金属から形成された複数の第1のコンタクトを含み、前記第2のコネクタは、第2のハウジングおよび前記自己不動態化遷移金属から形成された対応する複数の第2のコンタクトを含み、それにより前記流体への浸漬に応答して前記第1のコンタクトおよび前記第2のコンタクト上に誘電体膜が形成される、前記浸漬することと;
それぞれの電気的に接続された第1および第2のコンタクト対の間にAC信号の対応する1つを伝導するために、前記第1のコンタクトのそれぞれと前記第2のコンタクトの対応する1つとの間に電気接続を提供し、かつ前記電気的に接続された第1および第2のコンタクト対の間に少なくとも1つの流体充填されたチャネルを形成するために、前記第1のコネクタおよび前記第2のコネクタを取り付けることであって、前記少なくとも1つの流体充填されたチャネルのそれぞれが前記電気的に接続された第1および第2のコンタクト対の間に抵抗経路を形成する、前記取り付けることと;
前記信号コネクタシステムを形成するために、前記第1のコネクタに関連する第1のファスナおよび前記第2のコネクタ部に関連する第2のファスナを介して前記第1のコネクタおよび前記第2のコネクタを締結することと;
を含む、方法。
[付記11]前記第1のコネクタは、前記第1のコンタクトの対応する1つに結合された複数の第1の可撓性絶縁体支持体をさらに備え、前記第2のコネクタは、前記複数の第2のコンタクトの対応する1つにそれぞれ結合される複数の第2の可撓性絶縁体支持体をさらに備え、前記第1の可撓性絶縁体支持体および前記第2の可撓性絶縁体支持体のそれぞれが、前記対応する第1のコンタクトおよび前記対応する第2のコンタクト間に所定の接触圧力を提供して前記対応する第1のコンタクトおよび前記対応する第2のコンタクト間の電気接続を確立するように構成される所定の弾性を有する、付記10に記載の方法。
[付記12]前記第1の可撓性絶縁体支持体および前記第2の可撓性絶縁体支持体は、第1の長手方向面に沿って前記対応する第1のコンタクトおよび前記対応する第2のコンタクトに結合され、前記第1の可撓性絶縁体支持体および前記第2の可撓性絶縁体支持体のそれぞれは、前記第1の面に対向する第2の長手方向面を備え、前記第1の可撓性絶縁体支持体のそれぞれの前記第2の長手方向面および前記第2の可撓性絶縁体支持体のそれぞれの前記第2の長手方向面は、前記少なくとも1つの流体充填されたチャネルの対応する1つの少なくとも一部を定義する、付記11に記載の方法。
[付記13]前記第1のコンタクトのそれぞれはテーパ接触面であって、前記第2のコンタクトの対応する1つの相補的なテーパ接触面との電気接続を提供するように配置されているテーパ接触面を備える、付記10に記載の方法。
[付記14]前記第1のファスナは雄ねじパターンとして配置され、前記第2のファスナは雌ねじパターンとして配置され、それにより前記第1のコネクタおよび前記第2のコネクタを締結することは、前記電気的に接続された第1および第2のコンタクトの対に対してほぼ等しい接触圧力を提供するべく、前記雄ねじパターンおよび前記雌ねじパターンを締結することを含む、付記10に記載の方法。
[付記15]前記少なくとも1つの流体充填されたチャネルのそれぞれは、関連する流体で満たされたときに約100Ω以上の対応する抵抗経路の抵抗を提供するように設計された幾何学的配置を有する、付記10に記載の方法。
[付記16]信号コネクタシステムであって:
第1のコネクタであって;
自己不動態化遷移金属から形成された複数の第1のコンタクトであって、前記第1のコンタクトのそれぞれは、交流(AC)信号を伝導するように構成される複数の第1のコンタクトと;
前記第1のコンタクトの対応する1つに結合される複数の第1の可撓性絶縁体支持体と;
前記複数の第1のコンタクトおよび可撓性絶縁体支持体を実質的に囲むように構成され、第1のファスナを含む第1のハウジングと;
を含む第1のコネクタと、
第2のコネクタであって;
自己不動態化遷移金属から形成された複数の第2のコンタクトと;
前記第2のコンタクトの対応する1つに結合される複数の第2の可撓性絶縁体支持体と;
前記複数の第2のコンタクトおよび可撓性絶縁体支持体を実質的に囲むように構成され、第2のファスナを含む第2のハウジングと;
を含む第2のコネクタと、
を含み、
前記第1のハウジングおよび前記第2のハウジングは、前記対応する第1のファスナおよび第2のファスナを介して結合されて、信号コネクタを実質的に囲み、所定の圧力で前記第1のコンタクトのそれぞれと前記第2のコンタクトの対応する1つとの間に電気接続を提供して、前記第1のコンタクトのそれぞれと前記第2のコンタクトの対応する1つとの間に対応するAC信号を伝導するように構成されている、信号コネクタシステム。
[付記17]前記第1の可撓性絶縁体支持体および前記第2の可撓性絶縁体支持体は、第1の長手方向面に沿って前記対応する第1のコンタクトおよび前記対応する第2のコンタクトに結合され、前記第1の可撓性絶縁体支持体および前記第2の可撓性絶縁体支持体のそれぞれは、前記第1の面に対向する第2の長手方向面を備え、前記第1の可撓性絶縁体支持体のそれぞれの前記第2の長手方向面および前記第2の可撓性絶縁体支持体のそれぞれの前記第2の長手方向面は、前記少なくとも1つの流体充填されたチャネルの対応する1つの少なくとも一部を定義する、付記16に記載のシステム。
[付記18]前記第1のコンタクトのそれぞれはテーパ接触面であって、前記第2のコンタクトの対応する1つの相補的なテーパ接触面との電気接続を提供するように配置されているテーパ接触面を備える、付記16に記載のシステム。
[付記19]前記第1のコンタクトおよび前記第2のコンタクトは、前記対応する第1および第2のコネクタの周りに極性配列にて配置され、それにより、前記少なくとも1つの流体充填されたチャネルが、前記極性配列の周りで、電気的に接続された第1および第2のコンタクト対のそれぞれの間にて配置され、前記第1のコネクタ部は雄ねじパターンを含み、前記第2のコネクタ部は雌ねじパターンを含み、それにより前記電気的に接続された第1および第2のコンタクト対は、前記第1のコネクタおよび前記第2のコネクタが前記信号コネクタシステムを形成するために一緒に連結されるとほぼ等しい接触圧力を有する、付記16に記載のシステム。
[付記20]前記少なくとも1つの流体充填されたチャネルのそれぞれは、関連する流体で満たされたときに約100Ω以上の対応する抵抗経路の抵抗を提供するように設計された幾何学的配置を有する、付記16に記載のシステム。