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特許7432754複数の排気ガス再循環冷却器の管理のためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】複数の排気ガス再循環冷却器の管理のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   F02M 26/39 20160101AFI20240208BHJP
   F02D 21/08 20060101ALI20240208BHJP
   F02M 26/05 20160101ALI20240208BHJP
   F02M 26/06 20160101ALI20240208BHJP
   F02M 26/24 20160101ALI20240208BHJP
   F02M 26/42 20160101ALI20240208BHJP
【FI】
F02M26/39
F02D21/08 311Z
F02M26/05
F02M26/06
F02M26/24
F02M26/42
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022552285
(86)(22)【出願日】2020-02-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-11
(86)【国際出願番号】 US2020018639
(87)【国際公開番号】W WO2021167593
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】319005648
【氏名又は名称】インニオ ワウケシャ ガス エンジンズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091568
【弁理士】
【氏名又は名称】市位 嘉宏
(72)【発明者】
【氏名】ニックス,ローン,ユージーン
【審査官】津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-40136(JP,A)
【文献】特開2014-129812(JP,A)
【文献】特開平10-61503(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの吸気システムおよび少なくとも1つの排気システムを含む産業用燃焼エンジンと、
前記産業用燃焼エンジンに結合され、前記産業用燃焼エンジンによって生成された排気ガスを前記少なくとも1つの排気システムから前記少なくとも1つの吸気システムに送るように構成された排気ガス再循環(EGR)システムであって、前記EGRシステムは、
第1のEGR回路に沿って配置された前記産業用燃焼エンジンの第1の組のシリンダのための第1のEGR冷却器ユニットであって、前記第1のEGR冷却器ユニットは、高温非凝縮冷却器、低温凝縮冷却器、断熱気体/液体分離器、および再加熱器を含む、第1のEGR冷却器ユニットと、
第2のEGR回路に沿って配置された前記産業用燃焼エンジンの第2の組のシリンダのための第2のEGR冷却器ユニットであって、前記第2のEGR冷却器ユニットは、高温非凝縮冷却器、低温凝縮冷却器、断熱気体/液体分離器、および再加熱器を含む、第2のEGR冷却器ユニットと、を含み、
前記第1および第2のEGR冷却器ユニットは、前記第1および第2のEGR回路から前記産業用燃焼エンジンへの前記排気ガスの流れをそれぞれ可能にするように構成された第1および第2のEGRバルブにそれぞれ結合されている、EGRシステムと、
前記産業用燃焼エンジンおよび前記EGRシステムに通信可能に結合されたコントローラであって、プロセッサと、1つまたは複数のプロセッサ実行可能ルーチンを符号化する非一時的メモリと、を含み、前記1つまたは複数のルーチンは、前記プロセッサによって実行されると、前記コントローラに、アクチュエータに送信された制御信号を介して、前記第1および第2のEGRバルブを調整することによって前記産業用燃焼エンジンへの前記排気ガスの流れを管理させる、コントローラと、を含前記第1のEGR冷却器ユニットおよび前記第2のEGR冷却器ユニットの両方は、前記第1および第2のEGRバルブの両方の下流にあって前記産業用燃焼エンジンへの前記排気ガスの流れを可能にするように構成された第3のEGRバルブに直列に結合される、システム。
【請求項2】
前記第1および第2のEGR回路は各々、開時に前記排気ガスが前記第1および第2のEGR冷却器ユニット内の各冷却器をそれぞれバイパスすることを可能にするサーモスタット制御バイパスバルブを含み、前記1つまたは複数のルーチンは、前記プロセッサによって実行されると、前記コントローラに、前記制御信号を介して、前記産業用燃焼エンジンの第1のコールドスタート中に前記第1のEGR冷却器ユニットまたは前記第2のEGR冷却器ユニットのうちの一方のみを最初に作動させ、その後に、前記コントローラが、センサから受信したフィードバックに基づいて、前記産業用燃焼エンジンの動作パラメータが指定範囲の外側限界に近づいていることを検出したときに前記第1のEGR冷却器ユニットおよび前記第2のEGR冷却器ユニットの両方を作動させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記1つまたは複数のルーチンは、前記プロセッサによって実行されると、前記コントローラに、前記制御信号を介して、前記産業用燃焼エンジンの第2のコールドスタート中に前記産業用燃焼エンジンの前記第1のコールドスタート中に作動されなかった前記第1のEGR冷却器ユニットまたは前記第2のEGR冷却器ユニットのいずれかを最初に作動させ、前記第2のコールドスタートは、前記第1のコールドスタート後の次の始動である、請求項に記載のシステム。
【請求項4】
前記1つまたは複数のルーチンは、前記プロセッサによって実行されると、前記コントローラに、前記制御信号を介して、前記産業用燃焼エンジンの後続のホットスタート中に、前記産業用燃焼エンジンの前記第1のコールドスタート中に作動された前記第1のEGR冷却器ユニットまたは前記第2のEGR冷却器ユニットと同じEGR冷却器ユニットを最初に作動させ、前記後続のホットスタートは、前記第1のコールドスタート後の次の始動である、請求項に記載のシステム。
【請求項5】
前記1つまたは複数のルーチンは、前記プロセッサによって実行されると、前記コントローラに、前記アクチュエータに送信された前記制御信号を介して、前記第1および第2のEGRバルブを非同期的に調整させて、前記EGRシステムがエンジン希釈剤要求に達するための目標気体/液体分離効率範囲に達するようにする、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記1つまたは複数のルーチンは、前記プロセッサによって実行されると、前記コントローラに、前記制御信号を介して、センサからのフィードバックに基づいて前記コントローラによって検出された前記第1および第2のEGR回路のそれぞれでの汚損量に基づいて、前記第1および第2のEGR回路から利用される前記排気ガスのそれぞれの量を調整させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記1つまたは複数のルーチンは、前記プロセッサによって実行されると、前記コントローラに、前記制御信号を介して、前記第1のEGR回路および前記第2のEGR回路の一方からの前記排気ガスを前記第1のEGR回路および前記第2のEGR回路の他方からの前記排気ガスよりも低い温度に維持することによってEGR熱除去の操作を行わせる、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記1つまたは複数のルーチンは、前記プロセッサによって実行されると、前記コントローラに、前記第1のEGR回路および前記第2のEGR回路の一方がディセーブルされているときに、前記制御信号を前記産業用燃焼エンジンに送信させて、前記産業用燃焼エンジンの出力を、前記第1のEGR回路および前記第2のEGR回路のうちのディセーブルされていないEGR回路の利用を可能にする出力レベルまで低減させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記EGRシステムは高圧ループEGRシステムを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記EGRシステムは低圧ループEGRシステムを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
システムであって、
産業用燃焼エンジンおよび排気ガス再循環(EGR)システムに通信可能に結合されたコントローラを含み、前記EGRシステムは、前記産業用燃焼エンジンによって生成された排気ガスを少なくとも1つの排気システムから少なくとも1つの吸気システムに送るように構成され、前記EGRシステムは複数のEGR回路を含み、前記複数のEGR回路の各EGR回路は、高温非凝縮冷却器、低温凝縮冷却器、断熱気体/液体分離器、および再加熱器を含むEGR冷却器ユニットを含み、前記コントローラは、プロセッサと、1つまたは複数のプロセッサ実行可能ルーチンを符号化する非一時的メモリと、を含み、前記1つまたは複数のルーチンは、前記プロセッサによって実行されると、前記コントローラに、アクチュエータに送信された制御信号を介して前記複数のEGR回路に沿って配置されたそれぞれのEGRバルブを完全に開き、前記それぞれのEGRバルブの下流側に直列に設けられ、前記複数のEGR回路によって共有される共有EGRバルブを調整して前記産業用燃焼エンジンへの前記排気ガスの流れを調整することによって、または前記共有EGRバルブを完全に開き、前記それぞれのEGRバルブを調整して前記産業用燃焼エンジンへの前記排気ガスの流れを調整することによって、または前記それぞれのEGRバルブおよび前記共有EGRバルブを部分的に開き、前記産業用燃焼エンジンへの前記排気ガスの流れを調整することによって、前記産業用燃焼エンジンへの前記排気ガスの流れを管理させる、システム。
【請求項12】
前記1つまたは複数のルーチンは、前記プロセッサによって実行されると、前記コントローラに、前記制御信号を介して、前記産業用燃焼エンジンの第1のコールドスタート中に前記複数のEGR回路のうちの1つのEGR回路のみを最初に作動させ、その後に、前記コントローラが、センサから受信したフィードバックに基づいて、前記産業用燃焼エンジンの動作パラメータが指定範囲の外側限界に近づいていることを検出したときに、前記複数のEGR回路の各EGR回路を作動させる、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記1つまたは複数のルーチンは、前記プロセッサによって実行されると、前記コントローラに、前記制御信号を介して、前記産業用燃焼エンジンの第2のコールドスタート中に前記産業用燃焼エンジンの前記第1のコールドスタート中に作動されなかった前記複数のEGR回路のいずれかを最初に作動させ、前記第2のコールドスタートは前記第1のコールドスタート後の次の始動である、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記1つまたは複数のルーチンは、前記プロセッサによって実行されると、前記コントローラに、前記制御信号を介して、前記産業用燃焼エンジンの後続のホットスタート中に、前記産業用燃焼エンジンの前記第1のコールドスタート中に作動された前記複数のEGR回路ユニットの前記EGR回路を最初に作動させ、前記後続のホットスタートは、前記第1のコールドスタート後の次の始動である、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記1つまたは複数のルーチンは、前記プロセッサによって実行されると、前記コントローラに、前記制御信号を介して、前記それぞれのEGRバルブを非同期的に調整させて、前記EGRシステムがエンジン希釈剤要求に達するための目標気体/液体分離効率範囲に達するようにする、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記1つまたは複数のルーチンは、前記プロセッサによって実行されると、前記コントローラに、前記制御信号を介して、センサからのフィードバックに基づいて前記コントローラによって検出された前記複数のEGR回路の各EGR回路のそれぞれでの汚損量に基づいて、前記複数のEGR回路から利用される前記排気ガスのそれぞれの量を調整させる、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記1つまたは複数のルーチンは、前記プロセッサによって実行されると、前記コントローラに、前記制御信号を介して、前記複数のEGR回路のうちの一方のEGR回路からの前記排気ガスを、前記複数のEGR回路のうちの他方のEGR回路からの前記排気ガスよりも低い温度に維持することによってEGR熱除去の操作を行わせる、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記1つまたは複数のルーチンは、前記プロセッサによって実行されると、前記コントローラに、前記複数のEGR回路の前記EGR回路のうちの1つがディセーブルされているときに、前記制御信号を前記産業用燃焼エンジンに送信させて、前記産業用燃焼エンジンの出力を、前記複数のEGR回路のうちのディセーブルされていないEGR回路の利用を可能にする出力レベルまで低減させる、請求項11に記載のシステム。
【請求項19】
請求項1に記載のシステムを実行する方法において、前記産業用燃焼エンジンおよび前記排気ガス再循環(EGR)システムに通信可能に結合され、前記非一時的メモリおよび前記プロセッサを含む前記コントローラを利用するステップであって、
制御信号を介して、前記産業用燃焼エンジンの第1のコールドスタート中に前記EGRシステムの複数のEGR回路のうちの1つのEGR回路のみを最初に作動させ、その後に、前記コントローラが、センサから受信したフィードバックに基づいて、前記産業用燃焼エンジンの動作パラメータが指定範囲の外側限界に近づいていることを検出したときに、前記複数のEGR回路の各EGR回路を作動させ、
前記制御信号を介して、前記産業用燃焼エンジンの第2のコールドスタート中に、前記産業用燃焼エンジンの前記第1のコールドスタート中に作動されなかった前記複数のEGR回路のうちのいずれかを最初に作動させ、前記産業用燃焼エンジンの後続のホットスタート中に、前記第1のコールドスタート中に最初に作動された前記EGR回路を最初に作動させ、前記第2のコールドスタートまたは前記後続のホットスタートは、前記第1のコールドスタート後の次の始動であり、前記複数のEGR回路の各EGR回路は、複数の機能部分を含むEGR冷却器ユニットを含む、
ように前記コントローラを利用するステップを含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する主題は、内燃機関に関し、より詳細には、産業用内燃機関用の複数の排気ガス再循環冷却器の管理に関する。
【背景技術】
【0002】
排気ガス再循環(EGR)は、内燃機関からの排気ガスの一部を、内燃機関の1つまたは複数のシリンダなどの内燃機関の燃焼室に戻すことを含む。EGRを使用して、例えば窒素酸化物(NO)および二酸化窒素(NO)(以下、まとめてNOと呼ぶ)などの窒素酸化物の形成を低減することができる。排気ガスは実質的に不活性である。このため、排気ガスの一部を内燃機関の燃焼室に導入することで、燃料と燃焼される空気との混合気が希釈され、その結果、燃焼ピーク温度および余剰酸素が低下する。その結果、NOはより高い温度でより高い濃度で形成されるため、エンジンはNOの量を低減する。したがって、EGRは、エンジンの燃焼中に生成されるNOの量を低減または制限する。
【発明の概要】
【0003】
最初に特許請求する主題の範囲に相応する特定の実施形態を、以下に要約する。これらの実施形態は、特許請求している主題の範囲を限定することを意図しておらず、むしろ、これらの実施形態は、本主題の可能性のある形態の概要を提供することのみを意図している。実際、本主題は、以下に記載する実施形態と同様であっても異なっていてもよい様々な形態を包含することができる。
【0004】
第1の実施形態では、システムが提供される。システムは、少なくとも1つの吸気システムおよび少なくとも1つの排気システムを含む産業用燃焼エンジンを含む。システムはまた、産業用燃焼エンジンに結合され、産業用燃焼エンジンによって生成された排気ガスを少なくとも1つの排気システムから少なくとも1つの吸気システムに送るように構成された排気ガス再循環(EGR)システムを含む。EGRシステムは、第1のEGR回路に沿って配置された産業用燃焼エンジンの第1の組のシリンダのための第1のEGR冷却器ユニットを含む。EGRシステムはまた、第2のEGR回路に沿って配置された産業用燃焼エンジンの第2の組のシリンダのための第2のEGR冷却器ユニットを含み、第1および第2のEGR冷却器ユニットは各々、高温非凝縮冷却器、低温凝縮冷却器、断熱気体/液体分離器、および再加熱器のうちの少なくとも2つを含む。第1および第2のEGR冷却器ユニットは、第1および第2のEGR回路から産業用燃焼エンジンへの排気ガスの流れをそれぞれ可能にするように構成された第1および第2のEGRバルブにそれぞれ結合される。システムは、産業用燃焼エンジンおよびEGRシステムに通信可能に結合されたコントローラをさらに含み、コントローラは、プロセッサと、1つまたは複数のプロセッサ実行可能ルーチンを符号化する非一時的メモリと、を含み、1つまたは複数のルーチンは、プロセッサによって実行されると、コントローラに、アクチュエータに送信された信号を介して、第1および第2のEGRバルブを調整することによって産業用燃焼エンジンへの排気ガスの流れを管理させる。
【0005】
第2の実施形態では、システムが提供される。システムは、産業用燃焼エンジンおよび排気ガス再循環(EGR)システムに通信可能に結合されたコントローラを含み、EGRシステムは、産業用燃焼エンジンによって生成された排気ガスを少なくとも1つの排気システムから少なくとも1つの吸気システムに送るように構成され、EGRシステムは複数のEGR回路を含み、複数のEGR回路の各EGR回路は、高温非凝縮冷却器、低温凝縮冷却器、断熱気体/液体分離器、および再加熱器のうちの少なくとも2つを含むEGR冷却器ユニットを含む。コントローラは、プロセッサと、1つまたは複数のプロセッサ実行可能ルーチンを符号化する非一時的メモリと、を含み、1つまたは複数のルーチンは、プロセッサによって実行されると、コントローラに、アクチュエータに送信された制御信号を介して複数のEGR回路に沿って配置されたそれぞれのEGRバルブを完全に開き、それぞれのEGRバルブの下流にあって複数のEGR回路によって共有される共有EGRバルブを調整して産業用燃焼エンジンへの排気ガスの流れを調整することによって、または共有EGRバルブを完全に開き、それぞれのEGRバルブを調整して産業用燃焼エンジンへの排気ガスの流れを調整することによって、またはそれぞれのEGRバルブおよび共有EGRバルブを部分的に開き、産業用燃焼エンジンへの排気ガスの流れを調整することによって、産業用燃焼エンジンへの排気ガスの流れを管理させる。
【0006】
第3の実施形態では、方法が提供される。本方法は、産業用燃焼エンジンおよび排気ガス再循環(EGR)システムに通信可能に結合され、非一時的メモリおよびプロセッサを含むコントローラを利用するステップであって、制御信号を介して、産業用燃焼エンジンの第1のコールドスタート中にEGRシステムの複数のEGR回路のうちの1つのEGR回路のみを最初に作動させ、その後に、コントローラが、センサから受信したフィードバックに基づいて、産業用燃焼エンジンの動作パラメータが指定範囲の外側限界に近づいていることを検出したときに、複数のEGR回路の各EGR回路を作動させるように、コントローラを利用するステップを含む。本方法はまた、制御信号を介して、産業用燃焼エンジンの第2のコールドスタート中に、産業用燃焼エンジンの第1のコールドスタート中に作動されなかった複数のEGR回路のうちのいずれかを最初に作動させるステップであって、産業用燃焼エンジンの後続のホットスタート中に、第1のコールドスタート中に最初に作動されたEGR回路を最初に作動させ、第2のコールドスタートまたは後続のホットスタートは、第1のコールドスタート後の次の始動であり、複数のEGR回路の各EGR回路は、複数の機能部分を含むEGR冷却器ユニットを含む、ステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本主題のこれらの、ならびに他の特徴、態様、および利点は、添付の図面を参照しつつ以下の詳細な説明を読めば、さらによく理解されよう。添付の図面では、すべての図面を通して、類似する符号は類似する部分を表す。
【0008】
図1】一実施形態による、エンジン駆動発電システムのブロック図である。
【0009】
図2】一実施形態による、エンジン駆動発電システムで使用するためのエンジン制御モジュール(ECM)の概略図である。
【0010】
図3】一実施形態による、低圧ループEGRシステムを利用する図1のエンジン駆動発電システムの概略図である。
【0011】
図4】一実施形態による、低圧ループEGRシステムを利用する(例えば、吸気マニホールドを共有する)図1のエンジン駆動発電システムの概略図である。
【0012】
図5】一実施形態による、低圧ループEGRシステムを利用する(例えば、吸気マニホールドおよび排気マニホールドを共有する)図1のエンジン駆動発電システムの概略図である。
【0013】
図6】一実施形態による、高圧ループEGRシステムを利用する図1のエンジン駆動発電システムの概略図である。
【0014】
図7】一実施形態による、高圧ループEGRシステムを利用する(例えば、吸気マニホールドを共有する)図1のエンジン駆動発電システムの概略図である。
【0015】
図8】一実施形態による、低圧ループEGRシステムを利用する(例えば、吸気マニホールドおよび排気マニホールドを共有する)図1のエンジン駆動発電システムの概略図である。
【0016】
図9】一実施形態による、図1のエンジン駆動発電システムの逐次的ウォームアップ中にEGRシステムを利用するための方法のフローチャートである。
【0017】
図10】一実施形態による、図2のECMの機能動作の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本主題の1つまたは複数の具体的な実施形態を以下に説明する。これらの実施形態の簡潔な説明を提供するために、実際の実施態様のすべての特徴が本明細書に記載されていなくてもよい。そのような実際の実施態様の開発においては、あらゆるエンジニアリングまたは設計プロジェクトと同様に、実施態様ごとに異なり得るシステム関連およびビジネス関連の制約条件の遵守など、開発者の特定の目標を達成するために、実施態様ごとに特有の多数の決定を行わなければならないことを、理解すべきである。さらに、このような開発への取組みは、複雑で時間がかかるものであるかもしれないが、それでも、本開示の利益を得る当業者にとっては、設計、製作、および製造の日常的な仕事であることを理解されたい。
【0019】
本主題の様々な実施形態の要素を導入するとき、冠詞「1つの(a、an)」、「この(the)」、および「前記(said)」は、その要素が1つまたは複数存在するという意味であることを意図している。「備える」、「含む」、および「有する」という用語は、包含的であって、列挙された要素以外のさらなる要素も存在し得るという意味であることを意図している。
【0020】
本開示の実施形態は、産業用燃焼エンジン(例えば、2メガワット(MW)の電力を生成するように構成される)用の排気ガス再循環(EGR)システムの制御または管理を可能にする。以下により詳細に説明するように、EGRシステムは、各々が複数の機能部を含むEGR冷却器ユニットを含む複数のEGR回路を含む。例えば、各EGR冷却器ユニットは、以下の部分、すなわち、高温非凝縮冷却器、低温凝縮冷却器、断熱気体/液体分離器、および再加熱器のうちの少なくとも2つを含むことができる。さらに、各EGR回路は、開いたときに排気がそれぞれのEGR冷却器ユニット内の各冷却器をバイパスすることを可能にするサーモスタット制御バイパスバルブを含むことができる。コントローラは、産業用燃焼エンジンおよびEGRシステムの両方の動作の制御を可能にする産業用燃焼エンジンおよびEGRシステムの両方に通信可能に結合される。複数のEGR回路(およびEGR冷却器ユニット)の管理は、冗長性および追加の容量ならびに追加の機能を提供する。例えば、以下でより詳細に説明するように、複数のEGR冷却器ユニットは、EGR熱除去のオンライン操作、別のEGR回路がディセーブルされている場合にエンジンが停止されている(すなわち、エンジンは最大出力未満で動作する)間の1つのEGR回路の利用、EGR分配管理、逐次的ウォームアップ、および他の機能を可能にする。
【0021】
エンジン駆動発電システム10の一例を図1に示す。エンジンは、動力を生成および出力するが、動力の適用は、発電、ガス圧縮、機械的駆動、コジェネレーション(例えば、熱と電力との組み合わせ)、三角測量(例えば、温室用途のための熱、電力、および工業用化学物質の組み合わせ)、または他の用途であってもよいことに留意されたい。このシステムは、排気ガス再循環(EGR)システム14に結合されたエンジン12(例えば、往復動内燃機関)を含む。システム10は、固定用途(例えば、産業用発電エンジンまたは定置往復動内燃機関)での利用に適合されている。特定の実施形態ではあるが、記載された技術は、モバイル用途(例えば、船舶または機関車)で利用されてもよい。特定の実施形態では、システム10は、2メガワット(MW)を超える電力を生成することができる。他の実施形態では、システム10は、2MW未満の電力(例えば、1MW~2MWの電力、または1MW未満の電力)を生成することができる。システム10はまた、希釈剤としてEGRを利用しながら、化学量論的空気燃料当量比(例えば、λ=1)でエンジン12を動作させることができる。化学量論的条件下でエンジン12を動作させることにより、排気後処理システム(例えば、三元触媒)をシステム10によって利用して排出物を削減することが可能になる。いくつかの動作モードでは、ラムダ設定点がリッチ(例えば、λは1.0未満である)であってもよいことに留意されたい。実際のλの主要な決定要因は、一般に「スタックアウト」と呼ばれる排気後処理システムからの排出物出力によって決定される。特定の実施形態では、動作は、所望の「スタックアウト」発光を達成するために、特定の周波数で、λ範囲内の特定のλ値またはディザを目標とすることができる。λが0.96~1.04の化学量論的/リッチ燃焼のエンジンを動作させることが典型的であるが、これは主に特定の排気後処理システム(例えば、貴金属装填、コーティング、温度など)によって決定される。λの変化は、ECM16によって説明されるEGRシステム14に対する動的な影響を有する。特定の実施形態では、システム10はまた、希釈剤および排気後処理システム(例えば、二元酸化触媒コンバータ(「Oxi-Cat」)および/または選択的触媒還元(SCR)が触媒(例えば、アンモニアまたは尿素であるが、これに限定されない)に還元剤を能動的に注入する)としてEGRも利用しながら、リーンバーン条件下でエンジンを動作させることができる。
【0022】
以下でより詳細に説明するように、排熱要件およびEGR冷却器の物理的サイズに起因して、EGRシステム14は、複数のEGR回路を含むことができ、各EGR回路はEGR冷却器ユニットを含む。各EGR冷却器ユニットは、複数の機能部を含むことができる。EGRシステム14は、高圧ループEGRシステム(例えば、排気ガスは、ターボチャージャのタービンの上流から迂回され、圧縮機の後に吸気システムに再導入される)または低圧ループEGRシステム(例えば、排気ガスは、ターボチャージャのタービンの下流から迂回され、ターボチャージャの圧縮機の前に吸気システムに再導入される)を利用することができる。EGRシステム14による複数のEGR回路/冷却器ユニットの利用は、冗長性、追加容量、および追加機能を生成するためにシステム14を管理する際の自由度を高める。例えば、複数のEGR冷却器ユニットは、EGR熱除去のオンライン操作、他のEGR回路がディセーブルされている場合にエンジンが停止されている間の1つのEGR回路の利用、EGR分配管理、逐次的ウォームアップ、および他の機能を可能にする。
【0023】
エンジン12は、二行程エンジン、四行程エンジン、または他のタイプのエンジン12であってもよい。特に、実施形態では、エンジン12は、四行程エンジンである。エンジン12はまた、V、W、VR(別名、V-インライン)またはWRシリンダバンク構成の1つ(例えばインライン)または複数(例えば、左右のシリンダバンク)のシリンダバンク内に任意の数の燃焼室、ピストン、および付随するシリンダ(例えば、1~24)を含んでもよい。例えば、特定の実施形態では、システム10は、シリンダ内で往復運動する6、8、12、16、20、24以上のピストンを有する大規模産業用往復エンジンを含むことができる。いくつかのそのような場合、シリンダおよび/またはピストンは、約13.5~31センチメートル(cm)の直径を有することができる。特定の実施形態では、シリンダおよび/またはピストンは、上記範囲外の直径を有してもよい。エンジン12によって利用される燃料は、例えば、天然ガス、関連石油ガス、水素(H)、プロパン(C)、バイオガス、下水ガス、埋立地ガス、石炭鉱山ガス、ブタン(C10)、アンモニア(NH)などの任意の適切な気体燃料であってもよい。燃料はまた、ガソリン、ディーゼル、メタノール、またはエタノール燃料などの様々な液体燃料を含んでもよい。燃料は、高圧(ブロースルー)燃料供給システムまたは低圧(ドロースルー)燃料供給システムまたは直接噴射のいずれかによって流入させることができる。特定の実施形態では、エンジン12は火花点火を利用することができる。他の実施形態では、エンジン12は圧縮点火を利用することができる。
【0024】
システム10は、エンジン12およびEGRシステム14と通信するように動作可能に結合されたエンジン制御モジュール(ECM)またはエンジン制御ユニット(ECU)16(例えば、コントローラ)を含む。さらに、ECM16は、1つまたは複数のセンサ18および1つまたは複数のアクチュエータ20と通信するように動作可能に結合される。ECM16は、単一のコントローラまたは同じもしくは別個のハウジングに収容された複数のコントローラであってもよい。センサ18は、エンジン12、EGRシステム14、またはエンジンシステム10の他の構成要素のうちの1つまたは複数の構成要素に結合され、エンジン12、EGRシステム14、および/またはエンジンシステム10のうちの1つまたは複数の動作特性を感知し、動作特性を表す信号を出力することができる。典型的なエンジン動作特性のいくつかの例は、エンジン速度、吸気マニホールド絶対圧力(IMAP)または吸気マニホールド密度(IMD)などのトルク指示特性、ブレーキ平均有効圧力(BMEP)または指示平均有効圧力(IMEP)または他の推定値などのエンジンへの入力から決定されたエンジンの動力出力を示す特性、排気酸素含有量などのエンジンの空気対燃料当量比を示す特性、周囲温度および/またはエンジン温度、周囲圧力、周囲湿度、ならびにその他を含む。センサ18によって測定され得る他の特性のいくつかの例は、エンジンの出力、例えば、エンジンによって駆動される発電機、エンジンによって駆動される圧縮機のスループットおよび圧力、ロードセルで測定されるエンジン負荷などからのエンジンの出力を含む。アクチュエータ20は、エンジン12、EGRシステム14、および他のエンジンシステム構成要素を制御する際に使用される様々なエンジンシステム構成要素(具体的には図示せず)を制御するように適合される。典型的なエンジン構成要素のいくつかの例は、スロットル、ターボチャージャ、ターボチャージャ圧縮機バイパスまたはウェイストゲート、調整可能燃料ミキサなどの空気/燃料調整装置、燃料圧力調整器、燃料噴射器、キャブレータ、1つまたは複数のEGRバルブなどを含む。ECM16はまた、他の構成要素22と通信するように結合されてもよい。他の構成要素22のいくつかの例は、ユーザがECM16に問い合わせ、またはECM16にデータもしくは命令を入力することを可能にするユーザインターフェース、エンジンまたはエンジンシステムの動作特性以外の情報を検知する1つまたは複数の外部センサ、ECM16がシステムの特性を通信することができる監視または診断機器、エンジンによって駆動される負荷(例えば、発電機、圧縮機、または他の負荷)などを含むことができる。
【0025】
図2を参照すると、ECM16は、非一時的コンピュータ可読媒体またはメモリ26に動作可能に結合されたプロセッサ24を含む。コンピュータ可読媒体26は、ECM16から完全にまたは部分的に取り外し可能であってもよい。コンピュータ可読媒体26は、本明細書に記載の方法のうちの1つまたは複数を実行するためにプロセッサ24によって使用される命令を含む。より具体的には、メモリ26は、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの揮発性メモリ、および/または読み出し専用メモリ(ROM)、光ドライブ、ハードディスクドライブ、もしくはソリッドステートドライブなどの不揮発性メモリを含むことができる。加えて、プロセッサ24は、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)、1つまたは複数のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、1つまたは複数の汎用プロセッサ、またはそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。さらに、プロセッサという用語は、当技術分野でプロセッサと呼ばれる集積回路に限定されず、コンピュータ、プロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラマブルロジックコントローラ、特定用途向け集積回路、および他のプログラム可能回路を広く指している。ECM16は、センサ18、アクチュエータ20、および他の構成要素22などから1つまたは複数の入力信号(input...input)を受信することができ、センサ18、アクチュエータ20、および他の構成要素22などに1つまたは複数の出力信号(output...output)を出力することができる。
【0026】
ECM16は、エンジン12(図1)を指定された動作状態、例えば指定された速度、トルク出力、または他の指定された動作状態に動作させ、エンジンを定常状態動作に維持する。この目的のために、ECM16は、エンジン状態パラメータを含むセンサ18からの入力を受信し、エンジン12を動作させるようにアクチュエータ20を制御するように適合された1つまたは複数のアクチュエータ制御信号を決定して出力する。ECM16はまた、以下でより詳細に説明するように、センサ18からの入力に基づいてEGRシステム14を動作させる。以下は、EGR流の量または速度を推定または計算する際にECM16が利用することができる供給源(例えば、センサ、技術など)の非限定的な例であり、すなわち、コリオリ流量計、熱線風速計、層流計、超音波流量計、ボルテックス開口計、差圧(ΔP;エンジン、EGR回路、または個々の構成要素にわたる)、および正味差法(動力のための燃料、λのための空気、速度密度からの合計)である。特定の実施形態では、EGR流の量または速度を推定または計算するための追加の方法は、吸気システムから各化学成分(例えば、CO、CO、NO、NO、VOC、HC、CHO、NHなど)のガス濃度をサンプリングし、これらを、全エンジン流の一部として吸気システム流を構成する追加の流れ(例えば、周囲空気、燃料、閉クランクケース換気(CCV)、およびEGR)と比較することを含む。これらの化学成分の一部は、排気(すなわち、EGR)のみに由来する。したがって、吸気システム濃度が測定される場合、流量ストリームの状態特性を補正するときに比例するため、体積EGR流量パーセントを推定することができる。図10は、ECM16のより具体的な非限定的な例を提供する。
【0027】
図3図8は、エンジン駆動発電システム10の様々な実施形態を説明する。図3は、低圧ループEGRシステム(例えば、排気ガスは、ターボチャージャ(TC)のタービンの下流から迂回され、ターボチャージャ(TC)の圧縮機の前に吸気システムに再導入される)を利用する図1のエンジン駆動発電システム10の概略図である。図3に示すシステム10の様々な構成要素は、複数の構成要素として示されているが、アスタリスクで示すようにエンジンシリンダバンク間で共有されてもよい。図示するように、エンジン12は、複数のシリンダバンク28(例えば、バンクAおよびバンクBであるが、典型的には、それぞれ左右のシリンダバンクを指す)および複数のEGR回路30を含む。図示するように、システム10は、並列の2つのEGR回路30を含む。EGR回路30の数は変化してもよい(例えば、2、3、4、またはそれ以上)。さらに、特定の実施形態では、EGR回路30は直列に配置されてもよい。各燃焼室34は、それぞれのシリンダヘッドを含む。各シリンダヘッド32は、それぞれのシリンダ(図示せず)内に配置されたそれぞれのピストンを含む複数のアセンブリを含む。各シリンダの燃焼室34には燃料が供給され、燃焼室34には燃焼が生じる吸気バルブ36を介して酸化剤(例えば、空気)が供給され、排気バルブ38によってエンジン12からの排気の排出が制御される。各シリンダバンク28は、吸気マニホールド40(または吸気システム)と、排気マニホールド42(または排気システム)と、スロットル44とを含む。スロットル44、圧縮機バイパスバルブ58、およびウェイストゲート56は、燃焼室34に供給される酸化剤/燃料の量を規定する主要な動力制御装置である。特定の実施形態では、他の動力制御は、可変タービン形状または可変バルブタイミングを含むことができる。
【0028】
図示するように、システム10はまた、各EGR回路30に関連するターボチャージャ46およびインタークーラ48(例えば、熱交換器)を含む。特定の実施形態では、ターボチャージャ46の代わりに電子圧縮機(例えば、圧縮機に連結された電動モータを有する)を利用することができる。特定の実施形態では、多段ターボチャージシステムを利用することができる。各ターボチャージャ46は、タービン52に(例えば、駆動シャフト(図示せず)を介して)結合された圧縮機50を含む。空気(例えば、酸化剤)は、吸気口54を介して供給される。特定の実施形態では、吸気口54内にエアフィルタを配置することができる。タービン52は、排気ガスによって駆動されて圧縮機50を駆動し、圧縮機は、インタークーラ48による冷却後に吸気マニホールド40に吸気するために吸気、燃料、およびEGR流を圧縮する。また、吸気口54の下流かつ圧縮機50の上流には、燃料供給システム53から燃料が供給される。図示するように、燃料供給システム53は、低圧(ドロースルー)燃料供給システムである。低圧(LP)燃料システムでは、圧縮機50の前に大気圧またはわずかに低大気圧でガス(燃料)を空気と混合することによって、低ガス圧が利用される。次いで、空気燃料混合物は、圧縮機50を通って引き込まれ、圧縮される。燃料は周囲条件で混合するため、これらの条件の変化はエンジン性能に影響を及ぼす。エンジン燃料レギュレータに対する典型的なガス(燃料)圧力は、0.5から5psigの範囲にある。特定の実施形態では、燃料供給システム53は、高圧(HP)燃料供給システムであってもよい。高圧燃料システムでは、ターボチャージエンジンは、圧縮機50によって生成されるブースト圧力よりも大きいガス(燃料)供給圧力を必要とする。空気が圧縮機50を通過した後に燃料が空気流に導入されるので、この差圧(すなわち、空気圧より高いガス)は、気化器内の燃料と空気との適切な混合を可能にする。エンジン燃料レギュレータに対する典型的なガス(燃料)圧力は、12から90psigの範囲にある。特定の実施形態では、燃料供給システム53は、エンジン12に供給される空気および燃料を調整するための制御装置を含むことができる。
【0029】
排気マニホールド排出部と排気システムとの間にウェイストゲート56(例えば、ウェイストゲートバルブ)を配置して、タービン52からの排気エネルギーを迂回させることによってターボチャージャ46を調整することができる。ウェイストゲート56は、ターボチャージャ46のタービン52に供給されるエンジン排気の量、したがって圧縮機50によって生成される圧縮機吐出圧力を機能的に調整する。ウェイストゲート56は、一体型(例えば、タービン52と共に)、電子制御ウェイストゲート(e-ウェイストゲート)、またはシステム10内の他の場所の圧力を感知する空気圧ウェイストゲートであってもよい。システム10はまた、吸気流の一部をエンジン12に分流することによって圧力を制御するために、各ターボチャージャ46の各圧縮機50に関連するそれぞれのバイパスバルブ58(例えば、圧縮機バイパスバルブ(CBV))を含むことができる。図示するように、圧縮機バイパスバルブ58は、圧縮機50から分離されている。特定の実施形態では、圧縮機バイパスバルブ58は、圧縮機50内に一体化されている。
【0030】
EGR回路30に沿って各タービン52の下流には、EGR冷却器ユニット60が配置されている。特定の実施形態では、各EGR冷却器ユニット60は、複数の機能セグメントを含む。図示するように、各EGR冷却器ユニット60は、高温非凝縮冷却器62と、低温凝縮冷却器64と、断熱気体/液体分離器66と、再加熱器68とを含む。再加熱器68は、EGR流を所望の温度に加熱するために、ジャケット水と呼ばれることもあるエンジン冷却剤を利用することができる。高温非凝縮冷却器62、低温凝縮冷却器64、および再加熱器68の各々は、補助冷却剤回路として知られる別個の冷却剤ラインを含むことができ、またはジャケット水を利用することができる。さらに、高温非凝縮冷却器62、低温凝縮冷却器64、および再加熱器68は、バランスオブプラント(BoP)の一部であり得る油圧統合回路70に相互接続されてもよい。特定の実施形態では、各EGR冷却器ユニット60は、これらの機能部のうちの少なくとも2つを含む。特定の実施形態では、各EGR冷却器ユニット60は、各機能部のうちの複数を含むことができる。システム10は、EGR回路30とEGR冷却器ユニット60との間に配置されたバイパスバルブ72(例えば、サーモスタット制御バイパスバルブ)を含む。バイパスバルブ72は、局所温度に反応していてもよく、または(例えば、アクチュエータを介して)ECM16によって制御されてもよい。バイパスバルブ72(例えば、開いている場合)は、EGR流を気体/液体分離器66に導き、したがって冷却器62、64をバイパスする。
【0031】
EGRシステム14の各EGR回路30は、排気マニホールド42の下流かつ圧縮機50の上流に配置されたEGRバルブ74を含む。特に、EGRバルブ74は、それぞれのEGR冷却器ユニット60の低温側に配置されて、それを周囲温度付近に保つ。EGRバルブ74は、開かれると、圧縮機50へのEGR流、およびその後のエンジン12の吸気マニホールド40へのEGR流を可能にする。図示するように、これらのEGRバルブ74は、互いに対して平行に配置されている。図示するように、共有または混合EGRバルブ76が、EGRバルブ74の下流に配置されている。EGRバルブ76は、各EGR回路30からのEGR流の変調(および混合)を可能にする。EGRバルブ76は、各EGRバルブ74と直列に配置されている。特定の実施形態では、EGRシステム14はEGRバルブ76を含まなくてもよく、EGR流は圧縮機50の上流に直接供給されてもよい。
【0032】
各回路30内の排気の一部はEGR冷却器ユニット60に向けて迂回されるが、排気の残りの部分は排気後処理システム78に向けて迂回される。特定の実施形態では、排気後処理システム78は、排気排出物(例えば、窒素酸化物(NO)、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、および他の排出物)を低減するための三元触媒を含むことができる。
【0033】
システム10、エンジン12、およびEGRシステム14の様々な構成要素(またはこれらの構成要素用のアクチュエータ)は、ECM16と通信することができる。例えば、EGRバルブ74、76、スロットル44、圧縮機バイパスバルブ58、ウェイストゲートバルブ56、バイパスバルブ72、および/または燃料供給システム53(空気/燃料制御装置を含む)は、ECM16がこれらの構成要素を制御することを可能にするために、ECM16に通信可能に結合されてもよい。
【0034】
上述したように、システム10の特定の構成要素が(例えば、シリンダバンク28にわたって)共有されてもよい。図4は、低圧ループEGRシステムを利用する(例えば、吸気マニホールド40を共有する)図1のエンジン駆動発電システム10の概略図である。図4に示すシステム10は、吸気マニホールド40の共有に対応するためにシリンダバンク28にわたって以下の構成要素、すなわち、インタークーラ48、吸気マニホールド40、およびスロットル44が共有されていることを除いて、図3に記載した通りである。図5は、低圧ループEGRシステムを利用する(例えば、吸気マニホールド40および排気マニホールド42を共有する)図1のエンジン駆動発電システム10の概略図である。図5に示すシステム10は、吸気マニホールド40および排気マニホールド42の共有に対応するために、以下の構成要素、すなわち、吸気口54、ウェイストゲート56、圧縮機バイパスバルブ58、インタークーラ48、吸気マニホールド40、スロットル44、ターボチャージャ46(圧縮機50およびタービン52を含む)、排気後処理システム78、および排気マニホールド42がシリンダバンク28にわたって共有されることを除いて、図3に記載した通りである。これらの実施形態では、他の構成要素が共有されてもよい。
【0035】
図6は、高圧ループEGRシステムを利用する(例えば、排気ガスがタービンの上流から迂回され、圧縮機の後に吸気マニホールドに再導入される)図1のエンジン駆動発電システム10の概略図である。図6に示すシステム10の様々な構成要素は、複数の構成要素として示されているが、アスタリスクで示すようにエンジンシリンダバンク間で共有されてもよい。図6のシステム10は、いくつかの違いを除いて、図3で説明した通りである。図6に示すように、各EGR回路のEGR冷却器ユニット60は、排気マニホールド42の下流かつタービン52の上流に配置されている。また、インタークーラ48と吸気マニホールド40との間には、圧縮機50の下流側でEGR冷却器ユニット60からEGR流が導入される。さらに、燃料は、空気内に導入され、インタークーラ48と吸気マニホールド40との間で排気される。図示するように、燃料供給システム53は、高圧(ブロースルー)燃料供給システムである。特定の実施形態では、高圧燃料供給システム53は、吸気ポート噴射(図示せず)によって達成される個々のガス混合の形態をとることができる。特定の実施形態では、燃料供給システム53は、低圧燃料供給システムであってもよい。
【0036】
上述したように、システム10の特定の構成要素が(例えば、シリンダバンク28にわたって)共有されてもよい。図7は、高圧ループEGRシステムを利用する(例えば、吸気マニホールド40を共有する)図1のエンジン駆動発電システム10の概略図である。図7に示すシステム10は、吸気マニホールド40の共有に対応するためにシリンダバンク28にわたって以下の構成要素、すなわち、インタークーラ48、吸気マニホールド40、およびスロットル44が共有されることを除いて、図6に記載した通りである。図8は、高圧ループEGRシステムを利用する(例えば、吸気マニホールド40および排気マニホールド42を共有する)図1のエンジン駆動発電システム10の概略図である。図8に示すシステム10は、吸気マニホールド40および排気マニホールド42の共有に対応するために、以下の構成要素、すなわち、吸気口54、ウェイストゲート56、圧縮機バイパスバルブ58、インタークーラ48、吸気マニホールド40、スロットル44、ターボチャージャ46(圧縮機50およびタービン52を含む)、排気後処理システム78、および排気マニホールド42がシリンダバンク28にわたって共有されることを除いて、図6に記載した通りである。これらの実施形態では、他の構成要素が共有されてもよい。
【0037】
後述するように、複数のEGR回路30およびEGR冷却器ユニット60の管理は、EGRシステム14に機能性の向上をもたらす。例えば、EGR回路30およびEGR冷却器ユニット60は、EGRシステム14の逐次的ウォームアップによってEGRシステム14の熱質量を低減するように管理することができる。熱質量は、熱を貯蔵することを可能にし、温度変動に対する慣性を提供する質量の特性である。往復運動内燃機関の場合、一般に、往復運動内燃機関は、それが受けることができる2つの異なる温度、すなわち動作温度および周囲温度を有すると説明することができる。動作温度は、完全に機能するエンジンの定常状態温度、または一般にウォームアップと呼ばれる定格出力(速度および負荷)で作動することが可能な、凝縮物を生成する可能性のある臨界EGR流構成要素として説明することができる。動作温度はまた、所定の一定値入力であってもよい。周囲温度は、エンジンを取り囲む現在の環境温度、および均等化させることができる場合にエンジンが達成することができる可能な最低温度、または所定の一定値の入力として最もよく説明することができる。理論的には、エンジンが受けることができる最大温度変化は、周囲温度で始まり、動作温度が達成されるまで加温する。同様に、潜在的にEGR流を必要としない動力を生成しない任意のエンジン、および潜在的に最大EGR流を必要とするその最大動力のエンジンは、これら2つの極値の間でEGR流を連続的に増加させる。意図は、流体の露点よりも低温であることによって、EGR流と接触し、凝縮を生じる危険性がある、加温される必要がある熱質量を制限することである。遷移温度は手動で定義することができる。あるいは、これらの2つの温度の間の遷移温度を定義することができ、以下の式
transition=TAmbient+C(Toperation-TAmbient
において、0<C≦1.0である。
特定の実施形態では、Cは、1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、もしくは0.5、またはそれらの間の任意の数以下であってもよい。例えば、Cが0.5以下である場合、それは2つの条件間の単純な平均を可能にする。
【0038】
あるいは、遷移温度は、動作温度または周囲温度に関係なく独立して定義されてもよい。例えば、排気の凝縮温度(露点)からいくらかのマージンを維持しながら、大気圧でのゼロ過剰空気で燃焼される商業的品質の天然ガス(CQNG)は、約57.2℃(135°F)である。あるいは、時間および温度は熱伝達原理を介して直接関係するため、ホットスタートとコールドスタートとの間の遷移は、時間の所定の一定値の入力に置き換えられてもよい。外力による最低速度でのクランキングであるエンジン始動時に、遷移温度は、2つの状態を定義するためのしきい値として使用される:第1に、T<Ttransitionの場合、これがコールドスタートとして定義され、および第2に、T>Ttransitionの場合、これがホットスタートとして定義される。遷移温度の目的は、既に周囲温度を超えているハードウェアを再利用することによる熱質量の利点と、熱的な低サイクル疲労の累積損傷、EGR流体からの沈着物による汚損、および他の問題による機械的摩耗または劣化との間のバランスをとるためのしきい値を作成することである。
【0039】
EGR使用目的関数も定義する必要がある。この使用目的関数の目的は、EGRループの異なる構成要素の機械的摩耗および断裂または劣化を並行して定量化し、独立して制御することができることである。EGR使用目的関数は、デューティサイクル(エンジン出力および時間)、始動回数、流れた総EGR量、センサに基づく流れた総冷却剤量、ユーザ入力のオーバーライド、または他の要因であってもよいが、必ずしもこれらに限定されない。クランキングがコールドスタートとして開始されると、EGR使用目的関数に従って、複数のEGR並列回路30のうちの少なくとも1つが最初に使用される。これは、エンジン動作に基づくEGR流の要求が、複数のEGR並列回路30を同時に使用することを必要とするまで行われる。直後の2つのコールドスタートイベントが最初に複数のEGR並列回路30のうちの同じものを使用することはない。クランキングがホットスタートとして開始されると、EGR使用目的関数に従って、複数のEGR並列回路30のうちの少なくとも1つが最初に使用される(例えば、作動される)。これは、エンジン動作に基づくEGR流の要求が、複数のEGR並列回路30を同時に使用することを必要とするまで行われる。ホットスタートイベントは、コールドスタート中にEGR使用目的関数によって使用するために最後に識別された複数のEGR並列回路30の同じものを使用する。
【0040】
コールド再始動中、EGR回路30が加熱する必要がある質量の量は半分(または3つ以上のEGR回路が並列に存在する場合は半分未満)しかないので、最初はただ1つのEGR回路30が利用される。最初に、エンジン12の始動中に、最初に利用されるEGR回路において、バイパスバルブ72が全開またはオンにされて、EGR流が分離器66に流れ、冷却器62、64の熱質量をバイパスすることを可能にする。高温非凝縮冷却器62および/または低温凝縮冷却器64からなるEGR冷却器ユニット60がその目標温度に達すると、バイパスバルブ72が徐々に閉じられるかまたはオフになる。特定の実施形態では、バイパスは、再加熱器68の補助として使用することができる。可能な最大冷却量が初期EGR回路30によって達成されるが、より多くの冷却が必要とされると、別のEGR回路30の利用が初期EGR回路30と同じ方法で開始される(例えば、バイパスバルブ72の初期利用)。ホット再始動中、EGR回路30は同じ方式で順次利用されるが、バイパスの利用はスキップされる。
【0041】
図9は、図1のエンジン駆動発電システムの逐次的ウォームアップ中にEGRシステムを利用するための方法80のフローチャートである。特定の実施形態では、方法80に示す動作またはステップの全部または一部は、ECM16のプロセッサ24によって実行されてもよい。例えば、プロセッサ24は、メモリ26に記憶されたデータを実行するためのプログラムを実行することができる。方法80は、直近の始動イベント(例えば、ホットまたはコールドスタート)においてどのEGR回路30(およびEGR冷却器ユニット60)が最初に利用されたか(例えば、作動されたか)を決定するステップを含む(ブロック82)。方法80はまた、次の始動イベントがコールドスタートまたは再始動である場合には、直近の始動または再始動で最初に利用されなかったEGR回路30で始動または再始動を開始するステップを含む(ブロック84)。方法80は、次の始動がホットスタートまたは再始動である場合には、直近の始動または再始動で最初に利用されたのと同じEGR回路30で始動または再始動を開始するステップをさらに含む(ブロック86)。方法80はさらに、その後に、必要に応じて(すなわち、コントローラが、センサから受信したフィードバックに基づいて、産業用燃焼エンジンの動作パラメータが指定範囲の外側限界に近づいていることを検出した場合)、残りのEGR回路30(すなわち、現在の始動または再始動において最初に利用されていないEGR回路30)を利用するステップを含む(ブロック88)。上述したように、再始動のタイプに応じて、バイパスバルブ72は利用されてもされなくてもよい。EGR回路30の逐次的ウォームアップの利用は、EGRシステム14の熱質量を減少させる。
【0042】
EGRシステム14内の複数のEGR回路30によって可能にされる別の機能は、EGR分配管理である。複数のEGR回路30(例えば、並列回路)は、それらの流体流れ挙動が異なってもよい。この差は、最初の製造または保守の間に存在し得るか、または動作に起因して経時的に現れる可能性がある。異なる流体流挙動の発生源は、必ずしもこれらに限定されないが、製造公差の変動、不正確な設置、不正確なメンテナンス、異なるメンテナンス段階、流れ損失の違い(回路の長さ、パイプの曲がり、くびれなどの違い)、外部熱源(放射、対流、伝導)、沈着物による汚損の蓄積、二次冷却剤流の温度または流量の違い、加えられた背圧の違い(EGR抽出の位置)、加えられた下流圧力の違い(EGR出口の位置)、EGR回路への追加の流れの接続(閉クランクケース換気(CCV)ガス、EGRの供給または需要の異常(圧縮機ストール、失火、バックファイア(吸気爆燃)、アフターファイア(排気爆燃))、EGR回路内の漏れ、気体/液体分離または凝縮物によって引き起こされる制限、EGRバルブの動きの制限された範囲、フィルタ要素の詰まり、ならびに他の問題を含むことができる。独立して制御することができる並列回路内のEGRループの異なる構成要素は、並列の少なくとも2つのEGR回路30からのEGR出力の合計を表すエンジン12への総EGR流を維持するために独立して動作することができる。並列回路内の各EGRループからの流れ寄与は、必ずしも等しくなくてもよい。特定の実施形態では、ECM16は、EGR回路30に存在するそれぞれの汚損の量(例えば、システム10を通して沈着し、センサを介してECM16によって検出される)に基づいて、各EGR回路30から利用されるEGR流のそれぞれの量を管理する。例えば、汚損が少ないEGR回路30を利用して、エンジン12に供給されるEGR流の大部分に寄与することができる。
【0043】
EGRシステム14内の複数のEGR回路30によって可能にされるさらなる機能は、リンプホームモードである。リンプホームモードは、診断によって検出されるように、異常動作中にエンジン12が損傷するのを防ぐように設計された安全システムである。リンプホームモードが作動すると、エンジン12は、減速された速度、低減された負荷、または低減された動力でのみ動作する。リンプホームモードは、異常動作状態を修復するためのサービスを提供することができる好都合な時間まで、ディレートではあるが、継続的な動作を可能にする。複数のEGR並列回路30を用いて、EGRに対する現在のエンジン要求と比較してEGR能力を低下させる全体的または部分的な故障が存在する場合、EGRシステム14全体によってEGRのレベルを安全に提供することができるまで、エンジンディレートが発生する。特定の実施形態では、エンジンディレートは、複数のEGR並列回路30のうちの1つまたは複数の部分全体の完全な停止を伴うことができる。特定の実施形態では、すべてのEGR流が停止され、エンジン12は希釈剤なしで達成可能な最大出力で作動する(例えば、約40%の定格電力)。特定の実施形態では、EGR回路30のうちの1つがディセーブルされると、ECM16は、EGR回路30のディセーブルされていないEGR回路30の利用を可能にするのに十分なエンジン12の電力を低減する。
【0044】
EGRシステム14内の複数のEGR回路30によって可能にされるさらなる機能は、EGR熱除去のオンライン操作である。複数のEGR並列回路30はそれぞれ、複数の機能部を有する上述のようなそれぞれのEGR冷却器ユニット60を含む可能性が高い。複数のEGR回路30が並列に協調して動作する場合、各それぞれのEGR回路30の各構成要素(EGR冷却器ユニット60の構成要素を含む)は、これらの並列回路からエンジン12に出力される合成EGR流体の熱物理的状態を維持するように独立して制御することができる。組み合わされたEGR流体出力の熱物理的状態は、その温度、圧力、液体質量流量、ガス質量流量、各化学成分の体積濃度(CO、CO、NO、NO、VOC、HC、CHO、NHなど)によって一意的に規定されてもよい。液体質量流量およびガス質量流量は、代替的に相対湿度値または絶対湿度値として表されてもよい。各化学成分の異なる体積濃度は、失火、バックファイア(吸気爆燃)、アフターファイア(排気爆燃)、不完全燃焼、空気燃料当量比の変動、希釈剤比の変動、燃焼と相互作用する成分の損傷、筒内灰または沈着物の蓄積の違い、および他の問題に起因して生じ得る。各それぞれのEGR回路30の独立した制御は、エンジン12から環境またはプラント(BoP)のバランスへの熱バランス、損失または拒絶に影響を及ぼす。この拒絶は、用途のニーズによって最適化(最小化または最大化)され得る。例えば、BoPへの熱損失は、熱エネルギーを有用に利用することができる熱電併給(CHP)の用途において最大化することができる。例えば、熱エネルギーを有用に利用することができず、最終的なヒートシンク(UHS)、典型的には周囲環境に送られる用途では、BoPへの熱損失を最小限に抑えることができ、BoPの熱流の容量は制限され得る。環境に対する排熱が制限される一般的な状況は、暑い日、晴れた日、湿気のある日、または利用可能なユーティリティまたは環境水流に制限がある状況である。一例では、ECM16は、(例えば、EGR回路30のためのEGR冷却器ユニット60の再加熱器68を閉じることによって)一方のEGR回路30からのEGR流を他方のEGR回路30からのEGR流よりも低い温度に維持することによってEGR熱除去の操作を行うことができる。EGR熱除去の操作は、EGR回路30への一次流体(EGR)または二次流体(冷却剤)の制御を介して行うことができる。
【0045】
EGRシステム14内の複数のEGR回路30によって可能にされるまたさらなる機能は、超微細EGR質量流量分解能制御である。複数のEGR並列回路30により、図3図8で上述したように、少なくとも2つのEGR流量制御バルブを互いに直列/並列構成にすることが可能である。例えば、上述したように、各並列EGR回路のEGRバルブ74は互いに並列であり、共有EGRバルブ76は各EGRバルブ74に対して直列に配置されている。2つのEGRバルブが直列である状況(例えば、EGRバルブ74対EGRバルブ76)では、通常可能であるものを超える超微細EGR質量流量分解能制御機能の可能性がある。バルブは、典型的には、不感帯(例えば、バルブアクチュエータシステムに大きな遊びがあり、バルブが動かない期間がある場合)、制御アクチュエータの最小位置決め精度/分解能、不可能な中間流れ位置を擬似的に複製するための2つの位置間のディザリング、ターンダウン比(装置の動作範囲の幅に関連し、最大容量と最小容量との比として定義される)、および他の制限など、それらの機能に制限を有する。直列の2つのEGRバルブにより、EGR質量流量のコース調整および微調整の方策を使用することが可能である。バルブ作動の組み合わせは、別々のEGRバルブの各々よりも細かい流量制御分解能を有する。機能的には、これはEGRを使用するエンジンにとって重要であるが、それは、最大効率の位置は、典型的には、燃焼動作範囲/窓の境界付近(例えば、ノック境界、排気ガス温度限界、失火限界、ピーク着火圧力限界など)にあるからである。EGRバルブのこの操作は、EGR流の変動が、エンジンの機械的健全性または排出コンプライアンスがリスクになるであろうその設計された燃焼動作範囲/窓(例えば、ノック境界、排気ガス温度限界、失火限界、ピーク燃焼圧力限界、排気排出物後処理システムの操作窓など)外で燃焼を動作させることを許容することなく、エンジンの最大効率を維持することを可能にする。特定の実施形態では、ECM16は、EGR回路のEGRバルブ74を完全に開き、共有EGRバルブ76を調整してエンジンへのEGR流の流れを調整することによって、エンジンへのEGR流を管理する。別の実施形態では、ECM16は、共有EGRバルブ76を完全に開き、EGRバルブ74を調整してエンジンへのEGR流を調整することによって、エンジンへのEGR流を管理する。さらなる実施形態では、ECMは、エンジンへのEGR流を調整するためにEGRバルブ74、76を部分的に開くことによってEGR流を管理する。
【0046】
特定の実施形態では、上述のように直列/並列構成に配置されたEGRバルブ74、76を用いて、EGRバルブの故障を克服することができる。例えば、2つのバルブが直列にある状況では、1つのバルブが故障した場合(スタック全開、スタック全閉、スタック部分開)またはその対応するアクチュエータの場合でも、EGR制御を継続する可能性がある。これは、直列/並列構成の他のバルブで補償することによって可能である。例えば、直列流れ構成の下流バルブ(例えば、EGRバルブ76)が部分的に閉じられない場合、運転マージンを減少させることによってシステム差圧またはガス流速を増加させることによって、EGR流質量を部分的に回収することができる。差圧を制御する1つの方法は、油圧抵抗、可変形状ターボチャージャ、可変バルブタイミング、EGRポンプまたはブロワを変更することによるものである。別の例では、直列流れ構成の下流バルブ(例えば、EGRバルブ76)が全開に失敗した場合、上流バルブ(例えば、EGRバルブ74)を介して完全なEGR流制御を維持することができる。なおさらなる例では、直列流れ構成の上流バルブ(例えばEGRバルブ74)が完全に閉じられないか、または部分的に閉じられない場合、EGR流れ質量は、動作マージンを減少させ、他のEGR並列回路を通る流れを増加させることによってシステム差圧またはガス流速を増加させることによって部分的に回復され得る。またさらなる例では、直列流れ構成の上流バルブ(例えばEGRバルブ74)が全開に失敗した場合、下流バルブ(例えば、EGRバルブ76)および他の並列EGR回路用のバルブ(例えば、EGRバルブ74)を介して完全なEGR流れ制御を維持することができる。克服できない唯一の状況は、下流バルブ(例えば、EGRバルブ76)が完全に閉じられない場合である。この状況が発生した場合、前述のリンプホームモード機能が利用される。
【0047】
EGRシステム14内の複数のEGR回路30によって可能にされるまたさらなる機能は、EGR回路30のEGR冷却器ユニット60を管理することによって気体/液体分離効率を目標とすることである。目標は、制御された量のEGRおよび液体質量流量を供給することである。その理由は、排気ガスおよび水の両方(液体または蒸気状態)が燃焼の希釈剤として作用するためである。液体質量流量が多すぎると、システム効率を低下させる可能性がある高速液滴によって引き起こされる浸食を引き起こす可能性があり、また他の合併症(例えば、吸気マニホールド内の液体、インタークーラ、シリンダライナ、スパークプラグ短絡など)を引き起こす可能性があるので、あるいは液体質量流量が少なすぎると燃焼ノッキングを引き起こす可能性があるので、液体質量流量を制御することが重要である。過熱はこれを行う1つの方法であるが、EGR熱交換器を離れるとすぐに、排気ガスは熱を失い、システム全体を移動するにつれて凝縮する可能性がある。様々な直径の液滴形成は、気体成分がその露点より下に冷却されるときに常に起こる。過熱は、流体の露点よりも約25から30℃高い温度で起こり得る。大気圧でのゼロ過剰空気で燃焼された排気の商業的品質の天然ガス(CQNG)の凝縮温度(露点)は、約57.2℃(135°F)である。
【0048】
EGR中の液体質量流量を制御する別の方法は、気体/液体分離器を利用するものであり、気体/液体分離器の種類およびスタイルは様々であり得る(例えば、メッシュ、ベーン、サイクロン、繊維床など)。気体/液体分離器は、単に、気体流によって同伴される液滴を保持する装置である。気体/液体分離は、いくつかの機構(例えば、慣性(重力は特別な場合である)、直接遮断、拡散(ブラウン運動)、静電引力など)を介して作動する。各機構は、用途、動作、または耐用年数の範囲全体にわたって一定ではない独自の分離効率を有する。すべての組み合わされた機構による全体的な気体/液体分離効率もまた、用途、動作、または耐用年数の範囲全体にわたって一定ではない。気体からのすべての液滴の完全な、すなわち100%の分離効率は非現実的である。このため、全体的な気体/液体分離効率は、一般に、限界分離最小液滴直径と最大液滴直径との間の明確な積分として表される。分離液滴の直径を制限する範囲は、意図される用途に一致するべきである。制限液滴直径、したがって全体的な気体/液体分離効率は、気体速度の逆関数であることに留意することが重要である。全体的な気体/液体分離効率は、フラッディング限界までのガス流速の増加と共に増加する。フラッディング限界は、気体/液体分離器内の凝集した液滴が、ガス速度からのせん断力が液滴(すなわち、再エントレインメント(液体キャリーオーバ))を液体表面から係合解除できるほど十分に大きい場合である。再エントレインメントは、システムが処理するように設計されているものを上回るガス流速または液体質量の動作の指標である。フラッディング限界に対応する最大ガス流速は、システム設計に基づいて変化する。一般に、ワイヤベースの分離器の最大ガス流速は、3~5m/s未満に保たれるべきであり、ベーンベースの分離器は、10m/s未満に保たれるべきである。第1のワイヤベースの段階で液体液滴を凝集させるためにワイヤベースの分離器およびベーンベースの分離器を直列に使用することは珍しくなく、これはフラッディング限界またはそれを超えて意図的に動作し、より大きなコースの液滴の再エントレインメント(液体キャリーオーバ)が起こり、第2のベーンベースの分離器によって効果的に分離され、その結果、多段システムの全体的な気体/液体分離効率が高くなる。気体/液体分離器の外側のEGRシステム内の方向変化および圧力差は、10m/sという低い流速での再エントレインメントの原因となり得ることに留意されたい。EGRシステムのガス速度は、典型的には30m/sを超えない。設計速度は、許容可能なマージンを提供するために、このレジームを回避することが望まれる場合、フラッディング限界最大ガス速度の最大ガス流速の約75%であるべきである。
【0049】
気体/液体分離器では、各機構が自身の分離効率を有する推移により、全体の分離効率が最小となる範囲が一般的である。分離効率に影響を及ぼす3つのカテゴリの7つのパラメータがあることが一般に合意されている。これらのカテゴリには、1)空気力学的直径を参照する、特徴的な目標分離器寸法および液滴サイズなどの幾何学的パラメータ、2)ガス速度、圧力降下、および流れの定常性または均一性などの流れパラメータ、ならびに3)液滴密度、ガス密度、ガス粘度(いずれも温度と圧力の関数)などの物理的性質が含まれる。エンジンがオンラインである間、全体的な気体/液体分離効率(例えば、ガス速度、圧力降下、および温度)に影響を及ぼすように最適化するために、限られた数の動作変数のみを操作することができる。所定の低温凝縮冷却器の過冷却および再加熱器の過熱が使用される場合、ガス速度および圧力降下は、全体的な気体/液体分離効率に影響を及ぼすように最適化するために操作される唯一の動作変数である。複数のEGR冷却器60の管理を通じて、EGRシステム14の特定の分離効率を目標とするために、複数のEGR冷却器60の間でエンジン希釈剤要求要件をバランスさせることができる。実際には、この目標分離効率は、性能センサ(例えば、センサ18)からの入力およびEGRシステム14に関連する他の任意選択の入力に基づいて、ECM16内のEGR決定器によって達成される。EGR伝達関数は、定数、変数、流体特性、経験的相関、履歴的に記憶されたデータ、重み付けされた目的関数、物理的寸法、式または他の数学的演算、論理またはモデルを含むことができる。したがって、特定の実施形態では、ECM16は(例えば、低エンジン負荷では)、排気ガスおよび水蒸気の両方の総EGR供給を維持しながらEGRシステム14の目標気体/液体分離効率範囲に達するようにEGRバルブ74,76を非同期的に調節して、EGR回路30のうちの一方でより高いガス速度を維持することによってエンジン希釈剤需要に達することができ、ガス流速がフラッディング限界まで増加して分離効率が増加するにつれて排気の大部分をエンジンに提供し、より低い速度の残りの冷却器はエンジン希釈剤の需要の残りの部分をまかなう。例えば、制限されたEGR回路30内の1つまたは複数のEGR冷却器モジュールがそれらの二次流体流を制限または完全にディセーブルすることができるので、ECM16は、バイアスされたEGRループのより高いガス速度を維持して、気体/液体分離器66の最適な気体/液体分離の効率範囲内に留まることができる。
【0050】
図10は、産業用燃焼エンジン12の燃焼室に供給される空気/燃料混合気およびEGRの量を制御する際に使用するための例示的なECM16を示す。図10は、ECM16の非限定的な例である。集合的に、空気/燃料混合物、EGR、および燃焼室に供給される任意の他の希釈剤は、本明細書では吸気充填と呼ばれる。図10の例示的なECM16は、センサ18からエンジン状態パラメータの入力を受信し、この例では、IMAPまたはIMDセンサ、エンジン速度センサ92、エンジン性能センサ94、および診断センサ95などのトルク指示特性センサ90を含むことができ、アクチュエータ20に信号を出力する。ECM16はまた、以下でより詳細に説明する追加の入力96を受信することができる。追加の入力96は、吸気マニホールド圧力および燃料の質の入力を含むことができる。他の実施態様では、追加の、より少ない、または異なる追加の入力が使用されてもよい。アクチュエータ20は、エンジン12に供給される空気と燃料との比を制御するように動作可能な空気/燃料制御装置98を少なくとも含む。空気/燃料制御装置98の例は、固定オリフィス領域空気/ガス混合器、調整可能オリフィス領域空気/ガス混合器、1つまたは複数の燃料噴射器、または他の空気/燃料制御装置または装置の組み合わせを使用するエンジンシステムにおける燃料圧力調整器または空気バイパスを含む。アクチュエータ20はまた、ある量のEGRをエンジン12に導入するための1つまたは複数のEGR制御装置100(例えば、複数のEGRアクチュエータ、複数のEGRバイパスなど)を含むことができる。EGR制御装置100の他の例には、真空調整器、圧力調整器、組み合わせ圧力および真空調整器、サーボ制御バルブ、組み合わせサーボ制御バルブおよび真空調整器、可変面積バルブ(例えば、バタフライバルブ、ゲートバルブ、およびボールバルブ)、ならびに組み合わせサーボ制御バルブおよび圧力調整器、または他の調整器が含まれる。
【0051】
一実施態様では、ECM16は、1つまたは複数のエンジン状態パラメータを受信し、ラムダ(λ)設定点を決定して出力するラムダ設定点決定器102を含むことができる。ラムダ設定点は、例えば、エンジン動作を実質的に定常状態に維持するように選択される。ラムダは一般に空気燃料当量比を指す用語であり、1のラムダ値が化学量論的な空気/燃料混合物を指す。具体的には、ラムダは実際の空燃比を化学量論的空燃比で割ったものである。ラムダ設定点決定器102は、空気/燃料制御装置98を制御するように動作可能な空気/燃料アクチュエータ制御信号を決定するために使用される。図10は、ラムダ設定点が空気/燃料制御装置98を制御するための唯一の入力である実施態様を示しているが、空気/燃料アクチュエータ制御信号を決定するために追加のまたは異なる入力が使用されてもよい。例えば、特定の実施態様は、空気/燃料アクチュエータ制御信号を決定するためにラムダ設定点と組み合わせて、燃料品質またはタイプまたはエンジン摩耗、損傷、または修正の変動を補償するために燃料パラメータを使用することができる。ラムダ設定点を決定する際に、例示的なECM16は、エンジン速度センサ92からのエンジン速度、トルク指示特性センサ90からのトルク指示特性(例えば、IMAPまたはIMD)、および任意選択的に他の入力96を使用する。場合によっては、任意選択の入力96は、周囲温度、吸気温度(例えば、吸気マニホールド圧力)、および/または燃料パラメータを含むことができる。特定の実施態様によれば、トルク指示特性センサ90は、エンジン12の予想または推定トルク出力を決定するように動作可能である。さらに、トルク指示特性センサ90は、以下で詳細に説明するように、動力出力とトルク出力との間の変換が既知の工学的関係を使用して可能であるため、エンジン12のトルク出力または動力出力を感知または他の様態で決定するための任意のセンサ、器具、または装置を含むことができる。ECM16は、質量空気センサ、流量センサまたは他のセンサ(例えば、診断センサ95)などの他のセンサを代替的にまたは上述のセンサと組み合わせて使用することができる。
【0052】
特定の実施態様では、ラムダ設定点決定器102は、定常状態エンジン動作などの指定されたエンジン動作状態を維持するように決定されたラムダ設定点に相関する特性を示すエンジン速度およびトルクを示す少なくとも値を含む、ECM16のメモリ内のルックアップテーブルを使用してラムダ設定点を決定することができる。あるいは、またはルックアップテーブルと組み合わせて、ラムダ設定点決定器102は、センサ18のうちの1つまたは複数からの入力、例えば、エンジン速度およびトルク指示特性の関数として、式計算を使用してラムダ設定点を決定することができる。いずれの場合も、ラムダ設定点は、定常状態動作などの指定されたエンジン動作状態を維持するために、指定された燃焼混合物をエンジン12に提供するために、それぞれのエンジン速度およびトルク指示特性値に関して選択される。したがって、異なるラムダ設定点は、異なるエンジン動作状態をもたらすことができる。
【0053】
ECM16はまた、決定されたラムダ設定点と実際のラムダを示す入力との間の誤差または差を決定するためのラムダ設定点誤差決定器104を含むことができる。例えば、エンジン12が過渡状態にあるとき、例えば、エンジンの実際のラムダ状態がラムダ設定点に対応しないときはいつでも、エラーを判定することができる。特定の実施態様では、ラムダ設定点誤差決定器104は、ラムダ調整106、すなわちエンジン12の動作を調整する量を表す信号を決定することができる。
【0054】
ラムダセンサ108は、例えば、排気ガス中に残っている酸素の量を測定することによって、任意の所与の時点におけるエンジン12の実際のラムダ状態を測定し、対応する信号をラムダ設定点誤差決定器104に送信する。次に、ラムダ設定点誤差決定器104は、実際のラムダ状態を、ラムダ設定点決定器102から受信したラムダ設定点と比較する。次に、ラムダ設定点誤差決定器104は、指定されたエンジン性能を達成するために実際のラムダ状態が調整されるべき量(例えば、増加または減少)を決定し、ラムダ調整106を生成する。すなわち、実際のラムダ条件とラムダ設定点との間の比較に基づいて、比較が2つの値の間の偏差を示す場合に調整を決定することができる。次に、ラムダ設定点誤差決定器104は、ラムダ調整106(例えば、正または負の値)をアクチュエータ伝達関数109に出力する。アクチュエータ伝達関数109は、少なくともラムダ調整106を受け取り、空気/燃料制御装置98を動作させるように適合された空気/燃料アクチュエータ制御信号を決定する。
【0055】
ECM16はまた、1つまたは複数のEGR回路のEGR流量を決定するためのEGR決定器110を含む。特定の実施形態では、ECM16は、少なくともEGR設定点信号を受信し、1つまたは複数のEGR制御装置100を動作させるように適合されたEGRアクチュエータ制御信号を決定するEGR伝達関数112を含む。EGR伝達関数112は、例えば、スロットル位置、ラムダ設定点、燃料パラメータ、およびEGRアクチュエータ制御信号に影響を与える任意の他の入力を相関させるルックアップテーブルを使用して、EGR設定点の関数としての計算、および他の任意の入力によって、ルックアップテーブルと計算との組み合わせによって、または別の方法によって、EGRアクチュエータ制御信号を決定することができる。一実施態様によれば、EGR設定点は、ルックアップテーブル、およびEGRアクチュエータ制御信号を決定する際に事前信号をオフセットするための計算において燃料パラメータなどの異なるパラメータを使用して事前信号に変換することができる。エンジン12に導入されるEGRの量は、(例えば、センサ18からのフィードバックに基づいて)トルク指示特性、エンジン速度、エンジンの出力、エンジンの出力の入力ベースの決定、空気/流れアクチュエータ制御信号、および空気/燃料混合温度などの、エンジンの動作条件に依存し得る。EGR流量も上述のように決定することができる。
【0056】
開示された実施形態の技術的効果は、複数のEGR回路を有するEGRシステムを含むエンジン駆動発電システムを提供することを含む。これらの複数のEGR回路は、EGRシステムの管理においてさらなる自由度を提供する。特に、各々がEGR冷却器ユニットを有する複数のEGR回路は、EGR熱除去のオンライン操作、他方のEGR回路がディセーブルされている場合にエンジンが停止されている間の一方のEGR回路の利用、EGR分配管理、熱質量を低減するための逐次的ウォームアップ、および他の機能を可能にする。
【0057】
本明細書は、本主題を最良の態様を含めて開示すると共に、あらゆる装置またはシステムの製作および使用ならびにあらゆる関連の方法の実行を含む本主題の実施を当業者にとって可能にするために、いくつかの例を使用している。本主題の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義されており、当業者が想到する他の例を含むことができる。そのような他の例は、特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を有する場合、または特許請求の範囲の文言との実質的な差異を有さない等価な構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることを意図している。
【0058】
本明細書に提示され特許請求された技法は、参照され、本技術分野を明らかに改善する、実際的な性質の有形物および具体例に適用され、したがって、抽象的、無形的、または純粋に理論的なものではない。さらに、本明細書の終わりに添付された任意の請求項が「[機能]を[実行]するための手段」または「[機能]を[実行]するためのステップ」として指定された1つまたは複数の要素を含む場合、そのような要素は米国特許法第112条(f)の下で解釈されるべきことを意図している。しかしながら、他のやり方で指定された要素を含む請求項に関して、そのような要素は、米国特許法第112条(f)の下で解釈されるようには意図されていない。
図1
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図10