(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】新エネルギー車用の駆動モータの冷却システム
(51)【国際特許分類】
H02K 9/19 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
H02K9/19 A
(21)【出願番号】P 2022553102
(86)(22)【出願日】2020-04-26
(86)【国際出願番号】 CN2020086988
(87)【国際公開番号】W WO2021217294
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】520189625
【氏名又は名称】サイック・モーター・コーポレーション・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ジエン
(72)【発明者】
【氏名】フー、モン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ハンニー
(72)【発明者】
【氏名】フアン、シャオルイ
(72)【発明者】
【氏名】チー、ヤールー
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-022145(JP,A)
【文献】特開2017-093207(JP,A)
【文献】特開2006-191702(JP,A)
【文献】特開2014-230401(JP,A)
【文献】特開2019-110664(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 9/00- 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータケース(2)と、前記モータケースに設けられ、コアプレート(31、32)で積層されてなるステータコア(3)と、前記ステータコア内部に設けられたステータ巻線(4)と、を含む駆動モータの冷却システムであって、
前記ステータコアの外周に位置し、前記ステータコアの外周または前記モータケースの内壁に孔又は溝を開設することで連通する空間を形成しており、冷媒が前記ステータコアの外周を流れて前記ステータコアを冷却するようにガイドするための導流構造であって、交互に配置された分流領域(51)及び合流領域(52)を含む導流構造(5)と、
前記モータケースにおける前記合流領域と連通する位置に設けられており、冷媒を前記冷却システムの外部から前記ステータコアの外周に導入するための1つ又は複数の冷媒入口(8)と、
前記モータケースに装着され、前記ステータコアの端部より前記ステータコアから離れて延伸するとともに前記ステータコアの軸方向に沿って徐々に収束していき、冷媒が前記ステータ巻線の端部へ流れて前記ステータ巻線の端部を冷却するようにガイドするための導流カバーであって、前記ステータコアの巻線端部の鉛直方向における上半部の一部のみを覆い、かつその前記ステータコアの軸方向に沿った延伸距離は、前記ステータ巻線の端部が前記ステータコアの軸方向に沿って前記ステータコアの外部での延伸距離よりも小さい導流カバー(6)と、
前記ステータコアの端部の鉛直方向における上部に位置しており、冷媒が前記ステータコアの外周から前記導流カバーへ流れるように、前記導流構造における冷媒を通過させるための合流口(9)と、
を含む
ことを特徴とする新エネルギー車用の駆動モータ(1)の冷却システム。
【請求項2】
前記冷却システムは、さらに、
前記モータケースに装着されるとともに前記ステータコアの端部における端面プラテンに密着され、前記ステータコアの端部より前記ステータコアから離れて延伸するとともに前記ステータコアの軸方向に沿って徐々に収束していき、前記ステータ巻線の端部から落下した一部の冷媒を受け止めるための蓄流カバーであって、前記ステータコアの巻線端部の鉛直方向における下半部の一部のみを覆い、その前記ステータコアの軸方向に沿った延伸距離は、前記ステータ巻線の端部が前記ステータコアの軸方向に沿って前記ステータコアの外部での延伸距離よりも大きい蓄流カバー(7)と、
前記蓄流カバーの底部に設けられており、前記駆動モータの停止中に前記駆動モータが長期間にわたって冷媒に浸漬されないように、冷媒を前記蓄流カバーから導出するための冷媒出口(10)と、
を含み、
前記蓄流カバーは、その中の冷媒が前記冷媒出口から流出するか、または冷媒が前記蓄流カバーを満たしてから前記蓄流カバーから溢れるように構成されている
請求項1に記載の冷却システム。
【請求項3】
前記導流カバーは、中空構造であって、複数の分流台(61)及び複数の導流バー(62)を含み、前記導流カバーに流入した冷媒を、前記導流カバーの向きに沿って前記導流カバーの内部の円周領域内に均一に分散させるためのものであり、
前記導流バーは、前記導流カバー内部から前記導流カバーの内面に沿って突出しつつ、前記蓄流カバーに向かって延伸しており、前記分流台を通過した冷媒を、前記導流カバー又は前記導流バーの向きに沿って流動させて、前記ステータ巻線の端部に落下させるためのものである
請求項
2に記載の冷却システム。
【請求項4】
前記導流カバーは、前記モータケースに密着され、前記モータケースから前記ステータ巻線の端部に徐々に近付いていくとともに、前記ステータコアの径方向に沿って徐々に収束していき、
前記導流カバーにおける冷媒は、前記導流カバーと前記モータケースとの接触面に設けられた1つ又は複数の合流口を介して前記モータケースから流入するとともに、前記分流台、前記導流バー及び重力の協働により、前記ステータ巻線の方向に流れ、
前記合流口は、前記ステータ巻線の鉛直方向における上半部に設けられている
請求項3に記載の冷却システム。
【請求項5】
前記導流カバーは、前記ステータコアの端部に設けられた端面プラテンに密着されており、
前記導流カバーにおける冷媒は、前記端面プラテンに設けられた孔又は溝を介して前記ステータコアから流入するとともに、前記分流台、前記導流バー及び重力の協働により、前記ステータ巻線の方向に流れ、
前記端面プラテンは、前記コアプレートで積層されてなる
請求項3に記載の冷却システム。
【請求項6】
前記導流カバーにおける冷媒は、モータオイルポンプによって直接分配される
請求項1~5のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項7】
前記コアプレートは、環状であり、
前記導流構造は、冷媒が前記コアプレートの外周を流れるように、前記コアプレートで積層されてなる
請求項1~5のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項8】
隣接する前記コアプレートの間は、前記ステータコアの周方向に沿って第1円周角度だけ偏向し、
前記コアプレートは、その外周に前記分流領域を構成するためのボスが設けられている 請求項7に記載の冷却システム。
【請求項9】
前記分流領域は複数のサブ分流領域を含み、前記ボスは前記複数のサブ分流領域に集中して分布しており、各サブ分流領域に含まれる前記ボスの数は、n個(n≧1)であり、 各前記ボスは、周方向に沿って第2円周角度(α)だけ延伸しており、
隣接する前記ボスの対応側辺の間の角は、第3円周角度(β)であり、
隣接する前記サブ分流領域の間の角は、第4円周角度(γ)である
請求項8に記載の冷却システム。
【請求項10】
前記冷却システムは、
γ>(n-1)*β+α、(n≧1)、及び
前記合流領域の周方向に沿って延伸する円周角度が第4円周角度以上であること、
を満たすように配置されている
請求項9に記載の冷却システム。
【請求項11】
前記合流領域を構成するように、隣接する前記分流領域の間は一つの円周角度を隔てる 請求項10に記載の冷却システム。
【請求項12】
前記合流領域を構成するように、前記コアプレートには溝が設けられており、
前記分流領域を構成するように、前記コアプレートに設けられた前記ボスは、周方向に沿って延伸しかつその中に複数の孔を含み、前記複数の孔が短孔(322)及び中長孔(323)を含み、
隣接する前記孔の間の円周角度は、第2円周角度(α)であり、
前記短孔の円周角度は、第3円周角度(β)と前記第2円周角度との差であり、
前記中長孔の円周角度は、第4円周角度(γ)である
請求項
8に記載の冷却システム。
【請求項13】
前記コアプレートには、2つの溝が設けられており、前記ボスは周方向に沿って一方の前記溝から他方の前記溝まで延伸しており、前記ボスは、短孔(322)と、中長孔(323)と、長孔(324)と、を含み、
前記短孔及び前記中長孔は、前記分流領域を構成するためのものであり、
前記長孔及び前記溝は、前記合流領域を構成するためのものであり、
前記ボスにおける隣接する前記孔の間の円周角度は、第2円周角度(α)であり、
前記短孔の円周角度は、第3円周角度(β)と前記第2円周角度との差であり、
前記中長孔の円周角度は、第4円周角度(γ)である
請求項
8に記載の冷却システム。
【請求項14】
前記導流構造は、冷媒が前記モータケースの内側を流れるように、前記モータケースの内側に加工されたボスで構成される
請求項1~5のいずれか一項に記載の冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は駆動モータの冷却システムに関し、具体的には新エネルギー車用の駆動モータの冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
新エネルギー車は、将来の自動車技術発展の主流方向となり、新エネルギー車駆動技術の急速な発展に伴い、マーケットでは、新エネルギー車駆動システムの各方面に対する要求を徐々に高めている。駆動モータは、駆動システムの中核部品の一つとして、体積を減少し、自重を軽減し、コストを削減する条件で、ますます厳しい全車駆動要求を満たす必要があり、これは駆動モータの冷却システムに大きな挑戦をもたらした。従来の駆動モータの冷却方式は、水冷または油冷である。水冷方式では、冷却液は駆動モータの発熱部品と直接接触せず、放熱冷却効率が低く、高出力密度の駆動モータに適用しない。油冷方式では、冷却油は油噴出管の油穴を介して駆動モータのステータ巻線の端部に噴霧され、駆動モータのステータ巻線の熱を直接持ち去り、冷却効率が高い。しかしながら、油穴の油噴出管での分布及びその自体の加工精度は、いずれも油噴出管の油噴出効率に影響を与え、ひいては、冷却油による駆動モータへの冷却効果に直接影響を与える。また、油噴出管の入口におけるシール効果をどのように確保することも、油冷方式の課題の一つとなる。
【0003】
CN203747551Uには、電動乗用車の駆動モータの液冷ケースが開示されている。このケースは、内筒、外筒及び内筒と外筒との間の液冷キャビティを含む。外筒には、入水口と出水口とが開設されている。内筒と外筒との間には、軸方向に沿って複数のリブが設けられている。このリブは、液冷キャビティを複数の互いに連通する循環水路に分ける。この循環水路内には、山状の放熱フィンが設けられている。
【0004】
CN104518614Aには、駆動モータの液冷冷却装置が開示されている。この冷却装置は、第1ケース本体と、第2ケース本体と、入水口と、出水口とを有する。第1ケース本体の内壁と外壁との間には、軸方向に沿って複数のキャビティが設けられている。第1ケース本体の端面には、隣接するキャビティを連通するための溝が設けられている。隣接する溝は、複数のキャビティと共にS字状通路を構成するように、第1ケース本体の異なる端に位置している。第1ケース本体の内壁外側と外壁内側には、複数の中空の突起が設けられている。
【0005】
上述したように、駆動モータの体積や重量を減少させ、冷却システムの冷却能力及び信頼性を向上させ、冷却システムのコストを低下させることは、解決すべき技術的課題となる。
【発明の概要】
【0006】
上記技術的課題を解決するために、本願は新エネルギー車用の駆動モータの冷却システムを開示し、その特徴が各請求項に記載されている。
【0007】
新エネルギー車の駆動モータの小型化、軽量化の要求に応じて、本願では、冷却液がステータコアとステータ巻線の端部に直接接触する冷却方式が提案されている。本願では、従来の駆動モータの冷却システムに追加的に用いられる冷却ケースを除去することにより、冷却能力を向上させるとともに、モータ体積を減少させる。
【0008】
新エネルギー車の駆動モータの信頼性の要求に応じて、本願では、ステータはコアプレートを積層して製造され、冷媒の均一な分流を保証するとともに、冷媒の流動抵抗を低減させることができる。ステータ巻線の端部に用いられる冷却構造は、導流カバーと蓄流カバーとを組み合わせて構成され、この冷却構造は開放式冷却を採用し、厳密なシールが要求されず、且つ詰まりのリスクが存在しない。上記二者を組み合わせることにより、冷却システムの信頼性を向上させることができる。
【0009】
新エネルギー車の駆動モータの低コストの要求に応じて、本願では、コアプレートをジグザグに積層することによって直接冷却構造を形成し、ステータに対して追加加工を行う必要がなく、同時に提案されたステータ直接冷却構造は、最大2種類の異なるコアプレートのみを必要とし、かつ個別の冷却ケースは不要であり、これにより、機械構造を比較的に単純化し、かつ金型に対する加工要求を追加的に増加させない。ステータ巻線の端部に用いられる冷却構造(例えば、導流カバー及び蓄流カバー)は、材料面での要求が緩く、かつ加工精度面での要求が低い。上記双方を組み合わせることにより、コストを低下させることができる。
【0010】
本願の上述した態様および他の態様は、下記の図面を参照して詳細に説明したものによってより完全に理解される。図面において、
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本願の典型的な実施形態に係る新エネルギー車用の駆動モータの冷却システムの斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の冷却システムにおける冷媒の流れ方向の模式図である。
【
図3】
図3は、
図1の駆動モータの冷却システムの導流構造及び合流口の部分拡大模式図である。
【
図5】
図5は、
図4bのコアプレートの部分拡大模式図である。
【
図6】
図6は、
図1のステータコアの外周面の周方向展開模式図である。
【
図7】
図7は、
図6のステータコアの外周面の分流領域の部分拡大模式図である。
【
図8a】
図8aは、他の実施形態に係るステータコアの外周面の周方向展開模式図である。
【
図8b】
図8bは、他の実施形態に係るステータコアの外周面の周方向展開模式図である。
【
図9a】
図9aは、他の実施形態に係る第2コアプレートの模式図である。
【
図9b】
図9bは、他の実施形態に係る第2コアプレートの模式図である。
【
図10】
図10は、
図1の冷却システムの冷却端部巻線に用いられる冷却構造の模式図である。
【
図11】
図11は、他の実施形態に係る導流カバーの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
当業者が本願の保護請求する主題を正確に理解するために、以下、図面を参照しながら本願の具体的な実施形態を詳細に説明する。
【0013】
図1は、本願の典型的な実施形態に係る新エネルギー車用の駆動モータの冷却システムの斜視図である。横置きの駆動モータ1は、モータケース2と、モータケース2に設けられたステータコア3(
図2参照)と、ステータコア3内部に設けられたステータ巻線4とを含む。冷却システムは、導流構造5(
図2参照)と、導流カバー6と、蓄流カバー7と、冷媒入口8と、合流口9(
図2参照)と、冷媒出口10(
図10参照)とを含む。
【0014】
図2は、
図1の冷却システムにおける冷媒の流れ方向の模式図である。導流構造5は、駆動モータ1のステータコア3の外周またはモータケース2の内周に位置しており、冷媒がステータコア3の外周を流れてステータコア3を冷却するようにガイドするためのものである。導流構造5は、交互に配置された分流領域51及び合流領域52を含む。
【0015】
導流カバー6は、その上に設けられた取付スナップ11を介してモータケース2またはステータコア3の端部における端面プラテンに取り付けられている。導流カバー6は、導流カバーに流入した冷媒がステータ巻線4の端部に流れてそれを冷却するようにガイドするためのものである。導流カバー6はステータコア3の端部の一部のみを覆い、かつ導流カバー6のステータコア3の軸方向に沿った延伸距離は、ステータ巻線4の端部がステータコア3の軸方向に沿ってステータコア3の外部での延伸距離よりも小さい。これによって、導流カバー6から流出した冷媒がステータ巻線4の端部に十分に接触させ、冷却効率を向上させる。
【0016】
蓄流カバー7は、その上に設けられた取付スナップ11を介してモータケース2またはステータコア3の端部における端面プラテンに取付られており、ステータコア3の端部よりステータコア3から離れて延伸していくとともに、ステータコア3の軸方向に沿って徐々に収束していく。蓄流カバー7は、ステータ巻線4の端部から落下した冷媒を受け止めるためのものである。蓄流カバー7はステータコア3の端部の下部部分のみを覆い、かつ蓄流カバー7のステータコア3の軸方向に沿った延伸距離は、ステータ巻線4の端部がステータコア3の軸方向に沿ってステータコア3の外部での延伸距離よりも大きい。これによって、ステータ巻線4の端部から落下した冷媒のほとんどは、蓄流カバー7によって受け止められるようになる。
【0017】
冷媒入口8は、導流構造における合流領域52に設けられており、冷媒を冷却システム外部からステータコア3の外周に導入するためのものである。合流口9は、冷媒がステータコア3の外周面から導流カバー6へ流れるようにするためのものである。蓄流カバー7の底部には、1つ又は複数の冷媒出口10が設けられており、駆動モータ1の停止中に駆動モータ1が長期間にわたって冷媒に浸漬されないように、冷媒を蓄流カバーから導出するためである。
【0018】
冷媒は、高圧ポンプの作用で冷媒入口8を介してモータケース2内に入り、次いで、ステータコア3の外周面上を合流口9までに流れて導流カバー6へ流れ、最後に、導流カバー6からステータ巻線4の端部までに落下する。ステータ巻線4の端部から落下した冷媒のほとんどは、蓄流カバー7によって受け止められる。その後、冷媒は冷媒出口10を介して冷却システムから導出されることができる。
【0019】
図3は、
図1の駆動モータの冷却システムの導流構造の部分拡大模式図である。導流構造5がステータコア3に設けられた溝又は孔で形成されている場合、ステータコア3は第1コアプレート32を積層して構成されるが、合流口9は第2コアプレート31を積層して構成されてよい。本実施形態では、ステータコア3の端部(すなわち、合流口9)は第1コアプレート31で構成されているが、他の実施形態では、ステータコア3の端部(すなわち、合流口9)は孔又は溝が設けられたステータコア端面プラテンで構成されてよい。ステータコア3の端部の間の部分(すなわち、導流構造5)は、第2コアプレート32をジグザグに積層して構成されている。隣接する第2コアプレートの間は、ステータコア3の周方向に沿って第1円周角度だけ偏向する。
【0020】
図4aは、第1コアプレートの模式図である。第1コアプレート31は、環状であって、外周近傍に、合流口9を構成するようにその周方向に沿って延伸する孔が設けられる。1つ又は複数の合流口9を設けることができる。
【0021】
図4bは、第2コアプレートの模式図である。第2コアプレート32は、環状であって、外周に、分流領域51及び合流領域52を構成するように径方向に沿って突出するボス321及びボスの間に配置された溝が設けられる。
【0022】
図5は、
図4bのコアプレートの部分拡大模式図である。分流領域51は複数のサブ分流領域を含む。第2コアプレート32の外周に設けられたボス321は前記複数のサブ分流領域に集中して分布している。各ボス321は、周方向に沿って第2円周角度αだけ延伸している。隣接するボス321の対応側辺の間の角は、第3円周角度βである。隣接するサブ分流領域の間の角は、第4円周角度γである。各サブ分流領域には、n個のボス321が含まれている。冷却システムは、γ>(n-1)*β+αという式を満たしている。
【0023】
図6は、
図1のステータコアの外周面の周方向展開模式図である。冷媒は、ステータコア3の外周の導流構造5を流れる過程中に、分流領域51において複数の流路に細分化され、かつ並列に流れている。その後、冷媒は合流領域52で合流し、最後に合流口9から流出する。各並列分岐路の長さが同じであり、かつ交差乱流の抵抗が同じである。複数の分岐路が並列接続されることにより、冷媒の均一な分流を保証するとともに、冷媒の流動抵抗を低減させることができる。
【0024】
図7は、
図6のステータコアの外周面の分流領域の部分拡大模式図である。冷媒がジグザグに配置されたボス321に衝突して複雑な流体運動を行い、ステータコア3の外周面の熱交換面に対する冷媒の放熱係数を増やすことにより、放熱効率が大幅に向上される。
【0025】
図8a及び
図8bは、他の実施形態に係るステータコアの外周面の周方向展開模式図である。第2コアプレート32上のボス321の数及びグループ分けの方式は、実際の必要(例えば、駆動モータ1の体積及び定格電力など)に応じて変更することが可能である。
【0026】
図9aは、第2コアプレートの第2実施形態の模式図である。第2実施形態では、第2コアプレート32は、環状である。第2コアプレート32に設けられた溝は、合流領域52を構成するためのものである。第2コアプレート32に設けられたボス321は、周方向に延伸しており、かつその中に複数の孔を有している。前記複数の孔は短孔322と中長孔323とを含み、分流領域51を構成するためのものである。隣接する孔の間の円周角度は、第2円周角度αである。短孔322の円周角度は、第3円周角度βと第2円周角度αとの差である。中長孔323の円周角度は、第4円周角度γである。
【0027】
図9bは、第2コアプレートの第3実施形態の模式図である。第3実施形態では、第2コアプレート32は、環状である。第2コアプレート32に設けられた溝は、鉛直方向における最上方と最下方にある。ボス321は周方向に沿って最上方の溝から最下方の溝まで延伸している。ボス321は、短孔322と、中長孔323と、長孔324と、を含む。短孔322及び中長孔323は、分流領域51を構成するためのものであり、長孔324及び鉛直方向における最上方と最下方の溝は合流領域52を構成するためのものである。ボス321における隣接する孔の間の円周角度は、第2円周角度αである。短孔322の円周角度は、第3円周角度βと第2円周角度αとの差である。中長孔323の円周角度は、第4円周角度γである。
【0028】
図10は、
図1の冷却システムの冷却端部巻線に用いられる冷却構造の模式図である。導流カバー6は、合流口9の近傍に配置され、かつ導流カバー6の内面から突出してステータコア3の外周面に向けられた複数の分流リブを有する分流台61を含む。分流リブは、合流口9を介して流出した冷媒を、導流カバー6の周方向全域に均一に分散させるためのものである。
【0029】
導流カバーは、導流カバーの内面に沿って突出しつつ、導流カバー6から蓄流カバー7に向かって延伸しおり、合流口から流出した冷媒を、導流カバー6及び導流バー62の向きに沿って流動させて、ステータ巻線4の端部に均一に落下させるための複数の導流バー62を含む。
【0030】
導流カバー6及び蓄流カバー7の装着には特別なシール要求がなく、装着方式としては、まず、装着及び固定のために、両者のモータケース2又はステータコア3の端部と接触する箇所に取付スナップ11を設け、かつモータケース2又はステータコア3の端部に対応する係止孔を設けており、そして、ステータコア3の端部にエンドリングを設けて、導流カバー6及び蓄流カバー7をエンドリングに密着させる。
【0031】
図11は、他の実施形態に係る導流カバーの模式図である。導流バー62の数、角度及びピッチは、ステータ巻線4の端部の異なる冷却要求に適応させるように、変更されることができる。
【0032】
本願は、特定の実施形態に基づいて示され記述されているが、本願は、示された詳細に限定されるものではない。むしろ、本願の様々な詳細は、特許請求の範囲およびその均等の範囲内で変更されることができる。