IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ チョイ、ワイ ナム ローレンスの特許一覧

特許7432763作業用手袋および作業用手袋用の多層強磁性パウチ
<>
  • 特許-作業用手袋および作業用手袋用の多層強磁性パウチ 図1
  • 特許-作業用手袋および作業用手袋用の多層強磁性パウチ 図2
  • 特許-作業用手袋および作業用手袋用の多層強磁性パウチ 図3
  • 特許-作業用手袋および作業用手袋用の多層強磁性パウチ 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】作業用手袋および作業用手袋用の多層強磁性パウチ
(51)【国際特許分類】
   A41D 19/00 20060101AFI20240208BHJP
   A41D 19/015 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
A41D19/00 N
A41D19/015 610A
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2022556698
(86)(22)【出願日】2021-03-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-03
(86)【国際出願番号】 CN2021081809
(87)【国際公開番号】W WO2021185355
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2022-05-25
(31)【優先権主張番号】2004125.7
(32)【優先日】2020-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】522207110
【氏名又は名称】チョイ、ワイ ナム ローレンス
【氏名又は名称原語表記】CHOI,Wai Nam Lawrence
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ワイ ナム ローレンス
【審査官】西尾 元宏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2002/0148031(US,A1)
【文献】特開2005-028022(JP,A)
【文献】特開2018-127751(JP,A)
【文献】登録実用新案第3015619(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第106307721(CN,A)
【文献】中国実用新案第207411554(CN,U)
【文献】中国実用新案第202941458(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 19/00-19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の作業物品を磁気で引き付けて保持するための作業用手袋であって、
使用時に着用者の手が入るように構成される手袋本体であって、前記着用者の手の甲に覆い被さるように配置される背面を含む前記手袋本体と、
前記手袋本体の前記背面に取り付けられる多層パウチと、を備え、
前記多層パウチは、
可撓性を有する一続きの磁性材料の層からなる磁性層と、
前記1つ以上の作業物品と接触するように配置される被覆層と、
前記磁性層と前記被覆層との間に配置され、それぞれが前記磁性層に磁気で付着する複数の磁石または強磁性体と、を備え、前記複数の磁石は、間隔をあけて配置される、作業用手袋。
【請求項2】
前記被覆層と前記磁性層とは、前記複数の磁石または強磁性体のそれぞれのための複数の個別の封入区画を共に形成する、請求項1に記載の作業用手袋。
【請求項3】
前記被覆層は、一連の位置で前記磁性層と接することで前記複数の個別の封入区画を形成するように設けられる、請求項2に記載の作業用手袋。
【請求項4】
前記被覆層は、前記一連の位置で前記磁性層に取り付けられる、請求項3に記載の作業用手袋。
【請求項5】
1つ以上の作業物品を磁気で引き付けて保持するための作業用手袋であって、
使用時に着用者の手が入るように構成される手袋本体であって、前記着用者の手の甲に覆い被さるように配置される背面を含む前記手袋本体と、
前記手袋本体の前記背面に取り付けられる多層パウチと、を備え、
前記多層パウチは、
可撓性を有する一続きの磁性材料の層からなる磁性層と、
前記磁性層の一辺にヒンジ式に取り付けられ、前記1つ以上の作業物品と接触するように配置される被覆層と、
記被覆層に封入され、それぞれが前記磁性層に磁気で付着することが可能な複数の磁石または強磁性体と、を備え、前記複数の磁石は、間隔をあけて配置される、作業用手袋。
【請求項6】
前記被覆層は、前記磁性層の表面に亘って延びる固定部と、前記固定部の縁部に沿ってヒンジ式に接続された可動部と、を有し、前記可動部は、前記固定部と前記可動部との間に物品を挿入可能であるオープン位置と、前記可動部が前記固定部に覆い被さり、前記磁性層と前記複数の磁石との間の磁気吸引によって前記可動部がそこで固定されることにより、前記物品が前記固定部と前記可動部との間で固定されるクローズ位置と、の間で可動である、請求項に記載の作業用手袋。
【請求項7】
前記被覆層は、前記複数の磁石のそれぞれのための複数の個別の封入区画を備える、請求項5または6に記載の作業用手袋。
【請求項8】
間隔をあけて配置される前記複数の磁石のそれぞれに重ねられる少なくとも1つの追加の磁石または強磁性体をさらに備える、請求項からのいずれか一項に記載の作業用手袋。
【請求項9】
前記磁性層は、磁性ゴム層である、請求項1からのいずれか一項に記載の作業用手袋。
【請求項10】
前記多層パウチおよび前記手袋本体の前記背面は、互いに取り外し可能に取り付けられる、請求項1からのいずれか一項に記載の作業用手袋。
【請求項11】
前記多層パウチは、前記磁性層の上に配置される取付層をさらに備え、前記取付層は、前記手袋本体の前記背面に取り外し可能に取り付けられるように構成される、請求項10に記載の作業用手袋。
【請求項12】
前記取付層と前記手袋本体の前記背面とは、面ファスナーによって、互いに取り外し可能に取り付けられる、請求項11に記載の作業用手袋。
【請求項13】
1つ以上の作業物品を作業用手袋に磁気で引き付けて保持できるようにするべく、前記作業用手袋の手袋本体の背面に取り付けられる多層磁性パウチであって、
可撓性を有する一続きの磁性材料の層からなる磁性層と、
前記1つ以上の作業物品と接触するように配置される被覆層と、
前記磁性層と前記被覆層との間に配置される複数の磁石または強磁性体であって、それぞれが前記磁性層に磁気で付着し、間隔をあけて配置される前記複数の磁石または強磁性体と、
前記磁性パウチを前記手袋本体の前記背面に取り外し可能に固定するための取付手段と、を備える、多層磁性パウチ。
【請求項14】
前記被覆層と前記磁性層とは、前記複数の磁石または強磁性体のそれぞれのための複数の個別の封入区画を共に形成する、請求項13に記載の多層磁性パウチ。
【請求項15】
前記被覆層は、一連の位置で前記磁性層と接することで前記複数の個別の封入区画を形成するように設けられる、請求項14に記載の多層磁性パウチ。
【請求項16】
前記被覆層は、前記一連の位置で前記磁性層に取り付けられる、請求項15に記載の多層磁性パウチ。
【請求項17】
1つ以上の作業物品を作業用手袋に磁気で引き付けて保持できるようにするべく、前記作業用手袋の手袋本体の背面に取り付けられる多層磁性パウチであって、
可撓性を有する一続きの磁性材料の層からなる磁性層と、
前記磁性層の一辺にヒンジ式に取り付けられ、前記1つ以上の作業物品と接触するように配置される被覆層と、
記被覆層に封入される複数の磁石または強磁性体であって、それぞれが前記磁性層に磁気で付着することが可能で、間隔をあけて配置される前記複数の磁石または強磁性体と、
前記磁性パウチを前記手袋本体の前記背面に取り外し可能に固定するための取付手段と、を備える、多層磁性パウチ。
【請求項18】
前記被覆層は、前記磁性層の表面に亘って延びる固定部と、前記固定部の縁部に沿ってヒンジ式に接続された可動部と、を有し、前記可動部は、前記固定部と前記可動部との間に物品を挿入可能であるオープン位置と、前記可動部が前記固定部に覆い被さり、前記磁性層と前記複数の磁石との間の磁気吸引によって前記可動部がそこで固定されることにより、前記物品が前記固定部と前記可動部との間で固定されるクローズ位置と、の間で可動である、請求項17に記載の多層磁性パウチ。
【請求項19】
前記被覆層は、前記複数の磁石または強磁性体のそれぞれのための複数の個別の封入区画を備える、請求項17または18に記載の多層磁性パウチ。
【請求項20】
間隔をあけて配置される前記複数の磁石もしくは強磁性体のそれぞれに重ねられる少なくとも1つの追加の磁石をさらに備える、請求項13から19のいずれか一項に記載の多層磁性パウチ。
【請求項21】
前記磁性層は、磁性ゴム層である、請求項13から20のいずれか一項に記載の多層磁性パウチ。
【請求項22】
前記取付手段は、前記磁性層の上に配置される取付層であり、前記取付層は、前記手袋本体の前記背面に取り外し可能に取り付けられるように構成される、請求項13から21のいずれか一項に記載の多層磁性パウチ。
【請求項23】
前記取付層と前記手袋本体の前記背面とは、面ファスナーによって、互いに取り外し可能に取り付けられる、請求項22に記載の多層磁性パウチ。
【請求項24】
使用時に着用者の手が入るように構成される手袋本体であって、前記着用者の手の甲に覆い被さるように配置される背面を含む前記手袋本体を備える、作業用手袋と、
請求項13から23のいずれか一項に記載の多層磁性パウチと、を備える部品のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つ以上の作業物品を磁気で引き付けて保持するための、作業用手袋と作業用手袋用の多層磁性パウチに関する。より具体的には、本発明は、1つ以上の作業物品を磁気で引き付けて保持することで、建設作業員やその他の現場作業員を補助するための作業用手袋と作業用手袋用の多層磁性パウチに関する。ただし、これに限らない。本発明に係る作業用手袋は、エンジニア、作業員、職人等が使う手袋、ガーデニンググローブ、自転車用手袋、スポーツ用グローブ、ファッショングローブ等を含んでもよい。
【背景技術】
【0002】
従来の作業用手袋には、1つの磁石が、例えば、着用者の手の甲に対応する領域に内蔵されている。着用者は、このような手袋の磁石と、ボルトやねじ等の強磁性の化合物を含む物品とを係合させることができるので、着用者の指が自由になり、作業が行いやすくなる。大きな磁性表面積を確保するため、比較的大きな磁石が使用されることが多い。1つの磁石を使用する場合、磁性面で保持されている作業物品に磁気吸引力が作用し、作業物品同士が磁気で付着してしまうことがある。よって、他の作業物品を動かしたり外したりせずに1つの作業物品を引き離すことが困難になる。1つの作業物品を取り外すと、他の作業物品も意図せず取り外してしまい、磁気吸引力を失った作業物品が落ちてしまうこともある。
【0003】
従来の作業用手袋を図1に示す。この作業用手袋は、手袋本体と、手袋本体の背面に取り付けられた接着包み層構造とを備える。接着包み層構造は、発泡体からなる第1層、第2層、およびそれらの間に配置された複数の磁石を備える。第1層は、複数の円形の開口部を含む。開口部のそれぞれには、円筒形の磁石が1つ配置されている。
【0004】
図1の作業用手袋のように、いくつかの磁石を離して内蔵することで、上記のように1つの大きな磁石を使用する場合の問題点を補うことができる。しかし、図1の作業用手袋には、いくつかの短所がある。
【0005】
第1に、磁石は、第1層の開口部内に隙間なく封入されている。この構成では、手袋上で保持されている作業物品に作用する磁気吸引力が小さくなる。
第2に、開口部のそれぞれに磁石を封入する場合、製造工程が複雑になり、結果的に製造コストが増加する。さらに、複数の磁石は、所定の位置の開口部内に配置されている。よって、他の位置に磁石を配置したり、追加の磁石を設けたりするには、製造工程を変更して開口部を他の位置に形成する必要がある。
【0006】
第3に、複数の磁石を離して配置すると、手袋の有効な磁気作用面積が減少する。これにより、保持されている作業物品が外れてしまう可能性がある。例えば、手袋の表面上に置かれたねじのヘッド部が磁石の上に位置して、軸部が下に磁石が配置されていない手袋の領域に延びている場合、ねじのごく一部にのみ磁石の磁気吸引力が作用しているので、ねじが外れてしまう可能性が高くなる。
【発明の概要】
【0007】
本発明の第1側面に従う作業用手袋は、1つ以上の作業物品を磁気で引き付けて保持するための作業用手袋であって、前記作業用手袋は、
使用時に着用者の手が入るように構成される手袋本体であって、前記着用者の手の甲に覆い被さるように配置される背面を含む前記手袋本体と、
前記手袋本体の前記背面に取り付けられる多層パウチと、を備え、
前記多層パウチは、
磁性材料からなる磁性層と、
前記1つ以上の作業物品と接触するように配置される被覆層と、
前記磁性層と前記被覆層との間に配置され、それぞれが前記磁性層に磁気で付着する複数の磁石または強磁性体と、を備え、前記複数の磁石は、間隔をあけて配置される。
【0008】
強磁性体は、磁性または非磁性の鉄、鉄鋼、その他の鉄系金属を含んでもよい。
本発明の第2側面に従う多層磁性パウチは、1つ以上の作業物品を前記作業用手袋に磁気で引き付けて保持できるようにするべく、作業用手袋の手袋本体の背面に取り付けられる多層磁性パウチであって、前記多層磁性パウチは、
磁性材料からなる磁性層と、
前記1つ以上の作業物品と接触するように配置される被覆層と、
前記磁性層と前記被覆層との間に配置される複数の磁石または強磁性体であって、それぞれが前記磁性層に磁気で付着し、間隔をあけて配置される前記複数の磁石と、
前記磁性パウチを前記手袋本体の前記背面に取り外し可能に固定するための取付手段と、を備える。
【0009】
作業用手袋は、磁性層に磁気で付着した複数の磁石または強磁性体を含む。記載を簡潔にするため、本明細書では、複数の磁石または強磁性体を「磁石」と称する。この構成によれば、製造者は、磁石を磁性層の任意の場所に配置できる。また、磁性層は、手袋の製造中や完成品の使用中に、磁石が移動して互いに近づくことを抑制または防止する。
【0010】
さらに、磁性層は、磁気吸引力を発生させる。この磁力は、被覆層の上で保持される作業物品に作用する。被覆層は、個別の磁石の真上の磁力の強い領域と、主に磁性層による各磁石間の比較的に磁力の弱い領域とを含んでもよい。この構成により、磁性表面積を相乗的に増加させることができる。よって、特に各磁石の付近では、より多くの作業物品を被覆層上にしっかりと保持できる。
【0011】
また、接触面で磁力の強度が異なるという効果がある。これは、作業物品同士が磁気で付着したり、固く結合したりすることを抑制できる。例えば、1本のねじが1つの磁石によって保持され、別のねじが別の磁石によって保持されていて、それぞれのねじの軸部が磁石の間の比較的磁力の弱い領域で互いに向かって延びて接触しているとき、2本のねじの軸部は弱い磁気によって結合している。よって、一方のねじを取り外す際に、もう一方のねじがずれたり外れたりする可能性は低くなる。
【0012】
パウチという用語は、全ての辺が閉じているか、1つ以上の辺が完全にもしくは部分的に開いているパック、袋、ポケット、または入れ物を意味すると解釈されたい。1つ以上の辺が開いている場合、ユーザは、パウチの内部にアクセスし、磁石を取り出したり挿入したりできる。パウチは、例えば、スタッド、クリップ、スライド式のクラスプファスナー等を使って開閉できる開口を有してもよい。
【0013】
被覆層と磁性層とは、複数の磁石それぞれのための複数の個別の封入区画を共に形成してもよい。被覆層は、一連の位置で磁性層と接することで複数の個別の封入区画、例えば、ポケットを形成するように設けられてもよい。
【0014】
好ましくは、複数の封入区画は互いに平行に並べられる。これらの構成によって、手袋の製造中や完成品の使用中に、磁石が移動して互いに近づくことをさらに抑制できる。
被覆層は、当該一連の位置で磁性層に取り付けられてもよい。被覆層は、当該一連の位置で磁性層に接着されてもよい。または、被覆層は、当該一連の位置で磁性層に縫い付けられたり、留め具やクリップによって固定されたりしてもよい。
【0015】
被覆層は、複数の磁石のそれぞれのための複数の個別の封入区画を備えてもよい。個別の封入区画は、隣接する層へのステッチングや接着剤の塗布によって形成されてもよい。封入区画は、磁石が取り出せるように一端が開いていてもよい。または、封入区画は、密閉されていてもよい。
【0016】
被覆層は、例えば、ステッチングによって、磁性層の一辺にヒンジ式に取り付けられて、折り返しを形成してもよい。この構成は、物品を保持するための小物入れを形成してもよい。この構成によれば、ユーザは、被覆層と磁性層とが磁気で係合した状態で、プラスチック製の帯状留め具や結束ひもなどの非金属の物品を、被覆層と磁性層との間で保持できる。
【0017】
作業用手袋は、間隔をあけて配置される複数の磁石の一部もしくは全てに重ねられる少なくとも1つの追加の磁石をさらに含んでもよい。好ましくは、重ねられた磁石同士は、互いに磁気で付着している。磁石を重ねることにより、重ねられた磁石の上の被覆面の領域において、作用する磁力を増加させることができる。
【0018】
磁性層は磁性ゴム層であってもよい。磁性層の磁性材料は、フェライト粒子、鉄粒子、鉄鋼粒子、その他の強磁性材料の粒子からなる群より選択してもよい。
磁性層は、可撓性があって一続きの磁性材料の層またはシートであってもよい。
【0019】
磁性層は、磁性粒子の充填材を含む、可撓性ポリマーもしくはエラストマーの層またはシートであってもよい。
多層パウチおよび手袋本体の背面は、互いに裏返し可能または取り外し可能に取り付けられてもよい。
【0020】
多層パウチおよび手袋本体の背面は、取付手段によって、互いに裏返し可能または取り外し可能に取り付けられてもよい。好ましくは、取付手段は、以下に記載する取付層である。
【0021】
多層パウチは、磁性層の上に配置される取付層であって、手袋本体の背面に、裏返し可能または取り外し可能に取り付けられるように構成される前記取付層をさらに備える。取付層と手袋本体の背面は、ベルクロ(登録商標)テープなどの面ファスナーによって、互いに裏返し可能または取り外し可能に取り付けられてもよい。または、取付層と手袋本体の背面は、ドットボタンやスナップボタンによって、互いに裏返し可能または取り外し可能に取り付けられてもよい。
【0022】
多層パウチを取り外し可能に取り付ける場合、作業用手袋の製造工程を簡素化できる。また、ユーザが手袋によって意図せず作業物品を取り上げたくない場合に、多層パウチを取り外して通常の手袋としても使用できる。
【0023】
さらに、本発明に係る手袋は、強磁性の表面に付着させることによって保管できる。
例えば、印刷や刺繍などの多様な手段によって、特徴的な柄や文字の装飾を施すことで手袋をパーソナライズできる。
【0024】
本発明の第3側面に従う部品のキットは、
使用時に着用者の手が入るように構成される手袋本体であって、前記着用者の手の甲に覆い被さるように配置される背面を含む前記手袋本体を備える、作業用手袋と、
上記に開示された多層磁性パウチと、を備える。
【0025】
本発明は、添付の図面を参照して例示によってさらに説明されるが、この限りではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】従来の作業用手袋の分解斜視図である。
図2】本発明に係る作業用手袋の分解斜視図である。
図3】本発明の別の実施形態に係る作業用手袋の分解斜視図である。
図4】本発明のさらに別の実施形態に係る作業用手袋の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、1つ以上の作業物品を磁気で背面に固定する、従来の作業用手袋を示す。
図2は、手袋本体を備える作業用手袋1を示す。手袋本体は、革やビニール、あるいは、人工繊維、綿、綿/ポリエステル混紡、ゴムなどの織物または編物を含むさまざまな材料によって構成されてもよく、これらに限定されない。手袋本体は、背面2を有する。背面2は、面ファスナーのフック側を備える矩形のパッチ3を含む。パッチは、使いやすい任意の形状であってよい。パッチ3は、接着剤、ステッチング、その他の適切な取付手段によって手袋1の後側に取り付けられてもよい。
【0028】
作業用手袋1は、分解図に示される矩形の多層パウチ4をさらに備える。パウチは、どのような形状であってもよい。パウチ4は、被覆層5、磁性材料からなる磁性層6、取付層7、および複数の磁石8を備える。パウチ4は、釘、ボルト、ナット、および、ねじ等の作業物品を、作業用手袋1の背面2に引き付けて保持するように機能する。
【0029】
被覆層5は、外側層9と、付属の内側メッシュもしくは内側ネット層10とを含む。外側層9と内側層10は、革やビニール、あるいは、人工繊維、綿、綿/ポリエステル混紡、ゴムなどの織物または編物を含むさまざまな材料によって構成されてもよく、これらに限定されない。
【0030】
隣接する磁石8同士の磁気吸引や磁気反発を最小限にするため、複数の磁石8は、間隔をあけて配置され、磁性層6に磁気で付着している。磁石は、例えば、連続した横列や縦列に配置されてもよい。好ましくは、磁石は、左右対称に配置される。磁石は、左右非対称に配置されてもよい。被覆層5は、磁石を覆うように配置され、磁性層6の第1側面に取り付けられる。
【0031】
取付層7は、手袋本体のパッチ3における面ファスナーのフック側に貼り付けるための、面ファスナーのパイル側を含む。取付層7は、磁性層6の第2側面に取り付けられる。
パウチ4の複数の層は、接着剤、ステッチング、その他の適切な取付手段によって、互いに取り付けられてもよい。好ましくは、複数の層は、パウチ4の外周において取り付けられる。パウチ4は、パウチの内部空間へのアクセスを防ぐように密閉されてもよい。パウチは、パウチの内部空間へのアクセスのために開くことができる1つ以上の周辺部分を備え、例えば、ユーザが磁石8を位置変更したり、取り除いたり、追加したりできるようにしてもよい。
【0032】
被覆層5と磁性層6とは、複数の磁石のそれぞれのための複数の個別の封入区画を共に形成してもよい。例えば、内側メッシュもしくは内側ネット層10は、一連の位置で磁性層6に取り付けられて、個別の封入区画を形成してもよい。封入区画をネット状もしくはメッシュ状に形成することで、複数の磁石8が磁性層6の表面上で移動して互いに接触することが抑制される。内側メッシュもしくは内側ネット層10は、接着剤、ステッチング、その他の適切な取付手段によって磁性層6に取り付けられてもよい。
【0033】
図3は、本発明に係る別の実施形態の作業用手袋100を示す。作業用手袋100は、手袋本体を備える。手袋本体は、革やビニール、あるいは、人工繊維、綿、綿/ポリエステル混紡、ゴムなどの織物または編物を含むさまざまな材料によって構成されてもよく、これらに限定されない。手袋本体は、背面200を有する。背面200は、面ファスナーのフック側を備える矩形のパッチ300を含む。パッチは、使いやすい任意の形状であってよい。パッチ300は、接着剤、ステッチング、クリップ、その他の適切な取付手段によって手袋100の後側に取り付けられてもよい。
【0034】
作業用手袋100は、分解図に示される矩形の多層パウチ400をさらに備える。パウチは、どのような形状であってもよい。パウチ400は、被覆層500、磁性材料からなる磁性層600、取付層700、および複数の磁石800を備える。パウチ400は、釘、ボルト、ナット、および、ねじ等の作業物品を、作業用手袋100の背面200に引き付けて保持するように機能する。
【0035】
被覆層500は、ステッチングによって被覆層500内部に形成された複数の個別の封入区画を含む。各封入区画は、磁石800が挿入できる寸法である。封入区画は、複数の磁石800を取り出せるように一端が開いていてもよい。封入区画は、密閉されていてもよい。被覆層500は、革やビニール、あるいは、人工繊維、綿、綿/ポリエステル混紡、ゴムなどの織物または編物を含むさまざまな材料によって構成されてもよく、これらに限定されない。
【0036】
被覆層500は、例えば、ステッチングによって、磁性層600の一辺にヒンジ式に取り付けられて、折り返しを形成する。被覆層500は、被覆層500が磁性層600の第1側面に接触して被覆する係合位置から、被覆層500が磁性層600の第1側面と接触しない非係合位置まで、ヒンジ周りにおいて折りたたむことができる。
【0037】
被覆層500が係合位置にある時、複数の磁石800は、磁性層600に磁気で付着している。隣接する磁石800同士の磁気吸引や磁気反発を最小限にするため、複数の磁石800は、間隔をあけて配置される。磁石は、例えば、連続した横列や縦列に配置されてもよい。
【0038】
好ましくは、磁石800は、左右対称に配置される。磁石800は、左右非対称に配置されてもよい。この構成によれば、ユーザは、被覆層と磁性層とが磁気で係合した状態で、プラスチック製の帯状留め具や結束ひもなどの非金属の物品を、被覆層と磁性層との間で保持できる。
【0039】
取付層700は、手袋本体のパッチ300における面ファスナーのフック側に貼り付けるための面ファスナーのパイル側を含む。取付層700は、磁性層600の第2側面に取り付けられている。
【0040】
被覆層500は長尺状で、第1固定部と第2可動部とを含んでもよい。第1固定部は、磁性層600の表面に亘って延びている。第2可動部は、固定部の縁部に沿ってヒンジ式に接続される。第2可動部は、オープン位置とクローズ位置との間で可動であってよい。オープン位置では、結束ひもなどの非強磁性材を、固定部と可能部との間に挿入可能である。クローズ位置では、可動部が固定部に覆い被さり、磁性層600と複数の磁石800との間の磁気吸引によって可動部がそこで固定される。これにより、非強磁性の物品は、固定部と可動部との間でしっかりと保持される。
【0041】
図4は、本発明に係る別の実施形態の作業用手袋1000を示す。作業用手袋1000は、手袋本体を備える。手袋本体は、革やビニール、あるいは、人工繊維、綿、綿/ポリエステル混紡、ゴムなどの織物または編物を含むさまざまな材料によって構成されてもよく、これらに限定されない。手袋本体は、背面2000を有する。背面2000は、面ファスナーのフック側を備える矩形のパッチ3000を含む。パッチは、使いやすい任意の形状であってよい。パッチ3000は、接着剤、ステッチング、その他の適切な取付手段によって手袋1000の後側に取り付けられてもよい。
【0042】
作業用手袋100は、分解図に示される矩形の多層パウチ4000をさらに備える。パウチは、どのような形状であってもよい。パウチ4000は、被覆層5000、磁性材料からなる磁性層6000、取付層7000、および複数の磁石8000を備える。パウチ4000は、釘、ボルト、ナット、および、ねじ等の作業物品を、作業用手袋1000の背面2000に引き付けて保持するように機能する。
【0043】
被覆層5000は、外側層9000および内側層10000を含む。内側層10000は、メッシュ状またはネット状に形成されてもよい。外側層9000と内側層10000は、革やビニール、あるいは、人工繊維、綿、綿/ポリエステル混紡、ゴムなどの織物または編物を含むさまざまな材料によって構成されてもよく、これらに限定されない。
【0044】
被覆層50000は、例えば、ステッチングによって、磁性層60000の一辺にヒンジ式に取り付けられて、折り返しを形成する。被覆層5000は、被覆層5000の内側層10000が磁性層6000の第1側面に接触して被覆する係合位置から、被覆層5000が磁性層6000の第1側面と接触しない非係合位置まで、ヒンジの周りにおいて折りたたむことができる。
【0045】
被覆層5000が係合位置にある時、複数の磁石8000は、磁性層6000に磁気で付着している。隣接する磁石8000同士の磁気吸引や磁気反発を最小限にするため、複数の磁石800は、間隔をあけて配置される。磁石は、例えば、連続した横列や縦列に配置されてもよい。好ましくは、磁石は、左右対称に配置される。磁石は、左右非対称に配置されてもよい。この構成によれば、ユーザは、被覆層と磁性層とが磁気で係合した状態で、プラスチック製の帯状留め具や結束ひもなどの非金属の物品を、被覆層と磁性層との間で保持できる。
【0046】
取付層7000は、手袋本体のパッチ3000における面ファスナーのフック側に貼り付けるための面ファスナーのパイル側を含む。取付層7000は、磁性層6000の第2側面に取り付けられている。
【0047】
パウチ4000の外側層9000と内側層10000とは、接着剤、ステッチング、その他の適切な取付手段によって、互いに取り付けられてもよい。好ましくは、上記の層は、パウチ4000の外周において取り付けられる。パウチ4000は、パウチの内部空間へのアクセスを防ぐように密閉されてもよい。パウチは、パウチの内部空間へのアクセスのために開くことができる1つ以上の周辺部分を備えて、例えば、ユーザが磁石8000を位置変更したり、取り除いたり、追加したりできるようにしてもよい。
【0048】
パウチ4000の外側層9000と内側層10000とは、複数の磁石のそれぞれのための複数の個別の封入区画を共に形成する。例えば、内側層10000は、一連の位置で外側層9000に取り付けられて、個別の封入区画を形成してもよい。この構成によって、複数の磁石8000が磁性層6000の表面上で移動して互いに接触することが抑制される。内側層10000は、接着剤、ステッチング、その他の適切な取付手段によって外側層9000に取り付けられてもよい。
【0049】
本発明は、便宜上、図2および図4には左手用手袋として、図3には右手用手袋として示されている。本発明は、左手用と右手用のどちらの手袋にも等しく適用可能であることを理解されたい。
【0050】
当業者にとって、様々な変更が可能であることは明らかであるだろう。一実施形態において、パウチ4は、作業用手袋1の背面2に取り外し不可能に取り付けられてもよい。例えば、磁性層6は、接着剤、ステッチング、その他の適切な取付手段によって背面2に取り付けられてもよい。または、パウチ4は、作業用手袋1の背面2の裏側内部に取り付けられてもよい。
図1
図2
図3
図4