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特許7432767自動車フロント下部荷重経路用構造ノード、及び前記構造ノードの組立工程
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  • 特許-自動車フロント下部荷重経路用構造ノード、及び前記構造ノードの組立工程 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】自動車フロント下部荷重経路用構造ノード、及び前記構造ノードの組立工程
(51)【国際特許分類】
   B62D 21/00 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
B62D21/00 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022563396
(86)(22)【出願日】2020-04-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-01
(86)【国際出願番号】 IB2020053718
(87)【国際公開番号】W WO2021214514
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】515214729
【氏名又は名称】アルセロールミタル
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コルモン,ジャン-ルイ
(72)【発明者】
【氏名】ラエレック,エディト
(72)【発明者】
【氏名】デルシュ,ティエリー
【審査官】高瀬 智史
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-301649(JP,A)
【文献】米国特許第9168883(US,B1)
【文献】特開2011-255815(JP,A)
【文献】仏国特許出願公開第2971980(FR,A1)
【文献】独国特許出願公開第102004032802(DE,A1)
【文献】特開2015-217898(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 21/00
B60R 19/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造部品ノード(9)であって、短手方向クロスメンバ(12)に固定することができる前端部(8a)から後端部(8b)まで長手方向に延びる少なくともクラッシュボックス(8)と、サスペンションクレードル(6)に固定することができる後端部(7b)から、少なくとも前記クラッシュボックス(8)に固定される前端部(7a)まで延びるクラッシュエクステンダ(7)であって、上壁(711)、対向する下壁(712)及び2つの対向する横壁(713、714)によって画定される中空体(71)を具備する前記クラッシュエクステンダ(7)と、を備え、クラッシュボックス(8)の後端部(8b)が、クラッシュエクステンダ(7)の中空体(71)の前部自由縁部に面する後プレート(142)と、上プレート(141)であって、前記後プレート(142)に対して略垂直で、かつ前記クラッシュエクステンダ(7、7’、7’’)の前端部(7a)に位置するクラッシュエクステンダ連結具(13、13’、13’’)の連携する上プレート(131、131’、131’’)上で面接触して固定される上プレート(141)と、を備えるクラッシュボックス連結具(14)を備え、クラッシュエクステンダ連結具(13、13’、13’’)の上プレート(131、131’、131’’)は、クラッシュエクステンダ(7)の中空体(71)の上壁(711)上で面接触し、クラッシュエクステンダ連結具(13、13’、13’’)は、クラッシュエクステンダ(7、7’、7’’)の中空体(71)の下壁(712)と面接触する下プレート(132)を更に備え
構造部品ノードは、ハンガー(10)を更に備え、ハンガー(10)は、対応するクラッシュエクステンダ連結具(13)とクラッシュボックス連結具(14)の両方の上プレート(131、141)に対して略垂直で、かつフロントレール(3)に固定することができる上端部から、前記2つの上プレート(131、141)と面接触して固定される下プレート(101)を具備する下端部(10a)まで延びる、
構造部品ノード(9)。
【請求項2】
クラッシュエクステンダ連結具(13、13’、13’’)は、クラッシュエクステンダ(7、7’、7’’)の中空体(71)の対応する対向する横壁(712、713)と共に2つの対向するロックボリューム(14a、14b)を画定する2つの対向する横プレート(133、134)を備え、各ロックボリューム(14a、14b)は、少なくともクラッシュボックス連結具(14)の上プレート(141)と、クラッシュエクステンダ連結具(13、13’、13’’)の上プレート(131、131’、131’’)と下プレート(132、132’、132’’)と、を横切る少なくとも1つの締結具(15、16)を収容する、請求項1に記載の構造部品ノード(9)。
【請求項3】
クラッシュエクステンダ連結具(13)は前プレート(135)を更に備え、前プレート(135)は、その上プレート(131)に対して略垂直で、クラッシュエクステンダ(7)の中空体(71)の前部自由縁部に面し、クラッシュボックス連結具(14)の後プレート(142)上で面接触する、請求項1又は2に記載の構造部品ノード(9)。
【請求項4】
クラッシュエクステンダ連結具(13)の前プレート(135)は少なくとも1つの固定タブ(1351)を備え、少なくとも1つの固定タブ(1351)は、クラッシュエクステンダ(7)の中空体(71)の下壁(712)を越えて前記前プレート(135)と同じ平面内で延び、前記固定タブ(1351)が、クラッシュボックス連結具(14)の後プレート(142)と同じ平面内で延びる連携固定タブ(1421)と面接触して固定される、請求項3に記載の構造部品ノード(9)。
【請求項5】
クラッシュエクステンダ連結具(13)とクラッシュボックス連結具(14)の両方の固定タブ(1351、1421)は、各々、両方の固定タブ(1351、1421)を横切って固定する1つの締結具(18)を受容する少なくとも1つの同軸線のくり抜き部(135a、142a)を備える、請求項4に記載の構造部品ノード(9)。
【請求項6】
短手方向フロントクロスメンバ(11)を更に備え、短手方向フロントクロスメンバ(11)は、クラッシュボックス(8)、クラッシュエクステンダ(7)、及びハンガー(10)に対して略垂直で、かつ自動車下部荷重経路の側方反対側に位置する第2の構造部品ノード(9)に固定することができる第1の側方端部から、クラッシュエクステンダ連結具(13、13’、13’’)の下プレート(132、132’、132’’)と面接触して固定される終端プレート(111)を具備する第2の反対側の側方端部(11a)まで延びる、請求項1~のいずれか一項に記載の構造部品ノード(9)。
【請求項7】
2つの対向するロックボリューム(14a、14b)は、クラッシュボックス連結具(14)の上プレート(141)と、クラッシュエクステンダ連結具(13、13’、13’’)の上プレート(131、131’、131’’)と下プレート(132、132’、132’’)と、ハンガー(10)の下端部(10a)の下プレート(101)と、短手方向フロントクロスメンバ(11)の側方端部(11a)の終端プレート(111)とを横切って固定する少なくとも1つの締結具(15、16)を収容する、請求項2~のいずれか一項に記載の構造部品ノード(9)。
【請求項8】
構造部品ノード(9)を組み立てるための工程であって、
-短手方向フロントクロスメンバ(11)を設けて位置決めすることと、
-クラッシュエクステンダ(7)の後端部(7b)をサスペンションクレードル(6)内に設けて位置決めし、クラッシュエクステンダ連結具(13、13’、13’’)の下プレート(132、132’、132’’)を前記短手方向フロントクロスメンバ(11)の側方端部(11a)の終端プレート(111)に近接して設けて位置決めすることと、
-ハンガー(10)の下端部(10a)の下プレート(101)を、クラッシュエクステンダ連結具(13、13’、13’’)の上プレート(131)に近接して設けて位置決めすることと、
-クラッシュエクステンダ連結具(13、13’、13’’)、ハンガー(10)の下端部(10a)の下プレート(101)、短手方向フロントクロスメンバ(11)の側方端部(11a)の終端プレート(111)をクラッシュエクステンダ連結具(13、13’、13’’)の2つの対向するロックボリューム(14a、14b)を通って延びる締結具(15、16)で予め締結することと、
-クラッシュボックス連結具(14)をクラッシュエクステンダ連結具(13、13’、13’’)に近接して設けて位置決めすることであって、前記クラッシュボックス連結具(14)の上プレート(141)は、ハンガー(10)の下端部(10a)の下プレート(101)とクラッシュエクステンダ連結具(13、13’、13’’)の上プレート(131、131’、131’’)との間に配置されることと、
-クラッシュエクステンダ連結具(13、13’、13’’)、ハンガー(10)の下端部(10a)の下プレート(101)、短手方向フロントクロスメンバ(11)の側方端部(11a)の終端プレート(111)、及びクラッシュボックス連結具(14)を、クラッシュエクステンダ連結具(13、13’、13’’)の2つの対向するロックボリューム(14a、14b)を通って延びる締結具(15、16)を用いて締結することと
を備える、工程。
【請求項9】
クラッシュエクステンダ連結具(13)及びクラッシュボックス連結具(14)の固定タブ(1351、1421)を固定することを更に備える、請求項に記載の工程。
【請求項10】
請求項1~7のいずれか一項に記載の少なくとも1つの構造部品ノード(9)を備える、自動車。
【請求項11】
自動車下部荷重経路の側方反対側に各々が位置する2つの対向する構造部品ノード(9)を備える、請求項10に記載の自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車フロント下部荷重経路用の構造ノード、及び前記構造ノードの組立工程に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のフロント部分は、衝突の場合、特に、前面衝突時に車両の乗員を保護するのに不可欠な役割を果たす。車両のフロント部分は、衝撃吸収(衝撃によって生じる力の吸収及び消散)に関与し、乗員室への侵入を最小限に抑えることによって、乗員の安全を保証することができなければならない。
【0003】
衝突時の車両のフロント部分の挙動は、各国及び地域の車両安全評価機関が標準的な方法で記述した要件に従う。安全性をより高めるために、また、現実の前面衝突時に起こり得る全ての可能な状況が車両の設計構想中に実際に考慮されていることを確認するために、このような要件は絶えず強化されている。例えば、近年では、車幅の一部のみが前面衝突する場合をシミュレートするために、新しい一連の前面衝突試験が計画されている。このような試験は、米国道路安全保険協会(IIHS)のスモールオーバーラップ剛性障壁(SORB)によって先導されている。また、車と車が正面衝突した場合、対象車両だけでなく相手車両に与える損傷を考慮する新しい衝突試験世代も見かける。これは、例えば、前方可動式の変形可能な障壁(MPDB)を含む新しい欧州規制試験の場合である。
【0004】
衝突試験の要件が絶えず増加する一方で、電気自動車、ハイブリッド車、燃料電池車両への進化により、バッテリーパックやその他の機器の重量が重くなるために車両の総重量が増加する傾向があり、衝突時に吸収すべき運動エネルギーが増加する。したがって、車両のフロント構造は、前面衝突時に大きい荷重を吸収し、抵抗することがますます困難になっている。
【0005】
特に、高速衝突の場合にフロント部分の挙動を改善するために、このフロント部分を、衝突時に生じる力をいくつかの荷重経路に沿って分散させるように構成することが効果的である。最近の車両の概念では、車両の高さ方向に沿って上部、中間部及び下部に分配された荷重経路を設けることによって、前面衝突時の衝撃エネルギーを車両に分散させるという問題に取り組んでいる。そうすることによって、衝撃エネルギーは、捕捉され、少なくとも部分的に吸収された後、車両の両側を含む完全前面衝突の場合には6つの荷重経路を介して、また米国道路安全保険協会(IIHS)のスモールオーバーラップ剛性障壁(SORB)などの部分的オーバーラップ衝突の場合には3つの荷重経路を介して、車両の他の構造要素に分散される。本発明は、車両の下部荷重経路のフロント部分、より詳細には、下部荷重経路と中間部荷重経路とを接続するノードに重点を置いたものである。
【0006】
従来技術の車両のフロント部分1の中間部及び下部の荷重経路を示す図1を参照すると、中間部荷重経路2は、一般に、車両の長手方向XX’に延びる2つのフロントレール3(図1では1つのフロントレールのみが見える)と、前記フロントレール3に取り付けられたバンパービームアセンブリ4とを備える。
【0007】
下部荷重経路5は、一般に、サスペンションクレードル6を含み、そこから2つの対向するクラッシュエクステンダ70が接続される。これらのクラッシュエクステンダ70は、2つの対向するクラッシュボックス80に長手方向に接続され、クラッシュボックス80の前端部80aが短手方向クロスメンバ11に固定されている。クラッシュエクステンダ70は、クラッシュボックス80で吸収された後に残った衝突エネルギーを捕捉し、変形することでエネルギーの一部を吸収し、残ったエネルギーをサスペンションクレードル6に伝達するように構成されている。短手方向クロスメンバ11は、下部荷重経路アセンブリ全体の構造強度を高め、衝突時に車両の両側間の連携を促進するように構成されている。この最後の役割は、前述のSORB衝突試験などのパーシャルオーバーラップ衝突の場合に特に重要である。
【0008】
車両のフロント部分において、下部及び中間部の荷重経路は、鉛直のハンガー10によって両側で接続されている。鉛直のハンガー10は、車両のフロント部分の構造アセンブリを補強し、衝突の場合に下部荷重経路と中間部荷重経路との間の良好な連携を確実にする役割を有する。
【0009】
各側において、クラッシュエクステンダ70、クラッシュボックス80、短手方向クロスメンバ11、及びハンガー10の間の結合部は、構造部品ノード90を形成する。左右にある構造部品ノード90は、短手方向クロスメンバ11によって互いに連結されている。従来技術の構造部品ノード90の一例を図2に示す。
【0010】
下部荷重経路5の機械的強度の点でそれらの明らかな構造的有用性に加えて、2つの構造部品ノード90は、前面衝突時に下部荷重経路5と中間部荷重経路2の異なる要素の連携を促進する上で基本的な役割を果たす。まず第一に、2つのクラッシュエクステンダ70を短手方向フロントクロスメンバ11を介して互いに接続することによって、例えば、スモールオーバーラップ剛性障壁(SORB)衝突試験の場合など、2つのクラッシュエクステンダ70のうちの一方のみがインパクタにぶつかる場合であっても、他方の細長いクロスメンバ70が作用して衝撃のエネルギーを拡散させることが保証される。また、下部荷重経路5と中間部荷重経路2とを鉛直ハンガー10を介して接続することにより、両荷重経路が連携して衝突エネルギーを確実に吸収する。
【0011】
図2を参照すると、従来技術のクラッシュエクステンダ7oは、上壁7o11と、対向する下壁7o12と、2つの対向する横壁7o14、7o13とによって画定される中空体7o1を備える。前記クラッシュエクステンダ7oの前端部7oaは、この図に示されていない対応する構造部品ノード9oに取り付けることができる連結具13oに固定される。
【0012】
クラッシュエクステンダ連結具13oは、クラッシュエクステンダ7oの中空体7o1の上壁7o11と面接触する上プレート13o1と、クラッシュエクステンダ70の中空体7o1の下壁7o12と面接触する下プレート7o12と、クラッシュエクステンダ7oの中空体7o1の対向する横壁7o13、7o14と共に2つの対向するロックボリューム14a、14bを画定する2つの対向する横プレート13o3、13o4とを備え、各ロックボリューム14a、14bは、前記クラッシュエクステンダ連結具(13o)、次いでクラッシュエクステンダ7oを、クラッシュエクステンダ連結具13oの上プレート13o1に対して垂直に延び、かつその下端が前記上プレート13o1上で面接触しているハンガー10(図示せず)に固定するために、クラッシュエクステンダ連結具(13o)の上プレート7o11と下プレート7o12を横切る少なくとも1つの締結具、例えば、ボルトナットアセンブリ(図2には示されていない)を収容することができる。また、対向するロックボリューム14a、14b及びそれらの関連する締結具は、この図に示されていない短手方向フロントクロスメンバ11を固定することもできる。
【0013】
クラッシュエクステンダ連結具13oは、クラッシュボックス80と連携する連結具(図示せず)に固定可能な前プレート13o5を更に備える。
【0014】
構造部品ノード9oを組み立てるとき、クラッシュエクステンダ70、クラッシュボックス80、及び短手方向フロントクロスメンバ11は、クラッシュエクステンダ連結具13oの対向するロックボリューム14a、14bを横切る締結具によって一緒に固定され、クラッシュエクステンダ70は、クラッシュエクステンダ連結具13oの前プレート13o5によってクラッシュボックス8oに固定される。
【0015】
このような組立てでは、車両の総重量を増加させる締結具や接続プレートが含まれる。更に、このような組立てにより、その後の溶接の回数や長さが増えるため、作業者の組立て時間や製造コストの両方が増える。最後に、連結具と構造部品ノード9oの要素との間の連結は、前面衝突時に弱点となる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、本発明の目的は、その連結具を備えたクラッシュエクステンダ、その連結具を備えたクラッシュボックス、及び前記部品を備える構造部品ノードを設けることによって従来技術の欠点を改善することであり、これにより、組立作業を簡素化し、含まれる部品の数を減らし、製造生産性を高め、組立品の優れた機械強度及び衝突時の荷重経路の効率的な連携を保証する堅牢な構造部品ノードを提供することが可能になる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
このため、本発明は、短手方向クロスメンバに固定することができる前端部から後端部まで長手方向に延びる少なくともクラッシュボックスと、サスペンションクレードルに固定することができる後端部から少なくとも前記クラッシュボックスに固定される前端部まで延びるクラッシュエクステンダであって、上壁、対向する下壁、及び2つの対向する横壁によって画定される中空体を備える前記クラッシュエクステンダとを備え、クラッシュボックスの後端部は、クラッシュエクステンダの中空体の前部自由縁部に面する後プレートと、前記後プレートに対して実質的に垂直で、かつ前記クラッシュエクステンダの前端部に位置するクラッシュエクステンダ連結具の連携する上プレート上で面接触して固定される上プレートと、を具備するクラッシュボックス連結具を備え、クラッシュエクステンダ連結具の上プレートは、クラッシュエクステンダの中空体の上壁と面接触し、クラッシュエクステンダ連結具は、クラッシュエクステンダの中空体の下壁と面接触する下プレートを更に備える、構造部品ノードに関する。
【0018】
単独で、又は任意の可能な技術的組合せに従って考慮される、本発明による構造部品ノードの他の任意選択の特徴によれば、
-クラッシュエクステンダ連結具は、2つの対向するロックボリュームを、クラッシュエクステンダの中空体の対応する対向する横壁と共に画定する2つの対向する横プレートを備え、各ロックボリュームは、少なくともクラッシュボックス連結具の上プレートと、クラッシュエクステンダ連結具の上プレートと下プレートとを横切る少なくとも1つの締結具を収容する。
-クラッシュエクステンダ連結具は、その上プレートに対して実質的に垂直で、クラッシュエクステンダの中空体の後部自由縁部に面し、クラッシュボックス連結具の前プレート上で面接触する、前プレートを更に備える。
-クラッシュエクステンダ連結具の後プレートは、クラッシュエクステンダの中空体の下壁を越えて、前記後プレートと同一平面内で延びる少なくとも1つの固定タブを備え、前記固定タブは、クラッシュボックス連結具の前プレートと同じ平面内で延びる連携固定タブと面接触して固定される。
-クラッシュエクステンダ連結具とクラッシュボックス連結具の両方の固定タブはそれぞれ、両方の固定タブを横切って固定する1つの締結具を受け入れる少なくとも1つの同軸のくり抜き部を備える。
-構造部品ノードは、対応するクラッシュエクステンダ連結具とクラッシュボックス連結具の両方の上プレートに対して垂直で、フロントレールに固定できる上端部から、前記2つの上プレートと面接触して固定される下プレートを備える下端部まで延びるハンガーを更に備える。
-構造部品ノードは、クラッシュボックス、クラッシュエクステンダ、及びハンガーに対して実質的に垂直で、かつ自動車下部荷重経路の側方反対側に位置する第2の構造部品ノードに固定できる第1の側方端部から、クラッシュエクステンダ連結具の下プレートに面接触して固定される終端プレートを備える反対側の第2の側方端部まで延びる、短手方向フロントクロスメンバを更に備える。
-クラッシュエクステンダ連結具の2つの対向するロックボリュームは、クラッシュボックス連結具の上プレート、クラッシュエクステンダ連結具の上プレートと下プレート、ハンガーの下端部の下プレート、及び短手方向フロントクロスメンバの側方端部の終端プレートを横切って固定する少なくとも1つの締結具を収容する。
【0019】
本発明は更に、構造部品ノードを組み立てるための工程に関し、以下の、 -短手方向フロントクロスメンバを設けて位置決めすることと、
-クラッシュエクステンダの後端部をサスペンションクレードル内に設けて位置決めし、クラッシュエクステンダ連結具の下プレートを前記短手方向フロントクロスメンバの側方端部の終端プレートに近接して設けて位置決めすることと、
-ハンガーの下端部の下プレートをクラッシュエクステンダ連結具の上プレートに近接して設けて位置決めすることと、
-クラッシュエクステンダ連結具、ハンガーの下端部の下プレート、及び短手方向フロントクロスメンバの側方端部の終端プレートを、クラッシュエクステンダ連結具の2つの対向するロックボリュームを通って延びる締結具で予め締結することと、
-クラッシュボックス連結具をクラッシュエクステンダ連結具に近接して設けて位置決めするステップであって、前記クラッシュボックス連結具の上プレートは、ハンガーの下端部の下プレートとクラッシュエクステンダ連結具の上プレートとの間に配置されることと、
-クラッシュエクステンダ連結具、ハンガーの下端部の下プレート、短手方向フロントクロスメンバの側方端部の終端プレート、及びクラッシュボックス連結具を、クラッシュエクステンダ連結具の2つの対向するロックボリュームを通って延びる締結具を用いて締結することと、
を備える
【0020】
本発明による組立工程の任意選択の特徴によれば、本工程は、クラッシュエクステンダ連結具の固定タブ及びクラッシュボックス連結具の固定タブを固定することを更に含む。
【0021】
本発明は更に、上記の少なくとも1つの構造部品ノードを備える自動車、及びそれぞれが自動車下部荷重経路の側方反対側に位置する、上記2つの対向する構造部品ノードを備える自動車に関する。
【0022】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の説明においてより詳細に説明される。
【0023】
本発明は、以下の説明を読むことによってよりよく理解されるであろうし、以下の説明は、単に説明の目的で提供され、決して制限することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】既に説明した、従来技術に係る車両のフロント部分の中間部及び下部荷重経路の下方斜視図である。
図2】既に説明した、従来技術の連結具を備えたクラッシュエクステンダの斜視図である。
図3】本発明の第1の実施形態による連結具を備えたクラッシュエクステンダの斜視図である。
図4】本発明の第1の実施形態のクラッシュエクステンダのクラッシュエクステンダ連結具の斜視図である。
図5】本発明のクラッシュボックスのクラッシュボックス連結具の斜視図である。
図6】本発明の第1の実施形態の構造部品ノードの背面斜視図である。
図7】本発明の第1の実施形態の構造部品ノードの上方からの正面斜視図である。
図8】本発明の第1の実施形態の構造部品ノードの下方からの背面斜視図である。
図9】本発明の第1の実施形態の構造部品ノードの縦断面図である。
図10】本発明の第2の実施形態による連結具を備えたクラッシュエクステンダの前端部の斜視図である。
図11】本発明の第2の実施形態の構造部品ノードの上方からの背面斜視図である。
図12】本発明の第3の実施形態のクラッシュエクステンダ連結具の斜視図である。
図13】本発明の第3の実施形態の構造部品ノードの上方からの背面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本出願で使用される用語「下(lower)」、「上(top)」、「鉛直(vertical)」、「水平(horizontal)」、「前(front)」、「後(rear)」、及び「背部(back)」は、これらの部分が自動車上の組み立てられた位置にあるときのクラッシュエクステンダ、クラッシュボックス、及び構造部品ノードの異なる部分の位置及び向きを指すことに留意されたい。
【0026】
「略垂直」という用語は、90°±15°の角度、すなわち75°~105°の角度を指すことに留意されたい。「略水平」及び「略鉛直」という用語は、それぞれ水平面と比較して0°±15°及び鉛直と比較して0°±15°の角度を有する方向を指す。
【0027】
本発明の主な特徴は、クラッシュボックス連結具とクラッシュエクステンダ連結具とを備える構造部品ノードを提供することであり、それぞれは略水平面内で延びる上プレートを有し、クラッシュエクステンダとクラッシュボックスとを直接互いに固定することを可能にする。有利には、前記構造部品ノードは、更に任意選択的に、ハンガー及び短手方向フロントメンバとの連結を備えることができる。本発明を適用することにより、前記構造部品ノードを組み立てるのに必要な溶接作業の量を低減し、アセンブリに対する高い構造強度を確保し、前面衝突時に車両の下部荷重経路と中間部荷重経路との間及び車両の左側と右側との間での効率的な連携による、堅牢な構造部品ノードを提供することが可能である。
【0028】
本発明の第1の実施形態を説明するために図3図9を参照する。最初に図3及び図4を参照すると、従来技術と同様に、本発明のクラッシュエクステンダ7は、サスペンションクレードル6(図1)に固定できる後端部7bから、本発明のクラッシュボックス8、より具体的にはクラッシュボックス連結具14に固定できる前端部7aまで延びるように意図されている。
【0029】
クラッシュエクステンダ7は、上壁711と、対向する下壁712と、2つの対向する横壁712、713とによって画定される中空体71を備える。クラッシュエクステンダ連結具13は、クラッシュエクステンダ7の前端部7aに固定される。クラッシュエクステンダ連結具13は、中空体71の上壁711と面接触する上プレート131と、クラッシュエクステンダ7の中空体71の下壁712と面接触する下プレート132と、中空体71の対向する横壁713、714と共に、2つの対向するロックボリューム14a、14b(図8参照)を画定する2つの対向する横プレート133、134とを備え、各ロックボリューム14a、14bは、例えば、ボルトナットアセンブリなどの1つの締結具15、16を収容するが、この機能性が更に説明されることになろう。クラッシュエクステンダ連結具13の上プレート131と下プレート132は、それぞれ、互いに対向する2つのセットのくり抜き部131a、131b及び132a、132bを備え、それぞれが対応するロックボリューム14a、14bに開口し、対応する締結具15、16が上プレート131から下プレート132まで貫通する。この実施形態では、くり抜き部131a、131b及び132a、132bは穴であるが、対向する横プレート133、134に向かって延びる切り欠き部であってもよい。
【0030】
この実施形態では、クラッシュエクステンダ連結具13は、その上プレート131に対して略垂直で、かつクラッシュエクステンダ7の中空体71の前部自由縁部に面する前プレート135を更に備える。前プレート135は、クラッシュエクステンダ7の中空体71の下壁712を越えて前プレート135と同じ平面内で延びる1つの固定タブ1351を備える。固定タブ1351は、後で更に詳細に説明するように、クラッシュエクステンダ連結具13とクラッシュボックス連結具14との間のより良好な固定効率を確実にするために、ボルトナットアセンブリなどの締結具18(図9)を受け入れるくり抜き部135aを備える。この実施形態では、くり抜き部135aは穴であるが、切欠きであってもよい。
【0031】
図5を参照すると、本発明のクラッシュボックス8は、短手方向クロスメンバ12(図1参照)に固定することができる前端部8aから、より具体的にはクラッシュエクステンダ連結具13に対してクラッシュエクステンダ7に固定することができる後端部8bまで延びるように意図されている。クラッシュボックス8は、上壁と、対向する下壁と、2つの対向する横壁とによって画定される中空体81を備える。クラッシュボックス連結具14は、クラッシュボックス8の後端部8bに固定される。
【0032】
クラッシュボックス連結具14は、クラッシュボックス連結具14とクラッシュエクステンダ連結具13とが一緒に固定されたときにクラッシュエクステンダ連結具13の前プレート135と面接触する後プレート142と、クラッシュボックス連結具14とクラッシュエクステンダ連結具13とが一緒に固定されたときに前記後プレート142に対して実質的に垂直で、かつクラッシュエクステンダ連結具13の上プレート131と面接触する上プレート141とを備える。
【0033】
クラッシュボックス連結具14の上プレート141は、クラッシュボックス連結具14とクラッシュエクステンダ連結具13とが一緒に固定されたときに、クラッシュエクステンダ連結具13の上プレートの連携穴131a、131bと整合するように構成された2つのくり抜き部141a、141bを備える。この実施形態では、くり抜き部141a、141bは、ハンガー10がクラッシュボックス8よりも先にノード9に組み付ける組立工程に適応させるための切り欠き部である。別の組立工程を考慮すると、くり抜き部141a、141bは穴であってもよい。
【0034】
次いで、クラッシュボックス連結具14の上プレート141の切り欠き部141a、141bは、更に詳細に説明するように、クラッシュエクステンダ7、クラッシュボックス8、ハンガー10、及びフロントクロスメンバ11を一緒に固定するために、それぞれの締結具15、16(図9)を受容することができる。切り欠き部141a、141bは、吸収要素連結具14の上プレート141の前部自由縁部141cに位置し、後方に向かって開いているが、その理由は、得られる構造部品ノードを形成する組立工程を詳述するときに説明することにする。
【0035】
クラッシュボックス14の後プレート142は、前記後プレート142と同じ平面内で延び、かつクラッシュエクステンダ連結具13の固定タブ1351と面接触する固定タブ1421を備える。
【0036】
固定タブ1421はくり抜き部142aを備え、くり抜き部142aは、クラッシュボックス連結具14とクラッシュエクステンダ連結具13とが一緒に固定されたときに、くり抜き部142aの位置がクラッシュエクステンダ連結具13の固定タブ1351の連携穴135aと一致するように構成される。この実施形態では、くり抜き部142aは穴であるが、切欠きであってもよい。したがって、固定タブ1421の穴142aは、締結具18(図9)を受け入れることができるため、既に説明した締結具15及び16に加えて、クラッシュエクステンダ連結具13とクラッシュボックス連結具14との間の追加の締結を確実にすることができる。
【0037】
この追加の締結位置は、車両の長手方向に対して略垂直な向きにある2つの固定タブ1351と1421を一緒に固定するため、特に効果的である。締結具15及び16に対応する既に説明した締結位置により、上プレート131と141が一緒に固定される。前記上プレートは、車両の長手方向に略平行に向いている。前面衝突の場合、衝撃力は車両の長手方向に実質的に平行になる。したがって、衝撃力は、上プレート131と141を相対的に摺動させる傾向を有するが、固定タブ1351と1421を互いに押し付ける傾向を有することになる。結果として、衝撃力は、摺動効果に抵抗する必要がある締結具15、16に深刻な変形を加えるが、前記衝撃力は、実際には固定タブ1351と1421との間のアセンブリを強化することになる。したがって、前記タブ及び締結具18の存在により、前面衝突の場合にエネルギー吸収装置8とクラッシュエクステンダ7との間のアセンブリの強度が補強される。したがって、衝突時の車両の挙動を改善し、車両の乗員を保護するのに役立つ。
【0038】
車両の片側のみが衝撃を受けるスモールオーバーラップ剛性障壁(SORB)前面衝突という特定の場合にも上記と同じ推論を適用することができる。この場合、衝撃を受けた側は、前の段落で説明した効果で、衝撃力に直接さらされる。一方、車両の反対側に位置するクラッシュエクステンダ/クラッシュボックスアセンブリは、衝撃力を直接受けるのではなく、衝撃力の影響下での短手方向フロントクロスメンバ12の移動及び/又はフロントクロスメンバ11の移動に起因して、実質的に鉛直な軸線を有するねじりモーメントを受ける。この場合も、前記ねじりモーメントの影響を受けて、2つの上プレート131と141は、相対的に摺動する傾向がある。一方、固定タブ1351と1421は、再び互いに押し付けれることになる。その結果、固定タブと追加の締結具18の存在により、車両の両側でのSORB型衝突の場合に、アセンブリが強化されることにもなる。
【0039】
構造部品ノード9は、図6図9を参照して説明する。構造部品ノード9は、既に説明したクラッシュエクステンダ7と、既に説明したクラッシュボックス8とを備える。構造部品ノード9はまた、対応するクラッシュエクステンダ連結具13とクラッシュボックス連結具14の両方の上プレート131、141に対して実質的に垂直で、かつフロントレール3(図1)に固定できる図示されていない上端部から、クラッシュボックス連結具14の上プレート141と面接触する下プレート101を備える下端部10aまで延びる、ハンガー10を備える。構造部品ノード9は、クラッシュボックス8、クラッシュエクステンダ13及びハンガー10に対して実質的に垂直で、かつ自動車下部荷重経路の側方反対側に位置する第2の構造部品ノード9に固定できる図示されていない第1の側方端部から、クラッシュエクステンダ連結具13の下プレート132と面接触する終端プレート111を備える反対側の第2の側方端部11aまで延びる、短手方向フロントクロスメンバ11を更に備える。
【0040】
本発明の構造部品ノード9において、クラッシュボックス連結具14は、クラッシュエクステンダ連結具13に接触して組み立てられる。このとき、クラッシュボックス連結具14の上プレート141の下面は、クラッシュエクステンダ連結具13の上プレート131の上面と面接触し、クラッシュボックス連結具14の前プレート142の前面がクラッシュエクステンダ連結具13の後プレート135の後面と面接触する。この構造部品ノード9において、ハンガー10の下プレート101の下面は、クラッシュボックス連結具14の上プレート141の上面と面接触している。最後に、短手方向フロントクロスメンバ11の終端プレート111の上面は、クラッシュエクステンダ連結具13の下プレート132の下面と面接触している。クラッシュエクステンダ連結具13は、短手方向フロントクロスメンバ11の終端プレート111とクラッシュボックス連結具14の上プレート141との間に挟まれ、この後に、クラッシュエクステンダ連結具13の上プレート131とハンガー10の下プレート101との間に挟まれる。
【0041】
ハンガー10の下プレート101は、クラッシュボックス連結具14の2つの切り欠き部141a、141b及びクラッシュエクステンダ連結具13の上プレート131の2つの穴131a、131bと整合するように構成された2つの穴19(図9)を備える。同様に、短手方向フロントクロスメンバ11の終端プレート111も、クラッシュエクステンダ連結具13の下プレート132の2つの穴132a、132bに面するように構成された2つの穴20(図9)を備える。
【0042】
この4つの要素は、2つの締結具15、16によって一緒に固定され、2つの締結具15、16は、ハンガー10の下プレート101の穴19、クラッシュボックス連結具14の上プレート141の切り欠き部141a、141b、クラッシュエクステンダ連結具13の上プレート131の穴131a、131b、クラッシュエクステンダ連結具13の対向するロックボリューム14a、14b、クラッシュエクステンダ連結具13の下プレート132の穴132a、132b、及び短手方向フロントクロスメンバ11の終端プレート111の穴20を貫通して挿入される。前記締結具15、16は、4つの要素のアセンブリを維持するために略水平な圧縮力をかけている。よく理解されるように、特定の実施形態では、4つの要素のアセンブリを更に補強するために、更なる穴、切り欠き、及び締結具を考えることができる。クラッシュボックス連結具14とクラッシュエクステンダ連結具13は、更に、クラッシュボックス連結具14の固定タブ1421の穴142aとクラッシュエクステンダ連結具13の固定タブ1351の穴135aを締結具18が横切ることで一緒に固定されている(図9)。
【0043】
本発明のクラッシュエクステンダ7と本発明のクラッシュボックス8の結果、構造部品ノード9に関わる4つの部品を固定するために必要な締結具は、少なくとも2つだけである。締結具18により、本発明のクラッシュエクステンダ7とクラッシュボックス8をより良好に固定することが可能になる。少なくとも2つの締結具しか必要としないこの要件は、主に、クラッシュエクステンダ連結具13の上プレート131とクラッシュボックス連結具14の上プレート141に起因しており、これらは両方ともに、クラッシュエクステンダ7をクラッシュボックス8及びハンガー10に固定することを可能にする。
【0044】
更に、本発明のクラッシュエクステンダ7と本発明のクラッシュボックス8は、図2の最新式のクラッシュエクステンダよりも溶接長さが少なくとも1/3になり、約500グラムの重量減少を伴う。
【0045】
上記の構造部品ノード9を組み立てるための本発明の工程は、以下のステップを備える。
-短手方向フロントクロスメンバ11を設けて位置決めするステップ、
-クラッシュエクステンダ7の後端部7bをサスペンションクレードル6内に設けて位置決めし、クラッシュエクステンダ連結具13の下プレート132を短手方向フロントクロスメンバ11の終端プレート111の近くに設けて位置決めするステップ、
-ハンガー10の下端部10aの下プレート101を、クラッシュエクステンダ連結具13の上プレート131に近接して設けて位置決めするステップ、
-穴19、131a/131b、ロックボリューム14a、14b、穴132a/132b、並びに穴20に締結具15、16を挿通し、クラッシュエクステンダ連結具13、ハンガー10の下端部10aの下プレート101、及び短手方向フロントクロスメンバ11の終端プレート111を予め締結するステップ。予備締結によって、締結具15及び16によってアセンブリに加えられる圧縮力は、後続の組立てステップの目的のためにアセンブリを一緒に固定するのに十分であるが、その一方で、後で説明するように、クラッシュボックス連結具14を挿入できるように十分に低いことを意味する。
-クラッシュボックス連結具14をクラッシュエクステンダ連結具13に近接して設けて位置決めし、前記クラッシュボックス連結具14の上プレート141は、ハンガー10の下端部10aの下プレート101とクラッシュエクステンダ連結具13の上プレート131との間に配置されるステップであって、このような挿入は、切り欠き部141a、141bの開いた構成の結果として可能であり、前記切り欠き部は、予備締結作業の結果により、まだ所定の位置にある締結具15、16を取り囲むことができ、締結具15、16によってかけられる圧縮力を増大させることによって構造部品ノード9の組立てを完了するステップ、
-次いで、クラッシュエクステンダ連結具13とクラッシュボックス連結具14のそれぞれの固定タブ1351、1421は、これらを締結具18で締結することによって固定されるステップ。
【0046】
本発明の上記の組立工程は、ハンガー10、クラッシュエクステンダ連結具13及びクラッシュボックス連結具14の固定が1回の操作で同時に実行されるため、従来技術の工程と比べてステップが大幅に少ない。更に、本発明の上記の組立工程は、溶接作業が著しく少なく、その結果、工程の期間とコストの両方が減少する。
【0047】
図10及び図11を参照すると、本発明の第2の実施形態は、クラッシュエクステンダ7’のクラッシュエクステンダ連結具13’の構造的構成のみが第1の実施形態と異なる。主な違いは、クラッシュエクステンダ連結具13’が、後プレートも関連する固定タブも備えないという事実に関する。次に、このクラッシュエクステンダ連結具13’は、クラッシュエクステンダ7’の中空体71の上壁711と面接触している上プレート131’とクラッシュエクステンダ7’の中空体71の下壁712と面接触している下プレート132’と、中空体71の対向する横壁713、714と共に2つの対向するロックボリューム14a’、14b’を画定する2つの対向する内側横プレート133’、134’とを備え、各ロックボリューム14a’、14b’は、機能性が第1の実施形態と同じである1つの締結具15、16を収容する。クラッシュエクステンダ連結具13’は、特定の実施形態では、図10及び図11に示すように、2つの対向する内側横プレート133’、134’と共に2つの対向する外側ボリューム14c’、14d’とを画定する2つの対向する外側横プレート136’、137’を任意選択的に備えることができる。有用には、前記横プレート136’と137’は、クラッシュエクステンダ13’の構造強度を高める。
【0048】
特定の実施形態では、図10に示すように、クラッシュエクステンダ連結具13’と中空体71は、例えば釘などの締結具22で一緒に任意選択的に固定され、締結具22、クラッシュエクステンダ連結具13’の上プレート131’と中空体71の上壁711、及び/又はクラッシュエクステンダ連結具13’の下プレート132’と中空体71の下壁712を横切る。クラッシュエクステンダ連結具13’は、組立工程中にクラッシュエクステンダ連結具の前端部7aが自然に載ることになる前プレート135を備えないので、締結具22を使用してクラッシュエクステンダ連結具13’を中空体71に予め固定することにより、より堅牢で正確な組立工程が可能になる。
【0049】
図11に示すように、第2の実施形態の結果として得られる構造部品ノード9’は、クラッシュエクステンダ連結具用の後プレートがない場合、クラッシュボックス14の前プレート142が、クラッシュエクステンダ連結具13’の後縁部とクラッシュエクステンダ7’の中空体71’の自由縁部と面接触している以外は、第1の実施形態の構造部品ノード9と同様に配置されている。
【0050】
図12及び図13を参照すると、本発明の第3の実施形態もまた、本発明の第1の実施形態とは、クラッシュエクステンダ7’’のクラッシュエクステンダ連結具13’’の構造的構成のみが異なる。第2の実施形態に関して、主な違いは、クラッシュエクステンダ連結具13’が後プレートも、関連する固定タブも備えないという事実に関する。このクラッシュエクステンダ連結具13’’は、クラッシュエクステンダ7’の中空体71の上壁711と面接触する上プレート131’’と、クラッシュエクステンダ7’の中空体71の下壁712と面接触する下プレート132’’と、中空体71の対向する横壁713、714と共に2つの対向するロックボリューム14a’’、14b’’を画定する2つの対向する横プレート133’’、134’’とを備え、各ロックボリューム14a’’、14b’’は、その機能性が第1の実施形態と同じである少なくとも1つの締結具15、16を収容する。
【0051】
この実施形態では、クラッシュエクステンダ連結具13’’は、クラッシュエクステンダ連結具13’’の上プレート131’’の穴131a’’、132a’’とクラッシュエクステンダ連結具13’’の下プレート132’’の穴(図上では見えない)と連通する2つの鉛直な管状ガイド138’’、139’’を更に備える。このような管状ガイドは、クラッシュボックス連結具14の前プレート141、クラッシュエクステンダ連結具13’’の前プレート131’’、クラッシュエクステンダ連結具13’’の下プレート132’’、及び短手方向フロントクロスメンバ11の終端プレート111を横切る締結具15、16を収容するように構成される(図13)。
【0052】
図13に示すように、第2の実施形態の結果として得られる構造部品ノード9’’(ハンガーはこの図には示されていない)は、クラッシュボックス14の前プレート142が、クラッシュエクステンダ連結具13’’の後縁部及びクラッシュエクステンダ7’の中空体71’の自由縁部と面接触しているという点で、第2の実施形態の構造部品ノード9’と同様に配置される。
【0053】
第2及び第3の実施形態の構造部品ノード9’、9’’を組み立てる工程は、第1の実施形態の構造部品ノード9を組み立てる工程と同じである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13