(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】ガラスクロス、ガラスクロスの製造方法、プリプレグ、プリント配線板
(51)【国際特許分類】
D03D 15/267 20210101AFI20240208BHJP
D03D 1/00 20060101ALI20240208BHJP
D06C 27/00 20060101ALI20240208BHJP
C08J 5/24 20060101ALI20240208BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
D03D15/267
D03D1/00 A
D06C27/00 Z
C08J5/24
H05K1/03 610T
(21)【出願番号】P 2023517991
(86)(22)【出願日】2023-03-02
(86)【国際出願番号】 JP2023007843
(87)【国際公開番号】W WO2023167283
(87)【国際公開日】2023-09-07
【審査請求日】2023-03-17
(31)【優先権主張番号】P 2022032046
(32)【優先日】2022-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【氏名又は名称】齋藤 都子
(74)【代理人】
【識別番号】100135895
【氏名又は名称】三間 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】100190137
【氏名又は名称】大谷 仁郎
(72)【発明者】
【氏名】深谷 結花
【審査官】印出 亮太
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-001902(JP,A)
【文献】国際公開第2021/251103(WO,A1)
【文献】特開2010-084236(JP,A)
【文献】特開2016-084567(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0140885(US,A1)
【文献】特開2002-293579(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 11/16
B29B 15/08 - 15/14
C08J 5/04 - 5/10
C08J 5/24
D03D 1/00 - 27/18
C03C 25/00 - 25/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本のガラスフィラメントを含むガラス糸を、経糸及び緯糸として製織して成り、かつ、表面処理剤で表面処理された、ガラスクロスであって、
前記ガラスクロスを構成するフィラメント径が、3~8μmであり、
前記ガラスクロスをエポキシ樹脂で包埋し該樹脂を硬化させた後、
得られる硬化物を切断して前記ガラスクロスの断面を露出させ、次いで、前記ガラスクロスの断面を
、走査型電子顕微鏡を用いて2000倍の倍率で観察したとき、前記フィラメント同士の接着割合(互いに接着するフィラメントの接着点数/フィラメントの総数)が0超え0.70以下である、ガラスクロス。
【請求項2】
前記接着割合が0.60以下である、請求項
1に記載のガラスクロス。
【請求項3】
前記ガラスクロスの厚さが、40μm未満である、請求項1又は2に記載のガラスクロス。
【請求項4】
前記ガラスクロスの厚さが、35μm未満である、請求項1又は2に記載のガラスクロス。
【請求項5】
前記ガラスクロスの厚さが、25μm以下である、請求項1又は2に記載のガラスクロス。
【請求項6】
前記ガラスクロスの厚さが、20μm以下である、請求項1又は2に記載のガラスクロス。
【請求項7】
前記ガラスクロスに付着した微粒子数が100個/μm以下である、請求項1又は2に記載のガラスクロス。
【請求項8】
強熱減量値が、0.10~1.20質量%である、請求項1又は2に記載のガラスクロス。
【請求項9】
Roll-to-Rollにより張力100N/1000mmをかけた場合に観察される、長さ1mm以上の毛羽の数が10個/m
2以下である、請求項1又は2に記載のガラスクロス。
【請求項10】
緯糸の目曲がり率が4%以下である、請求項1又は2に記載のガラスクロス。
【請求項11】
請求項1又は2に記載のガラスクロスと、前記ガラスクロスに含浸したマトリックス樹脂組成物と、を有するプリプレグ。
【請求項12】
請求項1又は2に記載のガラスクロスと、前記ガラスクロスに含浸したマトリックス樹脂組成物の硬化物と、を有するプリント配線板。
【請求項13】
請求項1又は2に記載のガラスクロスを製造する方法であって、
ドライアイスブラスト加工によりガラスクロスを開繊する工程を有する、ガラスクロスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスクロス、ガラスクロスの製造方法、プリプレグ、プリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器に用いられるプリント配線板の基材として、ガラスクロスが広く使用されている。近年、スマートフォン等の情報端末の、高性能化及び高速通信化に伴い、プリント配線板の低誘電化(例えば、低誘電率化及び低誘電正接化)が進行している。プリント配線板の低誘電化の要求に応えるために、基材を構成する材料に関して、シランカップリング剤により処理されたガラスクロスと、ポリフェニレンエーテル等の低誘電樹脂(以下、「マトリックス樹脂」とも称する。)と、が用いられ、ガラスクロスに低誘電樹脂を含浸させる手法が採られている。
【0003】
ポリフェニレンエーテル等の低誘電樹脂は、従来から既知のエポキシ樹脂等と比較して、粘度が高い傾向があるため、基板中のガラス繊維糸束における樹脂未含浸部分(ボイド)ができやすく、CAF(Conductive Anodic Filaments)が問題になり易い。そのため、樹脂含浸性をより一層高めることにより耐CAF性を向上させる必要がある。
【0004】
一般に、ガラスクロスへの樹脂含浸性改善は、柱状流、若しくはスプレー流を使用する方法、バイブロウォッシャーによる方法、又は液体を媒体とした高周波振動による方法等の、ガラスクロスへの開繊加工という形で実施されている。樹脂含浸性を改善するための方法として、ガラスクロスをコロイダルシリカ含有液に浸漬させて開繊する方法(特許文献1参照)、コロイダルシリカ含有液をガラス繊維集束剤として利用する方法(特許文献2参照)、樹脂微粒子とエラストマー微粒子との水分散液にガラスクロスを浸漬させる方法(特許文献3参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-84236号公報
【文献】特開平9-208268号公報
【文献】特開2018-115225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ガラスクロスに関して、ポリフェニレンエーテル等の、高粘度の低誘電樹脂に対して、更なる含浸性向上が切望されている背景があった。特許文献1~3に記載の方法では、いずれも、含侵性に改善の余地があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、低誘電樹脂との良好な含浸性を得ることができるガラスクロス、及びその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、該ガラスクロスを用いたプリプレグ及びプリント配線板を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために検討した結果、ガラスクロスの接着割合に着目し、かつこれを所定範囲に調整することで、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明の完成に至った。
【0008】
すなわち、本発明の一態様は、以下のとおりである。
[1]
複数本のガラスフィラメントを含むガラス糸を、経糸及び緯糸として製織して成り、かつ、表面処理剤で表面処理された、ガラスクロスであって、
前記ガラスクロスをエポキシ樹脂で包埋し該樹脂を硬化させた後、前記ガラスクロスの断面を観察したとき、前記フィラメント同士の接着割合(互いに接着するフィラメントの接着点数/フィラメントの総数)が0超え0.80以下である、ガラスクロス。
[2]
前記樹脂を硬化させた後、得られる硬化物を切断して前記ガラスクロスの断面を露出させ、次いで、前記ガラスクロスの断面を、走査型電子顕微鏡を用いて2000倍の倍率で観察したとき、前記接着割合が0.80以下である、項目1に記載のガラスクロス。
[3]
前記接着割合が0.70以下である、項目1又は2に記載のガラスクロス。
[4]
前記接着割合が0.60以下である、項目1~3のいずれか1項に記載のガラスクロス。
[5]
前記ガラスクロスの厚さが、40μm未満である、項目1~4のいずれか1項に記載のガラスクロス。
[6]
前記ガラスクロスの厚さが、35μm未満である、項目1~5のいずれか1項に記載のガラスクロス。
[7]
前記ガラスクロスの厚さが、25μm以下である、項目1~6のいずれか1項に記載のガラスクロス。
[8]
前記ガラスクロスの厚さが、20μm以下である、項目1~7のいずれか1項に記載のガラスクロス。
[9]
前記ガラスクロスに付着した微粒子数が100個/μm以下である、項目1~8のいずれか1項に記載のガラスクロス。
[10]
強熱減量値が、0.10~1.20質量%である、項目1~9のいずれか1項に記載のガラスクロス。
[11]
Roll-to-Rollにより張力100N/1000mmをかけた場合に観察される、長さ1mm以上の毛羽の数が10個/m2以下である、項目1~10のいずれか1項に記載のガラスクロス。
[12]
緯糸の目曲がり率が4%以下である、項目1~11のいずれか1項に記載のガラスクロス。
[13]
項目1~12のいずれか1項に記載のガラスクロスと、前記ガラスクロスに含浸したマトリックス樹脂組成物と、を有するプリプレグ。
[14]
項目1~12のいずれか1項に記載のガラスクロスと、前記ガラスクロスに含浸したマトリックス樹脂組成物の硬化物と、を有するプリント配線板。
[15]
項目1~12のいずれか1項に記載のガラスクロスを製造する方法であって、
ドライアイスブラスト加工によりガラスクロスを開繊する工程を有する、ガラスクロスの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、低誘電樹脂との良好な含浸性を得ることができるガラスクロス、及びその製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、該ガラスクロスを用いたプリプレグ及びプリント配線板を提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態における「接着割合」の算出手法を説明するためのSEM写真。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。本実施形態において、「~」を用いて記載した数値範囲は、「~」の前後に記載された数値をその範囲内に含む。また、本実施形態において、段階的に記載されている数値範囲では、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えることができる。更に、本実施形態において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示された値に置き換えることもできる。
【0012】
〔概略構成〕
本実施形態に係るガラスクロスは、
複数本のガラスフィラメントを含むガラス糸を、経糸及び緯糸として製織して成り、かつ、表面処理剤で表面処理された、ガラスクロスであって、
上記ガラスクロスをエポキシ樹脂で包埋し該樹脂を硬化させた後、そのガラスクロスの断面を観察したとき、フィラメント同士の接着割合が0超え0.80以下である。かかるガラスクロスによれば、低誘電樹脂との良好な含浸性を得ることができる。一態様において、エポキシ樹脂で包埋する対象は、ガラスクロスの少なくとも一部でよい。
【0013】
一態様において、本実施形態に係るガラスクロスは、
上記ガラスクロスをエポキシ樹脂で包埋し該樹脂を硬化させた後、得られる硬化物を切断してガラスクロスの断面を露出させ、次いで、そのガラスクロスの断面を、走査型電子顕微鏡を用いて2000倍の倍率で観察したとき、フィラメント同士の接着割合が0.80以下である。
【0014】
〔接着割合〕
接着割合は、フィラメントの総数と、互いに接着するフィラメントの接着点数と、の割合から求めることができ、下記式:
接着割合=(互いに接着するフィラメントの接着点数)/(フィラメントの総数)
により算出することができる。特に、本実施形態に係るガラスクロスは、下記式:
0<接着割合≦0.80 ・・・(1)
を満たす。接着割合は、0.70以下であることが好ましく、0.60以下であることがより好ましい。
【0015】
接着割合が所定値より小さいガラスクロスは、複数のフィラメント間への樹脂の含浸が阻害され難く、よって、低誘電樹脂との良好な含浸性を得ることができる。上記接着割合を実現するための要件の一つである開繊処理方法としては、後述のとおり、ドライアイスブラスト加工が好ましい。接着割合は、実施例に記載の手法に従って測定することができる。
【0016】
上記式において、「互いに接着するフィラメント」は、
一のガラスフィラメントと、他のガラスフィラメントと、が接着する場合;
一のガラスフィラメントにおける表面処理層と、他のガラスフィラメントと、が接着する場合;
一のガラスフィラメントにおける表面処理層と、他のガラスフィラメントにおける表面処理層と、が接着する場合;
のいずれも含まれる。
【0017】
「エポキシ樹脂で包埋」におけるエポキシ樹脂は、本発明の趣旨に沿って上記接着割合を算出可能な樹脂であり、具体的に、実施例に記載の樹脂が挙げられる。
【0018】
図1(a)及び(b)は、本実施形態における「接着割合」の算出手法を説明するためのSEM画像である。図中、フィラメントの断面が円形白色で示されている。
【0019】
図1(a)中、矢印a1で示される箇所は、フィラメント同士の接着点に該当し、矢印a2で示される箇所は、接着点に該当しない。ここで、走査型電子顕微鏡を用いて2000倍の倍率でガラスクロスの断面を観察した場合、フィラメントの断面同士(すなわち、SEM写真上、フィラメントの断面を示す円形白色同士)が50nm以上接する箇所が、本実施形態における「接着点」に該当するものとする。
【0020】
本実施形態における「フィラメントの総数」及び「接着点数」は、その断面の全部が観察画像に含まれているフィラメントを対象にカウントされるものとする。その断面の一部が観察画像から見切れているフィラメント、及び、そのようなフィラメントが与える接着点は、「フィラメントの総数」及び「接着点数」にカウントされない。
図1(b)を例に挙げると、その断面の全部が観察画像に含まれているフィラメントの総数は計30個あり(白色内の数字参照)、そのようなフィラメント同士が互いに接触する接着点は計18個あり(「×」印参照)、観察画像から見切れているフィラメントは、「フィラメントの総数」及び「接着点数」のカウントの対象とされない。これらより、
図1(b)の例では、接着割合は、18/30=0.6と算出される。
【0021】
なお、ガラスクロスは、本発明の効果を阻害しない範囲内で、上記式(1)に該当しない部分(他の部分)を有してよい。
【0022】
〔ガラス種〕
本実施形態において、ガラスクロスを構成するガラス繊維(ガラスフィラメント)としては、一般に、プリント配線板用途に用いられているEガラス(無アルカリガラス);Dガラス、Lガラス、NEガラス、L2ガラス、シリカガラス、石英ガラス等の低誘電率ガラス;Sガラス、Tガラス等の高強度ガラス;Hガラス等の高誘電率ガラス;等を使用することができる。ガラス繊維は、1種類のガラス材料から成るものであってもよいし、異なるガラス材料から成る2種以上のガラス繊維を組み合わせたものであってもよい。
【0023】
〔打ち込み密度・間隔〕
本実施形態において、ガラスクロスを構成する経糸及び緯糸の打ち込み密度は、好ましくは10~120本/inch、より好ましくは60~120本/inchである。
【0024】
〔フィラメント数〕
本実施形態において、経糸及び緯糸のフィラメント数は、それぞれ250本以下が好ましい。フィラメント数が250本以下であることにより、ガラスクロスの厚さを低減し易い。ガラスクロスの強度及び取扱い性の観点から、好ましくはそれぞれ30本以上である。経糸及び緯糸のフィラメント数は、同一でも異なってもよい。
【0025】
〔フィラメント径〕
本実施形態において、ガラスクロスを構成するフィラメント径は、3~8μmが好ましい。ガラスクロスの強度及び安全性の観点から、好ましくは3μm以上である。フィラメント径が8μm以下であることにより、ガラスクロスの厚さを低減し易い。
ここで言う「フィラメント径」は、「平均フィラメント径」とも称される。
【0026】
本実施形態において、ガラスクロスの布重量(目付け)は、好ましくは8~50g/m2であり、より好ましくは8~30g/m2である。
【0027】
〔ガラスクロスの織り構造〕
本実施形態において、ガラスクロスの織り構造は、例えば、平織り、ななこ織り、朱子織り、綾織り等が挙げられる。なかでも、平織り構造が好ましい。
【0028】
〔厚さ〕
本実施形態において、ガラスクロスの厚さの上限は、プリント基板に適する薄いガラスクロスを提供する観点から好ましくは40μm未満、より好ましくは35μm未満、さらに好ましくは30μm以下、さらにより好ましくは25μm以下、最も好ましくは20μm以下であり、下限は、強度の観点から、好ましくは8μm以上である。
従来、薄いガラスクロスは、品質懸念から開繊加工を強く施せないため、低誘電樹脂との良好な含浸性を得ることが難しい、との背景があった。しかしながら、本実施形態によれば、薄いガラスクロスであっても、低誘電樹脂との良好な含浸性を得ることができる。
【0029】
ガラスクロスの厚さは、JIS R 3420の7.10に準拠して求められる。具体的に、マイクロメータを用いて、スピンドルを静かに回転させてサンプルの測定面に平行に軽く接触させる。そして、ラチェットが3回音を立てた後の目盛を読み取ればよい。
【0030】
〔表面処理〕
本実施形態おいて、ガラスクロスのガラス糸(ガラスフィラメントを含む)は、表面処理剤で表面処理されている。これによれば、マトリックス樹脂との反応性を向上させることができる。
【0031】
表面処理剤としては、例えば、下記の一般式(2)で示されるシランカップリング剤を使用することが好ましい。このようなシランカップリング剤を用いることにより、耐吸湿性がより向上し、結果として、絶縁信頼性がより向上する傾向にある。また、マトリックス樹脂との反応性を向上させ易くなる。
X(R)3-nSiYn ・・・(2)
(式中、Xは、不飽和二重結合基の少なくともいずれかを1つ以上有する有機官能基であり、Yは、各々独立して、アルコキシ基であり、nは1以上3以下の整数であり、Rは、各々独立して、メチル基、エチル基、及びフェニル基からなる群より選ばれる基である。)
【0032】
Xは、アミノ基及び不飽和二重結合基のうち少なくとも3つ以上を有する有機官能基であることが好ましく、Xは、アミノ基及び不飽和二重結合基のうち少なくとも4つ以上を
有する有機官能基であることがより好ましい。
【0033】
一般式(2)中、アルコキシ基としては、ガラスクロスへの安定処理化のためには、炭素数5以下のアルコキシ基が好ましい。
【0034】
シランカップリング剤としては、例えば、N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン及びその塩酸塩、N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン及びその塩酸塩、N-β-(N-ジ(ビニルベンジル)アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン及びその塩酸塩、N-β-(N-ジ(ビニルベンジル)アミノエチル)-N-γ-(N-ビニルベンジル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン及びその塩酸塩、Nビニルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の公知の単体、又はこれらの混合物が挙げられる。
シランカップリング剤としては、具体的には、N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン及びその塩酸塩、N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン及びその塩酸塩、N-β-(N-ジ(ビニルベンジル)アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン及びその塩酸塩、N-β-(N-ジ(ビニルベンジル)アミノエチル)-N-γ-(N-ビニルベンジル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン及びその塩酸塩、N-β-(N-ベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン及びその塩酸塩、N-β-(N-ベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリ同エトキシシラン及びその塩酸塩、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の公知の単体、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0035】
シランカップリング剤を溶解又は分散させる溶媒としては、水、又は有機溶媒のいずれも使用できるが、安全性、地球環境保護の観点から、水を主溶媒とすることが好ましい。水を主溶媒とした処理液を得る方法としては、シランカップリング剤を直接水に投入する方法;シランカップリング剤を水溶性有機溶媒に溶解させて有機溶媒溶液とした後に該有機溶媒溶液を水に投入する方法;のいずれかの方法が好ましい。
【0036】
また、シランカップリング剤の処理液中での水分散性、安定性を向上させるために、界面活性剤を併用することも可能である。
【0037】
〔強熱減量値〕
本実施形態において、ガラスクロスの強熱減量値は、好ましくは0.10~1.20質量%、より好ましくは0.11~1.10質量%、更に好ましくは0.12~1.00質量%である。強熱減量値を0.10~1.20質量%とすることにより、樹脂含浸性を担保でき、耐熱性を付与できる。ここでいう「強熱減量値」とは、JIS R 3420に記載されている方法に従って測定することができる。すなわち、まずガラスクロスを110℃の乾燥機の中に入れ、60分間乾燥する。乾燥後、ガラスクロスをデシケータに移し、20分間置き、室温まで放冷する。放冷後、ガラスクロスの質量(第1質量)を0.1mg以下の単位で測る。次に、ガラスクロスをマッフル炉で625℃、20分間加熱する。マッフル炉で加熱後、ガラスクロスをデシケータに移し、20分間置き、室温まで放冷する。放冷後、ガラスクロスの質量(第2質量)を0.1mg以下の単位で測る。第1質量及び第2質量の差が、強熱減量値として得られる。以上の測定方法で求める強熱減量値により、ガラスクロスのシランカップリング剤処理量を定義する。
【0038】
〔微粒子数〕
上記ガラスクロスは、そのガラスクロスに付着した微粒子数が100個/μm以下である。これによれば、コロイダルシリカ等のナノ粒子が付着した、従来のガラスクロスと比べて、環境及び人体への負荷が少ない。
【0039】
微粒子数が100個/μm以下のガラスクロスを得るには、微粒子数が上記の値以下であるガラスクロスを用いればよい。そのようなガラスクロスは、該ガラスクロスに対して微粒子が付着し得る工程を有しない製造過程を経ることで得られる。具体的には、下記のような、
ガラスクロスを微粒子含有液に浸漬させて開繊する工程;
微粒子含有液をガラス繊維集束剤として利用する工程;
樹脂微粒子とエラストマー微粒子との水分散液にガラスクロスを浸漬させる工程;
等の工程を有さず、ガラスクロスを製造することで、微粒子数が上記の値以下であるガラスクロスを得ることができる。
【0040】
上記ガラスクロスに付着した微粒子数は0個/μmであることが好ましい。これによれば、環境及び人体への負荷が少ないガラスクロスを実現し易くなる。
【0041】
微粒子は、その大きさ3μm以下であり、無機微粒子及び/又は有機微粒子であることが好ましい。特に、無機微粒子は、コロイダルシリカ、結晶シリカ、アルミナ、及び窒化ホウ素から成る群より選択される少なくとも1つであり、有機微粒子は、ポリフェニレンエーテル樹脂、エポキシ樹脂、及びスチレン系エラストマーから成る群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。これによれば、環境及び人体への負荷が少ないガラスクロスを実現し易くなる。
【0042】
〔毛羽数〕
ガラスクロス内の1mm以上の毛羽は、Roll-to-Rollにより張力100N/1000mmをかけた場合に観察されることができる。毛羽の数は、好ましくは10個/m2以下、より好ましくは8個/m2以下である。毛羽の数の下限値は、0個/m2が理想であり、1個/m2以上であってよい。観察及び測定の容易性の観点から、ハロゲンランプを照射しながら毛羽数をカウントしてよい。
毛羽数のカウントは、目視で行う。
【0043】
〔目曲がり率〕
緯糸の目曲がり率が4%以下の範囲内にあると、ガラスクロスが5.0以下の比誘電率(Dk)及び0.013cm以下の厚さを有していたとしても、表面処理工程及びプリプレグ製造工程での破れ発生を抑制したり、防止したりし易い。このような観点から、緯糸の目曲がり率は、より好ましくは3%以下、更に好ましくは2%以下、より更に好ましくは1%以下である。また、緯糸の目曲がり率の下限値は、0%以上であるか、又は0%を超えることができる。
【0044】
〔ガラスクロスの製造方法〕
本実施形態に係るガラスクロスの製造方法は、例えば、
ガラス糸を製織してガラスクロスを得る製織工程と、
ガラスクロスのガラス糸に付着したサイズ剤を低減する脱糊工程と、
シランカップリング剤等による表面処理工程ガラスクロスのガラス糸を開繊する開繊工程と、
を有する方法が挙げられる。
【0045】
製織方法では、所定の織構造となるように、緯糸と縦糸を織ることができる。
脱糊方法としては、例えば、サイズ剤を加熱除去する方法が挙げられる。なお、サイズ剤は製織工程等において、ガラス糸の糸切れ等が生じないよう保護する目的で用いられるものである。このようなサイズ剤としては、例えば、澱粉系バインダー、ポリビニルアルコール系バインダーが挙げられる。澱粉系バインダー、ポリビニルアルコール系バインダーは、それぞれ少なくとも澱粉及びポリビニルアルコールを含み、ワックス類との混合物であってもよい。
【0046】
サイズ剤を加熱除去(ヒートクリーニング)する際の温度としては、破断強度を維持しながら十分にサイズ剤を除去する観点から、好ましくは300~550℃、より好ましくは350~480℃、更に好ましくは370~450℃である。
【0047】
加熱時間は、加熱温度やガラスクロスの厚さ等の条件により適宜調整すればよく、破断強度を維持しながら十分にサイズ剤を除去する観点から、好ましくは20~80時間、より好ましくは25~70時間、更に好ましくは30~60時間である。
【0048】
ガラスクロスのガラス糸に付着したサイズ剤を低減する脱糊工程においては、サイズ剤を加熱除去の前及び/又は後に、加熱前のサイズ剤及び/又は加熱後のガラスクロス表面に付着している燃焼残さを水洗により除去することもできる。
【0049】
また、表面処理方法としては、濃度0.1~3.0質量%のシランカップリング剤を含む表面処理剤をガラスクロスと接触させ、乾燥等する方法が挙げられる。なお、ガラスクロスへの表面処理剤の接触は、表面処理剤中にガラスクロスを浸漬させる方法や、ロールコーター、ダイコーター、又はグラビアコーター等を用いてガラスクロスに表面処理剤を塗布する方法等が挙げられる。表面処理剤の乾燥方法としては、例えば、熱風乾燥や、電磁波を用いる乾燥方法が挙げられる。
【0050】
更に、開繊処理方法としては、例えば、得られたガラスクロスに水流の圧力を掛ける開繊処理;水(例えば脱気水、イオン交換水、脱イオン水、電解陽イオン水又は電解陰イオン水等)等を媒体とした高周波振動による開繊処理;ロールによる加圧での加工処理;ドライアイスブラストによる加工;低曲率半径で曲げる加工等が挙げられる。かかる開繊処理は織成と同時に行ってもよいし、織成後に行ってもよい。ヒートクリーニング前あるいは後若しくはヒートクリーニングと同時に行ってもよいし、後述する表面処理と同時に若しくは後に行ってもよい。なかでも開繊処理する方法としては、ドライアイスブラスト加工が好ましい。
【0051】
ドライアイスブラスト加工は、粒径5~300μmのドライアイス微粒子を、5~1000mmの高さから0.05~1MPaのエアー圧力で噴射する(吹きかける)方法である。より好ましくは粒径5~300μmのドライアイス微粒子を5mm~600mmの高さから0.1~0.5MPaのエアー圧力で噴射する方法である。この範囲内であることで、ガラス繊維の糸切れ等の品質悪化が起こらずに、含浸性向上の効果が見込まれる。
【0052】
〔プリプレグ〕
本実施形態に係るプリプレグは、上記低誘電ガラスクロスと、該低誘電ガラスクロスに含浸されたマトリックス樹脂組成物とを有する。上記ガラスクロスを有するプリプレグは、樹脂に対する密着性が高く、最終製品の歩留まりの高いものとなる。また、誘電特性に優れ、耐吸湿性に優れるために使用環境の影響、特に高湿度環境で誘電率の変動が小さい、プリント配線板を提供することができるという効果も奏することができる。
【0053】
本実施形態のプリプレグは、常法に従って製造することができる。例えば、本実施形態のガラスクロスに、エポキシ樹脂のようなマトリックス樹脂を有機溶剤で希釈したワニスを含浸させた後、乾燥炉にて有機溶剤を揮発させ、熱硬化性樹脂をBステージ状態(半硬化状態)にまで硬化させることにより製造することができる。
【0054】
マトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂の何れも使用可能である。熱硬化性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、
a)エポキシ基を有する化合物と、エポキシ基と反応するアミノ基、フェノール基、酸無水物基、ヒドラジド基、イソシアネート基、シアネート基、及び水酸基等の少なくとも1つを有する化合物と、を、無触媒で、又は、イミダゾール化合物、3級アミン化合物、尿素化合物、燐化合物等の反応触媒能を持つ触媒を添加して、反応させて硬化させるエポキシ樹脂;
b)アリル基、メタクリル基、及びアクリル基の少なくとも1つを有する化合物を、熱分解型触媒、又は光分解型触媒を反応開始剤として使用して、硬化させるラジカル重合型硬化樹脂;
c)シアネート基を有する化合物と、マレイミド基を有する化合物と、を反応させて硬化させるマレイミドトリアジン樹脂;
d)マレイミド化合物と、アミン化合物と、を反応させて硬化させる熱硬化性ポリイミド樹脂;
e)ベンゾオキサジン環を有する化合物を加熱重合により架橋硬化させるベンゾオキサジン樹脂、等が例示される。
【0055】
また、熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルスルフォン、ポリアリレート、芳香族ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性ポリイミド、不溶性ポリイミド、ポリアミドイミド、フッ素樹脂等が例示される。また、熱硬化性樹脂と、熱可塑性樹脂を併用してもよい。
【0056】
〔プリント配線板〕
本実施形態のプリント配線板は、上記プリプレグを備える。すなわち、本実施形態のプリント配線板は、上記ガラスクロスと、上記ガラスクロスに含浸したマトリックス樹脂組成物の硬化物と、を有する。本実施形態のプリント配線板は、樹脂に対する密着性が高く、最終製品の歩留まりの高いものとなる。また、誘電特性に優れ、耐吸湿性に優れるために使用環境の影響、特に高湿度環境で誘電率の変動が小さいという効果も奏することができる。そして、上記ガラスクロスを用いるため、環境及び人体への負荷が小さく、かつ、低誘電樹脂との含浸性が良好な、ボイドの少ない製品を実現できる。
【実施例】
【0057】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。
【0058】
(実施例1)
Lガラスクロス(スタイル1035:平均フィラメント径5μm、経糸の打ち込み密度66本/inch、緯糸の打ち込み密度68本/inch、厚さ30μm)を用意した。用意したガラスクロスに、脱油処理、表面処理及び開繊処理を施して、ガラスクロス1を得た。
脱油処理としては、ガラスクロスに付着している、紡糸用集束剤と製織用集束剤とを加熱分解すべく、ガラスクロスを、雰囲気温度が350~400℃の加熱炉内に60時間配置する処理を採用した。
脱油処理の後、ガラスクロスに、シランカップリング剤による表面処理を行った。シランカップリング剤にはメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(東レダウコーニング株式会社製;Z6030)を用い、これを水に分散させた処理液にガラスクロスを浸漬した。そして、ガラスクロスを絞液後、乾燥させた。以上の処理により、ガラスクロスにシランカップリング剤処理(表面処理)した。
開繊処理としては、5~50μmのドライアイス微粒子を、0.4MPaのエアー圧力で噴射することで開繊加工する処理を採用した。
【0059】
後述の評価方法を用いて、隣接したフィラメント同士の接着割合を算出し、ガラスクロス1が式(1)を満たすこと、すなわち、本実施例のガラスクロスが得られたことを確かめた。
【0060】
(実施例2)
Lガラスクロス(スタイル1027:平均フィラメント径4μm、経糸の打ち込み密度75本/inch、緯糸の打ち込み密度75本/inch、厚さ20μm)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で、ガラスクロス2を得た。後述の評価方法を用いて、隣接したフィラメント同士の接着割合を算出し、ガラスクロス2が式(1)を満たすこと、すなわち、本実施例のガラスクロスが得られたことを確かめた。
【0061】
(実施例3)
Eガラスクロス(スタイル1010:平均フィラメント径4μm、経糸の打ち込み密度96本/inch、緯糸の打ち込み密度96本/inch、厚さ11μm)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で、ガラスクロス3を得た。後述の評価方法を用いて、隣接したフィラメント同士の接着割合を算出し、ガラスクロス3が式(1)を満たすこと、すなわち、本実施例のガラスクロスが得られたことを確かめた。
【0062】
(比較例1)
開繊処理として、0.5MPaの高圧水スプレーから吐出される柱状流で開繊加工した以外は、実施例1と同様の方法で、ガラスクロスを得た。後述の評価方法を用いて、換算隣接したフィラメント同士の接着割合を算出した。
【0063】
(比較例2)
開繊処理として、0.3MPaの高圧水スプレーから吐出される柱状流で開繊加工した以外は、実施例2と同様の方法で、ガラスクロスを得た。後述の評価方法を用いて、換算隣接したフィラメント同士の接着割合を算出した。
【0064】
(比較例3)
開繊処理として、0.5MPaの高圧水スプレーから吐出される柱状流で開繊加工した以外は、実施例3と同様の方法で、ガラスクロスを得た。後述の評価方法を用いて、換算隣接したフィラメント同士の接着割合を算出した。
【0065】
[測定及び評価]
実施例及び比較例の各々のガラスクロスについて、各種の測定、及び評価を行った。
【0066】
(接着割合の算出)
ガラスクロスを樹脂(エポマウント、硬化剤II、リファインテック株式会社製)に包埋して、その樹脂ごとガラスクロスの断面を、ガラスフィラメントの真円度が0.9以上となるよう削り出し研磨した後、日立ハイテクノロジーズ社製の走査型電子顕微鏡SU3500によりガラスクロスの断面を2000倍の倍率で観察した。経糸1本につき3分割にし、計5本の断面画像を撮影した。その後、各画像における、フィラメントの総数と、互いに接着するフィラメントの接着点数と、を目視によりカウントし、(互いに接着するフィラメントの接着点数)/(フィラメントの総数)を算出した。得られた15枚で同様の作業を行い、平均値を接着割合とした。
【0067】
(樹脂含浸性(ボイド数)の評価)
ひまし油にガラスクロスを3分含浸させた後、そのガラスクロスにLEDライトの光を当てた。そして、32mm×32mm視野角において、ガラスフィラメント間に存在する160μm以上のボイド数を、高精度カメラを用いて測定した。ボイドは、マトリックス樹脂への未含浸部分に相当する。従って、ガラスクロスのボイド数が少ないことは、該ガラスクロスがマトリックス樹脂への含浸性に優れることを意味する。
【0068】
(付着微粒子数の測定)
4cm角サイズに切り出したガラスクロスを、カーボン両面テープを用いて、試料台に張り付けることで、測定の準備を行った。キーエンス社製VHX-D500を用いて、経糸及び緯糸に沿って、それぞれ1325μmずつ観察を行う操作を計5回実施し、カウントした粒状異物の数(個)と観察長(μm)から、ガラスクロスに付着している粒状異物の頻度を求めた。得られた頻度から、付着微粒子数(個/μm)を求めた。
<測定条件>
測定モード:超深度観察モード
倍率:1000倍
プリセット:25mm
【0069】
〔毛羽数〕
実施例及び比較例のガラスクロスに対して、Roll-to-Rollにより張力100N/1000mmをかけた。次いで、目視により、ガラスクロスの表面を観察し、1mm以上の毛羽の数をカウントした。カウントした領域は1m×2mであり、得られた結果を換算することで、毛羽数(個/m2)を算出した。
【0070】
〔目曲がり率〕
実施例及び比較例のガラスクロスについて、緯糸の目曲がり率を、以下のようにして測定した。
JIS L1096に従って、サンプルの目曲がり量を測定した。具体的には、1対のロールに張られた1000mm幅のガラスクロス中の緯糸1本を目視で観察し、ロールとクロスのTD接線を基準線として、その基準線からの変位量を計測した。そして、その変位量の最大値と最小値の差を目曲がり量として算出し、この操作を5回行なって平均値を算出した。
そして、ロール幅に対する目曲がり量から、緯糸の目曲がり率を算出した。なお、緯糸の目曲がり率は、下記式:
緯糸の目曲がり率(%)={(目曲がり量)/(ロール幅)}×100
によって表される。
【0071】
実施例及び比較例に関する結果を、表1に示す。
【表1】