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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】ヒートポンプ装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 41/40 20210101AFI20240209BHJP
   F24H 4/02 20220101ALI20240209BHJP
   F25B 30/02 20060101ALI20240209BHJP
   F24H 9/00 20220101ALI20240209BHJP
   F28D 7/04 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
F25B41/40 B
F24H4/02 F
F25B30/02 Z
F24H9/00 D
F28D7/04
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019213258
(22)【出願日】2019-11-26
(65)【公開番号】P2021085579
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】江田 秋人
【審査官】五十嵐 公輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-110878(JP,A)
【文献】特開2015-206551(JP,A)
【文献】特開2016-085029(JP,A)
【文献】特開2019-190756(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 41/40
F24H 4/02
F25B 30/02
F24H 9/00
F28D 7/04
F24H 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水管および圧縮機に接続されている冷媒管が、二重管構造または重ね合わせ構造とされた凝縮熱交換器と、
この凝縮熱交換器を保持する断熱部材と、
を備えており、
前記凝縮熱交換器は、下側管体部と、この下側管体部の上側に積層した上側管体部とを有する少なくとも上下2段の管体積層構造とされており、
前記上側管体部および前記下側管体部のそれぞれは、サイズが互いに相違して一連に繋がった複数のループ状部分が、水平方向に間隔を隔てて上下段差のない配置で並んだ渦巻き状である、ヒートポンプ装置であって、
前記断熱部材には、前記上側管体部が前記下側管体部とは非接触となるように、前記上側管体部を前記下側管体部よりも高い位置に支持する上側管体支持部が設けられており、
前記上側管体部は、前記下側管体部よりも前後幅および左右横幅が大きく形成され、かつ平面視において、前記上側管体部の前側部、後側部および左右両側部は、前記下側管体部よりもその外方側にはみ出したはみ出し部として構成されており、
前記上側管体支持部として、前記はみ出し部である前記上側管体部の前側部、後側部および左右両側部に対応して設けられて、それらの部位を支持する複数の第1の上側管体支持部を備えていることを特徴とする、ヒートポンプ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のヒートポンプ装置であって、
前記上側管体部と前記下側管体部とは、水平方向において位置ずれしている、ヒートポンプ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のヒートポンプ装置であって、
前記上側管体部の軸心は、前記下側管体部の互いに隣り合う部分どうしの相互間領域の直上に位置している、ヒートポンプ装置。
【請求項4】
請求項に記載のヒートポンプ装置であって、
前記上側管体支持部として、前記下側管体部の互いに隣り合う部分どうしの相互間領域を通過するようにして前記断熱部材の底部から上向きに突出する第2の上側管体支持部を備えている、ヒートポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば給湯装置における湯水加熱用の熱源として用いられるヒートポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、ヒートポンプ装置の一例として、特許文献1に記載のものを先に提案している。
同文献に記載のヒートポンプ装置においては、冷凍サイクルを構成する冷媒の蒸発熱交換器、圧縮機、凝縮熱交換器、および膨張手段が、外装ケース内に収容されている。凝縮熱交換器は、冷媒が流通する冷媒管と、加熱対象の湯水が流通する水管とが二重管構造とされている。また、この凝縮熱交換器は、渦巻き状に形成されて、樹脂製の断熱部材(断熱ケース)内に収容されている。
【0003】
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように、改善すべき余地があった。
【0004】
すなわち、圧縮機は、その稼働時に振動する虞があるが、凝縮熱交換器の冷媒管の一端部側は、圧縮機に配管接続されている。このため、ヒートポンプ装置の稼働時には、圧縮機の振動が冷媒管に伝達し、凝縮熱交換器の略全体が振動する虞がある。
ここで、凝縮熱交換器は、限られたスペース内において、その全長寸法を確保すべく、たとえば上下2段の管体積層構造とされる場合が多い。このような構造が採用された場合、凝縮熱交換器が振動すると、その上側管体部と下側管体部とが接触し、騒音(接触音)が発生する。このような騒音は低減することが望まれる。
【0005】
前記した騒音を低減する手段として、上側管体部と下側管体部との間に、それらの管体部どうしが直接接触することを防止するための防音用シート(緩衝用シート)を挟み込むことが試みられている。ところが、このような手段によれば、防音用シートを用いるため、その部品コストが必要となり、製造コストが高くなる。また、防音用シートを上側管体部と下側管体部との間に挟み込む作業は煩雑であるため、生産性が低下し、製造コストは一層高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第6249271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、簡易な構成により、凝縮熱交換器の振動に起因する騒音を適切に低減することが可能なヒートポンプ装置を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0009】
本発明により提供されるヒートポンプ装置は、水管および圧縮機に接続されている冷媒管が、二重管構造または重ね合わせ構造とされた凝縮熱交換器と、この凝縮熱交換器を保持する断熱部材と、を備えており、前記凝縮熱交換器は、下側管体部と、この下側管体部の上側に積層した上側管体部とを有する少なくとも上下2段の管体積層構造とされており、前記上側管体部および前記下側管体部のそれぞれは、サイズが互いに相違して一連に繋がった複数のループ状部分が、水平方向に間隔を隔てて上下段差のない配置で並んだ渦巻き状である、ヒートポンプ装置であって、前記断熱部材には、前記上側管体部が前記下側管体部とは非接触となるように、前記上側管体部を前記下側管体部よりも高い位置に支持する上側管体支持部が設けられており、前記上側管体部は、前記下側管体部よりも前後幅および左右横幅が大きく形成され、かつ平面視において、前記上側管体部の前側部、後側部および左右両側部は、前記下側管体部よりもその外方側にはみ出したはみ出し部として構成されており、前記上側管体支持部として、前記はみ出し部である前記上側管体部の前側部、後側部および左右両側部に対応して設けられて、それらの部位を支持する複数の第1の上側管体支持部を備えていることを特徴としている。
【0010】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
第1に、少なくとも上下2段の管体積層構造とされた凝縮熱交換器のうち、上側管体部は、上側管体支持部によって下側管体部よりも高い位置に支持され、下側管体部とは非接触とされているため、圧縮機の振動に起因してこれらが振動したとしても、これら上側管体部と下側管体部との接触音(騒音)は発生しないようにすることができる。したがって、凝縮熱交換器の振動に起因する騒音を適切に低減することが可能である。
第2に、騒音低減手段として、上側管体部と下側管体部との間に防音用シートを挟み込む必要はなく、部品点数の増加を抑え、また防音用シートを挟み込むための煩雑な作業もなくすことができる。その一方、上側管体支持部は、たとえば断熱部材を成形する際に、この断熱部材と一体的に形成するなど、断熱部材に容易に、かつ低コストで設けることが可能である。また、上側管体部を上側管体支持部に支持させる作業は、比較的簡単に行なうことが可能である。このため、防音用シートを用いる手段と比較すると、本発明によれば、ヒートポンプ装置の生産性をよくし、その製造コストを低減することができる。
前記構成によれば、上側管体部のはみ出し部を第1の上側管体支持部によって簡易かつ的確に支持させることができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、前記上側管体部と前記下側管体部とは、水平方向において位置ずれしている。
【0012】
このような構成によれば、上側管体部および下側管体部が振動した際に、これらが接触することがより確実に防止される。したがって、騒音(接触音)の発生を防止する上で一層好ましい。
【0015】
本発明において、好ましくは、前記上側管体部の軸心は、前記下側管体部の互いに隣り合う部分どうしの相互間領域の直上に位置している。
【0016】
このような構成によれば、上側管体部および下側管体部が振動した際に、これらが接触することをより徹底して防止することが可能となる。なお、上側管体部および下側管体部のそれぞれを渦巻き状とすれば、凝縮熱交換器の占有スペースを小さくしつつ、凝縮熱交換器の全体の管体長さを長くする上で有利である。
【0017】
本発明において、好ましくは、前記上側管体支持部として、前記下側管体部の互いに隣り合う部分どうしの相互間領域を通過するようにして前記断熱部材の底部から上向きに突出する第2の上側管体支持部を備えている。
【0018】
このような構成によれば、第2の上側管体支持部が上側管体部および下側管体部の配置領域内にスペース効率よく配置されることとなり、第2の上側管体支持部を設けることによって断熱部材のサイズが不当に大きくなることはない。
【0019】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係るヒートポンプ装置の一例を示す外観斜視図である。
図2図1に示すヒートポンプ装置の一部省略分解斜視図である。
図3図1のIII-III断面図である。
図4図2の矢視IVの要部概略平面図である。
図5図1に示すヒートポンプ装置で用いられている断熱ケース本体の一例を示す要部斜視図である。
図6ヒートポンプ装置の他の例を示す要部断面図である。
図7】本発明の他の例を示す要部断面図である。
図8】蛇行状の凝縮熱交換器の一部省略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0022】
図1および図2に示すヒートポンプ装置Aは、たとえばCO2などを冷媒とする冷凍サイクルを構成する機器として、ファン10を利用して取り込まれる空気から熱を吸収する蒸発熱交換器1(蒸発器)、圧縮機2、湯水加熱用の凝縮熱交換器3、および膨張弁4を備えており、これらが外装ケースC内に配された構成である。凝縮熱交換器3は、断熱ケース5内に収容されている。
【0023】
外装ケースCは、上面開口状の略直方体に形成された外装ケース本体6と、この外装ケース本体6の上面開口部60を塞ぐ蓋部材7とを組み合わせて構成されている。外装ケース本体6は、前壁部61、後壁部62、左右一対の側壁部63(図2では、右側の側壁部63を省略)、および底壁部64に加え、縦仕切り板65、および略水平状の載置板66をさらに備えている。載置板66は、外装ケースC内の上部寄り領域に位置し、外装ケースC内を上下に区画するように設けられている。載置板66の上側は、凝縮熱交換器3の配置領域である。外装ケースC内のうち、載置板66よりも下方領域は、縦仕切り板65によってさらに左右2つの室R1,R2に仕切られており、一方の室R1には、ファン10および蒸発熱交換器1が配され、かつ他方の室R2には、圧縮機2や膨張弁4がカバー部材99内に収容された状態で配されている。
【0024】
図4に示すように、凝縮熱交換器3は、平面視における全体の概略形状が渦巻き状の管体として構成されているが、この凝縮熱交換器3は、図3に示すように、下側管体部3Lと、この下側管体部3Lの上側に積層する上側管体部3Uとを有する上下2段の管体積層構造とされている。下側管体部3Lおよび上側管体部3Uは、いずれも平面視略矩形状または長円状の渦巻き状である。
【0025】
凝縮熱交換器3は、図3の断面図で示すように、冷媒が流通する冷媒管30と、加熱対象の湯水が流通する水管31とが二重管構造とされたものである。上側管体部3Uは、一端部32aを始点として、外周部から内周部に向かう渦巻き状である。この上側管体部3Uの終端部は、下側管体部3Lの始端部と繋がっており、かつ下側管体部3Lは、上側管体部3Uとは逆に、内周部から外周部に向かう渦巻き状とされ、他端部32bが終点となっている。
凝縮熱交換器3は、断熱ケース5内に収容された状態で載置板66上に載設されているが、その詳細については後述する。
【0026】
凝縮熱交換器3の一端部32a側には、冷媒流入用および湯水流出用の配管部30a,
31bが接続されており、他端部32b側には、冷媒流出用および湯水流入用の配管部30b,31aが接続されている。これらの配管部30a,30b,31a,31bは、いずれも載置板66に設けられた開口部66aを通過して載置板66の下方に向けて立ち下がっている。冷媒流入用配管部30aは、凝縮熱交換器3と圧縮機2とを接続し、圧縮機2から吐出される冷媒を凝縮熱交換器3の冷媒管30に送り込むための配管部であり、圧縮機2の影響により振動を生じ易い部位である(図2も参照)。冷媒流出用配管部30bは、冷媒管30を通過した冷媒を膨張弁4に向けて送り出すための部位である。
【0027】
湯水流入用および湯水流出用の配管部31a,31bは、たとえば外装ケースCの側面部などに設けられている入水口69aおよび出湯口69bに水管31を接続するための配管部である。入水口69aに入水した湯水は、湯水流入用配管部31a、凝縮熱交換器3の水管31、および湯水流出用配管部31bを順次通過し、冷媒により加熱された湯水は出湯口69bに到達する。本実施形態のヒートポンプ装置Aは、たとえば貯湯タンク式給湯装置の熱源として用いられ、貯湯タンクから入水口69aへの湯水供給がなされ、また加熱された湯水は出湯口69bから貯湯タンクに戻される。
【0028】
断熱ケース5は、凝縮熱交換器3からの放熱を抑制し、熱交換効率を高めるための部材であり、凝縮熱交換器3を載置支持可能な断熱ケース本体5aと、この断熱ケース本体5a上に取付けられて凝縮熱交換器3の上面側を覆う断熱ケース蓋5bとを組み合わせて構成されており、これらは、たとえば発泡スチロールなどの断熱性に優れた樹脂製である。断熱ケース5(または、断熱ケース本体5a)は、本発明でいう断熱部材の一例に相当する。
この断熱ケース5は、断熱ケース本体5aの略中央部に設けられている孔部52に、載置板66に設けられている起立片状のストッパ部66bを嵌入させることにより、載置板66上における位置決め固定が図られている。ストッパ部66bは、たとえば載置板66に切り起こし加工を施して形成された切り起こし片である。
【0029】
図5に示すように、断熱ケース本体5aには、凝縮熱交換器3用の固定部50、周壁部51、および複数の上側管体支持部55が一体成形されている。
【0030】
固定部50は、凝縮熱交換器3を固定させるための部位であり、断熱ケース本体5aの底部の略中央部から上向きに突出した上向き突出段部50aと、その外周側面に設けられた縦リブ状の複数の当接用凸部50bとを備えている。上向き突出段部50aは、凝縮熱交換器3の下側管体部3Lの最内周管体部によって囲まれている空間部としての隙間39に、その下方から進入する部位である。複数の当接用凸部50bは、下側管体部3Lの最内周管体部に当接し、凝縮熱交換器3が水平方向に変位することを阻止する部位である。
【0031】
断熱ケース本体5aの周壁部51は、凝縮熱交換器3の周囲を囲むための部位であり、断熱ケース本体5aの外周部において上向きに起立している。この周壁部51には、凝縮熱交換器3の両端部32a,32bを断熱ケース5の外部に引き出すための切欠き部51aが設けられている。断熱ケース本体5aへの断熱ケース蓋5bの取付けは、周壁部51に断熱ケース蓋5bを外嵌することにより図られる。
【0032】
複数の上側管体支持部55は、凝縮熱交換器3の上側管体部3Uを支持するための部位であり、断熱ケース本体5aの周壁部51の内壁面から断熱ケース本体5aの中央側に突出する段部として形成されている。一方、凝縮熱交換器3の上側管体部3Uは、下側管体部3Lよりも縦横の幅が大きくされており、図3に示すように、下側管体部3Lの外方にはみ出したはみ出し部Saを有している。このはみ出し部Saが上側管体支持部55上に載せられていることにより、上側管体部3Uは、下側管体部3Lとは非接触となるように下側管体部3Lよりも高い位置に支持されている。
また、上側管体部3Uと下側管体部3Lとは、水平方向において位置ずれした配置とされている。さらに本実施形態においては、上側管体部の軸心Oは、下側管体部3Lの互いに隣り合う部分35どうしの相互間領域Sbの直上に位置している。
【0033】
次に、前記したヒートポンプ装置Aの作用について説明する。
【0034】
まず、凝縮熱交換器3は、その一端部32a側に、圧縮機2の振動を受ける冷媒流入用配管部30aが接続されているため、圧縮機2の駆動中に振動を生じる。これに対し、凝縮熱交換器3の上側管体部3Uは、上側管体支持部55によって下側管体部3Lよりも高い位置に支持されていることにより、下側管体部3Lとは非接触である。このため、上側管体部3Uおよび下側管体部3Lが振動したとしても、これらが不当に接触して騒音(接触音)が発生しないようにすることができる。
【0035】
とくに、本実施形態においては、上側管体部3Uと下側管体部3Lとは、水平方向において位置ずれしており、しかも上側管体部3Uの軸心Oは、下側管体部3Lの互いに隣り合う部分35どうしの相互間領域Sbの直上に位置しているため、上側管体部3Uおよび下側管体部3Lが上下方向に振動したとしても、これらの接触はより適切に防止され、騒音防止を図ることができる。
【0036】
本実施形態によれば、上側管体部3Uと下側管体部3Lとの接触を防止するための手段として、それらの間に防音用シートを挟み込む必要はなく、部品点数の削減、および製造コストの低減化などを好適に図ることもできる。上側管体支持部55は、断熱ケース本体5aを樹脂成形する際に同時に形成することができるため、上側管体支持部55を設けることに起因して断熱ケース本体5aのコストが大幅に上昇することはない。
【0037】
図6図8は、ヒートポンプの他の実施形態であり、これらのうち、図7は、本発明の他の実施形態を示している。これらの図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付すこととし、重複説明は省略する。
【0038】
図6に示すヒートポンプ装置Aaにおいては、断熱ケース本体5aの底部に、上向き突出状の複数の上側管体支持部55Aが一体形成されている。各上側管体支持部55Aは、凝縮熱交換器3の下側管体部3Lの互いに隣り合う部分35どうしの相互間領域Sbを通過するように設けられ、下側管体部3Lの上面部よりも高い高さである。上側管体部3Uは、各上側管体支持部55Aの上端部上に載せられて支持されている。
【0039】
本実施形態においても、上側管体部3Uを下側管体部3Lとは非接触で支持することができるため、前記実施形態と同様な効果を得ることが可能である。また、本実施形態によれば、上側管体部3Uに前記した実施形態のはみ出し部Saを設ける必要ない他、上側管体部3Uの外周側部分や内周側部分などの適所を適切に支持することができ、上側管体部3Uが自重により下方に大きく撓むことを防止する上で好ましい。上側管体支持部55を凝縮熱交換器3の外側に配置する必要はないため、省スペース化を図ることもできる。
【0040】
図7に示すヒートポンプ装置Abにおいては、上側管体支持部55,55Aの双方が設けられている。
本実施形態によれば、上側管体部3Uの外周側部分については、上側管体支持部55により支持し、かつ内周側部分については、上側管体支持部55Aにより適切に支持することができる。
【0041】
図8に示す凝縮熱交換器3Aは、冷媒管30と水管31とが二重管構造とされている点で、前記実施形態と共通するが、複数の直状管体部37aと曲状管体部37bとが交互に繋がった蛇行状の管体として構成されている。同図においては、単層の管体として示されているが、この凝縮熱交換器3Aは、蛇行状の下側管体部と、その上側に積層した蛇行状の上側管体部とを有する少なくとも上下2段の管体積層構造である
【0042】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係るヒートポンプ装置の各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0043】
上述した実施形態においては、凝縮熱交換器が冷媒管と水管との二重管構造とされているが、これに限定されず、たとえば冷媒管と水管とを重ねた構造(たとえば、特開2010-60215号公報に記載)とすることもできる。
【0044】
凝縮熱交換器は、先に述べた渦巻き状、蛇行状とは異なる形状とすることも可能である。
また、凝縮熱交換器は、少なくとも上下2段の管体積層構造であり、上下3段以上の管体積層構造とすることもできる。この場合、いずれか1つの下側管体部とその上側に積層する他の1つの上側管体部との関係が、本発明の意図する関係にあれば、本発明の技術的範囲に包摂される。
本発明でいう断熱部材は、凝縮熱交換器を保持可能であり、かつ凝縮熱交換器からの放熱を抑制する断熱部材本来の機能をもつ部材であればよく、必ずしも凝縮熱交換器の略全体を内部に収容する断熱ケースとして構成されていなくてもよい。
【符号の説明】
【0045】
A,Aa,Ab ヒートポンプ装置
Sa はみ出し部
2 圧縮機
3,3A 凝縮熱交換器
3U 上側管体部
3L 下側管体部
30 冷媒管
31 水管
35 部分(下側管体部の)
5 断熱ケース(断熱部材)
5a 断熱ケース本体(断熱部材)
55 上側管体支持部(第1の上側管体支持部)
55A 上側管体支持部(第2の上側管体支持部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8