(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】微細物除去システム及び微細物除去装置
(51)【国際特許分類】
B23Q 11/00 20060101AFI20240209BHJP
C02F 1/38 20230101ALI20240209BHJP
B01D 21/24 20060101ALI20240209BHJP
B01D 21/26 20060101ALI20240209BHJP
B01D 21/30 20060101ALI20240209BHJP
B23Q 11/10 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
B23Q11/00 U
C02F1/38
B01D21/24 H
B01D21/26
B01D21/30 J
B23Q11/10 E
(21)【出願番号】P 2019220394
(22)【出願日】2019-12-05
【審査請求日】2022-10-26
(31)【優先権主張番号】P 2019187437
(32)【優先日】2019-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501141769
【氏名又は名称】株式会社industria
(74)【代理人】
【識別番号】100081709
【氏名又は名称】鶴若 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一彰
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-165775(JP,A)
【文献】特開2006-075725(JP,A)
【文献】特開2001-310235(JP,A)
【文献】韓国登録実用新案第20-0344615(KR,Y1)
【文献】特開平09-174377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 21/24、26、30
C02F 1/38
C02F 11/12
B23Q 11/00、10
B24B 55/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を用いて加工または処理を行う装置と、
加工または処理に用いるための液体を貯留する貯留タンクと、
前記貯留タンクから液体を前記装置に供給し、前記装置から前記貯留タンクに戻して循環させる循環経路と、を含み、
前記循環経路に、
前記液体に含まれる微細物を遠心力により分離して沈殿させる遠心分離装置と、
沈澱した微細物に付着する液体を除去して前記微細物を排出する微細物除去装置と、
沈殿により溜まる微細物量を検出する微細物量検出装置と、
前記検出する微細物量に基づき前記微細物除去装置を制御する制御装置と、
沈澱する微細物を溜める沈殿部と、を備え、
前記微細物量検出装置は、
前記沈殿部に溜まる微細物量を検出し、
前記循環経路に、前記沈殿部と前記微細物除去装置を洗浄する洗浄回路を備え、
前記制御装置は、前記沈殿部と前記微細物除去装置から前記微細物を排出した後に、前記洗浄回路を駆動して前記沈殿部と前記微細物除去装置を洗浄することを特徴とする微細物除去システム。
【請求項2】
前記微細物除去装置に前記微細物量検出装置を備え、
前記微細物量検出装置は、
前記微細物除去装置に溜まる微細物量を検出することを特徴とする請求項1に記載の微細物除去システム。
【請求項3】
前記微細物除去装置を、複数個直列に接続して備えることを特徴とする請求項1
または請求項2に記載の微細物除去システム。
【請求項4】
前記微細物除去装置の上流側に、前記沈殿部を直接連結して一体化したことを特徴とする請求項1乃至請求項
3のいずれか1項に記載の微細物除去システム。
【請求項5】
沈澱する微細物を前記微細物除去装置に導く導入通路を含み、
前記導入通路に前記沈殿部を備え、
前記微細物量検出装置は、前記沈殿部に溜まる微細物量を検出することを特徴とする請求項1乃至請求項
4のいずれか1項に記載の微細物除去システム。
【請求項6】
前記沈殿部の上流側は、
第1の自動バルブを介して前記装置に通じる経路と、
第2の自動バルブと前記遠心分離装置を順に介して前記装置に通じる経路と、を含み、
前記沈殿部の下流側は、
第3の自動バルブを介して前記微細物除去装置に通じる経路と、を含み、
前記制御装置の制御により、
通常動作は、前記第1の自動バルブを閉じ、前記第2の自動バルブを開き、前記第3の自動バルブを閉じて前記沈殿部に微細物を溜め、
排出動作は、前記第2の自動バルブを閉じ、前記第3の自動バルブを開き、前記沈殿部に溜まる微細物を排出し、その時前記第1の自動バルブを開き、前記沈殿部と前記第3の自動バルブを洗浄して排出しきれない微細物を前記微細物除去装置へ排出し、
通常動作への復帰は、前記第1の自動バルブを閉じ、前記第2の自動バルブを開き、前記第3の自動バルブを閉じて前記沈殿部に微細物を溜め
るように構成されることを特徴とする請求項
1乃至請求項
5のいずれか1項に記載の微細物除去システム。
【請求項7】
前記微細物除去装置は、
液体が付着した微細物を収容する円筒収容部と、
前記円筒収容部の内部に軸方向に配置されて回転により前記微細物を排出するスクリュー軸と、
前記スクリュー軸を回転駆動する駆動手段と、を含み、
前記スクリュー軸の回転により前記微細物に付着する液体を除去し、
前記液体を除去した微細物を前記円筒収容部から排出することを特徴とする請求項1乃至請求項
6のいずれか1項に記載の微細物除去システム。
【請求項8】
前記円筒収容部の排出側に、絞り部を設け、
前記絞り部を、ストッパーで覆い、
前記ストッパーを、付勢手段により常に閉じ方向に付勢し、
前記円筒収容部から排出される微細物により前記ストッパーを押動し、前記絞り部が開閉可能な構成であることを特徴とする請求項
7に記載の微細物除去システム。
【請求項9】
前記円筒収容部の排出側に、排出筒を接続し、
前記排出筒は、前記円筒収容部より上方に開口する排出開口を有し、
前記円筒収容部から排出される微細物を、前記排出筒の排出開口から排出可能な構成であることを特徴とする請求項
7に記載の微細物除去システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液体に含まれる微粉末状クズ等の微細物を分離し、微細物に付着する液体を除去して微細物を回収する微細物除去システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、機械加工装置では、供給タンクから切削液を供給しながら切削加工が行なわれるが、切削液には微粉末状の切削クズが含まれる。この微粉末状の切削クズが含まれる切削液をフィルタ装置に供給し、このフィルタ装置で切削クズを除去して切削液を供給タンクに戻している(例えば特許文献1)。
【0003】
このようなフィルタ装置として、例えばフィルタ膜によって切削クズを除去したり、沈殿によって切削クズを除去するものがあるが、いずれも切削液に大量に含まれる微粉末状の切削クズを、小型の装置で短時間に確実に除去することができない等の問題がある。
【0004】
また、フィルタ膜が目詰まりを起こすことがあり、詰まってしまった場合まずフィルタ装置の分解作業をし、そのフィルタ膜を洗浄しなければならない。この洗浄作業や使用不能になると交換作業が発生する。また、フィルタ膜は大抵繰り返し使用すると、濾過精度は悪くなり、詰まり易くなるため、フィルタ膜の殆どが使い捨てフィルタ膜であり、コストがかかる等の問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように微細物除去システムにおいて、フィルタ膜によって切削クズを除去するなどの構成では、フィルタ膜の洗浄作業や交換作業が必要であり、無人化の自動運転により液体に含まれる微粉末状クズ等の微細物を分離し、微細物に付着する液体を除去して微細物を回収することが困難であった。
【0007】
この発明は、かかる実情に鑑みてなされたもので、自動運転により液体に含まれる微細物を分離して除去し、微細物に付着する液体を除去して微細物を回収することで、無人化運転を可能にする微細物除去システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
【0009】
請求項1に記載の発明は、
液体を用いて加工または処理を行う装置と、
加工または処理に用いるための液体を貯留する貯留タンクと、
前記貯留タンクから液体を前記装置に供給し、前記装置から前記貯留タンクに戻して循環させる循環経路と、を含み、
前記循環経路に、
前記液体に含まれる微細物を遠心力により分離して沈殿させる遠心分離装置と、
沈澱した微細物に付着する液体を除去して前記微細物を排出する微細物除去装置と、
沈殿により溜まる微細物量を検出する微細物量検出装置と、
前記検出する微細物量に基づき前記微細物除去装置を制御する制御装置と、
沈澱する微細物を溜める沈殿部と、を備え、
前記微細物量検出装置は、
前記沈殿部に溜まる微細物量を検出し、
前記循環経路に、前記沈殿部と前記微細物除去装置を洗浄する洗浄回路を備え、
前記制御装置は、前記沈殿部と前記微細物除去装置から前記微細物を排出した後に、前記洗浄回路を駆動して前記沈殿部と前記微細物除去装置を洗浄することを特徴とする微細物除去システムである。
【0011】
請求項2に記載の発明は、
前記微細物除去装置に前記微細物量検出装置を備え、
前記微細物量検出装置は、
前記微細物除去装置に溜まる微細物量を検出することを特徴とする請求項1に記載の微細物除去システムである。
【0012】
請求項3に記載の発明は、
前記微細物除去装置を、複数個直列に接続して備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の微細物除去システムである。
【0014】
請求項4に記載の発明は、
前記微細物除去装置の上流側に、前記沈殿部を直接連結して一体化したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の微細物除去システムである。
【0015】
請求項5に記載の発明は、
沈澱する微細物を前記微細物除去装置に導く導入通路を含み、
前記導入通路に前記沈殿部を備え、
前記微細物量検出装置は、前記沈殿部に溜まる微細物量を検出することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の微細物除去システムである。
【0016】
請求項6に記載の発明は、
前記沈殿部の上流側は、
第1の自動バルブを介して前記装置に通じる経路と、
第2の自動バルブと前記遠心分離装置を順に介して前記装置に通じる経路と、を含み、
前記沈殿部の下流側は、
第3の自動バルブを介して前記微細物除去装置に通じる経路と、を含み、
前記制御装置の制御により、
通常動作は、前記第1の自動バルブを閉じ、前記第2の自動バルブを開き、前記第3の自動バルブを閉じて前記沈殿部に微細物を溜め、
排出動作は、前記第2の自動バルブを閉じ、前記第3の自動バルブを開き、前記沈殿部に溜まる微細物を排出し、その時前記第1の自動バルブを開き、前記沈殿部と前記第3の自動バルブを洗浄して排出しきれない微細物を前記微細物除去装置へ排出し、
通常動作への復帰は、前記第1の自動バルブを閉じ、前記第2の自動バルブを開き、前記第3の自動バルブを閉じて前記沈殿部に微細物を溜めるように構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の微細物除去システムである。
【0017】
請求項7に記載の発明は、
前記微細物除去装置は、
液体が付着した微細物を収容する円筒収容部と、
前記円筒収容部の内部に軸方向に配置されて回転により前記微細物を排出するスクリュー軸と、
前記スクリュー軸を回転駆動する駆動手段と、を含み、
前記スクリュー軸の回転により前記微細物に付着する液体を除去し、
前記液体を除去した微細物を前記円筒収容部から排出することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の微細物除去システムである。
【0018】
請求項8に記載の発明は、
前記円筒収容部の排出側に、絞り部を設け、
前記絞り部を、ストッパーで覆い、
前記ストッパーを、付勢手段により常に閉じ方向に付勢し、
前記円筒収容部から排出される微細物により前記ストッパーを押動し、前記絞り部が開閉可能な構成であることを特徴とする請求項7に記載の微細物除去システムである。
【0019】
請求項9に記載の発明は、
前記円筒収容部の排出側に、排出筒を接続し、
前記排出筒は、前記円筒収容部より上方に開口する排出開口を有し、
前記円筒収容部から排出される微細物を、前記排出筒の排出開口から排出可能な構成であることを特徴とする請求項7に記載の微細物除去システムである。
【発明の効果】
【0026】
前記構成により、この発明は、以下のような効果を有する。
【0027】
請求項1乃至請求項9に記載の発明では、沈殿により溜まる微細物量に基づき微細物除去装置を駆動することで、自動運転により液体に含まれる微細物を分離して除去し、微細物に付着する液体を除去して微細物を回収することで、無人化運転を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】実施の形態1の微細物除去システムを示す図である。
【
図2】実施の形態2の微細物除去システムを示す図である。
【
図3】実施の形態3の微細物除去システムを示す図である。
【
図4】実施の形態4の微細物除去システムを示す図である。
【
図5】実施の形態5の微細物除去システムを示す図である。
【
図11】他の形態の微細物量検出装置を示す図である。
【
図14】他の形態の微細物除去装置を示す図である。
【
図15】他の形態の微細物除去装置を示す図である。
【
図19】排出口の位置が変更可能な構成を示す図である。
【
図20】スクリュー軸中心を支点として角度を可変可能な構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、この発明の微細物除去システム及び微細物除去装置の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明するが、この発明はこの実施形態に限定されない。
【0031】
この発明の微細物除去システムは、製薬、化学、食品、飲料の原料他の微細物の回収に、また自動車、工作機、加工業の切削粉等の微細物の回収に、また各工場、水処理等の循環水、排水の濾過に、また半導体、バイオ等の不純物等の微細物の除去に、また洗浄水、溶剤等の異物である微細物の除去等に使用され、液体に含まれる微細物を分離除去するものに広く使用される。
【0032】
(実施の形態1)
この実施の形態1を、
図1に示す。
図1は微細物除去システムを示す図である。
【0033】
この実施の形態の微細物除去システム10は、液体を用いて加工または処理を行う装置100と、加工または処理に用いるための液体を貯留する貯留タンク101と、貯留タンク101から液体を装置100に供給し、装置100から貯留タンク101に戻して循環させる循環経路102と、を含み、ポンプ103の駆動により液体を循環させる。
【0034】
循環経路102には、液体に含まれる微細物を遠心力により分離して沈殿させる遠心分離装置110と、沈澱した微細物に付着する液体を除去して微細物を排出する微細物除去装置120と、を備える。
【0035】
遠心分離装置110は、周知の構成であり、遠心力により微細物を含む液体から微細物を分離し、この分離された微細物が沈降し、沈殿部111に溜まる。この実施の形態では、沈殿部111が樹脂や金属などで成形されたカップで構成される。
【0036】
沈殿により溜まる微細物量を検出する微細物量検出装置112と、検出する微細物量に基づき微細物除去装置120を駆動する制御装置113を備え、制御装置113は、微細物量検出装置112において検出する沈殿部111に溜まる微細物量に基づき、微細物除去装置120を駆動する。微細物量検出装置112は、沈殿部111に備える構成である。
【0037】
沈殿部111の入側には、第2の自動バルブ114aを備え、出側には、第3の自動バルブ114bを備え、それぞれ制御装置113により制御される。通常運転では、第2の自動バルブ114aを開き、第3の自動バルブ114bを閉じており、分離された微細物が沈降し、沈殿部111に溜まる。沈殿部111に溜まる微細物が所定量になると、第2の自動バルブ114aを閉じ、第3の自動バルブ114bを開き、沈殿部111に溜まる微細物を排出する。
【0038】
微細物量検出装置112は、沈殿部111に溜まる微細物量を検出し、制御装置113は、微細物量検出装置112からの検出する微細物量に基づき、
第2の自動バルブ114aを閉じ、第3の自動バルブ114bを開き、沈殿部111に溜まる微細物を微細物除去装置120に送り、微細物除去装置120を駆動し、沈澱した微細物に付着する液体を除去して微細物を排出し、微細物は、回収容器61に回収され、除去された液体は、貯留タンク101へ戻る。
【0039】
この実施の形態では、循環経路102に、液体に含まれる微細物を遠心力により分離して沈殿させる遠心分離装置110と、沈澱した微細物に付着する液体を除去して微細物を排出する微細物除去装置120と、を備え、微細物量検出装置112により沈殿部111に溜まる微細物量を検出し、制御装置113は、微細物量検出装置112からの検出する微細物量に基づき、微細物除去装置120を駆動し、沈澱した微細物に付着する液体を除去して微細物を排出することで、自動運転により液体に含まれる微細物を分離して除去し、微細物に付着する液体を除去して微細物を回収することで、無人化運転を可能にする。
【0040】
この実施の形態では、沈殿部111の入側に第2の自動バルブ114aを備え、沈殿部111に溜まる微細物を微細物除去装置120に送るときに閉じるようにしているが、第2の自動バルブ114aを備えないで微細物を沈殿部111に溜め、微細物除去装置120に送るようにしてもよい。第2の自動バルブ114a、第3の自動バルブ114bの種類は、特に限定されない。
【0041】
(実施の形態2)
この実施の形態2を、
図2に示す。
図2は微細物除去システムを示す図である。
【0042】
この実施の形態の微細物除去システム10は、実施の形態1と同じ構成は同じ符号を付して説明を省略する。この実施の形態の微細物除去システム10は、
微細物除去装置120を、2個の複数個直列に接続して備える。上流側の微細物除去装置120は、遠心分離装置110に接続され、下流側の微細物除去装置120は、貯留タンク101に接続される。
【0043】
上流側の微細物除去装置120及び下流側の微細物除去装置120には、微細物量検出装置112を備え、微細物量検出装置112は、微細物除去装置120に溜まる微細物量を検出し、検出信号を制御装置113へ送る。
【0044】
制御装置113は、上流側の微細物除去装置120に配置した微細物量検出装置112からの検出信号に基づき上流側の微細物除去装置120を駆動し、
沈澱した微細物に付着する液体を除去して微細物を排出し、微細物は、回収容器61に回収され、除去された液体は、下流側の微細物除去装置120へ送られる。
【0045】
制御装置113は、下流側の微細物除去装置120に配置した微細物量検出装置112からの検出信号に基づき下流側の微細物除去装置120を駆動し、
沈澱した微細物に付着する液体を除去して微細物を排出し、微細物は、回収容器61に回収され、除去された液体は、貯留タンク101へ戻る。
【0046】
(実施の形態3)
この実施の形態3を、
図3に示す。
図3は微細物除去システムを示す図である。
【0047】
この実施の形態の微細物除去システム10は、実施の形態1と同じ構成は同じ符号を付して説明を省略する。この実施の形態の微細物除去システム10は、沈殿部111の上流側は、第1の自動バルブ114cを介して装置100に通じる経路と、第2の自動バルブ114aと遠心分離装置110を順に介して装置100に通じる経路と、を含み、沈殿部111の下流側は、第3の自動バルブ114bを介して微細物除去装置120に通じる経路と、を含む。
【0048】
制御装置113の制御により、通常動作は、第1の自動バルブ114cを閉じ、第2の自動バルブ114aを開き、第3の自動バルブ114bを閉じて沈殿部111に微細物を溜める。沈殿部111に溜まる微細物の量を微細物量検出装置112が検出し、制御装置113は微細物を検出する微細物量に基づき制御し、排出動作は、第2の自動バルブ114aを閉じ、第3の自動バルブ114bを開き、沈殿部111に溜まる微細物を排出し、その時第1の自動バルブ114cを開き、沈殿部111と第3の自動バルブ114bを洗浄して排出しきれない微細物を微細物除去装置120へ排出する。通常動作への復帰は、第1の自動バルブ114cを閉じ、第2の自動バルブ114aを開き、第3の自動バルブ114bを閉じて沈殿部111に微細物を溜めように構成される。第1の自動バルブ114c、第2の自動バルブ114a、第3の自動バルブ114bの種類は、特に限定されない。
【0049】
この実施の形態の微細物除去システム10では、通常動作、排出動作、通常動作への復帰を実施することで、毎分の流量に関係なく、微細物の滞留量のみを検知し、排出することができ、廃液量を最小限に抑えた自動化が可能となる。
【0050】
(実施の形態4)
この実施の形態4を、
図4に示す。
図4は微細物除去システムを示す図である。
【0051】
この実施の形態の微細物除去システム10は、実施の形態1と同じ構成は同じ符号を付して説明を省略する。この実施の形態の微細物除去システム10は、沈澱する微細物を微細物除去装置120に導く導入通路140を含み、導入通路140は、遠心分離装置110に自動バルブ141を介して連通する構成である。
【0052】
通常運転では、自動バルブ141を開き、分離された微細物が沈降し、導入通路140を介して微細物除去装置120に導入される。導入通路140には、微細物量検出装置112を備えており、微細物量検出装置112は、導入通路140に溜まる微細物量を検出する。制御装置113は、微細物量検出装置112において検出する微細物量に基づき、自動バルブ141を閉じ、微細物除去装置120を駆動し、沈澱した微細物に付着する液体を除去して微細物を排出する。
【0053】
(実施の形態5)
この実施の形態5を、
図5に示す。
図5は微細物除去システムを示す図である。
【0054】
この実施の形態の微細物除去システム10は、実施の形態1と同じ構成は同じ符号を付して説明を省略する。この実施の形態の微細物除去システム10は、
沈澱する微細物を微細物除去装置120に導く導入通路140を含み、導入通路140は、遠心分離装置110に自動バルブ141aを介して連通する構成である。
【0055】
この実施の形態の微細物除去システム10は、導入通路140の上流側は、第1の自動バルブ114cを介して装置100に通じる経路と、第2の自動バルブ114aと遠心分離装置110を順に介して装置100に通じる経路と、を含み、導入通路140の下流側は、微細物除去装置120に通じる経路と、を含む。
【0056】
制御装置113の制御により、通常動作は、第1の自動バルブ114cを閉じ、第2の自動バルブ114aを開き、導入通路140に微細物を溜める。導入通路140に溜まる微細物の量を微細物量検出装置112が検出し、制御装置113は微細物を検出する微細物量に基づき制御し、排出動作は、第2の自動バルブ114aを閉じ、微細物除去装置120導入を駆動して通路140に溜まる微細物を排出し、その時第1の自動バルブ114cを開き、導入通路140を洗浄して排出しきれない微細物を微細物除去装置120へ排出する。通常動作への復帰は、第1の自動バルブ114cを閉じ、第2の自動バルブ114aを開き、導入通路140に微細物を溜めように構成される。
【0057】
(微細物量検出装置)
[形態1の構成]
微細物量検出装置は、
図6乃至
図11に示すように構成される。
図6は微細物量検出装置を説明する図、
図7は微細物量の検出を説明する原理図、
図8は微細物量を検出しない場合を示す図、
図9は微細物量を検出する場合を示す図、
図10は微細物量の検出を示すフロー図、
図11は他の形態の微細物量検出装置を示す図である。
【0058】
この微細物量検出装置112は、沈殿部111に溜まる微細物量を検出する装置であり、沈殿部111の外側面に備える超音波センサ112aと、超音波センサ112aからの出力に基づいて沈殿部111に溜まる微細物量を検出する検出手段112bと、を備える。
【0059】
超音波センサ112aは、沈殿部111の外側面にカップリング材112cにより保持され、取付治具112dで所定位置に取り付けられる。この超音波センサ112aを取り付けた位置が、沈殿部111に溜まる微細物量を検出する位置である。沈殿部111の底部に、排出通路150が連通する。
【0060】
検出手段112bは、超音波センサ112aからの出力が閾値以上の場合には、微細物量が規定値以下と判断し、超音波センサ112aからの出力が閾値以下の場合には、微細物量が規定値以上と判断する。
【0061】
(検出原理)
この実施の形態の超音波センサ112aは、送波器112a1により超音波を対象物に向け発信し、その反射波を受波器112a2で受信することにより、対象物の有無検出する構成である。
【0062】
この実施の形態では、反射形を用いており、
図7(a)に示すように、沈殿部111の側壁によって、口元反射、内壁反射、外壁反射が生じる。例えば、距離調整ボリウムなどで設定した検出距離範囲内に存在する物体からの反射波のみを検出する方式を用いることができる。
【0063】
図7(b)に示すように、沈殿部111の内部には、切削液のみが溜まっている場合、あるいは切削液が溜まっていない場合には、超音波センサ112aの内壁反射による出力が大きい。
図7(c)に示すように、切削液に含まれる微細物を分離して除去し、この微細物が沈殿部111の内部に溜まってくると、超音波センサ112aの内壁反射による出力が微細物によって減衰して小さくなる。
【0064】
(微細物量検出)
この実施の形態の微細物量検出装置112による微細物量検出を、
図8乃至
図10に基づいて説明する。この実施の形態の微細物量検出装置112では、超音波センサ112aがケーブルにより検出手段112bに接続される。
【0065】
微細物量の検出を開始し(
図10(a))、超音波センサ112aでは、超音波を送信し、この反射波を受信する(
図10(b)、(c))。検出手段112bでは、超音波センサ112aで受信した信号を判定し(
図10(d))、超音波センサ112aからの出力、即ち受信電圧が閾値以上は、微細物量が規定値以下と判断し(
図8(b))、受信電圧が閾値以下は、微細物量が規定値以上と判断する(
図9(b))。
【0066】
微細物量が規定値以下と判断した場合には、正常表示を行い(
図10(e))、例えば青色ランプを点灯させている。微細物量が規定値以上と判断した場合には、検出信号を出力し(
図10(f))、終了する(
図10(g))。
【0067】
[形態2の構成]
この実施の形態の微細物量検出装置112は、
図11に示すように、沈殿部111の外側面に備える超音波センサ112aとして透過形を用いる。この透過形は、送波器112a1により超音波を対象物に向け発信し、その送波を受波器112a2で受信することにより、対象物の有無検出する構成である。送波器112a1と受波器112a2は、対抗する位置において、沈殿部111の外側面にカップリング材112cにより保持され、取付治具で所定位置に取り付けられる。この超音波センサ112aを取り付けた位置が、沈殿部111に溜まる微細物量を検出する位置である。
【0068】
検出手段112bは、超音波センサ112aからの出力が閾値以上の場合には、微細物量が規定値以下と判断し、超音波センサ112aからの出力が閾値以下の場合には、微細物量が規定値以上と判断する。
【0069】
この実施の形態では、
図11(b)に示すように、沈殿部111の内部には、切削液のみが溜まっている場合、あるいは切削液が溜まっていない場合には、超音波センサ112aの出力が大きい。切削液に含まれる微細物を分離して除去し、この微細物が沈殿部111の内部に溜まってくると、超音波センサ112aの出力が微細物によって減衰して小さくなる。
【0070】
(微細物除去装置)
[形態1の構成]
この実施の形態の微細物除去装置を、
図12及び
図13に基づいて説明する。
図12は微細物除去装置の断面図、
図13は微細物を除去する状態を示す図である。
【0071】
この実施の形態の微細物除去装置120は、沈降する液体が付着した微細物を収容する円筒収容部20と、円筒収容部20の内部に軸方向に配置されて回転により微細物を排出するスクリュー軸30と、スクリュー軸30を回転駆動する駆動手段40と、を含む構成である。
【0072】
円筒収容部20には、中央部の上方位置に導入開口21が形成され、この導入開口21に導入管22が接続されている。円筒収容部20には、導入管22を介して遠心分離装置50が接続されている。液体が付着した微細物は、導入開口21から円筒収容部20の内部に収容される。
【0073】
スクリュー軸30は、スクリュー31を有し、このスクリュー31は、円筒収容部20の長さに対応して形成されている。駆動手段40は、モータ41により構成され、モータ41の出力軸42は、連結部材43を介してスクリュー軸30の入力軸部32と連結されている。
【0074】
円筒収容部20の後端には、取付体23を介してモータ41が取り付けられ、スクリュー軸30の入力軸部32は、軸受24を介して取付体23に軸支されている。
【0075】
円筒収容部20の排出側には、絞り部27を設け、この絞り部27を、ストッパー70で覆うように構成されている。ストッパー70は、絞り部27の開口に当接する球面を有するストッパー部71と、ストッパー部71が固定された支持軸部72と、支持軸部72を支持する支持筒73と、を含む。支持筒73は、ホルダー74に支持され、ホルダー74は、取付ボルト75によって絞り部27に固定した支持体76に取り付けられている。
【0076】
支持軸部72の受け部72aにストッパー部71が固定され、この受け部72aと、支持筒73の鍔部73aとの間に、付勢手段77を構成するスプリング78が配置されている。スプリング78は、支持軸部72の受け部72aを介してストッパー部71の面が、常に絞り部27の開口に当接するように付勢する。このように、ストッパー70は、付勢手段77により常に閉じ方向に付勢される構成である。
【0077】
スクリュー軸30は、駆動手段40を構成するモータ41の駆動によって回転し、このスクリュー軸30の回転により円筒収容部20の内部に収容される微細物がスクリュー31によって排出方向へ移動する(
図13(a))。この移動する微細物は、ストッパー部71の面に当接し(
図13(b))、さらにスクリュー軸30の回転により微細物が移動し、その微細物がストッパー部71を押動し、絞り部27の開口が開く(
図13(c))。微細物は、絞り部27の開口から落下して回収容器61に回収される(
図13(d))。
【0078】
このように、スクリュー軸30の回転により円筒収容部20の内部に収容される微細物がスクリュー31によって排出方向へ移動し、円筒収容部20から排出され、回収容器61に回収される際に、微細物に付着する液体が除去され、この液体は、排出孔26を介して貯留タンク101に回収される。
【0079】
[形態2の構成]
この実施の形態の微細物除去装置を、
図14に基づいて説明する。
図14は微細物除去装置を示す図である。
【0080】
この微細物除去装置120は、形態1の構成と同じ構成は同じ符号を付して説明を省略する。この形態は、円筒収容部20の排出側に、排出筒80を接続し、排出筒80は、円筒収容部20より上方に開口する排出開口81を有し、円筒収容部20から排出される微細物を、排出筒80の排出開口81から排出可能な構成である。
【0081】
この微細物除去装置120は、前記した実施の形態の微細物除去システムに限定されず、液体に含まれる微細物を遠心力により分離して沈殿させる遠心分離装置、または分離した微細物を溜めるホッパーに接続することが可能に構成され、微細物に付着する液体を除去して微細物を排出する。
【0082】
[形態3の構成]
この実施の形態の微細物除去装置を、
図15に基づいて説明する。
図15は微細物除去装置を示す図である。
【0083】
この微細物除去装置120は、液体に含まれる微細物を遠心力により分離して沈殿させる遠心分離装置、または分離した微細物を溜めるホッパーに接続し、微細物に付着する液体を除去して微細物を排出する装置であり、横方向配置型微細物除去部Aと、斜め方向配置型微細物除去部Bと、を備える。
【0084】
横方向配置型微細物除去部Aは、回転により前記微細物を排出するスクリュー軸200と、スクリュー軸200を回転駆動する駆動手段201と、を含み、
遠心分離装置、またはホッパーに接続した投入部202から、直接スクリュー軸200の部位へ微細物を落下させる構成である。
【0085】
斜め方向配置型微細物除去部Bは、液体が付着した微細物を収容する円筒収容部300と、円筒収容部300の内部に軸方向に配置されて回転により微細物を排出するスクリュー軸301と、スクリュー軸301を回転駆動する駆動手段302と、を含み、微細物は、開口303から落下して回収容器61に回収される。
【0086】
横方向配置型微細物除去部Aの駆動と、斜め方向配置型微細物除去部Bの駆動により、投入部202から横方向配置型微細物除去部Aのスクリュー軸200の部位へ微細物を直接落下すると、スクリュー軸200の回転により、横方向配置型微細物除去部Aから斜め方向配置型微細物除去部Bへ微細物を送る。
【0087】
斜め方向配置型微細物除去部Bでは、スクリュー軸301の回転駆動により、微細物が持ち上がり、液体を除去して微細物が、開口303から落下して回収容器61に回収される。
【0088】
この微細物除去装置120では、横方向配置型微細物除去部Aのスクリュー軸200と、横方向配置型微細物除去部Aのスクリュー軸200の2本のスクリュー軸により常時微細物が流動していることにより低負荷で微細物が排出可能となり、駆動手段201及び駆動手段302を構成するモータの小型化が可能である。また、長期間停止時も、水脈がある程度確保できることにより最低限の負荷で可動することが可能となる。また、固まりやすい微細物でも常時流動させることで水脈を維持し内部での固着化を最小限に防ぐことができる。
【0089】
斜め方向配置型微細物除去部Bは、スクリュー軸301を微細物に応じて95度~180度と任意の角度に調整することも可能であり、例えば、微細物の種類と含水率に応じて角度を調整する。
【0090】
この微細物除去装置120は、液体に含まれる微細物を遠心力により分離して沈殿させる遠心分離装置、または分離した微細物を溜めるホッパーに接続し、微細物に付着する液体を除去して微細物を排出する装置であり、横方向配置型微細物除去部Aと、斜め方向配置型微細物除去部Bの駆動により、微細物に付着する液体を除去して微細物を回収する。
【0091】
[形態4の構成]
この実施の形態の微細物除去装置を、
図16乃至
図20に基づいて説明する。
図16は微細物除去装置を示す正面図、
図17は微細物除去装置を示す平面図、
図18は微細物除去装置を示す斜視図、
図19は排出口の位置が変更可能な構成を示す図、
図20はスクリュー軸中心を支点として角度を可変可能な構成を示す図である。この形態4の構成は、形態3の構成と同じ部分は、同じ符号を付して説明を省略する。
【0092】
横方向配置型微細物除去部Aと、斜め方向配置型微細物除去部Bを備え、横方向配置型微細物除去部Aは、ホッパーの投入部202から直接スクリュー軸200の部位へ微細物を落下させる構成である。ホッパーの投入部202は、
オーバーフローカバ―400を有し、オーバーフローカバ―400を開放することで分離した微細物に付着し、ホッパーの投入部202に溜まる液体を排出させる。
【0093】
斜め方向配置型微細物除去部Bは、液体を除去した微細物を排出する微細物排出レール410を備え、微細物排出レール410は、排出口411の位置を変更可能な構成である。例えば、微細物排出レール410を、斜め方向配置型微細物除去部Bの筒体に接続部412を回動可能に設け、微細物排出レール410を回動して排出口411の位置を変える。微細物排出レール410を回動することで、
図19(a)は排出口411の位置が側面から見て左側に位置し、
図19(b)は排出口411の位置が側面から見て右側に位置しており、排出口411の位置を設備や装置の設置状況に応じて自由に変更することができる。
【0094】
斜め方向配置型微細物除去部Bは、
図20に示すように、スクリュー軸方向は、横方向配置型微細物除去部Aのスクリュー軸中心を支点として角度を可変可能な構成である。例えば、初期設置時に、斜め方向配置型微細物除去部Bに位置を考慮し、横方向配置型微細物除去部Aに対する斜め方向配置型微細物除去部Bの取付角度を決めて、ボルト・ナットなどの取付手段500で締め付け固定する。また、その後の設備の変更等の事情によって、ボルト・ナットなどの取付手段を外して横方向配置型微細物除去部Aに対する斜め方向配置型微細物除去部Bの取付角度を変化させて、ボルト・ナットなどの取付手段500で締め付け固定する。このように、横方向配置型微細物除去部Aに対する斜め方向配置型微細物除去部Bの取付角度を変えて、斜め方向配置型微細物除去部Bのスクリュー軸方向を変化させることで、排出口411の位置を設備や装置の設置状況に応じて自由に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
この発明は、液体に含まれる微粉末状クズ等の微細物を分離し、微細物に付着する液体を除去して微細物を回収する微細物除去システム及び微細物除去装置に適用可能であり、自動運転により液体に含まれる微細物を分離して除去し、微細物に付着する液体を除去して微細物を回収することで、無人化運転を可能にする。
【符号の説明】
【0096】
10 微細物除去システム
20 円筒収容部
21 導入開口
22 導入管
23 取付体
24 軸受
27 絞り部
30 スクリュー軸
31 スクリュー
32 入力軸部
40 駆動手段
41 モータ
42 出力軸
43 連結部材
70 ストッパー
71 ストッパー部
72 支持軸部
73 支持筒
74 ホルダー
75 取付ボルト
76 支持体
77 付勢手段
78 スプリング
80 排出筒
81 排出開口
100 加工または処理を行う装置
101 貯留タンク
102 循環経路
103 ポンプ
110 遠心分離装置
111 沈殿部
112 微細物量検出装置
112a 超音波センサ
112b 検出手段
113 制御装置
120 微細物除去装置
140 導入通路
A 横方向配置型微細物除去部
B 斜め方向配置型微細物除去部