(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】照明制御システムおよび照明制御方法
(51)【国際特許分類】
H05B 47/115 20200101AFI20240209BHJP
H05B 47/19 20200101ALI20240209BHJP
H05B 47/16 20200101ALI20240209BHJP
H05B 47/125 20200101ALI20240209BHJP
【FI】
H05B47/115
H05B47/19
H05B47/16
H05B47/125
(21)【出願番号】P 2020056477
(22)【出願日】2020-03-26
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】坂本 幸司
【審査官】坂口 達紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-003795(JP,A)
【文献】特開2014-186938(JP,A)
【文献】特表2012-514829(JP,A)
【文献】特開2009-266482(JP,A)
【文献】特表2013-527967(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 39/00-39/10
45/00-45/58
47/00-47/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の領域を照明する照明器具を制御する照明制御システムであって、
前記照明器具を使用する対象ユーザから第1識別情報を取得する識別部と、
複数のユーザの第2識別情報のそれぞれが照明制御パラメータと紐づけられた設定情報があらかじめ記憶された記憶部と、
前記設定情報を参照し、取得した前記第1識別情報と一致する第2識別情報に紐づけられた前記照明制御パラメータで前記照明器具を発光させる制御部と、を備え
、
前記設定情報においては、1つの第2識別情報に対して、前記ユーザの心拍、体温および活動量のうちの少なくとも1つを含むバイタル情報の値の範囲毎に異なる複数の前記照明制御パラメータが紐づけられ、
前記制御部は、取得した前記第1識別情報と一致する第2識別情報に紐づけられた複数の前記照明制御パラメータのうちの、携帯端末から取得した前記対象ユーザの前記バイタル情報に対応する前記照明制御パラメータで前記照明器具を発光させる、
照明制御システム。
【請求項2】
前記第1識別情報および第2識別情報のそれぞれは、虹彩、指紋、顔に関する情報または無線タグに記録されたID情報である、
請求項1に記載の照明制御システム。
【請求項3】
クラウドサーバと通信を行う通信部を備え、
前記記憶部は、前記通信部が前記クラウドサーバから取得した前記設定情報を記憶する、
請求項2に記載の照明制御システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記クラウドサーバと通信を行うことにより、前記設定情報のアップデートを行う、
請求項3に記載の照明制御システム。
【請求項5】
前記識別部は、無線通信により、携帯端末から、前記第1識別情報を取得する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の照明制御システム。
【請求項6】
前記識別部は、前記対象ユーザの画像を撮影することにより、前記第1識別情報を取得する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の照明制御システム。
【請求項7】
前記設定情報においては、1つの第2識別情報に対して、さらに、時間帯および季節を表す時期情報毎に異なる複数の前記照明制御パラメータが紐づけられ、
前記制御部は、取得した前記第1識別情報と一致する第2識別情報に紐づけられた複数の前記照明制御パラメータのうちの、前記識別部が前記対象ユーザから前記第1識別情報を取得した時間帯または季節に対応する前記照明制御パラメータで前記照明器具を発光させる、
請求項1~
6のいずれか1項に記載の照明制御システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記携帯端末から、前記ユーザの活動量を取得し、
前記活動量が多いほど、調光率が所定値よりも低い前記照明制御パラメータに基づいて前記照明器具を発光させ、前記活動量が少ないほど、前記調光率が前記所定値よりも高い前記照明制御パラメータに基づいて前記照明器具を発光させる、
請求項
1~7のいずれか1項に記載の照明制御システム。
【請求項9】
前記設定情報は、前記識別部が複数のユーザを識別した場合の複数の前記ユーザの間における優先順位に関する情報を含み、
前記所定の領域で前記識別部が複数の対象ユーザから複数の前記第1識別情報を取得した場合、前記制御部は、複数の前記第1識別情報と一致する複数の第2識別情報のうち前記優先順位が最も高い前記第2識別情報に紐づけられた前記照明制御パラメータで前記照明器具を発光させる、
請求項1~
8のいずれか1項に記載の照明制御システム。
【請求項10】
前記設定情報は、前記複数のユーザの第2識別情報それぞれが当該ユーザの属性情報と紐づけられた第1設定情報と、複数のユーザの属性情報のそれぞれが前記照明制御パラメータに紐づけられた第2設定情報とを含み、
前記設定情報においては、前記複数のユーザの第2識別情報それぞれが、属性情報を介して間接的に前記照明制御パラメータに紐づけられている、
請求項1~
9のいずれか1項に記載の照明制御システム。
【請求項11】
さらに、ユーザから照明制御パラメータの変更指示を受け付ける指示受付部を備え、
前記制御部は、前記設定情報を参照し、取得した前記第1識別情報と一致する第2識別情報に紐づけられた前記照明制御パラメータまたは前記属性情報に対応する前記照明制御パラメータで前記照明器具を発光させているときに前記変更指示が受け付けられると前記変更指示に基づいて、照明制御パラメータを変更して前記照明器具を発光させる、
請求項
10に記載の照明制御システム。
【請求項12】
前記所定の領域は、前記ユーザの住宅、商業施設、インターネットカフェ、娯楽施設、または、飲食店に含まれるパーソナルスペースである、
請求項1~
11のいずれか1項に記載の照明制御システム。
【請求項13】
所定の領域を照明する照明器具を制御する照明制御方法であって、
前記照明器具を使用する対象ユーザから第1識別情報を取得する識別ステップと、
記憶部に予め記憶された、複数のユーザの第2識別情報のそれぞれが照明制御パラメータと紐づけられた設定情報を参照し、取得した前記第1識別情報と一致する第2識別情報に紐づけられた前記照明制御パラメータで前記照明器具を発光させる制御ステップと、を含
み、
前記設定情報においては、1つの第2識別情報に対して、前記ユーザの心拍、体温および活動量のうちの少なくとも1つを含むバイタル情報の値の範囲毎に異なる複数の前記照明制御パラメータが紐づけられ、
前記制御ステップにおいては、取得した前記第1識別情報と一致する第2識別情報に紐づけられた複数の前記照明制御パラメータのうちの、携帯端末から取得した前記対象ユーザの前記バイタル情報に対応する前記照明制御パラメータで前記照明器具を発光させる、
照明制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明制御システムおよび照明制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、個別のユーザにカスタマイズされた照明に対するニーズがある。特許文献1には、ユーザの操作を必要とすることなく、ユーザまたは環境に適した照明光を照射することができる照明装置等が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示される照明装置等は、登録されたユーザが照明される空間に存在するか否かによって、照明の制御の内容を変更することはできない。
【0005】
そこで、本発明は、登録されたユーザが照明される空間に存在するか否かによって、照明の制御の内容を変更することができる照明制御システム等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る照明制御システムは、所定の領域を照明する照明器具を制御する照明制御システムであって、前記照明器具を使用する対象ユーザから第1識別情報を取得する識別部と、複数のユーザの第2識別情報のそれぞれが照明制御パラメータと紐づけられた設定情報があらかじめ記憶された記憶部と、前記設定情報を参照し、取得した前記第1識別情報と一致する第2識別情報に紐づけられた前記照明制御パラメータで前記照明器具を発光させる制御部と、を備える。
【0007】
本発明の一態様に係る照明制御方法は、所定の領域を照明する照明器具を制御する照明制御方法であって、前記照明器具を使用する対象ユーザから第1識別情報を取得する識別ステップと、記憶部に予め記憶された、複数のユーザの第2識別情報のそれぞれが照明制御パラメータと紐づけられた設定情報を参照し、取得した前記第1識別情報と一致する第2識別情報に紐づけられた前記照明制御パラメータで前記照明器具を発光させる制御ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様に係る照明制御システム等は、登録されたユーザが照明される空間に存在するか否かによって、照明の制御の内容を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る照明制御システムの概念図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る照明制御システムの利用時の流れを示す図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る照明制御システムで用いられる設定情報を示す表である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る照明制御システムの利用場面を示す図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る照明制御システムのブロック図である。
【
図6】
図6は、実施の形態に係る照明制御システムに対する設定情報の登録処理を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施の形態に係る照明制御システムの予約の処理を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施の形態に係る照明制御システムの処理を示すフローチャートである。
【
図9A】
図9Aは、実施の形態に係る照明制御システム10で用いられる第1属性情報を示す表である。
【
図9B】
図9Bは、実施の形態に係る照明制御システム10で用いられる第2属性情報と照明制御パラメータとを示す表である。
【
図10】
図10は、実施の形態に係る照明制御システムで用いられる設定情報の別の例を示す表である。
【
図11】
図11は、実施の形態に係る照明制御システムの時期情報による調光調色の処理を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、実施の形態に係る照明制御システムで用いられる設定情報のさらに別の例を示す表である。
【
図13】
図13は、実施の形態に係る照明制御システムのバイタル情報による調光調色の処理を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、実施の形態に係る照明制御システムの行動履歴による調光調色の処理を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、実施の形態に係る照明制御システムの利用履歴を反映させた調光調色の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0012】
(実施の形態)
[照明制御システムの概要]
まず、照明制御システム10の概要を説明する。
図1は、実施の形態に係る照明制御システム10の概念図である。対象ユーザ1は、まず、照明制御システム10に対して、自身が望む調光調色が行われるための設定を行う。また、併せて、対象ユーザ1は、自身が照明制御システム10から識別されるための情報を登録する。
【0013】
対象ユーザ1が認証されるための情報は、例えば、虹彩、指紋等の生体認証に用いられる情報、顔情報、またはRFID(Radio Frequency Identifier)等が用いられた無線タグに記録されたID情報等である。RFIDタグが用いられる場合、RFIDタグが備える記憶部に記憶されたID情報を、照明制御システム10が取得する。また、対象ユーザ1が望む照明の調光調色に関する設定は、例えば、照明器具12の調光率または色温度の設定である。
【0014】
当該設定は、スマートフォン11aまたはタブレット端末を通して行われてもよいし、パーソナルコンピュータ11bを通して行われてもよい。また、当該設定は、上記の機器にダウンロードされた専用のアプリケーションが用いられて行われてもよいし、上記の機器から専用のWebサイトにアクセスすることで行われてもよい。なお、当該設定は、クラウドサーバ20を利用して行われる。
【0015】
次に、対象ユーザ1は、照明制御システム10が設置されている空間に入室する。例えば、対象ユーザ1が、照明制御システム10が設置されている自宅に帰宅すること、または、照明制御システム10が設置されているスポットオフィス等に入室すること等が想定される。このとき、照明制御システム10は、照明制御システム10が設置されている空間に入室した対象ユーザ1を識別する。照明制御システム10は、対象ユーザ1が識別部に識別子をかざすことによって、対象ユーザ1が、照明制御システム10が設置されている空間に入室したことを識別してもよいし、対象ユーザ1が所持する識別子と無線通信を行うことによって、照明制御システム10が設置されている空間に入室した対象ユーザ1を識別してもよい。ここで、識別子は、スマートフォン11aでもよいし、RFIDタグでもよい。また、対象ユーザ1は識別子として、識別端末に自身の虹彩、指紋または顔を識別させてもよい。
【0016】
そして、照明制御システム10は、対象ユーザ1を識別すると、対象ユーザ1が設定した照明の調光率および色温度等に応じて、照明器具12を制御する。また、照明制御システム10は、対象ユーザ1が所持するウェアラブルデバイス13またはスマートフォン11a等から対象ユーザ1のバイタルデータを取得し、取得したバイタルデータに基づいて、照明器具12の調光調色を行ってもよい。また、照明制御システム10は、対象ユーザ1を識別した時間帯または季節に基づいて、照明器具12の調光調色を行ってもよい。
【0017】
[照明制御システムの利用手順]
次に、対象ユーザ1が照明制御システム10を利用する際の手順について説明する。
図2は、実施の形態に係る照明制御システム10の利用時の流れを示す図である。
【0018】
まず、対象ユーザ1は、対象ユーザ1を識別するために使用される第2識別情報を、スマートフォン11aまたはパーソナルコンピュータ11b等の端末11から、クラウドサーバ20にアップロードする。第2識別情報は、対象ユーザ1の指紋、虹彩、または顔の画像である。また、第2識別情報は、対象ユーザ1が所持するRFIDを識別するための情報でもよい。また、第2識別情報は、対象ユーザ1が所持するスマートフォン11aまたはウェアラブルデバイス13を識別するための情報でもよい。
【0019】
対象ユーザ1は、第2識別情報をクラウドサーバ20にアップロードした後に、第2識別情報と紐づけて記憶される照明制御パラメータを設定する。照明制御パラメータは、照明器具12の調光率または色温度を表す値である。対象ユーザ1は、照明制御パラメータの値を直接指定する。または、対象ユーザ1は、照明制御パラメータの値を予め定められた範囲の中から選択してもよい。
【0020】
また、対象ユーザ1は、照明制御パラメータを直接指定するのではなく、照明器具12が実現する照明効果を選択することで、間接的に照明制御パラメータを指定してもよい。例えば、対象ユーザ1が「リラックス」等の照明器具12が実現する照明効果を選択することで、照明制御システム10は、「リラックス」に該当する照明効果を実現する照明制御パラメータを設定する。
【0021】
第2識別情報と照明制御パラメータは、お互いに紐づけられて、クラウドサーバ20に設定情報として記憶される。
図3は、実施の形態に係る照明制御システムで用いられる設定情報を示す表である。
図3で説明される設定情報については、後述する。また、設定情報は、スマートフォン11a、または、パーソナルコンピュータ11b等の端末11が備えるメモリ、または照明制御システム10が備えるサーバ等に記憶されてもよい。上記の機器に設定情報が記憶される時、対象ユーザ1が設定情報の登録を行うために使用した端末11と、上記の機器が無線で通信することによって、設定情報が上記の機器に記憶されてもよいし、上記の機器が無線または有線通信により、設定情報を記憶したクラウドサーバ20と通信を行うことにより、設定情報を同期してもよい。
【0022】
また、照明制御システム10は、照明制御パラメータを設定する際に、対象ユーザ1の心拍数、体温もしくは活動量等のバイタル情報、または、対象ユーザ1が照明制御システム10を利用する時間帯もしくは季節を表す時期情報毎に、複数の異なる照明制御パラメータを設定してもよい。例えば、照明制御システム10は、対象ユーザ1の心拍数が高いときは、調光率を所定値よりも低く設定し、対象ユーザ1の心拍数が低いときは、調光率を所定値よりも高く設定してもよい。
【0023】
次に、対象ユーザ1は、パーソナルスペースの予約を行う。ここで、パーソナルスペースとは、商業施設、インターネットカフェ、娯楽施設および飲食店等において、対象ユーザ1が個人で使用する空間のことである。具体的には、インターネットカフェの専用ブース、飲食店の座席、自習室の座席等である。対象ユーザ1は、パーソナルスペースを使用したい日時および使用したいパーソナルスペースの位置を指定して予約を行う。パーソナルスペースの予約は、スマートフォン11aまたはパーソナルコンピュータ11b等の端末11を通じて行われる。パーソナルスペースの予約は、ウェアラブルデバイス13を通じて行われてもよい。予約の際には、予約情報として、対象ユーザ1を示す情報と、使用されるパーソナルスペースの位置および時間とが登録される。対象ユーザ1が登録した予約情報は、クラウドサーバ20にアップロードされる。予約情報は、適宜、クラウドサーバ20から照明制御システム10にアップロードされる。
【0024】
そして、対象ユーザ1は、予約された日時に予約された位置にあるパーソナルスペースに入室する。対象ユーザ1が予約されたパーソナルスペースに入室する際に、照明制御システム10によって、対象ユーザ1の認証が行われる。後述する、照明制御システム10が備える識別部31は、対象ユーザ1から第1識別情報を取得することによって、対象ユーザ1を識別する。識別部31による対象ユーザ1の識別は、後に詳細に述べる。
【0025】
続いて、照明制御システム10は、取得した第1識別情報を、クラウドサーバ20にアップロードされた第2識別情報と照合する。そして、照明制御システム10は、第1識別情報と一致する第2識別情報に紐づけられた照明制御パラメータを選択する。そして、照明制御システム10は、選択した照明制御パラメータに基づいて、照明器具12を制御する。
【0026】
このように、対象ユーザ1が、予め所望の照明効果を実現するように、照明制御システム10に登録を行うことで、対象ユーザ1が予約した日時にパーソナルスペースに入室すると、対象ユーザ1の所望の照明効果を得られる照明制御が自動で行われる。
【0027】
図4は、実施の形態に係る照明制御システム10の利用場面を示す図である。まず、対象ユーザ1が、照明器具12が設置されているパーソナルスペースに入室する。ここで、パーソナルスペースは例えば、自習室である。対象ユーザ1は、予め照明制御システム10に、自身の識別のための情報を登録し、当該パーソナルスペースの利用を予約している。
【0028】
また、対象ユーザ1は、照明制御システム10が対象ユーザ1を識別するための識別子として機能するスマートフォン11aを所持している。そして、対象ユーザ1がパーソナルスペースに入室すると、スマートフォン11aは、室内に設置された識別部31と無線等で通信を行う。例えば、スマートフォン11aは、識別部31とBluetooth(登録商標)で通信を行ってもよい。なお、識別部31は、照明制御システム10に備えられる。
【0029】
照明制御システム10は、対象ユーザ1を識別すると、対象ユーザ1が登録した設定情報に基づいて、照明器具12の制御を自動的に行う。
【0030】
なお、ここで、パーソナルスペースは、屋内であるとして説明したが照明制御システム10が設置されたパーソナルスペースは屋外であってもよい。また、照明制御システム10が設置されたパーソナルスペースは、対象ユーザ1の自宅等に存在してもよい。パーソナルスペースが対象ユーザ1の自宅等に存在する場合、対象ユーザ1は、パーソナルスペースの利用の予約を行う必要はなく、予約をすることなく、パーソナルスペースに入室すればよい。
【0031】
[照明制御システムの構成]
次に、照明制御システム10の構成について説明する。
図5は、実施の形態に係る照明制御システム10のブロック図である。
【0032】
照明制御システム10は、端末11、クラウドサーバ20、識別部31、記憶部32、制御部33、および照明器具12を備える。また、クラウドサーバ20は、クラウド記憶部21を備える。なお、識別部31、記憶部32、制御部33および照明器具12は、所定空間30に備えられる。所定空間30とは、例えば、商業施設、インターネットカフェ、娯楽施設および飲食店等において、対象ユーザ1が個人で使用する空間であり、対象ユーザ1の自室でもよい。
【0033】
端末11は、スマートフォン11aまたはパーソナルコンピュータ11b等で実現される。端末11は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、通信モジュール、ディスプレイ、入力ボタン等を備える。端末11は、タッチパネルディスプレイを備えてもよい。端末11のメモリには、プロセッサが実行するためのプログラムが記憶されている。なお、端末11は、CPUの代わりに、専用回路を備えていてもよい。また、端末11は、必ずしも入力ボタンを備えなくてもよい。
【0034】
端末11は、対象ユーザ1が、照明制御システム10に対して、第2識別情報の登録および照明制御パラメータの登録を行うための、対象ユーザ1からの入力を受け付ける。端末11は、クラウドサーバ20または制御部33および記憶部32と通信を行い、第2識別情報の登録および照明制御パラメータの登録のための画面を表示する。端末11は、入力された情報を、クラウドサーバ20または記憶部32に送信する。
【0035】
クラウドサーバ20は、インターネットを通じて提供されるコンピュータリソースによって実現される記憶領域である。クラウドサーバ20は、通信モジュールと、クラウド記憶部21と、CPUとを備える。クラウド記憶部21は、メモリで実現される。クラウド記憶部21は、第2識別情報と照明制御パラメータとを記憶する。また、クラウドサーバ20は、照明器具12を識別するIDおよび照明器具12が設置されている場所に関する情報、対象ユーザ1が照明器具12が設置されているパーソナルスペースを予約したことを示す情報等を記憶する。また、クラウドサーバ20は、照明器具12が設置されているパーソナルスペース毎に、予約されている時間帯および予約している複数のユーザに関するリストを記憶していてもよい。
【0036】
識別部31は、プロセッサ、メモリ、アンテナ、および、メモリに記憶されたプロセッサが実行するためのプログラムで実現される。また、識別部31は、アンテナと専用回路とで実現されてもよい。なお、識別部31は、アンテナを備えなくてもよい。識別部31は、対象ユーザ1が所持する識別子または対象ユーザ1の身体の一部を認識することで、対象ユーザ1を識別する。識別部31が対象ユーザ1の身体の一部を認識する場合、識別部31は、カメラまたは指紋センサ等を備える。
【0037】
識別部31は、スマートフォン11a、ウェアラブルデバイス13またはRFID等で実現される識別子と、無線通信を行い、当該識別子から情報を取得する。そして、識別部31は、予め記憶された対象ユーザ1の所持する識別子の情報と照合することで、対象ユーザ1の識別を行う。識別部31が識別子または対象ユーザ1の身体の一部から取得する対象ユーザ1を示す情報を、第1識別情報と呼ぶ。第1識別情報は、例えば、識別部31が読み取った、スマートフォン11a、ウェアラブルデバイス13もしくはRFID等の識別子を表すID、または、識別部31が読み取った指紋情報、顔情報もしくは虹彩情報等の生体情報である。
【0038】
また、識別部31は、対象ユーザ1の指紋を指紋センサで読み取り、予め登録された対象ユーザ1の指紋データと照合を行うことで、対象ユーザ1の識別を行う。また、識別部31は、対象ユーザ1の虹彩または顔の画像を撮影し、予め登録された対象ユーザ1の虹彩または顔の画像と照合することで、対象ユーザ1の識別を行ってもよい。なお、識別子はICカードでもよい。ICカードによって対象ユーザ1の識別が行われる場合、識別部31は、カードリーダを備え、カードリーダで読み取ったICカードの情報を、予め登録された対象ユーザ1の所持するICカードの情報と照合することで、対象ユーザ1の識別を行う。
【0039】
記憶部32は、メモリで実現される。記憶部32は、第2識別情報と照明制御パラメータとを記憶する。また、記憶部32は、照明器具12を識別するIDおよび照明器具12が設置されているパーソナルスペースの位置に関する情報、対象ユーザ1が照明器具12が設置されているパーソナルスペースを予約したことを示す情報等を記憶する。また、記憶部32は、照明器具12毎に、予約されている時間帯および予約している複数のユーザに関するリストを記憶していてもよい。記憶部32が記憶している情報は、適宜、クラウドサーバ20が記憶している情報にアップデートされる。また、記憶部32は、対象ユーザ1の年齢および性別等に関する情報である属性情報を記憶していてもよい。
【0040】
制御部33は、プロセッサ、メモリ、およびメモリに記憶されたプロセッサが実行するためのプログラムで実現される。また、識別部31は、専用回路で実現されてもよい。制御部33は、識別部31が取得した対象ユーザ1の第1識別情報と、記憶部32に記憶された制御情報に含まれる第2識別情報とを照合する。そして、第1識別情報と同一の第2識別情報に紐づけられた照明制御パラメータを選択し、当該照明制御パラメータの値で、照明器具12を発光させる。
【0041】
また、制御部33は、識別部31が識別したユーザの属性情報に対応する照明制御パラメータを選択し、当該照明制御パラメータの値で、照明器具12を発光させてもよい。
【0042】
照明器具12は、室内を照明するいわゆるシーリングライトであり、制御部33によって調光制御される。なお、照明器具12の態様は、平面視形状が長方形のシーリングライトに限られず、平面視形状が円形のシーリングライト、スポットライト、ベースライトまたはダウンライト等であってもよい。照明器具12は、制御部33からの信号を受信して光を照射する。
【0043】
通信部34は、制御部33がクラウドサーバ20と通信を行う。通信部34は、通信モジュール等で実現される。
【0044】
指示受付部35は、照明器具12の調光調色についての対象ユーザ1からの指示を受け付ける。指示受付部35は、スマートフォン11a、タブレット端末、専用のタッチパネルディスプレイ、パーソナルコンピュータ11b、または、プロセッサとメモリと入力ボタンとを備えた専用の機器等で実現される。指示受付部35は、照明制御パラメータの値を受け付けてもよいし、予め定められた照明制御パラメータの値の複数の範囲から対象ユーザ1が選択した範囲を受け付けてもよい。
【0045】
[照明制御システムの処理]
次に、照明制御システム10が実行する設定情報の登録処理について説明する。
図6は、実施の形態に係る照明制御システム10に対する設定情報の登録処理を示すフローチャートである。
【0046】
まず、端末11は、対象ユーザ1から設定情報の登録を受け付ける(ステップS100)。端末11は、対象ユーザ1が入力した対象ユーザ1を識別するためのIDもしくは対象ユーザ1の氏名、または、対象ユーザ1を識別するための識別子のIDもしくは対象ユーザ1の生体情報等を受け付け、クラウドサーバ20に送信する。当該送信は、記憶部32に対して行われてもよい。
【0047】
次に、クラウド記憶部21は、送信された設定情報を記憶する(ステップS101)。ステップS101では、クラウド記憶部21の代わりに、記憶部32が、送信された設定情報を記憶してもよい。
【0048】
続いて、設定情報の詳細について説明する。
【0049】
設定情報には、
図3の表100に示されるように、第2識別情報と属性情報と照明制御パラメータとが含まれる。第2識別情報は、対象ユーザ1が端末11を通して登録した対象ユーザ1を識別するためのIDもしくは対象ユーザ1の氏名、または、対象ユーザ1を識別するための識別子のIDもしくは対象ユーザ1の生体情報等である。具体的には、第2識別情報には、対象ユーザ1の虹彩データ、指紋データ、顔画像データ等に加え、対象ユーザ1が所持するRFIDに関する情報等が含まれる。
【0050】
そして、第2識別情報は、照明制御パラメータと紐づけて管理される。照明制御パラメータには、調光率および色温度等が含まれる。基本的には、第2識別情報に対して、1対1で照明制御パラメータが紐づけられる。また、第2識別情報は、属性情報とも1対1で紐づけられてもよい。属性情報には、ユーザの年齢および性別等に関する情報が含まれる。設定情報には、複数のユーザの第2識別情報と紐づけられた属性情報および照明制御パラメータが含まれてもよい。
【0051】
次に、照明制御システム10の予約処理の流れについて説明する。
図7は、実施の形態に係る照明制御システム10の予約の処理を示すフローチャートである。
【0052】
まず、対象ユーザ1が端末11から照明制御システム10が設置されたパーソナルスペースの予約を行う(ステップS200)。対象ユーザ1は、端末11上で、予約したいパーソナルスペースの位置と日時を入力する。端末11は、対象ユーザ1が登録したパーソナルスペースの位置と日時に関する情報をクラウドサーバ20に送信する。
【0053】
次に、クラウド記憶部21は、対象ユーザ1によって予約されたパーソナルスペースの位置と日時に関する情報を記憶する(ステップS201)。クラウド記憶部21は、端末11から送信された対象ユーザ1によって予約されたパーソナルスペースの位置と日時に関する情報を受信し、対象ユーザ1を示す第2識別情報と、対象ユーザ1によって予約されたパーソナルスペースの位置と日時を示す情報を紐づけて記憶する。
【0054】
クラウド記憶部21は、複数のユーザが予約した複数のパーソナルスペースの位置および日時について、記憶してもよい。
【0055】
続いて、照明制御システム10が実行する照明制御について説明する。
図8は、実施の形態に係る照明制御システム10の処理を示すフローチャートである。
【0056】
まず、識別部31は、パーソナルスペースに入室した対象ユーザ1を識別する(ステップS300)。識別部31は、パーソナルスペースの壁等に設置されていてもよいし、照明器具12に内蔵されていてもよい。識別部31は、対象ユーザ1の第1識別情報を取得する。第1識別情報とは、対象ユーザ1が認証されるための情報であり、例えば、虹彩、指紋等の生体認証に用いられる情報、顔情報、または、ICカードもしくはRFIDに関する情報等である。
【0057】
例えば、識別部31は、対象ユーザ1が所持するスマートフォン11aとBluetooth(登録商標)によって通信し、スマートフォン11aを示すID等を取得することで、対象ユーザ1を識別してもよい。また、例えば、識別部31は、ICカードリーダを備え、対象ユーザ1がICカードリーダにかざしたICカードを読み取ることで、対象ユーザ1を識別してもよい。また、例えば、識別部31はカメラを備え、対象ユーザ1の顔または虹彩を撮影したデータを取得し、第2識別情報と照合することで、対象ユーザ1を識別してもよい。また、例えば、識別部31は指紋センサを備え、対象ユーザ1の指紋等のデータを取得し、第2識別情報と照合することで、対象ユーザ1を識別してもよい。
【0058】
次に、制御部33は、対象ユーザ1と対応する照明制御パラメータを選択する(ステップS301)。制御部33は、識別部31が識別した対象ユーザ1の第1識別情報と一致する第2識別情報に対応する照明制御パラメータを、記憶部32またはクラウド記憶部21を参照して、選択する。制御部33は、対象ユーザ1と対応する照明制御パラメータが複数存在する場合は、対象ユーザ1のバイタル情報または時期情報に基づいて、選択する照明制御パラメータを1つに特定してもよい。ここで、バイタル情報とは、対象ユーザ1の体温、心拍数または活動量等である。また、時期情報等は、対象ユーザ1がパーソナルスペースを予約した時間帯または季節等を表すものとする。
【0059】
最後に、制御部33は、選択した照明制御パラメータの値を実現するように、照明器具12を制御する(ステップS302)。制御部33は、ステップS301で選択した照明制御パラメータで照明を発光させる。
【0060】
[属性情報を用いた制御]
次に、照明制御システム10が行う属性情報を用いた制御について説明する。
図9Aは、実施の形態に係る照明制御システム10で用いられる第1属性情報を示す表である。
図9Bは、実施の形態に係る照明制御システム10で用いられる第2属性情報と照明制御パラメータとを示す表である。対象ユーザ1が第2識別情報と第1属性情報を登録するだけで、照明制御システム10は、対象ユーザ1に適した照明制御パラメータを選択することができる。
図7に示される表200Aでは、第2識別情報と第1属性情報が紐づけられている。制御部33は、対象ユーザ1の第2識別情報を取得すると、第2識別情報と紐づけられて記憶された第1属性情報を記憶部32から読み出す。また、記憶部32には、表200Bに示されるように、第2属性情報と照明制御パラメータとが紐づけられてあらかじめ記憶されている。そして、制御部33は、読み出した第1属性情報に対応する第2属性情報と紐づけられて記憶された照明制御パラメータを選択し、選択した照明制御パラメータの値を実現するように、照明器具12を制御する。
【0061】
例えば、制御部33は、Iris_100という虹彩情報、Fprint_100という指紋情報、Face_Aという顔情報またはRfid_100というRFIDタグの情報を含む第1識別情報を取得すると、属性情報として、当該第2識別情報と対応する、年齢が37歳、性別が男性という第1属性情報を取得する。そして、制御部33は、年齢37歳、性別男性という第1識別情報に対応する年齢31~40歳、性別男性という第2識別情報と紐づけられて記憶された調光率20%および色温度6000Kという照明制御パラメータを選択する。
【0062】
[時期情報による照明制御システムの制御]
次に、時期情報が用いられた照明制御システム10の制御について、説明する。
図10は、実施の形態に係る照明制御システム10で用いられる設定情報の別の例を示す表である。
【0063】
設定情報に、対象ユーザ1がパーソナルスペースを予約した時間帯または季節を表す時期情報が含まれていてもよい。表300に示されるように、1つの第2識別情報または1つの第2識別情報の組み合わせに、複数の時期情報が紐づけられていてもよい。
【0064】
例えば、Iris_100という虹彩情報と、2つ以上の時期情報およびそれぞれの時期情報に対応する照明制御パラメータとが紐づけられ、記憶部32に記憶される。具体的には、10:00~12:00の時間帯で、季節が夏であるという時期情報に、調光率70%、色温度4200Kという照明制御パラメータが紐づけられる。また、15:00~17:00の時間帯で、季節が冬であるという時期情報に、調光率40%、色温度6000Kという照明制御パラメータが紐づけられる。
【0065】
また、例えば、照明制御システム10は、時間帯が遅ければ遅いほど、調光率を低く設定してもよいし、反対に、調光率を高く設定してもよい。また、例えば、照明制御システム10は、夏に色温度を低く設定し、冬に色温度を高く設定してもよく、反対に、夏に色温度を高く設定し、冬に色温度を低く設定してもよい。季節はどの季節でもよい。なお、季節は四季で表されるだけでなく、月単位等で表されてもよい。
【0066】
また、時期情報を含んだ設定情報においては、複数のユーザについて、それぞれの照明制御パラメータが紐づけられてもよい。例えば、Iris_200という虹彩情報を持つ45歳女性に、2つ以上の時期情報と、それぞれの時期情報に対応する照明制御パラメータが記憶される。
【0067】
このように、照明制御システム10は、ユーザ毎に異なる設定で照明器具12を制御するだけでなく、ユーザ毎に、複数の照明制御パラメータの中から、時期情報に応じて照明制御パラメータを選択することで、時間帯または季節に応じて、照明器具12の制御を変更する。
【0068】
続いて、時期情報に応じて、照明制御システム10が実行する照明制御について説明する。
図11は、実施の形態に係る照明制御システム10の時期情報による調光調色の処理を示すフローチャートである。
【0069】
まず、識別部31は、パーソナルスペースに入室した対象ユーザ1を識別する(ステップS400)。ステップS400は、
図9のステップS300で説明されたものと同様である。
【0070】
次に、制御部33は、対象ユーザ1の第1識別情報と同一の第2識別情報と紐づけられた照明制御パラメータの中から、時期情報によって照明制御パラメータを選択する(ステップS401)。制御部33は、識別部31が識別した対象ユーザ1の第1識別情報と一致する第2識別情報に対応する照明制御パラメータを、記憶部32またはクラウド記憶部21を参照して、選択する。例えば、
図10の表300に示される例では、第1識別情報と一致する第2識別情報がfprint_200であり、ユーザがパーソナルスペースを予約した日時が11:00-12:00であり、かつ季節が春である場合、制御部33は、fprint_200という指紋データと紐づけられた複数の照明制御パラメータのうち、時間帯が12:00~14:00かつ季節が春である時期情報に紐づけられた照明制御パラメータを選択する。
【0071】
続いて、選択した照明制御パラメータの値を実現するように、照明器具12を制御する(ステップS402)。制御部33は、ステップS401で選択した照明制御パラメータで照明を発光させる。
【0072】
[バイタル情報による照明制御システムの制御]
次に、バイタル情報が用いられた照明制御システム10の制御について、説明する。
図12は、実施の形態に係る照明制御システム10で用いられる設定情報のさらに別の例を示す表である。
【0073】
設定情報に、対象ユーザ1の心拍数、体温および活動量等のバイタル情報が含まれていてもよい。表400に示されるように、1つの第2識別情報または1つの第2識別情報の組み合わせに、複数のバイタル情報が紐づけられていてもよい。
【0074】
例えば、Iris_100という虹彩情報と、2つ以上のバイタル情報、および、それぞれのバイタル情報とに対応する照明制御パラメータが紐づけられ、記憶部32に記憶される。具体的には、心拍数が65~80bpmで、体温が35.8℃~36.2℃であり、活動量が800kcalであるというバイタル情報に、調光率70%、色温度4200Kという照明制御パラメータが紐づけられる。また、心拍数が90~110bpmで、体温が36.2℃~36.6℃であり、活動量が1500kcalであるというバイタル情報に、調光率40%、色温度6000Kという照明制御パラメータが紐づけられる。
【0075】
また、例えば、照明制御システム10は、心拍数が高ければ高いほど、調光率を低く設定してもよいし、反対に、調光率を高く設定してもよい。また、例えば、照明制御システム10は、体温が高ければ高いほど色温度を低く設定し、体温が低ければ低いほど色温度を高く設定してもよく、反対に、体温が高ければ高いほど色温度を高く設定し、体温が低ければ低いほど色温度を低く設定してもよい。また、照明制御システム10は、活動量が多ければ多いほど色温度を低く設定し、活動量が少なければ少ないほど、色温度を高く設定してもよいし、反対に、活動量が多ければ多いほど色温度を高く設定し、活動量が少なければ少ないほど、色温度を低く設定してもよい。調光率についての設定も同様である。なお、照明制御システム10は、心拍数、体温および活動量の値の組み合わせに応じて、適する調光率および色温度の設定を定めてもよい。
【0076】
また、バイタル情報を含んだ設定情報においては、複数のユーザについて、それぞれの照明制御パラメータが紐づけられてもよい。例えば、Iris_200という虹彩情報を持つ45歳女性に、2つ以上のバイタル情報と、それぞれのバイタル情報に対応する照明制御パラメータが記憶される。
【0077】
このように、照明制御システム10は、ユーザ毎に異なる設定で照明器具12を制御するだけでなく、ユーザ毎に、複数の照明制御パラメータの中から、バイタル情報に応じて照明制御パラメータを選択することで、心拍数、体温および活動量等に応じて、照明器具12の制御を変更する。
【0078】
続いて、バイタル情報に応じて、照明制御システム10が実行する照明制御について説明する。
図13は、実施の形態に係る照明制御システム10のバイタル情報による調光調色の処理を示すフローチャートである。
【0079】
まず、識別部31は、パーソナルスペースに入室した対象ユーザ1を識別する(ステップS500)。ステップS500は、
図9のステップS300で説明されたものと同様である。
【0080】
次に、制御部33は、対象ユーザ1の第1識別情報と同一の第2識別情報と紐づけられた照明制御パラメータの中から、バイタル情報によって照明制御パラメータを選択する(ステップS501)。制御部33は、識別部31が識別した対象ユーザ1の第1識別情報と一致する第2識別情報に対応する照明制御パラメータを、記憶部32またはクラウド記憶部21を参照して、選択する。例えば、
図12の表400に示される例では、第1識別情報と一致する第2識別情報がfprint_200であり、ユーザの心拍数が68bpmであり、ユーザの体温が36.0℃であり、かつ、ユーザの活動量が900kcalである場合、制御部33は、fprint_200という指紋データと紐づけられた複数の照明制御パラメータのうち、心拍数が65~80bpmであり、体温が35.8℃~36.2℃であり、かつ、活動量が800kcal~1000kcalであるバイタル情報に紐づけられた照明制御パラメータを選択する。
【0081】
なお、制御部33は、バイタル情報に基づいて、独自のアルゴリズムを用いて、照明制御パラメータを算出してもよい。
【0082】
続いて、制御部33は、選択した照明制御パラメータの値を実現するように、照明器具12を制御する(ステップS502)。制御部33は、ステップS501で選択した照明制御パラメータで照明を発光させる。なお、ステップS501で制御部33がバイタル情報に基づいて、アルゴリズムを用いて照明制御パラメータを算出した場合は、制御部33は、ステップ502で算出した値を用いて、照明器具12を制御する。
【0083】
[行動履歴による照明制御システムの制御]
次に、対象ユーザ1と類似の、他のユーザの行動履歴を用いた照明制御システム10の制御について説明する。
図14は、実施の形態に係る照明制御システム10の行動履歴による調光調色の処理を示すフローチャートである。
【0084】
まず、識別部31は、パーソナルスペースに入室した対象ユーザ1を識別する(ステップS600)。ステップS600は、
図9のステップS300で説明されたものと同様である。
【0085】
次に、制御部33は、対象ユーザ1の行動履歴と類似の、他のユーザの行動履歴に基づいて、照明制御パラメータを選択する(ステップS601)。例えば、制御部33は、対象ユーザ1の行動履歴と類似の、他のユーザの行動履歴を参照し、他のユーザが類似の行動履歴を取ったときに照明器具12に適用された照明制御パラメータを選択する。ここで、制御部33は、対象ユーザ1の行動履歴と類似の、他のユーザの行動履歴を多数利用し、複数の他のユーザが類似の行動履歴を取ったときに照明器具12に適用された複数の照明制御パラメータから、適用すべき照明制御パラメータを、アルゴリズムを用いて算出してもよい。
【0086】
続いて、選択した照明制御パラメータの値を実現するように、照明器具12を制御する(ステップS602)。制御部33は、ステップS601で選択した照明制御パラメータで照明を発光させる。
【0087】
また、ステップS601において、照明制御システム10は、対象ユーザ1の行動履歴と類似の、他の多数のユーザの複数の行動履歴を、AI(Artificial Intelligence)を用いて解析してもよい。そして、照明制御システム10は、解析した結果に基づいて、照明器具12に適用すべき照明制御パラメータを対象ユーザ1に対してレコメンドしてもよい。当該レコメンドは、例えば、対象ユーザ1の所持するスマートフォン11a、または、対象ユーザ1が身に着けているウェアラブルデバイス13を通して行われてもよいし、照明器具12が設置されたパーソナルスペースに備えられる機器を通して行われてもよい。
【0088】
このように、照明制御システム10は、対象ユーザ1の行動履歴と類似の行動履歴を持つ他のユーザの行動履歴に基づいて、照明器具12の制御を行う。
【0089】
[利用履歴による照明制御システムの制御]
次に、対象ユーザ1の過去の利用履歴を用いた照明制御システム10の制御について説明する。
図15は、実施の形態における照明制御システム10の利用履歴を反映させた調光調色の処理を示すフローチャートである。
【0090】
まず、照明制御システム10は、対象ユーザ1がパーソナルスペースを使用する際に、照明器具12に適用する調光調色を設定する(ステップS700)。具体的には、制御部33が、対象ユーザ1を示す第2識別情報に対応した照明制御パラメータを選択する。
【0091】
次に、照明制御システム10は、対象ユーザ1の利用履歴をクラウドサーバ20に保存する(ステップS701)。ここで、利用履歴とは、ステップS700で設定された照明制御パラメータのことである。
【0092】
そして、対象ユーザ1が次に照明制御システム10を利用する時に、照明制御システム10は、クラウドサーバ20に保存された利用履歴に基づいて、照明器具12に適用する照明制御パラメータを選択する(ステップS702)。このとき、照明制御システム10は、クラウドサーバ20に保存された照明制御パラメータを、照明器具12に適用する照明制御パラメータとして選択する。また、照明制御システム10は、クラウドサーバ20に保存された照明制御パラメータに基づいて、アルゴリズムを用いて、照明器具12に適用する照明制御パラメータを算出してもよい。そして、照明制御システム10は、算出した結果に基づいて、照明器具12に適用すべき照明制御パラメータを対象ユーザ1に対してレコメンドしてもよい。当該レコメンドは、例えば、対象ユーザ1の所持するスマートフォン11a、または、対象ユーザ1が身に着けているウェアラブルデバイス13を通して行われてもよいし、照明器具12が設置されたパーソナルスペースに備えられる機器を通して行われてもよい。
【0093】
このように、照明制御システム10は、対象ユーザ1が照明制御システム10を利用する時に、対象ユーザ1の過去の利用履歴を反映させて照明器具12を制御する。
【0094】
[その他の制御]
照明制御システム10は、複数のユーザの間で決定される優先度に関する情報を、設定情報に含めて記憶する。照明制御システム10は、パーソナルスペースに複数のユーザが入室した場合、それぞれのユーザを個別に識別する。そして、それぞれのユーザを個別に識別した後、クラウド記憶部21または記憶部32に記憶されたユーザ毎の優先度を参照し、優先度の最も高いユーザに紐づけられた照明制御パラメータで、照明器具12を制御する。
【0095】
例えば、Iris_100という虹彩情報を持つ37歳男性とIris_200という虹彩情報を持つ45歳女性とが同時に照明制御システム10が設置されたパーソナルスペースに入室したときについて考える。Iris_100という虹彩情報を持つ37歳男性の優先度が1であり、Iris_200という虹彩情報を持つ45歳女性の優先度が2である場合、制御部33は、優先度1のIris_100という虹彩情報を持つ37歳男性に紐づけられた照明制御パラメータで、照明器具12を制御する。
【0096】
このように、照明制御システム10は、複数のユーザを同時に識別した場合、優先度の高いユーザの第2識別情報に紐づけられた照明制御パラメータで、照明器具12を制御する。
【0097】
また、
図9、
図11、
図13~
図15で説明された制御は、それぞれの制御の間で優先度が定められ、実行される制御が、優先度に基づいて選択されてもよい。
【0098】
また、照明制御システム10は、照明器具12だけでなく、空調機器についても制御を行ってもよい。空調機器とは、例えば、エアー・コンディショナーまたは空気清浄機である。制御部33は、記憶部32に空調を制御するためのパラメータである空調制御パラメータを、第2識別情報と紐づけて記憶し、識別部31が取得した第1識別情報と同一の第2識別情報に紐づけられた空調制御パラメータを実現するように、空調機器を制御する。空調制御パラメータには、空調の風量、風向、空調が実現する室温および空調が実現する湿度を表すパラメータ等が含まれる。
【0099】
[効果等]
照明制御システム10は、所定の領域を照明する照明器具12を制御する照明制御システム10であって、照明器具12を使用する対象ユーザ1から第1識別情報を取得する識別部31と、複数のユーザの第2識別情報のそれぞれが照明制御パラメータと紐づけられた設定情報があらかじめ記憶された記憶部32と、設定情報を参照し、取得した第1識別情報と一致する第2識別情報に紐づけられた照明制御パラメータで照明器具12を発光させる制御部33と、を備える。
【0100】
これにより、照明制御システム10は、対象ユーザ1が照明制御システム10が設置された空間に入ったときに、対象ユーザ1を識別し、対象ユーザ1に紐づけられた設定で、照明器具12を自動的に制御することができる。
【0101】
また、例えば、照明制御システム10において、第1識別情報および第2識別情報のそれぞれは、虹彩、指紋、顔に関する情報または無線タグに記録されたID情報である。
【0102】
これにより、照明制御システム10は、対象ユーザ1を識別する際に、虹彩および指紋を用いた生体認証、顔認識による認証、または、RFIDによる認証を行うことができる。
【0103】
また、例えば、照明制御システム10は、クラウドサーバ20と通信を行う通信部34を備え、記憶部32は、通信部34がクラウドサーバ20から取得した設定情報を記憶する。
【0104】
これにより、照明制御システム10は、クラウドサーバ20を用いて、設定情報を管理することができる。
【0105】
また、例えば、制御部33は、クラウドサーバ20と通信を行うことにより、設定情報のアップデートを行う。
【0106】
これにより、照明制御システム10は、適当なタイミングで、クラウドサーバ20に記憶された設定情報と、記憶部32に記憶された設定情報を同期することができる。
【0107】
また、例えば、識別部31は、無線通信により、携帯端末から、第1識別情報を取得する。
【0108】
これにより、照明制御システム10は、対象ユーザ1の所持する携帯端末を、対象ユーザ1の識別に用いることができる。
【0109】
また、例えば、識別部31は、対象ユーザ1の画像を撮影することにより、第1識別情報を取得する。
【0110】
これにより、照明制御システム10は、対象ユーザ1の顔または身体の画像を、対象ユーザ1の識別に用いることができる。
【0111】
また、例えば、照明制御システム10において、設定情報においては、1つの第2識別情報に対して、ユーザの心拍、体温および活動量のうちの少なくとも1つを含むバイタル情報の値の範囲毎に異なる複数の照明制御パラメータが紐づけられ、制御部33は、取得した第1識別情報と一致する第2識別情報に紐づけられた複数の照明制御パラメータのうちの、携帯端末から取得した対象ユーザ1のバイタル情報に対応する照明制御パラメータで照明器具12を発光させる。
【0112】
これにより、照明制御システム10は、対象ユーザ1のバイタル情報を、照明器具12の調光調色に反映させることができる。
【0113】
また、例えば、照明制御システム10においては、照明情報には、1つの第2識別情報に対して、さらに、時間帯および季節を表す時期情報毎に異なる複数の照明制御パラメータが紐づけられ、制御部33は、取得した第1識別情報と一致する第2識別情報に紐づけられた複数の前記照明制御パラメータのうちの、識別部31が対象ユーザ1から第1識別情報を取得した時間帯または季節に対応する照明制御パラメータで照明器具12を発光させる。
【0114】
これにより、照明制御システム10は、対象ユーザ1の時期情報を、照明器具12の調光調色に反映させることができる。
【0115】
また、例えば、照明制御システム10において、制御部33は、携帯端末から、ユーザの活動量を取得し、活動量が多いときは、調光率が所定値よりも低い照明制御パラメータに基づいて照明器具12を発光させ、活動量が少ないときは、調光率が所定値よりも高い照明制御パラメータに基づいて照明器具12を発光させる。
【0116】
これにより、照明制御システム10は、ユーザの活動量に応じて、調光率を変更することができる。
【0117】
また、例えば、照明制御システム10において、設定情報は、識別部31が複数のユーザを識別した場合の複数のユーザ間における優先順位に関する情報を含み、所定の領域で識別部31が複数の対象ユーザ1から複数の第1識別情報を取得した場合、制御部33は、複数の第1識別情報と一致する複数の第2識別情報のうち優先順位が最も高い第2識別情報に紐づけられた照明制御パラメータで照明器具12を発光させる。
【0118】
これにより、照明制御システム10は、複数のユーザが照明制御システム10を利用した場合でも、適切に照明器具12の制御を行うことができる。
【0119】
また、例えば、照明制御システム10において、設定情報は、複数のユーザの第2識別情報それぞれが当該ユーザの属性情報と紐づけられた第1設定情報と、複数のユーザの属性情報のそれぞれが照明制御パラメータに紐づけられた第2設定情報とを含み、設定情報においては、複数のユーザの第2識別情報それぞれが、属性情報を介して間接的に照明制御パラメータに紐づけられている。
【0120】
これにより、照明制御システム10は、ユーザの属性情報を、照明器具12の調光調色に反映させることができる。
【0121】
また、例えば、照明制御システム10は、さらに、ユーザからの指示を受け付ける指示受付部35を備え、制御部33は、設定情報を参照し、取得した第1識別情報と一致する第2識別情報に紐づけられた照明制御パラメータまたは属性情報に対応する照明制御パラメータで照明器具12を発光させているときに受け付けられた指示に基づいて、照明器具12を発光させる。
【0122】
これにより、照明制御システム10は、ユーザによって照明器具12の調光調色を変更されうる。
【0123】
また、例えば、所定の領域は、ユーザの住宅、商業施設、インターネットカフェ、娯楽施設および飲食店に含まれるパーソナルスペースである。
【0124】
これにより、照明制御システム10は、ユーザが利用を所望する様々な場所で、照明器具12の制御を行うことができる。
【0125】
また、照明制御方法は、所定の領域を照明する照明器具12を制御する照明制御方法であって、照明器具12を使用する対象ユーザ1から第1識別情報を取得する識別ステップと、記憶部32に予め記憶された、複数のユーザの第2識別情報のそれぞれが照明制御パラメータと紐づけられた設定情報を参照し、取得した第1識別情報と一致する第2識別情報に紐づけられた照明制御パラメータで照明器具12を発光させる制御ステップと、を含む。
【0126】
これにより、照明制御方法は、上記照明制御装置と同様の効果を奏することができる。
【0127】
[その他]
以上、実施の形態について説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0128】
例えば、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0129】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0130】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、各構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0131】
また、本開示の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、本開示の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0132】
例えば、本開示は、上記実施の形態の照明制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。本開示は、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0133】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【符号の説明】
【0134】
1 対象ユーザ
10 照明制御システム
11 端末
11a スマートフォン
11b パーソナルコンピュータ
12 照明器具
13 ウェアラブルデバイス
20 クラウドサーバ
21 クラウド記憶部
30 所定空間
31 識別部
32 記憶部
33 制御部
34 通信部
35 指示受付部