(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】発光装置及び照明装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/50 20100101AFI20240209BHJP
【FI】
H01L33/50
(21)【出願番号】P 2020077002
(22)【出願日】2020-04-24
【審査請求日】2023-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】竹井 尚子
(72)【発明者】
【氏名】向 健二
(72)【発明者】
【氏名】石井 陽平
【審査官】八木 智規
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-239240(JP,A)
【文献】特開2013-239241(JP,A)
【文献】特開2013-201274(JP,A)
【文献】特表2013-529244(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0077360(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外空間を照明するための発光装置であって、
LEDと、
前記
LEDからの光で励起されて、当該光と異なる波長の光を放出する蛍光部とを備え、
前記発光装置から放出される光は、
相関色温度が3500K以上4500K以下であり、
色度偏差Duvが+2以上+8以下であり、
目立ち指数FCIが122以上132以下である
発光装置。
【請求項2】
前記
LEDの中心波長は430nm以上470nm以下であり、
前記蛍光部は、緑色蛍光体と赤色蛍光体とを含み、
前記発光装置から発せられる光は、ルーメン当量が250lm/W以上である
請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記緑色蛍光体は、YAG蛍光体及びLuAG蛍光体の少なくとも一方を含む
請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記赤色蛍光体は、KSF蛍光体を含む
請求項2または3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記発光装置から発せられる光は、平均演色評価数Raが80以上である
請求項1~4のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の発光装置と、
前記発光装置を点灯させるための電力を前記発光装置に供給する点灯装置とを備える
照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LED(Light Emitting Diode)を光源とした発光装置は、LEDの高出力化により、商業空間やオフィス空間などの屋内空間をはじめ、道路灯などの屋外空間においても益々普及している。そのような空間で使用される発光装置は、従来には照度を確保するために発光効率を優先して設計されていたが、近年のLEDの高出力化に伴い、その照明空間に存在する物体の色を自然な色に見せる白色光を出射することが要求されている。更には、自然に見せるだけでなく、演出性を高めることも求められており、例えば、店舗などの商業施設には、陳列された商品(生鮮食料品店であれば食品)を鮮やかに新鮮に見せる照明が開発されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、演出性を高める要望は屋内空間向けだけでなく屋外空間においても広まっており、夜間の建築物や植栽を美しく照明し、その空間価値を高めることが求められている。しかしながら、夜間の屋外空間は比較的低照度であり、屋内空間とは異なる。このため、屋内空間での照明手法を適用して屋外空間の照明演出を試みても、その効果が得られないことがあった。
【0005】
具体的には、屋内空間において照射対象物を鮮やかに演出するために、目立ち指数の高い光源を採用する手法が開発されている。しかし、LEDを光源とした発光装置においては、目立ち指数を高めると発光効率が相対的に低下する傾向があり、鮮やかに見せる効果も、比較的照度レベルの低い屋外空間においては、発光効率低下に伴う照度不足により暗く沈んだ印象を引き起こすこともある。また、例えば、植栽を美しく演出するためには色偏差の影響も大きく、緑色味が強い光源で照明すると植物の色が引き立つとされているが、屋外空間においては、その周囲が無彩色のために対象物の色を強く感じ、緑色味が強すぎると逆に違和感が生じることもあった。
【0006】
そこで、本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、夜間の屋外空間の照明演出に適する発光装置などを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る発光装置は、屋外空間を照明するための発光装置であって、固体発光素子と、固体発光素子からの光で励起されて、当該光と異なる波長の光を放出する蛍光部とを備えている。発光装置から放出される光は、相関色温度が3500K以上4500K以下であり、色度偏差Duvが+2以上+8以下であり、目立ち指数FCIが122以上132以下である。
【0008】
また、本発明の一態様に係る照明装置は、上記発光装置と、発光装置を点灯させるための電力を発光装置に供給する点灯装置とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る照明装置は、夜間の屋外空間の照明演出に適した光を発することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態に係る照明装置の概略構成を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態に係る照明装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図3】実施の形態に係る発光装置の概略構成を示す上面図である。
【
図4】
図3のIV-IV線を含む切断面を見た発光装置の断面図である。
【
図5】実施例1に係る発光装置の分光分布を示すグラフである。
【
図6】実施例2に係る発光装置の分光分布を示すグラフである。
【
図7】実施例3~5及び比較例1、2に係る発光装置が放出する光の相関色温度、色度偏差Duv、目立ち指数FCI、評価結果を示す表である。
【
図8】実施例4、6~8及び比較例3、4に係る発光装置が放出する光の相関色温度、色度偏差Duv、目立ち指数FCI、評価結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0012】
また、本明細書において、平行などの要素間の関係性を示す用語、及び、矩形などの要素の形状を示す用語、並びに、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
【0013】
また、各図は、本発明を示すために適宜強調、省略、又は比率の調整を行った模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではなく、実際の形状、位置関係、及び比率とは異なる場合がある。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0014】
また、本明細書において、色偏差Duvの数値は、JIS Z8725により定められる黒体(放射)軌跡からの色偏差の表記であるDuvの数値、つまり、duvの数値の1000倍である。言い換えると、本明細書において、色偏差Duvの数値は、特に言及がない限り、JIS Z8725に準じ、duvの数値の1000倍とする。
【0015】
(実施の形態1)
[構成]
まず、本実施の形態に係る照明装置について説明する。
図1は、実施の形態に係る照明装置10の概略構成を示す斜視図である。
図1に示すように、照明装置10は、屋外空間を照明するものであり、例えば照明用ポールなどの支持体11の上部に支持されている。照明装置10は、公園、道路、街路、駐車場、建築物周囲などの照明を行うものである。照明装置10から照射された光は、街路樹などの植栽Tも照明する。なお、照明装置10は、建物や植栽などの演出対象を個別に照らし演出する演出専用の照明装置であってもよい。例えば、照明装置10は、演出対象を下方から照らすように地面または床面に設置されていてもよいし、演出対象自身に設置されていてもよい。
【0016】
この照明装置10から放出される光は、相関色温度が3500K以上4500K以下であり、色度偏差Duvが+2以上+8以下であり、目立ち指数FCIが122以上132以下であり、ルーメン当量が250lm/W以上である。
【0017】
ここで、景観を重視する空間には比較的低色温度の照明光を照射することが相応しい。その中で視認性も確保しながら華やかに演出することができる相関色温度は、3500K以上4500K以下の範囲内である。
【0018】
また、外部空間における景観の構成要素では植栽が大きな要素であり、その植栽を美しく演出できる色度偏差Duvの範囲が+2から+8である。例えば、色度偏差Duvがプラス側になると緑色味を帯びてくるために、植栽の緑が色濃く感じられて演出効果が増加する。その効果を実感できる範囲が+2以上であり、逆に+8より大きくなると、緑色味が強すぎるために人工物のように感じられて逆効果となりえる。また、外部空間の全体としても緑色味を帯びるため、植栽以外の照射物(建物外壁など)の見え方が不自然となる。
【0019】
目立ち指数FCIは、例えば特開平9-120797号公報等にて提案されている指数である。具体的には、目立ち指数FCIは、色の見えによる標準光D65に対して感じられる明るさ感の比率を示している。目立ち指数FCIの値が大きいほど有彩色を鮮やかに演出することができる。例えば、夜間の屋外空間で景観の構成要素である植栽を照明する場合にその効果を実感できる範囲は、目立ち指数FCIが122以上である。また、例えばLED光源を採用している場合には、目立ち指数FCIを高めると、それに伴い発光効率が低下するために照度不足となり、その効果が薄れてくる。特に目立ち指数FCIが132以上であると、照度不足により暗く沈んだ印象が強まるために不適となる。
【0020】
ルーメン当量は、等エネルギー当りの明所視での視認性を評価する指標であって、その値が高いほど、照度が高められるので演出対象を鮮やかに演出する効果が高まる。例えば、ルーメン当量が250lm/Wよりも小さい光では、照度不足となり演出対象が暗く沈んだ印象となってしまう。
【0021】
このようなことから、照明装置10から放出される光は、上述した条件を満たしている。以下、照明装置10について具体的に説明する。
図2は、実施の形態に係る照明装置10の概略構成を示すブロック図である。
図2に示すように、照明装置10は、発光装置20と、点灯装置30とを備えている。
【0022】
発光装置20は、点灯装置30に電気的に接続されており、点灯装置30から供給された電力によって発光する装置である。
図3は、本実施の形態に係る発光装置20の概略構成を示す上面図である。
図4は、
図3のIV-IV線を含む切断面を見た発光装置20の断面図である。
図3及び
図4に示すように、発光装置20は、基板21と、複数の固体発光素子22と、蛍光部23とを備える。発光装置20は、COB(Chip On Board)型の発光デバイスであり、複数の固体発光素子22が、基板21上に実装され、蛍光部23によって封止されている。
【0023】
基板21は、複数の固体発光素子22を実装するための平板状の実装基板である。基板21には、複数の固体発光素子22に電力を供給するための金属配線(図示せず)が設けられている。また、基板21には、点灯装置30から複数の固体発光素子22に電力を供給するための電極(図示せず)が設けられている。基板21は、例えば、セラミックからなるセラミック基板である。なお、基板21は、樹脂を基材とする樹脂基板であってもよく、ガラス基板であってもよい。あるいは、基板21は、金属板に絶縁膜が被覆されたメタルベース基板であってもよい。
【0024】
基板21としては、光反射率が高い(例えば、光反射率が90%以上)白色基板を用いてもよい。白色基板を用いることで、固体発光素子22が発する光を基板21の表面で反射させることができるので、光の取り出し効率を高めることができる。例えば、基板21としては、アルミナからなる白色のセラミック基板(白色アルミナ基板)を用いることができる。本実施の形態では、基板21の平面視形状は、矩形であるが、円形又は多角形などのその他の形状であってもよい。
【0025】
複数の固体発光素子22は、例えば、LEDチップであり、基板21上に配置されている。固体発光素子22は、例えば、上面が照射面である。複数の固体発光素子22は、例えば、一括して点灯及び消灯が可能なように電気的に接続されている。例えば、隣り合う固体発光素子22は、給電用のボンディングワイヤ(図示せず)によってチップ・ツー・チップ(Chip to Chip)で接続される。固体発光素子22の数は、図示されている例では、8個であるが、1個以上7個以下であってもよく、9個以上であってもよい。
【0026】
LEDチップは、例えば、青色光を放射する。LEDチップの発光ピーク波長(中心波長)は、例えば、430nm以上470nm以下であり、445nm以上460nm以下であってもよい。LEDチップの発光ピーク波長が430nm以上であることにより、発光装置20が照射する白色光の演色性が向上しやすい。また、LEDチップの発光ピーク波長が470nm以下であることにより、発光装置20の発光効率が向上しやすい。
【0027】
なお、LEDチップが放射する光は、青色光に限らない。例えば、複数の固体発光素子22は、紫外線又は緑色光を放射するLEDチップと、青色光を放射するLEDチップとが組み合わせて使用されてもよい。
【0028】
蛍光部23は、複数の固体発光素子22を覆う封止樹脂である。蛍光部23は、複数の固体発光素子22を被覆するように、基板21上に配置されている。蛍光部23は、固体発光素子22において基板21側の面を除くすべての表面に接している。つまり、蛍光部23は、基板21に実装された固体発光素子22を封止している。蛍光部23の形状は、図示されている例では、円柱状である。蛍光部23の形状は、特に制限されず、直方体状であってもよく、ドーム状であってもよい。
【0029】
蛍光部23は、複数の蛍光部材35が均等に分散されたシリコーン樹脂で構成されている。なお、蛍光部23は、主成分として、複数の蛍光部材35が分散されたシリコーン樹脂を含んでいればよく、例えば、蛍光部23と他の部材との接着性を向上させるためのカップリング剤及びシリコーン樹脂を硬化させるための触媒等を含んでいてもよい。なお、蛍光部23の主成分は、他の透明樹脂であってもよい。
【0030】
複数の蛍光部材35は、赤色蛍光体35aと緑色蛍光体35bとを含んでいる。赤色蛍光体35aは、例えばKSF蛍光体を含む。KSF蛍光体は、一般式(M1)2((M2)1-xMnx)F6で表される赤色蛍光体である。M1は、Li、Na、K、Rb及びCsのうちの少なくとも1つのアルカリ金属元素であり、M2は、Ge、Si、Sn、Ti及びZrのうちの少なくとも1つの4価の金属元素であり、xは、0.00<x≦0.5を満たす。KSF蛍光体の代表的な組成式としては、K2(Si,Mn)F6である。KSF蛍光体は、発光スペクトルにおいて、発光波長が625nm以上635nm以下の輝線状の赤色発光ピークを有する。このように視感度の低い長波長領域での発光が少ないKSF蛍光体を含む赤色蛍光体35aを、発光装置20に用いることで、発光装置20は、高い発光効率で演色性の高い白色光を照射できる。
【0031】
なお、複数の蛍光部材35は、KSF蛍光体以外の赤色蛍光体35aを含んでいてもよい。KSF蛍光体以外の赤色蛍光体35aとしては、例えば、窒化物蛍光体及び酸窒化物蛍光体が挙げられる。これらの赤色蛍光体35aがKSF蛍光体と組み合わせて使用されることで、発光装置20が照射する白色光の演色性をさらに高めることができる。
【0032】
また、蛍光部材35は、さらに、緑色蛍光体35bを含む。緑色蛍光体35bとしては、例えば、緑色の光を放射するルテチウム・アルミニウム・ガーネット(LuAG)蛍光体、イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)蛍光体、シリケート系蛍光体及び酸窒化物蛍光体が挙げられる。
【0033】
蛍光部材35の粒径(例えば、メジアン径d50)は、例えば、5μm以上40μm以下である。粒径が5μm以上であることにより、蛍光体の変換効率が高くなりやすい。また、粒径が40μm以下であることにより、各蛍光部材35それぞれから放射される光が混合されやすく、照射される光の色が均一になりやすい。
【0034】
蛍光部材35に用いられる蛍光体の種類、シリコーン樹脂中の配合比及びシリコーン樹脂への配合量は、目的とする相関色温度、色偏差Duv、目立ち指数FCI及びルーメン当量lm/Wとなるように調整される。
【0035】
図3に示すように、点灯装置30は、商用電源等の外部電源40に接続されており、当該外部電源40から、発光装置20を点灯させるための電力を発光装置20に供給する装置である。点灯装置30は、外部電源からの交流電力を直流電力に変換して、発光装置20に供給する。点灯装置30は、例えば、演出対象を50lx以上300lx以下で照明するように発光装置20を発光させる直流電力を発光装置20に供給する。
【0036】
[実施例]
次に、本実施の形態に係る発光装置20の実施例について説明する。
【0037】
実施例1では、発光装置20から発せられる光は、相関色温度が4010K、色度偏差Duvが+5、目立ち指数FCIが128、ルーメン当量が260lm/Wである。
図5は、実施例1に係る発光装置20の分光分布を示すグラフである。
図5に示すように、発光装置20から発せられる光には、455nmに第一ピークがあり、500nm以上550nm以下に第二ピークがあり、620nm以上660nm以下に第三ピークがある。また、550nm以上600nm以下にある極小値と、第二ピークとの比率は、0.70以上0.85以下となっている。ここで、実施例1に係る発光装置20のLEDチップは、ピーク波長が455nm(第一ピーク)である。また、実施例1に係る発光装置20の蛍光部23は、緑色蛍光体35bとしてLuAG蛍光体が採用され、赤色蛍光体35aとして酸窒化物蛍光体が採用されており、これらが上記の条件を満たすように調整されている。
【0038】
実施例2では、発光装置20から発せられる光は、相関色温度が3950K、色度偏差Duvが+5、目立ち指数FCIが124、ルーメン当量が330lm/Wである。
図6は、実施例2に係る発光装置20の分光分布を示すグラフである。
図6に示すように、発光装置20から発せられる光には、455nmに第一ピークがあり、500nm以上550nm以下に第二ピークがあり、630nmに第三ピークがある。また、560nm以上610nm以下にある極小値と、第二ピークとの比率は、0.50以上0.72以下となっている。ここで、実施例2に係る発光装置20のLEDチップは、ピーク波長が455nm(第一ピーク)である。また、実施例2に係る発光装置20の蛍光部23は、緑色蛍光体35bとしてLuAG蛍光体及びYAG蛍光体が採用され、赤色蛍光体35aとしてKSF蛍光体及び酸窒化物蛍光体が採用されており、これらが上記の条件を満たすように調整されている。
【0039】
[評価]
演出対象として植栽(観葉植物、花鉢、芝生)、外壁部材、色票を屋外に配置し、汎用白色LED光源で照射した場合(ケース1)と、各実施例または各比較例に係る発光装置20で照明した場合とで比較する。被験者は、ケース1での照明の印象(鮮やかさ、好ましさ)と、各実施例または各比較例に係る発光装置20のそれぞれの照明の印象とを比較し、評価した。評価結果の「×」は、ケース1の場合と印象が同等、もしくはケース1の方が印象が良いことを示す。評価結果の「○」は、各実施例または各比較例の方が印象が良いことを示す。「◎」は各実施例または各比較例の方が印象がより良いことを示す。
【0040】
まず、実施例3~5及び比較例1、2を挙げて、色度偏差Duvによる演出対象の印象について評価した。
【0041】
図7は、実施例3~5及び比較例1、2に係る発光装置20が放出する光の相関色温度、色度偏差Duv、目立ち指数FCI、評価結果を示す表である。実施例3に係る発光装置20では、相関色温度が4020Kであり、色度偏差Duvが0であり、目立ち指数が130の光が放出される。実施例4に係る発光装置20では、相関色温度が3949Kであり、色度偏差Duvが2であり、目立ち指数が127の光が放出される。実施例5に係る発光装置20では、相関色温度が4010Kであり、色度偏差Duvが5であり、目立ち指数が120の光が放出される。比較例1に係る発光装置20では、相関色温度が4020Kであり、色度偏差Duvが0であり、目立ち指数が125の光が放出される。比較例2に係る発光装置20では、相関色温度が4050Kであり、色度偏差Duvが9であり、目立ち指数が128の光が放出される。実施例3~5及び比較例1、2では、相関色温度が3500K以上4500K以下であり、目立ち指数FCIが122以上132以下である。また、実施例3~5及び比較例1、2では、点灯装置30が発光装置20に供給する電力を同等としている。
【0042】
各実施例または各比較例の評価結果を見ると、色度偏差Duvが+1以下である場合(比較例1)や、+9以上である場合(比較例2)では「×」であるが、色度偏差Duvが+2以上+8以下の範囲に収まっている場合(実施例3~5)は「○」以上であることがわかる。特に、色度偏差Duvが+5である場合(実施例4)が「◎」であり、より良い演出効果を発揮していることがわかる。
【0043】
次に、実施例4、6~8及び比較例3、4を挙げて、目立ち指数FCIによる演出対象の印象について評価した。
【0044】
図8は、実施例4、6~8及び比較例3、4に係る発光装置20が放出する光の相関色温度、色度偏差Duv、目立ち指数FCI、評価結果を示す表である。実施例6に係る発光装置20では、相関色温度が4000Kであり、色度偏差Duvが5であり、目立ち指数が122の光が放出される。実施例7に係る発光装置20では、相関色温度が4070Kであり、色度偏差Duvが6であり、目立ち指数が128の光が放出される。実施例8に係る発光装置20では、相関色温度が4100Kであり、色度偏差Duvが6であり、目立ち指数が132の光が放出される。比較例3に係る発光装置20では、相関色温度が4030Kであり、色度偏差Duvが3であり、目立ち指数が118の光が放出される。比較例4に係る発光装置20では、相関色温度が4000Kであり、色度偏差Duvが5であり、目立ち指数が135の光が放出される。実施例4、6~8及び比較例3、4では、相関色温度が3500K以上4500K以下であり、色度偏差Duvが+2以上+8以下である。また、実施例4、6~8及び比較例3、4では、点灯装置30が発光装置20に供給する電力を同等としている。
【0045】
各実施例または各比較例の評価結果を見ると、目立ち指数FCIが122よりも小さい場合(比較例3)や、132よりも大きい場合(比較例4)では「×」であるが、目立ち指数FCIが122以上132以下の範囲に収まっている場合(実施例4、6~8)は「○」以上であることがわかる。特に、目立ち指数FCIが125以上128以下の範囲に収まっている場合(実施例4、7)が「◎」であり、より良い演出効果を発揮していることがわかる。
【0046】
[効果など]
以上のように、本実施の形態によれば、発光装置20から放出される光は、相関色温度が3500K以上4500K以下であり、色度偏差Duvが+2以上+8以下であり、目立ち指数FCIが122以上132以下である。
【0047】
このため、夜間の屋外空間において、その空間内にある植栽や建物などの演出対象を鮮やかに演出することができ、その空間価値を高めることができる。したがって、夜間の屋外空間の照明演出に適した発光装置20及び照明装置10を提供することができる。
【0048】
また、固体発光素子の22中心波長は430nm以上470nm以下であり、蛍光部23は、緑色蛍光体35bと赤色蛍光体35aとを含み、発光装置20から発せられる光は、ルーメン当量が250lm/W以上である。これにより、フィルタなどを用いることなく、上記した条件に収まる光を実現することができる。したがって、発光装置20の構造を比較的簡素化したとしても、夜間の屋外空間において、その空間内にある植栽や建物などの演出対象を鮮やかに演出することができる。また、フィルタを用いないことで照度の低下も抑制することも可能である。
【0049】
また、緑色蛍光体35bが、YAG蛍光体及びLuAG蛍光体の少なくとも一方を含むので、発光装置20が放出する光を比較的高い効率で出力することができる。これにより、夜間の屋外空間において演出対象を華やかに演出することができる。
【0050】
また、赤色蛍光体35aが、KSF蛍光体を含むので、発光装置20が放出する光を比較的高い効率で出力することができる。これにより、夜間の屋外空間において演出対象を華やかに演出することができる。
【0051】
(その他の実施の形態)
以上、本発明に係る発光装置及び照明装置について、上記の実施の形態及びその変形例に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。
【0052】
例えば、上記の実施の形態では、固体発光素子22の一例として、LEDチップを示したが、これに限らない。固体発光素子22は、半導体レーザなどの半導体発光素子、又は、有機EL(Electroluminescence)若しくは無機ELなどの他の固体発光素子であってもよい。
【0053】
また、発光装置20が放出する光は、平均演色評価数Raが80以上であってもよい。これにより、夜間の屋外空間において、演出対象を鮮やかに演出しながら、全体として不自然に感じさせない空間を提供することができる。この場合、蛍光部材35に用いられる蛍光体の種類、シリコーン樹脂中の配合比及びシリコーン樹脂への配合量は、目的とする相関色温度、色偏差Duv、目立ち指数FCI、ルーメン当量lm/W及び平均演色評価数Raとなるように調整される。
【0054】
また、上記実施の形態では、フィルタを用いない発光装置20を例示して説明したが、フィルタを用いた発光装置であってもよい。この場合、発光装置から放出される光の特性をフィルタによって調整することが可能である。
【0055】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
10 照明装置
20 発光装置
22 固体発光素子
23 蛍光部
30 点灯装置
35a 赤色蛍光体
35b 緑色蛍光体