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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】暗号資産の買取・引取システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/06 20120101AFI20240209BHJP
【FI】
G06Q20/06 300
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020168098
(22)【出願日】2020-10-02
(65)【公開番号】P2022060089
(43)【公開日】2022-04-14
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】518061616
【氏名又は名称】クリプトリンク株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】506001136
【氏名又は名称】八木橋 泰仁
(74)【代理人】
【識別番号】100101845
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 明子
(72)【発明者】
【氏名】八木橋 泰仁
【審査官】塚田 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-77157(JP,A)
【文献】特開2002-230450(JP,A)
【文献】国際公開第2019/92795(WO,A1)
【文献】Aram Mine,コイン焼却の証明が新しい価値創造の証明になる「プルーフ・オブ・バーン」,2017年05月12日,https://gaiax-blockchain.com/proof-of-burn
【文献】ザイFX!編集部,ビットコイン/仮想通貨の確定申告総まとめ。税金はいくら?簡単に計算できるツールは?,2018年02月20日,https://zai.diamond.jp/articles/-/282363
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザー端末で入力されたユーザーの姓名又は名称と、メールアドレスと、姓名又は名称と共に本人又は法人を特定するための情報とを受信して、ユーザー毎にユーザー登録情報として登録するユーザー登録処理手段と、
ユーザー登録したユーザーのユーザー端末に対して、手数料金額と支払い方法を表示させてユーザーの支払いを促す手数料入金受付処理手段と、
手数料金額及び支払い方法に基づいてユーザーから入金があったか否かを、金融機関/決済システムから受領する情報に基づいて確認する手数料受領確認処理手段と、
ユーザーが買取/引取を希望する暗号資産の種類及び数量とユーザーが暗号資産を送金する場合の送付元のウォレットアドレスとを含む暗号資産送金詳細情報をユーザーに入力させ、ユーザー端末から暗号資産送金詳細情報を受信して暗号資産の送金先ウォレットアドレスをユーザー端末に表示させる暗号資産送金受付処理手段と、
ユーザーから送信された暗号資産送金詳細情報に基づいて、送金先ウォレットがユーザーから送金された暗号資産を受領したか否かを暗号資産取引所/ウォレット運営システムから受領する情報に基づいて確認する暗号資産送金受領確認処理手段と、
上記手数料受領確認処理手段及び上記暗号資産送金受領確認処理手段により、手数料及び暗号資産送金の受領を確認することによって、発行先としてのユーザー名とその特定情報・買取/引取年月日・買取/引取した暗号資産の種類及び数量の記載を含む暗号資産の買取/引取の証明書を出力する証明書発行処理手段と、
を備えた、暗号資産の買取/引取システム。
【請求項2】
ユーザー端末で入力されたユーザーの姓名又は名称と、メールアドレスと、姓名又は名称と共に本人又は法人を特定するための情報とを受信して、ユーザー毎にユーザー登録情報として登録するユーザー登録処理手段と、
ユーザーが買取/引取を希望する暗号資産の種類を入力させて、取り扱い可能な暗号資産の種類であれば、ユーザー登録したユーザーのユーザー端末に対して、手数料金額と支払い方法を表示させてユーザーの支払いを促す手数料入金受付処理手段と、
手数料金額及び支払い方法に基づいてユーザーから入金があったか否かを、金融機関/決済システムから受領する情報に基づいて確認する手数料受領確認処理手段と、
ユーザーが買取/引取を希望する暗号資産の数量とユーザーが暗号資産を送金する場合の送付元のウォレットアドレスとを含む暗号資産送金詳細情報をユーザーに入力させ、ユーザー端末から暗号資産送金詳細情報を受信して暗号資産の送金先ウォレットアドレスをユーザー端末に表示させる暗号資産送金受付処理手段と、
ユーザーから送信された暗号資産送金詳細情報に基づいて、送金先ウォレットがユーザーから送金された暗号資産を受領したか否かを暗号資産取引所/ウォレット運営システムから受領する情報に基づいて確認する暗号資産送金受領確認処理手段と、
上記手数料受領確認処理手段及び上記暗号資産送金受領確認処理手段により、手数料及び暗号資産送金の受領を確認することによって、発行先としてのユーザー名とその特定情報・買取/引取年月日・買取/引取した暗号資産の種類及び数量の記載を含む暗号資産の買取/引取の証明書を出力する証明書発行処理手段と、
を備えた、暗号資産の買取/引取システム。
【請求項3】
コンピュータを、
ユーザー端末で入力されたユーザーの姓名又は名称と、メールアドレスと、姓名又は名称と共に本人又は法人を特定するための情報とを受信して、ユーザー毎にユーザー登録情報として登録するユーザー登録処理手段と、
ユーザー登録したユーザーのユーザー端末に対して、手数料金額と支払い方法を表示させてユーザーの支払いを促す手数料入金受付処理手段と、
手数料金額及び支払い方法に基づいてユーザーから入金があったか否かを、金融機関/決済システムから受領する情報に基づいて確認する手数料受領確認処理手段と、
ユーザーが買取/引取を希望する暗号資産の種類及び数量とユーザーが暗号資産を送金する場合の送付元のウォレットアドレスとを含む暗号資産送金詳細情報をユーザーに入力させ、ユーザー端末から暗号資産送金詳細情報を受信して暗号資産の送金先ウォレットアドレスをユーザー端末に表示させる暗号資産送金受付処理手段と、
ユーザーから送信された暗号資産送金詳細情報に基づいて、送金先ウォレットがユーザーから送金された暗号資産を受領したか否かを暗号資産取引所/ウォレット運営システムから受領する情報に基づいて確認する暗号資産送金受領確認処理手段と、
上記手数料受領確認処理手段及び上記暗号資産送金受領確認処理手段により、手数料及び暗号資産送金の受領を確認することによって、発行先としてのユーザー名とその特定情報・買取/引取年月日・買取/引取した暗号資産の種類及び数量の記載を含む暗号資産の買取/引取の証明書を出力する証明書発行処理手段と、
して機能させるコンピュータプログラム。
【請求項4】
コンピュータを、
ユーザー端末で入力されたユーザーの姓名又は名称と、メールアドレスと、姓名又は名称と共に本人又は法人を特定するための情報とを受信して、ユーザー毎にユーザー登録情報として登録するユーザー登録処理手段と、
ユーザーが買取/引取を希望する暗号資産の種類を入力させて、取り扱い可能な暗号資産の種類であれば、ユーザー登録したユーザーのユーザー端末に対して、手数料金額と支払い方法を表示させてユーザーの支払いを促す手数料入金受付処理手段と、
手数料金額及び支払い方法に基づいてユーザーから入金があったか否かを、金融機関/決済システムから受領する情報に基づいて確認する手数料受領確認処理手段と、
ユーザーが買取/引取を希望する暗号資産の数量とユーザーが暗号資産を送金する場合の送付元のウォレットアドレスとを含む暗号資産送金詳細情報をユーザーに入力させ、ユーザー端末から暗号資産送金詳細情報を受信して暗号資産の送金先ウォレットアドレスをユーザー端末に表示させる暗号資産送金受付処理手段と、
ユーザーから送信された暗号資産送金詳細情報に基づいて、送金先ウォレットがユーザーから送金された暗号資産を受領したか否かを暗号資産取引所/ウォレット運営システムから受領する情報に基づいて確認する暗号資産送金受領確認処理手段と、
上記手数料受領確認処理手段及び上記暗号資産送金受領確認処理手段により、手数料及び暗号資産送金の受領を確認することによって、発行先としてのユーザー名とその特定情報・買取/引取年月日・買取/引取した暗号資産の種類及び数量の記載を含む暗号資産の買取/引取の証明書を出力する証明書発行処理手段と、
して機能させるコンピュータプログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、暗号資産やトークンの保有者から暗号資産やトークンを買取/引取をすることによって保有者がこれらの資産を処分することを可能にするためのシステムに関する発明である。
【背景技術】
【0002】
暗号資産は、インターネットを通じて不特定多数の間で物品やサービスの対価に使用することができ、中央銀行などの公的な発行主体や管理者が存在せず、専門の取引所を介して法定通貨と交換できるもの、と捉えることができ、その基盤となる技術がブロックチェーンである。また、暗号資産の業界においてトークンと呼ばれているものは、既存の暗号資産のプラットフォーム(ブロックチェーン)を利用して発行された電子的なものであり、特定の個人や法人が発行・管理可能なものである。その目的はさまざま(例えば、企業が発行しているポイントに近いもの、寄付活動に利用できるもの、特定のゲーム内で使用できるもの、など)であるが、暗号資産や法定通貨と交換可能なものや、暗号資産や法定通貨との交換はできないが送付や受取が可能であるものが含まれているので、本願明細書では便宜的にこのようなトークンも含めて以下「暗号資産」ということにする。
【0003】
暗号資産として、ビットコインが良く知られているが、ビットコイン以外にも多くの種類の暗号資産が存在し、代表的なものとしては、イーサリアム、ライトコイン、リップル、モナーコイン等が挙げられ、さらに数多くの暗号資産が生み出されてきた。暗号資産は、物やサービス購入の決済手段、個人間の送金手段、として利用できる。一方、暗号資産は近年投資の対象として注目を集め、一時は高騰した時期もあったが、現在では多くの暗号資産は発行時より価値が低下し、価値がなくなっているものもある。暗号資産は、中央管理者が不在であるため、統一的な取引市場がなく、取引のルールや法定通貨との換算レートや手数料については、それぞれの取引所に運用が任されている。従って、暗号資産を処分するとしても、市場取引がなされていない場合には相対取引で売却する方法しかないが、このような場合にはなかなか買い手を探すことも難しい。保有する暗号資産の価格が下落し、価格の上昇が見込めない場合には、それらを処分して損失を確定させることが会計処理・税務上望まれるが、価値が下落あるいは価値がなくなっている暗号資産の保有者は、売却・処分ができずにこれらの暗号資産を保有し続けざるを得ない状況になっており、この問題を何等かの手段で解決することが望まれる。
【0004】
出願人は、上記したような問題の解決に関連する先行技術について調査を試みた。例えば「仮想通貨」、「暗号資産」又は「暗号通貨」に関連して多くの特許出願がなされており、その取引に関しては、例えば、下記の特許文献のような送金を実行するシステムに関するものがある。しかしながら、これらの文献は、上記した問題に関連する先行技術を開示するものではない。出願人が調査した範囲においては、上記した問題を解決するための先行技術を見出すことはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-139542号公報
【文献】特開2019-194778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、暗号資産保有者が、保有する暗号通貨の価格が下落し、価格の上昇が見込めない場合や市場取引がなされていない場合に、それらを処分して損失を確定させるためのシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による暗号資産の買取/引取システムは、ユーザー端末で入力されたユーザーの姓名又は名称と、メールアドレスと、姓名又は名称と共に本人又は法人を特定するための情報とを受信して、ユーザー毎にユーザー登録情報として登録するユーザー登録処理手段と、ユーザー登録したユーザーのユーザー端末に対して、手数料金額と支払い方法を表示させてユーザーの支払いを促す手数料入金受付処理手段と、手数料金額及び支払い方法に基づいてユーザーから入金があったか否かを、金融機関/決済システムから受領する情報に基づいて確認する手数料受領確認処理手段と、ユーザーが買取/引取を希望する暗号資産の種類及び数量とユーザーが暗号資産を送金する場合の送付元のウォレットアドレスとを含む暗号資産送金詳細情報をユーザーに入力させ、ユーザー端末から暗号資産送金詳細情報を受信して暗号資産の送金先ウォレットアドレスをユーザー端末に表示させる暗号資産送金受付処理手段と、ユーザーから送信された暗号資産送金詳細情報に基づいて、送金先ウォレットがユーザーから送金された暗号資産を受領したか否かを暗号資産取引所/ウォレット運営システムから受領する情報に基づいて確認する暗号資産送金受領確認処理手段と、上記手数料受領確認処理手段及び上記暗号資産送金受領確認処理手段により、手数料及び暗号資産送金の受領を確認することによって、発行先としてのユーザー名とその特定情報・買取/引取年月日・買取/引取した暗号資産の種類及び数量の記載を含む暗号資産の買取/引取の証明書を出力する証明書発行処理手段と、を備えている。
【0008】
本発明による他の形態による暗号資産の買取/引取システムは、ユーザー端末で入力されたユーザーの姓名又は名称と、メールアドレスと、姓名又は名称と共に本人又は法人を特定するための情報とを受信して、ユーザー毎にユーザー登録情報として登録するユーザー登録処理手段と、ユーザーが買取/引取を希望する暗号資産の種類を入力させて、取り扱い可能な暗号資産の種類であれば、ユーザー登録したユーザーのユーザー端末に対して、手数料金額と支払い方法を表示させてユーザーの支払いを促す手数料入金受付処理手段と、手数料金額及び支払い方法に基づいてユーザーから入金があったか否かを、金融機関/決済システムから受領する情報に基づいて確認する手数料受領確認処理手段と、ユーザーが買取/引取を希望する暗号資産の数量とユーザーが暗号資産を送金する場合の送付元のウォレットアドレスとを含む暗号資産送金詳細情報をユーザーに入力させ、ユーザー端末から暗号資産送金詳細情報を受信して暗号資産の送金先ウォレットアドレスをユーザー端末に表示させる暗号資産送金受付処理手段と、ユーザーから送信された暗号資産送金詳細情報に基づいて、送金先ウォレットがユーザーから送金された暗号資産を受領したか否かを暗号資産取引所/ウォレット運営システムから受領する情報に基づいて確認する暗号資産送金受領確認処理手段と、上記手数料受領確認処理手段及び上記暗号資産送金受領確認処理手段により、手数料及び暗号資産送金の受領を確認することによって、発行先としてのユーザー名とその特定情報・買取/引取年月日・買取/引取した暗号資産の種類及び数量の記載を含む暗号資産の買取/引取の証明書を出力する証明書発行処理手段と、を備えている。
【0009】
本発明によるコンピュータプログラムは、コンピュータを、ユーザー端末で入力されたユーザーの姓名又は名称と、メールアドレスと、姓名又は名称と共に本人又は法人を特定するための情報とを受信して、ユーザー毎にユーザー登録情報として登録するユーザー登録処理手段と、ユーザー登録したユーザーのユーザー端末に対して、手数料金額と支払い方法を表示させてユーザーの支払いを促す手数料入金受付処理手段と、手数料金額及び支払い方法に基づいてユーザーから入金があったか否かを、金融機関/決済システムから受領する情報に基づいて確認する手数料受領確認処理手段と、ユーザーが買取/引取を希望する暗号資産の種類及び数量とユーザーが暗号資産を送金する場合の送付元のウォレットアドレスとを含む暗号資産送金詳細情報をユーザーに入力させ、ユーザー端末から暗号資産送金詳細情報を受信して暗号資産の送金先ウォレットアドレスをユーザー端末に表示させる暗号資産送金受付処理手段と、ユーザーから送信された暗号資産送金詳細情報に基づいて、送金先ウォレットがユーザーから送金された暗号資産を受領したか否かを暗号資産取引所/ウォレット運営システムから受領する情報に基づいて確認する暗号資産送金受領確認処理手段と、上記手数料受領確認処理手段及び上記暗号資産送金受領確認処理手段により、手数料及び暗号資産送金の受領を確認することによって、発行先としてのユーザー名とその特定情報・買取/引取年月日・買取/引取した暗号資産の種類及び数量の記載を含む暗号資産の買取/引取の証明書を出力する証明書発行処理手段と、して機能させる。
【0010】
本発明による他の形態のコンピュータプログラムは、コンピュータを、ユーザー端末で入力されたユーザーの姓名又は名称と、メールアドレスと、姓名又は名称と共に本人又は法人を特定するための情報とを受信して、ユーザー毎にユーザー登録情報として登録するユーザー登録処理手段と、ユーザーが買取/引取を希望する暗号資産の種類を入力させて、取り扱い可能な暗号資産の種類であれば、ユーザー登録したユーザーのユーザー端末に対して、手数料金額と支払い方法を表示させてユーザーの支払いを促す手数料入金受付処理手段と、手数料金額及び支払い方法に基づいてユーザーから入金があったか否かを、金融機関/決済システムから受領する情報に基づいて確認する手数料受領確認処理手段と、ユーザーが買取/引取を希望する暗号資産の数量とユーザーが暗号資産を送金する場合の送付元のウォレットアドレスとを含む暗号資産送金詳細情報をユーザーに入力させ、ユーザー端末から暗号資産送金詳細情報を受信して暗号資産の送金先ウォレットアドレスをユーザー端末に表示させる暗号資産送金受付処理手段と、ユーザーから送信された暗号資産送金詳細情報に基づいて、送金先ウォレットがユーザーから送金された暗号資産を受領したか否かを暗号資産取引所/ウォレット運営システムから受領する情報に基づいて確認する暗号資産送金受領確認処理手段と、上記手数料受領確認処理手段及び上記暗号資産送金受領確認処理手段により、手数料及び暗号資産送金の受領を確認することによって、発行先としてのユーザー名とその特定情報・買取/引取年月日・買取/引取した暗号資産の種類及び数量の記載を含む暗号資産の買取/引取の証明書を出力する証明書発行処理手段と、して機能させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、暗号資産保有者が、保有する暗号通貨の価格が下落し、価格の上昇が見込めない場合や市場取引がなされていない場合に、暗号資産の買取/引取を自動的に行い証明書を発行することによって、暗号資産保有者による当該暗号資産の処分を可能にする手段を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明によるシステムの概略構成を示すブロック図である。
図2】本発明によるシステムが備えるシステムサーバとユーザー端末との間で行われる操作や処理の流れを示す図である。
図3】証明書の例を示す図である。
図4】本発明によるシステムが備えるシステムサーバとユーザー端末との間で行われる操作や処理の流れの他の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明による暗号資産の買取/引取システム(以下、「本システム」という)の実施の形態について説明する。以下の説明で記載する「ユーザー」とは、暗号資産の処分を希望して本システムを利用する暗号資産保有者(個人、法人を含む)をいう。また、暗号資産の「買取」とは、対価をユーザーに支払って暗号資産を受領することをいい、暗号資産の「引取」とは、無償又は有償(ユーザーが手数料を支払う)にてユーザーから暗号資産を受領することをいう。
【0014】
図1は、本システムの実施形態の全体構成を示す図である。本システムは、インターネットを含むネットワーク接続環境及び表示機能を備えたユーザー端末4(スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータを含む)がネットワークを介して接続可能なシステムサーバ2によって提供される。
【0015】
システムサーバ2は、ウェブサーバ等として機能し、ユーザー端末4からのアクセス又は要求や指示を受けて、a~gの参照番号で示す各機能、すなわち、メニュー表示機能a、ユーザー登録処理機能b、手数料入金受付処理機能c、手数料受領確認処理機能d、暗号資産送金受付処理機能e、暗号資産送金受領確認処理機能f、証明書発行処理機能g、の各機能を実行する。システムサーバ2は、これらの機能の実行に関する処理を、コンピュータプログラム及びコンピュータハードウェアの連携により、システムサーバ2が保持しあるいは外部に保持するデータファイルに対するデータの生成・登録・更新や抽出・呼出し等の処理や、外部システムへのアクセス及び外部システムからのデータ取得等を行いながら実行する。
【0016】
次に、図2を用いて、本システムにおける処理の流れについて説明する。図2は、本システムにおける処理の流れの一例を示す図である。図2において、ユーザー端末4は、ユーザーが本システムを利用するために使用する通信機器(スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータを含む)である。
【0017】
システムサーバ2は、インターネット上に、本システムのサービスを紹介するホームページを開設し、暗号資産の処分に興味を持つユーザーに対して、ユーザー登録のためのメニュー等を表示して、ユーザーのアクセスを促している(S1)。
【0018】
ユーザー端末4から、システムサーバ2が提供するユーザー登録の申し込みメニューにアクセスして、ユーザーから登録申込(U1)を受信すると、システムサーバ2は、ユーザー登録を行うための入力画面をユーザー端末4に表示させる(S2)。ユーザー登録に必要な情報は以下の通りである。
【0019】
・姓名又は名称
・メールアドレス
・本人又は法人を確認(特定)するための情報
本人を確認するための情報とは、姓名又は名称と組み合わせて本人又はその法人と特定することが出来る情報であり、例えば、住所、個人番号、法人登録番号等である。本システムは、最終的にユーザーに対して証明書を発行するので、偽名やなりすましによるユーザー登録を防ぐために、本人又は法人確認書類(免許証、住民票、登記簿謄本等)の写しもユーザー登録情報として求めることが望ましい。
【0020】
ユーザー端末4からユーザー登録情報が送信されると(U2),システムサーバ2は、ユーザー登録情報ファイル5に受領したユーザー登録情報を保存することにより、ユーザー登録を行う(S3)。
【0021】
ユーザー登録が完了すると、システムサーバ2は、ユーザー端末4に、手数料入金案内画面を表示させる(S4)。本実施の形態では、手数料の入金を前提として、ユーザーの本システムの利用を可能にしている。手数料入金案内画面では、手数料金額、支払い方法が表示される。支払い方法については、指定された支払い手段を表示するか、複数の支払い手段からユーザーに選択させるようにしてもよい。例えば、クレジットカード、電子マネー、銀行振り込み、暗号資産決済等から選択できるようにする。図2では表示していないが、申込手数料入金案内画面において、プルダウン等により複数の支払い方法からユーザーに支払い方法を選択させた場合には、どの支払い方法が選択されたかがシステムサーバ2に送信される。
【0022】
ユーザー端末4において、指定された支払い手段あるいは選択された支払い手段に従って手数料入金処理が行われた(U3)として、システムサーバ2は、指定あるいは選択された支払い手段に従って、関連する外部金融機関システムあるいは決済システム6にアクセスして入金口座のデータを入手し、あるいは外部金融機関システムあるいは決済システム6から入金情報を受領することにより、ユーザーから手数料が入金したか否かの入金確認処理を実行する(S5)。
【0023】
入金が確認できなければ(S6)、ユーザー端末4側に待機画面(例えば、「入金確認完了までお待ちください」を表示させる)を表示させ(S7)、入金確認処理(S5)を繰り返す。
【0024】
入金確認処理(S5)によって入金が確認されると(S6)、システムサーバ2は、ユーザー端末4に、暗号資産送金案内画面を表示させる(S8)。
【0025】
暗号資産送金案内画面では、以下の暗号資産送金詳細情報の入力をユーザーに促す。
【0026】
・買取/引取を希望する暗号資産の種類
・買取/引取を希望する暗号資産の数量
・ユーザーが暗号資産を送金する場合の送付元のウォレットアドレス
ここで、暗号資産の送金とは、ユーザーが所有している暗号資産を自己のウォレットから、システムサーバ2のサービス提供者のウォレットに送ることをいう。ウォレットとは、イメージとしては暗号資産を保管するための電子上の財布のようなものであるが、実際は「秘密鍵」、「公開鍵」、「アドレス」を管理するためのソフトウェアである。ユーザーが当該サービス提供者に暗号資産を送金したい場合、この取引情報がユーザーの秘密鍵を使って暗号化され、公開鍵とともにP2Pネットワークに送付される。P2Pネットワークでは、取引情報が正しいかを検証する作業が行われ、内容が正しければ、サービス提供者のアドレスに暗号資産の送金が完了する。
【0027】
暗号資産の種類については、プルダウン等によりユーザーに種類を選択させ、選択の候補にない場合は、文字入力させるようにしてもよい。ユーザーが暗号資産送金詳細情報の入力を完了すると送信ボタン等を操作させることによって、暗号資産詳細情報がシステムサーバ2に送信される(U4)。
【0028】
システムサーバ2は、暗号資産詳細情報を受信すると、暗号資産の送金先のウォレットアドレスをユーザー端末4に表示させる(S9)。暗号資産詳細情報の受信後に送金先のウォレットアドレスを表示させるのは、暗号資産の種類によって、暗号資産の送金先のウォレットアドレスが異なる場合があるからである。
【0029】
送金先のウォレットアドレスを受信したユーザーは、自己が保有する暗号資産のウォレットから、指定された送金先のウォレットアドレスに暗号資産を送金するための処理を、自己が取引している暗号資産取引所又はウォレット運営システム等を介して行う(U5)。
【0030】
システムサーバ2は、指定した送金先のウォレットにおいて、ユーザーから該当する暗号資産の送金が受領されたか否かを、暗号資産送金詳細情報(暗号資産の種類、数量、送付元のウォレットアドレス)に基づいて確認する送金受領確認処理を実行する(S10)。送金受領確認処理は、送金先のウォレットを運営する暗号資産取引所又はウォレット運営システム8のウェブサイトにアクセスして当該ウォレットの取引履歴をチェックするか、暗号資産取引所又はウォレット運営システム8から定期的又は随時に取引履歴情報を取り込んで蓄積したウォレット取引履歴情報7をチェックすることにより行う。
【0031】
送金受領が確認できなければ(S11)、ユーザー端末4側に待機画面(例えば、「送金受領確認完了までお待ちください」のメッセージを表示させた画面)を表示させ(S12)、送金受領確認処理(S10)を繰り返す。
【0032】
送金受領確認処理(S10)によって送金受領が確認されると(S11)、システムサーバ2は、ユーザー端末4に、受領確認通知を送信する(S13)。また、以下の詳細を記載した、暗号資産の買取/引取証明書を、ユーザー登録情報5に保存されている当該ユーザーの情報及び暗号資産送金詳細情報に基づいて、発行する(S14)。
【0033】
・発行する相手の姓名又は名称及び住所などの特定情報
・買取/引取の年月日(暗号資産送金受領日)
・買取/引取した暗号資産の種類及び数量
・買取/引取に際してユーザーが支払った手数料等の表示
買取/引取証明書は、書換や変更等が不可能な電子化文書で発行し、ユーザー端末4に送信してもよいし、証明書を紙に印刷する形式で発行し、ユーザーに送付してもよい。図3にこの証明書の例を示す。
【0034】
図3は、ユーザーからの暗号資産の送金受領を確認して、セットで発行される受領書と手数料の領収書の例を示しており、受領書が暗号資産の買取/引取証明書に該当する。図3の受領書は、暗号資産を無償で引取した例であり、ユーザーの姓名及び住所、発行者の住所及び名称、譲受日として引取の年月日、トークンシンボルとして引取した暗号資産の種類、引取した暗号資産の数量が記載されている。さらに、暗号資産の送金受領に関する記載として、Txn Hash、ユーザーの送付元のウォレットアドレスと、ユーザーの送金先のウォレットアドレス(すなわち、発行者の受取アドレス)が記載されている。Txn Hash(トランザクションハッシュ)は、暗号資産の送金に関して、ブロックチェーンにおける取引データが格納されているデータのハッシュ値をさし、取引番号に該当するものである。
【0035】
なお、本実施の形態では、ユーザーからの手数料支払いは、ステップS4~S7で処理を行っているが、本発明ではこの処理自体は、この段階で行うことは必須ではない。証明書の発行(S14)は、暗号資産の送金受領と手数料支払いを必須として発行するが、手数料支払いは、例えば、ユーザー登録と同時でもよいし、暗号資産送金後であってもよい。
【0036】
また、以上に記載した実施の形態は、ユーザーの暗号資産を無償で引取った例であるが、対価を支払って暗号資産を受領する(すなわち、買取)の場合は、図2のステップS11に続き、ユーザーに対する受領確認通知(S13)と共に、ユーザーに対価の支払い方法を表示し対価の送金先を入力させる画面を表示させ、システムサーバ2に送金先を送信させるようにする。
【0037】
次に、図4を用いて、本システムの他の実施の形態による処理の流れについて説明する。図4に示した実施の形態は、図2に示した実施の形態と共通する部分も多いので、ここでは、図2に示した処理の流れとは異なる部分を中心に説明する。
【0038】
まず、図4に示した実施の形態によるユーザー登録の処理の流れ(ステップC1~C2、F2~F3)は、図2に示したユーザー登録の処理の流れ(ステップU1~U2、S2~S3)と共通するので説明を省略する。
【0039】
ユーザー登録が完了すると、システムサーバ2は、ユーザー端末4に、暗号資産買取/引取申込の画面を表示させることによって、ユーザーは暗号資産買取/引取の申込が可能となる。ユーザー端末4からの暗号資産買取/引取申込(C3)を受信すると、システムサーバ2は、ユーザーが買取/引取を希望する暗号資産の種類を入力させるため、買取/引取対象暗号資産入力画面をユーザー端末4に表示させる(F4)。ユーザー端末4から買取/引取対象暗号資産の種類が送信されると(C4)、システムサーバ2は、送信された暗号資産の種類が取り扱い可能である暗号資産の種類であることを確認して、買取/引取暗号資産登録情報ファイル9に、ユーザーに関連して買取/引取を予定する暗号資産の種類を登録する(F5)。なお、ユーザーから取り扱い対象外である暗号資産の種類が送信された場合には、取り扱い対象外であることをユーザー端末4に表示させる等の方法で、ユーザーが以下のステップに進めないようにする。暗号資産は、次々に様々な種類が登場するために、その特徴や性質から、本発明によるサービスの提供者としては、買取/引取の対象と出来ない暗号資産の種類も存在する可能性があるため、本実施の形態では、ユーザーが手数料入金を行う前に、このチェックを行うようにしている。
【0040】
次に続く手数料の入金に関する処理の流れ(ステップC5、F6~F9)は、図2に示した入金処理の流れ(ステップU3、S4~S7)と共通するので説明を省略する。
【0041】
入金確認処理(F7)によって入金が確認されると(F8)、システムサーバ2は、ユーザー端末4に、暗号資産送金案内画面を表示させる(F10)。
【0042】
暗号資産送金案内画面では、買取/引取を希望する暗号資産の種類についてはすでにシステムサーバ2は受信しているので、以下の暗号資産送金詳細情報の入力をユーザーに促す。
【0043】
・買取/引取を希望する暗号資産の数量
・ユーザーが暗号資産を送金する場合の送付元のウォレットアドレス
ユーザーが暗号資産送金詳細情報の入力を完了すると送信ボタン等を操作させることによって、暗号資産詳細情報がシステムサーバ2に送信される(C6)。
【0044】
システムサーバ2は、暗号資産詳細情報を受信すると、暗号資産の送金先のウォレットアドレスをユーザー端末4に表示させる(F11)。送金先のウォレットアドレスを受信したユーザーは、自己が保有する暗号資産のウォレットから、指定された送金先のウォレットアドレスに暗号資産を送金するための処理を、自己が取引している暗号資産取引所又はウォレット運営システム等を介して行う(C7)。
【0045】
システムサーバ2は、指定した送金先のウォレットにおいて、ユーザーから該当する暗号資産の送金が受領されたか否かを、あらかじめ登録された暗号資産の種類及び暗号資産送金詳細情報(暗号資産の数量、送付元のウォレットアドレス)に基づいて確認する送金受領確認処理を実行する(F12)。以降の処理(ステップF13~F16)は、図2に示した処理の流れ(ステップS11~S14)と共通するので説明を省略する。
【0046】
なお、図4の実施の形態では、ユーザーからの手数料支払いは、買取/引取対象暗号資産登録(F5)に続いて処理を行っているが、手数料支払いの処理自体は、暗号資産送金後であってもよい。
【0047】
図4の実施の形態では、入金処理を行う前に、ユーザーが買取/引取を希望する暗号資産の種類が取り扱い可能であるかを確認する処理を含むため、手数料を徴収後に暗号資産が取り扱い出来ない種類であることが判明する事態を避けることができる。一方、図2に示した実施の形態では、あらかじめサービス照会ホームページに取り扱い可能な暗号資産の種類を表示したり、ユーザー登録の際に、一定の種類の暗号資産の種類に限り取り扱い可能であることをユーザーに承諾させてユーザー登録させることにより、このような事態を避けることが出来る。
【符号の説明】
【0048】
2 システムサーバ
4 ユーザー端末
5 ユーザー登録情報
6 外部金融機関/決済システム
7 ウォレット取引履歴情報
8 暗号資産取引所/ウォレット運営システム
図1
図2
図3
図4