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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】スクイズ容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/32 20060101AFI20240209BHJP
   B65D 1/46 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
B65D1/32
B65D1/46
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020015628
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021123354
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2023-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】593211049
【氏名又は名称】パイオニア工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【弁理士】
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】光田 晃
(72)【発明者】
【氏名】上利 政志
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-105028(JP,A)
【文献】実開昭61-062808(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0203237(US,A1)
【文献】特開2017-100743(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/32
B65D 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクイズ変形可能な筒状の胴体部をスクイズすることで、容器本体内に収容された内容物を口部から吐き出すことが可能なスクイズ容器であって、
前記胴体部は、
前記容器本体の吐き出し方向において断面扁平形状又は断面略長方形状からなり、
互いに対向する位置に配置された一対の長壁部及び該長壁部よりも幅狭となるように形成された一対の短壁部をそれぞれ有し、
前記一対の長壁部の外面には、前記容器本体の内部に向かって窪むように設けられ、前胴体部がスクイズされたときに前記容器本体の容量変化を調整するためのパネル凹部がそれぞれ形成され、
前記胴体部が前記一対の長壁部側からスクイズされたときに前記容器本体の容量が減少し、かつ、前記胴体部が前記一対の短壁部側からスクイズされたときにも前記容器本体の容量が減少し、
前記胴体部が前記一対の短壁部側からスクイズされたときの押圧荷重が所定値未満であるときには前記容器本体の容量が略変化せず、かつ、前記押圧荷重が所定値以上から大きくなるに従って、前記一対の長壁部側からスクイズされたときよりも緩やかに前記容器本体の容量が減少していくことを特徴とするスクイズ容器。
【請求項2】
前記胴体部が前記一対の長壁部側からスクイズされたときの押圧荷重が大きくなるに従って前記容器本体の容量が減少していき、
前記胴体部が前記一対の短壁部側からスクイズされたときの押圧荷重が25N未満であるときには前記容器本体の容量が±3mL以内の範囲で変化し、かつ、前記押圧荷重が25N以上から大きくなるに従って前記容器本体の容量が減少していくことを特徴とする請求項に記載のスクイズ容器。
【請求項3】
前記パネル凹部の前記長壁部に対するパネル深さが2.0~4.0mmであって、
前記長壁部に対する前記パネル凹部の外面のパネル面積比率が50~80%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のスクイズ容器。
【請求項4】
前記長壁部の幅方向における前記パネル凹部の端部において、前記長壁部に対するパネル端部深さが1.0~3.0mmであって、かつ、前記パネル深さと同じ又は前記パネル深さよりも小さいことを特徴とする請求項に記載のスクイズ容器。
【請求項5】
前記スクイズ容器の容量が約300~500mLであって、
前記パネル凹部は、略長方形状からなり、
前記パネル深さをネル幅で除したパネル深さ比率が5.4~10.8%であることを特徴とする請求項に記載のスクイズ容器。
【請求項6】
前記パネル凹部の外面には、前記容器本体の内部又は外側に向かって突出する補強リブが形成され、
該補強リブは、前記長壁部の中央部分に配置され、かつ、前記パネル凹部の中央部分に配置された第1補強リブと、該第1補強リブを中心として該第1補強リブから放射状に延びている第2補強リブと、を有していることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のスクイズ容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクイズ容器に係り、特に、スクイズ変形可能な胴体部をスクイズすることで、容器本体の内容物を口部から吐き出すことが可能なスクイズ容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、筒状の胴体部をスクイズすることで、容器本体の内容物を口部から吐き出すことが可能なスクイズ容器が知られている。その中には、断面扁平形状又は断面長方形状の胴体部を有し、耐熱性及び剛性を確保するために当該胴体部の外面に凹凸構造(一般に減圧吸収パネル等と呼ばれている)が形成された角型のスクイズ容器が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
なお、耐熱性及び剛性を確保する主な理由としては、熱殺菌のために常温よりも高い温度で内容物を充填した後に、当該内容物の温度低下に伴って容器に外圧が加わった場合であっても、当該容器の変形を防止するためである。
【0003】
特許文献1に記載のスクイズ容器は、ブロー成形されたボトルとキャップから構成される液状調味料容器であって、ボトルの胴体部が「断面扁平形状」からなり、当該胴体部のうち、一対の長壁部の外側面には「圧力吸収パネル」が形成されている。
また、内容物が粘度の高い液状調味料であっても、胴体部が一対の長壁部側からスクイズされたときにボトルが良好に変形することを目的として、ボトルの形状及び材料が工夫されている。
【0004】
特許文献2に記載のプラスチックボトルは、スクイズ容器ではなく、断面扁平形状(断面長方形状)の胴体部を有してはいないものの、耐熱性を有する角型の飲料ボトルである。
断面正方形状の胴体部の外側面には、容器本体の内部に向かって窪んだ「圧力吸収パネル」がそれぞれ形成されている。また、ホット充填時の容器内の圧力変化による変形を抑制することを目的として、当該圧力吸収パネルの形状が工夫されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-019562号公報
【文献】特開2017-065738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、断面扁平形状(断面長方形状)の胴体部を有するスクイズ容器の場合には、原則として、胴体部を一対の長壁部側からスクイズすることで、容器本体内に収容された内容物を口部から吐き出すものである。
なぜならば、胴体部が一対の長壁部側からスクイズされることで、容器本体の容量が減少し、かつ、スクイズされたときの押圧荷重が大きくなるに従って容器本体の容量が連続的に減少していくため、その結果、容器本体内の内容物をスムーズに吐き出すことができるからである。
上記原則に反して、もしも胴体部が一対の短壁部側からスクイズされてしまうと、容器本体の容量が徐々に増大して空気を吸い込むことになり、容器本体内の内容物を吐き出すことができず、さらに押圧していくと一対の長壁部が反転してしまい、空気をより多く吸い込んでしまう。そうなると、スクイズした状態から手を緩めたときに、容器本体が瞬間的に収縮してコントロールできないまま内容物が飛び出してしまう。特に、空気を多く吸い込んだ状態でスクイズを緩めると、内容物が飛び散ってしまう。
なお、上記現象(胴体部を短壁部側から押圧すると、長壁部がペコッと飛び出して空気を吸い込むが、押圧を緩めるとペコッと戻り、内容物が飛び出す現象)は、スクイズ容器の「サックバック現象」とも呼ばれている。
【0007】
しかしながら、上記スクイズ容器において、使用者が誤って胴体部を一対の短壁部側からスクイズしてしまうことや、子供や老人が気づかずに胴体部を一対の短壁部側からスクイズしてしまうことが往々にしてあり、そうなると上述した通り、容器本体内の内容物が勢い良く飛び出してしまうといった問題が生じていた。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、断面扁平形状(断面長方形状)の胴体部を有し、胴体部をスクイズすることで好適に内容物を吐き出すことが可能な新規のスクイズ容器を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、胴体部が一対の長壁部側からスクイズされた場合であっても、一対の短壁部側からスクイズされた場合であっても、好適に内容物を吐き出すことが可能なスクイズ容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題は、本発明のスクイズ容器によれば、スクイズ変形可能な筒状の胴体部をスクイズすることで、容器本体内に収容された内容物を口部から吐き出すことが可能なスクイズ容器であって、前記胴体部は、前記容器本体の吐き出し方向において断面扁平形状又は断面略長方形状からなり、互いに対向する位置に配置された一対の長壁部及び該長壁部よりも幅狭となるように形成された一対の短壁部をそれぞれ有し、前記一対の長壁部の外面には、前記容器本体の内部に向かって窪むように設けられ、前胴体部がスクイズされたときに前記容器本体の容量変化を調整するためのパネル凹部がそれぞれ形成され、前記胴体部が前記一対の長壁部側からスクイズされたときに前記容器本体の容量が減少し、かつ、前記胴体部が前記一対の短壁部側からスクイズされたときにも前記容器本体の容量が減少し、前記胴体部が前記一対の短壁部側からスクイズされたときの押圧荷重が所定値未満であるときには前記容器本体の容量が略変化せず、かつ、前記押圧荷重が所定値以上から大きくなるに従って、前記一対の長壁部側からスクイズされたときよりも緩やかに前記容器本体の容量が減少していくこと、により解決される。
【0010】
上記構成により、断面扁平形状(断面長方形状)の胴体部を有し、胴体部が一対の長壁部側からスクイズされた場合であっても、一対の短壁部側からスクイズされた場合であっても、好適に内容物を吐き出すことが可能なスクイズ容器を実現することができる。
詳しく述べると、一対の長壁部の外面には、胴体部がスクイズされたときに容器本体の容量変化を調整するためのパネル凹部がそれぞれ形成されている。当該パネル凹部の形成によって、胴体部が一対の短壁部側からスクイズされた場合であっても、長壁部の反転が生じることがなく固着させることができ、容器本体が増大して空気を吸い込むことがない。
より詳しく述べると、スクイズされたときの押圧荷重が所定値以上となるまでは、一対の短壁部側からの押圧による「容器本体の緩やかな減少」と、一対の長壁部が僅かながら拡開することによる「容器本体の緩やかな増大」とが平衡した状態となって、容器本体内の内容物を吐き出すことができない。そして、スクイズされたときの押圧荷重が所定値以上から大きくなると、パネル凹部によって一対の長壁部が動かなくなり(拡開することがなくなり)、容器本体が減少していくことになる。その結果、容器本体内の内容物を吐き出すことができる。
【0011】
このとき、前記胴体部が前記一対の長壁部側からスクイズされたときの押圧荷重が大きくなるに従って前記容器本体の容量が減少していき、前記胴体部が前記一対の短壁部側からスクイズされたときの押圧荷重が25N未満であるときには前記容器本体の容量が±3mL以内の範囲で変化し、かつ、前記押圧荷重が25N以上から大きくなるに従って前記容器本体の容量が減少していくと良い。
上記構成により、胴体部が一対の長壁部側からスクイズされた場合には、従来と同様に内容物をスムーズに吐き出すことができ、かつ、一対の短壁部側からスクイズされた場合であっても内容物を緩やかに吐き出すことができる(内容物が飛び出すことがない)。
また上記構成により、実際の使用感(操作感)を想定して容器本体の容量変化を調整させることができ、ユーザービリティの高いスクイズ容器を実現できる。
なお、容器本体内の内容物を吐き出させるべく、ヒトが胴体部をスクイズするときの押圧荷重は一般に20~50N程度と言われている。
【0012】
このとき、前記胴体部が前記一対の短壁部側からスクイズされたときの押圧荷重が25N未満であるときには前記容器本体の容量が±3mL以内の範囲で変化し、かつ、前記押圧荷重が25N以上から大きくなるに従って前記容器本体の容量が減少していくと良い。
上記構成により、実際の使用感(操作感)を想定して容器本体の容量変化を調整させることができ、ユーザービリティの高いスクイズ容器を実現することができる。
なお、容器本体内の内容物を吐き出させるべく、ヒトが胴体部をスクイズするときの押圧荷重は一般に20~50N程度と言われている。
【0013】
このとき、前記パネル凹部の前記長壁部に対するパネル深さが2.0~4.0mmであって、前記長壁部に対する前記パネル凹部の外面のパネル面積比率が50~80%であると好ましい。
また、前記長壁部の幅方向における前記パネル凹部の端部において、前記長壁部に対するパネル端部深さが1.0~3.0mmであって、かつ、前記パネル深さと同じ又は前記パネル深さよりも小さいとより好ましい。
また、前記スクイズ容器の容量が約300~500mLであって、前記パネル凹部は、略長方形状からなり、前記パネル深さをネル幅で除したパネル深さ比率が5.4~10.8%であるとより一層好ましい。
上記のようにパネル凹部の形状、寸法を最適化することで、より一層好適に内容物を吐き出すことが可能なスクイズ容器を実現することができる。
【0014】
このとき、前記パネル凹部の外面には、前記容器本体の内部又は外側に向かって突出する補強リブが形成され、該補強リブは、前記長壁部の中央部分に配置され、かつ、前記パネル凹部の中央部分に配置された第1補強リブと、該第1補強リブを中心として該第1補強リブから放射状に延びている第2補強リブと、を有していると良い。
上記構成により、パネル凹部の剛性をより向上させることができる。詳しく述べると、補強リブが、第1補強リブと、第2補強リブとを有しているため、従来のスクイズ容器において発生していた「胴体部の長壁部がペコッと反転する現象」をより一層抑制することができる。すなわち、長壁部(パネル凹部)の中央部分を集中して補強しているため、上記現象が一層生じ難い構造となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、断面扁平形状(断面長方形状)の胴体部を有し、胴体部をスクイズすることで好適に内容物を吐き出すことが可能な新規スクイズ容器を実現することができる。
また、胴体部が一対の長壁部側からスクイズされた場合であっても、一対の短壁部側からスクイズされた場合であっても、好適に内容物を吐き出すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態のスクイズ容器の斜視図である。
図2】スクイズ容器の正面図である。
図3図2のIII-III断面図であって、胴体部(長壁部)及びパネル凹部を示す図である。
図4図2のIV-IV断面図であって、胴体部(長壁部、短壁部)及びパネル凹部を示す図である。
図5】第2実施形態のスクイズ容器の斜視図である。
図6】第2実施形態のスクイズ容器の正面図である。
図7】試験1の試験結果を示し、実施例1をスクイズしたときの「容器体積変位量(mL)/押圧荷重(N)」の関係を示すグラフである。
図8】実施例2をスクイズしたときの「容器体積変位量(mL)/押圧荷重(N)」の関係を示すグラフである。
図9】試験2の試験結果を示し、パネル深さDの異なる実施例1を短壁部側からスクイズしたときのスクイズ性、容量性、成形性の評価結果を示す図である。
図10】パネル深さDの異なる実施例2を短壁部側からスクイズしたときのスクイズ性、容量性、成形性の評価結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図1図10を参照して説明する。
本実施形態は、スクイズ変形可能な胴体部をスクイズすることで、容器本体内に収容された内容物を口部から吐き出すことが可能なスクイズ容器であって、胴体部は、容器本体の吐き出し方向において断面扁平形状(断面略長方形状)からなり、互いに対向する位置に配置された一対の長壁部及び長壁部よりも幅狭となるように形成された一対の短壁部をそれぞれ有し、一対の長壁部の外面には、容器本体の内部に向かって窪むように設けられ、胴体部がスクイズされたときに容器本体の容量変化を調整するためのパネル凹部がそれぞれ形成され、胴体部が一対の長壁部側からスクイズされたときに容器本体の容量が減少し、かつ、スクイズされたときの押圧荷重が大きくなるに従って容器本体の容量が減少していき、胴体部が一対の短壁部側からスクイズされたときにも容器本体の容量が減少し、かつ、スクイズされたときの押圧荷重が所定値以上から大きくなるに従って容器本体の容量が減少していくことを特徴とするスクイズ容器の発明に関するものである。
【0018】
本実施形態のスクイズ容器Bは、図1図4に示すように、耐熱性及び剛性を確保した角型のスクイズ容器であって、例えば熱可塑性樹脂を用いて射出成形や圧縮成形によって有底筒状のプリフォームを成形し、当該プリフォームをブロー成形によって容器形状に成形することによって製造される。
「熱可塑性樹脂」としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリ乳酸又はこれらの共重合体の熱可塑性ポリエステル等が用いられると良い。特に、ポリエチレンテレフタレートが用いられると好ましい。
また、スクイズ容器Bは、胴体部4が一対の長壁部4a側からスクイズされたときに容器本体1の容量が減少し、かつ、胴体部4が一対の短壁部4b側からスクイズされたときにも容器本体の容量が減少するように構成されており、いずれの方向から胴体部4をスクイズした場合であっても内容物を吐き出すことができる。
【0019】
スクイズ容器Bは、内容部を収容する容器本体1と、容器本体1の上端部に取り付けられ、容器本体1の上端部を封鎖する封鎖状態と、容器本体1の上端部を開放し、容器本体1から内容物を吐き出すための開放状態との間で切り替え可能な吐き出しキャップ10と、から主に構成されている。
【0020】
容器本体1は、その上端部に設けられ、内容物を吐き出すための開口部となる口部2と、口部2から連続して筒状に設けられ、口部2から離れるに従って傾斜しながら拡開している角錐台形状の肩部3と、肩部3から連続して筒状に設けられ、容器本体1の吐き出し方向(高さ方向)において断面扁平形状を有する胴体部4と、胴体部4から連続して設けられ、胴体部4から離れるに従って傾斜しながら狭まっており、容器本体1の封鎖部となる底部5と、から主に構成されている。
肩部3の高さ方向における中央部分と、肩部3及び胴体部4の境界部分と、胴体部4及び底部5の境界部分とには、それぞれ容器本体1の外周に沿って延出し、容器本体1の内部に向かって窪むように設けられた段差リブ6A、6B、6Cが形成されている。
また、肩部3、胴体部4及び底部5それぞれの四隅には、当該四隅が面取りされた面取り部7A、7B、7Cが形成されている。
なお、容器本体1は略全体として透明色を呈しているところ、口部2は、耐熱性を確保すべく結晶化処理がなされているために白色を呈している。
【0021】
胴体部4は、容器本体1の高さ方向に長尺な筒状体であって、所定の間隔を空けて互いに対向する位置に配置された一対の長壁部4aと、一対の長壁部4aを連結し、長壁部4aよりも幅狭となるように形成された一対の短壁部4bと、から主に構成されている。
一対の長壁部4aの外面には、容器本体1の内部に向かって窪むように設けられ、胴体部4がスクイズされたときに容器本体1の容量変化を調整するためのパネル凹部20がそれぞれ形成されている。
一対の短壁部4bは、容器本体1の高さ方向において上端部及び下端部からそれぞれ中央部に向かうに従って容器本体1の内部に窪むように円弧状のくびれ形状を有している。
【0022】
パネル凹部20は、略長方形状の凹部として形成されており、容器本体1の高さ方向に長尺となるように延びている。
パネル凹部20は、容器本体1の耐熱性及び剛性を確保する「減圧吸収パネル」としての機能のほか、胴体部4がスクイズされたときに容器本体1の容量変化を調整するための「容量変化調整パネル」としても機能する。
詳しく述べると、パネル凹部20は、胴体部4が一対の短壁部4b側からスクイズされた場合であっても、長壁部4aの反転を抑制又は防止するように機能する。
【0023】
パネル凹部20は、図3に示すように、縦断面略半楕円形状を有しており、長壁部4aの長さ方向におけるパネル凹部20の両端部(上端部20a及び下端部20a)から傾斜しながら窪んでおり、かつ、パネル凹部20の中央部が最も窪むように(深くなるように)形成されている。
また、パネル凹部20は、図4に示すように横断面略矩形状からなり、長壁部4aの幅方向におけるパネル凹部20の両端部(左端部20b及び右端部20b)から略垂直に(具体的には、70~90度の鋭角に又は垂直に)切り込みながら窪んでおり、かつ、パネル凹部20の底部が略平面状となるように形成されている。
上記構成において、特にパネル凹部20の左端部20b及び右端部20bが、長壁部4aに対して略垂直に切り込むように窪んでいることで、「容量変化調整パネル」としての機能が効果的に発揮される。具体的には、長壁部4aの反転がより生じ難くなり、長壁部4aを固着させることができる。
【0024】
パネル凹部20の幅方向の両端部には、パネル凹部20の長さ方向の両端部からそれぞれ中央部に向かうに従って内側に窪むように円弧状のくびれ部21が形成されている。
また、パネル凹部20の四隅には、当該四隅が丸められて面取りされた面取り部22が形成されている。
【0025】
なお、図5図6に示すように、パネル凹部20の外面には、容器本体1の内部に向かって突出する補強リブ23が形成されていても良い。
補強リブ23は、長壁部4aの長さ方向及び幅方向の中央部分に配置され、かつ、パネル凹部20の中央部分に配置された第1補強リブ23aと、第1補強リブ23aを中心として第1補強リブ23aから放射状に延びている複数の第2補強リブ23bと、から主に構成されている。
第1補強リブ23aは、略長方形状の凹部として形成されており、パネル凹部20の長さ方向に長尺となるように延びている。
第2補強リブ23bは、第1補強リブ23aからパネル凹部20の外縁まで放射状に延びており、具体的には、第1補強リブ23aの上端、下端、左右両端それぞれから複数に枝分かれして放射状に延びており、計12本のリブが形成されている。
【0026】
パネル凹部20に補強リブ23が形成されることで、パネル凹部20の剛性をより向上させることができる。すなわち、長壁部4a(パネル凹部20)の中央部分を集中して補強しているため、従来のスクイズ容器において発生していた「胴体部の長壁部がペコッと反転する現象」をより一層抑制できる。
なお、パネル凹部20に補強リブ23が形成されない場合と(図2)、補強リブ23が形成される場合(図6)で比較したとき、前者における「パネル深さ」とは、胴体部4(長壁部4a)に対するパネル凹部20の深さを意味し、後者における「パネル深さ」は、胴体部4に対する補強リブ23の深さを意味するものとする。
【0027】
<スクイズ容器の容量、寸法>
スクイズ容器Bは、「約100~1000mL」の容量を有する容器として用いられるところ、特に「約300~500mL」の容量を有する容器として用いられると好ましい。
ここで「約500mL」の容量とは、450~549mLの容量を含むものである。
上記容量を有するスクイズ容器Bであれば、胴体部4が一対の長壁部4a側からスクイズされた場合であっても、一対の短壁部4b側からスクイズされた場合であっても、胴体部4の反転が生じることなく、内容物を好適に吐き出すことが確認されている。
【0028】
胴体部4(長壁部4a)に対するパネル凹部20の「パネル深さD」は、2.0~4.0mmであって、好ましくは2.5~3.5mmであって、より好ましくは3.0~3.5mmであると良い。特に、約500mLの容量を有するスクイズ容器Bの場合には「パネル深さD」は、2.5~4.0mmであって、約300mLの容量を有するスクイズ容器Bの場合には「パネル深さD」は、2.0~3.2mmであると良い。
また、長壁部4aの幅方向におけるパネル凹部20の端部(左端部、右端部)において、長壁部4aに対する「パネル端部深さD1」は、1.0~3.0mmであって、かつ、パネル深さDと同じ又はパネル深さDよりも小さいと良い。好ましくは1.5~3.0mmであって、より好ましくは2.0~2.5mmであると良い。
また、長壁部4aの長さ方向におけるパネル凹部20の端部(上端部、下端部)において、長壁部4aに対する「パネル端部深さD2」は、0.5~1.5mmであって、かつ、パネル深さDよりも小さいと良い。好ましくは0.5~1.0mmであると良い。
【0029】
長壁部4aに対するパネル凹部20の外面の「パネル面積比率P1」は、50~80%であって、好ましくは60~80%であって、より好ましくは65~75%であると良い。
また、パネル凹部のパネル幅を前記パネル凹部のパネル長さで除した「パネル幅比率P2」は、30~60%であって、好ましくは35~50%であって、より好ましくは40~45%であると良い。
また、パネル深さDをパネル幅Wで除した「パネル深さ比率P3」は、5.0~11.7%であって、好ましくは5.4~10.8%であって、より好ましくは6.8~10.6%であると良い。
上記寸法を有するスクイズ容器Bであれば、一対の短壁部4b側からスクイズされた場合であっても内容物をより好適に吐き出す(内容物が飛び出すことがない)ことが確認されている。
また上記において、「パネル面積比率P1」が50%未満になると、パネル凹部20(減圧吸収パネル)の機能が劣り、容器本体1の剛性を確保できない(減圧吸収容量が不足する)ことが確認されている。一方で、「パネル面積比率P1」が80%超えになると、容器本体1の座屈強度を確保できないことが確認されている。
【0030】
スクイズ容器Bが「約500mL容量」の容器の場合には、パネル凹部20の「パネル長さL」は、70~90mmであって、好ましくは80~90mmであって、より好ましくは82.5~87.5mmであると良い。
パネル凹部20の「パネル幅W」は、30~50mmであって、好ましくは35~45mmであって、より好ましくは40~45mmであると良い。
このとき、胴体部4の長壁部4aの「長壁部長さL1」は、85~105mmであって、好ましくは95~105mmであって、より好ましくは97.5~102.5mmであると良い。また、「長壁部幅W1」は、70~90mmであって、好ましくは75~85mmであって、より好ましくは77.5~82.5mmであると良い。
また、短壁部4bの「短壁部幅W2」は、42~62mmであって、好ましくは47~57mmであって、より好ましくは52~57mmであると良い。
【0031】
スクイズ容器Bが「約300mL容量」の容器の場合には、パネル凹部20の「パネル長さL」は、60~80mmであって、好ましくは65~80mmであって、より好ましくは70~75mmであると良い。
パネル凹部20の「パネル幅W」は、25~45mmであって、好ましくは30~40mmであって、より好ましくは32.5~37.5mmであると良い。
このとき、胴体部4の長壁部4aの「長壁部長さL1」は、70~100mmであって、好ましくは75~95mmであって、より好ましくは80~90mmであると良い。また、「長壁部幅W1」は、55~80mmであって、好ましくは60~75mmであって、より好ましくは65~70mmであると良い。
また、短壁部4bの「短壁部幅W2」は、35~55mmであって、好ましくは40~50mmであって、より好ましくは42.5~47.5mmであると良い。
【0032】
なお、パネル凹部20に対する補強リブ23の「リブ深さD3」は、0.2~1.8mmであって、好ましくは0.5~1.5mmであると良い。
また、補強リブ23の「リブ幅W3」は、1.5~3.5mmであって、好ましくは2.0~3.0mmであると良い。
【0033】
上記のように容器本体1及びパネル凹部20の形状、寸法を最適化することで、より好適に内容物を吐き出すことが可能なスクイズ容器Bを実現することができる。
詳しく述べると、スクイズ容器Bをいずれの方向からスクイズした場合であっても胴体部4の反転を抑制、防止することができ、かつ、スクイズ容器Bの容量を好適に確保することができ、かつ、スクイズ容器Bの良好な成形性を確保することができる。
【0034】
<その他の実施形態>
上記実施形態において、図1に示すように、スクイズ容器Bは、耐熱性及び剛性を確保したスクイズ容器であるが、特に限定されることなく変更可能である。
例えば、耐熱性を有しないスクイズ容器であっても良い。
【0035】
上記実施形態において、図1に示すように、スクイズ容器Bは、容器本体1の上端部に取り付けられた吐き出しキャップ10を備えているが、特に限定されることなく、容器本体1(口部2)の形状によっては、必ずしも吐き出しキャップを備えていなくても良い。
【0036】
上記実施形態において、図1に示すように、スクイズ容器Bは、断面扁平形状(例えば扁平率60~80%)の胴体部4を備えた角型のスクイズ容器であるが、特に限定されることなく変更可能である。
例えば、断面略長方形状の胴体部を備えた角型のスクイズ容器であっても良い。
好ましくは、断面扁平形状(例えば扁平率50~90%)の胴体部を備えた角型のスクイズ容器であると好ましい。
【0037】
上記実施形態において、図1図2に示すように、パネル凹部20の形状は略長方形状であるが、特に限定されることなく変更可能である。
例えば、容器本体1の高さ方向に長尺な略楕円形状、略ひし形形状、その他の多角形状等のパネル凹部であっても良いし、略円形状、略正方形状のパネル凹部であっても良い。枠状のパネル凹部であっても良い。
【0038】
上記実施形態において、図1図2に示すように、パネル凹部20の外面には補強リブ23が形成されているところ、特に限定されることなく、補強リブ23を不要の構成にしても良い。
補強リブ23を不要の構成にした場合であっても、胴体部4が一対の長壁部4a側、一対の短壁部4b側からそれぞれスクイズされたときに、好適に内容物を吐き出すことが可能なスクイズ容器Bを実現することができる。
好ましくは、パネル凹部20の剛性をより向上させるため、パネル凹部20に補強リブ23が形成されていると良い。
【0039】
上記実施形態では、主として本発明に係るスクイズ容器に関して説明した。
ただし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【実施例
【0040】
以下、本発明におけるスクイズ容器Bの実施例について詳しく説明する。なお、本発明は本実施例に限定されるものではない。
【0041】
<実施例1>
第1実施例の形状は、図1図4に示すように、本実施形態のスクイズ容器Bと同形状であって、容量「約500mL」、長壁部長さL1「95~105mm」、長壁部幅W1「75~85mm」、短壁部幅W2「47~57mm」、パネル長さL「80~90mm」、パネル幅W「35~45mm」、パネル深さD「3.2mm」、パネル端部深さD1「2.1~2.3mm」、パネル面積比率P1「65~75%」となるように形成した。
なお、その他の寸法としては、一般的な角型スクイズ容器の範囲内で設定した。
【0042】
<実施例2>
第2実施例の形状は、本実施形態のスクイズ容器Bと同形状であって、容量「約300mL」、長壁部長さL1「85~90mm」、長壁部幅W1「65~70mm」、短壁部幅W2「40~50mm」、パネル長さL「65~75mm」、パネル幅W「30~40mm」、パネル深さD「3.2mm」、パネル端部深さD1「1.8~2.0mm」、パネル面積比率P1「65~75%」となるように形成した。
なお、その他の寸法としては、一般的な角型スクイズ容器の範囲内で設定した。
【0043】
<試験1:スクイズ性評価試験>
実施例1、2のスクイズ容器を用いて、スクイズ容器を一対の長壁部側からスクイズしたとき、一対の短壁部側からスクイズしたときのスクイズ性を評価する試験を以下の手順で行った。
【0044】
まず、今田製作所製の電動型プッシュプルスタンド(SV-5A-M)及びプッシュプルゲージ(ZTA-1000N)を用いて、スクイズ容器の胴体部に対し一定の速度(10mm/min)で押圧荷重(N)を加えたときの容器の変位量(mm)を測定し、容器変位量(mm)/押圧荷重(N)の関係を示すグラフを得た。
詳しく述べると、上記プッシュプルスタンド上に固定した下方パイプ(直径18mm)と、上記プッシュプルゲージに固定した上方パイプ(直径18mm)の上下方向の間にスクイズ容器を横置きした状態で挟み込み、上方パイプを一定の速度で下方移動させることでスクイズ容器の胴体部に対し所定の押圧荷重を加えた。
なお、スクイズ容器の胴体部がヒトの指でスクイズされる(押圧される)状況を想定して行った。
【0045】
また、ミツトヨ社製のデジタルノギス(CD-15CX)及びAND(エーアンドディー)社製の重量計(GX-6100)を用いて、スクイズ容器の胴体部の幅(mm)を予め測定しておき、当該スクイズ容器内に水を満注充填させた後に上記ノギスで胴体部を1mm間隔で挟み込んでいき、水が溢れ出た後のスクイズ容器の体積変位量(mL)を測定した。当該測定結果から、容器体積変位量(mL)/容器変位量(mm)の関係を示すグラフを得た。
なお、水温での比重換算からスクイズ容器の体積(mL)を算出した。
【0046】
上記「容器変位量(mm)/押圧荷重(N)」のグラフと、上記「容器体積変位量(mL)/容器変位量(mm)」のグラフとから、容器変位量(mm)を共通項として換算し、容器体積変位量(mL)/押圧荷重(N)の関係を示すグラフを作成した。
ここで「容器体積変位量(mL)」とは、スクイズ容器の体積が減少する量(mL)を示すものとした。すなわち、容器体積変位量が5mLである場合には、スクイズ容器の体積が5mL減少していることを示すものとし、-5mLである場合には、スクイズ容器の体積が5mL増加していることを示すものとした。
【0047】
試験1の試験結果を図7図8に示す(n=3)。
図7は、実施例1のスクイズ容器において、その胴体部を一対の長壁部側から、一対の短壁部側からそれぞれスクイズしたときの「容器体積変位量(mL)/押圧荷重(N)」の関係を示すグラフである。
また、図8は、実施例2のスクイズ容器においての「容器体積変位量(mL)/押圧荷重(N)」の関係を示すグラフである。
なお、図7図8には、比較対象として従来の断面扁平形状の角型スクイズ容器における試験結果についても示した。
【0048】
図7図8の試験結果から、実施例1、2のスクイズ容器が一対の長壁部側からスクイズされたときに容器本体の容量が減少することが分かった。また、一対の長壁部側からスクイズされたときの押圧荷重が大きくなるに従って容量が連続して減少していくことが分かった。
また、実施例1、2のスクイズ容器が一対の短壁部側からスクイズされたときにも容器本体の容量が減少することが分かった。また、一対の短壁部側からスクイズされたときの押圧荷重が所定値未満であるときには容量が略変化せず、かつ、押圧荷重が所定値以上から大きくなるに従って容量が減少していくことが分かった。
詳しく述べると、一対の短壁部側からスクイズされたときの押圧荷重が25N未満であるときには容量が±3mL以内(より具体的には、±2.5mL以内)の範囲で変化し、かつ、押圧荷重が25N以上から大きくなるに従って、一対の長壁部側からスクイズされたときよりも緩やかに容量が連続して減少していくことが分かった。
上記の通り、実施例1、2のスクイズ容器が一対の長壁部側からだけでなく、一対の短壁部側からスクイズされた場合であっても容器本体の容量が減少していくことから、内容物を容器本体から好適に吐き出すことが可能であることが示された。
【0049】
一方で、従来のスクイズ容器が一対の短壁部側からスクイズされた場合には、空気を吸い込むことで容器本体の容量が増加してしまうことが分かった。また、スクイズされたときの押圧荷重が所定値を超えたあたりで一対の長壁部が反転してしまい、大きく空気を吸い込んで容量が急激に増加してしまうことが分かった。
また、スクイズされたときの押圧荷重が所定値未満のときに、スクイズを緩めた瞬間に容器本体が収縮し、容量が急激に減少してしまうことが分かった。
詳しく述べると、実施例1(容量「約500mL」)の場合には、上記押圧荷重が30Nを超えたあたりで一対の長壁部が反転してしまい、実施例2(容量「約300mL」)の場合には、上記押圧荷重が15Nを超えたあたりで一対の長壁部が反転してしまうことが分かった。
上記のことから、従来のスクイズ容器が一対の短壁部側からスクイズされた場合には、容器本体の容量が増加してしまい、内容物を容器本体から吐き出すことができないこと、また、スクイズを緩めた瞬間に容器本体が収縮し、内容物が容器本体から突然飛び出してしまうことが示された。
【0050】
<試験2:スクイズ性評価試験2>
次に、「パネル深さD」が異なる実施例1、2のスクイズ容器を用いて、スクイズ容器を一対の短壁部側からスクイズしたときのスクイズ性を評価する試験を行った(試験1と同じ手順で行った)。また、それぞれのスクイズ容器に対し、容量性(容量が十分に確保されていること)、成形性(成形が良好であること)の評価を合わせて行った。
なお、スクイズ性、容量性、成形性について下記の判断基準に従って判定した。
「スクイズ性」
〇:容器本体の容量が連続的に減少していき、長壁部が反転しない
△:容器本体の容量が減少していき、長壁部が反転しない
×:容器本体の容量が増加していく、あるいは長壁部が反転する
「容量性」
〇:容量が好適に確保される
△:容量が確保される
×:容量が不足する、あるいは過剰となってしまう
「成形性」
〇:成形が良好である
△:成形することができる
×:成形不良が生じる
【0051】
試験2の試験結果を図9図10に示す(n=3)。
図9の試験結果から、「パネル深さD」が2.0~4.0mmであるときに、実施例1が一対の短壁部側からスクイズされると容器本体の容量が減少していき、一対の長壁部が反転しないことが分かった。また、「パネル深さD」が2.5~4.0mmであるときに、容器本体の容量が連続的に減少していき、一対の長壁部が反転しないことが分かった。
また、「パネル深さD」が2.0~4.0mmであるときに、実施例1のスクイズ性に加えて容量性、成形性が良好であることが分かった。
一方で、「パネル深さD」が1.5mm以下になると、実施例1が一対の短壁部側からスクイズされたときに、容器本体の容量が増加してしまい(容器本体が膨れてしまい)、あるいは長壁部が反転してしまうことが分かった。また、「パネル深さD」が1.0mm以下になると、容器本体の容量が過剰になってしまうことが分かった。さらに、「パネル深さD」が4.5mm以上になると、スクイズ性は良好であるものの、容器本体の容量が不足してしまい、かつ、容器本体の成形不良が生じてしまうことが分かった。
【0052】
図10の試験結果から、「パネル深さD」が1.5~4.0mmであるときに、実施例2が一対の短壁部側からスクイズされると容器本体の容量が減少していき、一対の長壁部が反転しないことが分かった。また、「パネル深さD」が2.0~4.0mmであるときに、容器本体の容量が連続的に減少していき、一対の長壁部が反転しないことが分かった。
また、「パネル深さD」が2.0~4.0mmであるときに、実施例2のスクイズ性に加えて容量性、成形性が良好であることが分かった。
一方で、「パネル深さD」が1.0mm以下になると、実施例2が一対の短壁部側からスクイズされたときに、容器本体の容量が増加してしまい(容器本体が膨れてしまい)、あるいは長壁部が反転してしまうことが分かった。また、「パネル深さD」が0.5mm以下になると、容器本体の容量が過剰になってしまうことが分かった。さらに、「パネル深さD」が4.5mm以上になると、スクイズ性に劣ってしまい、容器本体の容量が不足してしまい、かつ、容器本体の成形不良が生じてしまうことが分かった。
【符号の説明】
【0053】
B スクイズ容器
1 容器本体
2 口部
3 肩部
4 胴体部
4a 長壁部
4b 短壁部
5 底部
6A、6B、6C 段差リブ
7A、7B、7C 面取り部
10 吐き出しキャップ
20 パネル凹部
20a 上端部、下端部
20b 左端部、右端部
21 くびれ部
22 面取り部
23 補強リブ
23a 第1補強リブ
23b 第2補強リブ
L パネル長さ
L1 長壁部長さ
W パネル幅
W1 長壁部幅
W2 短壁部幅
W3 リブ幅
D パネル深さ
D1、D2 パネル端部深さ
D3 リブ深さ
P1 パネル面積比率
P2 パネル幅比率
P3 パネル深さ比率
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10