(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】就職希望者の採用・就活の支援方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/1053 20230101AFI20240209BHJP
【FI】
G06Q10/1053
(21)【出願番号】P 2020049372
(22)【出願日】2020-03-19
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】519430158
【氏名又は名称】株式会社Harmony For
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【氏名又は名称】太田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】塚本 将弘
(72)【発明者】
【氏名】鷲見 陽介
(72)【発明者】
【氏名】中田 優樹
【審査官】岡北 有平
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-4048(JP,A)
【文献】特開2013-41417(JP,A)
【文献】特開2017-117375(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを用いた情報処理による就職希望者の採用・就活の支援方法であって、
求人企業の求人データを集めた求人データベース構築ステップ、
就職を希望する者の求職希望データを集めた求職データベース構築ステップ、
前記求人データベースと、前記求職データベースとにおける職種、事業の種類及び業務を行う国をキーにして相互マッチング検索を行い、前記就職を希望する者に対して受け入れの可能性のある前記求人企業を選別する一次マッチングステップ、
前記一次マッチングステップで得た前記求人企業の前記求人データから、以下の項目を含む自己PRアンケートを作成し、前記就職を希望する者に前記自己PRアンケートへの回答を得てアンケート情報を求めるアンケート調査ステップ、
前記就職を希望する者の前記求職希望データ及び前記アンケート調査ステップで得た自己PR情報を含む履歴書を受け入れの可能性のある前記求人企業に提供し、就職試験を行う可能性を問う二次マッチングステップ、
の前記各ステップを電子計算機により実行する就職希望者の採用・就活の支援方法であって、
前記アンケート調査ステップは自己PRアンケート作成ステップをさらに含み、前記自己PRアンケート作成ステップでは、
1)自己が持つスキルの内容及びそのスキルが活用できる理由、
2)企業が求める職種を特定して、その職種において前記自己が活躍できると考える内容及びその理由、
3)企業が求める就業国を特定して、その国において前記自己が活躍できると考える内容及びその理由、
の前記各項目の回答を求める質問または記述を促す指示を含む前記自己PRアンケートの作成を、前記コンピュータにより行う、就職希望者の採用・就活の支援方法。
【請求項2】
さらに、前記二次マッチングステップで得た受け入れの可能性のある前記求人企業に対して就職試験内容・面接試験内容に関する職種別求人情報を求める就職試験情報入手ステップ、
受け入れの可能性のある前記求人企業が提供した前記職種別求人情報をもとに、前記就職を希望する者に受け入れの可能性のある前記求人企業の前記試験内容に関する就職試験必修情報を提供する就職試験必修情報提供ステップ、を備えた請求項1に記載の就職希望者の採用・就活の支援方法。
【請求項3】
前記一次マッチングステップにおいて、前記自己PRアンケートを作成する際に、人工知能またはディープラーニングを使用してマッチング検索項目を選択しマッチングを行う、請求項1または請求項2に記載の就職希望者の採用・就活の支援方法。
【請求項4】
前記自己PRアンケート作成ステップにおいて、前記自己PRアンケートを作成する際に、人工知能またはディープラーニングを使用する、請求項1または請求項2に記載の就職希望者の採用・就活の支援方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の就職希望者の採用・就活の支援方法を前記コンピュータに実行させるためのプログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の就職希望者の採用・就活の支援方法を前記コンピュータが実行する、人材紹介方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、就職希望者(学生等特に外国人学生、また中途採用を希望する外国人等)の採用・就活の支援方法に関し、語学力等の問題で就職希望者の能力や就職後の就業に関する希望が、採用を希望する企業側にうまく伝わらないことに起因する問題を改善した、就職希望者の採用・就活の支援方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
新卒者学生や再就職者の求人をする求人企業側のクライアントと、就職を希望する求職者側のクライアントとの間で就職に関する情報をマッチングさせ、インターネットを介して就職を仲介する採用・就活の支援システムは多数存在する。これらのシステムでは、就職試験や面接試験を行う前に仲介者等を介して、求人企業側がアンケート調査を行い、入力された求職者側の情報をもとにして求人企業側がスクリーニング等を行って、就職希望者の第一次選別を行っている(特許文献1参照)。
【0003】
ここで問題とするのは、近年必要性が高まっている外国人留学生の就職である。求人側の企業は、採用を担当する本社が存在する国の公用語を基本にしてアンケート調査を行うが、当該国の公用語以外の言語を母国語とする外国人留学生にとっては、語学力のハンデが就職の成否に大きく影響する。一次選抜等のアンケート調査では語学力の差だけでなく、自己アピール能力が足りないことが一般的な傾向となり、就職希望者のスキルや意欲が、求人側の企業にうまく伝わらず、マッチングがうまく行かないということが問題となる。国語能力だけでなく、企業側がどのような人材を求めているのかが外国人留学生には分かりにくく、企業側も、どのようにアンケート調査をしてよいのかがわからないので、適切なアンケート調査ができないことも、外国人留学生等の選考に大きく影響している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載するようなスキル情報の単なるデータ交換や検索、アクセスによる仲介では、外国人留学生等及び外国人等を求人している企業の双方にとって、相互の希望や将来の配置計画にミスマッチングが生じ、特に外国人の就職採用が伸びないという問題があった。
【0006】
本発明は、特に外国人留学生等の就職希望者に対して、語学力等や自己PR力のハンデを取り除き、求人を行う企業に求める能力・スキルを引き出し、就活と採用のマッチングを高めることが可能な、就職希望者の採用・就活の支援方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の就職希望者の採用・就活の支援方法は、求人企業の求人データを集めた求人データベース構築ステップ、就職を希望する者の求職希望データを集めた求職データベース構築ステップ、前記求人データベースと、前記求職データベースとを相互マッチングして前記就職を希望する者に対して受け入れの可能性のある前記求人企業を選別する一次マッチングステップ前記一次マッチングステップで得た前記求人企業の前記求人データから、以下の項目を含む自己PRアンケートを作成し、前記就職を希望する者に前記自己PRアンケートに回答することで得られるアンケート情報を求めるアンケート調査ステップ、前記就職を希望する者の前記求職希望データ及び前記アンケート調査ステップで得た自己PR情報を含む履歴書を受け入れの可能性のある前記求人企業に提供し、就職試験を行う可能性を問う二次マッチングステップ、の前記各ステップを電子計算機により実行する就職希望者の採用・就活の支援方法であって、前記アンケート調査ステップで使用する自己PRアンケートでは、
1)自己が持つスキルの内容及びそのスキルが活用できる理由、
2)企業が求める職種を特定して、その職種において前記自己が活躍できると考える内容及びその理由、
3)企業が求める就業国を特定して、その国において前記自己が活躍できると考える内容及びその理由、
の前記各項目の回答を求める前記自己PRアンケートを作成するものである。
【0008】
さらに、就職希望者の採用・就活の支援方法であって、前記二次マッチングステップで得た受け入れの可能性のある前記求人企業に対して就職試験内容・面接試験内容に関する職種別求人情報を求める就職試験情報入手ステップ、受け入れの可能性のある前記求人企業が提供した前記職種別求人情報をもとに、前記就職を希望する者に受け入れの可能性のある前記求人企業の前記試験内容に関する就職試験必修情報を提供する就職試験必修情報提供ステップ、を備えても良い。
【0009】
さらに、前記一次マッチングステップにおいて、前記自己PRアンケートを作成する際に、人工知能またはディープラーニングを使用してマッチング検索項目を選択しマッチングを行う方法、あるいは、前記各データベースの構築では、過去に保有する実績データをビッグデータとして構築したものを更に付加して用いることが有力である。本発明の就職希望者の採用・就活の支援方法では、前記一次マッチングステップで得た前記求人企業の前記求人データから、前記自己PRアンケートを作成するステップにおいて、人工知能やディープラーニング、機械翻訳を使用することが有力である。
【0010】
前記就職希望者の採用・就活の支援方法を前記コンピュータに実行させるためのプログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体、あるいは、前記就職希望者の採用・就活の支援方法を前記コンピュータが実行する、人材紹介方法も、上記課題を解決するための本願発明に含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、語学力や自己PRの上手下手に影響されにくく、企業の要望に沿った就職活動が支援され、特に外国人留学生や再就職を希望する外国人が企業に就職する就職率の向上に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施の形態における就職希望者の採用・就活の支援方法を電子計算機により実施するステップのフローチャート図
【
図2】本実施の形態における自己PRアンケートの一部を示す部分図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施の形態による就職希望者の採用・就活の支援方法を
図1、2を用いて説明する。本発明の就職希望者の採用・就活の支援方法は、主にコンピュータ・電子計算機、クラウドコンピュータシステム(以下コンピュータと記す。)により行う。その際の必要な作業は、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録された就職希望者の採用・就活の支援方法を実行するプログラムをPCが実行することにより行う(作業者により手で入力される手順(ステップ)を含む。)。
【0014】
以下就職希望者の採用・就活の支援方法の各ステップ(手順)を説明する。まず、求人企業の求人データを集めた求人データベース構築ステップ1からスタートする。求人企業より求人票へのインプット(入力)が行われ、会社名、求人数、求人職種、勤務地、給料、就業時間、休日、学部、関連する国、(外国人)留学生採用理由、求める人物像(幹部候補・マネージャー・海外子会社責任者)、などのデータを収集し、求人データベース2の構築を行う。一般的にはインターネットを介して企業側が入力することでデータを集めてデータベースの構築をするが、仲介会社が、求人企業にインタビューしてデータ入手しコンピュータに入力しても良い。
【0015】
次に、就職を希望する者の求職希望データを集めた求職データベース構築ステップ3、が実行される。就職を希望する者の求職希望データは、仲介会社が求職データ記入票等を作成し、就職希望者(本実施の形態では外国人留学生Xを例にして説明する。)が必要なデータをコンピュータに入力し、インターネット等を介して仲介会社がこれを集めて求職希望データベース4を構築する。求職データ記入票には、就職希望会社業務(会社名等も記入可)、職種、勤務地、就業希望時間、休日希望、自己の学部・学科、学位、卒論テーマ、出身国、日本企業への就業希望理由、将来の求める地位(幹部候補・マネージャー・海外子会社責任者)、将来の希望キャリアパス(ずっと日本にいたい・数年後母国に帰りたい・長期間日本で働いてから母国に帰りたい、等)、コミュニケーション能力(日本語・英語・その他など)、保有資格、などのデータの記入が求められ、入力される。仲介会社が、就職希望の留学生にインタビューしてデータを入手しコンピュータに入力しても良い。なお、コミュニケーション能力について日本語に関しては、日本語検定(JLPT)を使用するが、これに限られるものではない。また、日本語に関しては、特に仕事で必要とされる日本語の能力である、ビジネスメールや電話による会話能力を重視する。
【0016】
次に、求人データベース2と、求職希望データベース4とを相互マッチングして、就職を希望する者に対して受け入れの可能性のある求人企業を選別する一次マッチングステップ5、を実行する。この一次マッチングステップ5での特徴は、企業側が重視している、仕事で必要とされる日本語の能力(特にコミュニケーション能力)について日本語の伸び率予想を、個々の就職希望の留学生に対して仲介会社側で計算し求職希望データベース4に「日本語の伸び率予想」として追記する点である。一次マッチングステップ5では、求人データベース2における求人企業が求める就職希望の留学生の日本語の能力に対して、就職希望の留学生の過去の語学能力に加えて、個別計算した「日本語の伸び率予想」を追加した求職データベース4を使用して、相互マッチングして就職を希望する者に対して受け入れの可能性のある求人企業のマッチングを行う。
【0017】
「日本語の伸び率予想」の計算は、求職者(就職希望の留学生)の国籍(漢字圏かどうか)、日本語学習期間、方法、学力(主に学歴)などをもとに過去の事例から、求職データベース4構築時から入社までと入社後の日本語能力を予想するシステムであり、過去の多くの事例をもとにAI技術(ディープラーニングなど)を活用して行うものである。あくまで平均的数値であり予想値ではあるが、日本に来てから日にちが浅い者が過去の学習履歴だけをもとにした判定では、ビジネスなどで求められる日本語やコミュニケーション能力を身につけられておらず、面接では低く評価されて落とされてしまう外国人求職者が多いのに対し、「日本語の伸び率予想」を加味することで効果を有する。入社までの学習や入社後に日本語に多く触れることで、どれくらい日本語能力が伸びるかを過去の事例を踏まえ具体的に企業に示すことで、採用につなげることができる。
【0018】
また、一次マッチングステップ5においても、過去の多くの事例をもとにAI技術(ディープラーニングなど)を活用してどのような項目をキーにしてマッチングを行うかを決定する。なお、さらに一次マッチングステップ5で行うマッチングの項目(キー項目)はシステム側で候補キーを示して、求職者(就職希望の留学生)側が手動でマッチングを行うこともできるようにすることで、一次マッチングの柔軟性を高めている。このようにシステム側と個人の個別検索マッチングの両方を合わせて行う(もちろんシステムによるマッチングのみでも機能する)と、マッチ度の高い就活の支援を行うことができ、企業への応募率が大きく向上する。
【0019】
一次マッチングステップ5においてマッチングに使用されるキー項目の具体例としては、職種・勤務地、給料、就業時間、休日、学部、関連する国、(外国人)留学生採用理由、求める人物像(幹部候補・マネージャー・海外子会社責任者)、コミュニケーション能力(日本語・英語・その他など)、保有資格、「日本語の伸び率予想」、設計技術(CADを含む)、技術開発、製品開発、金型設計・製造、基礎研究など新しい技術の開発、図面をもとにした金型作成、試作品の製作、量産化技術・マネージメント、メンテナンス、苦情処理、営業である。ただし、キー項目は上記に限られない。
【0020】
一次マッチングステップ5を実行した結果は、就職を希望する者に対して、受け入れの可能性のある求人企業(複数可)のリストRとして報告される。この段階では、受け入れの可能性のある求人企業の実名を公表しても良いが、公表せずにA社、B社、C社等で表示しても良い(適宜選択可能)。また、求人企業が希望する職種・勤務地、給料、就業時間、休日、学部、関連する国、(外国人)留学生採用理由、求める人物像(幹部候補・マネージャー・海外子会社責任者)、さらには、必要な範囲で求人企業が特に希望する(重要視する)項目として、コミュニケーション能力(日本語・英語・その他など)、保有資格、「日本語の伸び率予想」、設計技術(CADを含む)、技術開発、製品開発、金型設計・製造、基礎研究など新しい技術の開発、図面をもとにした金型作成、試作品の製作、量産化技術・マネージメント、メンテナンス、苦情処理、営業などの求人データ項目が、会社名と併せて就職を希望する者に対して報告され・開示される。
【0021】
一次マッチングステップ5の結果により、得られた報告を受けた就職を希望する者は、報告内容を検討し就職を希望する会社を選択する(複数会社選択可)。就職を希望する会社が選択され、仲介会社に回答がされると、仲介会社は、求人企業の求人データから、以下の項目を含む自己PRアンケート6(記入票)を作成する。これが、自己PRアンケート作成ステップ7である。なお、自己PRアンケート作成ステップ7は、アンケート調査ステップ8に含まれる重要ステップである。自己PRアンケート6の作成は、一次マッチングステップ5の結果により得られたた報告をもとに、就職を希望する者が選んだ求人企業毎(複数可)に、就職を希望する者(外国人留学生X)に対して個別に作成される。会社毎に個別に作成された自己PRアンケート6は、就職を希望する者(外国人留学生X)に送付され回答を求める(アンケート情報の獲得)。このようにして自己PRアンケート6に回答することで得られるアンケート情報を求めるアンケート調査ステップ8が実行される。
【0022】
アンケート調査ステップ8で使用する自己PRアンケート6では、以下の内容が具体的に記入されるよう、質問形式の以下の項目が作成される。
1)自己が持つスキルの内容及びそのスキルが活用できる理由
2)企業が求める職種を特定して、その職種において自己が活躍できると考える内容及びその理由
3)企業が求める就業国を特定して、その国において自己が活躍できると考える内容及びその理由
4)企業が求める就業国において自己が考えるキャリアパスのステップ
5)日本語と英語の就職時の想定される語学力(特にコミュニケーション能力(ビジネスメールや電話による会話能力等))のレベル
【0023】
本実施の形態では、就職を希望する者の就職活動と採用企業の採用とのマッチングを高めるため、以下に説明するような特徴あるアンケート調査ステップ8を実行する。これは語学力等や自己PR力不足を補うための有効なステップである。一般に行うアンケート調査や、自己PRシートでは、単に記入に必要な項目がタイトルで示されているのみである。外国人留学生Xにとっては、日本語の能力にハンデがあり、また一般的にも(日本人でも)、自己の有するスキルがどのように求人を行う企業の求める能力・スキルにマッチングしているかをアピールするだけの国語力や自己表現力を有していない場合が多い。このため、本実施の形態ではこれを改善し、自己PRに必要と思われる内容が具体的に記入できるように、重要な部分が具体的な質問形式で作成されて、上述した核項目が作成される。
【0024】
一次マッチングステップ5の結果は、マッチングした就職を希望する者(外国人留学生X)に報告されるとともに、就職を希望する者とのマッチングが成立した当該求人企業にも報告される(この段階では当該求人企業側からのリアクションは求めなくて良い。)。仲介会社は、一次マッチングステップ5の結果いかんにかかわらず、求人データ記入票に内容を記入して求人データを提出した求人企業に、あらかじめ職種別求人票の記入・提出を要請しておく。就職を希望する者とのマッチングが成立した当該求人企業には、マッチング結果と、就職を希望する者の情報が報告される。当該求人企業側からあらかじめ要請があれば、この段階で再度職種別求人票の記入・提出を要請し、リアクションを求めるステップも選択可能である。このようにして、あらかじめ仲介会社は、求人データを提出した求人企業に、職種別求人票の記入・提出を要請して、職種別求人データを取得する。これが職種別求人データ取得ステップ9である。
【0025】
アンケート調査ステップ8で使用する自己PRアンケート作成ステップ7では、求人企業の回答から得た職種別求人データをもとに、特に企業が求める具体的な職種及び外国人留学生Xに求めるキャリアパスを質問形式に変換する作業を行なう。これは、AI技術を活用して行なうが、個別に作業者が手入力で作業することも可能である。具体的には、企業が求める具体的な職種を提示・特定し(複数可)て、その職種において「自己が活躍できると考える内容及びその理由」の回答を求める項目を、自己PRアンケート6の中に入れ込む。また、さらに企業が求める具体的な職種に対して「自己が持つスキルの内容及びそのスキルが活用できる理由」の回答を求める項目及び、企業が求める就業国を特定して、「その国において自己が活躍できると考える内容及びその理由」を回答するよう求める項目を、自己PRアンケート6の中に入れ込む。
【0026】
また、就職を求める外国人留学生Xに対して、「企業が求める就業国において自己が考えるキャリアパスのステップ」の回答を求める項目を、自己PRアンケート6の中に入れ込む。具体的には、希望キャリアパス(ずっと日本にいたい・数年後母国に帰りたい・長期間日本で働いてから母国に帰りたい、等)、の記入を必修とする。企業側は永続的な日本での就業等を求めることが多いので、外国人留学生Xの多くは、実際の面接試験等ではこれを忖度し、本当の自己の希望キャリアパスを正直に回答しない傾向があり、就職マッチングのネックになることが多い。「企業が求める就業国において自己が考えるキャリアパスのステップ」の回答を求めることで、企業側により正確な情報が伝わり、就職でのミスマッチを防ぐ効果がある。
【0027】
あらかじめ、企業が求める具体的な職種及び外国人留学生Xに求めるキャリアパス、求められる日本語と英語の就職時の想定される語学力のレベル等の情報が、職種別求人データや求人データ記入表から得られているので、仲介会社が、外国人留学生Xが、これらの項目に具体的に回答できるように誘導するよう、質問項目を作成することは、当業者にとっては容易に可能である。前述したデータベースの構築の際に、過去に保有する実績データをビッグデータとして付加して用いることと合わせて、過去の実績を含むビッグデータを用い、またAI技術やディープラーニングを用いることで、自己PRアンケート作成ステップ7を含むアンケート調査ステップ8が、実行される。
【0028】
次に、仲介会社は、就職を希望する者からの就職希望の意思、就職を希望する者の求職希望データ及びアンケート調査ステップ8により得られた自己PR情報(自己PRアンケート6の回答内容を含み回答内容が編集されても良い。)を含む履歴書(なお履歴書というタイトルがなくても本人の自己PRの記述が入ったものをここでは履歴書と呼ぶことにする。)、就職受け入れの可能性のある求人企業に提供し、就職試験を行うか否かの可能性を問う二次マッチングステップ10、が実行される。履歴書は、就職を希望する者(外国人留学生X等)が作成するのが基本だが、本実施の形態の方法では、すでに就職を希望する者が入力した求職希望データ及びアンケート調査ステップ8により得られた自己PR情報(自己PRアンケート6の回答内容)をもとに、仲介会社が編集し、添削するか、あるいは全体を完成する(「履歴書」のタイトルにはこだわらない。)。二次マッチングステップ10の結果、受け入れの可能性のある求人企業に対して就職希望者の採用試験が行われ、採否が決定され就職仲介業務が終了する。
【0029】
就職希望者の採用試験の成功率を高めるため、仲介会社は、さらに採用試験内容・面接試験内容に関する情報提供を就職を希望する者に行う。まず、二次マッチングステップ10の結果、マッチングが成立した試験受け入れの求人企業に対して、就職試験内容・面接試験内容・条件に関する就職試験情報の提供を求める、就職試験情報入手ステップ11、を実行する。次に、求人企業が提供した就職試験情報を編集し、就職を希望する者(就職試験受験者(外国人留学生X))に、求人企業の試験内容に関する就職試験必修情報として提供する、就職試験必修情報提供ステップ12、を実行する。外国人留学生Xにとっては、就職試験に臨む時の服装(スーツ姿か、私服か)や、外国人留学生X(外国人)を採用したい理由、婚姻関係、交際している人の有無を正直に伝えるか否か、など情報交換ができないまま、対応できず、試験自体を欠席するケースも見られる。このような本人の能力・スキルに関係のない問題で就職が成立しないケースを防止するため、就職試験内容・面接試験内容・条件に関する就職試験情報の提供を求人企業に求め、求人企業が提供した就職試験情報を編集し、就職を希望する者(就職試験受験者)に、求人企業の試験内容に関する就職試験必修情報として提供することで、就職試験の障害が取り除かれることになる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明方法によれば、語学力や自己PRの上手下手に影響されにくく、企業の要望に沿った就職活動が支援され、特に外国人留学生や外国人の再就職等で、日本の外国人の就職率の向上が図れる。
【符号の説明】
【0031】
1 求人データベース構築ステップ
2 求人データベース
3 求職データベース構築ステップ
4 求職希望データベース
5 一次マッチングステップ
6 自己PRアンケート
7 自己PRアンケート作成ステップ
8 アンケート調査ステップ
10 二次マッチングステップ
11 就職試験情報入手ステップ
12 就職試験必修情報提供ステップ