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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】一軸偏心ねじポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04C 15/00 20060101AFI20240209BHJP
   F04C 2/10 20060101ALI20240209BHJP
   F04C 2/107 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
F04C15/00 E
F04C2/10 341Z
F04C2/107
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020065595
(22)【出願日】2020-04-01
(65)【公開番号】P2021038740
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2023-02-01
(31)【優先権主張番号】P 2019156945
(32)【優先日】2019-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000239758
【氏名又は名称】兵神装備株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】須原 伸久
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-507347(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0257308(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0003174(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 15/00
F04C 2/10
F04C 2/107
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄ねじ型の軸体からなるロータと、
前記ロータが挿通される雌ねじ型の貫通孔を有するステータと、
前記ステータの一端側に接続されるケーシングと、
前記ステータの他端側に接続されるエンドスタッドと、
前記ステータの前記ロータに対する軸方向の相対位置を調節する位置調節部材と、
を備え
前記位置調節部材は、前記ステータと前記ケーシングの間、及び、前記ステータと前記エンドスタッドの間の両方に着脱可能である、一軸偏心ねじポンプ。
【請求項2】
前記ロータに駆動源からの動力を伝達するジョイント部を備え、
前記位置調節部材は、前記ロータ、前記ステータ、前記ケーシング及び前記ジョイント部のうち、少なくともいずれか1つの端部、又は、途中に、着脱可能に設けられている、請求項1に記載の一軸偏心ねじポンプ。
【請求項3】
前記位置調節部材は、前記ステータと前記ケーシングの間、又は、前記ステータと前記エンドスタッドの間の少なくともいずれか一方に着脱可能である、請求項1又は2に記載の一軸偏心ねじポンプ。
【請求項4】
前記位置調節部材は、前記ロータの自由端、途中又は基部に着脱可能に設けられている、請求項1又は2に記載の一軸偏心ねじポンプ。
【請求項5】
前記位置調節部材は、前記ジョイント部の端部又は途中に着脱可能に設けられている、請求項2に記載の一軸偏心ねじポンプ。
【請求項6】
前記位置調節部材を複数備える、請求項1からのいずれか1項に記載の一軸偏心ねじポンプ。
【請求項7】
前記位置調節部材の軸方向の長さは同一である、請求項に記載の一軸偏心ねじポンプ。
【請求項8】
前記ロータの偏心量が軸方向に変化する、請求項1からのいずれか1項に記載の一軸偏心ねじポンプ。
【請求項9】
前記ロータの外径、又は、前記ステータの貫通孔の内径の少なくともいずれか一方は軸方向に変化する、請求項1からのいずれか1項に記載の一軸偏心ねじポンプ。
【請求項10】
雄ねじ型の軸体からなるロータと、
前記ロータが挿通される雌ねじ型の貫通孔を有するステータと、
前記ステータの一端側に接続されるケーシングと、
前記ステータの他端側に接続されるエンドスタッドと、
前記ステータの前記ロータに対する軸方向の相対位置を調節する位置調節部材と、
を備え、
前記ロータの外径が軸方向に向かって減少するとともに、
前記ステータの貫通孔の内径が、前記ロータの外径の変化に対応して減少し、
前記ロータの偏心量が、軸方向に変化し、前記ロータの大径側から小径側に向かうに従って増大している、一軸偏心ねじポンプ。
【請求項11】
前記ステータに前記ロータを挿通することにより、前記ロータと前記ステータとの間に形成される複数のキャビティの容積は等しい、請求項10に記載の一軸偏心ねじポンプ。
【請求項12】
雄ねじ型の軸体からなるロータと、
前記ロータが挿通される雌ねじ型の貫通孔を有するステータと、
前記ステータの一端側に接続されるケーシングと、
前記ステータの他端側に接続されるエンドスタッドと、
前記ステータの前記ロータに対する軸方向の相対位置を調節する位置調節部材と、
を備え、
前記位置調節部材は中空円筒状であり、その内周面が、前記ステータの貫通孔の内周面と同一又は類似の雌ねじ型に形成されている、一軸偏心ねじポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一軸偏心ねじポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、螺旋状に形成され、一端から他端に向かって円錐状となったロータと、このロータが挿通される貫通孔を形成されたステータとを備えた一軸偏心ねじポンプが公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、前記従来の一軸偏心ねじポンプでは、ステータとロータの間で軸方向の相対的な位置関係を調節するための機構については十分には検討されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第9109595号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ステータとロータの軸方向の相対的な位置関係を自由に設定することができる一軸偏心ねじポンプを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、雄ねじ型の軸体からなるロータと、前記ロータが挿通される雌ねじ型の貫通孔を有するステータと、前記ステータの一端側に接続されるケーシングと、前記ステータの他端側に接続されるエンドスタッドと、前記ステータの前記ロータに対する軸方向の相対位置を調節する位置調節部材とを備える一軸偏心ねじポンプを提供する。
【0007】
この構成によれば、位置調節部材によりロータに対するステータの軸方向の相対的な位置関係を調節することができる。
【0008】
前記ロータに駆動源からの動力を伝達するジョイント部を備え、
前記位置調節部材は、前記ロータ、前記ステータ、前記ケーシング及び前記ジョイント部のうち、少なくともいずれか1つの端部、又は、途中に、着脱可能に設けられているのが好ましい。
【0009】
前記位置調節部材は、前記ステータと前記ケーシングの間、又は、前記ステータと前記エンドスタッドの間の少なくともいずれか一方に着脱可能であるのが好ましい。
【0010】
この構成によれば、位置調節部材をステータとケーシングの間に配置することにより、ステータに対してロータをケーシング側へと移動させることができる。一方、位置調節部材をステータとエンドスタッドの間に配置することにより、ステータに対してロータをエンドスタッド側へと移動させることができる。
【0011】
前記位置調節部材は、前記ステータと前記ケーシングの間、及び、前記ステータと前記エンドスタッドの間の両方に着脱可能であるのが好ましい。
【0012】
この構成によれば、ステータに対してロータをケーシング側及びエンドスタッド側のいずれにも移動させることができる。
【0013】
前記位置調節部材は、前記ロータの自由端、途中又は基部に着脱可能に設けられていてもよい。
【0014】
前記位置調節部材は、前記ジョイント部の端部又は途中に着脱可能に設けられていてもよい。
【0015】
前記位置調節部材を複数備えるのが好ましい。
【0016】
この構成によれば、装着する位置調節部材の数を変更することにより、ステータに対してロータを軸方向のいずれにも位置調節部材の数に応じた距離だけ移動させることができる。
【0017】
前記位置調節部材の軸方向の長さは同一であるのが好ましい。
【0018】
この構成によれば、着脱する位置調節部材の数に比例した距離だけ、ステータに対してロータを軸方向に移動させることができる。
【0019】
前記ロータの偏心量が軸方向に変化するのが好ましい。
【0020】
この構成によれば、ロータとステータとの軸方向への相対的な位置関係を変更することにより、ロータとステータの間の偏心量を調節して、ロータとステータの間の締め代を自由に設定することができる。
【0021】
前記ロータの外径、又は、前記ステータの貫通孔の内径の少なくともいずれか一方は軸方向に変化するのが好ましい。
【0022】
この構成によれば、ロータとステータとの軸方向への相対的な位置関係を変更することにより、ロータとステータとの間の径方向の位置関係を調節して、ロータとステータの間の締め代を自由に設定することができる。
【0023】
前記ロータの外径が軸方向に向かって減少するとともに、前記ステータの貫通孔の内径が、前記ロータの外径の変化に対応して減少し、前記ロータの偏心量が、前記ロータの大径側から小径側に向かうに従って増大しているのが好ましい。
【0024】
この構成によれば、ロータとステータとの軸方向への相対的な位置関係を変更することにより、ロータとステータの間の締め代を調節することができる。但し、偏心量の変化によりキャビティ容積の変化は抑えられているので、より安定した状態で移送をすることができる
【0025】
前記ステータに前記ロータを挿通することにより、前記ロータと前記ステータとの間に形成される複数のキャビティの容積は等しいのが好ましい。
【0026】
この構成によれば、搬送する流動物が各キャビティで膨張及び収縮されにくくなり、安定した搬送状態を得ることができる。
【0027】
前記位置調節部材は中空円筒状であり、その内周面が、前記ステータの貫通孔の内周面と同一又は類似の雌ねじ型に形成されているのが好ましい。
【0028】
この構成によれば、ロータとステータの軸方向の相対的な位置関係を変更することができるとともに、位置調節部材の内径の大きさによっては、ポンプに脱泡機能などの付加機能を持たせることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、位置調節部材によりロータに対するステータの軸方向への相対的な位置関係を自由に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】第1実施形態に係る一軸偏心ねじポンプの一部を示す断面図である。
図2図1から位置調節部材を付け替えた状態を示す断面図である。
図3図1のステータ及びロータの構成を簡略化した説明図である。
図4】第2実施形態に係る一軸偏心ねじポンプの一部を示す断面図である。
図5図4から位置調節部材を付け替えた状態を示す断面図である。
図6】第3実施形態に係る一軸偏心ねじポンプの一部を示す断面図である。
図7図6から位置調節部材を付け替えた状態を示す断面図である。
図8】第4実施形態に係る一軸偏心ねじポンプの発明概念を示す説明図である。
図9図8から位置調節部材を付け替えた状態を示す説明図である。
図10】第5実施形態に係る一軸偏心ねじポンプの発明概念を示す説明図である。
図11図10から位置調節部材を付け替えた状態を示す説明図である。
図12】第6実施形態に係る一軸偏心ねじポンプのロータ及びジョイント部を示す断面図である。
図13】第6実施形態の他の例に係る一軸偏心ねじポンプの一部を示す断面図である。
図14図13に位置調節部材を取り付けた状態を示す断面図である。
図15】第6実施形態の他の例に係る一軸偏心ねじポンプの一部を示す断面図である。
図16図15に位置調節部材を追加した状態を示す断面図である。
図17】第6実施形態の他の例に係る一軸偏心ねじポンプの一部を示す断面図である。
図18図17に位置調節部材を追加した状態を示す断面図である。
図19】第7実施形態に係る一軸偏心ねじポンプの一部を示す断面図である。
図20】第8実施形態に係る一軸偏心ねじポンプの一部を示す断面図である。
図21】第9実施形態に係る一軸偏心ねじポンプの位置調節部材を示す側面図である。
図22】他の実施形態に係るステータの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。
【0032】
(第1実施形態)
図1に示すように、第1実施形態に係る一軸偏心ねじポンプは、ロータ1、ステータ2、ケーシング3、エンドスタッド4及び位置調節部材5を備える。
【0033】
ロータ1は、ステンレス鋼等の金属材料からなる軸体をn-1条で単段あるいは多段の雄ねじ形状としたものである。またロータ1は、一端から他端に向かって全体として仮想円錐状を成すように形成されている(図3参照)。本実施形態では、ロータ1の横断面の形状はほぼ真円(n=2)であるが、その外径(断面積)が一端から他端(図中、右側から左側)に向かって徐々に小さくなっている。
【0034】
ステータ2は、一端から他端に向かって延びる中空筒状であり、適宜搬送する流動物に応じて選択されるゴム、樹脂等の弾性材料(例えば、シリコンゴム、フッ素ゴム)で形成されている。ステータ2の貫通孔2aは、n条で単段あるいは多段の雌ねじ形状とされ、ロータ1が挿通されている。貫通孔2aは、ロータ1の形状に合わせて、一端から他端に向かって全体として仮想円錐状となるように形成されている(図3参照)。すなわち、貫通孔2aの横断面の形状は長円であるが、その内径(断面積)が一端から他端(図中、右側から左側)に向かって徐々に小さくなっている。ステータ2の貫通孔2aにロータ1が挿通された状態で、ステータ2の貫通孔2aの内面とロータ1の外面との間に複数の搬送空間(キャビティ)13が形成される。ここでは、各搬送空間13の容積は同一である。また、ステータ2の外周面には、ステンレス鋼等の金属材料からなる外筒6が装着され、ステータ2が径方向外側に変形することが防止されている。
【0035】
ロータ1の軸心とステータ2の軸心とは偏心しており、その偏心量が一端から他端に向かって大きくなるように構成されている。これにより、各搬送空間13の容積が同一となっている。
【0036】
また、ロータ1及びステータ2は全体として仮想円錐状を成すように形成されている。このため、ステータ2に対してロータ1を相対的に左側に移動させると、ステータ2の貫通孔2aを構成する内面と、ロータ1の外面との間の接触圧が大きくなる。この結果、ロータ1に対するステータ2の締め代を増大させることができる。逆に、ステータ2に対してロータ1を相対的に右側に移動させると、ロータ1に対するステータ2の締め代を減少させることができる。
【0037】
なおここでは、ロータ1の外径とステータ2の貫通孔2aの内径を一端から他端に向かって徐々に小さくするように構成したが、少なくともいずれか一方がそのように形成されているだけでもよい。
【0038】
ケーシング3は、ステンレス鋼等の金属材料を中空筒状としたもので、その一端部がステータ2の一端側に接続されている。ケーシング3の一端面には、内径寸法が拡大された段付き形状の接続受部7が形成されている。この接続受部7に外筒6の一端部や、後述する位置調節部材5の接続部11が接続される。ケーシング3には、図示しない接続管が接続され、流動物が供給されるようになっている。またケーシング3内にはジョイント部8が配置されている。ジョイント部8の一端側には駆動源から延びる駆動軸(図示せず)が連結されている。ジョイント部8の他端部にはロータ1が接続されている。これにより、駆動源からの駆動力がロータ1に伝達され、ロータ1が回転駆動される。
【0039】
エンドスタッド4は、ステンレス鋼等の金属材料からなり、その一端部がステータ2の他端側に接続されている。エンドスタッド4の一端面には、内径寸法が拡大された段付き形状の接続受部9が形成されている。この接続受部9に外筒6の他端部や、後述する位置調節部材5の接続部11が接続される。またエンドスタッド4は、ステータ2の貫通孔2aを流動する流動物を排出する出口を構成する。
【0040】
位置調節部材5はステンレス鋼等の金属材料を中空筒状としたもので、外筒6の一端部とケーシング3の一端部との間に配置されている(ここでは、4つの位置調節部材5が接続されている。)。位置調節部材5の一端開口部は、内径寸法が大きくなった段付き形状の接続受部10で構成されている。位置調節部材5の他端開口部は、外径寸法が小さくなった段付き形状の接続部11で構成されている。位置調節部材5同士は、接続受部10にパッキン12を介して接続部11を連結することにより封止状態で接続される。位置調節部材5とケーシング3とは、位置調節部材5の接続部11にパッキン12を介してケーシング3の接続受部7を連結することにより封止状態で接続される。位置調節部材5と外筒6とは、位置調節部材5の接続受部10に外筒6の一端部を連結することにより接続される。このとき、位置調節部材5の接続受部10と外筒6の一端部との間にはステータ2の一部を介在させることにより封止状態とする。位置調節部材5は、エンドスタッド4とステータ2の間に付け替えることができる。この場合、位置調節部材5とエンドスタッド4とは、位置調節部材5の接続部11を、パッキン12を介してエンドスタッド4の接続受部9に連結することにより封止状態で接続される。また、位置調節部材5とステータ2の外筒6とは、位置調節部材5の接続受部10に外筒6の他端部を連結することにより接続される。このとき、位置調節部材5の接続受部10と外筒6の他端部との間にはステータ2の一部を介在させることにより封止状態とする。
【0041】
前記構成の一軸偏心ねじポンプでは、初期段階では、例えば、図1に示すように、ステータ2とケーシング3の間に4つの位置調節部材5を接続した状態で、丁度、ロータ1とステータ2との間に所望の締め代が得られるようにして使用する。この状態で、図示しない駆動系からジョイント部8を介して動力が伝達されてロータ1が回転すると、ケーシング3内に供給された流動物は、ステータ2とロータ1との間に形成される搬送空間(キャビティ)13を介してエンドスタッド4側へと搬送される。
【0042】
使用によりステータ2の貫通孔2aを構成する内面が摩耗し、ロータ1に対するステータ2の締め代が小さくなれば、図1の矢印で示すように、ステータ2とケーシング3の間に接続した4つの位置調節部材5のうちの1つを取り外し、図2の矢印で示すように、ステータ2とエンドスタッド4の間に付け替える。これにより、ステータ2とロータ1との相対的な位置関係が、移動させた1つの位置調節部材5の軸方向の長さ分だけずれることになる。つまり、ステータ2の貫通孔2aを構成する内面に摺接するロータ1が、断面積が大きくなった部分へと変更され、ロータ1に対するステータ2の締め代が大きくなるように修正することができる。
【0043】
その後、さらにステータ2が摩耗すれば、ステータ2とケーシング3の間に位置する残りの位置調節部材5を順次取り外し、これをステータ2とエンドスタッド4の間に付け替えていけばよい。なお、ステータ2の摩耗状態については、流動物の搬送状態を目視によって観察したり、単純にロータ1の回転数によって自動的に判断したりすればよい。
【0044】
このように、ステータ2の摩耗度合いに応じて、ステータ2とケーシング3の間からステータ2とエンドスタッド4の間に付け替える位置調節部材5の数を増やすことにより、随時、ステータ2による締め代を適切なものに改善することができる。締め代の改善は、全ての位置調節部材5を付け替え終わるまで続けることができる。
【0045】
また、搬送する流動物の種類や使用する環境によっては、ロータ1とステータ2との間に所望の締め代を得るための条件が相違する。そこで、基準となる条件を決めておき、ロータ1とステータ2とがそのときに所望の締め代が得られる位置となるように、ステータ2とケーシング3の間、ステータ2とエンドスタッド4の間のそれぞれに位置調節部材5を装着しておくようにしてもよい。
【0046】
例えば、周囲雰囲気温度がある基準温度(15℃~25℃の常温とすることができる。例えば、20℃)に対して高温である場合、ステータ2の膨張等も考慮する必要があるため、ステータ2とケーシング3の間の位置調節部材5の数を増やしてステータ2に対してロータ1を図中右側へと移動させればよい。これにより、ロータ1に対するステータ2の締め代が大きくなり過ぎることを防止して、流動物の搬送を適切に行わせることが可能となる。また、周囲雰囲気温度が基準温度に対して低温である場合、逆にステータ2とエンドスタッド4の間の位置調節部材5の数を増やし、ロータ1に対するステータ2の締め代の低下を防止するようにすればよい。
【0047】
また、流動物がある基準粘度(例えば、校正用標準液の粘度)に対して高粘度である場合、ステータ2とケーシング3の間の位置調節部材5の数を増やしてステータ2に対してロータ1を図中右側へと移動させることにより、締め代を抑制して流動物を搬送しやすくすればよい。また流動物がある基準粘度に対して低粘度である場合、逆にステータ2とエンドスタッド4の間の位置調節部材5の数を増やして締め代を大きくし、搬送空間13からの流動物の漏洩を防止するようにすればよい。
【0048】
前記構成の一軸偏心ねじポンプによれば、次のような効果が得られる。
(1)ステータ2が摩耗しても、位置調節部材5の装着場所をステータ2とケーシング3の間からステータ2とエンドスタッド4の間に変更するだけで、ロータ1に対するステータ2の締め代を元の状態に回復させることができる。
(2)位置調節部材5の装着場所を変更することで、流動物の粘性や周囲雰囲気温度等の条件の違いに応じてロータ1に対するステータ2の締め代を適切な値とすることができ、流動物の搬送状態を良好な状態に維持することが可能となる。
(3)位置調節部材5を、ステータ2・ケーシング3間と、ステータ2・エンドスタッド4間のいずれかに付け替えるだけでよいので、作業性よくロータ1に対するステータ2の締め代を調整することができる。
【0049】
(第2実施形態)
図4に示すように、第2実施形態に係る一軸偏心ねじポンプは、第1実施形態とほぼ同様な構成であり、以下の点でのみ相違する。
【0050】
第2実施形態では、ロータ1は一端から他端に向かって同一横断面積となるように構成されている。また、ステータ2の貫通孔2aも、一端から他端に向かって同一横断面積となるように構成されている。そして、ロータ1は、使用初期ではステータ2の貫通孔2a内に位置する第1領域と、位置調節部材5内に位置する第2領域とを有する。
【0051】
第2実施形態に係る一軸偏心ねじポンプによれば、使用により、例えば、流動物によってロータ1の一部が損傷した場合には、図5に示すように、位置調節部材5を付け替え、ステータ2に対してロータ1が摺接する位置を変更する。これにより、流動物の搬送を適切な状態に回復させることができる。
【0052】
また、ステータ2の軸心方向に対してロータ1の偏心量を変化させている場合、ロータ1の軸心方向の位置をずらすことにより、搬送空間13の容積を軸心方向に小さくしたり大きくしたりすることができる。例えば、ロータ1の回転中心を、ステータ2の軸心方向のうち流動物の搬送方向に向かうに従って徐々にステータ2の軸心へと接近させている場合、ロータ1を前記搬送方向に移動させることにより、搬送空間13が占める断面積の割合を減少させることができる。つまり、搬送方向に向かって搬送空間13の容積を徐々に小さくすることができる。また、ロータ1を前記搬送方向とは逆方向に移動させることにより、搬送空間13が占める断面積の割合を増大させることができる。
【0053】
(第3実施形態)
図6に示すように、第3実施形態に係る一軸偏心ねじポンプは、第1実施形態及び第2実施形態とほぼ同様な構成であり、以下の点でのみ相違する。
【0054】
第3実施形態では、第2実施形態と同様に、ロータ1は一端から他端に向かって同一横断面積となるように構成されている。また、ステータ2の貫通孔2aも、一端から他端に向かって同一断面形状を有するように構成されている。但し、ステータ2の長さは、第2実施形態に比べて長く設定されている点で相違する。ここでは、ステータ2の長さは第2実施形態の約3倍に設定されている。
【0055】
第3実施形態に係る一軸偏心ねじポンプによれば、初期段階では、ステータ2の一端側(ここでは、図中矢印で示す約2ピッチ分)にのみロータ1を挿入した状態で使用する。そして、ステータ2が摩耗してくれば、ステータ2、ケーシング3間の位置調節部材5を取り外し、図7に示すように、ステータ2、エンドスタッド4間に付け替えることにより、ステータ2内へのロータ1の挿入量をさらに大きくする(ここでは、貫通孔2aの約2ピッチ分の位置から約3ピッチ分の位置としている。)。これにより、ステータ2の貫通孔2aを構成する内面とロータ1の外面との接触範囲に、摩耗していない新たな領域を追加することができ、流動物の搬送状態を回復させることが可能となる。ステータ2が摩耗していない領域を使用できる点で、摩耗した部分を使用し続ける第1実施形態に比べて流動物の搬送状態を良好なものとすることができる。
【0056】
(第4実施形態)
第4実施形態に係る一軸偏心ねじポンプは、第1実施形態とほぼ同様な構成であり、以下の点でのみ相違する。
【0057】
図8に模式的に示すように、ロータ1の横断面積が一端から他端(図中、右側から左側)に向かうに従って徐々に小さくなるように形成されている(ロータ1は、実際には第1実施形態等と同様に、n-1条で単段あるいは多段の雄ねじ形状に形成されている。)。一方、ステータ2の貫通孔2aの横断面積は同一である。
【0058】
第4実施形態に係る一軸偏心ねじポンプによれば、ロータ1を回転させて流動物を搬送する際、搬送空間13が下流側に向かって徐々に大きくなるため、搬送空間13を負圧状態として流動物に溶け込んでいる溶存気体(ガス)を気泡として析出させて除去することができる。そして、搬送空間13をさらに負圧状態として気泡をより一層発生させやすくするために、図9に示すように、エンドスタッド4とステータ2の間に配置していた位置調節部材5を、ステータ2と図示しないケーシングとの間に付け替えることができる。これにより、ステータ2に対してロータ1を後退させて搬送空間13(図9には図示せず)の容積を大きくして流動物に溶け込んでいる溶存気体(ガス)をさらに除去しやすくすることができる。
【0059】
(第5実施形態)
第5実施形態に係る一軸偏心ねじポンプは、第1実施形態とほぼ同様な構成であり、以下の点でのみ相違する。
【0060】
図10に模式的に示すように、ロータ1の横断面積が一端から他端(図中、右側から左側)に向かうに従って徐々に大きくなるように形成されている。一方、ステータ2の貫通孔2aの横断面積は同一である。
【0061】
第5実施形態に係る一軸偏心ねじポンプによれば、ロータ1を回転させて流動物を搬送する際、流動物に気泡が含まれていれば、これを加圧して流動物中に溶解させることができる。そして、流動物をさらに加圧して流動物中に気泡を溶解させるために、図11にしめすように、エンドスタッド4とステータ2の間に配置していた位置調節部材5を、ステータ2と図示しないケーシングとの間に付け替えることができる。これにより、ロータ1の外径の大きい先端側をステータ2の貫通孔2a(図11には図示せず)内へと移動させることができ、搬送空間13の容積を小さくして気泡をより一層流動物中に溶解させやすくすることが可能となる。
【0062】
なお、第4実施形態及び第5実施形態では、ロータ1の横断面積のみを変更するようにしたが、ステータ2の貫通孔2aの横断面積を変更したり、両方を変更したりすることにより同様な効果を奏するように構成することもできる。
【0063】
(第6実施形態)
第6実施形態に係る一軸偏心ねじポンプは、第1実施形態とほぼ同様な構成であり、以下の点でのみ相違する。
【0064】
図12に示すように、ロータ1の自由端、途中、基部(ジョイント部8との接続部分)及びジョイント部8の途中に位置調節部材5を着脱可能に設けることができる。位置調節部材5を着脱する位置は、これら4箇所のうちのいずれか3箇所、2箇所又は1箇所としてもよい。
【0065】
図13は、ロータ1とジョイント部8の接続部分に位置調節部材5を着脱可能に設ける例を示す。ジョイント部8の一端部では、ジョイントピン14によって連結部15が連結されている。連結部15の端面から軸部15aが突出し、その中心には貫通孔15bが形成されている。一方、ロータ1の一端部には係合孔1aが形成され、連結部15の軸部15aが挿入される。軸部15aと係合孔1aとの間にはキー溝がそれぞれ形成され、そこにはキー16が配置される。連結部15にボルト17を螺合することにより、軸部15aが外径側に膨出し、ロータ1の係合孔1aの内周面に連結部15の軸部15aの外周面が圧接し、両者は連結される。また、キー16の存在により、連結部15に対するロータ1の回転が阻止される。ステータ2に対するロータ1の摺接位置を変更する場合、図14に示すように、連結部15とロータ1の間に位置調節部材5を配置すればよい。この場合、キー16を取り替えて、位置調節部材5と連結部15の軸部15aとの間の回り止めも行うようにすればよい。これにより、ロータ1の横断面での断面積が基端に向かうに従って太くなるように構成していれば、ステータ2の貫通孔2aを構成する内面とロータ1の外面との間の圧接力を高めることができる。
【0066】
図15は、ロータ1に位置調節部材5を着脱可能に設けた例を示す。ロータ1の先端部と基端側の一部を位置調節部材5で構成し、これらをロータ1の先端側から挿入したボルト17によって固定している。ここでは、ロータ1の1ピッチ分を1つの位置調節部材5で構成している。ステータ2に対するロータ1の摺接位置を変更する場合、図16に示すように、ロータ1の先端部に設けた位置調節部材5を取り外し、基端側に付け替えるようにすればよい。これにより、ステータ2に対するロータ1の摺接位置を先端側から基端側へと1ピッチ分ずらすことができる。この結果、ロータ1の横断面での断面積が基端に向かうに従って太くなるように構成していれば、ステータ2の貫通孔2aを構成する内面とロータ1の外面との間の圧接力を高めることができる。
【0067】
図17は、ジョイント部8に位置調節部材5を着脱可能に設けた例を示す。ジョイント部8の一部が、互いに連結されかつ分離可能な位置調節部材5で構成されている。各位置調節部材5は、一端面中央部にねじ部5aを有し、他端面中央部にねじ孔5bを有する。ねじ孔5bにねじ部5aを螺合することで、位置調節部材5同士を連結することができる。連結する位置調節部材5の数を増やすことにより、ステータ2に対してロータ1を軸方向の先端側へと移動させることができる。図18では、図17で連結していた3つの位置調節部材5に対し、1つの位置調節部材5を追加して合計で4つ連結している。これにより、位置調節部材5の軸方向の長さ1つ分だけロータ1を移動させることができる。この結果、ロータ1の横断面での断面積が基端に向かうに従って太くなるように構成していれば、ステータ2の貫通孔2aを構成する内面とロータ1の外面との間の圧接力を高めることが可能となる。
【0068】
(第7実施形態)
第7実施形態に係る一軸偏心ねじポンプは、第1実施形態とほぼ同様な構成であり、以下の点でのみ相違する。
【0069】
図19に示すように、位置調節部材5の軸方向の長さが相違している。ここでは、位置調節部材5を第1から第4位置調節部材の4つで構成し、これらの軸方向の長さの比率が1:2:3:4となるようにしている。但し、位置調節部材5の数、長さ、長さの比率は自由に設定することができる。
【0070】
第7実施形態に係る一軸偏心ねじポンプによれば、位置調節部材5を適宜組み合わせることで、ステータ2に対するロータ1の位置調節の自由度をさらに高めることができる。すなわち、ステータ2とケーシング3の間に第1位置調節部材5-1から順に第4位置調節部材5-4を介在させた初期状態から、第1位置調節部材5-1のみをステータ2とエンドスタッド4の間に付け替える。以下、第2位置調節部材5-2、第3位置調節部材5-3及び第4位置調節部材5-4のみを順番に付け替える。その後、各位置調節部材5の組み合わせで付け替える。これにより、全て同一長さとする場合に比べてロータ1の位置調節の幅を広げることができる。
【0071】
(第8実施形態)
第8実施形態に係る一軸偏心ねじポンプは、第1実施形態とほぼ同様な構成であり、以下の点でのみ相違する。
【0072】
図20に示すように、位置調節部材5は、ステンレス鋼等の金属材料からなる筒部5Aと、その内径側に配置される、ステータ2と同様な材料からなる内径部5Bとで構成されている。内径部5Bには、ステータ2と同様なn条で単段あるいは多段の雌ねじ形状の貫通孔5Cが形成されている。例えば、位置調節部材5の貫通孔5Cをステータ2よりも内径寸法の小さいものとし、ステータ2とエンドスタッド4の間に位置調節部材5を配置することができる。これによれば、ステータ2に特別な加工を施すことなく、位置調節部材5を装着するだけで、ロータ1とステータ2の軸方向の位置関係を調節することに加え、流動物を加圧することにより残存している気泡を流動物中に溶解させる構成を得ることができる。また逆に、位置調節部材5の貫通孔5Cをステータ2よりも内径寸法の大きいものとし、ステータ2とエンドスタッド4の間に位置調節部材5を配置することができる。これによれば、ステータ2に特別な加工を施すことなく、位置調節部材5を装着するだけで、ロータ1とステータ2の軸方向の位置関係を調節することに加え、流動物に溶け込んでいる溶存気体(ガス)を気泡として析出させて除去する構成を得ることができる。さらに、ステータ2を前記構成の複数の位置調節部材5で代用することも可能である。これによれば、損傷した位置調節部材5のみを交換することができ、経済的である。
【0073】
(第9実施形態)
第9実施形態に係る一軸偏心ねじポンプは、第1実施形態とほぼ同様な構成であり、以下の点でのみ相違する。
【0074】
図21に示すように、位置調節部材5は周方向に複数に分割した構成とすることができる。ここでは、位置調節部材5は、周方向に2分割された第1位置調節部18と第2位置調節部19とで構成されている。第1位置調節部18と第2位置調節部19とは共に、半円筒体形状であり、対向面には径方向外側へと延びる延在部20が形成されている。延在部同士はパッキン12を介してボルト17によって連結されている。この構成によれば、ボルト17を締めたり緩めたりするだけで、位置調節部材5のみを簡単に着脱することができる。
【0075】
なお、本発明は、前記実施形態に記載された構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0076】
前記実施形態では、1から4の位置調節部材5を設ける例について説明したが、その数は特に限定するものでもなく、5以上であっても構わない。位置調節部材5を1つだけ設ける場合、ステータ2とケーシング3の間、あるいは、ステータ2とエンドスタッド4の間のいずれか一方だけとし、残る他方の位置に付け替えるようにするようにしてもよい。また、位置調節部材5を、ステータ2とケーシング3の間、あるいは、ステータ2とエンドスタッド4の間のいずれか一方にだけ着脱する構成としてもよい。但し、位置調節部材5は、ステータ2とケーシング3の間と、ステータ2とエンドスタッド4の間とで付け替える方が、ポンプ全長を変更することなく位置関係の調節を行うことができる点で利便性に優れている。
【0077】
前記実施形態では、位置調節部材5を金属製としたが、合成樹脂製あるいはゴム製とすることもできる。合成樹脂製やゴム製であれば、ポンプの分解作業を必要とすることなく、切断するだけで簡単に取り外すことができる。また、位置調節部材5は、前記同様、周方向に複数に分割した構成とすれば、位置調節部材5の取付作業でもポンプ自体の分解作業は不要となる。
【0078】
前記実施形態では、搬送空間13の容積は、例えば、ロータ1及びステータ2のねじ形状のピッチを一端側に向かって徐々に小さくしたり、逆に大きくしたりすることにより、一端側に向かって増大させたり、あるいは、縮小させたりすることもできる。
【0079】
前記実施形態では、ロータ1の外径寸法をエンドスタッド4側に向かって徐々に減少させるようにしたが、徐々に増大させるようにしてもよい。また、前記実施形態では、ステータ2に対するロータ1の偏心量をエンドスタッド4側に向かって増大させるようにしたが、減少させるようにしてもよい。
【0080】
前記実施形態では、位置調節部材5をステータ2とケーシング3の間に取り付けるようにしたが、位置調節部材5は、ケーシング3を分割して、その間に取り付けるようにしてもよい。また、位置調節部材5は、ステータ2の端部や途中に取り付けることもできる。要するに、位置調節部材5は、ロータ1、ステータ2、ケーシング3及びジョイント部8のうち、少なくともいずれか1つの部材の端部又は途中に着脱可能に設けられていればよい。ロータ1とケーシング3、ステータ2とケーシング3等のそれぞれに位置調節部材5を設けることも可能である。
【0081】
前記実施形態では、ステータ2の厚みが軸心方向に向かって変化するように構成しているが、均一で変化しないように構成するのが好ましい。図22はステータ2の縦断面図である。ステンレス等の金属材料からなる外筒6の内面はn条で単段あるいは多段の雌ねじ形状に形成されている。外筒6に比べて熱膨張係数の大きいゴム等の弾性材料からなるステータ2は、横断面での厚みがどの位置でも同じであり、かつ軸心方向に位置をずらせた各横断面の厚みもどの横断面でも同じとなるように、全体的に均一厚に形成されている。
【0082】
このような構成のステータ2を備えた一軸偏心ねじポンプによれば、流動物や周囲雰囲気の温度が変化する場合であっても、ロータ1に対する締め代にばらつきが発生することがない。すなわち、ステータ2の横断面での厚みがどの位置でも同じであるため、ロータ1の外面に対して横断面のいずれかの位置で圧接力が大きくなったり、逆に小さくなったりすることがない。また、ステータの軸心方向のいずれの横断面であっても厚みが同じであるため、ロータ1が回転する際、軸心方向のいずれかの位置で摩擦が大きくなったり、逆に小さくなったりすることもない。したがって、流動物や周囲雰囲気の温度変化に拘わらずロータ1に対するステータ2の締め代の調整を適切に行うことができ、ロータ1の回転状態を安定させることが可能となる。なお、ステータ2の厚みをどのような値に設定するのかは、流動物や周囲雰囲気の温度変化の大きさに応じて決定すればよい。すなわち、温度変化が大きい条件下で使用するのであれば厚みを薄く設定すればよいし、温度変化が小さい条件下で使用するのであれば厚みを厚くしてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1…ロータ
2…ステータ
3…ケーシング
4…エンドスタッド
5…位置調節部材
6…外筒
7…接続受部
8…ジョイント部
9…接続受部
10…接続受部
11…接続部
12…パッキン
13…搬送空間
14…ジョイントピン
15…連結部
16…キー
17…ボルト
18…第1位置調節部
19…第2位置調節部
20…延在部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
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