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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】ゴルフボール回収装置
(51)【国際特許分類】
   A63B 47/02 20060101AFI20240209BHJP
   A63B 69/36 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
A63B47/02 Z
A63B69/36 522P
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021017970
(22)【出願日】2021-02-08
(65)【公開番号】P2022120916
(43)【公開日】2022-08-19
【審査請求日】2022-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】592173685
【氏名又は名称】創機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100111464
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 悦子
(72)【発明者】
【氏名】池野 三吉
(72)【発明者】
【氏名】池野 貴則
【審査官】鈴木 崇雅
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-335549(JP,A)
【文献】実開昭49-147059(JP,U)
【文献】特開昭63-197471(JP,A)
【文献】特開昭49-012935(JP,A)
【文献】実開昭57-185365(JP,U)
【文献】特開平08-196663(JP,A)
【文献】特開平06-134064(JP,A)
【文献】米国特許第05678805(US,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0115617(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0018740(US,A1)
【文献】特開昭59-125579(JP,A)
【文献】実公昭47-038109(JP,Y1)
【文献】実開平05-011975(JP,U)
【文献】特開昭49-012932(JP,A)
【文献】特開昭52-017928(JP,A)
【文献】特開2021-122497(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 47/02
A63B 69/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦な底面を備える池に落下したゴルフボールを回収するゴルフボール回収装置であって、
上面視でその長辺方向である第1の方向に伸びる外形を有する回収本体であって、前記池の底面に近接して設置され、前記池の底面に落下したゴルフボールに押圧力を加えて前記ゴルフボールを前記池の底面上で移動させる回収部を備える回収本体と、
前記回収本体を、前記第1の方向に沿った複数の箇所で牽引し、前記第1の方向と交差する方向に第1の位置から第2の位置まで前記池の底面を移動させて、前記回収部により前記ゴルフボールを移動させる駆動部と、を備える、
ゴルフボール回収装置。
【請求項2】
前記池の前記第2の位置に形成され、一定方向に傾斜した集球溝を更に備え、
前記集球溝は、前記回収本体が前記第2の位置に到達したときに、落下するゴルフボールを受け入れる、
請求項1に記載のゴルフボール回収装置。
【請求項3】
前記回収部は、前記池の底部に近接した状態と、前記池の底部から離れた状態とに切り替えられる、
請求項1又は2に記載のゴルフボール回収装置。
【請求項4】
前記池は、上面視で長方形の第1の池であり、
前記回収本体は、前記第1の方向と同一である前記第1の池の幅方向に伸び、前記駆動部により、前記第1の位置である前記第1の池の第1の端部から、前記第2の位置である当該第1の端部と対向する前記第1の池の第2の端部まで、移動される、
請求項1から3の何れか1項に記載のゴルフボール回収装置。
【請求項5】
前記池は、前記第1の池と、前記第1の池に隣接する上面視で円形である第2の池と、を含み、
前記第2の池で使用される回収本体は、前記第2の池の中心から半径方向に伸び、動部により、前記第2の池の中心を回転中心として、前記第2の池の上面視で1の位置から2の位置まで時計回り又は半時計回りに回転移動される、
請求項に記載のゴルフボール回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、池に落下したゴルフボールを回収するゴルフボール回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフ練習場には、プレイの臨場感を高めるため、練習場の敷地の中に池を設置することがある。そして、池に落ちたゴルフボールは、再度、使用するために回収する必要がある。
【0003】
池に落ちたゴルフボールを回収する方法として、特許文献1に開示されたゴルフボール回収具がある。特許文献1に開示されたゴルフボール回収具は、複数の湾曲したアームを連結し、連結したアームに網体を取り付けた回収具である。回収者は、連結したアームを池に投げ入れて、岸まで引っ張ることにより池に落下したゴルフボールを回収する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-253238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたゴルフボール回収具は、人力を使用して回収する道具のため労力がかかる。また、網体によって回収できるゴルフボールは、池の中に落下したゴルフボールの一部であり、落下した全てのゴルフボールを回収するためには、複数回、網体を池に投げ入れる必要があり、特に、ゴルフ練習場に設置された池に落下したゴルフボールを回収するには、効率が悪い。
【0006】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、池に落下したゴルフボールを、効率的に回収することができる、ゴルフボール回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決し、目的を達成するために、本発明に係るゴルフボール回収装置は、平坦な底面を備える池に落下したゴルフボールを回収するゴルフボール回収装置であって、
上面視でその長辺方向である第1の方向に伸びる外形を有する回収本体であって、前記池の底面に近接して設置され、前記池の底面に落下したゴルフボールに押圧力を加えて前記ゴルフボールを前記池の底面上で移動させる回収部を備える回収本体と、
前記回収本体を、前記第1の方向に沿った複数の箇所で牽引し、前記第1の方向と交差する方向に第1の位置から第2の位置まで前記池の底面を移動させて、前記回収部により前記ゴルフボールを移動させる駆動部と、を備える。
【0008】
前記池の前記第2の位置に形成され、一定方向に傾斜した集球溝を更に備え、
前記集球溝は、前記回収本体が前記第2の位置に到達したときに、落下するゴルフボールを受け入れてもよい。
【0009】
前記回収部は、前記池の底部に近接した状態と、前記池の底部から離れた状態とに切り替えられてもよい。
【0010】
前記池は、上面視で長方形の第1の池であり、
前記回収本体は、前記第1の方向と同一である前記第1の池の幅方向に伸び、前記駆動部により、前記第1の位置である前記第1の池の第1の端部から、前記第2の位置である当該第1の端部と対向する前記第1の池の第2の端部まで、移動されてもよい。
【0011】
前記池は、前記第1の池と、前記第1の池に隣接する上面視で円形である第2の池と、を含み、
前記第2の池で使用される回収本体は、前記第2の池の中心から半径方向に伸び、動部により、前記第2の池の中心を回転中心として、前記第2の池の上面視で1の位置から2の位置まで時計回り又は半時計回りに回転移動されてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、池に落下したゴルフボールを、効率的に回収することができる、ゴルフボール回収装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態1に係るゴルフボール回収装置を使用する池を示す斜視図である。
図2】(a)は、図1のA-A線での切断図、(b)は、図1のB-B線での切断図である。
図3】実施の形態1のゴルフボール回収装置を示す斜視図である。
図4】回収本体110を示し、(a)はガイドシーブが取り付けられた部分の側面の模式図、(b)は(a)の底面図、(c)は車輪が取り付けられた部分の側面の模式図である。
図5】フレーム本体を示し(a)は上面図、(b)は(a)の点線Pで囲った部分を拡大した正面図、(c)は(b)をX方向から見た図、(d)は、(a)の点線Qで囲った部分の拡大図である。
図6】(a)は、実施の形態1のゴルフボール回収装置の動きを示す図、(b)は、変形例のゴルフボール回収装置の動きを示す図である。
図7】実施の形態1の変形例を示す斜視図である。
図8】実施の形態2に係るゴルフボール回収装置の斜視図である。
図9】(a)は、実施の形態2のゴルフボール回収装置の動きを示す図、(b)は、実施の形態2の変形例のゴルフボール回収装置の動きを示す図である。
図10】実施の形態2の変形例を示す斜視図である。
図11】実施の形態3に係るゴルフボール回収装置の回収中の斜視図である。
図12】実施の形態3に係るゴルフボール回収装置の帰還中の斜視図である。
図13】実施の形態3のゴルフボール回収装置の動きを示す図である。
図14】実施の形態3の回収本体の要部を示し、(a)は回収部が起き上がった状態、(b)は回収部が傾斜した状態を示す図である。
図15】実施の形態3のフレーム本体の上面図である。
図16】実施の形態3のフレーム本体の要部を示す斜視図である。
図17】実施の形態4に係るゴルフボール回収装置を示し、(a)は上面図、(b)は側面図である。
図18】実施の形態4の要部を示し、(a)は上面図、(b)は側面図、(c)は(a)のC-C線での断面図である。
図19】実施の形態4の動きを示す図である。
図20】実施の形態4の変形例の動きを示す図である。
図21】揚球装置の変形例を示す図であり、(a)は、揚球装置の上面図、(b)は側面図、(c)はフレームゲートを(b)のY1方向から見た図である。
図22】揚球装置の他の変形例を示す図であり、(a)は、揚球装置の上面図、(b)は側面図、(c)はフレームゲートを(b)のY2方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態に係るゴルフボール回収装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図において、回収本体が進む方向を前後方向とし、前後方向と直交し池の幅方向を左右方向とし、前後方向及び左右方向と直交する方向を上下方向とする。以下、この方向を基準として説明する。
【0015】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係るゴルフボール回収装置は、ゴルフ練習場に設置される池と一体となって使用され、池もゴルフボールの回収に適した構造となっている。
【0016】
ゴルフ練習場に池を設けることは、さまざまなメリットがある。ゴルファにとって、フェアウェイに池があることは、フェアウェイに池がない場合と比較して、距離と方向が即座に捉えられるという利点がある。また、池はペナルティエリアとして罰則が科せられるエリアであり、池があることにより、ゴルファの真剣度が増す。また、池の存在は、ゴルファに、暑い夏には涼しさを、太陽が低くなる春と秋には水面の輝きを与え、ゴルファは季節感を感じることができる。
【0017】
ゴルフ練習場の池に落下したゴルフボールを回収するために、池の底面を外周部から中心部に向けて傾斜させて、この傾斜面に沿ってゴルフボールを移動させて回収することもある。しかし、池の底面を傾斜させて形成するときは、傾斜分の土を切り出す必要があり、多くの土を切り出すことになり、切り盛り土のバランスが偏る。また、底面の水深が変化するため、フェアウェイの地盤沈下の施工が難しい。
【0018】
本実施の形態で使用する池は、池の底面が水平であり、水深を浅くしている。そのため、切土と盛土のバランスがよく、フェアウェイの地盤沈下の施工が容易となる。水深が浅く、切り盛り土が少ないので、奥行きの長い大きな池を形成することができる。また、奥行きの長い池を形成することにより、ゴルファは打席から池の全面の水面を視認することができる。
【0019】
さらに、奥行きの長い大きな池を形成することにより、人工芝の敷設面積が減少し、人工芝の管理労力が減少する。また、人工芝の敷設面積が減少することにより、人工芝の張替え代金が抑制できるとともに、古い人工芝を産業廃棄物として処理する処理代も節約することができる。
【0020】
(池の構造)
まず、本実施の形態で使用する池の構造について、図1を参照して説明する。図1に示すように、池1は、上面視で長方形に形成されている。尚、池1には水を張っていない状態を示している。本実施の形態で使用する池は、例えば、幅15m、奥行50m、水深0.25mの池である。池1は、底部2と、底部2の左右方向の端部から垂直に立ち上がる一対の側壁3と、底部2の前後方向の端部から傾斜しながら立ち上がる一対の傾斜壁4と、を備える。
【0021】
底部2は、傾斜のない水平面で形成されている。底部2の後端部には、傾斜壁4に沿って左右方向に伸びる第1の集球溝5aが形成され、底部2の前端部には、傾斜壁4に沿って左右方向に伸びる第2の集球溝5bが形成され、第1の集球溝5aと第2の集球溝5bの間には、左右方向に伸びる第3の集球溝5cが形成されている。第1の集球溝5a、第2の集球溝5b、及び第3の集球溝5cは、図の右から左に向けて下方に傾斜している。図2(a)は、図1のA-A線での断面図であり、図2(b)は、図1のB-B線での断面図である。図2(a)(b)から、第1の集球溝5a、第2の集球溝5bが傾斜していることが確認できる。この傾斜があることにより、第1の集球溝5aと第2の集球溝5bの中に落下したゴルフボールは、右から左に移動する。第3の集球溝5cも同様な構造である。第1の集球溝5a、第2の集球溝5b、及び第3の集球溝5cの左側端部には、左側端部に達したゴルフボールを水中でエアーにより持ち上げて、後述する移送溝6に移動させる揚球装置7が設けられている。
【0022】
底部2には、図1に示すように、左側の側壁3に沿って、前後方向に伸びる移送溝6が形成されている。移送溝6には、第1の集球溝5a、第2の集球溝5b、及び第3の集球溝5cの左端部に達したゴルフボールが、図2に示す揚球装置7により移動され落下する。移送溝6は、図2(a)(b)に示すように、底部2の後側の深さx1より前側の深さx2のほうが深く、移送溝6は、底部2の後から前に向けて下方向に傾斜している。したがって、移送溝6に入ったゴルフボールは、移送溝6の内部を後から前に向けて移動し、図1の矢印の先に設置された水-球分離装置に送られる。
【0023】
後側の傾斜壁4の後方には、後述するエンドレスウインチから導出されるワイヤーロープを取り回すために使用される空間を形成する、第1のピット8が設けられている。そして、傾斜壁4には、第1のピット8から池1の内部にワイヤーロープを導入するための貫通孔8aが形成されている。
【0024】
右側の側壁3の背後には、水中ポンプ又はバルブを収納するための空間である、第2のピット9が形成され、左側の側壁3の背後には、揚球装置7を駆動する駆動装置を収納するための空間である、第3のピット10が形成されている。
【0025】
(ゴルフボール回収装置の全体構成)
次に、ゴルフボール回収装置の全体構成について、図3を参照して説明する。池1の構造もゴルフホール回収装置の一部であるが、ここでは、池1の構造以外の構造を説明する。尚、図3には第3の集球溝5cは記載されていない。ゴルフボール回収装置100は、池1の内部を移動する回収本体110と、回収本体110を池1の内部で移動させる駆動部200と、位置センサ240と、を備える。
【0026】
回収本体110は、池1の内部で前後方向に駆動部200により移動される部材である。回収本体110は、池1の前後方向に移動されることにより、池1の底部2に落下したゴルフボールを、池1の前後方向に移動させる。回収本体110の詳細は、後述する。
【0027】
駆動部200は、エンドレスウインチ210と、第1のピット8内のワイヤーロープシーブ11と、傾斜壁4に取り付けられたワイヤーロープシーブ220と、エンドレスウインチ210とワイヤーロープシーブ220との間に掛け渡されるワイヤーロープ230と、を備える。
【0028】
エンドレスウインチ210は、第1のピット8の後方に設置される。エンドレスウインチ210は、モータ210aにより回転する2つのドラム210bを備え、2つのドラム210bには、ワイヤーロープ230が巻きかけられる。ワイヤーロープ230は、ステンレス鋼で形成された素線を組み合わせて形成されたロープである。
【0029】
ワイヤーロープシーブ11は、第1のピット8内に収納され、複数のワイヤーロープシーブユニット11aから構成される。エンドレスウインチ210から導出されたワイヤーロープ230は、第1のピット8内の複数のワイヤーロープシーブユニット11aにより、方向を変更され、池1の傾斜壁4に設けられた貫通孔から導出される。
【0030】
回収本体110は、エンドレスウインチ210とワイヤーロープシーブ220との間で、ワイヤーロープ230に連結されている。エンドレスウインチ210の2つのドラム210bを一定の方向に回転させることにより、ワイヤーロープ230に連結された回収本体110を前方向又は後方向の何れか一方に移動させる。また、エンドレスウインチ210は、2つのドラムを一定の方向とは逆方向に回転させることで、ワイヤーロープ230に連結された回収本体110を前方向又は後方向の何れか他方に移動させる。
【0031】
位置センサ240は、池1の底部2を移動する回収本体110の位置を検出するセンサである。位置センサ240は、第1の集球溝5a、第2の集球溝5bの手前に配置され、回収本体110が、第1の集球溝5a、第2の集球溝5bの手前の位置に到達したことを検知する。位置センサ240として、例えば、光電センサ、機械式センサを用いることができる。本実施の形態では、光電センサを使用し、投光器と受光器を池1の側壁3に対向して取り付ける。光電センサは、回収本体110が投光器からの光を遮ることにより、回収本体110が、第1の集球溝5a、第2の集球溝5bの手前に来たことを検知する。光電センサが検知した結果に基づいて、回収本体110は停止される。
【0032】
回収本体110を、図4及び図5に示す。図4(a)は、回収本体110のガイドシーブが取り付けられた部分の側面の模式図、図4(b)は、図4(a)の底面図、図4(c)は、回収本体110の車輪が取り付けられた部分の側面の模式図である。図5は、防球ネットを外したフレーム本体を示し、図5(a)は、フレーム本体の上面図、図5(b)は、図5(a)の点線Pで囲った部分の拡大正面図、図5(c)は、図5(b)のX方向から見た図、図5(d)は、図5(a)の点線Qで囲った部分の拡大図である。回収本体110は、フレーム本体111と、フレーム本体111を覆う防球ネット112と、回収本体110を移動させる車輪113と、回収本体110の側部に取り付けられたサイドローラ114と、ワイヤーロープ230を取り付けるワイヤーロープ固定部115と、ゴルフボールを移動させる回収部116と、を備える。
【0033】
フレーム本体111は、図5に示すように、複数のフレームユニット111aを連結して形成されたフレーム部材であり、繊維強化プラスチック(FRP)等で形成されたパイプ状の部材である。フレーム本体111の外形は、図3図5(a)に示すように、池1の左右方向に長辺が伸びる柱状に形成されている。左右方向の長さは、池の底部の左右方向の長さと略等しく、前後方向の長さは、本実施の形態では、60cmである。
【0034】
フレーム本体111は、前側の側面の上部に配置され左右方向に伸びるパイプ状の上部フレームユニット111aaと、前側の側面の下部に配置され左右方向に伸び、上部フレームユニット111aaに対して傾斜した位置に配置されるパイプ状の下部フレームユニット111abと、フレーム本体111の上面で前後方向に配置されるパイプ状の上面フレームユニット111acと、上面フレームユニット111acの上部で左右方向に伸びるパイプ状の頂部フレームユニット111adと、を備える。
【0035】
フレーム本体111の上部の左右方向の2箇所において、前後方向の2箇所に、ワイヤーロープ230を取り付けるワイヤーロープ固定部115が取り付けられている。フレーム本体111は、ワイヤーロープ固定部115に取り付けられたワイヤーロープ230がエンドレスウインチ210により引っ張られることにより移動される。ワイヤーロープ230は、ワイヤーロープシーブ220を経由し、フレーム本体111の下部を通過して、エンドレスウインチ210まで戻る。
【0036】
フレーム本体111の底部には、車輪113を取り付けるための車輪取付板111bが取り付けられている。車輪取付板111bは、図5(a)に示すように、上面視で、回収本体110の左右方向に所定の間隔で配置される。本実施の形態では、4箇所に取り付けられている。
【0037】
車輪113は、回収本体110を、池1の内部で前後方向に移動させる部材である。車輪113は、図4(c)、図5(a)に示すように、車輪取付板111bの前後端に2個ずつ取り付けられる。車輪113は、池1の底部2に接地して、回収本体110が移動することにともない、池1の底部2に沿って回転する。
【0038】
サイドローラ114は、回収本体110が移動される際に、回収本体110の左右方向の動きを規制する部材である。図5(a)(d)に示すように、サイドローラ114は、フレーム本体111の左右方向の端部のフレームユニット111aに取り付けられる。サイドローラ114は、図5(d)に示すように、回転軸が池1の底面と垂直に取り付けられ、外周部は池1の左右の側壁3に接触する。サイドローラ114は、左右のフレームユニット111aに各々2つ取り付けられるが、1つでもよい。サイドローラ114は、回収本体110が、池1の前後方向に移動されると、池1の一対の側壁3に、その外周面が接触されながら回転する。サイドローラ114が、左右の側壁3に接触しならが回転することにより、回収本体110の左右方向の移動を規制しながら、円滑に回収本体110を前後方向に移動させることができる。
【0039】
回収部116は、フレーム本体111の前後方向に対向する側面に、それぞれ取り付けられる。1つの回収部116は、図5(a)、図5(b)に示すように、フレーム本体111の左右方向に沿って伸び、池1の底部2に対して所定の角度の傾斜をつけて、フレーム本体111に取りつけられている。回収部116は、図5(b)(c)に示すように、フレーム本体111のフレームユニット111aの一部含み、例えば、上部フレームユニット111aaと、下部フレームユニット111abと、上部フレームユニット111aaと下部フレームユニット111abとの間に配置される回収板116aと、を備える。回収板116aは、フレーム本体111の左右方向に所定の間隔を隔てて、複数個配置される。ゴルフボールは、回収部116と接触することで移動される。
【0040】
頂部フレームユニット111adは、フレーム本体111の上部において、上面フレームユニット111acの上で対向する一対の上部フレームユニット111aaの間に配置され、図4(a)に示すように、フレーム本体111の頂部を形成する。頂部フレームユニット111adと後述する防球ネット112により、フレーム本体111の上部に落下したゴルフボール15は、傾斜面に沿って下方に移動されて、池1の中に入る。
【0041】
ワイヤーロープ固定部115は、ワイヤーロープ230を、フレーム本体111に取り付けるための部材である。図4(b)、図5(a)に示すように、ワイヤーロープ固定部115の一例であるシャックルが、フレーム本体111の前後の上部に取り付けられている。シャックルは、ワイヤーロープ230の端部を通して固定するために、上面視でU字形に形成されている。
【0042】
また、図4(a)(b)に示すように、ワイヤーロープ固定部115が取り付けられたフレーム本体111の下部には、前後方向に伸びるワイヤロープガイド管117が配置されている。ワイヤロープガイド管117の前後端の近傍には、ガイドシーブ118が配置されている。ワイヤーロープシーブ220からエンドレスウインチ210へ戻るワイヤーロープ230は、ガイドシーブ118に案内されながら、ワイヤロープガイド管117の中を通り、エンドレスウインチ210に戻る。
【0043】
防球ネット112は、図3図4(a)に示すように、フレーム本体111の底部を除く全体を覆うネットである。防球ネット112は、樹脂部材で形成されたネットであり、フレーム本体111を保護するともに、フレーム本体111の内部に異物が入ることを防止する。
【0044】
次に、本実施の形態のゴルフボール回収装置100を使用して、ゴルフボールを回収する方法について説明する。具体的には、図3図6(a)を参照して、ゴルフボールを回収する方法について説明する。
【0045】
まず、図3において、回収本体110は、初期位置として池1の後端部に配置される。エンドレスウインチ210が一定方向に回転することにより、ワイヤーロープ230が矢印方向に移動して、ワイヤーロープ230に取り付けられた回収本体110は、前方向に移動する。回収本体110が前方向に移動することにより、池1の底部2に溜まったゴルフボールは、回収本体110の回収部116により押されて、前方向に移動される。そして、図6(a)に示すように、回収本体110が、第2の集球溝5bの手前の位置まで来ると、回収本体110により移動されたゴルフボールは、第2の集球溝5bに落下する。このとき、池1の側壁3に取り付けられた位置センサ240が、回収本体110の位置を検知するので、回収本体110は、第2の集球溝5bの手前で停止する。
【0046】
次に、エンドレスウインチ210が、自動的に切り替えられ、逆方向に回転することにより、ワイヤーロープ230は、図3の矢印とは逆方向に移動して、ワイヤーロープ230に取り付けられた回収本体110が、後方向に移動する。回収本体110が後方向に移動することにより、池1の底部2に溜まったゴルフボールは、回収本体110の回収部116により押されて、後方向に移動される。そして、図6(a)に示すように、回収本体110が、第1の集球溝5aの手前の位置まで来ると、回収本体110により移動されたゴルフボールは、第1の集球溝5aに落下する。このとき、池1の側壁3に取り付けられた位置センサ240が、回収本体110の位置を検知するので、回収本体110は、第1の集球溝5aの手前で停止する。尚、エンドレスウインチ210の正逆の切替運転は、タイマーをセットして自動的に切り替えることにより、一定の運転サイクルを継続することができる。また、悪天候等によりゴルファー人数が少ないときには、手動で正逆を切り替えてもよい。
【0047】
第1の集球溝5a、第2の集球溝5bに落下したゴルフボールは、それぞれの集球溝内部を右から左の方向に移動し、揚球装置7を介して移送溝6に移動される。移送溝6に移動されたゴルフボールは、池1の後から前に向けて移動され、水-球分離装置へと運ばれる。
【0048】
(変形例)
実施の形態1では、一台の回収本体110を使用する例を説明したが、二台の回収本体110を使用することもできる。図6(b)、図7は、二台の回収本体110を使用してゴルフボールを回収するゴルフボール回収装置を示す。
【0049】
実施の形態1と相違して、本変形例では、二台の回収本体110a、110bと、池1の中央に設けた仕切壁12と、仕切壁12の両側に設けた第3の集球溝5cと、第4の集球溝5dを備える。二台の回収本体110a、110bの構造は、実施の形態1と同一の構造であり、詳細な説明は省略する。
【0050】
仕切壁12は、池1の中央において左右方向に伸びて形成された壁であり、池1を、第1の領域2aと、第2の領域2bに仕切る壁である。仕切壁12の高さは、池1に水を入れたときの水面と略同じ高さとなるように形成されている。回収本体110aは、第1の領域2a内で移動し、回収本体110bは、第2の領域2b内で移動する。
【0051】
仕切壁12の頂部及び第3の集球溝5c、第4の集球溝5dの上部には、複数のワイヤーロープシーブユニットから構成されたワイヤーロープシーブ13が取り付けられている。回収本体110aと回収本体110bとは、所定の長さのワイヤーロープ230で連結されており、ワイヤーロープシーブ13は、連結部分のワイヤーロープ230を仕切壁12において案内する。回収本体110aと回収本体110bは、第1の集球溝5a、第2の集球溝5b、第3の集球溝5c、及び第4の集球溝5dの近傍に設けられた位置センサ240により位置を検出されて、停止される。
【0052】
本変形例のゴルフ回収装置100使用したゴルフ回収方法について説明する。まず、図7において、回収本体110aは、初期位置で第3の集球溝5cの近くに配置され、回収本体110bは、第1の集球溝5aの近くに配置される。この状態で、エンドレスウインチ210が一定方向に回転することにより、ワイヤーロープ230は、図7の矢印で示す方向に移動し、回収本体110aと回収本体110bを、前方向に移動させる。図6(b)に示すように、回収本体110aが、前方向に移動することにより、池1の第1の領域2aに落下したゴルフボールは、前方向に移動され、第2の集球溝5bに落下する。回収本体110bが、前方向に移動することにより、池1の第2の領域2bに落下したゴルフボールは、前方向に移動され、第4の集球溝5dに落下する。
【0053】
次に、所定の時間が経過して、池1にゴルフボールが溜まったら、エンドレスウインチ210を逆方向に回転させ、回収本体110aと回収本体110bを、後方向に移動させる。この動作により、図6(b)に示すように、第1の領域2aに落下したゴルフボールは、第3の集球溝5cに落下し、第2の領域2bに落下したゴルフボールは、第1の集球溝5aに落下する。そして、第1の集球溝5a、第2の集球溝5b、第3の集球溝5c、及び第4の集球溝5dに落下したゴルフボールは、溝の中を右から左方向に移動されて、揚球装置7を介して移送溝6に移動される。移送溝6に移動されたゴルフボールは、移送溝6の中を後から前方向に移動されて、水-球分離装置まで運搬される。
【0054】
本変形例によれば、二台の回収本体110a、110bを備えることにより、短時間でゴルフボールを回収することができる。また、池1を、仕切壁12により、第1の領域2aと第2の領域2bとに分離し、仕切壁12の高さは、池1の水位と略同一としたので、領域毎に池1の水を排出することができる。領域毎に排水できるので、排水するためのポンプ稼働時間とエネルギーを節約することができる。また、排水された水を貯水する場合には、貯水槽を小さくすることができる。
【0055】
(実施の形態2)
実施の形態1では、エンドレスウインチ210を用いて、ゴルフボールを回収するゴルフボール回収装置を説明したが、エンドレスウインチ210ではなく、単胴ウインチを用いてもよい。
【0056】
図8は、単胴ウインチを使用した場合のゴルフボール回収装置の全体斜視図を示す。実施の形態1と同様に、ゴルフボール回収装置100は、池1の内部に設置された回収本体110と、回収本体110を池1の内部で移動させる駆動部200と、を備える。池1の構造は、実施の形態1と同一である。
【0057】
駆動部200は、単胴ウインチ250と、ワイヤーロープ230と、ワイヤーロープシーブ11と、を備える。単胴ウインチ250は、1つのドラムにワイヤーロープ230の一端を巻きかけ、他端を壁面に固定して、物体を移動させるウインチである。本実施の形態では、単胴ウインチ250は、前側のワイヤーロープピット201の前方と、後側のワイヤーロープピット201の後方の2か所にそれぞれ設置される。以後、前側の単胴ウインチを第1の単胴ウインチ250a、後側の単胴ウインチを第2の単胴ウインチ250bという。図8に示すように、第2の単胴ウインチ250bから導出されたワイヤーロープ230は、回収本体110を経由して、前側の傾斜壁4に設けた固定金具14に固定される。第1の単胴ウインチ250aから導出されたワイヤーロープ230は、回収本体110を経由して、後側の傾斜壁4に設けた固定金具14に固定される。
【0058】
回収本体110は、実施の形態1で説明した回収本体110と同様に、フレーム本体111と、防球ネット112と、車輪113と、サイドローラ114と、回収部116を備える。本実施の形態の回収本体110は、実施の形態1のワイヤーロープ固定部115、ワイヤロープガイド管117、ガイドシーブ118は、備えず、ワイヤーロープ230が巻きかけられるガイドシーブ119を備える点で相違する。同一構造の部材については説明を省略する。ガイドシーブ119は、第2の単胴ウインチ250bから前側の固定金具14までワイヤーロープ230を、回収本体110の内部でガイドする一対の前側ガイドシーブ119aと、第1の単胴ウインチ250aから後側の固定金具14までワイヤーロープ230を、回収本体110の内部でガイドする後側ガイドシーブ119bと、から構成される。
【0059】
回収本体110を、前進させたいときには、第2の単胴ウインチ250bは、ワイヤーロープ230を巻き取る方向に回転させ、第1の単胴ウインチ250aは、ワイヤーロープ230を開放する方向(巻き取る方向とは逆方向)に回転させる。回収本体110を、後進させたい場合には、第2の単胴ウインチ250bは、ワイヤーロープ230を開放する方向に回転させ、第1の単胴ウインチ250aは、ワイヤーロープ230を巻き取る方向に回転させる。回収本体110は、第1の集球溝5a及び第2の集球溝5bの手前に設けた図示しない位置センサにより位置を検知され、第1の集球溝5a及び第2の集球溝5bの手前で停止される。
【0060】
次に、本実施の形態のゴルフボール回収装置100を使用して、ゴルフボールを回収する方法について説明する。具体的には、図8図9(a)を参照して、ゴルフボールを回収する方法について説明する。
【0061】
図8図9(a)において、第2の単胴ウインチ250bを巻き取る方向に回転させ、第1の単胴ウインチ250aを開放する方向に回転させると、図8に示す矢印方向に、ワイヤーロープ230が移動して、回収本体110は前進する。回収本体110が前方向に移動することにより、池1の底部2に溜まったゴルフボールは、回収本体110の回収部116により押されて、前方向に移動される。そして、図9(a)に示すように、回収本体110により移動されたゴルフボールは、第2の集球溝5bに落下する。
【0062】
第1の単胴ウインチ250aを巻き取る方向に回転させ、第2の単胴ウインチ250bを開放する方向に回転させると、図8に示す矢印方向とは逆に、ワイヤーロープ230が移動して、回収本体110は後進する。回収本体110が後方向に移動することにより、池1の底部2に溜まったゴルフボールは、回収本体110の回収部116により押されて、後方向に移動される。そして、回収本体110により移動されたゴルフボールは、第1の集球溝5aに落下する。第1の集球溝5a、第2の集球溝5bに落下したゴルフボールは、それぞれの集球溝内部を右から左の方向に移動した後、移送溝6に移動され、更に、水-球分離装置へと運ばれる。
【0063】
本実施の形態によれは、2台の単胴ウインチ250を使用して、回収本体110を移動させるので、エンドレスウインチ210を使用するよりも、小さな力で回収本体110を移動させることができる。また、ワイヤーロープ230の取り回しも、エンドレスウインチ210を使用するより容易である。また、2台の単胴ウインチ250は、巻き取る方向と開放する方向と互いに反対方向に回転するので、乱巻状態を考慮すると小さい池での使用が推奨される。
【0064】
(変形例)
実施の形態2では、一台の回収本体110を単胴ウインチ250により移動させることを説明したが、エンドレスウインチ210の変形例と同様に、二台の回収本体110を使用することもできる。単胴ウインチ250以外の構成は、実施の形態2の構造と同一であるので、詳細は省略する。
【0065】
変形例において、ゴルフボールを回収する場合を図9(b)、図10に基づいて説明する。初期位置では、回収本体110aは、図9(b)、図10において、第3の集球溝5cの近くに配置され、回収本体110bは、第1の集球溝5aの近くに配置される。この状態で、第2の単胴ウインチ250bは、ワイヤーロープ230を巻き取る方向に、第1の単胴ウインチ250aは、ワイヤーロープ230を開放する方向に回転させる。ワイヤーロープ230は、図10の矢印で示す方向に移動し、回収本体110a、回収本体110bを、前方向に移動させる。回収本体110a、回収本体110bを後方向に移動させるときには、第2の単胴ウインチ250bは、ワイヤーロープ230を開放する方向に、第1の単胴ウインチ250aは、ワイヤーロープ230を巻き取る方向に回転させる。これらの動作により、回収本体110aと回収本体110bは前進又は後進し、第1の領域2aに落下したゴルフボールは第2の集球溝5b、第3の集球溝5cに落下し、第2の領域2bに落下したゴルフボールは、第1の集球溝5a、第4の集球溝5dに落下する。そして、ゴルフボールは、移送溝6に移動されて、その後、水-球分離装置まで運搬される。
【0066】
(実施の形態3)
実施の形態1、2では、回収部116は、フレーム本体111に固定され、回収部116と池1の底部2との距離は一定であったが、回収部116を可動させて、池1の底部2との距離を変動させてもよい。
【0067】
図11、12は、本実施の形態で使用するゴルフボール回収装置100の全体斜視図を示す。池1は、底部2と、底部2の左右方向の端部から垂直に立ち上がる一対の側壁と、底部2の前後方向の端部から傾斜しながら立ち上がる一対の傾斜壁4と、を備える。側壁は記載を省略している。池1の前方には、集球溝5eが池の左右方向に沿って形成されている。
【0068】
ゴルフボール回収装置100は、回収本体120と、回収本体120を池1の内部で移動させる駆動部200と、を備える。駆動部200は、エンドレスウインチ210と、ワイヤーロープシーブ11と、ワイヤーロープシーブ220と、エンドレスウインチ210とワイヤーロープシーブ220との間に掛け渡されるワイヤーロープ230と、を備える。
【0069】
回収本体120は、実施の形態1、2と同様に、図15に示すように、パイプを連結して形成されたフレーム本体111と、フレーム本体111の前側の全面に取り付けられた回収部130と、補助フレーム140と、を備える。フレーム本体111は、実施の形態1、2と同様に、フレームユニット111aを連結して形成される。フレームユニット111aは、上部フレームユニット111aaと、下部フレームユニット111abと、上面フレームユニット111acと、を備え、頂部フレームユニット111adは、備えていない。
【0070】
回収部130は、図15に示すように、回収本体120の前方の全面に取り付けられた左右方向に伸びる部材である。回収部130は、フレーム本体111の前方の全面にのみ取り付けられ、後方の全面には取り付けられていない。図15では、回収部130は、右半分の全面にのみ取り付けられているが、左半分の全面にも同様に回収部130と補助フレーム140が取り付けられる。回収部130は、図11、12、14(a)(b)に示すように池1の底面に対して起き上がった状態(図11、14(a))と、傾斜した状態(図12、14(b))とに角度を変更することができる。この角度の変更は、補助フレーム140を介して実行される。
【0071】
回収部130は、図16に示すように、複数の揺動板131と、複数の揺動板131を連結する揺動板連結パイプ132と、連結補助棒133と、池1の下面に近接して配置されるエッジ部134と、防護ネット135と、を備える。
【0072】
揺動板131は、板状部材であり、側面視で弓形状に形成され、板面が左右方向に向き、厚み部分が前後方向を向くように配置される。揺動板131は、回収部130の中央に配置される揺動板主材131aと、揺動板主材131aの左右に複数配置される揺動板補助材131bと、から構成される。図16では、回収部130の左側半分のみ記載されている。
【0073】
揺動板主材131aと揺動板補助材131bとは、上部が揺動板連結パイプ132で連結され、中央部を連結補助棒133が貫通する。
【0074】
揺動板主材131a、揺動板補助材131bの下部は、エッジ部134により連結されている。エッジ部134は、回収部130の下部に配置された、左右方向に伸びる板状部材である。エッジ部134の板面は傾斜して配置され、下端は、後方に向けて折曲されている。エッジ部134の下端が池1の底部2に近接して配置されるので、回収部130が前方に向けて移動されると、エッジ部134の傾斜した板面によりゴルフボールが起こされて前方に移動される。
【0075】
防護ネット135は、エッジ部134と揺動板連結パイプ132の間に張られ、エッジ部134により移動されるゴルフボールが後方に移動しないように防護するネットである。
【0076】
補助フレーム140は、図15に示すように、上面視で三角形状に形成されたフレーム部材である。図15では、右側に一つの補助フレーム140が開示されているが、左側にも同様な補助フレーム140が取り付けられている。補助フレーム140は、三角形の底辺側が前側に配置され、底辺と対向する頂点側が後側に配置される。
【0077】
補助フレーム140は、図15、16に示すように、三角形の底辺を形成するレバー部連結パイプ141と、レバー部連結パイプ141の両端部と三角形の頂点を結ぶ2本の斜材142とを備える。斜材142には、張力を調整するための長さ調整ナット142aが取り付けられている。斜材142の三角形の頂点側の一端部は、レバーブラケット143にボルト止めされ、他端部は、レバー部連結パイプ141のブラケット147にボルト止めされている。
【0078】
レバー部連結パイプ141と揺動板連結パイプ132とは、けん引揺動レバー150により連結されている。けん引揺動レバー150の揺動板連結パイプ132側は、揺動板主材131a、揺動板補助材131bのそれぞれに連結されている。けん引揺動レバー150は、二つの前後方向に伸びるレバーを連結ピン151により連結して形成され、回収部130が揺動することに伴い、連結ピン151を支点に前側のレバーが揺動する。
【0079】
フレーム本体111の前側の上部フレームユニット111aaと、後側の上部フレームユニット111aaとは、フレームユニット連結部材160により連結されている。補助フレーム140は、前後の上部フレームユニット111aaとフレームユニット連結部材160の上方に配置される。フレームユニット連結部材160の後端には、スライド孔161aが形成されたワイヤーロープ取付板161が取り付けられている。スライド孔161aにスライドピン161bが挿入され、スライドピン161bにワイヤーロープ固定部115として機能するシャックルが取り付けられる。シャックルには、ワイヤーロープ230の端末が取り付けられる。スライドピン161bにはけん引長ボルト162の一端部が接続される。けん引長ボルト162の他端部は、レバーブラケット143にスプリング144とともに挿入され、ボルト145により固定されている。
【0080】
レバー部連結パイプ141とレバーブラケット143とは、けん引レバー146により連結されている。一方、揺動連結パイプ132の揺動板主材131aには、ワイヤーロープ固定部115として機能するシャックルが取り付けられ、このシャックルにワイヤーロープ230の端末が取り付けられる。また、フレームユニット連結部材160の下方を、戻りのワイヤーロープ230が通過する。
【0081】
図16は、前側のワイヤーロープ固定部115に取り付けられたワイヤーロープ230が、引っ張られた状態を示し、回収部130は、連結ピン131dを支点として回転し、図14(a)に示すように回転して起き上がる。回収部130の下端は、起き上がることにより池1の底部2に近接するので、ゴルフボールを回収する状態となる。回収部130が、後進するときには、後側のワイヤーロープ固定部115に取り付けられたワイヤーロープ230により回収部130は引っ張られるので、回収部130は、連結ピン131dを支点として、図14(a)に示す矢印方向に回転して、図14(b)に示すように、傾斜した状態となる。回収部130の下端は、傾斜することにより池1の底部2から遠ざかるので、ゴルフボールは回収しない状態となる。
【0082】
回収部130は、けん引揺動レバー150により補助フレーム140に連結されている。ワイヤーロープ230が引っ張られることにより、けん引レバー146を介して、斜材142も前方に移動され、斜材142に連結されたレバー部連結パイプ141も前方に引っ張られる。この引張り力により、揺動板補助材131bも、けん引揺動レバー150及び揺動板連結パイプ132を介して起き上がる。このように、補助フレーム140を備えることにより、前側のワイヤーロープ230を引くことで、小さな力で回収部130の揺動板131を起こすことができる。
【0083】
本実施の形態で使用する防護ネット135は、回収本体120の前面にのみ取り付けられる。実施の形態1、2で使用する防護ネットのように回収本体110の全体を覆う防護ネットではない。本実施の形態では、回収本体120は、前進するときにのみゴルフボールを回収し、後進するときには、ゴルフボールを回収しないので、防護ネットで全体を保護する必要がない。
【0084】
可動式の回収本体120を使用したゴルフボールの回収方法について、図11-14、16を用いて説明する。初期位置では、回収本体120は、図11の後端部に位置する。この状態でエンドレスウインチ210を駆動させて、前側のワイヤーロープ230を矢印の方向に引っ張り、回収本体120を前進させる。回収本体120が前進すると、回収部130は、図14(a)、図16に示すように、補助フレーム140により引っ張られて、起き上がった状態となる。この状態で、図11、13に示すように、回収本体120を前進させると、回収本体120は、ゴルフボールに接触してゴルフボールを前方に移動させる。回収本体120は、集球溝5eの手前に到着したら、図示しない位置センサにより位置を検知されて停止する。回収本体120により移動されたゴルフボールは、集球溝5eに落下し、落下したゴルフボールは、集球溝5eの中を右から左に移動して、その後、水-球分離装置まで運搬される。
【0085】
ゴルフボールの回収が終了したら、エンドレスウインチ210は、逆方向に回転させて、回収本体120を後進させる。図12図14(b)に示すように、回収部130は、前側のワイヤーロープ230では引っ張られず、後側のワイヤーロープ230が引っ張られるので、回収部130は傾斜した状態となり、池1の底部2との間に間隔を空けながら後進する。したがって、後進する時には、ゴルフボールの回収はしない。
【0086】
本実施の形態によれば、可動式の回収部130を使用することにより、回収本体120が前進するときのみに、ゴルフボールを回収するので、前側の端部に一つの集球溝5eを設けてゴルフボールを回収する。したがって、集球溝は一つあればよく、複数の集球溝を設けた場合のように、移送溝6を設ける必要はない。よって、池1の構造が簡素化され、工事も容易になり、コストも削減される。
【0087】
(実施の形態4)
実施の形態1-3では、四角形の池1に落下したゴルフボールを回収する場合につい説明したが、池1の形状は、四角形に限定されない。本実施の形態では、円形の池を含む場合のゴルフボールの回収方法について説明する。
【0088】
図17(a)は、円形の池と四角形の池が合体した池をもつゴルフ練習場の要部を示す上面図であり、図17(b)は、図17(a)の側断面図である。図に示すように、ゴルフ練習場は、四角形の第1の池300と、円形の第2の池310を備える。第1の池300と第2の池310との間には、グリーン400がある。
【0089】
第1の池300は、実施の形態1で示した池1の構造と同一である。左右方向に伸びた形状を有する第1の回収本体211が、四角形の第1の池300の中に配置される。第1の回収本体211は、エンドレスウインチ301により、第1の池300の前後方向に移動されてゴルフボールを移動させる。移動されたゴルフボールは、第1の集球溝5aまたは第2の集球溝5bに落下し、右から左方向に移動され、揚球装置により移送溝6に移動される。
【0090】
第2の池310は、円形の池であり、グリーン400により円の一部が切り欠かれた形状を備える。第2の池310の外周には、ワイヤーロープ504が後述するガイド部によって取り付けられる。ワイヤーロープ504は、エンドレスウインチ503により引っ張られる。また、第2の池310には、池の中心から半径方向に伸びる第2の回収本体500が設置されている。グリーン400の外周には、集球溝540が形成され、後方向から前方向に向けて傾斜している。また、グリーン400の外周は法部となっており、グリーン400の外側に向けて下方に傾斜した構造となっている。第2の回収本体500が集球溝540にゴルフボールを落下させるために、第2の回収本体500が法部の下部に入り込む必要があり、法部の下部は、第2の回収本体500が進入するための空間が形成されている。集球溝540は、第1の池300の第1の集球溝5aと連通する。集球溝540に落下したゴルフボールは、後方向から前方向に移動され、第1の集球溝5aに入る。第1の集球溝5aに入ったゴルフボールは、第1の池300で回収されたゴルフボールとともに、移送溝6に入り、水-球分離装置に移送される。
【0091】
図18(a)は、第2の回収本体500の要部を示す上面図、図18(b)は、第2の回収本体500の要部を示す側面図であり、図18(c)は、(a)のC-C線での断面図である。図18(a)(b)に示すように、第2回収本体500は、第2の池310の中心に配置された中心部510と、中心部510から半径方向外側に向けて伸びる回収部520と、回収部520の端部と係合するガイド部530と、を備える。
【0092】
中心部510は、第2の池310の底部501から垂直に伸びる長軸511と、凹部512と、基台513と、回転ベース512aと、を備える。長軸511はステンレス、FRP等の樹脂部材で形成され、上部を第2の池310の側壁502にブラケット511aを介して接続されている。長軸511の下端には、外周方向に拡大し、下方向に開口する凹部512が形成されている。凹部512には半径方向外側に伸び、凹部512が回転することで回転する板状の回転ベース512aが取り付けられている。基台513は、第2の池310の底部501にアンカーボルト512bにより固定され、上方に突出する凸部512cが形成されている。凸部512cが、凹部512に挿入される。
【0093】
回収部520は、第2の池310の底部501に溜まったゴルフボールを、円形の第2の池310において、時計方向又は反時計方向に移動させる部材である。回収部520は、凹部512の外周に連結され、凹部512の外周から半径方向外側に向けて伸び、スライド部521と、パイプ部522と、係合部523と、を備える。パイプ部522は、FRPで形成されたパイプ状の部材であり、時計回り又は反時計回りに回転されることにより、パイプ部522の外周でゴルフボールを押して、時計回り又は反時計回りにゴルフボールを移動させる。スライド部521は、凹部512とパイプ部522との間に配置され、スライド棒521aと回転阻止部521bとを備える。スライド棒521aは、ステンレス等で形成され、スライド棒521aの一端部が、パイプ部522に差し込まれ、他端が後述するスライド用パイプ金具に差し込まれる。スライド棒521aは、パイプ部522に差し込まれる部分である第1の部分521aaと、スライド用パイプ金具に差し込まれる部分である第2の部分521abの二つの部分を備える。本実施の形態では、スライド棒521aのパイプ部522に差し込まれる第1の部分521aaの外径は、ここでは、40mmであり、スライド用パイプ金具に差し込まれる第2の部分521abの外径は30mmである。パイプ部522の内径は40mmである。
【0094】
スライド棒521aとパイプ部522とは、ジョイントピース521dを介して固定される。ジョイントピース521dは、図18(a)~(c)に示すように、パイプ部522の外側を左右方向から挟み込む一対の板を備え、一対の板の内側はパイプ部522の外形寸法と合致するように形成されている。ジョイントピース521dにより挟まれたパイプ部522にはスライド棒521aの第1の部分521aaが差し込まれる。ジョイントピース521d、パイプ部522、及びスライド棒521aの第1の部分521aaには、各々ボルト孔が形成されており、各々のボルト孔の位置を合わせて、これらのボルト孔にボルト521cを挿入して締結することにより、ジョイントピース521dとパイプ部522とスライド棒521aとは固定される。ジョイントピース521dとパイプ部522とスライド棒521aが固定されることで、ジョイントピース521dは、直方体の外形を形成する。
【0095】
回転阻止部521bは、図18(a)~(c)に示すように、断面形状が、逆コ字型に形成されている。回転阻止部521bの逆コ字型に形成された凹部にジョイントピース521dが挿入される。ジョイントピース521dは組立てられた状態で、直方体の形状を備え、この状態で、ジョイントピース521dが回転阻止部b521bの凹部に差し込まれることにより、ジョイントピース521dは回転を阻止される。
【0096】
回転ベース512aは、上面板512aaと、回転ベース512aが伸びる方向に伸びる側面を形成する一対の長板512abとを備え、断面形状が逆コ字型に形成される。また、一対の長板512abの両側には、開口を塞ぐ板が取り付けられる。回転ベース512aの裏側には、スライド用パイプ金物521eが、一体的に固定されている。スライド用パイプ金物521eは、パイプ状の金物であり、内部にスライド棒521aの第2の部分521abが挿入される。スライド用パイプ金物521eの内径は30mmである。スライド棒521aの第2の部分521abが、半径方向(前後方向)に、スライド用パイプ金物521eの中を移動することにより、回収部520は、半径方向に伸縮する。
【0097】
図18(a)は、回収部520が縮小した状態を示し、図18(b)は、回収部520が伸長した状態を示す。図18(b)では、スライド棒521aが最大長m伸びた状態を示している。このように、回収部520を、スライド部521により半径方向にスライドできるようにしたので、ゴルフボールが移動されている間にボール等の負荷によりパイプ部522にたわみが生じても、回収部520の長さが変化するので、運転状態を良好に保つことができる。また、回収部520の取付誤差等を吸収することができる。
【0098】
パイプ部522の凹部512とは反対側の端部には、係合部523の外周を覆い回転自由な受けローラ522aが取り付けられる。受けローラ522aは、ナイロン製であり、係合部523の外周に巻き付けられることにより、第2の池310の底部501とパイプ部522との間に隙間を形成することができる。この隙間があることにより、パイプ部522が底部501に接触することなく、パイプ部522の摩耗を防ぐことができる。
【0099】
係合部523は、後述するガイド部530と係合する部材である。係合部523は、図18(b)、図19に示すように、ロープガイド523aと、プレートガイド523bを備える。ロープガイド523aは、ワイヤーロープ504の両端末が固定される部材であり、ワイヤーロープ504がエンドレスウインチ503により引っ張られることにより、移動される。プレートガイド523bは、ガイドプレート533によりガイドされる。
【0100】
ガイド部530は、図19に示すように、シーブ531と、シーブブラケット532と、ガイドプレート533と、を備える。シーブ531は、回転軸を第2の池310の半径方向と同一方向に配置された滑車であり、シーブ531の上下をワイヤーロープ504が通過する。シーブブラケット532は、シーブ531を保護し、シーブ531を第2の池310の内周面に、アンカーボルト532aにより、取り付ける部材である。シーブ531とシーブブラケット532の組合せは、第2の池310の内周面に、所定の間隔をあけて取り付けられる。
【0101】
ワイヤーロープ504がエンドレスウインチ503により引っ張られると、プレートガイド523bがガイドプレート533によりガイドされ、回収部520は、第2の池310の内部を移動する。
【0102】
本実施の形態において、第2の池310でゴルフボールを回収する方法について説明する。第2の回収本体500は、図17の右側の点線である第1の位置から左側の点線の第2の位置まで移動する。第1の位置と第2の位置で、第2の回収本体500は、グリーン400の法部の下部に入り込んだ状態である。第2の回収本体500は、初期位置では、第1の位置に配置される。そして、エンドレスウインチ503により、矢印方向にワイヤーロープ504が引っ張られることにより、ワイヤーロープ504が接続された回収部520が、時計回りに回転する。
【0103】
そのとき、回収部520の先端のプレートガイド523bとワイヤーロープ504との間に、ガイド部530のガイドプレート533が入り込み、プレートガイド523bがガイドプレート533によりガイドされて、回収部520は移動する。スライド部521があることにより、パイプ部522は半径方向にスライドでき、半径方向の回収部520の歪みによる長さの変動を吸収することができる。
【0104】
回収部520が、第2の池310の左側の点線位置まで時計回りに回転することにより、第2の池310の底部501に落下したゴルフボールを、パイプ部522により時計回り方向に移動させる。回収部520が左側の点線位置まで移動すると、図示しない位置センサにより位置を検知され、回収部520の移動は停止する。ゴルフボールは、回収部520により時計回り方向に移動され、集球溝540に落下して回収される。所定の時間が経過したら、エンドレスウインチ503を逆方向に回転させることにより、回収部520を反時計回りに回転させて、再びゴルフボールを回収する。
【0105】
本実施の形態によれば、円形の第2の池310に第2の回収本体500を設けることにより、円形の池でも効率的に、ゴルフボールを回収することができる。また、回収部520の先端を駆動させる方式を採用したので、池の半径が大きい場合にも回収装置を設置することができる。
【0106】
(変形例)
本実施の形態では、回収部520は、ワイヤーロープ504が引っ張られることによりロープガイド523aが移動され、ガイドプレート533によりプレートガイド523bでガイドされると説明したが、他の方法を採用してもよい。
【0107】
図20に示すように、回収部520の係合部523は、ロープガイド523aとプレートガイド523bの代わりに、ガイドローラ523cとロープガイド523dを用いる。また、ガイド部530のガイドプレート533の代わりに、ガイドレール534を用いる。
【0108】
ガイドローラ523cは、パイプ部522の先端に取り付けられ、一対の両ツバを備える車輪523ccから構成される。車輪523ccの軸はパイプ部522の軸と平行に配置され、車輪523ccの両ツバの間の円筒部分が、ガイドレール534と接触する。また、ガイドローラ523cのパイプ部522が取り付けられた側の反対側には、ワイヤーロープ504の端末が接続されたロープガイド523dが取り付けられる。
【0109】
ワイヤーロープ504は、第2の池310の側壁502の内面に沿って張設され、エンドレスウインチ503により移動される。側壁502には、所定の間隔で複数のシーブ531が取り付けられ、各シーブ531はシーブブラケット532に収納されている。シーブ531は、第2の池310の大きさにより個数が決定されるが、本実施の形態では、25~30個のシーブ531が、側壁502に取り付けられる。複数のシーブ531の上下にワイヤーロープ504が配置され、シーブ531によって、ワイヤーロープ504の動きを規制する。ロープガイド523dは、シーブ531の下側を通過するワイヤーロープ504に接続される。
【0110】
エンドレスウインチ503が回転することにより、ワイヤーロープ504は、図示の右方向又は左方向(時計回り又は反時計回り)に移動され、ワイヤーロープ504の移動に伴い、ワイヤーロープ504に接続されたロープガイド523dを介してガイドローラ523cがガイドレール534上を移動する。ガイドローラ523cが移動することで、パイプ部522が移動されて、第2の池310に落下しているゴルフボールを時計回り又は反時計回りに移動させる。移動されたゴルフボールは、集球溝540に落下して回収される。
【0111】
(揚球装置の変形例)
実施の形態1-4では、ゴルフボールは、揚球装置7により水中でエアーにより持ち揚げられて、移送溝6に移動されていたが、他の方式の揚球装置を使用してもよい。ラジアルゲートを使用した揚球装置の例を図21に示し、フラップゲートを使用した揚球装置の例を図22に示す。
【0112】
図21は、ラジアルゲートを使用した揚球装置を示し、図21(a)は、揚球装置の上面図、(b)は側面図、(c)はフレームゲートを(b)のY1方向から見た図である。図21に示すように、揚球装置600は、ゲート部610と駆動部620とを備える。
【0113】
ゲート部610は、ゲートフレーム612と扉体613を備える。ゲートフレーム612は扉体613を収納し、扉体613より一回り大きな外形を有する。扉体613は、湾曲した形状を備える板材であり、第1の集球溝5a(第2の集球溝5b、第3の集球溝5c、第4の集球溝5dも同様)の水の流れに対して板面を垂直に配置され、回転軸613aを中心に回転する。扉体613は、回転軸613aを中心に回転することにより、第1の集球溝5aの水路を開閉するゲートとして機能する。扉体613の上部には、ワイヤーロープ625が接続されており、ワイヤーロープ625は、ゲート部610の上部に設けたシーブ611を介して駆動部620に接続される。
【0114】
駆動部620は、電磁弁622と、重鎮箱623と、ガイド枠624を備える。電磁弁622は、重鎮箱623に水を供給する供給管622aの開閉を行う弁である。電磁弁622が開放されると、供給管622aに水が流れ、水は、給水口622bから重鎮箱623に供給される。重鎮箱623は、水を貯留する箱であり、上部にワイヤーロープ625が接続されている。ガイド枠624は、重鎮箱623の角部の外側に配置されて、重鎮箱623を上下方向にガイドする枠である。重鎮箱623に給水口622bから水が供給されると、重鎮箱623は、水の重みによりガイド枠624にガイドされて、下降する。重鎮箱623には、排水口623aが形成され、給水口622bからの水の供給量が、排水口623aからの水の排出量より多いので、供給量と排出量の差分が重鎮箱623に溜まることになる。重鎮箱623が下降すると、ワイヤーロープ625が引っ張られ、扉体613が開いてゴルフボールが回収される。ゴルフボールの回収が終了したら、電磁弁622は閉じ、給水口622aからの水の供給が停止する。重鎮箱623の底の排水口623aは、常時開放されているので、重鎮箱623に溜まっている水は排出口623aから流れて重心箱623は上昇する。
【0115】
本変形例の揚球装置600を使用方法について、説明する。第1の集球溝5aにある程度のゴルフボールが溜まったと、使用者が判断すると、使用者は、電磁弁622を開の状態にして重鎮箱623に水を供給する。重鎮箱623は水の重みにより下降して、ワイヤーロープ625は下方に引っ張られる。扉体613に接続されたワイヤーロープ625は上方に引っ張られ、扉体613は、回転軸613aを中心に回転する。扉体613は、ゲートを開くように移動するので、第1の集球溝5aに溜まったゴルフボールは、移送溝6へ移動する。所定の時間が経過すると、電磁弁622は閉じられ、重鎮箱623は上昇し、ゲートが閉じられる。
【0116】
図22は、フラップゲートを使用した揚球装置を示し、図22(a)は、揚球装置の上面図、(b)は側面図、(c)はフレームゲートを(b)のY2方向から見た図である。図22に示すように、揚球装置700は、ゲート部710と、駆動部720とを備える。
【0117】
ゲート部710は、角度付きレバー711と、フラップゲート712と、フラップゲート712を内部に収納するゲートフレーム713と、を備える。角度付きレバー711は、山の頂部が軸受台711aの軸受に連結されている。角度付きレバー711の一端部は、後述する連結バー724の一端部に連結され、その他端部が軸受台711aの軸受に連結され、連結ピン711bを介してフラップゲート712に連結されている。フラップゲート712は、第1の集球溝5aを開閉するゲートである。角度付きレバー711とフラップゲート712は、側面視で折曲した山形に形成され、山の頂部が連結ピン711bで連結されて、連結ピン711bを中心に矢印方向に移動する。角度付きレバー711が、連結バー724により連結ピン711bを中心に反時計回りに回転すると、フラップゲート712は開き、時計回りに回転すると、フラップゲート712は閉じる。
【0118】
駆動部720は、減速モータ722と、減速モータ722を載置するモータ架台722aと、減速モータ722に取り付けられた円形の回転板723と、リミットスイッチ721と、連結バー724と備える。
【0119】
減速モータ722の回転軸に、円形の回転板723の回転中心が接続され、回転板723は減速モータ722により時計回り又は反時計回りに回転される。連結バー724はコ字状に形成され、回転板723の円形の板の外周部に、コ字状の連結バーの一端部が連結され、他端部が角度付きレバー711に連結される。連結バー724は、回転板723が回転することにより、左右方向に揺動する。回転板723の外側には、リミットスイッチ721が2つ配置され、連結バー724が接触することで、ゲートが全開した位置と全閉した位置を検知する。
【0120】
本変形例の揚球装置700を使用方法について、説明する。第1の集球溝5aにある程度のゴルフボールが溜まったと使用者が判断すると、使用者は、減速モータ722を駆動させる。フラップゲート712が閉じている状態では、実線で示すように、角度付きレバー711は右側に傾き、連結バー724は、右側のリミットスイッチ721に接触して、減速モータ722の回転は停止している。この状態で減速モータ722が駆動され回転板723が反時計回りに回転すると、連結バー724が左側に揺動することにより角度付きレバー711は、左方向に傾く。すると、フラップゲート712は、連結ピン711bを中心に上方に回転して、ゲートを開く。回転板723は、フラップゲート712が閉じた状態から180°回転すると、左側のリミットスイッチ721に接触するので、減速モータ722の回転は停止する。フラップゲート712が開くことで、第1の集球溝5aに溜まったゴルフボールは、移送溝6へ移動する。
【0121】
本変形例によれば、ゲートを利用することで、簡単な構造で、楽にゴルフボールの回収をすることができる。
【0122】
実施の形態1-4では、ゴルフ練習場の池に設置されるゴルフボール回収装置を説明した。本発明に係るゴルフボール回収装置は、ゴルフ練習場の池のみならず、本来のゴルフコースの池にも設置することができる。
【0123】
実施の形態1-4では、位置センサ240として、光電センサを用いたが、光電センサの感度を上げる手段を付加してもよい。投光器と受光器を、池1の水面より高い位置の側壁3に設置し、回収本体110に上方に伸びるアンテナを設置して、アンテナにより投光器からの光が遮られたかを検知してもよい。
【0124】
実施の形態1-4では、位置センサ240として、光電センサを用いたが、機械式のセンサを用いてもよい。例えば、集球溝の手前に、池1の底部から上方に伸びるステンレス製の棒状のセンサを設置し、このセンサに接触したときに、集球溝の手前まで回収本体110が到達したことを検知してもよい。
【0125】
実施の形態1では、エンドレスウインチ210の回転は、図2、6(a)に示すように、前側に移動したのち、後側に移動すると説明したが、逆に移動させてもよい。また、初期位置は、池1の後端部であると説明したが、池1の何れに位置を初期位置にしてもよい。
【0126】
実施の形態3では、補助フレーム140を使用して、回収部130の揺動板131を引き起こすと説明したが、幅の狭い池で使用する場合など、回収部130の左右方向の長さが長くない場合には、使用しなくてもよい。
【0127】
実施の形態1-3では、四角形の池を、実施の形態4では、円形の池を説明したが、池の形は、四角形または円形に限定されない。
【0128】
実施の形態4では、第2の回収本体500は、時計回り又は半時計回しに回転して、ゴルフボールを回収すると説明した。実施の形態4でも実施の形態3で用いた立ち上がる状態と傾斜する状態に可動する第2の回収本体500を用いてもよい。例えば、第2の池310を時計回りに移動するときには、立ち上がってゴルフボールを回収し、半時計回りに移動するときには、傾斜してゴルフボールを回収しないようにする。
【0129】
実施の形態4では、ガイド部530のシーブ531は、その回転軸を第2の池310の半径方向と同一方向に配置すると説明したが、直交する方向に二台配置するようにしてもよい。
【0130】
実施の形態において、揚球装置の変形例としてフラップゲートを使用した例を説明した。フラップゲートの形態は、上述した形態に限定されない。例えば、連結バー724の駆動部720側の折曲部分を伸長して、端部をモータ架台722aに取付け、折曲部分の途中を回転板723に係合させるようにしてもよい。このような構造を採用すれば、回転板723の外形を小さくすることができ、減速モータ722の負荷を小さくできるとともに、減速モータ722の設置スペースを小さくすることができる。
【0131】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされる。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明は、ゴルフ練習場に形成された池に落ちたゴルフボールを回収するのに好適に利用できる。
【符号の説明】
【0133】
1 池、2 底部、2a 第1の領域、2b 第2の領域、3 側壁、4 傾斜壁、5a 第1の集球溝、5b 第2の集球溝、5c 第3の集球溝、5d 第4の集球溝、5e 集球溝、6 移送溝、7 揚球装置、8 第1のピット、8a 貫通孔、9 第2のピット、10 第3のピット、11,13,220 ワイヤーロープシーブ、11a ワイヤーロープシーブユニット、12 仕切壁、14 固定金具、15 ゴルフボール、100 ゴルフボール回収装置、110,110a,110b,120 回収本体、111 フレーム本体、111a フレームユニット、111b 車輪取付板、111aa 上部フレームユニット、111ab 下部フレームユニット、111ac 上面フレームユニット、111ad 頂部フレームユニット、112 防球ネット、113 車輪、114 サイドローラ、115 ワイヤーロープ固定部、116 回収部、116a 回収板、117 ワイヤロープガイド管、118,119 ガイドシーブ、119a 前側ガイドシーブ、119b 後側ガイドシーブ、130 回収部、131 揺動板、131a 揺動板主材、131b 揺動板補助材、131c 揺動板中間材、131d 連結ピン、132 揺動板連結パイプ、133 連結補助棒、134 エッジ部、135 防護ネット、140 補助フレーム、141 レバー部連結パイプ、142 斜材、142a 長さ調整ナット、143 レバーブラケット、144 スプリング、145 ボルト、146 けん引レバー、147 ブラケット、150 けん引揺動レバー、151 連結ピン、160 フレームユニット連結部材、161 ワイヤーロープ取付板、161a スライド孔、161b スライドピン 、162 けん引長ボルト、200 駆動部、201 ワイヤーロープピット、210,301,503 エンドレスウインチ、210a モータ、210b ドラム、211 第1の回収本体、230 ワイヤーロープ、240 位置センサ、250 単胴ウインチ、250a 第1の単胴ウインチ、250b 第2の単胴ウインチ、300 第1の池、310 第2の池、400 グリーン、500 第2の回収本体、501 底部、502 側壁、504 ワイヤーロープ、510 中央部、511 長軸、511a ブラケット、512 凹部、512a 回転ベース、512aa 上面板、512ab 長板、512b アンカーボルト、512c 凸部、513 基台、520 回収部、521 スライド部、521a スライド棒、521aa 第1の部分、521ab 第2の部分、521b 回転阻止部、521c ボルト、521d ジョイントピース、521e スライド用パイプ金物、522 パイプ部、522a 受けローラ、523 係合部、523a ロープガイド、523b プレートガイド、523c ガイドローラ、523cc 車輪、523d ロープガイド、530 ガイド部、531 シーブ、532 シーブブラケット、532a アンカーボルト、533 ガイドプレート、534 ガイドレール、540 集球溝、600 揚球装置、610 ゲート部、611 シーブ、612 ゲートフレーム、613 扉体、613a 回転軸、620 駆動部、621 シーブ、622 電磁弁、623 重鎮箱、622a 供給管、622b 給水口、623a 排水口、624 ガイド枠、625 ワイヤーロープ、700 揚球装置、710 ゲート部、711 角度付きレバー、711a 軸受台、711b 連結ピン、712 フラップゲート、713 ゲートフレーム、720 駆動部、721 リミットスイッチ、722 減速モータ、722a モータ架台、723 回転板、724 連結バー。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
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図17
図18
図19
図20
図21
図22