IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社惣助の特許一覧

特許7432943付加価値管理システム、方法、及びプログラム
<>
  • 特許-付加価値管理システム、方法、及びプログラム 図1
  • 特許-付加価値管理システム、方法、及びプログラム 図2
  • 特許-付加価値管理システム、方法、及びプログラム 図3
  • 特許-付加価値管理システム、方法、及びプログラム 図4
  • 特許-付加価値管理システム、方法、及びプログラム 図5
  • 特許-付加価値管理システム、方法、及びプログラム 図6
  • 特許-付加価値管理システム、方法、及びプログラム 図7
  • 特許-付加価値管理システム、方法、及びプログラム 図8
  • 特許-付加価値管理システム、方法、及びプログラム 図9
  • 特許-付加価値管理システム、方法、及びプログラム 図10
  • 特許-付加価値管理システム、方法、及びプログラム 図11
  • 特許-付加価値管理システム、方法、及びプログラム 図12
  • 特許-付加価値管理システム、方法、及びプログラム 図13
  • 特許-付加価値管理システム、方法、及びプログラム 図14
  • 特許-付加価値管理システム、方法、及びプログラム 図15
  • 特許-付加価値管理システム、方法、及びプログラム 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】付加価値管理システム、方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20240209BHJP
【FI】
G06Q50/04
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021203460
(22)【出願日】2021-12-15
(65)【公開番号】P2023088617
(43)【公開日】2023-06-27
【審査請求日】2022-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】521548847
【氏名又は名称】株式会社惣助
(74)【代理人】
【識別番号】110002435
【氏名又は名称】弁理士法人井上国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077919
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100172638
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 隆治
(74)【代理人】
【識別番号】100153899
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100159363
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 淳子
(72)【発明者】
【氏名】牛木 宏昌
【審査官】鈴木 和樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-122424(JP,A)
【文献】特開2003-242327(JP,A)
【文献】特開2006-221573(JP,A)
【文献】特開2002-229630(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受注に応じた1つ以上の製品を生産するための大分類工程である複数の付加価値管理工程のそれぞれに、実行予算金額と所定期間ごとの目標出来高を割り当て、前記受注の全体の付加価値額を、前記付加価値管理工程の前記実行予算金額の比率によって、前記付加価値管理工程のそれぞれに配分し、前記付加価値管理工程のそれぞれの作業総量に対する前記目標出来高の割合を前記配分された付加価値額に乗じて目標付加価値額を算出する付加価値額配分手段と、
前記付加価値管理工程のそれぞれに含まれる小分類工程である複数の出来高管理工程のそれぞれについて、所定期間ごとに、前記出来高管理工程のそれぞれに対応した実績出来高を集計し、前記目標出来高に対する前記実績出来高の割合を前記目標付加価値額に乗じて実績付加価値額を算出する実績算出手段と、
前記目標付加価値額と前記実績付加価値額の各推移をグラフにより表示する付加価値額推移出力手段と、を備える付加価値管理システム。
【請求項2】
前記付加価値額推移出力手段は、ユーザに表示条件を選択させ、前記表示条件に合致する前記実績付加価値額の推移を示すグラフと、前記目標付加価値額の推移を示すグラフとを重ねて、ユーザが操作する端末装置のディスプレイに表示する、請求項1に記載の付加価値管理システム。
【請求項3】
前記表示条件は、前記受注の選択条件、前記製品の選択条件、前記付加価値管理工程又は前記出来高管理工程の選択条件のうち何れか1つ以上の条件と、表示する期間に関する条件と、日次、月次、若しくは年次の表示単位に関する条件のうち何れか1つの条件とを含む、請求項2に記載の付加価値管理システム。
【請求項4】
前記付加価値額推移出力手段は、前記受注が複数ある場合、前記受注毎に前記実績付加価値額の総和を算出し、ユーザが指定した期間中の推移単位毎に前記実績付加価値額の総和を全ての前記受注に関して前記受注毎に識別できるように積み上げた棒グラフと、前記受注毎に前記目標付加価値額の総和を算出し、前記目標付加価値額の総和を全ての前記受注に関して前記ユーザが指定した期間中の前記推移単位毎に合計した値からなる折れ線グラフと、を重ねて、ユーザが操作する端末装置のディスプレイに表示する、請求項1に記載の付加価値管理システム。
【請求項5】
前記付加価値額推移出力手段は、前記ユーザが指定した期間中の日毎の固定費の推移を示すグラフを、前記実績付加価値額の棒グラフ及び前記目標付加価値額の折れ線グラフに重ねて、前記端末装置のディスプレイに更に表示する、請求項4に記載の付加価値管理システム。
【請求項6】
前記推移単位は、日次、月次、又は年次の何れかである、請求項4又は5に記載の付加価値管理システム。
【請求項7】
前記受注の全体の付加価値額は、前記受注の売上高から前記受注に関する変動費を差し引いて算出される、請求項1から6の何れか一項に記載の付加価値管理システム。
【請求項8】
コンピュータが、受注に応じた1つ以上の製品を生産するための大分類工程である複数の付加価値管理工程のそれぞれに、実行予算金額と所定期間ごとの目標出来高を割り当て、前記受注の全体の付加価値額を、前記付加価値管理工程の前記実行予算金額の比率によって、前記付加価値管理工程のそれぞれに配分し、前記付加価値管理工程のそれぞれの作業総量に対する前記目標出来高の割合を前記配分された付加価値額に乗じて目標付加価値額を算出し、
コンピュータが、前記付加価値管理工程のそれぞれに含まれる小分類工程である複数の出来高管理工程のそれぞれについて、所定期間ごとに、前記出来高管理工程のそれぞれに対応した実績出来高を集計し、前記目標出来高に対する前記実績出来高の割合を前記目標付加価値額に乗じて実績付加価値額を算出し、
前記目標付加価値額と前記実績付加価値額の各推移をグラフにより表示する、
付加価値管理方法。
【請求項9】
受注に応じた1つ以上の製品を生産するための大分類工程である複数の付加価値管理工程のそれぞれに、実行予算金額と所定期間ごとの目標出来高を割り当て、前記受注の全体の付加価値額を、前記付加価値管理工程の前記実行予算金額の比率によって、前記付加価値管理工程のそれぞれに配分し、前記付加価値管理工程のそれぞれの作業総量に対する前記目標出来高の割合を前記配分された付加価値額に乗じて目標付加価値額を算出する付加価値額配分処理と、
前記付加価値管理工程のそれぞれに含まれる小分類工程である複数の出来高管理工程のそれぞれについて、所定期間ごとに、前記出来高管理工程のそれぞれに対応した実績出来高を集計し、前記目標出来高に対する前記実績出来高の割合を前記目標付加価値額に乗じて実績付加価値額を算出する実績算出処理と、
前記目標付加価値額と前記実績付加価値額の各推移をグラフにより表示する付加価値額推移出力処理と、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場などにおいて付加価値を管理するためのシステム、方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場などにおいて、作業者が実施する作業毎に、作業対象であるワークに対して効率よく付加価値を与えているかを評価することができる技術が知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
この技術は、作業者が実施する作業によって得られる付加価値の程度を評価する作業付加価値評価システムであって、作業者が実施する作業の作業時間を、作業項目毎に実測する作業時間実測手段と、該作業時間実測手段にて実測された各作業項目の作業時間と、各作業項目にそれぞれ予め設定された付加価値係数とに基づいて、各作業項目の作業による付加価値の程度を示す付加価値係数を計算する作業付加価値率算出手段と、を具備するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-006286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上述したような従来の作業付加価値評価システムを、例えば鉄骨工場に適用する場合を考える。建築に使用される鉄骨は、工場で生産され、建築現場に持ち込まれる。鉄骨は、建物や建物の部位によって様々な仕様のものが生産される。鉄骨工場とは異なり、同じものを大量に生産する工場においては、単位数量当りの付加価値を予め計算しておけば、例えば、1日に生産した数量に単位数量当りの付加価値を乗じて得た額を1日の付加価値として算出することができる。
【0006】
しかしながら、鉄骨工場においては、様々な仕様の製品が生産されるため、単位数量当りの付加価値額から短期間の付加価値を算出することは困難である。また、売上高は建物単位で決まることが多いが、1つの建物の鉄骨を生産する期間は長期にわたり、複数の建築物の鉄骨を同じ工場で同時期に生産することがあるため、売上高から各工事についての短期間の付加価値を算出することは困難である。何れの場合においても、上述のような作業特定を有する鉄骨工場等に、前述した従来技術を適用して付加価値を評価することは困難であった。
【0007】
そこで、本願発明は、様々な仕様の製品を小ロットで製造する工場の付加価値額を容易かつ適切に算出し出力可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
付加価値管理システムが、受注に応じた1つ以上の製品を生産するための大分類工程である複数の付加価値管理工程のそれぞれに、実行予算金額と所定期間ごとの目標出来高を割り当て、前記受注の全体の付加価値額を、前記付加価値管理工程の前記実行予算金額の比率によって、前記付加価値管理工程のそれぞれに配分し、前記付加価値管理工程のそれぞれの作業総量に対する前記目標出来高の割合を前記配分された付加価値額に乗じて目標付加価値額を算出する付加価値額配分手段と、
前記付加価値管理工程のそれぞれに含まれる小分類工程である複数の出来高管理工程のそれぞれについて、所定期間ごとに、前記出来高管理工程のそれぞれに対応した実績出来高を集計し、前記目標出来高に対する前記実績出来高の割合を前記目標付加価値額に乗じて実績付加価値額を算出する実績算出手段と、
前記目標付加価値額と前記実績付加価値額の各推移をグラフにより表示する付加価値額推移出力手段と、を備えるものとする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、様々な仕様の製品を小ロットで製造する工場の付加価値額を容易かつ適切に算出し出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態の付加価値管理システムのブロック図である。
図2】第2の実施形態の付加価値管理システムのハードウェアの構成例を示す図である。
図3】第2の実施形態において使用されるデータベースの例を示す図である。
図4】第2の実施形態の情報入力処理の例を示すフローチャートである。
図5】第2の実施形態の固定費等入力画面の例を示す図である。
図6】第2の実施形態の工事情報入力画面の例を示す図である。
図7】第2の実施形態の工程設定画面の例を示す図である。
図8】第2の実施形態の付加価値額配分表画面の例を示す図である。
図9】第2の実施形態の実行予算金額と1日当りの目標生産台数の入力画面の例を示す図である。
図10】第2の実施形態の実績入力一覧画面の例を示す図である。
図11】第2の実施形態の実績入力画面の例を示す図である。
図12】第2の実施形態の実績推移表示処理の例を示すフローチャートである。
図13】第2の実施形態の工程別出来高推移表示画面の例を示す図である。
図14】第2の実施形態の工事別出来高/付加価値推移表示画面の例を示す図である。
図15】第2の実施形態の付加価値メータ画面の例を示す図である。
図16】第2の実施形態の製作工程表画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態(以下「本実施形態」と記載)について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、第1の実施形態の付加価値管理システム100のブロック図である。第1の実施形態の付加価値管理システム100は、図1に示す付加価値額配分手段101、実績算出手段102、及び付加価値額推移出力手段103を備える。
【0012】
付加価値額配分手段101は、受注120に応じた1つ以上の製品121を生産する工程122に含まれる大分類工程である付加価値管理工程123に、実行予算金額113と目標出来高(例えば目標生産数)114を割り当てる。実行予算金額113は、例えば、受注120の売上高111から、ユーザが過去の経験に照らして配分することができる。目標出来高114は、例えば、受注120の各製品121の各受注量112と工場の付加価値管理工程123毎の生産能力を加味して決定することができる。
【0013】
次に、付加価値額配分手段101は、受注120の全体の付加価値額110を、付加価値管理工程123のそれぞれに付加価値額115として配分する。受注120の全体の付加価値額110は、例えば、受注120の売上高111から受注120に関する変動費(材料費等の他社に支払う金額)を差し引いて算出できる。また、付加価値額配分手段101は、付加価値管理工程123に割り当てられた実行予算金額113の比率で、受注120の全体の付加価値額110を、付加価値管理工程123に付加価値額115として配分することができる。
【0014】
更に、付加価値額配分手段101は、配分した工程122の付加価値額115と割り当てた目標出来高114とから目標付加価値額116を算出する。
【0015】
実績算出手段102は、付加価値管理工程123のそれぞれに含まれる小分類工程である出来高管理工程124のそれぞれに、実績出来高117を集計し、その実績出来高117と目標出来高114との比較に基づいて目標付加価値額116から実績付加価値額118を算出する。
【0016】
付加価値額推移出力手段103は、目標付加価値額116と実績付加価値額118の各推移を出力する。
【0017】
上述した基本構成を有する第1の実施形態の付加価値管理システム100では、受注120に関して、予め算出できる受注120の全体の付加価値額110が、その受注120において生産される全ての製品121の全ての付加価値管理工程123に対して、付加価値額115として予め割り当てられる。そして、その付加価値管理工程123に割り当てられる目標出来高(例えば目標生産数)114に基づいて、生産物毎又は1日毎の目標付加価値額116が算出される。
【0018】
その後、付加価値管理工程123毎に、生産現場において通常実測される実績出来高117(例えば実績生産数)が集計されることにより、その実績出来高117とその付加価値管理工程123毎に予め得られている目標出来高114及び目標付加価値額116とに基づいて、実績付加価値額118を算出することができる。
【0019】
このようにして算出された実績付加価値額118が、全ての受注120の全ての製品121の全ての付加価値管理工程123毎にデータベース化されることにより、受注120全体、受注120毎、製品121毎、又は付加価値管理工程123毎の任意の単位で、目標付加価値額116と実績付加価値額118を集計することが可能となる。
【0020】
この結果、付加価値額推移出力手段103は、全ての受注120全体、全ての受注120の個別の製品121毎、全ての受注120の全ての製品121の個別の付加価値管理工程123毎、個別の受注120毎、個別の受注120の個別の製品毎、個別の受注120の個別の製品の個別の付加価値管理工程123毎等の自由な切り口で、目標付加価値額116と実績付加価値額118とを関連付けながら、それらの推移を出力することが可能となる。
【0021】
図1に示すように、工程122を、大分類工程と、大分類工程毎の小分類工程とに階層化し、付加価値額の配分等は大分類工程に対してのみ行うようにし、実績出来高117の集計等は小分類工程に対して行ってそれが属する大分類工程の情報と比較するようにすることで、効率の良い付加価値の管理を行うことを可能としている。本願では、この大分類工程を付加価値管理工程123と呼び、小分類工程を出来高管理工程124と呼ぶ。
【0022】
そして、付加価値額配分手段101は、目標付加価値額116を、付加価値管理工程123に対して算出するようにしてよい。この場合、実績算出手段102は、付加価値管理工程123毎に、その付加価値管理工程123に属する各出来高管理工程124に対して集計した実績出来高117と、その付加価値管理工程123に割り当てられた目標出来高114との比較に基づいて(例えば、付加価値管理工程123に属する全ての出来高管理工程124に対する実績出来高117の平均値により)、その付加価値管理工程123に対して算出された目標付加価値額116からその付加価値管理工程123の実績付加価値額118を算出するようにしてよい。
【0023】
図1に示す付加価値管理システム100の第1の実施形態において、付加価値額推移出力手段103は、ユーザに表示条件を選択させ、その表示条件に合致する実績付加価値額118の推移を示すグラフと、目標付加価値額116の推移を示すグラフとを重ねて、ユーザが操作する端末装置のディスプレイに表示するようにしてよい。この場合、表示条件は、どの(全てを含む)受注120について表示させるかを指定する受注120の選択条件、どの(全てを含む)製品121について表示させるかを指定する製品121の選択条件、どの(全てを含む)工程122(付加価値管理工程123又は出来高管理工程124)について表示させるかを指定する工程122の選択条件のうち何れか1つ以上の条件と、表示する期間に関する条件と、日次、月次、若しくは年次の表示単位に関する条件のうち何れか1つの条件とを含んでよい。
【0024】
これにより、前述したように、全ての受注120全体、全ての受注120の個別の製品121毎、全ての受注120の全ての製品121の個別の工程122毎、個別の受注120毎、個別の受注120の個別の製品毎、個別の受注120の個別の製品の個別の工程122毎等の自由な切り口で、例えば図1の2本の折れ線グラフ119(#1)として例示されるように(より詳細な表示は後述する第2の実施形態の図14を参照)、実績付加価値額118の推移を示すグラフと、目標付加価値額116の推移を示すグラフとを重ねて、所望の期間の日次、月次、若しくは年次の目標付加価値額116及び実績付加価値額118の推移を、ユーザが操作する端末装置のディスプレイに表示させることが可能となる。
【0025】
また、図1の付加価値額推移出力手段103は、図1の119(#2)として例示されるように(より詳細な表示は後述する第2の実施形態の図15を参照)、次のような実績付加価値額118についての棒グラフと、目標付加価値額116についての折れ線グラフを重ねて、ユーザが操作する端末装置のディスプレイに表示するようにしてもよい。
【0026】
まず、付加価値額推移出力手段103は、受注120が複数ある場合、例えば前述のデータベースを参照することにより、受注120毎に、日次、月次、又は年次のうちからユーザが指定した何れかの推移単位毎に、その受注120中の全ての製品121の全ての工程122(付加価値管理工程123及び出来高管理工程124)における実績付加価値額118の総和を算出し、その算出した総和を全ての受注120に対して受注120毎に識別できるように積み上げた棒グラフを、ユーザが指定した期間において表示する。同時に、付加価値額推移出力手段103は、例えば前述のデータベースを参照することにより、受注120毎に、前述の棒グラフに対してユーザが指定した推移単位毎に、その受注120中の全ての製品121の全ての工程122(付加価値管理工程123及び出来高管理工程124)において算出した目標付加価値額116の総和を算出し、その算出した総和を全ての受注120について合計した値を、前述の棒グラフに対してユーザが指定した期間において折れ線グラフ表示する。
【0027】
この場合に、付加価値額推移出力手段103は、前述の棒グラフに対してユーザが指定した期間中の、前述の棒グラフに対してユーザが指定した推移単位毎の固定費の推移を示すグラフを、上述の実績付加価値額118の総和の棒グラフ及び目標付加価値額116の総和の折れ線グラフに重ねて、ユーザが操作する端末装置のディスプレイに更に表示するようにしてもよい。
【0028】
図1の119(#2)として例示されるような、実績付加価値額118の積み上げ棒グラフと、目標付加価値額116の折れ線グラフと、更に固定費のグラフとによって、日々の経営において、ユーザは、実績付加価値額118が目標付加価値額116を上回っているか、また、実績付加価値額118が固定費を上回って利益が出ているか等について、容易に確認することが可能となる。
【0029】
更に、図1の付加価値額推移出力手段103は、例えば図1の119(#3)として例示されるように、任意の表示条件で、目標付加価値額116と実績付加価値額118とを対比させて表形式(詳細は図16の製作工程表の例を参照)で、それらの推移を、ユーザが操作する端末装置のディスプレイに更に表示するようにしてもよい。これにより、更に詳細な目標付加価値額116に対する実績付加価値額118の分析を行うことが可能となる。
【0030】
以上のようにして、図1に示される第1の実施形態の付加価値管理システム100によれば、様々な仕様の製品が同時に生産されたり、複数の受注に対する製品が同じ工場で同時期に生産されたりする場合であっても、受注毎、受注の製品毎、工程毎等の任意の表示条件を組み合わせて、付加価値額を算出し出力し、それに基づいて適切かつ効率的な経営判断をすることが可能となる。
【0031】
図2は、第2の実施形態の付加価値管理システムのハードウェア200の構成例を示す図である。図2は、通常のサーバコンピュータの構成であってよく、CPU(中央演算処理装置)201と、ROM(リードオンリーメモリ)202と、RAM(ランダムアクセスメモリ)203と、ハードディスク又はSSD(半導体ディスク)による外部記憶装置204と、インターネットを介してユーザの端末装置と通信する機能を有するネットワークインタフェース205とが、システムバス206によって相互に通信接続する構成を有する。
【0032】
図2に例示される第2の実施形態の付加価値管理システムのハードウェア200は、ROM202に記憶されている後述する情報入力処理プログラム及び画面表示制御処理プログラムを夫々RAM203に読み出して実行することにより、図1に示される第1の実施形態の付加価値管理システム100の付加価値額配分手段101、実績算出手段102、及び付加価値額推移出力手段103の機能を実現する。
【0033】
図3は、第2の実施形態において使用されるデータベースの例を示す図である。これらのデータベースは、図2の外部記憶装置204に記憶される。
【0034】
付加価値額配分データベース401(以下及び図3において「付加価値額配分DB401」と記載)は、当該データベースのレコード毎に、図1で説明した受注120、製品121、及び付加価値管理工程123と、実行予算金額113、目標出来高114、工程122の付加価値額115、及び目標付加価値額116の各データを記憶する。
【0035】
実績データベース402(以下及び図3において「実績DB402」と記載)は、当該データベースのレコード毎に、図1で説明した受注120、製品121、付加価値管理工程123、及び出来高管理工程124と、実績出来高117、及び製作完了日等の各データを記憶する。
【0036】
必要固定費マスタデータベース403(以下及び図3において「必要固定費マスタDB403」と記載)は、年度、年度の必要固定費、及び営業日等の各データを記憶する。
【0037】
工事情報マスタデータベース404(以下及び図3において「工事情報マスタDB404」と記載)は、図1の受注120に対応する工事番号、工事名、及び図1の受注120の全体の付加価値額110に対応する金額等の各データを記憶する。
【0038】
工場・工程マスタデータベース405(以下及び図3において「工場・工程マスタDB405」と記載)は、図1の受注120、製品121、付加価値管理工程123、及び出来高管理工程124に対応するデータ関係構造を記憶する。
【0039】
図4は、図2のCPU201が実行する情報入力処理の例を示すフローチャートである。このフローチャートは、図2において、CPU201が、ROM202に記憶されている情報入力処理プログラムをRAM203に読み出して実行する処理である。ユーザは、自身が操作するタブレット端末等の端末装置から、インターネットを介して付加価値管理システムのウェブサイトのアドレスにアクセスしログインすることにより、上記情報入力処理を実行するものとすることができる。以下、この情報入力処理について、図5から図11の画面例を参照しながら説明する。
【0040】
CPU201は、図4のステップS401→S403→S405→S407→S409→S401というループ処理を繰り返し実行している。ユーザは自身が操作する端末装置から上記付加価値管理システムのウェブサイトのアドレスにアクセスしてログインすると、端末装置のディスプレイに特には図示しないホーム画面が表示される。ここで、ユーザが上記ホーム画面左サイドのメニューから、「必要固定費設定マスタ」、「工事情報マスタ」、「工場・工程マスタ」、「付加価値額配分表」、又は「工程別実績入力」の何れかのメニューをクリック又はタップ等(以下「タップ等」と記載)すると、図4のステップS401、S403、S405、S407、又はS409の何れかの判定がYESになって、夫々、ステップS402、S404、S406、S408、又はS410の何れかの処理を実行する。
【0041】
ユーザが「必要固定費設定マスタ」メニューをタップ等すると、図4のステップS401の判定処理がYESとなって、CPU201は、ステップS402の固定費等入力処理を実行する。これにより、図2において、CPU201は、ネットワークインタフェース205を介してユーザの端末装置のディスプレイに、図5に例示される固定費等入力画面を表示させる。ユーザは、この画面を使って、テキスト入力ボックス501に期間名称(年度)、テキスト入力ボックス502に当該年度における年間の必要固定費、テキスト入力ボックス503に営業日(年間の営業日数)、テキスト入力ボックス504に年度の開始期間、アクセステキスト入力ボックス505に年度の終了期間を入力し、確認ボタン506をタップ等する。
【0042】
この結果、CPU201は、図4のステップS402において、ユーザが入力した期間名称(年度)、当該年度における年間の必要固定費、営業日(年間の営業日数)、年度の開始期間、及び年度の終了期間の各データを、図3の必要固定費マスタDB403にレコードを作成して記憶させる。なお、同じ年度のレコードが既に記憶されている場合には、そのレコードの上記各情報を新たに入力された各情報に更新する。
【0043】
ユーザが新たな工事を受注した場合、「工事情報マスタ」メニューをタップ等する。これにより、図4のステップS402の判定処理がYESとなって、CPU201は、ステップS402の工事情報入力処理を実行する。そして、図2において、CPU201は、ネットワークインタフェース205を介してユーザの端末装置のディスプレイに、図6に例示される工事情報入力画面を表示させる。ユーザは、この画面を使って、テキスト入力ボックス601に工事番号、テキスト入力ボックス602に工事名、テキスト入力ボックス603に付加価値額を入力し、確認ボタン604をタップ等する。付加価値額としては、図1の第1の実施形態で説明したように、受注120の売上高111から受注120に関する変動費(材料費等の他社に支払う金額)を差し引いて算出した金額を入力する。
【0044】
この結果、CPU201は、図4のステップS404において、ユーザが入力した工事番号、工事名、及び付加価値額の各データを、図3の工事情報マスタDB404にレコードを作成して記憶させる。なお、同じ年度のレコードが既に記憶されている場合には、そのレコードの上記各情報を新たに入力された各情報に更新する。上述の付加価値額は、図1の受注120の全体の付加価値額110として登録される。また、特には図示しないが、CSVインポート処理等により、上記工事情報マスタDB404のレコードには別途、図1で説明した売上高111及び受注量112が登録されてもよい。
【0045】
ユーザが「工場・工程マスタ」メニューをタップ等すると、図4のステップS405の判定処理がYESとなって、CPU201は、ステップS406の工程割当て処理を実行する。これにより、図2において、CPU201は、ネットワークインタフェース205を介してユーザの端末装置のディスプレイに、図7に例示する工程割当て画面を表示させる。ユーザは、この画面を使って、「製作物表」エリアのチェックボックス701を使って(チェックを付けて)図1の製品121を選択し、「製作物の付加価値管理工程」エリアのチェックボック702を使って図1の付加価値管理工程123を選択し、「出来高管理工程」エリアのチェックボックス703を使って図1の出来高管理工程124を選択する。
【0046】
この結果、CPU201は、図4のステップS406において、図1に例示される受注120、製品121、付加価値管理工程123、及び出来高管理工程124のデータリンク関係を示すデータを、図3の工事・工程マスタDB405にレコードを作成して記憶させる。なお、同じ受注120のレコードが既に記憶されている場合には、そのレコードの上記各情報を新たに入力された各情報に更新する。
【0047】
また、CPU201は、図4のステップS406において、夫々の付加価値管理工程123(及び工場名)と、それが属する製品(製作物)121が登録されたレコードを、付加価値額配分DB401に作成する(後述する図8参照)。
【0048】
ユーザが「付加価値額配分表」メニューをタップ等すると、図4のステップS407の判定処理がYESとなって、CPU201は、ステップS408の付加価値額配分処理を実行する。この処理は、図1の付加価値額配分手段101の機能を実現する。これにより、図2において、CPU201は、外部記憶装置204に記憶されている付加価値額配分DB401から各レコードの情報を読み出して、ネットワークインタフェース205を介してユーザの端末装置のディスプレイに、図8に例示される付加価値額配分表一覧画面を表示させる。図8には各データが既に入力されているが、初期状態では、付加価値額配分表画面には、「製作物」項目に図1の製品121と、「付加価値管理工程」項目に図1の付加価値管理工程123(と「工場名」項目に対応する工場名)が登録されているのみである。
【0049】
ユーザは、端末装置のディスプレイに表示された付加価値額配分表において、所望のレコードの右端の編集ボタン(ペンマーク)809をタップ等することにより、各レコードを編集して情報を追加することができる。この状態になると、CPU201は、図4のステップS408において、ネットワークインタフェース205を介してユーザの端末装置のディスプレイに、図9に例示される付加価値額配分表編集画面を表示させる。ユーザは、この編集画面を使って、テキスト入力ボックス901に図1の実行予算金額、テキスト入力ボックス902に1日当りの目標生産台数を入力し、確認ボタン903をタップ等する。
【0050】
この結果、CPU201は、図4のステップS408において、ユーザが入力した実行予算金額及び1日当りの目標生産台数の各データを、図3の付加価値額配分DB401の編集対象のレコードの「実行予算金額」項目及び「1日当りの目標生産台数」項目に上書き登録する。この結果、ユーザの端末装置のディスプレイには、上記編集をしたレコードの「実行予算金額」項目803と「1日当りの目標生産台数」項目804に新たな情報が登録された図8に例示される付加価値額配分表が表示される。これらは、図1の第1の実施形態で前述したように、対応する付加価値管理工程123に割り当てられる実行予算金額113及び目標出来高114に対応する。
【0051】
なお、図8に例示される付加価値額配分表の「部材台数」項目811に対応する付加価値額配分DB401の各レコードの「部材台数」項目には、別途例えばCSVファイルからのインポート等によって情報が登録されてよい。
【0052】
上記制御動作と共に、CPU201は、図4のステップS408の付加価値額配分処理において、前述した図1の付加価値額配分手段101の機能として、上述の編集対象レコードの「実行予算金額」項目に新たに登録された実行予算金額113の、図4のステップS404で別途登録した受注120の売上高111(図1参照)に対する比率を計算し、その比率の値を図4の付加価値額配分DB401の上述の編集対象レコードの「比率」項目に上書き登録する。
【0053】
更に、CPU201は、図4のステップ408の付加価値額配分処理において、前述した図1の付加価値額配分手段101の機能として、図4のステップS404で図3の工事情報マスタDB404の対応するレコードに記憶された受注120の全体の付加価値額110(図1参照)に、上述の比率を乗じて得られる金額を、図4の付加価値額配分DB401の上述の編集対象レコードの「付加価値額」項目に上書き登録する。
【0054】
この結果、ユーザの端末装置のディスプレイには、上記編集をしたレコードの「比率」項目805と「付加価値額」項目806に新たな情報が登録された図8に例示される付加価値額配分表が表示される。この「付加価値額」項目806の値は、図1の工程122(付加価値管理工程123)の付加価値額115に対応する。
【0055】
加えて、CPU201は、図4のステップ408の付加価値額配分処理において、付加価値額配分DB401の編集対象レコードにおいて、「付加価値額」項目に登録された付加価値額115を「部材台数」項目に登録された部材台数で除算して得られる金額を、「一台当りの付加価値額」項目に登録する。
【0056】
更に、CPU201は、図4のステップ408の付加価値額配分処理において、付加価値額配分DB401の編集対象レコードにおいて、上記「一台当りの付加価値額」項目に登録された付加価値額に「1日当りの目標生産台数」項目に登録された台数を乗じて得られる金額を、「1日あたりの目標付加価値額」項目に登録する。
【0057】
これらの計算の結果、ユーザの端末装置のディスプレイには、上記編集をしたレコードの「一台当りの付加価値額」項目807と「1日あたりの目標付加価値額」項目808に新たな情報が登録された図8に例示される付加価値額配分表が表示される。この「1日あたりの目標付加価値額」項目808の値は、図1の目標付加価値額116に対応する。或いは、上記「一台当りの付加価値額」項目807の値を、目標付加価値額116に対応させてもよい。
【0058】
なお、図8に例示される付加価値額配分表の上部エリア810には、図4のステップS402にて図3の必要固定費マスタDB403に登録された年間の必要固定費と、その年間の必要固定費を12で除算して得られる月間の必要固定費と、年間の必要固定費を同じくステップS402で必要固定費マスタDB403に登録された営業日(変換の営業日数)で除算して得られる日の必要固定費が、参考情報として表示されてよい。ユーザは、例えば図8に例示される付加価値額配分表の「1日当りの目標付加価値額」項目の合計金額が上記日の必要固定費を超えているか否かをチェックすることにより、利益が出ているか否かを判定することができる。
【0059】
ユーザが「工程別実績入力」メニューをタップ等すると、図4のステップS409の判定処理がYESとなって、CPU201は、ステップS410の実績算出処理を実行する。この処理は、図1の実績算出手段102の機能を実現する。これにより、図2において、CPU201は、外部記憶装置204に記憶されている実績DB402から各レコードの情報を読み出して、ネットワークインタフェース205を介してユーザの端末装置のディスプレイに、図10に例示される実績入力一覧画面を表示させる。この実績入力一覧画面の各行に対応する実績DB402の各レコードは、図1の実績出来高117が登録される出来高管理工程124毎に生成される。図10の例では「目標付加価値額」項目1005と「実績付加価値額」項目1007と「差異(付加価値額)」項目1009には値は入力されていない(¥0である)。実績DB402上の各レコードの「日付」項目(図10の1001に対応)には実績が入力された年月日が登録される。また、実績DB402上の各レコードの「工事」項目(図10の1002に対応)には実績を発生させた出来高管理工程124が属する工事名(図1の受注120に対応)が登録される。また、実績DB402上の各レコードの「出来高管理工程」項目(図10の1003に対応)には実績を発生させた出来高管理工程124が登録される。また、実績DB402上の各レコードの「目標台数」項目(図10の1004に対応)と「目標付加価値額」項目(図10の1005に対応)には、実績を発生させた出来高管理工程124が属する付加価値管理工程123に対して登録されている付加価値額配分DB401上の「1日当りの目標生産台数」項目の値(図1の目標出来高114に対応)と、同じく「1日当りの目標付加価値額」項目の値(図1の目標付加価値額116に対応)が、それぞれコピーされて登録される。
【0060】
ユーザが図10に例示される実績入力一覧画面の上部の実績入力ボタン1010をタップ等すると、CPU201は、図4のステップS410ネットワークインタフェース205を介してユーザの端末装置のディスプレイに、図11に例示される実績入力画面を表示させる。ここでは、出来高管理工程124毎に予め表示されているレコードの「製作完了日」項目1101に製作が完了した年月日をカレンダーから選択して入力するだけで1台分の実績入力が完了する。図10に例示される実績入力一覧画面の各行の「実績台数」項目1006に対応する実績DB402上の各レコードの「実績台数」項目には、上記製作完了日が入力されている対応する出来高管理工程124の件数が集計される。この項目値は、図1の実績出来高117に対応する。
【0061】
一日分の集計が完了すると、CPU201は、図4のステップS410の実績算出処理において、図3の実績DB402上の各レコードにおいて、「実績台数」項目(図10の1006に対応)の値を確定(ロック)させる。その上で、CPU201は、そのレコードにおいて、「実績台数」項目(図10の1006に対応)の値と「目標台数」項目(図10の1004に対応)の値の差を「差異(台数)」項目(図10の1008に対応)に登録する。これと共に、CPU201は、そのレコードにおいて、上記の差と「目標付加価値額」項目(図10の1005に対応)に登録されている目標付加価値額116とから実績付加価値額118を算出し、それを「実績付加価値額」項目(図10の1007に対応)に登録する。最後に、CPU201は、そのレコードにおいて、上記実績付加価値額118と上記目標付加価値額116との差を「差異(付加価値額)」項目(図10の1009に対応)に登録する。
【0062】
以上の図4のステップS410の実績算出処理として、図1の実績算出手段102が実績出来高117を集計して実績付加価値額118を算出する機能が実現される。図11で説明したように、実績の入力は例えばカレンダーをタップするだけで済むので、生産現場でも簡単に操作可能である。
【0063】
図12は、図2のCPU201が実行する実績推移表示処理の例を示すフローチャートである。このフローチャートは、図2において、CPU201が、ROM202に記憶されている実績推移表示処理プログラムをRAM203に読み出して実行する処理である。なお、ユーザは、自身が操作するタブレット端末等の端末装置から、インターネットを介して情報入力処理のウェブサイトのアドレスにアクセスしログインすることにより、上記実績推移表示処理を実行するものとすることができる。以下、この実績推移表示処理について、図13から図16の画面例を参照しながら説明する。
【0064】
CPU201は、図12のステップS1201→S1203→S1205→S1207→S1201というループ処理を繰り返し実行している。ユーザは自身が操作する端末装置から上記付加価値管理システムのホームページアドレスにアクセスしてログインすると、端末装置のディスプレイに特には図示しないホーム画面が表示される。ここで、ユーザが上記ホーム画面の上部メニューから、「工程別出来高推移表」、「工事別出来高推移表」、「付加価値メータ」、「製作工程表」、又は「製作工程表」の何れかのメニューをタップ等すると、図12のステップS1201、S1203、S1205、又はS1207の何れかの判定がYESになって、夫々、ステップS1202、S1204、S1206、又はS1208の何れかの処理を実行する。
【0065】
ユーザが「工程別出来高推移表」メニューをタップ等すると、図12のステップS1201の判定処理がYESとなって、CPU201は、ステップS1202の工程別出来高推移表示処理を実行する。これにより、図2において、CPU201は、ネットワークインタフェース205を介してユーザの端末装置のディスプレイに、図13に例示される工程別出来高推移画面を表示させる。
【0066】
具体的には、CPU201は、図12に例示される実績入力一覧画面に対応する図3の実績DB402において、「出来高管理工程」項目(図10の1003に対応)の値が図13に例示される画面上部の出来高管理工程プルダウンメニュー1303からユーザが選択した値に対応し、「日付」項目(図10の1001に対応)の値が図13に例示される画面上部の年月指定プルダウンメニュー1304からユーザが選択した指定年月の期間内であるレコードについて、「目標台数」項目値(図10の1004に対応)を日毎に累算して得られる推移である予定累計1301と、「実績台数」項目値(図10の1006に対応)を日毎に累算して得られる推移である実績累積1302を夫々生成し、図13に例示される工程別出来高推移画面に2本の折れ線として表示する。
【0067】
これにより、図13の工程別出来高推移画面の例では、ユーザは、予定累計1301と実績累積1302とを比較することにより、例えば2021年4月期では、切断工程について、4月20日から23日にかけて生産数の減少が発生し、月末までその減少幅が回復しなかったことを、認識することができ、この結果に基づいて今後の対策を立てることが可能となる。
【0068】
ユーザが「工事別出来高推移表」メニューをタップ等すると、図12のステップS1203の判定処理がYESとなって、CPU201は、ステップS1204の工事別出来高推移表示処理を実行する。これにより、図2において、CPU201は、ネットワークインタフェース205を介してユーザの端末装置のディスプレイに、図14(a)に例示される工事別出来高推移表示画面と図14(b)に例示される工事別付加価値推移表示画面を表示させる。
【0069】
具体的には、CPU201は、図11に例示される実績入力一覧画面に対応する図3の実績DB402において、「工事」項目(図10の1002に対応)の値が図14に例示される画面上部の工事選択プルダウンメニュー1405からユーザが選択した値に対応し、「製作物」項目(図示せず)の値が図14に例示される画面上部の製作物プルダウンメニュー1406からユーザが選択した値に対応し、「付加価値管理工程」項目(図示せず)の値が図14に例示される画面上部の付加価値管理工程プルダウンメニュー1407からユーザが選択した値に対応し、「出来高管理工程」項目(図10の1003に対応)の値が図14に例示される画面上部の出来高管理工程プルダウンメニュー1408からユーザが選択した値に対応し、「日付」項目(図10の1001に対応)の値が図14に例示される画面上部の年月指定プルダウンメニュー1409から選択した指定年月の期間内であって、画面上部の未完了工事チェック1410の有無に応じた未完了又は完了のレコードについて、「目標台数」項目値(図10の1004に対応)を日毎に累算して得られる推移である予定累計1401と、「実績台数」項目値(図10の1006に対応)を日毎に累算して得られる推移である実績累積1402を夫々生成し、図14(a)に例示される工事別出来高推移表示画面に2本の折れ線として表示する。
【0070】
同様に、CPU201は、図12に例示される実績入力一覧画面に対応する図3の実績DB402において、上記と同様の表示条件のレコードについて、「目標付加価値額」項目値(図10の1005に対応)を日毎に累算して得られる推移である目標付加価値額1403と、「実績付加価値額」項目値(図10の1007に対応)を日毎に累算して得られる推移である実績付加価値額1404を夫々生成し、図14(b)に例示される工事別付加価値額推移表示画面に2本の折れ線として表示する。
【0071】
これにより、図14(a)及び(b)の工程別出来高推移画面の例では、ユーザは、特定の工事(受注120)の特定の製品(製造物)121の特定の付加価値管理工程123の特定の出来高管理工程124について、予定累計1401と実績累積1402との比較と、目標付加価値額1403と実績付加価値額1404の比較とを、同時に行うことが可能となる。
【0072】
ユーザが「付加価値メータ」メニューをタップ等すると、図12のステップS1205の判定処理がYESとなって、CPU201は、ステップS1206の付加価値メータ表示処理を実行する。これにより、図2において、CPU201は、ネットワークインタフェース205を介してユーザの端末装置のディスプレイに、図15に例示される付加価値メータ画面を表示させる。
【0073】
具体的には、CPU201は、図15に示される実績付加価値額118についての積み上げ棒グラフ1501と、目標付加価値額116についての折れ線グラフ1502と、固定費についてのグラフ1503とを重ねて、付加価値メータという表示名称で、ユーザが操作する端末装置のディスプレイに表示する。
【0074】
まず、ユーザは、図15に例示される画面の上部の「日付で検索」ボタン1504、「月で検索」ボタン1505、又は「年で検索」ボタン1506の何れかをタップ等することにより、グラフの横方向の推移単位として日次、月次、又は年次の何れかを選択する。その推移単位の選択結果に応じて、ユーザは、図15に例示される画面の上部の「開始期間」プルダウンメニュー1507と「終了期間」プルダウンメニュー1508を使い、上記推移単位の表示範囲を年月日、年月、又は年で範囲指定する。
【0075】
この結果、CPU201は、図12のステップS1206において、図12に例示される実績入力一覧画面に対応する図3の実績DB402を参照することにより、「工事」項目(図10の1002に対応)の値毎に、前述したように日次、月次、又は年次のうちからユーザが指定した何れかの推移単位毎に、「工事」項目値が同じ全てのレコードにおける「実績付加価値額」項目(図10の1007に対応)の値の総和を算出し、「工事」項目値毎に算出した各総和を全ての「工事」項目値に対して例えば図15の1509のように色分けして「工事」項目値毎に識別できるように積み上げた棒グラフ1501を、前述したようにユーザが指定した期間において表示する。
【0076】
同時に、CPU201は、図4のステップS1206において、図12に例示される実績入力一覧画面に対応する図3の実績DB402を参照することにより、前述したように日次、月次、又は年次のうちからユーザが指定した何れかの推移単位毎に、全てのレコードにおける「目標付加価値額」項目(図10の1005に対応)の値の総和を算出し、前述したようにユーザが指定した期間において、折れ線グラフ1502として表示する。
【0077】
更に、CPU201は、図4のステップS1206において、図3の必要固定費マスタDB403を参照することにより、前述のユーザが指定した期間中の、前述のユーザが指定した推移単位毎の固定費の推移を示すグラフ1503を、上述の棒グラフ1501及び折れ線グラフ1502に重ねて、ユーザが操作する端末装置のディスプレイに更に表示する。
【0078】
ユーザが「製作工程表」メニューをタップ等すると、図12のステップS1207の判定処理がYESとなって、CPU201は、ステップS1208の製作工程表表示処理を実行する。これにより、図2において、CPU201は、ネットワークインタフェース205を介してユーザの端末装置のディスプレイに、図16に例示される製作工程表画面を表示させる。
【0079】
これにより、ユーザは、表形式で、更に詳細な目標付加価値額116に対する実績付加価値額118の分析を行うことが可能となる。
【0080】
以上、上述した第2の実施形態では、鉄骨の製造工場を例として、付加価値管理システム200について説明をしたが、本発明はこれに限られるものではなく、様々な仕様の製品を小ロットで製造する製造現場において好適に利用することが可能である。
【0081】
上記実施形態においては、発明の理解を容易にするため、具体的な例を挙げたが、本発明はこれに限られず、種々の変更が可能である。また、本願の付加価値管理システムの説明において「手段」という言葉を使用したが、「手段」を「部」に置き換えることができる。例えば、「付加価値額配分手段」は「付加価値額配分部」とすることができる。
【符号の説明】
【0082】
100、200 付加価値管理システム
101 付加価値額配分手段
102 実績算出手段
103 付加価値額推移出力手段
110 受注120の全体の付加価値額
111 売上高
112 受注量
113 実行予算金額
114 目標出来高
115 工程122の付加価値額
116 目標付加価値額
117 実績出来高
118 実績付加価値額
119 グラフ
120 受注
121 製品
122 工程
123 付加価値管理工程
124 出来高管理工程
201 CPU
202 ROM
203 RAM
204 外部記憶装置
205 ネットワークインタフェース
206 システムバス
401 付加価値額配分DB
402 実績DB
403 必要固定費マスタDB
404 工事情報マスタDB
405 工事・工程マスタDB
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16