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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】有機エレクトロルミネッセンス素子
(51)【国際特許分類】
   H10K 50/17 20230101AFI20240209BHJP
   H10K 50/155 20230101ALI20240209BHJP
   H10K 85/60 20230101ALI20240209BHJP
   C07D 263/62 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
H10K50/17
H10K50/155
H10K85/60
C07D263/62
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022016627
(22)【出願日】2022-02-04
(65)【公開番号】P2022121400
(43)【公開日】2022-08-19
【審査請求日】2022-02-04
(31)【優先権主張番号】202110165072.1
(32)【優先日】2021-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111488167.3
(32)【優先日】2021-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519333413
【氏名又は名称】北京夏禾科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】王 静
(72)【発明者】
【氏名】崔 至皓
(72)【発明者】
【氏名】▲クアン▼ 志遠
(72)【発明者】
【氏名】▲ホウ▼ 惠卿
(72)【発明者】
【氏名】謝 夢蘭
【審査官】小久保 州洋
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0087311(US,A1)
【文献】国際公開第2020/108899(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0118137(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0094708(KR,A)
【文献】特表2020-528445(JP,A)
【文献】特表2013-544757(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC H10K 50/17
H10K 50/155
H10K 85/60
H01L 51/50 - 51/56
C07D 263/62
DB名 CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極、陰極、および陽極と陰極との間に設けられた第1有機層を含む有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記第1有機層は、第1化合物および第2化合物を少なくとも含み、
前記第1化合物は、式1で表される構造を有し、
【化1】
式1中、
XおよびYは、構造が
【化2】
である置換基A1であり、
およびZは、Oから選ばれ、
Rは、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数6のアリール基から選ばれ、
各々のRは、同一または異なってもよく、
式1中、隣り合う置換基は、結合して環を形成していてもよく、
前記第2化合物は、式2-13~式2-16のいずれかで表される構造を有し、
【化3】
式2-13~式2-16中、
~X12、X15~X18は、出現毎に同一または異なってCRから選ばれ、
、L、およびLは、単結合から選ばれ、
ArおよびArは、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数6~20のアリール基から選ばれ、
は、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる、隣り合う置換基R 、ArおよびArは、結合して環を形成できない、有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項2】
Rのうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの電子求引基を有する基であり、前記電子求引基のハメット定数は、0.05以上である、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項3】
前記電子求引基は、ハロゲン、ニトロソ基、ニトロ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、SCN、OCN、SF、ボラニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスホノキシ基、アザ芳香環基、およびハロゲン、ニトロソ基、ニトロ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、SCN、OCN、SF、ボラニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスホノキシ基、アザ芳香環基のうちの1つまたは複数で置換された、炭素原子数1~20のアルキル基、環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、炭素原子数7~30のアラルキル基、炭素原子数1~20のアルコキシ基、炭素原子数6~30のアリールオキシ基、炭素原子数2~20のアルケニル基、炭素原子数2~20のアルキニル基、炭素原子数6~30のアリール基、炭素原子数3~30のヘテロアリール基、炭素原子数3~20のアルキルシリル基、炭素原子数6~20のアリールシリル基のうちのいずれか1つの基、並びにこれらの組合せからなる群から選ばれる、請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項4】
Rは、出現毎に同一または異なって非置換の炭素原子数6のアリール基、およびハロゲン、ニトロソ基、ニトロ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、SCN、OCN、SF、ボラニル基、スルフィニル基、スルホニル基およびホスホノキシ基のうちの1つまたは複数の基で置換された、炭素原子数6のアリール基からなる群から選ばれる、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項5】
Rは、出現毎に同一または異なってフェニル基、メトキシフェニル基、p-メチルフェニル基、2,6-ジイソプロピルフェニル基、ビフェニル基、ポリフルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、トリフルオロメトキシフェニル基、ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、ビス(トリフルオロメトキシ)フェニル基、4-シアノテトラフルオロフェニル基、F、CNまたはCFのうちの1つのまたは複数で置換されたフェニル基またはビフェニル基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる、請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項6】
Rは、出現毎に同一または異なって以下の構造からなる群から選ばれ、
【化4】
【化5】
は、前記Rが式1におけるデヒドロベンゾビスオキサゾール環に結合した箇所を表す、請求項1~5のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項7】
前記第1化合物は、化合物16~化合物22、化合物25~化合物28、化合物30~化合物39、化合物41~化合物52、化合物54~化合物64、化合物68~化合物76、化合物1023~化合物1024、および化合物1027~化合物1034からなる群から選ばれ、前記化合物16~化合物22、化合物25~化合物28、化合物30~化合物39、化合物41~化合物52、化合物54~化合物64、化合物68~化合物76、化合物1023~化合物1024、および化合物1027~化合物1034は、式1-1で表される構造を有し、
【化6】
2つのZは、同一であり、前記Z、X、Y、Rは、それぞれ対応して以下の表に示す原子または基から選ばれる、請求項6に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項8】
前記第2化合物は、式2-14で表される構造を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化7】
(X~X、X~X12、X15~X18は、出現毎に同一または異なってCRから選ばれ、
、L、およびLは、単結合から選ばれ、
ArおよびArは、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数6~20のアリール基から選ばれ、
は、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。)
【請求項9】
ArおよびArは、出現毎に同一または異なって式3-1~式3-4のうちのいずれか1つで表される構造を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化8】
(Eは、出現毎に同一または異なってC(Rから選ばれ、
は、出現毎に同一または異なって一置換、複数置換、または無置換を表し、
およびRは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20の複素環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシ基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
点線は、前記Arの構造中、前記Lとの結合箇所を表し、前記Arの構造中、前記Lとの結合箇所も表す。)
【請求項10】
ArおよびArは、出現毎に同一または異なってG1~G17、G26~G37からなる群から選ばれる、請求項9に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化9】
(Rは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20の複素環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシ基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。)
【請求項11】
は、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、またはこれらの組合せから選ばれる、請求項1~10のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項12】
は、出現毎に同一または異なって水素、重水素、フッ素、メチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、2-メチルブチル基、n-ペンチル基、sec-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、またはこれらの組合せから選ばれる、請求項1~11のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項13】
前記第2化合物は、化合物I-1~化合物I-6、化合物I-12~化合物I-29、化合物I-38~化合物I-60、化合物I-69~化合物I-90、化合物I-99~化合物I-119、化合物I-128~化合物I-147、化合物I-156~化合物I-179、化合物II-1~化合物II-4、化合物II-6、化合物II-7、化合物II-9~化合物II-12、化合物II-15、化合物II-40、化合物II-41、化合物II-43~化合物II-47、化合物II-49、化合物II-52~化合物II-67、化合物II-70~化合物II-75、化合物II-83、化合物II-84、化合物II-100~化合物II-104、化合物II-106~化合物II-110、化合物II-112~化合物II-115、化合物II-117~化合物II-138、化合物II-143~化合物II-147、化合物III-1~化合物III-6、化合物III-12~化合物III-29、化合物III-38~化合物III-60、化合物III-69~化合物III-90、化合物III-99~化合物III-119、化合物III-128~化合物III-147、化合物III-156~化合物III-179、化合物IV-1~化合物IV-6、化合物IV-12~化合物IV-29、化合物IV-38~化合物IV-60、化合物IV-69~化合物IV-90、化合物IV-99~化合物IV-119、化合物IV-128~化合物IV-147、あるいは化合物IV-156~化合物IV-179から選ばれ、
化合物I-1~化合物I-6、化合物I-12~化合物I-29、化合物I-38~化合物I-60、化合物I-69~化合物I-90、化合物I-99~化合物I-119、化合物I-128~化合物I-147、化合物I-156~化合物I-179は、式2-13で表される構造を有し、
【化10】
式2-13中、X~X、X~X12およびX15~X18は、いずれもCHであり、LおよびLは、いずれも単結合であり、且つL、ArおよびArは、それぞれ対応して以下の表に示す原子または基から選ばれ、L-0は、単結合であり、
前記化合物II-1~化合物II-4、化合物II-6、化合物II-7、化合物II-9~化合物II-12、化合物II-15、化合物II-40、化合物II-41、化合物II-43~化合物II-47、化合物II-49、化合物II-52~化合物II-67、化合物II-70~化合物II-75、化合物II-83、化合物II-84、化合物II-100~化合物II-104、化合物II-106~化合物II-110、化合物II-112~化合物II-115、化合物II-117~化合物II-138、化合物II-143~化合物II-147は、以下のように示され、
【化11】
化合物III-1~化合物III-6、化合物III-12~化合物III-29、化合物III-38~化合物III-60、化合物III-69~化合物III-90、化合物III-99~化合物III-119、化合物III-128~化合物III-147、化合物III-156~化合物III-179は、式2-15で表される構造を有し、
【化12】
式2-15中、X~X、X~X12およびX15~X18は、いずれもCHであり、LおよびLは、いずれも単結合であり、且つL、ArおよびArは、それぞれ対応して以下の表に示す原子または基から選ばれ、L-0は、単結合であり、
化合物IV-1~化合物IV-6、化合物IV-12~化合物IV-29、化合物IV-38~化合物IV-60、化合物IV-69~化合物IV-90、化合物IV-99~化合物IV-119、化合物IV-128~化合物IV-147、化合物IV-156~化合物IV-179は、式2-16で表される構造を有し、
【化13】
式2-16中、X~X、X~X12およびX15~X18は、いずれもCHであり、LおよびLは、いずれも単結合であり、且つL、ArおよびArは、それぞれ対応して以下の表に示す原子または基から選ばれ、L-0は、単結合である、請求項1~12のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項14】
前記第1有機層は、正孔注入層であり、且つ前記正孔注入層は、陽極に接触する、請求項1~13のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項15】
前記有機エレクトロルミネッセンス素子は、少なくとも1つの発光層をさらに含む、
請求項1~14のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項16】
前記有機エレクトロルミネッセンス素子は、前記第1有機層と前記少なくとも1つの発光層との間に設けられた第2有機層をさらに含む、
請求項15に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項17】
前記有機エレクトロルミネッセンス素子は、第2有機層と発光層との間に設けられた第3有機層をさらに含む、
請求項16に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項18】
前記第1有機層の厚さは、0.1nm~40nmであり、前記第2有機層の厚さは、0.1nm~300nmである、請求項16に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を含む、表示アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電子素子に関し、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。より特に、第1有機層において式1で表される構造を有する第1化合物および式2で表される構造を有する第2化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子、および前記有機エレクトロルミネッセンス素子を含む表示アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
有機電子素子は、有機発光ダイオード(OLEDs)、有機電界効果トランジスタ(O-FETs)、有機発光トランジスタ(OLETs)、有機起電セル(OPVs)、色素-増感太陽電池(DSSCs)、有機光検出器、有機感光装置、有機電界効果素子(OFQDs)、発光電気化学セル(LECs)、有機レーザダイオードおよび有機プラズマ発光素子を含むが、それに限定されない。
【0003】
1987年、イーストマンコダック(Eastman Kodak)のTangおよびVan Slykeにより、電子輸送層および発光層として、アリールアミン正孔輸送層とトリス-8-ヒドロキシキノリン-アルミニウム層とを含む二層有機エレクトロルミネセント素子が報道されている(Applied Physics Letters、1987、51(12):913~915)。素子に対してバイアスが一旦印加されると、緑色光が素子から発射される。この発明は、現代の有機発光ダイオード(OLEDs)の発展に対する基礎を築き上げている。最も先進的なOLEDsは、電荷注入・輸送層、電荷・励起子ブロッキング層、および陰極と陽極との間の1つまたは複数の発光層などの複数の層を含んでもよい。OLEDsは、自発光性ソリッドステート素子であるので、表示および照明の適用に対して極めて大きな潜在力を提供している。また、有機材料の固有な特性、例えばそれらの可撓性は、可撓性基板で行った製造などの特殊な適用に非常に適合するようになっている。
【0004】
OLEDは、その発光メカニズムに応じて、3種の異なるタイプに分けられている。Tangおよびvan Slykeにより発明されたOLEDは、蛍光OLEDであり、一重項発光のみを使用する。素子において生成した三重項が非輻射減衰通路により浪費され、蛍光OLEDの内部量子効率(IQE)が25%に過ぎないため、この制限はOLEDの商業化を妨害している。1997年、ForrestおよびThompsonにより、錯体含有重金属からの三重項発光を発光体として用いるりん光OLEDが報道されている。そのため、一重項および三重項を収穫し、100%のIQEを実現することができる。その効率が高いため、りん光OLEDの発見および発展は、直接的にアクティブマトリクスOLED(AMOLED)の商業化に貢献する。最近、Adachiは、有機化合物の熱活性化遅延蛍光(TADF)によって高効率を実現している。これらの発光体は、小さい一重項-三重項ギャップを有するため、励起子が三重項から一重項に戻るトランジションが可能となる。TADF素子において、三重項励起子がリバースシステム間で貫通すること(逆項間交差)によって一重項励起子を生成することに起因してIQEが高くなっている。
【0005】
OLEDsは、さらに、所用材料の形態に応じて、小分子とポリマーOLEDに分けられてもよい。小分子とは、ポリマーではない、有機または有機金属のいずれかの材料を指し、精確な構造を有すれば、小分子の分子量が大きくてもよい。明確な構造を有するデンドリマーは、小分子と認められている。ポリマーOLEDは、共役ポリマーと、側鎖の発光基を有する非共役ポリマーとを含む。製造過程において後重合を発生すると、小分子OLEDがポリマーOLEDになり得る。
【0006】
様々なOLEDの製造方法が公知されている。小分子OLEDは、一般的に、真空熱蒸発により製造されるものである。ポリマーOLEDは、例えばスピンコート、インクジェット印刷およびノズル印刷などの溶液法により製造されるものである。材料が溶剤に溶解または分散することが可能であれば、小分子OLEDも溶液法により製造されることができる。
【0007】
OLEDの発光色は、発光材料の構造設計により実現することができる。OLEDは、所望のスペクトルを実現するように、1つまたは複数の発光層を含んでもよい。緑色、黄色、赤色OLEDにおいて、りん光材料は、既に商業化の実現に成功したが、青色のりん光素子には、依然として、青色が飽和せず、寿命が短く、作業電圧が高いなどの問題が存在する。市販のフルカラーOLEDディスプレイは、一般的に混合策略を用い、青色の蛍光、および黄色、赤色または緑色のりん光を用いる。現在、りん光OLEDの効率が高輝度の場合に急速に低下するという問題が存在する。また、より飽和した発光スペクトル、より高い効率、およびより長いデバイス寿命を有することが望まれている。
【0008】
有機エレクトロルミネッセンス素子は、素子の両端に電圧を印加することにより、電気エネルギーを光に変換するものである。通常、有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極、陰極、および陽極と陰極との間の有機層を含む。エレクトロルミネッセンス素子の有機層は、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロッキング層、発光層(ホスト材料およびドーピング材料を含む)、電子緩衝層、正孔ブロッキング層、電子輸送層および電子注入層などを含む。材料の機能によれば、有機層を構成する材料は、正孔注入材料、正孔輸送材料、電子ブロッキング材料、ホスト材料、発光材料、電子緩衝材料、正孔ブロッキング材料、電子輸送材料、電子注入材料などに分けられてもよい。バイアス電圧が素子に印加されると、正孔が陽極から発光層に注入され、電子が陰極から発光層に注入されている。正孔と電子とが会って励起子を形成し、励起子が複合して発光することがある。そのうち、正孔注入層は、有機エレクトロルミネッセンス素子の性能に影響を及ぼす重要な機能層の1つであり、その材料の選択および組合せにより有機エレクトロルミネッセンス素子の性能、例えば駆動電圧、効率および耐用年数などに対して深刻に影響を及ぼす恐れがある。商業上で、低駆動電圧、高効率、長耐用年数などの特性を有する有機エレクトロルミネッセンス素子を取得することが所望されているため、新規な正孔注入層の開発は、非常に重要な研究分野である。
【0009】
初期のOLED素子は、通常、陽極と発光層との間に1層だけの有機材料が設けられて、正孔注入、正孔輸送、ひいては電子ブロッキングの機能を兼備するものである。このような素子は、構造が単一の正孔輸送材料に限定され、エネルギーレベルが理想的なマッチングに達することができず、非常に理想的な性能も取得しにくい。業界では、素子の性能に対する要求がますます増えることに伴い、陽極と発光層との間の正孔輸送エリアの性能に対する要求もますます増えている。その後、正孔輸送材料をさらに正孔注入層および正孔輸送層という2層に分けた際に、一般的に、単一のトリアリールアミン類材料を正孔注入層として用いる。良く用いられたトリアリールアミン類材料は、以下の通りである。
【化1】
【0010】
また、たとえば、US20160190447A1では、スピロビフルオレン-トリアリールアミン構造
【化2】
の有機化合物が開示されている。該化合物は、正孔輸送層または正孔注入層または励起子ブロッキング層における正孔輸送材料または蛍光発光体またはりん光発光体のマトリックス材料として用いられてもよいが、該文献では、該化合物とP型ドーピング材料の組合せに対する選択が素子の性能に対する影響が注目されていない。
【0011】
しかしながら、現在の業界では、最も先進した素子の構造中、通常、陽極と発光層との間に複数の有機層が設けられることにより、それぞれ正孔注入機能、正孔輸送機能および電子ブロッキング機能を実現する。より良好な正孔注入効果を取得するために、正孔注入層における正孔輸送材料(例えばアリールアミン類化合物)に一定の割合のp型ドーピング材料を添加する場合がある。良く用いられたp型ドーピング材料は、以下の通りである。
【化3】
【0012】
また、たとえば、US20200087311A1では、デヒドロベンゾビスオキサゾール、デヒドロベンゾビスチアゾールまたはデヒドロベンゾジセレナゾールおよび類似する構造
【化4】
を有する有機化合物が開示されている。該化合物は、深いLUMOを有するp-型ドーピング材料または正孔注入材料として用いられてもよい。該出願では、このようなp型ドーピング材料自身のみ注目されており、このようなp型ドーピング材料と正孔輸送材料の組合せに対する選択が素子の性能に対する影響が注目されていない。
【0013】
このようなドーピングされた正孔注入層は、p型ドーピング材料の強い電子捕捉能力によりp型ドーピング効果を達成し、効果的に向上した正孔注入および導電性能を取得することができる。このようなドーピングされた正孔注入層において、より優れたp型ドーピング材料および/またはより優れた正孔輸送材料の開発が非常に重要である一方、p型ドーピング材料と正孔輸送材料とのマッチングがより重要であるため、マッチングしないと、素子の性能が大幅に低下することがよくある。そのため、p型ドーピング材料と正孔輸送材料の合理的な組合せ・選択は、非常に重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】米国特許出願公開第20160190447号
【文献】米国特許出願公開第20200087311号
【非特許文献】
【0015】
【文献】Applied Physics Letters、1987、51(12):913~915
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上述した少なくとも一部の問題を解決するために、一連の新規な有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する。前記新規な有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極、陰極および陽極と陰極との間に設けられた第1有機層を含む。前記第1有機層は、少なくとも式1で表される構造を有する第1化合物および式2で表される構造を有する第2化合物を含む。このような第1化合物および第2化合物からなる新規な材料の組合せは、有機エレクトロルミネッセンス素子において正孔注入層に用いられてもよいことで、有機エレクトロルミネッセンス素子が低電圧、高効率および長耐用年数などの優れた特性を有し、より良好な素子の性能を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一実施例によれば、陽極、陰極、および陽極と陰極との間に設けられた第1有機層を含む有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記第1有機層は、少なくとも第1化合物および第2化合物を含み、前記第1化合物は、式1で表される構造を有する、有機エレクトロルミネッセンス素子が開示される。
【化5】
(式1中、XおよびYは、出現毎に同一または異なってNR’、CR’’R’’’、O、SまたはSeから選ばれ、
およびZは、出現毎に同一または異なってO、SまたはSeから選ばれ、
R、R’、R’’およびR’’’は、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、ニトロソ基、ニトロ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、SCN、OCN、SF、ボラニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスホノキシ基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
各々のRは、同一または異なってもよく、R、R’、R’’およびR’’’のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの電子求引基を有する基であり、
式1中、隣り合う置換基は、結合して環を形成していてもよく、
前記第2化合物は、式2で表される構造を有し、
【化6】
式2中、
~Xは、出現毎に同一または異なってC、CRまたはNから選ばれ、X~X18は、出現毎に同一または異なってCRまたはNから選ばれ、
Qは、C、SiまたはGeから選ばれ、
~Lは、出現毎に同一または異なって単結合、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリーレン基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリーレン基、またはこれらの組合せから選ばれ、
ArおよびArは、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、或いは、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基から選ばれ、
は、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20の複素環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシ基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
隣り合う置換基L、L、L、R、ArおよびArは、結合して環を形成していてもよい。)
【0018】
本発明の他の実施例によれば、上述した実施例に記載された有機エレクトロルミネッセンス素子を含む表示アセンブリがさらに開示される。
【0019】
本発明の他の実施例によれば、第1化合物および第2化合物を含む化合物の組合せであって、前記第1化合物は、式1で表される構造を有し、
【化7】
(式1中、XおよびYは、出現毎に同一または異なってNR’、CR’’R’’’、O、SまたはSeから選ばれ、
およびZは、出現毎に同一または異なってO、SまたはSeから選ばれ、
R、R’、R’’およびR’’’は、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、ニトロソ基、ニトロ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、SCN、OCN、SF、ボラニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスホノキシ基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
各々のRは、同一または異なってもよく、R、R’、R’’およびR’’’のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの電子求引基を有する基であり、
式1中、隣り合う置換基は、結合して環を形成していてもよく、
前記第2化合物は、式2で表される構造を有し、
【化8】
式2中、
~Xは、出現毎に同一または異なってC、CRまたはNから選ばれ、X~X18は、出現毎に同一または異なってCRまたはNから選ばれ、
Qは、C、SiまたはGeから選ばれ、
~Lは、出現毎に同一または異なって単結合、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリーレン基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリーレン基、またはこれらの組合せから選ばれ、
ArおよびArは、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、或いは、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基から選ばれ、
は、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20の複素環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシ基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
隣り合う置換基L、L、L、R、ArおよびArは、結合して環を形成していてもよい、化合物の組合せがさらに開示される。
【0020】
本発明に係る新規な有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極、陰極および陽極と陰極との間に設けられた第1有機層を含む。前記第1有機層は、少なくとも式1で表される構造を有する第1化合物および式2で表される構造を有する第2化合物を含む。このような第1化合物および第2化合物からなる新規な材料の組合せは、有機エレクトロルミネッセンス素子において、正孔注入層に用いられてもよいことで、有機エレクトロルミネッセンス素子が低電圧、高効率および長耐用年数などの優れた特性を有し、より良好な素子の性能を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本文に開示された有機エレクトロルミネッセンス素子が含まれ得る有機発光装置の模式図である。
図2】本文に開示された有機エレクトロルミネッセンス素子が含まれ得る他の有機発光装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
OLEDは、ガラス、プラスチック、および金属などの様々な基板で製造することができる。図1は、有機発光装置100を例示的に制限せずに示している。図面に対して、必ずしも縮尺どおりに製作するわけではなく、図において、必要に応じて一部の層構造を省略してもよい。装置100には、基板101、陽極110、正孔注入層120、正孔輸送層130、電子ブロッキング層140、発光層150、正孔ブロッキング層160、電子輸送層170、電子注入層180および陰極190が含まれてもよい。装置100は、記載される層を順に堆積することにより製造されてもよい。各層の性質、機能および例示的な材料については、米国特許US7279704B2の第6~10欄においてより詳細に記載されており、そのすべての内容を本明細書に援用する。
【0023】
これらの層のそれぞれには、より多くの実例がある。例示的には、全文を援用するように組み込まれた米国特許第5844363号において、可撓性で透明な基板-陽極の組合せが開示されている。例えば、全文を援用するように組み込まれた米国特許出願公開第2003/0230980号において、p型ドープの正孔輸送層の実例は50:1のモル比でF-TCNQがドーピングされたm-MTDATAであることが開示されている。全文を援用するように組み込まれた、トンプソン(Thompson)らによる米国特許第6303238号において、ホスト材料の実例が開示されている。例えば、全文を援用するように組み込まれた米国特許出願公開第2003/0230980号において、n型ドープの電子輸送層の実例は1:1のモル比でLiがドーピングされたBPhenであることが開示されている。全文を援用するように組み込まれた米国特許第5703436号および第5707745号において、例えばMg:Agなどの金属薄層と、その上に被覆された、スパッタ堆積された透明な導電ITO層とを有する複合陰極を含む陰極の実例が開示されている。全文を援用するように組み込まれた米国特許第6097147号および米国特許出願公開第2003/0230980号において、より詳細に、ブロッキング層の原理と使用が記載されている。全文を援用するように組み込まれた米国特許出願公開第2004/0174116号において注入層の実例が提供されている。全文を援用するように組み込まれた米国特許出願公開第2004/0174116号において、保護層が記載されている。
【0024】
非限定的な実施例により上述した分層構造が提供される。上述した各種の層を組み合わせることによってOLEDの機能が実現することができ、或いは、一部の層を完全に省略することができる。それは、明確に記載されていない他の層を含んでもよい。それぞれの層内に、最適な性能を実現するように、単一の材料または多種の材料の混合物を使用することができる。機能層はいずれも、複数なサブ層を含んでもよく、例えば、発光層は、所望の発光スペクトルを実現するように、2層の異なる発光材料を有してもよい。
【0025】
一実施例において、OLEDは、陰極と陽極との間に設けられた「有機層」を有すると記載されてもよい。当該有機層は、1つまたは複数の層を含んでもよい。
【0026】
OLEDにもカプセル化層が必要であり、図2に示すように、有機発光装置200が例示的に制限せずに示されている。図1との相違点は、水分および酸素などの外界からの有害物質を防止するように、陰極190上にカプセル化層102を含んでもよい。ガラス、または有機-無機混合層などのカプセル化機能を提供可能ないかなる材料も、カプセル化層として用いられてもよい。カプセル化層は、OLED素子の外部に、直接または間接的に配置されるべきである。多層薄膜カプセル化については、米国特許US7968146B2において記載されており、そのすべての内容を本明細書に援用する。
【0027】
本発明の実施例により製造される素子は、当該素子の1つまたは複数の電子部材モジュール(或いは、ユニット)を有する各種の消費製品に組み込まれてもよい。これらの消費製品は、例えば、フラットパネルディスプレイ、モニタ、医療用モニタ、テレビ、ビルボード、室内または室外用照明ランプおよび/または信号ランプ、ヘッドアップディスプレイ、全部または一部透明のディスプレイ、可撓性ディスプレイ、スマートフォン、フラットパネルコンピューター、フラットパネル携帯電話、ウェアラブル素子、スマートウォッチ、ラップトップコンピューター、デジタルカメラ、携帯型ビデオカメラ、ファインダー、マイクロディスプレイ、3-Dディスプレイ、車載ディスプレイおよびテールライトを含む。
【0028】
本明細書に記載される材料および構造は、上述にて列挙されている他の有機電子素子にも用いられてもよい。
【0029】
「頂部」とは、基板から最も遠く、「底部」とは、基板から最も近いことを意味する。第1層が第2層「上」に設けられていると記載されている場合、第1層が基板から相対的に遠いように設けられている。第1層が第2層「と」「接触する」ことを規定していない限り、第1層と第2層との間に他の層が存在してもよい。例示的には、陰極と陽極との間に各種の有機層が存在しても、依然として、陰極が陽極「上」に設けられていると記載されることができる。
【0030】
「溶液が処理可能である」とは、溶液または懸濁液の形態で液体媒体に溶解、分散または輸送可能であり、および/または液体媒体から堆積可能であることを意味する。
【0031】
配位子は、直接的に発射材料の感光性質を促成すると、「感光性」と呼ばれてもよいことが信じられている。配位子は、発射材料の感光性質を促成しないと、「補助性」と呼ばれてもよい。しかし、補助性の配位子は、感光性配位子の性質を変更することができることが信じられている。
【0032】
蛍光OLEDの内部量子効率(IQE)は、遅延蛍光の存在によって25%のスピン統計による制限を超えてもよいことが信じられている。遅延蛍光は、一般的に2つのタイプ、すなわちP型遅延蛍光およびE型遅延蛍光に分けられてもよい。P型遅延蛍光は、三重項-三重項消滅(TTA)により生成される。
【0033】
一方、E型遅延蛍光は、2つの三重項の衝突ではなく、三重項と一重項との励起状態の変換に依存する。E型遅延蛍光を生成可能な化合物は、エネルギー状態の変換を行うように、極めて小さい一重項-三重項ギャップを有することが必要である。熱エネルギーは、三重項から一重項までの遷移を活性化することができる。このようなタイプの遅延蛍光は、熱活性化遅延蛍光(TADF)とも呼ばれる。TADFの顕著な特徴は、遅延成分が温度の上昇と伴って向上することにある。リバースシステム(RISC)間の貫通(逆項間交差)の速度が十分に速いと、三重項からの非輻射減衰を最小化させ、バックフィルした一重項の励起状態の割合は75%に達することができる。一重項の合計割合は100%であってもよく、エレクトロによる励起子のスピン統計の25%をはるかに超えている。
【0034】
E型遅延蛍光の特徴は、励起複合物系または単一の化合物から見える。理論に限定されず、E型遅延蛍光は、発光材料が小さい一重項-三重項エネルギーギャップ(ΔES-T)を有する必要がある。有機非金属含有の供与体・受容体発光材料は、この点を実現する可能性がある。これらの材料の発射は、通常、供与体・受容体電荷遷移(CT)型発射であると特徴付けられる。これらの供与体・受容体型化合物において、HOMOとLUMOとの空間分離は、一般的に小さいΔES-Tを生成することになる。これらの状態は、CT状態を含んでもよい。通常、供与体・受容体発光材料は、電子供与体部分(例えば、アミン基またはカルバゾール誘導体)と電子受容体部分(例えば、N含有の六員芳香族環)を結合することにより構築される。
【0035】
置換基の専門用語の定義について
【0036】
ハロゲンまたはハロゲン化物とは、本明細書に用いられるように、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を含む。
【0037】
アルキル基とは、本明細書に用いられるように直鎖および分岐鎖のアルキル基を含む。アルキル基は、炭素原子数1~20のアルキル基であってもよく、炭素原子数1~12のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数1~6のアルキル基であることがより好ましい。アルキル基の実例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、ネオペンチル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、1-ペンチルヘキシル、1-ブチルペンチル、1-ヘプチルオクチル、および3-メチルペンチルを含む。そのうち、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチルおよびn-ヘキサンであることが好ましい。また、アルキル基は、置換されていてもよい。
【0038】
シクロアルキル基とは、本明細書に用いられるように環状のアルキル基を含む。シクロアルキル基は、環炭素原子数3~20のシクロアルキル基であってもよく、炭素原子数4~10のシクロアルキル基であることが好ましい。シクロアルキル基の実例は、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、4,4-ジメチルシクロヘキシル、1-アダマンチル、2-アダマンチル、1-ノルボルニル基、2-ノルボルニル基などを含む。そのうち、シクロペンチル、シクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、4,4-ジメチルシクロヘキシルであることが好ましい。また、シクロアルキル基は、置換されていてもよい。
【0039】
ヘテロアルキル基とは、本明細書に用いられるように、アルキル鎖のうちの1つまたは複数の炭素が、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、リン原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子およびホウ素原子からなる群から選ばれるヘテロ原子で置換されてなる。ヘテロアルキル基は、炭素原子数1~20のヘテロアルキル基であってもよく、炭素原子数1~10のヘテロアルキル基であることが好ましく、炭素原子数1~6のヘテロアルキル基であることがより好ましい。ヘテロアルキル基の実例は、メトキシメチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、メチルチオメチル基、エチルチオメチル基、エチルチオエチル基、メトキシメトキシメチル基、エトキシメトキシメチル基、エトキシエトキシエチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、メルカプトメチル基、メルカプトエチル基、メルカプトプロピル基、アミノメチル基、アミノエチル基、アミノプロピル基、ジメチルアミノメチル基、トリメチルゲルマニウムメチル基、トリメチルゲルマニウムエチル基、トリメチルゲルマニウムイソプロピル基、ジメチルエチルゲルマニウムメチル基、ジメチルイソプロピルゲルマニウムメチル基、tert-ブチルジメチルゲルマニウムメチル基、トリエチルゲルマニウムメチル基、トリエチルゲルマニウムエチル基、トリイソプロピルゲルマニウムメチル基、トリイソプロピルゲルマニウムエチル基、トリメチルシリルメチル基、トリメチルシリルエチル基、トリメチルシリルイソプロピル基、トリイソプロピルシリルメチル基、トリイソプロオイルシリルエチル基。また、ヘテロアルキル基は、置換されていてもよい。
【0040】
アルケニル基とは、本明細書に用いられるように、直鎖、分岐鎖および環状オレフィン基を含む。鎖状のアルケニル基は、炭素原子数2~20のアルケニル基であってもよく、炭素原子数2~10のアルケニル基であることが好ましい。アルケニル基の例は、ビニル基、プロピレン基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1,3-ブタジエニル基、1-メチルビニル基、スチリル基、2,2-ジフェニルビニル基、1,2-ジフェニルビニル基、1-メチルアリル基、1,1-ジメチルアリル基、2-メチルアリル基、1-フェニルアリル基、2-フェニルアリル基、3-フェニルアリル基、3,3-ジフェニルアリル基、1,2-ジメチルアリル基、1-フェニル-1-ブテニル基、3-フェニル-1-ブテニル基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロヘプタトリエニル基、シクロオクテニル基、シクロオクタテトラエニル基およびノルボルニルアルケニル基を含む。また、アルケニル基は、置換されていてもよい。
【0041】
アルキニル基とは、本明細書に用いられるように、直鎖のアルキニル基を含む。アルキニル基は、炭素原子数2~20のアルキニル基であってもよく、炭素原子数2~10のアルキニル基であることが好ましい。アルキニル基の実例は、エチニル基、プロピニル基、プロパルギル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、1-ペンチニル基、2-ペンチニル基、3,3-ジメチル-1-ブチニル基、3-エチル-3-メチル-1-ペンチニル基、3,3-ジイソプロピル1-ペンチニル基、フェニルエチニル基、フェニルプロピニル基などを含む。そのうち、エチニル基、プロピニル基、プロパルギル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、1-ペンチニル基、フェニルエチニル基であることが好ましい。また、アルキニル基は、置換されていてもよい。
【0042】
アリール基または芳香族基とは、本明細書に用いられるように、非縮合および縮合系を考慮する。アリール基は、炭素原子数6~30のアリール基であってもよく、炭素原子数6~20のアリール基であることが好ましく、炭素原子数6~12のアリール基であることがより好ましい。アリール基の例は、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、トリフェニレン、テトラフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、およびアズレンを含み、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、トリフェニレン、フルオレンおよびナフタレンであることが好ましい。非縮合アリール基の例は、フェニル、ビフェニル-2-イル、ビフェニル-3-イル、ビフェニル-4-イル、p-ターフェニル-4-イル、p-ターフェニル-3-イル、p-トリビフェニル-2-イル、m-ターフェニル-4-イル、m-ターフェニル-3-イル、m-ターフェニル-2-イル、o-トリル、m-トリル、p-トリル、p-(2-フェニルプロピル)フェニル、4’-メチルビフェニル、4’’-tert-ブチル-p-ターフェニル-4-イル、o-クミル、m-クミル、p-クミル、2,3-キシリル、3,4-キシリル、2,5-ジメチルフェニル、メシチレンおよびm-テトラフェニルを含む。また、アリール基は、置換されていてもよい。
【0043】
複素環基または複素環とは、本明細書に用いられるように、非芳香族の環状基を考慮する。非芳香族複素環基は、環原子数3~20の飽和複素環基および環原子数3~20の不飽和非芳香族複素環基を含み、そのうちの少なくとも1つの環原子は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、ケイ素原子、リン原子、ゲルマニウム原子およびホウ素原子からなる群から選ばれ、非芳香族複素環基は、環原子数3~7のものであることが好ましく、窒素、酸素、ケイ素または硫黄などの少なくとも1つのヘテロ原子を含む。非芳香族複素環基の実例は、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ジオキソペンチル、ジオキサニル、アジリジニル、ジヒドロピロール、テトラヒドロピロリル、ピペリジニル、オキサゾリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、オキサシクロヘプタトリエニル、チアシクロヘプタトリエニル、アザシクロヘプタトリエニルおよびテトラヒドロシロールを含む。また、複素環基は、置換されていてもよい。
【0044】
ヘテロアリール基とは、本明細書に用いられるように、ヘテロ原子数1~5の非縮合および縮合ヘテロ芳香族基を含んでもよく、そのうちの少なくとも1つのヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、ケイ素原子、リン原子、ゲルマニウム原子およびホウ素原子からなる群から選ばれる。イソアリール基とは、ヘテロアリール基も指す。ヘテロアリール基は、炭素原子数3~30のヘテロアリール基であってもよく、炭素原子数3~20のヘテロアリール基であることが好ましく、炭素原子数3~12のヘテロアリール基であることがより好ましい。好適なヘテロアリール基は、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリドインドール、ピロロピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンズイミダゾール、インダゾール、インデノアジン、ベンゾオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、ベンゾフランピリジン、フランジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノビピリジン、ベンゾセレノピリジン、およびセレンベンゾピリジンを含み、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、イミダゾール、ピリジン、トリアジン、ベンズイミダゾール、1,2-アザボラン、1,3-アザボラン、1,4-アザボラン、ボラゾールおよびそのアザ類似物を含むことが好ましい。また、ヘテロアリール基は、置換されていてもよい。
【0045】
アルコキシ基とは、本明細書に用いられるように、-O-アルキル基、-O-シクロアルキル基、-O-ヘテロアルキル基または-O-複素環基で表される。アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロアルキル基および複素環基の例および好ましい例は、上記例と同様である。アルコキシ基は、炭素原子数1~20のアルコキシ基であってもよく、炭素原子数1~6のアルコキシ基であることが好ましい。アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、テトラヒドロフラニルオキシ、テトラヒドロピラニルオキシ、メトキシプロピルオキシ、エトキシエチルオキシ、メトキシメチルオキシおよびエトキシメチルオキシを含む。また、アルコキシ基は、置換されていてもよい。
【0046】
アリールオキシ基とは、本明細書に用いられるように、-O-アリール基または-O-ヘテロアリール基で表される。アリール基およびヘテロアリール基の例および好ましい例は、上記例と同様である。アリールオキシ基は、炭素原子数6~30のアリールオキシ基であってもよく、炭素原子数6~20のアリールオキシ基であることが好ましい。アリールオキシ基の例は、フェノキシおよびビフェノキシを含む。また、アリールオキシ基は、置換されていてもよい。
【0047】
アラルキル基とは、本明細書に用いられるように、アリール基で置換されたアルキル基を含む。アラルキル基は、炭素原子数7~30のアラルキル基であってもよく、炭素原子数7~20のアラルキル基であることが好ましく、炭素原子数7~13のアラルキル基であることがより好ましい。アラルキル基の例は、ベンジル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル、1-フェニルイソプロピル、2-フェニルイソプロピル、フェニル-tert-ブチル、α-ナフチルメチル、1-α-ナフチルエチル、2-α-ナフチルエチル、1-α-ナフチルイソプロピル、2-α-ナフチルイソプロピル、β-ナフチルメチル、1-β-ナフチル-エチル、2-β-ナフチル-エチル、1-β-ナフチルイソプロピル、2-β-ナフチルイソプロピル、p-メチルベンジル、m-メチルベンジル、o-メチルベンジル、p-クロロベンジル、m-クロロベンジル、o-クロロベンジル、p-ブロモベンジル、m-ブロモベンジル、o-ブロモベンジル、p-ヨードベンジル、m-ヨードベンジル、o-ヨードベンジル、p-ヒドロキシベンジル、m-ヒドロキシベンジル、o-ヒドロキシベンジル、p-アミノベンジル、m-アミノベンジル、o-アミノベンジル、p-ニトロベンジル、m-ニトロベンジル、o-ニトロベンジル、p-シアノベンジル、m-シアノベンジル、o-シアノベンジル、1-ヒドロキシ-2-フェニルイソプロピルおよび1-クロロ-2-フェニルイソプロピルを含む。そのうち、ベンジル、p-シアノベンジル、m-シアノベンジル、o-シアノベンジル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル、1-フェニルイソプロピルおよび2-フェニルイソプロピルであることが好ましい。また、アラルキル基は、置換されていてもよい。
【0048】
アルキルシリル基とは、本明細書に用いられるように、アルキル基で置換されたシリル基を含む。アルキルシリル基は、炭素原子数3~20のアルキルシリル基であってもよく、炭素原子数3~10のアルキルシリル基であることが好ましい。アルキルシリル基の例は、トリメチルシリル、トリエチルシリル、メチルジエチルシリル、エチルジメチルシリル、トリプロピルシリル、トリブチルシリル、トリイソプロピルシリル、メチルジイソプロピルシリル、ジメチルイソプロピルシリル、トリ-tert-ブチルシリコン、トリイソブチルシリル、ジメチル-tert-ブチルシリル、およびメチルジ-tert-ブチルシリルを含む。また、アルキルシリル基は、置換されていてもよい。
【0049】
アリールシリル基とは、本明細書に用いられるように、少なくとも1つのアリール基で置換されたシリル基を含む。アリールシリル基は、炭素原子数6~30のアリールシリル基であってもよく、炭素原子数8~20のアリールシリル基であることが好ましい。アリールシリル基の例は、トリフェニルシリル、フェニルジビフェニルシリル、ジフェニルビフェニルシリル、フェニルジエチルシリル、ジフェニルエチルシリル、フェニルジメチルシリル、ジフェニルメチルシリル、フェニルジイソプロピルシリル、ジフェニルイソプロピルシリル、ジフェニルブチルシリル、ジフェニルイソブチルシリル、ジフェニル-tert-ブチルシリルを含む。また、アリールシリル基は、置換されていてもよい。
【0050】
アルキルゲルマニウム基とは、本明細書に用いられるように、アルキル基で置換されたゲルマニウム基を含む。アルキルゲルマニウム基は、炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基であってもよく、炭素原子数3~10のアルキルゲルマニウム基であることが好ましい。アルキルゲルマニウム基の例は、トリメチルゲルマニウム基、トリエチルゲルマニウム基、メチルジエチルゲルマニウム基、エチルジメチルゲルマニウム基、トリプロピルゲルマニウム基、トリブチルゲルマニウム基、トリイソプロピルゲルマニウム基、メチルジイソプロピルゲルマニウム基、ジメチルイソプロピルゲルマニウム基、トリ-tert-ブチルゲルマニウム基、トリイソブチルゲルマニウム基、ジメチル-tert-ブチルゲルマニウム基、メチルジ-tert-ブチルゲルマニウム基を含む。また、アルキルゲルマニウム基は、置換されていてもよい。
【0051】
アリールゲルマニウム基とは、本明細書に用いられるように、少なくとも1つのアリール基またはヘテロアリール基で置換されたゲルマニウム基を含む。アリールゲルマニウム基は、炭素原子数6~30のアリール基ゲルマニウム基であってもよく、炭素原子数8~20のアリールゲルマニウム基であることが好ましい。アリールゲルマニウム基の例は、トリフェニルゲルマニウム基、フェニルジビフェニルゲルマニウム基、ジフェニルビフェニルゲルマニウム基、フェニルジエチルゲルマニウム基、ジフェニルエチルゲルマニウム基、フェニルジメチルゲルマニウム基、ジフェニルメチルゲルマニウム基、フェニルジイソプロピルゲルマニウム基、ジフェニルイソプロピルゲルマニウム基、ジフェニルブチルゲルマニウム基、ジフェニルイソブチルゲルマニウム基、ジフェニル-tert-ブチルゲルマニウム基を含む。また、アリールゲルマニウム基は、置換されていてもよい。
【0052】
アザジベンゾフラン、アザジベンゾチオフェンなどにおける「アザ」とは、対応する芳香族フラグメントにおける1つまたは複数のC-H基が窒素原子に置換されることを指す。例えば、アザトリフェニレンは、ジベンゾ[f,h]キノキサリン、ジベンゾ[f,h]キノリン、および環系において2つ以上の窒素を有する他の類似物を含む。当業者であれば、上述したアザ誘導体の他の窒素類似物を容易に想到することができ、且つこれらの類似物は、すべて本明細書に記載される専門用語に含まれるものとして確定される。
【0053】
本発明において、特に断りのない限り、置換のアルキル基、置換のシクロアルキル基、置換のヘテロアルキル基、置換の複素環基、置換のアラルキル基、置換のアルコキシ基、置換のアリールオキシ基、置換のアルケニル基、置換のアルキニル基、置換のアリール基、置換のヘテロアリール基、置換のアルキルシリル基、置換のアリールシリル基、置換のアルキルゲルマニウム基、置換のアリールゲルマニウム基、置換のアミノ基、置換のアシル基、置換のカルボニル基、置換のカルボキシル基、置換のエステル基、置換のスルフィニル基、置換のスルホニル基、置換のホスフィノ基からなる群のうちのいずれかの用語を使用すると、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロアルキル基、複素環基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルケニル基、アルキニル、アリール基、ヘテロアリール基、アルキルシリル基、アリールシリル基、アルキルゲルマニウム基、アリールゲルマニウム基、アミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、スルフィニル基、スルホニル基、およびホスフィノ基のうちのいずれか1つの基が、重水素、ハロゲン、非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、非置換の環原子数3~20の複素環基、非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、非置換の炭素原子数6~30のアリール基、非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基およびこれらの組合せから選ばれる1つまたは複数により置換され得ることを意味する。
【0054】
分子フラグメントについて、置換基または他の形態で他の部分に結合させると記載する場合、フラグメント(例えば、フェニル基、フェニレン基、ナフチル基、ジベンゾフラニル基)であるか否か、或いは、分子全体(例えば、ベンゼン、ナフタレン、ジベンゾフラン)であるか否かにより、その名称を確定することができることを理解すべきである。本明細書に用いられるように、置換基の指定、或いはフラグメントの結合の異なる形態は、均等であると認められている。
【0055】
本明細書で言及される化合物において、水素原子が重水素で一部または全部置換されてもよい。他の原子、例えば炭素および窒素も、それらの他の安定した同位体で置換されてもよい。素子の効率および安定性を向上させるために、化合物において他の安定した同位体の置換が好ましい可能性がある。
【0056】
本明細書で言及される化合物において、複数置換とは、二重置換を含む、最も多くの使用可能な置換に達するまでの範囲を指す。本明細書で言及される化合物中のある置換基は、複数置換(二重置換、三重置換、四重置換などを含む)を意味すると、その置換基はその結合構造上の複数の利用可能な置換位置に存在してもよいことを意味し、複数の利用可能な置換位置にいずれも存在する当該置換基は、同じ構造であってもよいし、異なる構造であってもよい。
【0057】
本明細書で言及される化合物において、隣り合う置換基が結合して環を形成していてもよいように特に限定されない限り、前記化合物における隣り合う置換基は結合して環を形成することができない。本明細書で言及される化合物において、隣り合う置換基が結合して環を形成していてもよいことは、隣り合う置換基が結合して環を形成してもよい情況を含むだけでなく、隣り合う置換基が結合して環を形成しない情況を含む。隣り合う置換基が結合して環を形成していてもよい場合、形成される環は、単環または多環、および脂環、ヘテロ脂環、アリール環、またはヘテロアリール環であってもよい。このような記述において、隣り合う置換基は、同一の原子に結合された置換基、互いに直接結合する炭素原子に結合された置換基、または更に離れた炭素原子に結合された置換基を指してもよい。好ましくは、隣り合う置換基は、同一の炭素原子に結合された置換基および互いに直接結合する炭素原子に結合された置換基を指す。
【0058】
隣り合う置換基が結合して環を形成していてもよいという記述も、同一の炭素原子に結合された2つの置換基が化学結合により互いに結合して環を形成することを意味すると認められ、下記式で例示することができる。
【化9】
【0059】
隣り合う置換基が結合して環を形成していてもよいという記述も、互いに直接結合する炭素原子に結合された2つ置換基が化学結合により互いに結合して環を形成することを意味すると認められ、下記式で例示することができる。
【化10】
【0060】
隣り合う置換基が結合して環を形成していてもよいという記述も、さらに離れる炭素原子に結合された2つの置換基が化学結合により互いに結合して環を形成することを意味すると認められ、下記式で例示することができる。
【化11】
【0061】
また、隣り合う置換基が結合して環を形成していてもよいという記述も、互いに直接結合する炭素原子に結合された2つ置換基の一方が水素を表す場合に、第2置換基は水素原子が結合された位置に結合されて環を形成することを意味すると認められている。下記式で例示する。
【化12】
【0062】
本発明の一実施例によれば、陽極、陰極、および陽極と陰極との間に設けられた第1有機層を含む有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記第1有機層は、少なくとも第1化合物および第2化合物を含み、前記第1化合物は、式1で表される構造を有する、有機エレクトロルミネッセンス素子が開示される。
【化13】
(式1中、
XおよびYは、出現毎に同一または異なってNR’、CR’’R’’’、O、SまたはSeから選ばれ、
およびZは、出現毎に同一または異なってO、SまたはSeから選ばれ、
R、R’、R’’およびR’’’は、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、ニトロソ基、ニトロ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、SCN、OCN、SF、ボラニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスホノキシ基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
各々のRは、同一または異なってもよく、R、R’、R’’およびR’’’のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの電子求引基を有する基であり、
式1中、隣り合う置換基は、結合して環を形成していてもよく、
前記第2化合物は、式2で表される構造を有し、
【化14】
式2中、
~Xは、出現毎に同一または異なってC、CRまたはNから選ばれ、X~X18は、出現毎に同一または異なってCRまたはNから選ばれ、
Qは、C、SiまたはGeから選ばれ、
~Lは、出現毎に同一または異なって単結合、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリーレン基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリーレン基、またはこれらの組合せから選ばれ、
ArおよびArは、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、或いは、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基から選ばれ、
は、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20の複素環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシ基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
隣り合う置換基L、L、L、R、ArおよびArは、結合して環を形成していてもよい。)
【0063】
本実施例において、式1中、隣り合う置換基が結合して環を形成していてもよいとは、式1中、隣り合う置換基グループ、例えば隣り合う置換基R’’およびR’’’、隣り合う置換基RおよびR’’、隣り合う置換基RおよびR’、隣り合う置換基RおよびR’’’、並びに2つの隣り合う置換基Rのうちのいずれか1つまたは複数が結合して環を形成していてもよいことを意味する。明らかには、これらの置換基グループがいずれも結合して環を形成しなくてもよい。
【0064】
本明細書において、L、L、L、R、ArおよびArが結合して環を形成していてもよいとは、式2中、隣り合う置換基グループ、例えば隣り合う置換基R、隣り合う置換基RおよびL、隣り合う置換基LおよびL、隣り合う置換基LおよびL、隣り合う置換基LおよびL、隣り合う置換基ArおよびAr、隣り合う置換基ArおよびL、隣り合う置換基ArおよびL、隣り合う置換基ArおよびR、並びに隣り合う置換基ArおよびRのうちのいずれか1つまたは複数が結合して環を形成していてもよいことを意味する。明らかには、これらの置換基グループがいずれも結合して環を形成しなくてもよい。
【0065】
本発明の一実施例によれば、式1中、XおよびYは、出現毎に同一または異なってCR’’R’’’またはNR’から選ばれ、R’、R’’およびR’’’は、少なくとも1つの電子求引基を有する基である。
【0066】
本発明の一実施例によれば、式1中、R、R’、R’’およびR’’’は、少なくとも1つの電子求引基を有する基である。
【0067】
本発明の一実施例によれば、式1中、XおよびYは、出現毎に同一または異なってO、SまたはSeから選ばれ、Rのうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの電子求引基を有する基である。
【0068】
本発明の一実施例によれば、式1中、各々のRは、いずれも少なくとも1つの電子求引基を有する基である。
【0069】
本発明の一実施例によれば、前記電子求引基のハメット定数は、0.05以上であり、0.3以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましい。
【0070】
本発明における前記電子求引基のハメット置換基定数が0.05以上であり、電子求引能力が強いため、化合物のLUMOエネルギーレベルを顕著して低下させ、電荷移動率を向上させる効果を達成することができる。
【0071】
なお、前記ハメット置換基定数は、ハメット置換基パラ位定数および/またはメタ位定数を含む。パラ位定数およびメタ位定数のうちの一方が0.05以上であれば、本発明において好ましく選択された基とすることができる。
【0072】
本発明の一実施例によれば、前記電子求引基は、ハロゲン、ニトロソ基、ニトロ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、SCN、OCN、SF、ボラニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスホノキシ基、アザ芳香環基、およびハロゲン、ニトロソ基、ニトロ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、SCN、OCN、SF、ボラニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスホノキシ基、アザ芳香環基のうちの1つまたは複数で置換された、炭素原子数1~20のアルキル基、環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、炭素原子数7~30のアラルキル基、炭素原子数1~20のアルコキシ基、炭素原子数6~30のアリールオキシ基、炭素原子数2~20のアルケニル基、炭素原子数2~20のアルキニル基、炭素原子数6~30のアリール基、炭素原子数3~30のヘテロアリール基、炭素原子数3~20のアルキルシリル基、炭素原子数6~20のアリールシリル基のうちのいずれか1つの基、並びにこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0073】
本発明の一実施例によれば、前記電子求引基は、F、CF、OCF、SF、SOCF、シアノ基、イソシアノ基、SCN、OCN、ピリミジン基、トリアジン基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0074】
本発明の一実施例によれば、XおよびYは、出現毎に同一または異なって以下の構造からなる群から選ばれ、
O、S、Se、
【化15】
は、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、ニトロソ基、ニトロ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、SCN、OCN、SF、ボラニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスホノキシ基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
好ましくは、Rは、出現毎に同一または異なってF、CF、OCF、SF、SOCF、シアノ基、イソシアノ基、SCN、OCN、ペンタフルオロフェニル基、4-シアノテトラフルオロフェニル基、テトラフルオロピリジル基、ピリミジン基、トリアジン基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
VおよびWは、出現毎に同一または異なってCR、NR、O、SまたはSeから選ばれ、
Arは、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、或いは、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基から選ばれ、
A、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびRは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、ニトロソ基、ニトロ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、SCN、OCN、SF、ボラニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスホノキシ基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
Aは、少なくとも1つの電子求引基を有する基であり、前記いずれか1つの構造に対して、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびRのうちの1つまたは複数が現れた際に、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびRのうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの電子求引基を有する基であり、好ましくは、前記少なくとも1つの電子求引基を有する基は、F、CF、OCF、SF、SOCF、シアノ基、イソシアノ基、SCN、OCN、ペンタフルオロフェニル基、4-シアノテトラフルオロフェニル基、テトラフルオロピリジル基、ピリミジン基、トリアジン基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0075】
本実施例において、「*」は、前記XおよびYが前記式1におけるデヒドロベンゾビスオキサゾール環、デヒドロベンゾジチアゾール環またはデヒドロベンゾジセレナゾール環(dehydrobenzodiselenazole ring)に結合した箇所を表す。
【0076】
本発明の一実施例によれば、XおよびYは、出現毎に同一または異なって以下の構造からなる群から選ばれる。
O、S、Se、
【化16】
【0077】
本実施例において、「*」は、前記XおよびYが式1におけるデヒドロベンゾビスオキサゾール環、デヒドロベンゾジチアゾール環またはデヒドロベンゾジセレナゾール環に結合した箇所を表す。
【0078】
本発明の一実施例によれば、Rは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、ニトロソ基、ニトロ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、SCN、OCN、SF、ボラニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスホノキシ基、非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、非置換の炭素原子数6~30のアリール基、非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、およびハロゲン、ニトロソ基、ニトロ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、SCN、OCN、SF、ボラニル基、スルフィニル基、スルホニル基およびホスホノキシ基のうちの1つまたは複数の基で置換された、炭素原子数1~20のアルキル基、環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、炭素原子数1~20のアルコキシ基、炭素原子数2~20のアルケニル基、炭素原子数6~30のアリール基、炭素原子数3~30のヘテロアリール基のうちのいずれか1つの基、並びにこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0079】
本発明の一実施例によれば、Rは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、メチル基、イソプロピル基、NO、SOCH、SCF、C、OC、OCH、ジフェニルメチルシリル基、フェニル基、メトキシフェニル基、p-メチルフェニル基、2,6-ジイソプロピルフェニル基、ビフェニル基、ポリフルオロフェニル基、ジフルオロピリジル基、ニトロフェニル基、ジメチルチアゾール基、CNまたはCFのうちの少なくとも1つまたは複数で置換されたビニル基、CNまたはCFのうちの少なくとも1つで置換されたエチニル基、ジメチルホスホノキシ基、ジフェニルホスホノキシ基、F、CF、OCF、SF、SOCF、シアノ基、イソシアノ基、SCN、OCN、トリフルオロメチルフェニル基、トリフルオロメトキシフェニル基、ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、ビス(トリフルオロメトキシ)フェニル基、4-シアノテトラフルオロフェニル基、F、CNまたはCFのうちの1つのまたは複数で置換されたフェニル基またはビフェニル基、テトラフルオロピリジル基、ピリミジン基、トリアジン基、ジフェニルボラニル基、オキサボランスリル基(Oxaboraanthryl)、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0080】
本発明の一実施例によれば、XおよびYは、
【化17】
である。
【0081】
本発明の一実施例によれば、Rは、出現毎に同一または異なって以下の構造からなる群から選ばれ、
【化18-1】
【化18-2】
【0082】
本実施例において、
【化19】
は、前記R基が式1におけるデヒドロベンゾビスオキサゾール環、デヒドロベンゾジチアゾール環またはデヒドロベンゾジセレナゾール環に結合した箇所を表す。
【0083】
本発明の一実施例によれば、同一の式1で表される第1化合物において、2つのRは、同一である。
【0084】
本発明の一実施例によれば、前記第1化合物は、化合物1~化合物1356からなる群から選ばれ、前記化合物1~化合物1356の具体的な構造は、請求項10をご参照ください。
【0085】
本発明の一実施例によれば、前記第2化合物は、式2-1~式2-12のいずれか1種で表される構造を有し、
【化20】
~X18は、出現毎に同一または異なってCRから選ばれ、
~Lは、出現毎に同一または異なって単結合、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリーレン基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリーレン基、またはこれらの組合せから選ばれ、
ArおよびArは、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、或いは、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基から選ばれ、
は、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20の複素環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシ基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
隣り合う置換基L、L、L、R、ArおよびArは、結合して環を形成していてもよい。
【0086】
本発明の一実施例によれば、前記第2化合物は、式2-1、式2-2、式2-3、式2-4、式2-6または式2-10で表される構造を有する。
【0087】
本発明の一実施例によれば、式2中、X~X18のうちの少なくとも1つは、Nである。
【0088】
本発明の一実施例によれば、前記第2化合物は、式2-13~式2-24のうちのいずれか1つで表される構造を有する。
【化21】
(X~X18は、出現毎に同一または異なってCRまたはNから選ばれ、
~Lは、出現毎に同一または異なって単結合、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリーレン基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリーレン基、またはこれらの組合せから選ばれ、
ArおよびArは、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、或いは、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基から選ばれ、
は、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20の複素環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシ基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
隣り合う置換基L、L、L、R、ArおよびArは、結合して環を形成していてもよい。)
【0089】
本発明の一実施例によれば、前記第2化合物は、式2-13、式2-14、式2-15、式2-16、式2-18または式2-22で表される構造を有する。
【0090】
本発明の一実施例によれば、式2-13~式2-24中、X~X18は、出現毎に同一または異なってCRから選ばれる。
【0091】
本発明の一実施例によれば、式2-13~式2-24中、X~X18のうちの少なくとも1つは、Nから選ばれる。
【0092】
本実施例において、式2-13~式2-24中、X~X18のうちの少なくとも1つがNから選ばれるとは、式2-13、式2-17および式2-21中、X~X、X~X12およびX15~X18のうちの少なくとも1つは、Nであり、式2-14、式2-18および式2-22中、X~X、X~X12およびX15~X18のうちの少なくとも1つは、Nであり、式2-15、式2-19および式2-23中、X~X、X~X12およびX15~X18のうちの少なくとも1つは、Nであり、ならびに式2-16、式2-20および式2-24中、X~X、X~X12およびX15~X18のうちの少なくとも1つは、Nであることを意味する。
【0093】
本発明の一実施例によれば、前記L~Lは、出現毎に同一または異なって単結合、置換または非置換の炭素原子数6~24のアリーレン基、置換または非置換の炭素原子数3~24のヘテロアリーレン基、またはこれらの組合せから選ばれる。
【0094】
本発明の一実施例によれば、L~Lは、出現毎に同一または異なって単結合、置換または非置換のフェニレン基、置換または非置換のビフェニレン基、置換または非置換のテルフェニレン基、置換または非置換のナフチレン基、置換または非置換のフルオレニレン基、置換または非置換のシラフルオレニレン基、置換または非置換のカルバゾリレン基、置換または非置換のジベンゾフラニレン基、置換または非置換のジベンゾチオニレン基、置換または非置換のジベンゾセレノフェン基(Dibenzoselenophenylene)、置換または非置換のフェナントリレン基、置換または非置換のトリフェニレン基、置換または非置換のピリジニレン基、置換または非置換のスピロビフルオレニレン基、置換または非置換のアントリレン基、置換または非置換のピレニレン基、またはこれらの組合せから選ばれる。
【0095】
本発明の一実施例によれば、L~Lは、出現毎に同一または異なって
【化22】
からなる群から選ばれる。
【0096】
本実施例において、「*」は、前記L-1~L-13と式2における前記窒素との結合箇所を表し、点線は、前記L-1~L-13と式2におけるX~Xのうちのいずれか1つまたはArまたはArとの結合箇所を表す。
【0097】
本発明の一実施例によれば、ArおよびArは、出現毎に同一または異なって式3-1~式3-4のうちのいずれか1つで表される構造を有する。
【化23】
(Eは、出現毎に同一または異なってO、S、Se、C(R、Si(RまたはGe(Rから選ばれ、2つのRが同時に存在する場合、2つのRは、同一または異なってもよく、
は、出現毎に同一または異なって一置換、複数置換、または無置換を表し、
およびRは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20の複素環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシ基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
隣り合う置換基R、Rは、結合して環を形成していてもよい。)
【0098】
本実施例において、隣り合う置換基R、Rが結合して環を形成していてもよいとは、隣り合う置換基グループ、例えば、隣り合う置換基RおよびR、隣り合う置換基RおよびR、並びに隣り合う置換基RおよびRのうちのいずれか1つまたは複数が結合して環を形成していてもよいことを意味する。明らかには、これらの置換基グループがいずれも結合して環を形成しなくてもよい。
【0099】
本実施例において、点線は、前記Arの構造中、前記Lとの結合箇所を表し、前記Arの構造中、前記Lとの結合箇所も表す。
【0100】
本発明の一実施例によれば、RおよびRは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、またはこれらの組合せから選ばれる。
【0101】
本発明の一実施例によれば、ArおよびArは、出現毎に同一または異なってG1~G37からなる群から選ばれる。
【化24-1】
【化24-2】
(Rは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20の複素環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシ基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
隣り合う置換基Rは、結合して環を形成していてもよい。)
【0102】
本実施例において、隣り合う置換基Rが結合して環を形成していてもよいとは、任意の隣り合う2つの置換基Rが結合して環を形成していてもよいことを意味する。明らかには、任意の隣り合う2つの置換基Rが結合して環を形成しなくてもよい。
【0103】
本発明の一実施例によれば、Rは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、またはこれらの組合せから選ばれる。
【0104】
本発明の一実施例によれば、Rは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、メチル基、エチル基、イソプロピル基、フルオレン基、フェニル基、ビフェニル基、ナフタレン基、またはこれらの組合せから選ばれる。
【0105】
本発明の一実施例によれば、Rは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、またはこれらの組合せから選ばれる。
【0106】
本発明の一実施例によれば、X~X18のうちの少なくとも1つまたは少なくとも2つは、出現毎に同一または異なってCRから選ばれ、且つ前記Rは、出現毎に同一または異なって重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、またはこれらの組合せから選ばれる。
【0107】
本発明の一実施例によれば、式2-1~式2-24中、X~X18のうちの少なくとも1つまたは少なくとも2つは、出現毎に同一または異なってCRから選ばれ、且つ前記Rは、出現毎に同一または異なって重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、またはこれらの組合せから選ばれる。
【0108】
本発明の一実施例によれば、Rは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、フッ素、メチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、2-メチルブチル基、n-ペンチル基、sec-ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、ネオヘキシル基、シクロヘキシル基、n-ヘプチル基、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、ナフタレン基、フルオレン基、またはこれらの組合せから選ばれる。
【0109】
本発明の一実施例によれば、前記第2化合物における前記ArおよびArは結合して環を形成する。
【0110】
本発明の一実施例によれば、LおよびLは、単結合である。
【0111】
本発明の一実施例によれば、前記第2化合物は、式2-25で表される構造を有する。
【化25】
(X~Xは、出現毎に同一または異なってC、CRまたはNから選ばれ、
~X18は、出現毎に同一または異なってCRまたはNから選ばれ、
Qは、出現毎にC、SiまたはGeから選ばれ、
Tは、出現毎に同一または異なってCR’R’、O、SまたはNR’から選ばれ、
は、出現毎に同一または異なって一置換、複数置換、または無置換を表し、
およびR’は、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20の複素環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシ基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
は、出現毎に同一または異なって単結合、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリーレン基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリーレン基、またはこれらの組合せから選ばれ、
隣り合う置換基R、RおよびR’は、結合して環を形成していてもよい。)
【0112】
本実施例において、隣り合う置換基R、RおよびR’が結合して環を形成していてもよいとは、隣り合う置換基グループ、例えば、隣り合う置換基RおよびR、隣り合う置換基RおよびR、隣り合う置換基RおよびR’、並びに隣り合う置換基R’およびR’のうちのいずれか1つまたは複数が結合して環を形成していてもよいことを意味する。明らかには、これらの置換基グループがいずれも結合して環を形成しなくてもよい。
【0113】
本発明の一実施例によれば、前記第2化合物は、化合物I-1~化合物I-7、化合物I-12~化合物I-182、化合物I-185~化合物I-229、化合物I-232~化合物I-273、化合物II-1~化合物II-7、化合物II-9~化合物II-30、化合物II-32~化合物II-35、化合物II-39~化合物II-79、化合物II-81~化合物II-95、化合物II-97~化合物II-110、化合物II-112~化合物II-208、化合物II-210~化合物II-221、化合物II-223、化合物II-225~化合物II-243、化合物II-245~化合物II-273、化合物II-275~化合物II-286、化合物II-288、化合物II-290~化合物II-308、化合物II-310~化合物II-332、化合物III-1~化合物III-7、化合物III-12~化合物III-182、化合物III-185~化合物III-229、化合物III-232~化合物III-273、化合物IV-1~化合物IV-7、化合物IV-12~化合物IV-182、化合物IV-185~化合物IV-229、化合物IV-232~化合物IV-273、化合物V-1~化合物V-7、化合物V-12~化合物V-182、化合物V-185~化合物V-229、化合物V-232~化合物V-273、化合物VI-1~化合物VI-7、化合物VI-12~化合物VI-182、化合物VI-185~化合物VI-229、化合物VI-232~化合物VI-273、化合物VII-1~化合物VII-7、化合物VII-12~化合物VII-182、化合物VII-185~化合物VII-229、化合物VII-232~化合物VII-273、化合物VIII-1~化合物VIII-7、化合物VIII-12~化合物VIII-182、化合物VIII-185~化合物VIII-229、化合物VIII-232~化合物VIII-273、化合物IX-1~化合物IX-7、化合物IX-12~化合物IX-182、化合物IX-185~化合物IX-229、化合物IX-232~化合物IX-273、化合物X-1~化合物X-7、化合物X-12~化合物X-182、化合物X-185~化合物X-229、または化合物X-232~化合物X-273から選ばれる。前記化合物I-1~化合物I-7、化合物I-12~化合物I-182、化合物I-185~化合物I-229、化合物I-232~化合物I-273、化合物II-1~化合物II-7、化合物II-9~化合物II-30、化合物II-32~化合物II-35、化合物II-39~化合物II-79、化合物II-81~化合物II-95、化合物II-97~化合物II-110、化合物II-112~化合物II-208、化合物II-210~化合物II-221、化合物II-223、化合物II-225~化合物II-243、化合物II-245~化合物II-273、化合物II-275~化合物II-286、化合物II-288、化合物II-290~化合物II-308、化合物II-310~化合物II-332、化合物III-1~化合物III-7、化合物III-12~化合物III-182、化合物III-185~化合物III-229、化合物III-232~化合物III-273、化合物IV-1~化合物IV-7、化合物IV-12~化合物IV-182、化合物IV-185~化合物IV-229、化合物IV-232~化合物IV-273、化合物V-1~化合物V-7、化合物V-12~化合物V-182、化合物V-185~化合物V-229、化合物V-232~化合物V-273、化合物VI-1~化合物VI-7、化合物VI-12~化合物VI-182、化合物VI-185~化合物VI-229、化合物VI-232~化合物VI-273、化合物VII-1~化合物VII-7、化合物VII-12~化合物VII-182、化合物VII-185~化合物VII-229、化合物VII-232~化合物VII-273、化合物VIII-1~化合物VIII-7、化合物VIII-12~化合物VIII-182、化合物VIII-185~化合物VIII-229、化合物VIII-232~化合物VIII-273、化合物IX-1~化合物IX-7、化合物IX-12~化合物IX-182、化合物IX-185~化合物IX-229、化合物IX-232~化合物IX-273、化合物X-1~化合物X-7、化合物X-12~化合物X-182、化合物X-185~化合物X-229、および化合物X-232~化合物X-273から選ばれる。それらの具体的な構造は、請求項19をご参照ください。
【0114】
本発明の一実施例によれば、前記第1有機層は、正孔注入層であり、且つ前記正孔注入層は、陽極に接触する。
【0115】
本発明の一実施例によれば、前記第1有機層において、前記第1化合物と前記第2化合物の重量比は、10000:1~1:10000であり、好ましくは、前記第1化合物と前記第2化合物の重量比は、100:1~1:10000であり、より好ましくは、前記第1化合物と前記第2化合物の重量比は、10:1~1:10000である。
【0116】
本発明の一実施例によれば、前記第1有機層において、前記第1化合物が第1有機層の総重量に対して0.01%~10%であり、或いは、前記第1化合物が第1有機層の総重量に対して0.01%~5%であり、或いは、前記第1化合物が第1有機層の総重量に対して0.01%~3%であり、或いは、前記第1化合物が第1有機層の総重量に対して0.01%~2%であり、或いは、前記第1化合物が第1有機層の総重量に対して0.01%~1.5%であり、或いは、前記第1化合物が第1有機層の総重量に対して0.01%~1%である。
【0117】
本発明の一実施例によれば、前記有機エレクトロルミネッセンス素子は、少なくとも1つの発光層をさらに含む。
【0118】
本発明の一実施例によれば、前記少なくとも1つの発光層は、少なくとも1種のホスト材料および少なくとも1種のドーピング材料を含む。
【0119】
本発明の一実施例によれば、前記有機エレクトロルミネッセンス素子の最大放射波長は、300~1200nmである。
【0120】
本発明の一実施例によれば、前記有機エレクトロルミネッセンス素子は、前記第1有機層と前記少なくとも1つの発光層との間に設けられた第2有機層をさらに含む。
【0121】
本発明の一実施例によれば、前記第2有機層は、1種の化合物を含み、前記1種の化合物は、トリアリールアミン、カルバゾール、フルオレン、スピロビフルオレン、チオフェン、フラン、フェニル、オリゴフェニレンビニレン、オリゴフルオレン、およびこれらの組合せからなる群から選ばれるいずれか1つまたは複数の化学構造単位を含む。
【0122】
本発明の一実施例によれば、前記第2有機層における前記1種の化合物は、前記第2化合物である。
【0123】
本発明の一実施例によれば、前記有機エレクトロルミネッセンス素子は、第2有機層と発光層との間に設けられた第3有機層をさらに含む。
【0124】
本発明の一実施例によれば、前記第3有機層は、トリアリールアミン、カルバゾール、フルオレン、スピロビフルオレン、チオフェン、フラン、フェニル、オリゴフェニレンビニレン、オリゴフルオレン、およびこれらの組合せからなる群から選ばれるいずれか1つまたは複数の化学構造単位を含む他の1種の化合物を含む。
【0125】
本発明の一実施例によれば、前記第3有機層における前記他の1種の化合物は、前記第2化合物である。
【0126】
本発明の一実施例によれば、前記素子において、前記陽極と前記発光層との間に設けられたすべての有機層のうち、第1有機層だけがp型ドーピングされたものである。
【0127】
本発明の一実施例によれば、前記第1有機層の厚さは、0.1nm~40nmであり、前記第2有機層の厚さは、0.1nm~300nmである。
【0128】
本発明の他の実施例によれば、有機エレクトロルミネッセンス素子を含む表示アセンブリがさらに開示される。前記有機エレクトロルミネッセンス素子の具体的な構造は、上述したいずれか1つの実施例で示されている。
【0129】
本発明の他の実施例によれば、第1化合物および第2化合物を含む化合物の組合せであって、前記第1化合物は、式1で表される構造を有し、
【化26】
式1中、
XおよびYは、出現毎に同一または異なってNR’、CR’’R’’’、O、SまたはSeから選ばれ、
およびZは、出現毎に同一または異なってO、SまたはSeから選ばれ、
R、R’、R’’およびR’’’は、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、ニトロソ基、ニトロ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、SCN、OCN、SF、ボラニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスホノキシ基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
各々のRは、同一または異なってもよく、R、R’、R’’およびR’’’のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの電子求引基を有する基であり、
式1中、隣り合う置換基は、結合して環を形成していてもよく、
前記第2化合物は、式2で表される構造を有し、
【化27】
式2中、
~Xは、出現毎に同一または異なってC、CRまたはNから選ばれ、X~X18は、出現毎に同一または異なってCRまたはNから選ばれ、
Qは、C、SiまたはGeから選ばれ、
~Lは、出現毎に同一または異なって単結合、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリーレン基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリーレン基、またはこれらの組合せから選ばれ、
ArおよびArは、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、或いは、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基から選ばれ、
は、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20の複素環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシ基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
隣り合う置換基L、L、L、R、ArおよびArは、結合して環を形成していてもよい、化合物の組合せがさらに開示される。
【0130】
他の材料との組合せ
【0131】
本発明に記載される有機発光素子に用いられる特定層の材料は、素子に存在する各種の他の材料と組み合わせて使用することができる。これらの材料の組合せについて、米国特許出願US2016/0359122A1の第0132~0161段落において詳細に記載されており、その内容を全て本明細書に援用する。記載または言及された材料は、本明細書に開示される化合物と組み合わせて使用可能な材料の非限定的な実例であり、且つ当業者にとっては、文献を容易に参照して組み合わせて使用可能な他の材料を識別することができる。
【0132】
本明細書において、有機発光素子に用いられる具体的な層の材料は、前記素子に存在する多種の他の材料と組み合わせて使用することができると記載されている。例示的には、本明細書に開示される化合物の組合せは、多種多様な発光ドーパント、ホスト、輸送層、ブロッキング層、注入層、電極および他の存在可能な層と組み合わせて使用することができる。これらの材料の組合せは、特許出願US2015/0349273A1の第0080~0101段落において詳細に記載されており、その内容を全て本明細書に援用する。記載または言及された材料は、本明細書に開示される化合物と組み合わせて使用可能な材料の非限定的な実例であり、且つ当業者にとっては、文献を容易に参照して組み合わせて使用可能な他の材料を識別することができる。
【0133】
本発明に係る素子において、電荷注入層、輸送層、例えば正孔輸送層、電子輸送層および電子注入層が含まれてもよいし、少なくとも1種の発光ドーパントおよび少なくとも1種のホスト化合物を含む発光層が含まれてもよい。発光ドーパントとしては、蛍光発光ドーパントおよび/またはりん光発光ドーパントであってもい。さらに、ブロッキング層、例えば正孔ブロッキング層、電子ブロッキング層が含まれてもよい。
【0134】
正孔輸送層において、従来技術におけるよく用いられた正孔輸送材料が用いられてもよい。例えば、正孔輸送層は、典型的であるが非限定的に以下の正孔輸送材料を含んでもよい。
【化28】
【0135】
電子輸送層において、従来技術におけるよく用いられた電子輸送材料が用いられてもよい。例えば、電子輸送層は、典型的であるが非限定的に以下の電子輸送材料を含んでもよい。
【化29】
【0136】
発光層において、従来技術におけるよく用いられた発光材料およびホスト材料が用いられてもよい。例えば、発光層は、典型的であるが非限定的に以下の蛍光発光材料および蛍光ホスト材料を含んでもよい。
【化30-1】
【化30-2】
【化30-3】
【0137】
発光層は、典型的であるが非限定的に以下のりん光発光材料およびりん光ホスト材料をさらに含んでもよい。
【化31-1】
【化31-2】
【化31-3】
【化31-4】
【化31-5】
【化31-6】
【0138】
電子ブロッキング層において、従来技術におけるよく用いられた電子ブロッキング材料が用いられてもよい。例えば、電子ブロッキング層は、典型的であるが非限定的に以下の電子ブロッキング材料を含んでもよい。
【化32】
【0139】
本発明に用いられる第1化合物および第2化合物は、従来技術における製造方法を参照することにより取得されてもよいし、公開番号US20200087311A1、US20160190447A1などの特許出願を参照することにより容易に取得されてもよいので、ここで繰り返し説明はしない。エレクトロルミネッセンス素子の製造方法は、限定されていない。以下の実施例における製造方法は、例示的なものに過ぎず、限定するものと理解すべきではない。当業者であれば、従来技術に基づいて以下の実施例における製造方法を合理的に改良することができる。例示的には、各有機層における各種の材料の比率は、特に限定されず、当業者にとって、従来技術に基づいて一定の範囲内で合理的に選択されてもよい。素子の実施例において、素子の特性に対しても、当該分野における通常の機器(Angstrom Engineering製の蒸着機、蘇州弗士達製の光学テストシステム、耐用年数テストシステム、北京量拓製のエリプソメーターなどを含むがそれに限定されず)を用いて、当業者にとって熟知の方法でテストを行った。当業者は上述した機器の使用、テスト方法などの関連内容を知っているので、サンプルの固有データを確実に、影響を受けずに取得することができるため、上記関連内容を本明細書において繰り返し説明はしない。
【実施例
【0140】
素子の実施例
【0141】
実施例1-1:蛍光有機エレクトロルミネッセンス素子の製造。
【0142】
まず、予め図形化された厚み800Åのインジウムスズ酸化物(ITO)を有する厚み0.7mmのガラス板を陽極として用いた。脱イオン水および洗浄剤で基板を洗浄した後、酸素プラズマおよびUVオゾンでITO表面を処理した。その後、グローブボックスで基板を乾燥させて水を除去し、基板ホルダ上に取り付けて真空室に置いた。以下、指定された有機層に対して、真空度が約10-6Torrの場合、0.01~10Å/sの速度でホット真空蒸着によって順に陽極層上に蒸着を行った。まず、化合物II-130および化合物70を正孔注入層(HIL、99:1、100Å)として共蒸着し、化合物II-130を正孔輸送層(HTL、1200Å)として蒸着した。次に、化合物EB1を電子ブロッキング層(EBL、50Å)として蒸着し、その上に化合物BHおよび化合物BDを発光層(EML、96:4、250Å)として共蒸着し、化合物HB1を正孔ブロッキング層(HBL、50Å)として蒸着し、化合物ETおよびLiqを電子輸送層(ETL、40:60、300Å)として共蒸着し、厚み10ÅのLiqを電子注入層(EIL)として蒸着した。最後、金属アルミニウムを陰極(Cathode、1200Å)として蒸着した。そして、該素子をグローブボックスに転移させ、ガラスカバーを用いてカプセル化して該素子を完成させた。
【0143】
実施例1-2は、化合物II-7および化合物70を正孔注入層(HIL、99:1、100Å)として蒸着し、化合物II-7を正孔輸送層(HTL、1200Å)として蒸着する以外、実施例1-1における製造方法と同様である。
【0144】
比較例1-1は、化合物HTおよび化合物70を正孔注入層(HIL、99:1、100Å)として蒸着し、化合物HTを正孔輸送層(HTL、1200Å)として蒸着する以外、実施例1-1における製造方法と同様である。
【0145】
比較例1-2は、化合物II-130および化合物PD-1を正孔注入層(HIL、99:1、100Å)として蒸着する以外、実施例1-1における製造方法と同様である。
【0146】
比較例1-3は、化合物II-7および化合物PD-1を正孔注入層(HIL、99:1、100Å)として蒸着する以外、実施例1-2における製造方法と同様である。
【0147】
比較例1-4は、化合物HTおよび化合物PD-1を正孔注入層(HIL、99:1、100Å)として蒸着する以外、比較例1-1における製造方法と同様である。
【0148】
詳細な素子の層構造および厚みを、以下の表に示す。用いられる材料が1種超えの層は、前記重量比で異なる化合物をドーピングすることにより得られる。
【0149】
【表1】
【0150】
素子に用いられる材料の構造は、以下のように示される。
【化33】
【0151】
表2には、実施例1-1~1-2および比較例1-1~1-4における素子の性能が示される。そのうち、色座標(CIE)、電圧、パワー効率(PE)は、電流密度10mA/cmで測定されたものである。素子の耐用年数(LT95)は、80mA/cmの定電流駆動下で輝度が初期輝度の95%に減衰して実際的に測定されたものである。
【0152】
【表2】
【0153】
表2におけるデータから分かるように、実施例の色座標は、比較例とほぼ一致している。
【0154】
比較例1-1に対して、実施例1-1における電圧が0.8V低下し、パワー効率が0.7lm/W向上し、耐用年数が比較例1-1における高い耐用年数のレベルでさらに顕著して約10%向上し、非常にありがたいである。比較例1-2に対して、実施例1-1における電圧が大幅に6.4V低下し、パワー効率が2.1lm/W向上し、耐用年数が大幅に36倍向上した。比較例1-4に対して、実施例1-1における電圧が大幅に8.7V低下し、パワー効率が2.6lm/W向上し、耐用年数が大幅に5倍向上した。
【0155】
比較例1-1に対して、実施例1-2における電圧が0.9V低下し、パワー効率が1.2lm/W向上し、耐用年数が比較例1-1よりもある程度で低下したが、実施例1-2における耐用年数のデータが依然として業界における非常に高いレベルに達することができる。比較例1-3に対して、実施例1-2における電圧が大幅に4.4V低下し、パワー効率が1.8lm/W向上し、耐用年数が大幅に84倍向上した。比較例1-4に対して、実施例1-2における電圧が大幅に8.8V低下し、パワー効率が3.1lm/W向上し、耐用年数が大幅に3.5倍向上した。
【0156】
以上の比較から分かるように、本発明に選択された第1化合物および第2化合物の組合せが蛍光有機エレクトロルミネッセンス素子に用いられた際に、有機エレクトロルミネッセンス素子がより低い電圧、より高い効率およびより長い耐用年数を取得することができ、本発明に選択された第1化合物および第2化合物の組合せが有する優れた性能および広い適用見込みが証明されている。
【0157】
実施例2-1:りん光有機エレクトロルミネッセンス素子の製造。
【0158】
まず、予め図形化された厚み1200Åのインジウムスズ酸化物(ITO)を有する厚み0.7mmのガラス板を陽極として用いた。脱イオン水および洗浄剤で基板を洗浄した後、酸素プラズマおよびUVオゾンでITO表面を処理した。その後、グローブボックスで基板を乾燥させて水を除去し、基板ホルダ上に取り付けて真空室に置いた。以下、指定された有機層に対して、真空度が約10-6Torrの場合、0.01~10Å/sの速度でホット真空蒸着によって順に陽極層上に蒸着を行った。まず、化合物II-130および化合物70を正孔注入層(HIL、99:1、100Å)として共蒸着し、化合物II-130を正孔輸送層(HTL、2000Å)として蒸着した。次に、化合物EB2を電子ブロッキング層(EBL、50Å)として蒸着し、その上に化合物RHおよび化合物RDを発光層(EML、98:2、400Å)として共蒸着し、化合物HB2を正孔ブロッキング層(HBL、50Å)として蒸着し、化合物ETおよびLiqを電子輸送層(ETL、40:60、350Å)として共蒸着し、厚み10ÅのLiqを電子注入層(EIL)として蒸着した。最後、金属アルミニウムを陰極(Cathode、1200Å)として蒸着した。そして、該素子をグローブボックスに転移させ、ガラスカバーを用いてカプセル化して該素子を完成させた。
【0159】
実施例2-2は、化合物II-7および化合物70を正孔注入層(HIL、99:1、100Å)として蒸着し、化合物II-7を正孔輸送層(HTL、2000Å)として蒸着する以外、実施例2-1における製造方法と同様である。
【0160】
比較例2-1は、化合物HTおよび化合物70を正孔注入層(HIL、99:1、100Å)として蒸着し、化合物HTを正孔輸送層(HTL、2000Å)として蒸着する以外、実施例2-1における製造方法と同様である。
【0161】
比較例2-2は、化合物II-130および化合物PD-1を正孔注入層(HIL、99:1、100Å)として蒸着する以外、実施例2-1における製造方法と同様である。
【0162】
比較例2-3は、化合物II-7および化合物PD-1を正孔注入層(HIL、99:1、100Å)として蒸着する以外、実施例2-2における製造方法と同様である。
【0163】
比較例2-4は、化合物HTおよび化合物PD-1を正孔注入層(HIL、99:1、100Å)として蒸着する以外、比較例2-1における製造方法と同様である。
【0164】
詳細な素子の層構造および厚みを、以下の表に示す。用いられる材料が1種超えの層は、前記重量比で異なる化合物をドーピングすることにより得られる。
【0165】
【表3】
【0166】
素子に新たに用いられる材料の構造は、以下のように示される。
【化34】
【0167】
表4には、実施例2-1~2-2および比較例2-1~2-4における素子の性能が示される。そのうち、色座標(CIE)、電圧、パワー効率(PE)は、電流密度10mA/cmで測定されたものである。素子の耐用年数(LT95)は、80mA/cmの定電流駆動下で輝度が初期輝度の95%に減衰して実際的に測定されたものである。
【0168】
【表4】
【0169】
比較例2-1に対して、実施例2-1における電圧が1.9V低下し、パワー効率が3.3lm/W向上し、耐用年数が0.6倍向上した。比較例2-2に対して、実施例2-1における電圧が大幅に10.1V低下し、パワー効率が7.9lm/W向上し、耐用年数が大幅に5.6倍向上した。比較例2-4に対して、実施例2-1における電圧が大幅に21.4V低下し、パワー効率が11.6lm/W向上し、耐用年数が大幅に131倍向上した。
【0170】
比較例2-1に対して、実施例2-2における電圧が2.1V低下し、パワー効率が3.8lm/W向上し、耐用年数が0.6倍向上した。比較例2-3に対して、実施例2-2における電圧が大幅に8.5V低下し、パワー効率が7.8lm/W向上し、耐用年数が1倍向上した。比較例2-4に対して、実施例2-2における電圧が大幅に21.6V低下し、パワー効率が12.1lm/W向上し、耐用年数が大幅に130倍向上した。
【0171】
以上の比較から分かるように、本発明に選択された第1化合物および第2化合物の組合せが蛍光有機エレクトロルミネッセンス素子に用いられた際に、有機エレクトロルミネッセンス素子がより低い電圧、より高い効率およびより長い耐用年数を取得することができ、本発明に選択された第1化合物および第2化合物の組合せが有する優れた性能および広い適用見込みが証明されている。
【0172】
要するに、本発明に選択された第1化合物および第2化合物の材料組合せは、蛍光有機エレクトロルミネッセンス素子においてもりん光有機エレクトロルミネッセンス素子においても、電圧を低下させ、効率を向上させながら、素子の耐用年数を大幅に向上させるか、または高いレベルの素子の耐用年数を維持するという優れた効果を達成することができ、商業適用における広い適用見込みを予め示している。
【0173】
ここで記載される各種の実施例は、例示的なものに過ぎず、本発明の範囲を限定するためのものではないことを理解すべきである。そのため、当業者にとって、保護しようとする本発明は、本明細書に記載される具体的な実施例および好ましい実施例の変形を含むことが自明である。本発明の構想を逸脱しない前提で、本明細書に記載される材料および構造の多くは、他の材料および構造で代替することができる。本発明がなぜ機能するかについての様々な理論は、限定的ではないことを理解すべきである。
図1
図2