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特許7432957映像配信システム、映像配信制御方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】映像配信システム、映像配信制御方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 67/51 20220101AFI20240209BHJP
   H04L 67/131 20220101ALI20240209BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20240209BHJP
   H04N 21/254 20110101ALI20240209BHJP
   H04N 21/258 20110101ALI20240209BHJP
【FI】
H04L67/51
H04L67/131
G06Q50/10
H04N21/254
H04N21/258
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022140448
(22)【出願日】2022-09-05
(62)【分割の表示】P 2020057725の分割
【原出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2022180412
(43)【公開日】2022-12-06
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】506113602
【氏名又は名称】株式会社コナミデジタルエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】100099645
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100161090
【弁理士】
【氏名又は名称】小田原 敬一
(72)【発明者】
【氏名】千葉 茂
(72)【発明者】
【氏名】平井 純貴
(72)【発明者】
【氏名】井上 快
(72)【発明者】
【氏名】酒井 昭
(72)【発明者】
【氏名】進邦 嗣郎
(72)【発明者】
【氏名】金原 俊明
(72)【発明者】
【氏名】成田 順彦
【審査官】羽岡 さやか
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-026152(JP,A)
【文献】特表2019-536131(JP,A)
【文献】特開2003-030554(JP,A)
【文献】特開2003-006085(JP,A)
【文献】特開2019-036786(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 67/51
G06Q 50/10
H04N 21/254
H04N 21/258
H04L 67/131
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザのそれぞれが利用するユーザ端末装置に所定の配信元から配信される視聴対象の映像を中継配信する中継手段を備えた映像配信システムであって、
前記映像を前記ユーザ端末装置に中継配信する単位としての配信拠点を、前記配信元の許可を得て前記中継手段上に設定する配信拠点設定手段と、
前記配信元からの前記映像を、前記ユーザが利用する配信継点を介して当該ユーザのユーザ端末装置に中継配信する視聴制御手段と、を備え、
同一の配信拠点を二以上のユーザが共有可能であり、
前記配信拠点設定手段は、前記配信拠点を特徴付ける仕様の少なくとも一部を定める要件であってかつ前記配信拠点を利用するユーザ群の範囲を所定の設定者が意図するユーザ群に絞り込むように作用する要件が前記設定者の指示に基づいて定められるようにして前記配信拠点を設定し、
さらに、前記配信拠点設定手段は、複数の来場者が集まって前記映像を一緒に視聴する現実空間を仮想的に再現した仮想空間を前記配信拠点として設定可能であり、かつ前記仮想空間における前記映像の視聴環境としての当該仮想空間の内部構成を、前記配信拠点を利用するユーザ群の範囲を絞り込むように作用する要件として設定可能とされた映像配信システム。
【請求項2】
前記配信拠点設定手段は、前記仕様が互いに異なるようにして複数の配信拠点を設定可能であり、
前記視聴制御手段は、前記ユーザの指示に基づいて当該ユーザが利用する前記配信拠点を選択する請求項1に記載の映像配信システム。
【請求項3】
前記配信拠点を共有するユーザ群に、前記ユーザ端末装置を介して所定の有償サービスを利用する機会を提供する機会提供手段を備えた請求項1又は2に記載の映像配信システム。
【請求項4】
前記配信拠点設定手段は、前記仕様の少なくとも一部として、前記ユーザ群が利用可能な有償サービスを前記設定者の指示に基づいて設定し、
前記機会提供手段は、前記配信拠点設定手段が設定した有償サービスを利用する機会を提供する請求項3に記載の映像配信システム。
【請求項5】
前記機会提供手段が前記機会を提供する有償サービスを、前記配信拠点を共有するユーザ群に対して提示するサービス提示手段を備えた請求項3又は4に記載の映像配信システム。
【請求項6】
前記サービス提示手段は、前記有償サービスに対応する広告を前記ユーザ端末装置に表示させることにより前記有償サービスを提示する請求項5に記載の映像配信システム。
【請求項7】
前記配信拠点設定手段が設定した配信拠点を、前記仮想空間の前記内部構成が識別できるようにして前記ユーザに報知する報知手段を備えた請求項1~6のいずれか一項に記載の映像配信システム。
【請求項8】
前記配信拠点設定手段は、前記設定者の指示に基づいて、複数の映像の候補からいずれかの映像を選択し、選択された映像を、前記ユーザ端末装置に配信されるべき前記視聴対象の映像として設定する請求項1~7のいずれか一項に記載の映像配信システム。
【請求項9】
前記配信拠点設定手段は、前記映像を表示する仮想モニタを含むように前記仮想空間の前記内部構成を設定し、
前記視聴制御手段は、前記配信拠点を利用するユーザのユーザ端末装置に、当該配信拠点と対応付けられた仮想空間内前記仮想モニタに前記映像が表示される様子を表現した動画を前記ユーザのユーザ端末装置に表示させる請求項1~8のいずれか一項に記載の映像配信システム。
【請求項10】
複数のユーザのそれぞれが利用するユーザ端末装置に所定の配信元から配信される視聴対象の映像を中継配信する中継手段を備えた映像配信システムに適用される映像配信制御方法であって、
前記映像を前記ユーザ端末装置に中継配信する単位としての配信拠点を、前記配信元の許可を得て前記中継手段上に設定する手順と、
前記配信元からの前記映像を、前記ユーザが利用する配信継点を介して当該ユーザのユーザ端末装置に中継配信する手順と、
を含み、
同一の配信拠点を二以上のユーザが共有可能とし、
前記中継手段上に設定する手順では、前記配信拠点を特徴付ける仕様の少なくとも一部を定める要件であってかつ前記配信拠点を利用するユーザ群の範囲を所定の設定者が意図するユーザ群に絞り込むように作用する要件が前記設定者の指示に基づいて定められるようにして前記配信拠点を設定し、
さらに、前記中継手段上に設定する手順では、複数の来場者が集まって前記映像を一緒に視聴する現実空間を仮想的に再現した仮想空間を前記配信拠点として設定可能であり、かつ前記仮想空間における前記映像の視聴環境としての当該仮想空間の内部構成を、前記配信拠点を利用するユーザ群の範囲を絞り込むように作用する要件として設定可能とされた映像配信制御方法。
【請求項11】
複数のユーザのそれぞれが利用するユーザ端末装置に所定の配信元から配信される視聴対象の映像を中継配信する中継手段を備えた映像配信システムに適用されるコンピュータプログラムであって、前記映像配信システムのコンピュータを、
前記映像を前記ユーザ端末装置に中継配信する単位としての配信拠点を、前記配信元の許可を得て前記中継手段上に設定する配信拠点設定手段、及び
前記配信元からの前記映像を、前記ユーザが利用する配信継点を介して当該ユーザのユーザ端末装置に中継配信する視聴制御手段、
として機能させ、
同一の配信拠点を二以上のユーザが共有可能であり、
前記配信拠点設定手段は、前記配信拠点を特徴付ける仕様の少なくとも一部を定める要件であってかつ前記配信拠点を利用するユーザ群の範囲を所定の設定者が意図するユーザ群に絞り込むように作用する要件が前記設定者の指示に基づいて定められるようにして前記配信拠点を設定し、
さらに、前記配信拠点設定手段は、複数の来場者が集まって前記映像を一緒に視聴する現実空間を仮想的に再現した仮想空間を前記配信拠点として設定可能であり、かつ前記仮想空間における前記映像の視聴環境としての当該仮想空間の内部構成を、前記配信拠点を利用するユーザ群の範囲を絞り込むように作用する要件として設定可能とされるように構成された映像配信システムのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視聴対象の映像をユーザ端末装置に配信するための映像配信システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲームのプレイを再現する映像を3次元の仮想空間内に配置された仮想テレビジョン装置上に表示させるとともに、その仮想空間内にユーザと対応付けられたキャラクタを配置し、ユーザが投稿したコメントをキャラクタの発言として表示させる情報処理システムが知られている(例えば特許文献1参照)。ユーザごとに仮想部屋を設けてその内部の仮想スクリーンを介して各種の映像をユーザに視聴させるとともに、ユーザに対応したアバターを仮想部屋に配置し、そのアバターが他のユーザの仮想部屋を訪問できるようにしたシステムも知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6180802号公報
【文献】特許第6203369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の映像配信システムでは、同一の仮想空間を複数のユーザで共有しつつそれらのユーザに映像を視聴させることが可能である。しかしながら、映像を一緒に視聴することが可能なユーザ数等の規模を無制限に拡大すると、映像を視聴する場を共有する意識が却って薄れるおそれがある。例えば、ユーザ間のコミュニケーションも確保し辛いことがある。そのような不都合が生じる場合には、視聴の場を共有するユーザ群の範囲を比較的小さく設定することが好都合である。しかしながら、配信元からの配信先をそのような小規模のグループに限った場合、トータルでの視聴数を増やすためには多数の配信先を配信元側に設定する必要があり、その設定や管理に要する負担が嵩む。
【0005】
そこで、本発明は、配信元の負担を抑えつつ、映像を視聴する場を適宜に設定することが可能な映像配信システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る映像配信システムは、複数のユーザのそれぞれが利用するユーザ端末装置に所定の配信元から配信される視聴対象の映像を中継配信する中継手段を備えた映像配信システムであって、前記映像を前記ユーザ端末装置に中継配信する単位としての配信拠点を、前記配信元の許可を得て前記中継手段上に設定する配信拠点設定手段と、
前記配信元からの前記映像を、前記ユーザが利用する配信継点を介して当該ユーザのユーザ端末装置に中継配信する視聴制御手段と、を備えたものである。
【0007】
本発明の一態様に係る映像配信制御方法は、複数のユーザのそれぞれが利用するユーザ端末装置に所定の配信元から配信される視聴対象の映像を中継配信する中継手段を備えた映像配信システムに適用される映像配信制御方法であって、前記映像を前記ユーザ端末装置に中継配信する単位としての配信拠点を、前記配信元の許可を得て前記中継手段上に設定する手順と、前記配信元からの前記映像を、前記ユーザが利用する配信継点を介して当該ユーザのユーザ端末装置に中継配信する手順と、を含んだものである。
【0008】
本発明の一態様に係るコンピュータプログラムは、複数のユーザのそれぞれが利用するユーザ端末装置に所定の配信元から配信される視聴対象の映像を中継配信する中継手段を備えた映像配信システムに適用されるコンピュータプログラムであって、前記映像配信システムのコンピュータを、前記映像を前記ユーザ端末装置に中継配信する単位としての配信拠点を、前記配信元の許可を得て前記中継手段上に設定する配信拠点設定手段、及び前記配信元からの前記映像を、前記ユーザが利用する配信継点を介して当該ユーザのユーザ端末装置に中継配信する視聴制御手段、として機能させるように構成されたものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一形態に係る映像配信システムを含んだネットワークシステムの一例を示す斜視図。
図2】一形態に係る映像配信システムにおける映像配信の概要を示す図。
図3】配信拠点に設定される仮想空間をユーザ端末装置上に表示させた画像の一例を示す図。
図4】仮想空間を介して有償サービスをユーザに提供する仕組みの一例を示す図。
図5】仮想空間を介して映像を配信する場合の主要な工程の一例を時系列で示す図。
図6】映像配信システムに設けられた配信サーバの制御系の構成の一例を示す図。
図7】配信スケジュールデータ及び映像データの構成の一例を示す図。
図8】ルームデータの構成の一例を示す図。
図9】視聴予約データの構成の一例を示す図。
図10】視聴者リストの構成の一例を示す図。
図11】広告データの構成の一例を示す図。
図12】ルーム作成処理の手順の一例を示すフローチャート。
図13】ルーム報知処理の手順の一例を示すフローチャート。
図14】入室管理処理の手順の一例を示すフローチャート。
図15】予約処理の手順の一例を示すフローチャート。
図16】視聴制御処理の手順の一例を示すフローチャート。
図17】広告表示処理の手順の一例を示す図。
図18】サービス処理の手順の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明の一形態に係る映像配信システムを説明する。なお、本明細書において、特に断りがない限り、映像の用語は音声を含み得る概念で使用する。
また、映像が音声を含むか否かに関わらず、映像を見る行為を視聴と表現する。図1に示すように、映像配信システム1は、視聴対象の映像を配信するための配信手段の一例としての配信サーバ2を含んでいる。配信サーバ2は、例えば撮影システム3が撮影した映像を取得し、得られた映像をネットワークNTを介してユーザ端末装置4に配信する。
【0011】
配信サーバ2は、配信元の一例としての配信元サーバ10と、配信元サーバ10から配信される映像を中継してユーザ端末装置4に配信する中継手段の一例としての中継サーバ20とを含んでいる。配信元サーバ10及び中継サーバ20は、物理的に互いに区別されたサーバユニットとして構成されることを必ずしも要しない。配信元サーバ10及び中継サーバ20は論理的に区別されてもよい。一方、配信サーバ2それ自体は、複数台のサーバユニットを適宜に組み合わせて構成されてもよいし、単一のサーバユニットによって構成されてもよい。クラウドコンピューティング技術を利用したクラウドサーバとして配信サーバ2が構成されてもよい。ネットワークNTは一例としてインターネットである。配信サーバ2は適宜のルータRTaを介してネットワークNTに接続されてよい。
【0012】
撮影システム3は、例えば、映像取得用のビデオカメラ3a及びマイクロフォン3bと、得られた映像をエンコードして送信するPC(パーソナルコンピュータの略、以下同様である。)3cとを含む。撮影システム3は、映像の調整又は加工用のミキサー等の機材をさらに含んでもよいが、それらの図示は省略した。撮影システム3は、適宜の映像を撮影対象とするように設けられてよい。一例として、図1では、イベント会場、店舗等の施設5に設置されたゲーム機6にてゲームがプレイされる様子が撮影システム3にて撮影される。ゲーム機6は、一例として、プレイ料金の支払いと引き換えにゲームをプレイさせるように構成された業務用のゲーム機である。この種のゲーム機6はアーケードゲーム機と呼ばれることもある。ただし、ゲーム機6は、常に料金を徴収するように制御されることを要しない。例えば、ゲーム大会等のイベント時において、ゲーム機6は、イベントの参加者に無償でゲームをプレイさせるように動作してもよい。ゲーム機6にて提供されるゲームは適宜に選択されてよい。撮影システム3の撮影対象はゲームのプレイに限らず、例えばスポーツ競技、コンサート等といった各種のイベントが撮影対象とされてよい。
【0013】
撮影システム3のPC3cは、施設5に配置されたルータRTbを介してネットワークNTに接続される。それにより、PC3cは配信サーバ2のクライアントとして動作可能である。さらに、ゲーム機6もルータRTbを介してネットワークNTに接続されてよい。ただし、ゲーム機6は配信サーバ2と接続されることを必ずしも要しない。例えば、ゲーム機6は、ゲームを管理するためのゲームサーバ(不図示)とネットワークNTを介して接続されてよい。ゲーム機6がPC3cと接続され、カメラ3a等が撮影した映像に合わせてゲーム機6に表示される画像等がPC3cに取得され、それらの映像等を合成した映像のデータが配信元サーバ10に取得されてもよい。なお、視聴対象の映像は、撮影システム3によって取得される例に限らない。
【0014】
ユーザ端末装置4は、ユーザの日常的な、あるいは個人的な用途に供される情報通信端末装置である。一例として、ユーザ端末装置4は、通信通話機能を備えたスマートフォン4a、タブレット端末4b、あるいはPC4cがユーザ端末装置4として利用されてよい。ユーザ端末装置4には、ネットワークNTを介して配信サーバ2のクライアントとして機能することが可能な情報通信機能を備える限りにおいて適宜の情報通信端末装置が利用されてよい。ユーザ端末装置4はモバイル端末であってもよいし、一定の場所に設置される据置型の端末であってもよい。ユーザ端末装置4は適宜のアクセスポイントを介してネットワークNTに接続されてよい。
【0015】
次に、図2を参照して映像配信システム1における映像配信の概要を説明する。映像配信システム1においては、撮影システム3にて撮影された映像が配信元サーバ10に取得され、得られた映像のデータがユーザ端末装置4に向けて配信番組として適宜に配信される。映像データの配信は、施設5におけるゲームのプレイ等の進行と同期して映像を配信するライブ配信であってもよいし、所定のデータベースに保存された映像データを所定の時期に配信するアーカイブ配信であってもよい。配信方法は、ユーザ群のユーザ端末装置4に対して視聴対象の映像を同時に配信する同時配信によるものである。例えば、映像の視聴に並行して映像データを逐次配信するストリーミング配信が配信方法として採用されてよい。
【0016】
配信元サーバ10から配信される映像データは、中継サーバ20によって取得される。
中継サーバ20には複数の配信拠点21が設定されている。配信拠点21は、配信元サーバ10から配信される映像データを中継してユーザ端末装置4に配信する単位として中継サーバ20上に設定されるものであって、いわゆるミラー配信における中継点に相当する。配信拠点21は、配信元サーバ10からの許可を得て設定される。配信拠点21は中継サーバ20内に設定される論理的な場所であってよく、例えばネットワークNT上のアドレス(URL)により一意に特定されてよい。一つの配信拠点21は映像の視聴を希望する少なくとも二人のユーザによって共有することが可能とされている。
【0017】
各配信拠点21には、映像を視聴するための仮想空間の一例として仮想ルーム100が設定される。仮想ルーム100は、複数の来場者が集って映像を一緒に視聴する現実空間を仮想的に再現するようにして設定される。例えば、図3に示したように、複数のユーザが集って仮想モニタ101を介して映像を一緒に視聴するバー、パブ等の飲食店の店内を表現した仮想ルーム100が配信拠点21と対応付けて設定されてよい。ユーザ端末装置4には、配信拠点21に対応付けて設定された仮想ルーム100内で、配信元サーバ10から配信される映像を、仮想モニタ101を介して視聴する様子を表現した動画がユーザの表示装置4に表示される。その動画は一例として中継サーバ20側で生成されてユーザ端末装置4に配信されることにより、ユーザ端末装置4に表示される。あるいは、中継サーバ20からは配信元サーバ10からの映像をユーザ端末装置4に配信するとともに、仮想ルーム100を表示するために必要な情報を中継サーバ20からユーザ端末装置4に提供し、ユーザ端末装置4にて、視聴対象の映像と仮想ルーム100の画像とが合成されて動画が表示されてもよい。いずれにしても、配信拠点21を、映像が中継配信される場所に相当する概念にたとえれば、仮想ルーム100はその場所に設けられた視聴用の施設あるいは設備に相当する概念にたとえることができる。ユーザは、仮想ルーム100を介して映像を視聴することにより、配信拠点21を利用することとなる。よって、配信拠点21の利用と仮想ルーム100の利用とは同義であり、配信拠点21の共有と仮想ルーム100の共有とは同義である。
【0018】
仮想ルーム100は図3の例に限らず、現実の世界で、特定又は不特定多数の者が集まって映像を視聴するように設けられた商業施設、公的施設等の場所又は空間を適宜に再現するように構成されてよい。なお、図3では仮想モニタ101内にサッカーの映像が表示された例が示されているが、仮想ルーム100を介して視聴される映像は各種のイベントを対象としてよい。
【0019】
仮想ルーム100は3次元の仮想空間として構成されてもよいし、2次元の仮想空間として構成されてもよい。仮想ルーム100を3次元の仮想空間として構成する場合には、ユーザ端末装置4からの指示に基づいて仮想ルーム100内の仮想カメラの位置、撮影方向、視野角等の撮影条件を制御することにより、ユーザが仮想ルーム100内を自由に移動して適宜の位置から仮想モニタ101の映像を視聴できるようにしてもよい。仮想空間は、必ずしも屋内を再現した空間として構成されることを要しない。屋外のイベント会場、ライブ会場等が仮想空間として再現されてもよい。
【0020】
仮想モニタ101に映像を合成した仮想ルーム100の動画を中継サーバ20側で生成する場合には、ユーザごとの仮想カメラを仮想ルーム100に設置してユーザの操作でその撮影条件を制御すれば、ユーザごとの視点に基づく仮想ルーム100の動画をユーザ端末装置4に表示させることができる。一方、ユーザ端末装置4側で仮想モニタ101に映像を合成した仮想ルーム100の動画を生成する場合には、中継サーバ20からは各ユーザ端末装置4に同一の映像を配信すればよく、ユーザ端末装置4ごとの視点に基づく動画の制御はユーザ端末装置4に委ねることが可能である。この場合には、中継サーバ20側の負担を軽減することが可能であり、ストリーミング配信のように映像を逐次送信する配信方法を採用する場合には、処理の遅延を防ぐ点で効果的である。
【0021】
少なくとも一つの配信拠点21と対応付けられる仮想ルーム100については、配信対象の映像と、その仮想ルーム100の仕様とが所定の設定者の指示に基づいて設定される。仕様が互いに異なる複数の仮想ルーム100が、同一の又は互いに異なる設定者の指示に基づいて設定されてもよい。仮想ルーム100の仕様については後述する。設定者は個人又は法人のいずれであってもよい。設定者は、映像の視聴者としてのユーザとなり得る者であってもよいし、視聴者となり得るユーザとは区別された者であってもよい。設定者は、例えば中継サーバ20又は配信元サーバ10によって作成権限を付与された者に限られてもよい。その場合、例えばユーザ端末装置4から中継サーバ20へのアクセスに対してユーザ認証を実施し、その認証で得られたユーザの情報に基づいて作成権限の有無を判別し、作成権限を有するユーザに限って、仮想ルーム100を設定者として作成することが可能とされてよい。設定者が仮想ルーム100の操作する端末装置は、映像視聴用のユーザ端末装置4として機能する情報通信端末装置であってもよいし、それとは異なる設定用の情報通信端末装置であってもよい。
【0022】
配信元サーバ10にて配信可能な複数の映像が配信候補として用意されている場合、それらの配信候補から設定者の指示に基づいていずれかの映像が選択され、選択された映像が仮想ルーム100からユーザ端末装置4に中継配信されるべき視聴対象又は配信対象の映像として設定されてよい。配信候補の映像には配信日時が予め定められていてもよい。
例えば、ライブ配信の場合には、そのライブ配信の元となるイベント等の実施日時に合わせて映像の配信日時が定められてよい。その場合には、イベントの日時が仮想ルーム100にて映像を視聴させる日時として設定される。アーカイブ配信の場合であっても、仮想ルーム100に対して配信日時が設定されてよい。
【0023】
仮想ルーム100の仕様は、仮想ルーム100を特徴付ける事項の集合によって定められる仮想ルーム100の内容を意味する概念である。仮想ルーム100を特徴付ける事項の少なくとも一部が設定者によって設定されることにより、配信拠点21の仕様の少なくとも一部が設定される。つまり、仮想ルーム100の仕様を介して配信拠点21の仕様が定められる。
【0024】
仮想ルーム100の仕様は種々の要件によって定められる。例えば、仮想ルーム100を利用可能なユーザ(メンバーと呼ぶことがある。)、仮想ルーム100の内部構成、仮想ルーム100に表示される広告、仮想ルーム100を利用するユーザに適用されるイベントといった事項が、仮想ルーム100の仕様を定める要件として用意される。それらの要件の少なくとも一部が設定者の指示に基づいて設定される。設定者の指示に基づいて設定される要件の少なくとも一部は、仮想ルーム100を共有するユーザ群の範囲を設定者が意図し、あるいは想定する範囲に絞り込み、さらには仮想ルーム100を共有するユーザ群のユーザ、つまり仮想ルーム100を利用するユーザを、一定の要件を満たすユーザに制限するように設定される。
【0025】
仮想ルーム100のメンバーの要件は、仮想ルーム100を利用するユーザを、設定者が意図し、あるいは想定するユーザ群の範囲内に制限するための人的要件として設定される。メンバーの要件は、ユーザを予め指定する態様で設定されてもよいし、ユーザの年齢層、興味等といったユーザの属性を指定する態様で設定されてもよい。視聴対象の映像がスポーツ等の競技に関する映像である場合には、応援する選手、チーム等がユーザの属性の少なくとも一部として、メンバーの要件に含まれてもよい。メンバーの要件は、を所定の人数範囲に制限するための人数要件を含んでもよい。例えば、仮想ルーム100を利用する人数の上限値及び下限値の少なくともいずれか一方を指定することにより、人数範囲が人的要件として設定されてもよい。映像の視聴に関して視聴権が設定される場合には、視聴対象として設定した映像に関して視聴権を有するユーザに限って仮想ルーム100が利用可能となるようにメンバーの要件が設定されてもよい。視聴権は、例えば映像の視聴に対価が必要な場合等に設定されてよい。
【0026】
メンバーの要件は、仮想ルーム100を利用するユーザを、所定の地理的範囲内に位置するユーザに制限するための地理的要件を含んでもよい。地理的範囲は、例えば行政区画に基づいて設定されてもよいし、特定の基準点からの距離に基づいて設定されてもよい。
基準点は、例えば映像の撮影場所として設定されてもよいし、特定の商業施設、公的施設といった特定施設が基準点として設定されてもよい。ユーザの位置は、例えばユーザ端末装置4のGPS機能から取得される位置情報に基づいて特定することが可能である。あるいは、ユーザ端末装置4をネットワークNTに接続させるために利用されるアクセスポイント、あるいはルータ等から取得されるネットワーク情報を利用してユーザの位置が特定されてもよい。
【0027】
仮想ルーム100の内部構成の要件は、仮想ルーム100の視聴環境を指定する要件である。内部構成は、ユーザ端末装置4を介してユーザが認識可能な仮想ルーム100の視聴環境を意味する。仮想ルーム100の内部構成は、例えば、内部構成が異なる複数のモデルを予め用意し、それらのモデルのいずれかをユーザに選択させ、選択されたモデルをユーザが適宜にカスタマイズすることによって設定されてよい。カスタマイズ可能な項目としては、例えば、仮想モニタ101の種類、仮想ルーム100の内装、家具、什器、照明器具といった備品又は調度品類、それらの備品、調度品類及び仮想モニタ101の配置、さらには仮想ルーム100にて流されるBGMといった視聴環境を決定付ける各種の項目が用意されてよい。それらのカスタマイズも、予め用意されたパーツ等をユーザが選択してその位置を指定する、といった手法で実現されてよい。
【0028】
仮想ルーム100の内部構成は、仮想ルーム100を利用するユーザを絞り込む要件として作用し得る。すなわち、仮想ルーム100の内部構成には設定者の意図が反映される。一方、ユーザは、仮想ルーム100が自己の趣味趣向に合った内部構成か否かを意識して仮想ルーム100を選択する場合がある。それにより、設定者の指示を反映した内部構成を有する仮想ルーム100には、設定者の意図に見合った趣味趣向、個性、又は属性をもったユーザ群が集まることが期待される。したがって、仮想ルーム100の内部構成は、仮想ルーム100を利用するユーザを制限はしないものの、仮想ルーム100を利用するユーザ群の範囲を一定程度に絞り込む要件として作用する。
【0029】
仮想ルーム100の広告の要件は、仮想ルーム100と関連付けてユーザ端末装置4に表示させるべき広告を管理するために設定される要件である。広告は、仮想ルーム100を利用するユーザに対して商品やサービスを宣伝することを目的としてユーザ端末装置4に表示される。例えば、図3に示したように、ユーザ端末装置4には、仮想ルーム100の様子を示す動画が表示されるが、その動画に合わせて適宜の広告102が表示される。
広告102は、仮想ルーム100内に埋め込まれるインライン広告として表示されてもよいし、仮想ルーム100上に重ね合わされるオーバレイ広告として表示されてもよい。広告102は、仮想ルーム100の外に表示されてもよい。仮想ルーム100を表示するウィンドウとは別のウィンドウ内に広告102が表示されてもよい。ユーザ端末装置4の構成に応じて広告102の表示態様が変更されてもよい。いずれにしても、広告102は仮想ルーム100を利用するユーザが視認可能な限り適宜の態様で表示されてよい。
【0030】
図2に戻って、少なくとも一部の広告は、ユーザが仮想ルーム100を介して利用可能な有償サービスを提示し、あるいはユーザに有償サービスを利用する機会を提供するために表示される。例えば、少なくとも一部の広告に対するユーザのリアクションをトリガとしてユーザが所定の有償サービスに誘導される。有償サービスにはさらにその利用に対する特典の一例として料金を減額するディスカウントが適用されることがあり、そのディスカウントに関しても適用条件の一例としてのディスカウント条件が設定されることがある。これらの仕組みに関しては後に詳しく説明する。
【0031】
仮想ルーム100の広告の要件は、例えば、広告の選択に関する要件、表示に関する要件を含んでよい。広告の選択に関する要件は、仮想ルーム100に表示する広告を設定者が直接的に指定する態様で設定されてもよいし、仮想ルーム100に表示されるべき広告の傾向を設定者が指定する態様で設定されてもよい。
【0032】
広告の選択に関する要件は、中継サーバ20が仮想ルーム100に合わせた広告を自動的に選択して表示するように設定されてもよい。広告の選択に関する要件は、仮想ルーム100の仕様を通じて想定される仮想ルーム100のユーザ群の範囲と関連付けて設定されてもよい。例えば、仮想ルーム100の仕様として設定されるメンバーの要件、あるいは仮想ルーム100の内部構成等を通じて設定者が意図したユーザ群の範囲に適した広告を設定者のユーザが指定し、設定者が意図したユーザ群の範囲を広告選択の条件として指定するといった手法で広告の選択の要件が設定されてもよい。このように広告選択の要件を定めることにより、設定者のユーザが意図し、あるいは想定したユーザ群の範囲に適した広告を仮想ルーム100と関連付けて表示させ、それにより広告効果を高めることが可能である。また、設定者のユーザが想定したユーザ群に適した有償サービスと関連付けられた広告を表示させることにより、ユーザ群の範囲に適した有償サービスを仮想ルーム100を介してユーザに提供することができる。それにより、仮想ルーム100を利用して商品等を販売する機会を創出することができる。
【0033】
広告の表示に関する要件は、広告をどのように表示すべきかを指定するための要件である。例えば、広告を表示させるべき位置、表示させる時間、表示させる広告の数といった事項が広告の表示に関する要件として設定されてよい。広告を表示させる時間は、表示の開始時刻、終了時刻によって規定されてもよいし、表示時間の長さで規定されてもよい。
【0034】
仮想ルーム100の広告に関する要件の少なくとも一部は、仮想ルーム100を共有するユーザ群の範囲を絞り込むための要件として作用する。すなわち、少なくとも一部の広告は、仮想ルーム100を利用するユーザに対してその広告と関連付けられた有償サービスを利用する機会を提供するために表示される。したがって、有償サービスと関連付けられた広告の選択及び表示を設定者が指定することにより、設定者が仮想ルーム100を介してユーザにどのような有償サービスをどのように提供するか、を設定することができる。一方、ユーザは、仮想ルーム100にてどのような有償サービスがどのように提供されるか、を考慮して仮想ルーム100を選択する場合がある。そのため、広告の設定は、仮想ルーム100を共有するユーザ群の範囲を絞り込む要件として作用し得る。
【0035】
仮想ルーム100のイベントに関する要件は、仮想ルーム100を利用するユーザを対象としたイベントを指定するための要件である。例えば、仮想モニタ101に表示される映像に対する応援イベント等が用意されてよい。応援イベントは、例えば視聴対象の映像がスポーツ等の競技に関する映像であった場合、仮想ルーム100を共有するユーザ群に所定の応援操作を要求し、その応援操作を一定の基準に従って得点に換算してその高低を競うイベントである。応援イベントでは、得られた得点の高低を仮想ルーム100のユーザ間で競うルーム内ランキング、あるいは、仮想ルーム100のユーザが得た得点の合計値を仮想ルーム100間で競うルーム間ランキングといった競技性がさらに付加されてもよい。イベントは仮想ルーム100を利用することによって得られる娯楽の一つとして作用し、ユーザが仮想ルーム100を選択する際の考慮要素となり得る。それにより、イベントに関する要件も、仮想ルーム100を利用するユーザ群の範囲を絞り込む要件の一つとして作用し得る。
【0036】
仮想ルーム100では、映像の視聴、有償サービスの提供、イベントの提供に加えて、ユーザ同士がコミュニケーションを図るためのコミュニティ機能が利用可能とされてもよい。例えば、ユーザ間のチャット、コメントの投稿といった機能を通じてユーザ同士のコミュニティが形成可能とされてもよい。チャットは音声通話を利用したボイスチャットを含んでもよい。仮想ルーム100内でユーザの分身としてのアバターを行動させ、そのアバターを通じてユーザ間のコミュニティが形成されてもよい。コミュニティ機能は、設定者の指示によって利用の可否が切り替えられる任意的な機能であってもよいし、仮想ルーム100に対して必ず提供される基本的な機能であってもよい。コミュニティ機能の利用を設定者のユーザが選択できる場合には、その利用の可否がユーザの仮想ルーム100の選択で考慮される可能性があり、その可否の設定も仮想ルーム100を共有するユーザ群の範囲を絞り込む要件として作用し得る。
【0037】
次に、図4を参照して、有償サービスを提供する仕組みの一例を説明する。図4の例では、仮想ルーム100を利用するユーザが、広告を指定してその広告と関連付けられた有償サービスの利用を要求すると、その有償サービスがWebサイト120を介してユーザに提供される。例えば、ユーザが図3の広告102を選択して所定の操作(一例として、広告102をクリックする操作)を行うと、その操作をトリガとして、ユーザが広告102と関連付けられた有償サービスへと誘導される。図4では二つのWebサイト120が例示されているが、ユーザに有償サービスを提供するWebサイト120の数は適宜でよい。Webサイト120の内容は、仮想ルーム100の一部に取り込まれるように表示されてもよいし、仮想ルーム100外に表示されてもよいし、仮想ルーム100を表示するウィンドウとは別ウィンドウで表示されてもよい。いずれにしても、Webサイト120は、Webブラウズで用いられる適宜の手法で表示されてよい。
【0038】
Webサイト120は、例えばユーザが購入した電子データやプログラム、例えばゲームデータやプログラム、あるいは各種の情報をユーザ端末装置4にダウンロードさせるサイト、飲食物等の商品を販売し、ユーザが購入した商品を実店舗200からユーザが指定した場所に配達するデリバリー又はケータリングサービスを提供するサイト、各種の商品又はサービスを有償で販売するe-コマースサイト等、各種の有償サービスを提供するように設けられてよい。デリバリー又はケータリングサービスは、ユーザに商品を購入させて当該商品をユーザに配達する物販サービスの一例である。物販サービスは飲食物等の商品を販売する例に限らず、e-コマースサイトで購入された各種の商品を配送するサービスであってもよい。有償サービスで販売される商品又はサービスは、視聴対象の映像と関連付けられた商品又はサービスであってもよい。例えば、ゲームのイベントの映像の場合、そのイベントの関連付けられたカードその他の記念グッズ又はデータが販売されてもよい。あるいは、スポーツイベントの映像の場合には、応援グッズ等が販売されてもよい。
仮想ルーム100を共有するユーザ群を対象としたイベントが設定される場合には、そのイベントと関連付けられた商品又はサービスが販売されてもよい。例えば、イベントを盛り上げるためのデータ等が販売されてもよい。
【0039】
Webサイト120を介して有償サービスを提供する業者は、仮想ルーム100の設定者と一致してもよいし、異なってもよい。例えば、有償サービスを提供する業者が、自己のサービスの利用者を募る目的で仮想ルーム100を作成して広告を掲出してもよい。あるいは、設定者が、有償サービスを提供する業者と提携して仮想ルーム100を作成し、その仮想ルーム100を介した有償サービスの利用によって業者が得た売上の一部を仮想ルーム100の設定者のユーザが受け取るといったビジネスが営まれてもよい。
【0040】
少なくとも一部のWebサイト120が提供する有償サービスについては、その利用に対する特典が用意される。例えば、サービス料金のディスカウント(割引)が特典として用意される。ディスカウントには、特典の適用条件の一例として、ディスカウント条件が設定されてもよい。ディスカウント条件は、仮想ルーム100ごとに独立して設定されてよい。図4は、デリバリーサービスと関連付けてディカウント条件が設定されている例を示すが、一つの仮想ルーム100に関して有償サービスの種類を問わず同一のディスカウント条件が設定されてもよいし、有償サービスごとに独立してディスカウント条件が設定されてもよい。
【0041】
ディスカウント条件は、配信拠点21を共有するユーザ群からの有償サービスの利用の要求と関連付けて設定される。例えば、ディスカウント条件は、一つの仮想ルーム100を利用するユーザ群を単位として、その単位内でサービスの利用を要求するユーザ(以下、希望者と呼ぶことがある。)の人数が所定の対象人数範囲のときに満たされる人数条件を含んでもよい。人数条件は、例えば、同一の仮想ルーム100を利用するユーザ群における希望者の人数が最低人数(下限値)以上のときに満たされるように設定されてもよい。あるいは、ディスカウント条件が適用されるユーザの人数の最大人数(上限値)が人数条件として設定されてもよい。同一の仮想ルーム100を利用するユーザ群のユーザ総数(視聴者総数)に占める希望者数の比率が所定値以上の場合に満たされるように人数条件が設定されてもよい。人数条件は段階的に設定されてもよい。例えば、有償サービスの希望者数に関して複数の閾値を設定し、閾値ごとに段階的に料金の割引額が増加するといった段階的な条件が設定されてもよい。
【0042】
ディスカウント条件は、ユーザの位置が所定の対象地域内の場合に満たされる地域条件を含んでもよい。例えば、特定の実店舗200から配達可能な地域内のユーザが有償サービスの利用を要求した場合に限って満たされるように、言い換えれば、その地域内のユーザに限ってディスカウントの適用対象となるように地域条件が設定されてもよい。対象地域は単一の実店舗200の配達可能な地域に限ることを要しない。例えば、チェーン展開する複数の実店舗200のそれぞれが配達可能な地域を対象地域として設定してもよい。
ユーザの位置については、仮想ルーム100の仕様の一部としての地理的要件の場合と同様に、ユーザ端末装置4から取得される位置情報に基づいて特定されてもよいし、アクセスポイント等のネットワーク情報に基づいて特定されてもよい。
【0043】
ディスカウント条件は、一つの仮想ルーム100内におけるサービスの利用料金と関連付けられた金額条件を含んでもよい。例えば、同一の仮想ルーム100内におけるサービスの利用料金の合計額が所定値以上の場合にディスカウントが適用されるように金額条件が設定されてもよい。金額条件に代えて、又は加えてユーザが注文した商品の数量に関してディスカウント条件が設定されてもよい。いずれにしても、人数条件、金額条件等は、商品等に関する注文の規模と関連付けられた、いわゆるボリュームディスカウントの条件として設定されてよい。
【0044】
ディスカウント条件は、その適用可能な時間を制限する制限時間の条件を含んでもよい。例えば、映像の配信時間と関連付けてディスカウントの制限時間が設定されてもよい。
その場合、配信の開始時刻と関連付けて制限時間が設定されてもよいし、配信の終了時刻と関連付けて制限時間が設定されてもよいし、開始時刻及び終了時刻の両者と関連付けて制限時間が設定されてもよい。配信の開始時刻と関連付ける場合には、開始時刻に対して所定の時間長早い時期又は遅い時刻からディスカウント条件が適用されるといった設定が可能である。配信の終了時刻と関連付ける場合には、終了時刻に対して所定の時間長早い時刻、又は遅い時刻を過ぎるとディスカウントが適用されない、といった設定が可能である。あるいは、配信の時間長に対する比率、例えば配信時間の長さに対して80%の時間が経過した時点でディスカウントの適用を終了する、といった設定も可能である。なお、映像がライブ配信される場合、その配信の終了時刻が撮影対象のイベントによっては不定となることがある。そのような場合には、配信の実情に合わせて制限時間が動的に変更されてもよい。
【0045】
人数条件、地域条件、金額条件及び制限時間は適宜に組み合わせることにより、いわゆるアンド条件として設定されてよい。例えば、人数条件と地域条件とは、地域条件を満たす希望者の人数が人数条件を満たさない限り成立しないように組み合わされてよい。この場合には、例えば特定の実店舗200から配達可能な地域内に位置する所定人数以上のユーザから商品の注文を受けた場合にディスカウントを適用するといったように、有償サービスを提供する業者の都合に合わせたディスカウント条件を設定することが可能である。
この他にも、ディスカウント条件は有償サービスの内容、あるいはこれを提供する業者の都合等に応じて適宜に変更されてよい。
【0046】
ディスカウント条件は、仮想ルーム100を共有するユーザ群の範囲と関連付けて設定することができる。例えば、ディスカウント条件は、仮想ルーム100の仕様を通じて想定されるユーザ群の範囲に適合するように設定することができる。一例として、仮想ルーム100を利用するユーザの人数の範囲を制限する人数要件が設定されている場合には、その人数範囲内でディスカウント条件の人数条件を満たす対象人数範囲が設定されてもよい。仮想ルーム100の仕様として設定されている人数要件の最低人数、あるいは最大人数の範囲内で対象人数範囲の下限値あるいは上限値を設定すれば、ディスカウントが適用される対象人数を過不足なく設定してディスカウントが適用される可能性を適正化することが可能である。
【0047】
仮想ルーム100の仕様として地理的要件が設定されている場合には、その地理的要件で定められるユーザの地理的範囲内で、ディスカウント条件の地域条件を満たす対象地域が設定されてもよい。それにより、仮想ルーム100の仕様としての地理的要件と、ディスカウント条件の地域条件とを整合させて、ディスカウントが適用される対象地域を矛盾なく設定し、ディスカウントが適用される可能性を適正化することが可能である。その他にも、仮想ルーム100の仕様に関して、ユーザ群の範囲を絞り込む要件、又はユーザを制限する要件とディスカウント条件とを整合的に組み合わせることにより、ディスカウントが適用される可能性を適正化することが可能である。
【0048】
ディスカウント条件は、仮想ルーム100の仕様を通じて想定されるユーザ群の範囲と関連付けて設定されることを必ずしも要しない。例えば、仮想ルーム100が映像の配信開始前の段階で既に利用可能な場合、あるいは、仮想ルーム100を介した映像の視聴が予め予約可能な場合には、その利用状況又は予約状況に基づいてユーザ群の範囲を判別あるいは推定し、その判別結果又は推定結果に応じてディスカウント条件の人数条件における対象人数範囲が動的に調整されてもよい。あるいは、配信開始後であっても、仮想ルーム100の利用状況の実態に合わせて人数条件の対象人数範囲が動的に調整されてもよい。ディスカウント条件における地域条件の対象地域に関しても、仮想ルーム100の利用状況、あるいは予約状況に応じて動的に調整されてよい。
【0049】
なお、ディスカウント条件に関して制限時間条件が設定されている場合、仮想ルーム100の仕様として設定される広告の表示時間の要件は、ディスカウントが適用可能な時間内は広告が継続して表示されるように、制限時間条件と整合的に設定されることが好ましい。
【0050】
図5は、仮想ルーム100の設定及び利用に関連して発生する主要な工程の一例を時系列で示している。まず、設定者の指示に基づいて仮想ルーム100が作成され(F1)、その作成が完了すると、視聴者となり得るユーザに対して仮想ルーム100が報知される(F2)。その報知は、ユーザに対して仮想ルーム100を知らしめてその利用を促すために行われるものであって、仮想ルーム100にて配信される映像及びその配信時間を特定し、仮想ルーム100の仕様を特定する情報を含んでよい。仮想ルーム100を介して有償サービスが提供される場合には、その有償サービスを特定する情報も仮想ルーム100の仕様の一部としてユーザに報知されてよい。仮想ルーム100の報知は、ユーザ端末装置4に対するプッシュ通知でもよいし、中継サーバ20が提供する適宜のWebサイトに掲載することによるプル通知でもよい。
【0051】
仮想ルーム100が作成されると、その後、作成された仮想ルーム100をユーザが選択してその内部の様子をユーザ端末装置4に表示させることが可能となる(F3)。仮想ルーム100の仕様に関して、利用可能なユーザを制限する要件が設定されている場合には、その要件を満たすユーザに限って、仮想ルーム100の内部をユーザ端末装置4に表示させることが可能とされる。以下では、仮想ルーム100を選択してその内部を見る行為を「入室」と呼ぶ。また、仮想ルーム100への入室が可能な期間を入室可能時間と呼ぶ。入室可能期間の始期は、仮想ルーム100の作成後でかつ映像の配信開始前の適宜の時期に設定されてよい。仮想ルーム100の設定者が入室可能期間の始期を設定してもよい。仮想ルーム100に関する報知の開始時期と、仮想ルーム100の入室可能期間の始期とは一致してもよいし、異なってもよい。報知の開始時期よりも入室可能期間の始期を遅い時期に設定する場合には、入室可能期間の始期を報知内容に含めるとよい。
【0052】
入室可能期間内の予め定められた時刻になると映像が配信されて仮想モニタ101を介した映像の視聴が可能となる(F4)。映像は、例えば撮影システム3が撮影対象としたイベント等の映像、つまり本来の視聴目的となる映像によって構成される本編に加えて、前編及び後編を適宜に含んでもよい。例えば、各種の予告、広告等の映像が前編として加えられ、あるいは本編に対する解説、リプレー、今後の配信予定等を示す映像が後編として加えられてもよい。この場合の広告は、仮想ルーム100の設定者が、仮想ルーム100の仕様の要件として指定した広告の要件に適合するものであってもよいし、配信元サーバ10側で予め本編に付加した広告であってもよい。前編を加える場合、映像の配信開始時刻は、前編が入室可能期間の始期又はそれ以降に開始されるように設定されていればよい。この場合、本編の開始前の時間帯に仮想ルーム100に入室したユーザ群に対して、コミュニティ機能や各種のイベント等を通じて親睦を図る機会を提供することができる。
前編を通じて、本編へのユーザの期待感を高めることも可能である。前編が広告を含む場合には、その広告効果も高めることができる。なお、前編が存在しない場合には、本編の配信の開始時刻が入室可能期間の始期以降に設定されていればよい。
【0053】
さらに、仮想ルーム100が作成されると、その後、仮想ルーム100にて配信される映像の視聴に関する予約受付期間が設定される(F5)。これは、仮想ルーム100に入室する前に映像の視聴をユーザに予約させるものであって、仮想ルーム100の報知と関連付けて予約操作へとユーザを誘導してもよい。予約したユーザに対しては、映像の配信開始前の所定時刻にリマインダーが通知されてもよい。予約受付期間の始期は仮想ルーム100の作成後であれば適宜の時期に設定されてよい。映像の配信開始時刻に対して所定の時間長早い時期に予約受付期間が開始されてもよい。一方、予約受付期間の終期は、少なくとも映像の本編の開始前に設定される。映像が前編を含む場合には、前編の開始時刻よりも早い時期に予約受付期間の終期が設定されてもよい。前編の開始時刻後でかつ本編の開始時刻前の時期に予約受付期間の終期が設定されてもよい。
【0054】
仮想ルーム100の入室可能期間内における適宜の時期には、有償サービスの提供期間が設定される(F6)。例えば、有償サービスの提供期間の始期は、入室可能期間の始期と同時刻、あるいはその後の適宜の時期でよい。有償サービスの提供期間の始期も適宜の時期でよい。有償サービスの提供期間は、映像の配信時間と必ずしも連携して設定されることを要しないが、例えば飲食物のデリバリーサービスを提供する場合には、映像の配信時間に配達が間に合うように、そのデリバリーサービスの提供開始時刻を設定するとよい。仮想ルーム100に表示される広告を介して有償サービスを利用する機会を提供する場合、その有償サービスの提供期間は、仮想ルーム100の仕様の一部として定められる広告の要件としてその表示時期が指定されてよい。仮想ルーム100と関連付けて複数の有償サービスが提供される場合には、有償サービスごとにその提供期間が設定されてよい。
【0055】
入室可能期間の終期については、映像の配信時間と関連付けて適宜の設定が可能である。例えば、映像の配信が終了した後、所定時間長が経過した時刻を入室可能期間の終期として設定してよい。一つの仮想ルーム100にて、配信時間が異なる複数の映像を適宜の時間間隔を空けて配信する場合には、入室可能期間の始期及び終期を映像ごとに適宜に定めてもよいし、入室可能期間の終期を特に定めることなく、ユーザがいつでも入室できるようにしてもよい。仮想ルーム100の報知期間、及び有償サービスの提供期間のそれぞれの終期に関しても、入室可能期間の終期に合わせて適宜に設定可能であり、入室可能期間の終期が定められない場合には、仮想ルーム100の報知期間、及び有償サービスの提供期間のそれぞれの終期も特に定めることなく、その報知が継続され、あるいは仮想ルーム100を利用するユーザがいつでも有償サービスを受け得るものとしてもよい。
【0056】
仮想ルーム100の入室可能期間の始期が映像の配信時間に先行して設定され、あるいは映像の視聴に対して予約受付期間を設定する場合には、映像の配信前の段階で仮想ルーム100を利用するユーザ群の範囲を判別することができる。映像に前編が付加される場合には、その前編の段階で、本編を視聴するユーザ群の範囲を推定することが可能である。このような場合には、視聴者数の予測値に基づいて、ディスカウント条件の人数条件を満たす対象人数範囲を調整し、それによりディスカウントが適用される可能性を適正化することが可能である。このような管理は、仮想ルーム100の仕様の一部として設定されるメンバーの人数要件の設定と合わせて実施されてよいが、メンバーの人数に関する要件の設定がない場合、つまり仮想ルーム100を利用できるユーザの人数に何ら制限がない場合でも実施されてよい。
【0057】
以上のように、映像配信システム1では、少なくとも一つの配信拠点21に対応する仮想ルーム100の仕様を設定者のユーザの指示に基づいて設定することが可能である。そのため、視聴対象の映像をどのような環境で視聴させるかに関して、仮想ルーム100の仕様を通じて設定者の意図を反映させることができる。それに伴って、仮想ルーム100を共有するユーザ群の範囲を設定者が意図した範囲に絞り込み、あるいは制限し、設定者が意図する範囲のユーザ群を同一の仮想ルーム100に呼び集め、それらのユーザ群が映像を一緒に視聴する場として仮想ルーム100を機能させることができる。仮想ルーム100に集まる視聴者の趣味趣向、あるいは属性等が適宜に絞られることにより、仮想ルーム100を利用するユーザ群を想定してそれに見合った広告を表示してその広告効果も高めることもできる。仮想ルーム100を利用するユーザ群に見合った有償サービスを提供することにより、その有償サービスに関する商機を創出することも可能である。
【0058】
上記の例では、ユーザを有償サービスに誘導するための導線として広告を利用したが、有償サービスを利用する機会は、必ずしも広告を媒介として提供されることを要しない。
例えば、仮想ルーム100の動画内に、又は仮想ルーム100とは別に有償サービスの候補を掲載したリスト、メニュー等をユーザに提示し、その中からユーザが有償サービスを選択してその利用を要求することにより、ユーザを有償サービスのWebサイト120に誘導する、といった手法で有償サービスが提供されてもよい。仮想ルーム100と関連付けて表示される広告は、有償サービスを利用する機会を提供するものに限らない。所定の商品又はサービスを宣伝するための適宜の広告が仮想ルーム100と関連付けて表示されてもよく、その種の広告も仮想ルーム100の仕様としての広告の要件に基づいて適宜に選択されて表示されてよい。
【0059】
上記の例では、有償サービスの利用に関する特典の一例として、そのサービスを利用するために必要な料金の減額(ディスカウント)を設定したが、特典はこれに限らず適宜の変形が可能である。例えば、映像配信システム1内で、あるいは映像配信システム1外で利用可能なクーポンやポイント等の交換価値の付与、ユーザ端末装置4で利用できる壁紙等の電子データの付与、販促グッズの郵送等、各種の特典が用意されてよい。あるいは、仮想ルーム100の利用と関連付けて特典が用意されてもよい。例えば、仮想ルーム100の内部構成を特別な構成に変更する特典、仮想ルーム100内に用意されたVIPルームへの入室の許可、あるいは仮想ルーム100内での上級メンバーとしての待遇の付与といった特典が用意されてもよい。特典の適用条件も特典の内容等に応じて適宜に変更可能である。
【0060】
配信元サーバ10からの映像を中継サーバ20で取得し、得られた映像を中継サーバ20に設定される配信拠点21からユーザ端末装置4に中継配信する構成としているため、配信元サーバ10では配信拠点21ごとの映像の配信を個別に管理する必要がない。また、配信拠点21に対応付けられた仮想ルーム100の設定、及び仮想ルーム100を通じて実現される各種の機能に関しても配信元サーバ10が個別に管理する必要はない。そのため、配信元サーバ10の負担を軽減することが可能である。一方、仮想ルーム100を中継サーバ20で個別に管理することにより、比較的小規模のユーザ群が一緒に映像を視聴するに適した環境を個別に提供することが可能である。さらに、中継サーバ20の配信拠点21は、配信元サーバ10からの許可に基づいて設けられるため、配信サーバ2が把握できない範囲で不正に映像が視聴されるおそれを排除することができる。
【0061】
次に、図6を参照して、映像配信システム1の上述した各種の機能を実現するためのさらに具体的な例を説明する。なお、以下の例は、仮想ルーム100に対して設定された仕様に基づいて仮想ルーム100に広告が表示され、かつ少なくとも一部の広告を介してユーザに有償サービスを利用する機会が提供される場合の一例である。
【0062】
図6に示すように、配信元サーバ10には、コンピュータとしてのサーバユニットのハードウエアと、ソフトウエアとしてのサーバプログラムPG1との組み合わせによって実現される論理的装置として、配信管理部11が設けられている。また、配信元サーバ10には、映像の配信先、あるいは配信のスケジュールを管理するために必要な各種のデータを保持する配信管理データベースDB11と、配信対象の映像データを保持する映像データベースDB12とが接続されている。配信管理部11は、撮影システム3から取得した映像データを、配信管理データベースDB11に記録されている情報に従って配信し、あるいは撮影システム3から取得した映像データを必要に応じて映像データベースDB12に保存する。
【0063】
中継サーバ20には、コンピュータとしてのサーバユニットのハードウエアと、ソフトウエアとしてのサーバプログラムPG2との組み合わせによって実現される論理的装置として、ルーム管理部22、視聴管理部23、広告管理部24、イベント管理部25及びコミュニティ管理部26が設けられている。ルーム管理部22は、仮想ルーム100の設定に関する処理を担当する。視聴管理部23は、配信拠点21を介した映像データの配信に関する処理を担当する。広告管理部24は、仮想ルーム100に関連した広告の表示、及び広告に対応する有償サービスの提供に関連した処理を担当する。イベント管理部25は、仮想ルーム100のユーザを対象として用意された各種のイベントに関する処理を担当する。コミュニティ管理部26は、仮想ルーム100ごとのユーザ同士のチャット等を通じたコミュニティの形成に関連した処理を担当する。
【0064】
中継サーバ20には、各部22~25の処理に必要な情報を取得し、あるいは保存するためのデータベースとして、ユーザ管理データベースDB21、ルーム管理データベースDB22、視聴管理データベースDB23、広告管理データベースDB24、イベント管理データベースDB25及びコミュニティ管理データベースDB26が接続されている。
ユーザ管理データベースDB21は、ユーザに関する各種の情報をユーザごとにユニークな識別情報、例えばユーザIDと対応付けて記録したデータベースである。例えば、ユーザの名前(実名でも仮名でもよい。)、ユーザの年齢層、所在地、興味等の属性、あるいはユーザの視聴履歴等の情報がユーザ管理データベースDB21に保存される。この種のデータベースは、ユーザに関する各種の情報をユーザの識別番号によって管理する各種のシステムで実装されており、ユーザ管理データベースDB21もその種のシステムと同様に構成されてよい。
【0065】
ルーム管理データベースDB22は、ルーム管理部22によって作成された仮想ルーム100に関する情報を保存するデータベースである。設定者の指示に基づいて設定された仮想ルーム100の仕様もルーム管理データベースDB22に保存される。視聴管理データベースDB23は、各配信拠点21における映像の配信を管理するために必要な情報を保存するデータベースである。広告管理データベースDB24は、広告管理部24が仮想ルーム100に関連付けた広告をユーザ端末装置4に表示させ、あるいは広告に対応する有償サービスにユーザを誘導するために必要な情報を保存するデータベースである。イベント管理データベースDB25は、イベント管理部25がイベントの実施やその結果を管理するために必要な情報を保存するデータベースである。イベント管理データベースDB25には、仮想ルーム100にて実施可能なイベントの内容、イベント実行条件、その結果の処理方法等をイベントごとに記述したイベントデータを含めてよく、その詳細は省略する。コミュニティ管理データベースDB26は、コミュニティ管理部26が仮想ルーム100ごとのコミュニティを管理するために必要な情報を保存するデータベースである。
例えば、コミュニティ管理データベースDB26には、コミュニティ機能を実現するための素材のデータ、ユーザが投稿したコメント等のログのデータ等が記録される。コミュニティ管理データベースDB26は、チャット等を通じたコミュニティ機能を提供する既存のシステムと同様に構成されてよく、その詳細は省略する。
【0066】
なお、図6ではユーザ端末装置4の制御系の構成について省略したが、ユーザ端末装置4は、映像配信システム1のために用意された専用のアプリケーションプログラム、あるいはユーザ端末装置4に実装されているWebブラウザを利用して、中継サーバ20が提供する各種の機能がユーザに提供されてよい。
【0067】
次に、図7図11を参照して、幾つかのデータベースに保存されるデータの具体例を説明する。図7は、配信管理データベースDB11及び映像データベースDB12に保存されるデータの一例を示す。配信管理データベースDB11には、中継サーバ20に対する配信を管理するためのデータの一例として配信スケジュールデータD11が保存される。配信スケジュールデータD11は、配信日時と、配信される映像ごとにユニークな映像IDとを、配信ごとにユニークな配信IDと対応付けて記録したレコードの集合であって、例えばテレビ放送における番組表を生成するためのデータと同様に機能するものである。配信スケジュールデータD11に含まれるレコードを配信日時でソートすることにより番組表と同様に配信のスケジュールを示すことができる。映像IDとは別に配信IDを設定するのは、同一映像が配信日時を変えて配信される場合にそれらの配信を区別するためである。なお、配信元サーバ10に複数のチャンネルが設定され、チャンネルごとに配信スケジュールデータD11が設けられてもよい。配信管理データベースDB11には、配信先を示すデータも記録されるが、その図示は省略した。配信先のデータは、例えば配信先の中継サーバ20のアドレス、あるいは中継サーバ20に生成される配信拠点21のアドレスを適宜の形式で記述するように構成されてよい。配信拠点21が中継サーバ20にて管理される場合、配信管理データベースDB11には、配信先の中継サーバ20のアドレスのみが記述されてもよい。
【0068】
一方、映像データベースDB12には映像データD12が記録される。映像データD12は、中継サーバ20に対して配信されるデータであって、映像のタイトル、概要、及び撮影システム3から取得された映像それ自体を再現するための実データを、映像ごとにユニークな映像IDと対応付けて記録した構造を有している。映像の概要は、映像のジャンル、カテゴリ等といった映像を区別する情報、映像の要約を示す情報といった映像選択の参考となり得る各種の情報を含んでよい。映像データD12に映像IDが記述されることにより、配信スケジュールデータD11に記録されたレコードと映像データD12とが関連付けられる。なお、映像ID、タイトル、及び概要は、撮影システム3の側で予め付加されてもよいし、配信元サーバ10側で付加されてもよい。ライブ配信の場合には、予め実データ以外の情報を映像データD12に記録し、撮影システム3から送られるライブ映像データを映像データD12に取り込んで配信してもよい。アーカイブ配信の場合には、映像データD12に予め実データが記録されてよい。
【0069】
図8は、ルーム管理データベースDB22に保存されるルームデータD22の一例を示している。ルーム管理データベースDB22には、仮想ルーム100ごとに作成されたルームデータD22が保存される。図6は一つの仮想ルーム100に対応するルームデータD22を示している。ルームデータD22には、図2に例示した仮想ルーム100に関する各種の設定事項を特定するための情報が仮想ルーム100ごとにユニークなルームIDと対応付けて記録される。例えば、仮想ルーム100が対応付けられるべき配信拠点21の情報、配信対象の映像に関する配信IDがルームデータD22に記録される。またルームデータD22には、仮想ルーム100の仕様を定める要件、図2の例ではメンバー、内部構成、広告及びイベントに関する要件の設定内容に対応した情報がさらに記録される。
【0070】
メンバーに関する情報は、仮想ルーム100のメンバー要件を示す情報であって、例えば、仮想ルーム100を利用可能なメンバーをそのユーザIDによって指定する情報、仮想ルーム100を利用可能なメンバーの属性を指定する情報、仮想ルーム100を利用可能な人数範囲を指定する情報、映像の視聴権の要否を判別するための情報、あるいは仮想ルーム100を利用可能なユーザの地理的範囲を指定する情報等がメンバーに関する情報としてルームデータD22に記録されてよい。図8に示したメンバーの情報はその全てがルームデータD22にて指定されることを必ずしも要しない。例えば、仮想ルーム100を利用させるユーザIDが直接指定される場合には、属性その他の情報は省略されてよい。いずれにしても、メンバーの情報は、設定者のユーザの指定に基づいて適宜に設定されてよい。なお、仮想ルーム100の利用については、設定者による承認制としてもよい。
その場合には例えば設定者のユーザの承認が必要な旨がメンバーに関する情報として記録されてもよい。
【0071】
内部構成に関する情報としては、仮想モニタ101の種類、仮想ルーム100の備品又は調度品類、それらの配置、BGMといった事項に関するユーザの指定内容を判別するための情報がルームデータD22に記録されてよい。例えば、仮想モニタ101や内装、家具等が予め用意されたパーツを選択することによってカスタマイズされる場合には、それらのパーツに設定されたパーツ番号等の識別情報が位置を指定する情報と関連付けてルームデータD22に記述されてよい。
【0072】
広告に関する情報としては、図2で説明した広告の選択に関する要件、及び表示に関する要件をそれぞれ指定する情報がルームデータD22に記録されてよい。選択に関する情報は、広告を直接的に指定する態様で記録されてもよいし、広告の傾向を指定する態様で記録されてもよい。広告の自動選択が指定されてもよい。広告の表示に関する情報としては、広告を表示させるべき位置、表示させる時間、表示させる広告の数等、広告をどのように表示すべきかを指定する情報がルームデータD22に記録されてよい。上述したディスカウント条件が設定される場合には、そのディスカウント条件を指定する情報が、広告に関する情報として、ルームデータD22にさらに記録されてよい。なお、ディスカウント条件が有償サービスごとに相違する場合には、有償サービスと関連付けられた広告ごとにディスカウント条件を区別してルームデータD22に記述する必要がある。
【0073】
イベントに関する情報は、仮想ルーム100にてユーザが参加可能なイベントを指定する情報である。例えば、上述したルーム間ランキング、あるいはルーム内ランキングといったイベントの種類を指定する情報がイベントに関する情報として記録されてよい。なお、図8では省略したが、仮想ルーム100に関して入室可能期間が設定される場合には、その開始及び終了の日時又は時刻がルームデータD22に記録されてもよい。
【0074】
図8では、ルームデータD22に一つの配信IDが記録された例を示すが、複数の配信IDが一つのルームIDに対応付けて記録されてもよい。その場合、仮想ルーム100の仕様を指定するメンバー等の要件は、配信IDごとに設定されてもよいし、複数の配信IDに対して共通して設定されてもよい。例えば、ジャンルが異なる複数の映像に対応する配信IDを設定する場合には、映像のジャンルに応じてメンバー、内部構成、あるいは広告等の要件が変更されてもよい。
【0075】
図9は、視聴管理データベースDB23に保存される視聴予約データD23の一例を示している。視聴予約データD23は、ユーザが仮想ルーム100を選択して映像の視聴を予約する場合に作成されるデータである。視聴予約データD23には、例えば、ユーザが選択した仮想ルーム100のルームID、ユーザが視聴を希望する映像を含んだ配信に対応する配信ID、及び予約したユーザのユーザIDが予約ごとにユニークに採番される予約番号と対応付けて記録される。
【0076】
図10は、仮想ルーム100に入室している視聴者としてのユーザを判別するために視聴管理データベースDB23に記録される視聴者リストTB1の一例を示している。視聴者リストTB1は、仮想ルーム100に入室している視聴者としてのユーザのユーザID、ユーザの位置情報、及びユーザ情報といった情報を視聴者番号を付して記録したテーブル形式のデータであって、仮想ルーム100のルームIDごとに区別して作成される。位置情報は、ユーザ端末装置4のGPS機能等を用いて取得されてもよいし、ユーザ端末装置4がネットワーク接続で利用するアクセスポイント、ルータ等から提供されるネットワーク情報に基づいて取得されてもよい。位置情報は、例えば、ユーザが中継サーバ20にログインする際に取得されてもよい。ユーザ端末装置4がモバイル端末であった場合、位置情報は適宜に更新されることが好ましいが、ログイン時等の所定の時期に取得した位置情報をその後のユーザの位置情報とみなしてもよい。視聴者リストTB1に記録するユーザ情報には、例えば広告を選択するために必要なユーザの属性等が含まれてよく、その情報はユーザIDを手掛かりとしてユーザ管理データベースDB21から取得されてよい。
【0077】
図11は、広告管理データベースDB24に保存される広告データD24の一例を示している。広告データD24は、ユーザ端末装置4に表示させることが可能な広告ごとに作成されるデータであって、広告の詳細を記述するデータである。例えば、広告データD24には、広告を選択するために参照されるべき選択情報、広告内容の情報、及び広告と関連付けて提供されるべき有償サービスに関するサービス提供情報が広告ごとにユニークな広告IDと対応付けて記録されてよい。選択情報は、設定者が仮想ルーム100の仕様として設定した広告の選択条件に対応して広告を選択する際に参照される情報である。例えば、広告の種類、広告のターゲットとなるユーザの属性、傾向等を指定する情報が選択情報として記録されてよい。図8のルームデータD22における広告の選択条件として広告の傾向が指定され、あるいは広告の自動選択が指定される場合には、その選択条件に対応して広告を選択するために必要な情報が選択情報として広告データD24に記録されてよい。ただし、ルームデータD22にて広告が直接指定される場合には、そのルームデータD22にて広告IDが指定されてよい。
【0078】
広告内容に関する情報は、ユーザ端末装置4における広告の表示内容を記述した情報である。例えば、広告として表示されるべき画像データ、テキストデータ等が広告内容の情報として記録されてよい。サービス提供情報は、広告と関連付けて有償サービスが提供される場合において、その有償サービスの内容を示す情報、及び有償サービスを提供するためのWebサイトのアドレス等の誘導先の情報がサービス提供情報として記録されてよい。なお、有償サービスへの誘導を意図しない広告の場合にはサービス提供情報が省略されてよい。
【0079】
広告データD24は、さらにディスカウント情報を含んでもよい。ディスカウント情報は、広告と関連付けられた有償サービスに関してディスカウント条件を設定する際に参照されるべき情報である。例えば、ディスカウント情報は、ディスカウント条件として設定可能な範囲を示す情報を含んでもよい。仮想ルーム100の設定者と、有償サービスを提供する業者とが異なる場合には、ルームデータD22のディスカウント条件を設定者の自由に委ねると、有償サービスを提供する業者が許容し得る限度を超えて過度にディスカウントが適用されるおそれがあるため、予め広告データD24にて許容し得るディスカウント条件を広告主としての業者が示しておくことにより、その許容範囲でルームデータD22のディスカウント条件が設定されるものとしてもよい。
【0080】
仮想ルーム100を利用する視聴者の人数規模に応じた複数段階のディスカウント条件をディスカウント情報で予め設定し、仮想ルーム100を利用する視聴者数に対応するディスカウント条件をルームデータD22のディスカウント条件として引用してもよい。その場合、視聴者数は、例えば仮想ルーム100の仕様として設定された人数の許容範囲から予測してもよいし、視聴の予約者数、映像の本編が開始される前に実際に入室しているユーザの人数に基づいて予測してもよい。一方、仮想ルーム100の設定者と有償サービスを提供する業者とが一致する場合には、仮想ルーム100の設定者が許容し得るディスカウント条件がルームデータD22に直接的に設定されてもよい。
【0081】
次に、図12図18を参照して、仮想ルーム100を利用した映像配信を実現するために配信サーバ2が実行する各種の処理手順の具体例を説明する。図12は、設定者の指示に基づいて仮想ルーム100を作成するために中継サーバ20のルーム管理部22が実行するルーム作成処理の手順の一例を示している。ルーム作成処理は、設定者が仮想ルーム100の作成を指示することにより開始される。なお、仮想ルーム100の作成に関して、中継サーバ20により設定者としてのユーザ認証が実施されてもよく、さらに設定者が仮想ルーム100の作成権限を有するか否かを判別し、作成権限を有する場合に限って図12の処理が開始されてもよい。
【0082】
ルーム作成処理が開始されると、ルーム管理部22はまず仮想ルーム100に対応する新たな配信拠点21の開設に関する許可を取得する(ステップS101)。その許可は、例えば配信元サーバ10から取得してよい。配信元サーバ10から中継サーバ20に対して新たな配信拠点21の作成に関する包括的な許可が与えられている場合には、その許可を新たな配信拠点21の開設に関する許可として適用してもよい。いずれにしても、配信拠点21の開設に関する許可は、配信元サーバ10から配信拠点21ごとに個別に許可を取得する方式でもよいし、配信元サーバ10からの包括的な許可に基づいて中継サーバ20が個別の許可を処理する方式でもよい。
【0083】
開設許可が得られると、ルーム管理部22は配信拠点21を生成する(ステップS102)。例えば、ルーム管理部22は、配信拠点21として位置付けられるアドレスを生成し、そのアドレスを配信拠点の情報としてルームデータD22に記録する。この場合、中継サーバ20から配信元サーバ10に対して配信拠点21を特定するアドレス等の情報が通知され、配信元サーバ10がその情報を配信管理データベースDB11に記録してもよい。
【0084】
次いで、ルーム管理部22は、設定者の指示に基づいて配信対象の映像を選択する(ステップS103)。例えば、ルーム管理部22は、配信元サーバ10から配信スケジュールデータD11を取得し、かつ得られた配信スケジュールデータD11に含まれている映像IDに対応する映像データD12のタイトル及び概要の情報を適宜に取得して配信予定の映像をその配信日時、タイトル及び概要とともに設定者に提示し、設定者の指示に従って、配信スケジュールデータD11に含まれているレコードからいずれかのレコードを選択してその配信IDをルームデータD22に記録する。
【0085】
配信対象の映像が選択されると、続いてルーム管理部22は、仮想ルーム100の仕様としてのメンバー、内部構成、広告、及びイベントのそれぞれの要件を設定者の指示に基づいて設定し、設定内容をルームデータD22に記録する(ステップS104~S107)。以上の処理により、新たな配信拠点21が設定され、その配信拠点21に対応する仮想ルーム100が作成される。なお、仮想ルーム100の仕様を定める要件の一部は、中継サーバ20側で設定され、設定者による変更が不可能であってもよい。
【0086】
その後、ルーム管理部22は、新たに作成された仮想ルーム100に関する報知を設定する(ステップS108)。例えば、ルーム管理部22は、ユーザ管理データベースDB21に登録されているユーザの通知先に対するプッシュ通知を設定し、あるいは中継サーバ20が提供するユーザ向けのWebサイトへの仮想ルーム100の情報掲載を設定することにより、新たな仮想ルーム100のユーザへの報知を設定してよい。
【0087】
仮想ルーム100の報知が設定されると、ルーム管理部22は図12の処理を終える。
なお、ステップS103~S108の処理は、仮想ルーム100が新たに作成される段階に限らず、仮想ルーム100の作成後でも設定者の要求に応じてルーム管理部22が実行可能とされてよい。それにより、仮想ルーム100の配信対象の映像、あるいはその仕様を設定者が適宜に修正し、あるいは変更することが可能である。
【0088】
図13は、ルーム管理部22が仮想ルーム100の情報をユーザに報知するために実行するルーム報知処理の手順の一例を示している。ルーム管理部22は、適宜の周期で図13の処理を繰り返し実行する。ルーム報知処理が開始されると、ルーム管理部22は、報知対象の仮想ルーム100を選択する(ステップS111)。報知対象としては、例えば図12のステップS108でユーザへの報知が設定された仮想ルーム100が選択されてよい。ステップS108の設定後、所定期間が経過し、あるいは所定回数報知の対象として選択された仮想ルーム100、あるいは映像の配信の開始時刻までの残り時間が所定値未満の仮想ルーム100は報知対象から除外されてよい。
【0089】
次いで、ルーム管理部22は報知対象として選択された仮想ルーム100のルームデータD22を取得し、そのルームデータD22に基づいて報知すべき情報を抽出する(ステップS112)。例えば、仮想ルーム100の配信対象の映像、その配信時間、内部環境等が報知すべき情報として抽出されてよい。その後、ルーム管理部22は、ステップS112で抽出した情報に基づいて仮想ルーム100をユーザに報知する(ステップS113)。その報知は上述したようにプッシュ通知でもよいし、プル通知でもよい。ステップS113の処理が完了すると、ルーム管理部22は図13の処理を終える。
【0090】
図14は、仮想ルーム100へのユーザの入室を管理するために視聴管理部23が実行する入室管理処理の手順の一例を示している。視聴管理部23は、ユーザが仮想ルーム100への入室を要求すると図14の処理を開始し、まずユーザの指示に基づいて入室対象の仮想ルーム100を選択する(ステップS121)。この処理は、例えば現時点で入室が可能な仮想ルーム100をルーム管理データベースDB22から抽出し、得られた仮想ルーム100を入室候補としてユーザに提示し、ユーザの指示に基づいて入室対象を選択するといった手順で行われてよい。あるいは、図13のルーム報知処理において、入室要求へとユーザを誘導するリンクを報知内容に含めておき、そのリンクに従って誘導された仮想ルーム100を入室対象として選択してもよい。
【0091】
次いで、視聴管理部23は、入室対象の仮想ルーム100に関するルームデータD22に基づいて、ユーザが入室に必要な要件を満たしているか否かを判別する(ステップS122)。ここで判別される要件は、仮想ルーム100の仕様に関して設定された要件のうち、ユーザを制限する要件である。例えば、ルームデータD22に記述されているメンバーの要件をユーザが満たしているか否かが判別される。仮想ルーム100の仕様として、メンバーの位置を制限する地理的要件がルームデータD22に設定されている場合、視聴管理部23は入室を希望するユーザの位置情報を取得し、得られた位置情報から、ユーザが地理的要件を満たすか否かを入室要件の一つとして判別してもよい。位置情報は、図10に関連して説明したように、ユーザ端末装置4のGPS情報、あるいはアクセスポイント等のネットワーク情報から取得されてよい。位置情報を取得するタイミングはステップS122の処理時点に限らず、それより早い時期、例えばユーザの中継サーバ20のへのログイン時等に取得されてよい。
【0092】
ステップS122にて入室要件が満たされている場合、視聴管理部23はユーザの入室を許可し(ステップS123)、入室したユーザのユーザID、位置情報、ユーザ情報等を、入室した仮想ルーム100のルームIDに対応した視聴者リストTB1に登録する(ステップS124)。続いて、視聴管理部23は、入室した仮想ルーム100の内部を現した画像(動画であってよい。)をユーザ端末装置4に表示させる処理を開始する(ステップS125)。画像は、ルームデータD22に記述された内部構成を反映したものである。画像の表示を開始させると、視聴管理部23は図14の処理を終える。一方、ステップS122で入室要件が満たされていない場合、視聴管理部23は入室を許可せず(ステップS126)、その旨をユーザ端末装置4に通知して図14の処理を終える。
【0093】
上記の処理では、ステップS122で入室要件を満たすと判断された場合にユーザの入室を許可したが、例えば仮想ルーム100の仕様として、最低人数が設定されている場合には、ステップS123でユーザを入室前の状態で待機させ、入室待機のユーザの人数が最低人数に達した時点で待機中のユーザの入室を許可してステップS124の処理に進んでもよい。入室したユーザは、ユーザの指示に基づいて仮想ルーム100から適宜のタイミングで退出可能とされてよい。ユーザが退出した場合、視聴管理部23はその退出したユーザを視聴者リストTB1から削除する。
【0094】
図15は、視聴管理部23が映像の視聴に関する予約を受け付けるために実行する予約処理の手順の一例を示している。視聴管理部23は、ユーザが映像の視聴の予約を要求すると図15の処理を開始し、まずユーザの指示に基づいて予約対象の仮想ルーム100を選択する(ステップS131)。この処理も、入室処理と同様に、現時点で予約が可能な仮想ルーム100をルーム管理データベースDB22から抽出し、得られた仮想ルーム100を選択候補としてユーザに提示し、ユーザの指示に基づいて予約対象を選択するといった手法で行われてよい。あるいは、図13のルーム報知処理において、予約要求へとユーザを誘導するリンクを報知内容に含めておき、そのリンクに従って誘導された仮想ルーム100を予約対象として選択してもよい。
【0095】
次に、視聴管理部23は、予約対象の映像をユーザの指示に基づいて選択する(ステップS132)。この処理は、ステップS131にて選択された仮想ルーム100で配信が予定されている映像の配信IDを選択する処理である。報知内容からユーザを予約に誘導する場合にはその誘導の時点でユーザに映像も選択させ、その選択をステップS132で確定させてもよい。なお、ステップS131及びステップS132の処理は順序が入れ替えられてもよい。つまり、まず視聴対象の映像をユーザの指示に基づいて選択し、その映像が配信される予定の仮想ルーム100をユーザの指示に基づいて選択してもよい。
【0096】
予約対象の仮想ルーム100及び映像が選択されると、視聴管理部23は予約の可否を判別する(ステップS133)。例えば、視聴対象の映像に関して設定される予約受付期間(図5参照)内か否かが判別されてよい。併せて、予約対象の仮想ルーム100のルームデータD22に記述されているメンバーの要件等を参照して、仮想ルーム100に入室可能なユーザか否かが予約の可否として判別されてよい。ただし、メンバーの要件は予約後の入室時点で判別されてもよく、予約の段階ではメンバー要件を満たすか否かが不問とされてもよい。予約したユーザの人数を視聴者数の予測に利用する場合には、ステップS133でメンバー要件を満たすか否か、つまり仮想ルーム100への入室が許可されるユーザか否かが判別されることが好ましい。メンバーの要件に地理的要件が含まれる場合、実際の視聴時にはユーザ端末装置4の位置が変化している可能性があるため、ステップS133では不問とされてもよい。
【0097】
ステップS133で予約可能と判断された場合、視聴管理部23は、予約対象の仮想ルーム100のルームIDに対応する予約データD23に、予約対象の映像の配信ID及び予約したユーザのユーザIDを登録する(ステップS134)。さらに、視聴管理部23は予約に対するリマインダーを設定し(ステップS135)、その後に図15の処理を終える。ステップS135でリマインダーが設定されると、視聴管理部23は予約された配信IDの映像の配信時間に対して所定時間早い時期に、予約のリマインダーを通知する。
ステップS133で予約不可能と判断された場合、視聴管理部23はユーザに予約が不可能である旨を通知し(ステップS136)、その後に図15の処理を終える。
【0098】
図16は、視聴管理部23が、配信元サーバ10から配信される映像を仮想ルーム100を介してユーザに視聴させるために実行する視聴制御処理の手順の一例を示している。
図16の処理は仮想ルーム100ごとに区別して実行され、かつ所定のフレームレートに従って繰り返し実行される。図16は一つの仮想ルーム100に対応した手順を示している。仮想ルーム100に対して設定されている配信IDに対応した映像の配信開始時刻になると、視聴管理部23は図16の処理を開始し、まず配信元サーバ10から配信される映像を取得し(ステップS141)、その映像を仮想ルーム100の仮想モニタ101に合成することにより、仮想モニタ101に映像が映し出された仮想ルーム100の画像を生成する(ステップS142)。この場合、仮想ルーム100が3次元の仮想空間として構成されていれば、ユーザの操作に従って仮想カメラを操作し、ユーザが指定した位置からの仮想ルーム100の画像を生成する。仮想ルーム100の描画には、ルームデータD22が参照されることにより、設定者の指示に基づく内部構成等が仮想ルーム100の画像に反映される。さらに、視聴管理部23は得られた画像を1フレーム相当の画像としてユーザ端末装置4に送信し(ステップS143)、その後に今回のルーチンを終える。図16の処理が繰り返されることにより、ユーザ端末装置4には、仮想ルーム100内で仮想モニタ101を介して映像を視聴する様子を表現した動画がストリーミング配信される。なお、図16は仮想ルーム100の様子を表示する動画を中継サーバ20側で生成する場合の処理例であるが、上述したように、中継サーバ20からは視聴対象の映像を配信し、その映像を仮想モニタ101に合成した仮想ルーム100の画像をユーザ端末装置4側で生成してもよい。この場合には、ステップS142の処理をユーザ端末装置4側で繰り返し実行すればよい。
【0099】
図17は、仮想ルーム100の利用者のユーザ端末装置4に広告を表示させるために広告管理部24が実行する広告表示処理の手順の一例を示している。図17の処理も仮想ルーム100ごとに区別して実行される。広告管理部24は、仮想ルーム100が入室可能期間内(図5参照)にあるときに適宜の周期で図17の処理を繰り返し実行する。広告表示処理が開始されると、広告管理部24は、ルームデータD22に記録されている広告の選択条件及び表示条件を判別し、それらの条件に適合する広告データD24を広告管理データベースDB24から選択することにより、表示対象の広告を選択する(ステップS201)。例えば、ルームデータD22にて広告IDが指定されている場合には、指定された広告IDの広告データD24を選択すればよく、広告の傾向等が指定されている場合は、その傾向に適合する選択情報を含んだ広告データD24を選択すればよい。また、広告の表示条件として、表示数、あるいは表示時間等が指定されている場合には、その条件の範囲内で、表示対象の広告が適宜に切り替わるように広告データD24が選択されてよい。
【0100】
広告が選択されると、広告管理部24は、選択された広告が表示されるように視聴管理部23に広告の情報を添えてその表示を指示する(ステップS202)。それにより、仮想ルーム100と関連付けて広告が表示される。広告の表示位置は、仮想ルーム100内であってもよいし、仮想ルーム100外に区別して表示されてもよい。仮想モニタ101に表示される映像に付加するようにして広告が表示されてもよい。有償サービス及びそのディスカウント条件が設定された広告データD24に基づく広告を表示する場合には、広告に併せて、有償サービスの内容及びディスカウント条件がユーザに提示されてよい。ステップS202の指示が完了すると、広告管理部24は今回の図17の処理を終える。
【0101】
図18は、ユーザが広告と関連付けられた有償サービスの利用を要求した場合に広告管理部24が実行するサービス処理の手順の一例を示している。図18の処理も仮想ルーム100ごとに区別して実行される処理である。仮想ルーム100を利用するユーザが広告をクリックするといった所定の操作を行うと、中継サーバ20に対してその広告と関連付けられた有償サービスの利用が要求される。その要求に対応して広告管理部24は図18のサービス処理を開始し、まずユーザ端末装置4からの要求を受け付けて、有償サービスの利用に対する要求内容を特定するための情報を取得する(ステップS211)。受け付けられた要求は、例えば中継サーバ20の内部記憶装置にサービス受付データとして一時的に記憶されてよい。この段階では、いずれの有償サービスが要求されたかを最低限判別すればよい。例えば、ユーザが要求するサービスに対応した広告IDを取得することにより有償サービスを判別してよい。ステップS221にて、Webサイト120で購入可能な商品やサービスの内容及びその料金をユーザに提示し、ユーザに購入内容を指示させてその内容をサービス受付データに記録してもよい。あるいは、広告と関連付けられたWebサイト120にユーザを誘導し、商品等の注文手続きを進めさせてもよい。ただし、ディスカウント条件が設定されているサービスの場合、購入代金の確定及び代金の決済については、少なくともディスカウント条件の成否が確定するまではその処理が保留される。
【0102】
次に、広告管理部24は、ユーザが要求した有償サービスに関して、ルームデータD22に記述されているディスカウント条件が満たされているか否かを判別する(ステップS212)。例えば、サービスの利用を要求するユーザ数が人数条件を満たすか否かが、サービス受付データに基づいて判別されてよい。ディスカウント条件として地域条件が設定されている場合には、視聴者リストTB1の位置情報を参照して、所定の対象地域内にユーザが位置しているか否かが判別されてもよい。その位置情報は、図18の処理の時点で最新の情報に更新されてもよい。なお、ステップS212でディスカウント条件の成否を判別する際に、その進捗状況が同一の仮想ルーム100を利用するユーザ群のユーザ端末装置4に提示されてよい。例えば、ディスカウント条件として対象人数範囲が設定されている場合には、あと何名が希望すればディスカウントが適用されるか、あるいはあと何名までディスカウントが適用可能か、といった情報をユーザ端末装置4に表示させることにより、ユーザの利用を促すことが可能である。
【0103】
ディスカウント条件が満たされている場合、広告管理部24は、サービス要求データに記録されている要求内容に従ってディスカウントを適用して商品等をWebサイト120に発注し(ステップS213)、その後に図18の処理を終える。一方、ディスカウント条件が満たされていない場合、広告管理部24はディスカウント条件に指定されている制限時間を超過したか否かを判別し(ステップS214)、制限時間を超過していなければステップS211の処理に戻る。一方、制限時間を超過している場合、広告管理部24は、サービス要求データに記録されている要求内容に従ってディスカウントを適用せずに商品等をWebサイト120に発注し(ステップS215)、その後に図18の処理を終える。
【0104】
図18の処理は、ステップS211、S212、S214を繰り返して有償サービスを利用するユーザを募りつつ、ディスカウント条件が満たされるとステップS213でディスカウントを適用してサービスを一括発注し、ディスカウント条件が満たされないとステップS215でディスカウントを適用せずにサービスを一括発注する処理である。この場合、実際の発注に先行してディスカウントの適用の可否が定まるため、例えばディスカウント不適用となった場合に、ユーザの要求の少なくとも一部を取り消し、あるいは要求内容の変更の機会を与えるといったように、ディスカウントの適用又は不適用に応じてユーザの要求を柔軟に処理することが可能である。
【0105】
有償サービスの提供、及びその利用に対するディスカウントの適用に関しては、図18の例に限らず各種の変形が可能である。例えば、上記のように、ステップS211の段階でユーザをWebサイト120に誘導してサービスの利用内容を確定させる一方で、料金の確定はステップS212の判断が確定するまで保留し、ステップS212の判断が確定した後に料金の決済に進むようにサービス処理が実行されてもよい。例えば、注文から飲食物等の商品の配達までの所要時間を、1時間程度、あるいはさらに短い時間に設定する必要があるサービスでは、ディスカウント条件の成否の確定を待っていると配達が遅れてユーザの意に沿わない可能性がある。そのような場合は、サービスの利用の要求に対応してWebサイト120側で配達準備を進め、ディスカウント条件の成否の確定を待って料金の確定及び決済へと進むようにしてもよい。商品の受け取り時に料金を徴収するサービスであれば、そのような処理の適応性が高い。また、図18の処理は中継サーバ20に代えて、あるいは中継サーバ20と協働して、Webサイト120側のサーバが担当してもよい。
【0106】
以上の実施形態では、中継サーバ20のルーム管理部22が、図12のステップS101~ステップS107の処理を実行することにより配信拠点設定手段の一例として機能し、視聴管理部23が図16のステップS141~S143の処理を実行することにより視聴制御手段の一例として機能する。また、中継サーバ20の広告管理部24が図17のステップS201、S202の処理によって広告を表示し、かつ図18のステップS211にてサービスの利用要求を受け付けることにより機会提供手段の一例として機能し、広告管理部24が図17のステップS201、S202の処理を実行することによりサービス提示手段の一例として機能する。さらに、ルーム管理部22が図13のステップS111~S113の処理を実行することにより、報知手段の一例として機能する。
【0107】
本発明は上記の形態に限定されることなく、適宜の変形又は変更が施された形態にて実施されてよい。例えば、配信拠点21は必ずしも二人以上のユーザによって共有されることを前提として設定されることを要しない。例えば、単一のユーザが自ら設定者となって、自己が視聴する専用の配信拠点を設定することも許容されてよい。その場合には、例えば仮想空間100の仕様としてのメンバー要件を、設定者のユーザに限るように設定してもよい。配信拠点には、仮想空間が対応付けられることを必ずしも要しない。ユーザ端末装置に実装されている汎用のWebブラウザ等を介して映像が視聴されてもよい。つまり、仮想空間は、映像の視聴環境を視聴覚的に特徴付けるものであって、そのような要素が不要であれば仮想空間を設定せず、メンバー要件等の仕様は配信拠点の仕様そのものとして設定されてもよい。なお、仮想ルーム100の様子を示す動画をユーザ端末装置4側で生成することにより、配信サーバ2とユーザ端末装置4とを協働させて視聴制御手段を実現してもよい。有償サービスの利用に関して必ずしもディスカウント等の特典が用意されなくてもよい。さらに、有償サービスを利用する機会の提供は必須ではなく、例えば仮想空間と関連付けて広告を表示して特定の商品やサービスをユーザに宣伝するものとしてもよい。そのような広告の表示でも、広告と関連付けられた有償サービスをユーザに宣伝し、有償サービスを別途利用する動機付けをユーザに与えることが可能である。さらに、広告の表示も適宜に省略されてもよい。
【0108】
上述した実施の形態及び変形例のそれぞれから導き出される本発明の各種の態様を以下に記載する。なお、以下の説明では、本発明の各態様の理解を容易にするために添付図面に図示された対応する構成要素を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0109】
本発明の一態様に係る映像配信システムは、複数のユーザのそれぞれが利用するユーザ端末装置(4)に所定の配信元(10)から配信される視聴対象の映像を中継配信する中継手段(20)を備えた映像配信システム(1)であって、前記映像を前記ユーザ端末装置に中継配信する単位としての配信拠点(21)を、前記配信元の許可を得て前記中継手段上に設定する配信拠点設定手段(22、S101~S107)と、前記配信元からの前記映像を、前記ユーザが利用する配信継点を介して当該ユーザのユーザ端末装置に中継配信する視聴制御手段(23、S141~S143)と、を備えたものである。
【0110】
本発明の一態様に係る映像配信制御方法は、複数のユーザのそれぞれが利用するユーザ端末装置(4)に所定の配信元(10)から配信される視聴対象の映像を中継配信する中継手段(20)を備えた映像配信システム(1)に適用される映像配信制御方法であって、前記映像を前記ユーザ端末装置に中継配信する単位としての配信拠点(21)を、前記配信元の許可を得て前記中継手段上に設定する手順(S101~S107)と、前記配信元からの前記映像を、前記ユーザが利用する配信継点を介して当該ユーザのユーザ端末装置に中継配信する手順(S141~S143)と、を含んだものである。
【0111】
本発明の一態様に係るコンピュータプログラムは、複数のユーザのそれぞれが利用するユーザ端末装置(4)に所定の配信元(10)から配信される視聴対象の映像を中継配信する中継手段(20)を備えた映像配信システム(1)に適用されるコンピュータプログラム(PG2)であって、前記映像配信システムのコンピュータを、前記映像を前記ユーザ端末装置に中継配信する単位としての配信拠点(21)を、前記配信元の許可を得て前記中継手段上に設定する配信拠点設定手段(22、S101~S107)、及び前記配信元からの前記映像を、前記ユーザが利用する配信継点を介して当該ユーザのユーザ端末装置に中継配信する視聴制御手段(23、S141~S143)、として機能させるように構成されたものである。
【0112】
上記態様によれば、配信元からの映像を中継手段の配信拠点にて中継してユーザ端末装置に配信する構成であるため、配信元は中継手段における配信拠点の設定状況に関わりなく中継手段を配信先として映像を配信すればよく、中継手段上の配信拠点を配信元が管理する必要がない。したがって、配信拠点を利用するユーザ群の規模を比較的小規模に抑えつつ複数の配信拠点を設定することにより、映像を視聴する場の規模の適正化と、視聴数の確保とを両立させることが可能である。さらに、中継手段の配信拠点は、配信元からの許可に基づいて設けられるため、不正に映像が視聴されるおそれを排除することができる。
【0113】
なお、本発明の一態様に係るコンピュータプログラムは、記憶媒体に記憶された状態で提供されてもよい。この記憶媒体を用いれば、例えばコンピュータに本発明に係るコンピュータプログラムをインストールして実行することにより、そのコンピュータを利用して本発明のシステムを実現することができる。コンピュータプログラムを記憶した記憶媒体は、CDROM等の非一過性の記憶媒体であってもよい。
【0114】
上記態様において、前記配信拠点設定手段は、前記配信拠点を特徴付ける仕様の少なくとも一部が所定の設定者の指示に基づいて定められるようにして前記配信拠点を設定してもよい。これにより、配信拠点を利用するユーザ群の範囲を、配信拠点の仕様を介して設定者が意図する範囲に絞り込み、設定者が意図するユーザ群の範囲で映像を視聴させる場として配信拠点を位置付けることが可能である。
【0115】
前記配信拠点設定手段は、前記仕様が互いに異なるようにして複数の配信拠点を設定可能であり、前記視聴制御手段は、前記ユーザの指示に基づいて当該ユーザが利用する前記配信拠点を選択してもよい。これによれば、仕様が異なる複数の配信拠点を設けることにより、各ユーザに適した配信拠点を用意することができる。
【0116】
さらに、同一の配信拠点を二以上のユーザが共有可能とされてもよい。これによれば、配信拠点を、複数のユーザが一緒に映像を視聴する場として機能させることができる。
【0117】
前記配信拠点設定手段は、前記仕様の少なくも一部として、前記配信拠点を利用可能なユーザを制限するための要件を、前記設定者の指示に基づいて設定可能であり、前記視聴制御手段は、前記ユーザによる前記配信拠点の利用の可否を前記要件に基づいて判別し、前記配信拠点の利用が許可されたユーザのユーザ端末装置に限って前記映像を中継配信してもよい。これによれば、配信拠点の仕様として設定される制限的な要件を介して、配信拠点を共有するユーザ群を、設定者の意図に応じた範囲に確実に絞り込むことができる。
【0118】
上記態様において、映像配信システムは、前記配信拠点を共有するユーザ群に、前記ユーザ端末装置を介して所定の有償サービスを利用する機会を提供する機会提供手段(24、S201、S202、S211)を備えてもよい。これによれば、配信拠点を共有するユーザ群に有償サービスを利用させる機会を提供することにより、その有償サービスに関する商機を創出することができる。
【0119】
前記配信拠点設定手段は、前記仕様の少なくとも一部として、前記ユーザ群が利用可能な有償サービスを前記設定者の指示に基づいて設定し、前記機会提供手段は、前記配信拠点設定手段が設定した有償サービスを利用する機会を提供してもよい。これによれば、どのような有償サービスを利用させるか、に関して設定者の意図を反映させることができる。配信拠点を利用可能なユーザ群をどのような範囲に設定するか、に関する設定者の意図と整合的な有償サービスを設定することにより、配信拠点を共有するユーザ群に適した有償サービスを提供してその商機を確実に創出し、あるいは拡大させることが可能である。
【0120】
上記態様においては、前記機会提供手段が前記機会を提供する有償サービスを、前記配信拠点を共有するユーザ群に対して提示するサービス提示手段(S24、S201、S202)をさらに備えてもよい。これによれば、配信拠点を利用するユーザにどのような有償サービスを利用可能かを確実に認識させてその利用を促すことが可能である。
【0121】
前記サービス提示手段は、前記有償サービスに対応する広告(102)を前記ユーザ端末装置に表示させることにより前記有償サービスを提示してもよい。これによれば、広告を介してユーザを有償サービスの利用へと誘導することが可能である。
【0122】
上記態様において、映像配信システムは、前記配信拠点設定手段が設定した配信拠点を、前記仕様の少なくとも一部が識別できるようにして前記ユーザに報知する報知手段(22、S111~S113)を備えてもよい。これによれば、ユーザに配信拠点を知らしめてその利用を促すことが可能である。
【0123】
前記配信拠点設定手段は、前記設定者の指示に基づいて、複数の映像の候補からいずれかの映像を選択し、選択された映像を、前記ユーザ端末装置に配信されるべき前記視聴対象の映像として設定してもよい。これによれば、設定者が意図する映像をユーザに視聴させることができる。
【0124】
前記配信拠点設定手段は、前記映像を表示する仮想モニタ(101)を含んだ仮想空間(100)を前記配信拠点と対応付けて設定するとともに、前記仮想空間を特徴付ける事項の少なくとも一部を設定することによって前記配信拠点の前記仕様の少なくとも一部を設定し、前記視聴制御手段は、前記配信拠点を利用するユーザのユーザ端末装置に、当該配信拠点と対応付けられた仮想空間内で前記仮想モニタを介して前記映像を視聴する様子を表現した動画を前記ユーザのユーザ端末装置に表示させてもよい。これによれば、仮想空間を介して映像を視聴する場として配信拠点を位置付けて、設定者の意図に沿った映像の視聴環境を作り出すことができる。
【符号の説明】
【0125】
1 映像配信システム
2 配信サーバ(配信手段)
3 撮影システム
4 ユーザ端末装置
10 配信元サーバ
20 中継サーバ(中継手段)
21 配信拠点
22 ルーム管理部(配信拠点設定手段、仮想空間設定手段、報知手段)
23 視聴管理部(視聴制御部)
24 広告管理部(機会提供手段、サービス提示手段、特典適用手段)
100 仮想ルーム(仮想空間)
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