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特許7432975浮体式プラットフォーム、アンカー容器体、浮体、浮体式プラットフォームを水上に設置するための設置方法
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  • 特許-浮体式プラットフォーム、アンカー容器体、浮体、浮体式プラットフォームを水上に設置するための設置方法 図1
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  • 特許-浮体式プラットフォーム、アンカー容器体、浮体、浮体式プラットフォームを水上に設置するための設置方法 図11
  • 特許-浮体式プラットフォーム、アンカー容器体、浮体、浮体式プラットフォームを水上に設置するための設置方法 図12
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】浮体式プラットフォーム、アンカー容器体、浮体、浮体式プラットフォームを水上に設置するための設置方法
(51)【国際特許分類】
   B63B 21/29 20060101AFI20240209BHJP
   B63B 35/00 20200101ALI20240209BHJP
   B63B 77/10 20200101ALI20240209BHJP
   B63B 21/50 20060101ALI20240209BHJP
   B63B 21/16 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
B63B21/29
B63B35/00 T
B63B77/10
B63B21/50 A
B63B21/16
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023151768
(22)【出願日】2023-09-19
【審査請求日】2023-09-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518291682
【氏名又は名称】株式会社テラサン
(74)【代理人】
【識別番号】100190414
【弁理士】
【氏名又は名称】芹澤 友之
(72)【発明者】
【氏名】寺澤 英樹
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0391834(US,A1)
【文献】特表2023-523500(JP,A)
【文献】特開2012-201191(JP,A)
【文献】特開2023-106292(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第4098538(EP,A1)
【文献】特開平9-209347(JP,A)
【文献】特表2017-505262(JP,A)
【文献】特開2016-68944(JP,A)
【文献】特開2015-37935(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 21/29
B63B 35/00
B63B 77/10
B63B 21/50
B63B 21/16
B63B 35/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塔(1)を支持するように構成されると共に、緊張係留により水上に配置された浮体(3)と、
複数の容器(17)を備えたアンカー容器体(4)と、
前記浮体(3)と前記アンカー容器体(4)とを結ぶ複数のテザー(5)と、
を備えた浮体式プラットフォーム(2)であって、
前記複数の容器(17)の各々は、前記複数のテザー(5)のうちの少なくとも一つに固定されると共に、水底に設置され、
前記複数の容器(17)の各々は、
底(19)と、
前記底(19)の外周を囲むように設けられた容器外壁(20)と、
前記容器外壁(20)に対向するように設けられた容器内壁(21)と、
を備え、
前記底(19)と、前記容器外壁(20)と、前記容器内壁(21)とによって収容空間(S)が構成され、
前記収容空間(S)には、土、砂、砂利、砕石、コンクリート片のうちの少なくとも一つを含む重量物が収容される、
浮体式プラットフォーム(2)。
【請求項2】
前記底(19)は、開口部(190)を有し、
前記容器内壁(21)は、前記底(19)の内周を囲むように設けられ、
前記複数の容器(17)の各々は、前記容器内壁(21)上に形成され、前記少なくとも一つのテザー(5)に固定されるテザー支持部材(22)をさらに備える、
請求項1に記載の浮体式プラットフォーム(2)。
【請求項3】
前記容器内壁(21)は、前記開口部に連通すると共に、上部が開口した空洞部(36)を有する、
請求項2に記載の浮体式プラットフォーム(2)。
【請求項4】
前記容器外壁と対向する前記容器内壁(21)の内側面(26)は、前記容器(17)の高さ方向に対して傾斜しており、
前記高さ方向に垂直な水平方向における前記容器内壁と前記容器外壁との間の距離は、前記底に近づくにつれて徐々に小さくなる、
請求項1に記載の浮体式プラットフォーム(2)。
【請求項5】
前記テザー支持部材(22)は、
前記容器内壁上に形成され、前記複数のテザー(5)のうちの一つに固定される第1のテザー支持部材(22a)と、
前記容器内壁上に形成され、前記複数のテザー(5)のうちの別の一つに固定される第2のテザー支持部材(22b)と、
を有する、
請求項3に記載の浮体式プラットフォーム(2)。
【請求項6】
前記浮体(3)は、
前記塔(1)を支持するように構成された心柱(12)と、
前記心柱(12)若しくは前記心柱(12)の付近から放射状に延びる複数の腕(6)と、
前記心柱(12)に固定されたステージ(7)と、
各々が複数の腕のうちの対応する一つと前記ステージ(7)又は前記心柱に接続された複数の第1ブレース(13)と、
各々が前記複数の腕のうちの隣り合う2つの腕に接続された複数の第2ブレース(14)と、
前記複数のテザーのうちの対応する一つを固定するように構成された複数のテザー固定装置(8)と、
前記複数のテザーのうちの対応する一つを巻き上げるように構成された複数のテザー巻上機(9)と、
を備える、
請求項1から5のうちいずれか一項に記載の浮体式プラットフォーム(2)。
【請求項7】
前記浮体(3)は、
各々が前記複数の腕のうちの一つの先端に接続された複数のグリップ(15)であって、前記複数のグリップの各々の軸方向は、前記対応する腕の軸方向と略直交しているグリップ(15)と、
各々が前記複数のグリップ(15)のうちの対応する一つに配置された複数のガイド(16)であって、前記複数のガイドの各々は、前記複数のテザーのうちの対応する一つに接触すると共に、前記対応する一つのテザーの延出方向を変化させるように構成された複数のガイド(16)と、
をさらに備え、
前記テザー固定装置(8)と前記テザー巻上機(9)は、前記ステージ上に配置される、
請求項6に記載の浮体式プラットフォーム(2)。
【請求項8】
前記塔(1)には、ナセル(42)とブレード(40)が取り付けられ、
前記浮体式プラットフォームは、洋上風力発電用のプラットフォームである、
請求項1から5のうちいずれか一項に記載の浮体式プラットフォーム(2)。
【請求項9】
塔(1)を支持するように構成されると共に、緊張係留により水上に配置された浮体(3)に複数のテザー(5)を介して接続されたアンカー容器体(4)であって、
前記アンカー容器体(4)は、複数の容器(17)を備え、
前記複数の容器(17)の各々は、前記複数のテザー(5)のうちの少なくとも一つに固定されると共に、水底に設置され、
前記複数の容器(17)の各々は、
底(19)と、
前記底(19)の外周を囲むように設けられた容器外壁(20)と、
前記容器外壁(20)に対向するように設けられた容器内壁(21)と、
を備え、
前記底(19)と、前記容器外壁(20)と、前記容器内壁(21)とによって収容空間(S)が構成され、
前記収容空間(S)には、土、砂、砂利、砕石、コンクリート片のうちの少なくとも一つを含む重量物が収容される、
アンカー容器体(4)。
【請求項10】
緊張係留により水上に配置されると共に、塔(1)を支持するように構成された浮体(3)であって、
前記浮体(3)は、
前記塔(1)を支持するように構成された心柱(12)と、
前記心柱(12)若しくは前記心柱(12)の付近から放射状に延びる複数の腕(6)と、
各々が前記複数の腕のうちの一つの先端に接続された複数のグリップ(15)であって、前記複数のグリップの各々の軸方向は、前記対応する腕の軸方向と略直交しているグリップ(15)と、
前記心柱(12)に固定されたステージ(7)と、
各々が複数の腕のうちの対応する一つと前記ステージ(7)又は前記心柱に接続された複数の第1ブレース(13)と、
各々が前記複数の腕のうちの隣り合う2つの腕に接続された複数の第2ブレース(14)と、
数のテザーのうちの対応する一つを固定するように構成された複数のテザー固定装置(8)と、
を備える、浮体(3)。
【請求項11】
緊張係留により請求項1に記載の浮体式プラットフォーム(2)を水上に設置するための設置方法であって、前記設置方法は、
前記複数の容器(17)を備えた前記アンカー容器体(4)が前記浮体(3)の直下に配置されると共に、前記浮体(3)が第一の喫水線(28)で浮かんだ状態で、前記浮体(3)を設置予定場所まで曳航するステップと、
前記設置予定場所において前記複数のテザー(5)を水中に繰出すことによって前記複数の容器(17)を水底に配置するステップと、
前記水底に配置された前記複数の容器(17)の各々の収容空間内に土、砂、砂利、砕石、コンクリート片のうちの少なくとも一つを含む前記重量物を投入するステップと、
前記複数のテザー(5)を巻上げるステップと、
前記第一の喫水線(28)よりも深い第二の喫水線(27)まで前記浮体(3)を沈めるステップと、
前記複数のテザー(5)の張力が所定の値となるように前記複数のテザー(5)の張力を調整するステップと、
前記複数のテザー(5)の各々を前記浮体(3)に固定するステップと、
を含む、設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浮体式プラットフォーム、アンカー容器体、浮体、浮体式プラットフォームを水上に設置するための設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水底から更にその下の岩盤まで打ち込んだ杭や、水底に設置した重量物などと、水面に浮かぶ浮体とをチェーンやワイアーあるいはロープ等のテザーで結び、テザー自身の重量よりも強い力で浮体を水中方向に引き込むことによって浮体の動揺を抑制する緊張係留方法が知られている。
【0003】
高い塔を支える浮体式プラットフォームにおいては、動揺が少ないことが浮体式プラットフォームの品質として重要である。例えば洋上風力発電用の塔を搭載する場合には、発電効率や設備の安定稼働に大きく影響する。この点において緊張係留は理想的な係留方法である。また、浮体が存在する水面だけでなく係留装置が設置される水底および水中も含めて、浮体式プラットフォーム全体が専有する領域を最小限にすることは、同じ水域を元々利用していた地元の漁業への影響を最小限にする上でも重要である。チェーンなどの係留装置が浮体の直下にのみ配置され、海底や海中に広く展開することの無い緊張係留は、この点においても非常に有効な係留方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5565803号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】“TLP concept of FOWT suitable for characteristics of Japan”,7th July 2022 MODEC Inc.
【文献】GICON-SOF,“A modular and cost competitive TLP Solution”,GICON
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
緊張係留ではテザーにかかる初期張力を支えるだけでなく、波やうねりあるいは津波などによって発生する浮力や漂流力に耐えるだけの強固な基礎を海底に設置する必要がある。従来は非特許文献1に記載があるように複数のパイルなどを海底から更に地中深く打ち込んで基礎とする方式が取られていたが、深い海の海底にパイルを打ち込む工事は困難で大掛かりなものとなり、高い工事費が問題であった。この問題を改善するために考案されたのが特許文献1と非特許文献2に記載の重力式緊張係留装置である。しかし、これらの重力式緊張係留装置は重く巨大なコンクリート構造物であって、製作費及び設置工事費が高コストとなってしまう。特に、洋上風力発電用の塔を搭載する場合に最も考慮する必要がある荷重は、台風の時などに塔のトップに加わる水平方向の風圧であり、これを支えるためには海底に巨大なコンクリート構造物を設置して大きな転倒モーメントに耐える必要がある。この巨大なコンクリート構造物の製作費と設置工事費が問題となるため、特許文献1及び非特許文献2に開示された重力式緊張係留装置の実用化が進んでいない。
【0007】
本発明は、製作費及び設置工事費を抑えることが可能な浮体式プラットフォーム及び浮体式プラットフォームを水上に設置するための設置方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る浮体式プラットフォーム(2)は、塔(1)を支持するように構成されると共に、緊張係留により水上に配置された浮体(3)と、複数の容器(17)を備えたアンカー容器体(4)と、前記浮体(3)と前記アンカー容器体(4)とを結ぶ複数のテザー(5)と、を備える。前記複数の容器(17)の各々は、前記複数のテザー(5)のうちの少なくとも一つに固定されると共に、水底に設置される。前記複数の容器(17)の各々は、底(19)と、前記底(19)の外周を囲むように設けられた容器外壁(20)と、前記容器外壁(20)に対向するように設けられた容器内壁(21)と、を備える。前記底(19)と、前記容器外壁(20)と、前記容器内壁(21)とによって収容空間(S)が構成される。前記収容空間(S)には、土、砂、砂利、砕石、コンクリート片のうちの少なくとも一つを含む重量物が収容される。
【0009】
また、前記底(19)は、開口部(190)を有してもよい。前記容器内壁(21)は、前記底(19)の内周を囲むように設けられてもよい。前記複数の容器(17)の各々は、前記容器内壁(21)上に形成され、前記少なくとも一つのテザー(5)に固定されるテザー支持部材(22)をさらに備えてもよい。
【0010】
また、前記容器内壁(21)は、前記開口部に連通すると共に、上部が開口した空洞部(36)を有してもよい。
【0011】
また、前記容器外壁と対向する前記容器内壁(21)の内側面(26)は、前記容器(17)の高さ方向に対して傾斜してもよい。前記高さ方向に垂直な水平方向における前記容器内壁と前記容器外壁との間の距離は、前記底に近づくにつれて徐々に小さくなってもよい。
【0012】
また、前記テザー支持部材(22)は、前記容器内壁上に形成され、前記複数のテザー(5)のうちの一つに固定される第1のテザー支持部材(22a)と、前記容器内壁上に形成され、前記複数のテザー(5)のうちの別の一つに固定される第2のテザー支持部材(22b)と、を有してもよい。
【0013】
前記浮体(3)は、前記塔(1)を支持するように構成された心柱(12)と、前記心柱(12)若しくは前記心柱(12)の付近から放射状に延びる複数の腕(6)と、前記心柱(12)に固定されたステージ(7)と、各々が複数の腕のうちの対応する一つと前記ステージ(7)又は前記心柱に接続された複数の第1ブレース(13)と、各々が前記複数の腕のうちの隣り合う2つの腕に接続された複数の第2ブレース(14)と、前記複数のテザーのうちの対応する一つを固定するように構成された複数のテザー固定装置(8)と、前記複数のテザーのうちの対応する一つを巻き上げるように構成された複数のテザー巻上機(9)と、を備えてもよい。
【0014】
また、前記浮体(3)は、各々が前記複数の腕のうちの一つの先端に接続された複数のグリップ(15)であって、複数のグリップの各々の軸方向は、前記対応する腕の軸方向と略直交しているグリップ(15)と、各々が前記複数のグリップ(15)のうちの対応する一つに配置された複数のガイド(16)であって、前記複数のガイドの各々は、前記複数のテザーのうちの対応する一つに接触すると共に、前記対応する一つのテザーの延出方向を変化させるように構成された複数のガイド(16)と、をさらに備えてもよい。前記テザー固定装置(8)と前記テザー巻上機(9)は、前記ステージ上に配置されてもよい。
【0015】
また、前記塔(1)には、ナセルとブレードが取り付けられてもよい。前記浮体式プラットフォームは、洋上風力発電用のプラットフォームであってもよい。
【0016】
本発明の一態様に係るアンカー容器体(4)は、塔(1)を支持するように構成されると共に、緊張係留により水上に配置された浮体(3)に複数のテザー(5)を介して接続される。前記アンカー容器体(4)は、複数の容器(17)を備える。前記複数の容器(17)の各々は、前記複数のテザー(5)のうちの少なくとも一つに固定されると共に、水底に設置される。前記複数の容器(17)の各々は、底(19)と、前記底(19)の外周を囲むように設けられた容器外壁(20)と、前記容器外壁(20)に対向するように設けられた容器内壁(21)と、を備える。前記底(19)と、前記容器外壁(20)と、前記容器内壁(21)とによって収容空間(S)が構成される。前記収容空間(S)には、土、砂、砂利、砕石、コンクリート片のうちの少なくとも一つを含む重量物が収容される。
【0017】
本発明の一態様に係る浮体(3)は、緊張係留により水上に配置されると共に、塔(1)を支持するように構成される。前記浮体(3)は、前記塔(1)を支持するように構成された心柱(12)と、前記心柱(12)若しくは前記心柱(12)の付近から放射状に延びる複数の腕(6)と、各々が前記複数の腕のうちの一つの先端に接続された複数のグリップ(15)であって、前記複数のグリップの各々の軸方向は、前記対応する腕の軸方向と略直交しているグリップ(15)と、前記心柱(12)に固定されたステージ(7)と、各々が複数の腕のうちの対応する一つと前記ステージ(7)又は前記心柱に接続された複数の第1ブレース(13)と、各々が前記複数の腕のうちの隣り合う2つの腕に接続された複数の第2ブレース(14)と、前記複数のテザーのうちの対応する一つを固定するように構成された複数のテザー固定装置(8)と、を備える。
【0018】
本発明の一態様に係る緊張係留により上記浮体式プラットフォーム(2)を水上に設置するための設置方法は、前記複数の容器(17)を備えた前記アンカー容器体(4)が前記浮体(3)の直下に配置されると共に、前記浮体(3)が第一の喫水線(28)で浮かんだ状態で、前記浮体(3)を設置予定場所まで曳航するステップと、前記設置予定場所において前記複数のテザー(5)を水中に繰出すことによって前記複数の容器(17)を水底に配置するステップと、前記水底に配置された前記複数の容器(17)の各々の収容空間内に土、砂、砂利、砕石、コンクリート片のうちの少なくとも一つを含む前記重量物を投入するステップと、前記複数のテザー(5)を巻上げるステップと、前記第一の喫水線(28)よりも深い第二の喫水線(27)まで前記浮体(3)を沈めるステップと、前記複数のテザー(5)の張力が所定の値となるように前記複数のテザー(5)の張力を調整するステップと、前記複数のテザー(5)の各々を前記浮体(3)に固定するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、製作費及び設置工事費を抑えることが可能な浮体式プラットフォーム及び浮体式プラットフォームを水上に設置するための設置方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態に係る塔を支える浮体式プラットフォームの全体図である。
図2】本実施形態に係る浮体式プラットフォームの斜視図である。
図3】本実施形態に係るアンカー容器体の斜視図である。
図4】容器の斜視図である。
図5】(a)は、容器の平面図である。(b)は、容器のA-A断面図である。(c)は、容器のB―B断面図である。
図6】容器内での荷重の伝搬を説明するための図である。
図7】容器の漁礁効果を説明するための図である。
図8】浮体の側面図である。
図9】浮体の主要部を示す斜視図である。
図10】進水時・曳航時のアンカー容器体の格納位置を示す図である。
図11】本実施形態に係る浮体式プラットフォームの設置方法を説明するための図である。
図12】重量物投入装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本実施形態に係る浮体式プラットフォームについて図面を用いて説明する。
【0022】
図1は、本実施形態に係る塔1を支える浮体式プラットフォーム2の全体図である。この実施例では、浮体式プラットフォーム2は、大型の洋上風力発電機を支え、第二の喫水線27の位置を水面として浮かぶ。塔1には、ナセル42と、ブレード40が取り付けられてもよい。
【0023】
図2は、塔1を支える浮体式プラットフォーム2の斜視図である。浮体式プラットフォーム2は、塔1を支持するように構成された浮体3と、複数の容器17(本例では4つの容器17)を備えたアンカー容器体4と、浮体3とアンカー容器体4とを結ぶ複数のテザー5とを備える。本実施形態では、4つの容器17の各々が、2つのテザー5を介して浮体3に接続されている。浮体式プラットフォーム2の係留方法は、浮体3と土砂等の重量物を容器17に投入したアンカー容器体4を複数のテザー5で結び、テザー5に初期張力をかけて浮体3の下部を海中に引込むことで係留する重力式緊張係留方法である。このように、浮体3は、緊張係留方式で係留された状態で、水上に配置される。ここで、重量物は、土、砂、砂利、砕石、コンクリート片のうちの少なくとも一つを含むものである。特許文献1と非特許文献2に記載の従来の重力式緊張係留装置は重く巨大なコンクリート構造物であり、コンクリートやこれを支える鉄筋などの材料費と、コンクリートを打設するための型枠の制作費と設置費および打設作業費など、コンクリート構造物自体を制作する費用が高価であった。一方、土砂等の重量物の単価は一般にコンクリートの数分の1なので、海底に設置したアンカー容器体4の容器17に土砂等を投入して重量を確保する手法は、製作費の低減に有効である。
【0024】
テザー5としては発生しうる張力の最大値に応じて、ロープ、ワイアー、チェーンが採用されてもよい。
【0025】
(アンカー容器体4)
次に、図3を参照してアンカー容器体4の構造について以下に説明する。図3はアンカー容器体4の斜視図である。図3に示すように、アンカー容器体4は、テザー5を介して浮体3に接続され、海底に設置される。アンカー容器体4は、4つの容器17を備えている。各容器17には、土、砂、砂利、砕石、コンクリート片のうちの少なくとも一つを含む重量物が投入されている。各容器17は、連結索18によって互いに接続されている。4つの容器17の相互の位置関係のずれを抑制することが連結索18の役割である。アンカー容器体4を海底まで下して設置する場合に、まず容器17と同数のタグボートを用意し、タグボートと容器17をロープ等で結んでアンカー容器体4の中央から外向きに引いて連結索18に張力をかけた状態で容器17を海中に下してゆくことにより、容器17相互の位置関係を保持した状態で容器17を海底に設置することができる。
【0026】
(容器17)
次に、図4及び図5を参照して容器17の構造について以下に説明する。図4は容器17の斜視図である。図5(a)は、容器17の平面図である。図5(b)は、容器17のA-A断面図である。図5(c)は、容器17のB―B断面図である。容器17では、底19の外周が容器外壁20で囲まれ、上面が開いた構造として、上面から土砂等の重量物が投入可能となっている。尚、図5では、容器17に対して設定されたXYZ軸が示されている。X軸、Y軸、Z軸のうちの一方は、他方の軸に対して直交している。Z軸方向は、容器17の高さ方向に相当する。容器17の高さ方向に相当するZ軸に垂直な水平方向は、X軸及びY軸に平行となる。
【0027】
図4及び図5に示すように、容器17は、底19と、容器外壁20と、容器内壁21と、一対のテザー支持部材22とを備える。底19は、円形状の開口部190を有する。容器外壁20は、底19の外周を囲むように設けられている。容器内壁21は、底19の内周(換言すれば、開口部190の外周)を囲むと共に、容器外壁20に対向するように設けられている。一対のテザー支持部材22は、容器内壁21上に形成されている。少なくとも一つのテザー5(本例では1つのテザー5)がテザー支持部材22に固定されている。底19と、容器外壁20と、容器内壁21とによって収容空間Sが構成されている。収容空間Sには、土、砂、砂利、砕石、コンクリート片のうちの少なくとも一つを含む重量物が収容される。
【0028】
(容器内壁21)
容器内壁21は、底19の開口部190に連通すると共に、上部が開口した空洞部36を有する。空洞部36は、強い流れから小魚などが避難する場所になり、漁礁としての効果も期待できる。容器外壁20と対向する容器内壁21の内側面26は、容器17のZ軸方向(高さ方向)に対して傾斜している(図5(a)参照)。Z軸方向に垂直な水平方向(XY方向)における容器内壁21と容器外壁20との間の距離は、底19に近づくにつれて徐々に小さくなる。ここで、Z軸方向の位置が底19に近づくにつれて、容器内壁21の径が徐々に大きくなるため、容器外壁20の半径と容器内壁21の半径との差分に相当する容器内壁21と容器外壁20との間の距離も徐々に小さくなる(図5(a)及び図5(b)参照)。
【0029】
容器17に容器内壁が存在しない場合には、底19の中央付近では側壁からの距離が遠くなるために大きな強度部材で下から支える必要が生じる。そこで、中央付近に円柱・角柱・円錐・角錐・円錐台または角錐台の側面を形成する容器内壁21を設ける事により、容器内壁21自体が強い強度部材となると同時に、底19を下から支える骨25を短くて細いものにすることができ、骨25の軽量化につながる。なお、容器17に接続されるテザー5にかかる張力の最大値がテザー5毎に異なる場合は、容器内壁21の位置を張力が比較的弱いテザー5の方へずらすことが、土砂等の重量物の必要量を低減するうえで有効である。
【0030】
(テザー支持部材22)
一対のテザー支持部材22のうちの一方であるテザー支持部材22a(第1のテザー支持部材の一例)と他方のテザー支持部材22b(第2のテザー支持部材の一例)は、容器内壁21の内側面26上に設けられており、容器内壁21に形成された空洞部36を介して互いに対向している。容器17に設けられるテザー支持部材22の個数は特に限定されるものではない。容器内壁21にテザー支持部材22を設けることで、強い係留力を容器17に伝えることができる。テザー支持部材22の上面にはテザー5を固定するためのテザー固着部23が設けられている。重量物投入ホース30を用いて海底に設置した容器17に船32から土砂等の重量物を投入する場合に、容器17から水面上の浮体3に向かって真っ直ぐに伸びるテザー5が邪魔になるおそれが有る(図12等参照)。浮体3を引き込むテザー固着部23を有するテザー支持部材22を容器外壁20ではなく容器内壁21に設けることで、土砂等の重量物を投入する場合に、重量物投入ホース30などを容器内壁21の外側に配置することができ、重量物投入ホース30とテザー5とが互いに接触する可能性を低減できる。また、テザー固着部23の外側に土砂等の重量物を投入する場所を配置することにより、浮体3の形状やテザー5の取り付け位置やその数にかかわらず設計段階で容器外壁20の径を変更する事によって、必要な量の土砂等の重量物を投入するための容積を容易に調整することができる。
【0031】
(テザー支持部材22の強度上の有効性)
次に、図6を参照してテザー支持部材22の強度上の有効性について以下に説明する。図6は、テザー5の張力に由来する荷重が容器17の中を伝搬する様子を説明するための図である。テザー5に加わる大きな張力は、テザー固着部23によってテザー支持部材22に伝わり、さらに容器内壁21を介して骨25に伝わって底19により土砂等の重量物を下から支える力となる必要がある。これら一連の経路全体にわたって容器17に投入された土砂等の重量物を持ち上げるほどの大きな荷重に耐えられる強度が必要となる。テザー支持部材22におけるテザー固着部23の周辺部分を大型の鋳物とすることでテザー5の荷重をテザー支持部材22全体で受け止めることは可能であるが、容器17のほとんどは鋼板製であるため、前述の一連の経路全体に渡り荷重を分散して伝えることによって容器17の損傷を防ぐ必要がある。
【0032】
本実施形態では、テザー支持部材22は、長い溶接線24を介して円錐台形の側面を持つ容器内壁21に接続されている。テザー5の鉛直方向の張力は、そのまま鉛直方向の力としてテザー支持部材22に伝わるが、この力は長い溶接線24の全域に分散される。しかもこの力は容器内壁21の面内方向成分と面外方向成分に分解して考えることができる。板は一般に面内方向の力にはすこぶる強いので、強度設計上は面内方向成分の力を無視することができる。一方、上記の面外方向成分の力に関しては、容器内壁21が曲面あるいは屈曲した辺を持つ場合には、単純な平面に比べて座屈強度が大幅に向上するため、補強材を削減することができる。
【0033】
つぎに、容器内壁21に伝わった力が骨25に伝えられる。この場合、骨25は容器内壁21に対して片持ち梁として接続されていることから、容器内壁21の内側にブラケット29を設ける必要がある。骨25は容器内壁21と容器外壁20との間に配置されており、容器内壁21が無くて容器外壁20と反対側の容器外壁20を結ぶ場合に比べて、骨25の長さを大幅に短くすることができ、骨25のサイズを小さくして鋼材使用量を抑えることができる。最終的に、骨25は底19を介して土砂等の重量物を下から支える。
【0034】
(骨25による把駐力)
底19の下面には補強のための骨25が放射状に配置されているが、この骨25は海底に突き出すスパイクの役割を兼ねており、テザー5からアンカー容器体4に加わる水平方向の力に抗する上で有効である。このように、骨25などの補強部材を容器17の外面に設けて、容器外壁20と容器内壁21および底19に囲まれた容器17の内面に突起物を無くすことによって、塔1を支える浮体式プラットフォーム2を設置海域から撤去するときに行う必要がある容器17に投入した土砂等の重量物の回収作業が容易になる。
【0035】
(漁礁効果)
図7は容器17の漁礁効果を説明するための図である。浮体3については、運用中にカキや海藻などが付着し、漁礁としての役割を果たすことは知られている。また海底に設置される容器17については、投入した土砂等の重量物の表面はやがて海底と粗同じ状態になって底生生物の住処となるばかりでなく、空洞部36の開口を通じて空洞部36と海水の交換が効果的に行われることにより、容器内壁21の空洞部36の水質が維持される。このように、空洞部36は、小魚を始めとして各種の魚が嵐や強い水流から避難する場所として貴重な空間になる。
【0036】
(浮体3の主要部)
次に、図8及び図9を参照することで浮体3の構造について以下に説明する。図8は、浮体3の側面図である。図9は、浮体3の主要部を示す斜視図である。図8では、説明の都合上、紙面に直角方向に延びる腕6と第1ブレース13と第2ブレース14とグリップ15の図示は省略されている。
【0037】
図8及び図9に示すように、浮体3は、緊張係留方式で係留された状態で洋上に配置され、塔1を支持するように構成されている。浮体3は、心柱12と、ベース11と、複数の腕6と、複数のグリップ15と、複数のガイド16と、ステージ7と、複数の第1ブレース13と、複数の第2ブレース14と、複数のテザー固定装置8と、複数のテザー巻上機9とを備える。
【0038】
心柱12は、塔1を支持するように構成されている。塔1は、ボルト及びナット等の締結手段により心柱12の上面に固定されている。心柱12は、ベース11上に配置されている。ベース11上にはテザー5が収容されるテザー収納スペース10も搭載されている。複数(本例では4本)の腕6がベース11から放射状に延びている。この点において、浮体3にベース11が設けられない場合には、4本の腕6は心柱12から放射状に延びていてもよい。各腕6は、浮体3の高さ方向(塔1の延出方向)に対して直交する水平方向に平行に延出してもよい。図8に示すように、各腕6の上面は面一となっていてもよい。
【0039】
複数(本例では4本)のグリップ15の各々は、4本の腕6のうちの対応する一つの先端に接続されている。各グリップ15の軸方向A2は、対応する腕6の軸方向A1及び心柱12の軸方向と略直交若しくは直交している(図8参照)。同様に、各腕6の軸方向A1は、心柱12の軸方向と略直交若しくは直交している。複数(本例では8つ)のガイド16の各々は、4本のグリップ15のうちの対応する一つに配置されている。図2に示すように、本例では、2つのガイド16が各グリップ15に配置されている。各ガイド16は、複数のテザー5のうちの対応する一つに接触すると共に、対応する一つのテザー5の延出方向を変化させるように構成されている。各テザー5は、ガイド16によって曲げられている。
【0040】
ステージ7は、心柱12に固定されている。特に、ステージ7は、浮体3の高さ方向において塔1とベース11との間に配置されている。ステージ7に形成された貫通孔72に心柱12が挿入された状態で、ステージ7は心柱12に固定されている。複数(本例では4本)の第1ブレース13は、4本の腕6の対応する一つとステージ7に接続されている。尚、第1ブレース13は、4本の腕6の対応する一つと心柱12に接続されてもよい。各第1ブレース13は、浮体3の高さ方向に対して斜めに延出している。
【0041】
複数(本例では4本)の第2ブレース14の各々は、隣り合う2本の腕6の間に配置されている。各第2ブレース14の一端は、隣り合う2本の腕6の一方に接続されていると共に、各第2ブレース14の他端は、隣り合う2本の腕6の他方に接続されている。各第2ブレース14は、浮体3の水平方向に対して平行となるように延出してもよい。
【0042】
複数(本例では8つ)のテザー固定装置8は、ステージ7上に配置されている(図2参照)。各テザー固定装置8は、8本のテザー5のうちの対応する一つを固定するように構成されている。複数(本例では8つ)のテザー巻上機9は、ステージ7上に配置されている(図2参照)。各テザー巻上機9は、8本のテザー5のうちの対応する一つを巻き上げ及び繰り出すように構成されている。
【0043】
(浮体3の設計上の要点)
浮体3の製作費の低減にむけて以下の点を考慮する必要がある。
1)運用中にテザー5に加わる張力の最大値を低減する。
2)運用中に搭載するバラスト水の量を低減して浮体3の鋼材重量を抑制する。
【0044】
(運用中にテザーに加わる張力の最大値を低減)
風も波もうねりも無いなかで、浮体3が第二の喫水線27で浮かんでいる場合は、浮力の一部をバラスト水を搭載することによってキャンセルし、テザー5に加わる張力を設計時に想定した初期張力に調整することができる。一方で、強風が吹きつける場合で、風力発電用の塔1を搭載する場合には風圧によって塔1の頂部に強い水平の力が加わる。この力によって水面に浮かぶ浮体3に対しては以下の式により大きなモーメントが発生する。なお、Lを浮体3から塔1の頂部までの距離、Fnを風圧と読み替える。

M = L × Fn

ここで、Mは、モーメントである。Lは、支点から力点までの距離である。Fnは、力の内の支点と力点を結ぶ線に直角な成分である。
【0045】
このモーメントをテザー5に発生する張力で支える必要がある。この場合に上記式を適用すると、Lをテザー5の間の距離、Fnをテザー5に加わる張力と読み替えることができることから、張力Fnを低減するためには、テザー5間の距離Lを大きくすることが有効であることがわかる。このため、本実施例では腕6を強度が許す限り長く伸ばしている。
【0046】
また本実施例では1つの容器17を2本のテザー5で引く設計としているため、ベース11の中心から同じ距離に各々のテザー5に対応するガイド16を配置することによって2本のテザー5の耐力の上限までの張力に耐えられる。これに対応して2つのガイド16を設置するために、腕6の先端にグリップ15が設けられている。
【0047】
一方、波やうねりによる水位の一時的な上昇による浮力の増加によってもテザー5に加わる張力は増加する。そのため、第二の喫水線27の高さにおける浮体3の水平の断面積(以下、水線面積と呼ぶ)を最小にして、水位上昇に伴う浮力の上昇を抑制することが、テザー5の張力の最大値を抑制する上で重要である。本実施例では、心柱12と第1ブレース13の直径を強度上可能な範囲で最小限にすることが必要となる。第1ブレース13は、心柱12に向かって斜めに設置され、第二の喫水線27のあたりで心柱12の近くに集まっているため、波やうねりによって浮体3に発生するピッチング(縦揺れ)やローリング(横揺れ)などの動揺を抑制することが可能となる。
【0048】
(運用中に搭載するバラスト水の量を低減して浮体3の鋼材重量を抑制)
バラスト水の量を低減できれば、これを搭載するタンクを構成するための鋼材重量を削減でき、製作コストの低減に寄与する。運用中にバラスト水を搭載する区画の外壁を取り払って浮体3の外部の領域にしても、浮体3に発生する浮力には影響しないため、バラスト水を搭載する区画は可能な限り削減することが望ましい。なお、バラスト水量を削減するにあたっては以下の2つの点を考慮することが望ましい。
1)第一の喫水線28で浮かぶ曳航中の状態では、バラスト水無しで安定して浮かぶこと。
2)第一の喫水線28から第二の喫水線27までの間の排水量を最小化する。
【0049】
(曳航中の状態においてバラスト水無しで安定して浮かぶために考慮すること)
「バラスト水無しで浮かぶ」ということは、第一の喫水線28において浮体3の自重と浮力が一致するということである。鋼製である浮体3において、浮体3の自重は鋼材重量と粗同じなので、予め推計した自重と同じ浮力になる様に浮体3の各部の寸法を調整する必要がある。このため浮体3は第一の喫水線28以下の体積(排水量)に制約を受けることになる。
【0050】
また「安定して浮かぶ」ということは、浮体3の曳航中に浮体3が受ける波やうねりによる動揺や、風による転倒モーメントを受けても十分な復原性を確保するということである。このためには腕6をできる限り伸ばしてその先端にグリップ15を配することによって、心柱12から離れた位置に水線面積を確保する必要がある。浮体3の第一の喫水線28以下の体積すなわち浮力に制約のある中で腕6をできる限り伸ばすということは、腕6は細く長い棒のような形状となることを意味する。そのため強度不足となることから、腕6を上下方向に支える第1ブレース13と水平方向に支える第2ブレース14が必要となる。ただし、第2ブレース14も前述の浮力に関する制約に含まれるため、できる限り細くすることが好ましい。
【0051】
また、第1ブレース13も「第一の喫水線28から第二の喫水線27までの間の排水量を最小化する」という要件によって、できる限り細くすることが好ましい。ただし、腕6、第1ブレース13、第2ブレース14を細くする場合には、これらの強度面の評価を行って、曳航中にも運用中にも損傷に至らない十分な強度を保持していることを確認しておくことが望ましい。なお、「曳航中の状態においてバラスト水無しで安定して浮かぶ」ということは、大型の支援船を用いることなく、複数のタグボートだけで設置海域まで自立して曳航することが可能となることを意味するものであり、浮体式プラットフォーム2の設置費用の低減に有効である。
【0052】
(曳航中の容器17が復原性におよぼす効果)
図10に示すように、曳航中の容器17は、腕6とグリップ15の直下に固定されている。曳航中に浮体3が大きく傾いた場合には、グリップ15が完全に水面上に出てしまうと同時に、心柱12を挟んでこれと反対側にあるグリップ15が完全に水没してしまう場合がありうる。このような場合には、通常は完全に没水している容器17の一部が水面上に顔を出すことに成る。この時には容器17の上面が水線面積を持つこととなり、それ以上浮体3を傾斜させて容器17を持ち上げる場合には、容器17の水線面積に比例して大きな復原力が発生するため、容器17の側は殆ど持ち上がらなくなる。このため、更に浮体3を傾斜させるには心柱12の下のベース11などの大きな水線面積を持つ部分を沈める必要があることから浮体3の傾斜は起きにくくなる。すなわち、浮体3の曳航中に波やうねりなどによる動揺によって浮体3が大きく傾斜した場合には、容器17によって通常よりも大きな復原力が生まれて浮体3の転覆を防ぐ効果が期待できる。
【0053】
(浮体3の軸対称性)
浮体3を第一の喫水線28から第二の喫水線27まで沈める過程で、増えた排水量の重心の水平方向の位置を、第一の喫水線28で浮いている場合の重心の水平方向の位置と合わせる必要がある。両者が一致しないと、その差を補正するためにバラスト水を搭載する必要が生じる。本実施例では塔1の直下に、心柱12とベース11が配置される。心柱12とベース11の軸は、塔1の軸と一致してもよい。また、浮体3を構成する幾つかの部材は、塔1の軸に対して軸対象となるように配置されてもよい。
【0054】
(第一の喫水線28から第二の喫水線27までの排水量を最小化)
浮体3は、バラスト水無しで第一の喫水線28で浮かんでいるので、これを第二の喫水線27まで沈めるには、少なくともその間の排水量の増加分からテザー5に加わる初期張力を除いた分に相当する重量のバラスト水を積む必要がある。具体的には以下式の関係が成立する。

(バラスト水の重量)=(第一の喫水線28から第二の喫水線27までの排水量)+(アンカー容器体4の自重)-(テザー5の初期張力の合計)
【0055】
上記式より「第一の喫水線28から第二の喫水線27までの排水量」を最小限にすることが重要であることがわかる。具体的には以下の部材の見直しが必要となる。ただし、十分な強度を有する範囲での見直しに留める必要があることは先述と同じである。
【0056】
1)ベース11の乾舷:
ベース11が、曳航中の波浪や動揺によって短時間水没した場合にもすぐに浮上してくるだけの復原力を確保するために、水面上の一定の高さまで体積を確保する必要がある。この高さを乾舷と呼ぶ。
【0057】
2)心柱12の直径:
心柱12の上部は、塔1から受ける大きな曲げモーメントを受けるために、原則として塔1の下端と同じ強度を確保する必要があるが、心柱12の下端では曲げモーメントは殆ど無くなっている。そのため、心柱12は上が太く下が細い三角錐台の形状とすることも可能である。ただし、円筒形に比べて製作が難しくなるため、製作費を評価する場合には慎重を要する。
【0058】
3)腕6の直径:
腕6は長いため、少し細くするだけで排水量と第一の喫水線28における水線面積は大幅に減少する。また、運用中はテザー5や第1ブレース13によって大きな圧縮力が働く可能性があるので、座屈強度を評価したうえで腕6の直径を決定する必要がある。
【0059】
4)第1ブレース13の直径:
圧縮力が働く場合には座屈の恐れがあるために十分な強度評価の上で第1ブレース13の直径を決定するが必要である。なお、運用中にグリップ15にバラスト水を搭載して浮力を相殺すれば、第1ブレース13に圧縮力が働く可能性を大幅に削減できる。
【0060】
5)第2ブレース14の直径:
第2ブレース14は第一の喫水線28において既に大部分が没水しており、第2ブレース14の直径を変更する場合はむしろ第一の喫水線28の変化に注意する必要がある。なお、第2ブレース14に加わる力は、風圧の他に、流れや波やうねりによる漂流力に起因するものであり、第1ブレース13に比べれば荷重は大きくはない。
【0061】
6)グリップ15の直径:
グリップ15は第一の喫水線28において復原力を確保する上で重要なので、グリップ15の直径を細くする上では復原力への影響を考慮して判断する必要がある。
【0062】
ここまでは浮体3の全体的な構成について考慮するべき点を述べてきた。次は、浮体3を構成する個々の部材に固有の事項について必要に応じて記載する。
【0063】
(ベース11)
ベース11は、第一の喫水線28において塔1と心柱12の重量の大部分を支える浮力を確保するとともに、その上部にテザー収納スペース10も搭載している。また、ベース11の内部において、強い力が働く腕6を貫通させることは、向かい合う位置に配置された2つの腕6の間で力の一部を相殺させることが可能となるために強度設計上有利であり、鋼材重量の低減に有効である。
【0064】
(腕6)
本実施形態では、ベース11から四方に4本の腕6が伸びている。各々の腕6の先にはグリップ15が配置されている。運用中にテザー5に働く張力の延出方向がグリップ15に設けたガイド16によって変えられるときに、腕6を圧縮する力が発生すると同時に、腕6の先端を下方向に押し下げる力も発生する。この下方向への力は腕6を上下方向に支える第1ブレース13に伝わることで腕6は支えられる。さらに、この時に腕6と第1ブレース13の接続部分に曲げモーメントが発生する。風圧の変動等によってこの曲げモーメントは繰り返し発生するので、腕6と第1ブレース13の接続部分の上の面には疲労による亀裂が発生しやすいため設計段階で疲労強度を検討することが好ましい。また、場合によっては腕6の板厚や、腕6と第1ブレース13の接続位置の見直しをしてもよい。腕6と第2ブレース14の接続位置についても原則として同様の検討が必要である。腕6の一部または全部をボイド区画として、上記の腕6の先端を下方向に押し下げる力の一部を打ち消すことも可能である。
【0065】
(グリップ15)
本実施形態では、グリップ15は腕6の先端に取り付けられる。グリップ15の上にはテザー5を曲げるためのガイド16が設置される。先述の通り、グリップ15によって曳航時に浮体3が第一の喫水線28で浮かぶ場合の復原力を確保することができる。一方、運用時に浮体3が第二の喫水線27で浮かぶ場合にはグリップ15自身の体積がすべて浮力となるとテザー5を曲げることによって発生する下向きの力を大幅に超えてしまい、かえって腕6や第1ブレース13に過大な負荷を与えることになる。そのため、運用時に浮体3が第二の喫水線27で浮かぶ場合には、グリップ15にバラスト水を積んでバラストタンクとした方が、浮体3の強度設計上有利であり、浮体3の鋼材重量の低減に効果的である。
【0066】
(ガイド16)
本実施形態では、テザー5を固定するテザー固定装置8が心柱12に設けたステージ7上に設置されている。容器17のテザー固着部23から真っ直ぐに延びるテザー5はガイド16でその延出方向が変化し、ステージ7上に配置されたテザー固定装置8に向けて斜め上方に延びる。テザー5の延出方向の変化に伴い、張力に比例する水平方向の力と鉛直方向の力をガイド16は受けることとなる。浮体3が風圧を受ける場合などには、テザー5には横方向の力も働く場合があり、この横方向の力もガイド16は受ける。テザー5がガイド16から外れないための機構がガイド16に設けられてもよい。
【0067】
(ステージ7)
腕6の上方、且つ第二の喫水線27よりも高い位置に、ステージ7が心柱12に対して強固に固定される。ステージ7が激しい嵐のときに青波を被る回数を減じるためには、ステージ7を高い位置に設置することが有効である。一方、風力発電用の塔1が心柱12に搭載される場合には、ブレード40の先端とステージ7との間のクリアランスを確保する観点からステージ7の配置位置が決定され得る。ステージ7は、青波を被ることを前提として設計することが好ましい。例えば、ステージ7に深い梁を設ける場合には出来るだけ大きな軽め穴がステージ7に形成されることが好ましい。ステージ7のデッキを張る面積を最小限に抑えることが好ましい。また、やむを得ずデッキを張る場合にはグレーチングなどの水が通す構造をステージ7に設けてもよい。
【0068】
(テザー固定装置8)
テザー固定装置8は、テザー巻上機9に隣接する位置でステージ7上に設置される。テザー固定装置8は、テザー5に働く張力を受ける。このため、テザー固定装置8は、ステージ7に強固に固定されてもよい。ステージ7は心柱12に取り付けられているため、テザー固定装置8が心柱12から離れた位置に設置されると、ステージ7と心柱12との間の固定位置に大きなモーメントが発生するので、テザー固定装置8はできる限り心柱12に近い位置に設置されることが好ましい。ステージ7上に配置された隣接する2つのテザー固定装置8間の距離は、隣接する2つのガイド16間の距離よりも短くてもよい。この場合、一つのグリップ15からステージ7に延びる2つのテザー5は、互いに平行でなくてもよい。
【0069】
(テザー巻上機9)
ステージ7の上にはテザー巻上機9が設置される。テザー巻上機9は、アンカー容器体4を海底に下す場合のテザー5の繰出しと、運用中のテザー5の初期張力の調整と、塔1を支える浮体式プラットフォーム2を撤去する場合のテザー5の巻上を可能とする。なお、テザー5の初期張力の調整にあたっては、テザー固定装置8にかかっている荷重を抜くために、テザー巻上機9を用いてテザー5を少し巻き上げてもよい。
【0070】
(テザー収納スペース10)
ベース11上にテザー収納スペース10が設けられる。テザー収納スペース10には、浮体3の進水時と曳航時にはテザー5が収納される。浮体3の運用時ではテザー収納スペース10にはテザー5は殆ど収納されない。そのため、テザー収納スペース10の側壁には格子などの水を通しやすい構造が採用されてもよい。この場合、浮体3に加わる漂流力が低減するため、テザー5に働く張力を低減させることが可能となる。
【0071】
(進水と曳航)
次に、図10を参照して進水時・曳航時のアンカー容器体4の格納位置について以下に説明する。図10は、進水時・曳航時のアンカー容器体4の格納位置を示す図である。造船所等で浮体3を組み上げて進水した状態では、浮体3の直下にテザー5でアンカー容器体4が吊られており、浮体3とアンカー容器体4は相互の位置が動かないように固定された状態で浮体3を進水させる。この時、浮体3は第一の喫水線28で浮かぶ。また、テザー5の殆どはテザー収納スペース10に収納されている。第一の喫水線28で浮体3が浮かんだ状態では、主に腕6とグリップ15の水線面による断面2次モーメントが大きいため、曳航中の動揺に対して浮体3は十分な復原力を確保できる。このため大きな台船あるいは支援船を必要とせずに数隻のタグボートによって浮体3を曳航可能であり、浮体式プラットフォーム2の設置コストを低減する上で有効である。
【0072】
次に、図11を参照することで、本実施形態に係る浮体式プラットフォーム2の設置方法について以下に説明する。図11は、本実施形態に係る浮体式プラットフォーム2の設置方法を説明するための図である。図11では、浮体式プラットフォーム2の進水から浮体式プラットフォーム2の据付までの手順が示されている。ステップS1では、複数の容器17を備えたアンカー容器体4が浮体3の直下に配置されると共に、浮体3が第一の喫水線28で浮かんだ状態で、浮体3が設置予定場所まで曳航される。
【0073】
(ステップS2:アンカー容器体設置)
浮体3が設置予定場所に到着したときに、複数(本例では、8本)のテザー5を海中に繰り出すことでアンカー容器体4を海底まで下ろす。なお、アンカー容器体4の容器17が大きな岩に乗上げないように海底の状態を事前に調査し、アンカー容器体4の設置予定場所を決定するのが好ましい。
【0074】
(ステップS3:重量物の投入)
重量物投入装置35を用いて船32から重量物が海底に設置された4つの容器17の収容空間S内に投入される。重量物は、例えば、土、砂、砂利、砕石、コンクリート片等である。具体的には、図12に示すように、重量物投入ホース30を船32から海中に下ろした後に、重量物投入ホース30に取り付けられた3つの推進装置31を用いて所定の位置に重量物投入ホース30を誘導する。具体的には、重量物投入ホース30の先端が容器17の収容空間S内に達したときに、重量物投入ホース30から重量物が収容空間S内に投入される。
【0075】
(ステップS4:据付)
アンカー容器体4の容器17への重量物の投入が完了した後に、テザー巻上機9によりテザー5を巻き上げることで第二の喫水線27まで浮体3を沈める。このとき予定の初期張力よりも大きな張力がテザー5に発生する場合は、バラスト水を浮体3に搭載してテザー5の張力が所定の値となるようにテザー5の張力を調整する。その後、複数のテザー固定装置8を用いて複数のテザー5の各々を浮体3に固定する。このように、緊張係留方式により浮体式プラットフォーム2が洋上に設置される。
【0076】
(据付中の復原力)
図8には、浮体3の第一の喫水線28と浮体3の第二の喫水線27が示されている。テザー5を引き込んで浮体3の据付を行う過程で、浮体3の腕6とグリップ15が水面下に没するときに水線面積が一気に減少して浮体3の復原力が失われる。その一方で、かかる状態では、テザー5の張力が十分大きくなっているので、浮体3が転倒するおそれは無い。テザー5の張力が十分大きくなるまで浮体3にバラスト水を搭載しないことが好ましい。
【0077】
(重量物投入装置35)
図12は、重量物投入装置35を示す。海底の特定の位置に土砂等の重量物を投入するには重量物投入ホース30の先端を正確に目標の位置まで移動させるための手段を使用することが好ましい。風・波・流れといった外乱の中で、従来のように船32の位置を制御するだけでは重量物投入ホース30の先端を迅速に目標位置に誘導することは困難となる。このため、重量物投入ホース30の先端に推進装置31を設けることで、重量物投入ホース30の先端を目標位置に誘導することが可能となる。また、重量物投入ホース30に複数(本例では3つ)の推進装置31を設けることで、重量物投入ホース30全体の形状を制御することが好ましい。この場合、重量物投入ホース30から容器17の収容空間Sへの重量物の投入をより確実に行うことが可能となる。
【0078】
(撤去)
塔1を支える浮体式プラットフォーム2を設置海域から撤去するときには、図11に示した手順を逆に進めることで、設置時と同様に大型の支援船などを用いずに浮体式プラットフォーム2の撤去が可能である。この場合、重量物投入ホース30を用いて海水を吸引することで容器17に収容された土砂等の重量物を回収する必要がある。重量物投入ホース30の先端に容器17の収容空間S内に堆積した土砂等の重量物の表面をスラリー化するための水ジェット噴射装置等が使用されてもよい。
【0079】
以上説明したように、塔1を支える浮体式プラットフォーム2は、浮体3と、アンカー容器体4と、浮体3とアンカー容器体4とを結ぶ複数のテザー5とを備える緊張係留型の浮体式プラットフォームである。アンカー容器体4は従来のような大型のコンクリート構造物ではなく、安価な土砂等の重量物を収納する複数の容器17により構成されている。浮体式プラットフォーム2は、曳航中も自立可能なために大型の専用船や台船を用いることなくタグボートによって曳航できる。また、浮体式プラットフォーム2の据付にあたっては大型の支援船を用いることなく、浮体3に搭載したテザー巻上機9によってテザー5を繰り出してアンカー容器体4を海中に下し、重量物投入装置35を備えた船32から土砂等の重量物を各容器17内に投入することにより浮体式プラットフォーム2を据付可能である。このように、浮体式プラットフォーム2の製作費や設置工事費を低減することが可能となる。また、浮体式プラットフォーム2の運用時には緊張係留によって浮体3の動揺を大幅に抑制することが可能となる。また、魚礁効果が期待されるアンカー容器体4によって漁業の活性化にも有効な浮体式プラットフォーム2を実現できる。
【0080】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではない。本実施形態は一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【符号の説明】
【0081】
1:塔
2:浮体式プラットフォーム
3:浮体
4:アンカー容器体
5:テザー
6:腕
7:ステージ
8:テザー固定装置
9:テザー巻上機
10:テザー収納スペース
11:ベース
12:心柱
13:第1ブレース
14:第2ブレース
15:グリップ
16:ガイド
17:容器
18:連結索
19:底
20:容器外壁
21:容器内壁
22,22a,22b:テザー支持部材
23:テザー固着部
24:溶接線
25:骨
26:内側面
27:第二の喫水線
28:第一の喫水線
29:ブラケット
30:重量物投入ホース
31:推進装置
32:船
35:重量物投入装置
36:空洞部
40:ブレード
42:ナセル
72:貫通孔
190:開口部
A1:腕の軸方向
A2:グリップの軸方向
S:収容空間
【要約】
【課題】製作費及び設置工事費を抑えることが可能な浮体式プラットフォームおよび浮体式プラットフォームを水上に設置するための設置方法を提供する。
【解決手段】浮体式プラットフォーム(2)は、塔(1)を支持するように構成され、緊張係留により水上に配置された浮体(3)と、複数の容器(17)を備えたアンカー容器体(4)と、浮体(3)とアンカー容器体(4)とを結ぶ複数のテザー(5)とを備える。複数の容器(17)の各々は、複数のテザー(5)のうちの少なくとも一つに固定されると共に、水底に設置される。複数の容器(17)の各々は、底と、前記底の外周を囲むように設けられた容器外壁と、前記容器外壁に対向するように設けられた容器内壁とを備える。前記底と、前記容器外壁と、前記容器内壁とによって収容空間が構成される。収容空間には、土、砂、砂利、砕石、コンクリート片のうちの少なくとも一つを含む重量物が収容される。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12