(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】ネットワークスキャン装置、コンピュータに実行させるためのプログラムおよびプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体
(51)【国際特許分類】
H04L 43/103 20220101AFI20240209BHJP
H04L 41/142 20220101ALI20240209BHJP
H04L 43/0852 20220101ALI20240209BHJP
H04W 12/12 20210101ALI20240209BHJP
H04W 48/16 20090101ALI20240209BHJP
H04W 88/18 20090101ALI20240209BHJP
【FI】
H04L43/103
H04L41/142
H04L43/0852
H04W12/12
H04W48/16 110
H04W88/18
(21)【出願番号】P 2020055294
(22)【出願日】2020-03-26
【審査請求日】2023-02-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和1年11月4日 発明者本人により、SmartCom 2019 @ Rutgers University Inn & Conference Center,November 4 & 5,2019にて公開
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成31年度支出負担行為担当官、総務省大臣官房会計課企画官、研究テーマ「周波数有効利用のためのIoTワイヤレス高効率広域ネットワークスキャン技術の研究開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】393031586
【氏名又は名称】株式会社国際電気通信基礎技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100112715
【氏名又は名称】松山 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】栗原 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健太
(72)【発明者】
【氏名】矢野 一人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 義規
【審査官】前田 健人
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-177371(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0342325(US,A1)
【文献】国際公開第2017/119408(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 43/00
H04L 41/142
H04W 12/12
H04W 48/16
H04W 88/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる周期長を有する複数の周期を設定して前記複数の周期に含まれる複数の時間帯において複数の端末装置の複数のIPアドレスに対してスキャンパケットを送信してネットワークスキャンを行うネットワークスキャン処理をスキャン実施周期に一致する頻度で実行するスキャン手段と、
前記端末装置からのスキャン応答と、前記スキャンパケットを送信してから前記スキャン応答を受信するまでの時間であるスキャン応答遅延とを前記複数の周期の各々において前記IPアドレスに対応付けて記録する記録手段と、
前記複数の周期の各々の前記複数の時間帯において、前記スキャン応答が返って来たIPアドレスに対応付けられた前記スキャン応答遅延に基づいて前記スキャン応答遅延に対応する混雑度の平均、標準偏差および分散を算出するとともに、前記ネットワークスキャンが成功した個数である成功個数をカウントし、前記平均、前記標準偏差、前記分散および前記成功個数からなる推定変数を算出する算出手段と、
前記複数の周期の各々の前記複数の時間帯において、前記算出された推定変数に基づいて分散が最も小さい周期における通信の混雑度を推定する推定手段と、
前記推定手段によって推定された前記分散が最も小さい周期に含まれる前記複数の時間帯における前記複数の混雑度のうち、前記混雑度が最も小さくなる時間帯を前記複数のIPアドレスのうちの1つのIPアドレスに対してネットワークスキャンを行うスケジュールとして決定するスケジュール決定処理を前記複数のIPアドレスの全てについて実行し、前記複数のIPアドレスに対してネットワークスキャンを行うためのスキャンスケジュールを作成するスケジュール作成手段とを備えるネットワークスキャン装置。
【請求項2】
前記推定手段は、前記平均と、前記標準偏差と、前記成功
個数から算出された自由度とに基づくT分布に従って乱数を発生させて前記混雑度を推定する、請求項1に記載のネットワークスキャン装置。
【請求項3】
前記複数の周期長は、N
L(N
Lは、2以上の整数)個の周期長からなり、
前記N
L個の周期長は、第1の周期長と、前記第1の周期長と異なる第2の周期長とを含む、請求項1または請求項2に記載のネットワークスキャン装置。
【請求項4】
前記スケジュール作成手段は、更に、前記複数の周期のうちの基底周期に対する前記推定変数の取得回数が規定値以上になるまでネットワークスキャンを行う予備スキャンのスケジュールを前記複数の時間帯から任意に選択した時間帯に決定する、請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載のネットワークスキャン装置。
【請求項5】
前記規定値は、前記予備スキャンが終わるまでのネットワークスキャンの最小回数以上に設定される、請求項
4に記載のネットワークスキャン装置。
【請求項6】
前記スケジュール作成手段は、前記基底周期に対する前記推定変数の取得回数が前記規定値以上になると、前記予備スキャンのスケジュールの作成を打ち切って前記スケジュール決定処理を実行する、請求項
4または請求項
5に記載のネットワークスキャン装置。
【請求項7】
スケジュール作成手段は、スケジュール決定処理において、時間長が異なるQ(Qは、2以上の整数)個の周期を設定して前記ネットワークスキャン処理が実行されたときの前記最小の混雑度がQ+1個の周期を設定して前記ネットワークスキャン処理が実行されたときの前記最小の混雑度と一致する場合、前記Q個の周期を設定して前記ネットワークスキャン処理を実行するためのスキャンスケジュールを作成する、請求項1から請求項
6のいずれか1項に記載のネットワークスキャン装置。
【請求項8】
スキャン手段が、異なる周期長を有する複数の周期を設定して前記複数の周期に含まれる複数の時間帯において複数の端末装置の複数のIPアドレスに対してスキャンパケットを送信してネットワークスキャンを行うネットワークスキャン処理をスキャン実施周期に一致する頻度で実行する第1のステップと、
記録手段が、前記端末装置からのスキャン応答と、前記スキャンパケットを送信してから前記スキャン応答を受信するまでの時間であるスキャン応答遅延とを前記複数の周期の各々において前記IPアドレスに対応付けて記録する第2のステップと、
算出手段が、前記複数の周期の各々の前記複数の時間帯において、前記スキャン応答が返って来たIPアドレスに対応付けられた前記スキャン応答遅延に基づいて前記スキャン応答遅延に対応する混雑度の平均、標準偏差および分散を算出するとともに、前記ネットワークスキャンの成功個数をカウントし、前記平均、標準偏差、分散および成功個数からなる推定変数を算出する第3のステップと、
推定手段が、前記複数の周期の各々の前記複数の時間帯において、前記算出された推定変数に基づいて分散が最も小さい周期における通信の混雑度を推定する第4のステップと、
スケジュール作成手段が、前記推定手段によって推定された前記分散が最も小さい周期に含まれる前記複数の時間帯における前記複数の混雑度のうち、前記混雑度が最も小さくなる時間帯を前記複数のIPアドレスのうちの1つのIPアドレスに対してネットワークスキャンを行うスケジュールとして決定するスケジュール決定処理を前記複数のIPアドレスの全てについて実行し、前記複数のIPアドレスに対してネットワークスキャンを行うためのスキャンスケジュールを作成する第5のステップとをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項9】
前記推定手段は、前記第4のステップにおいて、前記平均と、前記標準偏差と、前記成功
個数から算出された自由度とに基づくT分布に従って乱数を発生させて前記混雑度を推定する、請求項
8に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項10】
前記複数の周期長は、N
L(N
Lは、2以上の整数)個の周期長からなり、
前記N
L個の周期長は、第1の周期長と、前記第1の周期長と異なる第2の周期長とを含む、請求項
8または請求項
9に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項11】
前記スケジュール作成手段は、前記第5のステップにおいて、更に、前記複数の周期のうちの基底周期に対する前記推定変数の取得回数が規定値以上になるまでネットワークスキャンを行う予備スキャンのスケジュールを前記複数の時間帯から任意に選択した時間帯に決定する、請求項
8から請求項
10のいずれか1項に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項12】
前記規定値は、前記予備スキャンが終わるまでのネットワークスキャンの最小回数以上に設定される、請求項
11に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項13】
前記スケジュール作成手段は、前記第5のステップにおいて、前記基底周期に対する前記推定変数の取得回数が前記規定値以上になると、前記予備スキャンのスケジュールの作成を打ち切って前記スケジュール決定処理を実行する、請求項
11または請求項
12に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項14】
スケジュール作成手段は、前記第5のステップにおいて、スケジュール決定処理において、時間長が異なるQ(Qは、2以上の整数)個の周期を設定して前記ネットワークスキャン処理が実行されたときの前記最小の混雑度がQ+1個の周期を設定して前記ネットワークスキャン処理が実行されたときの前記最小の混雑度と一致する場合、前記Q個の周期を設定して前記ネットワークスキャン処理を実行するためのスキャンスケジュールを作成する、請求項
8から請求項
13のいずれか1項に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項15】
請求項
8から請求項
14のいずれか1項に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ネットワークスキャン装置、コンピュータに実行させるためのプログラムおよびプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
第5世代移動通信(5G)システムの実用化に伴って、携帯端末、コンピュータ、センサおよびウェブカメラ等の多くの物がインターネットに接続されることになる。このようなインターネットに接続された携帯端末およびコンピュータ等は、IoT(Internet of Things)機器と呼ばれている。
【0003】
IoT時代には、通信ネットワークに接続されるIoT機器の個数は、急速に増大することが見込まれる。IoT機器のうち、無線通信を行うIoT機器は、十分にセキュリティを確保できないまま、不正使用され、DDoS(Distributed Denial of Service attack)攻撃のようなサイバー攻撃に悪用されるケースが増大すると予想される。
【0004】
このような事態を回避するために、通信ネットワークに接続されたIoT機器に対して、ネットワークスキャンを行い、セキュリティ対策が各IoT機器になされているかを調査する必要がある。
【0005】
近年では、ShodanまたはCensysのような広域ネットワークスキャンのプロジェクトがある(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】Z. Durumeric, et al., “A Search Engine Backed by Internet-Wide Scanning”, CCS15, October 12-16, 2015.
【文献】吉岡 克成、村上 洸介、松本 勉,“マルウェア感染ホスト検出のためのネットワークスキャン手法と検出用シグネチャの自動生成,”情報処理学会論文誌,Vol.51,No.9,1633-1644(Sep.2010).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、非特許文献1に記載のネットワークスキャンは、スキャンの実施に必要な時間の短縮に主眼をおいているため、スキャンの実施による無線リソースの消費を抑制することは困難である。
【0008】
そこで、この発明の実施の形態によれば、ネットワークスキャンに必要な無線リソース量を抑制することが可能なネットワークスキャン装置を提供する。
【0009】
また、この発明の実施の形態によれば、ネットワークスキャンに必要な無線リソース量の抑制をコンピュータに実行させるためのプログラムを提供する。
【0010】
更に、この発明の実施の形態によれば、ネットワークスキャンに必要な無線リソース量の抑制をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(構成1)
この発明の実施の形態によれば、ネットワークスキャン装置は、スキャン手段と、記録手段と、算出手段と、推定手段と、スケジュール作成手段とを備える。スキャン手段は、異なる周期長を有する複数の周期を設定して複数の周期に含まれる複数の時間帯において複数の端末装置の複数のIPアドレスに対してスキャンパケットを送信してネットワークスキャンを行うネットワークスキャン処理をスキャン実施周期に一致する頻度で実行する。記録手段は、端末装置からのスキャン応答と、スキャンパケットを送信してからスキャン応答を受信するまでの時間であるスキャン応答遅延とを複数の周期の各々においてIPアドレスに対応付けて記録する。算出手段は、複数の周期の各々の複数の時間帯において、スキャン応答が返って来たIPアドレスに対応付けられたスキャン応答遅延に基づいてスキャン応答遅延に対応する混雑度の平均、標準偏差および分散を算出するとともに、ネットワークスキャンが成功した個数である成功個数をカウントし、平均、標準偏差、分散および成功個数からなる推定変数を算出する。推定手段は、複数の周期の各々の複数の時間帯において、算出された推定変数に基づいて分散が最も小さい周期における通信の混雑度を推定する。スケジュール作成手段は、推定手段によって推定された分散が最も小さい周期に含まれる複数の時間帯における複数の混雑度のうち、混雑度が最も小さくなる時間帯を複数のIPアドレスのうちの1つのIPアドレスに対してネットワークスキャンを行うスケジュールとして決定するスケジュール決定処理を複数のIPアドレスの全てについて実行し、複数のIPアドレスに対してネットワークスキャンを行うためのスキャンスケジュールを作成する。
【0012】
(構成2)
構成1において、推定手段は、平均と、標準偏差と、成功回数から算出された自由度とに基づくT分布に従って乱数を発生させて混雑度を推定する。
【0013】
(構成3)
構成1または構成2において、複数の周期長は、NL(NLは、2以上の整数)個の周期長からなる。NL個の周期長は、第1の周期長と、第1の周期長と異なる第2の周期長とを含む。
【0014】
(構成4)
構成3において、第1の周期長は、最も短い周期長を有し、第2の周期長は、第1の周期長よりも長い周期長、または第1の周期長よりも短い周期長を有する。
【0015】
(構成5)
構成1から構成4のいずれかにおいて、スケジュール作成手段は、更に、複数の周期のうちの基底周期に対する推定変数の取得回数が規定値以上になるまでネットワークスキャンを行う予備スキャンのスケジュールを複数の時間帯から任意に選択した時間帯に決定する。
【0016】
(構成6)
構成5において、規定値は、予備スキャンが終わるまでのネットワークスキャンの最小回数以上に設定される。
【0017】
(構成7)
構成5または構成6において、スケジュール作成手段は、基底周期に対する推定変数の取得回数が規定値以上になると、予備スキャンのスケジュールの作成を打ち切ってスケジュール決定処理を実行する。
【0018】
(構成8)
構成1から構成7のいずれかにおいて、スケジュール作成手段は、スケジュール決定処理において、時間長が異なるQ(Qは、2以上の整数)個の周期を設定してネットワークスキャン処理が実行されたときの最小の混雑度がQ+1個の周期を設定してネットワークスキャン処理が実行されたときの最小の混雑度と一致する場合、Q個の周期を設定してネットワークスキャン処理を実行するためのスキャンスケジュールを作成する。
【0019】
(構成9)
また、この発明の実施の形態によれば、プログラムは、
スキャン手段が、異なる周期長を有する複数の周期を設定して複数の周期に含まれる複数の時間帯において複数の端末装置の複数のIPアドレスに対してスキャンパケットを送信してネットワークスキャンを行うネットワークスキャン処理をスキャン実施周期に一致する頻度で実行する第1のステップと、
記録手段が、端末装置からのスキャン応答と、スキャンパケットを送信してからスキャン応答を受信するまでの時間であるスキャン応答遅延とを複数の周期の各々においてIPアドレスに対応付けて取得する第2のステップと、
算出手段が、複数の周期の各々の複数の時間帯において、スキャン応答が返って来たIPアドレスに対応付けられたスキャン応答遅延に基づいてスキャン応答遅延に対応する混雑度の平均、標準偏差および分散を算出するとともに、ネットワークスキャンの成功個数をカウントし、平均、標準偏差、分散および成功個数からなる推定変数を算出する第3のステップと、
推定手段が、複数の周期の各々の複数の時間帯において、算出された推定変数に基づいて分散が最も小さい周期における通信の混雑度を推定する第4のステップと、
スケジュール作成手段が、推定手段によって推定された分散が最も小さい周期に含まれる複数の時間帯における複数の混雑度のうち、混雑度が最も小さくなる時間帯を複数のIPアドレスのうちの1つのIPアドレスに対してネットワークスキャンを行うスケジュールとして決定するスケジュール決定処理を複数のIPアドレスの全てについて実行し、複数のIPアドレスに対してネットワークスキャンを行うためのスキャンスケジュールを作成する第5のステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0020】
(構成10)
構成9において、推定手段は、第4のステップにおいて、平均と、標準偏差と、成功回数から算出された自由度とに基づくT分布に従って乱数を発生させて混雑度を推定する。
【0021】
(構成11)
構成9または構成10において、複数の周期長は、NL(NLは、2以上の整数)個の周期長からなる。NL個の周期長は、第1の周期長と、第1の周期長と異なる第2の周期長とを含む。
【0022】
(構成12)
構成11において、第1の周期長は、最も短い周期長を有し、第2の周期長は、第1の周期長よりも長い周期長、または第1の周期長よりも短い周期長を有する。
【0023】
(構成13)
構成9から構成12のいずれかにおいて、スケジュール作成手段は、第5のステップにおいて、更に、複数の周期のうちの基底周期に対する推定変数の取得回数が規定値以上になるまでネットワークスキャンを行う予備スキャンのスケジュールを複数の時間帯から任意に選択した時間帯に決定する。
【0024】
(構成14)
構成13において、規定値は、予備スキャンが終わるまでのネットワークスキャンの最小回数以上に設定される。
【0025】
(構成15)
構成13または構成14において、スケジュール作成手段は、第5のステップにおいて、基底周期に対する推定変数の取得回数が規定値以上になると、予備スキャンのスケジュールの作成を打ち切ってスケジュール決定処理を実行する。
【0026】
(構成16)
構成9から構成15のいずれかにおいて、スケジュール作成手段は、第5のステップにおいて、スケジュール決定処理において、時間長が異なるQ(Qは、2以上の整数)個の周期を設定してネットワークスキャン処理が実行されたときの最小の混雑度がQ+1個の周期を設定してネットワークスキャン処理が実行されたときの最小の混雑度と一致する場合、Q個の周期を設定してネットワークスキャン処理を実行するためのスキャンスケジュールを作成する。
【0027】
(構成17)
更に、この発明の実施の形態によれば、記録媒体は、構成9から構成16のいずれかに記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0028】
ネットワークスキャンに必要な無線リソース量を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】この発明の実施の形態における通信システムの概略図である。
【
図2】
図1に示すネットワークスキャン装置の実施の形態1における概略図である。
【
図3】
図2に示すホスト情報データベースに格納される対応表の概念図である。
【
図4】
図2に示すホスト情報データベースに格納される対応表の概念図である。
【
図5】
図2に示すホスト情報データベースに格納される対応表の概念図である。
【
図8】3個の周期における時間帯の比較を示す図である。
【
図9】周期長が12時間であるスキャン実施周期の各時間帯において取得されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iを周期長が12時間である周期の各時間帯におけるスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iとする方法を説明するための図である。
【
図10】周期長が12時間であるスキャン実施周期の各時間帯において取得されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iを周期長が24時間である周期の各時間帯におけるスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iとする方法を説明するための図である。
【
図11】周期長が12時間であるスキャン実施周期の各時間帯において取得されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iを周期長が48時間である周期の各時間帯におけるスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iとする方法を説明するための図である。
【
図12】周期長が24時間であるスキャン実施周期の各時間帯において取得されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iを周期長が12時間である周期の各時間帯におけるスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iとする方法を説明するための図である。
【
図13】周期長が24時間であるスキャン実施周期の各時間帯において取得されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iを周期長が24時間である周期の各時間帯におけるスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iとする方法を説明するための図である。
【
図14】周期長が24時間であるスキャン実施周期の各時間帯において取得されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iを周期長が48時間である周期の各時間帯におけるスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iとする方法を説明するための図である。
【
図15】周期長が48時間であるスキャン実施周期の各時間帯において取得されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iを周期長が12時間である周期の各時間帯におけるスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iとする方法を説明するための図である。
【
図16】周期長が48時間であるスキャン実施周期の各時間帯において取得されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iを周期長が24時間である周期の各時間帯におけるスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iとする方法を説明するための図である。
【
図17】周期長が48時間であるスキャン実施周期の各時間帯において取得されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iを周期長が48時間である周期の各時間帯におけるスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iとする方法を説明するための図である。
【
図18】スキャンインターバルが4であるIPアドレスに対する各時間帯における周期を決定する方法を説明するための図である。
【
図20】
図2に示すネットワークスキャン装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図21】
図20のステップS3の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図22】
図21のステップS33の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図23】
図21のステップS34の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図24】スケジューリングを実施するタイミングを説明するための第1の概念図である。
【
図25】スケジューリングを実施するタイミングを説明するための第2の概念図である。
【
図26】スケジューリングを実施するタイミングを説明するための第3の概念図である。
【
図27】スケジューリングを実施するタイミングを説明するための第4の概念図である。
【
図28】スケジューリングを実施するタイミングを説明するための第5の概念図である。
【
図29】
図1に示すネットワークスキャン装置の実施の形態2における概略図である。
【
図30】
図29に示すネットワークスキャン装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0031】
図1は、この発明の実施の形態における通信システムの概略図である。
図1を参照して、この発明の実施の形態による通信システム10は、ネットワークスキャン装置1と、基地局BS1,BS2と、インターネットプロバイダISPと、端末装置TM1~TM18とを備える。
【0032】
ネットワークスキャン装置1、基地局BS1,BS2、インターネットプロバイダISP(Internet Service Provider)および端末装置TM1~TM18は、通信空間に配置される。
【0033】
基地局BS1は、無線通信網CNW1の基地局であり、基地局BS2は、無線通信網CNW2の基地局であり、インターネットプロバイダISPは、有線通信網CNW3の通信事業者である。
【0034】
無線通信網CNW1,CNW2は、相互に異なる無線通信規格に従って無線通信を行う通信網である。
【0035】
この発明の実施の形態においては、端末装置TM1~TM18の各々が無線端末である場合があり、端末装置TM1~TM18の一部が無線端末からなり、かつ、残りが有線端末からなる場合もある。
【0036】
端末装置TM1~TM6は、無線通信網CNW2の外側であり、かつ、無線通信網CNW1の内部に配置される。
【0037】
端末装置TM7は、無線通信網CNW1と無線通信網CNW2との重複領域内に配置される。
【0038】
端末装置TM8~TM13は、無線通信網CNW1の外側であり、かつ、無線通信網CNW2の内部に配置される。
【0039】
端末装置TM14~TM18は、有線通信網CNW3内に配置され、有線を介してインターネットプロバイダISPに接続される。
【0040】
端末装置TM1~TM13の各々は、基地局BS1,BS2と無線通信可能な2個の無線通信モジュールを備えている。従って、端末装置TM1~TM13の各々は、基地局BS1または基地局BS2と無線通信可能である。
【0041】
端末装置TM1~TM6は、基地局BS1と無線通信を行い、端末装置TM7は、基地局BS1または基地局BS2と無線通信を行い、端末装置TM8~TM13は、基地局BS2と無線通信を行う。
【0042】
端末装置TM14~TM18は、インターネットプロバイダISPを介して有線通信を行う。
【0043】
ネットワークスキャン装置1は、後述する方法によって、端末装置TM1~TM18に対してネットワークスキャンを行うためのスキャンスケジュールを作成し、その作成したスキャンスケジュールに従ってネットワークスキャンを実行する。
【0044】
[実施の形態1]
図2は、
図1に示すネットワークスキャン装置1の実施の形態1における概略図である。
図2を参照して、ネットワークスキャン装置1は、ネットワークスキャナ11と、スキャン解析マネージャ12と、ホスト情報データベース13と、スキャンスケジューラ14とを備える。
【0045】
ネットワークスキャナ11は、スキャンスケジューラ14からスキャンスケジュールを受け、その受けたスキャンスケジュールに基づいて、例えば、公知のNmap(非特許文献2)を用いて、スキャン対象のネットワーク20に接続された端末装置のポートに対してネットワークスキャンを行う。
【0046】
より具体的には、ネットワークスキャナ11は、異なる周期長を有する複数の周期を設定して複数の周期の各々に含まれる複数の時間帯において複数の端末装置の複数のIPアドレスに対してスキャンパケットを送信してネットワークスキャンを行う。ネットワークスキャナ11は、このネットワークスキャンをスキャン実施周期に一致する頻度で実行する。
【0047】
そして、ネットワークスキャナ11は、ネットワーク20に接続された端末装置からネットワークスキャンのスキャン応答を受信し、その受信したスキャン応答をユーザ(セットワークセキュリティ等からなる)30およびスキャン解析マネージャ12へ出力する。
【0048】
スキャン解析マネージャ12は、ネットワークスキャナ11からスキャン応答を受け、ネットワークスキャン中に通信ログを受ける。そして、スキャン解析マネージャ12は、スキャン応答に基づいてスキャン対象の端末装置のアドレスと、スキャン応答とを対応付けたスキャン結果を生成し、その生成したスキャン結果をホスト情報データベース13に格納することによってホスト情報データベース13を作成または更新する。
【0049】
また、スキャン解析マネージャ12は、ネットワークスキャンを行うためのスキャンパケットを送信してからスキャン応答を受信するまでの時間であるスキャン応答遅延を計測し、その計測したスキャン応答遅延をスキャン対象の端末装置のアドレスに対応付けてホスト情報データベース13に格納する。
【0050】
ホスト情報データベース13は、スキャン結果を記憶する。
【0051】
スキャンスケジューラ14は、ホスト情報データベース13からスキャン結果を読み出す。また、スキャンスケジューラ14は、ネットワークスキャンを行う領域(例えば、日本国内)に存在する全ての端末装置のグローバルIPアドレスおよびドメイン名を予め保持している。
【0052】
そして、スキャンスケジューラ14は、スキャン要件およびスキャン結果に基づいて、後述する方法によって、ネットワークスキャンのスキャンタイミングと各スキャンタイミングにおけるネットワークスキャンの対象となる端末装置とを対応付けたスキャンスケジュールを作成する。そうすると、スキャンスケジューラ14は、スキャンスケジュールをネットワークスキャナ11へ出力してスキャンスケジュールに従ってネットワークスキャンを実行するようにネットワークスキャナ11を制御する。
【0053】
図3から
図5は、
図2に示すホスト情報データベース13に格納される対応表の概念図である。
図3を参照して、対応表TBL1は、IPアドレスAdd
iと、スキャンインターバルI
iと、時刻t
Nと、ポート番号PN
rと、スキャン応答SR
iと、スキャン応答遅延RTT
iとを含む。IPアドレスAdd
i、スキャンインターバルI
i、時刻t
N、ポート番号PN
r、スキャン応答SR
i、およびスキャン応答遅延RTT
iは、相互に対応付けられる。
【0054】
対応表TBL1は、周期長が12時間であるスキャン実施周期を設定してネットワークスキャンを実行するIPアドレスAddiと、IPアドレスAddiに対応付けられたスキャンインターバルIi、時刻tN、ポート番号PNr、スキャン応答SRi、およびスキャン応答遅延RTTiとを含む。
【0055】
IPアドレスAdd
iは、ネットワークスキャンの対象である端末装置のグローバルIPアドレスからなる。
図3においては、IPアドレスAdd
iは、Add
a_bによって表わされ、“a”は、端末装置のIPアドレスに対応した引数であり、“b”は、周期長を表す引数である。
図3においては、A(Aは、正の整数)個のIPアドレスAdd
a_bが対応表TBL1に格納される。そして、
図3においては、周期長は、12時間であるので、“b”は、12時間の周期長を表す“1”からなる。
【0056】
スキャンインターバルI
iは、ネットワークスキャンを行う頻度を表す。
図3においては、周期長は、12時間であるので、スキャンインターバルI
iは、12時間の頻度でネットワークスキャンを行うことを示すI
1からなる。
【0057】
時刻tNは、正規化スキャン時刻である。スキャン時刻をtとし、ネットワークスキャンを行うシステムの開始時刻をtsとしたとき、正規化スキャン時刻tNは、t-tsである。即ち、正規化スキャン時刻tNは、ネットワークスキャンを行うシステムの開始時刻を基準とした時刻である。
【0058】
正規化スキャン時刻tNは、YYYY/MM/DD/hh/mm/ss(年/月/日/時/分/秒)によって表される。そして、正規化スキャン時刻tNは、ネットワークスキャンにおけるスキャンパケットをネットワークスキャンの対象である端末装置へ送信した時間を表す。
【0059】
図3においては、正規化スキャン時刻t
Nは、t
N_cdによって表され、cは、IPアドレスAdd
a_bの“a”に対応しており、dは、正規化スキャン時刻t
Nの順序を表す正の整数からなる。
【0060】
ポート番号PNrは、各端末装置が通信に用いるポートの番号である。ポート番号PNrの個数は、IPアドレスAdda_bごとに異なる。
【0061】
スキャン応答SRiは、各ポート番号PNrに対応して格納される。そして、スキャン応答SRiは、スキャン応答が返って来たとき、“1”からなり、スキャン応答が返って来なかったとき、“0”からなる。
【0062】
スキャン応答遅延RTTiは、各ポート番号PNrに対応して格納される。そして、スキャン応答遅延RTTiは、スキャンパケットを送信した時刻からスキャン応答SRiが返って来るまでの時間からなる。
【0063】
図4に示す対応表TBL2は、
図3に示す対応表TBL1と同じ構成からなる。そして、対応表TBL2は、周期長が24時間であるスキャン実施周期を設定してネットワークスキャンを実行するIPアドレスAdd
iと、IPアドレスAdd
iに対応付けられたスキャンインターバルI
i、時刻t
N、ポート番号PN
r、スキャン応答SR
i、およびスキャン応答遅延RTT
iとを含む。
【0064】
図4において、IPアドレスAdd
iは、B(Bは、正の整数)個のIPアドレスAdd
1_2~Add
B_2からなる。スキャンインターバルI
iは、24時間の頻度でネットワークスキャンを行うことを示すI
2からなる。
【0065】
対応表TBL2におけるその他の説明は、対応表TBL1における説明と同じである。
【0066】
図5に示す対応表TBL3は、
図3に示す対応表TBL1と同じ構成からなる。そして、対応表TBL3は、周期長が48時間であるスキャン実施周期を設定してネットワークスキャンを実行するIPアドレスAdd
iと、IPアドレスAdd
iに対応付けられたスキャンインターバルI
i、時刻t
N、ポート番号PN
r、スキャン応答SR
i、およびスキャン応答遅延RTT
iとを含む。
【0067】
図5において、IPアドレスAdd
iは、C(Cは、正の整数)個のIPアドレスAdd
1_3~Add
C_3からなる。スキャンインターバルI
iは、48時間の頻度でネットワークスキャンを行うことを示すI
4からなる。
【0068】
対応表TBL3におけるその他の説明は、対応表TBL1における説明と同じである。
【0069】
図3に示すIPアドレスAdd
iは、A個のIPアドレスAdd
1_1~かAdd
A_1からなり、
図4に示すIPアドレスAdd
iは、B個のIPアドレスAdd
1_2~かAdd
B_2からなり、
図5に示すIPアドレスAdd
iは、C個のIPアドレスAdd
1_3~かAdd
C_3からなる。そして、IPアドレスAdd
iの総数は、n(nは、n=A+B+Cからなる整数)個である。従って、IPアドレスAdd
1~Add
nは、12時間の頻度でネットワークスキャンが実行されるIPアドレスAdd
1_1~Add
A_1と、24時間の頻度でネットワークスキャンが実行されるIPアドレスAdd
1_2~Add
B_2と、48時間の頻度でネットワークスキャンが実行されるIPアドレスAdd
1_3~Add
C_3とからなる。
【0070】
図6は、スキャンインターバルの概念図である。
図6を参照して、この発明の実施の形態においては、θの時間長を有する区間SECが設定される。θは、スキャン実施周期の周期長である。この発明の実施の形態においては、上述したように、12時間の周期長を有するスキャン実施周期、24時間の周期長を有するスキャン実施周期および48時間の周期長を有するスキャン実施周期を設定してネットワークスキャンを実行するので、1つの区間SECのθは、これらの複数のスキャン実施周期のうちの周期長が最も短いスキャン実施周期に設定される。
【0071】
その結果、スキャンインターバルIiが“1”である場合、θ時間(=12時間)の頻度でネットワークスキャンが行われ、スキャンインターバルIiが“2”である場合、2θ時間(=24時間)の頻度でネットワークスキャンが行われ、スキャンインターバルIiが“4”である場合、4θ時間(=48時間)の頻度でネットワークスキャンが行われる。
【0072】
従って、
図3に示す対応表TBL1に格納されたIPアドレスAdd
1_1~Add
A_1に対するネットワークスキャンのスキャンスケジュールは、1個の区間SEC(=θ時間)ごとに作成され、
図4に示す対応表TBL2に格納されたIPアドレスAdd
1_2~Add
B_2に対するネットワークスキャンのスキャンスケジュールは、2個の区間SEC(=2θ時間)ごとに作成され、
図5に示す対応表TBL3に格納されたIPアドレスAdd
1_3~Add
C_3に対するネットワークスキャンのスキャンスケジュールは、4個の区間SEC(=4θ時間)ごとに作成される。
【0073】
より具体的には、タイミングtg1において、スキャンインターバルIiが“1”であるIPアドレスAdd1_1~AddA_1のスキャンスケジュール、スキャンインターバルIiが“2”であるIPアドレスAdd1_2~AddB_2のスキャンスケジュール、およびスキャンインターバルIiが“4”であるIPアドレスAdd1_3~AddC_3のスキャンスケジュールが作成される。
【0074】
そして、タイミングtg2において、スキャンインターバルIiが“1”であるIPアドレスAdd1_1~AddA_1のスキャンスケジュールのみが作成される。また、タイミングtg3において、スキャンインターバルIiが“1”であるIPアドレスAdd1_1~AddA_1のスキャンスケジュール、およびスキャンインターバルIiが“2”であるIPアドレスAdd1_2~AddB_2のスキャンスケジュールが作成される。更に、タイミングtg4において、スキャンインターバルIiが“1”であるIPアドレスAdd1_1~AddA_1のスキャンスケジュールのみが作成される。
【0075】
タイミングtg5以降は、上述したタイミングtg1~tg4におけるスキャンスケジュールの作成が繰り返される。
【0076】
その結果、
図3に示す対応表TBL1に格納されたIPアドレスAdd
1_1~Add
A_1に対するネットワークスキャンは、θ時間(=12時間)の頻度で実行され、
図4に示す対応表TBL2に格納されたIPアドレスAdd
1_2~Add
B_2に対するネットワークスキャンは、2θ時間(=24時間)の頻度で実行され、
図5に示す対応表TBL3に格納されたIPアドレスAdd
1_3~Add
C_3に対するネットワークスキャンは、4θ時間(=48時間)の頻度で実行される。
【0077】
図7は、周期的スキャンの概念図である。
図7を参照して、12時間の頻度でネットワークスキャンを行う場合、1つの区間SECごとに、0回目のスキャン、1回目のスキャン、2回目のスキャン、・・・、m回目のスキャンおよびm+1回目のスキャンが行われる。
【0078】
そして、1つの区間SECは、時間帯mθ/h,mθ/h+1,mθ/h+2,・・・の複数の時間帯からなる。
【0079】
例えば、1つの時間帯の時間長hを1時間とすると、θ=12時間であるので、θ内の時間帯は、0~11からなる。即ち、1つの区間SECには、12個の時間帯が存在する。なお、hは、θと周期の約数から選ばれるパラメータである。θ=12、L1=12、L2=24およびL3=48であるので、hは、1,2,3,4,6から選ばれるパラメータである。
【0080】
その結果、
図3に示す対応表TBL1に格納されたIPアドレスAdd
1_1~Add
A_1に対するスキャンインターバルI
iは、“1”であるので、IPアドレスAdd
1_1~Add
A_1に対するネットワークスキャンは、1つの区間SECの12個の時間帯において繰り返し行われる。
【0081】
また、
図4に示す対応表TBL2に格納されたIPアドレスAdd
1_2~Add
B_2に対するスキャンインターバルI
iは、“2”であるので、IPアドレスAdd
1_2~Add
B_2に対するネットワークスキャンは、2つの区間SECの24個の時間帯において繰り返し行われる。
【0082】
更に、
図5に示す対応表TBL2に格納されたIPアドレスAdd
1_3~Add
C_3に対するスキャンインターバルI
iは、“4”であるので、IPアドレスAdd
1_3~Add
C_3に対するネットワークスキャンは、4つの区間SECの48個の時間帯において繰り返し行われる。
【0083】
図8は、3個の周期における時間帯の比較を示す図である。
図8においては、周期長が最も長い48時間の周期長に合わせて12時間の周期長を有する周期、24時間の周期長を有する周期、および48時間の周期長を有する周期を比較する。
【0084】
図8を参照して、スキャンインターバルI
iが“1”であるIPアドレスAdd
1_1~Add
A_1に対するネットワークスキャンは、48時間の間に12個の時間帯(“0”~“11”の時間帯)において4回実行され、スキャンインターバルI
iが“2”であるIPアドレスAdd
1_2~Add
B_2に対するネットワークスキャンは、48時間の間に24個の時間帯(“0”~“23”の時間帯)において2回実行され、スキャンインターバルI
iが“4”であるIPアドレスAdd
1_3~Add
C_3に対するネットワークスキャンは、48時間の間に48個の時間帯(“0”~“47”の時間帯)において1回実行される。
【0085】
そして、スキャンインターバルIiが“1”であるIPアドレスAdd1_1~AddA_1に対するネットワークスキャンのスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiは、12個の時間帯(“0”~“11”の時間帯)におけるデータとして取得される。即ち、“0”の時間帯で1回目、2回目、3回目および4回目に実行されたネットワークスキャンのスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiは、全て、“0”の時間帯のスキャン結果として1つの“0”の時間帯におけるデータとして取得される。“1”~“11”の各々の時間帯で1回目、2回目、3回目および4回目に実行されたネットワークスキャンのスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiも、同様に、全て、それぞれ“1”~“11”の時間帯のスキャン結果としてそれぞれ1つの“1”~“11”の時間帯におけるデータとして取得される。
【0086】
また、スキャンインターバルIiが“2”であるIPアドレスAdd1_2~AddB_2に対するネットワークスキャンのスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiは、24個の時間帯(“0”~“23”の時間帯)におけるデータとして取得される。即ち、“0”の時間帯で1回目および2回目に実行されたネットワークスキャンのスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiは、全て、“0”の時間帯のスキャン結果として1つの“0”の時間帯に格納される。“1”~“23”の各々の時間帯で1回目および2回目に実行されたネットワークスキャンのスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiも、同様に、全て、それぞれ“1”~“23”の時間帯のスキャン結果としてそれぞれ1つの“1”~“23”の時間帯におけるデータとして取得される。
【0087】
更に、スキャンインターバルIiが“4”であるIPアドレスAdd1_3~AddC_3に対するネットワークスキャンのスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiは、48個の時間帯(“0”~“47”の時間帯)におけるデータとして取得される。即ち、“0”の時間帯で1回目に実行されたネットワークスキャンのスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiは、“0”の時間帯のスキャン結果として“0”の時間帯におけるデータとして取得される。“1”~“47”の各々の時間帯で1回目に実行されたネットワークスキャンのスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiも、同様に、全て、それぞれ“1”~“47”の時間帯のスキャン結果としてそれぞれ1つの“1”~“47”の時間帯におけるデータとして取得される。
【0088】
そうすると、スキャンインターバルIiが“1”である場合、“0”の時間帯で実行されたネットワークスキャンのスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiは、1日目の午前零時から午前1時までの時間帯において取得されたスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTi、1日目の12時から午後1時までの時間帯において取得されたスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTi、2日目の午前零時から午前1時までの時間帯において取得されたスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTi、および2日目の12時から午後1時までの時間帯において取得されたスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiは、全て、1つの“0”の時間帯におけるデータとして取得される。“1”~“11”の各時間帯で実行されたネットワークスキャンのスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiについても、異なる時間で取得されたスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiは、それぞれ、“1”~“11”の1つの時間帯におけるデータとして取得される。
【0089】
また、スキャンインターバルIiが“2”である場合、“0”の時間帯で実行されたネットワークスキャンのスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiは、1日目の午前零時から午前1時までの時間帯において取得されたスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTi、および2日目の午前零時から午前1時までの時間帯において取得されたスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiは、全て、1つの“0”の時間帯におけるデータとして取得される。“1”~“23”の各時間帯で実行されたネットワークスキャンのスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiについても、異なる時間で取得されたスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiは、それぞれ、“1”~“23”の1つの時間帯におけるデータとして取得される。
【0090】
更に、スキャンインターバルIiが“4”である場合、“0”の時間帯で実行されたネットワークスキャンのスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiは、1日目の午前零時から午前1時までの時間帯において取得されたスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiのみが1つの“0”の時間帯におけるデータとして取得される。“1”~“47”の各時間帯で実行されたネットワークスキャンのスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiについても、1つの時間で取得されたスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiだけが、それぞれ、“1”~“47”の1つの時間帯におけるデータとして取得される。
【0091】
従って、12時間の周期長を有する周期、24時間の周期長を有する周期、および48時間の周期長を有する周期を設定してネットワークスキャンを実行したときのスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiを解析することによって、2日間の各時間において通信状況を詳細に分析できる。
【0092】
より具体的には、12時間の周期長を有する周期でネットワークスキャンが行われ、“0”~“11”の各時間帯におけるデータとして取得されたスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiは、ネットワークスキャンが行われた時間帯が異なるにも拘わらず、同じ1つの時間帯(“0”~“11”の各時間帯)におけるデータとして取得されるので、例えば、1日目の午前零時から午前1時までの時間帯(“0”の時間帯)で取得されたスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiを分析した結果と、1日目の午後零時から午後1時までの時間帯(“0”の時間帯)で取得されたスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiを分析した結果とが同じであるか異なるかを分析できない。
【0093】
しかし、24時間の周期長を有する周期でネットワークスキャンが行われ、1日目の午前零時から午前1時までの時間帯で取得されたスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiは、“0”の時間帯におけるデータとして取得され、1日目の午後零時から午後1時までの時間帯で取得されたスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiは、“13”の時間帯におけるデータとして取得されるので、24時間の周期長を有する周期でネットワークスキャンが行われたときの“0”の時間帯で取得されたデータ(スキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTi)と、“13”の時間帯で取得されたデータ(スキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTi)とを分析することによって、1日目の午前零時から午前1時までの時間帯における通信状況が1日目の午後零時から午後1時までの時間帯における通信状況と同じであるか否かを詳細に分析できる。
【0094】
このことは、24時間の周期長を有する周期でネットワークスキャンが行われた場合と、48時間の周期長を有する周期でネットワークスキャンが行われた場合とについても当てはまり、12時間の周期長を有する周期でネットワークスキャンが行われた場合と、48時間の周期長を有する周期でネットワークスキャンが行われた場合とについても当てはまる。
【0095】
その結果、12時間の周期長を有する周期、24時間の周期長を有する周期、および48時間の周期長を有する周期を設定してネットワークスキャンを実行したときのスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiを解析することによって、2日間の各時間において通信状況を詳細に分析できる。
【0096】
スキャンスケジュールの作成方法について説明する。スキャンスケジュールの作成に用いる変数および記号を表1に示す。
【0097】
【0098】
表1において、μL
τ,i、σL
τ,i、ηL
τ,iおよびnL
τ,iは、推定変数である。そして、推定変数は、時間帯τに対して周期性を有する。これを容易に扱うために、式(1)の関係が成立するものとする。
【0099】
【0100】
式(1)において、Xは、周期長が12時間である周期L1、周期長が24時間である周期L2、および周期長が48時間である周期L3のいずれかを表す。
【0101】
また、周期長が12時間である周期L1、周期長が24時間である周期L2、および周期長が48時間である周期L3のいずれかを基底周期baseに指定する。基底周期baseは、一般的には、周期長が24時間である周期からなる。
【0102】
スキャンスケジューラ14は、対応表TBL1~TBL3における正規化スキャン時刻tNに基づいて、次式(2)によって各IPアドレスAddiに対応するスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiが属する時間帯τを算出する。
【0103】
【0104】
式(2)における[・]は、括弧内の値以下の最大の整数を求める関数である。従って、式(2)の演算結果は、正規化スキャン時刻tNが属する時間帯が1つの周期の開始端から何番目の時間帯に属するかを表す。
【0105】
スキャンスケジューラ14は、対応表TBL1~TBL3における正規化スキャン時刻tNの全てに基づいて、式(2)によって、対応表TBL1~TBL3における全てのIPアドレスAddiに対応するスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiが属する時間帯τを算出する。
【0106】
スキャンスケジューラ14は、正規化スキャン時刻tNが属する時間帯τを算出すると、次式によって全ての推定変数を更新する。
【0107】
【0108】
式(3A),(3B)におけるCは、混雑度である。混雑度は、例えば、スキャン応答遅延であり、またはスキャン応答遅延より求めた指数を用いてもよい。
【0109】
図9は、周期長が12時間であるスキャン実施周期の各時間帯において取得されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iを周期長が12時間である周期の各時間帯におけるスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iとする方法を説明するための図である。
【0110】
図9を参照して、式(2)によって算出された時間帯τが12時間の周期長を有する周期の“0”の時間帯τ
0であるとすると、スキャンスケジューラ14は、正規化スキャン時刻t
Nが0~1時,12~13時,24~25時,36~37時である正規化スキャン時刻t
Nに対応付けられたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
i(
図9に示す時間帯τ
0_1,τ
0_2,τ
0_3,τ
0_4において取得されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
i)を時間帯τ
0におけるスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iとする。
【0111】
式(2)によって算出された時間帯τが12時間の周期長を有する周期の“1”~“11”の時間帯τ1~τ11のいずれかであるとすると、スキャンスケジューラ14は、12時間の周期長を有するスキャン実施周期の“1”~“11”の時間帯τ1_1~τ11_1,τ1_2~τ11_2,τ1_3~τ11_3,τ1_4~τ11_4において取得されたスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiについても、同様に、それぞれ、時間帯τ1~τ11におけるスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiとする。
【0112】
図10は、周期長が12時間であるスキャン実施周期の各時間帯において取得されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iを周期長が24時間である周期の各時間帯におけるスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iとする方法を説明するための図である。
【0113】
図10を参照して、式(2)によって算出された時間帯τが24時間の周期長を有する周期の“0”の時間帯τ
0であるとすると、スキャンスケジューラ14は、正規化スキャン時刻t
Nが0~1時,24~25時である正規化スキャン時刻t
Nに対応付けられたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
i(
図10に示す時間帯τ
0_1,τ
0_3において取得されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
i)を時間帯τ
0におけるスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iとする。
【0114】
また、スキャンスケジューラ14は、正規化スキャン時刻t
Nが12~13時,36~37時である正規化スキャン時刻t
Nに対応付けられたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
i(
図10に示す時間帯τ
0_2,τ
0_4において取得されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
i)を時間帯τ
12におけるスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iとする。
【0115】
スキャンスケジューラ14は、12時間の周期長を有するスキャン実施周期の“1”~“11”の時間帯τ1_1~τ11_1,τ1_2~τ11_2,τ1_3~τ11_3,τ1_4~τ11_4において取得されたスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiについても、同様に、それぞれ、時間帯τ1~τ11,τ13~τ23におけるスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiとする。
【0116】
図11は、周期長が12時間であるスキャン実施周期の各時間帯において取得されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iを周期長が48時間である周期の各時間帯におけるスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iとする方法を説明するための図である。
【0117】
図11を参照して、式(2)によって算出された時間帯τが48時間の周期長を有する周期の“0”の時間帯τ
0であるとすると、スキャンスケジューラ14は、正規化スキャン時刻t
Nが0~1時である正規化スキャン時刻t
Nに対応付けられたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
i(
図11に示す時間帯τ
0_1において取得されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
i)を時間帯τ
0におけるスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iとする。
【0118】
また、スキャンスケジューラ14は、正規化スキャン時刻t
Nが12~13時である正規化スキャン時刻t
Nに対応付けられたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
i(
図11に示す時間帯τ
0_2において取得されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
i)を時間帯τ
12におけるスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iとする。
【0119】
更に、スキャンスケジューラ14は、正規化スキャン時刻t
Nが24~25時である正規化スキャン時刻t
Nに対応付けられたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
i(
図11に示す時間帯τ
0_3において取得されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
i)を時間帯τ
24におけるスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iとする。
【0120】
更に、スキャンスケジューラ14は、正規化スキャン時刻t
Nが36~37時である正規化スキャン時刻t
Nに対応付けられたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
i(
図11に示す時間帯τ
0_4において取得されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
i)を時間帯τ
36におけるスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iとする。
【0121】
スキャンスケジューラ14は、12時間の周期長を有するスキャン実施周期の“1”~“11”の時間帯τ1_1~τ11_1,τ1_2~τ11_2,τ1_3~τ11_3,τ1_4~τ11_4において取得されたスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiについても、同様に、それぞれ、時間帯τ1~τ11,τ13~τ23,τ25~τ35,τ37~τ47におけるスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiとする。
【0122】
その後、スキャンスケジューラ14は、
図9に示す周期長が12時間である周期L
1の時間帯τ
0~τ
11の各々に格納されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iに基づいて時間帯τ
0~τ
11の各々におけるスキャン応答遅延RTT
iに対応する混雑度の平均μ
L1
τ,i、標準偏差σ
L1
τ,iおよび分散η
L1
τ,iを算出するとともにネットワークスキャンが成功した成功個数n
L1
τ,iを算出する。
【0123】
なお、スキャンスケジューラ14は、1つのIPアドレスAddiに対応する複数のスキャン応答SRiおよび複数のスキャン応答遅延RTTiが格納されている場合、1つのIPアドレスAddiに対応する複数のスキャン応答遅延RTTiに対応する複数の混雑度の平均値を算出し、その算出した平均値を1つのIPアドレスAddiに対応するスキャン応答遅延RTTiに対応する混雑度として1つの時間帯(時間帯τ0~τ11のいずれか)におけるスキャン応答遅延RTTiに対応する混雑度の平均μL1
τ,i、標準偏差σL1
τ,iおよび分散ηL1
τ,iを、1つのIPアドレスAddiに対応し、かつ、“1”からなる複数のスキャン応答SRiの数だけ式(3)の演算を実行することによって算出する。ここで、「スキャン応答遅延RTTiに対応する混雑度」とは、混雑度が、上述したように、例えば、スキャン応答遅延、またはスキャン応答遅延より求めた指数からなるので、スキャン応答遅延RTTiに対応して求められた混雑度を言う。
【0124】
また、スキャンスケジューラ14は、
図10に示す周期長が24時間である周期L
2の時間帯τ
0~τ
23の各々に格納されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iに基づいて時間帯τ
0~τ
23の各々におけるスキャン応答遅延RTT
iに対応する混雑度の平均μ
L2
τ,i、標準偏差σ
L2
τ,iおよび分散η
L2
τ,iを算出するとともにネットワークスキャンが成功した成功個数n
L2
τ,iを算出する。この場合の平均μ
L2
τ,i、標準偏差σ
L2
τ,i、分散η
L2
τ,iおよび成功個数n
L2
τ,iの詳細な算出方法は、
図9に示す周期L
1におけるスキャン応答遅延RTT
iに対応する混雑度の平均μ
L1
τ,i、標準偏差σ
L1
τ,i、分散η
L1
τ,iおよび成功個数n
L1
τ,iの詳細な算出方法と同じである。
【0125】
更に、スキャンスケジューラ14は、
図11に示す周期長が48時間である周期L
3の時間帯τ
0~τ
47の各々に格納されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iに基づいて時間帯τ
0~τ
47の各々におけるスキャン応答遅延RTT
iに対応する混雑度の平均μ
L3
τ,i、標準偏差σ
L3
τ,iおよび分散η
L3
τ,iを算出するとともにネットワークスキャンが成功した成功個数n
L3
τ,iを算出する。この場合の平均μ
L3
τ,i、標準偏差σ
L3
τ,i、分散η
L3
τ,iおよび成功個数n
L3
τ,iの詳細な算出方法は、
図9に示す周期L
1におけるスキャン応答遅延RTT
iに対応する混雑度の平均μ
L1
τ,i、標準偏差σ
L1
τ,i、分散η
L1
τ,iおよび成功個数n
L1
τ,iの詳細な算出方法と同じである。
【0126】
図12は、周期長が24時間であるスキャン実施周期の各時間帯において取得されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iを周期長が12時間である周期の各時間帯におけるスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iとする方法を説明するための図である。
【0127】
図12を参照して、式(2)によって算出された時間帯τが12時間の周期長を有する周期の“0”の時間帯τ
0であるとすると、スキャンスケジューラ14は、正規化スキャン時刻t
Nが0~1時,24~25時である正規化スキャン時刻t
Nに対応付けられたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
i(
図12に示す時間帯τ
0_1,τ
0_2において取得されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
i)と、正規化スキャン時刻t
Nが12~13時,36~37時である正規化スキャン時刻t
Nに対応付けられたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
i(
図12に示す時間帯τ
12_1,τ
12_2において取得されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
i)とを時間帯τ
0におけるスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iとする。
【0128】
式(2)によって算出された時間帯τが12時間の周期長を有する周期の“1”~“11”の時間帯τ1~τ11のいずれかであるとすると、スキャンスケジューラ14は、24時間の周期長を有するスキャン実施周期の“1”~“11”,“13”~“23”の時間帯τ1_1~τ11_1,τ13_1~τ23_1,τ1_2~τ11_2,τ13_2~τ23_2において取得されたスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiについても、同様に、それぞれ、時間帯τ1~τ11におけるスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiとする。
【0129】
図13は、周期長が24時間であるスキャン実施周期の各時間帯において取得されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iを周期長が24時間である周期の各時間帯におけるスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iとする方法を説明するための図である。
【0130】
図13を参照して、式(2)によって算出された時間帯τが24時間の周期長を有する周期の“0”の時間帯τ
0であるとすると、スキャンスケジューラ14は、正規化スキャン時刻t
Nが0~1時,24~25時である正規化スキャン時刻t
Nに対応付けられたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
i(
図13に示す時間帯τ
0_1,τ
0_2において取得されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
i)を時間帯τ
0におけるスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iとする。
【0131】
また、スキャンスケジューラ14は、正規化スキャン時刻t
Nが12~13時,36~37時である正規化スキャン時刻t
Nに対応付けられたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
i(
図13に示す時間帯τ
12_1,τ
12_2において取得されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
i)を時間帯τ
12におけるスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iとする。
【0132】
スキャンスケジューラ14は、24時間の周期長を有するスキャン実施周期の“1”~“11”,“13”~“23”の時間帯τ1_1~τ11_1,τ13_1~τ23_1,τ1_2~τ11_2,τ13_2~τ23_2において取得されたスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiについても、同様に、それぞれ、時間帯τ1~τ11,τ13~τ23におけるスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiとする。
【0133】
図14は、周期長が24時間であるスキャン実施周期の各時間帯において取得されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iを周期長が48時間である周期の各時間帯におけるスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iとする方法を説明するための図である。
【0134】
図14を参照して、式(2)によって算出された時間帯τが48時間の周期長を有する周期の“0”の時間帯τ
0であるとすると、スキャンスケジューラ14は、正規化スキャン時刻t
Nが0~1時である正規化スキャン時刻t
Nに対応付けられたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
i(
図14に示す時間帯τ
0_1において取得されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
i)を時間帯τ
0におけるスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iとする。
【0135】
また、スキャンスケジューラ14は、正規化スキャン時刻t
Nが12~13時である正規化スキャン時刻t
Nに対応付けられたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
i(
図14に示す時間帯τ
12_1において取得されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
i)を時間帯τ
12におけるスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iとする。
【0136】
更に、スキャンスケジューラ14は、正規化スキャン時刻t
Nが24~25時である正規化スキャン時刻t
Nに対応付けられたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
i(
図14に示す時間帯τ
0_2において取得されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
i)を時間帯τ
24におけるスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iとする。
【0137】
更に、スキャンスケジューラ14は、正規化スキャン時刻t
Nが36~37時である正規化スキャン時刻t
Nに対応付けられたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
i(
図14に示す時間帯τ
12_2において取得されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
i)を時間帯τ
36におけるスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iとする。
【0138】
スキャンスケジューラ14は、24時間の周期長を有するスキャン実施周期の“1”~“11”,“13”~“23”の時間帯τ1_1~τ11_1,τ13_1~τ23_1,τ1_2~τ11_2,τ13_2~τ23_2において取得されたスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiについても、同様に、それぞれ、時間帯τ1~τ11,τ13~τ23,τ25~τ35,τ37~τ47におけるスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiとする。
【0139】
その後、スキャンスケジューラ14は、
図12に示す周期長が12時間である周期L
1の時間帯τ
0~τ
11の各々に格納されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iに基づいて時間帯τ
0~τ
11の各々におけるスキャン応答遅延RTT
iに対応する混雑度の平均μ
L1
τ,i、標準偏差σ
L1
τ,iおよび分散η
L1
τ,iを算出するとともにネットワークスキャンが成功した成功個数n
L1
τ,iを算出する。
【0140】
この場合、平均μ
L1
τ,i、標準偏差σ
L1
τ,i、分散η
L1
τ,iおよび成功個数n
L1
τ,iの詳細な算出方法は、
図9に示す周期L
1におけるスキャン応答遅延RTT
iに対応する混雑度の平均μ
L1
τ,i、標準偏差σ
L1
τ,i、分散η
L1
τ,iおよび成功個数n
L1
τ,iの詳細な算出方法と同じである。
【0141】
また、スキャンスケジューラ14は、
図13に示す周期長が24時間である周期L
2の時間帯τ
0~τ
23の各々に格納されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iに基づいて時間帯τ
0~τ
23の各々におけるスキャン応答遅延RTT
iに対応する混雑度の平均μ
L2
τ,i、標準偏差σ
L2
τ,iおよび分散η
L2
τ,iを算出するとともにネットワークスキャンが成功した成功個数n
L2
τ,iを算出する。この場合の平均μ
L2
τ,i、標準偏差σ
L2
τ,i、分散η
L2
τ,iおよび成功個数n
L2
τ,iの詳細な算出方法は、
図9に示す周期L
1におけるスキャン応答遅延RTT
iに対応する混雑度の平均μ
L1
τ,i、標準偏差σ
L1
τ,i、分散η
L1
τ,iおよび成功個数n
L1
τ,iの詳細な算出方法と同じである。
【0142】
更に、スキャンスケジューラ14は、
図14に示す周期長が48時間である周期L
3の時間帯τ
0~τ
47の各々に格納されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iに基づいて時間帯τ
0~τ
47の各々におけるスキャン応答遅延RTT
iに対応する混雑度の平均μ
L3
τ,i、標準偏差σ
L3
τ,iおよび分散η
L3
τ,iを算出するとともにネットワークスキャンが成功した成功個数n
L3
τ,iを算出する。この場合の平均μ
L3
τ,i、標準偏差σ
L3
τ,i、分散η
L3
τ,iおよび成功個数n
L3
τ,iの詳細な算出方法は、
図9に示す周期L
1におけるスキャン応答遅延RTT
iに対応する混雑度の平均μ
L1
τ,i、標準偏差σ
L1
τ,i、分散η
L1
τ,iおよび成功個数n
L1
τ,iの詳細な算出方法と同じである。
【0143】
図15は、周期長が48時間であるスキャン実施周期の各時間帯において取得されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iを周期長が12時間である周期の各時間帯におけるスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iとする方法を説明するための図である。
【0144】
図15を参照して、式(2)によって算出された時間帯τが12時間の周期長を有する周期の“0”の時間帯τ
0であるとすると、スキャンスケジューラ14は、正規化スキャン時刻t
Nが0~1時、12~13時、24~25時、36~37時である正規化スキャン時刻t
Nに対応付けられたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
i(
図15に示す時間帯τ
0_1,τ
12_1,τ
24_1,τ
36_1において取得されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
i)を時間帯τ
0におけるスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iとする。
【0145】
式(2)によって算出された時間帯τが12時間の周期長を有する周期の“1”~“11”の時間帯τ1~τ11のいずれかであるとすると、スキャンスケジューラ14は、48時間の周期長を有するスキャン実施周期の“1”~“11”,“13”~“23”,“25”~“35”,“37”~“47”の時間帯τ1_1~τ11_1,τ13_1~τ23_1,τ25_1~τ35_1,τ37_1~τ47_1において取得されたスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiについても、同様に、それぞれ、時間帯τ1~τ11におけるスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiとする。
【0146】
図16は、周期長が48時間であるスキャン実施周期の各時間帯において取得されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iを周期長が24時間である周期の各時間帯におけるスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iとする方法を説明するための図である。
【0147】
図16を参照して、式(2)によって算出された時間帯τが24時間の周期長を有する周期の“0”の時間帯τ
0であるとすると、スキャンスケジューラ14は、正規化スキャン時刻t
Nが0~1時、24~25時である正規化スキャン時刻t
Nに対応付けられたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
i(
図16に示す時間帯τ
0_1,τ
24_1において取得されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
i)を時間帯τ
0におけるスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iとする。
【0148】
また、スキャンスケジューラ14は、正規化スキャン時刻t
Nが12~13時、36~37時である正規化スキャン時刻t
Nに対応付けられたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
i(
図16に示す時間帯τ
12_1,τ
36_1において取得されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
i)を時間帯τ
12におけるスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iとする。
【0149】
更に、スキャンスケジューラ14は、48時間の周期長を有するスキャン実施周期の“1”~“11”,“25”~“35”の時間帯τ1_1~τ11_1,τ25_1~τ35_1において取得されたスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiについても、同様に、それぞれ、時間帯τ1~τ11におけるスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiとする。
【0150】
更に、スキャンスケジューラ14は、48時間の周期長を有するスキャン実施周期の“13”~“23”,“37”~“47”の時間帯τ13_1~τ23_1,τ37_1~τ47_1において取得されたスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiについても、同様に、それぞれ、時間帯τ13~τ23におけるスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiとする。
【0151】
図17は、周期長が48時間であるスキャン実施周期の各時間帯において取得されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iを周期長が48時間である周期の各時間帯におけるスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iとする方法を説明するための図である。
【0152】
図17を参照して、式(2)によって算出された時間帯τが48時間の周期長を有する周期の“0”の時間帯τ
0であるとすると、スキャンスケジューラ14は、正規化スキャン時刻t
Nが0~1時である正規化スキャン時刻t
Nに対応付けられたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
i(
図17に示す時間帯τ
0_1において取得されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
i)を時間帯τ
0におけるスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iとする。
【0153】
また、スキャンスケジューラ14は、正規化スキャン時刻t
Nが12~13時である正規化スキャン時刻t
Nに対応付けられたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
i(
図17に示す時間帯τ
12_1において取得されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
i)を時間帯τ
12におけるスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iとする。
【0154】
更に、スキャンスケジューラ14は、正規化スキャン時刻t
Nが24~25時である正規化スキャン時刻t
Nに対応付けられたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
i(
図17に示す時間帯τ
24_1において取得されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
i)を時間帯τ
24におけるスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iとする。
【0155】
更に、スキャンスケジューラ14は、正規化スキャン時刻t
Nが36~37時である正規化スキャン時刻t
Nに対応付けられたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
i(
図17に示す時間帯τ
36_1において取得されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
i)を時間帯τ
36におけるスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iとする。
【0156】
スキャンスケジューラ14は、48時間の周期長を有するスキャン実施周期の“1”~“11”,“13”~“23”,“25”~“35”,“37”~“47”の時間帯τ1_1~τ11_1,τ13_1~τ23_1,τ25_1~τ35_1,τ37_1~τ47_1において取得されたスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiについても、同様に、それぞれ、時間帯τ1~τ11,τ13~τ23,τ25~τ35,τ37~τ47におけるスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiとする。
【0157】
その後、スキャンスケジューラ14は、
図15に示す周期長が12時間である周期L
1の時間帯τ
0~τ
11の各々に格納されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iに基づいて時間帯τ
0~τ
11の各々におけるスキャン応答遅延RTT
iに対応する混雑度の平均μ
L1
τ,i、標準偏差σ
L1
τ,iおよび分散η
L1
τ,iを算出するとともにネットワークスキャンが成功した成功個数n
L1
τ,iを算出する。
【0158】
この場合、平均μ
L1
τ,i、標準偏差σ
L1
τ,i、分散η
L1
τ,iおよび成功個数n
L1
τ,iの詳細な算出方法は、
図9に示す周期L
1におけるスキャン応答遅延RTT
iに対応する混雑度の平均μ
L1
τ,i、標準偏差σ
L1
τ,i、分散η
L1
τ,iおよび成功個数n
L1
τ,iの詳細な算出方法と同じである。
【0159】
また、スキャンスケジューラ14は、
図16に示す周期長が24時間である周期L
2の時間帯τ
0~τ
23の各々に格納されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iに基づいて時間帯τ
0~τ
23の各々におけるスキャン応答遅延RTT
iに対応する混雑度の平均μ
L2
τ,i、標準偏差σ
L2
τ,iおよび分散η
L2
τ,iを算出するとともにネットワークスキャンが成功した成功個数n
L2
τ,iを算出する。この場合の平均μ
L2
τ,i、標準偏差σ
L2
τ,i、分散η
L2
τ,iおよび成功個数n
L2
τ,iの詳細な算出方法は、
図9に示す周期L
1におけるスキャン応答遅延RTT
iに対応する混雑度の平均μ
L1
τ,i、標準偏差σ
L1
τ,i、分散η
L1
τ,iおよび成功個数n
L1
τ,iの詳細な算出方法と同じである。
【0160】
更に、スキャンスケジューラ14は、
図17に示す周期長が48時間である周期L
3の時間帯τ
0~τ
47の各々に格納されたスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iに基づいて時間帯τ
0~τ
47の各々におけるスキャン応答遅延RTT
iに対応する混雑度の平均μ
L3
τ,i、標準偏差σ
L3
τ,iおよび分散η
L3
τ,iを算出するとともにネットワークスキャンが成功した成功個数n
L3
τ,iを算出する。この場合の平均μ
L3
τ,i、標準偏差σ
L3
τ,i、分散η
L3
τ,iおよび成功個数n
L3
τ,iの詳細な算出方法は、
図9に示す周期L
1におけるスキャン応答遅延RTT
iに対応する混雑度の平均μ
L1
τ,i、標準偏差σ
L1
τ,i、分散η
L1
τ,iおよび成功個数n
L1
τ,iの詳細な算出方法と同じである。
【0161】
スキャンスケジューラ14は、対応表TBL1に格納されたIPアドレスAdd
1-1~Add
A-1、対応表TBL2に格納されたIPアドレスAdd
1-2~Add
B-2、および対応表TBL3に格納されたIPアドレスAdd
1-3~Add
C-3について、それぞれ、
図9から
図11において説明した方法による平均μ
L1
τ,i、標準偏差σ
L1
τ,i、分散η
L1
τ,iおよび成功個数n
L1
τ,iの算出、
図12から
図14において説明した方法による平均μ
L1
τ,i、標準偏差σ
L1
τ,i、分散η
L1
τ,iおよび成功個数n
L1
τ,iの算出、および
図15から
図17において説明した方法による平均μ
L1
τ,i、標準偏差σ
L1
τ,i、分散η
L1
τ,iおよび成功個数n
L1
τ,iの算出を並列に古い時間帯から順番に実行する。
【0162】
その後、スキャンスケジューラ14は、
図9から
図11において説明した方法によって算出された周期L
1の“0”~“11”の時間帯τ
0~τ
11における平均μ
L1
τ,i、
図12から
図14において説明した方法によって算出された周期L
1の“0”~“11”の時間帯τ
0~τ
11における平均μ
L1
τ,iおよび、
図15から
図17において説明した方法によって算出された周期L
1の“0”~“11”の時間帯τ
0~τ
11における平均μ
L1
τ,iをサンプルとし、そのサンプルとした平均μ
L1
τ,iを最終的に時間帯τ
0~τ
11における平均μ
L1
τ,iとする。つまり、
図9に示す時間帯τ
0における平均μ
L1
τ,iと、
図12に示す時間帯τ
0における平均μ
L1
τ,iと、
図15に示す時間帯τ
0における平均μ
L1
τ,iとからなるサンプルを最終的に時間帯τ
0における平均μ
L1
τ,iとする。時間帯τ
1~τ
11における平均μ
L1
τ,iについても同様である。
【0163】
なお、標準偏差σL1
τ,i、分散ηL1
τ,iおよび成功個数nL1
τ,iについても同様にして、最終的に時間帯τ0~τ11における標準偏差σL1
τ,i、分散ηL1
τ,iおよび成功個数nL1
τ,iとする。
【0164】
図18は、スキャンインターバルが4であるIPアドレスに対する各時間帯における周期を決定する方法を説明するための図である。スキャンインターバル4に対応するスキャン対象区間4θの各時間帯における周期を決定するため、
図18においては、48時間の時間長について、周期長が12時間である周期の各時間帯、周期長が24時間である周期の各時間帯、および周期長が48時間である周期の各時間帯が図示されている。
【0165】
図18を参照して、スキャンスケジューラ14は、周期L
1の“0”の時間帯τ
0_1における分散η
L1
τ,i、周期L
2の“0”の時間帯τ
0_2における分散η
L2
τ,i、および周期L
3の“0”の時間帯τ
0_3における分散η
L3
τ,iから最小の分散η
minを検出し、その検出した最小の分散η
minに対応する周期(周期L
1~L
3のいずれか)をスケジューリング対象の区間4θの“0”の時間帯τ
0における周期e
τ0とする。この場合、分散η
L1
τ,i、分散η
L2
τ,i、および分散η
L3
τ,iのうち、最小の分散が複数ある場合、スキャンスケジューラ14は、その複数の最小の分散η
minに対応する複数の周期のうち、任意の周期を時間帯τ
0における周期e
τ0とする。
【0166】
スキャンスケジューラ14は、“1”~“11”の時間帯τ1~τ11について、時間帯τ0と同様にして、時間帯τ1~τ11における周期eτ1~eτ11を決定する。
【0167】
スキャンスケジューラ14は、周期L2の“12”の時間帯τ12について、時間帯τ12_1に対応する周期L1の“0”の時間帯τ0_1における分散ηL1
τ,i、周期L2の“12”の時間帯τ12_1における分散ηL2
τ,i、および周期L3の“12”の時間帯τ12_2における分散ηL3
τ,iから最小の分散ηminを検出し、その検出した最小の分散ηminに対応する周期(周期L1~L3のいずれか)をスケジューリング対象の区間4θの“12”の時間帯τ12における周期eτ12とする。この場合も、最小の分散が複数ある場合、上述した方法によって時間帯τ12における周期eτ12を決定する。
【0168】
スキャンスケジューラ14は、“13”~“23”の時間帯τ13~τ23について、時間帯τ12と同様にして、時間帯τ13~τ23における周期eτ13~eτ23を決定する。
【0169】
スキャンスケジューラ14は、周期L3の“24”の時間帯τ24について、時間帯τ24に対応する周期L1の“0”の時間帯τ0_1における分散ηL1
τ,i、時間帯τ24に対応する周期L2の“0”の時間帯τ0_2における分散ηL2
τ,i、および周期L3の“24”の時間帯τ24における分散ηL3
τ,iから最小の分散ηminを検出し、その検出した最小の分散ηminに対応する周期(周期L1~L3のいずれか)をスケジューリング対象の区間4θの“24”の時間帯τ24における周期eτ24とする。この場合も、最小の分散が複数ある場合、上述した方法によって時間帯τ24における周期eτ24を決定する。
【0170】
スキャンスケジューラ14は、“25”~“35”の時間帯τ25~τ35について、時間帯τ24と同様にして、時間帯τ25~τ35における周期eτ25~eτ35を決定する。
【0171】
スキャンスケジューラ14は、周期L3の“36”の時間帯τ36について、時間帯τ36に対応する周期L1の“0”の時間帯τ0_1における分散ηL1
τ,i、時間帯τ36に対応する周期L2の“12”の時間帯τ12_1における分散ηL2
τ,i、および周期L3の“36”の時間帯τ36における分散ηL3
τ,iから最小の分散ηminを検出し、その検出した最小の分散ηminに対応する周期(周期L1~L3のいずれか)をスケジューリング対象の区間4θの“36”の時間帯τ36における周期eτ0とする。この場合も、最小の分散が複数ある場合、上述した方法によって時間帯τ36における周期eτ36を決定する。
【0172】
スキャンスケジューラ14は、“37”~“47”の時間帯τ37~τ47について、時間帯τ36と同様にして、時間帯τ37~τ47における周期eτ37~eτ47を決定する。
【0173】
即ち、スキャンスケジューラ14は、次式によって、スキャンインターバルが4である場合の時間帯τ0~τ47における周期eτ0~eτ47を決定する。
【0174】
【0175】
そして、スキャンスケジューラ14は、時間帯τ0~τ47の周期eτ0~eτ47を決定すると、その決定した時間帯τ0~τ47の周期eτ0~eτ47(周期eτ0~eτ47の各々を決定する元になった周期)における時間帯τ0~τ47に格納されたスキャン応答遅延RTTiに対応する混雑度の平均μL
τ,i、標準偏差σL
τ,i、分散ηL
τ,i、および成功個数nL
τ,iを時間帯τ0~τ47に格納する。
【0176】
例えば、時間帯τ0における周期eτ0が周期L2(=元になった周期)である場合、スキャンスケジューラ14は、周期L2の時間帯τ0に格納されたスキャン応答遅延RTTiに対応する混雑度の平均μL
τ,i、標準偏差σL
τ,i、分散ηL
τ,i、および成功個数nL
τ,iを時間帯τ0に格納する。時間帯τ1~τ47についても、同様である。
【0177】
その後、スキャンスケジューラ14は、成功個数nL
τ,iに定数γを加算して自由度nL
τ,i+γを算出する。定数γは、例えば、-1に設定される。また、スチューデントT分布の自由度は、0よりも大きくなければならないので、γは、-γ<βを満たす。
【0178】
そうすると、スキャンスケジューラ14は、自由度nL
τ,i+γ、平均μL
τ,iおよび標準偏差σL
τ,iに基づいて、スキャンインターバルが4である場合の時間帯τ0~τ47の各々について、次式によって混雑度Cτを推定する。
【0179】
【0180】
即ち、スキャンスケジューラ14は、Student T分布に従って乱数を発生させて混雑度Cτを推定する。
【0181】
なお、スキャンインターバルが1であるIPアドレスに対する各時間帯における周期を決定する場合、スキャンスケジューラ14は、
図18において説明した方法と同様にして、式(4)によって時間帯τ
0~τ
11における周期e
τ0~e
τ11を決定するとともに、時間帯τ
0~τ
11の各々について式(5)によって混雑度C
τを推定する。
【0182】
また、スキャンインターバルが2であるIPアドレスに対する各時間帯における周期を決定する場合、スキャンスケジューラ14は、
図18において説明した方法と同様にして、式(4)によって時間帯τ
0~τ
23における周期e
τ0~e
τ23を決定するとともに、時間帯τ
0~τ
23の各々について式(5)によって混雑度C
τを推定する。
【0183】
図19は、各時間帯における混雑度を示す図である。
図19を参照して、スキャンスケジューラ14は、時間帯τ
0~τ
47における混雑度C
τを推定すると、その推定した混雑度C
τのうちの最小の混雑度C
min(=100ms)を検出する。
【0184】
そうすると、スキャンスケジューラ14は、最小の混雑度Cmin(=100ms)に対応する時間帯τmin(τ=12)をIPアドレスIPiと、IPアドレスIPiに対応するポートpのスキャンスケジュールとする。
【0185】
即ち、スキャンスケジューラ14は、IPアドレスIPiと、IPアドレスIPiに対応するポートpのスキャンスケジュールを次式によって決定する。
【0186】
【0187】
スキャンスケジューラ14は、式(6)によって、IPアドレスIPiの全てについて、IPアドレスIPiと、IPアドレスIPiに対応するポートpのスキャンスケジュールを決定する。
【0188】
表1に示すラウンド数の規定値mIi,thは、βIi*base/h以上である。予備スキャン回数βは、例えば、“3”に設定され、hは、1時間であるので、基底周期baseが24時間の時間長を有する周期L2であるとき、スキャンインターバルIi=“2”を用いて、βIi*base/hは、3×2×24/1=144と算出される。その結果、規定値mIi,thは、144回以上に設定される。なお、βIi*base/hは、ある端末装置が最小限のスキャンSRを返す場合の予備スキャンが終わるまでのネットワークスキャンの最小回数である。
【0189】
そして、スキャンスケジューラ14は、ラウンド数mが規定値mIi,th未満であるとき、スケジューリング区間(=Ii×θ)の時間帯から予備スキャンが必要な時間帯の集合を検出する。
【0190】
その後、スキャンスケジューラ14は、予備スキャンが必要な時間帯の集合が空でない場合、予備スキャンが必要な時間帯の集合から任意に選択した時間帯を予備スキャンのスキャンスケジュールとして決定する。
【0191】
なお、βIi*base/hは、スキャン応答SRiが無い時間帯またはパケットロスがある場合、大きくなる。従って、βIi*base/hは、スキャン応答SRiが得られる可能性が高い場合、第1の値に設定され、スキャン応答SRiが得られる可能性が低い場合、第1の値よりも大きい第2の値に設定される。
【0192】
図20は、
図2に示すネットワークスキャン装置1の動作を説明するためのフローチャートである。
【0193】
図20を参照して、ネットワークスキャン装置1の動作が開始されると、ネットワークスキャナ11は、周期長が異なる複数の周期を設定し、複数の周期のうちの1つの周期における複数の時間帯でネットワークスキャンを行う処理を複数の周期の全てについて実行し、全てのIPアドレスに対するネットワークスキャンを所定の回数実行する(ステップS1)。
【0194】
そして、ネットワークスキャナ11は、端末装置からのスキャン応答SRiを受信し、その受信したスキャン応答SRiをIPアドレスAddiおよびポート番号PNrに対応付けて対応表TBL(対応表TBL1~TBL3のいずれか)に記録する。また、スキャン解析マネージャ12は、スキャン応答遅延RTTiを計測し、その計測したスキャン応答遅延RTTiをIPアドレスAddiおよびポート番号PNrに対応付けて対応表TBL(対応表TBL1~TBL3のいずれか)に記録する(ステップS2)。
【0195】
その後、スキャンスケジューラ14は、スキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiに基づいてネットワークスキャンのスキャンスケジュールを作成する(ステップS3)。
【0196】
そして、スキャンスケジューラ14は、その作成したスキャンスケジュールをネットワークスキャナ11へ出力し、スキャンスケジュールに従ってネットワークスキャンを実行するようにネットワークスキャナ11を制御する。
【0197】
ネットワークスキャナ11は、スキャンスケジューラ14からの制御に応じて、スキャンスケジューラ14が作成したスキャンスケジュールに従ってネットワークスキャンを実行する(ステップS4)。これによって、ネットワークスキャン装置1の動作が終了する。
【0198】
図21は、
図20のステップS3の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0199】
図21を参照して、
図20のステップS2の後、スキャンスケジューラ14は、ラウンド数mが零であるか否か(即ち、ネットワークスキャンが1回目であるか否か)を判定する(ステップS31)。
【0200】
ステップS31において、ラウンド数mが零である(即ち、ネットワークスキャンが1回目である)と判定されたとき、スキャンスケジューラ14は、推定変数を初期化する(ステップS32)。即ち、スキャンスケジューラ14は、全ての推定変数を零に設定する。
【0201】
そして、ステップS31において、ラウンド数mが零でない(即ち、ネットワークスキャンが1回目でない)と判定されたとき、またはステップS32の後、スキャンスケジューラ14は、式(3)によって推定変数を更新し(ステップS33)、周期の選択、混雑度の推定およびスキャンスケジュールの作成を実行する(ステップS34)。その後、ネットワークスキャン装置1の動作は、
図20のステップS4へ移行する。
【0202】
図22は、
図21のステップS33の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0203】
図22を参照して、
図21のステップS31において、ラウンド数mが零でない(即ち、ネットワークスキャンが1回目でない)と判定されたとき、またはステップS32の後、スキャンスケジューラ14は、i=1を設定し(ステップS331)、IPアドレスIP
iの1つ前の記録情報を取得し、ポート:p、正規化スキャン時刻:t
N、および混雑度:Cと設定する(ステップS332)。そして、スキャンスケジューラ14は、L=1を設定する(ステップS333)。
【0204】
その後、スキャンスケジューラ14は、上述した式(2)によって正規化スキャン時刻tNが存在する時間帯τを取得する(ステップS334)。
【0205】
引き続いて、スキャンスケジューラ14は、時間帯τに含まれる推定変数を式(3)によって更新する(ステップS335)。
【0206】
そして、スキャンスケジューラ14は、L=NLであるか否かを判定する(ステップS336)。NLは、周期Lの総数である。
【0207】
ステップS336において、L=NLでないと判定されたとき、スキャンスケジューラ14は、L=L+1を設定する(ステップS337)。その後、一連の動作は、ステップS334へ移行し、ステップS336において、L=NLであると判定されるまでステップS334~ステップS337が繰り返し実行される。
【0208】
そして、ステップS336において、L=NLであると判定されると、スキャンスケジューラ14は、i=nであるか否かを判定する(ステップS338)。nは、IPアドレスの総数である。
【0209】
ステップS338において、i=nでないと判定されたとき、スキャンスケジューラ14は、i=i+1を設定する(ステップS339)。その後、一連の動作は、ステップS332へ移行し、ステップS338において、i=nであると判定されるまで、ステップS332~ステップS339が繰り返し実行される。
【0210】
そして、ステップS338において、i=nであると判定されると、一連の動作は、
図21のステップS34へ移行する。
【0211】
図23は、
図21のステップS34の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0212】
図23を参照して、
図21のステップS33の後、スキャンスケジューラ14は、i=1を設定する(ステップS341)。
【0213】
そして、スキャンスケジューラ14は、m mod Ii=0であるか否かを判定することによってスキャンインターバル的にスキャン対象であるか否かを判定する(ステップS342)。この場合、スキャンスケジューラ14は、m mod Ii=0であると判定されたとき、スキャンインターバル的にスキャン対象であると判定し、m mod Ii=0でないと判定されたとき、スキャンインターバル的にスキャン対象でないと判定する。
【0214】
ステップS342において、m mod Ii=0であると判定されたとき、スキャンスケジューラ14は、スケジューリング対象の時間帯を取得する(ステップS343)。ここで、jは、0,1,2,3,・・・であり、hjは、0≦hj<θを満たす。また、集合Dは、スキャンインターバルIiによって異なる。
【0215】
その後、スキャンスケジューラ14は、ラウンド数mが規定値mIi,th以上であるか否かを判定する(ステップS344)。
【0216】
ステップS344において、ラウンド数mが規定値mIi,th以上であると判定されたとき、スキャンスケジューラ14は、上述した方法によって、各時間帯の最も分散が小さい推定周期eτを選択する(ステップS345)。
【0217】
そして、スキャンスケジューラ14は、スケジューリング区間の時間帯の集合Dのうち、スキャン成功回数が十分な周期(スキャン成功回数がβ以上である周期)の集合Bτが空でない時間帯からなる集合D’が空集合Φでないか否かを判定する(ステップS346)。
【0218】
ステップS346において、集合D’が空集合Φでないと判定されたとき、スキャンスケジューラ14は、各時間帯τの混雑度Cτを式(5)によって推定する(ステップS347)。
【0219】
そして、スキャンスケジューラ14は、混雑度Cτが最も小さい時間帯τ_minを式(6)によって検出する(ステップS348)。
【0220】
そうすると、スキャンスケジューラ14は、IPアドレスIPiのポートpに対するスキャンスケジュールを時間帯τ_minに設定する(ステップS349)。
【0221】
一方、ステップS344において、ラウンド数mが規定値mIi,th以上でないと判定されたとき、スキャンスケジューラ14は、予備スキャンが必要な時間帯を取得する(ステップS350)。
【0222】
そして、スキャンスケジューラ14は、予備スキャンが必要な時間帯からなる集合Ψが空集合Φでないか否かを判定する(ステップS351)。
【0223】
ステップS351において、集合Ψが空集合Φであると判定されたとき、一連の動作は、ステップS345へ移行する。
【0224】
一方、ステップS351において、集合Ψが空集合Φでないと判定されたとき、スキャンスケジューラ14は、集合Ψからランダムに選択した時間帯を時間帯τrとする(ステップS352)。この場合、スキャンスケジューラ14は、例えば、一様乱数を発生させ、その発生させた一様乱数に基づいて集合Ψから時間帯を選択する。
【0225】
その後、スキャンスケジューラ14は、IPアドレスIPiのポートpに対するスキャンスケジュールを時間帯τrに設定する(ステップS353)。
【0226】
そして、スキャンスケジューラ14は、ステップS346において、集合D’が空集合Φであると判定されたとき、または、ステップS349の後、またはステップS353の後、i=nであるか否かを判定する(ステップS354)。
【0227】
ステップS354において、i=nでないと判定されたとき、スキャンスケジューラ14は、i=i+1を設定する(ステップS355)。その後、一連の動作は、ステップS342へ移行し、ステップS354において、i=nであると判定されるまで、ステップS342~ステップS355が繰り返し実行される。
【0228】
そして、ステップS354において、i=nであると判定されると、スキャンスケジューラ14は、全てのIPアドレスIP
iのポートpに対して設定された時間帯τ_minに基づいてネットワークスキャンのスキャンスケジュールを作成する(ステップS356)。その後、一連の動作は、
図20のステップS4へ移行する。
【0229】
なお、ステップS342の“YES”→ステップS343→ステップS344の“YES”→ステップS345→ステップS346の“YES”→ステップS347~ステップS349→ステップS354の“YES”の経路が実行されたIPアドレスと、ステッステップS342の“YES”→ステップS343→ステップS344の“NO”→ステップS350→ステップS351の“YES”→ステップS352→ステップS353→ステップS354の“YES”の経路が実行されたIPアドレスとが存在する場合、ステップS356において、ネットワークスキャンを実行するためのスキャンスケジュールと、予備スキャンを実行するためのスケジュールとが作成される。
【0230】
また、全てのIPアドレスに対して、ステッステップS342の“YES”→ステップS343→ステップS344の“YES”→ステップS345→ステップS346の“YES”→ステップS347~ステップS349→ステップS354の“YES”の経路が実行されたとき、ステップS356において、ネットワークスキャンを実行するためのスキャンスケジュールのみが作成される。
【0231】
ステップS345における最小の分散は、「ネットワークスキャンの成功回数がβ以上である周期に対応する分散から検出する最小の分散」である。また、Bτは、「ネットワークスキャンの成功回数がβ以上である周期」である。
【0232】
更に、ステップS346において、集合D’が空集合Φであると判定されたとき、即ち、全ての時間帯でネットワークスキャンの成功回数がβ以上である周期がない場合、スキャンスケジューラ14は、IPアドレスiに対しては、スケジューリングを行わない。
【0233】
更に、集合D’は、「十分に成功した周期がある時間帯」の集合であるので、集合D’が空である場合、「十分に成功した周期をもつ時間帯がないこと」、即ち、「これまでスキャンがほとんど成功していないこと」を表す。
【0234】
図23に示すフローチャートのステップS344において、ラウンド数mが規定値m
Ii,th以上でないと判定することは、複数の周期L
1,L
2,L
3のうちの基底周期(例えば、周期L
2)に対する推定変数(スキャン応答遅延RTT
iに対応する混雑度の平均μ
L
τ,i、標準偏差σ
L
τ,i、分散η
L
τ,iおよび成功回数n
L
τ,i)の取得回数(ラウンド数mは、推定変数の取得回数に相当する)が規定値m
Ii,th以上になると、予備スキャンのスケジュールの作成を打ち切ることに相当する。ステップS344において、ラウンド数mが規定値m
Ii,th以上でないと判定すると、ステップS352~ステップS355が実行されないので、予備スキャンのスキャンスケジュールが作成されないからである。
【0235】
なお、
図21に示すフローチャート(
図22および
図23に示すフローチャートを含む)は、ネットワークスキャンのスキャンスケジュールを作成するフローチャートを構成する。
【0236】
図24から
図28は、それぞれ、スケジューリングを実施するタイミングを説明するための第1から
図5の概念図である。
【0237】
図24を参照して、
図23に示すフローチャートに従ってIPアドレスIP
iの全てに対してスキャンスケジュールを時間帯τ_minに設定すると、スキャンスケジューラ14は、タイミングt
SCH1において、スキャンスケジュールを作成する。
【0238】
より具体的には、スキャンスケジューラ14は、タイミングtSCH1の直前の12時間におけるデータで推定変数を更新する。そして、スキャンスケジューラ14は、スキャンインターバルIiが“1”であるIPアドレスIPiに対して、各時間帯で使用すべき周期e0~e11を用いて時間帯τ0~τ11にスキャンスケジュールを作成する。
【0239】
また、スキャンスケジューラ14は、スキャンインターバルIiが“2”であるIPアドレスIPiに対して、各時間帯で使用すべき周期e0~e23を用いて時間帯τ0~τ23にスキャンスケジュールを作成する。
【0240】
更に、スキャンスケジューラ14は、スキャンインターバルIiが“4”であるIPアドレスIPiに対して、各時間帯で使用すべき周期e0~e47を用いて時間帯τ0~τ47にスキャンスケジュールを作成する。
【0241】
図25を参照して、スキャンスケジューラ14は、
図24に示すタイミングt
SCH1においてスキャンスケジュールを作成した後、タイミングt
SCH2において、タイミングt
SCH1からタイミングt
SCH2までの間におけるデータで推定変数を更新する。そして、スキャンスケジューラ14は、スキャンインターバルI
iが“1”であるIPアドレスIP
iに対して、各時間帯で使用すべき周期e
12~e
23を用いて時間帯τ
12~τ
23にスキャンスケジュールを作成する。
【0242】
この場合、スキャンスケジューラ14は、スキャンインターバルIiが“2”または“4”であるIPアドレスIPiに対しては、スキャンスケジュールを作成しない。スキャンインターバルIiが“2”または“4”であるIPアドレスIPiに対する12~23時におけるスキャンスケジュールは、タイミングtSCH1において、既に作成されているからである。
【0243】
図26を参照して、スキャンスケジューラ14は、
図25に示すタイミングt
SCH2においてスキャンスケジュールを作成した後、タイミングt
SCH3において、タイミングt
SCH2からタイミングt
SCH3までの間におけるデータで推定変数を更新する。そして、スキャンスケジューラ14は、スキャンインターバルI
iが“1”であるIPアドレスIP
iに対して、各時間帯で使用すべき周期e
24~e
35を用いて時間帯τ
24~τ
35にスキャンスケジュールを作成する。
【0244】
また、スキャンスケジューラ14は、スキャンインターバルIiが“2”であるIPアドレスIPiに対して、各時間帯で使用すべき周期e24~e47を用いて時間帯τ24~τ47にスキャンスケジュールを作成する。
【0245】
この場合、スキャンスケジューラ14は、スキャンインターバルIiが“4”であるIPアドレスIPiに対しては、スキャンスケジュールを作成しない。スキャンインターバルIiが“4”であるIPアドレスIPiに対する24~47時におけるスキャンスケジュールは、タイミングtSCH1において、既に作成されているからである。
【0246】
図27を参照して、スキャンスケジューラ14は、
図26に示すタイミングt
SCH3においてスキャンスケジュールを作成した後、タイミングt
SCH4において、タイミングt
SCH3からタイミングt
SCH4までの間におけるデータで推定変数を更新する。そして、スキャンスケジューラ14は、スキャンインターバルI
iが“1”であるIPアドレスIP
iに対して、各時間帯で使用すべき周期e
36~e
47を用いて時間帯τ
36~τ
47にスキャンスケジュールを作成する。
【0247】
この場合、スキャンスケジューラ14は、
図25において説明した理由と同じ理由によって、スキャンインターバルI
iが“2”または“4”であるIPアドレスIP
iに対しては、スキャンスケジュールを作成しない。
【0248】
図28を参照して、スキャンスケジューラ14は、
図27に示すタイミングt
SCH4においてスキャンスケジュールを作成した後、タイミングt
SCH5において、タイミングt
SCH4からタイミングt
SCH5までの間におけるデータで推定変数を更新する。そして、スキャンスケジューラ14は、
図24~
図27において説明した方法によって、各時間帯で使用すべき周期e
48,・・・を用いて時間帯τ
48,・・・にスキャンスケジュールを作成する。
【0249】
実施の形態1においては、ネットワークスキャン装置1の動作は、ソフトウェアによって実現されてもよい。この場合、ネットワークスキャン装置1は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を備える。そして、ROMは、
図20に示すフローチャート(
図21から
図23に示すフローチャートを含む)の各ステップからなるプログラムProg_Aを記憶する。
【0250】
CPUは、ROMからプログラムProg_Aを読み出し、その読み出したプログラムProg_Aを実行して、混雑度Cが最小である時間帯においてネットワークスキャンを実行するためのスキャンスケジュールを作成するとともに、その作成したスキャンスケジュールに従ってネットワークスキャンを実行する。RAMは、正規化スキャン時刻tNが存在する時間帯τ、規定値mIi,th、各時間帯の最も分散が小さい推定周期eτ、各時間帯の推定された混雑度Cτ、混雑度Cτが最も小さい時間帯τ_min、および予備スキャンのための時間帯τrを一時的に記憶する。
【0251】
また、プログラムProg_Aは、CD,DVD等の記録媒体に記録されて流通してもよい。プログラムProg_Aを記録した記録媒体がコンピュータに装着されると、コンピュータは、記録媒体からプログラムProg_Aを読み出して実行し、混雑度Cが最小である時間帯においてネットワークスキャンを実行するためのスキャンスケジュールを作成するとともに、その作成したスキャンスケジュールに従ってネットワークスキャンを実行する。
【0252】
従って、プログラムProg_Aを記録した記録媒体は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0253】
上述したように、時間長が12時間である周期L1、時間長が24時間である周期L2、および時間長が48時間である周期L3を設定し、周期L1~L3の各々の複数の時間帯でネットワークスキャンを実行し、ネットワークスキャンのスキャン応答SRiおよびスキャン応答遅延RTTiに基づいて混雑度が最も小さい時間帯を検出し、その検出した時間帯でネットワークスキャンを実行することによって、1つの周期でネットワークスキャンを実行する場合よりも混雑度が最も小さい時間帯を正確に検出できるので、ネットワークスキャンに必要な無線リソース量を抑制できる。
【0254】
上記においては、時間長が12時間である周期L1、時間長が24時間である周期L2、および時間長が48時間である周期L3を設定すると説明したが、実施の形態1においては、これに限らず、時間長が異なる少なくとも2つの周期を設定すればよい。時間長が異なる少なくとも2つの周期を設定すれば、1つの周期でネットワークスキャンを実行する場合よりも、各時間帯において、通信状況に応じた推定変数(平均μL
τ,i、標準偏差σL
τ,i、分散ηL
τ,i、および成功個数nL
τ,i)を取得できるので、混雑度が最も小さい時間帯を正確に検出できるからである。
【0255】
従って、実施の形態1においては、複数の周期の複数の周期長は、NL(NLは、2以上の整数)個の周期長からなり、NL個の周期長は、第1の周期長と、第1の周期長と異なる第2の周期長とを少なくとも含む。そして、第2の周期長は、第1の周期長よりも長い周期長、または第1の周期長よりも短い周期長を有する。
【0256】
図8から
図17において説明したように、IPアドレスAdd
1-1~Add
A-1に対して時間長が12時間であるスキャン実施周期でネットワークスキャンを実行し、IPアドレスAdd
1-2~Add
B-2に対して時間長が24時間であるスキャン実施周期でネットワークスキャンを実行し、IPアドレスAdd
1-3~Add
C-3に対して時間長が48時間であるスキャン実施周期でネットワークスキャンを実行すれば、IPアドレスAdd
1-1~Add
A-1、IPアドレスAdd
1-2~Add
B-2およびPアドレスAdd
1-3~Add
C-3の各々について、スキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iを取得でき、3個の周期L
1,L
2,L
3の各時間帯における推定変数(平均μ
L
τ,i、標準偏差σ
L
τ,i、分散η
L
τ,i、および成功個数n
L
τ,i)を各時間帯における通信状況の違いの周期性を反映して分析できる。その結果、混雑度Cが最小である時間帯を正確に決定できるので、ネットワークスキャンを実行するときの無線リソース量を抑制できる。
【0257】
また、IPアドレスAdd1-1~AddA-1、IPアドレスAdd1-2~AddB-2およびPアドレスAdd1-3~AddC-3の各々について、3個の周期L1,L2,L3の全てでネットワークスキャンを実際に実行する場合に比べてネットワークスキャンに必要な時間を短縮できるとともに無線リソース量を抑制できる。
【0258】
[実施の形態2]
図29は、
図1に示すネットワークスキャン装置の実施の形態2における概略図である。
図29を参照して、ネットワークスキャン装置1Aは、
図2に示すネットワークスキャン装置1のスキャンスケジューラ14をスキャンスケジューラ14Aに変えたものであり、その他は、ネットワークスキャン装置1と同じである。
【0259】
スキャンスケジューラ14Aは、周期長が12時間である周期L1と、周期長が24時間である周期L2とを設定してネットワークスキャンを実行するためのスキャンスケジュールSCH1と、周期長が12時間である周期L1と、周期長が24時間である周期L2と、周期長が48時間である周期L3とを設定してネットワークスキャンを実行するためのスキャンスケジュールSCH2とを作成する。
【0260】
そして、スキャンスケジューラ14Aは、スキャンスケジュールSCH1,SCH2をネットワークスキャナ11へ出力してスキャンスケジュールSCH1,SCH2に従ってネットワークスキャンを実行するようにネットワークスキャナ11を制御する。
【0261】
その後、スキャンスケジューラ14Aは、スキャンスケジュールSCH1に従ってネットワークスキャンを実行したときのスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iが対応表TBL1,TBL2に格納され、スキャンスケジュールSCH2に従ってネットワークスキャンを実行したときのスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iが対応表TBL1,TBL2,TBL3に格納されると、スキャンスケジュールSCH1に従ってネットワークスキャンを実行したときのスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iに基づいて、
図21に示すフローチャート(
図22および
図23に示すフローチャートを含む)に従って混雑度が最小である時間帯τ_min_1を全てのIPアドレスに対して検出する。
【0262】
また、スキャンスケジューラ14Aは、スキャンスケジュールSCH2に従ってネットワークスキャンを実行したときのスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iに基づいて、
図21に示すフローチャート(
図22および
図23に示すフローチャートを含む)に従って混雑度が最小である時間帯τ_min_2を全てのIPアドレスに対して検出する。
【0263】
その後、スキャンスケジューラ14Aは、時間帯τ_min_2が時間帯τ_min_1に一致するか否かを判定する。
【0264】
そして、時間帯τ_min_2が時間帯τ_min_1に一致すると判定されたとき、スキャンスケジューラ14Aは、以後、周期L1と周期L2との2つの周期を設定してネットワークスキャンを実行するためのスキャンスケジュールを作成する。
【0265】
一方、時間帯τ_min_2が時間帯τ_min_1に一致しないと判定されたとき、スキャンスケジューラ14Aは、周期L
1~L
3に、周期長が72時間である周期L
4を追加した4個の周期L
1~L
4でネットワークスキャンを実行したときのスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iに基づいて、
図21に示すフローチャート(
図22および
図23に示すフローチャートを含む)に従って混雑度が最小である時間帯τ_min_3を全てのIPアドレスに対して検出する。
【0266】
そして、スキャンスケジューラ14Aは、時間帯τ_min_3が時間帯τ_min_2に一致するか否かを判定する。
【0267】
時間帯τ_min_3が時間帯τ_min_2に一致すると判定されたとき、スキャンスケジューラ14Aは、以後、周期L1~L3の3つの周期を設定してネットワークスキャンを実行するためのスキャンスケジュールを作成する。
【0268】
一方、時間帯τ_min_3が時間帯τ_min_2に一致しないと判定されたとき、スキャンスケジューラ14Aは、周期長が96時間である周期L
5を追加した5個の周期L
1~L
5でネットワークスキャンを実行したときのスキャン応答SR
iおよびスキャン応答遅延RTT
iに基づいて、
図21に示すフローチャート(
図22および
図23に示すフローチャートを含む)に従って混雑度が最小である時間帯τ_min_4を全てのIPアドレスに対して検出する。
【0269】
このように、スキャンスケジューラ14Aは、Q(Qは、2以上の整数)個の周期を設定してネットワークスキャンを実行したときに検出される混雑度が最小である時間帯τ_min_Qと、Q+1個の周期を設定してネットワークスキャンを実行したときに検出される混雑度が最小である時間帯τ_min_Q+1とが一致するまで、周期を増加させながら混雑度が最小である時間帯τ_minを検出する。
【0270】
そして、スキャンスケジューラ14Aは、Q個の周期と、Q+1個の周期との間で混雑度が最小である時間帯τ_minが一致すると、以後、個数が少ないQ個の周期を設定してネットワークスキャンを実行するためのスキャンスケジュールを作成する。
【0271】
なお、時間帯τ_min_Q+1が時間帯τ_min_Qに一致するか否かの判定結果がIPアドレスAddiによって異なる可能性もある。この場合、IPアドレスAddiの総数nの半分以上のIPアドレスAddiについて時間帯τ_min_Q+1が時間帯τ_min_Qに一致すれば、IPアドレスAddiの全体について、時間帯τ_min_Q+1が時間帯τ_min_Qに一致すると判定してもよい。
【0272】
図30は、
図29に示すネットワークスキャン装置1Aの動作を説明するためのフローチャートである。
【0273】
図30を参照して、ネットワークスキャン装置1Aの動作が開始されると、スキャンスケジューラ14Aは、Q=2を設定する(ステップS21)。
【0274】
そして、スキャンスケジューラ14Aは、時間長が異なるQ個の周期を設定してスキャンスケジュールを作成してネットワークスキャナ11へ出力する。ネットワークスキャナ11は、スキャンスケジューラ14Aからスキャンスケジュールを受け、その受けたスキャンスケジュールに従ってネットワークスキャンを実行する(ステップS22)。
【0275】
その後、スキャンスケジューラ14Aは、
図21に示すフローチャート(
図22から
図23に示すフローチャートを含む)に従って混雑度が最小となる時間帯τ_min_
Qを検出する(ステップS23)。
【0276】
引き続いて、スキャンスケジューラ14Aは、時間長が異なるQ+1個の周期を設定してスキャンスケジュールを作成してネットワークスキャナ11へ出力する。ネットワークスキャナ11は、スキャンスケジューラ14Aからスキャンスケジュールを受け、その受けたスキャンスケジュールに従ってネットワークスキャンを実行する(ステップS24)。
【0277】
そして、スキャンスケジューラ14Aは、
図21に示すフローチャート(
図22から
図23に示すフローチャートを含む)に従って混雑度が最小となる時間帯τ_min_
Q+1を検出する(ステップS25)。
【0278】
そうすると、スキャンスケジューラ14Aは、時間帯τ_min_Q+1が時間帯τ_min_Qに一致するか否かを判定する(ステップS26)。
【0279】
ステップS26において、時間帯τ_min_Q+1が時間帯τ_min_Qに一致しないと判定されたとき、スキャンスケジューラ14Aは、Q=Q+1を設定する(ステップS27)。その後、一連の動作は、ステップS22へ移行する。そして、ステップS26において、時間帯τ_min_Q+1が時間帯τ_min_Qに一致すると判定されるまで、ステップS22~ステップS27が繰り返し実行される。
【0280】
そして、ステップS26において、時間帯τ_min_Q+1が時間帯τ_min_Qに一致すると判定されると、スキャンスケジューラ14Aは、時間帯τ_min_Qに基づいて、スキャンスケジュールを作成する(ステップS28)。
【0281】
その後、スキャンスケジューラ14Aは、作成したスキャンスケジュールをネットワークスキャナ11へ出力し、作成したスキャンスケジュールに従ってネットワークスキャンを実行するようにネットワークスキャナ11を制御する。
【0282】
ネットワークスキャナ11は、スキャンスケジューラ14Aからの制御に従って、スキャンスケジューラ14Aが作成したスキャンスケジュールに従ってネットワークスキャンを実行する(ステップS29)。これによって、ネットワークスキャン装置1Aの動作が終了する。
【0283】
なお、ステップS23およびステップS25においては、
図23に示すフローチャートのステップS341~ステップS356のうち、ステップS341~ステップS355が実行される。
【0284】
図30に示すフローチャートによれば、複数の周期の個数がより少ない個数に最適化されるので、ネットワークスキャンに必要な無線リソース量を抑制した上でネットワークスキャンに要する時間を短縮することができる。
【0285】
実施の形態2においては、ネットワークスキャン装置1Aの動作は、ソフトウェアによって実現されてもよい。この場合、ネットワークスキャン装置1Aは、CPU、ROMおよびRAMを備える。そして、ROMは、
図30に示すフローチャート(
図21から
図23に示すフローチャートを含む)の各ステップからなるプログラムProg_Bを記憶する。
【0286】
CPUは、ROMからプログラムProg_Bを読み出し、その読み出したプログラムProg_Bを実行して、複数の周期の個数をより少ない個数に最適化して混雑度Cが最小である時間帯においてネットワークスキャンを実行するためのスキャンスケジュールを作成してネットワークスキャンを実行する。RAMは、正規化スキャン時刻tNが存在する時間帯τ、規定値mIi,th、各時間帯の最も分散が小さい推定周期eτ、各時間帯の推定された混雑度Cτ、混雑度Cτが最も小さい時間帯τ_min、および予備スキャンのための時間帯τrを一時的に記憶する。
【0287】
また、プログラムProg_Bは、CD,DVD等の記録媒体に記録されて流通してもよい。プログラムProg_Bを記録した記録媒体がコンピュータに装着されると、コンピュータは、記録媒体からプログラムProg_Bを読み出して実行し、複数の周期の個数をより少ない個数に最適化して混雑度Cが最小である時間帯においてネットワークスキャンを実行するためのスキャンスケジュールを作成してネットワークスキャンを実行する。
【0288】
従って、プログラムProg_Bを記録した記録媒体は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0289】
実施の形態2におけるその他の説明は、実施の形態1における説明と同じである。
【0290】
上述した実施の形態1,2によれば、この発明の実施の形態によるネットワークスキャン装置は、次の構成を備えていればよい。
【0291】
(構成1)
ネットワークスキャン装置は、スキャン手段と、記録手段と、算出手段と、推定手段と、スケジュール作成手段とを備える。スキャン手段は、異なる周期長を有する複数の周期を設定して複数の周期に含まれる複数の時間帯において複数の端末装置の複数のIPアドレスに対してスキャンパケットを送信してネットワークスキャンを行うネットワークスキャン処理をスキャン実施周期に一致する頻度で実行する。記録手段は、端末装置からのスキャン応答と、スキャンパケットを送信してからスキャン応答を受信するまでの時間であるスキャン応答遅延とを複数の周期の各々においてIPアドレスに対応付けて記録する。算出手段は、複数の周期の各々の複数の時間帯において、スキャン応答が返って来たIPアドレスに対応付けられたスキャン応答遅延に基づいてスキャン応答遅延に対応する混雑度の平均、標準偏差および分散を算出するとともに、ネットワークスキャンが成功した個数である成功個数をカウントし、平均、標準偏差、分散および成功個数からなる推定変数を算出する。推定手段は、複数の周期の各々の複数の時間帯において、算出された推定変数に基づいて分散が最も小さい周期における通信の混雑度を推定する。スケジュール作成手段は、推定手段によって推定された分散が最も小さい周期に含まれる複数の時間帯における複数の混雑度のうち、混雑度が最も小さくなる時間帯を複数のIPアドレスのうちの1つのIPアドレスに対してネットワークスキャンを行うスケジュールとして決定するスケジュール決定処理を複数のIPアドレスの全てについて実行し、複数のIPアドレスに対してネットワークスキャンを行うためのスキャンスケジュールを作成する。
【0292】
(構成2)
構成1において、推定手段は、平均と、標準偏差と、成功回数から算出された自由度とに基づくT分布に従って乱数を発生させて混雑度を推定する。
【0293】
(構成3)
構成1または構成2において、複数の周期長は、NL(NLは、2以上の整数)個の周期長からなる。NL個の周期長は、第1の周期長と、第1の周期長と異なる第2の周期長とを含む。
【0294】
(構成4)
構成3において、第1の周期長は、最も短い周期長を有し、第2の周期長は、第1の周期長よりも長い周期長、または第1の周期長よりも短い周期長を有する。
【0295】
(構成5)
構成1から構成4のいずれかにおいて、スケジュール作成手段は、更に、複数の周期のうちの基底周期に対する推定変数の取得回数が規定値以上になるまでネットワークスキャンを行う予備スキャンのスケジュールを複数の時間帯から任意に選択した時間帯に決定する。
【0296】
(構成6)
構成5において、規定値は、予備スキャンが終わるまでのネットワークスキャンの最小回数以上に設定される。
【0297】
(構成7)
構成5または構成6において、スケジュール作成手段は、基底周期に対する推定変数の取得回数が規定値以上になると、予備スキャンのスケジュールの作成を打ち切ってスケジュール決定処理を実行する。
【0298】
(構成8)
構成1から構成7のいずれかにおいて、スケジュール作成手段は、スケジュール決定処理において、時間長が異なるQ(Qは、2以上の整数)個の周期を設定してネットワークスキャン処理が実行されたときの最小の混雑度がQ+1個の周期を設定してネットワークスキャン処理が実行されたときの最小の混雑度と一致する場合、Q個の周期を設定してネットワークスキャン処理を実行するためのスキャンスケジュールを作成する。
【0299】
また、この発明の実施の形態によるプログラムは、次の構成を備えていればよい。
【0300】
(構成9)
プログラムは、
スキャン手段が、異なる周期長を有する複数の周期を設定して複数の周期に含まれる複数の時間帯において複数の端末装置の複数のIPアドレスに対してスキャンパケットを送信してネットワークスキャンを行うネットワークスキャン処理をスキャン実施周期に一致する頻度で実行する第1のステップと、
記録手段が、端末装置からのスキャン応答と、スキャンパケットを送信してからスキャン応答を受信するまでの時間であるスキャン応答遅延とを複数の周期の各々においてIPアドレスに対応付けて取得する第2のステップと、
算出手段が、複数の周期の各々の複数の時間帯において、スキャン応答が返って来たIPアドレスに対応付けられたスキャン応答遅延に基づいてスキャン応答遅延に対応する混雑度の平均、標準偏差および分散を算出するとともに、ネットワークスキャンの成功個数をカウントし、平均、標準偏差、分散および成功個数からなる推定変数を算出する第3のステップと、
推定手段が、複数の周期の各々の複数の時間帯において、算出された推定変数に基づいて分散が最も小さい周期における通信の混雑度を推定する第4のステップと、
スケジュール作成手段が、推定手段によって推定された分散が最も小さい周期に含まれる複数の時間帯における複数の混雑度のうち、混雑度が最も小さくなる時間帯を複数のIPアドレスのうちの1つのIPアドレスに対してネットワークスキャンを行うスケジュールとして決定するスケジュール決定処理を複数のIPアドレスの全てについて実行し、複数のIPアドレスに対してネットワークスキャンを行うためのスキャンスケジュールを作成する第5のステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0301】
(構成10)
構成9において、推定手段は、第4のステップにおいて、平均と、標準偏差と、成功回数から算出された自由度とに基づくT分布に従って乱数を発生させて混雑度を推定する。
【0302】
(構成11)
構成9または構成10において、複数の周期長は、NL(NLは、2以上の整数)個の周期長からなる。NL個の周期長は、第1の周期長と、第1の周期長と異なる第2の周期長とを含む。
【0303】
(構成12)
構成11において、第1の周期長は、最も短い周期長を有し、第2の周期長は、第1の周期長よりも長い周期長、または第1の周期長よりも短い周期長を有する。
【0304】
(構成13)
構成9から構成12のいずれかにおいて、スケジュール作成手段は、第5のステップにおいて、更に、複数の周期のうちの基底周期に対する推定変数の取得回数が規定値以上になるまでネットワークスキャンを行う予備スキャンのスケジュールを複数の時間帯から任意に選択した時間帯に決定する。
【0305】
(構成14)
構成13において、規定値は、予備スキャンが終わるまでのネットワークスキャンの最小回数以上に設定される。
【0306】
(構成15)
構成13または構成14において、スケジュール作成手段は、第5のステップにおいて、基底周期に対する推定変数の取得回数が規定値以上になると、予備スキャンのスケジュールの作成を打ち切ってスケジュール決定処理を実行する。
【0307】
(構成16)
構成9から構成15のいずれかにおいて、スケジュール作成手段は、第5のステップにおいて、スケジュール決定処理において、時間長が異なるQ(Qは、2以上の整数)個の周期を設定してネットワークスキャン処理が実行されたときの最小の混雑度がQ+1個の周期を設定してネットワークスキャン処理が実行されたときの最小の混雑度と一致する場合、Q個の周期を設定してネットワークスキャン処理を実行するためのスキャンスケジュールを作成する。
【0308】
(構成17)
記録媒体は、構成9から構成16のいずれかに記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0309】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0310】
この発明は、ネットワークスキャン装置、コンピュータに実行させるためのプログラムおよびプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に適用される。
【符号の説明】
【0311】
1,1A ネットワークスキャン装置、10 通信システム、11 ネットワークスキャナ、12 スキャン解析マネージャ、13 ホスト情報データベース、14,14A スキャンスケジューラ、20 スキャン対象ネットワーク、30 ユーザ。