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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】投光装置、投受光装置及び測距装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20240209BHJP
   G01S 7/484 20060101ALI20240209BHJP
   G01S 7/4863 20200101ALI20240209BHJP
【FI】
G01S7/481 A
G01S7/484
G01S7/4863
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018175888
(22)【出願日】2018-09-20
(65)【公開番号】P2020046339
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 充
【審査官】藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-054795(JP,A)
【文献】特開2002-335047(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0105859(US,A1)
【文献】特開平09-270393(JP,A)
【文献】特開2015-203619(JP,A)
【文献】国際公開第2017/010176(WO,A1)
【文献】特開平08-015414(JP,A)
【文献】特開2003-272061(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48- 7/51
G01S 17/00-17/95
G01C 3/00- 3/32
H01L 21/00-21/98
H01S 3/23
H01S 5/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が進行方向に垂直な断面において長手方向及び短手方向を有する断面形状を有し且つ前記短手方向に沿って配列された複数の光を出射する光源と、
前記短手方向に延在し前記複数の光を透過する1の透過領域と前記複数の光のうち少なくとも1つの光の前記長手方向における少なくとも一方の端部を遮光する遮光領域とを含む遮光部と、を有し、
前記光源は、各々が前記長手方向に延びる複数のレーザーバーが前記短手方向に沿ってスタックされたレーザ素子を含むことを特徴とする投光装置。
【請求項2】
前記遮光部は、前記複数の光のうち、前記長手方向において他の光よりも突出した少なくとも1つの光の前記長手方向の端部を遮光することを特徴とする請求項1に記載の投光装置。
【請求項3】
前記遮光部は、前記遮光部を経た前記複数の光の各々の前記長手方向に沿った長さを揃えるように、前記少なくとも1つの光の前記長手方向の端部を遮光することを特徴とする請求項1又は2に記載の投光装置。
【請求項4】
前記光源と前記遮光部との間の前記光の光路上に設けられ、前記光源の光出射面の像を結像する結像光学系を有し、
前記遮光部は、前記像が結像される位置に配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の投光装置。
【請求項5】
前記光源は、前記遮光部を経た前記光の光量に基づいた出力で前記光を出射することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の投光装置。
【請求項6】
前記遮光部は、前記光に対して反射性を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の投光装置。
【請求項7】
前記遮光部によって反射された前記光を受光して前記光を監視する監視部を有することを特徴とする請求項6に記載の投光装置。
【請求項8】
請求項1乃至のいずれか1つに記載の投光装置と、
前記遮光部を経た前記光が対象物に向けて投光されかつ前記対象物によって反射された反射光を受光し、前記長手方向に対応する方向に沿って配列された複数の受光セグメントからなる受光面を有する受光素子と、を有することを特徴とする投受光装置。
【請求項9】
前記反射光を前記受光素子の前記受光面における前記長手方向の全体に入射させるように前記反射光を集光する受光光学系を有することを特徴とする請求項に記載の投受光装置。
【請求項10】
前記遮光部を経た前記光を方向可変に偏向しつつ前記対象物に向けて投光する偏向素子を有することを特徴とする請求項又はに記載の投受光装置。
【請求項11】
請求項乃至10のいずれか1つに記載の投受光装置と、
前記受光素子による前記反射光の受光結果に基づいて前記対象物までの距離を測定する測距部と、を有することを特徴とする測距装置。
【請求項12】
各々が進行方向に垂直な断面において長手方向及び短手方向を有する断面形状を有し且つ前記短手方向に沿って配列された複数の光を出射する光源と、
前記短手方向に延在し前記複数の光を透過する1の透過領域と前記複数の光のうち少なくとも1つの光の前記長手方向における少なくとも一方の端部を遮光する遮光領域とを含みかつ光に対して反射性を有する遮光部と、
前記遮光部によって反射された前記複数の光を受光して前記複数の光を監視する監視部と、を有することを特徴とする投光装置。
【請求項13】
各々が進行方向に垂直な断面において長手方向及び短手方向を有する断面形状を有し且つ前記短手方向に沿って配列された複数の光を出射する光源と、
前記短手方向に延在し前記複数の光を透過する1の透過領域と前記複数の光のうち少なくとも1つの光の前記長手方向における少なくとも一方の端部を遮光する遮光領域とを含む遮光部と、
前記遮光部を経た前記複数の光が対象物に向けて投光されかつ前記対象物によって反射された反射光を受光し、前記長手方向に対応する方向に沿って配列された複数の受光セグメントからなる受光面を有する受光素子と、を有することを特徴とする投受光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を投光する投光装置、光の投光及び受光を行う投受光装置並びに光学的な測距を行う測距装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光を対象物に照射し、当該対象物によって反射された光を検出することで、当該対象物までの距離を測定する測距装置が知られている。また、光走査を行うことで複数の対象物に対する測距を行う走査型の測距装置が知られている。例えば、特許文献1には、投光部、受光部及び距離計測手段を含む光学式レーダ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-85832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、測距装置には、測距用のレーザ光を投光する投光部と、対象物によって反射された光を受光する受光部とが設けられている。また、投光部及び受光部の構成としては、例えば、投光部が所定の細長いビーム形状のレーザ光を投光し、受光部が複数の受光素子によって対象物からの反射光を受光する構成が挙げられる。この場合、複数の対象領域(複数の対象物や当該対象物における複数の表面領域など)に対して一括して投受光を行うことができる。
【0005】
ここで、当該複数の対象領域の各々に対して正確に測距を行うことを考慮すると、例えば、当該複数の対象領域の各々に対して均一な強度の光が投光されることが好ましい。すなわち、投光される光のビーム内に強度ムラが少ないことが好ましい。
【0006】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、強度ムラが低減された光を投光することが可能な投光装置を提供することを目的の1つとしている。また、本発明は、強度ムラが低減された光を投光することで正確な投受光を行うことが可能な投受光装置及び正確な測距を行うことが可能な測距装置を提供することを目的の1つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、長手方向及び短手方向を有する断面形状の光を出射する光源と、光の長手方向の端部を遮光する遮光部と、を有することを特徴とする。
【0008】
また、請求項10に記載の発明は、請求項1に記載の投光装置と、遮光部を経た光が対象物に向けて投光されかつ対象物によって反射された反射光を受光し、長手方向に対応する方向に沿って配列された複数の受光セグメントからなる受光面を有する受光素子と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、請求項13に記載の発明は、請求項10に記載の投受光装置と、受光素子による反射光の受光結果に基づいて対象物までの距離を測定する測距部と、を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1に係る測距装置の全体構成を示す図である。
図2】実施例1に係る測距装置における光源の光出射面を示す図である。
図3】実施例1に係る測距装置における遮光部の構成例を示す図である。
図4】実施例1に係る測距装置における受光素子の受光面を示す図である。
図5】実施例1に係る測距装置における受光光学系の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施例について詳細に説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、実施例1に係る測距装置10の模式的な配置図である。測距装置10は、所定の領域(以下、走査領域と称する)R0の光走査を行い、走査領域R0内に存在する対象物OBまでの距離を測定する走査型の測距装置である。図1を用いて、測距装置10について説明する。なお、図1には、走査領域R0及び対象物OBを模式的に示している。
【0013】
まず、測距装置10は、パルス光(以下、1次光と称する)L1を生成及び出射する光源11を有する。本実施例においては、光源11は、1次光L1として赤外領域にピーク波長を有するレーザ光を生成し、これを断続的に出射する。また、本実施例においては、ライン状の断面形状を有するレーザ光を1次光L1として出射する。
【0014】
測距装置10は、1次光L1の像(中間像)、すなわち1次光L1の断面形状(ビーム形状を示す像)を結像する結像光学系12を有する。結像光学系12は、例えば、リレーレンズを含む。
【0015】
測距装置10は、1次光L1の一部を遮光する遮光部13を有する。本実施例においては、遮光部13は、1次光L1の像が結像される位置(結像点)に配置されている。遮光部13を経た1次光L1は、2次光L2として、遮光部13から出力される。
【0016】
本実施例においては、遮光部13は、開口部を有する遮光板である。本実施例においては、1次光L1の一部は、遮光部13によって遮光される。また、遮光部13に遮光されない1次光L1は、2次光(以下、投光光と称する場合がある)L2として、遮光部13の開口部を通過する。また、本実施例においては、遮光部13は、1次光L1に対して反射性を有する反射板である。
【0017】
測距装置10は、遮光部13によって反射された一部の1次光L1である反射1次光L1Rを受光する受光素子(第1の受光素子)14を有する。例えば、受光素子14は、反射1次光L1Rを検出する少なくとも1つの検出素子を含む。
【0018】
測距装置10は、2次光L2、すなわち遮光部13を経た1次光L1を投光する投光光学系15を有する。投光光学系15は、例えば、少なくとも1つのレンズを含む。
【0019】
測距装置10は、2次光L2を方向可変に偏向しつつ3次光(以下、走査光と称する場合がある)L3として投光する偏向素子(第1の偏向素子)16を有する。偏向素子16は、周期的な動作を行って2次光L2の偏向方向を周期的に変化させる。偏向素子16は、2次光L2の進行方向を屈曲させつつ出射し、またその屈曲方向を周期的に変化させる。偏向素子16によって偏向された2次光L2は、3次光L3として、走査領域R0に向けて投光される。
【0020】
本実施例においては、偏向素子16は、回動軸AYの周りに回動し、2次光L2を反射させる少なくとも1つの回動ミラー16Aを有する。例えば、偏向素子16は、ポリゴンミラーを含む。本実施例においては、偏向素子16は、回動ミラー16Aが回動しつつ2次光L2を反射させることで、2次光L2の反射方向を周期的に変化させる。すなわち、本実施例においては、3次光L3は、偏向素子16の回動ミラー16Aによって反射された2次光L2である。
【0021】
なお、走査領域R0は、偏向素子16を経た2次光L2である3次光L3が投光される仮想の3次元空間である。図1においては、走査領域R0の外縁を破線で模式的に示した。
【0022】
本実施例においては、光源11は、回動ミラー16Aの回動軸AYの軸方向に沿って延びるライン状の断面形状を有するレーザ光を1次光L1として出射する。
【0023】
従って、例えば、走査領域R0は、2次光L2の断面における長手方向(以下、第1の方向と称する)D1に沿った高さ方向の方向範囲と、偏向素子16による2次光L2の偏向方向の可変範囲に対応する方向(以下、第2の方向と称する)D2に沿った幅方向の方向範囲と、3次光L3が所定の強度を維持できる距離方向の範囲(すなわち奥行範囲)と、を有する錐状の空間として定義されることができる。
【0024】
また、走査領域R0内における偏向素子16から所定の距離だけ離れた仮想の平面を走査面R1としたとき、走査面R1は、第1及び第2の方向D1及びD2に沿って広がる2次元的な領域として定義されることができる。3次光L3は、この走査面R1を走査するように、走査領域R0に向けて投光される。また、本実施例においては、第1の方向D1は主走査方向に対応し、第2の方向D2は副走査方向に対応する。
【0025】
また、図1に示すように、走査領域R0に対象物OB(すなわち2次光L2に対して反射性又は散乱性を有する物体又は物質)が存在する場合、3次光L3は、対象物OBによって反射又は散乱される。対象物OBによって反射された3次光L3は、その一部が、4次光(以下、反射光と称する場合がある)L4として、3次光L3とほぼ同一の光路を3次光L3とは反対の方向に向かって進み、偏向素子16に戻って来る。
【0026】
測距装置10は、4次光L4の光路上、本実施例においては偏向素子16と投光光学系15(遮光部13)との間の2次光L2及び4次光L4に共通の光路上に設けられ、4次光L4を偏向する偏向素子(第2の偏向素子)17を有する。例えば、偏向素子17は、2次光L2を透過させかつ4次光L4を反射させることで2次光L2及び4次光L4を分離する光分離素子であり、本実施例においてはビームスプリッタである。
【0027】
換言すれば、本実施例においては、偏向素子16は、動作することで2次光L2を方向可変に偏向する走査用の可動偏向素子である。一方、偏向素子17は、固定式の偏向素子である。
【0028】
測距装置10は、偏向素子17によって偏向された4次光L4を受光する受光光学系18を有する。受光光学系18は、4次光L4を集光しつつ整形する。受光光学系18は、例えば、少なくとも1つのレンズを含む。
【0029】
また、測距装置10は、4次光L4を受光する受光素子(第2の受光素子)19を有する。受光素子19は、例えば、受光光学系18によって集光された4次光L4の焦点位置に配置されている。例えば、受光素子19は、4次光L4を検出し、4次光に応じた電気信号を生成する少なくとも1つの検出素子を有する。
【0030】
受光素子19は、当該電気信号を4次光L4の検出結果(受光結果)として生成する。すなわち、測距装置10は、受光素子19によって生成された当該電気信号を走査領域R0の走査結果として生成する。
【0031】
測距装置10は、光源11、受光素子14、偏向素子16及び受光素子19の駆動及びその制御を行う制御部20を有する。例えば、本実施例においては、制御部20は、光源11の駆動及びその制御を行う光源制御部21と、1次光L1の一部を受光して1次光L1の監視を行う監視部22と、を含む。また、制御部20は、受光素子14、偏向素子16及び受光素子19の駆動を行う。
【0032】
また、制御部は、受光素子19による4次光L4の受光結果に基づいて対象物OBまでの距離を測定する測距部23を有する。本実施例においては、測距部23は、当該電気信号から4次光L4を示すパルスを検出する。また、測距部23は、3次光L3の投光タイミングと4次光L4の受光タイミングとの間の時間差に基づくタイムオブフライト法によって、対象物OB(又はその一部の表面領域)までの距離を測定する。また、測距部23は、測定した距離情報を示すデータ(測距データ)を生成する。
【0033】
また、本実施例においては、測距部23は、走査領域R0(走査面R1)を複数の測距点(走査点)に区別し、当該複数の測距点の各々の測距結果(距離値)を画素として示す走査領域R0の画像(測距画像)を生成する。本実施例においては、測距部23は、測距点と回動ミラー16Aの変位とを示す情報とを対応付け、走査領域R0の2次元マップ又は3次元マップを示す画像データを生成する。
【0034】
また、測距部23は、例えば、3次光L3の投光方向の変化周期、すなわち走査領域R0を走査する周期である走査周期を測距画像の生成周期とし、当該走査周期毎に1つの測距画像を生成する。
【0035】
なお、走査周期とは、例えば、測距装置10が走査領域R0に対する光走査を周期的に行う場合において、回動ミラー16Aの所定の変位が、その後に再度当該所定の変位に戻るまでの期間をいう。また、測距部23は、生成した複数の測距画像を時系列に沿って動画として表示する表示部(図示せず)を有していてもよい。
【0036】
図2は、光源11の光出射面11Aを模式的に示す図である。本実施例においては、光源11は、各々が第1の方向D1に延びる3つのレーザーバーE1、E2及びE3を有し、これらレーザーバーE1~E3が第2の方向D2(すなわちレーザーバーE1~E3の各々の短手方向)に沿ってスタックされた構造を有する。
【0037】
レーザーバーE1~E3の各々は、第1の方向D1を長手方向とし、第2の方向D2を短手方向とする断面形状(ビーム形状)を有するライン状又は楕円状のレーザ光を出射する。また、レーザーバーE1~E3の各々は、第2の方向D2に沿って並んでおりかつ互いに平行に延びる光軸に沿ってレーザ光を出射する。
【0038】
光源11は、これらレーザーバーE1~E3から出射されたレーザ光の全体を1次光L1として出射する。本実施例においては、1次光L1は、その全体が、第1の方向D1及び第2の方向D2をそれぞれ長手方向及び短手方向として有するライン状の断面形状を有する。
【0039】
図3は、遮光部13の構成及び遮光部13によって生成される2次光L2の断面形状を模式的に示す図である。図3に示すように、本実施例においては、光源11から出射される1次光L1は、各々が第1の方向D1及び第2の方向D2をそれぞれ長手方向及び短手方向として有する断面形状の複数の1次レーザ光L11、L12及びL13を含む。例えば、1次レーザ光L11、L12及びL13は、それぞれ、レーザーバーE1、E2及びE3から出射されたレーザ光に対応する。
【0040】
すなわち、本実施例においては、光源11は、1次レーザ光L11、L12及びL13として、各々が長手方向及び短手方向を有する断面形状を有しかつ当該短手方向に沿って配列された複数の光を出射する。
【0041】
また、本実施例においては、遮光部13は、結像光学系12によって光源11における1次光L1の光出射面11Aの像(中間像)L1Pが結像される位置に配置されている。図3は、像L1Pを構成する1次レーザ光L11~L13の光出射面の像の各々を模式的に示している。
【0042】
また、遮光部13を経た1次レーザ光L11、L12及びL13は、それぞれ、2次レーザ光L21、L22及びL23として、遮光部13を通過する。2次光L2は、これら3つの2次レーザ光L21、L22及びL23を含む。また、2次光L2は、その全体が、第1の方向D1及び第2の方向D2をそれぞれ長手方向及び短手方向として有するライン状の断面形状を有する。
【0043】
また、図3に示すように、本実施例においては、遮光部13は、1次レーザ光L11~L13の各々の端部を遮光するように構成及び配置されている。また、本実施例においては、遮光部13は、2次レーザ光L21~L23、すなわち遮光部13を経た1次レーザ光L11~L13の第1の方向D1に沿った長さを揃えるように、1次レーザ光L11~L13の各々の端部を遮光する。
【0044】
従って、2次レーザ光L21~L23の各々は、長手方向の長さ、及び長手方向の端部の位置が揃った断面形状を有することとなる。従って、2次光L2は、長手方向の外縁が明確となった矩形の外形形状を有する光となって投光される。
【0045】
ここで、1次光L1及び2次光L2について説明する。例えば、測距装置10の測距可能距離を長くしようとした場合、3次光L3として投光される光の強度を上げることが考えられる。そして、高強度な1次光L1を出射することを考慮すると、光源11として、高出力な光源を用いることが考えられる。
【0046】
また、一括して走査領域R0内の複数の領域からの4次光L4を得ることを考慮すると、光源11としては、上記したようなレーザーバーE1~E3をスタックしたレーザ素子を用いることが考えられる。これによって、例えば、光学系の大型化又は複雑化を抑えつつ、高出力なライン状の3次光L3を得ることができる。
【0047】
一方、光源11としてスタック型のレーザ素子においては、レーザーバーE1~E3の光出射面の形状がわずかに異なる。具体的には、例えば図2に示すように、レーザーバーE1~E3における長手方向の長さ(バーの長さ)がわずかに異なる。例えば、レーザーバーE1のバー長さが最も短く、レーザーバーE3のバー長さが最も長い
【0048】
この場合、図3に示すように、1次レーザ光L11~L13のうち、1次レーザ光L11が最も短いビーム形状を有し、1次レーザ光L13が最も長いビーム形状を有する。この1次レーザ光L11~L13からなる1次光L1は、全体としては、第1の方向D1における中央部と端部との間で異なる強度を有する。
【0049】
従って、例えば、1次光L1の第1の方向D1の中央部に対応する光は十分な強度を有する一方で、1次光L1の第1の方向D1の端部に対応する光は十分な強度を有していない場合がある。従って、仮に、この1次光L1をそのまま3次光L3として投光した場合、走査領域R0内において十分な光量の3次光L3が照射される領域と十分な光量の3次光L3が照射されない領域とが存在する場合がある。従って、走査領域R0内の測距精度にムラが生ずる場合や、測距可能距離が他の領域に比べて短い領域が生ずる場合がある。
【0050】
これに対し、本実施例においては、1次レーザ光L11~L13の各々の第1の方向D1における端部を遮光する遮光部13が配置されている。従って、2次レーザ光L21~L23の第1の方向D1における長さが揃い、2次光L2の全体としての第1の方向D1に沿った強度が均一化される。従って、走査領域R0に投光される3次光L3の光量が均一化され、走査領域R0の全体で安定した精度の走査及び測距を行うことができる。
【0051】
また、本実施例においては、1次光L1の一部のみを2次光L2として投光することとなる。すなわち、2次光L2は、1次光L1よりも小さな強度を有する。これに対し、制御部20の光源制御部21は、2次光L2が設計上の光量となるように、1次光L1の強度、すなわち光源11の出力を制御する。すなわち、光源11は、遮光部13を経た1次光L1である2次光L2の光量に基づいた出力で1次光L1を出射する。
【0052】
より具体的には、例えば、光源11は、1次光L1としてレーザ光を出射する。また、測距装置10は、例えば車両などの移動体に搭載されるなど、種々の空間を走査領域R0として測距を行う場合が想定される。この場合、レーザ光を人間に照射する場合が想定される。従って、3次光L3として投光できるレーザ光の上限となる強度を考慮する必要がある。
【0053】
本実施例においては、光源制御部21は、3次光L3の光量を設定するための光源11の出力を、2次光L2の光量に基づいて制御する。換言すれば、1次光L1よりも3次光L3の光量に近い光量の2次光L2を考慮して、光源11の出力制御を行う。従って、当該レーザ光の出力制限を満たしつつ、適切な出力調節を行いつつ3次光L3を投光することができる。
【0054】
また、本実施例においては、遮光部13が1次光L1に対して反射性を有する。また、遮光部13によって反射された反射1次光L1Rを受光する受光素子14が設けられている。また、監視部22は、この受光素子14による反射1次光L1Rの受光結果に基いて1次光L1を監視する。
【0055】
すなわち、遮光部13が1次光L1の一部を反射させる場合、当該反射された1次光L1は、光源11の監視に用いられることができる。従って、受光素子14を設けるだけで光源11の動作監視を行うことができる。換言すれば、遮光部13が1次光L1に対して反射性を有する場合、遮光部13によって反射された1次光L1を受光して1次光L1(例えば1次光L1の光量)を監視する監視部22を設けることで、単純な構成で測距装置10に監視機能を持たせることができる。
【0056】
図4は、受光素子19の受光面19Rを模式的に示す図である。図4に示すように、受光素子19は、第1の方向D1に沿って配列された複数の受光セグメント19Aからなる受光面19Rを有する。本実施例においては、受光素子19は、受光セグメント19Aの各々が1列に配列され、ライン状の受光面19Rを有するラインセンサである。
【0057】
本実施例においては、受光セグメント19Aの各々は、互いに独立して4次光L4の受光動作を行う。また、受光セグメント19Aの各々は、少なくとも1つの光電変換素子を有する。
【0058】
図5は、受光光学系18及び受光素子19の構成例を示す図である。本実施例においては、受光光学系18は、4次光L4を、受光素子19の受光面19Rにおける第1の方向D1の全体に入射させるように、4次光L4を集光する。従って、4次光L4は、受光セグメント19Aの各々に入射する。そして、受光セグメント19A毎に受光された4次光L4の部分に対応する電気信号が受光セグメント19Aの各々によって生成される。
【0059】
換言すれば、受光光学系18は、遮光部13を経た1次光L1のビーム形状(本実施例においてはビームの第1の方向D1における長さ)に合わせて、受光素子19を最大限に動作させるような集光特性に調節されている。従って、受光セグメント19Aの全てで正確な受光動作を行うことができる。
【0060】
このように、本実施例においては、測距装置10が、第1の方向D1を長手方向とする断面形状の1次光L1を出射する光源11に対し、1次光L1の第1の方向D1の端部を遮光する遮光部13を有する。従って、1次光L1の端部の光、すなわち1次光L1における強度が小さい光の投光が遮断される。従って、強度ムラが低減された2次光L2を投光することが可能となり、正確な走査及び測距を行うことができる。
【0061】
なお、本実施例においては、光源11が複数のレーザーバーE1~E3がスタックされたスタック型のレーザ素子を含む場合について説明した。しかし、光源11の構成はこれに限定されない。
【0062】
例えば、光源11は、各々が長手方向(例えば第1の方向D1)及び短手方向(例えば第2の方向D2)を有する断面形状の複数の光(例えば1次レーザ光L11~L13)を出射するように構成されていればよい。例えば、光源11は、種々の発光素子を含み、当該発光素子から出射された光を上記したように整形する光学系を有していてもよい。
【0063】
また、光源11は、複数の1次レーザ光L11~L13を出射するように構成される場合に限定されない。例えば、光源11は、1つの1次レーザ光のみ(例えば1次レーザ光L12のみ)を1次光L1として出射するように構成されていてもよい。
【0064】
具体的には、1次光L1のようにライン状の断面形状を有する1次光L1を投光する場合、1次光L1の端部は中央部に比べて小さな強度を有する場合がある。また、1次光L1の端部の強度は、中央部の強度に比べて安定しない場合がある。このように、1次光L1の端部の特性は、1次光L1の中央部の特性よりも不安定な場合がある。従って、1次光L1の中央部のみを投光させることが好ましい。従って、光源11から出射される1次光L1の第1の方向D1の端部を遮光することで、安定した強度の2次光L2を投光することができる。
【0065】
また、本実施例においては、遮光部13が1次レーザ光L11~L13の端部の各々を遮光するように構成される場合について説明した。しかし、遮光部13の構成はこれに限定されない。遮光部13は、1次レーザ光L11~L13の少なくとも1つの端部を遮光するように構成されていればよい。
【0066】
なお、光源11が複数の光(例えば1次レーザ光L11~L13)からなる1次光L1を出射する場合、上記したように、遮光部13は、遮光部13を経た(遮光部13によって遮光されない)光の第1の方向D1における長さが揃うように、当該複数の光の少なくとも1つにおける第1の方向D1の端部を遮光するように構成されることが好ましい。
【0067】
また、遮光部13は、遮光部13を経た光の第1の方向D1における長さを揃えるように構成される場合に限定されない。遮光部13は、光源11から出射される複数の光のうち、第1の方向D1において他の光よりも突出した少なくとも1つの光(例えば1次レーザ光L13のみ、又は1次レーザ光L12及びL13のみ)の第1の方向D1の端部を遮光するように構成されていればよい。この場合であっても、1次光L1の強度ムラは低減されることが期待できる。
【0068】
また、本実施例においては、遮光部13が1次光L1に対して反射性を有する場合について説明した。しかし、遮光部13は、1次光L1の第1の方向D1の端部を遮光する(投光させない)ように構成されていればよい。例えば、遮光部13は、1次光L1に対して吸収性を有していてもよい。
【0069】
なお、遮光部13が1次光L1に対して反射性を有しない場合、受光素子14は設けられなくてもよい。この場合、遮光部13を用いることなく他の一般的な手段によって光源11の監視を行えばよい。
【0070】
また、本実施例においては、遮光部13が1次光L1の一部(本実施例においては中央部)の光路上に開口部を有する遮光板からなる場合について説明した。しかし、遮光部13の構成はこれに限定されない。例えば、遮光部13は、1次光L1の中央部の光路上に1次光L1を透過させる透過部を有し、他の部分が遮光特性を有する透光板であってもよい。また、遮光部13は、複数の遮光板を有していてもよい。
【0071】
また、遮光部13は、1次光L1の第1の方向D1の端部の一方のみを遮光するように構成されていてもよい。例えば、1次レーザ光L11~L13間のビーム形状の関係によっては、第1の方向D1における一方の端部においては1次レーザ光L13が最も突出しており、他方の端部では1次レーザ光L12が最も突出している場合がある。この場合、遮光部13は、当該一方の端部においては1次レーザ光L13の端部を遮光し、当該他方の端部においては1次レーザ光L12の端部を遮光するように構成されていてもよい。
【0072】
また、本実施例においては、1次光L1の像L1Pを結像する結像光学系12が設けられており、遮光部13は1次光L1の像L1Pが結像される位置に配置されている場合について説明した。しかし、遮光部13の位置はこれに限定されない。
【0073】
例えば、測距装置10は、結像光学系12を有していなくてもよい。また、遮光部13は、光源11の光出射面11Aの極近傍に配置されていてもよい。すなわち、1次光L1は、光源11から出射された直後にその一部が遮光部13によって遮光されるように構成されていてもよい。
【0074】
なお、確実に1次光L1の端部を遮光することを考慮すると、結像光学系12を配置した上で、遮光部13を光源11の光出射面11Aの像L1Pの結像位置に配置することが好ましい。具体的には、像L1Pの結像位置以外に遮光部13を配置する場合、遮光部13を経た1次光L1の端部が確実に遮光されない場合があるからである。
【0075】
換言すれば、測距装置10は、光源11と遮光部13との間の1次光L1の光路上に設けられ、光源11の光出射面11Aの像L1Pを結像する結像光学系12を有することが好ましい。また、遮光部13は、この像L1Pが結像される位置に配置されていることが好ましい。
【0076】
また、本実施例においては、制御部20の光源制御部21が2次光L2の光量に応じた強度の1次光L1を出射するように光源11を制御する場合について説明した。しかし、光源11は、例えば、予め定められた態様で1次光L1を出射するか、又は1次光L1の出射態様を調節可能なように構成されていればよい。
【0077】
このように、本実施例においては、測距装置10は、長手方向(第1の方向D1)及び短手方向(第2の方向D2)を有する断面形状の光(1次光L1)を出射する光源11と、当該光の当該長手方向の端部を遮光する遮光部13と、遮光部13を経た光(2次光L2)を方向可変に偏向しつつ走査領域R0内の対象物OBに向けて投光する偏向素子16と、を有する。
【0078】
また、測距装置10は、対象物OBによって反射された光(3次光L3)である反射光(4次光L4)を受光し、当該長手方向に対応する方向に沿って配列された複数の受光セグメント19Aからなる受光面19Sを有する受光素子19と、受光素子19による当該反射光の受光結果に基づいて対象物OBまでの距離を測定する測距部23と、を有する。従って、強度ムラが低減された光を投光することによって正確な測距を行うことが可能な測距装置10を提供することができる。
【0079】
なお、受光素子19による4次光L4の受光結果は、測距以外の用途、例えば対象物OBの検出用途などにも有効に利用することができる。従って、測距装置10は、測距部23を有していなくてもよい。この場合、例えば、測距装置10における光源11、遮光部13、偏向素子16及び受光素子19は、走査装置、すなわち走査型の投受光装置として機能する。
【0080】
また、測距装置10は、測距部23に加え、偏向素子16を有していなくてもよい。この場合、例えば、測距装置10における光源11、遮光部13及び受光素子19は、非走査型の投受光装置として機能する。この場合であっても、例えば均一な強度の光を用いた投受光を行うことができる。すなわち、本発明は、強度ムラが低減された光を投光することによって正確な投受光を行うことが可能な投受光装置としても実施されることができる。
【0081】
さらに、測距装置10は、受光素子19を有していなくてもよい。この場合、光源11及び遮光部13は、投光装置として機能する。この場合、例えば均一な強度の光を投光することができる。すなわち、本発明は、強度ムラが低減された光を投光することが可能な投光装置としても実施されることができる。
【0082】
上記したように、例えば、本実施例における投光装置は、長手方向(第1の方向D1)及び短手方向(第2の方向D2)を有する断面形状の光(1次光L1)を出射する光源11と、当該光の当該長手方向の端部を遮光する遮光部13と、を有する。従って、強度ムラが低減された光を投光することが可能となる。
【符号の説明】
【0083】
10 測距装置
11 光源
13 遮光部
図1
図2
図3
図4
図5