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特許7432992供給流量が流体製品がそれを通して排出される開口部の速度に依存する流体製品を適用するための適用装置
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  • 特許-供給流量が流体製品がそれを通して排出される開口部の速度に依存する流体製品を適用するための適用装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】供給流量が流体製品がそれを通して排出される開口部の速度に依存する流体製品を適用するための適用装置
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/00 20060101AFI20240209BHJP
   G01P 3/42 20060101ALI20240209BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20240209BHJP
   B05B 12/00 20180101ALI20240209BHJP
   B05D 1/26 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
B05C5/00 101
G01P3/42 Z
B05C11/10
B05B12/00 A
B05D1/26 Z
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019046861
(22)【出願日】2019-03-14
(65)【公開番号】P2019155360
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2022-02-14
(31)【優先権主張番号】1852232
(32)【優先日】2018-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516299279
【氏名又は名称】エクセル インダストリー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ドゥ タルエ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ フェレール
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-271888(JP,A)
【文献】特開平01-184061(JP,A)
【文献】米国特許第06340875(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0052296(US,A1)
【文献】特開2013-202781(JP,A)
【文献】イナーシャルラボ製 3Dモーションセンサー Model OSv3,有限会社 シーエス技研,2011年09月25日,p.1-2,http://www.cstechkk.co.jp/pdf/InertialLabs/3dmotionsensor.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 5/00-21/00
G01P 1/00-3/80
B05D 1/00-7/26
B05B 12/00-12/14
13/00-13/06
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の流体製品を基材(4)に適用するための適用装置(16)であって、
前記少なくとも1種の流体製品を、基材(4)へ適するために形を整えるための適用部材(30)であって、適用部材(30)は、出口オリフィス(32)を含んでおり、出口オリフィス(32)を通して流体製品が、適用装置(16)を流れ出る適用部材(30)、
- 少なくとも1種の流体製品のための、調整部材(36)であって、出口オリフィス(32)を通した流体製品の供給流量を、調整部材(36)の指令入力に応じて調整する調整部材(36)、ならびに、
- 指令入力を決定し、そして前記指令入力を調整部材(36)に供給するための指令モジュール(38)、を含んでなり、
適用装置(16)はまた、出口オリフィス(32)の、慣性基準に対して測定された速度を決定することができる速度測定装置(34)を含み、そして指令モジュール(38)は、指令入力を前記測定された速度に応じて決定するように構成されており、
速度測定装置(34)が、出口オリフィス(32)から15cm未満の距離にあり、指令モジュール(38)が、速度測定装置(34)から5cm未満の距離にあり、指令モジュール(38)が、調整装置(36)から10cm未満の距離にある、
適用装置(16)。
【請求項2】
前記指令入力は、前記流体製品の前記供給流量と前記出口オリフィスの前記測定された速度との間の比が実質的に一定であるのに好適である、請求項1記載の適用装置(16)。
【請求項3】
速度測定装置(34)が、少なくとも1つの加速度計(40)を含んでいる、請求項1または2記載の適用装置(16)。
【請求項4】
速度測定装置(34)が少なくとも1つのジャイロスコープ(42)を含む、請求項1~3のいずれか1項記載の適用装置(16)。
【請求項5】
速度測定装置(34)が、磁気計(44)を含む、請求項1~4のいずれか1項記載の適用装置(16)。
【請求項6】
調整部材(36)が、出口オリフィス(32)から15cm未満の距離にある、請求項1~5のいずれか1項記載の適用装置(16)。
【請求項7】
前記流体製品が、3000~300000mPa・sの範囲の粘度を有している、請求項1~6のいずれか1項記載の適用装置(16)。
【請求項8】
流体製品を基材(4)に適用するためのアプリケーションロボット(8)であって、固定されたフレーム、互いに対して関節接合された複数のセグメント(22)を有する多関節アーム(20)、多関節アーム(20)の1つの末端に取り付けられたリスト(24)、および請求項1~7のいずれか1項記載の適用装置(16)を、含んでなり、適用部材(30)が、リスト(24)の遠位末端に取り付けられている、
アプリケーションロボット(8)。
【請求項9】
指令モジュール(38)が、リスト(24)またはリスト(24)に最も近接したセグメント(22)に取り付けられた、請求項8記載のアプリケーションロボット(8)。
【請求項10】
速度測定装置(34)が、適用部材(30)に取り付けられた、請求項8または9記載のアプリケーションロボット(8)。
【請求項11】
前記測定された速度が、出口オリフィス(32)の前記固定されたフレームに対する速度からなる、請求項8~10のいずれか1項記載のアプリケーションロボット(8)。
【請求項12】
流体製品を基材(4)に適用するための方法(100)であって、以下の連続的な工程、
- 請求項1~7のいずれか1項記載の適用装置(16)を準備する工程(110)、
- 前記流体製品を、出口オリフィス(32)を通して第1の供給流量で供給する工程(159)であって、出口オリフィス(32)は、第1の速度で動いている工程(159)、
- 出口オリフィス(32)の前記速度を変化させる工程(160)、ならびに、
- 前記流体製品を、出口オリフィス(32)を通して、前記第1の供給流量とは異なる第2の供給流量で供給する工程(179)、
を含んでなる、方法(100)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種の流体製品を基材上に適用するための適用装置に関し、この適用装置は、以下の特徴を有するものである。
- その流体製品、もしくはそれぞれの流体製品を、基材上へのその適用のために形を整えるための適用部材、この適用部材は、この適用装置の外側に、流体製品のための出口オリフィスを有している
- 少なくとも1つの流体製品のための、出口オリフィスを通る流体製品の供給流量を、調整部材の指令入力に応じて、調整することができる調整部材、ならびに、
- 指令入力を決定し、そしてそれを調整部材に供給するための指令モジュール
【0002】
「流体製品」は、ここでは、そしてこれ以降、1mPa・s~2kPa・sの範囲の粘度を有する製品を表し、この粘度は、例えばBrookfield Plan Cone粘度計を用いて、常温および常圧の条件で測定される。従って、この表現は、好ましくは変形可能な、そして低粘度の、液体状態の製品、ならびに通常は「ペースト状」と表される、液体よりも粘稠で、そして液体状態と固体状態との間の中間の状態を有する製品を包含する。
【0003】
また、本発明は、そのような適用装置を含むアプリケータロボット、およびそのような適用装置を用いて基材上に流体製品を適用するための方法に関する。
【背景技術】
【0004】
前述の種類の適用装置は知られている。それらは、特には、適用装置から出る流体製品の流量の正確な制御が必要とされる場合に、通常は、基材上に、流体製品、例えば接着剤もしくは塗料の線、を塗布するのに用いられる。その目的のために、それらの適用装置は、塗布されるべき表面に対して当該適用装置の適用部材を動かすように、制御区画によって制御された、ロボットの多関節アームに搭載される。それらの制御区画は、大抵は、その多関節アームの隣に配置され、そしてそれぞれの適用装置は、多関節アームの制御区画に隣接して配置されたそれ自体の制御室を有しており、その多関節アームに適用装置が搭載されている。
【0005】
通常は、この種の適用装置の使用で追及される目的は、流体製品を、塗布されるべき表面上に、可能な限り均一に分配することである。
【0006】
この目的は、塗布されるべき表面上に流体製品の均一な分配を得るために、「工具先端速度」とも称される、出口オリフィスの速度が、一定である場合に容易に達成され、この場合には、実質的に一定の供給流量を維持することを実際に満足し、それは困難なしにどのように行うかは知られている。
【0007】
しかしながら、工具先端速度が変化した場合に、例えば、塗布されるべき表面の末端への適用部材の到着の後に、適用部材の動く方向が変わった場合に、複雑な状況が発生する。この場合には、製品の一定の量を局所的に適用することを継続するように、供給流量は、工具先端速度に比例して変更されなければならず、特には、出口オリフィスの動きが遅くなる場合には、供給流量は減少されなければならず、そして出口オリフィスの動きが増大した場合には、増加されなければならない。
【0008】
供給流量を、そのように工具先端速度に基づいて調整することができるためには、この工具先端速度が、指令モジュールによって認識されなければならない。その目的のために、ロボットアームは、搭載された適用装置の制御室と、制御区画によって多関節アームと情報伝達された動作指令に基づいて、工具先端速度の推定値を情報伝達するために適切に開発されてきた。しかしながら、この解決策は、以下の幾つかの点で不満足なものである。
- それは、ロボットアームと適用装置との間の適合性の問題を提起する。
- それは、この適用装置が、上記の機能を有しないより古い世代のロボットアームに搭載されている場合には、工具先端速度に応じた、供給流量の調整を可能としない。
- 適用装置の制御室での速度情報の処理によって引き起こされる遅延、次いで、調整部材への指令入力の伝達は、供給流量の修正の遅延の原因となり、それがこの修正を不適切なものとしてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の1つの目的は、従って、流体製品の出口オリフィスのその表面に対する動作速度に関係なく、そしてその出口オリフィスを動かすのに用いられた装置に関係なく、塗布されるべき表面上への流体製品の均一な適用を可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的で、本発明は、前述の種類の適用装置に関し、この適用装置はまた、慣性基準に対して出口オリフィスの測定された速度を決定することを可能にする速度測定装置を含んでおり、そして指令モジュールは、その測定された速度に応じて指令入力を決定するように構成されている。
【0011】
本発明の特定の態様によれば、適用装置はまた、1つもしくは2つ以上の以下の特徴を、単独で、またはいずれかの技術的に可能な組み合わせを考慮して、有している。
- 指令入力が適切であり、それによって、流体製品の供給流量と、出口オリフィスの測定された速度の間の比は実質的に一定である。
- 速度測定装置は、少なくとも1つの加速度計を有している。
- 速度測定装置は、少なくとも1つのジャイロスコープを有している。
- 速度測定装置は、磁気計を有している。
- 速度測定装置は、出口オリフィスから15cm未満の距離にある。
- 指令モジュールは、速度測定装置から、5cm未満の距離にある。
- 指令モジュールは、調整装置から、10cm未満の距離にある。
- 調整部材は、出口オリフィスから、15cm未満の距離にある。
- 流体製品は、3000~300000mPa・sの範囲の粘度を有している。
【0012】
また、本発明は、基材上への流体製品の適用のためのアプリケーションロボットに関し、このロボットは、フレーム、互いに対して関節接合された複数のセグメントを形成する多関節アーム、多関節アームの1つの末端に取り付けられたリスト、および上記で規定された適用装置、そのリストの遠位末端に取り付けられた適用部材を含んでいる。
【0013】
本発明の特定の態様によれば、適用装置はまた、1つもしくは2つ以上の下記の特徴を、単独で、またはいずれかの技術的に可能な組み合わせを考慮して、有している。
- 指令モジュールが、リストまたはリストに最も近いセグメントに取り付けられている。
- 速度測定装置が、適用部材に取り付けられている。
- 測定された速度は、フレームに対する出口オリフィスの速度で構成されている。
【0014】
また、本発明は、流体製品を基材に適用するための、以下の連続的な工程を含む方法に関する。
- 上記の適用装置を準備する工程。
- 第1の供給流量で、出口オリフィスを通して流体製品を供給する工程、出口オリフィスは第1の速度で動いている。
- 出口オリフィスの速度を変化させる工程。
- 第1の供給流量とは異なる第2の供給流量で出口オリフィスを通して流体製品を供給する工程。
【0015】
本発明の他の特徴および利点は、例としてのみ与えられ、そして添付の図面を参照してなされる、以下の説明を読むことによって明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明によるアプリケータロボットを含む、基材上への流体製品の適用のための装置の透視図である。
図2図2は、図1のアプリケータロボットの適用装置の概略図である。
図3図3および4は、図1の適用装置によって行われる方法を示すブロックダイヤグラムである。
図4図3および4は、図1の適用装置によって行われる方法を示すブロックダイヤグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に示された装置2は、基材4上への流体製品の適用を意図されている。
【0018】
流体製品は、典型的には高い粘度、すなわち3000mPa・s超である粘度を有する製品で構成されている。そのような高粘度の製品の例としては、典型的には、パテまたはエラストマーまたはエポキシ接着剤がある。有利には、流体製品は、3000~30000Pa・sの範囲の粘度を有している。
【0019】
ここで、基材4は、予備成形された板、典型的にはプレス加工されたシート状の金属板で構成されている。
【0020】
この目的では、装置2は、知られた方法で、基材4を動かすためのシステム6、および基材4上への流体製品の適用のためのアプリケータロボット8を含んでいる。
【0021】
移動システム6は、所定の継続時間の間に、アプリケータロボット8の作動境界内で、それぞれの基材4を装置2の床10に対して動けなくさせることによって、装置2内部で基材4を動かすように構成されている。
【0022】
示された例では、移動システム6は、基材4を支持するコンベヤベルトで構成されている。
【0023】
アプリデータロボット8は、多軸型ロボット12、ロボット12に指令を出す制御区画14、基材4上への流体製品の適用のための適用装置16、適用装置12に指令を出すための指令室18、および適用装置16に流体製品を供給するための供給システム19を含んでいる。
【0024】
多軸型ロボット12は、知られている方法で、床10に対して固定されたフレーム(示されてはいない)、互いに対して関節接合された複数のセグメント22で構成された多関節アーム20、および多関節アーム20の1つの末端に取り付けられたリスト24を含んでいる。
【0025】
リスト24は、近接した末端(示されてはいない)(それによってリスト24はアール20のセグメント22の1つと連結されている)、および近接した末端の反対側の遠位の末端(示されてはいない)を含んでいる。
【0026】
また、多軸型ロボット12は、アーム20のセグメント22およびリスト24との間の接合部に取り付けられた、そのセグメント22、およびリスト24の互いに対する回転を駆動するための複数のモータ(示されてはいない)を含んでいる。
【0027】
制御区画14は、ロボット12のそれぞれのモータの指令入力を決定し、そしてこの指令入力をそれぞれの作用を受けるモータへと与えるための電気回路(示されてはいない)を含んでいる。
【0028】
図2を参照すると、適用装置16は、流体製品を、基材上へのその適用のために形を整えることを意図された適用部材30を含んでいる。その目的のために、適用部材30は、適用装置16の外側に、流体製品の出口のための出口オリフィス32を含んでおり、この出口オリフィス32は、典型的にはノズルで構成されている。
【0029】
また、適用装置16は、速度測定装置34、流体製品の出口オリフィス32を通した供給流量を調整することができる調整部材36、および調整部材36の流量指令入力を決定し、そしてその指令入力を調整部材36へと与えるための指令モジュール38を含んでいる。
【0030】
速度測定装置34は、出口オリフィス32の、慣性基準に対する、特には装置2の床に対する、測定された速度を決定することができる。その目的のために、速度測定装置34は、典型的には、以下の、
- 3つの加速度計40、それぞれが、互いに他の加速度計40の加速度測定方向に直交する特定の方向で加速度を測定することができる、
- 互いに直交する3つの回転軸のそれぞれの周りの角速度を測定することができるジャイロスコープ42、ならびに、
- 磁気計44における磁場の3つの成分を測定することができる磁気計44、
を含む、慣性装置で構成されている。
【0031】
それぞれの加速度計40およびそれぞれのジャイロスコープ42は、典型的には慣性電気機械的ミクロシステムで構成されている。
【0032】
加速度計40、ジャイロスコープ42および磁気計44は、典型的には共有の電子基盤(示されてはいない)中に組み込まれている。
【0033】
全部の速度測定装置34は、出口オリフィス32から、15cm未満の距離にある。従って、速度測定装置34によって測定された動きは、出口オリフィス32の動きに非常に近い。
【0034】
その目的のために、速度測定装置34は、示されているように、適用部材30に取り付けられている。
【0035】
速度測定装置34は、測定された速度を指令モジュール38へと伝達するように構成されている。
【0036】
調整部材36は、出口オリフィス32を通した流体製品の供給流量を規定することができ、供給流量は、指令モジュール38によって供給される流量指令入力に依存する。その目的で、調整部材36は、典型的には適用部材30に供給するポンプで構成されており、そのポンプから出る流体製品の流量は、供給流量を構成する。
【0037】
例えば、調整部材36は、チャンバおよびピストン(示されてはいない)を含む、単動または複動ポンプで構成されており、チャンバ中のピストンの動作速度は、供給流量を決定する。あるいは、調整部材36は、アキシアルピストンを備えたポンプで構成されており、その回転速度が、供給流量を決定する。
【0038】
調整部材36は、出口オリフィス32から15cm未満の距離にある。従って、ポンプの出口流量の変化は、ほとんど即座に供給流量に転嫁される。
【0039】
指令モジュール38は、測定された速度に応じて流量指令入力を決定するように、そしてその入力を、流体製品の供給流量と出口オリフィス32の測定された速度との比が実質的に一定であるように適用するように、構成されている。
【0040】
その目的のために、指令モジュール38は、測定された速度を、測定装置34から受け取るように、そして流量指令入力をその測定された速度から導出するように、適用される。その目的のために、指令モジュール38は、典型的にはプログラムできる論理要素および/または適用装置16中に含まれる専用の集積回路の形態で構成されている。
【0041】
指令モジュール38の全体が、速度測定装置34から5cm未満、そして調整部材36から10cm未満の距離の距離にある。従って、指令モジュール38と速度測定装置34および調整部材36それぞれとの間の情報交換は実質的に即時であり、そのことが、測定装置34によって決定された出力オリフィスの速度変化に追随する調整部材36の非常に高い反応性を可能にさせる。
【0042】
示された例では、適用部材30、速度測定装置34、調整部材36および指令モジュール38は、全てが、多関節アーム20のリスト24に取り付けられた同じユニット46中に組み込まれている。あるいは、適用装置16の少なくとも一部は、リスト24に取り付けられてはおらず、例えば、調整部材36は、リスト24に最も近接した多関節アーム20のセグメント22に取り付けられている。
【0043】
適用装置16の取り付けに関係なく、適用部材30は、好ましくは常にリスト24の遠位の末端に取り付けられる。
【0044】
図1に戻ると、供給システム19は、流体製品を容れたバット50、およびバット50中に容れられた流体製品を調整部材36の入口54(図2)へと移送するための流体移送システム52を含んでいる。
【0045】
流体移送システム52は、流体製品を適用装置16へと、大気圧よりも1.1倍超大きな圧力で供給するために好適である。その目的のために、流体移送システム52は、流体製品をバット50中にポンプ送液するためのエレベーティンググループ56、およびエレベーティンググループ56の出口(示されてはいない)を調整部材36の入口54へと流体連結するパイプ58を含んでいる。
【0046】
装置2を用いた流体製品の適用方法100が、図3を参照して以下に説明される。
【0047】
先ず第一に、第1の工程110の間に、装置2および基材4が準備される。
【0048】
この工程110に、初期設定工程120が続く。
【0049】
この工程120は、第1のサブステップを含んでおり、その間に、エレベーティンググループ56が作動される。後者は、次いで製品をバット50中にポンプ送液し始め、そしてそれをパイプ58中に排出する。
【0050】
また、工程120は、第1のサブステップと実質的に同時に行われる第2のサブステップを含んでおり、その間に、測定装置34が作動される。このサブステップの時点で、測定装置34は出口オリフィス32の速度を連続的に測定する。
【0051】
次いで、工程130の間に、基材4が、移動システム6によってアプリケータロボット8の動作範囲内に与えられ、次いで前記動作範囲内に固定される。
【0052】
制御区画14は、次いで、工程140の間に、多関節アーム20の動作を、適用装置16の出口オリフィス32を、基材4の塗布される面に向かって、その表面上への流体製品の適用のための好適な距離に、配置されるように、指令する。
【0053】
次いで、工程150の間に、アプリケータロボット8は、基材4上への流体製品の適用を開始する。
【0054】
この工程150の全てを通して、出口オリフィス32は、ロボット12によって、床10に対して第1の速度で、塗布される表面に追随して、動かされ、そして指令室18によって、入力が、適用装置16へと、流体製品の適用のために、伝達される。
【0055】
工程150は、第1のサブステップ152を含んでおり、その間に第1の速度が、測定装34によって測定される。
【0056】
次いで、サブステップ154の間に、指令モジュール38は、調整部材36の第1の指令入力を、その第1の速度に応じて決定し、そしてその第1の指令入力を調整部材36へと、サブステップ156の間に伝達する。
【0057】
この指令入力は、調整部材36によってサブステップ158の間に受け取られ、その後に、調整部材36は、供給流量を、第1の流量に、サブステップ159の間に調整する。この第1の流量は、その第1の流量の第1の速度に対する比が、所定の定数と等しくなるようなものである。
【0058】
流体製品は、次いで、工程150の残り全体の間に、第1の流量と等しい供給流量で適用される。
【0059】
次いで、工程160の間に、ロボット12は、出口オリフィス21の移動速度を、床10に対して変更する。この速度の変化は、典型的には、出口オリフィス32の移動方向における変化の間に起こる減速からなっている。
【0060】
流体製品の基材4上への変更された速度での適用を継続するための工程170が、工程160に続けられる。
【0061】
この工程170の全体を通して、出口オリフィス32は、ロボット12によって、床10に対して、変更された速度で、塗布される表面に追随して、動かされ、そして指令室18によって、入力が、適用装置16へと、流体製品の適用のために伝達される。
【0062】
工程170は、第1のサブステップ172を含んでおり、その間に変更された速度が測定装置34によって測定される。
【0063】
次いで、サブステップ174の間に、指令モジュール38は、調整部材36の新しい指令入力をその変更された速度に応じて決定し、そしてその新しい指令入力を調整部材36へとサブステップ176の間に伝達する。
【0064】
この新しい指令入力は、調整部材36によってサブステップ178の間に受け取られ、その後に、調整部材36は、サブステップ179の間に、供給流量を新しい流量へと調整する。この新しい流量は、その新しい流量の変更された速度に対する比が、所定の定数に等しいようなものである。
【0065】
流体製品は、次いで新しい流量に等しい供給流量で、工程170の残りの全体の間に、適用される。このことは、先になされた適用と同質である流体製品の適用をもたらす。
【0066】
次いで、工程180の間に、ロボット12は、再度、出口オリフィス12の移動速度を変更する。この速度の変化は、典型的には、工程160および170の間に発生した出口オリフィス32の移動方向における変化の結果に伴う加速度からなる。
【0067】
従って、流体製品の基材4上への変更された速度での適用を継続するための新しい工程190が、工程180に続けられる。この工程190は、工程170と同じである。
【0068】
工程160、170、180および190は、出口オリフィス32の移動方向のそれぞれの変化に際して繰り返される。
【0069】
最後に、塗布される全体の表面が一旦流体製品で塗布されると、基材4は、移動システム6によって、アプリケータロボット8の動作範囲外に、工程200の間に排出される。
【0070】
工程130~200は、次いで、基材4の全てがアプリケータロボット8によって処理されるまで、繰り返される。
【0071】
上記の本発明によって、流体製品を、塗布される表面に、均一に、流体製品の出口オリフィスのその表面に対する移動速度に独立して、そしてその出口オリフィスを動かすのに用いられる手段に独立して適用することが、そのようにして可能となる。
【0072】
従って、この解決策は用途が広い。これは、推定された工具先端速度を伝達するためのモジュールを装備されていない多軸型ロボットの再利用を可能にするので、これは更に経済的である。
【0073】
上記の例では、アプリケータロボット8は、単一の流体製品の一度の適用のために好適である。あるいは(示されてはいない)、アプリケータロボット8は、幾つかの流体製品を同時に適用するために好適である。この場合には、アプリケータロボット8は、供給システム19の他に、少なくとも1つの他の供給システムを、流体製品毎に1つ、適用装置16にそれらの流体製品のそれぞれを供給するために、含んでいる。更に、適用装置16は、その上に、それぞれの流体製品のための調整部材36、それらの調整部材のそれぞれに、指令入力を、速度測定装置34によって測定された速度に応じて生成させるように構成されている指令モジュール38、を含んでいる。
図1
図2
図3
図4