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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】合成物生産システム及び合成物生産方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 1/12 20060101AFI20240209BHJP
   C07C 9/04 20060101ALI20240209BHJP
   C07C 29/151 20060101ALI20240209BHJP
   C07C 31/04 20060101ALI20240209BHJP
   C07C 43/04 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
C07C1/12
C07C9/04
C07C29/151
C07C31/04
C07C43/04 D
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2019097275
(22)【出願日】2019-05-24
(65)【公開番号】P2020189817
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2022-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】圓島 信也
(72)【発明者】
【氏名】谷岡 忠輝
(72)【発明者】
【氏名】藤田 和徳
(72)【発明者】
【氏名】安藤 喜昌
(72)【発明者】
【氏名】堤 淳史
【審査官】水島 英一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-069917(JP,A)
【文献】特開2018-135283(JP,A)
【文献】国際公開第2017/009575(WO,A1)
【文献】特開平10-263400(JP,A)
【文献】特開2015-109767(JP,A)
【文献】特表2017-534697(JP,A)
【文献】特開2007-099748(JP,A)
【文献】国際公開第2010/102971(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第102351624(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103773524(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104371780(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105296033(CN,A)
【文献】特表2016-531973(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105779047(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106831326(CN,A)
【文献】特表2016-530235(JP,A)
【文献】特表2018-521163(JP,A)
【文献】特開2006-137620(JP,A)
【文献】特開2004-261757(JP,A)
【文献】特開2012-076065(JP,A)
【文献】特開2012-184139(JP,A)
【文献】水素エネルギーシステム,2003年,Vol.28,No.1,16-22
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
副生水素を排出する副生水素排出プラントと、
二酸化炭素含有ガスを排出する二酸化炭素排出プラントと、
前記副生水素と前記二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素とを合成することにより合成物を生産する合成プラントと、
前記合成プラントに供給される前記副生水素の流量に対して、流量を調整した前記二酸化炭素を前記合成プラントに導くように構成された流量調整装置と、
を備え、
前記流量調整装置は、
前記二酸化炭素排出プラントから排出される前記二酸化炭素含有ガスから前記二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置と、
前記合成プラントへの前記副生水素の供給量に応じた分だけ前記二酸化炭素を回収するよう、前記二酸化炭素回収装置における前記二酸化炭素含有ガスからの前記二酸化炭素の回収率、または、前記二酸化炭素回収装置に導く前記二酸化炭素含有ガスの量を調整することで、前記二酸化炭素回収装置の前記二酸化炭素の回収量を前記副生水素の流量に応じて制御するように構成された回収量調整部と、
を含み、
前記流量調整装置は、前記回収量調整部における前記二酸化炭素の前記回収量の制御により、前記合成プラントに導く前記二酸化炭素の流量を調整するように構成された
合成物生産システム。
【請求項2】
前記副生水素排出プラントから排出される前記副生水素を蓄積するための副生水素貯蔵装置を備え、
前記副生水素貯蔵装置から前記合成プラントに前記副生水素を供給可能に構成された
請求項1に記載の合成物生産システム。
【請求項3】
前記副生水素排出プラントから排出される前記副生水素を前記合成プラントに供給するための第1供給ラインを備え、
前記副生水素貯蔵装置は、前記第1供給ラインから分岐した第1供給分岐ラインに設けられる
請求項2に記載の合成物生産システム。
【請求項4】
前記流量調整装置は、前記副生水素貯蔵装置の残量に応じて前記二酸化炭素の流量を制御するように構成される
請求項2又は3に記載の合成物生産システム。
【請求項5】
前記二酸化炭素を蓄積するための二酸化炭素貯蔵装置を備え、
前記二酸化炭素貯蔵装置から前記合成プラントに前記二酸化炭素を供給可能に構成されている
請求項1乃至4の何れか一項に記載の合成物生産システム。
【請求項6】
前記二酸化炭素排出プラントから排出される前記二酸化炭素含有ガスに含まれる前記二酸化炭素を前記合成プラントに供給するための第2供給ラインを備え、
前記二酸化炭素貯蔵装置は、前記第2供給ラインから分岐した第2供給分岐ラインに設けられる
請求項5に記載の合成物生産システム。
【請求項7】
前記流量調整装置は、
前記二酸化炭素排出プラントから排出される前記二酸化炭素含有ガスから前記二酸化炭素を回収して、前記二酸化炭素貯蔵装置及び前記合成プラントに前記二酸化炭素を供給する二酸化炭素回収装置と、
前記二酸化炭素回収装置の前記二酸化炭素の回収量を制御するように構成された回収量調整部と、
を含み、
前記流量調整装置は、前記二酸化炭素貯蔵装置の残量に応じて前記二酸化炭素回収装置の回収量を制御するように構成される
請求項5又は6に記載の合成物生産システム。
【請求項8】
前記副生水素排出プラントは、苛性ソーダを生成するプラントであり、前記苛性ソーダを生成するための塩電解において前記副生水素を生成する
請求項1乃至7の何れか一項に記載の合成物生産システム。
【請求項9】
前記二酸化炭素排出プラントの発電電力の少なくとも一部を前記副生水素排出プラント又は前記合成プラントに供給する
請求項1乃至8の何れか一項に記載の合成物生産システム。
【請求項10】
前記二酸化炭素排出プラントの排熱を前記合成プラントに供給する
請求項1乃至9の何れか一項に記載の合成物生産システム。
【請求項11】
前記二酸化炭素排出プラントの排熱は、前記合成プラントにおける前記二酸化炭素と前記副生水素とを反応させるための加熱に使用される
請求項1乃至10の何れか一項に記載の合成物生産システム。
【請求項12】
前記二酸化炭素排出プラントの排熱は、前記合成プラントの前記合成物から最終生成物を精製するための加熱において使用される
請求項1乃至10の何れか一項に記載の合成物生産システム。
【請求項13】
前記副生水素排出プラントは、前記二酸化炭素排出プラントから供給される純水を使用して苛性ソーダを生成する
請求項1乃至12の何れか一項に記載の合成物生産システム。
【請求項14】
原水の不純物を除去して純水を製造するように構成され、前記副生水素排出プラント及び前記二酸化炭素排出プラントに前記純水を供給する純水供給装置を備える
請求項1乃至13の何れか一項に記載の合成物生産システム。
【請求項15】
前記二酸化炭素排出プラントは、ナフサの改質によって得られる前記二酸化炭素含有ガスを排出し、
前記副生水素排出プラントは、前記二酸化炭素排出プラントが排出した前記二酸化炭素含有ガスから得られる水素含有ガスに対して水素精製を行うことによって得られる副生水素を排出する
請求項1乃至7の何れか一項に記載の合成物生産システム。
【請求項16】
前記二酸化炭素排出プラントから排出される前記二酸化炭素含有ガスから前記二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置を備え、
前記副生水素排出プラントは、前記二酸化炭素回収装置が前記二酸化炭素を回収した後の前記水素含有ガスに対して水素精製を行う
請求項15に記載の合成物生産システム。
【請求項17】
前記二酸化炭素排出プラントから排出される前記二酸化炭素含有ガスから前記二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置を備え、
前記副生水素排出プラントは、前記二酸化炭素排出プラントから前記二酸化炭素回収装置までの前記二酸化炭素含有ガスが流れる流路上に設けられた水素精製装置を含む
請求項15に記載の合成物生産システム。
【請求項18】
前記流量調整装置は、前記二酸化炭素回収装置の回収率を制御することによって、前記合成プラントに供給される前記副生水素の流量に対して、流量を調整した前記二酸化炭素を前記合成プラントに導くように構成されている
請求項16又は17に記載の合成物生産システム。
【請求項19】
前記二酸化炭素含有ガスから前記二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置と、
前記二酸化炭素回収装置に接続される主流ラインと前記二酸化炭素回収装置をバイパスさせるバイパスラインとの流量比を調節するための少なくとも一つの弁と、
を備える
請求項15に記載の合成物生産システム。
【請求項20】
前記流量調整装置は、前記流量比を制御することによって、前記合成プラントに供給される前記副生水素の流量に対して、流量を調整した前記二酸化炭素を前記合成プラントに導くように構成されている
請求項19に記載の合成物生産システム。
【請求項21】
前記合成プラントは、前記合成物として、メタノール、メタン、及びジメチルエーテルのうち少なくとも1種を生産する
請求項1乃至20の何れか一項に記載の合成物生産システム。
【請求項22】
副生水素を排出する副生水素排出ステップと、
二酸化炭素含有ガスを排出する二酸化炭素排出ステップと、
前記副生水素と前記二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素とを合成することにより合成物を生産する合成物生産ステップと、
前記二酸化炭素排出ステップにおいて排出される前記二酸化炭素含有ガスから一部の二酸化炭素を抽出し、前記合成物生産ステップにおいて使用される前記副生水素の流量に対して、流量を調整した前記二酸化炭素を合成に導く流量調整ステップと、
を備え、
前記流量調整ステップは、
前記二酸化炭素含有ガスから前記二酸化炭素を二酸化炭素回収装置により回収する二酸化炭素回収ステップと、
前記合成物の生産に用いる前記副生水素の量に応じた分だけ前記二酸化炭素を回収するよう、前記二酸化炭素回収装置における前記二酸化炭素含有ガスからの前記二酸化炭素の回収率、または、前記二酸化炭素回収装置に導く前記二酸化炭素含有ガスの量を調整することで前記二酸化炭素の回収量を前記副生水素の流量に応じて制御する回収量調整ステップと、
を含み、
前記流量調整ステップでは、前記回収量調整ステップにおける前記二酸化炭素の前記回収量の制御により、前記合成プラントに導く前記二酸化炭素の流量を調整する
合成物生産方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、合成物を生産する合成物生産システム及び合成物生産方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化石燃料の利用に伴う二酸化炭素の排出を削減していくためには、あらゆる技術的な選択肢を追求していく必要がある。二酸化炭素含有ガスから二酸化炭素を回収して合成物(燃料、化学素材等)の資源として活用できれば、経済合理的に大気への二酸化炭素の排出を抑制することが可能となる。
【0003】
二酸化炭素の活用に向けた提案として、例えば、特許文献1には、水又は海水の電気分解によって得られた水素と、発電装置の排ガスから分離した二酸化炭素とを合成し、燃料を生成するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-46460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のように、もっぱら合成物の生産に使用するために、水又は海水の電気分解を行って水素を生成する場合、水素の取得コストが高くなるため、合成物の生産コストが高くなる。これに対して、合成物を生産するための処理とは別の処理の副産物として生じた水素である副生水素を活用する場合、水素の取得コストが低くなるため、合成物の生産コストが低くなる。
【0006】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、副生水素を利用して合成物を生産することが可能な合成物生産システム及び合成物生産方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る合成物生産システムは、
副生水素を排出する副生水素排出プラントと、
二酸化炭素含有ガスを排出する二酸化炭素排出プラントと、
前記副生水素と前記二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素とを合成することにより合成物を生産する合成プラントと、
前記合成プラントに供給される前記副生水素の流量に対して、流量を調整した前記二酸化炭素を前記合成プラントに導くように構成された流量調整装置と、
を備える。
【0008】
上記(1)の構成では、二酸化炭素排出プラントから排出される二酸化炭素含有ガスと、副生水素排出プラントから排出される副生水素とを使用して合成物を生産する。この場合、水素の取得コストが低くなるため、合成物の生産コストを低くすることができる。
【0009】
ところで、燃料、化学素材等の高純度の合成物を生産する場合、二酸化炭素と水素の供給量を、その合成における化学反応式に基づく比率となるように調整する必要がある。電気分解の場合、水素の発生量を調整できるため、二酸化炭素の供給状況に応じて水素の発生量を調整すれば、二酸化炭素と水素の供給量の比率を調整することが可能である。しかし、副生水素を使用する場合、水素の発生量又は供給量を調整することが困難である。また、二酸化炭素の排出量に対して水素の排出量が少ない場合、合成物の生産量を最大化するために水素の利用率が高いことが好ましい。
【0010】
この点、上記(1)の構成では、流量調整装置が合成プラントに供給される副生水素の流量に対して、流量を調整した二酸化炭素を合成プラントに導くように構成されている。この場合、副生水素の供給量に応じて二酸化炭素の供給量が調整されるため、水素の利用率を高くすることが可能となる。
【0011】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記流量調整装置は、
前記二酸化炭素排出プラントから排出される前記二酸化炭素含有ガスから前記二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置と、
前記二酸化炭素回収装置の前記二酸化炭素の回収量を制御するように構成された回収量調整部と、
を含む。
【0012】
上記(2)の構成によれば、二酸化炭素含有ガスから水素の発生量又は供給量に応じた分だけ二酸化炭素を回収するように制御して、不必要となる量の二酸化炭素を回収しないようにすることが可能となる。これにより、二酸化炭素含有ガスから純度が高い二酸化炭素を回収するためのコストを低減することができる。
【0013】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の構成において、合成物生産システムは、
前記副生水素排出プラントから排出される前記副生水素を蓄積するための副生水素貯蔵装置を備え、
前記副生水素貯蔵装置から前記合成プラントに前記副生水素を供給可能に構成されている。
【0014】
上記(3)の構成によれば、合成プラントに対して副生水素を安定供給することが可能となる。例えば、副生水素排出プラントから排出される副生水素の量が、流量調整装置が合成プラントに導く二酸化炭素の流量の調整可能範囲に対応する範囲を逸脱するほど変動しても、副生水素貯蔵装置を利用することによって、二酸化炭素の流量の調整可能範囲内の副生水素を合成プラントに供給することができる。これにより、合成プラントの稼働率を向上させることができる。
【0015】
(4)幾つかの実施形態では、上記(3)の構成において、合成物生産システムは、
前記副生水素排出プラントから排出される前記副生水素を前記合成プラントに供給するための第1供給ラインを備え、
前記副生水素貯蔵装置は、前記第1供給ラインから分岐した第1供給分岐ラインに設けられる。
【0016】
上記(4)の構成によれば、副生水素貯蔵装置が第1供給ラインから分岐した第1供給分岐ラインに設けられているため、副生水素を、副生水素貯蔵装置を介さずに第1供給ラインから合成プラントに供給することもできる。この場合、合成プラントが稼働している状況においても、副生水素貯蔵装置と第1供給ラインとの接続を切断して副生水素貯蔵装置のメンテナンスをすることも可能なる。これにより合成プラントの稼働率を向上させることができる。
【0017】
(5)幾つかの実施形態では、上記(3)又は(4)の構成において、
前記流量調整装置は、前記副生水素貯蔵装置の残量に応じて前記二酸化炭素の流量を制御するように構成される。
【0018】
上記(5)の構成によれば、例えば、副生水素貯蔵装置の残量(すなわち副生水素の貯蔵量)が残量不足を示す閾値(例えば定格の10%)を下回った場合に二酸化炭素の流量を通常よりも少なくする制御、副生水素貯蔵装置の残量が容量オーバー気味であることを示す閾値(例えば定格の90%)を上回った場合に二酸化炭素の流量を通常よりも多くする制御等を行うことが可能となる。そのため、副生水素貯蔵装置の残量が過度に少なくなったり、過剰になったりする虞を低減することができる。
【0019】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(5)の何れか一つの構成において、合成物生産システムは、
前記二酸化炭素を蓄積するための二酸化炭素貯蔵装置を備え、
前記二酸化炭素貯蔵装置から前記合成プラントに前記二酸化炭素を供給可能に構成されている。
【0020】
上記(6)の構成によれば、合成プラントに対して二酸化炭素を安定供給することが可能となる。例えば、副生水素排出プラントから排出される副生水素の量が、二酸化炭素の回収量の調整可能範囲に対応する範囲を逸脱するほど変動しても、二酸化炭素貯蔵装置を利用することによって、その副生水素の量に対応する二酸化炭素の量に近い二酸化炭素を合成プラントに供給することができる。これにより、合成プラントの稼働率を向上させることができる。
【0021】
(7)幾つかの実施形態では、上記(6)の構成において、合成物生産システムは、
前記二酸化炭素排出プラントから排出される前記二酸化炭素含有ガスに含まれる前記二酸化炭素を前記合成プラントに供給するための第2供給ラインを備え、
前記二酸化炭素貯蔵装置は、前記第2供給ラインから分岐した第2供給分岐ラインに設けられる。
【0022】
上記(7)の構成によれば、二酸化炭素貯蔵装置が第2供給ラインから分岐した第2供給分岐ラインに設けられているため、二酸化炭素を、二酸化炭素貯蔵装置を介さずに第2供給ラインから合成プラントに供給することもできる。この場合、合成プラントが稼働している状況においても、二酸化炭素貯蔵装置と第2供給ラインとの接続を切断して二酸化炭素貯蔵装置のメンテナンスをすることも可能なる。これにより合成プラントの稼働率を向上させることができる。
【0023】
(8)幾つかの実施形態では、上記(6)又は(7)の構成において、
前記流量調整装置は、
前記二酸化炭素排出プラントから排出される前記二酸化炭素含有ガスから前記二酸化炭素を回収して、前記二酸化炭素貯蔵装置及び前記合成プラントに前記二酸化炭素を供給する二酸化炭素回収装置と、
前記二酸化炭素回収装置の前記二酸化炭素の回収量を制御するように構成された回収量調整部と、
を含み、
前記流量調整装置は、前記二酸化炭素貯蔵装置の残量に応じて前記二酸化炭素の回収量を制御するように構成される。
【0024】
上記(8)の構成によれば、例えば、二酸化炭素貯蔵装置の残量(すなわち二酸化炭素の貯蔵量)が残量不足を示す閾値(例えば定格の10%)を下回った場合に二酸化炭素の回収量を通常よりも少なくする制御、二酸化炭素貯蔵装置の残量が容量オーバー気味であることを示す閾値(例えば定格の90%)を上回った場合に二酸化炭素の回収量を通常よりも多くする制御等を行うことが可能となる。そのため、二酸化炭素貯蔵装置の残量が過度に少なくなったり、過剰になったりする虞を低減することができる。
【0025】
(9)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(8)の何れか一つの構成において、
前記副生水素排出プラントは、苛性ソーダを生成するプラントであり、前記苛性ソーダを生成するための塩電解において前記副生水素を生成する。
【0026】
合成プラントに供給される二酸化炭素と水素は高純度に精製されていることが必要である。副生水素に不純物が含まれている場合、例えば、合成物を生産する際の反応率又は反応速度が低下して、合成物の生産に支障をきたす虞がある。この点、上記(9)の構成によれば、副生水素排出プラントが純度の高い副生水素を排出するため、水素の精製処理に必要なコストを低減することができる。
【0027】
(10)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(9)の何れか一つの構成において、前記二酸化炭素排出プラントの発電電力の少なくとも一部を前記副生水素排出プラント又は前記合成プラントに供給する。
【0028】
上記(10)の構成によれば、二酸化炭素排出プラントの発電電力の少なくとも一部を副生水素排出プラント又は合成プラントに供給することにより、エネルギー利用の効率化を図ることができる。
【0029】
(11)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(10)の何れか一つの構成において、前記二酸化炭素排出プラントの排熱を前記合成プラントに供給する。
【0030】
上記(11)の構成によれば、合成プラントが二酸化炭素排出プラントの排熱を利用することにより、エネルギー利用の効率化を図ることができる。
【0031】
(12)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(11)の何れか一つの構成において、
前記二酸化炭素排出プラントの排熱は、前記合成プラントにおける前記二酸化炭素と前記副生水素とを反応させるための加熱に使用される。
【0032】
上記(12)の構成によれば、合成プラントが二酸化炭素排出プラントの排熱を合成プラントにおける二酸化炭素と副生水素とを反応させるための加熱に利用するため、エネルギー利用の効率化を図ることができる。
【0033】
(13)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(11)の何れか一つの構成において、前記二酸化炭素排出プラントの排熱は、前記合成プラントの前記合成物から最終生成物を精製するための加熱において使用される。
【0034】
上記(13)の構成によれば、合成プラントが二酸化炭素排出プラントの排熱を合成物から最終生成物を精製するための加熱に利用するため、エネルギー利用の効率化を図ることができる。
【0035】
(14)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(13)の何れか一つの構成において、前記副生水素排出プラントは、前記二酸化炭素排出プラントから供給される純水を使用して苛性ソーダを生成する。
【0036】
上記(14)の構成によれば、副生水素排出プラントと二酸化炭素排出プラントが、純水を共有するため、純水を供給するための設備を簡素化することができる。
【0037】
(15)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(14)の何れか一つの構成において、合成物生産システムは、原水の不純物を除去して純水を製造するように構成され、前記副生水素排出プラント及び前記二酸化炭素排出プラントに前記純水を供給する純水供給装置を備える。
【0038】
上記(15)の構成では、合成物生産システムと副生水素排出プラントと二酸化炭素排出プラントとが純水供給装置を共有するため、純水を供給するための設備を簡素化することができる。
【0039】
(16)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(8)の何れか一つの構成において、
前記二酸化炭素排出プラントは、ナフサの改質によって得られる前記二酸化炭素含有ガスを排出し、
前記副生水素排出プラントは、前記二酸化炭素排出プラントが排出した前記二酸化炭素含有ガスから得られる水素含有ガスに対して水素精製を行うことによって得られる副生水素を排出する。
【0040】
上記(16)の構成では、製油所に適用可能となる。
【0041】
(17)幾つかの実施形態では、上記(16)の構成において、合成物生産システムは、
前記二酸化炭素排出プラントから排出される前記二酸化炭素含有ガスから前記二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置を備え、
前記副生水素排出プラントは、前記二酸化炭素回収装置が前記二酸化炭素を回収した後の前記水素含有ガスに対して水素精製を行う。
【0042】
上記(17)の構成では、副生水素排出プラントは、二酸化炭素を回収した後の水素含有ガス(二酸化炭素リーンガス)に対して水素精製を行うため、副生水素を効率よく取得することができる。また、二酸化炭素含有ガス(二酸化炭素リッチガス)を処理する場合に比べて副生水素排出プラントが処理するボリュームが小さくなるため、副生水素排出プラントを小型化(小容量化)できる。
【0043】
(18)幾つかの実施形態では、上記(16)の構成において、合成物生産システムは、
前記二酸化炭素排出プラントから排出される前記二酸化炭素含有ガスから前記二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置を備え、
前記副生水素排出プラントは、前記二酸化炭素排出プラントから前記二酸化炭素回収装置までの前記二酸化炭素含有ガスが流れる流路上に設けられた水素精製装置を含む。
【0044】
上記(18)の構成では、二酸化炭素回収装置は、副生水素排出プラントが水素精製を行った後の二酸化炭素含有ガス(水素リーンガス)から二酸化炭素を回収するため、二酸化炭素を効率よく回収することができる。また、水素精製を行う前の二酸化炭素含有ガス(水素リッチガス)から二酸化炭素を回収する場合に比べて、二酸化炭素回収装置が処理するボリュームが小さくなるため、二酸化炭素回収装置を小型化(小容量化)できる。
【0045】
(19)幾つかの実施形態では、上記(17)又は(18)の構成において、
前記流量調整装置は、前記二酸化炭素回収装置の回収率を制御することによって、前記合成プラントに供給される前記副生水素の流量に対して、流量を調整した前記二酸化炭素を前記合成プラントに導くように構成されている。
【0046】
上記(19)の構成では、例えば、水素の回収率を100%として合成物を生産する場合に必要な二酸化炭素の量に基づいて二酸化炭素の回収率を制御すれば、二酸化炭素排出プラントが排出する二酸化炭素含有ガスの組成が変化する場合であっても、水素の回収率を100%に固定することができる。
【0047】
(20)幾つかの実施形態では、上記(16)の構成において、合成物生産システムは、
前記二酸化炭素含有ガスから前記二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置と、
前記二酸化炭素回収装置に接続される主流ラインと前記二酸化炭素回収装置をバイパスさせるバイパスラインとの流量比を調節するための少なくとも一つの弁と、
を備える。
【0048】
上記(20)の構成では、主流ラインとバイパスラインとの流量比を調整することにより、二酸化炭素回収装置が処理する二酸化炭素含有ガスのボリュームを小さくできるため、二酸化炭素回収装置を小型化(小容量化)できる。
【0049】
(21)幾つかの実施形態では、上記(20)の構成において、
前記流量調整装置は、前記流量比を制御することによって、前記合成プラントに供給される前記副生水素の流量に対して、流量を調整した前記二酸化炭素を前記合成プラントに導くように構成されている。
【0050】
上記(21)の構成では、例えば、流量比を制御することにより、二酸化炭素の回収率と水素の回収率を固定することができる。
【0051】
(22)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(21)の何れか一つの構成において、
前記合成プラントは、前記合成物として、メタノール、メタン、及びジメチルエーテルのうち少なくとも1種を生産する。
【0052】
上記(22)の構成によれば、水素ガスに比べて保存性に優れる合成物を生産することができる。
【0053】
(23)本発明の少なくとも一実施形態に係る合成物生産方法は、
副生水素を排出する副生水素排出ステップと、
二酸化炭素含有ガスを排出する二酸化炭素排出ステップと、
前記副生水素と前記二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素とを合成することにより合成物を生産する合成物生産ステップと、
前記二酸化炭素排出ステップにおいて排出される前記二酸化炭素から一部を抽出し、前記合成物生産ステップにおいて使用される前記副生水素の流量に対して、流量を調整した前記二酸化炭素を合成に導く流量調整ステップと、
を備える。
【0054】
上記(23)の方法によれば、二酸化炭素排出ステップにおいて排出される二酸化炭素含有ガスと、副生水素排出ステップにおいて排出される副生水素とを使用して合成物を生産する。この場合、水素の取得コストが低くなるため、合成物の生産コストを低くすることができる。また、流量調整ステップでは、合成物生産ステップにおいて使用される副生水素の流量に対して、流量を調整した二酸化炭素を合成に導く。この場合、副生水素の供給量に応じて二酸化炭素の供給量が調整されるため、水素の利用率を高くすることが可能となる。
【発明の効果】
【0055】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、副生水素を利用して合成物を生産することが可能な合成物生産システム及び合成物生産方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1】本発明の一実施形態に係る合成物生産システムの構成を概略的に示す図である。
図2】一実施形態に係る合成物生産システムの構成を概略的に示す図である。
図3】一実施形態に係る合成物生産システムの構成を概略的に示す図である。
図4】一実施形態に係る合成物生産システムの構成を概略的に示す図である。
図5】一実施形態に係る合成物生産システムの構成を概略的に示す図である。
図6】一実施形態に係る合成物生産システムの構成を概略的に示す図である。
図7】一実施形態に係る合成物生産システムの構成を概略的に示す図である。
図8】一実施形態に係る合成物生産システムの構成を概略的に示す図である。
図9】一実施形態に係る合成物生産システムの構成を概略的に示す図である。
図10】一実施形態に係る合成プラントの構成を概略的に示す図である。
図11】一実施形態に係る合成物生産システムの構成を概略的に示す図である。
図12】一実施形態に係る合成物生産システムの構成を概略的に示す図である。
図13】一実施形態に係る合成物生産システムの構成を概略的に示す図である。
図14】一実施形態に係る合成物生産システムの構成を概略的に示す図である。
図15】本発明の一実施形態に係る合成物生産方法を示すフローチャートである。
【0057】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0058】
図1図9及び図11図14は、それぞれ、本発明の一実施形態に係る合成物生産システム100(100A、100B、100C、100D、100E、100F、100G、100H、100I、100J、100K、100L、100M)の構成を概略的に示す図である。合成物生産システム100は、燃料や化学素材等の合成物を生産するシステムである。例えば、合成物は、メタノール、メタン、ジメチルエーテル(DME)等である。
【0059】
幾つかの実施形態では、例えば、図1図9及び図11図14に示すように、合成物生産システム100は、副生水素を排出する副生水素排出プラント10と、二酸化炭素含有ガスを排出する二酸化炭素排出プラント20と、副生水素と二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素とを合成することにより合成物を生産する合成プラント30と、合成プラント30に供給される副生水素の流量に対して、流量を調整した二酸化炭素を合成プラント30に導くように構成された流量調整装置40と、を備える。
【0060】
かかる構成によれば、合成物生産システム100は、二酸化炭素排出プラント20から排出される二酸化炭素含有ガスと、副生水素排出プラント10から排出される副生水素とを使用して合成物を生産する。この場合、水素の取得コストが低くなるため、合成物の生産コストを低くすることができる。
【0061】
また、流量調整装置40は、合成プラント30に供給される副生水素の流量に対して、流量を調整した二酸化炭素を合成プラント30に導くように構成されている。この場合、副生水素の供給量に応じて二酸化炭素の供給量が調整されるため、水素の利用率を高くすることが可能となる。
【0062】
幾つかの実施形態では、例えば、図1図9及び図11図14に示すように、流量調整装置40は、二酸化炭素排出プラント20から排出される二酸化炭素含有ガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置42と、二酸化炭素回収装置42の二酸化炭素の回収量を制御するように構成された回収量調整部41と、を含む。流量調整装置40は、副生水素の流量に対して二酸化炭素の流量を調整するために、例えば、合成プラント30への供給配管の水素流量を計測するセンサ(不図示)、副生水素貯蔵装置50の残量を計測するセンサ(不図示)等を備えていてもよい。
【0063】
二酸化炭素回収装置42は、例えば、PSA(Pressure Swing Adsorption)方式によって二酸化炭素を分離回収する構成であってもよいし、アミン吸収法によって二酸化炭素を分離回収する構成であってもよい。PSA方式による回収方法では、例えば、加圧と減圧との繰り返しにより二酸化炭素の回収量又は回収率を調整する。アミン吸収法による回収方法では、吸収液の流量を調整することにより二酸化炭素の回収量又は回収率を調整する。
【0064】
回収量調整部41は、二酸化炭素回収装置42の回収率を調整する構成であってもよいし、回収率ではなく、二酸化炭素回収装置42に導く二酸化炭素含有ガスの量と、二酸化炭素回収装置42に導かずに外部に放出する二酸化炭素含有ガスの量とを調整する構成であってもよい。そのため、二酸化炭素回収装置42の排ガスは、二酸化炭素回収装置42に導かずに外部に放出する二酸化炭素含有ガスを含んでいてもよいし、二酸化炭素回収装置42に導かれた二酸化炭素含有ガスのうち二酸化炭素を回収した後のオフガスであってもよい。
【0065】
このような構成によれば、二酸化炭素含有ガスから水素の発生量又は供給量に応じた分だけ二酸化炭素を回収するように制御して、不必要となる量の二酸化炭素を回収しないようにすることが可能となる。これにより、二酸化炭素含有ガスから純度が高い二酸化炭素を回収するためのコストを低減することができる。
【0066】
幾つかの実施形態では、例えば、図1図6及び図9に示すように、合成物生産システム100は、副生水素排出プラント10から排出される副生水素を蓄積するための副生水素貯蔵装置50を備え、副生水素貯蔵装置50から合成プラント30に副生水素を供給可能に構成されていてもよい。副生水素貯蔵装置50は、水素を貯蔵するための装置であって、例えば、水素吸蔵合金、貯蔵タンク等である。
【0067】
かかる構成によれば、合成プラント30に対して副生水素を安定供給することが可能となる。例えば、副生水素排出プラント10から排出される副生水素の量が、流量調整装置40が合成プラント30に導く二酸化炭素の流量の調整可能範囲に対応する範囲を逸脱するほど変動しても、副生水素貯蔵装置50を利用することによって、二酸化炭素の流量の調整可能範囲内の副生水素を合成プラント30に供給することができる。これにより、合成プラント30の稼働率を向上させることができる。
【0068】
幾つかの実施形態では、例えば、図2に示すように、合成物生産システム100は、副生水素排出プラント10から排出される副生水素を合成プラント30に供給するための第1供給ラインを備え、副生水素貯蔵装置50は、第1供給ラインから分岐した第1供給分岐ラインに設けられていてもよい。なお、図2では、副生水素貯蔵装置50から合成プラント30への供給経路は、第1供給ラインと並列的に設けられた他の供給ラインである。しかし、副生水素貯蔵装置50から合成プラント30への供給経路は、第1供給ラインであってもよい。すなわち、副生水素貯蔵装置50は、第1供給ラインに対して副生水素を供給したり、第1供給ラインから副生水素が供給されたりする構成であってもよい。
【0069】
このような構成によれば、副生水素貯蔵装置50が第1供給ラインから分岐した第1供給分岐ラインに設けられているため、副生水素を、副生水素貯蔵装置50を介さずに第1供給ラインから合成プラント30に供給することもできる。この場合、合成プラント30が稼働している状況においても、副生水素貯蔵装置50と第1供給ラインとの接続を切断して副生水素貯蔵装置50のメンテナンスをすることも可能なる。これにより合成プラント30の稼働率を向上させることができる。
【0070】
幾つかの実施形態では、例えば、図1図6及び図9に示す流量調整装置40は、副生水素貯蔵装置50の残量に応じて二酸化炭素の流量を制御するように構成されていてもよい。
【0071】
かかる構成によれば、例えば、副生水素貯蔵装置50の残量(すなわち副生水素の貯蔵量)が残量不足を示す閾値(例えば定格の10%)を下回った場合に二酸化炭素の流量を通常よりも少なくする制御、副生水素貯蔵装置50の残量が容量オーバー気味であることを示す閾値(例えば定格の90%)を上回った場合に二酸化炭素の流量を通常よりも多くする制御等を行うことが可能となる。そのため、副生水素貯蔵装置50の残量が過度に少なくなったり、過剰になったりする虞を低減することができる。
【0072】
幾つかの実施形態では、例えば、図1及び図2に示すように、合成物生産システム100は、二酸化炭素を蓄積するための二酸化炭素貯蔵装置60を備え、二酸化炭素貯蔵装置60から合成プラント30に二酸化炭素を供給可能に構成されている。二酸化炭素貯蔵装置60は、二酸化炭素を貯蔵するための装置であって、例えば、貯蔵タンクである。
【0073】
かかる構成によれば、合成プラント30に対して二酸化炭素を安定供給することが可能となる。例えば、副生水素排出プラント10から排出される副生水素の量が、二酸化炭素の回収量の調整可能範囲に対応する範囲を逸脱するほど変動しても、二酸化炭素貯蔵装置60を利用することによって、その副生水素の量に対応する二酸化炭素の量に近い二酸化炭素を合成プラント30に供給することができる。これにより、合成プラント30の稼働率を向上させることができる。
【0074】
幾つかの実施形態では、例えば、図2に示すように、合成物生産システム100は、二酸化炭素排出プラント20から排出される二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素を合成プラント30に供給するための第2供給ラインを備え、二酸化炭素貯蔵装置60は、第2供給ラインから分岐した第2供給分岐ラインに設けられていてもよい。なお、図2では、二酸化炭素貯蔵装置60から合成プラント30への供給経路は、第2供給ラインと並列的に設けられた他の供給ラインである。しかし、二酸化炭素貯蔵装置60から合成プラント30への供給経路は、第2供給ラインであってもよい。すなわち、二酸化炭素貯蔵装置60は、第2供給ラインに対して二酸化炭素を供給したり、第2供給ラインから二酸化炭素が供給されたりする構成であってもよい。
【0075】
かかる構成によれば、二酸化炭素貯蔵装置60が第2供給ラインから分岐した第2供給分岐ラインに設けられているため、二酸化炭素を、二酸化炭素貯蔵装置60を介さずに第2供給ラインから合成プラント30に供給することもできる。この場合、合成プラント30が稼働している状況においても、二酸化炭素貯蔵装置60と第2供給ラインとの接続を切断して二酸化炭素貯蔵装置60のメンテナンスをすることも可能なる。これにより、合成プラントの稼働率を向上させることができる。
【0076】
図1及び図2に示す流量調整装置40は、二酸化炭素排出プラント20から排出される二酸化炭素含有ガスから二酸化炭素を回収して、二酸化炭素貯蔵装置60及び合成プラント30に二酸化炭素を供給する二酸化炭素回収装置42と、二酸化炭素回収装置42の二酸化炭素の回収量を制御するように構成された回収量調整部41と、を含んでいる。幾つかの実施形態では、このような構成において、流量調整装置40は、二酸化炭素貯蔵装置60の残量に応じて二酸化炭素の回収量を制御するように構成されてもよい。また、流量調整装置40は、二酸化炭素貯蔵装置60の残量を計測するセンサ(不図示)、二酸化炭素貯蔵装置60への二酸化炭素の供給量や二酸化炭素貯蔵装置60からの二酸化炭素の供給量を計測するセンサ(不図示)等を備えていてもよい。
【0077】
かかる構成によれば、例えば、二酸化炭素貯蔵装置60の残量(すなわち二酸化炭素の貯蔵量)が残量不足を示す閾値(例えば定格の10%)を下回った場合に二酸化炭素の回収量を通常よりも少なくする制御、二酸化炭素貯蔵装置60の残量が容量オーバー気味であることを示す閾値(例えば定格の90%)を上回った場合に二酸化炭素の回収量を通常よりも多くする制御等を行うことが可能となる。そのため、二酸化炭素貯蔵装置60の残量が過度に少なくなったり、過剰になったりする虞を低減することができる。
【0078】
幾つかの実施形態では、副生水素排出プラント10は、例えば、図3図6及び図9に示す副生水素排出プラント10(10A)のように、苛性ソーダを生成するプラントであり、苛性ソーダを生成するための塩電解において副生水素を生成するように構成されていてもよい。
【0079】
合成プラント30に供給される二酸化炭素と水素は高純度に精製されていることが必要である。副生水素に不純物が含まれている場合、例えば、合成物を生産する際の反応率又は反応速度が低下して、合成物の生産に支障をきたす虞がある。この点、上記の構成によれば、副生水素排出プラント10(10A)が純度の高い副生水素を排出するため、水素の精製処理に必要なコストを低減することができる。
【0080】
幾つかの実施形態では、例えば、図3図4図7及び図8に示すように、二酸化炭素排出プラント20の発電電力の少なくとも一部を副生水素排出プラント10又は合成プラント30に供給している。なお、図4に示す例では、二酸化炭素排出プラント20はセメント工場20(20B)であり、セメント工場20(20B)の排熱を利用した発電装置90の発電電力の少なくとも一部が副生水素排出プラント10又は合成プラント30に供給されてもよい。図3図7及び図8に示す例では、二酸化炭素排出プラント20は石炭火力発電所20(20A)であり、その発電電力の少なくとも一部が副生水素排出プラント10又は合成プラント30に供給される。
【0081】
かかる構成によれば、二酸化炭素排出プラント20の発電電力の少なくとも一部を副生水素排出プラント10又は合成プラント30に供給することにより、エネルギー利用の効率化を図ることができる。
【0082】
幾つかの実施形態では、合成物生産システム100は、例えば、図9に示す合成物生産システム100(100I)のように、二酸化炭素排出プラント20の排熱を合成プラント30に供給するように構成されていてもよい。
【0083】
かかる構成によれば、合成プラント30が二酸化炭素排出プラント20の排熱を利用することにより、エネルギー利用の効率化を図ることができる。
【0084】
ここで、合成プラント30の構成の一例を説明する。図10は、一実施形態に係る合成プラント30の構成を概略的に示す図である。図10に示すように、合成プラント30は、水素を精製するための水素精製部31と二酸化炭素を精製するための二酸化炭素精製部32とを備える。なお、高純度の副生水素と二酸化炭素が供給される場合、これらの構成は不要である。また、合成プラント30は、水素と二酸化炭素とが混合したガスを加熱するための加熱部33と、水素と二酸化炭素を化学反応させて合成物(メタノール)を生成するための触媒34と、蒸留を行うように構成された蒸留部36とを備える。また、合成プラント30は、合成物の生成に寄与しなかったガスを循環させるための冷却部35、フラッシュタンク37、及び圧縮機38を備える。
【0085】
水素精製部31と二酸化炭素精製部32から供給される水素と二酸化炭素とは、混合した状態で加熱部33によって加熱され、触媒34に導かれる。触媒34において、水素と二酸化炭素とが混合したガスは化学反応する。これにより、合成物が生成される。生成された合成物は、蒸留部36の蒸留によって水と最終生成物(高純度のメタノール)とに分離される。このような合成プラント30では、加熱部33と蒸留部36において加熱が必要となる。
【0086】
そこで、幾つかの実施形態では、図9に示す合成物生産システム100(100I)における二酸化炭素排出プラント20の排熱は、合成プラント30における二酸化炭素と副生水素とを反応させるための加熱(すなわち触媒34に導く前の加熱部33による加熱)に使用されていてもよい。
【0087】
かかる構成によれば、合成プラント30が二酸化炭素排出プラント20の排熱を合成プラント30における二酸化炭素と副生水素とを反応させるための加熱に利用するため、エネルギー利用の効率化を図ることができる。
【0088】
また、幾つかの実施形態では、図9に示す合成物生産システム100(100I)における二酸化炭素排出プラント20の排熱は、合成プラント30の合成物から最終生成物を精製するための加熱(すなわち蒸留部36の蒸留に必要な加熱)において使用される。
【0089】
かかる構成によれば、合成プラント30が二酸化炭素排出プラント20の排熱を合成物から最終生成物を精製するための加熱に利用するため、エネルギー利用の効率化を図ることができる。
【0090】
幾つかの実施形態では、例えば、図5に示すように、副生水素排出プラント10(10A)は、二酸化炭素排出プラント20から供給される純水を使用して苛性ソーダを生成するように構成されていてもよい。
【0091】
かかる構成によれば、副生水素排出プラント10と二酸化炭素排出プラント20が、純水を共有するため、純水を供給するための設備を簡素化することができる。
【0092】
ここで、石炭火力発電所20(20A)では、ボイラで蒸気を生成し蒸気タービンで発電機を駆動する。このボイラへの給水として純水が使用されている。石炭火力発電所20(20A)は、ボイラで使用される給水を補給するために純水供給ライン(不図示)を備えている。セメント工場20(20B)では、セメント製造プロセスで発生する排熱で蒸気を生成し、蒸気タービンで発電装置90を駆動して、電力を工場内で使用している。そのため、セメント工場20(20B)は、蒸気タービンに蒸気を生成するための純水を供給する純水供給ラインを備えている。このように、二酸化炭素排出プラント20(例えば、石炭火力発電所20(20A)、セメント工場20(20B))は、純水供給ラインを備えている場合がある。
【0093】
そこで、幾つかの実施形態では、合成物生産システム100は、例えば、図6に示す合成物生産システム100(100F)のように、純水供給装置91を備えていてもよい。純水供給装置91は、原水の不純物を除去して純水を製造するように構成され、副生水素排出プラント10及び二酸化炭素排出プラント20に純水を供給するように構成されている。
【0094】
このような構成では、合成物生産システム100と副生水素排出プラント10と二酸化炭素排出プラント20とが純水供給装置91を共有するため、純水を供給するための設備を簡素化することができる。
【0095】
幾つかの実施形態では、二酸化炭素排出プラント20(20C)は、例えば、図11図14に示す合成物生産システム100(100J、100K、100L、100M)のように、ナフサの改質によって得られる二酸化炭素含有ガスを排出するように構成されていてもよい。二酸化炭素排出プラント20(20C)は、ナフサを改質するための改質装置94と、PSA方式によって、改質後のナフサから水素を分離するためのPSA装置95と、PSA装置95のPSAオフガスを加熱炉97と流量調整装置40(40B)とに分流するための三方弁96と、製油を行う加熱炉97とを備えている。なお、PSA装置95が分離した水素は、合成物には使用せずに、製品として水素ステーションなどに提供される。副生水素排出プラント10(10C)は、水素生成装置であって、二酸化炭素排出プラント20(20C)が排出した二酸化炭素含有ガス(二酸化炭素リッチガス)から得られる水素含有ガス(二酸化炭素リーンガス)に対して水素精製を行うことによって得られる副生水素を排出するように構成されている。
【0096】
かかる構成によれば、製油所に適用可能となる。なお、図11図14において、符号ではない数値は、PSA装置95から排出されるPSAオフガスのガス量を100%とした場合にそれに対する各々の流路のガス量の比率を例示している。PSAオフガスの組成は、例えば、二酸化炭素50体積%、水素40体積%、メタン等が10体積%である。
【0097】
幾つかの実施形態では、例えば、図11に示すように、合成物生産システム100は、二酸化炭素排出プラント20(20C)から排出される二酸化炭素含有ガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置42を備え、副生水素排出プラント10(10C)は、二酸化炭素回収装置42が二酸化炭素を回収した後の水素含有ガスに対して水素精製を行うように構成されていてもよい。
【0098】
このような構成では、副生水素排出プラント10(10C)は、二酸化炭素を回収した後の水素含有ガス(二酸化炭素リーンガス)に対して水素精製を行うため、副生水素を効率よく取得することができる。また、二酸化炭素含有ガス(二酸化炭素リッチガス)を処理する場合に比べて副生水素排出プラント10(10C)が処理するボリュームが小さくなるため、副生水素排出プラント10(10C)を小型化(小容量化)できる。
【0099】
幾つかの実施形態では、例えば、図12に示すように、合成物生産システム100は、二酸化炭素排出プラント20(20C)から排出される二酸化炭素含有ガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置42を備え、副生水素排出プラント10(10C)は、二酸化炭素排出プラント20(20C)から二酸化炭素回収装置42までの二酸化炭素含有ガスが流れる流路上に設けられた水素精製装置を含んでいてもよい。
【0100】
このような構成では、二酸化炭素回収装置42は、副生水素排出プラント10(10C)が水素精製を行った後の二酸化炭素含有ガス(水素リーンガス)から二酸化炭素を回収するため、二酸化炭素を効率よく回収することができる。また、水素精製を行う前の二酸化炭素含有ガス(水素リッチガス)から二酸化炭素を回収する場合に比べて、二酸化炭素回収装置42が処理するボリュームが小さくなるため、二酸化炭素回収装置42を小型化(小容量化)できる。
【0101】
幾つかの実施形態では、例えば、図11及び図12に示すように、流量調整装置40(40A)は、二酸化炭素回収装置42の回収率を制御することによって、合成プラント30に供給される副生水素の流量に対して、流量を調整した二酸化炭素を合成プラント30に導くように構成されている。
【0102】
このような構成では、例えば、水素の回収率を100%として合成物を生産する場合に必要な二酸化炭素の量に基づいて二酸化炭素の回収率を制御すれば、二酸化炭素排出プラント20(20C)が排出する二酸化炭素含有ガスの組成が変化する場合であっても、水素の回収率を100%に固定することができる。
【0103】
幾つかの実施形態では、例えば、図13及び図14に示すように、合成物生産システム100は、二酸化炭素含有ガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置42と、二酸化炭素回収装置42に接続される主流ラインと二酸化炭素回収装置42をバイパスさせるバイパスラインとの流量比を調節するための少なくとも一つの弁43と、を備えている。少なくとも一つの弁43は、図13及び図14に示す例では、一つの三方弁である。なお、弁43は三方弁ではなく、主流ラインとバイパスラインの流量を調整するための2つの弁であってもよい。
【0104】
具体的には、図13に示す合成物生産システム100(100L)は、弁43によって分流された一方の二酸化炭素含有ガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置42を備え、副生水素排出プラント10(10C)は、二酸化炭素回収装置42が二酸化炭素を回収した後の二酸化炭素含有ガス及び弁43によって分流された他方の二酸化炭素含有ガスに対して水素精製を行っている。この場合、副生水素排出プラント10は、二酸化炭素回収装置42が二酸化炭素を回収した後の二酸化炭素含有ガス及び弁43によって分流された他方の二酸化炭素含有ガスに対して水素精製を行うため、副生水素を効率よく取得することができる。
【0105】
図14に示す合成物生産システム100(100M)は、副生水素排出プラント10(10C)は、二酸化炭素排出プラント20(20C)から排出される二酸化炭素含有ガスに対して水素精製を行い、弁43は、副生水素排出プラント10(10C)が水素精製を行った後の二酸化炭素含有ガスを2つに分流させ、二酸化炭素回収装置42は、弁43によって分流された一方の二酸化炭素含有ガスから二酸化炭素を回収している。この場合、二酸化炭素回収装置42は、副生水素排出プラント10が水素精製を行った後の弁43によって分流された一方の二酸化炭素含有ガスから二酸化炭素を回収するため、二酸化炭素を効率よく取得することができる。
【0106】
このような構成によれば、主流ラインとバイパスラインとの流量比を調整することにより、二酸化炭素回収装置が処理する二酸化炭素含有ガスのボリュームを小さくできるため、二酸化炭素回収装置を小型化(小容量化)できる。
【0107】
幾つかの実施形態では、例えば、図13及び図14において、流量調整装置40(40B)は、流量比を制御することによって、合成プラント30に供給される副生水素の流量に対して、流量を調整した二酸化炭素を合成プラント30に導くように構成されていてもよい。
【0108】
かかる構成によれば、例えば、流量比を制御することにより、二酸化炭素の回収率と水素の回収率を固定することができる。
【0109】
幾つかの実施形態では、合成プラント30は、合成物として、メタノール、メタン、及びジメチルエーテルのうち少なくとも1種を生産するように構成されている。かかる構成によれば、水素ガスに比べて保存性に優れる合成物を生産することができる。
【0110】
以下、本発明の少なくとも一実施形態に係る合成物生産方法について説明する。図15は、本発明の一実施形態に係る合成物生産方法を示すフローチャートである。図15に示すように、合成物生産システム100は、副生水素を排出する(ステップS1)。合成物生産システム100は、二酸化炭素含有ガスを排出する(ステップS2)。なお、これらのステップは同時に行われてもよいし、時差があってもよい。
【0111】
合成物生産システム100は、二酸化炭素排出ステップにおいて排出される二酸化炭素から一部を抽出し、次のステップS4において使用される副生水素の流量に対して、流量を調整した二酸化炭素を合成に導く(ステップS3)。合成物生産システム100は、副生水素と二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素とを合成することにより合成物を生産する(ステップS4)。
【0112】
このような方法によれば、二酸化炭素排出ステップ(ステップS1)において排出される二酸化炭素含有ガスと、副生水素排出ステップ(ステップS2)において排出される副生水素とを使用して合成物を生産する。この場合、水素の取得コストが低くなるため、合成物の生産コストを低くすることができる。また、流量調整ステップ(ステップS3)では、合成物生産ステップ(ステップS4)において使用される副生水素の流量に対して、流量を調整した二酸化炭素を合成に導く。この場合、副生水素の供給量に応じて二酸化炭素の供給量が調整されるため、水素の利用率を高くすることが可能となる。
【0113】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【符号の説明】
【0114】
10 副生水素排出プラント
20 二酸化炭素排出プラント
20A 石炭火力発電所
20B セメント工場
30 合成プラント
31 水素精製部
32 二酸化炭素精製部
33 加熱部
34 触媒
35 冷却部
36 蒸留部
37 フラッシュタンク
38 圧縮機
40 流量調整装置
41 回収量調整部
42 二酸化炭素回収装置
43 弁
50 副生水素貯蔵装置
60 二酸化炭素貯蔵装置
90 発電装置
91 純水供給装置
94 改質装置
95 PSA装置
96 三方弁
97 加熱炉
100 合成物生産システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図15