(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1347 20060101AFI20240209BHJP
G02F 1/1343 20060101ALI20240209BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20240209BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
G02F1/1347
G02F1/1343
G02F1/13357
G02F1/13 505
(21)【出願番号】P 2019184213
(22)【出願日】2019-10-07
【審査請求日】2022-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】木村 駿一
(72)【発明者】
【氏名】松島 寿治
(72)【発明者】
【氏名】小村 真一
【審査官】小濱 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-128641(JP,A)
【文献】国際公開第2017/077994(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1347
G02F 1/1343
G02F 1/13357
G02F 1/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示パネルとバックライトと、液晶表示パネルとバックライトとの間に液晶ライトバルブが存在する液晶表示装置であって、
前記液晶ライトバルブは、第1基板と第2基板の間に液晶が挟持され、
前記第1基板には、第1の方向に延在した第1の電極が複数形成され、
前記第1の電極の上に第1の絶縁膜が形成され、
前記第1の絶縁膜の上に、
平面状の複数の第2の電極が所定の間隔をおいてマトリクス状に形成され、
前記第2の電極の上に第2の絶縁膜が形成され、
前記第2の絶縁膜の上に、第2の方向に延在した第3の電極が複数形成され、前記第3の電極と前記第2基板との間に前記液晶が挟持され、
前記第1の電極と前記第2の電極と前記第3の電極は、透明導電膜であり、
前記第2の電極間の前記所定の間隔は、2μm乃至10μmであ
り、
前記複数の前記第1の電極のそれぞれは、対応する前記第2の電極と、前記第1の絶縁膜に形成されたスルーホールを介して接続し、
前記第1の電極は、平面視で、前記第2の電極間の前記第2の方向における隙間と重畳して配置され、
前記第3の電極は、平面視で、前記第2の電極間の前記第1の方向における隙間と重畳して配置されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記第2電極間の前記所定の間隔は、2μm乃至5μmであることを特徴とする請求項1
に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記液晶表示パネルには、ブラックマトリクスが形成され、
前記ブラックマトリクスの幅は、前記第2電極間の前記所定の間隔よりも大きく、
平面で視て、前記第2電極間の前記所定の間隔は、前記ブラックマトリクスによって覆われていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記ブラックマトリクスは、前記第1の方向に延在する第1の幅と、前記第2の方向に延在する第2の幅を有し、
前記第1の幅は前記第2の幅よりも大きく、
前記第2電極間の前記所定の間隔は、前記第1の方向の間隔と、前記第2の方向の間隔を有し、
前記第1の幅は、前記第2の方向の間隔よりも大きいことを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
液晶表示パネルとバックライトと、液晶表示パネルとバックライトとの間に液晶ライトバルブが存在する液晶表示装置であって、
前記液晶ライトバルブは、第1基板と第2基板の間に液晶が挟持され、
前記第1基板には、第1の方向にストライプ状に延在した第1の電極が複数形成され、
前記第1の電極の上に第1の絶縁膜が形成され、
前記第1の絶縁膜の上に、平面状の第2の電極が所定の間隔をおいてマトリクス状に形成され、
前記第2の電極の上に第2の絶縁膜が形成され、
前記第2の絶縁膜の上に、第2の方向に第3の電極が形成され、
前記第1の電極と前記第2の電極と前記第3の電極は、透明酸化物導電膜であり、
前記複数の前記第1の電極のそれぞれは、対応する前記第2の電極と、前記第1の絶縁膜に形成されたスルーホールを介して接続し、
平面で視て、前記第3の電極が前記第2の電極と重複する部分には、前記第3の電極に複数のスリットが形成され、
平面で視て、前記第2の電極間の前記所定の間隔は、前記第3の電極によって覆われていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項6】
平面で視て、前記第2の電極と前記第2の電極の間の隙間には、前記スリットは形成されてないことを特徴とする請求項
5に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
平面で視て、前記第2の電極と前記第2の電極の間の隙間と、前記第1の電極が重なる部分には、前記スリットは形成されていないことを特徴とする請求項
5に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
液晶表示パネルとバックライトと、液晶表示パネルとバックライトとの間に液晶ライトバルブが存在する液晶表示装置であって、
前記液晶ライトバルブは、第1基板と第2基板の間に液晶が挟持され、
前記第1基板には、第1の方向にストライプ状に延在した第1の電極が複数形成され、
前記第1の電極の上に第1の絶縁膜が形成され、
前記第1の絶縁膜の上に、
平面状の複数の第2の電極が第1の間隔をおいて配置され、
前記第2の電極の上に第2の絶縁膜が形成され、
前記第2の絶縁膜の上に、平面状の第3の電極が第2の間隔をおいて配置され、
前記第3の電極の上に第3の絶縁膜が形成され、
前記第3の絶縁膜の上に、第2の方向に延在した第4の電極が複数形成され、前記第4の電極と前記第2基板との間に前記液晶が挟持され、
前記第1の電極、前記第2の電極、前記第3の電極及び前記第4の電極は、透明導電膜であり、
前記複数の前記第1の電極のそれぞれは、対応する前記第2の電極又は前記第3の電極と接続し、
平面で視て、前記第3の
電極は、前記第2の
電極の間に配置し、
平面で視て、前記第2の
電極と前記第3の
電極は、周辺部分が重なっていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項9】
平面で視て、前記第2の電極と前記第3の電極が重なっている部分には、前記第1の電極が重なっていることを特徴とする請求項
8に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記第2の電極の面積は、前記第3の電極の面積よりも大きいことを特徴とする請求項
8に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記第2の絶縁膜の厚さは、前記第3の絶縁膜の厚さよりも小さいことを特徴とする請求項
8に記載の液晶表示装置。
【請求項12】
平面で視て、前記第2の電極が前記第3の電極と重なっていない領域では、前記第2の電極の上には前記第3の絶縁膜は形成されていないことを特徴とする請求項
8に記載の液晶表示装置。
【請求項13】
前記第1の方向と前記第2の方向のなす角度は90度であることを特徴とする請求項1乃至
12のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置に係り、特に、液晶ライトバルブを用いて画像のコントラストを向上した液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置では画素電極および薄膜トランジスタ(TFT、Thin Film Transistor))等がマトリクス状に形成されたTFT基板と、TFT基板に対向して、対向基板が配置され、TFT基板と対向基板の間に液晶層が挟持されている。そして液晶分子によるバックライトからの光の透過率を画素毎に制御することによって画像を形成している。
【0003】
通常の液晶表示装置では、黒表示の部分にもバックライトが照射されるので、光が若干通過するため、コントラストが低下する。この課題を解決するために、液晶表示パネルの背面に液晶ライトバルブを配置し、液晶ライトバルブによって、黒表示の部分にはバックライトを照射せず、画像が形成される部分にのみバックライトからの光を照射する技術が存在する。
【0004】
このような技術を記載したものとして、特許文献1、特許文献2、非特許文献1、が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-116683号公報
【文献】米国特許公開公報US2017/0032744
【非特許文献】
【0006】
【文献】SID 2017 DIGEST・1667 P108/O.Yoo et al
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
画像を表示する液晶表示パネルの背面で、バックライトとの間に、液晶ライトバルブを配置することによって、画像のコントラストを向上させることが出来る。すなわち、液晶ライトバルブによって、画像が形成される部分にのみバックライトを照射し、黒表示部分には、バックライトを照射しないことによって、深い黒を実現し、コントラストを向上させることが出来る。
【0008】
しかし、液晶ライトバルブを用いる技術では、光は、セグメント毎に制御される。セグメントの大きさは、表示パネルにおける画素よりもはるかに大きく、例えば、表示パネルにおける画素セットの45×20個分程度である。なお、表示パネルにおいては、赤画素、緑画素、青画素が存在するが、本明細書では赤画素、緑画素、青画素の組み合わせを画素セットと呼ぶ。
【0009】
一方、液晶ライトバルブでは、光透過率の低下や、表示パネルとの間における緩衝によるモアレの発生を防止するために、金属膜等の遮光膜は、極力用いないことが望ましい。そうすると、セグメントとセグメントの境界における光の制御が問題になる。つまり、セグメントとセグメントの境界は、光を制御できない領域が発生する。これは、液晶表示装置における輝度むらを発生させることになる。
【0010】
本発明の課題は、液晶ライトバルブにおけるセグメントとセグメントの間における光漏れ等を抑制し、輝度むらの発生を防止し、かつ、高いコントラストを有する、液晶ライトバルブを用いた液晶表示装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記課題を解決するものであり、主な具体的な手段は次のとおりである。
【0012】
(1)液晶表示パネルとバックライトと、液晶表示パネルとバックライトとの間に液晶ライトバルブが存在する液晶表示装置であって、前記液晶ライトバルブは、第1基板と第2基板の間に液晶が挟持され、前記第1基板には、第1の方向にストライプ状に延在した第1の電極が複数形成され、
前記第1の電極の上に第1の絶縁膜が形成され、前記第1の絶縁膜の上に、平面状の第2の電極が所定の間隔をおいてマトリクス状に形成され、前記第2の電極の上に第2の絶縁膜が形成され、前記第2の絶縁膜の上に、第2の方向にストライプ状に延在した第3の電極が複数形成され、前記第3の電極と前記第2基板との間に前記液晶が挟持され、前記第1の電極と前記第2の電極と前記第3の電極は、透明酸化物導電膜であり、前記第2の電極間の前記所定の間隔は、2μm乃至10μmであることを特徴とする液晶表示装置。
【0013】
(2)構成(1)の液晶表示装置において、前記液晶表示パネルには、ブラックマトリクスが形成され、前記ブラックマトリクスの幅は、前記第2電極間の前記所定の間隔よりも大きく、平面で視て、前記第2電極間の前記所定の間隔は、前記ブラックマトリクスによって覆われていることを特徴とする液晶表示装置。
【0014】
(3)液晶表示パネルとバックライトと、液晶表示パネルとバックライトとの間に液晶ライトバルブが存在する液晶表示装置であって、前記液晶ライトバルブは、第1基板と第2基板の間に液晶が挟持され、前記第1基板には、第1の方向にストライプ状に延在した第1の電極が複数形成され、前記第1の電極の上に第1の絶縁膜が形成され、前記第1の絶縁膜の上に、平面状の第2の電極が所定の間隔をおいてマトリクス状に形成され、前記第2の電極の上に第2の絶縁膜が形成され、前記第2の絶縁膜の上に、第2の方向に第3の電極が形成され、前記第1の電極と前記第2の電極と前記第3の電極は、透明酸化物導電膜であり、平面で視て、前記第3の電極が前記第2の電極と重複する部分には、前記第3の電極に複数のスリットが形成され、平面で視て、前記第2の電極間の前記所定の間隔は、前記第3の電極によって覆われていることを特徴とする液晶表示装置。
【0015】
(4)液晶表示パネルとバックライトと、液晶表示パネルとバックライトとの間に液晶ライトバルブが存在する液晶表示装置であって、前記液晶ライトバルブは、第1基板と第2基板の間に液晶が挟持され、前記第1基板には、第1の方向にストライプ状に延在した第1の電極が複数形成され、前記第1の電極の上に第1の絶縁膜が形成され、前記第1の絶縁膜の上に、平面状の第2の電極が第1の間隔をおいてマトリクス状に配置され、
前記第2の電極の上に第2の絶縁膜が形成され、前記第2の絶縁膜の上に、平面状の第3の電極が第2の間隔をおいてマトリクス状に配置され、
前記第3の電極の上に第3の絶縁膜が形成され、前記第3の絶縁膜の上に、第2の方向にストライプ状に延在した第4の電極が複数形成され、前記第4の電極と前記第2基板との間に前記液晶が挟持され、前記第1の電極、前記第2の電極、前記第3の電極及び前記第4の電極は、透明酸化物導電膜であり、平面で視て、前記第3の導電膜は、前記第2の導電膜の間を埋めるように配置し、平面で視て、前記第2の導電膜と前記第3の導電膜は、周辺部分が重なっていることを特徴とする液晶表示装置。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明が適用される液晶表示装置の分解斜視図である。
【
図2】本発明が適用される液晶表示装置の断面図である。
【
図3】本発明が適用される液晶表示装置の平面図である。
【
図8】液晶ライトバルブの第1電極と第2電極の平面図である。
【
図9】液晶ライトバルブの第1電極、第2電極及び第3電極の平面図である。
【
図10】液晶ライトバルブの第1電極と第2電極の平面図である。
【
図11】液晶ライトバルブの第1電極、第2電極及び第3電極の平面図である。
【
図15】液晶表示パネルのブラックマトリクスと液晶ライトバルブの第2電極の関係を示す平面図である。
【
図18】液晶ライトバルブに柱状スペーサを用いた場合の断面図である。
【
図19】液晶ライトバルブに柱状スペーサを用いた場合の他の断面図である。
【
図20】実施例2における液晶ライトバルブの第1電極、第2電極及び第3電極の平面図である。
【
図23】実施例2の他の例による第1電極、第2電極及び第3電極の平面図である。
【
図28】実施例3による第2電極の他の平面図である。
【
図29】実施例3による第2電極のさらに他の平面図である。
【
図30】実施例3による第2電極のさらに他の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の内容を、実施例を用いて説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明における液晶表示装置の分解斜視図である。
図1において、液晶表示パネル1とバックライト500との間にコントラストを向上させるための液晶ライトバルブ2が配置している。
【0019】
図2は、
図1の液晶表示装置を組み立てた状態における断面図である。
図2において、バックライト500の上に液晶ライトバルブ2が配置し、液晶ライトバルブ2の上に液晶表示パネル1が透明接着材130によって接着している。
【0020】
液晶ライトバルブ2は、下側の第1基板10と上側の第2基板20の間に液晶が挟持された構成であり、第1基板10の下に第1偏光板31が貼り付けられ、第2基板20の上に第2偏光板32が貼り付けられている。液晶ライトバルブ2は、いわゆる、IPS(In Plane Switching)方式を用いている。IPS方式は視野角特性が優れている。
【0021】
液晶ライトバルブ2の第2偏光板32の上には、透明接着材130を介して液晶表示パネル1が配置している。液晶表示パネル1は、TFT基板100と対向基板200がシール材によって接着し、TFT基板100と対向基板200の間に液晶が挟持された構成である。TFT基板100の下には、第3偏光板33が貼り付けられ、対向基板200の上には、第4偏光板34が貼り付けられている。
【0022】
TFT基板100には映像信号線、走査線、TFT、画素電極、対向電極等が形成され、対向基板200には、カラーフィルタ、ブラックマトリクス等が形成されている。本発明では、液晶表示パネル1は、視野角特性が優れたIPS方式を用いているが、TN(Twisted Nematic)、VA(Virtical Alignment)等の他の方式でもよい。
【0023】
図3は、本発明における液晶表示装置の平面図である。
図3において、TFT基板100と対向基板200がシール材150によって接着し、TFT基板100と対向基板200の間に液晶が挟持されている。TFT基板100と対向基板200が重なっている部分に表示領域110が形成され、TFT基板100が対向基板200と、重なっていない領域は端子領域120となっている。端子領域120には、液晶表示装置に電源や信号を供給するためのフレキシブル配線基板160が接続している。
【0024】
TFT基板100の表示領域110には、走査線101が横方向(x方向)に延在し、縦方向(y方向)に配列している。また、映像信号線102が縦方向に延在して横方向に配列している。走査線101と映像信号線102とで囲まれた領域に画素103が形成されている。赤カラーフィルタに対応した赤画素、緑カラーフィルタに対応した緑画素、青カラーフィルタに対応した青画素が画素セットを構成している。
【0025】
図3において、点線で囲まれた矩形の領域は、液晶ライトバルブに形成されたセグメント電極12であり、セグメント電極12毎に、液晶表示パネルに供給されるバックライトからの光の量を制御する。セグメント電極12の大きさは、液晶表示パネルに形成された画素よりもはるかに大きく、例えば、画素セットの45×20個分に相当する大きさである。
【0026】
図4は、液晶表示パネルにおける画素部分の平面図である。
図4において、TFT基板には、走査線101が横方向(x方向)に延在し、映像信号線102が縦方向(y方向)に延在している。走査線101と映像信号線102に囲まれた領域に画素電極105が形成されている。画素電極105はスリットを有する櫛歯状となっている。画素電極105は、スルーホール106を介してTFTと接続している。
【0027】
図4において、グレーで表示している部分は、対向基板に形成されたブラックマトリクス202である。ブラックマトリクス202は、映像信号線102と走査線101に対応する部分を覆っており、ブラックマトリクス202の枠で囲まれた領域において、対向基板にはカラーフィルタが存在し、TFT基板には画素電極105が存在している。横方向に延在するブラックマトリクス202の幅bwyは縦方向に延在するブラックマトリクス202の幅bwxよりも大きい。ブラックマトリクス202において、幅bwyで横方向に延在するブラックマトリクス202は、TFTやスルーホール106が形成された領域を覆ってこれらの部分からの光漏れを防止する。横方向に延在するブラックマトリクス202の幅bwyは、例えば、13乃至15μm、縦方向に延在するブラックマトリクス202の幅bwxは4乃至5μmである。
【0028】
図5は、液晶ライトバルブの分解斜視図である。
図1において、透明基板である第1基板10に、横方向にデータ線(以後第1電極と呼ぶこともある)11がストライプ状に延在し、縦方向(y方向)に配列している。その上に第1絶縁膜を挟んで、矩形のセグメント電極(以後第2電極と呼ぶこともある)13がマトリクス状に配置している。セグメント電極13間の間隔は、x方向がdx、y方向がdyである。セグメント電極13の上に、第2絶縁膜を介して、コモン電極(以後第3電極と呼ぶこともある)15がy方向にストライプ状に延在し、x方向に配列している。
【0029】
第1電極11、第2電極13、第3電極15は、全て透明酸化物導電膜である、ITO(Indium Tin Oxide)で形成されている。液晶ライトバルブの光透過率を大きくするためであり、かつ、液晶ライトバルブと液晶表示パネルにおける配線等の干渉によるモアレの発生を防止するためである。なお、他の透明酸化物導電膜としては、AZO(Antimony Zinc Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)等があげられる。
【0030】
図5は、模式図なので、実際の大小関係は、正確には反映していない。実際の寸法は、例えば、第1電極(データ線)11の幅は120乃至140μm程度、第2電極(セグメント電極)13の大きさは、矩形の1辺が1000μm程度、第3電極(コモン電極)15の幅は10μm以下、例えば4μm程度である。
図5において、第3電極15と対向し、液晶層を挟んで、透明基板である第2基板20が配置している。液晶層の厚さは、例えば3μm乃至4μmである。
図5では省略されているが、第3電極15の上には配向膜が形成され、第2基板20にも配向膜が形成されている。
【0031】
図6は、
図5のA-A断面図である。
図6において第1基板10の上にデータ線である第1電極11が配置し、その上に例えばSiO等で形成された第1絶縁膜12が形成され、第1絶縁膜12の上にセグメント電極である第2電極13が形成されている。
図6における第1電極11は第1絶縁膜12に形成されたスルーホール16を介して一番左側の第2電極13と接続している。他の第2電極13は他の場所において他の第1電極11と接続している。
【0032】
第2電極13を覆って、SiN等で形成された第2絶縁膜14が形成され、その上に第1電極11と直角方向にコモン電極である第3電極15がストライプ状に形成されている。第3電極15の幅は例えば4μm程度であり、x方向のピッチは、例えば7μm程度であり、他の電極に比べて非常に細かい。第3電極15と対向基板200との間に液晶層300が挟持されている。
【0033】
セグメント電極である第2電極13にデータ電圧が印加されると、第3電極15との間に液晶層300を通過する電気力線が発生し、液晶分子301を回転させて液晶層300の透過率を制御する。つまり、第2電極13毎に液晶層300の透過率が制御される。
【0034】
図7は、
図5のB-B断面図である。
図7において、データ線である第1電極11がストライプ状に形成され、第1電極11を覆って第1絶縁膜12が形成されている。第1絶縁膜12の上にセグメント電極である第2電極13が形成されている。
図7において、各セグメント電極13は、スルーホール16を介してデータ線11と接続している。
図7において、第2絶縁膜14の上に第3電極15がy方向に延在している。第3電極15の上には、第2基板20との間に液晶層300が存在している。
【0035】
図8は、第1電極11から第2電極13に電圧を供給する方法を示す平面図である。第1電極11と第2電極13の間には、第1絶縁膜が形成されている。
図8は、13個の第2電極13に13本の第1電極11から電圧を供給する場合を示している。
図8において、第2電極13が、横方向の間隔dx、縦方向の間隔dyをもってマトリクス状に配列している。第1電極11と第2電極13とは、第1絶縁膜に形成されたスルーホール16を介して接続している。
【0036】
図9は、
図8の第2電極13の上に、第2絶縁膜を介して、第3電極15を形成した状態を示す平面図である。
図3において、第3電極15は、第1電極11の延在方向とは直角方向である、y方向にストライプ状に延在し、x方向に配列している。第3電極15の幅は、例えば4μm程度であり、第1電極11の幅は130μm程度であるが、
図9では、図をわかりやすくするために、第3電極15の幅を実際よりも大きく描いている。
【0037】
図9において、第3電極15の上には液晶層が存在している。セグメント電極である第2電極13に第1電極11から電圧が供給されると、液晶層を介する電気力線が発生し、液晶分子を回転させて、第2電極13毎に液晶の透過率を制御し、液晶ライトバルブとしての動作を行う。
【0038】
第2電極13は、セグメント毎に縦方向にdy、横方向にdxの間隔をおいて配置されている。この幅dxあるいは幅dyのギャップ部分において、第3電極15と第1電極11とが直接作用する領域が生ずる。この領域は、光制御が不可能なため、光漏れの原因となる。本発明の課題は、この第2電極13と第2電極13の間の光漏れを対策することである。
【0039】
図10及び
図11は、図面をより単純化するために、第1電極11と第2電極13の数を減らして記載した場合の平面図である。
図10は、第1電極11と第2電極13のみを記載した平面図である。
図10は、6個の第2電極13に対して6個の第1電極11を接続した場合である。第1電極11はx方向に延在している。第1電極11と第2電極13は、第1絶縁膜に形成されたスルーホール16を介して接続している。
【0040】
図11は、第2電極13の上に、第2絶縁膜を介して、第3電極15を形成した状態を示す平面図である。第3電極15は、第1電極11の延在方向とは直角方向であるy方向に延在している。第3電極15は、幅が4μm程度、ピッチが7μm程度で、横方向に多数配列している。第2電極13はy方向にギャップdy、x方向にギャップdxをもって、マトリクス状に配置している。
【0041】
図11において、矢印C-C、あるいは、矢印D-Dを記した部分は、第3電極15と第1電極11が第2電極13を介さず、直接対向している部分である。第2電極13へは第1電極11から所定の電圧が供給され、その結果第2電極13によって、液晶層の透過率が制御される。しかし、第3電極15と第1電極11が直接対向している部分においては、意図した電圧が印加されないので、液晶層の透過率を制御することが出来ない。すなわち、この部分は、光漏れ等の輝度むらを生ずることになる。
【0042】
図12は
図11のC-C断面図である。
図12において、第2電極13と第2電極13のギャップdxの間に第3電極15が配置している。
図12に示すように、ギャップdx内及びその周辺では、第3電極15から第1電極11に直接、液晶層300を介して電気力線51が発生している。第3電極15から第2電極13に向かう電気力線50は制御可能な電気力線であるが、電気力線51は制御できない電気力線なので、光漏れ等の問題を生ずる。
【0043】
図13は、
図11のD-D断面図である。
図13においては、第2電極13は存在しないので、第3電極15から電気力線は全て第2電極13に向かう。
図13に示すように、この領域は、第1電極13の延在方向に沿って形成されるため、C-C断面よりもより広範囲にわたって、影響が出る。したがって、より深刻な問題になる。
【0044】
図14は、
図11のC-C断面の他の例であり、
図12の場合に比較して、第2電極15の間隔dxを小さくした場合である。
図14に示すように、第2電極13の間隔dxを小さくすると、dxを抜けてくる光量が小さくなる。第2電極13間を抜けてくる光は、偏光板や液晶表示パネル等によって拡散される。光量がある値よりも小さくなると、拡散の影響の割合が顕著になって、光漏れが急激に目立たなくなる。この値は、10μm以下で顕著になり、5μm以下でほとんど目立たなくなる。
【0045】
光漏れの影響を小さくするには、第2電極13間のギャップは、小さいほどよいが、プロセス上の要求から、2μmよりも小さくすることは困難である。したがって、第2電極13間のギャップは、2μm以上10μm以下、より好ましくは、2μm以上で5μm以下である。
図14では、x方向のギャップdxのみ記載しているが、y方向のギャップdyについても同様である。
【0046】
液晶ライトバルブの前面には、液晶表示パネルが配置している。液晶表示パネルには、コントラストを向上させるために、画素間に遮光膜であるブラックマトリクスが形成されている。このブラックマトリクスを、第2電極間を抜けてくる光に対する遮光膜として使用すれば、効率よく光漏れを対策することが出来る。ブラックマトリクスは、液晶表示パネルの対向基板に形成されている。
【0047】
図15は、液晶表示パネルの対向基板に形成されたカラーフィルタ201とブラックマトリクス202、及び、液晶ライトバルブに形成されたセグメント電極、すなわち、第2電極13との関係を示す平面図である。
図15において、液晶表示パネルの対向基板には、画素に対応してカラーフィルタ201がマトリクス状に形成され、その周りは全てブラックマトリクス202によって覆われている。すなわち、対向基板は、カラーフィルタ201が形成される画素部の窓以外は全てブラックマトリクス202によって覆われている。以後、画素部の窓も単にカラーフィルタ201とよぶ。
【0048】
図15において、カラーフィルタ201とカラーフィルタ201の間隔は、x方向においてbwx、縦方向においてbwyである。言い換えると、幅bwxのブラックマトリクスが縦方向に延在し、幅dwyのブラックマトリクスが横方向に延在している。液晶ライトバルブに形成された第2電極13は液晶表示パネルに形成された画素よりもはるかに大きな面積である。
図15は、4個の第2電極13のコーナ付近の平面図である。
【0049】
図15に示すように、第2電極13と第2電極13の間隔は、ブラックマトリクス202の幅よりも小さくすることが出来る。例えば、
図5に示すように、dx<bwx、dy<bwyとすることが出来る。
図15において、bwxは例えば4乃至5μm、bwyは例えば13乃至14μmである。対応するdx、dyをこれらの値よりも小さくすれば、光漏れを防止することができる。但し、液晶表示パネルと液晶ライトバルブの組立誤差等も存在するので、これらの製造誤差を考慮して、bwx、bwy、dx、dyの値を設定する必要がある。
【0050】
ところで、ブラックマトリクスのy方向の幅bwyはx方向の幅bwxよりも大きい。一方、
図11に示すように、第2電極13間の光もれは、y方向、例えば、矢印D-Dで示す部分における影響が大きい。したがって、液晶ライトバルブの、第2電極13間のギャップによる光漏れは、特にy方向において、液晶表示パネルのブラックマトリクス202によって効果的に対策することが出来る。
【0051】
図16は、
図15のE-E断面に相当する断面図である。
図16では、
図15に対し、液晶ライトバルブにおける第3電極15及び第1電極11が追加されている。
図16において、液晶ライトバルブ2の上に液晶表示パネル1が透明接着材130を介して接着している。液晶ライトバルブ2の層構成は、
図6等で説明したのと同様である。液晶表示パネル1において、TFT基板100の上に液晶層400を介して対向基板200が配置している。対向基板200には、ブラックマトリクス202及びカラーフィルタ201が形成されている。
図16に示すように、第2電極13間のギャップからの光漏れは液晶表示パネル1のブラックマトリクス202によって遮光される。
【0052】
図17は、
図15のF-F断面に相当する断面図である。
図17では、
図15に対し、液晶ライトバルブにおける第3電極15及び第1電極11が追加されている。
図17における液晶ライトバルブ2と液晶表示パネル1の層構造は
図16で説明したのと同じである。しかし、
図17は、液晶ライトバルブ2において、第2電極13が存在していない領域なので、第3電極15からの電気力線51は、液晶層を介して全て第1電極11に向かう。つまり、この断面においては、バックライトからの光は全て透過するので光漏れの影響は非常に大きい。
【0053】
しかし、
図17に示すように、液晶表示パネル1の対向基板200には、ブラックマトリクス202が存在しているので、この光もれは全てブラックマトリクス202によって遮光することが出来る。さらに、
図15で説明したように、この部分のブラックマトリクス202の幅bwyは大きく、第2電極13間のギャップの幅dyに対して余裕をもった幅にすることが出来るので、より安定して遮光効果を得ることが出来る。
【0054】
ところで、液晶ライトバルブ2においても、液晶表示パネル1と同様に、液晶層400は均一に保つ必要ある。このために、例えば、液晶表示パネル1の場合と同様に柱状スペーサが使用される。柱状スペーサが形成される部分は、液晶が存在しないので、光漏れの原因になる。そこで、液晶ライトバルブ2における柱状スペーサを、平面で視て、液晶表示パネル1におけるブラックマトリクス202に対応した位置に配置することによって、柱状スペーサの光漏れに対する影響を抑制することが出来る。
【0055】
図18は、
図16と同じ断面において、液晶ライトバルブ2に柱状スペーサ170を配置した例である。
図18において、柱状スペーサ170は、x方向における第2電極13と第2電極13のギャップに対応した部分で、かつ、液晶表示パネル1におけるブラックマトリクス202に対応した部分に配置している。
【0056】
図19は、
図17と同じ断面において、液晶ライトバルブ2に柱状スペーサ17を配置した例である。
図19において、柱状スペーサ17は、y方向における第2電極13と第2電極13のギャップに対応した部分で、液晶表示パネル1におけるブラックマトリクス202に対応した部分に配置している。
【0057】
図18、
図19のいずれにおいても、液晶ライトバルブ2に形成された柱状スペーサ170に対応する光漏れは、液晶表示パネル1に形成されたブラックマトリクス202によって遮光することができる。
【0058】
以上のように、本実施例によれば、第2電極13間の距離の制御、あるいは、液晶ライトバルブ2における第2電極13間のギャップと液晶表示パネル1のブラックマトリクス202との位置制御によって、第2電極13と第2電極13のギャップからの光漏れを抑制することが出来、優れたコントラスを有する液晶表示装置を実現することが出来る。
【実施例2】
【0059】
本発明で使用される液晶ライトバルブは、IPS方式でも、FFS(Fringe Field Switching)と呼ばれる方式であり、
図12、
図13、
図14等に示すように、第3電極15と第3電極15の間を通る電気力線50によって液晶分子301を回転させて透過光を制御するものである。したがって、平面で視て、第2電極13と第2電極13の間を第3電極15によって塞ぐことによって、この部分に、液晶層300を通過する電気力線を発生させないようにすれば、この部分における光漏れを防止することが出来る。
【0060】
図20は、本実施例の液晶ライトバルブにおける第1電極11、第2電極13、第3電極15の関係を示す平面図である。
図20が実施例1における
図11と異なる点は、第3電極15がストライプ状にy方向に延在しているのではなく、第3電極15において、第2電極13に対応する部分にのみにスリット151が形成されていることである。そして、
図20においては、第2電極13と第2電極13の間のギャップは、平面で視て、第3電極15によって塞がれている。したがって、この部分では、第1電極11からの電界は第3電極15によってシールドされ、液晶層300には到達しない。したがって、第1電極11による液晶層300への影響、つまり、光漏れへの影響を防止することが出来る。
【0061】
図21は
図20のG-G断面図である。
図21に示すように、第2電極13と第2電極13の間は、第3電極15によってシールドされているので、第1電極11の影響は液晶層300には及ばない。したがって、この部分における光漏れを防止することが出来る。
【0062】
図22は
図20のH-H断面図である。この領域は、第2電極13が存在しない領域であるが、第1電極11からの電界は、第3電極15によってシールドされている。したがって、第1電極11の影響は、液晶層300に及ばないので、この部分における光漏れを防止することが出来る。
【0063】
図23は、本実施例の他の態様を示す平面図である。
図23が
図20と異なる点は、第3電極15によるシールドは、第2電極13と第2電極13のギャップにおいて、平面で視て、第1電極11が配置している部分のみに形成していることである。すなわち、第2電極13と第2電極13の間のギャップが存在しても、その部分に第1電極11が存在していなければ、第1電極11の影響が液晶層に及ぶことはない。
【0064】
図23の構成は、第2電極13と第2電極13のギャップ部分においても、第1電極11が存在していない部分では、第3電極15によるシールドが無いため、液晶ライトバルブ全体としては、
図22の場合よりも、透過率を大きくすることが出来る。一方、第3電極15のシールドがある部分とない部分とで、
図20の場合と比較した場合、輝度むらが生ずる可能性がある。
【0065】
以上のように、本実施例によれば、液晶ライトバルブ内の第3電極15の構成によって、第2電極13と第2電極13の間の光漏れを防止することが出来、コントラストの優れた液晶表示装置を実現することが出来る。
【実施例3】
【0066】
本発明で対策する光漏れの原因は、第2電極13と第2電極13の隙間から、第1電極11の影響が液晶層300に及ぶことである。本実施例は、第2電極13を2層構造とすることによって、平面で視て、第2電極13間に隙間を形成しないようにし、第1電極11の影響が液晶層300に及ばないようにするものである。
【0067】
図24及び
図25はこの原理を示す断面図である。
図24は、隣り合う第2電極13に同じ電位が印加された場合であり、
図25は隣り合う第2電極13に異なる電位が印加された場合である。
図24及び
図25では、便宜上、第3電極15に5V印加し、第2電極131、132に0Vあるいは、5Vを印加しているが、これとは、逆に、第3電極15に0Vを印加し、第2電極131、132に5Vあるいは、0Vを印加してもよい。
【0068】
図24において、第1基板10の上に第1電極11が形成され、その上に第1絶縁膜12が形成されている。第1絶縁膜12の上には、下層第2電極131が形成され、その上に、下層第2絶縁膜141が形成され、その上に上層第2電極132が形成されている。そして、上層第2電極132の上に上層第2絶縁膜142が形成され、上層第2絶縁膜142の上に第3電極15が形成されている。
【0069】
図24において、下層第2電極131と上層第2電極132は同電位である。
図24に示すように、第1電極11の影響は、第2電極131、132によってシールドされ、液晶層300には及ばない。したがって、液晶層300は、全て、第2電極131,132と第3電極15によって制御されるので、光漏れは発生しない。
【0070】
図25は、隣り合う下層第2電極131と、上層第2電極132とに異なる電位が印加された場合である。
図25の層構造は
図24で説明したのと同様である。
図25は、上層第2電極132側が液晶層300を駆動させる電界が発生し、下層第2電極131側では、液晶層300を駆動させる電界が発生しない場合である。この場合、下層第2電極131と上層第2電極132が重なった部分において、電気力線が発生するが、この影響は、液晶層300には及ばない。
【0071】
図25の場合も、第1電極11の影響は、下層第2電極131及び上層第2電極132によってシールドされ、液晶層300には影響を及ぼさない。したがって、第1電極11の影響による光もれは発生しない。このように、下層第2電極131、上層第2電極132に印加される電圧にかかわらず、第1電極11の液晶層300への影響は及ばず、光漏れは発生しない。
【0072】
ところで、
図24及び
図25に示すように、第3電極15と上層第2電極132の間隔と、第3電極15と下層第2電極131の間隔は異なっている。つまり、上層第2絶縁膜142の厚さをt2、下層第2絶縁膜141の厚さをt1とすると、第3電極15と上層第2電極132の間隔はt2であり、第3電極15と下層第2電極131の間隔はt1+t2である。下層第2絶縁膜141の厚さt1、上層第2絶縁膜142の厚t2は、各々、例えば200nm、下層第2電極131の厚さt3、上層第2電極132の厚さt4は。各々、例えば70nmである。
【0073】
そうすると、同じ電圧を印加しても、上層第2電極132の領域と下層第2電極131の領域とで、液晶層300中の電界強度が異なり、これが、液晶層300の透過率に影響を及ぼし、輝度むらを発生させる可能性がある。そこで、上層第2絶縁膜142の厚さt2を下層第2絶縁膜141の厚さよりも大きくすることによって、下層第2電極131と上層第2電極132の領域における液晶透過率をより均一にすることが出来る。
【0074】
しかし、下層第2絶縁膜141は、上層第2電極132電極と下層第2電極131との間の絶縁を維持しなければならないので、極端に薄くすることは出来ない。そこで、
図26に示すように、上層第2絶縁膜142を上層第2電極132が形成されている部分にのみ形成し、他の領域においては、除去すれば、液晶ライトバルブの光制御領域全体にわたって液晶透過率を均一化することが出来る。なお、
図26では、下層第2絶縁膜t1と上層第2絶縁膜t2の厚さは同じである。
【0075】
ところで、下層第2電極131と上層第2電極132の平面形状は特に制約はなく、自由に決めることが出来るが、平面で視て細密充填できるような構成とする必要がある。さらに、下層第2電極131と上層第2電極132は、互い違いに隣り合わせて配置する必要がある。
【0076】
図27及び
図28は、本実施例における下層第2電極131と上層第2電極132の配置例を示す平面形状である。
図27は、下層第2電極131と上層第2電極132が略矩形の場合である。しかし、同じ層上に形成された、下層第2電極131どうしでの絶縁と、上層第2電極132どうしでの絶縁を維持するために、下層第2電極131も上層第2電極132存在しない部分、すなわち、ホール135が発生する。このホール135は、各電極のコーナ部分、言い換えると、対角コーナ部分に発生する。したがって、この部分には、第1電極11が存在しないようにする必要ある。あるいは、実施例1、実施例2で説明したようなシールド手段を採用する必要がある。
【0077】
図28は、下層第2電極131と上層第2電極132が8角形の場合である。この場合も電極のコーナ部、あるいは、対角部分において、下層第2電極131も上層第2電極132も存在しない部分、すなわち、ホール135が発生することは同じである。
【0078】
液晶ライトバルブの前面から見て、第3電極15と対向する下層第2電極131の面積と上層第2電極132の面積を同じにするには、下層第2電極131の面積を上層第2電極132の面積よりも大きくしたほうがよい。すなわち、オーバーラップ部分の面積だけ、下層第2電極131の液晶層300への影響が小さくなるからである。
【0079】
図29はこの例である。
図29では、上層第2電極132の形状は矩形であり、下層第2電極131の形状は8角形であり、面積は、上層第2電極132のほうが、下層第2電極131よりも小さい。第3電極15と対向する面積は、下層第2電極131も上層第2電極132もほぼ矩形であり、ほぼ同じ面積となっている。また、各電極のコーナには、ホール135が発生していることは同じである。
【0080】
図30は他の例であり、下層第2電極131も上層第2電極132も矩形であるが、下層第2電極131の面積が上層第2電極132の面積よりも大きい。しかし、第3電極15と対向する面積は、下層第2電極131も上層第2電極132も同じである。また、各電極のコーナには、ホール135が発生していることも同じである。
【0081】
このように、実施例3によっても、液晶ライトバルブにおける光漏れを防止でき、コントラストの高い液晶表示装置を実現することが出来る。
【0082】
以上の説明では、第1電極11の延在方向と第3電極15の延在方向は直角であるとしたが、これに限らず、第1電極11の延在方向と第3電極15の延在方向とがなす角度は任意の角度とすることが出来る。例えば、第1電極11の延在方向と第3電極15の延在方向を平行としてもよい。このような構成であっても、実施例1ないし3で説明した原理は適用可能である。
【符号の説明】
【0083】
1…液晶表示パネル、2…液晶ライトバルブ、 10…第1基板、11…第1電極(データ線)、 12…第1絶縁膜、 13…第2電極(セグメント電極)、 14…第2絶縁膜、 15…第3電極(コモン電極)、 16…スルーホール、 20…第2基板、 31…第1偏光板、 32…第2偏光板、 33…第3偏光板、 34…第4偏光板、 50…電気力線、 51…電気力線、 100…TFT基板、 101…走査線、 102…映像信号線、 103…画素、 105…画素電極、 106…スルーホール、 110…表示領域、 120…端子領域、 130…透明接着材、 131…下層第2電極、 132…上層第2電極、 135…ホール、 141…下層第2絶縁膜、 142…上層第2絶縁膜、 150…シール材、 160…フレキシブル配線基板、 170…柱状スペーサ、 200…対向基板、 201…カラーフィルタ、 202…ブラックマトリクス、 300…液晶層、 301…液晶分子、 400…液晶層、 500…バックライト