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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】チップ部品およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/329 20060101AFI20240209BHJP
   H01L 29/866 20060101ALI20240209BHJP
   H01L 29/861 20060101ALI20240209BHJP
   H01L 29/868 20060101ALI20240209BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20240209BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20240209BHJP
   H01F 41/04 20060101ALI20240209BHJP
   H01F 27/29 20060101ALI20240209BHJP
   H01C 1/034 20060101ALI20240209BHJP
   H01C 17/02 20060101ALI20240209BHJP
   H01G 2/10 20060101ALI20240209BHJP
   H01G 4/30 20060101ALI20240209BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20240209BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20240209BHJP
   H01F 27/32 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
H01L29/90 S
H01L29/91 K
H01L21/02 B
H01L29/06 301M
H01L29/06 301V
H01F41/04 B
H01F27/29 120
H01C1/034
H01C17/02
H01G2/10 K
H01G4/30 201Z
H01L23/30 R
H01F27/32 103
H01G4/30 311Z
H01G4/30 541
H01G4/30 547
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019202436
(22)【出願日】2019-11-07
(65)【公開番号】P2021077749
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松浦 勝也
(72)【発明者】
【氏名】近藤 靖浩
(72)【発明者】
【氏名】山路 英明
【審査官】岩本 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-284497(JP,A)
【文献】特開2001-144121(JP,A)
【文献】特開2000-260910(JP,A)
【文献】特開平10-079362(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0003049(US,A1)
【文献】米国特許第06507092(US,B1)
【文献】米国特許第06281591(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/329
H01L 29/861
H01L 21/02
H01L 29/06
H01F 41/04
H01F 27/29
H01C 1/034
H01C 17/02
H01G 2/10
H01G 4/30
H01L 23/29
H01F 27/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面およびその反対側の第2面、ならびに前記第1面および前記第2面を接続する第3面を有する基板と、
前記基板の少なくとも前記第3面を被覆する外面樹脂と、
前記基板の前記第1面上に形成され、かつ前記外面樹脂から露出する端子電極とを含み、
前記基板の前記第3面における前記第1面側の端部には凹部が形成されており、
前記凹部には、前記外面樹脂と同じ材料からなり、前記外面樹脂とは分離された埋め込み樹脂が埋め込まれている、チップ部品。
【請求項2】
前記基板の前記第1面に形成され、かつ前記凹部を覆う絶縁層を含み、
前記凹部は、前記基板の前記第1面から連続する凹面および前記絶縁層によって区画されている、請求項1に記載のチップ部品。
【請求項3】
前記凹面は、断面視において、前記基板の前記第1面の端縁よりも前記基板の内方に向かって膨らみ、前記第1面の前記端縁よりも前記基板の内方領域に位置する頂部を有している、請求項に記載のチップ部品。
【請求項4】
前記凹部は、平面視において、前記基板の前記第1面を取り囲む環状に形成されている、請求項1~のいずれか一項に記載のチップ部品。
【請求項5】
前記外面樹脂は、前記基板の前記第3面に直接接する膜状に形成されている、請求項1~のいずれか一項に記載のチップ部品。
【請求項6】
前記基板の前記第1面は、接続対象に接続される際に前記接続対象に対向する接続面である、請求項1~のいずれか一項に記載のチップ部品。
【請求項7】
前記外面樹脂は、前記基板の前記第3面を被覆する第1部分を含む、請求項1~のいずれか一項に記載のチップ部品。
【請求項8】
前記外面樹脂の前記第1部分は、前記端子電極の表面に対して前記基板の前記第2面側に位置する端面を有している、請求項に記載のチップ部品。
【請求項9】
前記外面樹脂は、前記基板の前記第2面を被覆する第2部分を含む、請求項1~のいずれか一項に記載のチップ部品。
【請求項10】
前記基板の前記第2面は、研削痕を有する研削面であり、
前記外面樹脂の前記第2部分は、前記研削痕を埋めて前記基板の前記第2面を被覆している、請求項に記載のチップ部品。
【請求項11】
チップ形成領域が設定された第1面およびその反対側の第2面を有するベース基板の前記チップ形成領域において、前記第1面上に端子電極を形成する工程と、
前記チップ形成領域を区画するラインに沿って前記ベース基板を前記第1面から選択的にエッチングすることによって、前記ベース基板の前記第1面に、前記ラインよりも外側に膨らむ凹部を形成する工程と、
前記凹部の底部を、前記ベース基板の厚さ方向に前記凹部よりも狭い幅で掘り下げることによって、前記凹部と一体化した溝を形成する工程と、
前記溝および前記凹部を埋め、かつ前記チップ形成領域を被覆するベース樹脂層を形成する工程と、
前記溝および前記凹部に埋め込まれた部分を互いに分離した状態で残存させる除去量で、前記ベース樹脂層のうちの前記チップ形成領域を被覆する不要部分、ならびに前記溝において前記凹部に隣接する部分および前記凹部よりも上側の部分を除去する工程と、
前記ベース樹脂層が露出するまで前記ベース基板の前記第2面を研削する工程と、
前記ベース樹脂層のうちの前記溝の内面を被覆する部分を残存させるように前記ベース樹脂層を切断し、前記ベース基板からチップ部品を切り出す工程とを含む、チップ部品の製造方法。
【請求項12】
前記ベース樹脂層の前記不要部分を除去する工程では、前記ベース樹脂層の不要部分が払拭されることによって除去される、請求項11に記載のチップ部品の製造方法。
【請求項13】
前記ベース基板の前記第2面を研削する工程は、前記ベース樹脂層の前記不要部分を除去する工程の後に実施される、請求項11または12に記載のチップ部品の製造方法。
【請求項14】
前記ベース基板の前記第2面を研削する工程の後、前記チップ部品を切り出す工程に先立って、前記ベース基板の前記第2面を被覆する第2ベース樹脂層を形成する工程をさらに含み、
前記チップ部品を切り出す工程において前記ベース樹脂層および前記第2ベース樹脂層が切断される、請求項1113のいずれか一項に記載のチップ部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ部品およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、チップインダクタを開示している。このチップインダクタは、無機物製の基板を含む。基板の主面の上には、インダクタ導体層が形成されている。インダクタ導体層の両端部には、端子電極がそれぞれ接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-115840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
チップ部品は、小型の電子部品としての利点を活かすべく、チップ本体を外部に露出させた所謂ベアチップの状態で接続対象に実装される。このような構造の場合、外力からチップ本体を適切に保護できない。
一方、チップ本体を適切に保護する場合でも、実装時に、接合材としての半田とチップ本体の基板との間で短絡が生じないように対策を講じることが必要である。
【0005】
そこで、本発明の一実施形態は、小型の電子部品としての利点を活かしながら、チップ本体を適切に保護でき、かつ信頼性を向上することができるチップ部品およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の局面に係るチップ部品は、第1面およびその反対側の第2面、ならびに前記第1面および前記第2面を接続する第3面を有する基板と、前記基板の少なくとも前記第3面を被覆する外面樹脂と、前記基板の前記第1面上に形成され、かつ前記外面樹脂から露出する端子電極とを含み、前記基板の前記第3面における前記第1面側の端部には凹部が形成されており、前記外面樹脂は、前記凹部に埋め込まれている。
【0007】
本発明の他の局面に係るチップ部品は、第1面およびその反対側の第2面、ならびに前記第1面および前記第2面を接続する第3面を有する基板と、前記基板の少なくとも前記第3面を被覆する外面樹脂と、前記基板の前記第1面上に形成され、かつ前記外面樹脂から露出する端子電極とを含み、前記基板の前記第3面における前記第1面側の端部には凹部が形成されており、前記凹部には、前記外面樹脂と同じ材料からなり、前記外面樹脂とは分離された埋め込み樹脂が埋め込まれている。
【0008】
本発明の一の局面に係るチップ部品の製造方法は、チップ形成領域が設定された第1面およびその反対側の第2面を有するベース基板の前記チップ形成領域において、前記第1面上に端子電極を形成する工程と、前記チップ形成領域を区画するラインに沿って前記ベース基板を前記第1面から選択的にエッチングすることによって、前記ベース基板の前記第1面に、前記ラインよりも外側に膨らむ凹部を形成する工程と、前記凹部の底部を、前記ベース基板の厚さ方向に前記凹部よりも狭い幅で掘り下げることによって、前記凹部と一体化した溝を形成する工程と、前記溝および前記凹部を埋め、かつ前記チップ形成領域を被覆するベース樹脂層を形成する工程と、前記溝および前記凹部に埋め込まれた部分を残存させるように前記ベース樹脂層のうちの前記チップ形成領域を被覆する不要部分を除去する工程と、前記ベース樹脂層が露出するまで前記ベース基板の前記第2面を研削する工程と、前記ベース樹脂層のうちの前記溝の内面を被覆する部分を残存させるように前記ベース樹脂層を切断し、前記ベース基板からチップ部品を切り出す工程とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係るチップ部品を一つの角度から見た斜視図である。
図2図2は、図1から外面樹脂を取り除いてチップ本体を示す斜視図である。
図3図3は、図1に示すチップ部品の平面図である。
図4図4は、図3に示すIV-IV線に沿う断面図である。
図5図5は、図3に示すV-V線に沿う断面図である。
図6図6は、図4に示す領域VIの拡大図である。
図7図7は、図4に示す領域VIIの拡大図である。
図8図8は、図3から絶縁層の上の構造を取り除いて絶縁層の構造を示す平面図である。
図9図9は、図1に示すチップ部品の製造に用いられるウエハを示す斜視図である。
図10A図10Aは、図9に示すX-X線に沿う断面図であって、図1に示すチップ部品の製造方法の一例を説明するための断面図である。
図10B図10Bは、図10Aの後の工程を説明するための断面図である。
図10C図10Cは、図10Bの後の工程を説明するための断面図である。
図10D図10Dは、図10Cの後の工程を説明するための断面図である。
図10E図10Eは、図10Dの後の工程を説明するための断面図である。
図10F図10Fは、図10Eの後の工程を説明するための断面図である。
図10G図10Gは、図10Fの後の工程を説明するための断面図である。
図10H図10Hは、図10Gの後の工程を説明するための断面図である。
図10I図10Iは、図10Hの後の工程を説明するための断面図である。
図10J図10Jは、図10Iの後の工程を説明するための断面図である。
図10K図10Kは、図10Jの後の工程を説明するための断面図である。
図10L図10Lは、図10Kの後の工程を説明するための断面図である。
図10M図10Mは、図10Lの後の工程を説明するための断面図である。
図10N図10Nは、図10Mの後の工程を説明するための断面図である。
図11図11は、本発明の第2実施形態に係るチップ部品を一つの角度から見た斜視図である。
図12図12は、図11に示すチップ部品を別の角度から見た斜視図である。
図13図13は、図3に対応する平面図であって、チップ部品に組み込まれる第1形態例に係る機能デバイス(ダイオード)を説明するための平面図である。
図14図14は、図13に示すXIV-XIV線に沿う断面図である。
図15図15は、図13に示すXV-XV線に沿う断面図である。
図16図16は、図13から内部電極の上の構造を取り除いて内部電極の構造を説明するための平面図である。
図17図17は、図16に示す領域XVIIの拡大図である。
図18図18は、図3に対応する平面図であって、チップ部品に組み込まれる第2形態例に係る機能デバイス(抵抗)を説明するための平面図である。
図19図19は、図18から内部電極の上の構造を取り除いて内部電極の構造を説明するための平面図である。
図20図20は、図3に対応する平面図であって、チップ部品に組み込まれる第3形態例に係る機能デバイス(コンデンサ)を説明するための平面図である。
図21図21は、図20に示すXXI-XXI線に沿う断面図である。
図22図22は、図3に対応する平面図であって、チップ部品に組み込まれる第4形態例に係る機能デバイス(コイル)を説明するための平面図である。
図23図23は、図22に示すXXIII-XXIII線に沿う断面図である。
図24図24は、図22から第1パッド電極の上の構造を取り除いて内部電極の一部の構造を説明するための平面図である。
図25図25は、図22から第2パッド電極の上の構造を取り除いて内部電極の一部の構造を説明するための平面図である。
図26図26は、本発明の第3実施形態に係るチップ部品の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<本発明の実施形態>
まず、本発明の実施形態を列記して説明する。
本発明の一実施形態に係るチップ部品は、第1面およびその反対側の第2面、ならびに前記第1面および前記第2面を接続する第3面を有する基板と、前記基板の少なくとも前記第3面を被覆する外面樹脂と、前記基板の前記第1面上に形成され、かつ前記外面樹脂から露出する端子電極とを含み、前記基板の前記第3面における前記第1面側の端部には凹部が形成されており、前記外面樹脂は、前記凹部に埋め込まれている。
【0011】
この構成によれば、接続対象に対するチップ部品の接続部を確保しながら、外面樹脂によってチップ本体を保護できる。これにより、小型の電子部品としての利点を活かしながら、チップ本体を適切に保護できるチップ部品を提供することができる。
また、基板の第3面における第1面側の端部に凹部が形成され、当該凹部に外面樹脂が埋め込まれている。これにより、チップ部品の実装時に、半田等の接合材が基板の第3面に濡れ上がっても、凹部に埋め込まれた外面樹脂によって基板と接合材との接触を防止することができる。これにより、信頼性を向上できるチップ部品を提供することができる。
【0012】
本発明の一実施形態に係るチップ部品は、第1面およびその反対側の第2面、ならびに前記第1面および前記第2面を接続する第3面を有する基板と、前記基板の少なくとも前記第3面を被覆する外面樹脂と、前記基板の前記第1面上に形成され、かつ前記外面樹脂から露出する端子電極とを含み、前記基板の前記第3面における前記第1面側の端部には凹部が形成されており、前記凹部には、前記外面樹脂と同じ材料からなり、前記外面樹脂とは分離された埋め込み樹脂が埋め込まれている。
【0013】
この構成によれば、接続対象に対するチップ部品の接続部を確保しながら、外面樹脂によってチップ本体を保護できる。これにより、小型の電子部品としての利点を活かしながら、チップ本体を適切に保護できるチップ部品を提供することができる。
また、基板の第3面における第1面側の端部に凹部が形成され、当該凹部に外面樹脂と同じ材料からなる埋め込み樹脂が埋め込まれている。これにより、チップ部品の実装時に、半田等の接合材が基板の第3面に濡れ上がっても、埋め込み樹脂によって基板と接合材との接触を防止することができる。これにより、信頼性を向上できるチップ部品を提供することができる。
【0014】
本発明の一実施形態に係るチップ部品は、前記基板の前記第1面に形成され、かつ前記凹部を覆う絶縁層を含み、前記凹部は、前記基板の前記第1面から連続する凹面および前記絶縁層によって区画されていてもよい。
本発明の一実施形態に係るチップ部品では、前記凹面は、断面視において、前記基板の前記第1面の端縁よりも前記基板の内方に向かって膨らみ、前記第1面の前記端縁よりも前記基板の内方領域に位置する頂部を有していてもよい。
【0015】
本発明の一実施形態に係るチップ部品では、前記凹部は、平面視において、前記基板の前記第1面を取り囲む環状に形成されていてもよい。
この構成によれば、チップ部品の周囲のどの方向から接合材が濡れ上がっても、当該濡れ上がりによる基板と接合材との接触を防止することができる。
本発明の一実施形態に係るチップ部品では、前記外面樹脂は、前記基板の前記第3面に直接接する膜状に形成されていてもよい。
【0016】
本発明の一実施形態に係るチップ部品では、前記基板の前記第1面は、接続対象に接続される際に前記接続対象に対向する接続面であってもよい。
本発明の一実施形態に係るチップ部品では、前記外面樹脂は、前記基板の前記第3面を被覆する第1部分を含んでいてもよい。
本発明の一実施形態に係るチップ部品では、前記外面樹脂の前記第1部分は、前記端子電極の表面に対して前記基板の前記第2面側に位置する端面を有していてもよい。
【0017】
本発明の一実施形態に係るチップ部品では、前記外面樹脂は、前記基板の前記第2面を被覆する第2部分を含んでいてもよい。
本発明の一実施形態に係るチップ部品では、前記基板の前記第2面は、研削痕を有する研削面であり、前記外面樹脂の前記第2部分は、前記研削痕を埋めて前記基板の前記第2面を被覆していてもよい。
【0018】
本発明の一実施形態に係るチップ部品の製造方法は、チップ形成領域が設定された第1面およびその反対側の第2面を有するベース基板の前記チップ形成領域において、前記第1面上に端子電極を形成する工程と、前記チップ形成領域を区画するラインに沿って前記ベース基板を前記第1面から選択的にエッチングすることによって、前記ベース基板の前記第1面に、前記ラインよりも外側に膨らむ凹部を形成する工程と、前記凹部の底部を、前記ベース基板の厚さ方向に前記凹部よりも狭い幅で掘り下げることによって、前記凹部と一体化した溝を形成する工程と、前記溝および前記凹部を埋め、かつ前記チップ形成領域を被覆するベース樹脂層を形成する工程と、前記溝および前記凹部に埋め込まれた部分を残存させるように前記ベース樹脂層のうちの前記チップ形成領域を被覆する不要部分を除去する工程と、前記ベース樹脂層が露出するまで前記ベース基板の前記第2面を研削する工程と、前記ベース樹脂層のうちの前記溝の内面を被覆する部分を残存させるように前記ベース樹脂層を切断し、前記ベース基板からチップ部品を切り出す工程とを含む。
【0019】
この方法によって、前記チップ部品を製造することができる。
本発明の一実施形態に係るチップ部品の製造方法において、前記ベース樹脂層の前記不要部分を除去する工程では、前記ベース樹脂層の不要部分が払拭されることによって除去されてもよい。
本発明の一実施形態に係るチップ部品の製造方法では、前記ベース基板の前記第2面を研削する工程は、前記ベース樹脂層の前記不要部分を除去する工程の後に実施されてもよい。
【0020】
本発明の一実施形態に係るチップ部品の製造方法は、前記ベース基板の前記第2面を研削する工程の後、前記チップ部品を切り出す工程に先立って、前記ベース基板の前記第2面を被覆する第2ベース樹脂層を形成する工程をさらに含み、前記チップ部品を切り出す工程において前記ベース樹脂層および前記第2ベース樹脂層が切断されてもよい。
<本発明の実施形態の詳細な説明>
次に、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の第1実施形態に係るチップ部品1を一つの角度から見た斜視図である。図2は、図1から外面樹脂21を取り除いてチップ本体2を示す斜視図である。図3は、図1に示すチップ部品1の平面図である。
図4は、図3に示すIV-IV線に沿う断面図である。図5は、図3に示すV-V線に沿う断面図である。図6は、図4に示す領域VIの拡大図である。図7は、図4に示す領域VIIの拡大図である。図8は、図3から絶縁層45の上の構造を取り除いて絶縁層45の構造を示す平面図である。
【0022】
チップ部品1は、1608(1.6mm×0.8mm)チップ、1005(1.0mm×0.5mm)チップ、0603(0.6mm×0.3mm)チップ、0402(0.4mm×0.2mm)チップ、03015(0.3mm×0.15mm)チップ等と称される小型の電子部品である。
図1および図2を参照して、チップ部品1は、直方体形状のチップ本体2を含む。チップ本体2は、一方側の第1チップ主面3、他方側の第2チップ主面4、ならびに、第1チップ主面3および第2チップ主面4を接続するチップ側面5A,5B,5C,5Dを含む。
【0023】
第1チップ主面3および第2チップ主面4は、それらの法線方向Zから見た平面視(以下、単に「平面視」という。)において四角形状(この形態では長方形状)に形成されている。チップ側面5A~5Dは、法線方向Zに沿って延びている。
第1チップ主面3は、実装基板等の接続対象に接続される際に当該接続対象に対向する接続面(実装面)である。第2チップ主面4は、接続面の反対側の非接続面(非実装面)である。第2チップ主面4は、研削痕を有する研削面からなる。
【0024】
チップ側面5Aおよびチップ側面5Cは、第1方向Xに沿って延び、第1方向Xに交差する第2方向Yに互いに対向している。第2方向Yは、より具体的には、第1方向Xに直交している。チップ側面5Aおよびチップ側面5Cは、チップ本体2の短辺を形成している。チップ側面5Bおよびチップ側面5Dは、第2方向Yに沿って延び、第1方向Xに互いに対向している。チップ側面5Bおよびチップ側面5Dは、チップ本体2の長辺を形成している。
【0025】
チップ本体2は、チップ側面5A~5Dを接続するチップ角部6A,6B,6C,6Dを含む。チップ角部6Aは、チップ側面5Aおよびチップ側面5Bを接続している。チップ角部6Bは、チップ側面5Bおよびチップ側面5Cを接続している。チップ角部6Cは、チップ側面5Cおよびチップ側面5Dを接続している。チップ角部6Dは、チップ側面5Dおよびチップ側面5Aを接続している。
【0026】
チップ角部6A~6Dは、この形態では、チップ本体2の外方に向かう凸湾曲状に形成(面取り)されている。チップ角部6A~6Dは、C面取りまたはR面取りされていてもよい。むろん、チップ角部6A~6Dは、角張っていてもよい。
前述の「0603」、「0402」、「03015」等は、チップ本体2の長辺の長さおよび短辺の長さによって定義される。チップ本体2の長辺の長さは、0.1mm以上2mm以下であってもよい。チップ本体2の長辺の長さは、0.1mm以上0.2mm以下、0.2mm以上0.4mm以下、0.4mm以上0.6mm以下、0.6mm以上0.8mm以下、0.8mm以上1mm以下、1mm以上1.2mm以下、1.2mm以上1.4mm以下、1.4mm以上1.6mm以下、1.6mm以上1.8mm以下、または、1.8mm以上2mm以下であってもよい。
【0027】
チップ本体2の短辺の長さは、0.05mm以上1mm以下であってもよい。チップ本体2の長辺の長さは、0.05mm以上0.1mm以下、0.1mm以上0.2mm以下、0.2mm以上0.3mm以下、0.3mm以上0.4mm以下、0.4mm以上0.5mm以下、0.5mm以上0.6mm以下、0.6mm以上0.7mm以下、0.7mm以上0.8mm以下、0.8mm以上0.9mm以下、または、0.9mm以上1mm以下であってもよい。
【0028】
チップ本体2の厚さTCは、50μm以上700μm以下であってもよい。厚さTCは、50μm以上100μm以下、100μm以上150μm以下、150μm以上200μm以下、200μm以上250μm以下、250μm以上300μm以下、300μm以上350μm以下、350μm以上400μm以下、400μm以上450μm以下、450μm以上500μm以下、500μm以上550μm以下、550μm以上600μm以下、600μm以上650μm以下、または、650μm以上700μm以下であってもよい。厚さTCは、50μm以上350μm以下であることが好ましい。
【0029】
チップ本体2は、機能デバイスFDを含む。機能デバイスFDは、基板32の第1主面33を利用して形成される。機能デバイスFDは、能動デバイスまたは受動デバイスを含んでいてもよい。機能デバイスFDは、ダイオードD、抵抗R、コンデンサCまたはコイルLのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。ここでは、説明の便宜上、機能デバイスFDを図3において破線を用いて簡略化して示すこととし、機能デバイスFDの具体的な構造の図示は省略する。
【0030】
チップ本体2は、第1チップ主面3から露出する端子電極10を含む。この形態では、複数の端子電極10が、第1チップ主面3から露出している。複数の端子電極10は、第1端子電極11および第2端子電極12を含む。第1端子電極11および第2端子電極12は、機能デバイスFDに電気的に接続されている。第1端子電極11および第2端子電極12のいずれか一方の端子電極は、機能デバイスFDに高電位を提供し、他方の端子電極は機能デバイスFDに低電位を提供する。
【0031】
第1端子電極11は、第1チップ主面3においてチップ側面5A側の領域から露出している。第1端子電極11は、第1方向Xに沿って延びる長方形状に形成されている。第2端子電極12は、第1端子電極11から間隔を空けて第1チップ主面3から露出している。第2端子電極12は、第1チップ主面3においてチップ側面5C側の領域から露出している。第2端子電極12は、第1方向Xに沿って延びる長方形状に形成されている。
【0032】
第1端子電極11は、接続対象に接続される第1電極面11Aを有している。第2端子電極12は、接続対象に接続される第2電極面12Aを有している。各電極面11A,12Aは、第1チップ主面3に沿って延びている。第1端子電極11および第2端子電極12は、この形態では、第1チップ主面3から第2チップ主面4とは反対側に突出している。これにより、各電極面11A,12Aは、第1チップ主面3から第2チップ主面4とは反対側に離間している。
【0033】
図1図8を参照して、チップ部品1は、チップ本体2を被覆する外面樹脂21を含む。図1図3および図8では、明瞭化のため、外面樹脂21がハッチングによって示されている。外面樹脂21は、チップ本体2の第1チップ主面3を露出させ、チップ本体2の外面を被覆している。
外面樹脂21は、チップ本体2の外面に倣って膜状に形成されている。膜状の外面樹脂21は、チップ本体2を保護しながら、チップ部品1の大型化を抑制する。外面樹脂21は、第1チップ主面3から第1端子電極11および第2端子電極12を露出させている。外面樹脂21は、第1端子電極11および第2端子電極12から間隔を空けて形成されている。
【0034】
外面樹脂21は、本発明の第1部分の一例としての側面被覆部22を含む。側面被覆部22は、チップ本体2のチップ側面5A~5Dを被覆している。側面被覆部22は、チップ角部6A~6Dを通過してチップ側面5A~5Dを一括して被覆している。これにより、側面被覆部22は、平面視において第1チップ主面3を取り囲む環状(より具体的に無端状)に形成されている。
【0035】
側面被覆部22は、チップ側面5A~5Dに倣って膜状に形成されている。側面被覆部22は、平坦な外面を有している。側面被覆部22の外面は、チップ側面5A~5Dに対して平行に延びている。側面被覆部22の外面は、この形態では、研削痕を有する研削面である。
側面被覆部22は、第1チップ主面3側の第1端部22Aおよび第2チップ主面4側の第2端部22Bを有している。第1端部22Aは、各電極面11A,12Aに対して第2チップ主面4側の領域に位置している。第1端部22Aは、この形態では、第1チップ主面3に対して第2チップ主面4側の領域に位置している。
【0036】
第1端部22Aは、第1チップ主面3に対して傾斜した傾斜面24を有している。傾斜面24は、より具体的には、チップ本体2から外側に向かって下り傾斜している。傾斜面24は、この形態では、第1チップ主面3から第2チップ主面4に向かう凹湾曲状に傾斜している。
第1端部22Aは、チップ側面5A~5Dの法線方向から見た側面視(以下、単に「側面視」という。)において隆起または沈下、もしくは、蛇行していていもよい。第1端部22Aは、側面視において第2チップ主面4から第1チップ主面3に向けて隆起した隆起部を含んでいてもよい。第1端部22Aは、側面視において第1チップ主面3から第2チップ主面4に向けて沈下した沈下部を含んでいてもよい。第1端部22Aは、側面視において隆起部および沈下部を含んでいてもよい。
【0037】
第2端部22Bは、第2チップ主面4に連なっている。第2端部22Bは、より具体的には、第2チップ主面4に対して面一に形成された端面25を有している。第2端部22Bの端面25は、この形態では、研削痕を有する研削面である。端面25の研削痕は、第2チップ主面4の研削痕に連なっていてもよい。
側面被覆部22の厚さTSは、10μm以上100μm以下であってもよい。厚さTSは、側面被覆部22においてチップ側面5A~5Dの法線方向に沿う厚さである。厚さTSは、10μm以上20μm以下、20μm以上30μm以下、30μm以上40μm以下、40μm以上50μm以下、50μm以上60μm以下、60μm以上70μm以下、70μm以上80μm以下、80μm以上90μm以下、または、90μm以上100μm以下であってもよい。厚さTSは、20μm以上50μm以下であることが好ましい。
【0038】
外面樹脂21は、樹脂角部26A,26B,26C,26Dを含む。樹脂角部26A~26Dは、チップ本体2のチップ角部6A~6Dを被覆している。樹脂角部26A~26Dは、側面被覆部22がチップ角部6A~6Dで連なる部分である。樹脂角部26A~26Dは、チップ角部6A~6Dとは異なり、角張っている。樹脂角部26A~26Dは、面取りされていてない。樹脂角部26A~26Dは、C面取りまたはR面取りされていてもよい。
【0039】
第1端部22Aのうちの樹脂角部26A~26Dを形成する部分は、第1端部22Aのうちの樹脂角部26A~26D外の領域を形成する部分よりも第2チップ主面4側に沈下していてもよい。
外面樹脂21は、本発明の第2部分の一例としての主面被覆部28を含む。主面被覆部28は、チップ本体2の第2チップ主面4を被覆している。主面被覆部28は、より具体的には、研削痕を埋めて第2チップ主面4を一括して被覆している。
【0040】
主面被覆部28は、第2チップ主面4に倣って膜状に形成されている。主面被覆部28は、第2チップ主面4に沿って延びる平坦な主面を有している。主面被覆部28の主面は、第2チップ主面4に対して平行に延びている。主面被覆部28の主面は、この形態では、側面被覆部22とは異なり、研削面ではなく平滑面である。
主面被覆部28は、側面被覆部22を被覆している。主面被覆部28は、より具体的には、側面被覆部22の第2端部22Bを被覆している。主面被覆部28は、さらに具体的には、研削痕を埋めて第2端部22Bの端面25を被覆している。
【0041】
主面被覆部28は、側面被覆部22と一体を成している。主面被覆部28の周端面は、側面被覆部22の外面に連なっている。主面被覆部28の周端面は、側面被覆部22の外面と共に研削面を形成している。
主面被覆部28は、側面被覆部22との間の境界が消失する態様で、側面被覆部22と一体を成していてもよい。主面被覆部28は、側面被覆部22との間の境界が切断面において視認可能な態様で、側面被覆部22と一体を成していてもよい。
【0042】
主面被覆部28の厚さTMは、10μm以上100μm以下であってもよい。厚さTMは、主面被覆部28において第2チップ主面4の法線方向に沿う厚さである。厚さTMは、10μm以上20μm以下、20μm以上30μm以下、30μm以上40μm以下、40μm以上50μm以下、50μm以上60μm以下、60μm以上70μm以下、70μm以上80μm以下、80μm以上90μm以下、または、90μm以上100μm以下であってもよい。厚さTMは、20μm以上50μm以下であることが好ましい。
【0043】
主面被覆部28の厚さTMは、側面被覆部22の厚さTSと等しくてもよいし、異なっていてもよい。厚さTMは、厚さTSを超えていてもよい。厚さTMは、厚さTS未満であってもよい。
このように、チップ本体2は、外面樹脂21によって区画された有底角筒状の樹脂ケースに収容されている。樹脂ケースは、底壁を形成する主面被覆部28、および、開口を区画し、側壁を形成する側面被覆部22を含む。チップ本体2は、第2チップ主面4を底壁に対向させた姿勢で樹脂ケースに収容されている。
【0044】
外面樹脂21は、不透明樹脂を含んでいてもよい。外面樹脂21は、熱硬化性樹脂を含んでいてもよい。外面樹脂21は、熱硬化性樹脂の一例としてのエポキシ樹脂またはフェノール樹脂を含んでいてもよい。外面樹脂21(熱硬化性樹脂)は、カーボンブラックを含み、黒色に着色されていてもよい。
主面被覆部28は、側面被覆部22と同一種の樹脂材料を含んでいてもよいし、互いに異なる種の樹脂材料を含んでいてもよい。主面被覆部28の樹脂フィラーは、側面被覆部22の樹脂フィラーとは異なる粒子径を有していてもよい。
【0045】
図2を参照して、チップ本体2は、基板32を含む。基板32は、より具体的には、一方側の第1主面33、他方側の第2主面34、ならびに、第1主面33および第2主面34を接続する本発明の第3面の一例としての側面35A,35B,35C,35Dを含む。第1主面33および第2主面34は、平面視において四角形状(この形態では長方形状)に形成されている。側面35A~35Dは、法線方向Zに沿って延びている。
【0046】
基板32の第1主面33は、機能デバイスFDが形成されたデバイス形成面である。機能デバイスFDは、第1主面33の表層部、および/または、第1主面33の上に形成される。第2主面34は、チップ本体2の第2チップ主面4を形成している。つまり、基板32の第2主面34は、研削痕を有する研削面からなる。
側面35A~35Dは、チップ本体2のチップ側面5A~5Dの一部をそれぞれ形成している。基板32は、側面35A~35Dを接続する角部36A,36B,36C,36Dを含む。角部36A~36Dは、チップ本体2のチップ角部6A~6Dの一部をそれぞれ形成している。
【0047】
基板32の側面35A~35Dにおける第1主面33側の端部には、凹部13が形成されている。凹部13は、図2および図3に示すように、側面35A~35Dの全周に亘って一体的に形成されている。これにより、凹部13は、平面視において、基板32の第1主面33を取り囲む環状に形成されている。
凹部13は、基板32の第1主面33から連続する凹面14を有している。凹面14は、図6および図7に示すように、断面視において、基板32の第1主面33の端縁15よりも基板32の内方に向かって膨らんでいる。これにより、凹面14は、基板32の第1主面33の端縁15よりも基板32の内方領域に位置する頂部16を有している。
【0048】
基板32の厚さTsubは、10μm以上650μm以下であってもよい。厚さTsubは、10μm以上50μm以下、50μm以上100μm以下、100μm以上150μm以下、150μm以上200μm以下、200μm以上250μm以下、250μm以上300μm以下、300μm以上350μm以下、350μm以上400μm以下、400μm以上450μm以下、450μm以上500μm以下、500μm以上550μm以下、550μm以上600μm以下、または、600μm以上650μm以下であってもよい。厚さTsubは、30μm以上500μm以下であることが好ましい。
【0049】
チップ本体2は、基板32の第1主面33を被覆する主面絶縁層38を含む。主面絶縁層38の周縁部は、基板32の第1主面33の端縁15から外側に突出している。この形態では、環状の端縁15から鍔状に突出している。これにより、凹部13は、主面絶縁層38の周縁部で覆われている。これにより、凹部13は、凹面14および主面絶縁層38の周縁部によって区画された(囲まれた)中空部分と定義してもよい。また、主面絶縁層38の周縁部は、チップ本体2のチップ側面5A~5Dの一部を形成していてもよい。
【0050】
主面絶縁層38は、酸化シリコン層または窒化シリコン層を含む単層構造を有していてもよい。主面絶縁層38は、任意の順で積層された酸化シリコン層および窒化シリコン層を含む積層構造を有していてもよい。主面絶縁層38は、この形態では、酸化シリコン層からなる単層構造を有している。
チップ本体2は、主面絶縁層38の上に形成された内部電極39を含む。内部電極39は、第1パッド電極41および第2パッド電極42を含む。第1パッド電極41および第2パッド電極42は、機能デバイスFDに電気的に接続されている。
【0051】
第1パッド電極41は、チップ側面5A側の領域に位置している。第1パッド電極41は、第1方向Xに沿って延びる長方形状に形成されている。第2パッド電極42は、第1パッド電極41から間隔を空けてチップ側面5C側の領域に形成されている。第2パッド電極42は、第1方向Xに沿って延びる長方形状に形成されている。
第1パッド電極41は、アルミニウム、銅、アルミニウム合金または銅合金のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。第1パッド電極41は、Al-Si-Cu合金、Al-Si合金、または、Al-Cu(アルミニウム-銅)合金のうちの少なくとも一種を含んでいてもよい。
【0052】
第2パッド電極42は、アルミニウム、銅、アルミニウム合金または銅合金のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。第2パッド電極42は、Al-Si-Cu合金、Al-Si合金、または、Al-Cu(アルミニウム-銅)合金のうちの少なくとも一種を含んでいてもよい。
第2パッド電極42は、第1パッド電極41と同一種の導電材料を含んでいてもよいし、異なる導電材料を含んでいてもよい。第2パッド電極42は、この形態では、第1パッド電極41と同一種の導電材料からなる。
【0053】
チップ本体2は、主面絶縁層38の上に形成された標印43を含む。標印43は、主面絶縁層38の上において任意の領域に形成されている。標印43は、平面視において機能デバイスFDから間隔を空けて形成されていることが好ましい。標印43は、平面視において機能デバイスFDに重ならない領域に形成されていることが好ましい。標印43は、この形態では、平面視において基板32の側面35Dに沿う領域に形成されている。
【0054】
図3および図8では、便宜上、「ABC-1234567」の文字および記号を含む標印43を示している。しかし、標印43は、実際には、ロゴマーク、絵、文字、記号、または、チップ部品1の仕様に関する種々の情報、もしくは、これらが組み合わされた種々の情報等を表す。
チップ部品1の仕様に関する種々の情報は、チップ部品1の型番、サイズ、形状、製造年月日、定格電圧、定格電流等を含んでいてもよい。標印43は、チップ部品1の利便性を高める。標印43の有無は任意であり、標印43を有さないチップ部品1が採用されてもよい。
【0055】
標印43は、この形態では、標印導体層44を含む。標印導体層44は、アルミニウム、銅、アルミニウム合金または銅合金のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。標印導体層44は、Al-Si-Cu合金、Al-Si合金、または、Al-Cu合金のうちの少なくとも一種を含んでいてもよい。標印導体層44は、第1パッド電極41および/または第2パッド電極42と同一種の導電材料を含んでいてもよい。
【0056】
チップ本体2は、主面絶縁層38の上に形成された絶縁層45を含む。絶縁層45は、図8においてハッチングによって示されている。絶縁層45は、標印43の全体を被覆し、かつ内部電極39の周縁部を被覆している。絶縁層45は、絶縁主面46および絶縁側面47A,47B,47C,47Dを含む。絶縁主面46は、チップ本体2の第1主面33を形成している。絶縁側面47A~47Dは、チップ本体2のチップ側面5A~5Dの一部をそれぞれ形成している。
【0057】
絶縁主面46は、絶縁側面47A~47Dを接続する絶縁角部48A,48B,48C,48Dを含む。絶縁角部48A~48Dは、チップ本体2のチップ角部6A~6Dの一部をそれぞれ形成している。
絶縁側面47A~47Dは、基板32の側面35A~35Dと同一平面上に形成されていてもよい。絶縁側面47A~47Dは、基板32の厚さ方向において、凹部13を挟んで基板32の側面35A~35Dから離れている。なお、絶縁側面47A~47Dは、基板32の側面35A~35Dから基板32の内方領域に間隔を空けて形成されていてもよい。この場合、基板32の第1主面33(主面絶縁層38)が露出していてもよい。
【0058】
絶縁層45は、標印43を視認できるように、光を透過させる材料によって形成されている。絶縁層45は、透明絶縁材料または透光性絶縁材料を含む。絶縁層45は、この形態では、パッシベーション層52および樹脂層53を含む積層構造を有している。
パッシベーション層52は、酸化シリコン層または窒化シリコン層を含む単層構造を有していてもよい。パッシベーション層52は、任意の順で積層された酸化シリコン層および窒化シリコン層を含む積層構造を有していてもよい。パッシベーション層52は、この形態では、窒化シリコン層からなる単層構造を有している。
【0059】
樹脂層53は、ネガティブタイプまたはポジティブタイプの感光性樹脂を含んでいてもよい。樹脂層53は、この形態では、ネガティブタイプの感光性樹脂の一例としてのポリイミドを含む。樹脂層53は、ポジティブタイプの感光性樹脂の一例としてのポリベンゾオキサゾールを含んでいてもよい。
図6図8を参照して、絶縁層45は、第1パッド開口54を含む。第1パッド開口54は、第1パッド電極41を露出させている。より具体的には、第1パッド開口54は、第1パッド電極41の中央部を露出させる平面視四角形状に形成されている。
【0060】
図6図8を参照して、絶縁層45は、第2パッド開口58を含む。第2パッド開口58は、第1パッド開口54から間隔を空けて形成され、第2パッド電極42を露出させている。より具体的には、第2パッド開口58は、第2パッド電極42の中央部を露出させる平面視四角形状に形成されている。
図6を参照して、前述の第1端子電極11は、第1パッド開口54に埋め込まれている。第1端子電極11は、第1パッド開口54において第1パッド電極41に電気的に接続されている。これにより、第1端子電極11に入力された電気信号は、第1パッド電極41を介して機能デバイスFDに伝達される。
【0061】
第1端子電極11は、この形態では、複数の電極層を含む積層構造を有している。第1端子電極11は、この形態では、チップ本体2側からこの順に積層された第1Ni(ニッケル)層61、第1Pd(パラジウム)層62および第1Au(金)層63を含む積層構造を有している。
第1Ni層61は、第1パッド開口54を埋め戻し、絶縁層45(絶縁主面46、第1チップ主面3)の上に突出している。第1Pd層62は、第1Ni層61の外面を被覆している。第1Pd層62は、第1Ni層61の外面に倣って膜状に形成されている。第1Pd層62は、第1Ni層61の周縁部において絶縁層45に接している。
【0062】
第1Au層63は、第1Pd層62の外面を被覆している。第1Au層63は、第1Pd層62の外面に倣って膜状に形成されている。第1Au層63は、第1Pd層62の周縁部において絶縁層45に接している。第1Au層63は、第1端子電極11の第1電極面11Aを形成している。
図7を参照して、前述の第2端子電極12は、第2パッド開口58に埋め込まれている。第2端子電極12は、第2パッド開口58において第2パッド電極42に電気的に接続されている。これにより、第2端子電極12に入力された電気信号は、第2パッド電極42を介して機能デバイスFDに伝達される。
【0063】
第2端子電極12は、この形態では、複数の電極層を含む積層構造を有している。第2端子電極12は、この形態では、チップ本体2側からこの順に積層された第2Ni(ニッケル)層64、第2Pd(パラジウム)層65および第2Au(金)層66を含む積層構造を有している。
第2Ni層64は、第2パッド開口58を埋め戻し、絶縁層45(絶縁主面46、第1チップ主面3)の上に突出している。第2Pd層65は、第2Ni層64の外面を被覆している。第2Pd層65は、第2Ni層64の外面に倣って膜状に形成されている。第2Pd層65は、第2Ni層64の周縁部において絶縁層45に接している。
【0064】
第2Au層66は、第2Pd層65の外面を被覆している。第2Au層66は、第2Pd層65の外面に倣って膜状に形成されている。第2Au層66は、第2Pd層65の周縁部において絶縁層45に接している。第2Au層66は、第2端子電極12の第2電極面12Aを形成している。
前述の外面樹脂21は、基板32を被覆している。より具体的には、外面樹脂21は、基板32の側面35A~35Dおよび絶縁層45の絶縁側面47A~47Dを被覆している。
【0065】
また、外面樹脂21は、基板32の側面35A~35Dにおいて、凹部13に埋め込まれている。より具体的には、外面樹脂21の側面被覆部22が、基板32の厚さ方向において、凹部13を挟んで第1チップ主面3側(上側)の部分(この形態では、主面絶縁層38および絶縁層45)および第2チップ主面4側(下側)の基板32の側面35A~35Dに跨っている。これにより、これらの間の凹部13に側面被覆部22が埋め込まれている。また、側面被覆部22は、基板32の側面35A~35Dに直接接しており、当該側面35A~35Dに倣って膜状に形成されている。また、図6および図7を参照して、側面被覆部22の第1端部22Aは、凹部13よりも第1チップ主面3側に位置し、側面被覆部22は、絶縁層45の絶縁側面47A~47Dを被覆している。
【0066】
外面樹脂21は、絶縁層45のうちのパッシベーション層52を被覆していてもよい。外面樹脂21は、絶縁層45のうちのパッシベーション層52および樹脂層53を被覆していてもよい。
外面樹脂21の主面被覆部28は、基板32の第2主面34および側面被覆部22の第2端部22Bを一括して被覆している。外面樹脂21の主面被覆部28は、研削痕を埋めて、基板32の第2主面34および側面被覆部22の第2端部22Bを一括して被覆している。
【0067】
このように、不透明の外面樹脂21が、平面視において透明の絶縁層45を取り囲む環状(無端状)に形成されている。したがって、標印43の視認性は、外面樹脂21によっては阻害されない。
以上、チップ部品1によれば、接続対象に対するチップ本体2の接続部を確保しながら、外面樹脂21によってチップ本体2を保護できる。これにより、小型の電子部品としての利点を活かしながら、チップ本体2を適切に保護できるチップ部品1を提供できる。
【0068】
また、基板32の側面35A~35Dにおける第1チップ主面3側の端部に凹部13が形成され、当該凹部13に外面樹脂21が埋め込まれている。これにより、チップ部品1の実装時に、半田等の接合材が基板32の側面35A~35Dに濡れ上がっても、凹部13に埋め込まれた外面樹脂21によって基板32と接合材との接触を防止することができる。これにより、信頼性を向上できるチップ部品1を提供することができる。特に、凹部13が基板32の第1主面33を取り囲む環状に形成されているため、チップ部品1の周囲のどの方向から接合材が濡れ上がっても、当該濡れ上がりによる基板32と接合材との接触を防止することができる。
【0069】
図9は、図1に示すチップ部品1の製造に用いられるウエハ82を示す斜視図である。
チップ部品1の製造には、ベース基板の一例としてのウエハ82が使用される。ウエハ82は、チップ本体2のベース部材である。ウエハ82は板状または盤状に形成されている。ウエハ82は、円盤状に形成されていてもよい。
ウエハ82は、一方側の第1ウエハ主面83、他方側の第2ウエハ主面84、ならびに、第1ウエハ主面83および第2ウエハ主面84を接続するウエハ側面85を有している。ウエハ82の第1ウエハ主面83および第2ウエハ主面84は、基板32の第1主面33および第2主面34にそれぞれ対応している。
【0070】
ウエハ82の厚さTWは、基板32の厚さTsubを超えている(Tsub<TW)。ウエハ82の厚さTWは、研削によって基板32の厚さTsubに合わせ込まれる。厚さTWは、300μm以上750μm以下であってもよい。厚さTWは、300μm以上350μm以下、350μm以上400μm以下、400μm以上450μm以下、450μm以上500μm以下、500μm以上550μm以下、550μm以上600μm以下、600μm以上650μm以下、650μm以上700μm以下、または、700μm以上750μm以下であってもよい。
【0071】
ウエハ82は、第1ウエハ角部86および第2ウエハ角部87を含む。第1ウエハ角部86は、第1ウエハ主面83およびウエハ側面85を接続している。第2ウエハ角部87は、第2ウエハ主面84およびウエハ側面85を接続している。
第1ウエハ角部86は、第1ウエハ主面83からウエハ側面85に向かって下り傾斜した第1面取り部88を有している。第1面取り部88は、凸湾曲状に形成されていてもよい。第2ウエハ角部87は、第2ウエハ主面84からウエハ側面85に向かって下り傾斜した第2面取り部89を有している。第2面取り部89は、凸湾曲状に形成されていてもよい。第1面取り部88および第2面取り部89は、ウエハ82のクラックを抑制する。
【0072】
ウエハ側面85には、位置決め用の目印としての切欠部90が形成されている。切欠部90は、この形態では、第1方向Xに沿って直線状に延びている。ウエハ82のウエハ側面85には、第1方向Xに沿って延びる切欠部90および第2方向Yに沿って延びる切欠部90が形成されていてもよい。
第1ウエハ主面83には、チップ本体2にそれぞれ対応した複数のチップ形成領域91が設定される。複数のチップ形成領域91は、第1方向Xおよび第2方向Yに沿って間隔を空けて行列状に設定される。
【0073】
複数のチップ形成領域91は、第1方向Xおよび第2方向Yに沿って格子状に延びる切断予定ライン92によってそれぞれ区画されている。切断予定ライン92は、複数の第1切断予定ライン92Aおよび複数の第2切断予定ライン92Bを含む。
複数の第1切断予定ライン92Aは、第1方向Xに沿ってそれぞれ延びている。複数の第2切断予定ライン92Bは、第2方向Yに沿ってそれぞれ延びている。複数のチップ形成領域91に所定の構造が作り込まれた後、切断予定ライン92に沿ってウエハ82が切断される。これにより、複数のチップ部品1が1枚のウエハ82から切り出される。
【0074】
図10A図10Nは、図9に示すX-X線に沿う断面図であって、図1に示すチップ部品1の製造方法の一例を説明するための断面図である。以下では、説明の便宜上、機能デバイスFDおよびその形成工程を省略する。
図10Aを参照して、チップ部品1の製造にあたり、まず、ウエハ82(図9参照)が用意される。次に、主面絶縁層38が、ウエハ82の第1ウエハ主面83の上に形成される、主面絶縁層38は、酸化処理法(たとえば熱酸化処理法)によって形成されてもよい。主面絶縁層38は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法によって形成されてもよい。
【0075】
次に、図10Bを参照して、第1パッド電極41、第2パッド電極42および標印43のベースとなるベース電極層93が、主面絶縁層38の上に形成される。ベース電極層93は、スパッタ法または蒸着法によって形成されてもよい。
次に、図10Cを参照して、所定パターンを有するマスク94が、ベース電極層93の上に形成される。マスク94は、第1パッド電極41を形成すべき領域、第2パッド電極42を形成すべき領域および標印43を形成すべき領域を被覆し、これらの領域以外の領域を露出させる複数の開口94Aを有している。
【0076】
次に、ベース電極層93の不要な部分が、マスク94を介するエッチング法によって除去される。エッチング法は、ウエットエッチング法であってもよい。これにより、第1パッド電極41、第2パッド電極42および標印43が形成される。その後、マスク94は除去される。
次に、図10Dを参照して、パッシベーション層52が、主面絶縁層38の上に形成される。パッシベーション層52は、CVD法によって形成されてもよい。パッシベーション層52は、第1パッド電極41、第2パッド電極42および標印43を被覆する。
【0077】
次に、図10Eを参照して、所定パターンを有し、樹脂層53のベースとなる樹脂層95が、パッシベーション層52の上に形成される。樹脂層95は、より具体的には、第1パッド開口54および第2パッド開口58に対応した複数の開口95A、ならびに、切断予定ライン92に沿う開口95Bを有している。
この工程では、まず、感光性樹脂がパッシベーション層52の上に塗布される。次に、感光性樹脂が、所定パターンを有するフォトマスク(図示せず)を介して露光される。フォトマスク(図示せず)は、より具体的には、第1パッド開口54、第2パッド開口58、および、切断予定ライン92に対応したパターンを有している。次に、感光性樹脂が現像液に浸漬される。これにより、所定パターンを有する樹脂層95が形成される。
【0078】
次に、図10Fを参照して、パッシベーション層52の不要な部分が、樹脂層95をマスクとするエッチング法によって除去される。より具体的には、パッシベーション層52において樹脂層95の開口95A,95Bから露出する部分が除去される。エッチング法は、ウエットエッチング法であってもよい。
樹脂層95の複数の開口95Aは、第1パッド開口54および第2パッド開口58となる。樹脂層95の開口95Bは、切断予定ライン92に沿うダイシングストリート96となる。このようにして、パッシベーション層52および樹脂層53を含む絶縁層45が形成される。
【0079】
次に、図10Gを参照して、第1端子電極11が第1パッド開口54内に形成され、第2端子電極12が第2パッド開口58内に形成される。第2端子電極12は、第1端子電極11と同時に形成される。
第1端子電極11の形成工程は、第1Ni層61、第1Pd層62および第1Au層63を、第1パッド電極41の上にこの順に形成する工程を含む。第1Ni層61、第1Pd層62および第1Au層63は、めっき法によってそれぞれ形成されてもよい。めっき法は、無電解めっき法であってもよい。
【0080】
第2端子電極12の形成工程は、第2Ni層64、第2Pd層65および第2Au層66を、第2パッド電極42の上にこの順に形成する工程を含む。第2Ni層64、第2Pd層65および第2Au層66は、めっき法によってそれぞれ形成されてもよい。めっき法は、無電解めっき法であってもよい。
次に、図10Hを参照して、所定パターンを有するマスク97が、ウエハ82の第1ウエハ主面83の上に形成される。マスク97は、ダイシングストリート96(切断予定ライン92)を露出させる開口97Aを有している。
【0081】
次に、マスク97を介するエッチング法によって、ウエハ82の不要な部分が除去される。エッチング法は、ウエットエッチング法であってもよい。これにより、ダイシングストリート96(切断予定ライン92)から露出する第1ウエハ主面83からウエハ82が等方的にエッチングされ、ダイシングストリート96よりも外側(各チップ形成領域91の内側)に膨らむ凹部13が形成される。つまり、ウエハ82が厚さ方向に加え、厚さ方向に直交する横方向にもエッチングされる等方エッチングであるため、形成された凹部13の幅は、開口97Aの幅よりも広くなる。
【0082】
次に、図10Iを参照して、マスク97を介するエッチング法によって、凹部13の底部が、ウエハ82の厚さ方向にさらにエッチングされる。エッチング法は、ドライエッチング法(たとえば反応性イオンエッチング法)であってもよい。これにより、ダイシングストリート96(切断予定ライン92)に沿って、凹部13よりも狭い幅でウエハ82が掘り下げられ、凹部13と一体化した溝98が形成される。溝98は、チップ形成領域91を区画する。その後、マスク97は、除去される。
【0083】
次に、図10Jを参照して、外面樹脂21(側面被覆部22)のベースとなる第1ベース樹脂層99が形成される。この工程では、熱硬化性樹脂(たとえばエポキシ樹脂)を含む溶剤が、ウエハ82の第1ウエハ主面83の上に供給される。
溶剤は、各電極面11A,12Aとは異なる色を有している。溶剤は、各電極面11A,12Aよりも濃い色を有していることが好ましい。溶剤は、この形態では、カーボンブラックを含み、黒色に着色されている。溶剤は、凹部13および溝98に充填され、チップ形成領域91を被覆する。
【0084】
次に、加熱によって溶剤が硬化される。溶剤は、半硬化されることが好ましい。これにより、凹部13および溝98を埋めてチップ形成領域91を被覆する第1ベース樹脂層99が形成される。
次に、図10Kを参照して、第1ベース樹脂層99の不要な部分が除去される。この工程では、第1ベース樹脂層99のうちの凹部13および溝98に埋設された部分が残存するように、第1ベース樹脂層99のうちのチップ形成領域91を被覆する部分が除去される。
【0085】
第1ベース樹脂層99の不要な部分は、研削、剥離または払拭によって除去されてもよい。第1ベース樹脂層99の不要な部分の除去には、布材や研削部材が使用されてもよい。半硬化状態の第1ベース樹脂層99によれば、不要な部分を容易に除去できる。
この工程では、布材によって、第1ベース樹脂層99の不要な部分を払拭している。この場合、溝98に残存した第1ベース樹脂層99の開口側端部は、溝98の底壁に向かって凹湾曲面に窪む。また、第1ベース樹脂層99の開口側端部は、切断予定ライン92に沿って隆起および/または沈下するように形成される。
【0086】
第1切断予定ライン92Aおよび第2切断予定ライン92Bの交差部では、溝98の開口幅が広がる。したがって、溝98の交差部における第1ベース樹脂層99の除去量は、溝98の交差部外の領域における第1ベース樹脂層99の除去量よりも多くなる。
これにより、溝98の交差部に残存した第1ベース樹脂層99の開口側端部は、交差部外の領域に残存した第1ベース樹脂層99の開口側端部よりも溝98の底壁側に向けて沈下する。その後、溝98に埋設された第1ベース樹脂層99が、加熱によって本硬化される。
【0087】
次に、図10Lを参照して、ウエハ82の第2ウエハ主面84が研削される。第2ウエハ主面84は、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法によって研削されてもよい。第2ウエハ主面84は、溝98に埋設された第1ベース樹脂層99が露出するまで研削される。
これにより、第2ウエハ主面84および第1ベース樹脂層99からなる1つの平坦面が形成される。また、第2ウエハ主面84および第1ベース樹脂層99に、研削痕が形成される。この工程では、複数のチップ形成領域91が複数のチップ本体2として分離される。複数のチップ本体2は、固着した第1ベース樹脂層99によって支持されている。
【0088】
次に、図10Mを参照して、外面樹脂21(主面被覆部28)のベースとなる第2ベース樹脂層100が、ウエハ82の第2ウエハ主面84に形成される。この工程では、まず、熱硬化性樹脂(たとえばエポキシ樹脂)を含む樹脂テープが、第2ウエハ主面84の上に貼着される。
樹脂テープは、第2ウエハ主面84および第1ベース樹脂層99を一括して被覆する。次に、加熱によって樹脂テープが硬化される。これにより、第1ベース樹脂層99と一体化した第2ベース樹脂層100が形成される。
【0089】
第2ベース樹脂層100は、第1ベース樹脂層99と同様に、熱硬化性樹脂(たとえばエポキシ樹脂)を含む溶剤を用いて形成されてもよい。この場合、まず、溶剤が、ウエハ82の第2ウエハ主面84の上に供給される。次に、加熱によって溶剤が硬化される。これにより、第1ベース樹脂層99と一体化した第2ベース樹脂層100が形成される。
次に、図10Nを参照して、切断予定ライン92に沿ってウエハ82が切断される。より具体的には、第1ベース樹脂層99のうち溝98の側壁を被覆する部分が残存するように第1ベース樹脂層99が切断される。第2ベース樹脂層100は、第1ベース樹脂層99と共に切断される。これにより、1枚のウエハ82から複数のチップ部品1が切り出される。以上を含む工程を経てチップ部品1が製造される。
【0090】
図11は、本発明の第2実施形態に係るチップ部品101を一つの角度から見た斜視図である。図12は、図11に示すチップ部品101を別の角度から見た斜視図である。以下では、チップ部品1に対して述べた構造に対応する構造については同一の参照符号を付して説明を省略する。
前述のチップ部品1の外面樹脂21は、側面被覆部22および主面被覆部28を有している。これに対して、チップ部品101の外面樹脂21は、側面被覆部22だけを有している。チップ部品101の外面樹脂21は、主面被覆部28を有していない。外面樹脂21は、基板32の第2主面34を露出させている。
【0091】
側面被覆部22の第2端部22Bは、基板32の第2主面34に連なっている。これにより、基板32の第2主面34および側面被覆部22の第2端部22Bによって一つの平坦面(研削面)が形成されている。
このような構造を有するチップ部品101は、チップ部品1の製造工程(図10A図10N参照)において、第2ベース樹脂層100の形成工程(図10M参照)を省くことによって製造される。以上、チップ部品101によっても、チップ部品1に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。
【0092】
図13は、図3に対応する平面図であって、チップ部品1に組み込まれる第1形態例に係る機能デバイスFD(ダイオードD)を説明するための平面図である。図14は、図13に示すXIV-XIV線に沿う断面図である。
図15は、図13に示すXV-XV線に沿う断面図である。図16は、図13から内部電極39の上の構造を取り除いて内部電極39の構造を説明するための平面図である。図17は、図16に示す領域XVIIの拡大図である。以下では、チップ部品1に対して述べた構造に対応する構造については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0093】
図13図17を参照して、第1形態例に係る機能デバイスFDは、ダイオードDを含む。機能デバイスFDは、この形態では、ダイオードDの一例としての双方向ツェナーダイオードDZを含む。双方向ツェナーダイオードDZは、逆方向直列接続された複数のツェナーダイオードDZ1,DZ2を含む。
基板32の第1主面33の表層部には、p型のベース領域111が形成されている。ベース領域111は、この形態では、基板32の第1主面33から第2主面34に亘って形成されている。これにより、基板32は、p型の半導体領域として形成されている。
【0094】
基板32の比抵抗ρsubは、1mΩ・cm以上10mΩ・cm以下であってもよい。比抵抗ρsubは、1mΩ・cm以上2mΩ・cm以下、2mΩ・cm以上4mΩ・cm以下、4mΩ・cm以上6mΩ・cm以下、6mΩ・cm以上8mΩ・cm以下、または、8mΩ・cm以上10mΩ・cm以下であってもよい。
ベース領域111の表層部には、n型の複数の不純物領域112が形成されている。複数の不純物領域112は、基板32の第1主面33から露出している。複数の不純物領域112は、平面視において基板32の第1主面33の中央部に形成されている。複数の不純物領域112は、より具体的には、平面視において、第1端子電極11および第2端子電極12によって挟まれた領域に形成されている。
【0095】
複数の不純物領域112は、第1方向Xおよび第2方向Yに沿って間隔を空けて行列状に配列されている。複数の不純物領域112は、第1方向Xに互いに対向している。複数の不純物領域112は、第2方向Yに互いに対向している。
複数の不純物領域112は、この形態では、平面視において第2方向Yに沿って延びる帯状にそれぞれ形成されている。複数の不純物領域112は、この形態では、平面視において四隅が切除された長方形状(角が丸められた長方形状)に形成されている。複数の不純物領域112は、平面視において等しい形状および等しい面積で形成されている。
【0096】
複数の不純物領域112は、等しい厚さをそれぞれ有している。複数の不純物領域112は、等しいn型不純物濃度をそれぞれ有している。複数の不純物領域112のn型不純物濃度は、1.0×1019cm-3以上1.0×1021cm-3以下であってもよい。このような構造を有する複数の不純物領域112によれば、各不純物領域112から生じる電気的特性のバラツキを抑制できる。
【0097】
複数の不純物領域112は、ベース領域111との間でpn接合を形成している。これにより、ベース領域111をアノードとし、不純物領域112をカソードとする複数のツェナーダイオードDZ1,DZ2が形成されている。
複数の不純物領域112は、より具体的には、複数(2個以上。この形態では5個)の第1不純物領域群113および複数(2個以上。この形態では5個)の第2不純物領域群114を含む。複数の第1不純物領域群113は、第1端子電極11に電気的に接続される。複数の第2不純物領域群114は、第2端子電極12に電気的に接続される。
【0098】
第1不純物領域群113は、第2方向Yに沿って間隔を空けて形成された複数(2個以上。この形態では6個)の不純物領域112を含む。複数の第1不純物領域群113は、第1方向Xに沿って互いに間隔を空けて形成されている。第1不純物領域群113に含まれる複数の不純物領域112は、第1ツェナーダイオードDZ1をそれぞれ形成している。
【0099】
第2不純物領域群114は、第2方向Yに沿って間隔を空けて形成された複数(2個以上。この形態では6個)の不純物領域112を含む。複数の第2不純物領域群114は、第1方向Xに沿って互いに間隔を空けて形成されている。複数の第2不純物領域群114は、この形態では、第1方向Xに沿って複数の第1不純物領域群113と交互に配列されている。第2不純物領域群114に含まれる複数の不純物領域112は、第2ツェナーダイオードDZ2をそれぞれ形成している。
【0100】
第2ツェナーダイオードDZ2は、ベース領域111を介して第1ツェナーダイオードDZ1に電気的に接続されている。より具体的には、第2ツェナーダイオードDZ2のアノードが、第1ツェナーダイオードDZ1のアノードに電気的に接続されている。これにより、第1ツェナーダイオードDZ1に逆バイアス接続された第2ツェナーダイオードDZ2を含む双方向ツェナーダイオードDZが形成されている。
【0101】
この形態では、複数の不純物領域112が、複数の第1不純物領域群113および複数の第2不純物領域群114を含む例について説明した。しかし、複数の不純物領域112は、1つの第1不純物領域群113および1つの第2不純物領域群114からなっていてもよい。
また、複数の不純物領域112は、第1端子電極11に電気的に接続される不純物領域112、および、第2端子電極12に電気的に接続される不純物領域112が第1方向Xに沿って一列に交互に配列されたパターンからなっていてもよい。
【0102】
複数の不純物領域112は、第1方向Xに互いに対向する2つの不純物領域112からなっていてもよい。この場合、一方の不純物領域112は、第1端子電極11に電気的に接続され、他方の不純物領域112は、第2端子電極12に電気的に接続される。
複数の不純物領域112の平面形状、平面面積、厚さ、n型不純物濃度等の形態および値は任意であり、特定の形態および値に制限されない。複数の不純物領域112の仕様は、達成すべき電気的特性に応じて種々の形態および値を採り得る。
【0103】
図14図15および図17を参照して、基板32の第1主面33の上には、前述の主面絶縁層38が形成されている。主面絶縁層38には、複数のコンタクト孔115が形成されている。複数のコンタクト孔115は、対応する不純物領域112を1対1対応の関係で露出させている。各コンタクト孔115は、この形態では、対応する不純物領域112の平面面積未満の平面面積を有している。各コンタクト孔115は、対応する不純物領域112の周縁を除く内方領域を露出させている。
【0104】
図17を参照して、主面絶縁層38の上には、前述の内部電極39が形成されている。内部電極39は、この形態では、前述の第1パッド電極41および第2パッド電極42に加えて、複数の第1引き出し電極116および複数の第2引き出し電極117を含む。
複数の第1引き出し電極116は、第1パッド電極41から第2パッド電極42に向けて引き出され、対応する第1不純物領域群113を1対1対応の関係で被覆している。複数の第1引き出し電極116は、平面視において櫛歯形状に形成されている。複数の第1引き出し電極116は、対応するコンタクト孔115に入り込み、対応する不純物領域112に電気的に接続されている。
【0105】
複数の第1引き出し電極116は、アルミニウム、銅、アルミニウム合金または銅合金のうちの少なくとも1種をそれぞれ含んでいてもよい。複数の第1引き出し電極116は、Al-Si-Cu合金、Al-Si合金、または、Al-Cu合金のうちの少なくとも一種をそれぞれ含んでいてもよい。複数の第1引き出し電極116は、第1パッド電極41および/または第2パッド電極42と同一種の導電材料を含んでいてもよい。
【0106】
複数の第2引き出し電極117は、第2パッド電極42から第1パッド電極41に向けて引き出され、対応する第2不純物領域群114を1対1対応の関係で被覆している。複数の第2引き出し電極117は、平面視において複数の第1引き出し電極116に噛み合う櫛歯形状に形成されている。複数の第2引き出し電極117は、対応するコンタクト孔115に入り込み、対応する不純物領域112に電気的に接続されている。
【0107】
複数の第2引き出し電極117は、アルミニウム、銅、アルミニウム合金または銅合金のうちの少なくとも1種をそれぞれ含んでいてもよい。複数の第2引き出し電極117は、Al-Si-Cu合金、Al-Si合金、または、Al-Cu合金のうちの少なくとも一種をそれぞれ含んでいてもよい。複数の第2引き出し電極117は、第1パッド電極41および/または第2パッド電極42と同一種の導電材料を含んでいてもよい。
【0108】
その他の構造は、前述の第1実施形態において述べた構造と同様である。以上、機能デバイスFDがダイオードDを含む場合であっても、チップ部品1に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。第1形態例に係る機能デバイスFD(ダイオードD)は、第2実施形態に係るチップ部品101に組み込まれてもよい。
図18は、図3に対応する平面図であって、チップ部品1に組み込まれる第2形態例に係る機能デバイスFD(抵抗R)を説明するための平面図である。図19は、図18から内部電極39の上の構造を取り除いて内部電極39の構造を説明するための平面図である。以下では、チップ部品1に対して述べた構造に対応する構造については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0109】
図18および図19を参照して、第2形態例に係る機能デバイスFDは、抵抗Rを含む。内部電極39は、この形態では、第1パッド電極41および第2パッド電極42に加えて、抵抗導体層121を含む。抵抗導体層121は、主面絶縁層38の上において第1パッド電極41および第2パッド電極42の間の領域を選択的に引き回されている。
抵抗導体層121は、第1パッド電極41および第2パッド電極42の間の領域を帯状に延びている。抵抗導体層121は、この形態では、葛折り状に引き回されている。抵抗導体層121は、第1パッド電極41および第2パッド電極42の間の領域を直線状に延びていてもよい。
【0110】
抵抗導体層121は、一方側の第1端部121Aおよび他方側の第2端部121Bを有している。抵抗導体層121の第1端部121Aは、第1パッド電極41に接続されている。抵抗導体層121の第2端部121Bは、第2パッド電極42に接続されている。
抵抗導体層121は、銅よりも高い抵抗率を有する金属材料によって形成されていることが好ましい。抵抗導体層121は、Ti層またはTiN層を含む単層構造を有していてもよい。抵抗導体層121は、任意の順で積層されたTi層およびTiN層を含む積層構造を有していてもよい。
【0111】
その他の構造は、前述の第1実施形態において述べた構造と同様である。以上、機能デバイスFDが抵抗Rを含む場合であっても、チップ部品1に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。第2形態例に係る機能デバイスFD(抵抗R)は、第2実施形態に係るチップ部品101に組み込まれてもよい。
図20は、図3に対応する平面図であって、チップ部品1に組み込まれる第3形態例に係る機能デバイスFD(コンデンサC)を説明するための平面図である。図21は、図20に示すXXI-XXI線に沿う断面図である。以下では、チップ部品1に対して述べた構造に対応する構造については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0112】
図20および図21を参照して、第3形態例に係る機能デバイスFDは、コンデンサCを含む。内部電極39は、この形態では、第1パッド電極41および第2パッド電極42に加えて、第1キャパシタ電極131および第2キャパシタ電極132を含む。さらに、チップ本体2は、この形態では、第1キャパシタ電極131および第2キャパシタ電極132の間の介在する誘電体層133を含む。
【0113】
第1キャパシタ電極131は、第1パッド電極41と共に主面絶縁層38の上に形成されている。第1キャパシタ電極131は、第1パッド電極41から第2パッド電極42に向けて引き出されている。第1キャパシタ電極131は、この形態では、平面視において四角形状に形成されている。
第1キャパシタ電極131は、アルミニウム、銅、アルミニウム合金または銅合金のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。第1キャパシタ電極131は、Al-Si-Cu合金、Al-Si合金、または、Al-Cu合金のうちの少なくとも一種を含んでいてもよい。第1キャパシタ電極131は、第1パッド電極41および/または第2パッド電極42と同一種の導電材料を含んでいてもよい。
【0114】
誘電体層133は、主面絶縁層38の上において第1キャパシタ電極131を被覆している。誘電体層133は、酸化シリコン層または窒化シリコン層を含む単層構造を有していてもよい。誘電体層133は、任意の順で積層された酸化シリコン層および窒化シリコン層を含む積層構造を有していてもよい。誘電体層133は、チップ本体2側からこの順に積層された酸化シリコン層、窒化シリコン層および酸化シリコン層を含むONO構造を有していてもよい。
【0115】
第2キャパシタ電極132は、誘電体層133の上に形成されている。第2キャパシタ電極132は、第2パッド電極42から第1パッド電極41に向けて引き出されている。第2キャパシタ電極132は、この形態では、平面視において四角形状に形成されている。第2キャパシタ電極132は、誘電体層133を挟んで第1キャパシタ電極131と対向している。第1キャパシタ電極131、誘電体層133および第2キャパシタ電極132の積層構造により、コンデンサCが形成されている。
【0116】
第2キャパシタ電極132は、アルミニウム、銅、アルミニウム合金または銅合金のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。第2キャパシタ電極132は、Al-Si-Cu合金、Al-Si合金、または、Al-Cu合金のうちの少なくとも一種を含んでいてもよい。第2キャパシタ電極132は、第1パッド電極41および/または第2パッド電極42と同一種の導電材料を含んでいてもよい。
【0117】
その他の構造は、前述の第1実施形態において述べた構造と同様である。以上、機能デバイスFDがコンデンサCを含む場合であっても、チップ部品1に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。第3形態例に係る機能デバイスFD(コンデンサC)は、第2実施形態に係るチップ部品101に組み込まれてもよい。
図22は、図3に対応する平面図であって、チップ部品1に組み込まれる第4形態例に係る機能デバイスFD(コイルL)を説明するための平面図である。図23は、図22に示すXXIII-XXIII線に沿う断面図である。
【0118】
図24は、図22から第1パッド電極41の上の構造を取り除いて内部電極39の一部の構造を説明するための平面図である。図25は、図22から第2パッド電極42の上の構造を取り除いて内部電極39の一部の構造を説明するための平面図である。以下では、チップ部品1に対して述べた構造に対応する構造については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0119】
図22図25を参照して、第4形態例に係る機能デバイスFDは、コイルLを含む。内部電極39は、この形態では、第1パッド電極41および第2パッド電極42に加えて、コイル導体141および引き出し電極142を含む。さらに、チップ本体2は、この形態では、コイル導体141および引き出し電極142の間の介在する中間絶縁層143を含む。
【0120】
コイル導体141は、第1パッド電極41と共に主面絶縁層38の上に形成されている。コイル導体141は、平面視において第1端子電極11および第2端子電極12の間の領域に形成されている。コイル導体141は、一方側の第1コイルエンド141A、他方側の第2コイルエンド141Bおよび螺旋部141Cを含む。
コイル導体141の第1コイルエンド141Aは、第1パッド電極41に接続されている。コイル導体141の第2コイルエンド141Bは、平面視において基板32の第1主面33の内方領域(中央部)に位置している。第2コイルエンド141Bは、コイル導体141の螺旋中心を形成している。螺旋部141Cは、平面視において第1コイルエンド141Aから第2コイルエンド141Bに向けて内向きに巻回されている。
【0121】
コイル導体141は、アルミニウム、銅、アルミニウム合金または銅合金のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。コイル導体141は、Al-Si-Cu合金、Al-Si合金、または、Al-Cu合金のうちの少なくとも一種を含んでいてもよい。コイル導体141は、第1パッド電極41および/または第2パッド電極42と同一種の導電材料を含んでいてもよい。
【0122】
中間絶縁層143は、主面絶縁層38の上においてコイル導体141を被覆している。中間絶縁層143は、酸化シリコン層または窒化シリコン層を含む単層構造を有していてもよい。中間絶縁層143は、任意の順で積層された酸化シリコン層および窒化シリコン層を含む積層構造を有していてもよい。中間絶縁層143には、コイル導体141の第2コイルエンド141Bを露出させるコンタクト孔144が形成されている。
【0123】
引き出し電極142は、中間絶縁層143の上に形成されている。引き出し電極142は、第2パッド電極42からコンタクト孔144に向けて引き出されている。引き出し電極142は、コンタクト孔144に入り込んでいる。引き出し電極142は、コンタクト孔144内においてコイル導体141の第2コイルエンド141Bに接続されている。
引き出し電極142は、アルミニウム、銅、アルミニウム合金または銅合金のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。引き出し電極142は、Al-Si-Cu合金、Al-Si合金、または、Al-Cu合金のうちの少なくとも一種を含んでいてもよい。引き出し電極142は、第1パッド電極41および/または第2パッド電極42と同一種の導電材料を含んでいてもよい。
【0124】
その他の構造は、前述の第1実施形態において述べた構造と同様である。以上、機能デバイスFDがコイルLを含む場合であっても、チップ部品1に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。第4形態例に係る機能デバイスFD(コイルL)は、第2実施形態に係るチップ部品101に組み込まれてもよい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はさらに他の形態で実施できる。
【0125】
たとえば、前述の実施形態では、凹部13内の埋め込み材は外面樹脂21(側面被覆部22)の一部であったが、図26に示すように、外面樹脂21から分離された埋め込み樹脂71であってもよい。埋め込み樹脂71は、外面樹脂21と同一種の樹脂材料からなっていてもよい。図26の構造は、たとえば、図10Kの工程において、第1ベース樹脂層99の除去量が多い場合に発生することがある。つまり、第1ベース樹脂層99を上側(第1ウエハ主面83側)から除去する場合でも、凹部13がチップ形成領域91の内側に膨らんでいるため、凹部13内の第1ベース樹脂層99が除去されず、埋め込み樹脂71として残ることとなる。この構造によっても、凹部13に埋め込み樹脂71が埋め込まれているので、チップ部品1の実装時に、半田等の接合材が基板32の側面35A~35Dに濡れ上がっても、凹部13に埋め込まれた埋め込み樹脂71によって基板32と接合材との接触を防止することができる。
【0126】
また、前述の各実施形態において、基板32は、半導体基板または絶縁基板であってもよい。チップ部品1が半導体の性質を利用する機能デバイスFD(たとえばダイオードD等)を含む場合、半導体基板が基板32として採用される。チップ部品1が半導体の性質を利用しない機能デバイスFD(たとえば抵抗R、コンデンサC、コイルL等)を含む場合、半導体基板または絶縁基板が基板32として採用される。
【0127】
基板32は、半導体基板の一例としてのシリコン基板、炭化シリコン基板、または、窒化物半導体基板であってもよい。基板32は、絶縁基板の一例としてのガラス基板、セラミック基板、サファイア基板、または、樹脂基板であってもよい。
基板32が半導体基板からなる場合、半導体製造プロセスを利用してチップ部品1,101を製造できる。基板32が半導体基板からなる場合であっても第1主面33に主面絶縁層38を形成することにより、絶縁基板と同等の性能になる。基板32が絶縁基板からなる場合、主面絶縁層38は除かれてもよい。製造コストを鑑みると、基板32は、機能デバイスFDの性質によらずに、入手性および加工性に優れたシリコン基板からなることが好ましい。
【0128】
前述の各実施形態において、第1形態例、第2形態例、第3形態例または第4形態例に係る機能デバイスFD(ダイオードD、抵抗R、コンデンサCまたはコイルL)を複数含むチップ部品1,101が形成されてもよい。
前述の各実施形態において、第1形態例、第2形態例、第3形態例および第4形態例に係る機能デバイスFD(ダイオードD、抵抗R、コンデンサCおよびコイルL)のうちの少なくとも2種を同時に含むチップ部品1,101が形成されてもよい。
【0129】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0130】
1 チップ部品
2 チップ本体
3 第1チップ主面
4 第2チップ主面
5A (チップ本体)側面
5B (チップ本体)側面
5C (チップ本体)側面
5D (チップ本体)側面
10 端子電極
11 第1端子電極
11A (第1端子電極)電極面
12 第2端子電極
12A (第2端子電極)電極面
13 凹部
14 凹面
15 (基板)端縁
16 頂部
21 外面樹脂
22 (外面樹脂)側面被覆部
22A (側面被覆部)第1端部
28 (外面樹脂)主面被覆部
32 基板
33 第1主面
34 第2主面
35A (基板)側面
35B (基板)側面
35C (基板)側面
35D (基板)側面
38 主面絶縁層
71 埋め込み樹脂
82 ウエハ
83 第1ウエハ主面
84 第2ウエハ主面
91 チップ形成領域
92 切断予定ライン
95 第1ベース樹脂層
98 溝
100 第2ベース樹脂層
101 チップ部品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図10G
図10H
図10I
図10J
図10K
図10L
図10M
図10N
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26