IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ・ボーイング・カンパニーの特許一覧

<>
  • 特許-航空機の翼向けのシヤタイ 図1
  • 特許-航空機の翼向けのシヤタイ 図2
  • 特許-航空機の翼向けのシヤタイ 図3
  • 特許-航空機の翼向けのシヤタイ 図4
  • 特許-航空機の翼向けのシヤタイ 図5
  • 特許-航空機の翼向けのシヤタイ 図6
  • 特許-航空機の翼向けのシヤタイ 図7
  • 特許-航空機の翼向けのシヤタイ 図8
  • 特許-航空機の翼向けのシヤタイ 図9
  • 特許-航空機の翼向けのシヤタイ 図10
  • 特許-航空機の翼向けのシヤタイ 図11
  • 特許-航空機の翼向けのシヤタイ 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】航空機の翼向けのシヤタイ
(51)【国際特許分類】
   B64C 3/18 20060101AFI20240209BHJP
【FI】
B64C3/18
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019208519
(22)【出願日】2019-11-19
(65)【公開番号】P2020100391
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-11-16
(31)【優先権主張番号】16/195,310
(32)【優先日】2018-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リントン, キム エー.
(72)【発明者】
【氏名】バラジャ, ジェイム イー.
(72)【発明者】
【氏名】ウー, シー-ユン ティー.
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-187599(JP,A)
【文献】特表2008-514484(JP,A)
【文献】特開2015-147411(JP,A)
【文献】特開2003-053851(JP,A)
【文献】米国特許第06355337(US,B1)
【文献】国際公開第2015/015152(WO,A1)
【文献】特開2016-068932(JP,A)
【文献】特表2003-513821(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 3/18- 3/20
B64C 3/26
B64C 3/52
B64F 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機の翼のリブを前記航空機の翼の外板に連結するためのアセンブリ(200、300、600、800)であって、
複合材シヤタイ(206、306、404、416、512、606、806、902)であって、シヤタイウェブ(216、616、816、910)、前記シヤタイウェブの第1の側から延在する第1のシヤタイフランジ(218、318、408、420、516、618、818、912)、前記シヤタイウェブの第2の側から延在する第2のシヤタイフランジ(220、320、620、820、914)、及び前記シヤタイウェブの前記第1の側の端部から延在する第1のシヤタイタブ(222、322、412、424)を有する、複合材シヤタイ(206、306、404、416、512、606、806、902)、
前記外板(106、108、202、302、504、602、802、904)にスティッチされ、前記外板と一体化された、ストリンガベースチャージ(308、506、608、808)、並びに
前記ストリンガベースチャージに重なるストリンガ(110、210、310、406、418、502、610、810)であって、ストリンガウェブ(228、414、426)、前記ストリンガウェブの第1の側から延在する第1のストリンガフランジ(230、330、410、422、508、620、830)、及び前記ストリンガウェブの第2の側から延在する第2のストリンガフランジ(232)を備えた、ストリンガを備え、
前記第1のシヤタイフランジが、前記第1のストリンガフランジにスティッチされ、前記第1のストリンガフランジと一体化されており、
前記外板にスティッチされ、前記外板と一体化された、ティアストラップ(304、514、804)を更に備え、前記第1のシヤタイフランジと前記第2のシヤタイフランジが、前記ティアストラップにスティッチされ、前記ティアストラップと一体化されている、アセンブリ。
【請求項2】
前記第1のシヤタイタブが、前記ストリンガウェブの前記第1の側にスティッチされ、前記ストリンガウェブの前記第1の側と一体化されている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記第1のシヤタイタブが、前記第1のストリンガフランジにスティッチされ、前記第1のストリンガフランジと一体化されている、請求項1又は2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記第1のシヤタイタブが、複数のシヤタイタブプライ(430)を備え、前記第1のシヤタイフランジが、前記第1のストリンガフランジにスティッチされ且つ前記1のストリンガフランジと一体化された、複数のシヤタイフランジプライ(428)を備え、且つ、前記複数のシヤタイタブプライが、前記第1のシヤタイフランジの前記複数のシヤタイフランジプライにインターウィーブされている、請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記ティアストラップが、連続的ティアストラップ(304、804)であり、前記ストリンガベースチャージが、前記連続的ティアストラップに重なっている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記外板にスティッチされ、前記外板と一体化された、不連続ベースチャージ(204、604)を更に備え、前記不連続ベースチャージが、前記ストリンガベースチャージによって分離された、第1のセクションと第2のセクションを有する、請求項1から5のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記シヤタイウェブが、複数のシヤタイウェブプライ(224)を備え、前記シヤタイウェブが、前記複数のシヤタイウェブプライを共に保持する、前記シヤタイウェブの長さに沿って設けられた厚さ方向に貫通するスティッチ(226)を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記複合材シヤタイの長手軸(A1)が、前記ストリンガの長手軸(A2)に対して斜めである、請求項1から7のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記複合材シヤタイが、ヒレスティッチ(906)を使用して前記外板にスティッチされ、前記ヒレスティッチが、前記シヤタイウェブ、前記第1のシヤタイフランジ、及び前記第2のシヤタイフランジの間の分岐点で形成されたヒレ領域(908)を包んでいる、請求項1から8のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記複合材シヤタイが、フランジスティッチ(916)を使用して前記外板にスティッチされ、前記フランジスティッチが、前記第1のシヤタイフランジの長さに沿って設けられた少なくとも1つのフランジスティッチ(918、920)を含む、請求項9に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記少なくとも1つのフランジスティッチが、フランジ内部スティッチ(918)とフランジ縁部スティッチ(920)を含み、前記第1のシヤタイフランジが、第1の方向に傾斜する傾斜した外側縁部(922)を備え、前記フランジ縁部スティッチが、第1の方向に傾斜している、請求項10に記載のアセンブリ。
【請求項12】
航空機の翼(100)であって、
外板(106、108、202、302、504、602、802、904)、及び
請求項1から11のいずれか一項に記載のアセンブリを備える、航空機の翼。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広くは、航空機の翼に関し、特に、航空機の翼のリブを航空機の翼の外板に連結するためのアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
複合材料は、概して、それ固有の高い強度対重量比を有するため、様々な構造構成要素において、アルミニウムや合金鋼などの従来の材料に代わる代替物として、ますます使用されるようになっている。例えば、複合材部品は、現在、航空機向けの部品として使用されている。複合材料は、広くは、プライと呼ばれる層内に付けられる強化繊維のネットワーク、及び、樹脂と強化繊維との間の密着を形成するために、強化繊維を実質的に濡らす樹脂を含む。
【0003】
ある航空機の翼向けの設計は、リブ、スパー(桁)、及びストリンガなどの、航空機の翼内の複合材構造構成要素を採用する。航空機の翼の内部構造は、航空機の胴体から航空機の翼の先端まで航空機の翼の長さに沿って延在するスパー及びストリンガ、並びに翼弦方向に向けられた(すなわち、航空機の翼の前縁から航空機の翼の後縁まで)リブを含んでよい。スパーは、翼ボックスの前部及び後部に位置付けられ、上側外板及び下側外板に取り付けられている。ストリンガは、上側外板及び下側外板を支持し、航空機の翼を形作ってよい。リブは、上側外板及び下側外板を支持する。これらのリブは、シヤタイと呼ばれる構成要素を使用して、上側外板及び下側外板に取り付けられてよい。飛行中及び地上で航空機の翼が受ける負荷のために、リブは、上側外板及び下側外板から離れるように押されるか又は引っ張られるかの何れかであり得る。
【発明の概要】
【0004】
一実施例では、航空機の翼のリブを航空機の翼の外板に連結するためのアセンブリが説明される。アセンブリは、複合材シヤタイ、外板に重なるストリンガベースチャージ、及びストリンガベースチャージに重なるストリンガを含む。複合材シヤタイは、シヤタイウェブ、シヤタイウェブの第1の側から延在する第1のシヤタイフランジ、シヤタイウェブの第2の側から延在する第2のシヤタイフランジ、及びシヤタイウェブの第1の側の端部から延在する第1のシヤタイタブを有する。ストリンガは、ストリンガウェブ、ストリンガウェブの第1の側から延在する第1のストリンガフランジ、及びストリンガウェブの第2の側から延在する第2のストリンガフランジを含む。第1のストリンガフランジは、ストリンガベースチャージ及び外板にスティッチ(stitch)され、それらと一体化される。更に、第1のシヤタイフランジは、第1のストリンガフランジにスティッチされ、それと一体化される。
【0005】
別の一実施例では、航空機の翼が説明される。航空機の翼は、外板、複合材シヤタイ、外板に重なるストリンガベースチャージ、及びストリンガベースチャージに重なるストリンガを含む。複合材シヤタイは、シヤタイウェブ、シヤタイウェブの第1の側から延在する第1のシヤタイフランジ、シヤタイウェブの第2の側から延在する第2のシヤタイフランジ、及びシヤタイウェブの第1の側の端部から延在する第1のシヤタイタブを含む。ストリンガは、ストリンガウェブ、ストリンガウェブの第1の側から延在する第1のストリンガフランジ、及びストリンガウェブの第2の側から延在する第2のストリンガフランジを含む。第1のストリンガフランジは、ストリンガベースチャージ及び外板にスティッチされ、それらと一体化される。更に、第1のシヤタイフランジは、第1のストリンガフランジにスティッチされ、それと一体化される。
【0006】
別の一実施例では、航空機の翼を製作し組み立てる方法が説明される。該方法は、共硬化プロセス中に、ストリンガベースチャージを航空機の翼の外板と一体化することを含む。該方法は、共硬化プロセス中に、ストリンガをストリンガベースチャージと一体化することも含み、ストリンガは、ストリンガウェブ、ストリンガウェブの第1の側から延在する第1のストリンガフランジ、及びストリンガウェブの第2の側から延在する第2のストリンガフランジを含む。更に、該方法は、共硬化プロセス中に、複合材シヤタイの第1のシヤタイフランジを第1のストリンガフランジと一体化することを含む。また更に、該方法は、共硬化プロセスの後で、複合材リブを複合材シヤタイのシヤタイウェブに固定することを含む。
【0007】
前述の特徴、機能、及び利点は、様々な実施例において個別に実現可能であるか、又は、更に別の実施例において組み合わされ得る。下記の説明及び図面を参照することで、これらの特徴、機能、及び利点の更なる詳細が理解され得る。
【0008】
図示の実施例の特徴と考えられる新規の特性は、添付の特許請求の範囲に明記される。しかし、実施例並びに好ましい使用モード、更なる目的及びそれらの特徴は、添付図面を参照して、本開示の実施例についての以下の詳細な説明を読むことにより、最もよく理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施例による、航空機の翼を示す。
図2】一実施例による、航空機の翼のリブを航空機の翼の外板に連結するためのアセンブリの部分図を示す。
図3】一実施例による、航空機の翼のリブを航空機の翼の外板に連結するためのアセンブリの部分図を示す。
図4】一実施例による、2つの異なるシヤタイタブ構成を示す。
図5】一実施例による、スティッチ技法を示す。
図6】一実施例による、航空機の翼のリブを航空機の翼の外板に連結するためのアセンブリの部分図を示す。
図7図6のアセンブリの断面図を示す。
図8】一実施例による、航空機の翼のリブを航空機の翼の外板に連結するためのアセンブリの部分図を示す。
図9】一実施例による、更なるスティッチ技法を示す。
図10】一実施例による、2つの異なるフランジ縁部構成を示す。
図11】一実施例による、方法のフローチャートを示す。
図12】一実施例による、図11で示された方法と併せて実行され得る更なる動作を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書ではこれより、添付図面を参照しつつ開示されている例についてより網羅的に説明するが、添付図面に示しているのは開示されている例の一部であって、全てではない。実際には、幾つかの異なる実施例が提供されることがあり、これらは本明細書に明記されている実施例に限定されると解釈すべきではない。むしろ、この開示が包括的なものになり、且つ、本開示の範囲が当業者に十分に伝わるように、これらの実施例について説明している。
【0011】
航空機の翼のリブを航空機の翼の外板に連結するためのアセンブリ、並びに航空機の翼を組み立てるための方法が、本明細書で説明される。例示的なアセンブリは、ストリンガベースチャージ、ストリンガベースチャージに重なるストリンガ、及び複合材シヤタイを含む。ストリンガベースチャージは、外板にスティッチされ、外板と一体化される。外板は、水平飛行中に圧縮される上側外板、又は水平飛行中に引張される下側外板であってよい。更に、ストリンガは、ストリンガウェブ、ストリンガウェブの第1の側から延在する第1のストリンガフランジ、及びストリンガウェブの第2の側から延在する第2のストリンガフランジを含む。
【0012】
複合材シヤタイは、シヤタイウェブ、シヤタイウェブの第1の側から延在する第1のシヤタイフランジ、シヤタイウェブの第2の側から延在する第2のシヤタイフランジ、シヤタイウェブの第1の側の端部から延在する第1のシヤタイタブ、及びシヤタイウェブの第2の側の同じ端部から延在する第2のシヤタイタブを含む。第1のシヤタイフランジは、第1のストリンガフランジにスティッチされ、第1のストリンガフランジと一体化され、それによって、複合材シヤタイをもぎ取るために必要な力の量を増加させる。例えば、第1のシヤタイフランジと第1のストリンガフランジの交差部分において、第1のシヤタイフランジと第1のストリンガフランジは、共にスティッチされてよい。
【0013】
第1のシヤタイフランジと第1のストリンガフランジを共にスティッチすることによって、共硬化プロセス中に、第1のシヤタイフランジを第1のストリンガフランジと一体化して、重量効率に優れた複合材リブを使用することが可能になる。アルミニウムのリブ上にボルト留めする代わりに、スティッチされた複合材シヤタイとストリンガが、同時に共に硬化されてよい。共硬化プロセスは、第1のシヤタイフランジを第1のストリンガフランジにスティッチした後で、複合材シヤタイとストリンガをオーブン内に挿入することを含んでよい。それによって、複合材シヤタイとストリンガは、オーブン内で同時に共硬化され得る。スティッチすること及び共硬化することが行われなければ、第1のシヤタイフランジを第1のストリンガフランジ及び外板に取り付けるために、ファスナが代わりに使用されるかもしれない。共硬化プロセスは、航空機の翼を、雷撃からのものなどの電磁効果から影響を受けにくくすることができる。というのも、スティッチは、共硬化され且つもぎ取る力に晒される構成要素間で、ファスナを使用する必要性を回避できるからである。航空機の翼の外型ライン(outer mold line)に晒されているファスナで、アルミニウムのリブをボルト留めすると、雷撃から翼の燃料タンクへの電流の直接的な経路が生成される。外型から完全に孤立したファスナで、リブのウェブをシヤタイにボルト留めすると、電流は外板内にとどまり燃料タンクから離れたままである。本明細書で説明されるアセンブリの別の利点は、アセンブリが、垂直界面で取り付けられる重量効率に優れたリブのウェブの一体化を可能にし、それによって、外板に対して直交する界面を有するアルミニウムリブのウェブで使用されるシムの使用を回避できるということである。
【0014】
航空機の翼の共硬化構成要素は、製造時間及び費用も低減させることができる。更に、ある実施例では、ストリンガベースチャージや外板などの、航空機の翼の他の構成要素も、複合材シヤタイ及びストリンガと共硬化させることができる。更なる構成要素を複合材シヤタイやストリンガと共硬化させることによって、製造時間及び費用を更に低減させることができる。
【0015】
ある実施例では、第1のシヤタイタブが、ストリンガウェブの第1の側にスティッチされ、それと一体化されることによって、ストリンガウェブを安定化させ、更に、複合材シヤタイをストリンガからもぎ取るために必要とされる力の量を増加させることができる。更に、第1のシヤタイタブも、第1のシヤタイフランジと第1のストリンガフランジとの交差部分において、第1のシヤタイフランジに重なってよい。この重なりは、シヤタイのもぎ取り負荷能力を更に高めることができる。
【0016】
同様に、第1のストリンガフランジに交差しない第1のシヤタイフランジの一部分は、外板にスティッチされ、外板と一体化されることによって、複合材シヤタイと外板との間の接合を強化することができる。例えば、ストリンガと別のストリンガとの間に設けられた第1のシヤタイフランジの一部分が、外板にスティッチされ、外板と一体化されてよい。
【0017】
更に、アセンブリは、外板にスティッチされ且つ外板と一体化される、ティアストラップ(tear strap)を含むこともできる。複合材シヤタイは、第1のシヤタイフランジと第2のシヤタイフランジが、ティアストラップにスティッチされ、ティアストラップと一体化された状態で、ティアストラップに重なってよい。この配置では、スティッチされるティアストラップが、外板内の亀裂が広がることを防止する助けとなり得る。例えば、ティアストラップは、亀裂が、複合材シヤタイの第1の側から複合材シヤタイの第2の側へ広がることを防止する助けとなり得る。
【0018】
説明されるシステム並びに対応する方法の様々な他の特徴及び変形が、本明細書で、これ以後、添付の図面を参照しながら説明される。
【0019】
次に、図1を参照すると、図1は、一実施例による航空機の翼100を示している。図1で示されているように、航空機の翼100は、後桁102、前桁104、下側外板106、上側外板108、複数のストリンガ110、及び複数のリブ112を含む。後桁102、前桁104、下側外板106、上側外板108、複数のストリンガ110、及び複数のリブ112は、同じ又は異なる複合材料から作製されてよい。複合材料は、異なる物理的又は化学的特性を有する、2つ以上の構成材料である。複合材料は、非クリンプ織布複合材(non-crimp fabric composite)であってよい。複合材料は、例えばグラファイト複合材、又は炭素繊維複合材を含んでよい。
【0020】
上述の説明を鑑みると、複数のリブ112のうちの個別のリブは、シヤタイを使用して下側外板106及び上側外板108に連結されてよい。図2は、一実施例による、航空機の翼のリブを航空機の翼の外板202に連結するためのアセンブリ200の部分図を示している。例えば、アセンブリ200は、図1の複数のリブ112のうちのリブを、下側外板106や上側外板108と連結するために使用されてよい。図2で示されているように、アセンブリ200は、不連続ベースチャージ204、複合材シヤタイ206、ストリンガベースチャージ208、及びストリンガ210を含む。
【0021】
不連続ベースチャージ204は、滑らかに持ち上げられた表面(外板202)を維持するために、シヤタイフランジによって生成されたスプリングバック力に反作用する助けとなり得る。図2で示されているように、不連続ベースチャージ204は、ストリンガベースチャージ208によって分離された、第1のセクション212と第2のセクション214を含む。この配置では、ストリンガベースチャージ208が、外板202と直接的に接触し、ストリンガベースチャージ208の長さに沿った任意の揺れ(joggle)を回避することによって、ストリンガ210の圧縮能力を増加させることができる。外板202が上側外板であるときに、ストリンガ210の圧縮能力を増加させることは有益であるだろう。というのも、上側外板は、飛行中にかなりの圧縮負荷を受け得るからである。
【0022】
複合材シヤタイ206は、シヤタイウェブ216、シヤタイウェブ216の第1の側から延在する第1のシヤタイフランジ218、シヤタイウェブ216の第2の側から延在する第2のシヤタイフランジ220、及びシヤタイウェブ216の第1の側の端部から延在する第1のシヤタイタブ222を含む。第1のシヤタイフランジ218と第2のシヤタイフランジ220は、複合材シヤタイ206の長さに沿って、不連続ベースチャージ204にスティッチされ、不連続ベースチャージ204と一体化され、それによって、複合材シヤタイ206の不連続ベースチャージ204及び外板202との共硬化を可能にすることができる。
【0023】
シヤタイウェブ216は、複数のシヤタイウェブプライ224を含み、シヤタイウェブ216の長さに沿って設けられた厚さ方向に貫通するスティッチ226を含む。厚さ方向に貫通するスティッチ226は、複数のシヤタイウェブプライ224を共に保持することができる。厚さ方向に貫通するスティッチ226は、シヤタイウェブ216を強化し、複数のシヤタイウェブプライ224のうちの個別のシヤタイウェブプライが、互いから分離することを防止する助けとなり得る。
【0024】
ストリンガ210は、ストリンガウェブ228、ストリンガウェブ228の第1の側から延在する第1のストリンガフランジ230、及びストリンガウェブ228の第2の側から延在する第2のストリンガフランジ232を含む。第1のストリンガフランジ230と第2のストリンガフランジ232は、ストリンガ210の長さに沿って、ストリンガベースチャージ208及び外板202にスティッチされ、ストリンガベースチャージ208及び外板202と一体化されてよい。
【0025】
ストリンガウェブ228は、複数のストリンガウェブプライ234を含み、ストリンガウェブ228の長さに沿って設けられた厚さ方向に貫通するスティッチ236を含む。厚さ方向に貫通するスティッチ236は、複数のストリンガウェブプライ234を共に保持することできる。厚さ方向に貫通するスティッチ236は、ストリンガウェブ228を強化し、複数のストリンガウェブプライ234のうちの個別のストリンガウェブプライが、互いから分離することを防止する助けとなり得る。圧縮が支配的な外板パネルでは、この厚さ方向に貫通するスティッチ236が、これらの圧縮負荷下で、成長することが検出されないかもしれない、ほとんど視認不可能な衝撃損傷を阻止する。これは、ストリンガ210が、普通起こり得るよりも高い歪レベルで機能し、したがって、重量を節約することを可能にする。
【0026】
組み立てられた状態では、複合材シヤタイ206の長手軸A1が、ストリンガ210の長手軸A2に対して斜めであってよい。例えば、長手軸A1は、概して、長手軸A2に対して直交してよい(例えば、長手軸A1と長手軸A2の間の角度は、80度と100度の間の角度であってよい)。他の実施例では、長手軸A1と長手軸A2の間の角度が、より大きく又はより小さくてよい(60度と120度の間など)。更に、組み立てられた状態で、第1のシヤタイフランジ218は、第1のストリンガフランジ230にスティッチされてよい。同様に、第2のシヤタイフランジ220は、第1のストリンガフランジ230にスティッチされてよい。更に、第1のシヤタイタブ222、並びに、シヤタイウェブ216の第2の側から延在する第2のシヤタイタブ238が、ストリンガウェブ228にスティッチされてよく、ストリンガウェブ228と一体化されてよい。これは、シヤタイもぎ取り能力を高め、更には、ストリンガウェブ228を安定させる。複合材シヤタイ206をストリンガ210にスティッチすることによって、共硬化プロセス中に、複合材シヤタイ206をストリンガ210と一体化することができる。更に、第1のシヤタイフランジ218及び第2のシヤタイフランジ220内のスティッチがない場合、複合材シヤタイ206は、弱い層間樹脂界面上の翼内の圧縮負荷によって生成される平面外の力に反作用することができないかもしれない。
【0027】
図2では示されていないが、複合材シヤタイ206は、シヤタイウェブ216の第1の側から延在する第3のシヤタイタブ、及びシヤタイウェブ216の第2の側から延在する第4のシヤタイタブも含んでよい。その場合、第3のシヤタイタブと第4のシヤタイタブは、(これもまた図示せぬ)別のストリンガのストリンガウェブにスティッチされ、それと一体化される。
【0028】
更に、図2は、第1のストリンガフランジ230の幅より長い長さを有する、第1のシヤタイフランジ218及び第2のシヤタイフランジ220を有する、複合材シヤタイ206を描いている。それによって、第1のシヤタイフランジ218及び第2のシヤタイフランジ220の部分は、第1のセクション212に直接的に当接する。しかし、他の実施例では、第1のシヤタイフランジ218と第2のシヤタイフランジ220の長さが、より短くてよい。例えば、第1のシヤタイフランジ218及び第2のシヤタイフランジ220の長さは、第1のストリンガフランジ230の幅と近似的に等しくてよい。それによって、第1のシヤタイフランジ218と第2のシヤタイフランジ220の部分は、第1のストリンガフランジ230の幅を越えて延在しない。
【0029】
上述したように、アセンブリ200の1以上の構成要素は、共硬化プロセス中に共に一体化されてよい。例えば、共硬化プロセス中に、不連続ベースチャージ204、ストリンガベースチャージ208、外板202、第1のシヤタイフランジ218、及び第1のストリンガフランジ230は、全て、共にスティッチされ、次いで、共硬化されてよい。第1の構成要素を第2の構成要素に共硬化することは、第1の構成要素を第2の構成要素にスティッチすること又はさもなければ接着すること、2つの構成要素をオーブン内に置くこと、及び第1の構成要素と第2の構成要素をオーブン内で共に硬化させることを含んでよい。
【0030】
図3は、一実施例による、航空機の翼のリブを航空機の翼の外板302に連結するための別のアセンブリ300の部分図を示している。例えば、アセンブリ300は、図1の複数のリブ112のうちのリブを下側外板106や上側外板108と連結するために使用されてよい。図3で示されているように、図2のアセンブリ200のように、アセンブリ300は、複合材シヤタイ306、ストリンガベースチャージ308、及びストリンガ310を含む。しかし、アセンブリ300は、次のような点で図2のアセンブリ200と異なる。すなわち、アセンブリ300が、連続的ティアストラップ304を含む一方で、アセンブリ200は、不連続ベースチャージ204を含む。
【0031】
連続的ティアストラップ304は、外板302に隣接して位置付けられた複合材料のストリップを含んでよい。連続的ティアストラップ304は、前桁と後桁の間などで、外板302の翼弦に沿って連続的に延在してよい。この配置では、ストリンガベースチャージ308が、連続的ティアストラップ304上に押し出され(joggle)てよい。これは、複合材シヤタイ306、ストリンガベースチャージ308、及びストリンガ310が、共に共硬化されるときに、より容易に実現され得る。更に、この配置は、外板302が、高い引張負荷下で、外板302の大きな切り欠き分裂に耐える能力を高めることができる。シヤタイとストリンガの両方の下で重なるティアストラップは、外板302内の分裂を防ぐことができる、より小さいベイの格子桁(grid work)を生成する。シヤタイ、ストリンガ、シヤタイティアストラップ、ストリンガベースチャージ、及び外板が、適所に配置された状態で、これらの強化部材は、全て共にスティッチされてよい。これは、外板内でゼロ度のプライの割合を高めることを促進し、それによって、重量を低減させることができる。分裂に耐える外板302の能力を改善することは、外板302が下側外板であるときに有益であるだろう。というのも、下側外板は、飛行中にかなりの引張負荷を受け得るからである。
【0032】
更に、図3は、第1のストリンガフランジ330の幅より長い長さを有する、第1のシヤタイフランジ318及び第2のシヤタイフランジ320を有する、複合材シヤタイ306を描いている。それによって、第1のシヤタイフランジ318及び第2のシヤタイフランジ320の部分は、連続的ティアストラップ304と直接的に当接する。しかし、他の実施例では、第1のシヤタイフランジ318と第2のシヤタイフランジ320の長さが、より短くてよい。例えば、第1のシヤタイフランジ318及び第2のシヤタイフランジ320の長さは、第1のストリンガフランジ330の幅と近似的に等しくてよい。それによって、第1のシヤタイフランジ318と第2のシヤタイフランジ320の部分は、第1のストリンガフランジ330の幅を越えて延在しない。
【0033】
図4は、一実施例による、2つの異なるシヤタイタブ構成を示している。より具体的には、図4は、第1のシヤタイタブ構成400と第2のシヤタイタブ構成402を描いている。
【0034】
第1のシヤタイタブ構成400は、とりわけ、複合材シヤタイ404とストリンガ406を含む。例えば、複合材シヤタイ404は、図3の複合材シヤタイ306を表してよく、ストリンガ406は、図3のストリンガ310を表してよい。図4で示されているように、複合材シヤタイ404の第1のシヤタイフランジ408は、ストリンガ406の第1のストリンガフランジ410にスティッチされる。更に、第1のシヤタイタブ412は、ストリンガ406のストリンガウェブ414にスティッチされてよい。第1のシヤタイタブ412と第1のシヤタイフランジ408は、バットスプライス(butt splice)を用いて共に接合されている。
【0035】
第2のシヤタイタブ構成402も、とりわけ、複合材シヤタイ416とストリンガ418を含む。複合材シヤタイ416は、図3の複合材シヤタイ306を表してよく、ストリンガ418は、図3のストリンガ310を表してよい。図4で示されているように、複合材シヤタイ416の第1のシヤタイフランジ420は、ストリンガ418の第1のストリンガフランジ422にスティッチされる。更に、第1のシヤタイタブ424は、ストリンガ418のストリンガウェブ426にスティッチされてよい。第1のシヤタイフランジ420は、第1のシヤタイタブ424の複数のシヤタイタブプライ430とインターウィーブ(interweave)された、複数のシヤタイフランジプライ428を含む。第1のシヤタイフランジ420と第1のシヤタイタブ424の間のこのオーバーラップスプライスのために、複合材シヤタイ416をストリンガ418からもぎ取るために必要な力の量が、複合材シヤタイ404をストリンガ406からもぎ取るために必要な力の量より大きくなり得る。したがって、翼の中間(mid-wing)などの高いもぎ取り負荷を受ける航空機の翼のエリア内で、第2のシヤタイタブ構成402を使用し、より低いもぎ取り負荷を受ける航空機の翼のエリア内で、第1のシヤタイタブ構成400を使用することが、有利であろう。
【0036】
図5は、一実施例による、スティッチ技法を示している。図5で示されているように、ストリンガ502は、航空機の翼の外板504にスティッチされてよい。例えば、ストリンガスティッチ動作中に、外板504、ストリンガベースチャージ506、及びストリンガ502の第1のストリンガフランジ508は、ストリンガスティッチ510を使用して共にスティッチされてよい。ストリンガスティッチ510は、第1のストリンガフランジ508の全体の長さに沿って、又は第1のストリンガフランジ508の一部分に沿って設けられてよい。ストリンガスティッチ510は、外板504、ストリンガベースチャージ506、及び第1のストリンガフランジ508を、キャプチャすることができる。
【0037】
図5で更に示されているように、複合材シヤタイ512は、外板504、ティアストラップ514、及びストリンガ502にスティッチされてよい。例えば、シヤタイスティッチ動作中に、第1のシヤタイフランジ516、外板504、ティアストラップ514、及び第1のストリンガフランジ508は、シヤタイスティッチ518を使用して共にスティッチされてよい。シヤタイスティッチ518は、第1のシヤタイフランジ516の全体の長さに沿って、又は第1のシヤタイフランジ516の一部分に沿って設けられてよい。シヤタイスティッチ518は、外板504、ティアストラップ514、及び第1のシヤタイフランジ516を、キャプチャすることができる。更に、ストリンガ502と複合材シヤタイ512の交差部分において、シヤタイスティッチ518は、外板504、ティアストラップ514、ストリンガベースチャージ506、第1のストリンガフランジ508、及び第1のシヤタイフランジ516を、キャプチャすることができる。
【0038】
図6は、一実施例による、航空機の翼のリブを航空機の翼の外板602に連結するための別のアセンブリ600の部分図を示している。例えば、アセンブリ600は、図1の複数のリブ112のうちのリブを下側外板106や上側外板108と連結するために使用されてよい。図6で示されているように、図2のアセンブリ200のように、アセンブリ600は、不連続ベースチャージ604、複合材シヤタイ606、ストリンガベースチャージ608、及びストリンガ610を含む。更に、複合材シヤタイ606は、シヤタイウェブ616、シヤタイウェブ616の第1の側から延在する第1のシヤタイフランジ618、及びシヤタイウェブ616の第2の側から延在する第2のシヤタイフランジ620を含む。また更に、ストリンガ610は、第1のストリンガフランジ630を含む。
【0039】
しかし、複合材シヤタイ606は、2つの様態で、図2の複合材シヤタイ206と異なっている。先ず、複合材シヤタイ206は、第1のシヤタイタブ222と第2のシヤタイタブ238を含むが、一方で、複合材シヤタイ606は、シヤタイタブを全く含まない。次に、第1のシヤタイフランジ218と第2のシヤタイフランジ220は、第1のストリンガフランジ230と第1のセクション212の両方にスティッチされ、それらと一体化されるように配置されているが、一方で、第1のシヤタイフランジ618と第2のシヤタイフランジ620は、不連続ベースチャージ604の第1のセクション612にスティッチされるように配置されているが、ストリンガ610の第1のストリンガフランジ630にはスティッチされない。
【0040】
図7は、図6のアセンブリ600の断面図を示している。図7で示されているように、リブ700は、複合材シヤタイ606に固定されてよい。複合材シヤタイ606は、ストリンガ610と第2のストリンガ710の間に位置決めされているが、複合材シヤタイ606は、ストリンガ610又は第2のストリンガ710の何れのストリンガフランジとも接触していない。
【0041】
図8は、一実施例による、航空機の翼のリブを航空機の翼の外板802に連結するための別のアセンブリ800の部分図を示している。例えば、アセンブリ800は、図1の複数のリブ112のうちのリブを下側外板106や上側外板108と連結するために使用されてよい。図8で示されているように、図3のアセンブリ300のように、アセンブリ800は、連続的ティアストラップ804、複合材シヤタイ806、ストリンガベースチャージ808、及びストリンガ810を含む。更に、複合材シヤタイ806は、シヤタイウェブ816、シヤタイウェブ816の第1の側から延在する第1のシヤタイフランジ818、及びシヤタイウェブ816の第2の側から延在する第2のシヤタイフランジ820を含む。また更に、ストリンガ810は、第1のストリンガフランジ830を含む。
【0042】
しかし、複合材シヤタイ806は、2つの様態で、図3の複合材シヤタイ306と異なっている。先ず、複合材シヤタイ306は、第1のシヤタイタブ322と第2のシヤタイタブ338を含むが、一方で、複合材シヤタイ806は、シヤタイタブを全く含まない。次に、第1のシヤタイフランジ318と第2のシヤタイフランジ320は、第1のストリンガフランジ330と連続的ティアスラップ304の両方にスティッチされ、それらと一体化されるように配置されているが、一方で、第1のシヤタイフランジ818と第2のシヤタイフランジ820は、連続的ティアストラップ804にスティッチされるように配置されているが、ストリンガ810の第1のストリンガフランジ830にはスティッチされない。
【0043】
図9も、スティッチ技法を示している。図9で示されるように、複合材シヤタイ902は、シヤタイウェブ910、第1のシヤタイフランジ912、及び第2のシヤタイフランジ914の間の分岐点において形成された、ヒレ(fillet)領域908を包むヒレスティッチ906を使用して、外板904にスティッチされてよい。ヒレスティッチ906は、任意のヒレ層間剥離が、シヤタイウェブ910、第1のシヤタイフランジ912、及び第2のシヤタイフランジ914の中に、広がることを防止することができる。
【0044】
図9で更に示されているように、複合材シヤタイ902は、第1のシヤタイフランジ912の長さに沿って設けられたフランジスティッチ916を使用して、外板904にスティッチされてよい。フランジスティッチ916は、フランジ内部スティッチ918を含む。それは、第1のシヤタイフランジ912内の損傷が、成長し、第1のシヤタイフランジ912を外板904から分離させることを防止することができる。フランジスティッチ916は、フランジ縁部スティッチ920も含む。第1のシヤタイフランジ912は、第1の方向に傾斜する傾斜した外側縁部922を含み、フランジ縁部スティッチ920は、第1の方向に傾斜する。フランジ縁部スティッチ920は、外板904の別のエリア内で生じた損傷が、複合材シヤタイ902と外板904との間の界面を弱くすることを防止する助けとなり得る。
【0045】
図9のスティッチ技法は、シヤタイ半径に直接隣接する支持も提供し、構造の能力を高める。一方、直交する界面で外板にボルト留めされた内部フランジを有する、別個の複合材リブが製作されたときに、ボルトはシヤタイ半径から更に離れるように押され、シヤタイ半径の応力が増加し、構造の能力が低減される。内部フランジは、そのような複合材リブの重量が極端に高くなることをもたらし得る。したがって、例えば、図9のスティッチ技法は、重量で優位な複合材アセンブリを容易にする。
【0046】
図10は、一実施例による、2つの異なるフランジ縁部構成を示している。より具体的には、図10が、複合材シヤタイのシヤタイフランジ又はストリンガのストリンガフランジ向けに使用され得る、第1のフランジ縁部構成1000と第2のフランジ縁部構成1002を描いている。
【0047】
図10で示されているように、第1のフランジ縁部構成1000は、第1のフランジ1004の最上端のプライの下のプライの縁部をカバーする、重なり縁部1006を有する第1のフランジ1004を含んでよい。例えば、第1のフランジ1004は、ストリンガフランジであってよく、重なり縁部1006は、1以上のストリンガフランジプライの端部と1以上のストリンガベースチャージプライの端部をカバーしてよい。代替的に、第1のフランジ1004は、シヤタイフランジであってよく、重なり縁部1006は、1以上のシヤタイフランジプライの端部と1以上のティアストラッププライの端部をカバーしてよい。
【0048】
図10で更に示されているように、第2のフランジ縁部構成1002は、第2のフランジ1008を含む。しかし、第1のフランジ1004とは異なり、第2のフランジ1008は、重なり縁部1006を含まない。代わりに、第2のフランジ1008は、ネット成形され(net molded)てよく、第2のフランジ1008の1以上のプライの端部は、樹脂でカバーされている。第2のフランジ縁部構成1002は、第1のフランジ縁部構成よりも製造することが容易であり得る。したがって、航空機の翼の高電磁脅威レベルエリア内では、第2のフランジ縁部構成1002よりもむしろ、第1のフランジ縁部構成1000が適用されることが有益であろう。
【0049】
図11は、一実施例による、方法1100のフローチャートを示している。図11で示されている方法1100は、例えば、図1の航空機の翼100などの、本明細書で説明される航空機の翼のうちの何れかを組み立てるために実行され得る、方法の一実施形態を提示する。方法1100は、1以上のオペレータ及び/又は1以上のロボットデバイスによって実行されてよい。
【0050】
方法1100は、ブロック1102~1108のうちの1以上によって示される、1以上の動作、機能、又はアクションを含んでよい。これらのブロックは順番に示されているが、これらのブロックは、並行して実行してもよく、及び/又は本明細書で記載の順序とは異なる順序で実行してもよい。更に、様々なブロックを組み合わせてブロックの数を減らしたり、分割してブロックを追加したり、所望の実装に基づいて取り除いたりしてもよい。
【0051】
最初に、ブロック1102では、方法1100が、共硬化プロセス中に、ストリンガベースチャージを航空機の翼の外板と一体化することを含む。外板は、航空機の翼の上側外板又は下側外板であってよい。ブロック1104では、方法1100が、共硬化プロセス中に、ストリンガをストリンガベースチャージと一体化することを含む。ストリンガは、ストリンガウェブ、ストリンガウェブの第1の側から延在する第1のストリンガフランジ、及びストリンガウェブの第2の側から延在する第2のストリンガフランジを含む。ブロック1106では、方法1100が、共硬化プロセス中に、複合材シヤタイの第1のシヤタイフランジを第1のストリンガフランジと一体化することを含む。上述の説明に鑑みて、共硬化プロセスは、第1のシヤタイ、ストリンガ、及びストリンガベースチャージを、外板にスティッチするか又はさもなければ接着すること、外板、ストリンガベースチャージ、ストリンガ、及びシヤタイを、組み立てられた状態でオーブン内に置くこと、並びに、外板、ストリンガベースチャージ、ストリンガ、及び複合材シヤタイを、オーブン内で共に硬化させることを含んでよい。
【0052】
ブロック1108では、方法1100が、共硬化プロセスの後で、リブを複合材シヤタイのシヤタイウェブに固定することを含む。ブロック1108で固定することは、シヤタイウェブ内の孔及びリブ内の孔を通してファスナを挿入することを含んでよい。ブロック1108で固定することは、可動ベース及びロボットアームを有する、ロボットデバイスによって実行されてよい。
【0053】
図12は、一実施例による、図11の方法1100と併せて実行され得る更なる動作を示している。図12のブロック1110及び1112は、図11のブロック1108の前に実行されてよい。
【0054】
ブロック1110では、図12が、共硬化プロセス中に、連続的ティアストラップ又は不連続なベースチャージを外板と一体化することを含む。連続的ティアストラップが外板に一体化される場合、ストリンガベースチャージが、連続的ティアストラップに重なってよい。代替的に、不連続ベースチャージが外板に一体化される場合、不連続ベースチャージは、ストリンガベースチャージによって分離される、第1のセクションと第2のセクションを含んでよい。
【0055】
ブロック1112では、図12が、共硬化プロセス中に、複合材シヤタイの第1のシヤタイフランジと複合材シヤタイの第2のシヤタイフランジを、ティアストラップと一体化することを含む。
【0056】
図11及び図12を参照しながら説明されたように、方法1100は、ストリンガウェブのプライを共にスティッチすることを含んでよい。更に、方法1100は、シヤタイウェブのプライを共にスティッチすることを含んでよい。更に、方法1100は、外板と、ストリンガベースチャージを有するストリンガと、複合材シヤタイと、連続的ティアストラップ又は不連続ベースチャージとを、アセンブリツール内に位置決めすることを含んでよい。アセンブリツールは、構成要素を共にスティッチすることを容易にするように、構成要素を互いに対して適所に保持することができる。
【0057】
更に、方法1100は、第1のストリンガフランジ、ストリンガベースチャージ、及び外板を、共にスティッチすることと、第1のシヤタイフランジ、連続的ティアストラップ又は不連続ベースチャージ、及び外板を、共にスティッチすることとを含んでよい。ストリンガと複合材シヤタイの交差部分では、第1のシヤタイフランジ、第1のストリンガフランジ、ストリンガベースチャージ、連続的ティアストラップ又は不連続ベースチャージ、及び外板が、共にスティッチされてよい。ストリンガは、ストリンガ及びストリンガベースチャージをアセンブリツール内に位置決めする前に、ストリンガベースチャージにスティッチされてよい。
【0058】
更に、方法1100は、外板、ストリンガ、ストリンガベースチャージ、複合材シヤタイ、及び連続的ティアストラップ又は不連続ベースチャージを、オーブン内で共硬化させることを含んでよい。前桁と後桁も、構成要素と共硬化されてよい。
更に、本発明は以下の条項による実施形態を含む。
条項1.
航空機の翼のリブを前記航空機の翼の外板に連結するためのアセンブリ(200、300、600、800)であって、
複合材シヤタイ(206、306、404、416、512、606、806、902)であって、シヤタイウェブ(216、616、816、910)、前記シヤタイウェブの第1の側から延在する第1のシヤタイフランジ(218、318、408、420、516、618、818、912)、前記シヤタイウェブの第2の側から延在する第2のシヤタイフランジ(220、320、620、820、914)、及び前記シヤタイウェブの前記第1の側の端部から延在する第1のシヤタイタブ(222、322、412、424)を有する、複合材シヤタイ(206、306、404、416、512、606、806、902)、
前記外板(106、108、202、302、504、602、802、904)にスティッチされ、前記外板と一体化された、ストリンガベースチャージ(308、506、608、808)、並びに
前記ストリンガベースチャージに重なるストリンガ(110、210、310、406、418、502、610、810)であって、ストリンガウェブ(228、414、426)、前記ストリンガウェブの第1の側から延在する第1のストリンガフランジ(230、330、410、422、508、620、830)、及び前記ストリンガウェブの第2の側から延在する第2のストリンガフランジ(232)を備えた、ストリンガを備え、
前記第1のシヤタイフランジが、前記第1のストリンガフランジにスティッチされ、前記第1のストリンガフランジと一体化されている、アセンブリ。
条項2.
前記第1のシヤタイタブが、前記ストリンガウェブの前記第1の側にスティッチされ、前記ストリンガウェブの前記第1の側と一体化されている、条項1に記載のアセンブリ。
条項3.
前記第1のシヤタイタブが、前記第1のストリンガフランジにスティッチされ、前記第1のストリンガフランジと一体化されている、条項1又は2に記載のアセンブリ。
条項4.
前記第1のシヤタイタブが、複数のシヤタイタブプライ(430)を備え、前記第1のシヤタイフランジが、前記第1のストリンガフランジにスティッチされ且つ前記1のストリンガフランジと一体化された、複数のシヤタイフランジプライ(428)を備え、且つ、前記複数のシヤタイタブプライが、前記第1のシヤタイフランジの前記複数のシヤタイフランジプライにインターウィーブされている、条項1から3のいずれか一項に記載のアセンブリ。
条項5.
前記外板にスティッチされ、前記外板と一体化された、ティアストラップ(304、514、804)を更に備え、前記第1のシヤタイフランジと前記第2のシヤタイフランジが、前記ティアストラップにスティッチされ、前記ティアストラップと一体化されている、条項1から4のいずれか一項に記載のアセンブリ。
条項6.
前記ティアストラップが、連続的ティアストラップ(304、804)であり、前記ストリンガベースチャージが、前記連続的ティアストラップに重なっている、条項5に記載のアセンブリ。
条項7.
前記外板が、水平飛行中に引張状態にある下側外板(106)である、条項1から6のいずれか一項に記載のアセンブリ。
条項8.
共硬化プロセス中に、前記ティアストラップと前記ストリンガベースチャージが、前記外板と一体化され、前記第1のシヤタイフランジが、前記第1のストリンガフランジと一体化されている、条項5から7のいずれか一項に記載のアセンブリ。
条項9.
前記外板にスティッチされ、前記外板と一体化された、不連続ベースチャージ(204、604)を更に備え、前記不連続ベースチャージが、前記ストリンガベースチャージによって分離された、第1のセクションと第2のセクションを有する、条項1から8のいずれか一項に記載のアセンブリ。
条項10.
前記外板が、水平飛行中に圧縮状態にある上側外板(108)である、条項1から9のいずれか一項に記載のアセンブリ。
条項11.
前記シヤタイウェブが、複数のシヤタイウェブプライ(224)を備え、前記シヤタイウェブが、前記複数のシヤタイウェブプライを共に保持する、前記シヤタイウェブの長さに沿って設けられた厚さ方向に貫通するスティッチ(226)を含む、条項1から10のいずれか一項に記載のアセンブリ。
条項12.
前記複合材シヤタイの長手軸(A1)が、前記ストリンガの長手軸(A2)に対して斜めである、条項1から11のいずれか一項に記載のアセンブリ。
条項13.
前記複合材シヤタイが、ヒレスティッチ(906)を使用して前記外板にスティッチされ、前記ヒレスティッチが、前記シヤタイウェブ、前記第1のシヤタイフランジ、及び前記第2のシヤタイフランジの間の分岐点で形成されたヒレ領域(908)を包んでいる、条項1から12のいずれか一項に記載のアセンブリ。
条項14.
前記複合材シヤタイが、フランジスティッチ(916)を使用して前記外板にスティッチされ、前記フランジスティッチが、前記第1のシヤタイフランジの長さに沿って設けられた少なくとも1つのフランジスティッチ(918、920)を含む、条項13に記載のアセンブリ。
条項15.
前記少なくとも1つのフランジスティッチが、フランジ内部スティッチ(918)とフランジ縁部スティッチ(920)を含み、前記第1のシヤタイフランジが、第1の方向に傾斜する傾斜した外側縁部(922)を備え、前記フランジ縁部スティッチが、第1の方向に傾斜している、条項14に記載のアセンブリ。
条項16.
航空機の翼(100)であって、
外板(106、108、202、302、504、602、802、904)、
複合材シヤタイ(206、306、404、416、512、606、806、902)であって、シヤタイウェブ(216、616、816、910)、前記シヤタイウェブの第1の側から延在する第1のシヤタイフランジ(218、318、408、420、516、618、818、912)、前記シヤタイウェブの第2の側から延在する第2のシヤタイフランジ(220、320、620、820、914)、及び前記シヤタイウェブの前記第1の側の端部から延在する第1のシヤタイタブ(222、322、412、424)を有する、複合材シヤタイ(206、306、404、416、512、606、806、902)、
前記外板にスティッチされ、前記外板と一体化された、ストリンガベースチャージ(308、506、608、808)、並びに
前記ストリンガベースチャージに重なるストリンガ(110、210、310、406、418、502、610、810)であって、ストリンガウェブ(228、414、426)、前記ストリンガウェブの第1の側から延在する第1のストリンガフランジ(230、330、410、422、508、620、830)、及び前記ストリンガウェブの第2の側から延在する第2のストリンガフランジ(232)を備えた、ストリンガを備え、
前記第1のシヤタイフランジが、前記第1のストリンガフランジにスティッチされ、前記第1のストリンガフランジと一体化されている、航空機の翼。
条項17.
前記第1のシヤタイタブが、前記ストリンガウェブの前記第1の側にスティッチされ、前記ストリンガウェブの前記第1の側と一体化されている、条項16に記載の航空機の翼。
条項18.
前記第1のシヤタイタブが、前記第1のストリンガフランジにスティッチされ、前記第1のストリンガフランジと一体化されている、条項16又は17に記載の航空機の翼。
条項19.
航空機の翼を製作し組み立てる方法(1100)であって、
共硬化プロセス中に、ストリンガベースチャージを前記航空機の翼の外板と一体化すること(1102)、
前記共硬化プロセス中に、ストリンガを前記ストリンガベースチャージと一体化すること(1104)であって、前記ストリンガが、ストリンガウェブ、前記ストリンガウェブの第1の側から延在する第1のストリンガフランジ、及び前記ストリンガウェブの第2の側から延在する第2のストリンガフランジを備える、ストリンガを前記ストリンガベースチャージと一体化すること、
前記共硬化プロセス中に、複合材シヤタイの第1のシヤタイフランジを前記第1のストリンガフランジと一体化すること(1106)、並びに
前記共硬化プロセスの後で、複合材リブを前記複合材シヤタイのシヤタイウェブに固定すること(1108)を含む、方法。
条項20.
前記共硬化プロセス中に、連続的ティアストラップ又は不連続ベースチャージを前記外板と一体化すること(1110)、及び
前記共硬化プロセス中に、前記複合材シヤタイの前記第1のシヤタイフランジと前記複合材シヤタイの第2のシヤタイフランジを、前記連続的ティアストラップ又は前記不連続ベースチャージと一体化すること(1112)を更に含む、条項19に記載の方法。
【0059】
種々の有利な構成の説明は、例示及び説明を目的として提示されており、完全であること、又は開示された形態の実施例に限定されることを意図するものではない。前述の開示を検討し理解した後で、当業者には、多くの修正例及び変形例が明らかであろう。更に、種々実施例は、他の実施例と比較して種々の利点を提供し得る。選択された1以上の実施例は、実施例の原理と実際的な用途を最もよく説明するため、及び、様々な実施例の開示内容と、検討される特定の用途に適した様々な修正例とを当業者が理解できるようにするために、選択及び記述されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12