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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】表示光出射装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20240209BHJP
   A42B 3/04 20060101ALI20240209BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
G01C21/34
A42B3/04
G08G1/0969
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019209479
(22)【出願日】2019-11-20
(65)【公開番号】P2020100928
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-10-17
(31)【優先権主張番号】P 2018238205
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591182112
【氏名又は名称】NSウエスト株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390005429
【氏名又は名称】株式会社SHOEI
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田島 元樹
(72)【発明者】
【氏名】松岡 直哉
(72)【発明者】
【氏名】松本 悠祐
(72)【発明者】
【氏名】山田 学
(72)【発明者】
【氏名】田中 良昌
(72)【発明者】
【氏名】平松 将紀
(72)【発明者】
【氏名】浅岡 海山
【審査官】宮本 礼子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-065593(JP,A)
【文献】特開平09-062994(JP,A)
【文献】特開2013-174620(JP,A)
【文献】特開2005-292622(JP,A)
【文献】特開2013-185893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-25/00
A42B 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設定された経路上に存在する案内地点における進行方向を示す情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得された情報に示される進行方向を表示する案内画像を生成し、ヘルメットに設けられたコンバイナに前記案内画像を表示させるための表示光を出射する画像出力処理を、前記案内地点への到達前に実行する画像出力部とを備えた表示光出射装置であって、
前記情報取得部は、現在地から最も近い第1の案内地点における進行方向を示す第1の情報と、前記第1の案内地点の次に到達予定の第2の案内地点における進行方向を示す第2の情報と、現在地から前記第1の案内地点までの距離を示す現在地間距離情報を取得するように構成され、
前記画像出力部は、前記第1の案内地点と前記第2の案内地点との間隔推定を行い、当該間隔推定により得られた間隔が所定以下である場合には、前記第1の情報に示される進行方向に加え、前記第2の情報に示される進行方向を表示する複数表示画像を前記案内画像として生成するように構成されるとともに、前記第1の情報に示される進行方向、現在地から前記第1の案内地点までの距離、前記第2の情報に示される進行方向及び現在地から前記第2の案内地点までの距離を表示する前記複数表示画像を前記案内画像として生成するように構成されるとともに、前記情報取得部により取得された現在地間距離情報に示された距離が所定距離未満であるかまたは所定距離以上であるかを判定し、前記所定距離以上であると判定される場合に、前記第2の情報に示される進行方向を非表示にするように構成され
前記複数表示画像は、前記第1の情報を表示する第1進行方向表示領域と、前記第2の情報を表示する第2進行方向表示領域と、現在地から第1の案内地点までの距離を表示する第1距離表示領域と、現在地から第2の案内地点までの距離を表示する第2距離表示領域とを備え、
前記第1進行方向表示領域と、前記第2進行方向表示領域とは、前記複数表示画像の左右方向または上下方向に間隔をあけて表示されることを特徴とする表示光出射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示光出射装置において、
前記情報取得部は、前記第1の案内地点と前記第2の案内地点との距離を示す案内地点間距離情報を取得するように構成され、
前記画像出力部は、前記情報取得部により取得された案内地点間距離情報に示された距離に基づいて前記第1の案内地点と前記第2の案内地点との間隔推定を行うように構成されていることを特徴とする表示光出射装置。
【請求項3】
請求項に記載の表示光出射装置において、
前記画像出力部は、前記情報取得部により取得された現在地間距離情報に示された距離が前記所定距離以上であると判定される場合に、前記第1の情報に示される進行方向を所定時間だけ表示するように構成されていることを特徴とする表示光出射装置。
【請求項4】
請求項に記載の表示光出射装置において、
前記画像出力部は、前記情報取得部により取得された現在地間距離情報に示された距離が前記所定距離未満であると判定される場合に、前記第1の情報に示される進行方向を前記第1の案内地点に到達するまで表示し続けるように構成されていることを特徴とする表示光出射装置。
【請求項5】
請求項に記載の表示光出射装置において、
前記画像出力部は、前記情報取得部により取得された現在地間距離情報に示された距離が前記所定距離未満であると判定され、かつ、前記間隔推定により得られた間隔が所定以下である場合には、前記第1の情報に示される進行方向と前記第2の情報に示される進行方向とを前記第1の案内地点に到達するまで表示し続けるように構成されていることを特徴とする表示光出射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘルメットに設けられたコンバイナに画像を表示させるための表示光を出射する表示光出射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、次に到達予定の案内地点までの距離と、案内地点における進行方向とを示す案内情報を通信機器から受信する無線通信部と、受信された案内情報に基づいて、案内地点における進行方向を示す案内画像を生成し、ヘルメットに設けられたコンバイナに当該案内画像を表示させるための表示光を出射する画像出力部とを備えた表示光出射装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-65593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ナビゲーションシステム等で設定された経路には、一般的に複数の案内地点が存在しており、最初に到達する案内地点、次に到達する案内地点がある。特許文献1では、次に到達する案内地点における進行方向の表示が、最初に到達した案内地点の通過後に開始されるので、最初の案内地点に到達してから次の案内地点に到達するまでの時間が短いと、ヘルメット装着者が次の案内地点における進行方向を示す案内画像を視認してからすぐに次の案内地点に到達してしまい、次の案内地点で案内画像に示される進行方向に進めなくなる虞がある。このような問題は、案内画像に地図が表示されない場合に特に顕著になる。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ヘルメット装着者が案内地点で案内画像に示される進行方向に進めなくなるのを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、予め設定された経路上に存在する案内地点における進行方向を示す情報を取得する情報取得部と、前記情報取得部により取得された情報に示される進行方向を表示する案内画像を生成し、ヘルメットに設けられたコンバイナに前記案内画像を表示させるための表示光を出射する画像出力処理を、前記案内地点への到達前に実行する画像出力部とを備えた表示光出射装置であって、前記情報取得部は、現在地から最も近い第1の案内地点における進行方向を示す第1の情報と、前記第1の案内地点の次に到達予定の第2の案内地点における進行方向を示す第2の情報とを取得するように構成され、前記画像出力部は、前記第1の案内地点と前記第2の案内地点との間隔推定を行い、当該間隔推定により得られた間隔が所定以下である場合には、前記第1の情報に示される進行方向に加え、前記第2の情報に示される進行方向を表示する複数表示画像を前記案内画像として生成するように構成されるとともに、前記第1の情報に示される進行方向、現在地から前記第1の案内地点までの距離、前記第2の情報に示される進行方向及び現在地から前記第2の案内地点までの距離を表示する前記複数表示画像を前記案内画像として生成するように構成され、前記複数表示画像は、前記第1の情報を表示する第1進行方向表示領域と、前記第2の情報を表示する第2進行方向表示領域と、現在地から第1の案内地点までの距離を表示する第1距離表示領域と、現在地から第2の案内地点までの距離を表示する第2距離表示領域とを備え、前記第1進行方向表示領域と、前記第2進行方向表示領域とは、前記複数表示画像の左右方向または上下方向に間隔をあけて表示されていることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、現在地から最も近い第1の案内地点と、その次に到達する予定の第2の案内地点とが存在している場合に、第1の案内地点と第2の案内地点との間隔が短いと推定されると、第1の案内地点の進行方向と、第2の案内地点の進行方向とが共に案内画像上で表示される。したがって、最初の案内地点に到達してから次の案内地点に到達するまでの時間が短かったとしても、ヘルメット装着者であるユーザが次の案内地点における進行方向を事前に案内画像上で確認することが可能になる。
【0008】
また、第1の案内地点における進行方向と、第1の案内地点までの距離だけでなく、第2の案内地点における進行方向と、第2の案内地点までの距離も同時に表示されるので、ユーザが第1の案内地点及び第2の案内地点における進行方向を誤りにくくなる。
【0009】
また、前記情報取得部は、現在地から前記第1の案内地点までの距離を示す現在地間距離情報を取得するように構成され、前記画像出力部は、前記情報取得部により取得された現在地間距離情報に示された距離が所定距離未満であるかまたは所定距離以上であるかを判定し、前記所定距離以上であると判定される場合に、前記第2の情報に示される進行方向を非表示にするように構成されている。
【0010】
この構成によれば、現在地と、現在地から最も近い第1の案内地点との距離が所定距離以上離れているということは、現在地と第1の案内地点とが遠いということであり、このようなタイミングでは、第1の案内地点よりも更に遠くの第2の案内地点について進行方向を示す必要性が低いと判断できる。この場合に、第2の案内地点の進行方向を非表示にすることで、ユーザが煩わしさを感じ難くなる。
【0011】
第2の発明は、前記情報取得部は、前記第1の案内地点と前記第2の案内地点との距離を示す案内地点間距離情報を取得するように構成され、前記画像出力部は、前記情報取得部により取得された案内地点間距離情報に示された距離に基づいて前記第1の案内地点と前記第2の案内地点との間隔推定を行うように構成されていることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、第1の案内地点と第2の案内地点との距離が長ければ、第1の案内地点と第2の案内地点とが離れていると推定することができ、一方、第1の案内地点と第2の案内地点との距離が短ければ、第1の案内地点と第2の案内地点とが近いと推定することができる。距離情報に基づくことで、推定結果を簡単にかつ正確に得ることができる
【0013】
の発明は、前記画像出力部は、前記情報取得部により取得された現在地間距離情報に示された距離が前記所定距離以上であると判定される場合に、前記第1の情報に示される進行方向を所定時間だけ表示するように構成されていることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、現在地と、現在地から最も近い第1の案内地点との距離が所定距離以上離れている場合に、第1の案内地点における進行方向をユーザに対して事前に知らせることができるので、ユーザが第1の案内地点における進行方向を誤りにくくなる。
【0015】
の発明は、前記画像出力部は、前記情報取得部により取得された現在地間距離情報に示された距離が前記所定距離未満であると判定される場合に、前記第1の情報に示される進行方向を前記第1の案内地点に到達するまで表示し続けるように構成されていることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、現在地から最も近い第1の案内地点における進行方向を第1の案内地点に到達するまで表示させておくことで、ユーザが第1の案内地点における進行方向を誤りにくくなる。
【0017】
の発明は、前記画像出力部は、前記情報取得部により取得された現在地間距離情報に示された距離が前記所定距離未満であると判定され、かつ、前記間隔推定により得られた間隔が所定以下である場合には、前記第1の情報に示される進行方向と前記第2の情報に示される進行方向とを前記第1の案内地点に到達するまで表示し続けるように構成されていることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、現在地と、現在地から最も近い第1の案内地点との距離が所定距離未満であるということは、現在地と第1の案内地点とが近いということであり、この場合には、第1の案内地点における進行方向だけでなく、第2の案内地点における進行方向も第1の案内地点に到達するまで表示させておくことで、ユーザが第1の案内地点及び第2の案内地点における進行方向を誤りにくくなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、現在地から最も近い第1の案内地点と、次に到達予定の第2の案内地点との間隔が短いと推定される場合に、第1の案内地点の進行方向と、第2の案内地点の進行方向とを表示することができるので、ヘルメット装着者が案内地点で案内画像に示される進行方向に進めなくなるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る表示光出射装置を備えたナビゲーションシステムの構成を示す外観図である。
図2】本発明の実施形態に係る表示光出射装置を備えたナビゲーションシステムの構成を示す機能ブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係る表示光出射装置によって実行される動作を示すフローチャートである。
図4】画像出力部により出力される第1案内画像を示す図である。
図5】画像出力部により出力される第2案内画像を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る表示光出射装置の動作を例示するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施形態1に係る表示光出射装置を備えたナビゲーションシステム1を示す。このナビゲーションシステム1は、通信機器としてのスマートフォン(携帯電話)10と、ヘルメット20とを備えており、自動二輪車用のものである。尚、ナビゲーションシステム1は、自動二輪車以外の乗物、例えば、水上バイク、自転車、スノーモービル(雪上バイク)などにおいても使用することが可能である。
【0023】
スマートフォン10は、電話機能及び電話回線を利用したデータ通信機能を有するとともに、図2に示すように、Bluetooth(登録商標)を用いた無線通信を行う無線通信インターフェース11と、GPS受信機12と、記憶部10aと、タッチ操作パネル10bとを備えている。このスマートフォン10には、スマートフォン10のOSであるモバイルオペレーションシステム13と、モバイルオペレーションシステム13上で、GPS受信機12により取得された位置情報等を用いて稼働するカーナビゲーションサービスアプリケーション(以下、「カーナビアプリ」と呼ぶ)14とが搭載されている。カーナビアプリ14は、独自の地図情報を保有していてもよいし、スマートフォン10の記憶部10aに記憶されている地図情報を利用してもよいし、必要な地図情報をインターネット経由でダウンロードして用いてもよい。モバイルオペレーションシステム13やカーナビアプリ14のプログラム、地図情報は記憶部10aに記憶させておくことができる。地図情報には、道路情報や交差点名等も含まれている。
【0024】
タッチ操作パネル10bは、例えば液晶ディスプレイ等を含んでおり、モバイルオペレーションシステム13で生成されたユーザインターフェース、各種画像、カーナビアプリ14の実行画面、各種設定画面等を表示可能に構成されている。また、タッチ操作パネル10bは、例えば感圧式の操作検出手段等も含んでおり、ユーザによるタッチ操作を受け付けるように構成されている。
【0025】
GPS受信機12は、従来から周知の現在地測位用の機器であり、ほぼリアルタイムで高精度に現在地を測位することができるように構成されている。GPS受信機12で得られた位置情報はモバイルオペレーションシステム13やカーナビアプリ14で利用されるようになっている。GPS受信機12で得られた位置情報に基づいて移動速度も算出することができる。スマートフォン10は、ヘルメット20を装着したユーザ(自動二輪車のライダー)が所持していることが前提であり、これにより、ユーザ、即ち自動二輪車の現在位置情報及び速度情報を取得することができる。スマートフォン10は、自動二輪車に着脱可能に取り付けられていてもよいし、GPS信号を受信可能なバッグ等に収容されていてもよい。
【0026】
スマートフォン10は、カーナビアプリ14を用い、GPS受信機12で得られた位置情報(現在位置情報)とタッチ操作パネル10b上で入力された目的地情報とに基づいて現在地から目的地までの経路を自動で探索し、経路設定を行うことができるように構成されている。案内中、現在位置が予め設定された経路から外れた場合には経路の再探索を自動的に実行する、いわゆるオートリルート機能も搭載されている。また、現在地から目的地までの距離(残距離)及び到着予想時刻を算出することもできるように構成されている。また、現在地から目的地までの経路上には、例えば交差点や分岐等の案内地点が複数存在しており、各案内地点での進行方向も経路設定によって決定されている。カーナビアプリ14は、地図情報と現在地情報とに基づいて、現在地から次の案内地点までの距離及び現在地から次の案内地点に到達するまでの時間を算出するように構成されている。したがって、カーナビアプリ14は、上述した各情報、例えば、現在地から所定の案内地点までの距離を示す距離情報と、当該案内地点における進行方向を示す方向情報と、現在地から所定の案内地点への道路上の移動速度を示す速度情報とを所定の時間間隔(例えば1秒毎)で取得することが可能になる。
【0027】
スマートフォン10は、カーナビアプリ14で取得した各情報、例えば距離情報、方向情報、速度情報及び残距離を、無線通信インターフェース11による無線通信によって送信するようになっている。方向情報には、進行すべきレーン(車線)を案内するレーンガイダンス情報も含まれている。案内地点に名称がある場合には、その名称も無線通信インターフェース11による無線通信によって送信するようになっている。カーナビアプリ14は、現在地から最も近い第1の案内地点における進行方向を示す第1の情報と、第1の案内地点の次に到達予定の第2の案内地点における進行方向を示す第2の情報とを生成する。また、カーナビアプリ14は、第1の案内地点と第2の案内地点との距離を示す案内地点間距離情報と、現在地から第1の案内地点までの距離を示す現在地間距離情報とを生成する。さらに、カーナビアプリ14は、案内地点間距離情報及び現在地間距離情報に基づいて、現在地から第2の案内地点までの距離を示す距離情報も生成することができる。尚、目的地が設定されていない(経路設定がなされていない)場合には、距離情報、方向情報は送信しない。
【0028】
カーナビアプリ14は、設定された経路上に渋滞があるか否か等のリアルタイム情報も通信回線を利用して取得できるように構成されている。リアルタイム情報も無線通信インターフェース11による無線通信によって送信するようになっている。
【0029】
図1に示すように、ヘルメット20の前面側には、当該ヘルメット20の装着者の額部と顎部との間に対向するように窓孔21が形成されている。該窓孔21の周縁部の左右両側には、透光性を有するシールド22が上下方向に回動することで窓孔21を開閉するように取り付けられている。ヘルメット20の外表面における窓孔21よりも当該ヘルメット20の装着者から見て左側、すなわち当該ヘルメット20の装着者の耳に対応する位置には、第1及び第2のスイッチ23,24が配設されている。また、ヘルメット20の窓孔21の上縁部における左右方向中央よりも当該ヘルメット20の装着者から見て右寄りの箇所には、半透明の板状のコンバイナ26が、取付部材27を介して内側から取り付けられている。ヘルメット20の窓孔21の下方には、本発明の実施形態1に係る表示光出射装置30と、当該表示光出射装置30によって出射された表示光をコンバイナ26に投射するミラー28とが内蔵されている。案内画像が表示光出射装置30にて生成され、その案内画像に応じた表示光が表示光出射装置30から出射された後にミラー28で反射される。そして、ミラー28で反射された表示光が、コンバイナ26に投光されて、コンバイナ26でヘルメット装着者の視界に入るようにさらに反射される。これにより、ヘルメット装着者は、コンバイナ26越しに前方視界の風景に重畳した状態で表示光による表示像を虚像として視認することができる。
【0030】
表示光出射装置30とコンバイナ26とミラー28とで、ヘッドアップディスプレイ装置40が構成されている。ヘッドアップディスプレイ装置40には、図2に示すバッテリ50から電力が供給されるようになっている。バッテリ50はヘルメット20に内蔵することができる。
【0031】
表示光出射装置30は、図2に示すように、Bluetoothを用いてスマートフォン10と通信可能な無線通信部としてのBluetoothモジュール31と、Bluetoothモジュール31により受信された情報に基づいて、コンバイナ26に表示させる画像を生成し、生成した画像をコンバイナ26に表示させるための表示光を出射する画像出力部32とを備えている。表示光出射装置30は、第1及び第2のスイッチ23,24の操作状態を検出可能に構成されており、第1のスイッチ23が長押しされた(例えば数秒間以上連続して押された)ことを検出すると、起動するようになっている。
【0032】
Bluetoothモジュール31は、スマートフォン10の無線通信インターフェース11に接続され、無線通信インターフェース11から送信される各種情報を取得する情報取得部である。スマートフォン10の無線通信インターフェース11から送信される各種情報には、現在地から所定の案内地点までの距離を示す距離情報、当該案内地点における進行方向を示す方向情報(レーンガイダンス情報を含む)、現在の速度を示す速度情報、残距離、到着予想時刻、案内地点の名称等が含まれている。この実施形態1では、1秒毎に取得するようにしている。
【0033】
Bluetoothモジュール31が取得する情報には、現在地から最も近い第1の案内地点における進行方向を示す第1の情報と、第1の案内地点の次に到達予定の第2の案内地点における進行方向を示す第2の情報とが含まれている。さらに、第1の案内地点と第2の案内地点との距離を示す案内地点間距離情報と、現在地から第1の案内地点までの距離を示す現在地間距離情報と、現在地から第2の案内地点までの距離を示す距離情報も取得する。尚、目的地が設定されていない(経路設定がなされていない)場合には、距離情報、方向情報は取得しない。
【0034】
画像出力部32は、マイクロコンピュータ32aと、フラッシュROM(Read Only Memory)32bと、マイクロコンピュータ32aによる指示に基づいて、フラッシュROM32bに記憶されている図柄等を組み合わせて案内画像を生成するGDC(Graphics Display Controller)32cと、GDC32cにより生成された案内画像をコンバイナ26に表示させるための表示光を出射するLCOS(Liquid Crystal on Silicon)32dとを備えている。画像出力部32の構成は上述した構成に限られるものではなく、ヘッドアップディスプレイ装置として使用されている構成を利用することができる。
【0035】
具体的には、画像出力部32は、Bluetoothモジュール31で取得された情報に基づいて、例えば図4に示すような第1案内画像33Aや図5に示すような第2案内画像33Bを生成し、コンバイナ26に第1案内画像33Aや第2案内画像33Bを表示させるための表示光を出射する。画像出力部32は、この画像出力処理を案内地点への到達前に実行するように構成されている。尚、画像出力部32による案内画像の出力は、第1のスイッチ23が短押しされることで、強制的に停止できるようになっている。第1案内画像33A及び第2案内画像33Bは一例であり、以下に示す情報を表示可能な形態であればよい。
【0036】
図4に示す第1案内画像33Aは、第1の情報に示される進行方向(第1の案内地点における進行方向)を表示する第1進行方向表示領域33aに加え、第2の情報に示される進行方向(第2の案内地点における進行方向)を表示する第2進行方向表示領域33bを備えており、第1の案内地点における進行方向と、第2の案内地点における進行方向を同時に表示可能な複数表示画像である。第1進行方向表示領域33aには、Bluetoothモジュール31が取得した第1の情報に示される進行方向を矢印の形態で表示する。また、第2進行方向表示領域33bには、Bluetoothモジュール31が取得した第2の情報に示される進行方向を矢印の形態で表示する。
【0037】
この第1案内画像33Aは、現在地から第1の案内地点までの距離を表示する第1距離表示領域33cと、現在地から第2の案内地点までの距離を表示する第2距離表示領域33dも備えており、現在地から第1の案内地点までの距離と、現在地から第2の案内地点までの距離も同時に表示可能な複数表示画像である。第1距離表示領域33cには、Bluetoothモジュール31が取得した距離情報に示される現在地から第1の案内地点までの距離を数値で表示する。第2距離表示領域33dには、Bluetoothモジュール31が取得した距離情報に示される現在地から第2の案内地点までの距離を数値で表示する。所定の案内地点までの距離が遠い場合には単位が「km」で表示され、所定の案内地点までの距離が1kmを未満になると単位が「m」で表示されるようにしてもよい。また、現在地から第1の案内地点までの距離に代えて、第1の案内地点の名称を表示するようにしてもよい。また、現在地から第2の案内地点までの距離に代えて、第2の案内地点の名称を表示するようにしてもよい。
【0038】
第1進行方向表示領域33aと、第1距離表示領域33cとは左右方向に並ぶように配置され、また、第2進行方向表示領域33bと、第2距離表示領域33dも左右方向に並ぶように配置される。尚、第1進行方向表示領域33aと、第1距離表示領域33cとを上下方向に並ぶように配置してもよいし、第2進行方向表示領域33bと、第2距離表示領域33dとを上下方向に並ぶように配置してもよい。進行方向の表示形態としては、例えば複数の車線がある場合に、どの車線を走行すればよいかを示すレーンガイダンスであってもよい。
【0039】
図5に示す第1案内画像33Bは、第1の情報に示される進行方向(第1の案内地点における進行方向)を表示する進行方向表示領域33eと、現在地から第1の案内地点までの距離を表示する距離表示領域33fとを備えている。進行方向表示領域33eには、Bluetoothモジュール31が取得した第1の情報に示される進行方向を矢印の形態で表示する。距離表示領域33fには、Bluetoothモジュール31が取得した距離情報に示される距離を数値で表示する。
【0040】
以下、上述のように構成されたナビゲーションシステム1の動作について説明する。
【0041】
まず、自動二輪車等の運転者が、カーナビアプリ14を起動させた状態のスマートフォン10を所持または自動二輪車に取付等した状態で、ヘルメット20を装着して第1のスイッチ23を長押しすると、表示光出射装置30が起動する。カーナビアプリ14を起動させた状態のスマートフォン10は、1秒毎に更新される各種情報を無線通信インターフェース11による無線通信によって送信している。表示光出射装置30は、起動後、Bluetoothモジュール31によるスマートフォン10との無線通信が成功すると、経路設定がなされたスマートフォン10との無線通信が行われる。スマートフォン10との無線通信が行われている間、図3のフローチャートに示す動作を繰り返し実行する。経路が消去されるとこの動作は停止する。
【0042】
この動作の開始後、まず、ステップS101において、画像出力部32のマイクロコンピュータ32aが、カウント値kを1に初期化する。この値は便宜上設定しているだけである。
【0043】
次に、ステップS102では、Bluetoothモジュール31が、スマートフォン10により送信された第1及び第2の情報、案内地点間距離情報、現在地間距離情報等を受信する。その後、ステップS103に進む。
【0044】
ステップS103では、画像出力部32のマイクロコンピュータ32aが、Bluetoothモジュール31により直近に受信された第1の情報に示される距離D1(現在地から第1の案内地点までの距離)が、所定の基準距離R未満であるか否か、または所定の基準距離以上であるかを判定する。ここで、R~Rは、順に、5km、4km、3km、2km、1km、0.5kmに設定されており、Rが最も長く、Rが最も短くなっている。R~Rの距離は、上記した距離に限られるものではなく、任意の距離に設定することができる。また、Rの数は、6に限られるものではなく、2以上の任意の数に設定することができる。
【0045】
ステップS103でNOと判定された場合は、現在地から第1の案内地点までの距離D1が所定の基準距離R以上であり、この場合は、ステップS102に進む。Rが最も長いRのときには基準距離が5kmとなり、このときにステップS103でNOと判定されたということは、現在地から第1の案内地点まで5km以上離れているということである。つまり、現在地から第1の案内地点までの距離が十分に長いので、第1の案内地点の案内を行う必要がない状況であり、この場合には、ステップS111やステップS112の案内画像出力ステップには進まない。これにより、ユーザが煩わしさを感じないようになる。ステップS103でNOと判定されると、ステップS102に戻り、スマートフォン10から第1及び第2の情報、案内地点間距離情報、現在地間距離情報等を受信する。尚、進行方向を示す方向情報は、案内地点が変更にならない限り変わらないので、方向情報の受信は省略することができる。
【0046】
その後、ステップS103に進み、上述したように画像出力部32のマイクロコンピュータ32aが、距離D1が所定の基準距離R未満であるか否かを判定する。最も長い基準距離であるRは、例えば10km以下に設定するのが好ましく、より好ましくは8km以下、さらに好ましいのは5km以下である。Rは、3km以上に設定するのが好ましい。
【0047】
一方、ステップS103においてYESと判定されて距離D1が所定の基準距離R未満である場合にはステップS107に進み、画像出力部32のマイクロコンピュータ32aが、カウント値k=6であるか否かを判定する。
【0048】
ステップS107でYESと判定されてカウント値kが6であるときにはステップS108に進む。ステップS107からステップS108に進むということは、現在地から次の案内地点までの距離Dが0.5km未満であり、次の案内地点に到達するまでの時間が短いということである。ステップS108では、画像出力部32のマイクロコンピュータ32aが、Bluetoothモジュール31により直近に受信された第2の情報に示される距離D2(第1の案内地点から第2の案内地点までの距離)が、間隔推定用の距離以下であるか否かを判定する。間隔推定用の距離は、Rの基準距離よりも短く設定されており、例えばRの基準距離の1/3~1/5の範囲で設定することができる。この実施形態では、間隔推定用の距離を100mとしているが、これに限られるものではなく、例えば、50mから200mの範囲で設定することができる。
【0049】
ステップS108では、第1の案内地点と第2の案内地点との間隔推定を、Bluetoothモジュール31により取得された案内地点間距離情報に示された距離に基づいて行うことができる。案内地点間距離情報に示された距離は、第1の案内地点と第2の案内地点との距離であることから、第1の案内地点と第2の案内地点との間隔を直接的に表したものである。尚、この間隔推定は、時間情報に基づいて行うこともでき、例えば、第1の案内地点から第2の案内地点に到達するまでの時間を、移動速度及び距離や経路から算出することで、第1の案内地点と第2の案内地点との時間間隔を取得することができる。この場合、間隔推定用の距離に代えて、間隔推定用の時間にすればよい。間隔推定用の時間は例えば10秒~30秒程度に設定することができる。
【0050】
ステップS108でYESと判定されて第1の案内地点から第2の案内地点までの距離D2が間隔推定用の距離(100m)以下である場合には、ステップS109に進む。第1の案内地点から第2の案内地点までの距離D2が間隔推定用の距離以下であるということは、第1の案内地点と第2の案内地点との間隔が所定以下、即ち間隔が短いと推定されたということである。この場合、ステップS109では、画像出力部32が図4に示す第1案内画像33Aを生成し、コンバイナ26に当該第1案内画像33Aを表示させるための表示光を出射する画像出力処理を行う。この第1案内画像33Aには、第1の案内地点における進行方向と、第2の案内地点における進行方向とが表示されるので、第1の案内地点に到達してから第2の案内地点に到達するまでの時間が短かったとしても、ユーザが第2の案内地点における進行方向を事前に第1案内画像33A上で確認することが可能になる。
【0051】
一方、ステップS108でNOと判定されて第1の案内地点から第2の案内地点までの距離D2が間隔推定用の距離よりも長い場合には、ステップS110に進む。第1の案内地点から第2の案内地点までの距離D2が間隔推定用の距離よりも長いということは、第1の案内地点と第2の案内地点との間隔が長いと推定されたということである。この場合、ステップS110では、画像出力部32が図5に示す第2案内画像33Bを生成し、コンバイナ26に当該第2案内画像33Bを表示させるための表示光を出射する画像出力処理を行う。この第2案内画像33Bには、第1の案内地点における進行方向が表示されているが、第2の案内地点における進行方向は表示されないので、ユーザが煩わしく感じにくい。ステップS108でNOと判定されたということは、第2の案内地点までの距離が長いので、第2の案内地点における進行方向が表示されなくてもユーザが不便に感じない。
【0052】
ステップS109及びステップS110の後、ステップS111に進む。この間、案内画像は表示されたままであるとともに、Bluetoothモジュール31が1秒毎に各種情報を受信し、更新しているので、案内画像も1秒毎に更新され、例えば、第1距離表示領域33c、第2距離表示領域33d、距離表示領域33fに表示される距離が更新される。
【0053】
ステップS111では、画像出力部32が、現在地から第1の案内地点までの距離D1が0になるまで、即ち第1の案内地点に到達するまでステップS109による第1案内画像33AまたはステップS110による第2案内画像33Bを出力する。つまり、画像出力部32は、Bluetoothモジュール31により取得された現在地間距離情報に示された距離がRのときの基準距離(所定距離)未満であると判定された場合に、第1の案内地点における進行方向や第2の案内地点における進行方向を第1の案内地点に到達するまで表示し続けるように構成されている。第1の案内地点に到達すると、案内画像を消す。これにより、所定の動作が終了する。この動作の終了後は、現在地に最も近い案内地点が前記第2の案内地点に切り替わるので、前記第2の案内地点が、新たに第1の案内地点になる。そして、次の動作が引き続き実行される。案内地点が目的地となる場合もあり、この場合、第2の案内地点は存在しない。
【0054】
一方、ステップS107でNOと判定されるとステップS112に進む。ステップS107からステップS112に進むということは、現在地から次の案内地点までの距離D1が0.5km以上であり、次の案内地点に到達するまでの時間が長いということである。ステップS112では、図5に示す第2案内画像33Bを10秒間だけ出力するので、第2の案内地点における進行方向が表示されることはない。つまり、画像出力部32は、Bluetoothモジュール31により取得された現在地間距離情報に示された距離がRのときの基準距離以上であると判定される場合に、第2の案内地点における進行方向を非表示にするように構成されている。これにより、ユーザが煩わしさを感じにくくなる。また、画像出力部32は、Bluetoothモジュール31により取得された現在地間距離情報に示された距離がRのときの基準距離以上であると判定される場合に、第1の案内地点における進行方向を所定時間だけ表示するように構成されているので、ユーザは第1の案内地点に到達する前に進行方向を確認することができる。尚、第2案内画像33Bの出力時間は10秒間に限られるものではなく、数秒間~10秒間の間で設定することができる。
【0055】
ステップS113では、画像出力部32のマイクロコンピュータ32aが、カウント値kに1を加算してステップS102に戻り、スマートフォン10から各種情報を受信する。その後、ステップS103に進む。ステップS103において、RがRになっていれば、現在地から次の案内地点までの距離Dが4km未満であるか否かを判定し、RがRになっていれば、現在地から次の案内地点までの距離Dが3km未満であるか否かを判定し、RがRになっていれば、現在地から次の案内地点までの距離Dが2km未満であるか否かを判定し、RがRになっていれば、現在地から次の案内地点までの距離Dが1km未満であるか否かを判定し、RがRになっていれば、現在地から次の案内地点までの距離Dが0.5km未満であるか否かを判定することになる。
【0056】
例えば、現在地から第1の案内地点までの距離D1が5km以上離れていて、そこから第1の案内地点へ向かって走行していると仮定する。ステップS103における判定の基準距離はRである。現在地から第1の案内地点までの距離D1が5km未満になると、ステップS103でYESとなり、ステップS107でNOと判定されてステップS112で10秒間だけ第1案内画像33Bが表示され(通常出力処理)、ステップS113でRがRとなり、ステップS102に進む。通常出力処理の開始前、及び通常出力処理の終了後は、表示光の出射を停止する停止処理が行われる。
【0057】
第1の案内地点に更に近づき、現在地から第1の案内地点までの距離D1が4km未満になると、ステップS103においてRを基準距離として判定されるのでYESとなり、ステップS107でNOと判定されてステップS112で10秒間だけ第1案内画像33Bが表示され、ステップS113でRがRとなり、ステップS102に進む。
【0058】
第1の案内地点に更に近づき、現在地から第1の案内地点までの距離D1が3km未満になると、ステップS103においてRを基準距離として判定されるのでYESとなり、ステップS107でNOと判定されてステップS112で10秒間だけ第1案内画像33Bが表示され、ステップS113でRがRとなり、ステップS102に進む。その後、第1の案内地点に更に近づき、現在地から第1の案内地点までの距離D1が2km未満になると、ステップS103においてRを基準距離として判定されるのでYESとなり、ステップS107でNOと判定されてステップS112で10秒間だけ第1案内画像33Bが表示され、ステップS113でRがRとなり、ステップS102に進む。その後、第1の案内地点に更に近づき、現在地から第1の案内地点までの距離D1が1km未満になると、ステップS103においてRを基準距離として判定されるのでYESとなり、ステップS107でNOと判定されてステップS112で10秒間だけ第1案内画像33Bが表示され、ステップS108でRがRとなり、ステップS102に進む。つまり、画像出力部32は、現在地から第1の案内地点までの距離が5km未満であると判定した場合には、第1案内画像33Bを表示させるための表示光を出射する通常出力処理と、表示光の出射を停止する停止処理とを所定のタイミングで繰り返し行うように構成されているので、ユーザは第1の案内地点に到達するまでに次の進行方向を複数回確認することができる。
【0059】
その後、第1の案内地点に更に近づき、現在地から第1の案内地点までの距離D1が0.5km未満になると、ステップS103においてRを基準距離として判定されるのでYESとなり、ステップS107では、カウント値k=6であるので、YESと判定されてステップS108に進む。第1の案内地点と第2の案内地点とが近ければ、ステップS109において第1案内画像33Aを表示させ、第1の案内地点と第2の案内地点とが遠ければ、ステップS110において第2案内画像33Bを表示させることができる。
【0060】
したがって、例えば図6のタイミングチャートに示すように、スマートフォン10を所持した自動二輪等の運転者が、案内地点A、B、C、Dを順に通過するとき、本実施形態に係る表示光出射装置30は、当該タイミングチャートに示すように動作する。
【0061】
ここで、案内地点BC間の距離は、50mに設定される。また、図6において、tは、表示光出射装置30が動作を開始してからの経過時間を示す。表示光出射装置30は、t=1、2、3、4、5、6、7、8のときに、それぞれ各種情報を受信する。
【0062】
表示光出射装置30は、t=1の時、案内地点Aを通過し、案内地点AB間の距離と、案内地点Bにおける進行方向を示す第1の情報を受信するとともに、案内地点BC間の距離と、案内地点Cにおける進行方向を示す第2の情報を受信する。t=2,3,4,5では、現在地から案内地点Bまでの距離と、案内地点Bにおける進行方向を示す第1の情報のみを受信する。t=1~4の間では、現在地から案内地点Bまでの距離が500m以上であるとする。したがって、案内画像は、案内地点Cにおける進行方向を示さない第2案内画像33Bに設定される。t=4~6の間では、現在地から案内地点Bまでの距離が500m未満であるとする。そして、案内地点BC間の距離が100m以下であるので、案内画像は、案内地点Bにおける進行方向と案内地点Cにおける進行方向とを表示する第1案内画像33Aに設定される。その後、t=6で、案内地点Bを通過し、このとき、案内地点BC間の距離と、案内地点Cにおける進行方向を示す第1の情報を受信するとともに、案内地点CD間の距離と、案内地点Dにおける進行方向を示す第2の案内情報を受信する。t=7では、現在地から案内地点Cまでの距離と、案内地点Cにおける進行方向を示す第1の情報のみを受信する。その後、案内地点Cを通過する。
【0063】
以上説明したように、この実施形態によれば、現在地から最も近い第1の案内地点と、その次に到達する予定の第2の案内地点とが存在している場合に、第1の案内地点と第2の案内地点との間隔が短いと推定されると、第1の案内地点の進行方向と、第2の案内地点の進行方向とが共に案内画像上で表示される。したがって、最初の案内地点に到達してから次の案内地点に到達するまでの時間が短かったとしても、ユーザが次の案内地点における進行方向を事前に案内画像上で確認することができる。よって、ユーザが案内地点で案内画像に示される進行方向に進めなくなるのを防止できる。
【0064】
なお、上記実施形態では、ステップ108において、距離D2だけに基づいて、第1の案内地点に到達してから第2の案内地点に到達するまでの時間を推定したが、かかる推定を、距離D2に加え、Bluetoothモジュール31により受信された速度情報に示される速度に基づいて行うようにしてもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、ステップ108において、距離D2が100m以下であるかを判定したが、他の所定の設定値以下であるか否かを判定するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、ヘルメットに設けられたコンバイナに画像を表示させるための表示光を出射する表示光出射装置として有用である。
【符号の説明】
【0067】
10 スマートフォン(通信機器、情報取得部)
20 ヘルメット
26 コンバイナ
30 表示光出射装置
31 Bluetoothモジュール(無線通信部)
32 画像出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6